JP6365261B2 - 鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子凝集方法、回収方法および回収された鉄鉱石を用いた焼結鉱製造方法 - Google Patents
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Description
高含水汚泥中の懸濁粒子の凝集処理および減容化のための脱水処理方法として、高含水浚渫汚泥に、ノニオン系又はアニオン系高分子凝集剤と、無機凝集剤又はカチオン系凝集剤を加えてフロックを作り、しかるのちに自然脱水又は機械脱水で水を抜く処理法において、はじめにノニオン系又はアニオン系の高分子凝集剤を加え、次に無機凝集剤の代わりにセメント等の固化材を加え、さらに必要に応じ無機凝集剤又はカチオン系凝集剤を加え、固化材粒子を包含するフロックを形成させる方法が記載されている(特許文献1)。
汚泥類に高分子物質類を添加して溶解することにより、汚泥類中の懸濁物質をフロック状態にし、次いで無機凝集剤を添加して固液分離が容易な凝集物を得る汚泥類の処理方法が記載されている(特許文献3)。
本発明の目的は、鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子を凝集・沈降させ、容易かつ効率的に回収する鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子凝集方法、凝集鉄鉱石を濾過して回収する鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子回収方法、さらに、回収した鉄鉱石を鉄鋼製造のための焼結鉱の原料として用いることを特徴とする焼結鉱の製造方法を提供することを目的とする。
(1)鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子を凝集させる方法であって、
凝集剤を用いず、前記鉄鉱石懸濁泥水を、T℃(70≦T<100)で、F(=2100/T)分以上、加熱した後に静置することにより、鉄鉱石微粒子を凝集・沈降させることを特徴とする鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子凝集方法。
(2)(1)に記載の鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子凝集方法により、凝集・沈降させた鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子を濾過して鉄鉱石を回収する鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子回収方法。
(3)(2)に記載の鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子回収方法で回収した鉄鉱石を鉄鋼製造のための焼結鉱の原料として用いることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
鉄鉱石などの粒子を水に懸濁させた場合、比重が水より重いため、粒子は沈降する。しかし、粒径が細かくなると沈降速度が遅くなり、濁った状態が続くこととなる。
土壌の分野においては、土壌は粒子の大きさによって、粒径が細かい方から粘土、シルト、細砂、粗砂、礫のように分類されており、水中で沈降に時間がかかるのはシルト以下の粒径である。粘土、シルトの粒径は、分類方法によって異なるが、粘土は1ないし10μm以下、シルトは20ないし50μm以下とされている(粘土ハンドブック 第二版,日本粘土学会編(1994),p3〜p5〔技報堂出版〕、参照)。
製鉄原料として用いられる鉄鉱石は、主にFe3O4を主成分とする磁鉄鉱、α−Fe2O3を主成分とする赤鉄鉱、α−FeOOHを主成分とする針鉄鉱であり、鉄鉱石の微粒子を構成する鉱物は、主にFe3O4、α−Fe2O3、α−FeOOHなどで、それに石英、石灰石、苦土灰石、粘土鉱物が含まれている。
このような微粒子が懸濁・分散している鉄鉱石懸濁泥水から微粒子を効率良く回収するためには、懸濁微粒子を凝集させ、速やかに沈降させて、デカンテーション等容易な方法で減容する必要がある。
水に分散した微粒子を凝集・沈降させるには、(1)電解質を添加する、(2)pHを酸性にして相互凝集を促進する、(3)水溶性の有機溶剤を添加する等の方法がある(粘土ハンドブック第二版、p137〜138)。このうち、電解質を添加するのが一般的であり、処理も容易である。また、微粒子の種類によって有効な凝集添加剤が異なり、例えば、分散している微粒子がモンモリロナイトの場合には、アルカリ金属よりアルカリ土類金属の効果が大きいといったことが知られている。
鉄鉱石の微粒子が固形物濃度として3質量%以上含まれている泥水は、粘性が現れるために添加水分量の範囲内でそのまま焼結原料に混合しても、擬似粒子の形成に悪影響を与えないが、微粒子が3質量%以下の高含水泥水は、圧倒的に水が多いためにそのままでは焼結原料に使用できず、微粒子の濃縮あるいは分離・回収が必要である。
粒子径と沈降時間との関係は、水に分散させた場合、粒子の真密度と粒子径によって求めることができる。α−Fe2O3、Fe3O4、α−FeOOHの真密度は、それぞれ4.9〜5.3、5.2、4.3g/cm3であり、鉄鉱石に含まれる石英やカオリナイト、石灰石等の脈石の真密度は2.4〜3.2g/cm3である。鉄鉱石の種類はこれらの成分構成が異なるものであり、鉄鉱石微粒子懸濁汚泥水を加熱して冷却することによって、上澄みの透過率が0.01(透過率98%)まで下がることは、鉄鉱石の種類が変わっても本効果が表れることを示している。
鉄鉱石懸濁泥水を70℃に加熱して30分保持したものは、微粒子が凝集・沈降しているため、ろ過初期は上澄みのろ過となり、ろ過にほとんど時間がかからない。さらにろ過を続けると、沈降している微粒子凝集物をろ過することになるが、微粒子は凝集しているため、フィルターの目詰まりが起こりにくく、鉄鉱石懸濁泥水100mLのろ過を完了するのに要した時間は、約30分であった。
一方、加熱せずに4時間静置したものは、懸濁液に分散していた微粒子によるフィルターの目詰まりが起こるため、ろ過初期段階からろ過に時間がかかり、懸濁液100mLのろ過を完了するのに30時間以上を要した。
本発明の微粒子凝集方法の微粒子凝集作用は一般には、懸濁微粒子が主に鉄鉱石である場合には限られない。従って、懸濁微粒子が主に鉄鉱石ではない微粒子懸濁泥水の処理に適用することが可能である。例えば、環境規制上そのままでは排出できない微粒子懸濁泥水を本発明の方法によって処理し、微粒子を回収、分離した後、排水するといった用途に供することもできる。
固形物濃度が異なる粒径が20μm以下のブラジル産ヘマタイト鉱石Aの微粒子が懸濁・分散している鉄鉱石懸濁泥水を加熱処理して、泥水調製5時間後の波長500nmの吸光度を測定した。吸光度の判定は0.01以下を○とした。表1に、各鉄鉱石懸濁泥水の低粒子濃度、加熱温度、加熱保持時間及び、吸光度測定結果を示した。
吸光度測定後の各懸濁泥水を、孔径0.2μm、有効ろ過面積10.75m2のメンブランフィルターを用いてろ過を行った。100mLの濾過に要した時間と、メンブランフィルター上に回収された鉄鉱石の乾燥重量を表1に掲げた。吸光度判定が○である本発明の実施例では、いずれも、1時間以内で濾過が終了したが、比較例の泥水の場合は、30時間以上を要した。
本効果は、ブラジル産ヘマタイト鉱石Aに留まらず、他のブラジル産ヘマタイト鉱石、豪州産ヘマタイト鉱石、マラマンバ鉱石、ピソライト鉱石、マグネタイト鉱石でも確認された。
鉄鉱石と石灰石、硅石、蛇紋岩、および、燃料として粉コークスからなる焼結原料に実施例1〜7において回収された微粒鉄鉱石を混合して、適量の水分を加えて混合、造粒し、焼結鍋試験を行った。具体的には、実施例1〜7を繰り返して微粒鉄鉱石を十分に回収し、表2に示す配合原料70kgをドラムミキサーに投入し、回転速度24rpmで1分間予備撹拌した後に、所定の水分を添加してさらに同回転速度で5分間回転して造粒物(擬似粒子)を得る。造粒した配合原料のうち、1kgを105℃で12時間乾燥した後に室温まで冷却して得られた乾燥擬似粒子のなかで、粒径が0.25mm以下の量を測定した。残りの擬似粒子は、50kgスケールの鍋試験にて焼結を行い、焼結鉱を得た。該試験の条件は、焼結鍋は直径300mm、高さ600mm、層厚550mmとし、吸引負圧を9.8kPa(一定)とした。得られた焼結鉱のうち50kgを2mの高さから鉄板上に5回落下させたときの粒径5mm以上の粒度を有する粒子の割合を測定することにより成品歩留を評価した。
生産率(t/day/m2)=成品歩留評価後の粒径5mm以上の粒度を有する粒子の総重量(t)/焼結時間(day)/焼結鍋の表面積(m2;一定)・・・・・・(1)
成品歩留評価後の粒径5mm以上の粒度を有する粒子の総重量は、成品歩留(質量%)と鍋試験焼結鉱量(Kg)をtに換算し、焼結時間は鍋試験の焼結時間(min)をdayに換算して用いた。
実施例1〜7で回収した鉄鉱石微粒子を1質量%以上添加すると、表3に示すように乾燥擬似粒子の0.25mm以下の量が減少し、通気が改善されて焼結時間が短くなり、生産率が向上する。実施例1〜7回収された鉄鉱石微粒子は、一定の水を含むと粘性や可塑性が現れ、核粒子に付着する力が強くなるため、乾燥擬似粒子の0.25mm以下の量が減少し、通気が改善されたものと推察される。
Claims (3)
- 鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子を凝集させる方法であって、
凝集剤を用いず、前記鉄鉱石懸濁泥水を、T℃(70≦T<100)で、F(=2100/T)分以上、加熱した後に静置することにより、鉄鉱石微粒子を凝集・沈降させることを特徴とする鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子凝集方法。 - 請求項1に記載の鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子凝集方法により、凝集・沈降させた鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子を濾過して鉄鉱石を回収する鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子回収方法。
- 請求項2に記載の鉄鉱石懸濁泥水中の鉄鉱石微粒子回収方法で回収した鉄鉱石を鉄鋼製造のための焼結鉱の原料として用いることを特徴とする焼結鉱製造方法。
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