(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、動画像を符号化する画像符号化装置に関し、以下の課題を見出した。
ビデオおよびオーディオのビットストリームには、フレームのサイズおよび表示時刻などのヘッダ情報が付加される。そして、システム多重化が行われて、その後、ビットストリームは伝送される。システム多重化の方式としてISO/IEC 13181−1において規定されるMPEG−2システムが一般的に用いられている。
MPEG−2システムでは、トランスポートストリームとプログラムストリームという2種類の多重化方式が規定されている。トランスポートストリームは、伝送エラーが発生する環境に適用されることが想定されており、主に放送などで使用されるビットストリームに対応する。一方、プログラムストリームは、エラーの発生しない環境に適用されることが想定されており、主にDVDなどの蓄積メディアで使用されるビットストリームに対応する。
MPEG−2のトランスポートストリームでは、すべてのデータがトランスポートストリームパケット(TSパケット)と呼ばれる188バイトの固定長のパケットを用いて伝送される。ビデオおよびオーディオの符号化データは、PES(Packetized Elementary Stream)パケットに多重化された後、適切なサイズに分割され、TSパケットのペイロードに挿入される。
また、プログラムに関する情報は、セクションと呼ばれるデータ構造に多重化された後、適切なサイズに分割され、TSパケットのペイロードに挿入される。そして、生成されたTSパケットが並べられ、トランスポートストリームが生成される。
セクションには、プログラムの一覧情報を含むPAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、および、PSM(Program Stream Map)などがある。MPEG−2システムは、ビットレートおよびフレームレートなどのビットストリームの属性情報をデスクリプタという単位に格納して、PMTまたはPSMに含めて伝送することができる。
一般的に、デスクリプタに含まれる情報は、ビデオおよびオーディオの符号化データにも含まれている情報である。しかし、PMTまたはPSMにデスクリプタが含められることにより、システム層は、プログラム情報を取得した時点で、符号化データの内容を知り、復号できるか否かを判断することができる。
ITU−T H.222.0 Amendment 3(Transport of scalable video over Rec. ITU−T H.222.0 | ISO/IEC 13818−1)には、MPEG−2システムを用いて、スケーラブルビデオ符号化で得られたデータ(SVCデータ)を伝送するための拡張が規定されている。
図1は、ビデオサブビットストリームのスケーラビリティと再構築(re−assembly)とに関する情報を含むSVC拡張デスクリプタを示す。ビデオサブビットストリームは、スケーラブルビデオ符号化で得られるビデオストリームの一部を構成する。ビデオサブビットストリームを構成するNALユニットは、全て同じdependency_idの値を有している。
図2は、ビデオサブビットストリームの一例を示す。図2に示されたビデオサブビットストリームは、dependency_idの値が2であるNALユニットから構成されている。なお、dependency_idは、空間スケーラブルビデオ符号化の階層を示す識別子である。既に標準化されているH.264と呼ばれる動画像符号化方式では、SVCデータを含むNALユニットヘッダは拡張され、dependency_idはNALユニットヘッダのSVC拡張部に含まれている。
つぎに、SVC拡張デスクリプタに含まれている各フィールドについて説明する。descriptor_tagはデスクリプタを識別するための識別子であり、SVC拡張デスクリプタには48が割当てられている。descriptor_lengthは、そのデスクリプタのサイズを示す。widthとheightは、ビデオストリームの最大の画像サイズを示す。frame_rateは、ビデオストリームの最大のフレームレートを示す。
average_bitrateは、ビデオストリームの平均のビットレートを示す。maximum_bitrateは、ビデオストリームの最大のビットレートを示す。dependency_idは、上述したように、そのビデオサブビットストリームを構成するNALユニットのNALユニットヘッダのdependency_idの値である。
quality_id_startは、そのビデオサブビットストリームを構成するNALユニットのNALユニットヘッダのquality_idの最小値を示す。quality_id_endは、そのビデオサブビットストリームを構成するNALユニットのNALユニットヘッダのquality_idの最大値を示す。すなわち、quality_idの値として、quality_id_startからquality_id_endまでの値を有するNALユニットが、そのビデオサブビットストリームに含まれる。
temporal_id_startとtemporal_id_endは、同様に、そのビデオサブビットストリームを構成するNALユニットのNALユニットヘッダのtemporal_idの最小値と最大値を示す。
no_sei_nal_unit_presentは、そのビデオサブビットストリームにSEI(Suplemental Enhancement Information)のNALユニットが含まれるか否かを示すフラグである。no_sei_nal_unit_presentの値が1であることは、そのビデオサブビットストリームにSEIのNALユニットは含まれていないことを示す。
ITU−T H.222.0 Amendment 4(Transport of multiview video over Rec. ITU−T H.222.0 | ISO/IEC 13818−1)には、MPEG−2システムを用いて、マルチビュービデオ符号化で得られたデータ(MVCデータ)を伝送するための拡張が規定されている。
図3は、MVCビデオサブビットストリームと、MVCビデオサブビットストリームの再構築(re−assembly)とに関する情報を含むMVC拡張デスクリプタを示す。
MVCビデオサブビットストリームは、マルチビュービデオ符号化で得られるビデオストリームの一部を構成する。MVCビデオサブビットストリームを構成するNALユニットは、ビューID集合(MVC view_id subset)に含まれるview_idの値を有している。ビューID集合(MVC view_id subset)は、一つ又は複数のview_idの集合である。
図4は、ビューID集合(MVC view_id subset)の例を示す。図4の(a)のビューID集合(MVC view_id subset)は、値が1であるview_idと、値が2であるview_idとの集合である。図4の(a)のMVCビデオサブビットストリームは、view_idの値が1または2であるNALユニットのみから構成されている。
図4の(b)のビューID集合(MVC view_id subset)は、値が3であるview_idのみの集合である。図4の(c)のビューID集合(MVC view_id subset)は、値が4、5または6であるview_idの集合である。そして、MVCビデオサブビットストリームは、各ビューID集合(MVC view_id subset)に含まれるview_idの値を有するNALユニットから構成されている。
なお、view_idは、マルチビュービデオ符号化のビューを示す識別子である。H.264の規格では、MVCデータを含むNALユニットヘッダは拡張され、view_idは、NALユニットヘッダのMVC拡張部に含まれている。
つぎに、MVC拡張デスクリプタに含まれている各フィールドについて説明する。descriptor_tagはデスクリプタを識別するための識別子であり、MVC拡張デスクリプタには49が割当てられている。
view_order_index_minは、そのMVCビデオサブビットストリームを構成するNALユニットのview_order_indexの最小値を示す。view_order_index_maxは、そのMVCビデオサブビットストリームを構成するNALユニットのview_order_indexの最大値を示す。
すなわち、view_order_indexの値として、view_order_index_minからview_order_index_maxまでの値を有するビューが、そのMVCビデオサブビットストリームに含まれている。なお、view_order_indexはビューのオーダーを示す値であり、ビューを識別するview_idの値は、サブセットシーケンスパラメータセット(サブセットSPS)等によって関連付けられている。
no_prefix_nal_unit_presentは、そのMVCビデオサブビットストリームにプレフィックスNALユニットが含まれるか否かを示すフラグである。no_prefix_nal_unit_presentの値が0である場合、ベースビューを含むMVCビデオサブビットストリームにのみ、プレフィックスNALユニットが含まれている。なお、ベースビューは、view_order_indexが最小値であるビューである。
図5は、H.264の動画符号化方式における空間階層画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
空間階層画像符号化装置100は、図5のように、入力画像制御部101、ダウンサンプリング部102、ベースレイヤ符号化部103、拡張レイヤ符号化部105、および、拡大伸張部104を備えている。
入力画像制御部101は、入力画像信号を各レイヤの符号化を担当する符号化部に送信する。ダウンサンプリング部102は、入力画像信号のダウンサンプリングを行い、より解像度の小さい入力画像を生成する。ベースレイヤ符号化部103は、空間階層符号化を行わない通常の画像符号化装置であり、ベースレイヤの画像符号化を行い、ベースレイヤの符号化情報を含むビデオサブビットストリームを出力する。
拡大伸張部104は、ベースレイヤの画像符号化情報を拡大または伸張して拡張レイヤの画像符号化に用いる予測情報を生成し、拡張レイヤ符号化部105に入力する。拡張レイヤ符号化部105は、予測情報を用いて入力画像制御部101から入力される入力画像信号(拡張レイヤ)の画像符号化を行う。そして、拡張レイヤの符号化情報を含むビデオサブビットストリームを出力する。
なお、図5に示された空間階層画像符号化装置100は、例としてベースレイヤと拡張レイヤの2階層に対応する。しかし、複数の拡張レイヤ符号化部が結合されることにより、複数の拡張レイヤに対応する空間階層画像符号化が実現される。
図6は、空間階層画像符号化装置100の各レイヤの符号化部における入力画像の例を示す。本例において、入力画像は、1つのベースレイヤと2つの拡張レイヤとに対応する。
ベースレイヤ(Layer1)の入力画像はSDサイズを有し、第1拡張レイヤであるLayer2の入力画像はHDサイズを有し、第2拡張レイヤであるLayer3の入力画像は4K2Kサイズを有する。また、Layer1のdependency_idは0であり、Layer2のdependency_idは1であり、Layer3のdependency_idは2である。
相対的に解像度の小さいレイヤを下位レイヤと呼び、解像度の大きいレイヤを上位レイヤと呼ぶ。すなわち、ベースレイヤが最下層の下位レイヤである。空間階層画像符号化では、上位レイヤの符号化が行われる際、下位レイヤの予測情報を用いてレイヤ間予測が行われる。これにより、符号化効率が向上する。予測情報として、イントラテクスチャ予測、動きベクトル予測、または、フレーム間差分予測などの情報が用いられる。なお、上位レイヤを符号化する際、下位レイヤの予測情報を用いることをレイヤ間参照(予測)と呼ぶ。
空間階層画像符号化においても、通常の画像符号化で用いられる時間方向のフレーム間予測(インター予測)は用いられる。ただし、フレーム間参照関係は、全てのレイヤで一致していなければならない。
図6の点線矢印は、レイヤ間予測と、インター予測を示している。より具体的には、矢印の先の画像が矢印の始点の画像から参照されることを示す。ベースレイヤのインター予測では、2枚前のフレームが参照されているので、拡張レイヤにおいても同様に2枚前のフレームが参照される。なお、レイヤ間予測を行うか否かは、ブロック単位で切り替えられる。
図7は、H.264の動画像符号化方式におけるマルチビュー画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
マルチビュー画像符号化装置200は、図7のように、入力画像制御部201、ベースビュー符号化部202、および、拡張ビュー符号化部203を備えている。
入力画像制御部201は、必要に応じて入力画像信号から各ビュー画像を生成し、各ビュー画像を対応する各ビューの符号化部(202、203)に送信する。なお、各ビューの入力画像信号が入力画像制御部201に入力されてもよい。
ベースビュー符号化部202は、マルチビュー符号化を行わない通常の画像符号化装置であり、ベースビューの画像符号化を行い、ベースビューの符号化情報を含むMVCビデオサブビットストリームを出力する。また、ベースビュー符号化部202は、ベースビュー符号化部202の内部で符号化され復号化されたベースビューの再構築ビュー画像を拡張ビュー符号化部203に入力する。
拡張ビュー符号化部203は、再構築ビュー画像を用いて入力画像制御部201から入力される拡張ビュー画像の画像符号化を行う。そして、拡張ビュー符号化部203は、拡張ビューの符号化情報を含むMVCビデオサブビットストリームを出力する。なお、図7に示されたマルチビュー画像符号化装置200は、例としてベースビューと拡張ビューの2つのビューに対応する。しかし、複数の拡張ビュー符号化部が結合されることにより、複数の拡張ビューに対応するマルチビュー画像符号化が実現される。
図8は、マルチビュー画像符号化装置200における各ビューの入力画像の例を示す。本例において、入力画像は、1つのベースビューと2つの拡張ビューとに対応する。ベースビュー(View1)、および、拡張ビュー(View2、View3)の画像解像度は同一である。一般的に、各ビューの画像はわずかに違う視点から同時刻に撮影された画像であり相関を有している。マルチビュー画像符号化は、現在では、立体画像(3D)の符号化方法として用いられている。
各ビューには、ビューを識別する識別子が割り振られており、例えば、View1のview_idは1であり、View2のview_idは2であり、View3のview_idは3である。また、例えば、各ビューのview_order_indexは、View1、View2、View3でそれぞれ0、1、2である。
マルチビュー画像符号化では、拡張ビューの符号化が行われる際、他のビューの再構築画像を参照画像として用いてフレーム間予測が行われる。これにより、符号化効率が向上する。なお、拡張ビューを符号化する際、他のビューの再構築画像を用いることをビュー間参照(予測)と呼ぶ。
マルチビュー画像符号化においては、通常の画像符号化で用いられる時間方向のフレーム間予測(インター予測)の参照画像として、他のビューの再構築画像が用いられる。ただし、符号化対象画像と時間的に異なる他のビューの再構築画像は、参照画像として用いられない。
ビュー間予測が用いられる場合には、参照するビューが選択される。図8の点線矢印は、ビュー間予測と、インター予測とを示している。第1拡張ビュー(View2)のビュー間予測では、ベースビュー(View1)が参照されている。一方で、第2拡張ビュー(View3)のビュー間予測では、第1拡張ビュー(View2)が参照されている。なお、ビュー間予測を行うか否かは、ブロック単位で切り替えられる。また、時間が異なれば、ビュー間の参照関係は異なってもよい。
図9は、マルチビュー画像符号化装置とMPEG−2システムエンコーダを含む送信側システムを示す。送信側システム300のマルチビュー画像符号化装置301は、図7に示されたマルチビュー画像符号化装置200と同等の構成を有している。ただし、送信側システム300のマルチビュー画像符号化装置301では、2つの拡張ビュー符号化部が結合されている。
マルチビュー画像符号化装置301は、図8のような各ビューの画像を入力画像として符号化し、各ビューの符号化情報を含むMVCビデオサブビットストリームをMPEG−2システムエンコーダ302に出力する。すなわち、view_idがそれぞれ1、2および3である3本のMVCビデオサブビットストリームが、MPEG−2システムエンコーダ302に入力される。
MPEG−2システムエンコーダ302は、入力された3本のMVCビデオサブビットストリームを必要に応じて一つにまとめ、新たなMVCビデオサブビットストリームを生成する。
例えば、MPEG−2システムエンコーダ302は、view_idがそれぞれ1または2である2つのMVCビデオサブビットストリームから1つのMVCビデオサブビットストリームを生成する。また、MPEG−2システムエンコーダ302は、view_idが3であるMVCビデオサブビットストリームからもう一つ別のMVCビデオサブビットストリームを生成する。生成された2つのMVCビデオサブビットストリームは、図4の(a)および(b)のMVCビデオサブビットストリームに相当する。
上述したように、MPEG−2システムエンコーダ302は、入力されたビデオおよびオーディオのビットストリームを多重化する機能を有している。MPEG−2システムエンコーダ302で多重化方式としてトランスポートストリームが用いられる場合には、TSパケットが出力される。
ところで、上述したように、MPEG−2システムエンコーダ302は、入力された複数のサブビットストリームを必要に応じて一つにまとめ、新たなサブビットストリームを生成する。
しかしながら、MPEG−2システムエンコーダ302は、複数のdependency_idを有するサブビットストリームを生成することはできない。すなわち、MPEG−2システムエンコーダ302が生成するサブビットストリームの柔軟性は低い。
また、空間階層画像符号化とマルチビュー画像符号化とを組み合わせた符号化が行われる場合、マルチビュー画像符号化装置301からMPEG−2システムエンコーダ302に入力されるサブビットストリームは、view_id(view_order_index)とdependency_idとの両方に関連付けられている。
しかしながら、MPEG−2システムエンコーダ302は、view_id(view_order_index)とdependency_idとが混在するサブビットストリームを生成することはできない。そのため、生成されるサブビットストリームは制約を受ける。
そこで、本発明の一態様に係る画像符号化方法は、複数の画像を空間階層画像符号化に従ってレイヤ毎に符号化することで得られる複数の第1サブビットストリームから、2つ以上のレイヤに対応する2つ以上の第1サブビットストリームを含む第2サブビットストリームを生成するサブビットストリーム生成ステップと、前記2つ以上のレイヤを示す2つ以上のレイヤ識別子の最小値を示す第1フィールドと、前記2つ以上のレイヤ識別子の最大値を示す第2フィールドとを含むデスクリプタを生成するデスクリプタ生成ステップとを含む。
これにより、画像符号化方法は、複数のレイヤに対応する柔軟性の高いサブビットストリームを生成することができる。
例えば、前記サブビットストリーム生成ステップでは、前記複数の画像を前記空間階層画像符号化およびマルチビュー画像符号化に従って前記レイヤ毎およびビュー毎に符号化することで得られる前記複数の第1サブビットストリームから、前記2つ以上のレイヤおよび2つ以上のビューに対応する前記2つ以上の第1サブビットストリームを含む前記第2サブビットストリームを生成し、前記デスクリプタ生成ステップでは、前記第1フィールドと、前記第2フィールドと、前記2つ以上のビューを示す2つ以上のビュー識別子の最小値を示す第3フィールドと、前記2つ以上のビュー識別子の最大値を示す第4フィールドとを含む前記デスクリプタを生成してもよい。
これにより、画像符号化方法は、複数のレイヤおよび複数のビューに対応する柔軟性のより高いサブビットストリームを生成することができる。
また、例えば、本発明の一態様に係る画像復号方法は、複数の画像を空間階層画像符号化に従ってレイヤ毎に符号化することで得られる複数の第1サブビットストリームを含むビットストリームから、2つ以上のレイヤに対応する2つ以上の第1サブビットストリームを含む第2サブビットストリームのデスクリプタと、前記第2サブビットストリームとを取得する取得ステップと、前記2つ以上のレイヤを示す2つ以上のレイヤ識別子の最小値を示す第1フィールドと、前記2つ以上のレイヤ識別子の最大値を示す第2フィールドとを含む前記デスクリプタを解析する解析ステップと、前記第1フィールドによって示される前記最小値と、前記第2フィールドによって示される前記最大値とに基づいて、前記デスクリプタに対応する前記第2サブビットストリームの処理を決定する決定ステップとを含む画像復号方法でもよい。
これにより、画像復号方法は、複数のレイヤに対応する柔軟性の高いサブビットストリームを処理することができる。
また、例えば、前記取得ステップでは、前記複数の画像を前記空間階層画像符号化およびマルチビュー画像符号化に従って前記レイヤ毎およびビュー毎に符号化することで得られる前記複数の第1サブビットストリームを含む前記ビットストリームから、前記2つ以上のレイヤおよび2つ以上のビューに対応する前記2つ以上の第1サブビットストリームを含む前記第2サブビットストリームの前記デスクリプタと、前記第2サブビットストリームとを取得し、前記解析ステップでは、前記第1フィールドと、前記第2フィールドと、前記2つ以上のビューを示す2つ以上のビュー識別子の最小値を示す第3フィールドと、前記2つ以上のビュー識別子の最大値を示す第4フィールドとを含む前記デスクリプタを解析し、前記決定ステップでは、前記第1フィールドによって示される前記最小値と、前記第2フィールドによって示される前記最大値と、前記第3フィールドによって示される前記最小値と、前記第4フィールドによって示される前記最大値とに基づいて、前記デスクリプタに対応する前記第2サブビットストリームの処理を決定してもよい。
これにより、画像復号方法は、複数のレイヤおよび複数のビューに対応する柔軟性のより高いサブビットストリームを処理することができる。
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示す。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
図10は、本実施の形態に係る空間階層−マルチビュー動画像符号化装置の構成を示すブロック図である。図10に示された空間階層−マルチビュー動画像符号化装置400は、画像符号化装置の例である。
空間階層−マルチビュー動画像符号化装置400は、図10のように、入力画像制御部401、第1ダウンサンプリング部402、ベースビューベースレイヤ符号化部403、ベースビュー拡張レイヤ符号化部404、第1拡大伸張部405、第2ダウンサンプリング部406、拡張ビューベースレイヤ符号化部407、拡張ビュー拡張レイヤ符号化部408、および、第2拡大伸張部409を備えている。
なお、第1ダウンサンプリング部402と第2ダウンサンプリング部406とは、同一の機能を有しており、共用されるように実装されてもよい。また、第1拡大伸張部405と第2拡大伸張部409とは、同一の機能を有しており、共用されるように実装されてもよい。
また、図10に示された空間階層−マルチビュー動画像符号化装置400は、ベースビューと拡張ビューの2つのビューに対応する。しかし、複数の拡張ビュー符号化部(複数の拡張ビューベースレイヤ符号化部および複数の拡張ビュー拡張レイヤ符号化部など)が結合されることにより、複数の拡張ビューに対応するマルチビュー画像符号化が実現される。
同様に、空間階層−マルチビュー動画像符号化装置400は、ベースレイヤと拡張レイヤとの2つのレイヤに対応する。しかし、複数の拡張レイヤ符号化部(複数のベースビュー拡張レイヤ符号化部および複数の拡張ビュー拡張レイヤ符号化部など)が結合されることにより、複数の拡張レイヤに対応する空間階層画像符号化が実現される。
入力画像制御部401は、入力画像信号をビューごとに分離し、各ビューの符号化を担当する符号化部に送信する。
第1ダウンサンプリング部402(第2ダウンサンプリング部406)は、入力画像信号のダウンサンプリングを行い、より解像度の小さい入力画像を生成する。
ベースビューベースレイヤ符号化部403は、空間階層符号化を行わない通常の画像符号化装置であり、ベースビューのベースレイヤの画像符号化を行い、ベースレイヤの符号化情報を含むSVC−MVCサブビットストリームを出力する。そして、ベースビューベースレイヤ符号化部403は、ベースビューのベースレイヤの再構築画像を拡張ビューベースレイヤ符号化部407に入力する。
第1拡大伸張部405は、ベースビューのベースレイヤの画像符号化情報を拡大または伸張して拡張レイヤの画像符号化に用いる予測情報を生成し、ベースビュー拡張レイヤ符号化部404に入力する。
ベースビュー拡張レイヤ符号化部404は、予測情報を用いて入力画像制御部401から入力される入力画像信号(ベースビューの拡張レイヤ)の画像符号化を行う。そして、ベースビュー拡張レイヤ符号化部404は、ベースビューの拡張レイヤの符号化情報を含むSVC−MVCサブビットストリームを出力する。さらに、ベースビュー拡張レイヤ符号化部404は、ベースビューの拡張レイヤの再構築画像を拡張ビュー拡張レイヤ符号化部408に入力する。
拡張ビューベースレイヤ符号化部407は、ベースビューベースレイヤ符号化部403によって再構築されたベースビューのベースレイヤの再構築画像を用いて、拡張ビューのベースレイヤの画像符号化を行う。そして、拡張ビューベースレイヤ符号化部407は、拡張ビューのベースレイヤの符号化情報を含むSVC−MVCサブビットストリームを出力する。
第2拡大伸張部409は、拡張ビューのベースレイヤの画像符号化情報を拡大もしくは伸張して拡張ビューの拡張レイヤの画像符号化に用いる予測情報を生成し、拡張ビュー拡張レイヤ符号化部408に入力する。
拡張ビュー拡張レイヤ符号化部408は、送られた予測情報(ベースビューの拡張レイヤの再構築画像、または、拡張ビューのベースレイヤの画像符号化情報を拡大もしくは伸張した画像)を用いて入力画像制御部401から入力される入力画像信号(拡張ビューの拡張レイヤ)の画像符号化を行う。そして、拡張ビュー拡張レイヤ符号化部408は、拡張ビューの拡張レイヤの符号化情報を含むSVC−MVCサブビットストリームを出力する。
出力されたSVC−MVCサブビットストリームは、MPEG−2システムエンコーダに入力される。MPEG−2システムエンコーダは、ビデオおよびオーディオのビットストリームの多重化を行う機能を有している。
図11は、MPEG−2システムエンコーダに入力されるSVC−MVCサブビットストリームの例を示す。なお、図10に示された空間階層−マルチビュー動画像符号化装置400は、説明の便宜上、ベースビューと拡張ビューとの2つのビューに対応し、ベースレイヤと拡張レイヤとの2つの階層に対応している。そのため、4本のSVC−MVCサブビットストリームがMPEG−2システムエンコーダに出力される。
図11では、マルチビューについて4つのビューと、空間階層について3つの階層が想定されている。そのため、12本のSVC−MVCサブビットストリームが存在する。各SVC−MVCサブビットストリームは、view_id(view_order_index)とdependency_idとで特定される。
図11のSVC−MVCサブビットストリームには、0から3のview_idと、0から2のdependency_idとが、それぞれ割当てられている。例えば、左上のSVC−MVCサブビットストリームのview_idには0が割り当てられ、dependency_idには2が割当てられている。
なお、view_idとdependency_idの値は、例えばNALユニットヘッダに直接挿入されてもよい。また、NALユニットヘッダに挿入されたレイヤIDに基づき、シーケンスパラメータセット(SPS)などの上位レイヤの情報から、レイヤIDに対応するview_idおよびdependency_idが取得されてもよい。
図12は、MPEG−2システムエンコーダの構成を示すブロック図である。図12に示されたMPEG−2システムエンコーダ500は、画像符号化装置の例である。MPEG−2システムエンコーダ500は、サブビットストリーム生成部501、および、デスクリプタ生成部502を備えている。なお、MPEG−2システムエンコーダ500は、さらに、TSパケット生成部等を備えてもよい。
サブビットストリーム生成部501は、入力された複数のSVC−MVCサブビットストリーム(第1サブビットストリーム)を必要に応じて一つにまとめ、新たなSVC−MVCサブビットストリーム(第2サブビットストリーム)を出力する。
図13は、図11に示された12本のSVC−MVCサブビットストリームが入力された場合に、サブビットストリーム生成部501が生成するSVC−MVCサブビットストリームを示す。点線で囲まれたSVC−MVCサブビットストリームが一つにまとめられる。そして、図13の(a)から(d)の4本のSVC−MVCサブビットストリームがサブビットストリーム生成部501から出力される。
例えば、図13の(d)では、使用頻度が低いと考えられる拡張ビューにおける上位レイヤを一つのSVC−MVCサブビットストリームにまとめている。いくつかのSVC−MVCサブビットストリームをまとめることにより、システム層でのサブビットストリームの管理が容易になる。
なお、図13の(a)から(d)は、まとめ方の一例であり、まとめ方はこれに限定されるものではない。サブビットストリーム生成部501が出力するSVC−MVCサブビットストリームの本数に制限はなく、また、入力された1つのSVC−MVCサブビットストリームが、出力される複数のSVC−MVCサブビットストリームに属してもよい(すなわち、点線で囲まれたいくつかの領域が重なってもよい)。
デスクリプタ生成部502は、MPEG−2システムで用いられるデスクリプタを生成する。デスクリプタ生成部502は、空間階層画像符号化とマルチビュー画像符号化とを組み合わせた符号化に対応するデスクリプタ(以後、SVC−MVC拡張デスクリプタと呼ぶ)を生成する。
図14にSVC−MVC拡張デスクリプタの一例を示す。SVC−MVC拡張デスクリプタは、SVC−MVCサブビットストリームに関する情報であるため、dependency_idとview_id(view_order_index)とに係る情報を含む。次に、SVC−MVC拡張デスクリプタに含まれる各フィールドについて説明する。図1のSVC拡張デスクリプタ、または、図3のMVC拡張デスクリプタに含まれるフィールドと同じフィールドについては、すでに説明したとおりである。
descriptor_tagはデスクリプタを識別するための識別子であり、SVC−MVC拡張デスクリプタには特定の値(例えば、50から63のいずれか)が割当てられている。
dependency_id_startは、そのSVC−MVCサブビットストリームに含まれるNALユニットのdependency_idの最小値を示す。dependency_id_endは、そのSVC−MVCサブビットストリームに含まれるNALユニットのdependency_idの最大値を示す。
すなわち、dependency_idの値として、dependency_id_startからdependency_id_endまでの値を有するNALユニットが、そのSVC−MVCサブビットストリームに含まれる。
また、先の説明では、dependency_id、quality_id、view_idは、NALユニットヘッダ又はNALユニットヘッダの拡張部に含まれているが、これに限られない。例えば、NALユニットヘッダに挿入されたレイヤIDに基づき、SPSなどの上位レイヤの情報からレイヤIDに対応するview_id、quality_idおよびdependency_idが取得されてもよい。
次に、SVC−MVC拡張デスクリプタに含まれる一部のフィールドの値について、図13を用いて具体的に説明する。図13の(a)のSVC−MVCサブビットストリームについてのSVC−MVC拡張デスクリプタでは、dependency_id_startは0であり、dependency_id_endは0であり、view_order_index_minは0であり、view_order_index_maxは0である。
また、図13の(b)では、dependency_id_startは1であり、dependency_id_endは2であり、view_order_index_minは0であり、view_order_index_maxは0である。また、図13の(c)では、dependency_id_startは0であり、dependency_id_endは0であり、view_order_index_minは1であり、view_order_index_maxは3である。
また、図13の(d)では、dependency_id_startは1であり、dependency_id_endは2であり、view_order_index_minは1であり、view_order_index_maxは3である。
つまり、そのサブビットストリームに1種類のdependency_idしか含まれていない場合には、dependency_id_startとdependency_id_endには同じ値が設定される。同様に、そのサブビットストリームに1種類のview_order_indexしか含まれていない場合には、view_order_index_minとview_order_index_maxには同じ値が設定される。
図14のSVC−MVC拡張デスクリプタを用いることにより、デスクリプタ生成部502は、サブビットストリーム生成部501から出力されるさまざまなSVC−MVCサブビットストリームに対応するデスクリプタを柔軟に生成することができる。
以上の通り、本実施の形態では、サブビットストリーム生成部501は、複数のdependency_id(レイヤ識別子)を有するサブビットストリームを生成する。そして、デスクリプタ生成部502は、複数のdependency_idの最小値を示すフィールド(第1フィールド)と最大値を示すフィールド(第2フィールド)とを含むデスクリプタを生成する。したがって、本実施の形態に係る画像符号化装置は、柔軟にサブビットストリームを生成することができる。
また、サブビットストリーム生成部501は、複数のview_order_index(ビュー識別子)を有するサブビットストリームを生成してもよい。そして、デスクリプタ生成部502は、複数のview_order_indexの最小値を示すフィールド(第3フィールド)と最大値を示すフィールド(第4フィールド)とを含むデスクリプタを生成してもよい。これにより、画像符号化装置は、さらに柔軟にサブビットストリームを生成することができる。
例えば、空間階層画像符号化とマルチビュー画像符号化とを組み合わせた符号化が行われる場合、デスクリプタ生成部502は、これらの符号化に対応するSVC−MVC拡張デスクリプタを用いる。これにより、柔軟にサブビットストリームが生成される。
(実施の形態2)
図15は、SVC−MVCサブビットストリームをペイロードに含むTSパケットを受信するMPEG−2システムデコーダの構成を示すブロック図である。図15に示されたMPEG−2システムデコーダ600は、画像復号装置の例である。MPEG−2システムデコーダ600は、TSパケット受信部601、デスクリプタ解析部602、および、サブビットストリーム制御部603を備えている。なお、デマルチプレクシング部等の従来からあるいくつかの機能ブロックは省略している。
TSパケット受信部601は、TSパケットを受信する。そして、TSパケット受信部601は、TSパケットヘッダを解析し、ペイロードのデータを取得する。
デスクリプタ解析部602は、TSパケットのペイロードから抽出されたデスクリプタを解析する。本実施の形態に係るデスクリプタ解析部602は、図14に示されたSVC−MVC拡張デスクリプタの解析を行うことができる。
サブビットストリーム制御部603は、デスクリプタ解析部602から出力されるデスクリプタ情報に基づき、対応するサブビットストリームの制御を行う。
図16は、MPEG−2システムデコーダ600におけるSVC−MVCサブビットストリームの処理の流れを示す処理フローを示す。まず、TSパケット受信部601がSVC−MVCサブビットストリームを受信する(ステップS1)。次に、サブビットストリーム制御部603は、そのSVC−MVCサブビットストリームに対応するSVC−MVC拡張デスクリプタの情報を参照する(ステップS2)。この情報は、デスクリプタ解析部602から出力される。
サブビットストリーム制御部603は、SVC−MVC拡張デスクリプタの情報のdependency_id_startおよびdependency_id_endの値からそのSVC−MVCサブビットストリームに含まれている空間レイヤを認識する。また、サブビットストリーム制御部603は、view_order_index_minおよびview_order_index_maxの値からそのSVC−MVCサブビットストリームに含まれるビューオーダーを認識する。
そして、サブビットストリーム制御部603は、デコーダ側システムにおいて設定されている所定の基準に従い、そのSVC−MVCサブビットストリームの処理を判断(決定)する(ステップS3)。例えば、拡張レイヤを復号および表示しないという基準が設定されている場合、サブビットストリーム制御部603は、dependency_id_startが1以上のSVC−MVCサブビットストリームをビデオデコーダに入力せずに廃棄する。
以上のように、本実施の形態では、複数のdependency_idの最小値を示すフィールドと最大値を示すフィールドとを含むデスクリプタが用いられる。したがって、効率的な処理が可能である。さらに、デスクリプタは、複数のview_order_indexの最小値を示すフィールドと最大値を示すフィールドとを含んでもよい。これにより、さらに効率的な処理が可能である。
また、空間階層画像符号化とマルチビュー画像符号化とに対応するSVC−MVC拡張デスクリプタが用いられることにより、システム層でのサブビットストリームの管理が容易になる。例えば、MPEG−2システムデコーダ600が、SVC−MVC拡張デスクリプタを参照し、SVC−MVCサブビットストリームの廃棄を行うことにより、ビデオデコーダの負荷を軽減することができる。
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
言い換えると、画像符号化装置および画像復号装置は、制御回路(control circuitry)と、当該制御回路に電気的に接続された(当該制御回路からアクセス可能な)記憶装置(storage)とを備える。制御回路は、専用のハードウェアおよびプログラム実行部の少なくとも一方を含む。また、記憶装置は、制御回路がプログラム実行部を含む場合には、当該プログラム実行部により実行されるソフトウェアプログラムを記憶する。
ここで、上記各実施の形態の画像符号化装置または画像復号装置などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、複数の画像を空間階層画像符号化に従ってレイヤ毎に符号化することで得られる複数の第1サブビットストリームから、2つ以上のレイヤに対応する2つ以上の第1サブビットストリームを含む第2サブビットストリームを生成するサブビットストリーム生成ステップと、前記2つ以上のレイヤを示す2つ以上のレイヤ識別子の最小値を示す第1フィールドと、前記2つ以上のレイヤ識別子の最大値を示す第2フィールドとを含むデスクリプタを生成するデスクリプタ生成ステップとを含む画像符号化方法を実行させる。
また、このプログラムは、コンピュータに、複数の画像を空間階層画像符号化に従ってレイヤ毎に符号化することで得られる複数の第1サブビットストリームを含むビットストリームから、2つ以上のレイヤに対応する2つ以上の第1サブビットストリームを含む第2サブビットストリームのデスクリプタと、前記第2サブビットストリームとを取得する取得ステップと、前記2つ以上のレイヤを示す2つ以上のレイヤ識別子の最小値を示す第1フィールドと、前記2つ以上のレイヤ識別子の最大値を示す第2フィールドとを含む前記デスクリプタを解析する解析ステップと、前記第1フィールドによって示される前記最小値と、前記第2フィールドによって示される前記最大値とに基づいて、前記デスクリプタに対応する前記第2サブビットストリームの処理を決定する決定ステップとを含む画像復号方法を実行させてもよい。
以上、一つまたは複数の態様に係る画像符号化装置および画像復号装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
(実施の形態3)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)または動画像復号化方法(画像復号方法)の構成を実現するためのプログラムを記憶メディアに記録することにより、上記各実施の形態で示した処理を独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。記憶メディアは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ICカード、半導体メモリ等、プログラムを記録できるものであればよい。
さらにここで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)や動画像復号化方法(画像復号方法)の応用例とそれを用いたシステムを説明する。当該システムは、画像符号化方法を用いた画像符号化装置、及び画像復号方法を用いた画像復号装置からなる画像符号化復号装置を有することを特徴とする。システムにおける他の構成について、場合に応じて適切に変更することができる。
図17は、コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムex100の全体構成を示す図である。通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割し、各セル内にそれぞれ固定無線局である基地局ex106、ex107、ex108、ex109、ex110が設置されている。
このコンテンツ供給システムex100は、インターネットex101にインターネットサービスプロバイダex102および電話網ex104、および基地局ex106からex110を介して、コンピュータex111、PDA(Personal Digital Assistant)ex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115などの各機器が接続される。
しかし、コンテンツ供給システムex100は図17のような構成に限定されず、いずれかの要素を組合せて接続するようにしてもよい。また、固定無線局である基地局ex106からex110を介さずに、各機器が電話網ex104に直接接続されてもよい。また、各機器が近距離無線等を介して直接相互に接続されていてもよい。
カメラex113はデジタルビデオカメラ等の動画撮影が可能な機器であり、カメラex116はデジタルカメラ等の静止画撮影、動画撮影が可能な機器である。また、携帯電話ex114は、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式、若しくはLTE(Long Term Evolution)方式、HSPA(High Speed Packet Access)の携帯電話機、またはPHS(Personal Handyphone System)等であり、いずれでも構わない。
コンテンツ供給システムex100では、カメラex113等が基地局ex109、電話網ex104を通じてストリーミングサーバex103に接続されることで、ライブ配信等が可能になる。ライブ配信では、ユーザがカメラex113を用いて撮影するコンテンツ(例えば、音楽ライブの映像等)に対して上記各実施の形態で説明したように符号化処理を行い(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、ストリーミングサーバex103に送信する。一方、ストリーミングサーバex103は要求のあったクライアントに対して送信されたコンテンツデータをストリーム配信する。クライアントとしては、上記符号化処理されたデータを復号化することが可能な、コンピュータex111、PDAex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115等がある。配信されたデータを受信した各機器では、受信したデータを復号化処理して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
なお、撮影したデータの符号化処理はカメラex113で行っても、データの送信処理をするストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。同様に配信されたデータの復号化処理はクライアントで行っても、ストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。また、カメラex113に限らず、カメラex116で撮影した静止画像および/または動画像データを、コンピュータex111を介してストリーミングサーバex103に送信してもよい。この場合の符号化処理はカメラex116、コンピュータex111、ストリーミングサーバex103のいずれで行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。
また、これら符号化・復号化処理は、一般的にコンピュータex111や各機器が有するLSIex500において処理する。LSIex500は、ワンチップであっても複数チップからなる構成であってもよい。なお、動画像符号化・復号化用のソフトウェアをコンピュータex111等で読み取り可能な何らかの記録メディア(CD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスクなど)に組み込み、そのソフトウェアを用いて符号化・復号化処理を行ってもよい。さらに、携帯電話ex114がカメラ付きである場合には、そのカメラで取得した動画データを送信してもよい。このときの動画データは携帯電話ex114が有するLSIex500で符号化処理されたデータである。
また、ストリーミングサーバex103は複数のサーバや複数のコンピュータであって、データを分散して処理したり記録したり配信するものであってもよい。
以上のようにして、コンテンツ供給システムex100では、符号化されたデータをクライアントが受信して再生することができる。このようにコンテンツ供給システムex100では、ユーザが送信した情報をリアルタイムでクライアントが受信して復号化し、再生することができ、特別な権利や設備を有さないユーザでも個人放送を実現できる。
なお、コンテンツ供給システムex100の例に限らず、図18に示すように、デジタル放送用システムex200にも、上記各実施の形態の少なくとも動画像符号化装置(画像符号化装置)または動画像復号化装置(画像復号装置)のいずれかを組み込むことができる。具体的には、放送局ex201では映像データに音楽データなどが多重化された多重化データが電波を介して通信または衛星ex202に伝送される。この映像データは上記各実施の形態で説明した動画像符号化方法により符号化されたデータである(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置によって符号化されたデータである)。これを受けた放送衛星ex202は、放送用の電波を発信し、この電波を衛星放送の受信が可能な家庭のアンテナex204が受信する。受信した多重化データを、テレビ(受信機)ex300またはセットトップボックス(STB)ex217等の装置が復号化して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
また、DVD、BD等の記録メディアex215に記録した多重化データを読み取り復号化する、または記録メディアex215に映像信号を符号化し、さらに場合によっては音楽信号と多重化して書き込むリーダ/レコーダex218にも上記各実施の形態で示した動画像復号化装置または動画像符号化装置を実装することが可能である。この場合、再生された映像信号はモニタex219に表示され、多重化データが記録された記録メディアex215により他の装置やシステムにおいて映像信号を再生することができる。また、ケーブルテレビ用のケーブルex203または衛星/地上波放送のアンテナex204に接続されたセットトップボックスex217内に動画像復号化装置を実装し、これをテレビのモニタex219で表示してもよい。このときセットトップボックスではなく、テレビ内に動画像復号化装置を組み込んでもよい。
図19は、上記各実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いたテレビ(受信機)ex300を示す図である。テレビex300は、上記放送を受信するアンテナex204またはケーブルex203等を介して映像データに音声データが多重化された多重化データを取得、または出力するチューナex301と、受信した多重化データを復調する、または外部に送信する多重化データに変調する変調/復調部ex302と、復調した多重化データを映像データと、音声データとに分離する、または信号処理部ex306で符号化された映像データ、音声データを多重化する多重/分離部ex303を備える。
また、テレビex300は、音声データ、映像データそれぞれを復号化する、またはそれぞれの情報を符号化する音声信号処理部ex304、映像信号処理部ex305(本発明の一態様に係る画像符号化装置または画像復号装置として機能する)を有する信号処理部ex306と、復号化した音声信号を出力するスピーカex307、復号化した映像信号を表示するディスプレイ等の表示部ex308を有する出力部ex309とを有する。さらに、テレビex300は、ユーザ操作の入力を受け付ける操作入力部ex312等を有するインタフェース部ex317を有する。さらに、テレビex300は、各部を統括的に制御する制御部ex310、各部に電力を供給する電源回路部ex311を有する。インタフェース部ex317は、操作入力部ex312以外に、リーダ/レコーダex218等の外部機器と接続されるブリッジex313、SDカード等の記録メディアex216を装着可能とするためのスロット部ex314、ハードディスク等の外部記録メディアと接続するためのドライバex315、電話網と接続するモデムex316等を有していてもよい。なお記録メディアex216は、格納する不揮発性/揮発性の半導体メモリ素子により電気的に情報の記録を可能としたものである。テレビex300の各部は同期バスを介して互いに接続されている。
まず、テレビex300がアンテナex204等により外部から取得した多重化データを復号化し、再生する構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、CPU等を有する制御部ex310の制御に基づいて、変調/復調部ex302で復調した多重化データを多重/分離部ex303で分離する。さらにテレビex300は、分離した音声データを音声信号処理部ex304で復号化し、分離した映像データを映像信号処理部ex305で上記各実施の形態で説明した復号化方法を用いて復号化する。復号化した音声信号、映像信号は、それぞれ出力部ex309から外部に向けて出力される。出力する際には、音声信号と映像信号が同期して再生するよう、バッファex318、ex319等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。また、テレビex300は、放送等からではなく、磁気/光ディスク、SDカード等の記録メディアex215、ex216から多重化データを読み出してもよい。次に、テレビex300が音声信号や映像信号を符号化し、外部に送信または記録メディア等に書き込む構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、制御部ex310の制御に基づいて、音声信号処理部ex304で音声信号を符号化し、映像信号処理部ex305で映像信号を上記各実施の形態で説明した符号化方法を用いて符号化する。符号化した音声信号、映像信号は多重/分離部ex303で多重化され外部に出力される。多重化する際には、音声信号と映像信号が同期するように、バッファex320、ex321等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。なお、バッファex318、ex319、ex320、ex321は図示しているように複数備えていてもよいし、1つ以上のバッファを共有する構成であってもよい。さらに、図示している以外に、例えば変調/復調部ex302や多重/分離部ex303の間等でもシステムのオーバフロー、アンダーフローを避ける緩衝材としてバッファにデータを蓄積することとしてもよい。
また、テレビex300は、放送等や記録メディア等から音声データ、映像データを取得する以外に、マイクやカメラのAV入力を受け付ける構成を備え、それらから取得したデータに対して符号化処理を行ってもよい。なお、ここではテレビex300は上記の符号化処理、多重化、および外部出力ができる構成として説明したが、これらの処理を行うことはできず、上記受信、復号化処理、外部出力のみが可能な構成であってもよい。
また、リーダ/レコーダex218で記録メディアから多重化データを読み出す、または書き込む場合には、上記復号化処理または符号化処理はテレビex300、リーダ/レコーダex218のいずれで行ってもよいし、テレビex300とリーダ/レコーダex218が互いに分担して行ってもよい。
一例として、光ディスクからデータの読み込みまたは書き込みをする場合の情報再生/記録部ex400の構成を図20に示す。情報再生/記録部ex400は、以下に説明する要素ex401、ex402、ex403、ex404、ex405、ex406、ex407を備える。光ヘッドex401は、光ディスクである記録メディアex215の記録面にレーザスポットを照射して情報を書き込み、記録メディアex215の記録面からの反射光を検出して情報を読み込む。変調記録部ex402は、光ヘッドex401に内蔵された半導体レーザを電気的に駆動し記録データに応じてレーザ光の変調を行う。再生復調部ex403は、光ヘッドex401に内蔵されたフォトディテクタにより記録面からの反射光を電気的に検出した再生信号を増幅し、記録メディアex215に記録された信号成分を分離して復調し、必要な情報を再生する。バッファex404は、記録メディアex215に記録するための情報および記録メディアex215から再生した情報を一時的に保持する。ディスクモータex405は記録メディアex215を回転させる。サーボ制御部ex406は、ディスクモータex405の回転駆動を制御しながら光ヘッドex401を所定の情報トラックに移動させ、レーザスポットの追従処理を行う。システム制御部ex407は、情報再生/記録部ex400全体の制御を行う。上記の読み出しや書き込みの処理はシステム制御部ex407が、バッファex404に保持された各種情報を利用し、また必要に応じて新たな情報の生成・追加を行うと共に、変調記録部ex402、再生復調部ex403、サーボ制御部ex406を協調動作させながら、光ヘッドex401を通して、情報の記録再生を行うことにより実現される。システム制御部ex407は例えばマイクロプロセッサで構成され、読み出し書き込みのプログラムを実行することでそれらの処理を実行する。
以上では、光ヘッドex401はレーザスポットを照射するとして説明したが、近接場光を用いてより高密度な記録を行う構成であってもよい。
図21に光ディスクである記録メディアex215の模式図を示す。記録メディアex215の記録面には案内溝(グルーブ)がスパイラル状に形成され、情報トラックex230には、予めグルーブの形状の変化によってディスク上の絶対位置を示す番地情報が記録されている。この番地情報はデータを記録する単位である記録ブロックex231の位置を特定するための情報を含み、記録や再生を行う装置において情報トラックex230を再生し番地情報を読み取ることで記録ブロックを特定することができる。また、記録メディアex215は、データ記録領域ex233、内周領域ex232、外周領域ex234を含んでいる。ユーザデータを記録するために用いる領域がデータ記録領域ex233であり、データ記録領域ex233より内周または外周に配置されている内周領域ex232と外周領域ex234は、ユーザデータの記録以外の特定用途に用いられる。情報再生/記録部ex400は、このような記録メディアex215のデータ記録領域ex233に対して、符号化された音声データ、映像データまたはそれらのデータを多重化した多重化データの読み書きを行う。
以上では、1層のDVD、BD等の光ディスクを例に挙げ説明したが、これらに限ったものではなく、多層構造であって表面以外にも記録可能な光ディスクであってもよい。また、ディスクの同じ場所にさまざまな異なる波長の色の光を用いて情報を記録したり、さまざまな角度から異なる情報の層を記録したりなど、多次元的な記録/再生を行う構造の光ディスクであってもよい。
また、デジタル放送用システムex200において、アンテナex205を有する車ex210で衛星ex202等からデータを受信し、車ex210が有するカーナビゲーションex211等の表示装置に動画を再生することも可能である。なお、カーナビゲーションex211の構成は例えば図19に示す構成のうち、GPS受信部を加えた構成が考えられ、同様なことがコンピュータex111や携帯電話ex114等でも考えられる。
図22Aは、上記実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いた携帯電話ex114を示す図である。携帯電話ex114は、基地局ex110との間で電波を送受信するためのアンテナex350、映像、静止画を撮ることが可能なカメラ部ex365、カメラ部ex365で撮像した映像、アンテナex350で受信した映像等が復号化されたデータを表示する液晶ディスプレイ等の表示部ex358を備える。携帯電話ex114は、さらに、操作キー部ex366を有する本体部、音声を出力するためのスピーカ等である音声出力部ex357、音声を入力するためのマイク等である音声入力部ex356、撮影した映像、静止画、録音した音声、または受信した映像、静止画、メール等の符号化されたデータもしくは復号化されたデータを保存するメモリ部ex367、又は同様にデータを保存する記録メディアとのインタフェース部であるスロット部ex364を備える。
さらに、携帯電話ex114の構成例について、図22Bを用いて説明する。携帯電話ex114は、表示部ex358及び操作キー部ex366を備えた本体部の各部を統括的に制御する主制御部ex360に対して、電源回路部ex361、操作入力制御部ex362、映像信号処理部ex355、カメラインタフェース部ex363、LCD(Liquid Crystal Display)制御部ex359、変調/復調部ex352、多重/分離部ex353、音声信号処理部ex354、スロット部ex364、メモリ部ex367がバスex370を介して互いに接続されている。
電源回路部ex361は、ユーザの操作により終話及び電源キーがオン状態にされると、バッテリパックから各部に対して電力を供給することにより携帯電話ex114を動作可能な状態に起動する。
携帯電話ex114は、CPU、ROM、RAM等を有する主制御部ex360の制御に基づいて、音声通話モード時に音声入力部ex356で収音した音声信号を音声信号処理部ex354でデジタル音声信号に変換し、これを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理し、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。また携帯電話ex114は、音声通話モード時にアンテナex350を介して受信した受信データを増幅して周波数変換処理およびアナログデジタル変換処理を施し、変調/復調部ex352でスペクトラム逆拡散処理し、音声信号処理部ex354でアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex357から出力する。
さらにデータ通信モード時に電子メールを送信する場合、本体部の操作キー部ex366等の操作によって入力された電子メールのテキストデータは操作入力制御部ex362を介して主制御部ex360に送出される。主制御部ex360は、テキストデータを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して基地局ex110へ送信する。電子メールを受信する場合は、受信したデータに対してこのほぼ逆の処理が行われ、表示部ex358に出力される。
データ通信モード時に映像、静止画、または映像と音声を送信する場合、映像信号処理部ex355は、カメラ部ex365から供給された映像信号を上記各実施の形態で示した動画像符号化方法によって圧縮符号化し(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、符号化された映像データを多重/分離部ex353に送出する。また、音声信号処理部ex354は、映像、静止画等をカメラ部ex365で撮像中に音声入力部ex356で収音した音声信号を符号化し、符号化された音声データを多重/分離部ex353に送出する。
多重/分離部ex353は、映像信号処理部ex355から供給された符号化された映像データと音声信号処理部ex354から供給された符号化された音声データを所定の方式で多重化し、その結果得られる多重化データを変調/復調部(変調/復調回路部)ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。
データ通信モード時にホームページ等にリンクされた動画像ファイルのデータを受信する場合、または映像およびもしくは音声が添付された電子メールを受信する場合、アンテナex350を介して受信された多重化データを復号化するために、多重/分離部ex353は、多重化データを分離することにより映像データのビットストリームと音声データのビットストリームとに分け、同期バスex370を介して符号化された映像データを映像信号処理部ex355に供給するとともに、符号化された音声データを音声信号処理部ex354に供給する。映像信号処理部ex355は、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法に対応した動画像復号化方法によって復号化することにより映像信号を復号し(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)、LCD制御部ex359を介して表示部ex358から、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まれる映像、静止画が表示される。また音声信号処理部ex354は、音声信号を復号し、音声出力部ex357から音声が出力される。
また、上記携帯電話ex114等の端末は、テレビex300と同様に、符号化器・復号化器を両方持つ送受信型端末の他に、符号化器のみの送信端末、復号化器のみの受信端末という3通りの実装形式が考えられる。さらに、デジタル放送用システムex200において、映像データに音楽データなどが多重化された多重化データを受信、送信するとして説明したが、音声データ以外に映像に関連する文字データなどが多重化されたデータであってもよいし、多重化データではなく映像データ自体であってもよい。
このように、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法あるいは動画像復号化方法を上述したいずれの機器・システムに用いることは可能であり、そうすることで、上記各実施の形態で説明した効果を得ることができる。
また、本発明はかかる上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形または修正が可能である。
(実施の形態4)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置と、MPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1など異なる規格に準拠した動画像符号化方法または装置とを、必要に応じて適宜切替えることにより、映像データを生成することも可能である。
ここで、それぞれ異なる規格に準拠する複数の映像データを生成した場合、復号する際に、それぞれの規格に対応した復号方法を選択する必要がある。しかしながら、復号する映像データが、どの規格に準拠するものであるか識別できないため、適切な復号方法を選択することができないという課題を生じる。
この課題を解決するために、映像データに音声データなどを多重化した多重化データは、映像データがどの規格に準拠するものであるかを示す識別情報を含む構成とする。上記各実施の形態で示す動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを含む多重化データの具体的な構成を以下説明する。多重化データは、MPEG−2トランスポートストリーム形式のデジタルストリームである。
図23は、多重化データの構成を示す図である。図23に示すように多重化データは、ビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム(PG)、インタラクティブグラフィックスストリームのうち、1つ以上を多重化することで得られる。ビデオストリームは映画の主映像および副映像を、オーディオストリーム(IG)は映画の主音声部分とその主音声とミキシングする副音声を、プレゼンテーショングラフィックスストリームは、映画の字幕をそれぞれ示している。ここで主映像とは画面に表示される通常の映像を示し、副映像とは主映像の中に小さな画面で表示する映像のことである。また、インタラクティブグラフィックスストリームは、画面上にGUI部品を配置することにより作成される対話画面を示している。ビデオストリームは、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠した動画像符号化方法または装置によって符号化されている。オーディオストリームは、ドルビーAC−3、Dolby Digital Plus、MLP、DTS、DTS−HD、または、リニアPCMのなどの方式で符号化されている。
多重化データに含まれる各ストリームはPIDによって識別される。例えば、映画の映像に利用するビデオストリームには0x1011が、オーディオストリームには0x1100から0x111Fまでが、プレゼンテーショングラフィックスには0x1200から0x121Fまでが、インタラクティブグラフィックスストリームには0x1400から0x141Fまでが、映画の副映像に利用するビデオストリームには0x1B00から0x1B1Fまで、主音声とミキシングする副音声に利用するオーディオストリームには0x1A00から0x1A1Fが、それぞれ割り当てられている。
図24は、多重化データがどのように多重化されるかを模式的に示す図である。まず、複数のビデオフレームからなるビデオストリームex235、複数のオーディオフレームからなるオーディオストリームex238を、それぞれPESパケット列ex236およびex239に変換し、TSパケットex237およびex240に変換する。同じくプレゼンテーショングラフィックスストリームex241およびインタラクティブグラフィックスex244のデータをそれぞれPESパケット列ex242およびex245に変換し、さらにTSパケットex243およびex246に変換する。多重化データex247はこれらのTSパケットを1本のストリームに多重化することで構成される。
図25は、PESパケット列に、ビデオストリームがどのように格納されるかをさらに詳しく示している。図25における第1段目はビデオストリームのビデオフレーム列を示す。第2段目は、PESパケット列を示す。図25の矢印yy1,yy2,yy3,yy4に示すように、ビデオストリームにおける複数のVideo Presentation UnitであるIピクチャ、Bピクチャ、Pピクチャは、ピクチャ毎に分割され、PESパケットのペイロードに格納される。各PESパケットはPESヘッダを持ち、PESヘッダには、ピクチャの表示時刻であるPTS(Presentation Time−Stamp)やピクチャの復号時刻であるDTS(Decoding Time−Stamp)が格納される。
図26は、多重化データに最終的に書き込まれるTSパケットの形式を示している。TSパケットは、ストリームを識別するPIDなどの情報を持つ4ByteのTSヘッダとデータを格納する184ByteのTSペイロードから構成される188Byte固定長のパケットであり、上記PESパケットは分割されTSペイロードに格納される。BD−ROMの場合、TSパケットには、4ByteのTP_Extra_Headerが付与され、192Byteのソースパケットを構成し、多重化データに書き込まれる。TP_Extra_HeaderにはATS(Arrival_Time_Stamp)などの情報が記載される。ATSは当該TSパケットのデコーダのPIDフィルタへの転送開始時刻を示す。多重化データには図26下段に示すようにソースパケットが並ぶこととなり、多重化データの先頭からインクリメントする番号はSPN(ソースパケットナンバー)と呼ばれる。
また、多重化データに含まれるTSパケットには、映像・音声・字幕などの各ストリーム以外にもPAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、PCR(Program Clock Reference)などがある。PATは多重化データ中に利用されるPMTのPIDが何であるかを示し、PAT自身のPIDは0で登録される。PMTは、多重化データ中に含まれる映像・音声・字幕などの各ストリームのPIDと各PIDに対応するストリームの属性情報を持ち、また多重化データに関する各種ディスクリプタを持つ。ディスクリプタには多重化データのコピーを許可・不許可を指示するコピーコントロール情報などがある。PCRは、ATSの時間軸であるATC(Arrival Time Clock)とPTS・DTSの時間軸であるSTC(System Time Clock)の同期を取るために、そのPCRパケットがデコーダに転送されるATSに対応するSTC時間の情報を持つ。
図27はPMTのデータ構造を詳しく説明する図である。PMTの先頭には、そのPMTに含まれるデータの長さなどを記したPMTヘッダが配置される。その後ろには、多重化データに関するディスクリプタが複数配置される。上記コピーコントロール情報などが、ディスクリプタとして記載される。ディスクリプタの後には、多重化データに含まれる各ストリームに関するストリーム情報が複数配置される。ストリーム情報は、ストリームの圧縮コーデックなどを識別するためストリームタイプ、ストリームのPID、ストリームの属性情報(フレームレート、アスペクト比など)が記載されたストリームディスクリプタから構成される。ストリームディスクリプタは多重化データに存在するストリームの数だけ存在する。
記録媒体などに記録する場合には、上記多重化データは、多重化データ情報ファイルと共に記録される。
多重化データ情報ファイルは、図28に示すように多重化データの管理情報であり、多重化データと1対1に対応し、多重化データ情報、ストリーム属性情報とエントリマップから構成される。
多重化データ情報は図28に示すようにシステムレート、再生開始時刻、再生終了時刻から構成されている。システムレートは多重化データの、後述するシステムターゲットデコーダのPIDフィルタへの最大転送レートを示す。多重化データ中に含まれるATSの間隔はシステムレート以下になるように設定されている。再生開始時刻は多重化データの先頭のビデオフレームのPTSであり、再生終了時刻は多重化データの終端のビデオフレームのPTSに1フレーム分の再生間隔を足したものが設定される。
ストリーム属性情報は図29に示すように、多重化データに含まれる各ストリームについての属性情報が、PID毎に登録される。属性情報はビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム、インタラクティブグラフィックスストリーム毎に異なる情報を持つ。ビデオストリーム属性情報は、そのビデオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、ビデオストリームを構成する個々のピクチャデータの解像度がどれだけであるか、アスペクト比はどれだけであるか、フレームレートはどれだけであるかなどの情報を持つ。オーディオストリーム属性情報は、そのオーディオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、そのオーディオストリームに含まれるチャンネル数は何であるか、何の言語に対応するか、サンプリング周波数がどれだけであるかなどの情報を持つ。これらの情報は、プレーヤが再生する前のデコーダの初期化などに利用される。
本実施の形態においては、上記多重化データのうち、PMTに含まれるストリームタイプを利用する。また、記録媒体に多重化データが記録されている場合には、多重化データ情報に含まれる、ビデオストリーム属性情報を利用する。具体的には、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置において、PMTに含まれるストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に対し、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示す固有の情報を設定するステップまたは手段を設ける。この構成により、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成した映像データと、他の規格に準拠する映像データとを識別することが可能になる。
また、本実施の形態における動画像復号化方法のステップを図30に示す。ステップexS100において、多重化データからPMTに含まれるストリームタイプ、または、多重化データ情報に含まれるビデオストリーム属性情報を取得する。次に、ステップexS101において、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された多重化データであることを示しているか否かを判断する。そして、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものであると判断された場合には、ステップexS102において、上記各実施の形態で示した動画像復号方法により復号を行う。また、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠するものであることを示している場合には、ステップexS103において、従来の規格に準拠した動画像復号方法により復号を行う。
このように、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に新たな固有値を設定することにより、復号する際に、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法または装置で復号可能であるかを判断することができる。従って、異なる規格に準拠する多重化データが入力された場合であっても、適切な復号化方法または装置を選択することができるため、エラーを生じることなく復号することが可能となる。また、本実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、または、動画像復号方法または装置を、上述したいずれの機器・システムに用いることも可能である。
(実施の形態5)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法および装置、動画像復号化方法および装置は、典型的には集積回路であるLSIで実現される。一例として、図31に1チップ化されたLSIex500の構成を示す。LSIex500は、以下に説明する要素ex501、ex502、ex503、ex504、ex505、ex506、ex507、ex508、ex509を備え、各要素はバスex510を介して接続している。電源回路部ex505は電源がオン状態の場合に各部に対して電力を供給することで動作可能な状態に起動する。
例えば符号化処理を行う場合には、LSIex500は、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有する制御部ex501の制御に基づいて、AV I/Oex509によりマイクex117やカメラex113等からAV信号を入力する。入力されたAV信号は、一旦SDRAM等の外部のメモリex511に蓄積される。制御部ex501の制御に基づいて、蓄積したデータは処理量や処理速度に応じて適宜複数回に分けるなどされ信号処理部ex507に送られ、信号処理部ex507において音声信号の符号化および/または映像信号の符号化が行われる。ここで映像信号の符号化処理は上記各実施の形態で説明した符号化処理である。信号処理部ex507ではさらに、場合により符号化された音声データと符号化された映像データを多重化するなどの処理を行い、ストリームI/Oex506から外部に出力する。この出力された多重化データは、基地局ex107に向けて送信されたり、または記録メディアex215に書き込まれたりする。なお、多重化する際には同期するよう、一旦バッファex508にデータを蓄積するとよい。
なお、上記では、メモリex511がLSIex500の外部の構成として説明したが、LSIex500の内部に含まれる構成であってもよい。バッファex508も1つに限ったものではなく、複数のバッファを備えていてもよい。また、LSIex500は1チップ化されてもよいし、複数チップ化されてもよい。
また、上記では、制御部ex501が、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有するとしているが、制御部ex501の構成は、この構成に限らない。例えば、信号処理部ex507がさらにCPUを備える構成であってもよい。信号処理部ex507の内部にもCPUを設けることにより、処理速度をより向上させることが可能になる。また、他の例として、CPUex502が信号処理部ex507、または信号処理部ex507の一部である例えば音声信号処理部を備える構成であってもよい。このような場合には、制御部ex501は、信号処理部ex507、またはその一部を有するCPUex502を備える構成となる。
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。このようなプログラマブル・ロジック・デバイスは、典型的には、ソフトウェア又はファームウェアを構成するプログラムを、ロードする又はメモリ等から読み込むことで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法、又は動画像復号化方法を実行することができる。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
(実施の形態6)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを復号する場合、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データを復号する場合に比べ、処理量が増加することが考えられる。そのため、LSIex500において、従来の規格に準拠する映像データを復号する際のCPUex502の駆動周波数よりも高い駆動周波数に設定する必要がある。しかし、駆動周波数を高くすると、消費電力が高くなるという課題が生じる。
この課題を解決するために、テレビex300、LSIex500などの動画像復号化装置は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別し、規格に応じて駆動周波数を切替える構成とする。図32は、本実施の形態における構成ex800を示している。駆動周波数切替え部ex803は、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、駆動周波数を高く設定する。そして、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801に対し、映像データを復号するよう指示する。一方、映像データが、従来の規格に準拠する映像データである場合には、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、駆動周波数を低く設定する。そして、従来の規格に準拠する復号処理部ex802に対し、映像データを復号するよう指示する。
より具体的には、駆動周波数切替え部ex803は、図31のCPUex502と駆動周波数制御部ex512から構成される。また、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801、および、従来の規格に準拠する復号処理部ex802は、図31の信号処理部ex507に該当する。CPUex502は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別する。そして、CPUex502からの信号に基づいて、駆動周波数制御部ex512は、駆動周波数を設定する。また、CPUex502からの信号に基づいて、信号処理部ex507は、映像データの復号を行う。ここで、映像データの識別には、例えば、実施の形態4で記載した識別情報を利用することが考えられる。識別情報に関しては、実施の形態4で記載したものに限られず、映像データがどの規格に準拠するか識別できる情報であればよい。例えば、映像データがテレビに利用されるものであるか、ディスクに利用されるものであるかなどを識別する外部信号に基づいて、映像データがどの規格に準拠するものであるか識別可能である場合には、このような外部信号に基づいて識別してもよい。また、CPUex502における駆動周波数の選択は、例えば、図34のような映像データの規格と、駆動周波数とを対応付けたルックアップテーブルに基づいて行うことが考えられる。ルックアップテーブルを、バッファex508や、LSIの内部メモリに格納しておき、CPUex502がこのルックアップテーブルを参照することにより、駆動周波数を選択することが可能である。
図33は、本実施の形態の方法を実施するステップを示している。まず、ステップexS200では、信号処理部ex507において、多重化データから識別情報を取得する。次に、ステップexS201では、CPUex502において、識別情報に基づいて映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものであるか否かを識別する。映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、ステップexS202において、駆動周波数を高く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、高い駆動周波数に設定される。一方、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、ステップexS203において、駆動周波数を低く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、低い駆動周波数に設定される。
さらに、駆動周波数の切替えに連動して、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を変更することにより、省電力効果をより高めることが可能である。例えば、駆動周波数を低く設定する場合には、これに伴い、駆動周波数を高く設定している場合に比べ、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することが考えられる。
また、駆動周波数の設定方法は、復号する際の処理量が大きい場合に、駆動周波数を高く設定し、復号する際の処理量が小さい場合に、駆動周波数を低く設定すればよく、上述した設定方法に限らない。例えば、MPEG4−AVC規格に準拠する映像データを復号する処理量の方が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置により生成された映像データを復号する処理量よりも大きい場合には、駆動周波数の設定を上述した場合の逆にすることが考えられる。
さらに、駆動周波数の設定方法は、駆動周波数を低くする構成に限らない。例えば、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を高く設定し、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することも考えられる。また、他の例としては、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、CPUex502の駆動を停止させることなく、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、処理に余裕があるため、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合であっても、処理に余裕があれば、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。この場合は、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合に比べて、停止時間を短く設定することが考えられる。
このように、映像データが準拠する規格に応じて、駆動周波数を切替えることにより、省電力化を図ることが可能になる。また、電池を用いてLSIex500またはLSIex500を含む装置を駆動している場合には、省電力化に伴い、電池の寿命を長くすることが可能である。
(実施の形態7)
テレビや、携帯電話など、上述した機器・システムには、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力される場合がある。このように、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力された場合にも復号できるようにするために、LSIex500の信号処理部ex507が複数の規格に対応している必要がある。しかし、それぞれの規格に対応する信号処理部ex507を個別に用いると、LSIex500の回路規模が大きくなり、また、コストが増加するという課題が生じる。
この課題を解決するために、上記各実施の形態で示した動画像復号方法を実行するための復号処理部と、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する復号処理部とを一部共有化する構成とする。この構成例を図35Aのex900に示す。例えば、上記各実施の形態で示した動画像復号方法と、MPEG4−AVC規格に準拠する動画像復号方法とは、エントロピー符号化、逆量子化、デブロッキング・フィルタ、動き補償などの処理において処理内容が一部共通する。共通する処理内容については、MPEG4−AVC規格に対応する復号処理部ex902を共有し、MPEG4−AVC規格に対応しない、本発明の一態様に特有の他の処理内容については、専用の復号処理部ex901を用いるという構成が考えられる。特に、本発明の一態様は、システムデコーダ処理に特徴を有していることから、例えば、システムデコーダ処理については専用の復号処理部ex901を用い、それ以外のエントロピー復号、デブロッキング・フィルタ、動き補償、逆量子化のいずれか、または、全ての処理については、復号処理部を共有することが考えられる。復号処理部の共有化に関しては、共通する処理内容については、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行するための復号処理部を共有し、MPEG4−AVC規格に特有の処理内容については、専用の復号処理部を用いる構成であってもよい。
また、処理を一部共有化する他の例を図35Bのex1000に示す。この例では、本発明の一態様に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1001と、他の従来規格に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1002と、本発明の一態様に係る動画像復号方法と他の従来規格の動画像復号方法とに共通する処理内容に対応した共用の復号処理部ex1003とを用いる構成としている。ここで、専用の復号処理部ex1001、ex1002は、必ずしも本発明の一態様、または、他の従来規格に特有の処理内容に特化したものではなく、他の汎用処理を実行できるものであってもよい。また、本実施の形態の構成を、LSIex500で実装することも可能である。
このように、本発明の一態様に係る動画像復号方法と、従来の規格の動画像復号方法とで共通する処理内容について、復号処理部を共有することにより、LSIの回路規模を小さくし、かつ、コストを低減することが可能である。