<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。まず、図2を参照して、本実施の形態に係る植物体管理システムの構成について説明する。図2は、本実施の形態に係る植物体管理システム1の構成の一例を示す図である。図2に示す通り、本実施の形態に係る植物体管理システム1は、情報処理装置100と、画像処理装置110と、撮像装置120とを備えている。各装置は、例えばLAN(Local Area Network)ケーブル等を用いて互いに接続されている。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、各装置は、互いに無線LANに接続する構成であってもよい。
なお、図2に示す植物体管理システム1は、本発明に特有な構成について表現したものであり、植物体管理システム1が、例えば、情報処理装置100の処理結果を表示する表示装置など、図2に示されていない装置を有していてもよいことは言うまでもない。
撮像装置120は、状態管理作業の対象となる植物体9を撮影する装置である。状態管理作業とは、剪定、摘果、摘葉および摘花等、植物体9の状態を管理するための作業を示す。撮像装置120は、状態管理作業によって生じる植物体9の動きを撮影する。撮像装置120は、例えば、植物体9の動きが観察できる程度の画素数の画像データを出力可能な、一般的なデジタルカメラやウェブカメラ等によって実現される。具体的には、撮像装置120は、例えば、出力画素数が1920×1080ピクセルのCCD(Charge Coupled Device)ウェブカメラ等で実現されるが、本発明はこれに限定されるものではない。撮像装置120は、撮影した植物体9の画像(撮影画像)を示す画像データを、画像処理装置110に送信する。
画像処理装置110は、撮像装置120から、画像データを受信する。画像処理装置110は、受信した画像データを用いて、当該画像データによって示される撮影画像から、植物体の領域(植物体領域、動作領域とも呼ぶ)を抽出する。画像処理装置110は、色情報を用いて、上記撮影画像を、植物体領域とそのほかの領域とに区別し、上記植物体領域に区別された領域を撮影画像から抽出する。植物体9は、例えば、緑、黄および赤であることが多く、画像処理装置110は、上記抽出処理にこのような色の情報を他の色の情報と区別することで抽出することが好ましい。
また、画像処理装置110が抽出する植物体領域は、植物体9のうち、成長による動作量(動作幅とも呼ぶ)が大きい部位が含まれることが好ましい。植物体9のうち動作量が大きい部位は、例えば、成長によって動きが観測される、より新しい葉、より新しい茎等である。一方、植物体9のうち動作量が小さい部位は、例えば、主茎のうちの根元に近接する部分、および、より古い葉である。したがって、画像処理装置110は、少なくとも1つの、動作量が大きい部位と、少なくとも1つの、動作量が小さい部位と、を動作部位として設定することが好ましい。そして、画像処理装置110は、撮像装置120から受信した画像データによって示される撮影画像のうち、この動作部位として設定された各部位によって構成される領域を動作領域(植物体領域)として抽出する。
なお、画像処理装置110が行う植物体領域の抽出処理は、特に限定されず、一般的な方法を用いるとするため、本実施の形態では説明を省略する。
そして、画像処理装置110は、抽出した植物体領域からなる画像(植物体画像)を示す画像データ(植物体画像データ)を生成し、当該植物体画像データを、情報処理装置100に送信する。
情報処理装置100は、画像処理装置110から植物体画像データを受信する。情報処理装置100は、受信した植物体画像データを用いて、植物体9の動作量を算出し、算出した動作量に基づいて、状態管理作業が行われたか否かを判定する。情報処理装置100の具体的な機能構成については、図面を変えて説明を行う。
なお、画像処理装置110または撮像装置120は、撮像装置120が撮影した画像データを、例えば、図示しない記憶部に格納してもよい。この記憶部は、情報処理装置100または画像処理装置110に内蔵されるものであってもよいし、情報処理装置100および画像処理装置110とは別個の記憶装置によって実現されるものであってもよい。記憶部は、大容量であり、かつ、安価で信頼性の高いハードディスクによって実現されることが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。記憶部は、例えば、SD(Secure Digital)メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、フラッシュメモリなどの記憶装置によって実現されてもよい。また、記憶部は、例えば、DVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体であってもよい。
また、画像処理装置110は、撮像装置120から直接受信した画像データからではなく、上記記憶部に格納された画像データから、植物体9の植物体領域を抽出してもよい。また、抽出処理に使用した画像データおよび/または抽出処理によって画像データから抽出した植物体画像データを上記記憶部に格納してもよい。
なお、画像処理装置110が抽出処理を行う時間間隔は、特に限定されない。しかし、上記時間間隔が短すぎると、抽出したデータ、および/または、図示しない記憶部に蓄積されるデータが多くなり、長すぎると植物体9の動作量の精度等が低下する可能性がある。よって、画像処理装置110は、植物体9の成長速度を考慮し、例えば、10分間隔で抽出処理を行うことが好ましい。
また、本実施の形態では、情報処理装置100と画像処理装置110とが異なる装置で実現することを例に説明を行うが、本発明はこれに限定されるものではない。情報処理装置100と、画像処理装置110とは、同一の装置で実現してもよい。
(情報処理装置100)
次に、図1を参照して、本実施の形態に係る情報処理装置100の機能構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る植物体管理システム1における情報処理装置100の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図1に示す通り、情報処理装置100は、動作量算出部101と、判定部102とを備えている。
動作量算出部101は、画像処理装置110から送信された植物体画像データを用いて、植物体9の動作量を算出する。動作量算出部101は、動作量を算出する対象となる時点における植物体画像を示す植物体画像データと、比較対象となる時点(所定期間後)における植物体画像を示す植物体画像データとを用いて、植物体9の所定の位置(ポイント)における動作量を算出する。ここで、動作量を算出する対象となる時点における植物体画像とは、例えば、最新の撮影画像から抽出された植物体画像である。また、比較対象となる時点における植物体画像とは、例えば、最新の撮影画像が撮影された時点から所定期間前(例えば、10分前)の撮影画像から抽出された植物体画像である。なお、比較対象となる時点における植物体画像は1つであってもよいし複数であってもよい。
本実施の形態における情報処理装置100は、植物体9の所定のポイントとして、植物体領域のうち成長による動作量がより大きいポイントと、動作量がより小さいポイントとを夫々、1以上設定する。植物体9の所定のポイントのうち動作量がより大きいポイント(第1の所定の位置)とは、例えば、葉身の先端部である。また、植物体9の所定のポイントのうち動作量がより小さいポイント(第2の所定の位置)とは、例えば、葉元(主茎と葉との接続部分)等である。なお、本実施の形態では、この葉元を葉の節とも呼ぶ。
動作量算出部101は、植物体画像ごとに、上記所定のポイントの夫々に該当する、植物体画像上の位置を示す情報を、この植物体画像を示す植物体画像データから取得する。この植物体画像上の位置を示す情報とは、例えば、植物体画像の座標であってもよいし、当該植物体画像を図示しない表示装置に表示した際のピクセル位置であってもよい。
そして、動作量算出部101は、植物体画像ごとに取得した所定のポイントを示す情報を用いて、所定のポイントごとに、当該所定のポイントにおける、所定期間内前後の位置の変化量を算出する。この所定のポイントの変化量が、当該所定のポイントにおける動作量となる。この動作量の精度は、例えば、植物体9の動作量が1〜3cm程度の場合、およそ0.1cmであれば十分である。剪定、摘果、摘葉および摘花等の状態管理作業が行われることによって動作する植物体9の動作量は、これらの作業量に比例すると考えられる。なぜならば、これらの作業量が多いほど植物体9が再生するために必要な栄養素が増え、これに伴い植物体9による養分の要求量も増加するためである。なお、動作量の精度はこれに限定されるものではなく、植物体9の種類によって変化してもよい。
なお、動作量算出部101が動作量を算出する際に用いる植物体画像データは、図示しない記憶部に記憶されたデータであってもよい。また、例えば、画像処理装置110が動作量を算出する対象となる時点における植物体画像データと共に、比較対象の植物体画像データを情報処理装置100に送信する構成である場合、動作量算出部101は、これらの植物体画像データを用いて動作量を算出してもよい。
なお、動作量算出部101は、動作量と共に、上記所定のポイントの動作速度を算出してもよい。
動作量算出部101は、算出した所定のポイント毎の動作量を示す情報(動作量情報)を、判定部102に供給する。
判定部102は、動作量算出部101が算出した、植物体9の所定のポイント毎の動作量を示す情報を、動作量算出部101から受け取る。判定部102は、動作量算出部101が算出した植物体9の動作量を用いて、状態管理作業が行われたか否かを判定する。
植物体9は、例えば、自然対流等で生じた風によって動く場合がある。植物体9が自然対流等で生じた風によって動いた場合、その動作量は、成長による動作量がより大きいポイントにおける動作量に比べ小さく、例えば、1cm以下となる。よって、判定部102は、植物体9の所定のポイントにおける動作量が、所定の値(第1の所定の値)より大きいとき、状態管理作業が行われたと判定する。このときの所定のポイントは、例えば、より新しい葉の葉身の先端など、動作量がより大きい部位における動作量がより大きいポイントであることが好ましい。
また、植物体9は、例えば、作業者が植物体9に意図的に触れた場合など、人為的な作用によって動く場合がある。植物体9に作業者が触れた場合等、成長による動き以外の動きの場合、植物体9全体、および/または、植物体9のうち動作量が小さい部位にも動きが見られる。したがって、判定部102は、以下の(1)および(2)を満たすか否か判定することにより、動作量算出部101が算出した動作量が、成長による動きの動作量と、そのほかの要因による動作の動作量とを区別することができる。
(1)成長による動作量がより大きいポイントにおける動作量が第1の所定の値より大きい。
(2)成長による動作量がより小さいポイントにおける動作量が前記第1の所定の値以下のとき、および/または、植物体9の全体における動作量が第2の所定の値より小さい。
この植物体9の全体における動作量は、各所定のポイントにおける動作量の合計であってもよいし、平均であってもよいし、両方であってもよい。
このように、判定部102は、動作量算出部101によって算出された動作量が、成長による動作量と、そのほかの要因による動作量とを区別し、成長による動作量であることを判定することにより、状態管理作業が行われたと判定する。
(情報処理装置100の動作)
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る植物体管理システム1の情報処理装置100における状態管理作業検出方法について説明する。図3は、本実施の形態に係る植物体管理システム1の情報処理装置100における状態管理作業検出処理の流れの一例を示す図である。
図3に示す通り、情報処理装置100の動作量算出部101が、画像処理装置110から送信された植物体9の画像を示す植物体画像データから、植物体9の動作量を算出する(ステップS31)。
そして、情報処理装置100の判定部102が、ステップS31にて算出された植物体9の動作量に基づいて、状態管理作業が行われたか否かを判定する(ステップS32)。
本実施の形態に係る情報処理装置100は、この状態管理作業検出処理により、状態管理作業が行われたことを検出することができる。
なお、判定部102が、動作量算出部101によって算出された動作量が、成長による動作量と、そのほかの要因による動作量とを区別する方法は、動作量の大きさの判定に限定されるものではない。判定部102は、各ポイントにおける動作速度によって、上記区別を行ってもよい。
成長による動作速度は、例えば、作業者が植物体9に触れたときの植物体9の動作速度に比べ非常に遅い。したがって、動作量算出部101が、複数の植物体画像データを用いて、植物体9の動作速度を算出し、判定部102に供給してもよい。そして、判定部102は、この動作速度が、所定の値より小さいか否かを判定することにより、動作量算出部101が算出した植物体9の動作量が、成長によるものか否かを区別してもよい。
また、作業者が植物体9に意図的に触れた場合による植物体9の動きは、短期間で収束するため、例えば、撮影した時点で、ちょうど植物体9が作業者が触れて動いていたとしても、次に撮影した時点では、作業者が触れたことによる動きは収束する。したがって、判定部102は、複数の植物体画像データを用いて、上記動きが収束しているか否かを確認することにより、植物体9の動作量が、成長によるものか否かを区別してもよい。
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る情報処理装置100によれば、植物体に対する状態管理作業が行われたことを検出することができる。
なぜならば、動作量算出部101が、植物体9の画像を示す植物体画像データから、植物体9の動作量を算出し、判定部102が、この動作量に基づいて、状態管理作業が行われたか否かを判定するからである。
剪定、摘果、摘葉および摘花等の状態管理作業が行われることによって、当該状態管理作業が行われた植物体9は、自身に必要な養分量が変化する。養分を吸収した植物体9における、例えば葉の部分は、上記状態管理作業が行われる前または状態管理作業が行われていない植物体9に比べ、成長する。
動作量算出部101は、この成長による動きの動作量を、植物体画像データから算出する。具体的には、動作量算出部101は、植物体画像データから、植物体9の1または複数の所定の位置における動作量を、所定の位置ごとに算出する。そして、判定部102は、動作量算出部101が算出した動作量に基づいて状態管理作業が行われたか否かを判定する。
これにより、本実施の形態に係る情報処理装置100は、植物体9に対し、状態管理作業が行われたことを検出することができる。
また、上述したとおり、植物体9は、状態管理作業後に、養分をより吸収する。したがって、情報処理装置100が、状態管理作業が行われたことを検出することにより、植物体9に対して、最適な電気伝導率の培養液を与えることができる。したがって、植物体9に対し最適な栽培環境となるような培養液管理を自動的に行うことができ、高品質、且つ、収穫量が高い植物体9を栽培することができる。
また、動作量算出部101は、成長による動作量がより大きい、少なくとも1つの第1の所定の位置と、成長による動作量がより小さい、少なくとも1つの第2の所定の位置との動作量を、第1および第2の所定の位置ごとに算出することが好ましい。そして、判定部102は、第1の所定の位置における動作量が第1の所定の値より大きい場合、状態管理作業が行われたと判定することが好ましい。
これにより、例えば、自然対流等によって生じた植物体9の動作量と、成長による動作量とを区別することができる。
更に、判定部102は、第2の所定の位置における動作量が前記第1の所定の値以下であるか否かを判定してもよい。更に、判定部102は、植物体の全体における動作量が第2の所定の値より小さいか否かを判定してもよい。
これにより、例えば、作業者が植物体9に触れることによって生じた植物体9の動作量と成長による動作量とを区別することができる。
(植物体管理システム1の適用例)
上述した第1の実施の形態に係る植物体管理システム1の適用例について説明する。図4は、上述した第1の実施の形態に係る植物体管理システム1に基づいた植物体管理システムの概略を示す図である。図4に示す通り、植物体管理システム10は、情報処理装置11と、カメラ12と、表示装置13と、記憶装置14とを備えている。
情報処理装置11は、第1の実施の形態に係る情報処理装置100および画像処理装置110に相当する。カメラ12は、第1の実施の形態に係る撮像装置120に相当する。表示装置13は、情報処理装置11の結果を表示する装置である。記憶装置14は、カメラ12の撮影画像の画像データ、情報処理装置11の各処理によって生成されたデータ等の各種データを格納する記憶手段である。
情報処理装置11と、カメラ12、表示装置13および記憶装置14とは、LANケーブル15を用いて接続している。
植物体管理システム10によって管理される植物体9は、植物体9の水耕栽培を行う設備である栽培システム90によって栽培される。栽培システム90は、水耕栽培用の栽培容器91と、支持部材94とを備える。栽培容器91には、液肥である培養液92が貯留されている。支持部材94は、栽培容器91内の培養液92の液面と、当該支持部材94との間に所定の空間が形成されるように栽培容器91に固定された、植物体9を支持するための部材である。
第1の実施の形態に係る植物体管理システム1は、このような植物体管理システム10に適用可能である。
<第2の実施の形態>
次に、上述した第1の実施の形態を基本とする第2の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態で説明した図面に含まれる部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
図5は、本実施の形態に係る植物体管理システム2の構成の一例を示す図である。図5に示す通り、本実施の形態に係る植物体管理システム2は、撮像装置120と、情報処理装置200と、測定器210と、培養液管理装置220を備えている。各装置は、例えばLANケーブル等を用いて互いに接続されている。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、各装置は、互いに無線LANに接続する構成であってもよい。
なお、図5に示す植物体管理システム2は、本発明に特有な構成について表現したものであり、植物体管理システム2が、例えば、情報処理装置200の処理結果を表示する表示装置など、図5に示されていない装置を有していてもよいことは言うまでもない。
測定器210は、植物体9の培養液の電気伝導率を測定する機器である。培養液の電気伝導率が2〜4mS/cm程度であり、状態管理作業後の植物体9による急激な養液吸収が引き起こす電気伝導率の低下は、約10%程度と見積もった場合、電気伝導率の測定精度は、0.01mS/cmであればよい。なお、電気伝導率の測定精度はこれに限定されるものではなく、植物体9の種類および栽培環境によって変化してもよい。
測定器210は、測定した電気伝導率を示す情報(電気伝導率情報)を、情報処理装置200に送信する。
なお、測定器210は、測定した電気伝導率を示す電気伝導率情報を、図示しない記憶部に格納してもよい。この記憶部は、情報処理装置200に内蔵されるものであってもよいし、情報処理装置200とは別個の記憶装置によって実現されるものであってもよい。この記憶部が情報処理装置200に内蔵される場合、情報処理装置200は、測定器210から受信した電気伝導率情報を当該記憶部に格納する。また、この記憶部が、情報処理装置200とは別個の記憶装置によって実現される場合、第1の実施の形態において説明した、撮像装置120が撮影した画像データを記憶する記憶装置と、同様の記憶装置で実現してもよい。
情報処理装置200は、上述した第1の実施の形態に係る植物体管理システム1における情報処理装置100および画像処理装置110の機能を有する。また、培養液の電気伝導率を調整するために、当該培養液に追加する液肥(追加培養液)または水の量(供給量)を算出する機能を有する。情報処理装置200は、算出した供給量を示す情報(供給量情報)を培養液管理装置220に送信する。情報処理装置200の具体的な機能構成については、図面を変えて説明を行う。
培養液管理装置220は、植物体9に与える培養液を管理する手段である。具体的には、情報処理装置200から送信された、供給量情報に基づいて、培養液が貯留された栽培容器に対し、追加培養液または水を追加する。これにより培養液管理装置220は、栽培容器内の培養液の電気伝導率を所定の値に調整する。
(情報処理装置200)
次に、図6を参照して、本実施の形態に係る植物体管理システム2の情報処理装置200の機能構成について説明する。図6は、本実施の形態に係る植物体管理システム2における情報処理装置200の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図6に示す通り、情報処理装置200は、動作量算出部101と、判定部102と、画像処理部203と、供給量算出部204と、を備えている。
画像処理部203は、第1の実施の形態に係る画像処理装置110に相当する。画像処理部203は、撮像装置120が撮影した画像の画像データから植物体の領域を抽出し、植物体画像データを生成する。画像処理部203は、生成した植物体画像データを動作量算出部101に供給する。画像処理部203の機能については、第1の実施の形態に係る画像処理装置110と同様であるため、詳しい説明を省略する。
動作量算出部101と、判定部102とは、第1の実施の形態に係る情報処理装置100の動作量算出部101と判定部102と同様の処理を行う。判定部102は、更に、供給量算出部204に判定結果を示す情報を供給する。
供給量算出部204は、判定部102から判定結果を受け取る。また、供給量算出部204は、測定器210から送信された電気伝導率情報を受け取る。そして、供給量算出部204は、判定部102から受け取った判定結果が、状態管理作業が行われたことを示す情報であるとき、測定器210から受け取った電気伝導率情報によって示される電気伝導率を用いて、培養液に追加する追加培養液の供給量を算出する。
供給量算出部204の動作について、例を挙げて説明する。植物体管理システム2において、植物体9を3mS/cmの培養液で栽培していたとする。状態管理作業が行われたという判定結果であるとき、測定器210によって測定された、培養液の電気伝導率が2.5mS/cmに低下していたとする。このとき、供給量算出部204は、培養液の電気伝導率が3mS/cmになるように、培養液に注入すべき追加培養液の供給量を算出する。
また、供給量算出部204は、測定器210によって測定された、培養液の電気伝導率が、設定された値(上記例では、3mS/cm)より大きい値であるとき、培養液の電気伝導率が設定された値になるように、追加する水の供給量を算出してもよい。
そして、供給量算出部204は、算出した、追加培養液または水の供給量を示す供給量情報を培養液管理装置220に送信する。これにより、培養液管理装置220は、上記供給量情報に基づいて、追加培養液または水を培養液が貯留された栽培容器に追加することができる。
なお、培養液管理装置220は、測定された電気伝導率をモニタリングする機能を有していてもよい。そして、供給量算出部204が算出した供給量に基づいて、この電気伝導率が所定の値になるまで、追加培養液または水を栽培容器に注入する構成であってもよい。
また、培養液管理装置220は、情報処理装置200と異なる装置で実現することを例に説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、情報処理装置200と同一の装置で実現する構成であってもよい。
(情報処理装置200の動作)
次に、図7を参照して、本実施の形態に係る植物体管理システム2の情報処理装置200における状態管理作業検出方法について説明する。図7は、本実施の形態に係る植物体管理システム2の情報処理装置200における状態管理作業検出処理の流れの一例を示す図である。
図7に示す通り、情報処理装置200の画像処理部203が、撮像装置120が撮影した画像の画像データから植物体の領域を抽出し、植物体画像データを生成する(ステップS71)。
次に、動作量算出部101が、ステップS71において、画像処理部203によって生成された、植物体画像データから、植物体9の動作量を算出する(ステップS72)。
そして、判定部102が、ステップS72にて算出された植物体9の動作量に基づいて、状態管理作業が行われたか否かを判定する(ステップS73)。
次に、ステップS73において、判定部102によって状態管理作業が行われたと判定されたとき、供給量算出部204が、測定器210が測定した電気伝導率を用いて、培養液に追加する追加培養液の供給量を算出する(ステップS74)。
そして、供給量算出部204は、算出した、追加培養液の供給量を示す供給量情報を培養液管理装置220に送信する。
これにより、培養液管理装置220は、上記供給量に基づいて、追加培養液を培養液に追加することができる。
なお、本実施の形態に係る情報処理装置200は、表示装置を制御する表示制御部を更に備える構成であってもよい。この表示制御部は、例えば、表示装置に表示させる情報を、表示装置に送信する。これにより、表示装置は、表示制御部によって送信された情報を画面に表示する。この情報は、例えば、状態管理作業が行われたことを示す情報であってもよいし、培養液管理装置220が追加培養液または水を培養液に追加したことを示す情報であってもよい。
また、測定器210が電気伝導率を示す情報ではなく、電流値などを測定データとして送信する機器であるとき、本実施の形態に係る情報処理装置200は、当該測定データを電気伝導率に変換する変換部を更に備える構成であってもよい。具体的には、この変換部は、測定器210から送信された、例えば電流値および測定時間等の測定データを、電気伝導率の単位であるmS/cmで示される値に変換することが好ましい。そして、変換部は、変換した値を供給量算出部204に供給する。なお、この変換部は、測定器210および情報処理装置200と別個の構成であってもよい。
また、測定器210が電気伝導率を測定するタイミングは、判定部102によって、状態管理作業が行われたと判定されたときであってもよいし、植物体9の画像が撮影されたタイミングと同じタイミングであってもよい。
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る情報処理装置200によれば、第1の実施の形態に係る情報処理装置100と同様に、植物体に対する状態管理作業が行われたことを検出することができる。
また、本実施の形態に係る植物体管理システム2によれば、栽培対象の植物体9に対し最適な栽培環境となるような培養液管理を自動的に行うことができる。
なぜならば、判定部102によって状態管理作業が行われたと判定されたとき、供給量算出部204が、測定器210が測定した電気伝導率を用いて、培養液に追加する追加培養液の供給量を算出するからである。そして、培養液管理装置220が、算出された供給量に基づいて、追加培養液を、植物体9を培養するための培養液に追加するからである。
したがって、本実施の形態に係る植物体管理システム2によれば、植物体9に対して、最適な電気伝導率の培養液を与えることができる。よって、植物体9に対し最適な栽培環境となるような培養液管理を自動的に行うことができ、高品質、且つ、収穫量が高い植物体9を栽培することができる。
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1および第2の実施の形態で説明した図面に含まれる部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。本実施の形態に係る植物体管理システム3は、第2の実施の形態に係る植物体管理システム2の情報処理装置200に代えて、情報処理装置300を備える。なお、本実施の形態に係る植物体管理システム3は、第2の実施の形態に係る植物体管理システム2の構成と同様であるため、システム構成についての説明を省略する。
(情報処理装置300)
次に、図8を参照して、本実施の形態に係る植物体管理システム3の情報処理装置300の機能構成について説明する。図8は、本実施の形態に係る植物体管理システム3における情報処理装置300の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図8に示す通り、情報処理装置300は、動作量算出部101と、判定部302と、画像処理部203と、供給量算出部204と、変動量算出部305と、記憶部306とを備えている。
記憶部306は、上述した第1および第2の実施の形態において説明した記憶部に相当する。具体的には、記憶部306は、画像処理部203が抽出処理を行う対象の画像データである、撮像装置120が撮影した画像データを格納する。また、記憶部306は、画像処理部203が抽出処理を行うことにより生成した植物体画像データを格納する。また、記憶部306は、供給量算出部204が供給量の算出処理に使用する、測定器210が測定した電気伝導率を示す情報である電気伝導率情報を格納する。
更に、記憶部306は、動作量算出部101が算出した動作量、および、後述する変動量算出部305が算出した変動量を格納する。
記憶部306に格納された植物体画像データは、動作量算出部101が動作量を算出する際に参照されるものであってもよい。また、記憶部306に格納された電気伝導率情報は、供給量算出部204が供給量を算出する際、および/または、変動量算出部305が変動量を算出する際に参照されるものであってもよい。
なお、記憶部306は、情報処理装置300に内蔵されるものであってもよいし、情報処理装置300別個の記憶装置によって実現されるものであってもよい。
変動量算出部305は、電気伝導率の変動量を算出する。具体的には、変動量算出部305は、測定器210が測定した、培養液の電気伝導率が、所定の期間内で、どのくらい変動したかを示す変動量を算出する。変動量算出部305は、算出した変動量を示す情報(変動量情報)を判定部302に供給する。
なお、変動量算出部305は、電気伝導率の変動速度を算出する構成であってもよい。つまり、変動量算出部305は、時間経過に伴う電気伝導率の減少速度または増加速度を算出してもよい。
判定部302は、動作量算出部101が算出した、植物体9の所定のポイント毎の動作量を、動作量算出部101から受け取る。また、判定部302は、培養液の電気伝導率の変動量を示す変動量情報を、変動量算出部305から、を受け取る。
判定部302は、動作量算出部101が算出した植物体9の動作量と、判定部302が算出した培養液の電気伝導率の変動量を用いて、状態管理作業が行われたか否かを判定する。具体的には、判定部302は、第1の実施の形態における判定部102の判定内容に加え、更に、培養液の電気伝導率の変動量が、所定の期間内に所定の値以上である場合、状態管理作業が行われたと判定する。
例えば、所定の期間が30分であり、所定の値が5%である場合を例に説明を行う。このとき、判定部302は、植物体9の動作量の判定に加え、培養液の電気伝導率の変動量が30分以内に5%以上であるか否かを判定し、上記変動量が30分以内に5%以上であるとき、状態管理作業が行われたと判定する。
そして、判定部302は、供給量算出部204に判定結果を示す情報を供給する。
供給量算出部204は、判定部302から判定結果を示す情報を受け取る。供給量算出部204の動作は、第2の実施の形態に係る供給量算出部204と同様であるため、説明を省略する。
このように、本実施の形態に係る植物体管理システム3の判定部302は、植物体9の動作量と、培養液の電気伝導率の変動量とに基づいて、植物体9に対する状態管理作業が行われたことを判定する。したがって、本実施の形態に係る植物体管理システム3は、上記第1および第2の実施の形態で説明した効果に加え、より好適に、植物体9に対する状態管理作業が行われたことを検出することができるという効果も有する。
(植物体管理システム2および植物体管理システム3の適用例)
上述した第2の実施の形態に係る植物体管理システム2および第3の実施の形態に係る植物体管理システム3の適用例について説明する。図9は、上述した第2の実施の形態に係る植物体管理システム2および第3の実施の形態に係る植物体管理システム3に基づいた植物体管理システムの概略を示す図である。図9に示す通り、植物体管理システム20は、情報処理装置21と、カメラ12と、表示装置13と、記憶装置24と、培養液管理装置26と、を備えている。
情報処理装置21は、第2の実施の形態に係る情報処理装置200または第3の実施の形態に係る情報処理装置300に相当する。カメラ12は、撮像装置120に相当する。表示装置13は、情報処理装置21の結果を表示する装置である。
記憶装置24は、カメラ12の撮影画像の画像データ、情報処理装置21の各処理によって生成されたデータ等の各種データを格納する記憶手段であり、第2の実施の形態において説明した記憶部または第3の実施の形態における記憶部306に相当する。
培養液管理装置26は、第2および第3の実施の形態に係る培養液管理装置220に相当する。
情報処理装置21と、カメラ12、表示装置13、記憶装置24および培養液管理装置26とは、LANケーブル15を用いて接続している。
植物体管理システム20によって管理される植物体9は、植物体9の水耕栽培を行う設備である栽培システム90によって栽培される。栽培システム90は、水耕栽培用の栽培容器91と、測定器93と、支持部材94と、注入用タンク95およびチューブ96を備える。栽培容器91には、植物体9を培養するための培養液92が注入されている。支持部材94は、栽培容器91内の培養液92の液面と、当該支持部材94との間に所定の空間が形成されるように栽培容器91に固定された、植物体9を支持するための部材である。
測定器93は、第2および第3の実施の形態に係る測定器210に相当する。注入用タンク95は、培養液92が貯留された栽培容器91に対し、チューブ96を介して追加するための追加培養液および水を貯留するタンクである。注入用タンク95およびチューブ96は、培養液管理装置26の一部として構築されてもよい。
注入用タンク95と培養液管理装置26とは、LANケーブル15を用いて接続している。また、情報処理装置21と、測定器93とは、LANケーブル15を用いて接続している。
第2の実施の形態に係る植物体管理システム2および第3の実施の形態に係る植物体管理システム3は、このような植物体管理システム20に適用可能である。
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態では、本発明の課題を解決する最小の構成について説明を行う。
本実施の形態に係る情報処理装置400は、図1に示す情報処理装置100と同様の構成であるため、図1を参照して説明を行う。
本実施の形態に係る情報処理装置400は、図1に示す通り、動作量算出部101と、判定部102とを備える。
動作量算出部101は、植物体の画像を示す植物体画像データから、上記植物体の動作量を算出する。動作量算出部101は、算出した植物体の動作量を判定部102に供給する。
判定部102は、動作量算出部101によって算出された植物体の動作量に基づいて、植物体の状態を管理するための状態管理作業が行われたか否かを判定する判定する。
剪定、摘果、摘葉および摘花等の状態管理作業が行われることによって、当該状態管理作業が行われた植物体9は、自身に必要な養分量が変化する。養分を吸収した植物体9における、例えば葉の部分は、上記状態管理作業が行われる前または状態管理作業が行われていない植物体9に比べ、成長する。
したがって、本実施の形態に係る情報処理装置400によれば、この成長による動きの動作量を、植物体画像データから算出し、この動作量に基づいて状態管理作業が行われたか否かを判定するため、植物体に対し、状態管理作業が行われたことを検出することができる。
(ハードウェア構成について)
なお、図1、6および8に示した情報処理装置の各部は、図21に例示するハードウェア資源で実現してもよい。すなわち、図21に示す構成は、RAM(Random Access Memory)401、ROM(Read Only Memory)402、通信インタフェース403、記憶媒体404およびCPU(Central Processing Unit)405を備える。CPU405は、ROM402または記憶媒体404に記憶された各種ソフトウェアプログラム(コンピュータプログラム)を、RAM401に読み出して実行することにより、情報処理装置の全体的な動作を司る。すなわち、上記各実施形態において、CPU405は、ROM402または記憶媒体404を適宜参照しながら、情報処理装置が備える各機能(各部)を実行するソフトウェアプログラムを実行する。
また、各実施形態を例に説明した本発明は、情報処理装置に対して、上記説明した機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給した後、そのコンピュータプログラムを、CPU405がRAM401に読み出して実行することによって達成される。
また、係る供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能なメモリ(一時記憶媒体)またはハードディスク装置等のコンピュータ読み取り可能な記憶デバイスに格納すればよい。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを表すコード或いは係るコンピュータプログラムを格納した記憶媒体によって構成されると捉えることができる。
上述した各実施形態では、図1、6および8に示した情報処理装置における各ブロックに示す機能を、図21に示すCPU405が実行する一例として、ソフトウェアプログラムによって実現する場合について説明した。しかしながら、図1、6および8に示した各ブロックに示す機能は、一部または全部を、ハードウェアの回路として実現してもよい。
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明は、係る実施例に限定されない。
まず、本発明の各実施例で栽培する、植物体9の各葉について説明する。図22は、各実施例で使用する植物体9の各葉の番号の付し方を説明するための図である。図22に示す通り、植物体9の主茎から生える各葉は、主茎の根元から先端に向かって、第1葉、第2葉、第3葉、・・・の順で番号が付されている。なお、図22においては、第10葉までの番号が付されているが、図22は、番号の付し方を説明するための一例であり、第10葉以上の番号が付されてもよい。
また、本発明の各実施例では、この植物体9をカメラ12で撮影した際の撮影画像は、図22に示す通り、主茎と支持部材94との接続部分を原点とした。そして、支持部材94の表面(培養液92の液面と対向する支持部材94の面とは反対の面)に略平行な方向をX軸とし、上記表面に略垂直な方向をY軸とした。
(実施例1)
本実施例では、第1の実施の形態に係る植物体管理システム1の適用例にて説明した植物体管理システム10を用いて、植物体9を栽培した。栽培用の植物体9として、桃太郎系の品種のトマトを用いた。また、栽培容器91として、直径42cm、高さ44cm、容量35Lの略円柱形のポリプロピレン製の容器を用いた。また、培養液92として、トヨハシ種苗株式会社製のTF濃縮とまとAを用いた。培養液92の電気伝導率は、2mS/cmとした。
図4において、支持部材94には、直径38cm、厚さ2cmの略円形の発泡スチロールを用いた。そして、約5から6枚の葉が展開したトマトの苗を、この支持部材94に固定し、栽培容器91内の培養液92に浮かべ、液面低下法で栽培した。栽培したトマトの苗の本数は、2本である。栽培環境は、昼温度25度、夜温度20度、湿度60%のガラス室とした。カメラ12は、株式会社ロジクール製のC920を用いた。
トマトの苗を定植後、4週間栽培し、カメラ12を用いて、2本のトマトの苗を夫々撮影した。そして、作業者が、2本のトマトの苗に対し、第5葉、第6葉、第7葉のそれぞれの葉元に認められた脇芽を剪定した。そして、植物体管理システム10は、剪定後、各苗を10分経過毎に撮影した画像を用いて、所定のポイント毎の動作量を苗ごとに算出した。所定のポイントは、第4葉および第5葉の夫々の葉身の先端部と葉元とした。
本実施例における観測結果を図10および図11に示す。なお、図10および図11における剪定後とは、剪定した後、10分後のことである。また、各図における座標の単位は、センチメートルである。
図10は、2本の苗のうち、一方の苗における、第4葉の葉身の先端部および第5葉の葉身の先端部の座標であって、剪定前後の座標を示す図である。なお、図10では、第4葉の葉身の先端部を、単に「第4葉」と記載し、第5葉の葉身の先端部を、単に「第5葉」と記載している。
図10に示す通り、第4葉の葉身の先端部における剪定前の座標は、(40、56.1)であり、剪定後の座標は、(39.2、57.2)である。植物体管理システム10はこの座標を用いて第4葉の葉身の先端部の動作量を算出した。このように、第4葉の葉身の先端部は、剪定によって、1cm以上動いたことが確認された。
同様に、第5葉の葉身の先端部における剪定前の座標と剪定後の座標とから、第5葉の葉身の先端部は、剪定によって、約2cm動いたことが確認された。
図11は、図10に第4葉および第5葉の葉身の先端部の座標を示した苗の、第4葉の葉元および第5葉の葉元の座標であって、剪定前後の座標を示す図である。なお、図11では、第4葉の葉元を、単に「第4葉」と記載し、第5葉の葉元を、単に「第5葉」と記載している。
図11に示す通り、第4葉の葉元における剪定前の座標は、(32.8、44.5)であり、剪定後の座標は、(32.5、44.3)であった。植物体管理システム10はこの座標を用いて第4葉の葉元の動作量を算出した。このように、剪定が行われた苗の第4葉の葉元は、剪定前に比べてほとんど動いていないことが確認された。
同様に、図11に示す第5葉の葉元における、剪定前の座標と剪定後の座標とから、第5葉の葉元は、剪定前に比べてほとんど動いていないことが確認された。
そして、このトマトの苗における各所定のポイントの座標を、剪定後30分経過毎に確認したところ、第4葉および第5葉の葉身の先端部は、約1〜2cmの幅の円運動が確認された。この円運動は少なくとも30分間確認された。
また、本実施例の比較例として、本実施例と同様の栽培環境下でトマトの苗を栽培した。この比較例の苗は、剪定を行わなかった。実施例1において剪定を行った苗の撮影時刻と同時刻に、この比較例の苗を撮影し、同様の所定のポイント(第4葉および第5用の夫々の葉身の先端部および葉元)の動作量を確認した。
その結果、この比較例の苗における各所定のポイントは、剪定前後でほとんど動いていないことが確認され、剪定が行われていない苗の第4葉および第5葉の葉身の先端部に円運動は認められなかった。
以上のように、状態管理作業が行われると、動作量がより大きいポイントである、葉身の先端部の動作量が約1cm以上となった。したがって、動作量がより大きいポイントの動作量から、状態管理作業が行われたことを検出することができると言える。
(実施例2)
本実施例では、実施例1と同様に、第1の実施の形態に係る植物体管理システム1の適用例にて説明した植物体管理システム10を用いて、植物体9を栽培した。栽培用の植物体9として、桃太郎系の品種のトマトを用いた。また、栽培容器91として、直径42cm、高さ44cm、容量35Lの略円柱形のポリプロピレン製の容器を用いた。また、培養液92として、トヨハシ種苗株式会社製のTF濃縮とまとAを用いた。培養液92の電気伝導率は、2mS/cmとした。
支持部材94には、直径38cm、厚さ2cmの略円形の発泡スチロールを用いた。そして、約5から6枚の葉が展開したトマトの苗を、この支持部材94に固定し、栽培容器91内の培養液92に浮かべ、液面低下法で栽培した。栽培したトマトの苗の本数は、2本である。栽培環境は、昼温度25度、夜温度20度、湿度60%のガラス室とした。カメラ12は、株式会社ロジクール製のC920を用いた。
トマトの苗を定植後、6週間栽培し、カメラ12を用いて、2本のトマトの苗を夫々撮影した。そして、作業者が、2本のトマトの苗に対し、第10葉を剪定した。そして、植物体管理システム10は、剪定後、各苗を10分経過毎に撮影した画像を用いて、所定のポイント毎の動作量を苗ごとに算出した。所定のポイントは、第8葉および第9葉の夫々の葉身の先端部と葉元とした。
本実施例における観測結果を図12に示す。図12は、2本の苗のうち、一方の苗における、第8葉の葉身の先端部および第9葉の葉身の先端部の座標であって、剪定前後の座標を示す図である。なお、図12における剪定後とは、剪定した後、10分後のことである。また、図12における座標の単位は、センチメートルである。なお、図12では、第8葉の葉身の先端部を、単に「第8葉」と記載し、第9葉の葉身の先端部を、単に「第9葉」と記載している。
図12に示す通り、第8葉の葉身の先端部における剪定前の座標は(38、61.5)であり、剪定後の座標は(36.9、64)であった。植物体管理システム10はこの座標を用いて第8葉の葉身の先端部の動作量を算出した。このように、第8葉の葉身の先端部は、剪定によって、1cm以上動いたことが確認された。
同様に、第9葉の葉身の先端部における剪定前の座標と剪定後の座標とから、第9葉の葉身の先端部も、剪定によって、1cm以上動いたことが確認された。
そして、このトマトの苗における各所定のポイントの座標を、剪定後30分経過毎に確認したところ、第8葉および第9葉の葉身の先端部は、約1〜2cmの幅の一定周期の上下左右運動が確認された。この運動は、約2時間後に収束した。
また、本実施例の比較例として、本実施例と同様の栽培環境下でトマトの苗を栽培した。この比較例の苗は、剪定を行わなかった。実施例2において剪定を行った苗の撮影時刻と同時刻に、この比較例の苗を撮影し、同様の所定のポイント(第8葉および第9葉の夫々の葉身の先端部および葉元)の動作量を確認した。
本比較例における観測結果を図13に示す。図13は、比較例の苗における、第8葉の葉身の先端部および第9葉の葉身の先端部の座標であって、図12に示す実施例2に用いた苗の撮影時刻と同時刻の座標を示す図である。なお、図13における剪定後とは、実施例2において剪定した苗に対し、剪定した時刻の10分後のことである。また、図13における座標の単位は、センチメートルである。なお、図13では、第8葉の葉身の先端部を、単に「第8葉」と記載し、第9葉の葉身の先端部を、単に「第9葉」と記載している。
図13に示す通り、実施例2において剪定した苗の剪定前と同時刻の本比較例における苗の第8葉の葉身の先端部の座標は、(35.2、62.4)であった。また、実施例2において剪定した苗の剪定後と同時刻の本比較例における苗の第8葉の葉身の先端部の座標は、(35、62)であった。植物体管理システム10はこの座標を用いて第8葉の葉身の先端部の動作量を算出した。このように、本比較例における苗の第8葉の葉身の先端部は、ほとんど動いていないことが確認された。
同様に、図13に示す第9葉の葉身の先端部の座標から、第9葉の葉身の先端部は、ほとんど動いていないことが確認された。このように、剪定が行われていないトマトの苗における、所定のポイントは、剪定が行われた苗に比べほとんど動いておらず、剪定が行われていない苗の第8葉および第9葉の葉身の先端部に上記運動は認められなかった。
以上のように、状態管理作業が行われると、動作量がより大きいポイントである、葉身の先端部の動作量が約1cm以上となった。したがって、動作量がより大きいポイントの動作量から、状態管理作業が行われたことを検出することができると言える。
(実施例3)
本実施例では、実施例1と同様に、第1の実施の形態に係る植物体管理システム1の適用例にて説明した植物体管理システム10を用いて、植物体9を栽培した。栽培用の植物体9として、桃太郎系の品種のトマトを用いた。また、栽培容器91として、直径42cm、高さ44cm、容量35Lの略円柱形のポリプロピレン製の容器を用いた。また、培養液92として、トヨハシ種苗株式会社製のTF濃縮とまとAを用いた。培養液92の電気伝導率は、2mS/cmとした。
支持部材94には、直径38cm、厚さ2cmの略円形の発泡スチロールを用いた。そして、約5から6枚の葉が展開したトマトの苗を、この支持部材94に固定し、栽培容器91内の培養液92に浮かべ、液面低下法で栽培した。栽培したトマトの苗の本数は、2本である。栽培環境は、昼温度25度、夜温度20度、湿度60%のガラス室とした。カメラ12は、株式会社ロジクール製のC920を用いた。
トマトの苗を定植後、6週間栽培し、カメラ12を用いて、トマトの苗を撮影した。そして、作業者が、上記トマトの苗の実のうち、3箇所を摘果した。そして、植物体管理システム10は、摘果後、上記苗を10分経過毎に撮影した画像を用いて、所定のポイント毎の動作量を算出した。所定のポイントは、第9葉の夫々の葉身の先端部と葉元とした。
更に、1週間後、つまり、栽培開始から7週間栽培した後、カメラ12を用いて、トマトの苗を撮影した。そして、作業者が、上記トマトの苗の実のうち、6箇所を摘果した。そして、植物体管理システム10は、摘果後、上記苗を10分経過毎に撮影した画像を用いて、所定のポイント毎の動作量を算出した。所定のポイントは、第9葉の夫々の葉身の先端部と葉元とした。
更に、1週間後、つまり、栽培開始から8週間栽培した後、カメラ12を用いて、トマトの苗を撮影した。そして、作業者が、上記トマトの苗の実のうち、12箇所を摘果した。そして、植物体管理システム10は、摘果後、上記苗を10分経過毎に撮影した画像を用いて、所定のポイント毎の動作量を算出した。所定のポイントは、第9葉の夫々の葉身の先端部と葉元とした。
本実施例における観測結果を図14に示す。図14は、2本の苗のうち、一方の苗における、第9葉の葉身の先端部の座標であって、摘果前後の座標を示す図である。なお、図14における摘果後とは、摘果した後、10分後のことである。また、図14における座標の単位は、センチメートルである。
図14に示す通り、3箇所の摘果を行う前の第4葉の葉身の先端部の座標は、(32.1、60.4)であり、摘果後の座標は、(31、61.3)である。つまり、3箇所の摘果により、第9葉の葉身の先端部に、約1cmのY軸方向の動作量が確認された。
同様に、6箇所の摘果により、第9葉の葉身の先端部に、約1.2cmのY軸方向の動作量が確認された。また、12箇所の摘果により、第9葉の葉身の先端部に、約1.6cmのY軸方向の動作量が確認された。このように、摘果の数が増えることに比例して、動きの大きいポイントの動作量が増加する。したがって、動きの大きいポイントの動作量から、状態管理作業が行われたことに加え、状態管理作業の作業量を検出することができると言える。
(実施例4)
本実施例では、第2の実施の形態に係る植物体管理システム2の適用例にて説明した植物体管理システム20を用いて、植物体9を栽培した。栽培用の植物体9として、桃太郎系の品種のトマトを用いた。また、栽培容器91として、直径42cm、高さ44cm、容量35Lの略円柱形のポリプロピレン製の容器を用いた。また、培養液92として、トヨハシ種苗株式会社製のTF濃縮とまとAを用いた。培養液92の電気伝導率は、2mS/cmとした。
支持部材94には、直径38cm、厚さ2cmの略円形の発泡スチロールを用いた。そして、約5から6枚の葉が展開したトマトの苗を、この支持部材94に固定し、栽培容器91内の培養液92に浮かべ、液面低下法で栽培した。栽培したトマトの苗の本数は、2本である。栽培環境は、昼温度25度、夜温度20度、湿度60%のガラス室とした。カメラ12は、株式会社ロジクール製のC920を用いた。
注入用タンク95は、濃縮養液用の10リットルのポリタンクと水用の10リットルのポリタンクとで構成されたものを用いた。この濃縮養液用のポリタンクには、トヨハシ種苗株式会社製のTF濃縮とまとAの原液を希釈せずに入れた。チューブ96には、その材質が塩化ビニルのものを用いた。
測定器210には、電気伝導率計である、株式会社堀場製作所製のES−51 ハンディタイプを用いた。
情報処理装置21には、所定のポイントとなる葉身の先端部に1cm以上の動きが発生した場合に、状態管理作業が行われたことを検出したことを示す文字列である、「[剪定、摘果および摘花作業実施]」が表示装置13上に表示されるプログラムが組み込まれている。
また、培養液管理装置26による培養液92または水の追加は、情報処理装置26に接続された測定器93が、電気伝導率を計測しながら実行した。
トマトの苗を定植後、濃縮養液用のポリタンクに入れる追加培養液を1週間ごとに1回の間隔で交換しながら、当該苗を1ヶ月間栽培した。そして、カメラ12を用いて、摘花を行う前に2本のトマトの苗を夫々撮影した。その後、作業者が、上記トマトの苗に対し、6箇所の摘花を行った。そして、植物体管理システム20は、摘花後、各苗を10分経過毎に撮影した画像を用いて、所定のポイント毎の動作量を苗ごとに算出した。所定のポイントは、第4葉および第5葉の夫々の葉身の先端部と葉元とした。
本実施例における観測結果を図15および図16に示す。なお、図15における摘花後とは、摘花した後、10分後のことである。また、各図における座標の単位は、センチメートルである。
図15は、2本の苗のうち、一方の苗における、第4葉の葉身の先端部および第5葉の葉身の先端部の座標であって、摘花前後の座標を示す図である。なお、図15では、第4葉の葉身の先端部を、単に「第4葉」と記載し、第5葉の葉身の先端部を、単に「第5葉」と記載している。
図15に示す通り、第4葉の葉身の先端部の摘花前の座標は、(44、58.6)であり、摘花後の同ポイントの座標は、(42.5、59.5)である。植物体管理システム20はこの座標を用いて第4葉の葉身の先端部の動作量を算出した。このように、第4葉の葉身の先端部は、摘花によって、1cm以上動いたことが確認された。
同様に、第5葉の葉身の先端部の座標であって、摘花前の座標と摘花後の同ポイントの座標とから、第5葉の葉身の先端部は、摘花によって、約1.7cm動いたことが確認された。
この第4葉および第5葉の葉身の先端部の約1cm以上の動きが確認されると、表示装置13上には、「[剪定、摘果および摘花作業実施]」が表示された。そして、培養液管理装置220の制御によって、注入用タンク95から原液の培養液(追加培養液)が栽培容器91に注入された。
図16は、摘花後の栽培容器91内の培養液92の電気伝導率の変化を示すグラフである。図16において、横軸は、摘花後の経過時間(分)を示し、縦軸は電気伝導率(mS/cm)を示す。図16に示す通り、栽培容器91内の培養液92の電気伝導率は、設定値である2mS/cmに調整されたことが確認された。
また、本実施例の比較例として、本実施例と同様の栽培環境下でトマトの苗を栽培した。この比較例の苗は、摘花を行わなかった。実施例4において摘花を行った苗の撮影時刻と同時刻に、この比較例の苗を撮影し、同様の所定のポイント(第4葉および第5葉の夫々の葉身の先端部および葉元)の動作量を確認した。
本比較例における観測結果を図17に示す。図17は、比較例の苗における、第4葉の葉身の先端部および第5葉の葉身の先端部の座標であって、図15に示す実施例4に用いた苗の撮影時間と同時刻の座標を示す図である。なお、図17における摘花後とは、実施例4において摘花した苗に対し、摘花した時刻の10分後のことである。また、図17における座標の単位は、センチメートルである。なお、図17では、第4葉の葉身の先端部を、単に「第4葉」と記載し、第5葉の葉身の先端部を、単に「第5葉」と記載している。
図17に示す通り、実施例4において摘花した苗の摘花前と同時刻の本比較例における苗の第4葉の葉身の先端部の座標は、(35.5、47.4)であった。また、実施例4において摘花した苗の摘花後と同時刻の本比較例における苗の第4葉の葉身の先端部の座標は、(35.2、47)であった。植物体管理システム20はこの座標を用いて第4葉の葉身の先端部の動作量を算出した。このように、本比較例における苗の第4葉の葉身の先端部は、ほとんど動いていないことが確認された。
同様に、図17に示す第5葉の葉身の先端部の座標から、第5葉の葉身の先端部は、ほとんど動いていないことが確認された。このように、摘花が行われていないトマトの苗における、所定のポイントは、摘花が行われた苗に比べほとんど動いていないことが確認された。
(実施例5)
本実施例では、第3の実施の形態に係る植物体管理システム3の適用例にて説明した植物体管理システム20を用いて、植物体9を栽培した。栽培用の植物体9として、桃太郎系の品種のトマトを用いた。また、栽培容器91として、直径42cm、高さ44cm、容量35Lの略円柱形のポリプロピレン製の容器を用いた。また、培養液92として、トヨハシ種苗株式会社製のTF濃縮とまとAを用いた。培養液92の電気伝導率は、2mS/cmとした。
支持部材94には、直径38cm、厚さ2cmの略円形の発泡スチロールを用いた。そして、約5から6枚の葉が展開したトマトの苗を、この支持部材94に固定し、栽培容器91内の培養液92に浮かべ、液面低下法で栽培した。栽培したトマトの苗の本数は、2本である。栽培環境は、昼温度25度、夜温度20度、湿度60%のガラス室とした。カメラ12は、株式会社ロジクール製のC920を用いた。
注入用タンク95は、濃縮養液用の10リットルのポリタンクと水用の10リットルのポリタンクとで構成されたものを用いた。この濃縮養液用のポリタンクには、トヨハシ種苗株式会社製のTF濃縮とまとAの原液を希釈せずに入れた。チューブ96には、その材質が塩化ビニルのものを用いた。
測定器210には、電気伝導率計である、株式会社堀場製作所製のES−51 ハンディタイプを用いた。
情報処理装置21には、所定のポイントとなる葉身の先端部に1cm以上の動きが発生し、且つ、電気伝導率の値が30分以内に5%以上変動があった場合に、状態管理作業が行われたことを検出したことを示す文字列である、「[剪定、摘果および摘花作業実施]」が表示装置13上に表示されるプログラムが組み込まれている。
また、培養液管理装置26による培養液92または水の追加は、情報処理装置26に接続された測定器93が、電気伝導率を計測しながら実行した。
トマトの苗を定植後、濃縮養液用のポリタンクに入れる追加培養液を1週間ごとに1回の間隔で交換しながら、当該苗を2ヶ月間栽培した。そして、カメラ12を用いて、摘果を行う前に2本のトマトの苗を夫々撮影した。その後、作業者が、上記トマトの苗に対し、6箇所の摘果を行った。そして、植物体管理システム20は、摘果後、各苗を10分経過毎に撮影した画像を用いて、所定のポイント毎の動作量を苗ごとに算出した。所定のポイントは、第4葉および第5葉の夫々の葉身の先端部と葉元とした。
本実施例における観測結果を図18および図19に示す。なお、図18における摘果後とは、摘果した後、10分後のことである。また、各図における座標の単位は、センチメートルである。
図18は、2本の苗のうち、一方の苗における、第4葉の葉身の先端部および第5葉の葉身の先端部の座標であって、摘果前後の座標を示す図である。なお、図15では、第4葉の葉身の先端部を、単に「第4葉」と記載し、第5葉の葉身の先端部を、単に「第5葉」と記載している。
図18に示す通り、第4葉の葉身の先端部における摘果前の座標は、(43.1、48.6)であり、摘果後の同ポイントの座標は、(42.0、50)である。植物体管理システム20はこの座標を用いて第4葉の葉身の先端部の動作量を算出した。このように、第4葉の葉身の先端部は、摘果によって、1cm以上動いたことが確認された。
同様に、第5葉の葉身の先端部の座標であって、摘果前の座標と摘果後の同ポイントの座標とから、第5葉の葉身の先端部は、摘果によって、約1.7cm動いたことが確認された。
この第4葉および第5葉の葉身の先端部の約1cm以上の動きが確認された10分後に電気伝導率が5%低下した。そして、表示装置13上には、「[剪定、摘果および摘花作業実施]」が表示された。その後、培養液管理装置220の制御によって、注入用タンク95から原液の培養液が栽培容器91に注入された。
図19は、摘果後の栽培容器91内の培養液92の電気伝導率の変化を示すグラフである。図19において、横軸は、摘果後の経過時間(分)を示し、縦軸は電気伝導率(mS/cm)を示す。図19に示す通り、栽培容器91内の培養液92の電気伝導率は、設定値である2mS/cmに調整されたことが確認された。
また、本実施例の比較例として、本実施例と同様の栽培環境下でトマトの苗を栽培した。この比較例の苗は、摘果を行わなかった。実施例5において摘果を行った苗の撮影時刻と同時刻に、この比較例の苗を撮影し、同様の所定のポイント(第4葉および第5葉の夫々の葉身の先端部および葉元)の動作量を確認した。
本比較例における観測結果を図20に示す。図20は、比較例の苗における、第4葉の葉身の先端部および第5葉の葉身の先端部の座標であって、図18に示す実施例5に用いた苗の撮影時間と同時刻の座標を示す図である。なお、図20における摘花後とは、実施例5において摘果した苗に対し、摘果を行った時刻の10分後のことである。また、図20における座標の単位は、センチメートルである。なお、図20では、第4葉の葉身の先端部を、単に「第4葉」と記載し、第5葉の葉身の先端部を、単に「第5葉」と記載している。
図20に示す通り、実施例5において摘果した苗の摘果前の撮影時刻と同時刻の本比較例における苗の第4葉の葉身の先端部の座標は、(45、37.9)であった。また、実施例4において摘果した苗の摘果後と同時刻の本比較例における苗の第4葉の葉身の先端部の座標は、(45.2、38.3)であった。植物体管理システム20はこの座標を用いて第4葉の葉身の先端部の動作量を算出した。このように、本比較例における苗の第4葉の葉身の先端部は、ほとんど動いていないことが確認された。
同様に、図20に示す第5葉の葉身の先端部の座標から、第5葉の葉身の先端部は、ほとんど動いていないことが確認された。このように、摘果が行われていないトマトの苗における、所定のポイントは、摘果が行われた苗に比べほとんど動いていないことが確認された。
なお、上述した各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、上記各実施の形態にのみ本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において当業者が上記各実施の形態の修正や代用を行い、種々の変更を施した形態を構築することが可能である。
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)植物体の画像を示す植物体画像データから、前記植物体の動作量を算出する動作量算出手段と、前記動作量算出手段によって算出された前記植物体の動作量に基づいて、前記植物体の状態を管理するための状態管理作業が行われたか否かを判定する判定手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
(付記2)前記動作量算出手段は、植物体画像データから、前記植物体の1または複数の所定の位置における動作量を、前記所定の位置ごとに算出し、前記判定手段は、前記所定の位置ごとの動作量に基づいて、前記状態管理作業が行われたか否かを判定する、ことを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)前記所定の位置には、前記植物体上の位置のうち、成長による動作量がより大きい第1の所定の位置が、少なくとも1つ含まれ、前記判定手段は、前記第1の所定の位置における動作量が第1の所定の値より大きいとき、前記状態管理作業が行われたと判定する、ことを特徴とする付記2に記載の情報処理装置。
(付記4)前記所定の位置には、前記植物体上の位置のうち、成長による動作量がより小さい第2の所定の位置が、少なくとも1つ含まれ、前記判定手段は、前記第1の所定の位置における動作量が第1の所定の値より大きく、且つ、前記第2の所定の位置における動作量が前記第1の所定の値以下のとき、または、前記第1の所定の位置における動作量が第1の所定の値より大きく、且つ、前記植物体の全体における動作量が第2の所定の値より小さいとき、前記状態管理作業が行われたと判定する、ことを特徴とする付記3に記載の情報処理装置。
(付記5)前記植物体の全体における動作量とは、少なくとも1つの前記第1の所定の位置における動作量および少なくとも1つの前記第2の所定の位置における動作量の合計および平均の少なくとも何れかである、ことを特徴とする付記4に記載の情報処理装置。
(付記6)前記第1の所定の位置とは、成長による動作量がより大きい葉の葉身の先端部である、ことを特徴とする付記3から5の何れか1つに記載の情報処理装置。
(付記7)植物体を撮影する撮像装置と、前記撮像装置によって撮影された画像を示す画像データから前記植物体の領域を抽出し、植物体画像データを生成する画像処理装置と、前記画像処理装置によって生成された前記植物体画像データを、前記画像処理装置から受信する情報処理装置と、を備え、前記情報処理装置は、前記植物体画像データから、前記植物体の動作量を算出する動作量算出手段と、前記動作量算出手段によって算出された前記植物体の動作量に基づいて、前記植物体の状態を管理するための状態管理作業が行われたか否かを判定する判定手段と、を備えることを特徴とする植物体管理システム。
(付記8)植物体を撮影する撮像装置と、前記撮像装置によって撮影された画像を示す画像データを受信する情報処理装置と、前記植物体の培養液の電気伝導率を測定する測定器と、前記培養液を管理する培養液管理装置と、を備え、前記情報処理装置は、前記画像データから前記植物体の領域を抽出し、植物体画像データを生成する画像処理手段と、前記画像処理手段によって生成された前記植物体画像データから、前記植物体の動作量を算出する動作量算出手段と、前記動作量算出手段によって算出された前記植物体の動作量に基づいて、前記植物体の状態を管理するための状態管理作業が行われたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記状態管理作業が行われたと判定されたとき、前記測定器によって測定された前記電気伝導率を用いて、前記培養液に追加する追加培養液の供給量を算出する供給量算出手段と、を備え、前記培養液管理装置は、前記供給量算出手段によって算出された前記供給量に基づいて、前記追加培養液を前記培養液に追加する、ことを特徴とする植物体管理システム。
(付記9)前記情報処理管理装置は、前記測定器によって測定された前記電気伝導率の変動量を算出する変動量算出手段を更に備え、前記判定手段は、更に、前記変動量に基づいて、前記植物体の状態を管理するための状態管理作業が行われたか否かを判定する、ことを特徴とする付記8に記載の植物体管理システム。
(付記10)前記動作量算出手段は、植物体画像データから、前記植物体の1または複数の所定の位置における動作量を、前記所定の位置ごとに算出し、前記判定手段は、前記所定の位置ごとの動作量に基づいて、前記状態管理作業が行われたか否かを判定する、ことを特徴とする付記7から9の何れか1つに記載の植物体管理システム。
(付記11)前記所定の位置には、前記植物体上の位置のうち、成長による動作量がより大きい第1の所定の位置が、少なくとも1つ含まれ、前記判定手段は、前記第1の所定の位置における動作量が第1の所定の値より大きいとき、前記状態管理作業が行われたと判定する、ことを特徴とする付記10に記載の植物体管理システム。
(付記12)前記所定の位置には、前記植物体上の位置のうち、成長による動作量がより小さい第2の所定の位置が、少なくとも1つ含まれ、前記判定手段は、前記第1の所定の位置における動作量が第1の所定の値より大きく、且つ、前記第2の所定の位置における動作量が前記第1の所定の値以下のとき、または、前記第1の所定の位置における動作量が第1の所定の値より大きく、且つ、前記植物体の全体における動作量が第2の所定の値より小さいとき、前記状態管理作業が行われたと判定する、ことを特徴とする付記11に記載の植物体管理システム。
(付記13)前記植物体の全体における動作量とは、少なくとも1つの前記第1の所定の位置における動作量および少なくとも1つの前記第2の所定の位置における動作量の合計および平均の少なくとも何れかである、ことを特徴とする付記12に記載の植物体管理システム。
(付記14)前記第1の所定の位置とは、成長による動作量がより大きい葉の葉身の先端部である、ことを特徴とする付記11から13の何れか1つに記載の植物体管理システム。
(付記15)植物体の画像を示す植物体画像データから、前記植物体の動作量を算出し、前記算出された前記植物体の動作量に基づいて、前記植物体の状態を管理するための状態管理作業が行われたか否かを判定する、ことを特徴とする状態管理作業検出方法。
(付記16)植物体を撮影し、前記撮影された画像を示す画像データから前記植物体の領域を抽出し、植物体画像データを生成し、前記生成された前記植物体画像データから、前記植物体の動作量を算出し、前記算出された前記植物体の動作量に基づいて、前記植物体の状態を管理するための状態管理作業が行われたか否かを判定する、ことを特徴とする植物体管理方法。
(付記17)植物体を撮影し、前記植物体の培養液の電気伝導率を測定し、前記撮影された画像を示す画像データから前記植物体の領域を抽出し、植物体画像データを生成し、前記生成された前記植物体画像データから、前記植物体の動作量を算出し、前記算出された前記植物体の動作量に基づいて、前記植物体の状態を管理するための状態管理作業が行われたか否かを判定し、前記状態管理作業が行われたと判定されたとき、前記測定された電気伝導率を用いて、前記培養液に追加する追加培養液の供給量を算出し、前記算出された前記供給量に基づいて、前記追加培養液を前記培養液に追加する、ことを特徴とする植物体管理方法。
(付記18)植物体の画像を示す植物体画像データから、前記植物体の動作量を算出する処理と、前記算出された前記植物体の動作量に基づいて、前記植物体の状態を管理するための状態管理作業が行われたか否かを判定する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
(付記19)撮影された画像を示す画像データから前記植物体の領域を抽出する処理と、植物体画像データを生成し、前記生成された前記植物体画像データから、前記植物体の動作量を算出する処理と、前記算出された前記植物体の動作量に基づいて、前記植物体の状態を管理するための状態管理作業が行われたか否かを判定する処理と、前記状態管理作業が行われたと判定されたとき、測定された、前記植物体の培養液の電気伝導率を用いて、前記培養液に追加する追加培養液の供給量を算出する処理と、前記算出された前記供給量に基づいて、前記追加培養液を前記培養液に追加する処理と、をコンピュータに実行させる、ことを特徴とするプログラム。
(付記20)付記18または付記19に記載のプログラムを記憶する、ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。