以下に、図面に基づいて、MRI装置の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係るMRI装置100は、架台1、静磁場磁石2、傾斜磁場コイル3、傾斜磁場電源4、送信コイル5、送信部6、受信コイル7、受信部8、シーケンス制御部9、収集部10、画像再構成部11、寝台12、寝台制御部13、及びホストコンピュータ14を備える。
架台1は、概略円筒形状に形成された静磁場磁石2、傾斜磁場コイル3及び送信コイル5を、それぞれの円筒の中心軸が揃うように配置して支持する。具体的には、架台1は、静磁場磁石2の内周側に傾斜磁場コイル3を配置し、傾斜磁場コイル3の内周側に送信コイル5を配置した状態で各部を支持し、送信コイル5の内周側に撮像空間を形成する。
静磁場磁石2は、撮像空間に一様な静磁場を発生する。例えば、静磁場磁石2は、永久磁石や超伝導磁石などである。
傾斜磁場コイル3は、傾斜磁場電源4から電流の供給を受けて、撮像空間に傾斜磁場を発生する。
傾斜磁場電源4は、シーケンス制御部9による制御のもと、傾斜磁場コイル3に電流を供給する。具体的には、傾斜磁場電源4は、高圧発生回路や傾斜磁場アンプなどを含む。高圧発生回路は、商用交流電源から供給されるAC(Alternate Current)電流を所定の電圧のDC(Direct Current)電流に変換して傾斜磁場アンプに供給する。傾斜磁場アンプは、高圧発生回路から供給されるDC電流を増幅して傾斜磁場コイル3に供給する。
送信コイル5は、送信部6からRF(Radio Frequency)パルスの供給を受けて、撮像空間に高周波磁場を発生する。
送信部6は、シーケンス制御部9による制御のもと、ラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル5に送信する。具体的には、送信部6は、発振部や位相選択部、周波数変換部、振幅変調部、RFアンプなどを含む。発振部は、静磁場中における対象原子核に固有の共鳴周波数のRFパルスを発生する。位相選択部は、発振部によって発生したRFパルスの位相を選択する。周波数変換部は、位相選択部から出力されたRFパルスの周波数を変換する。振幅変調部は、周波数変換部から出力されたRFパルスの振幅を例えばsinc関数に従って変調する。RFアンプは、振幅変調部から出力されたRFパルスを増幅して送信コイル5に供給する。
受信コイル7は、高周波磁場の影響によって被検体Pから発生する磁気共鳴信号を受信する。そして、受信コイル7は、受信した磁気共鳴信号を内部の増幅器によって増幅して出力する。なお、図1に示す受信コイル7は腹部用の受信コイルであるが、頭部用の受信コイルや脊椎用の受信コイルであってもよい。
受信部8は、シーケンス制御部9による制御のもと、受信コイル7から出力される磁気共鳴信号をA/D(Analog-to-Digital)変換することで、磁気共鳴(MR:Magnetic Resonance)信号データを生成する。そして、受信部8は、生成したMR信号データを収集部10に送信する。具体的には、受信部8は、選択器や前段増幅器、位相検波器、アナログデジタル変換器などを含む。選択器は、受信コイル7から出力される磁気共鳴信号を選択的に入力する。前段増幅器は、選択器から出力される磁気共鳴信号を増幅する。位相検波器は、前段増幅器から出力される磁気共鳴信号の位相を検波する。アナログデジタル変換器は、位相検波器から出力される信号をデジタル信号に変換する。
シーケンス制御部9は、ホストコンピュータ14から送信されるシーケンス実行データに従って傾斜磁場電源4、送信部6、及び受信部8を駆動することで、被検体Pから磁気共鳴データを収集するためのパルスシーケンスを実行する。ここで、シーケンス実行データは、傾斜磁場電源4が傾斜磁場コイル3に供給する電源の強さや電源を供給するタイミング、送信部6が送信コイル5に送信するRFパルスの強さやRFパルスを送信するタイミング、受信部8が磁気共鳴信号を検出するタイミングなど、磁気共鳴データを収集するための処理手順を定義した情報である。
収集部10は、シーケンス制御部9によって傾斜磁場電源4、送信部6、及び受信部8が駆動された結果、受信部8から送信されるMR信号データを収集する。そして、収集部10は、収集したMR信号データに対してアベレージング処理、位相補正処理などの補正処理を行い、補正後のMR信号データを画像再構成部11に送信する。
画像再構成部11は、収集部10から送信されたMR信号データに対して、フィルタ処理や再構成処理等の画像処理を行って画像データを生成する。具体的には、画像再構成部11は、k空間変換フィルタ処理や2次元FFT(Fast Fourier Transform)又は3次元FFT、画像フィルタ等の画像処理を行って2次元又は3次元の画像データを再構成し、再構成した画像データをホストコンピュータ14に送信する。
寝台12は、被検体Pが載置される装置である。具体的には、寝台12は、被検体Pが置かれる天板12aと、天板12aを長手方向、短手方向及び上下方向に移動するための移動機構を有する。通常、寝台12は、天板12aの長手方向が静磁場磁石2の中心軸と平行になるように設置される。
寝台制御部13は、寝台12を制御する装置であり、寝台12の移動機構を駆動して、天板12aを長手方向、短手方向及び上下方向に移動する。例えば、寝台制御部13は、被検体Pの撮像が行われる際に、被検体Pが置かれた天板12aを撮像空間に移動する。
ホストコンピュータ14は、入力部14a、表示部14b、記憶部14c、及び制御部14dを備える。入力部14aは、操作者から各種操作を受け付ける。表示部14bは、画像再構成部11によって生成された各種画像や、操作者から各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)などを表示する。記憶部14cは、画像再構成部11によって生成された画像データや、MRI装置100の動作に必要な各種プログラムや各種データを記憶する。
制御部14dは、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有し、当該CPU及びメモリにより各種プログラムを実行することで、MRI装置100の全体制御を行う。例えば、制御部14dは、入力部14aを介して操作者から入力された撮像条件に基づいて各種のシーケンス実行データを生成し、生成したシーケンス実行データをシーケンス制御部9に送信する。
以上、本実施形態に係るMRI装置100の構成例を説明した。このような構成のもと、MRI装置100は、傾斜磁場アンプやRFアンプなどの電気部品を収容する筐体をさらに備える。そして、例えば、架台1、静磁場磁石2、傾斜磁場コイル3、送信コイル5、送信部6、受信コイル7、及び寝台12は、撮影室に設置され、傾斜磁場電源4、受信部8、シーケンス制御部9、収集部10、画像再構成部11、寝台制御部13、ホストコンピュータ14、及び筐体は、操作室に設置される。
ここで、一般的に、MRI装置には、傾斜磁場アンプやRFアンプなどの発熱量が大きい電気部品を冷却するための冷却機構が設けられる。そのため、傾斜磁場アンプやRFアンプなどの電気部品を筐体に収容する場合には、筐体内に発生する結露によって電気部品が故障するリスクが課題となる。このリスクを低減させるために、例えば、温度及び湿度が管理された機械室に筐体を設置することが考えられる。しかし、近年では、MRI装置は高性能化に伴って装置が大型化していることや、装置導入時の設備投資を抑えたいという要求などから、機械室を不要にすることが求められている。
また、例えば、結露によるリスクを低減させるために、冷却機構として空冷方式を用いることが考えられる。空冷方式を用いる場合、例えば、筐体内には、空気を循環させるためのファンや、暖まった空気を排出するための排気口が設けられる。そのため、例えば、筐体を操作室に設置することを想定した場合には、ファンによる騒音が課題となる。この騒音を低減させる方法として、例えば、ファンの回転数を抑えながら冷却能力を保つために、大きなサイズのファンを用いることが考えられる。しかし、近年のMRI装置では、省スペース化やコストの低減、騒音の抑制が求められていることから、大きなサイズのファンを用いることは難しい。
一方、空冷方式によるリスクを低減させるための冷却方法として、水冷方式がある。しかし、水冷方式を採用した場合には、電源投入時に筐体内の雰囲気の温度と電気部品との温度差によって結露が発生するリスクが高まることになる。冷却水の温度を上げることによって結露のリスクを低減させることも可能であるが、近年のMRI装置では、撮像の高速化によって高出力の傾斜磁場アンプやRFアンプが用いられるようになっており、それに比例して傾斜磁場アンプやRFアンプの発熱量が増大している。このため、冷却能力をより向上させることが求められており、冷却水の温度を上げることは難しい。
これに対し、本実施形態に係るMRI装置100は、筐体内を冷却する熱交換器と、熱交換器に冷媒を供給し、当該熱交換器から流出した冷媒を前記電気部品に供給する冷却系とを備える。このような構成によれば、前段の熱交換器における熱交換によって温度が上げられた冷媒が後段の電気部品に供給されることになるので、電気部品に生じる結露を抑えることができる。したがって、結露によって筐体内の電気部品が故障するリスクをより確実に低減させることができる。また、筐体に大きなサイズのファンを用いることがないので、騒音が小さく、かつ、設置スペースも小さくて済む。したがって、筐体を操作室に設置することができるので、温度及び湿度が管理された機械室が不要になり、装置導入時の設備投資を抑えることができる。
図2は、第1の実施形態に係る筐体内の構成を示す図である。図2に示すように、本実施形態に係る筐体21内には、傾斜磁場アンプ4aと、RFアンプ6aと、熱交換器22と、冷却系23と、温度センサ24a〜24cと、湿度センサ25a〜25cと、結露センサ26a及び26bと、判定部27と、冷却制御部28と、電源制御部29とが設置される。
筐体21は、電気部品を収容する。具体的には、筐体21は、傾斜磁場電源4に含まれる傾斜磁場アンプ4aと、送信部6に含まれるRFアンプ6aとを収容する。ここで、筐体21は、内部と外部との間の熱交換が抑制されるように、密閉構造又は準密閉構造とするのが望ましい。なお、ここでは、傾斜磁場アンプ4aとRFアンプ6aとが筐体21に収容される場合の例を説明するが、筐体21には、傾斜磁場アンプ4a及びRFアンプ6aの一方のみが収容されていてもよいし、傾斜磁場アンプ4aやRFアンプ6a以外の電気部品が収容されていてもよい。
熱交換器22は、筐体21内を冷却する。具体的には、熱交換器22は、筐体21内における空気と冷媒との間で熱交換を行う。言い換えると、熱交換器22は、筐体21内における雰囲気の熱を冷媒に伝えることによって筐体21内の雰囲気を冷却する。
冷却系23は、熱交換器22に冷媒を供給し、熱交換器22から流出した冷媒を電気部品に供給することで、筐体21に収容された熱交換器22及び電気部品を冷却する。ここで、電気部品の冷却に用いられる冷媒は、例えば、冷却水であり、機械室の外に設置されたチラー200によって供給される。
具体的には、冷却系23は、熱交換器22に冷媒を供給し、熱交換器22から流出した冷媒をRFアンプ6aに供給し、RFアンプ6aから流出した冷媒を傾斜磁場アンプ4aに供給する。すなわち、冷却系23は、熱交換器22、RFアンプ6a、傾斜磁場アンプ4aの順で冷媒を流すように構成されている。
例えば、図2に示すように、冷却系23は、配管23a〜23eと、電磁弁23f〜23gとを含む。配管23aは、チラー200から熱交換器22へ冷媒を供給する。配管23bは、電磁弁23fを介して、熱交換器22から流出した冷媒をRFアンプ6aへ供給する。配管23cは、RFアンプ6aから流出した冷媒を傾斜磁場アンプ4aへ供給する。配管23dは、電磁弁23gを介して、傾斜磁場アンプ4aから流出した冷媒をチラー200へ戻す。配管23eは、電磁弁23fを介して配管23bから分岐し、電磁弁23gを介して配管23dに合流する。
ここで、電磁弁23f〜23gは、いずれも3方弁である。具体的には、電磁弁23fは、熱交換器22から流出した冷媒を、RFアンプ6a及び電磁弁23gのいずれか一方へ流す。また、電磁弁23gは、傾斜磁場アンプ4a及び電磁弁23fのいずれか一方から流出した冷媒を、チラー200へ戻す。
このような構成によれば、電磁弁23fにおける電磁弁23g側の流路が開けられ、かつ、電磁弁23gにおける電磁弁23f側の流路が開けられた場合には、チラー200から供給される冷媒が、配管23aを通って熱交換器22に供給され、熱交換器22から流出した冷媒が、配管23b及び配管23eを通ってチラー200へ戻ることになる。すなわち、この場合には、熱交換器22のみに冷媒が供給され、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aには冷媒が供給されないようになる。
一方、電磁弁23fにおけるRFアンプ6a側の流路が開けられ、かつ、電磁弁23gにおける傾斜磁場アンプ4a側の流路が開けられた場合には、チラー200から供給される冷媒が、配管23aを通って熱交換器22に供給され、熱交換器22から流出した冷媒が、配管23bを通ってRFアンプ6aに供給されることになる。また、RFアンプ6aから流出した冷媒が、配管23cを通って傾斜磁場アンプ4aに供給され、傾斜磁場アンプ4aから流出した冷媒が、配管23dを通ってチラー200へ戻ることになる。すなわち、この場合には、熱交換器22、RFアンプ6a、傾斜磁場アンプ4aの順で冷媒が流れるようになる。
このように、熱交換器22、RFアンプ6a、傾斜磁場アンプ4aの順で冷媒を流すことによって、熱交換器22における熱交換によって、RFアンプ6aに供給される冷媒の温度が上げられ、さらに、RFアンプ6aにおける熱交換によって、傾斜磁場アンプ4aに供給される冷媒の温度が上げられることになる。したがって、後段の電気部品になるほど、供給される冷媒の温度を上げることができ、熱交換器22の後段にあるRFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aに結露が生じるリスクをより確実に低減することができる。
なお、一般的に、RFアンプ6aは、傾斜磁場アンプ4aと比べると、発熱時間が短いため発熱温度の変動が小さい。一方、傾斜磁場アンプ4aは、データ収集のためのパルスシーケンスが実行される際に電流が繰り返し供給されるため発熱温度の変動が大きい。したがって、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aそれぞれに冷媒を供給した場合に、傾斜磁場アンプ4aから流出する冷媒の温度変動は、RFアンプ6aから流出する冷媒の温度変動と比べて大きくなる。このことから、例えば、傾斜磁場アンプ4aをRFアンプ6aの前段に配置した場合には、RFアンプ6aに供給される冷媒の温度変動が大きくなる。しかし、RFアンプ6aは、供給される冷媒の温度変動に応じて出力が大きく変動することが知られている。このため、一般的に、冷媒を流す順序は、RFアンプ6aに供給される冷媒の温度変動が小さくなるように、RFアンプ6aを前段、傾斜磁場アンプ4aを後段とするのが望ましい。
さらに、本実施形態では、熱交換器22には、熱交換器用ヒートシンク31aと、ドレイン32aとが設けられる。ドレイン32aは、熱交換器用ヒートシンク31aに生じた結露を筐体21の外へ排出する。また、RFアンプ6aには、RFアンプ用ヒートシンク31bと、ドレイン32bとが設けられ、傾斜磁場アンプ4aには、傾斜磁場アンプ用ヒートシンク31cと、ドレイン32cとが設けられる。ドレイン32bは、RFアンプ用ヒートシンク31bに生じた結露を筐体21の外へ排出し、ドレイン32cは、傾斜磁場アンプ用ヒートシンク31cに生じた結露を筐体21の外へ排出する。
ここで、熱交換器用ヒートシンク31aは、RFアンプ用ヒートシンク31b及び傾斜磁場アンプ用ヒートシンク31cより熱効率が高くなるように構成される。また、RFアンプ用ヒートシンク31bは、傾斜磁場アンプ用ヒートシンク31cより熱効率が高くなるように構成される。
このような構成によれば、筐体21内の湿気を熱交換器用ヒートシンク31aで強制的に結露させ、ドレイン32aを介して筐体21の外へ排出することができる。この結果、筐体21内の除湿が行われて、筐体21内の露点温度が下げられる。また、段階的に温度が上がる冷媒の温度に応じて、RFアンプ用ヒートシンク31bや傾斜磁場アンプ用ヒートシンク31cでも筐体21内の湿気を結露させることができるので、筐体21内の除湿がより確実に実施されることになる。さらに、前段の電気部品に後段の電気部品のヒートシンクと比べて熱効率が高いヒートシンクを設けることで、後段の電気部品に結露が発生するリスクをより低減することができる。したがって、このような構成によれば、熱交換器22のみで、筐体21内の電気部品に生じる結露を抑えることができるようになる。
温度センサ24a〜24cは、筐体21に収容された電気部品又は電気部品周辺に設けられ、電気部品又は電気部品周辺の温度を測定する。例えば、温度センサ24a〜24cは、電気部品の表面や電気部品の内部、電気部品周辺の配管などに設けられる。具体的には、温度センサ24aは、熱交換器22又は熱交換器22周辺に設けられ、熱交換器22又は熱交換器22周辺の温度を測定する。また、温度センサ24bは、RFアンプ6a又はRFアンプ6a周辺に設けられ、RFアンプ6a又はRFアンプ6a周辺の温度を測定する。また、温度センサ24cは、傾斜磁場アンプ4a又は傾斜磁場アンプ4a周辺に設けられ、傾斜磁場アンプ4a又は傾斜磁場アンプ4a周辺の温度を測定する。
湿度センサ25a〜25cは、筐体21に収容された電気部品又は電気部品周辺に設けられ、電気部品又は電気部品周辺の湿度を測定する。例えば、湿度センサ25a〜25cは、電気部品の表面や電気部品の内部、電気部品周辺の配管などに設けられる。具体的には、湿度センサ25aは、熱交換器22又は熱交換器22周辺に設けられ、熱交換器22又は熱交換器22周辺の湿度を測定する。また、湿度センサ25bは、RFアンプ6a又はRFアンプ6a周辺に設けられ、RFアンプ6a又はRFアンプ6a周辺の湿度を測定する。また、湿度センサ25cは、傾斜磁場アンプ4a又は傾斜磁場アンプ4a周辺に設けられ、傾斜磁場アンプ4a又は傾斜磁場アンプ4a周辺の湿度を測定する。
結露センサ26a及び26bは、筐体21に収容された電気部品又は電気部品周辺に設けられ、電気部品又は電気部品周辺の結露を検知する。例えば、結露センサ26a及び26bは、電気部品の表面や電気部品の内部、電気部品周辺の配管などに設けられる。具体的には、結露センサ26aは、RFアンプ6a又はRFアンプ6a周辺に設けられ、RFアンプ6a又はRFアンプ6a周辺の結露を検知する。また、結露センサ26bは、傾斜磁場アンプ4a又は傾斜磁場アンプ4a周辺に設けられ、傾斜磁場アンプ4a又は傾斜磁場アンプ4a周辺の結露を検知する。ここで、結露センサ26a及び26bは、温度及び湿度から露点を算出することで結露を検知するタイプのものでもよいし、結露検知素子を用いて結露を検知するタイプのものでもよい。
判定部27は、筐体21に収容された電気部品又は電気部品周辺の温度及び湿度に基づいて、電気部品又は電気部品周辺の結露が発生しない状態であるか否かを判定する。例えば、判定部27は、電気部品又は電気部品周辺の温度及び湿度に基づいて、電気部品又は電気部品周辺の露点温度を検出し、検出した露点温度がチラー200から供給される冷媒の温度より低い場合に、結露が発生しない状態であると判定する。また、判定部27は、検出した露点温度がチラー200から供給される冷媒の温度以上である場合に、結露が発生し得る状態であると判定する。ここで、判定部27によって用いられる冷媒の温度は、例えば、あらかじめ操作者によって入力されて、判定部27が有する内部メモリなどに記憶される。または、判定部27は、チラー200から冷媒の温度を取得してもよい。なお、判定部27によって行われる処理については、後に詳細に説明する。
冷却制御部28は、判定部27によって電気部品又は電気部品周辺の結露が発生しない状態であると判定された場合に、当該電気部品に冷媒を供給するように冷却系23を制御する。なお、冷却制御部28によって行われる処理については、後に詳細に説明する。
電源制御部29は、電気部品又は電気部品周辺に設けられた結露センサによって結露が検知された場合に、当該電気部品の電源を遮断する。さらに、電源制御部29は、電気部品又は電気部品周辺に設けられた結露センサによって結露が検知されない状態となった場合に、当該電気部品の電源を投入する。なお、電源制御部29によって行われる処理については、後に詳細に説明する。
図3は、第1の実施形態に係る判定部及び冷却制御部による冷却制御の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すように、例えば、冷却制御部28は、MRI装置100が有する各部の電源が投入された場合に(ステップS101,Yes)、電磁弁23fにおける電磁弁23g側の流路を開け、かつ、電磁弁23gにおける電磁弁23f側の流路を開けることで、熱交換器22のみに冷媒を供給する(ステップS102)。ここで、熱交換器22に冷媒が供給されると、熱交換器22によって筐体21内の冷却が開始される。また、筐体21内の湿気が、熱交換器用ヒートシンク31aで結露されて、筐体21内の露点温度が下げられる。
その後、判定部27が、温度センサ24bによって測定された温度及び湿度センサ25bによって測定された湿度に基づいて、RFアンプ6a又はRFアンプ6a周辺の露点温度を検出する(ステップS103)。
そして、判定部27は、検出した露点温度がRFアンプ6aに供給される冷媒の温度より低い場合には(ステップS104,Yes)、温度センサ24cによって測定された温度及び湿度センサ25cによって測定された湿度に基づいて、傾斜磁場アンプ4a又は傾斜磁場アンプ4a周辺の露点温度を検出する(ステップS105)。
そして、判定部27は、検出した露点温度が傾斜磁場アンプ4aに供給される冷媒の温度より低い場合には(ステップS106,Yes)、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aに冷媒を供給する旨の制御信号を冷却制御部28に送る。この制御信号を受け付けると、冷却制御部28は、電磁弁23fにおけるRFアンプ6a側の流路を開け、かつ、電磁弁23gにおける傾斜磁場アンプ4a側の流路を開けることで、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aに冷媒を供給する(ステップS107)。
なお、判定部27は、RFアンプ6a又はRFアンプ6a周辺の露点温度がRFアンプ6aに供給される冷媒の温度以上である場合(ステップS104,No)、又は、傾斜磁場アンプ4a又は傾斜磁場アンプ4a周辺の露点温度が傾斜磁場アンプ4aに供給される冷媒の温度以上である場合には(ステップS106,No)、冷却制御部28に制御信号を送らずに、ステップS103に戻る。
このような処理手順によれば、熱交換器22によって筐体21内が冷却され、さらに、熱交換器用ヒートシンク31aが結露することで筐体21内の露点温度が下げられた結果、RFアンプ6a又はRFアンプ6a周辺の露点温度、及び、傾斜磁場アンプ4a又は傾斜磁場アンプ4a周辺の露点温度の両方が冷媒の温度より低くなった時点で、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aに冷媒が供給されることになる。したがって、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aに結露が生じるリスクをより確実に低減させることができる。
なお、ここでは、RFアンプ6a又はRFアンプ6a周辺の露点温度、及び、傾斜磁場アンプ4a又は傾斜磁場アンプ4a周辺の露点温度の両方が冷媒の温度より低くなった場合に、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aに冷媒を供給するようにしたが、実施形態はこれに限られない。例えば、前段にあるRFアンプ6a又はRFアンプ6a周辺の露点温度が冷媒の温度より低くなった場合に、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aに冷媒を供給するようにしてもよい。
図4は、第1の実施形態に係る電源制御部による電源制御の処理手順を示すフローチャートである。電源制御部29は、MRI装置100の電源が投入されてからMRI装置100の電源が遮断されるまでの間、所定の時間間隔で以下の処理手順を繰り返す。なお、ここでは、傾斜磁場アンプ4aに関する電源制御について説明するが、電源制御部29は、RFアンプ6aについても、結露センサ26aによる結露の検知に基づいて、同様の処理手順で電源制御を行う。
図4に示すように、本実施形態では、電源制御部29が、結露センサ26bによって傾斜磁場アンプ4a又は傾斜磁場アンプ4a周辺の結露が検知された場合に(ステップS201,Yes)、傾斜磁場アンプ4aの電源を遮断する(ステップS202)。
一方、結露センサ26bによって傾斜磁場アンプ4a又は傾斜磁場アンプ4a周辺の結露が検知されていない場合には(ステップS201,No)、電源制御部29は、傾斜磁場アンプ4aの電源が遮断されているか否かを確認する(ステップS203)。
そして、傾斜磁場アンプ4aの電源が遮断されていた場合には(ステップS203,Yes)、電源制御部29は、傾斜磁場アンプ4aの電源を投入する(ステップS204)。なお、傾斜磁場アンプ4aの電源が遮断されていなかった場合には(ステップS203,No)、電源制御部29は、ステップS201の処理に戻る。
このような処理手順によれば、RFアンプ6aや傾斜磁場アンプ4aなどの電気部品又は電気部品周辺に結露が発生した場合に、電気部品の電源が自動的に遮断されることになる。したがって、結露による電気部品の故障のリスクをさらに確実に低減させることができる。
上述したように、第1の実施形態では、熱交換器22における熱交換によって温度が上げられた冷媒がその後段のRFアンプ6aに供給され、RFアンプ6aにおける熱交換によって温度が上げられた冷媒がその後段の傾斜磁場アンプ4aに供給される。したがって、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aに生じる結露を抑えることができ、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aが結露によって故障するリスクをより確実に低減させることができる。
なお、上述した第1の実施形態では、冷却系23が、熱交換器22から流出した冷媒を先にRFアンプ6aに供給し、RFアンプ6aから流出した冷媒を傾斜磁場アンプ4aに供給する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、冷却系23は、熱交換器22から流出した冷媒を先に傾斜磁場アンプ4aに供給し、傾斜磁場アンプ4aから流出した冷媒をRFアンプ6aに供給するように構成されてもよい。
また、冷却対象の電気部品は、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aに限られない。例えば、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aの一方のみが冷却されてもよいし、筐体21に収容されている他の電気部品が冷却されてもよい。複数の電気部品が冷却される場合には、冷却系23が各電気部品を順に冷却するように構成し、発熱温度の変動が大きい電気部品を後段に配置するようにする。
また、上述した第1の実施形態では、判定部27が、電気部品又は電気部品周辺の露点温度と電気部品に供給される冷媒の温度とを比較して、結露が発生し得る状態であるか否かを判定する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、判定部27は、電気部品又は電気部品周辺の露点温度と配管表面の温度とを比較してもよい。その場合には、判定部27は、電気部品周辺の配管に設けられた温度センサによって、配管表面の温度を検出する。そして、判定部27は、電気部品又は電気部品周辺の露点温度が配管表面の温度より低い場合に、結露が発生しない状態であると判定する。また、判定部27は、電気部品又は電気部品周辺の露点温度が配管表面の温度以上である場合に、結露が発生し得る状態であると判定する。この実施形態によれば、冷媒の温度をあらかじめ入力又は取得するための機構が不要になり、コストを抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、RFアンプ6aと傾斜磁場アンプ4aとを順に冷却する場合の例を説明したが、第2の実施形態では、RFアンプ6aと傾斜磁場アンプ4aとを並列に冷却する場合の例を説明する。なお、本実施形態に係るMRI装置の構成は、基本的には図1に示したものと同じであるので、第1の実施形態で説明した構成要素と同じ役割を果たす構成要素については、同一の符号を付することとして、その説明を省略する。
図5は、第2の実施形態に係る筐体内の構成を示す図である。図5に示すように、本実施形態に係る筐体21内には、傾斜磁場アンプ4aと、RFアンプ6aと、熱交換器22と、冷却系43と、温度センサ24a〜24cと、湿度センサ25a〜25cと、結露センサ26a及び26bと、判定部47と、冷却制御部48と、電源制御部29とが設置される。さらに、熱交換器22には、熱交換器用ヒートシンク31aと、ドレイン32aとが設けられる。また、RFアンプ6aには、RFアンプ用ヒートシンク31bと、ドレイン32bとが設けられ、傾斜磁場アンプ4aには、傾斜磁場アンプ用ヒートシンク31cと、ドレイン32cとが設けられる。
冷却系43は、熱交換器22に冷媒を供給し、熱交換器22から流出した冷媒を電気部品に供給することで、筐体21に収容された電気部品を冷却する。ここで、電気部品の冷却に用いられる冷媒は、例えば、冷却水であり、機械室の外に設置されたチラー200によって供給される。
具体的には、冷却系43は、熱交換器22に冷媒を供給し、熱交換器22から流出した冷媒をRFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aの両方に供給する。すなわち、冷却系43は、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aを並列に冷却するように構成されている。
例えば、図5に示すように、冷却系43は、配管43a〜43fと、電磁弁43g〜43iとを含む。配管43aは、電磁弁43gを介して、チラー200から熱交換器22へ冷媒を供給する。配管43bは、熱交換器22からチラー200へ冷媒を戻す。配管43cは、配管43bから分岐し、電磁弁43hを介して、傾斜磁場アンプ4aへ冷媒を供給する。配管43dは、傾斜磁場アンプ4aからチラー200へ冷媒を戻す。配管43eは、配管43bから分岐し、電磁弁43iを介して、RFアンプ6aへ冷媒を供給する。配管43fは、RFアンプ6aからチラー200へ冷媒を戻す。
このような構成によれば、電磁弁43gが開かれ、かつ、電磁弁43h及び43iが閉じられた場合には、熱交換器22のみに冷媒が供給されることになる。また、電磁弁43gが開かれ、かつ、電磁弁43hが開かれた場合には、熱交換器22及び傾斜磁場アンプ4aに冷媒が供給されることになる。また、電磁弁43gが開かれ、かつ、電磁弁43iが開かれた場合には、熱交換器22及びRFアンプ6aに冷媒が供給されることになる。また、電磁弁43gが閉じられた場合には、熱交換器22、傾斜磁場アンプ4a及びRFアンプ6aのいずれにも冷媒は供給されないことになる。
判定部47は、筐体21に収容された電気部品又は電気部品周辺の温度及び湿度に基づいて、電気部品又は電気部品周辺の結露が発生しない状態であるか否かを判定する。例えば、判定部47は、電気部品又は電気部品周辺の温度及び湿度に基づいて、電気部品又は電気部品周辺の露点温度を検出し、検出した露点温度がチラー200から供給される冷媒の温度より低い場合に、結露が発生しない状態であると判定する。また、判定部47は、検出した露点温度がチラー200から供給される冷媒の温度以上である場合に、結露が発生し得る状態であると判定する。ここで、判定部47によって用いられる冷媒の温度は、例えば、あらかじめ操作者によって入力されて、判定部47が有する内部メモリなどに記憶される。または、判定部47は、チラー200から冷媒の温度を取得してもよい。なお、判定部47によって行われる処理については、後に詳細に説明する。
冷却制御部48は、判定部47によって電気部品又は電気部品周辺の結露が発生しない状態であると判定された場合に、当該電気部品に冷媒を供給するように冷却系43を制御する。なお、冷却制御部48によって行われる処理については、後に詳細に説明する。
図6は、第2の実施形態に係る判定部及び冷却制御部による冷却制御の処理手順を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、MRI装置100の電源が投入される前の状態で、全ての電磁弁43g〜43iが閉じられていることとする。
図6に示すように、本実施形態では、MRI装置100が有する各部の電源が投入された場合に(ステップS301,Yes)、冷却制御部48が、電磁弁43gを開くことで、熱交換器22のみに冷媒を供給する(ステップS302)。ここで、熱交換器22に冷媒が供給されると、熱交換器22によって筐体21内の冷却が開始される。また、筐体21内の湿気が、熱交換器用ヒートシンク31aで結露されて、筐体21内の露点温度が下げられる。
その後、判定部47が、温度センサ24cによって測定された温度及び湿度センサ25cによって測定された湿度に基づいて、傾斜磁場アンプ4a又は傾斜磁場アンプ4a周辺の露点温度を検出する(ステップS303)。
そして、判定部47は、検出した露点温度がチラー200から供給される冷媒の温度より低い場合には(ステップS304,Yes)、傾斜磁場アンプ4aに冷媒を供給する旨の制御信号を冷却制御部48に送る。冷却制御部48は、この制御信号を受け付けると、電磁弁43hを開くことで、傾斜磁場アンプ4aに冷媒を供給する(ステップS305)。なお、判定部47は、検出した露点温度がチラー200から供給される冷媒の温度以上である場合には(ステップS304,No)、冷却制御部48には制御信号を送らずに、ステップS306に進む。
また、判定部47は、温度センサ24bによって測定された温度及び湿度センサ25bによって測定された湿度に基づいて、RFアンプ6a又はRFアンプ6a周辺の露点温度を検出する(ステップS306)。
そして、判定部47は、検出した露点温度がチラー200から供給される冷媒の温度より低い場合には(ステップS307,Yes)、RFアンプ6aに冷媒を供給する旨の制御信号を冷却制御部48に送る。冷却制御部48は、この制御信号を受け付けると、電磁弁43iを開くことで、RFアンプ6aに冷媒を供給する(ステップS308)。なお、判定部47は、検出した露点温度がチラー200から供給される冷媒の温度以上である場合には(ステップS307,No)、冷却制御部48には制御信号を送らずに、ステップS303に戻る。
このような処理手順によれば、熱交換器22によって筐体21内が冷却され、さらに、熱交換器用ヒートシンク31aが結露することで筐体21内の露点温度が下げられた結果、傾斜磁場アンプ4a又は傾斜磁場アンプ4a周辺の露点温度がチラー200から供給される冷媒の温度より低くなった時点で、傾斜磁場アンプ4aに冷媒が供給され、RFアンプ6a又はRFアンプ6a周辺の露点温度がチラー200から供給される冷媒の温度より低くなった場合に、RFアンプ6aに冷媒が供給されることになる。したがって、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aに結露が生じるリスクをより確実に低減させることができる。
上述したように、第2の実施形態では、前段の熱交換器22における熱交換によって温度が上げられた冷媒が後段のRFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aそれぞれに供給される。したがって、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aに生じる結露を抑えることができ、RFアンプ6a及び傾斜磁場アンプ4aが結露によって故障するリスクをより確実に低減させることができる。
なお、上述した第2の実施形態では、傾斜磁場アンプ4aへの冷媒の供給とRFアンプ6aへの冷媒の供給とを別々に制御する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、傾斜磁場アンプ4a及びRFアンプ6aそれぞれに同時に冷媒を供給するようにしてもよい。その場合には、例えば、判定部47は、温度センサ24aによって測定された温度と湿度センサ25aによって測定された湿度から露点温度を検出し、温度センサ24bによって測定された温度と湿度センサ25bによって測定された湿度から露点温度を検出し、温度センサ24cによって測定された温度と湿度センサ25cによって測定された湿度から露点温度を検出し、検出した全ての露点温度が冷媒の温度より低い場合に、傾斜磁場アンプ4a及びRFアンプ6aの両方に冷媒を供給する旨の制御信号を冷却制御部48に送る。冷却制御部48は、この制御信号を受け付けると、電磁弁43h及び43iの両方を開くことで、傾斜磁場アンプ4a及びRFアンプ6aそれぞれに同時に冷媒を供給する。
(他の実施形態)
次に、他の実施形態として、各種の実施形態をまとめて説明する。なお、ここで説明する各実施形態に係るMRI装置の構成は、基本的には、第1の実施形態で説明したものと同じであるので、図1及び2に示した各構成要素と同じ役割を果たす構成要素については、同一の符号を付することとして、その説明を省略する。
図7は、他の実施形態に係る筐体内の構成を示す図である。なお、図7に示す判定部57は、第1の実施形態で説明した判定部27と同じ機能を有しており、さらに以下で説明する機能を有する。図7に示す冷却制御部58は、第1の実施形態で説明した冷却制御部28と同じ機能を有しており、さらに以下で説明する機能を有する。
例えば、図7に示すように、1つの実施形態では、筐体21における冷媒の入口付近に、結露センサ56cが設けられる。また、電磁弁53hが、筐体21における冷媒の入口に設けられる。なおここでいう冷媒の入口は、例えば、筐体21の天井部分に設けられる。そして、この実施形態では、冷却制御部58が、結露センサ46cによって筐体21における冷媒の入口付近の結露が検知された場合に、筐体21内への冷媒の供給を停止するように冷却系23を制御する。具体的には、冷却制御部58は、結露センサ46cによって結露が検知された場合に、電磁弁43hを閉じることで、筐体21内への冷媒の供給を停止する。
この実施形態によれば、結露が発生しやすい冷媒の入口付近で発生した結露によって電気部品が故障するリスクを低減させることができる。
また、例えば、図7に示すように、1つの実施形態では、筐体21内に、回収部60が設けられる。回収部60は、筐体21における冷媒の入口付近に発生した水滴を回収する。例えば、回収部60は、水滴受け61と、排水管62と、容器63とを有する。水滴受け61は、筐体21における冷媒の入口付近の下側に設けられる。排水管62は、水滴受け61と容器63との間に設けられ、水滴受け61が受けた水滴を容器63へ流す。容器63は、筐体21内にある電気部品から隔離された位置に設けられ、水滴受け61が受けた水滴を貯水する。
この実施形態によれば、結露が発生しやすい冷媒の入口付近で発生した結露によって電気部品が故障するリスクをより確実に低減させることができる。
また、例えば、図7に示すように、1つの実施形態では、筐体21の外壁面に、温度センサ54d及び湿度センサ55dが設けられる。そして、判定部57が、筐体21の外壁面の温度及び湿度と筐体21内の温度とに基づいて、外壁面の結露が発生し得る状態であるか否かをさらに判定し、外壁面の結露が発生し得る状態であると判定した場合に、熱交換器22の動作を停止する。
具体的には、判定部57は、温度センサ54dによって測定された温度及び湿度センサ55dによって測定された湿度に基づいて、外壁面の露点温度を測定する。そして、判定部57は、筐体21内に設けられた温度センサ24a〜24cによって測定された温度が外壁面の露点温度を下回った場合に、外壁面の結露が発生し得る状態であると判定し、熱交換器22の動作を停止する。例えば、判定部57は、温度センサ24a〜24cそれぞれによって測定された温度の全てが外壁面の露点温度を下回った場合に、熱交換器22の動作を停止する。または、判定部57は、温度センサ24a〜24cのうち、適宜に選択されたいずれか1つによって測定された温度、又は、いずれか2つによって測定された温度の両方が外壁面の露点温度を下回った場合に、熱交換器22の動作を停止してもよい。
この実施形態によれば、筐体21の外壁面における結露の発生を抑えることができる。
また、MRI装置100が、MRI装置100を遠隔操作したり、ネットワーク経由でMRI装置100から各種情報を収集したりする遠隔監視システムと接続されている場合には、筐体内の温度や湿度に関する情報を遠隔監視システムに送信するようにしてもよい。その場合には、例えば、判定部57が、遠隔監視システムに対して、定期的に、筐体21内に設けられた各温度センサによって計測された温度や各湿度センサによって計測された湿度に関する情報を送信する。または、判定部57は、遠隔監視システムからの要求に応じて、筐体内の温度や湿度に関する情報を送信してもよい。または、判定部57は、計測された温度や湿度をホストコンピュータ14に送信し、ホストコンピュータ14が、定期的に、または、遠隔監視システムからの要求に応じて、温度や湿度に関する情報を遠隔監視システムに送信してもよい。
これにより、遠隔監視システムが設置された管理施設などで、MRI装置100の筐体21内の状態を把握することができるようになる。
また、例えば、1つの実施形態では、冷却制御部58が、冷却対象の電気部品の性能に応じて冷媒の温度を調整してもよい。電気部品の冷却に必要な冷媒の温度は、その電気部品の性能に依存する。そして、冷媒の温度を高く設定すれば、それだけ結露の発生も抑えられることになる。例えば、冷却制御部58は、電気部品の動作温度が保たれる範囲で冷媒の温度を高く設定するように、チラー200を制御する。
また、例えば、1つの実施形態では、冷却制御部58が、電気部品の電源が投入された後に、冷却の開始時と比べて冷媒の温度を下げるように制御してもよい。例えば、冷却制御部58は、冷媒による冷却の開始時には、高い温度の冷媒が供給されるようにチラーを制御し、MRI装置が稼働することで電気部品の温度が高くなるにつれて電気部品の温度に応じた低い温度の冷媒が供給されるように、チラー200を制御する。このとき、例えば、冷却制御部58は、筐体内の温度が一定に保たれるように、冷媒の温度を制御する。
なお、上述した他の実施形態では、第1の実施形態に係る筐体21内の構成をベースにした実施形態を説明したが、ここで説明した各実施形態は、第2の実施形態にも適用することが可能である。また、他の実施形態として説明した各実施形態は、適宜に組み合わせて実施することが可能である。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、結露によって筐体内の電気部品が故障するリスクをより確実に低減させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。