JP6371940B1 - ポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法 - Google Patents

ポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長い撮影時間・特別な撮影環境を必要としないポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法を提供する。
【解決手段】紫外線を透過させるフィルムにネガ画像を形成する第1工程と、紫外線の光源とネガ画像が形成されたフィルムと引き伸ばしレンズとネガ画像の反転画像を定着させる板状支持体との位置関係を調節し、ピント合わせを行う第2工程と、板状支持体上にハロゲン化銀の感光膜を形成する第3工程と、第2工程において調整を行った位置関係で、感光膜が形成された板状支持体上に紫外線をフィルム及び引き伸ばしレンズを介して照射させる第4工程と、現像液によって、紫外線が照射された板状支持体に対し現像作業を行い、該現像作業後の板状支持体を水で洗浄する第5工程と、定着液によって、水で洗浄された板状支持体に対し定着作業を行い、定着作業後の板状支持体を乾燥させる第6工程と、を含む。
【選択図】図1

Description

ポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法の技術に関する。
写真湿板とは、ヨウ化物を分散させたコロジオンを無色透明のガラス板に塗布した後、そのガラス板を硝酸銀溶液に浸してヨウ硝酸銀の感光膜を作成したものである。そして、湿板写真は、コロジオンが湿っているうちに撮影し、硫酸第一鉄溶液による現像、シアン化カリウム溶液による定着を経て、ガラス板上にネガ画像を形成させる技術である。
特開2002−174927号公報
しかしながら、上記従来の湿板写真の技術においては、コロジオンが乾燥する前に撮影する必要がある、撮影した像はネガ像であり、ポジ像を得ることができない、紫外線で像を写すため、紫外線が少ない場所では撮影できない等の問題点がある。
そこで本発明では、上記問題点に鑑み、長い撮影時間・特別な撮影環境を必要としない、ポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法を提供することを目的とする。
開示するポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法の一形態は、紫外線を透過させるフィルムにネガ画像を形成する第1工程と、前記フィルムに照射する紫外線の光源と前記ネガ画像が形成された前記フィルムと前記フィルムの像を拡大・投影するための引き伸ばしレンズと前記ネガ画像の反転画像を定着させる板状支持体との位置関係を調節し、ピント合わせを行う第2工程と、臭化物及びヨウ化物を分散させた粘性液体を塗布した前記板状支持体を硝酸銀溶液に浸して、前記板状支持体上に湿った状態のハロゲン化銀の感光膜を形成する第3工程と、前記第2工程において調整を行った位置関係で、前記感光膜が形成された前記板状支持体上に前記光源から発せられる紫外線を前記フィルム及び前記引き伸ばしレンズを介して照射させる第4工程と、現像液によって、紫外線が照射された前記板状支持体に対し現像作業を行い、該現像作業後の前記板状支持体を水で洗浄する第5工程と、定着液によって、水で洗浄された前記板状支持体に対し定着作業を行い、定着作業後の前記板状支持体を乾燥させる第6工程と、を含む。
開示するポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法は、長い撮影時間・特別な撮影環境を必要としない。
本実施の形態に係る製造方法の概要を示す模式図である。
図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
(本実施の形態に係るポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法)
<使用する処理薬品>
下記の溶液を事前に準備する。
・コロジオン溶液:臭化カドミウム3g、ヨウ化カリウム4g、コロジオン220ml、95%グレインアルコール(スピリタス)140ml、ジエチルエーテル140ml、精製水4ml
ただし、コロジオンは、アルブミン(卵白)、ゼラチンで代替可能である。
・現像液:硫化第一鉄15g、精製水350ml、氷酢酸15ml、95%グレインアルコール(スピリタス)20ml
・定着液:チオ硫酸ナトリウム75g、精製水500ml
ただし、チオ硫酸ナトリウムは、シアン化カリウムで代替可能である。
・硝酸銀溶液:硝酸銀、精製水
<ポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法>
ここで、板状支持体とは、硝酸銀と直接反応しない物質で生成される板状の支持体であり、例えば、ガラス、塩化ビニル、アクリル、ポリエステルで生成される板状の支持体である。以下では、板状支持体として板ガラスを例に挙げて説明するが、板ガラスは、塩化ビニル、アクリル、ポリエステルで生成される板状の支持体で代替可能である。
1.紫外線を透過させるフィルム上に、被写体とは明暗、濃淡が逆になっているネガ元画像(白黒)を形成する。なお、ネガ元画像は、明暗、濃淡に応じ紫外線の透過量が異なる。ネガ元画像を形成したフィルムにおいて、ネガ元画像が形成されている領域は紫外線の透過量が相対的に少なく、ネガ元画像が形成されていない領域は紫外線の透過量が相対的に多い状態となる。
そして、ネガ元画像(を形成したフィルム)を引き伸ばし機のネガキャリアに装填する。ネガキャリアとは、引き伸ばし機にフィルムを固定させるための器具である。ネガ元画像は、予め撮影が行われた画像を基に形成されるため、長い撮影時間・特別な撮影環境を必要としない。
2.図1で示すように、ネガ元画像を形成させたフィルムに照射する紫外線の光源とネガ元画像(ネガ元画像を形成したフィルムを装填したネガキャリア)とフィルムの像を拡大・投影するための引き伸ばしレンズとネガ元画像の反転画像を定着させる板ガラスとの位置関係を調節し、ピントを合わせて構図を決定した後、周囲を暗室にする。
このとき、引き伸ばし機のランプを、紫外線を発するランプに取り替えておく。引き伸ばしレンズには紫外線防止コーティングが施されていないものを使用する。光源にはブラックライトを用いることが好適である。引き伸ばし機内部の反射鏡は、透過率が略0であり、反射率が90%以上のアルミニウム箔で覆う。
3.埃、チリなど硝酸銀溶液と反応する恐れのある有機物を板ガラスから落とし、板ガラスを炭酸カルシウムで磨く。そして、その板ガラスにコロジオン溶液を塗布する。
硝酸銀は有機物の混ざった不純物が紫外線を浴びた場合、還元され黒変する。この黒変は像に大きく影響を与えるため、板ガラスを綺麗に磨く必要がある。
4.暗室下で、コロジオン溶液を塗布した板ガラスをガラス製容器に入れた硝酸銀溶液に数分間浸す。この作業によって、コロジオン溶液内のヨウ化物、臭化物が反応してハロゲン化銀が生成され、紫外線によって感光する感光膜が生成される。
硝酸銀とコロジオン内のハロゲン化物が反応する時間は環境や硝酸銀のPH(水素イオン指数)によってまちまちである。この場合、感光性を持たない波長のランプであるセーフランプで板ガラスの様子を確認することで、表面のちりめん上の凸凹が確認できなくなるまで浸す。
5.項番2の工程において調整を行った位置関係において、感光膜が形成された板ガラス上にランプから発せられる紫外線を、ネガ元画像が形成されたフィルム及び引き伸ばしレンズを介して照射させ、テストプリントを行う。ネガ元画像の明暗、濃淡の度合いによって適切な露光時間が異なるため、項番3、4、5の工程を繰り返し、適切な露光時間を特定する。
適正露光とは像に白飛びや黒つぶれを起こさないための露光時間のことである。一般的には18%グレーという基準に従って露出を決めていく。
6.項番2の工程において調整を行った位置関係において、感光膜が形成された板ガラス上にランプから発せられる紫外線を、ネガ元画像が形成されたフィルム及び引き伸ばしレンズを介して照射させ、項番5で特定した適切な露光時間だけ露光する。
紫外線の適正露光は写真でいう適正露光とは異なっているため、目視での作業となる。
7.項番6の露光を終えた板ガラスの下にトレイを敷き、この板ガラスに現像液を浴びせる処理を行う。この現像処理を行うことによって、紫外線が当たった位置に生成された銀粒子核の潜像について、適当な量まで銀粒子を成長させて可視化させる。
感光した板ガラス上には潜像と呼ばれる、像の形をしたハロゲン化銀の結晶ができている。このハロゲン化した銀の中に含まれている銀のことを潜像核と呼び、この潜像核は極微量のため肉眼で見ることはできない。これを見える量まで増やす処理が現像である。
8.現像処理を行った板ガラスに対し、適切なタイミングで精製水を浴びせ、現像液との反応を終えていない余分な銀を落とす(停止)。
長時間の現像を行うと、光の当たらなかったハロゲン化銀さえも還元反応を起こし黒変する。精製水を浴びさせることで還元力を落とすことができる。
9.ガラス容器に移し替えた定着液に、項番8の処理を終えた板ガラスを5分間ほど浸した後、この板ガラスを水道水で30分以上水洗する。定着処理を行うことによって、板ガラスに残留した未感光のハロゲン化銀を除去すると共に、画像を形成する還元された金属銀を残し、光(紫外線)によってそれ以上の変化が起きないようにする。
ハロゲン化銀が残っている場合、まだ感光性を失っていない可能性がある。そこで、この感光しなかったハロゲン化銀を、チオ硫酸塩が錯イオンを形成し溶解する性質を利用して落とす処理が定着である。さらに水洗することで反応する可能性のある薬品を洗い流す。
10.項番9の定着処理を終えた板ガラスをアルコールランプなどで熱することによって、板ガラスに付着した水分を蒸発させ、板ガラスを乾燥させる。
水分やコロジオン内のエーテル、アルコールを蒸発させる。その方法としては、自然乾燥やアルコールランプなどの弱い熱で乾燥させる方法がある。エアコンやドライヤーなどの風や急速な乾燥は埃の付着やコロジオンが剥がれるきっかけになり易いため、板ガラスはゆっくり乾燥させることが好適である。
11.項番10の処理を終えた板ガラス上にコーティング処理を施し、ポジ画像を定着させた板ガラスが製造される。
コーティング処理としては、ニスがけが行われる。一方、ニスがけを行うことによって、像がやや暗くなることや処方によっては透明感を失いやすく、変色する可能性がある。他方、このコーティング処理を行うことによって、像に傷や剥離がなくなることが期待される。
上記のような工程を経て、長い撮影時間・特別な撮影環境を必要とせずに、板状支持体上にネガ元画像を反転させたポジ画像を定着(生成)させることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。

Claims (7)

  1. 紫外線を透過させるフィルムにネガ画像を形成する第1工程と、
    前記フィルムに照射する紫外線の光源と前記ネガ画像が形成された前記フィルムと前記フィルムの像を拡大・投影するための引き伸ばしレンズと前記ネガ画像の反転画像を定着させる板状支持体との位置関係を調節し、ピント合わせを行う第2工程と、
    臭化物及びヨウ化物を分散させた粘性液体を塗布した前記板状支持体を硝酸銀溶液に浸して、前記板状支持体上に湿った状態のハロゲン化銀の感光膜を形成する第3工程と、
    前記第2工程において調整を行った位置関係で、前記感光膜が形成された前記板状支持体上に前記光源から発せられる紫外線を前記フィルム及び前記引き伸ばしレンズを介して照射させる第4工程と、
    現像液によって、紫外線が照射された前記板状支持体に対し現像作業を行い、該現像作業後の前記板状支持体を水で洗浄する第5工程と、
    定着液によって、水で洗浄された前記板状支持体に対し定着作業を行い、定着作業後の前記板状支持体を乾燥させる第6工程と、を含むポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法。
  2. 前記第4工程が、引き伸ばし機を利用して行うことを特徴とする請求項1に記載のポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法。
  3. 前記粘性液体が、アルブミン(卵白)、コロジオン、ゼラチンの何れかをエタノール及びジエチルエーテルの混合液に溶かして生成するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法。
  4. 前記コロジオンを含む前記粘性液体が、臭化カドミウム、ヨウ化カリウム、コロジオン、95%グレインアルコール、ジエチルエーテル、精製水を混合して生成されることを特徴とする請求項3に記載のポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法。
  5. 前記第5工程において、前記現像作業が、前記板状支持体に前記現像液を浴びさせて行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法。
  6. 前記第6工程において、前記定着作業が、前記板状支持体を前記定着液に所定時間浸して行うことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載のポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法。
  7. 前記第6工程において、前記板状支持体をアルコールランプで加熱することによって、前記板状支持体を乾燥させることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一に記載のポジ画像を定着させた板状支持体の製造方法。
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