(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、画像符号化方法及画像復号方法に関し、以下の問題が生じることを見出した。
非特許文献1で説明されるように、カメラ間の距離が一定の場合、視聴者が感じる奥行き感は、ディスプレイの画面サイズに依存する。
これに対して、非特許文献1では、画像復号装置(表示装置)が奥行き感を調節できるように、撮影時のカメラ間の実際の距離に関するSEI(Supplemental enhancement information)「depth_acquisition_info」が画像復号装置に送信される。さらに、SEI「3d_reference_displays_info」によって、例えば、視聴条件ごとに、当該視聴条件で最適な奥行き感を実現できる最適なカメラ間の距離が送信される。ここで、視聴条件とは、具体的には、ディスプレイの画面サイズである。
これにより、画像復号装置は、実際のカメラ間距離と最適なカメラ間距離との関係に基づいて、最適な距離に対応する画像を表示することで、奥行き感を調節することができる。
また、表示される各視点の画像は、2視点の画像を合成することで生成される場合もある。
図1〜図3は、本実施の形態の参考例に係る画像符号化装置100及び画像復号装置200の構成を示す図である。
画像符号化装置100は、被写体(シーン)を複数の視点から撮影し、撮影により得られた多視点画像を符号化することで符号化ビットストリームを生成する。この画像符号化装置100は、第1カメラ111と、第2カメラ112と、第1エンコーダ121と、第2エンコーダ122と、SEI生成部131と、SEIエンコーダ132とを備える。
第1カメラ111及び第2カメラ112は多視点画像を撮影する。具体的には、第1カメラ111は、第1視点から、被写体(シーン)を撮影することにより第1画像151を生成する。第2カメラ112は、第2視点から、被写体を撮影することにより第2画像152を生成する。
第1エンコーダ121は、第1画像151を符号化することで第1符号化画像161を生成する。第2エンコーダ122は、第2画像152を符号化することで第2符号化画像162を生成する。
SEI生成部131は、画面サイズごとに対応付けられた最適距離171を生成する。つまり、SEI生成部131は、複数の画像サイズに対応付けられた複数の最適距離171を生成する。各最適距離171は、対応付けられた画面サイズのディスプレイに多視点画像を表示する際に最適な奥行き感を視聴者に与えることができるカメラ間(視点間)の距離である。
SEIエンコーダ132は、複数の最適距離171を符号化することで符号化最適距離172を生成する。
このように、画像符号化装置100は、第1符号化画像161、第2符号化画像162及び符号化最適距離172を含む符号化ビットストリームを生成する。そして、当該符号化ビットストリームは、チャンネルを介して画像復号装置200へ伝播される。
画像復号装置200は、画像符号化装置100により生成された符号化ビットストリームを復号し、多視点画像を表示する。この画像復号装置200は、第1デコーダ211と、第2デコーダ212と、SEIデコーダ221と、表示装置222とを含む。
第1デコーダ211は、第1符号化画像161を復号することで第1復号画像251を生成する。第2デコーダ212は、第2符号化画像162を復号することで第2復号画像252を生成する。
SEIデコーダ221は、符号化最適距離172を復号することにより複数の最適距離262を生成する。
表示装置222(ディスプレイ)は、第1復号画像251及び第2復号画像252を用いて、多視点画像(立体視画像)を表示する。具体的には、表示装置222は、複数の最適距離262のうち、自身の画面サイズ261に対応付けられている最適距離262を取得する。そして、表示装置222は、取得した最適距離262に応じて多視点画像を表示する。
例えば、図1に示すように、表示装置222は、第1復号画像251及び第2復号画像252を用いて、視点合成を行うことで、第1視点と第2視点との間の視点に対応する合成画像を生成する。そして、表示装置222は、生成した合成画像と第1カメラ111の画像(第1復号画像251)とを多視点画像として表示する。ここで、合成画像と、第1カメラ111の画像との視点間の距離は、最適距離262に等しい。
なお、図2に示すように、表示装置222は、合成画像と第2カメラ112の画像(第2復号画像252)とを表示してもよい。また、図3に示すように表示装置222は、二つの合成画像を表示してもよい。
また、図4は、SEI「3d_reference_displays_info」のシンタックスを示す図である。図4に示す、exponet_ref_baseline[i]及びmaintissa_ref_baseline[i]が最適距離171(262)に対応する。なお、図4に示す各パラメータの意味は、例えば、非特許文献1に記載されている。
このように、画像復号装置200は、複数の視点の画像を符号化するために使用されたカメラ間の実際の距離に関する情報を符号化ビットストリームから復号する。また、画像復号装置200は、1以上の視聴条件を示す情報を符号化ビットストリームから復号する。ここで、視聴条件とは、例えば、画像復号装置200が有する表示装置222の画面サイズである。画像復号装置200は、さらに、符号化ビットストリームから、各視聴条件の最適なカメラ間距離を示す情報である複数の最適距離262を復号する。ここで、最適なカメラ間距離とは、視聴者に最適な奥行き感を与えるために各視点の画像を撮影するために使用されるべきだったカメラ間距離である。
画像復号装置200は、実際の視聴条件、復号された最適なカメラ間距離、及び実際のカメラ間距離を使用して、希望の奥行き感を実現できる、表示に使用される視点(ビュー)を選択する。画像復号装置200は、さらに、表示に用いられる2つ視点の距離が最適なカメラ間距離になるように、視点合成によって、表示する画像を生成してもよい。
このように、画像符号化装置100は、画像復号装置200が視点合成のための視点位置の算出が行えるように、画像復号装置200へ、最適なカメラ間距離を算出するためのパラメータを送信する。
また、画像復号装置200は、SEIから、実際のカメラ間距離と最適なカメラ間距離との関係を把握し、表示に用いられる視点を選択する。つまり、画像復号装置200は、2つの視点間の距離が最適なカメラ間距離になるように、2つの視点の位置を決定する。
しかしながら、画像復号装置200は、2つの視点間の距離が最適なカメラ距離であれば、2つの視点を任意に設定することできる。例えば、画像復号装置200は、図1〜図3に示すように表示に用いられる2つの視点を任意に選択することができる。つまり、どの視点が選択されるかは、画像復号装置200に依存するので、全ての視聴者に同じ内容が表示されるわけでない。
このように、上記技術では、画像復号装置に応じて表示される内容が異なる場合が生じるという問題があることを、本発明者は見出した。
本発明の一態様に係る画像符号化方法は、複数の撮影視点から撮影された多視点画像を符号化する画像符号化方法であって、画像復号装置で用いられる複数の画面サイズの各々に対応付けて、前記画像復号装置で表示に用いられる複数の視点である複数の表示視点を特定するための視点識別情報を生成する生成ステップと、前記視点識別情報を符号化する符号化ステップとを含む。
これによれば、当該画像符号化方法は、画像復号装置の画面サイズに応じて、画像復号装置が選択すべき視点を特定するための視点識別情報を、画像復号装置へ送信する。これにより、画像復号装置は、自身の画面サイズに対応付けられた視点識別情報で特定される視点を用いて画像を表示する。このように、画像復号装置において一意的に表示に用いられる視点が決定される。よって、当該画像符号化方法は、画像復号装置に依存せずに、最適な奥行き感を視聴者に提供できる。
例えば、前記視点識別情報は、前記複数の撮影視点のうち一つの撮影視点を示してもよい。
例えば、前記視点識別情報は、前記複数の撮影視点のうち二つの撮影視点で撮影された画像が合成されることで生成される合成画像の視点を示してもよい。
例えば、前記視点識別情報は、前記複数の撮影視点を識別するための識別子であってもよい。
また、本発明の一態様に係る画像復号方法は、複数の撮影視点から撮影された多視点画像が符号化されることにより生成されたビットストリームを復号する画像復号方法であって、前記ビットストリームに含まれる、複数の画面サイズの各々に対応付けられた、複数の視点を特定するための視点識別情報を復号する復号ステップと、復号された複数の視点識別情報のうち、画像復号装置が有する表示装置の画面サイズに対応付けられている視点識別情報を用いて、前記画像復号装置が表示に用いる複数の視点である複数の表示視点を決定する決定ステップとを含む。
これによれば、当該画像復号方法は、画像復号装置の画面サイズに対応付けられた視点識別情報で特定される視点を用いて画像を表示する。このように、画像復号装置において一意的に表示に用いられる視点が決定される。よって、当該画像復号方法は、画像復号装置に依存しない最適な奥行き感を視聴者に提供できる。
例えば、前記視点識別情報は、前記複数の撮影視点のうち一つの撮影視点を示し、前記決定ステップでは、前記複数の撮影視点のうち前記視点識別情報で示される前記一つの撮影視点を前記複数の表示視点の一つに決定してもよい。
例えば、前記視点識別情報は、前記複数の撮影視点のうち二つの撮影視点で撮影された画像が合成されることで生成される合成画像の視点を示してもよい。
例えば、前記視点識別情報は、前記複数の撮影視点を識別するための識別子であってもよい。
また、本発明の一態様に係る画像符号化装置は、複数の撮影視点から撮影された多視点画像を符号化する画像符号化装置であって、画像復号装置で用いられる複数の画面サイズの各々に対応付けて、前記画像復号装置で表示に用いられる複数の視点である複数の表示視点を特定するための視点識別情報を生成する視点識別情報生成部と、前記視点識別情報を符号化する視点識別情報符号化部とを備える。
これによれば、当該画像符号化装置は、画像復号装置の画面サイズに応じて、画像復号装置が選択すべき視点を特定するための視点識別情報を、画像復号装置へ送信する。これにより、画像復号装置は、自身の画面サイズに対応付けられた視点識別情報で特定される視点を用いて画像を表示する。このように、画像復号装置において一意的に表示に用いられる視点が決定される。よって、当該画像符号化装置は、画像復号装置に依存せずに、最適な奥行き感を視聴者に提供できる。
また、本発明の一態様に係る画像復号装置は、複数の撮影視点から撮影された多視点画像が符号化されることにより生成されたビットストリームを復号する画像復号装置であって、前記ビットストリームに含まれる、複数の画面サイズの各々に対応付けられた、複数の視点を特定するための視点識別情報を復号する視点識別情報復号部と、復号された複数の視点識別情報のうち、画像復号装置が有する表示装置の画面サイズに対応付けられている視点識別情報を用いて、前記画像復号装置が表示に用いる複数の視点である複数の表示視点を決定する視点決定部とを備える。
これによれば、当該画像復号装置は、自身の画面サイズに対応付けられた視点識別情報で特定される視点を用いて画像を表示する。このように、画像復号装置において一意的に表示に用いられる視点が決定される。よって、当該画像復号装置は、自身の機能に依存しない最適な奥行き感を視聴者に提供できる。
また、本発明の一態様に係る画像符号化復号装置は、前記画像符号化装置と、前記画像復号装置とを備えてもよい。
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
本実施の形態は、表示されるコンテンツが全ての視聴者に対して同じであることを保証するために画像復号装置で表示に用いられる視点を定義することができる効率的な手法について説明する。
具体的には、本実施の形態に係る画像符号化装置は、1以上の視聴条件(具体的には画面サイズ)の各々に対して、最適なカメラ間距離に対応する視点位置を選択し、ビットストリーム内のこの視点位置に関する情報を符号化する。
画像復号装置は、1つ以上の視聴条件を示す情報をビットストリームから復号する。画像復号装置は、さらに、ビットストリームから、復号された各視聴条件について視点位置に関する情報を復号する。この視点位置は、視聴者に最適な奥行き感を与えるために各視点の画像を撮影するために使用されるべきだった最適なカメラ間距離に相当する。つまり、画像復号装置は、ビットストリームからの実際のカメラ距離を示す情報を復号する必要はない。画像復号装置は、実際の視聴条件及び復号された視点位置を使用して、希望の奥行き感を達成できる複数の視点を選択する。
図5は、本実施の形態に係る画像符号化装置300及び画像復号装置400の構成を示すブロック図である。
画像符号化装置300は、被写体(シーン)を複数の視点(撮影視点)から撮影し、撮影により得られた多視点画像(多視点映像)を符号化することで符号化ビットストリームを生成する。この画像符号化装置300は、第1カメラ311と、第2カメラ312と、第1エンコーダ321と、第2エンコーダ322と、SEI生成部331と、SEIエンコーダ332とを備える。
第1カメラ311及び第2カメラ312は多視点画像を撮影する。具体的には、第1カメラ311は、第1視点から、被写体(シーン)を撮影することにより第1画像351を生成する。第2カメラ312は、第2視点から、被写体を撮影することにより第2画像352を生成する。第1画像351及び第2画像352は、多視点画像に含まれる。
第1エンコーダ321は、第1画像351を符号化することで第1符号化画像361を生成する。第2エンコーダ322は、第2画像352を符号化することで第2符号化画像362を生成する。
SEI生成部331は、画面サイズごとに対応付けられた視点位置371を生成する視点識別情報生成部である。つまり、SEI生成部331は、複数の画像サイズに対応付けられた複数の視点位置371を生成する。各視点位置371は、対応付けられた画面サイズのディスプレイに多視点画像(立体視画像)を表示する際に最適な奥行き感を視聴者に与えることができる二つの視点(表示視点)の位置である。
SEIエンコーダ332は、複数の視点位置371を符号化することで符号化視点位置372を生成する視点識別情報符号化部である。
このように、画像符号化装置300は、第1符号化画像361、第2符号化画像362及び符号化視点位置372を含む符号化ビットストリームを生成する。そして、当該符号化ビットストリームは、チャンネルを介して画像復号装置400へ伝播される。
画像復号装置400は、画像符号化装置300により生成された符号化ビットストリームを復号し、多視点画像を表示する。この画像復号装置400は、第1デコーダ411と、第2デコーダ412と、SEIデコーダ421と、表示装置422とを含む。
第1デコーダ411は、第1符号化画像361を復号することで第1復号画像451を生成する。第2デコーダ412は、第2符号化画像362を復号することで第2復号画像452を生成する。
SEIデコーダ421は、符号化視点位置372を復号することにより複数の視点位置462を生成する視点識別情報復号部である。
表示装置422(ディスプレイ)は、第1復号画像451及び第2復号画像452を用いて、多視点画像(立体視画像)を表示する。具体的には、表示装置422は、複数の視点位置462のうち、自身の画面サイズ461に対応付けられている視点位置462を取得する。そして、表示装置422は、取得した視点位置462に応じて、表示に用いる複数の視点である複数の表示視点を決定し、決定した表示視点からの画像を多視点画像として表示する。この表示視点の決定は、表示装置422に含まれる視点決定部により行われる。
例えば、図5に示すように、表示装置422は、第1復号画像451及び第2復号画像452を用いて、視点合成を行うことで、第1視点と第2視点との間の視点に対応する合成画像を生成する。ここで、視点合成により生成された二つの合成画像の視点位置は、取得された二つの視点位置462に対応する。例えば、二つの合成画像の視点位置は、二つの視点位置462と同じである。
そして、表示装置422は、生成した二つの合成画像を多視点画像として表示する。なお、二つの視点位置462の少なくとも一方は、第1カメラの視点位置又は第2カメラの視点位置と等しくてもよい。この場合、視点合成は行われず、第1復号画像451又は第2復号画像452が表示に用いられる。
図6Aは、画像符号化装置300による画像符号化処理の概要を示すフローチャートである。
図6Aに示すように、画像符号化装置300は、画像復号装置で用いられる複数の画面サイズの各々に対応付けて、画像復号装置で表示に用いられる複数の視点である複数の表示視点を特定するための視点識別情報を生成する(S101)。ここで視点識別情報とは、上述した視点位置371に対応する。
次に、画像符号化装置300は、上記記視点識別情報を符号化する(S102)。そして、符号化された視点識別情報を含むビットストリームが画像復号装置400へ送信される。
図6Bは、画像復号装置400による画像復号処理の概要を示すフローチャートである。
図6Bに示すように、画像復号装置400は、ビットストリームに含まれる、複数の画面サイズの各々に対応付けられた、複数の視点を特定するための視点識別情報を復号する(S201)。
次に、画像復号装置400は、復号された複数の視点識別情報のうち、画像復号装置400が有する表示装置422の画面サイズ461に対応付けられている視点識別情報を用いて、画像復号装置400が表示に用いる複数の視点である複数の表示視点を決定する(S202)。また、画像復号装置400は、決定された複数の表示視点を用いて多視点画像を表示する。具体的には、画像復号装置400は、第1視点の第1復号画像451及び第2視点の第2復号画像452を用いて、複数の表示視点から見た複数の画像を生成し、生成した複数の画像を表示する。
以上により、本実施の形態では、ビットストリームに、視点(例えば、ステレオ表示のための2つの視点)の視点識別情報が直接含まれる。この場合、画像復号装置400は、最適なカメラ間距離を知る必要がない。つまり、最適なカメラ間距離を省略することができる。
さらに、画像復号装置400は、表示に用いられる視点を自動的に選択する必要がない。よって、異なる画像復号装置において、視聴条件が同じであれば、表示に用いられる視点として、同一の視点が選択される。よって、画像復号装置が異なる場合であっても、同一の奥行き感を保証できる。
つまり、本実施の形態では、視点間の距離(視点間の相対位置)ではなく、視点位置を直接示す情報が、画像符号化装置300から画像復号装置400へ送られる。
また、画像符号化装置300は、画像復号装置400においてどの視点が表示に用いられるかを制御できる。したがって、コンテンツ制作者は、例えば、最適な画質、又は好ましい内容等の個々の要求に応じて、表示されるコンテンツに影響を及ぼすことができる。なぜなら、複数の視点がオリジナルの場面のわずかに異なる視点からの映像である。よって、表示されるコンテンツは、符号化された視点の選択に依存して異なるからである。
このように、本実施の形態は、単に、画像復号装置で表示される視点を定義することで、表示されるコンテンツが全ての視聴者に対して同じになることを保証するだけでなく、さらに、画像符号化装置で、例えば、主観的な画質が最大限になるように、視点を選択することができる。
なお、上記では、多視点画像として、ステレオ画像が用いられる例を述べたが、多視点画像は3以上の視点の画像を含んでもよい。また、画像符号化装置300で生成される多視点画像の視点数と、画像復号装置400で表示される多視点画像の視点数とが異なってもよい。
以下、視点識別情報(視点位置462等)の具体例を説明する。
図7は、視点識別情報として視点識別子を用いる場合の画像符号化装置300A及び画像復号装置400Aの構成を示すブロック図である。なお、図5と同様の要素には同一の符号を付しており、以下では主に相違点を説明する。
図7に示す画像符号化装置300Aは、画像符号化装置300の構成に加え、さらに、第3カメラ313及び第3エンコーダ323を備える。また、SEI生成部331A及びSEIエンコーダ332Aの機能がSEI生成部331及びSEIエンコーダ332と異なる。
第3カメラ313は、第3視点から、被写体(シーン)を撮影することにより第3画像353を生成する。つまり、第1カメラ311、第2カメラ312及び第3カメラ313は、第1画像351、第2画像352及び第3画像353を含む多視点画像を生成する。また、第1カメラ311、第2カメラ312及び第3カメラ313には、各カメラを一意に識別するための識別子(ID1、ID2及びID3)が割り当てられている。
第3エンコーダ323は、第3画像353を符号化することで第3符号化画像363を生成する。
SEI生成部331Aは、画面サイズごとに対応付けられた視点識別子373を生成する視点識別情報生成部である。つまり、SEI生成部331Aは、複数の画像サイズに対応付けられた複数の視点識別子373を生成する。各視点識別子373は、複数の撮影視点を識別するための識別子であり、例えば、カメラに割り当てられている識別子(ID1、ID2及びID3)を示す。言い換えると、この視点識別子373は、第1画像351、第2画像352及び第3画像353を識別する識別子であるとともに、後述する第1復号画像451、第2復号画像452及び第3復号画像453を識別する識別子である。
また、この視点識別子373は、対応付けられた画面サイズのディスプレイに多視点画像(立体視画像)を表示する際に最適な奥行き感を視聴者に与えることができる二つの視点(表示視点)に対応する撮影視点を示す。具体的には、この識別子は、視点ID(view ID)又は視点順インデックス(view order index)である。
SEIエンコーダ332Aは、複数の視点識別子373を符号化することで符号化視点識別子374を生成する視点識別情報符号化部である。
このように、画像符号化装置300Aは、第1符号化画像361、第2符号化画像362、第3符号化画像363及び符号化視点識別子374を含む符号化ビットストリームを生成する。そして、当該符号化ビットストリームは、チャンネルを介して画像復号装置400Aへ伝播される。
画像復号装置400Aは、画像符号化装置300Aにより生成された符号化ビットストリームを復号し、多視点画像を表示する。この画像復号装置400Aは、画像復号装置400の構成に加え、さらに、第3デコーダ413を備える。また、SEIデコーダ421A及び表示装置422Aの機能がSEIデコーダ421及び表示装置422と異なる。
第3デコーダ413は、第3符号化画像363を復号することで第3復号画像453を生成する。
SEIデコーダ421Aは、符号化視点識別子374を復号することにより複数の視点識別子463を生成する視点識別情報復号部である。
表示装置422A(ディスプレイ)は、第1復号画像451、第2復号画像452及び第3復号画像453を用いて、多視点画像(立体視画像)を表示する。具体的には、表示装置422Aは、複数の視点識別子463のうち、自身の画面サイズ461に対応付けられている視点識別子463を取得する。そして、表示装置422Aは、取得した視点識別子463に応じて、表示に用いる複数の視点である複数の表示視点を決定し、決定した表示視点からの画像を多視点画像として表示する。この表示視点の決定は、表示装置422Aに含まれる視点決定部により行われる。
具体的には、表示装置422Aは、複数の撮影視点のうち視点識別情報で示される一つの撮影視点を複数の表示視点の一つに決定する。つまり、表示装置422Aは、複数の復号画像(第1復号画像451、第2復号画像452及び第3復号画像453)のうち、視点識別子463に対応する複数の復号画像を表示する。例えば、図7に示すように、視点識別子463でID1及びID2が示される場合、表示装置422Aは、第1復号画像451及び第2復号画像452を表示する。また、図8に示すように、視点識別子463でID1及びID3が示される場合、表示装置422Aは、第1復号画像451及び第3復号画像453を表示する。また、図9に示すように、視点識別子463でID2及びID3が示される場合、表示装置422Aは、第2復号画像452及び第3復号画像453を表示する。
以上のように、視点識別情報として視点識別子を用いることで、画像復号装置400Aは、容易に表示する画像を選択することができる。
なお、視点識別情報は、複数の撮影視点のうち二つの撮影視点で撮影された画像が合成されることで生成される合成画像の視点を示してもよい。この場合、表示装置422Aは、複数の撮影視点のうち二つの撮影視点に対応する復号画像を合成することにより、視点識別情報で示される視点の合成画像を生成し、生成された合成画像を表示する。
例えば、視点識別情報は、合成画像の視点位置を特定するための、一以上の視点識別子と、当該一以上の視点識別子から合成画像の視点位置までの距離を示す情報とを含む。なお、ステレオ画像が表示される場合には、一つの表示視点に対して、一つの視点識別子と上記距離とが定義される。
また、上記距離は、合成画像の視点が、第1視点と第2視点との間のどこに位置するかを示す分数(例えば、a)で示されてもよい。この場合、上記距離は、「a×第1視点と第2視点との間の実際の距離」で表される。
なお、上記説明では、画像符号化装置300Aで3視点の画像が生成され、画像復号装置400Aで2視点の画像が表示される例を述べたが、画像符号化装置300Aで4視点以上の画像が生成されてもよいし、画像復号装置400Aで3視点以上の画像が表示されてもよい。
以下、視点識別情報の別の具体例を説明する。
図10は、視点識別情報として視点座標を用いる場合の画像符号化装置300B及び画像復号装置400Bの構成を示すブロック図である。なお、図5と同様の要素には同一の符号を付しており、以下では主に相違点を説明する。
図10に示す画像符号化装置300Bは、画像符号化装置300の構成に対して、SEI生成部331B及びSEIエンコーダ332Bの機能がSEI生成部331及びSEIエンコーダ332と異なる。
SEI生成部331Bは、画面サイズごとに対応付けられた視点座標375を生成する視点識別情報生成部である。つまり、SEI生成部331Bは、複数の画像サイズに対応付けられた複数の視点座標375を生成する。各視点座標375は、複数の表示視点の座標を示す。言い換えると、視点座標375は、表示装置422Bにおける座標系の座標を示す。また、この視点座標375は、対応付けられた画面サイズのディスプレイに多視点画像(立体視画像)を表示する際に最適な奥行き感を視聴者に与えることができる二つの視点(表示視点)の座標を示す。
SEIエンコーダ332Bは、複数の視点座標375を符号化することで符号化視点座標376を生成する視点識別情報符号化部である。
このように、画像符号化装置300Bは、第1符号化画像361、第2符号化画像362、及び符号化視点座標376を含む符号化ビットストリームを生成する。そして、当該符号化ビットストリームは、チャンネルを介して画像復号装置400Bへ伝播される。
画像復号装置400Bは、画像符号化装置300Bにより生成された符号化ビットストリームを復号し、多視点画像を表示する。この画像復号装置400Bは、画像復号装置400の構成に対して、SEIデコーダ421B及び表示装置422Bの機能がSEIデコーダ421及び表示装置422と異なる。
SEIデコーダ421Bは、符号化視点座標376を復号することにより複数の視点座標464を生成する視点識別情報復号部である。
表示装置422B(ディスプレイ)は、第1復号画像451、及び第2復号画像452を用いて、多視点画像(立体視画像)を表示する。具体的には、表示装置422Bは、複数の視点座標464のうち、自身の画面サイズ461に対応付けられている視点座標464を取得する。そして、表示装置422Bは、取得した視点座標464に応じて、表示に用いる複数の視点である複数の表示視点を決定し、決定した表示視点からの画像を多視点画像として表示する。この表示視点の決定は、表示装置422Bに含まれる視点決定部により行われる。
例えば、表示装置422Bは、第1復号画像451及び第2復号画像452を用いて、視点合成を行うことで、第1視点と第2視点との間の視点に対応する合成画像を生成する。ここで、視点合成により生成された二つの合成画像の視点位置は、取得された二つの視点座標464に対応する。例えば、二つの合成画像の視点位置は、二つの視点座標464に位置する。
そして、表示装置422Bは、生成した二つの合成画像を多視点画像として表示する。なお、二つの視点位置462の少なくとも一方は、第1カメラの視点位置又は第2カメラの視点位置と等しくてもよい。この場合、視点合成は行われず、第1復号画像451又は第2復号画像452が表示に用いられる。
以下、上記視点識別情報を含むSEIメッセージのシンタックス構造を説明する。
図11は、本実施の形態に係るSEI「3d_reference_displays_info]のシンタックス例を示す図である。
図11に示す、シンタックスエレメントpreferred_left_view_id_flagは、画像復号装置が左目用の表示に用いる視点の視点識別情報(preferred_left_view_id)が、ビットストリームに含まれているか否かを示す。
シンタックスエレメントpreferred_left_view_idは、画像復号装置が左目用の表示に用いる視点の視点識別情報であり、例えば、上記視点識別子に対応する。
シンタックスエレメントpreferred_right_view_id_flagは、画像復号装置が右目用の表示に用いる視点の視点識別情報(preferred_right_view_id)が、ビットストリームに含まれているか否かを示す。
シンタックスエレメントpreferred_right_view_idは、画像復号装置が右目用の表示に用いる視点の視点識別情報であり、例えば、上記視点識別子に対応する。
また、左目用及び右目用の両方の視点識別情報が符号化されている場合、最適なカメラ間距離はビットストリームに含まれる必要はない。
左目用及び右目用のいずれか一方の視点識別情報のみが符号化されている場合、画像復号装置は、当該一方の視点識別情報を用いて、当該一方の目用の表示に用いる第1視点を決定する。さらに、この場合、最適なカメラ間距離(exponet_ref_baseline及びmaintissa_ref_baseline)がビットストリーム内に符号化される。そして、画像復号装置は、このカメラ間距離を用いて、第1視点に対応する第2視点(合成視点も含む)の位置を識別する。
具体的には、左視点の識別子が、最適なカメラ間距離と共に符号化されている場合、第2(右)視点の位置は、左視点の位置の右側に決定される。右視点の識別子が、最適なカメラ間距離と共に符号化されている場合、第2(左)視点の位置は、右視点の位置の左側に決定される。
左及び右の両方の視点の視点識別情報が符号化されていない場合、最適なカメラ間距離だけが符号化される。なお、この場合の画像符号化装置及び画像復号装置の動作は、上述した参考例の動作と同様である。
以上、実施の形態に係る画像符号化装置に及び画像復号装置ついて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
例えば、視点識別情報は、SPS(シーケンスパラメータセット)のVUI(Video Usability Information)に符号化される、動作点を示す動作点ID(operating point ID)であってもよい。
また、上記実施の形態に係る画像符号化装置及び画像復号装置に含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
言い換えると、画像符号化装置及び画像復号装置は、処理回路(processing circuitry)と、当該処理回路に電気的に接続された(当該制御回路からアクセス可能な)記憶装置(storage)とを備える。処理回路は、専用のハードウェア及びプログラム実行部の少なくとも一方を含む。また、記憶装置は、処理回路がプログラム実行部を含む場合には、当該プログラム実行部により実行されるソフトウェアプログラムを記憶する。処理回路は、記憶装置を用いて、上記実施の形態に係る画像符号化方法又は画像復号方法を実行する。
さらに、本発明は上記ソフトウェアプログラムであってもよいし、上記プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
また、上記で用いた数字は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
また、上記の画像符号化方法又は画像復号方法に含まれるステップが実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
以上、本発明の一つ又は複数の態様に係る画像符号化装置及び画像復号装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
(実施の形態2)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)または動画像復号化方法(画像復号方法)の構成を実現するためのプログラムを記憶メディアに記録することにより、上記各実施の形態で示した処理を独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。記憶メディアは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ICカード、半導体メモリ等、プログラムを記録できるものであればよい。
さらにここで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)や動画像復号化方法(画像復号方法)の応用例とそれを用いたシステムを説明する。当該システムは、画像符号化方法を用いた画像符号化装置、及び画像復号方法を用いた画像復号装置からなる画像符号化復号装置を有することを特徴とする。システムにおける他の構成について、場合に応じて適切に変更することができる。
図12は、コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムex100の全体構成を示す図である。通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割し、各セル内にそれぞれ固定無線局である基地局ex106、ex107、ex108、ex109、ex110が設置されている。
このコンテンツ供給システムex100は、インターネットex101にインターネットサービスプロバイダex102および電話網ex104、および基地局ex106からex110を介して、コンピュータex111、PDA(Personal Digital Assistant)ex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115などの各機器が接続される。
しかし、コンテンツ供給システムex100は図12のような構成に限定されず、いずれかの要素を組合せて接続するようにしてもよい。また、固定無線局である基地局ex106からex110を介さずに、各機器が電話網ex104に直接接続されてもよい。また、各機器が近距離無線等を介して直接相互に接続されていてもよい。
カメラex113はデジタルビデオカメラ等の動画撮影が可能な機器であり、カメラex116はデジタルカメラ等の静止画撮影、動画撮影が可能な機器である。また、携帯電話ex114は、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式、若しくはLTE(Long Term Evolution)方式、HSPA(High Speed Packet Access)の携帯電話機、またはPHS(Personal Handyphone System)等であり、いずれでも構わない。
コンテンツ供給システムex100では、カメラex113等が基地局ex109、電話網ex104を通じてストリーミングサーバex103に接続されることで、ライブ配信等が可能になる。ライブ配信では、ユーザがカメラex113を用いて撮影するコンテンツ(例えば、音楽ライブの映像等)に対して上記各実施の形態で説明したように符号化処理を行い(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、ストリーミングサーバex103に送信する。一方、ストリーミングサーバex103は要求のあったクライアントに対して送信されたコンテンツデータをストリーム配信する。クライアントとしては、上記符号化処理されたデータを復号化することが可能な、コンピュータex111、PDAex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115等がある。配信されたデータを受信した各機器では、受信したデータを復号化処理して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
なお、撮影したデータの符号化処理はカメラex113で行っても、データの送信処理をするストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。同様に配信されたデータの復号化処理はクライアントで行っても、ストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。また、カメラex113に限らず、カメラex116で撮影した静止画像および/または動画像データを、コンピュータex111を介してストリーミングサーバex103に送信してもよい。この場合の符号化処理はカメラex116、コンピュータex111、ストリーミングサーバex103のいずれで行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。
また、これら符号化・復号化処理は、一般的にコンピュータex111や各機器が有するLSIex500において処理する。LSIex500は、ワンチップであっても複数チップからなる構成であってもよい。なお、動画像符号化・復号化用のソフトウェアをコンピュータex111等で読み取り可能な何らかの記録メディア(CD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスクなど)に組み込み、そのソフトウェアを用いて符号化・復号化処理を行ってもよい。さらに、携帯電話ex114がカメラ付きである場合には、そのカメラで取得した動画データを送信してもよい。このときの動画データは携帯電話ex114が有するLSIex500で符号化処理されたデータである。
また、ストリーミングサーバex103は複数のサーバや複数のコンピュータであって、データを分散して処理したり記録したり配信するものであってもよい。
以上のようにして、コンテンツ供給システムex100では、符号化されたデータをクライアントが受信して再生することができる。このようにコンテンツ供給システムex100では、ユーザが送信した情報をリアルタイムでクライアントが受信して復号化し、再生することができ、特別な権利や設備を有さないユーザでも個人放送を実現できる。
なお、コンテンツ供給システムex100の例に限らず、図13に示すように、デジタル放送用システムex200にも、上記各実施の形態の少なくとも動画像符号化装置(画像符号化装置)または動画像復号化装置(画像復号装置)のいずれかを組み込むことができる。具体的には、放送局ex201では映像データに音楽データなどが多重化された多重化データが電波を介して通信または衛星ex202に伝送される。この映像データは上記各実施の形態で説明した動画像符号化方法により符号化されたデータである(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置によって符号化されたデータである)。これを受けた放送衛星ex202は、放送用の電波を発信し、この電波を衛星放送の受信が可能な家庭のアンテナex204が受信する。受信した多重化データを、テレビ(受信機)ex300またはセットトップボックス(STB)ex217等の装置が復号化して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
また、DVD、BD等の記録メディアex215に記録した多重化データを読み取り復号化する、または記録メディアex215に映像信号を符号化し、さらに場合によっては音楽信号と多重化して書き込むリーダ/レコーダex218にも上記各実施の形態で示した動画像復号化装置または動画像符号化装置を実装することが可能である。この場合、再生された映像信号はモニタex219に表示され、多重化データが記録された記録メディアex215により他の装置やシステムにおいて映像信号を再生することができる。また、ケーブルテレビ用のケーブルex203または衛星/地上波放送のアンテナex204に接続されたセットトップボックスex217内に動画像復号化装置を実装し、これをテレビのモニタex219で表示してもよい。このときセットトップボックスではなく、テレビ内に動画像復号化装置を組み込んでもよい。
図14は、上記各実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いたテレビ(受信機)ex300を示す図である。テレビex300は、上記放送を受信するアンテナex204またはケーブルex203等を介して映像データに音声データが多重化された多重化データを取得、または出力するチューナex301と、受信した多重化データを復調する、または外部に送信する多重化データに変調する変調/復調部ex302と、復調した多重化データを映像データと、音声データとに分離する、または信号処理部ex306で符号化された映像データ、音声データを多重化する多重/分離部ex303を備える。
また、テレビex300は、音声データ、映像データそれぞれを復号化する、またはそれぞれの情報を符号化する音声信号処理部ex304、映像信号処理部ex305(本発明の一態様に係る画像符号化装置または画像復号装置として機能する)を有する信号処理部ex306と、復号化した音声信号を出力するスピーカex307、復号化した映像信号を表示するディスプレイ等の表示部ex308を有する出力部ex309とを有する。さらに、テレビex300は、ユーザ操作の入力を受け付ける操作入力部ex312等を有するインタフェース部ex317を有する。さらに、テレビex300は、各部を統括的に制御する制御部ex310、各部に電力を供給する電源回路部ex311を有する。インタフェース部ex317は、操作入力部ex312以外に、リーダ/レコーダex218等の外部機器と接続されるブリッジex313、SDカード等の記録メディアex216を装着可能とするためのスロット部ex314、ハードディスク等の外部記録メディアと接続するためのドライバex315、電話網と接続するモデムex316等を有していてもよい。なお記録メディアex216は、格納する不揮発性/揮発性の半導体メモリ素子により電気的に情報の記録を可能としたものである。テレビex300の各部は同期バスを介して互いに接続されている。
まず、テレビex300がアンテナex204等により外部から取得した多重化データを復号化し、再生する構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、CPU等を有する制御部ex310の制御に基づいて、変調/復調部ex302で復調した多重化データを多重/分離部ex303で分離する。さらにテレビex300は、分離した音声データを音声信号処理部ex304で復号化し、分離した映像データを映像信号処理部ex305で上記各実施の形態で説明した復号化方法を用いて復号化する。復号化した音声信号、映像信号は、それぞれ出力部ex309から外部に向けて出力される。出力する際には、音声信号と映像信号が同期して再生するよう、バッファex318、ex319等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。また、テレビex300は、放送等からではなく、磁気/光ディスク、SDカード等の記録メディアex215、ex216から多重化データを読み出してもよい。次に、テレビex300が音声信号や映像信号を符号化し、外部に送信または記録メディア等に書き込む構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、制御部ex310の制御に基づいて、音声信号処理部ex304で音声信号を符号化し、映像信号処理部ex305で映像信号を上記各実施の形態で説明した符号化方法を用いて符号化する。符号化した音声信号、映像信号は多重/分離部ex303で多重化され外部に出力される。多重化する際には、音声信号と映像信号が同期するように、バッファex320、ex321等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。なお、バッファex318、ex319、ex320、ex321は図示しているように複数備えていてもよいし、1つ以上のバッファを共有する構成であってもよい。さらに、図示している以外に、例えば変調/復調部ex302や多重/分離部ex303の間等でもシステムのオーバフロー、アンダーフローを避ける緩衝材としてバッファにデータを蓄積することとしてもよい。
また、テレビex300は、放送等や記録メディア等から音声データ、映像データを取得する以外に、マイクやカメラのAV入力を受け付ける構成を備え、それらから取得したデータに対して符号化処理を行ってもよい。なお、ここではテレビex300は上記の符号化処理、多重化、および外部出力ができる構成として説明したが、これらの処理を行うことはできず、上記受信、復号化処理、外部出力のみが可能な構成であってもよい。
また、リーダ/レコーダex218で記録メディアから多重化データを読み出す、または書き込む場合には、上記復号化処理または符号化処理はテレビex300、リーダ/レコーダex218のいずれで行ってもよいし、テレビex300とリーダ/レコーダex218が互いに分担して行ってもよい。
一例として、光ディスクからデータの読み込みまたは書き込みをする場合の情報再生/記録部ex400の構成を図15に示す。情報再生/記録部ex400は、以下に説明する要素ex401、ex402、ex403、ex404、ex405、ex406、ex407を備える。光ヘッドex401は、光ディスクである記録メディアex215の記録面にレーザスポットを照射して情報を書き込み、記録メディアex215の記録面からの反射光を検出して情報を読み込む。変調記録部ex402は、光ヘッドex401に内蔵された半導体レーザを電気的に駆動し記録データに応じてレーザ光の変調を行う。再生復調部ex403は、光ヘッドex401に内蔵されたフォトディテクタにより記録面からの反射光を電気的に検出した再生信号を増幅し、記録メディアex215に記録された信号成分を分離して復調し、必要な情報を再生する。バッファex404は、記録メディアex215に記録するための情報および記録メディアex215から再生した情報を一時的に保持する。ディスクモータex405は記録メディアex215を回転させる。サーボ制御部ex406は、ディスクモータex405の回転駆動を制御しながら光ヘッドex401を所定の情報トラックに移動させ、レーザスポットの追従処理を行う。システム制御部ex407は、情報再生/記録部ex400全体の制御を行う。上記の読み出しや書き込みの処理はシステム制御部ex407が、バッファex404に保持された各種情報を利用し、また必要に応じて新たな情報の生成・追加を行うと共に、変調記録部ex402、再生復調部ex403、サーボ制御部ex406を協調動作させながら、光ヘッドex401を通して、情報の記録再生を行うことにより実現される。システム制御部ex407は例えばマイクロプロセッサで構成され、読み出し書き込みのプログラムを実行することでそれらの処理を実行する。
以上では、光ヘッドex401はレーザスポットを照射するとして説明したが、近接場光を用いてより高密度な記録を行う構成であってもよい。
図16に光ディスクである記録メディアex215の模式図を示す。記録メディアex215の記録面には案内溝(グルーブ)がスパイラル状に形成され、情報トラックex230には、予めグルーブの形状の変化によってディスク上の絶対位置を示す番地情報が記録されている。この番地情報はデータを記録する単位である記録ブロックex231の位置を特定するための情報を含み、記録や再生を行う装置において情報トラックex230を再生し番地情報を読み取ることで記録ブロックを特定することができる。また、記録メディアex215は、データ記録領域ex233、内周領域ex232、外周領域ex234を含んでいる。ユーザデータを記録するために用いる領域がデータ記録領域ex233であり、データ記録領域ex233より内周または外周に配置されている内周領域ex232と外周領域ex234は、ユーザデータの記録以外の特定用途に用いられる。情報再生/記録部ex400は、このような記録メディアex215のデータ記録領域ex233に対して、符号化された音声データ、映像データまたはそれらのデータを多重化した多重化データの読み書きを行う。
以上では、1層のDVD、BD等の光ディスクを例に挙げ説明したが、これらに限ったものではなく、多層構造であって表面以外にも記録可能な光ディスクであってもよい。また、ディスクの同じ場所にさまざまな異なる波長の色の光を用いて情報を記録したり、さまざまな角度から異なる情報の層を記録したりなど、多次元的な記録/再生を行う構造の光ディスクであってもよい。
また、デジタル放送用システムex200において、アンテナex205を有する車ex210で衛星ex202等からデータを受信し、車ex210が有するカーナビゲーションex211等の表示装置に動画を再生することも可能である。なお、カーナビゲーションex211の構成は例えば図14に示す構成のうち、GPS受信部を加えた構成が考えられ、同様なことがコンピュータex111や携帯電話ex114等でも考えられる。
図17Aは、上記実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いた携帯電話ex114を示す図である。携帯電話ex114は、基地局ex110との間で電波を送受信するためのアンテナex350、映像、静止画を撮ることが可能なカメラ部ex365、カメラ部ex365で撮像した映像、アンテナex350で受信した映像等が復号化されたデータを表示する液晶ディスプレイ等の表示部ex358を備える。携帯電話ex114は、さらに、操作キー部ex366を有する本体部、音声を出力するためのスピーカ等である音声出力部ex357、音声を入力するためのマイク等である音声入力部ex356、撮影した映像、静止画、録音した音声、または受信した映像、静止画、メール等の符号化されたデータもしくは復号化されたデータを保存するメモリ部ex367、又は同様にデータを保存する記録メディアとのインタフェース部であるスロット部ex364を備える。
さらに、携帯電話ex114の構成例について、図17Bを用いて説明する。携帯電話ex114は、表示部ex358及び操作キー部ex366を備えた本体部の各部を統括的に制御する主制御部ex360に対して、電源回路部ex361、操作入力制御部ex362、映像信号処理部ex355、カメラインタフェース部ex363、LCD(Liquid Crystal Display)制御部ex359、変調/復調部ex352、多重/分離部ex353、音声信号処理部ex354、スロット部ex364、メモリ部ex367がバスex370を介して互いに接続されている。
電源回路部ex361は、ユーザの操作により終話及び電源キーがオン状態にされると、バッテリパックから各部に対して電力を供給することにより携帯電話ex114を動作可能な状態に起動する。
携帯電話ex114は、CPU、ROM、RAM等を有する主制御部ex360の制御に基づいて、音声通話モード時に音声入力部ex356で収音した音声信号を音声信号処理部ex354でデジタル音声信号に変換し、これを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理し、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。また携帯電話ex114は、音声通話モード時にアンテナex350を介して受信した受信データを増幅して周波数変換処理およびアナログデジタル変換処理を施し、変調/復調部ex352でスペクトラム逆拡散処理し、音声信号処理部ex354でアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex357から出力する。
さらにデータ通信モード時に電子メールを送信する場合、本体部の操作キー部ex366等の操作によって入力された電子メールのテキストデータは操作入力制御部ex362を介して主制御部ex360に送出される。主制御部ex360は、テキストデータを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して基地局ex110へ送信する。電子メールを受信する場合は、受信したデータに対してこのほぼ逆の処理が行われ、表示部ex358に出力される。
データ通信モード時に映像、静止画、または映像と音声を送信する場合、映像信号処理部ex355は、カメラ部ex365から供給された映像信号を上記各実施の形態で示した動画像符号化方法によって圧縮符号化し(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、符号化された映像データを多重/分離部ex353に送出する。また、音声信号処理部ex354は、映像、静止画等をカメラ部ex365で撮像中に音声入力部ex356で収音した音声信号を符号化し、符号化された音声データを多重/分離部ex353に送出する。
多重/分離部ex353は、映像信号処理部ex355から供給された符号化された映像データと音声信号処理部ex354から供給された符号化された音声データを所定の方式で多重化し、その結果得られる多重化データを変調/復調部(変調/復調回路部)ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。
データ通信モード時にホームページ等にリンクされた動画像ファイルのデータを受信する場合、または映像およびもしくは音声が添付された電子メールを受信する場合、アンテナex350を介して受信された多重化データを復号化するために、多重/分離部ex353は、多重化データを分離することにより映像データのビットストリームと音声データのビットストリームとに分け、同期バスex370を介して符号化された映像データを映像信号処理部ex355に供給するとともに、符号化された音声データを音声信号処理部ex354に供給する。映像信号処理部ex355は、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法に対応した動画像復号化方法によって復号化することにより映像信号を復号し(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)、LCD制御部ex359を介して表示部ex358から、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まれる映像、静止画が表示される。また音声信号処理部ex354は、音声信号を復号し、音声出力部ex357から音声が出力される。
また、上記携帯電話ex114等の端末は、テレビex300と同様に、符号化器・復号化器を両方持つ送受信型端末の他に、符号化器のみの送信端末、復号化器のみの受信端末という3通りの実装形式が考えられる。さらに、デジタル放送用システムex200において、映像データに音楽データなどが多重化された多重化データを受信、送信するとして説明したが、音声データ以外に映像に関連する文字データなどが多重化されたデータであってもよいし、多重化データではなく映像データ自体であってもよい。
このように、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法あるいは動画像復号化方法を上述したいずれの機器・システムに用いることは可能であり、そうすることで、上記各実施の形態で説明した効果を得ることができる。
また、本発明はかかる上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形または修正が可能である。
(実施の形態3)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置と、MPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1など異なる規格に準拠した動画像符号化方法または装置とを、必要に応じて適宜切替えることにより、映像データを生成することも可能である。
ここで、それぞれ異なる規格に準拠する複数の映像データを生成した場合、復号する際に、それぞれの規格に対応した復号方法を選択する必要がある。しかしながら、復号する映像データが、どの規格に準拠するものであるか識別できないため、適切な復号方法を選択することができないという課題を生じる。
この課題を解決するために、映像データに音声データなどを多重化した多重化データは、映像データがどの規格に準拠するものであるかを示す識別情報を含む構成とする。上記各実施の形態で示す動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを含む多重化データの具体的な構成を以下説明する。多重化データは、MPEG−2トランスポートストリーム形式のデジタルストリームである。
図18は、多重化データの構成を示す図である。図18に示すように多重化データは、ビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム(PG)、インタラクティブグラフィックスストリームのうち、1つ以上を多重化することで得られる。ビデオストリームは映画の主映像および副映像を、オーディオストリーム(IG)は映画の主音声部分とその主音声とミキシングする副音声を、プレゼンテーショングラフィックスストリームは、映画の字幕をそれぞれ示している。ここで主映像とは画面に表示される通常の映像を示し、副映像とは主映像の中に小さな画面で表示する映像のことである。また、インタラクティブグラフィックスストリームは、画面上にGUI部品を配置することにより作成される対話画面を示している。ビデオストリームは、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠した動画像符号化方法または装置によって符号化されている。オーディオストリームは、ドルビーAC−3、Dolby Digital Plus、MLP、DTS、DTS−HD、または、リニアPCMのなどの方式で符号化されている。
多重化データに含まれる各ストリームはPIDによって識別される。例えば、映画の映像に利用するビデオストリームには0x1011が、オーディオストリームには0x1100から0x111Fまでが、プレゼンテーショングラフィックスには0x1200から0x121Fまでが、インタラクティブグラフィックスストリームには0x1400から0x141Fまでが、映画の副映像に利用するビデオストリームには0x1B00から0x1B1Fまで、主音声とミキシングする副音声に利用するオーディオストリームには0x1A00から0x1A1Fが、それぞれ割り当てられている。
図19は、多重化データがどのように多重化されるかを模式的に示す図である。まず、複数のビデオフレームからなるビデオストリームex235、複数のオーディオフレームからなるオーディオストリームex238を、それぞれPESパケット列ex236およびex239に変換し、TSパケットex237およびex240に変換する。同じくプレゼンテーショングラフィックスストリームex241およびインタラクティブグラフィックスex244のデータをそれぞれPESパケット列ex242およびex245に変換し、さらにTSパケットex243およびex246に変換する。多重化データex247はこれらのTSパケットを1本のストリームに多重化することで構成される。
図20は、PESパケット列に、ビデオストリームがどのように格納されるかをさらに詳しく示している。図20における第1段目はビデオストリームのビデオフレーム列を示す。第2段目は、PESパケット列を示す。図20の矢印yy1,yy2,yy3,yy4に示すように、ビデオストリームにおける複数のVideo Presentation UnitであるIピクチャ、Bピクチャ、Pピクチャは、ピクチャ毎に分割され、PESパケットのペイロードに格納される。各PESパケットはPESヘッダを持ち、PESヘッダには、ピクチャの表示時刻であるPTS(Presentation Time−Stamp)やピクチャの復号時刻であるDTS(Decoding Time−Stamp)が格納される。
図21は、多重化データに最終的に書き込まれるTSパケットの形式を示している。TSパケットは、ストリームを識別するPIDなどの情報を持つ4ByteのTSヘッダとデータを格納する184ByteのTSペイロードから構成される188Byte固定長のパケットであり、上記PESパケットは分割されTSペイロードに格納される。BD−ROMの場合、TSパケットには、4ByteのTP_Extra_Headerが付与され、192Byteのソースパケットを構成し、多重化データに書き込まれる。TP_Extra_HeaderにはATS(Arrival_Time_Stamp)などの情報が記載される。ATSは当該TSパケットのデコーダのPIDフィルタへの転送開始時刻を示す。多重化データには図21下段に示すようにソースパケットが並ぶこととなり、多重化データの先頭からインクリメントする番号はSPN(ソースパケットナンバー)と呼ばれる。
また、多重化データに含まれるTSパケットには、映像・音声・字幕などの各ストリーム以外にもPAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、PCR(Program Clock Reference)などがある。PATは多重化データ中に利用されるPMTのPIDが何であるかを示し、PAT自身のPIDは0で登録される。PMTは、多重化データ中に含まれる映像・音声・字幕などの各ストリームのPIDと各PIDに対応するストリームの属性情報を持ち、また多重化データに関する各種ディスクリプタを持つ。ディスクリプタには多重化データのコピーを許可・不許可を指示するコピーコントロール情報などがある。PCRは、ATSの時間軸であるATC(Arrival Time Clock)とPTS・DTSの時間軸であるSTC(System Time Clock)の同期を取るために、そのPCRパケットがデコーダに転送されるATSに対応するSTC時間の情報を持つ。
図22はPMTのデータ構造を詳しく説明する図である。PMTの先頭には、そのPMTに含まれるデータの長さなどを記したPMTヘッダが配置される。その後ろには、多重化データに関するディスクリプタが複数配置される。上記コピーコントロール情報などが、ディスクリプタとして記載される。ディスクリプタの後には、多重化データに含まれる各ストリームに関するストリーム情報が複数配置される。ストリーム情報は、ストリームの圧縮コーデックなどを識別するためストリームタイプ、ストリームのPID、ストリームの属性情報(フレームレート、アスペクト比など)が記載されたストリームディスクリプタから構成される。ストリームディスクリプタは多重化データに存在するストリームの数だけ存在する。
記録媒体などに記録する場合には、上記多重化データは、多重化データ情報ファイルと共に記録される。
多重化データ情報ファイルは、図23に示すように多重化データの管理情報であり、多重化データと1対1に対応し、多重化データ情報、ストリーム属性情報とエントリマップから構成される。
多重化データ情報は図23に示すようにシステムレート、再生開始時刻、再生終了時刻から構成されている。システムレートは多重化データの、後述するシステムターゲットデコーダのPIDフィルタへの最大転送レートを示す。多重化データ中に含まれるATSの間隔はシステムレート以下になるように設定されている。再生開始時刻は多重化データの先頭のビデオフレームのPTSであり、再生終了時刻は多重化データの終端のビデオフレームのPTSに1フレーム分の再生間隔を足したものが設定される。
ストリーム属性情報は図24に示すように、多重化データに含まれる各ストリームについての属性情報が、PID毎に登録される。属性情報はビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム、インタラクティブグラフィックスストリーム毎に異なる情報を持つ。ビデオストリーム属性情報は、そのビデオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、ビデオストリームを構成する個々のピクチャデータの解像度がどれだけであるか、アスペクト比はどれだけであるか、フレームレートはどれだけであるかなどの情報を持つ。オーディオストリーム属性情報は、そのオーディオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、そのオーディオストリームに含まれるチャンネル数は何であるか、何の言語に対応するか、サンプリング周波数がどれだけであるかなどの情報を持つ。これらの情報は、プレーヤが再生する前のデコーダの初期化などに利用される。
本実施の形態においては、上記多重化データのうち、PMTに含まれるストリームタイプを利用する。また、記録媒体に多重化データが記録されている場合には、多重化データ情報に含まれる、ビデオストリーム属性情報を利用する。具体的には、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置において、PMTに含まれるストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に対し、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示す固有の情報を設定するステップまたは手段を設ける。この構成により、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成した映像データと、他の規格に準拠する映像データとを識別することが可能になる。
また、本実施の形態における動画像復号化方法のステップを図25に示す。ステップexS100において、多重化データからPMTに含まれるストリームタイプ、または、多重化データ情報に含まれるビデオストリーム属性情報を取得する。次に、ステップexS101において、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された多重化データであることを示しているか否かを判断する。そして、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものであると判断された場合には、ステップexS102において、上記各実施の形態で示した動画像復号方法により復号を行う。また、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠するものであることを示している場合には、ステップexS103において、従来の規格に準拠した動画像復号方法により復号を行う。
このように、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に新たな固有値を設定することにより、復号する際に、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法または装置で復号可能であるかを判断することができる。従って、異なる規格に準拠する多重化データが入力された場合であっても、適切な復号化方法または装置を選択することができるため、エラーを生じることなく復号することが可能となる。また、本実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、または、動画像復号方法または装置を、上述したいずれの機器・システムに用いることも可能である。
(実施の形態4)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法および装置、動画像復号化方法および装置は、典型的には集積回路であるLSIで実現される。一例として、図26に1チップ化されたLSIex500の構成を示す。LSIex500は、以下に説明する要素ex501、ex502、ex503、ex504、ex505、ex506、ex507、ex508、ex509を備え、各要素はバスex510を介して接続している。電源回路部ex505は電源がオン状態の場合に各部に対して電力を供給することで動作可能な状態に起動する。
例えば符号化処理を行う場合には、LSIex500は、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有する制御部ex501の制御に基づいて、AV I/Oex509によりマイクex117やカメラex113等からAV信号を入力する。入力されたAV信号は、一旦SDRAM等の外部のメモリex511に蓄積される。制御部ex501の制御に基づいて、蓄積したデータは処理量や処理速度に応じて適宜複数回に分けるなどされ信号処理部ex507に送られ、信号処理部ex507において音声信号の符号化および/または映像信号の符号化が行われる。ここで映像信号の符号化処理は上記各実施の形態で説明した符号化処理である。信号処理部ex507ではさらに、場合により符号化された音声データと符号化された映像データを多重化するなどの処理を行い、ストリームI/Oex506から外部に出力する。この出力された多重化データは、基地局ex107に向けて送信されたり、または記録メディアex215に書き込まれたりする。なお、多重化する際には同期するよう、一旦バッファex508にデータを蓄積するとよい。
なお、上記では、メモリex511がLSIex500の外部の構成として説明したが、LSIex500の内部に含まれる構成であってもよい。バッファex508も1つに限ったものではなく、複数のバッファを備えていてもよい。また、LSIex500は1チップ化されてもよいし、複数チップ化されてもよい。
また、上記では、制御部ex501が、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有するとしているが、制御部ex501の構成は、この構成に限らない。例えば、信号処理部ex507がさらにCPUを備える構成であってもよい。信号処理部ex507の内部にもCPUを設けることにより、処理速度をより向上させることが可能になる。また、他の例として、CPUex502が信号処理部ex507、または信号処理部ex507の一部である例えば音声信号処理部を備える構成であってもよい。このような場合には、制御部ex501は、信号処理部ex507、またはその一部を有するCPUex502を備える構成となる。
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。このようなプログラマブル・ロジック・デバイスは、典型的には、ソフトウェア又はファームウェアを構成するプログラムを、ロードする又はメモリ等から読み込むことで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法、又は動画像復号化方法を実行することができる。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
(実施の形態5)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを復号する場合、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データを復号する場合に比べ、処理量が増加することが考えられる。そのため、LSIex500において、従来の規格に準拠する映像データを復号する際のCPUex502の駆動周波数よりも高い駆動周波数に設定する必要がある。しかし、駆動周波数を高くすると、消費電力が高くなるという課題が生じる。
この課題を解決するために、テレビex300、LSIex500などの動画像復号化装置は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別し、規格に応じて駆動周波数を切替える構成とする。図27は、本実施の形態における構成ex800を示している。駆動周波数切替え部ex803は、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、駆動周波数を高く設定する。そして、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801に対し、映像データを復号するよう指示する。一方、映像データが、従来の規格に準拠する映像データである場合には、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、駆動周波数を低く設定する。そして、従来の規格に準拠する復号処理部ex802に対し、映像データを復号するよう指示する。
より具体的には、駆動周波数切替え部ex803は、図26のCPUex502と駆動周波数制御部ex512から構成される。また、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801、および、従来の規格に準拠する復号処理部ex802は、図26の信号処理部ex507に該当する。CPUex502は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別する。そして、CPUex502からの信号に基づいて、駆動周波数制御部ex512は、駆動周波数を設定する。また、CPUex502からの信号に基づいて、信号処理部ex507は、映像データの復号を行う。ここで、映像データの識別には、例えば、実施の形態3で記載した識別情報を利用することが考えられる。識別情報に関しては、実施の形態3で記載したものに限られず、映像データがどの規格に準拠するか識別できる情報であればよい。例えば、映像データがテレビに利用されるものであるか、ディスクに利用されるものであるかなどを識別する外部信号に基づいて、映像データがどの規格に準拠するものであるか識別可能である場合には、このような外部信号に基づいて識別してもよい。また、CPUex502における駆動周波数の選択は、例えば、図29のような映像データの規格と、駆動周波数とを対応付けたルックアップテーブルに基づいて行うことが考えられる。ルックアップテーブルを、バッファex508や、LSIの内部メモリに格納しておき、CPUex502がこのルックアップテーブルを参照することにより、駆動周波数を選択することが可能である。
図28は、本実施の形態の方法を実施するステップを示している。まず、ステップexS200では、信号処理部ex507において、多重化データから識別情報を取得する。次に、ステップexS201では、CPUex502において、識別情報に基づいて映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものであるか否かを識別する。映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、ステップexS202において、駆動周波数を高く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、高い駆動周波数に設定される。一方、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、ステップexS203において、駆動周波数を低く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、低い駆動周波数に設定される。
さらに、駆動周波数の切替えに連動して、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を変更することにより、省電力効果をより高めることが可能である。例えば、駆動周波数を低く設定する場合には、これに伴い、駆動周波数を高く設定している場合に比べ、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することが考えられる。
また、駆動周波数の設定方法は、復号する際の処理量が大きい場合に、駆動周波数を高く設定し、復号する際の処理量が小さい場合に、駆動周波数を低く設定すればよく、上述した設定方法に限らない。例えば、MPEG4−AVC規格に準拠する映像データを復号する処理量の方が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置により生成された映像データを復号する処理量よりも大きい場合には、駆動周波数の設定を上述した場合の逆にすることが考えられる。
さらに、駆動周波数の設定方法は、駆動周波数を低くする構成に限らない。例えば、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を高く設定し、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することも考えられる。また、他の例としては、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、CPUex502の駆動を停止させることなく、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、処理に余裕があるため、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合であっても、処理に余裕があれば、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。この場合は、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合に比べて、停止時間を短く設定することが考えられる。
このように、映像データが準拠する規格に応じて、駆動周波数を切替えることにより、省電力化を図ることが可能になる。また、電池を用いてLSIex500またはLSIex500を含む装置を駆動している場合には、省電力化に伴い、電池の寿命を長くすることが可能である。
(実施の形態6)
テレビや、携帯電話など、上述した機器・システムには、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力される場合がある。このように、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力された場合にも復号できるようにするために、LSIex500の信号処理部ex507が複数の規格に対応している必要がある。しかし、それぞれの規格に対応する信号処理部ex507を個別に用いると、LSIex500の回路規模が大きくなり、また、コストが増加するという課題が生じる。
この課題を解決するために、上記各実施の形態で示した動画像復号方法を実行するための復号処理部と、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する復号処理部とを一部共有化する構成とする。この構成例を図30Aのex900に示す。例えば、上記各実施の形態で示した動画像復号方法と、MPEG4−AVC規格に準拠する動画像復号方法とは、エントロピー符号化、逆量子化、デブロッキング・フィルタ、動き補償などの処理において処理内容が一部共通する。共通する処理内容については、MPEG4−AVC規格に対応する復号処理部ex902を共有し、MPEG4−AVC規格に対応しない、本発明の一態様に特有の他の処理内容については、専用の復号処理部ex901を用いるという構成が考えられる。特に、本発明の一態様は、多視点画像の制御に特徴を有していることから、例えば、多視点画像の制御については専用の復号処理部ex901を用い、それ以外の逆量子化、エントロピー復号、デブロッキング・フィルタ、動き補償のいずれか、または、全ての処理については、復号処理部を共有することが考えられる。復号処理部の共有化に関しては、共通する処理内容については、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行するための復号処理部を共有し、MPEG4−AVC規格に特有の処理内容については、専用の復号処理部を用いる構成であってもよい。
また、処理を一部共有化する他の例を図30Bのex1000に示す。この例では、本発明の一態様に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1001と、他の従来規格に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1002と、本発明の一態様に係る動画像復号方法と他の従来規格の動画像復号方法とに共通する処理内容に対応した共用の復号処理部ex1003とを用いる構成としている。ここで、専用の復号処理部ex1001、ex1002は、必ずしも本発明の一態様、または、他の従来規格に特有の処理内容に特化したものではなく、他の汎用処理を実行できるものであってもよい。また、本実施の形態の構成を、LSIex500で実装することも可能である。
このように、本発明の一態様に係る動画像復号方法と、従来の規格の動画像復号方法とで共通する処理内容について、復号処理部を共有することにより、LSIの回路規模を小さくし、かつ、コストを低減することが可能である。