JP6365123B2 - 無線通信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、無線通信装置に関する。
携帯電話、タブレット型端末、ノートPC等の無線通信装置が出力する電波の強度(以下、「電波の送信電力」又は「電波出力」ともいう。)によっては人体へ悪影響を及ぼす場合がある。そこで、無線通信装置の電波の送信電力については、例えばSAR(Specific Absorption Rate)に基づき各国においてその許容範囲が規定されている。SARとは、単位質量の組織に単位時間に吸収されるエネルギー量をいい、人体が、ある電波を発する機器から一定時間にどのくらいのエネルギーを受けたかを表す。
SARの規定を準拠する方法としては、予め無線通信装置の電波の送信電力を抑えてSARの許容範囲内の電波の出力レベルで無線通信を行う方法がある。また、無線通信装置の通信アンテナが人体に近づいたときに無線通信装置の電波の送信電力を抑える方法がある。
このうち前者の予め無線通信装置の電波の送信電力を抑えながら通信を行う方法では、SARの規格は準拠できるものの、各国の携帯電話会社が要求する電波の出力レベルを満たさない場合がある。また、WWAN(Wireless Wide Area Network)の場合、電波の送信電力を常時抑えていると通信到達距離が短くなる。かかる不具合を解消するために、後者の通信方法、つまり、無線通信装置の通信アンテナが人体に近づいたときに無線通信装置の電波の送信電力を抑える方法が一般的に採用されている。
人体が無線通信装置に近づいたかどうか等、無線通信装置の状態を判定するために、センサーが使用されることがある(例えば、特許文献1参照)。例えば、近接センサーを無線通信装置に配置することで、近接センサーの検出値に基づき、物体が無線通信装置の通信アンテナに近づいたかを判定することができる。
特に近接センサーによる検知については、例えば、米国では連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)が所掌する電子通信の規定において、「無線通信装置が人体に近づいたかを検知する方法として近接センサーを使用すること、及び近接センサーが壊れたときに人体に影響がないようにすること」が定められている。
以上から、様々な状況において電波の送信電力が人体に影響がないことを保証するシステムが必要である。一例としては、無線通信装置に設けられた近接センサーが壊れたとき、無線通信装置の電波の送信電力をSARの規格を満足するレベルまで下げ、近接センサーが正常状態に回復したとき、電波の送信電力を元の出力レベルまで上げることが考えられる。
特開2012−235184号公報
他方、近接センサーが壊れたまま正常状態に復帰しないときには、電波の出力レベルを抑えた状態で無線通信を行う必要がある。しかしながら、電波の出力レベルを抑えたままの通信では、通信が途切れるような事象が発生する可能性がある。また、弱電界領域では無線通信ができなくなる。
また、無線通信中に近接センサーが壊れた場合には、近接センサーからの信号が所定時間以上一定で、無線通信装置の通信アンテナが人体に近づいたことを検知できないため、電波の送信電力をSARの規格を満足するレベルまで下げることは困難である。この対策として近接センサーを複数設けることも考えられるが、薄型、軽量化が求められているタブレット端末やスマートフォンでは、新たな近接センサーを設けることで、構造上の問題とコスト上の問題が生じることが懸念される。このため、無線通信装置の既存の機能を利用して物体が無線通信装置の通信アンテナに近づいたかを判定し、その判定結果に基づき人体に影響があると判断される場合に電波の送信電力を抑制することが好ましい。
そこで、一側面では、本発明は、無線通信装置に設けられたセンサーの稼働状況に応じて無線通信装置の電波の送信電力を抑制することを目的とする。
一つの案では、近接センサー及び加速度センサーを有する無線通信装置であって、前記近接センサーの検出値及び前記加速度センサーの検出値を入力する入力処理部と、前記近接センサーの検出値に基づき前記無線通信装置に接近している物体の有無を判定する物体判定部と、前記加速度センサーの検出値に基づき前記無線通信装置の姿勢を判定する姿勢判定部と、前記無線通信装置に接近している物体の有無の判定結果に基づき電波の送信電力を抑制する無線通信部と、を有し、前記無線通信部は、前記近接センサーの検出値が所定時間以上一定であるの場合であって、前記近接センサーの復帰処理に基づき前記近接センサーが異常であると判定されたとき、前記無線通信装置の姿勢の判定結果に基づき電波の送信電力を抑制する、を有する無線通信装置が提供される。
一側面によれば、無線通信装置に設けられたセンサーの稼働状況に応じて無線通信装置の電波の送信電力を抑制することができる。
一実施形態にかかる無線通信装置の外形の一例を示す図。 一実施形態にかかる無線通信装置のハードウェア構成の一例を示す図。 一実施形態にかかる無線通信装置の機能構成の一例を示す図。 一実施形態にかかる加速度センサーを用いた電波出力の制御例を示す図。 第1実施形態にかかる無線通信装置の電力制御処理を示したフローチャート。 第2実施形態にかかる無線通信装置の電力制御処理を示したフローチャート。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
[無線通信装置の概要]
まず、本発明の一実施形態に係る無線通信装置の概要について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、一実施形態にかかる無線通信装置100の外形の一例を示す。本実施形態に係る無線通信装置100は、例えば、ユーザが携帯可能なタブレット型端末である。ただし、無線通信装置100は、タブレット型端末に限らず、スマートフォン、携帯電話、ノートPC等の無線通信機能を有するいずれの電子機器であってもよい。
無線通信装置100は、例えば、内蔵されるバッテリの電源によって駆動可能である。無線通信装置100の筐体100aは、略平板状の形状を有し、筐体100aの表面(上面)には、タッチパネル式のディスプレイ101が設けられている。
また、無線通信装置100は、無線通信機能を備える。無線通信装置100は、例えば、3G(3rd Generation)携帯電話の広域無線通信回線網を通じて無線通信を行う。無線通信装置100は、無線通信を行うための通信アンテナ102を、筐体100aの内部または筐体100aの外面に備える。図1の例では、通信アンテナ102は、筐体100aの外縁部に近接する位置に設けられている。
また、無線通信装置100は、近接センサーIC(以下、「近接センサー103」という。)及び加速度センサーIC(以下、「加速度センサー104」という。)を有する。近接センサー103は、非接触、つまり実際に触れることなく検出対象が近づいたかどうか、あるいは近くにあるかどうかを示す検出値を電気的信号に置き換えて出力する。近接センサー103の主な方式としては、誘導型、静電容量型、超音波型、電磁波型、赤外線型等が存在する。
加速度センサー104は、物体の加速度(速度の変化率)を示す検出値を電気的信号に置き換えて出力する。加速度センサー104は、無線通信装置100の3軸(X、Y、Z)方向の各軸回りの姿勢(傾き)を検出する。なお、加速度センサー104に替えて、無線通信装置100の傾きを検出する重力センサーや赤外線センサーを使用してもよい。ただし、薄型、軽量化が求められているタブレット端末やスマートフォン等の無線通信装置100では、新たなセンサーを設けることは構造(装置が薄型及び軽量でなくなる)及びコストの面からユーザの要求に合わない。よって、無線通信装置100に設けられた既存のセンサー(近接センサー103、加速度センサー104)を用いて電波の送信電力を制御することで、無線通信装置100の薄型及び軽量化が図られ、無線通信装置100のコストアップを防ぐことができる。
[無線通信装置のハードウェア構成]
次に、一実施形態に係る無線通信装置100のハードウェア構成の一例について、図2を参照しながら説明する。図2は、一実施形態にかかる無線通信装置100のハードウェア構成の一例を示す。
CPU(Central Processing Unit)111は、無線通信装置100の装置全体を制御する。CPU111には、バス119を介して、RAM(Random Access Memory)112と複数の周辺機器とが接続されている。RAM112は、無線通信装置100の主記憶装置として使用される。RAM112には、CPU111が実行するOS(Operating System)プログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM112には、CPU111の制御に必要な各種データが格納される。
バス119に接続されている周辺機器としては、フラッシュメモリ113、グラフィック処理回路114、入力インターフェイス(I/F)115、メモリカードインターフェイス116、無線通信回路117およびI/O(In/Out)処理回路118がある。
フラッシュメモリ113は、無線通信装置100の二次記憶装置として使用される。フラッシュメモリ113には、OSプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、HDD(Hard Disk Drive)などの他の種類の不揮発性記憶装置が設けられてもよい。
グラフィック処理回路114には、ディスプレイ101が接続されている。グラフィック処理回路114は、CPU111からの命令に従って画像をディスプレイ101に表示させる。
入力インターフェイス115には、入力デバイスとして、ディスプレイ101の表示面に設けられたタッチパネル101aが接続されている。入力インターフェイス115は、タッチパネル101aからの出力信号をCPU111に送信する。
メモリカードインターフェイス116には、記憶デバイスとしてフラッシュメモリなどを用いた可搬型記憶装置であるメモリカード116aが接続される。メモリカードインターフェイス116は、メモリカード116aから読み出したデータをCPU111に出力する。また、メモリカードインターフェイス116は、CPU111から書き込みが要求されたデータをメモリカード116aに書き込む。
無線通信回路117は、3G携帯電話の広域無線通信回線網を通じて無線通信を行う。無線通信回路117は、R/F回路121を介して通信アンテナ102と接続され、通信アンテナ102を用いて電波の送受信を行う。R/F回路121は、無線通信回路117から通信アンテナ102に対して出力される電圧を調整することで、通信アンテナ102から出力される電波の送信電力を制御する。なお、無線通信回路117は、例えば、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)など、広域無線通信網を通じて通信する他の方式によって無線通信する回路であってもよい。
I/O処理回路118は、CPU111と他のデバイスとの間で情報を送受信できるようにする回路である。I/O処理回路118には、無線通信回路117、近接センサー103および加速度センサー104が接続されている。I/O処理回路118は、CPU111からの要求に応じて、R/F回路121を介して通信アンテナ102から出力される電波の送信電力を無線通信回路117に制御させる。
I/O処理回路118は、近接センサー103の検出値及び加速度センサー104の検出値を入力し、CPU111に送信する。
[無線通信装置の機能構成]
次に、一実施形態に係る無線通信装置100の機能構成の一例について、図3を参照しながら説明する。図3は、一実施形態にかかる無線通信装置100の機能構成の一例を示す。無線通信装置100は、入力処理部201、制御部202、無線通信部203及び記憶部204を有する。
入力処理部201は、近接センサー103からの検出値及び加速度センサー104からの検出値を入力する。なお、入力処理部201の機能は、主にI/O処理回路118により実現される。制御部202は、物体判定部207、姿勢判定部208及び稼働状態判定部209を有する。
物体判定部207は、近接センサー103からの検出値に基づき無線通信装置100に接近している物体の有無を直接的に判定する。図4に示すように、加速度センサー104は、無線通信装置100の傾きαを検出する。姿勢判定部208は、加速度センサー104の検出値に基づき無線通信装置100の姿勢を判定することで、無線通信装置100に接近している物体の有無を間接的に判定できる。
例えば、図4(a)に示すように、傾きαが−45度〜45度の範囲内の場合、姿勢判定部208は、無線通信装置100が人により操作されていると判断する。これにより、無線通信装置100に人体が接近していることが間接的に判定される。この場合、人体に悪影響を及ぼさないように、無線通信装置100の電波の送信電力を下げるように制御(つまり、出力レベルが所定の第1の閾値以下になるように制御)する必要がある。
一方、図4(b)に示すように、傾きαが−45度よりも小さい、又は傾きαが45度よりも大きい場合、姿勢判定部208は、無線通信装置100が人により操作されていないと判断する。これにより、無線通信装置100に人体が接近していないことが間接的に判定される。この場合、無線通信装置100の近くに人体は存在しないため、無線通信装置100の電波の送信電力を上げるように制御(つまり、出力レベルが所定の第2の閾値以上になるように制御)する必要がある。
稼働状態判定部209は、近接センサー103の稼働状態(正常又は異常)を判定する。稼働状態判定部209は、近接センサー103の検出値が所定時間以上一定の場合、近接センサー103をリセットし、そのリセットされた近接センサー103の稼働状態を判定してもよい。稼働状態判定部209は、近接センサー103の検出値が所定時間以上一定の場合、近接センサー103の検出値及び加速度センサー104の検出値に基づき、近接センサー103の稼働状態を判定してもよい。なお、制御部202に含まれる、物体判定部207、姿勢判定部208及び稼働状態判定部209機能は、主にCPU111により実現される。
無線通信部203は、無線通信装置100に接近している物体の有無の判定結果に基づき、電波の送信電力を制御する。無線通信部203は、リセットされた近接センサー103が異常な状態であると判定された場合、加速度センサー104からの検出値に基づき無線通信装置100の姿勢を判定し、その結果に基づき電波の送信電力を制御してもよい。なお、無線通信部203の機能は、主に無線通信回路117により実現される。
記憶部204は、制御部202が実行するOS(Operating System)プログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が格納される。また、記憶部204には、制御部202による処理に必要な各種データが格納される。なお、記憶部204の機能は、主にRAM112、フラッシュメモリ113により実現される。
<第1実施形態>
[電力制御処理]
次に、第1実施形態に係る無線通信装置100による電力制御処理について、図5を参照して説明する。図5は、第1実施形態にかかる無線通信装置100の電力制御処理を示したフローチャートである。
前提として、本実施形態では、I2C(Inter-Integrated Curcuit)インターフェイス又はUSB(Universal Serial Bus)インターフェイスを搭載した近接センサー103が使用される。つまり、I/O処理回路118は、I2Cインターフェイス又はUSBインターフェイスを介して近接センサー103へ応答要求を行う。
近接センサー103からの信号が所定時間以上一定である場合、近接センサー103に不具合が生じている可能性があると判定される。その際の状況としては、無線通信装置100のOS(OS管理下のデバイスマネージャー)から近接センサー103が認識できない場合と認識できる場合がある。OSが近接センサー103を認識できない場合としては、OSと近接センサー103とが接続されていないことが一例として挙げられる。一方、OSから近接センサー103が認識できる場合、OSと近接センサー103とは接続されている。この場合には、I/O処理回路118は、OSの制御に基づき近接センサー103に応答要求を送信し、近接センサー103からの応答の有無を待つ。
応答要求に対する近接センサー103からの応答がなければ、I/O処理回路118は、近接センサー103は異常な状態にあると判定することができる。一方、応答要求に対する近接センサー103からの応答があれば、I/O処理回路118は、近接センサー103は正常な状態にあると判定することができる。
以上の前提の下に、無線通信装置100の電源がオンされると図5の電力制御処理が開始される。まず、ステップS10において、I/O処理回路118(入力処理部201)は、近接センサー103からの信号が所定時間以上一定であるかを判定する。I/O処理回路118は、近接センサー103からの信号が所定時間以上一定であると判定するまで、ステップS10の処理を繰り返す。ステップS10において、I/O処理回路118は、近接センサー103からの信号が所定時間以上一定であると判定すると、ステップS12に進み、近接センサー103に対して応答要求を送信する。
次に、ステップS14において、I/O処理回路118は、無線通信回路117に対して30秒間電波の送信電力を上げるように要求する。これに応じて、無線通信回路117(無線通信部203)は、30秒間電波の送信電力を上げるようR/F回路121を制御する。
次に、ステップS16において、I/O処理回路118は、予め定められた時間内に近接センサー103からの応答があるかを判定する。予め定められた時間内に近接センサー103からの応答があった場合、I/O処理回路118は、近接センサー103の状態が正常であると判定する。
この場合、近接センサー103を用いた電波の送信電力制御が実行される。具体的には、ステップS38に進み、CPU111(物体判定部207)は、近接センサー103からの検出値に基づき、近接センサー103が物体を検知したか、つまり、物体が無線通信装置100に近づいているかを判定する。I/O処理回路118は、近接センサー103が物体を検知したと判定した場合、人体への影響を考慮してSARやFCC等の通信規定を満たす出力レベルまで電波の送信電力を下げるように要求する。これに応じて、無線通信回路117は、電波の送信電力を下げるようにR/F回路121を制御する。
CPU111(物体判定部207)は、近接センサー103からの検出値に基づき、物体が無線通信装置100に近づいていないと判定した場合、I/O処理回路118は、人体への影響を考慮する必要はないため、電波の送信電力を上げるように要求する。これに応じて、無線通信回路117は、電波の送信電力を上げるようにR/F回路121を制御する。
ステップS16において、予め定められた時間内に近接センサー103からの応答がなかった場合、I/O処理回路118は、近接センサー103の状態が異常であると判定する。この場合、物体が無線通信装置100に近づいているかが不明である。そこで、ステップS18において、I/O処理回路118は、人体への影響の可能性を考慮してSARやFCC等の通信規定を満たす出力レベルまで電波の送信電力を下げるように要求する。
次に、ステップS20において、I/O処理回路118は、近接センサー103に対してリセット処理を行う。これは、近接センサー103を用いた物体の検知が直接的に物質の近接を検知するものであり、加速度センサー104を用いた無線通信装置100の姿勢による間接的な人体の検知よりも検知精度が高いことを考慮したものである。
すなわち、加速度センサー104は、物体の検知以外の本来的な利用方法があるために無線通信装置100に設けられている。例えば、無線通信装置100への衝撃を検知してHDD(Hard Disk Drive)を停止させ、HDDがダメージを受けないように制御するために加速度センサー104が使用されることが想定される。また、地図アプリケーションに関するソフトウェアで使用される検知対象物の位置の検出や移動情報の取得のために加速度センサー104が使用されることが想定される。
本実施形態は、以上の利用方法などを想定して無線通信装置100に設けられている加速度センサー104を用いて、近接センサー103が壊れた場合に人体と無線通信装置100との距離を疑似的に検出する。つまり、本実施形態は、図4に示したように、加速度センサー104の検出値から判定される無線通信装置100の角度(姿勢、傾斜)に基づき、人体と無線通信装置100との距離を疑似的に検出する。具体的には、人が無線通信装置100を操作するとき、無線通信装置100は所定の範囲内の角度(図4では−45度〜45度の範囲内)になる。よって、加速度センサー104の検出値から判定される無線通信装置100の角度が±45度の範囲内の角度であれば、人体と無線通信装置100とは近づいていると判断できる。それ以外の角度の場合には人体と無線通信装置100とは離れていると判断できる。
このように、本実施形態では、物体が無線通信装置100に近づいているかを直接的に判定可能な近接センサー103が優先して使用される。つまり、近接センサー103が異常であると判定された場合であっても、直ちに加速度センサー104に切り替えて物体の検知を行わず、近接センサー103を使用するための復帰処理を優先的に行う。その結果、近接センサー103に不具合がないこと又は近接センサー103に生じた不具合が解消されたことが確認できた場合には、加速度センサー104に切り替えずに近接センサー103を使用して物体の検知を行う。近接センサー103の復帰処理によっても近接センサー103が壊れたまま正常に動作しないことを確認した場合、物体が無線通信装置100に近づいているかを判定するために加速度センサー104が使用される。
ここで、近接センサー103の復帰処理の一例としては、ステップS20に示したように、I/O処理回路118が、近接センサー103に対してリセット信号を送信するリセット処理が挙げられる。復帰処理の他の例としては、I/O処理回路118が、近接センサー103の電源をオフにした後、再び近接センサー103の電源をオンにする処理が挙げられる。
ステップS20を実行した後、ステップS22に進み、I/O処理回路118は、リセット処理後の近接センサー103からの応答があるかを確認する。I/O処理回路118は、近接センサー103からの応答があったと判定した場合、ステップS38に進み、近接センサー103の検出値に基づき、電波の送信電力を制御する(ステップS38〜S42)。
一方、I/O処理回路118は、近接センサー103からの応答がなかったと判定した場合、ステップS24に進み、加速度センサー104からの応答を確認する。次に、ステップS26において、I/O処理回路118は、加速度センサー104からの応答があったかを判定する。
ステップS26において、I/O処理回路118が、加速度センサー104からの応答がなかったと判定した場合、ステップS36に進む。ステップS36において、I/O処理回路118は、物体が無線通信装置100に接近しているか判定できないため、人体への影響を考慮して電波の送信電力を下げた状態を維持するように制御し、本処理を終了する。
一方、ステップS26において、I/O処理回路118が、加速度センサー104からの応答があったと判定した場合、ステップS28に進み、CPU11(姿勢判定部208)は、無線通信装置100の傾き(角度)が−45度〜45度の範囲内かを判定する。ステップS28において、CPU11が、無線通信装置100の傾きが−45度〜45度の範囲内であると判定した場合、I/O処理回路118は、人体が無線通信装置100に接近していると判断する。この場合、I/O処理回路118は、電波の送信電力を下げたまま維持するように制御し、ステップS34に進む。
一方、ステップS28において、CPU11が、無線通信装置100の傾きが−45度よりも小さい又は45度よりも大きいと判定した場合、I/O処理回路118は、人体が無線通信装置100に接近していないと判断する。この場合、I/O処理回路118は、電波の送信電力を上げるように制御し、ステップS34に進む。
ステップS34において、I/O処理回路118は、無線通信装置100の電源がオフになるまで加速度センサー104から検出値(傾き情報)を取得し、ステップS28に戻る。このようにして、近接センサー103が正常状態に復帰しない場合、無線通信装置100の電源がオフされるまで、ステップS28〜ステップS34が実行され、加速度センサー104を使用して電波の送信電力が制御される。
以上、第1実施形態にかかる無線通信装置100の電力制御処理によれば、無線通信装置に設けられた近接センサー103の稼働状況に応じて適切に無線通信装置の電波の送信電力を抑制することができる。
例えば、無線通信中に近接センサー103からの信号が所定時間以上一定であった場合、まず、近接センサー103への応答要求の送信やリセット処理等の復帰処理を行う。その結果、近接センサー103が正常状態に復帰したときには、近接センサー103を使用して電波の送信電力が制御される。一方、リセット処理等の復帰処理によっても近接センサー103が正常状態に復帰しないときには、加速度センサー104を使用して電波の送信電力が制御される。
このようにして、本実施形態では、無線通信装置100に設けられた既存のセンサーの特性に基づき、人体への影響を考慮しながら無線通信が行われるように制御することができる。つまり、近接センサー103を優先的に使用して電力制御を行うために、近接センサー103からの信号が所定時間一定である場合、その状態が故障であるかをI2C等の機能やリセット処理を用いて判断する。判断の結果、近接センサー103が正常状態の場合、近接センサー103を用いて通信規格を満足するように電波の送信電力を制御することができる。更に、近接センサー103が異常状態の場合であっても、無線通信装置100に設けられている加速度センサー104を用いて通信規格を満足するように電波の送信電力を制御することができる。
<第2実施形態>
[電力制御処理]
次に、第2実施形態に係る無線通信装置100の電力制御処理について、図6を参照して説明する。図6は、第2実施形態にかかる無線通信装置100の電力制御処理を示したフローチャートである。
前提として、本実施形態では、I2Cインターフェイス又はUSBインターフェイスを搭載しない近接センサー103が使用される。よって、本実施形態では、I2Cインターフェイス又はUSBインターフェイスを有しないため、I/O処理回路118が近接センサー103へ応答要求を行っても、近接センサー103からの応答は得られない。
しかしながら、本実施形態の場合にも、近接センサー103からの信号が所定時間以上一定である場合、直ちに近接センサー103から加速度センサー104に切り替えて電波の送信電力を制御することはしない。すなわち、近接センサー103からの信号が所定時間以上一定である場合、近接センサー103からの検出値と加速度センサー104からの検出値とを使用して近接センサー103が正常か異常かを判定する。その結果、近接センサー103が異常状態であると判定された場合、電力制御のためのセンサーを加速度センサー104に切り替える。以上の点が、第1実施形態に係る電力制御処理と第2実施形態に係る電力制御処理との主な相違点である。
図6の電力制御処理は、無線通信装置100の電源がオンされると開始され、まず、ステップS50において、I/O処理回路118(入力処理部201)は、近接センサー103からの信号が所定時間以上一定であるかを判定する。I/O処理回路118は、近接センサー103からの信号が所定時間以上一定であると判定するまで、ステップS50の処理を繰り返す。ステップS50において、I/O処理回路118は、近接センサー103からの信号が所定時間以上一定であると判定すると、ステップS52に進み、加速度センサー104からの応答を確認する。
次に、ステップS54において、I/O処理回路118は、所定時間内に加速度センサー104からの応答があるかを判定する。ステップS54において、I/O処理回路118は、所定時間内に加速度センサー104からの応答がなかったと判定した場合、ステップS76に進み、CPU11は、電波の送信電力を下げる。
次に、ステップS78に進み、I/O処理回路118は、近接センサー103の信号に変化があったかを判定する。近接センサー103の信号に変化があった場合、近接センサー103が正常状態にあると判定し、電力制御のためのセンサーを加速度センサー104から近接センサー103に切り替える。つまり、I/O処理回路118は、ステップS78で「Yes」と判定した場合、ステップS80に進み、近接センサー103が物体を検知しているかを判定する。
ステップS80において、I/O処理回路118は、近接センサー103が物体を検知していると判定した場合、CPU11は、電波の送信電力を下げ、本処理を終了する。ステップS80において、I/O処理回路118は、近接センサー103が物体を検知していないと判定した場合、CPU11は、電波の送信電力を上げ、本処理を終了する。このようにして、近接センサー103が正常状態に復帰した場合には、物体の検知に関してより精度の高い近接センサー103を優先的に使用する。
ステップS54において、I/O処理回路118が、加速度センサー104からの応答があったと判定した場合、ステップS56に進み、CPU11(姿勢判定部208)は、無線通信装置100の傾き(角度)が−45度〜45度の範囲内かを判定する。ステップS56において、CPU11が、無線通信装置100の傾きが−45度〜45度の範囲内であると判定した場合、ステップS58に進み、I/O処理回路118は、近接センサー103が物体を検知したかを判定する。
ステップS56にて無線通信装置100の傾きが−45度〜45度の範囲内と判定され、ステップS58にて近接センサー103が物体を検知していると判定される場合、加速度センサー104及び近接センサー103の検出値から人体が接近していると判定される。このような場合、加速度センサー104及び近接センサー103の検出値から、近接センサー103は正常状態にあると判定される。よってステップS60に進み、CPU11は、近接センサー103は正常に動作していると判定し、ステップS80に進む。そして、ステップS80〜ステップS84の処理が実行される。
一方、ステップS56にて無線通信装置100の傾きが−45度〜45度の範囲内と判定され、ステップS58にて近接センサー103が物体を検知していないと判定された場合、加速度センサー104及び近接センサー103の検出値から矛盾した判定結果が得られる。つまり、加速度センサー104の検出値から人体が接近していると判定され、近接センサー103の検出値から物体が接近していないと判定される。このように矛盾した判定結果が得られる場合、近接センサー103は異常状態にあると判定される。よって、この場合、本実施形態にかかる無線通信装置100は、電波の送信電力を制御するためのトリガーとなるセンサーを近接センサー103から加速度センサー104に切り替え、加速度センサー104の傾き情報に応じて電波の送信電力制御を行う。
具体的には、ステップS56において無線通信装置100の傾きが−45度〜45度の範囲内と判定され、ステップS58において近接センサー103が物体を検知していないと判定された場合、ステップS62に進む。CPU11(制御部202)は、近接センサー103は異常であると判定する。そして、I/O処理回路118は加速度センサー104の傾き情報を取得する。CPU11は、ステップS66において無線通信装置100の傾きが−45度〜45度の範囲内であると判定した場合、ステップS68に進み、電波の送信電力を下げ、ステップS72に進む。CPU11は、ステップS66において無線通信装置100の傾きが−45度よりも小さい又は45度よりも大きいと判定した場合、ステップS70に進み、電波の送信電力を上げ、ステップS72に進む。
次に、ステップS72において、I/O処理回路118は、近接センサー103の信号に変化があったかを判定する。近接センサー103の信号に変化があったと判定された場合、近接センサー103が正常状態にあると判定し、電力制御のためのセンサーを加速度センサー104から近接センサー103に切り替える。つまり、I/O処理回路118は、ステップS80に進み、近接センサー103が物体を検知しているかを判定する。ステップS80において、I/O処理回路118は、近接センサー103が物体を検知していると判定した場合、CPU11は、電波の送信電力を下げ、本処理を終了する。ステップS80において、I/O処理回路118は、近接センサー103が物体を検知していないと判定した場合、CPU11は、電波の送信電力を上げ、本処理を終了する。このようにして、近接センサー103が正常状態に復帰した場合には、近接センサー103を優先的に使用する。
ステップS72において、I/O処理回路118は、近接センサー103の信号に変化がなかったと判定した場合、ステップS74において、CPU11は加速度センサー104の傾き情報を取得し、ステップS66に戻り、ステップS66〜ステップS74の処理を繰り返す。ステップS66〜ステップS74の処理は、無線通信装置100の電源がオフされるまで、又は近接センサー103が正常状態に復帰するまで繰り返される。
ステップS54において、I/O処理回路118は、加速度センサー104からの応答があったと判定し、ステップS56において、CPU11が、無線通信装置100の傾き−45度よりも小さい又は45度よりも大きいと判定した場合、ステップS64に進む。ステップS64において、I/O処理回路118は、近接センサー103が物体を検知したかを判定する。
ステップS56にて無線通信装置100の傾きが−45度〜45度の範囲外と判定され、ステップS64にて近接センサー103が物体を検知していないと判定された場合、加速度センサー104及び近接センサー103の検出値から合致した判定結果が得られる。つまり、、加速度センサー104から人体が接近していないと判定され、近接センサー103の検出値から物体が接近していないと判定される。このように合致した判定結果が得られる場合、近接センサー103は正常状態にあると判断できる。よって、この場合、ステップS60にて、CPU11は、近接センサー103は正常に動作していると判定し、ステップS80に進む。そして、ステップS80〜ステップS84の処理が実行される。
一方、ステップS56にて無線通信装置100の傾きが−45度〜45度の範囲外と判定され、ステップS64にて近接センサー103の検出値から物体を検知していると判定された場合、加速度センサー104及び近接センサー103の検出値から矛盾した判定結果が得られる。つまり、加速度センサー104の検出値から無線通信装置100に人体が接近していないと判定され、近接センサー103の検出値から無線通信装置100に物体が接近していると判定される。このように矛盾した判定結果が得られる場合、近接センサー103は異常状態にあると判定される。よって、この場合、本実施形態にかかる無線通信装置100は、電波の送信電力を制御するためのトリガーとなるセンサーを近接センサー103から加速度センサー104に切り替え、加速度センサー104の傾き情報に応じて電波の送信電力制御を行う。具体的には、ステップS56にて無線通信装置100の傾きが−45度〜45度の範囲外と判定され、ステップS64においてI/O処理回路118が、近接センサー103が物体を検知していると判定した場合、ステップS62に進む。CPU11(制御部202)は、近接センサー103は異常であると判定する。そして、I/O処理回路118は加速度センサー104の傾き情報を取得する。以後、加速度センサー104の傾き情報に応じてステップS66〜ステップS74の電波の送信電力制御が行われる。
以上に説明したように、第2実施形態にかかる無線通信装置100の電力制御処理によれば、無線通信装置100に設けられた近接センサー103の稼働状況に応じて適切に無線通信装置100の電波の送信電力を抑制することができる。
第2実施形態にかかる無線通信装置100では、I2C等のインターフェイスを有しないため、近接センサー103に応答要求やリセット信号を送信したとしても、近接センサー103からの応答を受けることができない。
ただし、本実施形態においても、近接センサー103に不具合があると判定された場合、直ちに加速度センサー104に切り替えない。つまり、近接センサー103の状態の判定結果と、加速度センサー104の状態の判定結果とから電波の送信電力を制御するためのトリガーとなるセンサーを近接センサー103から加速度センサー104に切り替えるか否かが判定される。判定の結果、近接センサー103が正常状態の場合、近接センサー103を用いて通信規格を満足するように電波の送信電力が制御される。近接センサー103が異常状態の場合であっても、無線通信装置100に設けられている加速度センサー104を用いて通信規格を満足するように電波の送信電力が制御される。
以上、無線通信装置を上記実施形態により説明した。しかしながら、本発明にかかる無線通信装置は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。また、上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。例えば、制御部202は、ハードウェアにより構成されてもよく、ソフトウェアにより構成されてもよく、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせて構成されてもよい。
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
近接センサー及び加速度センサーを有する無線通信装置であって、
前記近接センサーの検出値及び前記加速度センサーの検出値を入力する入力処理部と、
前記近接センサーの検出値に基づき前記無線通信装置に接近している物体の有無を判定する物体判定部と、
前記加速度センサーの検出値に基づき前記無線通信装置の姿勢を判定する姿勢判定部と、
前記無線通信装置に接近している物体の有無の判定結果に基づき電波の送信電力を抑制する無線通信部と、
を有し、
前記無線通信部は、
前記近接センサーの検出値が所定時間以上一定であるの場合であって、前記近接センサーの復帰処理に基づき前記近接センサーが異常であると判定されたとき、前記無線通信装置の姿勢の判定結果に基づき電波の送信電力を抑制する、
を有する無線通信装置。
(付記2)
近接センサー及び加速度センサーを有する無線通信装置であって、
前記近接センサーの検出値及び前記加速度センサーの検出値を入力する入力処理部と、
前記近接センサーの検出値に基づき前記無線通信装置に接近している物体の有無を判定する物体判定部と、
前記加速度センサーの検出値に基づき前記無線通信装置の姿勢を判定する姿勢判定部と、
前記無線通信装置に接近している物体の有無の判定結果に基づき電波の送信電力を抑制する無線通信部と、
を有し、
前記無線通信部は、
前記近接センサーの検出値が所定時間以上一定の場合であって、前記無線通信装置に接近している物体の有無の判定結果及び前記無線通信装置の姿勢の判定結果に基づき前記近接センサーが異常であると判定されたとき、前記無線通信装置の姿勢の判定結果に基づき電波の送信電力を抑制する、
を有する無線通信装置。
(付記3)
前記無線通信部は、
前記近接センサーの復帰処理に応じて前記近接センサーから応答があった場合、前記無線通信装置に接近している物体の有無の判定結果に基づき前記電波の送信電力を抑制する、
付記1に記載の無線通信装置。
(付記4)
前記無線通信部は、
前記近接センサーの検出値が変化した場合、前記無線通信装置に接近している物体の有無の判定結果に基づき前記電波の送信電力を抑制する、
付記2に記載の無線通信装置。
100:無線通信装置
102:通信アンテナ
103:近接センサー
104:加速度センサー
111:CPU
117:無線通信回路
118:I/O処理回路
201:入力処理部
202:制御部
203:無線通信部
204:記憶部
207:物体判定部
208:姿勢判定部
209:稼働状態判定部

Claims (2)

  1. 近接センサー及び加速度センサーを有する無線通信装置であって、
    前記近接センサーの検出値及び前記加速度センサーの検出値を入力する入力処理部と、
    前記近接センサーの検出値に基づき前記無線通信装置に接近している物体の有無を判定する物体判定部と、
    前記加速度センサーの検出値に基づき前記無線通信装置の姿勢を判定する姿勢判定部と、
    前記無線通信装置に接近している物体の有無の判定結果に基づき電波の送信電力を抑制する無線通信部と、
    を有し、
    前記無線通信部は、
    前記近接センサーの検出値が所定時間以上一定である場合であって、前記近接センサーの復帰処理に基づき前記近接センサーが異常であると判定されたとき、前記無線通信装置の姿勢の判定結果に基づき電波の送信電力を抑制する、
    を有する無線通信装置。
  2. 前記無線通信部は、
    前記近接センサーの復帰処理に応じて前記近接センサーから応答があった場合、前記無線通信装置に接近している物体の有無の判定結果に基づき前記電波の送信電力を抑制する、
    請求項1に記載の無線通信装置。
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