以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.概要>
まず、第1の実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態に係る通信システム10の概要を示す。通信システム10は、自動車などの車両9に搭載される車載装置2と、車載装置2とは別個に構成される携帯通信端末3とを備える。これら車載装置2と携帯通信端末3とは連携して動作する。
車載装置2と携帯通信端末3との双方は、Bluetooth(登録商標)等の所定の通信方式に準拠した無線通信機能を有する。したがって、車載装置2と携帯通信端末3とは、無線通信によって相互に信号を送受信できる。なお、車載装置2と携帯通信端末3とを通信ケーブルで物理的に接続し、車載装置2と携帯通信端末3とが有線通信により相互に信号を送受信してもよい。
車載装置2は、車両9の車室内に固定的に設けられる電子装置であり、各種画像を表示するディスプレイ22を備える。車載装置2は、例えば、ユーザに設定された目的地までの経路を案内する機能を備えたナビゲーション装置である。車載装置2の主対象となるユーザは、車両9の運転席に着座したドライバである。したがって、車載装置2は、主にドライバがディスプレイ22の画面を視認できるよう、車両9の車室内の前方にあるダッシュボード内に配置される。
一方、携帯通信端末3は、ユーザが手に持って利用可能な通話機能を備えた可搬性の通信端末である。携帯通信端末3は、例えば、ユーザが日常的に利用しているスマートフォンや携帯電話機などである。携帯通信端末3は、車両9の助手席あるいは後部座席に着座した、ドライバ以外のユーザにより主に利用される。
携帯通信端末3は、モーションセンサ33を備え、自装置の移動や回転等の動き(モーション)を検出する。車載装置2と携帯通信端末3とが連携して動作する場合、ユーザが携帯通信端末3を把持して動かしたときに、携帯通信端末3のモーションセンサ33が自装置の動きを検出する。そして、携帯通信端末3は検出された自装置の動きを示す端末信号を車載装置2に送信し、車載装置2はこの端末信号を受信することで携帯通信端末3の動きに応じた処理を実行する。したがって、ユーザは携帯通信端末3を動かすことで、車載装置2に所定の処理を実行させることができる。
例えば、地図を表示した車載装置2の外側に携帯通信端末3を据えた場合、車載装置2に表示されない部分であって表示された地図に対応した箇所の地図を携帯通信端末3に表示する。これにより、車載装置2には自車両9周辺の地図を表示しつつ、車載装置2には表示されない目的地周辺地図を携帯通信端末3で確認できる。
この際、携帯通信端末3の移動距離と携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離とを一致させることで、表示された地図から目的の箇所まで円滑に確認できる。なお、携帯通信端末3の移動距離と携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離とを一致させるとは、換言すれば、携帯通信端末3の移動距離に対する携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離の比率を等倍(1倍)に設定することである。
さらに、携帯通信端末3の移動距離に対する携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離の比率を等倍より大きく設定すると、携帯通信端末3を動かした距離よりも携帯通信端末3に表示させる地図は大きくスクロールする。この場合、目的の箇所が自車両9周辺から遠隔に位置しても、少ない距離だけ携帯通信端末3を動かすだけで、目的の箇所を容易に確認できる。
なお、携帯通信端末3の移動距離に対する携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離の比率を等倍より小さく(かつ、0より大きく)設定すると、携帯通信端末3を動かした距離よりも携帯通信端末3に表示させる地図は小さくスクロールする。この場合、目的の箇所周辺を詳細に確認できる。
以下、このような通信システム10の構成及び処理を詳細に説明する。
<1−2.構成>
図2は、通信システム10の構成を示す図である。図中の左側は車載装置2の構成、右側は携帯通信端末3の構成をそれぞれ示す。
車載装置2は、制御部20と、ディスプレイ22と、操作部23と、GPS部24と、カメラ25と、データ通信部28と、記憶部29とを備えている。制御部20は、CPU、RAM及びROMなどを備え、車載装置2の全体を制御するマイクロコンピュータである。
ディスプレイ22は、例えば、液晶パネルを備えており各種の画像を表示する。また、ディスプレイ22は、タッチパネル22aを備えており、ユーザの操作を受け付ける操作受付部材としても機能する。ユーザが、タッチパネルとしてのディスプレイ22を操作した場合は、その操作内容を示す信号が制御部20に入力される。
操作部23は、ユーザの操作を直接的に受け付ける操作受付部材である。操作部23は、例えば、ディスプレイ22の画面の下部に配置される複数の操作ボタンを含んでいる(図3参照。)。ユーザが操作部23を操作した場合は、その操作内容を示す信号が制御部20に入力される。
GPS部24は、複数のGPS衛星からの信号を受信して車載装置2の現時点の位置(地球上における絶対位置)を取得する。車載装置2は車両9に搭載されるため、GPS部24は実質的に車両9の現時点の位置を取得する。以下、GPS部24が取得する車両9の現時点の位置を「現在位置」という。GPS部24が取得する現在位置は、例えば緯度経度で表現され、地図中の位置を特定する情報としても利用できる。
カメラ25は、レンズと撮像素子とを備えており、被写体を撮影して撮影画像を電子的に取得する。カメラ25は、例えば、ディスプレイ22の画面の上部に配置される(図3参照。)。このため、カメラ25は、ディスプレイ22の画面の正面に存在する被写体を撮影し、その被写体の像を含む撮影画像を取得する。
データ通信部28は、所定の通信方式の無線通信により携帯通信端末3との間で信号の送信及び受信を行う。データ通信部28は、携帯通信端末3の動きを示す端末信号を携帯通信端末3から受信する。また、データ通信部28は、携帯通信端末3で表示すべき画像を携帯通信端末3に送信する。
記憶部29は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリであり、各種の情報を記憶する。記憶部29は、制御部20で実行可能なプログラム29a、ナビゲーション機能などに用いる地図データ29b、及び、補正データ29cを記憶している。プログラム29aに従って制御部20のCPUが演算処理を行うことで、制御部20においてナビゲーション機能を含む各種の機能を有する処理部がソフトウェア的に実現される。
補正データ29cは、携帯通信端末3の移動距離と携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離との倍率を設定する場合に使用される数値データである。補正データ29cは、0より大きい実数である。なお、補正データ29cは、記憶部29に予め記憶される。また、補正データ29cは、ユーザにより記憶部29に入力及び更新されてもよい。
補正データ29cが「1」である場合、携帯通信端末3の移動距離に対して携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離は等倍(1倍)となる。例えば、携帯通信端末3の移動距離が10cmの場合、携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離も10cmとなる。
一方、補正データ29cが「2」である場合、携帯通信端末3の移動距離に対して携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離は2倍になる。例えば、携帯通信端末3の移動距離が10cmの場合、携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離は20cmとなる。
なお、補正データ29cが「0.5」である場合、携帯通信端末3の移動距離に対して携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離は1/2倍になる。例えば、携帯通信端末3の移動距離が10cmの場合、携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離は5cmとなる。
図中に示す、車用地図制御部20a、ルート案内部20b、初期位置設定部20c、端末位置導出部20d及び端末地図制御部20eは、プログラム29aの実行によってソフトウェア的に実現される処理部の一部である。
車用地図制御部20aは、車載装置2のディスプレイ22に表示するための車用地図を生成し、ディスプレイ22に表示させる。車用地図制御部20aは、記憶部29に記憶された地図データ29bを用いて、現在位置を含む車用地図を生成する。車用地図制御部20aは、ディスプレイ22を制御して、生成した車用地図をディスプレイ22に表示させる。
ルート案内部20bは、目的地までのルートを案内する。ルート案内部20bは、記憶部29に記憶された地図データ29bを用いて、現在位置からユーザに設定された目的地までのルートを導出し、導出したルートを車用地図制御部20aが生成した車用地図に重畳する。これにより、目的地までのルートがユーザに提供される。
初期位置設定部20c、端末位置導出部20d及び端末地図制御部20eは、携帯通信端末3との連携に係る処理を実行する。これらの初期位置設定部20c、端末位置導出部20d及び端末地図制御部20eが実行する処理の詳細については後述する。
一方、携帯通信端末3は、制御部30と、通話部31と、ディスプレイ32と、モーションセンサ33と、データ通信部38と、記憶部39とを備えている。制御部30は、CPU、RAM及びROMなどを備え、携帯通信端末3の全体を制御するマイクロコンピュータである。
通話部31は、携帯通信端末3の通話機能を実現する。通話部31は、通話中のユーザが発した音声を電気信号に変換して基地局に送信すると共に、基地局から通話相手の音声を示す音声信号を受信してその音声を出力する。
ディスプレイ32は、例えば、液晶パネルを備えており各種の画像を表示する。また、ディスプレイ32は、タッチパネル32aを備えており、ユーザの操作を受け付ける操作受付部材としても機能する。ユーザが、タッチパネルとしてのディスプレイ32を操作した場合は、その操作内容を示す信号が制御部30に入力される。
モーションセンサ33は、自装置の動き(モーション)を検出する。モーションセンサ33は、例えば、3軸加速度及び3軸角速度を検出することが可能な6軸センサである。より具体的には、XYZ直交座標系を想定すると、モーションセンサ33は、XYZ軸それぞれに沿った移動(3軸加速度)、及び、XYZ軸それぞれを軸とした回転(3軸角速度)を検出することができる。物体がある速度で運動している場合にその物体に角速度が作用すると、見かけ上の力(コリオリの力)が発生する。また、物体に加速度が作用すると、力が発生する(ニュートンの法則)。モーションセンサ33はこれらの原理に基づき、3軸角速度及び3軸加速度を検出する。
データ通信部38は、所定の通信方式の無線通信により車載装置2との間で信号の送信及び受信を行う。データ通信部38は、携帯通信端末3の動きを示す端末信号を車載装置2に送信する。また、データ通信部38は、携帯通信端末3で表示すべき画像を車載装置2から受信する。
記憶部39は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリであり、各種の情報を記憶する。記憶部39は、制御部30で実行可能なアプリケーションのプログラム39aを記憶している。プログラム39aに従って制御部30のCPUが演算処理を行うことで、制御部30において各種の機能を有する処理部がソフトウェア的に実現される。
図中に示す、運動検出部30a、信号送信部30b及び表示制御部30cは、プログラム29aの実行によってソフトウェア的に実現される処理部の一部である。
運動検出部30aは、モーションセンサ33を制御して、モーションセンサ33から自装置の動き(モーション)を示すセンサ信号を取得する。このセンサ信号は、3軸加速度及び3軸角速度を示す信号である。信号送信部30bは、データ通信部38を制御して、運動検出部30aが取得したセンサ信号を端末信号として車載装置2に送信する。
また、表示制御部30cは、ディスプレイ32を制御して、データ通信部38が車載装置2から受信した画像をディスプレイ32に表示させる。
これら運動検出部30a、信号送信部30b及び表示制御部30cが実行する処理の詳細については後述する。
<1−2−1.連携動作>
次に、通信システム10における、車載装置2と携帯通信端末3との連携動作を説明する。
図3は、車載装置2が、携帯通信端末3と連携せずに単体で動作している様子を示す図である。図3に示すように、車載装置2は、車用地図M1をディスプレイ22において表示する。
車用地図M1は、現在位置(車両9の現時点の位置)を含む領域の地図である。車用地図M1は、その中心が現在位置に対応しており、車両9の位置を示す自車マークVMを中心に含んでいる。したがって、この車用地図M1を表示するディスプレイ22の画面の中心位置には、自車マークVMが配置される。
ユーザ(主に車両9のドライバ)は、このようなディスプレイ22に表示された車用地図M1を視認することで、現在位置の周辺の地図を確認できる。図3の例では、現在位置は「東京駅」の近傍となっており、「東京駅」を略中心とした車用地図M1が車載装置2のディスプレイ22に表示されている。
図4は、現在位置が図3と同一の場合において、車載装置2と携帯通信端末3とが連携して動作している様子を示す図である。この場合においても、車載装置2は、現在位置を含む領域の車用地図M1をディスプレイ22において表示する。
一方で、携帯通信端末3は、車用地図M1と縮尺が同一であるが、車用地図M1とは別の領域の地図(以下、「端末地図」という。)M2をディスプレイ32において表示する。端末地図M2は、車載装置2の位置に対する携帯通信端末3の相対的な位置に応じた領域の地図である。このため、ユーザが携帯通信端末3を把持して動かした場合は、その動きに応じて異なる領域の端末地図M2がディスプレイ32に表示される。
車載装置2のディスプレイ22の画面に対して携帯通信端末3を略平行に移動させると、携帯通信端末3はその移動に伴って端末地図M2をスクロールさせて表示する。端末地図M2のスクロールの距離は、携帯通信端末3の実際の移動距離とおよそ一致される。また、端末地図のスクロールの方向は、携帯通信端末3が移動する方向とおよそ一致される。その結果、携帯通信端末3は、その移動先の位置に応じた領域の端末地図M2を表示する。
図4の状態ST1aは、携帯通信端末3を車載装置2のディスプレイ22の画面に重ねた状態である。この場合、携帯通信端末3は、車載装置2に表示された車用地図M1において携帯通信端末3が重なる領域の端末地図M2を表示する。
状態ST2aは、携帯通信端末3を状態ST1aの位置から右斜め下側へ距離DT1aだけ移動させた状態である。この場合、携帯通信端末3は、車載装置2に表示された車用地図M1よりも状態ST1aの位置から距離DT1aだけ右斜め下側(すなわち南側)の領域の端末地図M2を表示する。図4の例では、「東京駅」の南側にある「空港」付近の領域の端末地図M2が、携帯通信端末3に表示される。
状態ST3aは、携帯通信端末3を状態ST2aの位置から右上側へ距離DT2aだけ移動させた状態である。この場合、携帯通信端末3は、状態ST2aで表示した端末地図M2よりも状態ST2aの位置から距離DT2aだけ右上側(すなわち北東側)の領域の端末地図M2を表示する。図4の例では、「東京駅」の南東側にある「テーマパーク」付近の領域の端末地図M2が、携帯通信端末3に表示される。
このように、ユーザは携帯通信端末3を把持して動かすことで、車載装置2のディスプレイ22に表示された領域とは異なる所望の領域の地図を閲覧できる。この際、車載装置2のディスプレイ22には車用地図M1が表示され、携帯通信端末3での端末地図M2の表示が車載装置2での車用地図M1の表示に影響を与えることはない。このため、ドライバは、車載装置2に表示された車用地図M1を視認することで、現在位置の近傍の領域を通常通り確認することができる。
上記のように、端末地図M2のスクロールの距離を携帯通信端末3の実際の移動距離と一致させると、携帯通信端末3は、その移動先の位置に応じた領域の端末地図M2を表示する。すなわち、携帯通信端末3の実際の移動距離に対する端末地図M2のスクロールの距離の倍率は等倍(1倍)である。
これに対し、携帯通信端末3の移動距離に対する携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離の比率を等倍より大きくすると、携帯通信端末3を動かした距離よりも携帯通信端末3に表示させる地図は大きくスクロールする。
図5は、携帯通信端末3の移動距離に対する携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離の比率を2倍とし、携帯通信端末3を車載装置2のディスプレイ22の画面に重ねた状態から移動させた様子である。携帯通信端末3の移動距離は、図4における移動距離(DT1a及びDT2a)に対し、半分の距離(DT1b及びDT2b)である。なお、移動方向は図4における場合と同様である。
図5の状態ST1bは、携帯通信端末3を車載装置2のディスプレイ22の画面に重ねた状態である。この場合、携帯通信端末3は、車載装置2に表示された車用地図M1において携帯通信端末3が重なる領域の端末地図M2を表示する。
状態ST2bは、携帯通信端末3を状態ST1bの位置から右斜め下側へ距離DT1aの半分の距離である距離DT1bだけ移動させた状態である。この場合、携帯通信端末3は、車載装置2に表示された車用地図M1よりも状態ST1bの位置から距離DT1bだけ右斜め下側(すなわち南側)の領域の端末地図M2を表示する。図5の例は、図4の例と同様に「東京駅」の南側にある「空港」付近の領域の端末地図M2が、携帯通信端末3に表示される。
状態ST3bは、携帯通信端末3を状態ST2bの位置から右上側へ距離DT2aの半分の距離である距離DT2bだけ移動させた状態である。この場合、携帯通信端末3は、状態ST2bで表示した端末地図M2よりも状態ST2bの位置から距離DT2bだけ右上側(すなわち北東側)の領域の端末地図M2を表示する。図4の例では、「東京駅」の南東側にある「テーマパーク」付近の領域の端末地図M2が、携帯通信端末3に表示される。
このように、図5の例は、図4の例より携帯通信端末3の移動距離が半分であるが、携帯通信端末3の移動距離に対する携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離の比率を2倍としたため、図4の例と同様の端末地図M2及び端末地図M3が携帯通信端末3に表示される。
したがって、携帯通信端末3の移動距離に対する携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離の比率を等倍より大きく設定すると、携帯通信端末3を動かした距離よりも携帯通信端末3に表示させる地図は大きくスクロールする。この場合、目的の箇所が自車両9周辺から遠隔に位置しても、少ない距離だけ携帯通信端末3を動かすだけで、目的の箇所を容易に確認できる。
なお、携帯通信端末3の移動距離に対する携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離の比率を等倍より小さく(かつ、0より大きく)設定すると、携帯通信端末3を動かした距離よりも携帯通信端末3に表示させる地図は小さくスクロールする。この場合、携帯通信端末3の移動距離よりも地図のスクロールする距離は小さいので(地図がゆっくり移動するので)、目的の箇所周辺を詳細に確認できる。
<1−2−2.広域地図における端末地図>
携帯通信端末3の位置は、車載装置2のディスプレイ22の画面の中心位置を基準に規定される。すなわち、ディスプレイ22の画面の中心位置が基準位置SPとされ、携帯通信端末3の位置は基準位置SPに対する相対位置として求められる。また、携帯通信端末3の移動距離や移動方向は、モーションセンサ33が検出した携帯通信端末3の動きに基いて導出される。
このような端末地図M2の表示を行う際には、車用地図M1よりも広域の広域地図が生成される。図6は、このような広域地図WMの一例を示す。広域地図WMの中心位置(以下、「地図中心」という。)CPは、車載装置2のディスプレイ22の画面の中心位置(すなわち、基準位置SP)に表示する位置となっている。したがって本実施の形態においては、地図中心CPは、車両9の現時点の位置である現在位置となる。車載装置2で表示される車用地図M1は、広域地図WM中の現在位置を中心に含む一部の領域R1を切り出すことで生成される。
一方、携帯通信端末3で表示される端末地図M2は、広域地図WM中の、携帯通信端末3の位置に応じた一部の領域R2を切り出すことで生成される。以下、広域地図WM中において端末地図M2として切り出す領域R2を「端末地図領域」という。
端末地図領域R2の地図中心CPに対する位置は、実際の携帯通信端末3の基準位置SPに対する位置と略一致される。すなわち、端末地図領域R2の地図中心CPに対する方向は、実際の携帯通信端末3の基準位置SPに対する方向に略一致される。また、地図中心CPから端末地図領域R2までの表示上の距離は、実際の基準位置SPから携帯通信端末3までの距離に略一致される。地図中心CPから端末地図領域R2までの表示上の距離を導出する際には、携帯通信端末3のディスプレイ32の画面の解像度及びサイズが考慮される。これにより、携帯通信端末3は、基準位置SPに対する相対位置に応じた領域の端末地図M2を表示することになる。
例えば、図4の状態ST1a及び図5の状態ST1bにおいては、基準位置SPに対して左側に携帯通信端末3が存在する。このため、状態ST1a及びST1bにおいては、図6の広域地図WM中の地図中心CPに対して左側の領域R21が、端末地図領域R2として切り出され端末地図M2となる。
また、図4の状態ST2a及び図5の状態ST2bにおいては、基準位置SPに対して下側に携帯通信端末3が存在する。このため、状態ST2a及び状態ST2bにおいては、図6の広域地図WM中の地図中心CPに対して下側の領域R22が、端末地図領域R2として切り出され端末地図M2となる。
また、図4の状態ST3a及び図5の状態ST3bにおいては、基準位置SPに対して右下側に携帯通信端末3が存在する。このため、状態ST3a及び状態ST3bにおいては、図6の広域地図WM中の地図中心CPに対して右下側の領域R23が、端末地図領域R2として切り出され端末地図M2となる。
<1−3.処理>
次に、通信システム10の連携動作の流れを説明する。図7は、連携動作の基本的な処理の流れを示す。この動作の開始時点においては、車載装置2と連携するための専用のアプリケーションが、携帯通信端末3において実行される。これにより、携帯通信端末3においては、運動検出部30a、信号送信部30b及び表示制御部30cが有効化される。
まず、車載装置2と携帯通信端末3とが接続のネゴシエーションを実行し、通信可能な状態を確立する(ステップU1)。この処理によって、以降、車載装置2と携帯通信端末3とが相互に信号を送受信することが可能となる。
次に、携帯通信端末3の初期位置を設定する初期位置設定処理が実行される(ステップU2)。初期位置設定処理では、連携動作の開始時点での携帯通信端末3の位置が初期位置として設定される。
次に、車載装置2と携帯通信端末3とが連携して地図を表示する連携表示処理が実行される(ステップU3)。連携表示処理では、上述したように、携帯通信端末3が基準位置SPに対する相対位置に応じた領域の端末地図M2を表示することになる。
以下では、初期位置設定処理及び連携表示処理それぞれの詳細な流れを説明する。
<1−3−1.初期位置設定処理>
まず、携帯通信端末3の初期位置を設定する初期位置設定処理(図7のステップU2)の流れを説明する。図8は、初期位置設定処理の流れを示す図である。図中の左側は車載装置2の処理、図中の右側は携帯通信端末3の処理を示している。
まず、携帯通信端末3の信号送信部30bが、初期位置を設定するための初期設定操作をユーザが行ったか否かを判定する(ステップU11)。ユーザは、タッチパネルとしてのディスプレイ32に表示されたコマンドボタンに触れることで、この初期設定操作を行うことができる。ユーザは、ディスプレイ22の画面の正面付近に携帯通信端末3を移動させた上で、このような初期設定操作を行う。
初期設定操作がなされた場合は(ステップU11にてYes)、信号送信部30bは、データ通信部38を制御して、初期設定操作がなされたことを示す設定信号を車載装置2に送信する(ステップU12)。
携帯通信端末3から送信された設定信号は、車載装置2のデータ通信部28が受信する(ステップU13)。車載装置2の初期位置設定部20cは、この設定信号の受信に応答して、カメラ25を制御して撮影を実行させる。カメラ25は、ディスプレイ22の画面の正面に存在する携帯通信端末3を撮影する(ステップU14)。これにより、初期位置設定部20cは、携帯通信端末3の像を含む撮影画像を取得する。
次に、初期位置設定部20cは、取得した撮影画像中の携帯通信端末3の像を認識する(ステップU15)。初期位置設定部20cは、例えば、パターンマッチングなどの周知の手法により、撮影画像中の携帯通信端末3の像を認識できる。
次に、初期位置設定部20cは、撮影画像中の携帯通信端末3の像の位置に基づいて、携帯通信端末3の初期位置を設定する(ステップU16)。初期位置設定部20cは、携帯通信端末3の像の位置の撮影画像の中心からのズレに基づいて、実際の携帯通信端末3の位置が、基準位置(ディスプレイ22の画面の中心位置)SPからどの方向にどの程度ズレているか、すなわちどの程度逸脱しているかを導出する。これにより、初期位置設定部20cは、基準位置SPを基準として携帯通信端末3の初期位置を設定する。
<1−3−2.連携表示処理>
次に、車載装置2と携帯通信端末3とが連携して地図を表示する連携表示処理(図7のステップU3)の流れを説明する。図9は、連携表示処理の流れを示す図である。図中の左側は車載装置2の処理、図中の右側は携帯通信端末3の処理を示す。図9に示す処理は、所定周期(例えば、1/30秒周期)で繰り返し実行される。
まず、車載装置2の車用地図制御部20aが、GPS部24を制御し、地図中の車両9の現時点の位置である現在位置を取得する(ステップU31)。
次に、車用地図制御部20aが、車用地図M1よりも広域の広域地図WMを生成する(ステップU32)。車用地図制御部20aは、記憶部29に記憶された地図データ29bを用い、図6に示すように現在位置を地図中心CPとする広域地図WMを生成する。
次に、車用地図制御部20aは、車用地図M1を生成してディスプレイ22に表示させる(ステップU33)。車用地図制御部20aは、広域地図WMの現在位置を中心とした領域R1を切り出すことで車用地図M1を生成する。車用地図制御部20aは、ディスプレイ22を制御し、生成した車用地図M1をディスプレイ22に表示させる。
これにより、現在位置を中心とした車用地図M1が車載装置2に表示される。目的地が設定されている場合は、ルート案内部20bが、ディスプレイ22への表示前に目的地までのルートを車用地図M1に重畳する。このため、ユーザ(主にドライバ)は車載装置2に表示された車用地図M1を視認することで、現在位置の周辺領域、及び、目的地までのルートを確認できる。
このように車載装置2が車用地図M1を表示する一方、携帯通信端末3では、モーションセンサ33が携帯通信端末3の動き(モーション)を検出する(ステップU41)。運動検出部30aは、モーションセンサ33を制御し、モーションセンサ33から携帯通信端末3の動きを示すセンサ信号を取得する。かかるセンサ信号は、3軸加速度及び3軸角速度を示す。
次に、携帯通信端末3の信号送信部30bが、データ通信部38を制御して、センサ信号を、携帯通信端末3の動きに応じた端末信号として車載装置2に送信する(ステップU42)。
携帯通信端末3から送信されたセンサ信号は、車載装置2のデータ通信部28が受信する(ステップU34)。車載装置2の端末位置導出部20dは、センサ信号が示す3軸加速度に基づいて、前回の連携表示処理(図9の一連の処理)からの携帯通信端末3の3軸それぞれに沿った移動距離を導出する(ステップU35)。
次に、端末位置導出部20dは、記憶部29から補正データ29cを読み出し、補正データ29cの示す数値を導出した移動距離に掛け合わせて補正した距離である補正移動距離を導出する(ステップU36)。補正データ29cは、前述の通り0より大きい実数である。したがって、補正データ29cは、補正データ29cが「2」の場合は、移動距離に2を掛け合わせて補正した距離を補正移動距離とする。また、補正データ29cが「0.5」の場合は、移動距離の1/2の距離を補正移動距離とする。なお、補正データ29cが「1」の場合は、移動距離に1を掛け合わせた距離、すなわち移動距離が補正移動距離となる。
端末位置導出部20dは、過去に繰り返された連携表示処理において導出された携帯通信端末3の補正移動距離を積算することで、初期位置からの携帯通信端末3の3軸それぞれに沿った補正移動距離を導出する。前述のように、初期位置は基準位置SPを基準として初期位置設定処理において設定されている。このため、端末位置導出部20dは、基準位置SPを基準とした初期位置と、初期位置からの携帯通信端末3の補正移動距離とに基づいて、基準位置SPに対する携帯通信端末3の広域地図WM上の相対位置を導出する(ステップU37)。
次に、端末地図制御部20eが、基準位置SPに対する携帯通信端末3の広域地図WM上の相対位置の周辺領域を端末地図M2として設定する。そして、端末地図制御部20eは、設定した端末地図領域R2を広域地図WMから抽出して端末地図M2を生成する(ステップU38)。
次に、端末地図制御部20eは、データ通信部28を制御して、生成した端末地図M2を携帯通信端末3に送信する(ステップU39)。これにより、端末地図制御部20eは、端末地図M2を携帯通信端末3に表示させる。
車載装置2から送信された端末地図M2は、携帯通信端末3のデータ通信部38が受信する(ステップU43)。携帯通信端末3の表示制御部30cは、この端末地図M2の受信に応答して、ディスプレイ32を制御して、車載装置2から受信した端末地図M2をディスプレイ32に表示させる(ステップU44)。これにより、携帯通信端末3は、基準位置SPに対する相対位置に応じた領域の端末地図M2を表示することになる。
以上のように、通信システム10では、携帯通信端末3が、携帯通信端末3の動きを検出し、携帯通信端末3の動きに応じたセンサ信号を車載装置2に送信する。車載装置2は、携帯通信端末3からセンサ信号を受信し、そのセンサ信号に基づいて携帯通信端末3の動きに応じた処理を実行する。
このように車載装置2が携帯通信端末3の動きに応じた処理を実行するため、車載装置2の主対象となるユーザ(ドライバ)以外のユーザであっても、ユーザは携帯通信端末3を動かすことで車載装置2に所望の処理を実行させることができる。
また、車載装置2のディスプレイ22は、広域地図WM中の現在位置を含む領域R1を切り出して生成された車用地図M1を表示する。これとともに、車載装置2の端末位置導出部20dは、携帯通信端末3の動きに基づいて、基準位置SPに対する携帯通信端末3の相対位置を導出する。そして、車載装置2の端末地図制御部20eは、広域地図WM中の、携帯通信端末3の相対位置に応じた端末地図領域R2を切り出して端末地図M2を生成する。端末地図制御部20eは、この端末地図M2を携帯通信端末3に送信して、携帯通信端末3のディスプレイ32に端末地図M2を表示させる。
したがって、車載装置2と携帯通信端末3とで同一の広域地図WM中の異なる領域を表示させることができる。ユーザは、携帯通信端末3を動かすことで、広域地図WM中の所望の領域の端末地図M2を携帯通信端末3のディスプレイ32で閲覧することができる。また、携帯通信端末3での端末地図M2の表示が、車載装置2での車用地図M1の表示に影響を与えることもない。
また、携帯通信端末3の移動距離と携帯通信端末3に表示させる地図のスクロールする距離とを所定の倍率に設定すると、自車両9周辺から遠隔の箇所であっても、少ない距離だけ携帯通信端末3を動かすだけで、目的の箇所を容易に確認できる。
<2.第2の実施の形態>
<2−1.概要>
次に、第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態に係る通信システム10の構成及び処理は第1の実施の形態の構成及び処理を含む。このため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
前述の通り第1の実施の形態は、携帯通信端末3の移動距離に対して所定倍した距離だけ地図を移動させた。これにより、現在地から遠距離の領域であっても携帯通信端末3を本来の距離より短く移動させるだけで、かかる領域を閲覧できた。
これに対し、第2の実施の形態は、ユーザの指定した間隔で地図を移動させる。すなわち、ユーザが車載装置2に表示された地図に対して2つの地点を指定する。その後、携帯通信端末3を一定距離だけ移動させると、指定した2地点間の距離だけ地図を移動させる。そして、移動させた地図を携帯通信端末3に表示する。なお、2地点間の距離とは、ディスプレイ22における距離であり、地図の縮尺を反映させた距離ではない。したがって、2地点間の距離の最大値はディスプレイ22の対角線の距離となる。ただし、2地点間の距離を地図の縮尺を反映させた距離としてもよい。
例えば、ユーザが指定した2つの地点間の距離が10cmであり、かかる2地点間距離に対応する携帯通信端末3の移動距離が5cmであった場合、ユーザは携帯通信端末3を5cm移動させるだけで、地図をディスプレイ上の距離で10cm移動させることができる。
これにより、ユーザの指定した間隔で地図が移動するので、所望の領域を容易に閲覧できる。特に、補正値により所定倍した距離だけ地図を移動させる場合に比較し、視覚的に地図の移動間隔を設定できるので、携帯通信端末の移動距離に対する地図の移動距離を感覚的に把握できる。
図10は、ユーザが車載装置2のディスプレイ22に表示された車用地図M1に対し、2つの地点を指定する様子を示す。ユーザは車載装置2のタッチパネル22aに対して手指UFをタッチすることで、2つの地点P1及びP2を指定する。
図11は、ユーザが2地点P1及びP2を指定後、携帯通信端末3を一定距離だけ移動させることで、2地点間距離PDに対応する携帯通信端末3の移動距離を設定する様子を示す。車載装置2は、ユーザにより2地点P1及びP2が指定されると、ディスプレイ22にメッセージME1を表示し、ユーザに携帯通信端末3を移動させて2地点間距離PDに対応する携帯通信端末3の移動距離を設定するよう促す。メッセージME1は、例えば、「2点間の距離に対する端末の移動距離を入力して下さい。」である。
ユーザが携帯通信端末3を位置ST4aから位置ST4bへ移動させると、携帯通信端末3は距離DT4だけ移動する。なお、ユーザは携帯通信端末3を移動させている間は携帯通信端末3の所定のボタンを押し続けることで、携帯通信端末3が移動中であることを車載装置2へ送信できる。すなわち、ボタンを押されている間に移動した距離が、車載装置2へ送信されて2地点間距離PDに対応する携帯通信端末3の移動距離DT4として設定される。ただし、ユーザが携帯通信端末3のタッチパネル32aに対して数値で入力してもよい。
車載装置2は、2地点間距離PDと携帯通信端末3の移動距離DT4とが入力されると、両距離に基づき地図を移動させる距離を算出するための補正値を、下記演算式(1)により導出する。
補正値=2地点間距離PD/移動距離DT4・・・・・(1)
すなわち、2地点間距離PDが10cmであり、移動距離DT4が5cmである場合、補正値として2(倍)が設定される。これにより、ユーザが携帯通信端末3を5cm移動させると、地図が2倍の10cm移動される。一方、2地点間距離PDが5cmであり、移動距離DT4が10cmである場合、補正値として0.5が設定される。この場合、ユーザが携帯通信端末3を10cm移動させると、地図が0.5倍の5cm移動される。このため、ユーザは地図を詳細に視認できる。
<2−2.構成>
図12は、第2の実施の形態の通信システム10の構成を示す。車載装置2の制御部20は、2地点間設定部20f及び一定距離設定部20gを備える。
2地点間設定部20fは、ユーザがタッチパネル22aに対して2点地点をタッチした場合にかかる2地点間の距離を導出する。
一定距離設定部20gは、ユーザがタッチパネル22aに対して2点地点をタッチした後、携帯通信端末3が移動した距離を2点地点間距離に対応する一定距離として導出する。一定距離設定部20gは、ユーザがタッチパネル22aにタッチ後、車載装置2又は携帯通信端末3の所定のボタンを押し続けいている間に移動した距離を導出する。これにより、一定距離設定部20gは、ユーザが地図の閲覧のために携帯通信端末3を移動させたのか、2地点間距離に対応する一定距離を設定するために移動させたのかを判別できる。なお、かかる判別手法は他の手法でもよい。一定距離を設定するための移動の開始と終了とが判別できる手法であればよい。
一定距離設定部20gは、2地点間距離に対応する一定距離を設定すると、地図を移動させるための補正値を前述の演算式(1)により導出する。一定距離設定部20gは、導出した補正値を補正データ29cとして記憶部29に記憶させる。
<2−3.処理>
図13は、第2の実施の形態の連携表示処理(図7のステップU3)を示す。ステップU33が実行されると、2地点間設定部20fは、地図上の2地点を設定するか否か、すなわち2地点間距離に対応する携帯通信端末3の移動する一定距離を設定するか否か判断する(ステップU311)。車載装置2は、ユーザに対してかかる判断を行うよう促すメッセージをディスプレイ22に表示する。この際、ユーザは、タッチパネル22aに対して2地点設定の実行可否を入力すればよい。
2地点間設定部20fが2地点を設定しないと判断すると(ステップU311でNo)、ステップU34の処理が実行される。
一方、2地点間設定部20fが2地点を設定すると判断すると(ステップU311でYes)、ステップU312の処理が実行される。
図14は、ステップU312の処理の詳細を示す。まず、2地点間設定部20fが、表示された地図に対して2地点を入力するよう要求するメッセージをディスプレイ22に表示する(ステップU312a)。かかるメッセージは、例えば、「画面上の2点をタッチして下さい」である。
2地点間設定部20fがメッセージを表示すると、タッチパネル22aは、ユーザのタッチ入力を受付け(ステップU312b)、タッチされたディスプレイ22における2地点の位置を導出し、2地点間の距離を制御部20に送信する。
タッチパネル22aがユーザのタッチ入力を受付けると、一定距離設定部20gは、2地点間距離に対応する携帯通信端末3の移動する距離である一定距離を設定するよう要求するメッセージをディスプレイ22に表示する(ステップU312c)。かかるメッセージを参照したユーザは、携帯通信端末3を把持して所望の距離だけ移動させる。
一定距離設定部20gは、携帯通信端末3からセンサ信号を受信すると、携帯通信端末3が移動した距離を導出し、一定距離として設定する(ステップU312d)。
一定距離設定部20gは、一定距離を設定すると、前述の演算式(1)に基づき、補正値を導出して記憶部29に記憶させる(ステップU312e)。
ステップU312eが実行されると、処理は図13の処理に戻り、ステップU34以下が実行される。
以上のように、ユーザが車載装置2に表示された地図に対して2つの地点を指定し、その後、携帯通信端末3を一定距離だけ移動させると、指定した2地点間の距離だけ地図を移動させる。そして、移動させた地図を携帯通信端末3に表示する。
すなわち、ユーザが指定する地図上の2地点間の距離に携帯通信端末3の移動する一定距離を対応づけ、携帯通信端末3を一定距離だけ移動させると、2地点間の距離だけ地図を移動させて、地図を携帯通信端末3に表示する。また、2地点間の距離と一定距離との比率による距離だけ地図を移動させて携帯通信端末3に表示する。
これにより、ユーザは地図上で指定する間隔で地図を移動させ、所望の領域を容易に表示できる。特に、地図上の2地点間距離を携帯通信端末3の一定距離より短く設定することで、現在地から遠距離を参照する際に、携帯通信端末3を移動させる距離を短くでき、利便性を向上できる。また、ユーザが地図上で2地点を指定することで、指定した距離を視覚的に把握でき、どの程度の距離を指定したのか感覚的に認識できる。この場合、数値で距離を入力した場合に比較して、誤入力を防止できる。
<3.第3の実施の形態>
<3−1.概要>
次に、第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態に係る通信システム10の構成及び処理は第1の実施の形態の構成及び処理を含む。このため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
前述の通り第1の実施の形態は、携帯通信端末3の移動距離に対して所定倍した距離だけ地図を移動させた。これにより、現在地から遠距離の領域であっても携帯通信端末3を本来の距離より短く移動させるだけで、かかる領域を閲覧できた。
これに対し、第3の実施の形態は、ユーザの選択した地図上の距離である選択距離で地図を移動させる。すなわち、ユーザが地図上の所望の距離を選択し、かかる選択距離に携帯通信端末3の移動する一定距離を対応させ、携帯通信端末3を一定距離だけ移動させることで、選択距離だけ地図を移動できる。そして、移動させた地図を携帯通信端末3に表示する。なお、選択距離とは、縮尺が反映された表示中の地図に対する距離であり、ディスプレイ22における距離ではない。したがって、このため、選択距離には、5kmや10kmという数値が選択され得る。
例えば、ユーザが選択距離として5kmを選択し、かかる選択距離に対応する携帯通信端末3の移動距離が30cmであった場合、ユーザは携帯通信端末3を30cm移動させるだけで、地図上の距離で地図を5km移動させて表示することができる。なお、地図表示の縮尺を変更した場合であっても、選択距離は5kmである。したがって、車載装置2に表示される地図を拡大(詳細化)すると、携帯通信端末3に表示される地図の見掛け上の移動距離は大きくなる。一方、車載装置2に表示される地図を縮小(広域化)すると、携帯通信端末3に表示される地図の見掛け上の移動距離は小さくなる。
これにより、ユーザは地図上で選択する距離で地図を移動させ、所望の領域を容易に表示できる。特に、携帯通信端末3をどの程度移動させると、地図が何m移動するかを把握できるため、所望の領域を素早く参照できる。
図15は、車用地図M1上の所定距離を選択後、携帯通信端末3を一定距離DT5だけ移動させ、選択した選択距離SDに対応する携帯通信端末3の移動距離を設定する様子を示す。
車載装置2は、ディスプレイ22にユーザが選択すべき距離となる選択距離SDを示すスケールSCを表示する。ユーザは、選択距離SDが所望の距離となるよう、選択距離SDの増加ボタンSCaや減少ボタンSCbを操作し、選択ボタンCBを押す。
車載装置2は、ユーザが選択距離SDを決定すると、ディスプレイ22にメッセージME2を表示し、ユーザに携帯通信端末3を移動させて選択距離SDに対応する携帯通信端末3の移動距離を設定するよう促す。メッセージME2は、例えば、「選択した距離に対応する端末の移動距離を入力して下さい。」である。
ユーザが携帯通信端末3を位置ST5aから位置ST5bへ移動させると、携帯通信端末3は距離DT5だけ移動する。車載装置2は、選択距離SDと携帯通信端末3の移動距離DT5とが入力されると、両距離に基づき地図を移動させる距離を算出するための補正値を、下記演算式(2)により導出する。
補正値=選択距離SD/移動距離DT5・・・・・(2)
すなわち、選択距離SDが5kmであり、移動距離DT5が50cmである場合、補正値として10,000(倍)が設定される。これにより、ユーザが携帯通信端末3を50cm移動させると、地図が10,000倍の5km移動される。一方、選択距離SDが移動距離DT5より短距離の場合も上記演算式(2)により補正値が導出される。ただし、演算として可能であるが、実用上は想定されない。この場合、地図の移動は現在地付近に限定され、地図の移動が微小だからである。
<3−2.構成>
図16は、第3の実施の形態の通信システム10の構成を示す。車載装置2の制御部20は、選択距離設定部20h及び一定距離設定部20iを備える。
選択距離設定部20hは、携帯通信端末3の移動距離に対する地図の移動距離を設定する。ユーザがタッチパネル22aを操作して選択した距離を選択距離として設定する。
一定距離設定部20iは、ユーザが選択距離を選択した後、携帯通信端末3が移動した距離を選択距離に対応する一定距離として導出する。なお、一定距離の導出手法は、第2の実施の形態における手法と同様である。
一定距離設定部20gは、選択距離に対応する一定距離を設定すると、地図を移動させるための補正値を前述の演算式(2)により導出する。一定距離設定部20gは、導出した補正値を補正データ29cとして記憶部29に記憶させる。
<3−3.処理>
図17は、第3の実施の形態の連携表示処理(図7のステップU3)を示す。ステップU33が実行されると、選択距離設定部20hは、選択距離を設定するか否か、すなわち地図上で選択した距離に対応する携帯通信端末3の移動する一定距離を設定するか否か判断する(ステップU321)。車載装置2は、ユーザに対してかかる判断を行うよう促すメッセージをディスプレイ22に表示する。この際、ユーザは、タッチパネル22aに対して選択距離設定の実行可否を入力すればよい。
選択距離設定部20hが選択距離を設定しないと判断すると(ステップU321でNo)、ステップU34の処理が実行される。
一方、選択距離設定部20hが選択距離を設定すると判断すると(ステップU321でYes)、ステップU322の処理が実行される。
図18は、ステップU322の処理の詳細を示す。まず、選択距離設定部20hは、ディスプレイ22に地図上の距離を示すスケールを表示する(ステップU322a)。スケールには、地図上の距離が数値で付加される。ユーザはスケールを参照しつつ、選択すべき地図上の距離を増減できる。
選択距離設定部20hは、スケールを表示すると、距離を選択するよう要求するメッセージをディスプレイ22に表示する(ステップU322b)。メッセージを参照したユーザは、スケールを所望の距離に設定し、タッチパネル22a上の選択ボタンCBを押す。
ユーザが選択ボタンCBを押すと、選択距離設定部20hは、スケールが表示した距離を選択距離として受け付ける(ステップU322c)。選択距離設定部20hは、受け付けた選択距離を制御部20のメモリに記憶させる。なお、選択距離は、制御部20のメモリに記憶させるとともに、記憶部29に記憶させてもよい。この場合、車載装置2の次回起動時に記憶部29から選択距離を読み出し、使用してもよい。
選択距離設定部20hが選択距離を受け付けると、一定距離設定部20iは、選択距離に対応する携帯通信端末3の移動する距離である一定距離を設定するよう要求するメッセージをディスプレイ22に表示する。かかるメッセージを参照したユーザは、携帯通信端末3を把持して所望の距離だけ移動させる。
一定距離設定部20iは、携帯通信端末3からセンサ信号を受信すると、携帯通信端末3が移動した距離を導出し、一定距離として設定する(ステップU322d)。
一定距離設定部20iは、一定距離を設定すると、前述の演算式(2)に基づき、補正値を導出して記憶部29に記憶させる(ステップU322e)。
ステップU322eが実行されると、処理は図17の処理に戻り、ステップU34以下が実行される。
以上のように、本発明の第3の実施の形態は、地図上で選択した距離と携帯通信端末3の一定の移動距離とを対応させ、携帯通信端末3が一定距離を移動すると地図を選択距離だけ移動させる。また、選択距離と一定距離との比率による距離だけ地図を移動させて携帯通信端末3に表示する。このため、ユーザは、現在地から遠距離にある所望の領域を容易に携帯通信端末3に表示できる。特に、ユーザは自ら選択距離を選択するため、携帯通信端末3をどの程度移動させると、地図が何m移動するかを把握できる、所望の領域を素早く参照できる。
<4.第4の実施の形態>
<4−1.概要>
次に、第4の実施の形態を説明する。第4の実施の形態に係る通信システム10の構成及び処理は第1の実施の形態の構成及び処理を含む。このため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
前述の第1の実施の形態に係る通信システム10は、地図の表示範囲は広域地図WMで固定されていた。
これに対し、第4の実施の形態に係る通信システム10は、ユーザの操作により地図の表示範囲を決定し、その後かかる表示範囲と携帯通信端末3の移動距離とを対応付ける。これにより、ユーザは広域地図WMにおける所望の範囲を、所望の携帯通信端末3の移動距離で参照することができる。
図19は、ユーザの操作により地図の表示範囲EXが決定された様子と、表示範囲EXの中心位置から最も遠距離となる位置EXaまでの距離RDa、携帯通信端末3の移動距離DT6とを示す。
ユーザはタッチパネル22a等を操作して所望の表示範囲の一辺となる距離RDを数値で入力する。例えば、20kmである。車載装置2は、ユーザの距離RDの入力を受け、現在地を中心に、一辺が20kmとなる方形の表示範囲を広域地図WM内に設定する。
携帯通信端末3の移動する位置ST5aから位置ST5bまでの距離が一定距離DT6であり、表示範囲EXの中心位置から最も遠距離となる位置EXaまでの距離RDaと対応付けられる。
したがって、表示範囲EXが設定された後、携帯通信端末3が移動距離DT5を移動すると、携帯通信端末3に表示される地図は距離RDaだけ移動して表示される。
なお、携帯通信端末3の移動に伴う地図の移動距離は、表示範囲EXの中心位置CPから最も遠距離となる位置EXaと一定距離DT6との比率に基づいて導出される。例えば、位置EXaまでの距離が10kmであり、一定距離DT6が50cmの場合、両者の比率は20,000:1である。したがって、携帯通信端末3が10cmだけ移動すると、地図は2万倍の2km移動して表示される。かかる比率は補正値として、下記演算式(3)により導出する。
補正値=距離RDa/一定距離DT5・・・・・(3)
これにより、ユーザは広域地図WMにおける所望の範囲を、所望の携帯通信端末3の移動距離で参照することができる。
なお、一定距離を設定後に、表示範囲の一辺となる距離RDを入力し、距離RDaと一定距離DT5とを対応付けてもよい。
<4−2.構成>
図20は、第4の実施の形態に係る通信システム10の構成を示す。車載装置2の制御部20は、表示範囲決定部20j及び一定距離設定部20kを備える。
表示範囲決定部20jは、ユーザによる表示範囲の一辺となる距離の入力を受け、現在地を中心に、一辺が入力された距離となる方形の表示範囲を広域地図WM内に設定する。また、後述の一定距離設定部20kが設定した一定距離と、表示範囲の中心位置から最も遠距離となる位置までの距離とを対応付ける。
一定距離設定部20kは、表示範囲が決定後、携帯通信端末3が移動した距離を一定距離として導出する。なお、一定距離の導出手法は、第2の実施の形態における手法と同様である。
<4−3.処理>
図21は、第4の実施の形態の連携表示処理(図7のステップU3)を示す。ステップU33が実行されると、表示範囲決定部20jは、広域地図WM上にユーザの希望する表示範囲を設定するか否か判断する(ステップU331)。車載装置2は、ユーザが所定のボタンを操作等するか否かにより、かかる判断を行う。
表示範囲決定部20jが表示範囲を設定しないと判断すると(ステップU331でNo)、ステップU34の処理が実行される。
一方、表示範囲決定部20jが表示範囲を設定すると判断すると(ステップU331でYes)、ステップU332の処理が実行される。
図22は、ステップU332の処理の詳細を示す。
まず、表示範囲決定部20jが、ユーザによる距離の入力を受け、広域地図WM上に表示範囲を設定する(ステップU332a)。
次に、一定距離設定部20lは、携帯通信端末3が移動する距離を導出し、一定距離として設定する(ステップU332b)。
表示範囲決定部20jは、前述の演算式(3)に基づき、補正値を導出して記憶部29に記憶させる(ステップU332c)。
ステップU332cが実行されると、処理は図21の処理に戻り、ステップU34以下が実行される。
以上のように、本発明の第4の実施の形態は、ユーザの操作により地図の表示範囲を決定し、その後かかる表示範囲と携帯通信端末3の移動距離とを対応付ける。これにより、ユーザは広域地図WMにおける所望の範囲を、所望の携帯通信端末3の移動距離で参照することができる。
<5.第5の実施の形態>
<5−1.概要>
次に、第5の実施の形態を説明する。第5の実施の形態に係る通信システム10の構成及び処理は第1の実施の形態の構成及び処理を含む。このため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
前述の第1の実施の形態は、携帯通信端末3の移動距離を所定倍した距離だけ地図を移動させて携帯通信端末3に表示させた。この際、地図を移動させる倍率が低倍率かつ参照したい領域が現在地から遠距離であると、ユーザは携帯通信端末3を遠距離まで移動させなくては所望の領域を参照できない。参照したい領域が、ユーザが携帯通信端末3を移動できる範囲を超えて所在すると、ユーザは地図を移動させる倍率を変更しなければ所望の領域を参照できず、利便性の低下を招く恐れがあった。
これに対し、第5の実施の形態は、ユーザの中心位置からユーザの手の届く限界位置までの一定距離と、現在地である地図中心部から目的地等の所定位置までの距離とを対応付ける。
これにより、地図の表示範囲は現在地から所定位置までを半径とする円状となる。ユーザは手の届く範囲内で、目的地等の所定位置を含む円状の表示範囲で所望の領域を参照できる。
なお、円状の表示範囲の半径である半径距離と対応付けられるユーザの一定距離は、必ずしもユーザの手の届く限界位置の距離とする必要はない。ユーザの手の届く範囲内の一定距離であればよい。
なお、半径距離には10kmや100kmという数値が設定され得る。ユーザの手の届く限界位置等までの一定距離には、ユーザの腕の長さ程度が想定され、数十cmという数値が設定され得る。
図23は、現在位置CP及び目的地GPを含む広域地図WM上に、円状の表示範囲CEが設定された様子を示す。
円状の表示範囲CEの半径距離EDは、ユーザの中心位置からユーザの手の届く限界位置又は所定位置までの一定距離DT7と対応付けられている。
携帯通信端末3の位置ST6aはユーザの中心である。携帯通信端末3の位置ST6bはユーザの手の届く限界位置又は所定位置である。携帯通信端末3の移動する位置ST6aから位置ST6bまでの距離が、半径距離EDと対応付けられる一定距離DT6となる。
したがって、円状の表示範囲CEが設定された後、携帯通信端末3が移動距離DT6を移動すると、携帯通信端末3に表示される地図は半径距離EDだけ移動して表示される。また、携帯通信端末3が広域地図WMの1/2だけ移動した場合、携帯通信端末3に表示される地図も一定距離DT6の1/2だけ移動する。また、携帯通信端末3の移動に伴う地図の移動距離は、半径距離EDと一定距離DT6との比率に基づいて導出される。例えば、半径距離EDが10kmであり、一定距離DT6が50cmの場合、両者の比率は20,000:1である。したがって、携帯通信端末3が10cmだけ移動すると、地図は2万倍の2km移動して表示される。かかる比率は補正値として、下記演算式(4)により導出する。
補正値=半径距離ED/一定距離DT6・・・・・(4)
なお、半径距離EDを現在位置からどの程度の距離とするかは、ユーザが入力すればよい。すなわち、ユーザが地図上の所望の位置をタッチすることで、現在位置からタッチされた所望位置までの距離を半径距離EDとすればよい。また、ユーザが入力しない場合は、現在位置から目的地までの距離を半径距離EDとすればよい。なお、目的地は自宅等の所定地点である。
これにより、ユーザは携帯通信端末3の把持する手の届く範囲内で、目的地等の所望の位置までを半径とする円状の表示範囲CE内で所望の領域を参照できる。したがって、ユーザが参照を希望する目的地等の所望の位置が、現在地より遠距離に所在しても、ユーザの手の届く範囲内において携帯通信端末3を移動させて参照できる。
<5−2.構成>
図24は、第5の実施の形態に係る通信システム10の構成を示す。車載装置2の制御部20は、一定距離設定部20l及び円状範囲決定部20mを備える。
一定距離設定部20lは、ユーザが選択距離を選択した後、携帯通信端末3が移動した距離を選択距離に対応する一定距離として導出する。なお、一定距離の導出手法は、第2の実施の形態における手法と同様である。
円状範囲決定部20mは、ユーザにより地図上の所定位置が入力されると、現在位置から所定位置までの距離(半径距離)を導出し、現在位置を中心として半径距離を半径とする円状の範囲を設定し、かかる円状範囲を携帯通信端末3における地図の表示範囲とする。
また、円状範囲決定部20mは、一定距離設定部20lが導出した一定距離と、半径距離とを対応付ける。すなわち、携帯通信端末3に表示される地図を移動させるための補正値を前述の演算式(4)により導出する。一定距離設定部20gは、導出した補正値を補正データ29cとして記憶部29に記憶させる。
<5−3.処理>
図25は、第5の実施の形態の連携表示処理(図7のステップU3)を示す。ステップU33が実行されると、円状範囲決定部20mは、広域地図WM上に円状の表示範囲を設定するか否か判断する(ステップU341)。車載装置2は、ユーザに対してかかる判断を行うよう促すメッセージをディスプレイ22に表示する。この際、ユーザは、タッチパネル22aに対して実行可否を入力すればよい。また、ユーザが所定のボタンを操作等することで、円状の表示範囲の設定を直ちに実行してもよい。
円状範囲決定部20mが円状の表示範囲を設定しないと判断すると(ステップU321でNo)、ステップU34の処理が実行される。
一方、円状範囲決定部20mが円状の表示範囲を設定すると判断すると(ステップU321でYes)、ステップU342の処理が実行される。
図26は、ステップU342の処理の詳細を示す。まず、一定距離設定部20lは、携帯通信端末3が移動する距離を導出し、一定距離として設定する(ステップU342a)。この際、ユーザは携帯通信端末3を自身の中心から手の届く限界位置まで移動させる。
一定距離設定部20lが一定距離を設定すると、円状範囲決定部20mは、広域地図WM上に円状の表示範囲を設定する(ステップU342b)。すなわち、現在位置から目的地までの距離を半径とし、現在位置を中心とする円状の表示範囲を設定する。なお、ユーザによる入力操作がある場合には、現在位置からユーザの指定する位置までの距離を半径とすればよい。
円状範囲決定部20mは、円状の表示範囲を設定すると、前述の演算式(4)に基づき、補正値を導出して記憶部29に記憶させる(ステップU342c)。
ステップU342cが実行されると、処理は図25の処理に戻り、ステップU34以下が実行される。
以上のように、本発明の第5の実施の形態は、ユーザの手の届く限界位置又は所定位置までの一定距離に基づき、現在位置から目的地等の所定位置までの距離を半径とし、現在位置を中心とする円状の表示範囲を設定する。また、かかる一定距離と円状の表示範囲の半径となる距離を対応付ける。これにより、ユーザは携帯通信端末3の把持する手の届く範囲内で、目的地等の所望の位置までを半径とする円状の表示範囲内で所望の領域を参照できる。すなわち、ユーザが参照を希望する目的地等の所望の位置が、現在地より遠距離に所在しても、ユーザの手の届く範囲内において携帯通信端末3を移動させて参照できる。
<6.第6の実施の形態>
次に、第6の実施の形態を説明する。第6の実施の形態に係る通信システム10の構成及び処理は第1の実施の形態の構成及び処理を含む。このため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
前述の第2ないし第5の実施の形態は、携帯通信端末3の移動する距離である一定距離(DT4からDT7)は、ユーザに入力された後は固定値として利用された。
これに対し、第6の実施の形態は、一定距離(DT4からDT7)を設定後に、一定距離の数値を可変とする。
図27は、携帯通信端末3の移動する距離である一定距離を、ユーザに入力された後に変更する様子を示す。
現在設定されている一定距離の長さを示す数値がスライドバーSB、増加ボタンUB、及び減少ボタンDBと共にディスプレイ22に表示される。一定距離の長さを示す数値は、スライドバーSBのツマミの操作並びに増加ボタンUB及び減少ボタンDBの操作に対応して増減される。
また、ユーザに一定距離の変更を促すメッセージME3が表示される。メッセージME3は、例えば、「スライドバーのツマミを移動させて端末の移動距離を変更して下さい。」である。
ユーザは、現在設定されている一定距離の長さを示す数値を参照し、タッチパネル22aに対応したスライドバーSB、増加ボタンUB、及び減少ボタンDBを操作して、所望の距離を入力する。
車載装置2の制御部20は、ユーザによる増加ボタンUB等の操作に対応して、メモリに記憶された一定距離の数値を変更(上書きして記憶)する。
なお、上記第2ないし第5の実施の形態で述べた「倍率」、「2地点間距離」、「表示範囲の距離」、及び「円状の表示範囲の半径距離」の数値も可変としてもよい。その場合、図27に示すようにスライドバーSBや増加ボタンUB、減少ボタンDBを操作することにより、数値を増減すればよい。
以上のように、本発明の第6の実施の形態は、携帯通信端末3の移動する距離である一定距離を、ユーザに入力された後に可変とする。これにより、ユーザは、一定距離の変更を希望する場合に、携帯通信端末3を再度移動させる必要がなく、利便性が向上する。
<7.第7の実施の形態>
次に、第7の実施の形態を説明する。第7の実施の形態は、車載装置2での表示と携帯通信端末3の表示とを連携させ、携帯通信端末3の位置に応じた表示を携帯通信端末3に行うことにより車載装置2と携帯通信端末3との表示を連携したものにする連動広域表示機能において、携帯通信端末3で見つけたポイントへ携帯通信端末3から目的地設定を可能とする。
また、目的地設定時に、携帯通信端末3のある位置から目的地設定のための印となる画像が車載装置2へ移動して表示される。すなわち、携帯通信端末3で目的地の設定が要請され、車載装置2で目的地を設定する際に、現在位置(車載装置2画面中心)から目的地に印となる画像が移動して表示される。地図は印の移動に伴ってスクロールする。印の移動速度は、設定した携帯通信端末3の移動速度又は地図の移動速度(スクロール速度)に応じて可変としてもよい。また、印となる画像は矢印が好ましい。印は移動を伴い、所定の位置を目的地とするからである。
これにより、現在位置を表示している車載装置2の表示が、携帯通信端末3で設定要請された目的地までスクロールして表示される。車載装置2の閲覧者は、設定された目的地が現在地からどの方向にどの程度離れて所在するか容易に判別できる。
図28及び図29は、携帯通信端末3で設定された目的地の位置を示す矢印(AR1ないしAR12)が、携帯通信端末3から車載装置2へ移動して表示される様子を示す。矢印(AR1ないしAR12)は、移動して表示される説明の便宜上、AR1からAR12まで時系列に示す。
まず、携帯通信端末3で目的地の設定の要請が行われる。携帯通信端末3に表示された目的地の位置から矢印AR1が現在位置の方向へ移動して表示される(図28の矢印AR1からAR2へ)。
矢印が車載装置2の表示範囲に進入すると、現在地へ向けて移動する(図28の矢印AR3からAR6へ)。やがて、矢印が現在地付近に到達すると、方向を反転して目的地へ向けて移動する(図28の矢印AR7からAR10へ)。この際、車載装置2の表示は矢印を中心にスクロールする。矢印が目的地に到達すると、経路案内の目的地に設定される(図29のAR10からAR12)。
以上のように、現在位置を表示している車載装置2の表示が携帯通信端末3で設定要請された目的地までスクロールして表示されるので、車載装置2の閲覧者は、設定された目的地が現在地からどの方向にどの程度離れて所在するか容易に判別できる。
<8.第8の実施の形態>
次に、第8の実施の形態を説明する。第8の実施の形態は、複数の携帯通信端末3に対応し、各携帯通信端末3が独立して移動速度の設定を行う。また、目的地等の伝送を車載装置2と携帯通信端末3との間に限らず、携帯通信端末3間でも伝送する。この際、情報伝達は、情報伝達を許可した携帯通信端末3のみに行う。
複数の携帯通信端末3の目的地設定において、矢印等の表示を以下(1)から(5)のように行うのが好ましい。
(1)目的地情報の転送者の車両内の乗車位置の方向から矢印が移動して表示される。この場合、誰が目的地情報を転送したか容易に判別できる。
(2)矢印に目的地情報の転送者の顔写真を表示する。なお、顔写真に替えて他のイラストやマスコット画像でもよい。この場合、誰が目的地情報を転送したか視覚的に判別できる。
(3)目的地情報の転送者に応じて、矢印の色を変える。この場合、誰が目的地情報を転送したか色で判別できる。
(4)目的地情報の転送者に応じて、効果音を発する。なお、対象者によりオン/オフ、音色等を変更してもよい。この場合、誰が目的地情報を転送したか聴覚的に判別できる。
(5)目的地等の設定内容に応じて矢印の形状を変えてもよい。また、位置情報は矢印、音楽情報は音符マーク、動画情報は動画アイコン、連絡先情報は電話(メール)マークとしてもよい。この場合、転送された情報種別を視覚的に判別できる。
図30は、複数の携帯通信端末3から車載装置2へ情報が転送された様子を示す。
車両左側に着座する携帯通信端末3aのユーザが、音楽ジャンルをクラシックに設定する要請を行うと、音符マークMNが車載装置2のディスプレイ22左下から移動して音楽ジャンル画面のクラシックに相当する位置に到達する。これにより、車載装置2の閲覧者は、車両左側に着座するユーザが音楽ジャンルをクラシックへ設定する要請をしたことを判別できる。
車両右側に着座する携帯通信端末3bのユーザが、目的地を設定する要請を行うと、矢印ARに加え携帯通信端末3bのユーザの顔写真FPが車載装置2のディスプレイ22の目的地方向から移動して現在地方向へ移動する。これにより、車載装置2の閲覧者は、携帯通信端末3bのユーザが目的地の設定を要請したことを判別できる。
<9.変形例>
本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。様々に変形可能である。以下、上記第1ないし第8の実施の形態に適用し得る変形例を説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全形態は、適宜組み合わせ可能である。
上記第1ないし第8の実施の形態では、所定速度で地図を移動させた。しかし、携帯通信端末3に設けた加速/減速ボタンの操作により、操作中だけ地図移動速度を設定速度にしてもよい。例えば、所定速度の2倍の設定速度で地図を移動させてもよい。設定速度は、タッチパネル等を用いてユーザが自由に設定する。
また、携帯通信端末3の移動距離に応じて地図の移動速度を増加させてもよい。例えば、携帯通信端末3が−10cm移動すると地図の移動速度を1倍とし、携帯通信端末3が−20cm移動すると地図の移動速度を2倍とする。なお、携帯通信端末3への所定の操作で1倍に戻せばよい。
また、携帯通信端末3の移動速度に応じて地図の移動速度を増加させてもよい。この場合、補正データ29cを携帯通信端末3の移動速度に応じて随時更新すればよい。
また、目的地設定等の走行規制の対象となる操作は、車載装置2は対象となる。しかし、携帯通信端末3は走行規制の対象外となる。このため、携帯通信端末3の移動に伴う地図等の表示画面の移動も実行可能である(なお、画面移動速度は設定速度である)。また、携帯通信端末3による目的地の設定操作も可能である。しかし、車載装置2では矢印等が移動する動画的表示は行わず、目的地設定を静止画的に表示する(単なる地図表示の切替え等)。これにより、車載装置2は目的地設定等の走行規制を遵守できる。
また、目的地の設定以外の情報を車載装置2と携帯通信端末3とで送受信してもよい。例えば、音楽ファイル、動画ファイル、音楽リスト、動画リスト、及び、ジャケット写真である。また、携帯通信端末3から教材データを車載装置2へ転送し、車載装置2で読み上げてもよい。また、携帯通信端末3からニュースやメールを読み上げ用のテキストデータとして車載装置2へ転送し、車載装置2で読み上げてもよい。また、携帯通信端末3から連絡先情報を車載装置2へ転送し、車載装置2で電話を掛けてもよい。また、携帯通信端末3から金券やクーポンを車載装置2へ転送し、車載装置2でアプリケーションやコンテンツ等を購入して決済を行ってもよい。また、携帯通信端末3で購入したコンテンツやライセンスを車載装置2に転送してもよい(この際、決済は携帯通信端末3で行えばよい)。
また、上記第1ないし第8の実施の形態では、携帯通信端末3と連携して動作する電子装置は車載装置2であったが、家庭用又は業務用のテレビジョン装置やパーソナルコンピュータなど他の電子装置であってもよい。
また、上記第1ないし第8の実施の形態では、モーションセンサ33が携帯通信端末3の動きを検出したいたが、オプティカルフロー方式などの他の手法によって携帯通信端末3の動きを検出してもよい。例えば、オプティカルフロー方式では、携帯通信端末3が備えるカメラで得られた複数の撮影画像(フレーム)のそれぞれから特徴点を抽出し、複数の撮影画像間での特徴点の動きを示すオプティカルフローの向きに基づいて携帯通信端末3の動きを検出することができる。
また、上記第1ないし第8の実施の形態では、車載装置2のディスプレイ22の画面の中心位置に表示される地図上の位置である地図中心CPは、車両9の現時点の位置である現在位置となっていた。これに対して、ユーザが車載装置2を操作することで、地図中心CPを現在位置とは異なる位置に変更できるようになっていてもよい。このように地図中心CPを現在位置とは異なる位置に変更した場合は、端末地図M2となる端末地図領域R2を設定する際の基準とする位置を、現在位置ではなく変更後の地図中心CPとしてもよい。また、端末地図領域R2を設定する際の基準とする位置を、地図中心CPと現在位置とのいずれにするかをユーザが設定できるようになっていてもよい。
また、上記第1ないし第8の実施の形態では、表示対象となるコンテンツは地図であったが、画像、ウェブページ及び電子番組ガイド(EPG)など一部の領域のみが画面上に表示され、他の領域はスクロールして表示されるようなコンテンツであれば、どのようなものであってもよい。例えば、電子番組ガイドが表示対象のコンテンツとなる場合は、一般に、電子番組ガイド中の現時点が含まれる時間帯の領域(放送中の番組の領域)が主に画面上に表示され、電子番組ガイド中の他の時間帯の領域についてはスクロールして表示されるようになっている。したがって、この場合は、電子番組ガイド中の現時点が含まれる時間帯の領域を車載装置2に表示させつつ、ユーザは携帯通信端末3を動かすことで、電子番組ガイド中の所望の他の時間帯の領域を携帯通信端末3の画面に表示させることができる。
また、上記第1ないし第8の実施の形態において、携帯通信端末3に対するユーザの操作を、当該携帯通信端末3で表示しているコンテンツの領域に応じた内容の操作として通信システムが受け付けるようにしてもよい。これにより、ユーザの操作性を向上できる。例えば、ナビゲーション機能を有する通信システムにおいて、携帯通信端末3に端末地図M2を表示させる場合に、位置を指定するユーザの操作がなされたとき、通信システムは、ユーザが指定した端末地図M2上の地点(施設)を登録地点(登録施設)として登録してもよい。また、デジタルTV受信機能を有する通信システムにおいて、携帯通信端末3に電子番組ガイドを表示させている場合に、番組を選択するユーザの操作がなされたとき、通信システムは、ユーザが選択した番組を表示させる、又は、予約する(受信予約若しくは録画予約)動作を行ってもよい。この場合、携帯通信端末3に表示されたコンテンツの領域とタッチパネル32aへの操作における操作位置とから、ユーザが対象とする地点や番組を特定すればよい。
また、上記第1ないし第8の実施の形態では、携帯通信端末3の長手方向が縦方向か横方向かの姿勢については考慮されていなかった。しかし、携帯通信端末3の姿勢を考慮して、端末地図M2となる端末地図領域R2を設定するようにしてもよい。
また、上記第1ないし第8の実施の形態では、携帯通信端末3に表示される端末地図M2の縮尺は、車載装置2に表示される車用地図M1と同一となっていた。しかし、端末地図M2の縮尺を、車用地図M1と異なる縮尺にユーザが変更してもよい。
また、上記第1ないし第8の実施の形態では、車載装置2のカメラ25及び携帯通信端末3のモーションセンサ33を用いて携帯通信端末3の移動(位置)を検出した。しかし、車室内に設置されたカメラ(盗難防止用カメラや乗員状態監視用カメラ)で携帯通信端末3を撮影し、携帯通信端末3を撮影して取得した画像を用いて携帯通信端末3の移動(位置)を検出してもよい。
また、上記第1ないし第8の実施の形態では、車載装置2が広域地図WMから端末地図領域R2を切り出していた。しかし、携帯通信端末3が広域地図WMから端末地図領域R2を切り出してもよい。この場合、車載装置2が携帯通信端末3に広域地図WMを予め送信すればよい。
また、上記第1ないし第8の実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種機能を有する処理部が実現されると説明した。しかし、これら処理部の一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。