上述したように、遊技機の一種として、例えば図柄を変動表示する可変表示装置を備えたパチンコ機が知られている。
パチンコ機では、例えば遊技球が始動口に入球したことに応答して大当たり抽選を行うとともに、可変表示装置において図柄が変動表示され、所定時間経過後、前記抽選結果に基づいた停止態様で図柄が停止表示される。ここで、抽選結果が大当たりであれば、変動表示されていた図柄が特定の組合せで停止され、遊技者に有利な大当り状態が発生する。そして、大当り状態が発生すると、可変入賞装置が開状態となり、遊技者は当該可変入賞装置へ遊技球を入球させることにより、多数の遊技球を賞球として獲得することができる。
また、近年では、可変表示装置において、図柄の変動表示に併せて様々な表示演出が行われるようになってきている。例えば上記特定の組合せで停止される前段階などにおいては、いわゆるリーチ状態が成立し、この間、様々な表示演出が行われる(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、従来のような表示演出だけでは遊技演出が単調となってしまい、遊技者の興趣低下を招くおそれがあった。
本発明は、上記例示した問題点などを解決するためになされたものであり、その目的は、興趣の向上を図ることのできる遊技機を提供することにある。
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図であり、図3は内枠12及び前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図である。図4は内枠12及び遊技盤30等の構成を示す正面図である。図5はパチンコ機10の背面図であり、図6は内枠12及び裏パックユニット203等を開放した状態を示す斜視図である。但し、図3では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137等を省略して示している。
図3等に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。
外枠11は、図6等に示すように、上辺枠構成部11a及び下辺枠構成部11bが木製の板材により構成され、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dがアルミニウム合金製の押出成形材により構成され、これら各枠構成部11a〜11dがネジ等の離脱可能な締結具により全体として矩形枠状に組み付けられている。
左辺枠構成部11cの上下端部には、それぞれ上ヒンジ81及び下ヒンジ82が取着されている(図1参照)。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能となる。そして、外枠11の内側に形成される空間部に内枠12等が収容される。
また、右辺枠構成部11dには、その幅方向後端部近傍から外枠11内側へ向け突出した延出壁部83が形成されている。延出壁部83は、内枠12の右側部背面側に設けられる施錠装置600(図6参照)に対応する上下区間全域を内枠12の背面側から覆っている(図5参照)。加えて、図3に示すように、延出壁部83の前面側には、施錠装置600の係止部材が係止される上下一対の受部84,85が設けられている。また、下側の受部85には、後述する内枠開放検知スイッチ92に当接する押圧部86が、外枠11内側に向けて突設されている。
さらに、下辺枠構成部11bには樹脂製の幕板飾り87が取着されている。幕板飾り87の上面奥部には、上方に突出するリブ88が一体形成されている。これにより内枠12との間に隙間が形成されにくくなっている。
図3に示すように、内枠12の開閉軸線は、パチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
また、内枠12の前面側には前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
図1に示すように、前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。
加えて、下皿15の左部には、操作手段としての演出装置125が設けられている。演出装置125は、後述する装飾図柄表示装置42等において行われる表示演出に対応して遊技者が操作するものである。演出装置125の詳細については後述する。
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段が設けられている。
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する発射手段としての遊技球発射装置(以下、単に発射装置という)60の方へ案内する球受皿である。尚、上皿19が遊技球で満杯になった状態では、払出される遊技球は、後述する下皿連通路71及び排出口16を介して、下皿15へと案内される。
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技ホール等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
さらに、上皿19には、球抜きボタン123が設けられている。球抜きボタン123が押圧操作されることで、上皿19の球案内路の下流側に設けられ、下皿15に連通する連通孔(図示略)が開口し、上皿19に貯留されていた遊技球が下皿15へと案内される(落下する)。つまり、遊技者は、球抜きボタン123を操作することで、上皿19にある遊技球をいつでも下皿15に移すことができる。
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅といった発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した枠ランプ102が設けられている。また、該枠ランプ102の両側部には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。尚、枠ランプ102のうち各エラー表示ランプ104の上方部位には、前面枠セット14の背面に設けられる音出力手段としてのスピーカSP(図3参照)に対応して細かな透孔が多数形成されている。
前面枠セット14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対をなして別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
次に、内枠12(樹脂ベース38)について図4を参照して説明する。上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側において遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
また、内枠12(樹脂ベース38)の前面下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、発射装置60及び当該発射装置60より発射された直後の遊技球を案内する発射レール61が取付けられている。本実施形態では、発射装置60としてソレノイド式発射装置を採用している。また、発射装置60の上方には、上皿19から案内される遊技球を、内蔵された駆動手段(例えばソレノイド)の駆動により、1球ずつ発射装置60の発射位置へと案内する球送り装置63が設けられている。
次に、遊技盤30の構成について図4を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、中央始動口33、右始動口34、可変表示装置ユニット35、第1特別表示装置43L及び第2特別表示装置43R等がルータ加工によって形成された貫通孔に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り一般入賞口31、可変入賞装置32、中央始動口33、右始動口34などの各種入賞口に遊技球が入球(入賞)すると、各種検出スイッチにより検出され、上皿19(又は下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。例えば、中央始動口33又は右始動口34への入球があった場合には3個、一般入賞口31への入球があった場合には10個、可変入賞装置32への入球があった場合には15個の遊技球が上皿19(下皿15)に払出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、一般入賞口31等の各種入賞口に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
尚、詳しくは後述するが、中央始動口33及び右始動口34には、入球した遊技球をそれぞれ検知する入球検知手段としての第1始動入賞スイッチ224、第2始動入賞スイッチ225を備えており、当該始動入賞スイッチ224、225にて遊技球が検知された場合に、大当たり状態を発生させるか否かの当否抽選が行われるとともに、特別表示装置43L、43R(及び後述する装飾図柄表示装置42)にて変動表示が行われる構成となっている。そして、当否抽選にて当選した場合には、大当たり状態(特別遊技状態)が付与される。
本実施形態では、大当たり種別として、「確変大当たり」及び「通常大当たり」がある。これらの大当たり状態においては、可変入賞装置32が30秒間開放状態とされる、又は可変入賞装置32に8個の遊技球が入賞することを1ラウンドとして、これが16回(16ラウンド)繰り返される。
さらに、「確変大当たり」が発生した場合には、大当たり状態の終了後に「高確率状態」が付与される。一方、「通常大当たり」が発生した場合、大当たり状態の終了後に「低確率状態」が付与される。尚、本実施形態では、「高確率状態」は、次回の大当たり状態が発生するまで継続する。
第1及び第2特別表示装置43L、43Rは、7セグメント表示装置により構成され、可変入賞装置32の右方に設置されている。そして、中央始動口33への遊技球の入球を契機として第1特別表示装置43Lにて切替表示(変動表示)が行われ、右始動口34への遊技球の入球を契機として第2特別表示装置43Rにて切替表示(変動表示)が行われる構成となっている。尚、特別表示装置43L、43Rは、後述する主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。
また、第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて変動表示が行われた後、当該変動表示が停止したときの表示態様(例えば、文字)により、大当たりか否かが確定的に表示される。例えば、中央始動口33に遊技球が入賞すると、対応する第1特別表示装置43Lにて、「−」→「7」→「3」→「−」→・・・という具合に高速で(例えば4msec毎に)切替表示(変動表示)がなされ、所定時間が経過すると、いずれかの表示態様を停止表示(例えば数秒間停止)する。そして、大当たり抽選に当選した場合には、「7」又は「3」のいずれかが変動停止時に表示され、大当たり状態が発生する。
具体的に、「確変大当たり」が付与される場合には、第1又は第2特別表示装置43L、43Rにおいて「7」が停止表示され、「通常大当たり」が付与される場合には、第1又は第2特別表示装置43L、43Rにおいて「3」が停止表示される。
また、第1特別表示装置43L又は第2特別表示装置43Rのどちらか一方において、変動表示又は決定表示が行われている場合には、他方が消灯状態とされており(「−」を表示しておいてもよい)、どちらにおいても変動表示及び決定表示が行われていない場合には、両方においてそれぞれ「−」が表示される。これに限らず、他の構成を採用してもよい。例えば第1特別表示装置43L又は第2特別表示装置43Rのどちらか一方において、変動表示又は決定表示が行われている場合、他方には前回に停止表示された内容(例えば前回「3」が停止表示された場合には、当該「3」)をそのまま表示し、どちらにおいても変動表示及び決定表示が行われていない場合には、両方においてそれぞれ前回に停止表示された内容がそのまま表示されている構成としてもよい。
また、第1又は第2特別表示装置43L、43Rの変動表示中に新たに遊技球が中央始動口33又は右始動口34に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では、中央始動口33に入賞した遊技球、及び右始動口34に入賞した遊技球に対応して、それぞれ4回までの変動表示(合計8回の変動表示)が保留される。また、その保留回数が第1保留ランプ46L、第2保留ランプ46Rにて点灯表示されるようになっている。尚、大当たり状態中に新たに遊技球が中央始動口33又は右始動口34に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
尚、中央始動口33への入賞を契機とする変動表示は、対応する遊技球が中央始動口33へ入球した順に記憶されるとともに入球した順に消化され、右始動口34への入賞を契機とする変動表示は、対応する遊技球が右始動口34へ入球した順に記憶されるとともに入球した順に消化される。但し、中央始動口33への入賞を契機とする変動表示、及び、右始動口34への入球を契機とする変動表示の両方が保留されている場合(第1保留ランプ46L及び第2保留ランプ46Rがそれぞれ1つ以上点灯している場合)には、中央始動口33又は右始動口34への遊技球の入球順序に従って変動表示が消化される。例えば、第1保留ランプ46Lが1つ点灯している状態において、右始動口34に遊技球が入球し、第2保留ランプ46Rが1つ点灯した場合には、中央始動口33への入球を契機とする変動表示が先に実行され、その後に右始動口34への入球を契機とする変動表示が行われることとなる。
可変表示装置ユニット35には、第1及び第2特別表示装置43L、43Rによる変動表示に合わせて変動表示する装飾図柄表示装置42が設けられている。
本実施形態における表示手段を構成する装飾図柄表示装置42は液晶表示装置により構成されており、後述するサブ制御手段としてのサブ制御装置262及び表示制御装置45によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて表示される結果に対応させるように、主制御手段としての主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。
装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄表示領域が設けられ、各図柄表示領域において複数種類の図柄(数字)が順次表示され(変動表示され)、その後、図柄表示領域毎に順番に(例えば、上図柄表示領域→下図柄表示領域→中図柄表示領域の順に)図柄が停止表示されるようになっている。例えば、主制御装置261にて「確変大当たり」又は「通常大当たり」が確定すると、第1又は第2特別表示装置43L、43Rにて大当たりに対応する表示がなされるとともに、装飾図柄表示装置42にて図柄が大当たりに対応する組合わせで停止表示され(例えば、上図柄表示領域、中図柄表示領域、及び下図柄表示領域にて停止表示される図柄が同一となり)、大当たり状態が開始される。
また、図柄が大当たりに対応する組合わせで停止表示される場合には、その前段階として、例えば、上図柄表示領域及び下図柄表示領域において同一の図柄が停止表示されることとなる。このように上図柄表示領域及び下図柄表示領域にて同一図柄が停止表示されるとともに、中図柄表示領域において未だ変動表示が行われている状態がリーチ状態である。
尚、リーチ状態が発生しても、大当たり状態が発生しない場合には、上図柄表示領域及び下図柄表示領域において停止表示された図柄とは異なる図柄が中図柄表示領域において停止表示される。また、「確変大当たり」又は「通常大当たり」となる場合には、上記のように装飾図柄表示装置42においてゾロ目の数字が停止表示されるのではあるが、本実施形態では 停止表示された図柄の種類によっては、大当たり終了後に付与される遊技状態(「高確率状態」又は「低確率状態」)が判別不能となっている。
また、装飾図柄表示装置42では、上記保留ランプ46L,46Rに対応して、特別表示装置43L,43Rにおける変動表示の保留数が表示される構成となっている。但し、本実施形態では、各保留ランプ46L,46Rに対応して別々に表示されるわけではなく、両保留ランプ46L,46Rにより表示される保留数の合計値が表示される。当該保留表示の詳細については後述する。
尚、本実施形態では、前面枠セット14を閉鎖した際、当該前面枠セット14によって特別表示装置43L,43R及び保留ランプ46L,46Rが覆われた状態となり、遊技者によって視認不能な状態となる。従って、遊技者は、専ら装飾図柄表示装置42の表示内容(図柄表示や保留表示等)によって遊技状態や抽選結果等を把握することとなる。
また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。センターフレーム47の上部には入球口151が設けられており、該入球口151に入球した遊技球は、センターフレーム47の内部に形成され、装飾図柄表示装置42の側部に沿って上下に延びるワープ流路152を介して、装飾図柄表示装置42の下方に形成されたステージ153上に案内される。ステージ153上に案内された遊技球は、ステージ153上から前方の遊技領域に転落したり、ステージ153上を転動した後ステージ153の中央奥側に形成されたポケット154に入球したりする。尚、ポケット154は、中央始動口33の直上方の遊技領域へと通じる案内通路155と連通しており、該ポケット154に入球した遊技球は、比較的高い確率で中央始動口33に入球するようになっている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞可能な開状態とされる。
また、遊技盤30には、内レール構成部51と外レール構成部52とからなり、発射装置60から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は発射レール61及びレール50を通じて、遊技盤30とガラスユニット137との間に形成される遊技領域内に案内される。
内レール構成部51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技領域へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、発射装置60にて打出された遊技球が、戻り球防止部材53を通過するまでは、レール50を逆流する場合があるため、内外レール構成部51,52の並行部分は遊技領域から除かれる。
図3に示すように、前面枠セット14の背面側には、窓部101の下方において、球通路ユニット70が設けられている。球通路ユニット70は、後述する払出機構部352から下皿15の排出口16へ繋がる下皿連通路71と、払出機構部352から上皿19へ繋がる上皿連通路73と備えている。また、内枠12に設けられた発射レール61とレールユニット50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、球通路ユニット70には、前記隙間より落下した遊技球を下皿15へと案内するファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置60から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72を介して下皿15に排出される。
また、図3及び図4中の符号67は後述する払出機構部352により払出された遊技球を内枠12の前方に案内するための払出通路であり、上皿連通路73(上皿19)に通じる通路と、下皿連通路71(下皿15)に通じる通路とに分かれている。払出通路67の下方にはシャッタ68が設けられており、前面枠セット14を開放した状態では、バネ等の付勢力によりシャッタ68が前方に突出して払出通路67の出口をほぼ閉鎖するようになっている。また、前面枠セット14を閉じた状態では、下皿連通路71の入口側後端部によってシャッタ68が押し開けられるようになっている。尚、下皿連通路71及び上皿連通路73の入口(球流入部)が隣接するとともに、前面枠セット14の閉状態において当該各入口と払出通路67とが所定距離だけ離間しており、両者間の隙間を遊技球が通過可能となっている。このため、上皿19及び上皿連通路73が遊技球で満杯となると、払出される遊技球が下皿連通路71側に流れ(下皿連通路71の入口側に溢れ)、下皿連通路71を通って下皿15に払出されることとなる。
加えて、球通路ユニット70には、下皿連通路71内に位置する遊技球を検知する満杯検知スイッチ(図示略)が設けられている。当該満杯検知スイッチの存在により、下皿15が遊技球で満杯になっていること(下皿15が遊技球で満杯となり、下皿連通路71において遊技球が滞留していること)を把握することができる。本実施形態では、満杯検知スイッチによって所定時間継続して遊技球が検知されることに基づき、発射装置60の打出しを禁止するといった制御が行われる。尚、下皿連通路71における遊技球の滞留が解消され、満杯検知スイッチにより遊技球が検知されなくなると(所定時間継続して検知されなくなると)発射装置60の打出しが許容される。
次に、パチンコ機10の背面構成について図5、図6等を参照して説明する。パチンコ機10の背面には、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。払出機構及び保護カバーは1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。図6に示すように、遊技盤30中央の貫通孔に対応して配設された可変表示装置ユニット35(図4参照)の背面側には、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。また、フレームカバー213の背面側には、フレームカバー213の開口部から前方に臨む液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42、表示制御装置45及びサブ制御装置262が前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。
装飾図柄表示装置42は、当該装飾図柄表示装置42の表示部(液晶画面)をパチンコ機10の前面側に露出させるための開口部が形成された収容ボックス42aに収容されてフレームカバー213の背面側に固定されている。表示制御装置45は基板ボックス45aに収容されて装飾図柄表示装置42(収容ボックス42a)の背面側に固定されている。サブ制御装置262は基板ボックス262aに収容されて表示制御装置45(基板ボックス45a)の背面側に固定されている。尚、フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板等が配設されている。また、収容ボックス42a及び基板ボックス45a,262aは透明樹脂材料等により構成され、内部が視認可能となっている。
フレームカバー213の下方には裏枠セット215が、一般入賞口31、可変入賞装置32及び始動口33,34等を背後から覆うようにして遊技盤30に取付けられている。裏枠セット215は、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構を備えている(図示略)。この球回収機構により回収された遊技球は、後述する排出通路部217に案内され、排出通路部217の排出シュートからパチンコ機10外部に排出される。
また、本実施形態では、裏枠セット215が主制御装置261の取付台として機能する。より詳しくは、主制御装置261を搭載した基板ボックス263が、裏枠セット215に対し回動可能に軸支され、後方に開放可能となっている。
主制御装置261は透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されている。基板ボックス263は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備え、これらボックスベースとボックスカバーとが封印部材によって連結されている。封印部材によって連結された基板ボックス263は、所定の痕跡を残さなければ開封できない構成となっている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
また、遊技盤30には、入球手段としての一般入賞口31等の各種入賞口に対応して、当該各種入賞口へ入球した遊技球を検出する入球検出スイッチ(入球検出手段)が設けられている。具体的には、図4に示すように、一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32にはカウントスイッチ223が設けられている。また、中央始動口33には第1始動入賞スイッチ224が設けられ、右始動口34には第2始動入賞スイッチ225が設けられている。
また、図示は省略するが、裏枠セット215には、入賞口スイッチ221及びカウントスイッチ223とケーブルコネクタを介して電気的に接続される第1盤面中継基板が設けられている。この第1盤面中継基板は、入賞口スイッチ221等と、主制御装置261とを中継するものであり、ケーブルコネクタを介して主制御装置261と電気的に接続されている。
これに対し、中央始動口33又は右始動口34への入球を検出する始動入賞スイッチ224,225は中継基板を経ることなくコネクタケーブルを介して直接主制御装置261に接続されている。
各種入球検出スイッチにて各々検出された検出結果は、主制御装置261に取り込まれる。そして、該主制御装置261よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御装置311に送信され、該払出制御装置311からの出力信号に基づき所定数の遊技球の払出しが実施される。
この他、遊技盤30の裏面には、図示は省略するが、可変入賞装置32にて大入賞口を開放する大入賞口用ソレノイドが設けられている。また、裏枠セット215には、これらソレノイドと主制御装置261とを中継する第2盤面中継基板(図示略)も設けられている。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。図5に示すように、裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と、遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。また、裏パックユニット203は、内枠12の左側部(図5では右側)に対して開閉可能に支持されており、上下方向に沿って延びる開閉軸線を軸心として後方に開放できるようになっている。加えて、裏パックユニット203の左上部(図5では右上部)には外部中継端子板240が設けられている。
外部中継端子板240は、遊技ホールのホールコンピュータなどへの各種情報送信を中継するためのものであり、複数の外部接続端子が設けられている。便宜上、符号は付さないが、例えば現在の遊技状態(大当たり状態や高確率状態等)に関する情報を出力するための端子、後述する開放検知スイッチ91,92によって検出される前面枠セット14や内枠12の開放に関する情報を出力するための端子、入球エラー、下皿満タンエラー、タンク球無しエラー、払出しエラーなど各種エラー状態に関する情報を出力するための端子、払出制御装置311から払出される賞球数に関する情報を出力するための端子などが設けられている。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機10の後方に突出して略直方体形状をなす保護カバー部354を備えている。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉塞され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくともフレームカバー213を覆うのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、保護カバー部354が基板ボックス263の上部及び右部(図5では左側の部位)も合わせて覆う構成となっている。これにより、裏パックユニット203の閉鎖状態において、基板ボックス263の右部に設けられた封印部材、及び主制御装置261の上縁部に沿って設けられた端子部(基板側コネクタ)が覆われることとなる。
払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払出された遊技球は上皿19等に供給される。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
裏パックユニット203(基板ボックス263)の下方には、内枠12の左側部(図5では右側)にて軸支され、後方に開放可能な下枠セット251が設けられている。図6に示すように、下枠セット251には、上述した球回収機構により回収された遊技球が流入する排出通路部217が形成され、排出通路部217の最下流部には、遊技球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート(図示略)が形成されている。つまり、一般入賞口31等の各入賞口に入賞した遊技球は、裏枠セット215の球回収機構を介して集合し、さらに排出通路部217の排出シュートを通じてパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出通路部217に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュートを介してパチンコ機10外部に排出される。尚、本実施形態では、裏パックユニット203と下枠セット251とが別体として構成され、それぞれ独立して開閉可能であるが、裏パックユニット203と下枠セット251とが一体的に形成されることとしてもよい。
また、図5に示すように、下枠セット251の背面側には、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。
発射制御装置312及び電源装置313は基板ボックス313aに収容されて下枠セット251の背面側に固定されている。尚、発射制御装置312及び電源装置313は、便宜上それぞれ独立した制御装置として説明するが、実際には1つの基板(プリント基板)により構成される。
また、払出制御装置311は、基板ボックス311aに収容されて、基板ボックス313a(発射制御装置312及び電源装置313)の背面側に固定されている。尚、払出制御装置311が収容される基板ボックス311aには、上述した主制御装置261が収容される基板ボックス263と同様に封印部材が設けられ、基板ボックス311aの開封された痕跡が残るようになっている。
加えて、カードユニット接続基板314は、基板ボックス314aに収容されて、基板ボックス313a(発射制御装置312及び電源装置313)の背面側に固定されている。
なお、上記各基板ボックス311a,313a,314aは透明樹脂材料等により構成されており、内部が視認可能となっている。
また、払出制御装置311には基板ボックス311aから外方に突出する状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
さらに、電源装置313には基板ボックス313aから外方に突出するRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技ホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
また、図6に示すように、内枠12の右側部背面側には施錠装置600が設けられている。施錠装置600は、前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠700(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴に鍵を挿入し、一方に回動操作することで内枠12を解錠でき、他方に回動操作することで前面枠セット14を解錠できるようになっている。本実施形態では、内枠12は外枠11に対し施錠され、前面枠セット14は内枠12に対し施錠される。
尚、上記のように、外枠11の右辺枠構成部11dには、施錠装置600に対応する上下区間全域を内枠12の背面側から覆う延出壁部83が形成されている(図5参照)。これにより、外枠11の背面側から線材等を進入させ、当該線材等により施錠装置600を操作することが困難となる。結果として、防御性能の向上を図ることができる。さらに、延出壁部83は、裏パックユニット203及び下枠セット251の右端部(図5では左側の端部)を背面側から覆う構成となっており、内枠12の閉状態においては、裏パックユニット203及び下枠セット251を開放できない構成となっている。
また、図4に示すように、内枠12の前面側右下部(発射装置60の右側)には、前面枠セット14の開放を検知するための前面枠開放検知スイッチ91が設けられ、図5に示すように、内枠12の背面側右下部(図5では左下)には、内枠12の開放を検知するための内枠開放検知スイッチ92が設けられている。前面枠開放検知スイッチ91及び内枠開放検知スイッチ92は、それぞれスイッチ本体部に対して出没可能な検知部を備えており、前面枠開放検知スイッチ91は検知部が前方に向くように設けられ、内枠開放検知スイッチ92は検知部が後方へ向くように設けられる。そして、検知部がスイッチ本体部から突出した状態にある場合にはオン信号を主制御装置261に出力し、検知部がスイッチ本体部側に押圧され、スイッチ本体部に没入した状態ではオフ信号を主制御装置261に出力する構成となっている。つまり、前面枠開放検知スイッチ91は前面枠セット14の閉鎖時において検知部が前面枠セット14の背面で押圧されてオフ状態となり、前面枠セット14の開放時には、検知部が突出状態に戻ってオン状態となる。同様に、内枠開放検知スイッチ92は内枠12の閉鎖時において検知部が外枠11の受部85に一体形成された押圧部86によって押圧されてオフ状態となり、内枠12の開放時には検知部が突出状態に戻ってオン状態となる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図7は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。但し、CPU、ROM及びRAMが1チップ化されておらず、それぞれの機能毎にチップ化されている構成であってもよい。また、ROM502は、サブ制御装置262等に対して送信する変動パターンコマンド等の各種コマンドをテーブル構成で記憶している。
RAM503は、CPU501の内部レジスタの内容やCPU501により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア503aとを備えている。
また、RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア503aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、メイン処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)のメイン処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバス等で構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、第1及び第2特別表示装置43L、43R等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43L、43Rは、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
その他、便宜上、各種中継基板等の図示は省略するが、入出力ポート505には、入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、始動入賞ユニットスイッチ224,225などの各種検出スイッチや、各種基板などの各種電気部品が接続されている。つまり、主制御装置261には、各種ケーブルコネクタのコネクタを接続するための複数の端子部(基板側コネクタ)が設けられているが、これら端子部等により、入出力ポート505が構成される。
サブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、演出装置125、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信されるコマンド(例えば変動パターンコマンド等)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43L、43Rの表示に合わせた表示が行われる。
また、払出制御装置311は、払出装置358により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、CPU511の内部レジスタの内容やCPU511により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア513aとを備えている。
RAM513は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア513aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、メイン処理によって電源切断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置261のCPU501と同様、CPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SK1が入力されるように構成されており、その停電信号SK1がCPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
作業エリアには、払出制御装置311による賞球の払出許可が設定される払出許可フラグと、主制御装置261から送信されたコマンドを受信した場合に設定されるコマンド受信フラグと、主制御装置261から送信されたコマンドが記憶されるコマンドバッファとが設けられている。
払出許可フラグは、賞球の払出許可を設定するフラグであり、主制御装置261から賞球の払出を許可する特定のコマンドが送信され、その特定のコマンドを受信した場合にオンされ、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされる。本実施形態では、特定のコマンドは、払出制御装置311のRAM513の初期処理の指示をする払出初期化コマンドと、賞球の払出を指示する賞球コマンドと、主制御装置261が復電された場合に送信される払出復帰コマンドの3つである。
コマンド受信フラグは、払出制御装置311がコマンドを受信したか否かを確認するフラグであり、いずれかのコマンドを受信した場合にオンされ、払出許可フラグと同様に、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされるとともに、コマンド判定処理により受信されたコマンドの判定が行われた場合にオフされる。
コマンドバッファは、主制御装置261から送信されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出装置358等がそれぞれ接続されている。
カードユニット接続基板314は、パチンコ機10前面の貸球操作部(球貸しボタン121及び返却ボタン122)と、遊技ホール等にてパチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)とにそれぞれ電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれをカードユニットに出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314を省略することも可能である。
発射制御装置312は、発射装置60による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置60は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射装置60が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、バスライン530を介して、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、VDP526が接続されている。また、VDP526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドを、入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行ってVDP526の制御(具体的にはVDP526に対する内部コマンドの生成)を実施する。これにより、装飾図柄表示装置42における表示制御を行う。
プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。
VDP526は、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路である。VDP526はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDP526は、CPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させる。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。
電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。同様に、各種スイッチやモータ等には、これらが接続される制御装置を介して動作電源が供給されることとなる。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
本実施形態では、主制御装置261に設けられたCPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて抽選を行うこととしている。具体的には、図8に示すように、大当たり状態を発生させるか否かの大当たり抽選(当否抽選)に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別の決定に使用する大当たり種別決定カウンタC2と、特別表示装置43L,43R(装飾図柄表示装置42)の変動表示時間の決定等に使用する変動選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINIとを用いることとしている。
カウンタC1,C2,C3,CINIは、その更新の都度前回値に1が加算され、上限値に達した後、下限値である0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは定期的に更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される(乱数初期値カウンタCINIを除く)。
RAM503には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別決定カウンタC2、及び変動選択カウンタC3の各値が記憶される特別変動保留エリアが設けられている。
また、特別変動保留エリアは、それぞれ4つの保留エリア(保留第1〜保留第4エリア)を備える第1特別変動保留エリア及び第2特別変動記憶エリアと、1つの実行エリアとを備えている。第1特別変動保留エリアの各保留エリアには、中央始動口33への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別決定カウンタC2、及び変動選択カウンタC3の各値が時系列的に格納される。第2特別変動保留エリアの各保留エリアには、右始動口34への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別決定カウンタC2、及び変動選択カウンタC3の各値が時系列的に格納される。当該構成を採用することで、上記のように特別表示装置43L、43Rにおける変動表示をそれぞれ4回まで保留可能としている。
各カウンタについて詳しく説明すると、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、終値としての上限値(つまり599)に達した後、始値としての下限値である0に戻る構成となっている。通常、大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の初期値乱数カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の次の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタであり(値=0〜599)、タイマ割込み毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。一方、大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、大当たり乱数カウンタC1の値が大当たり乱数カウンタバッファに格納される。そして、遊技球が中央始動口33又は右始動口34に入賞したタイミングで、大当たり乱数カウンタバッファに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値が、第1特別変動保留エリア又は第2特別変動保留エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値は、「低確率状態」と、「高確率状態」とで2種類設定されており、本実施形態では、「低確率状態」であれば大当たりとなる乱数の値の数は3つで、その値は「7、207、407」であり、「高確率状態」であれば大当たりとなる乱数の値の数は6つで、その値は「7、107、207、307、407、507」である。すなわち、「低確率状態」においては1/200の確率で当否抽選に当選し(大当たり状態が発生し)、「高確率状態」においては1/100の確率で当否抽選に当選することとなる。尚、本実施形態では、ROM502に対し、大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりに対応するか否かの判定を行う際に参照される当否判定テーブルが設けられている。本実施形態では、当否判定テーブルが2つ存在し、「7、207、407」を記憶した第1当否判定テーブルと、「7、107、207、307、407、507」を記憶した第2当否判定テーブルとがある。
大当たり種別決定カウンタC2は、例えば0〜19の範囲内で順に1ずつ加算され、上限値(つまり19)に達した後、下限値である0に戻る構成となっている。本実施形態では、大当たり種別決定カウンタC2によって、大当たり種別、すなわち「確変大当たり」又は「通常大当たり」を付与するかが決定されるようになっている。
尚、ROM502には、大当たり種別決定カウンタC2の値がいずれの大当たりに対応するかの判定を行う際に参照される大当たり種別判定テーブルが設けられている。
具体的には、遊技球が中央始動口33又は右始動口34へ入賞した場合、大当たり種別決定カウンタC2の値が「0〜9」であれば「確変大当たり」の付与が決定され、「10〜19」であれば「通常大当たり」の付与が決定される。すなわち、各始動口33,34への入賞を契機とする当否抽選に当選した場合には、50%の確率で「確変大当たり」となり、50%の確率で「通常大当たり」となる。
尚、大当たり種別決定カウンタC2は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、大当たり種別決定カウンタC2の値が大当たり種別決定カウンタバッファに格納される。そして、遊技球が各始動口33,34に入賞したタイミングで、大当たり種別決定カウンタバッファに格納されている大当たり種別決定カウンタC2の値がRAM503の特別変動保留エリア(第1特別変動保留エリア又は第2特別変動保留エリア)に格納される。
また、変動選択カウンタC3は、例えば0〜99の範囲内で順に1ずつ加算され、上限値(つまり99)に達した後、下限値である0に戻る構成となっている。本実施形態では、変動選択カウンタC3によって、変動時間が10秒の「10s変動パターン」、変動時間が20秒の「20s変動パターン」、変動時間が30秒の「30s変動パターン」のいずれを実行するかが決定される。
変動選択カウンタC3は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、変動選択カウンタバッファに変動選択カウンタC3の値が格納される。そして、遊技球が中央始動口33又は右始動口34に入賞したタイミングで、変動選択カウンタバッファに格納されている変動選択カウンタC3の値がRAM503の特別変動保留エリア(第1特別変動保留エリア又は第2特別変動保留エリア)に格納される。
尚、ROM502には、変動選択カウンタC3の値がいずれの変動パターンに対応するかの判定を行う際に参照される変動パターン判定テーブルが設けられている。本実施形態では、大当たり当選時用の変動パターン判定テーブルと、落選時用の変動パターン判定テーブルの2つのテーブルが設けられている。
具体的に、大当たり当選時用の変動パターン判定テーブルでは、遊技球が中央始動口33又は右始動口34へ入賞した場合に、変動選択カウンタC3の値が「0〜9」であれば「20s変動パターン」が選出され、「10〜99」であれば「30s変動パターン」が選出される。
一方、落選時用の変動パターン判定テーブルでは、遊技球が中央始動口33又は右始動口34へ入賞した場合に、変動選択カウンタC3の値が「0〜90」であれば「10s変動パターン」が選出され、「91〜97」であれば「20s変動パターン」が選出され、「98,99」であれば「30s変動パターン」が選出される。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、大当たり乱数カウンタC1や変動選択カウンタC3の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
また、RAM503には、中央始動口33への入球を契機とする変動表示の保留数をカウントする中央保留カウンタNaと、右始動口34への入球を契機とする変動表示の保留数をカウントする右保留カウンタNbと、両保留カウンタNa,Nbの合計値を記憶する合計保留カウンタNxと、中央始動口33又は右始動口34への遊技球の入球順序を記憶するための保留順バッファBjとが設けられている。
保留順バッファBjは、リングバッファにより構成されている。本実施形態では、例えば中央始動口33に対応する場合には「1」が記憶され、右始動口34に対応する場合には「0」が記憶されていく。
リングバッファとは、概念上、バッファ領域内の先頭アドレスと最終アドレスとがリング状に繋がり、ライトポインタとリードポインタの2つのアドレスポインタを用いて先頭アドレスから順に書き込んで行き、最終アドレスまで到達すると再び先頭アドレスに戻って書き込めるように制御されるバッファである。そして、ライトポインタの示す所定アドレス位置にデータの書込みが行われた後、当該ライトポインタの値が次のアドレスを示す値に更新される。同様に、リードポインタの示す所定アドレス位置からデータの読出しが行われた後、当該リードポインタの値が次のアドレスを示す値に更新される。
次いで、主制御装置261内のCPU501により実行される各制御処理を、フローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上ここでは、先ずタイマ割込み処理とNMI割込み処理とを説明し、その後でメイン処理を説明する。
図11は、タイマ割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は主制御装置261のCPU501により例えば2msec毎に実行される。
図11において、先ずステップS301では、各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置261に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ323を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
ステップS302では乱数初期値更新処理を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本例では599)に達した際0にクリアする。
また、ステップS303では乱数更新処理を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別決定カウンタC2及び変動選択カウンタC3をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1,C2,C3の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
ステップS304では、始動口33,34への入賞に伴う始動入賞処理を実行する。その後、タイマ割込み処理を一旦終了する。
ここで、ステップS304の始動入賞処理について図13のフローチャートを参照して説明する。尚、特別変動保留エリアの実行エリア及び各保留エリアには、大当たり乱数カウンタC1の値を記憶する大当たり乱数記憶エリア、大当たり種別決定カウンタC2の値を記憶する大当たり種別乱数記憶エリア、変動選択カウンタC3の値を記憶する変動選択乱数記憶エリアが設けられている。本実施形態では、大当たり乱数記憶エリアは、2バイトを使用して大当たり乱数カウンタC1の値を記憶している。また、大当たり種別乱数記憶エリア及び変動選択乱数記憶エリアはそれぞれ1バイトを使用して、大当たり種別決定カウンタC2の値、及び変動選択カウンタC3の値を記憶している。
先ず、ステップS501では、遊技球が右始動口34に入賞したか否かを第2始動入賞スイッチ225の検知情報により判別する。当該ステップS501で肯定判別された場合、ステップS502において、右始動口34への入賞を契機とする変動表示の保留数をカウントする右保留カウンタNbの値が上限値(本実施形態では「4」)未満であるか否かを判別する。当該ステップS502で否定判別された場合には、ステップS509へ移行する。一方、ステップS502で肯定判別された場合には、ステップS503に進み、右保留カウンタNbを1インクメントする。
続くステップS504では、上記ステップS303の乱数更新処理で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別決定カウンタC2、及び変動選択カウンタC3の各値を、第2特別変動保留エリアの空いている保留エリアのうち最初のエリアに格納する。ステップS504の後、ステップS505に移行する。
ステップS505では、新たに第2特別変動保留エリアに記憶された大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりに対応する値であるか否かを判別する大当たり判定処理を行う。尚、大当たり判定処理の詳細については後述する。
続くステップS506では、ステップS505で大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりに対応する値であると判定された場合に、新たに第2特別変動保留エリアに記憶された大当たり種別決定カウンタC2の値に基づいて、大当たりの種別を判別する大当たり種別判定処理を行う。尚、大当たり種別判定処理の詳細については後述する。
さらに続くステップS507では、変動パターンの選出や、サブ制御装置262に対して送信する変動パターンコマンドの設定など、変動表示に関する各種設定を行う変動表示設定処理を実行する。尚、変動表示設定処理の詳細については後述する。
ここで、ステップS505の大当たり判定処理の詳細について、図14を参照して説明する。
先ず、ステップS5101では、新たに第2特別変動保留エリアに記憶された大当たり乱数カウンタC1の値が、大当たりに対応する値(第1当否判定テーブルに記憶された値)「7、207、407」のいずれかと一致するか否かを判別する。
ステップS5101で肯定判別された場合、すなわち大当たり状態が発生すると判別された場合には、ステップS5102において当選フラグをオンにした後、本処理を終了する。
一方、ステップS5101で否定判別された場合には、ステップS5103において、後述する高確率状態フラグがオンであるか否かを判別し、「高確率状態」であるか否かを判別する。
ステップS5103で肯定判別された場合、すなわち「高確率状態」である場合には、ステップS5104において、新たに第2特別変動保留エリアに記憶された大当たり乱数カウンタC1の値が、大当たりに対応する値(第2当否判定テーブルに記憶された値)「7、107、207、307、407、507」のいずれかと一致するか否かを判別する。
当該ステップS5104で肯定判別された場合、すなわち「高確率状態」においては大当たり状態が発生すると判別された場合には、ステップS5102において当選フラグをオンにした後、本処理を終了する。
ステップS5103、又はステップS5104で否定判別された場合、すなわち「外れ」である場合には、そのまま本処理を終了する。
次にステップS506の大当たり種別判定処理について、図15を参照して説明する。
先ず、ステップS5201では、直前に行われた大当たり判定処理にて、当選フラグが設定されたか否かを判別する。ステップS5201で否定判別された場合には、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップS5201で肯定判別された場合には、ステップS5202において、大当たり種別判定テーブルを参酌し、新たに第2特別変動保留エリアに記憶された大当たり種別決定カウンタC2の値が、「通常大当たり」に対応する値「10〜19」のいずれかと一致するか否かを判別する。ステップS5202で否定判別された場合、すなわち大当たり種別決定カウンタC2の値が「確変大当たり」に対応する値「0〜9」のいずれかであった場合には、ステップS5203において確変大当たりフラグをオンにしてから、本処理を終了する。
一方、ステップS5202で肯定判別された場合には、ステップS5204において通常大当たりフラグをオンにしてから、本処理を終了する。
次にステップS507の変動表示設定処理について図16を参照して説明する。
先ずステップS5301では、上記当選フラグがオンであるか否かを判別することで、変動表示が大当たりに対応するものであるか否かを判別する。ここで肯定判別された場合、すなわち大当たりに対応するものであると判断された場合にはステップS5302へ移行する。
ステップS5302では、第2特別変動保留エリアに記憶された変動選択カウンタC3の値を基に、大当たり当選時用の変動パターン判定テーブルを参酌して、変動パターンを選出する。
続くステップS5303では、上記確変大当たりフラグがオンであるか否かを判別することで、変動表示が「確変大当たり」に対応したものであるか否かを判別する。
ここで肯定判別された場合には、ステップS5304にて、予めROM502に記憶された変動パターンコマンドテーブル〔図17(a)参照〕を参照して、「確変大当たり」に対応しかつ上記選出された変動パターンに対応する変動パターンコマンドを設定する。その後、本処理を終了する。
一方、ステップS5303で否定判別された場合には、ステップS5305に移行し、通常大当たりフラグがオンであるか否かを判別することで、変動表示が「通常大当たり」に対応したものであるか否かを判別する。
ここで肯定判別された場合には、ステップS5306にて、上記変動パターンコマンドテーブルを参照して、「通常大当たり」に対応しかつ上記選出された変動パターンに対応する変動パターンコマンドを設定する。その後、本処理を終了する。一方、ステップS5305で否定判別された場合には、そのまま本処理を終了する。
また、ステップS5301で否定判別された場合、すなわち「外れ」である場合には、ステップS5307に移行し、第2特別変動保留エリアに記憶された変動選択カウンタC3の値を基に、落選時用の変動パターン判定テーブルを参酌して、変動パターンを選出する。
続くステップS5308では、上記変動パターンコマンドテーブルを参照して、「外れ」に対応しかつ上記選出された変動パターンに対応する変動パターンコマンドを設定する。その後、本処理を終了する。
尚、ここで設定された変動パターンコマンドは、後述する外部出力処理(ステップS201)において出力される。そして、変動パターンコマンドを入力したサブ制御装置262は、かかるコマンドに基づいて、装飾図柄表示装置42の変動態様を決定し、該変動態様を装飾図柄表示装置42において表示(変動表示)するように表示制御装置45に対し指示を出す。
便宜上、ここで変動パターンコマンドについて説明する。本実施形態に係る変動パターンコマンドは、2バイト構成からなり、その1バイト目(上位バイト)が、大当たり種別等を特定する情報によって構成され、2バイト目(下位バイト)が変動時間を特定する情報によって構成されている〔図17(a)参照〕。より詳しくは、1バイト目に関し、「FF」が「外れ」を示す情報に相当し、「FD」が「通常大当たり」を示す情報に相当し、「FE」が「確変大当たり」を示す情報に相当する。また、2バイト目に関しては、上記変動選択カウンタC3の値がそのまま設定される。つまり、1バイト目が「FF(外れ)」の場合の2バイト目の値が「0〜90」であれば「10s変動パターン」に相当し、「91〜97」であれば「20s変動パターン」に相当し、「98,99」であれば「30s変動パターン」に相当する。一方、1バイト目が「FD(通常大当たり)」又は「FE(確変大当たり)」の場合の2バイト目の値が「0〜9」であれば「20s変動パターン」に相当し、「10〜99」であれば「30s変動パターン」に相当する。
従って、変動表示が「外れ」に対応するものである場合には、「FF00」〜「FF99」のうちのいずれかが変動パターンコマンドとして設定される。より詳しくは、変動パターンが「10s変動パターン」の場合には「FF00」〜「FF90」が設定され、変動パターンが「20s変動パターン」の場合には「FF91」〜「FF97」が設定され、変動パターンが「30s変動パターン」の場合には「FF98」又は「FF99」が設定される。
また、変動表示が「通常大当たり」に対応したものである場合には、「FD00」〜「FD99」のうちのいずれかが変動パターンコマンドとして設定される。より詳しくは、変動パターンが「20s変動パターン」の場合には「FD00」〜「FD09」が設定され、変動パターンが「30s変動パターン」の場合には「FD10」〜「FD99」が設定される。
同様に、変動表示が「確変大当たり」に対応したものである場合には、「FE00」〜「FE99」のうちのいずれかが変動パターンコマンドとして設定される。より詳しくは、変動パターンが「20s変動パターン」の場合には「FE00」〜「FE09」が設定され、変動パターンが「30s変動パターン」の場合には「FE10」〜「FE99」が設定される。
図13の説明に戻り、ステップS506の処理の後、又は、ステップS501で否定判別された場合には、ステップS509において、遊技球が中央始動口33に入賞したか否かを第1始動入賞ユニットスイッチ224の検知情報により判別する。当該ステップS509で否定判別された場合には、そのまま本処理を終了する。一方、肯定判別された場合には、ステップS510において、中央始動口33への入賞を契機とする変動表示の保留数をカウントする中央保留カウンタNaの値が上限値(本実施形態では「4」)未満であるか否かを判別する。当該ステップS510で否定判別された場合には、そのまま本処理を終了する。一方、ステップS510で肯定判別された場合には、ステップS511に進み、中央保留カウンタNaを1インクメントする。
続くステップS512では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別決定カウンタC2、及び変動選択カウンタC3の各値を、第1特別変動保留エリアの空いている保留エリアのうち最初のエリアに格納する。ステップS512の後、ステップS513に移行する。
ステップS513では、新たに第1特別変動保留エリアに記憶された大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりに対応する値であるか否かを判別する大当たり判定処理を行う。尚、ステップS513の大当たり判定処理は、上記ステップS505の大当たり判定処理と同様であり、処理の対象となる変動表示に関する情報が、中央始動口33への入球に基づくものであるといった点だけが異なる。このため、便宜上、詳細な説明は省略する。
続くステップS514では、ステップS513で大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりに対応する値であると判定された場合に、新たに第1特別変動保留エリアに記憶された大当たり種別決定カウンタC2の値に基づいて、大当たりの種別を判別する大当たり種別判定処理を行う。尚、ステップS514の大当たり種別判定処理は、上記ステップS506の大当たり種別判定処理と同様であり、処理の対象となる変動表示に関する情報が、中央始動口33への入球に基づくものであるといった点だけが異なる。このため、便宜上、詳細な説明は省略する。
さらに続くステップS515では、変動パターンの選出や、サブ制御装置262に対して送信する変動パターンコマンドの設定など、変動表示に関する各種設定を行う変動表示設定処理を実行する。尚、ステップS515の変動表示設定処理は、上記ステップS507の変動表示設定処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。ステップS515の後、本処理を終了する。
図12は、NMI割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は、主制御装置261のCPU501により停電の発生等によるパチンコ機10の電源断時に実行される。このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。
すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SK1が停電監視回路542から主制御装置261内のCPU501のNMI端子に出力される。すると、CPU501は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始し、ステップS401において、電源断の発生情報の設定として電源断の発生情報をRAM503のバックアップエリア503aに記憶してNMI割込み処理を終了する。
なお、上記のNMI割込み処理は払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込みにより、電源断の発生情報がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SK1が停電監視回路542から払出制御装置311内のCPU511のNMI端子に出力され、CPU511は実行中の制御を中断して図12のNMI割込み処理を開始する。その内容は上記説明の通りである。
次に、主制御装置261内のCPU501により実行されるメイン処理の流れを図9のフローチャートを参照しながら説明する。このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
先ず、ステップS101では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(サブ制御装置262,払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウエイト処理を実行する。続くステップS102では、RAMアクセスを許可する。
その後、CPU501内のRAM503に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS103では、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押下(ON)されているか否かを判別し、押下されていれば、バックアップデータをクリア(消去)するべく、ステップS112へ移行する。一方、RAM消去スイッチ323が押下されていなければ、続くステップS104で、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。ここで、設定されていなければ、バックアップデータは記憶されていないので、この場合もステップS112へ移行する。バックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されていれば、ステップS105でRAM判定値を算出し、続くステップS106では、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。ここで算出したRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、この場合もステップS112へ移行する。
ステップS112の処理では、サブ側の制御装置となるサブ制御装置262及び払出制御装置311等を初期化するために、初期化コマンドを送信する。なお、初期化コマンドを受信したサブ制御装置262は、後述するように自身の初期化処理を実行し、遊技モードを初期設定である通常モードに設定する。
その後、RAMの初期化処理(ステップS113等)に移行する。なお、RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時に初期状態に戻したい場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323がONされていれば、RAMの初期化処理(ステップS113等)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(ステップS113等)に移行する。つまり、ステップS113ではRAM503の使用領域を0にクリアし、続くステップS114ではRAM503の初期値を設定する。その後、ステップS111で割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合(ステップS103:NO)には、電源断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS107では、電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS108では、電源断の発生情報をクリアする。
ステップS109では、サブ側の制御装置となるサブ制御装置262及び払出制御装置311等を電源断時の遊技状態に復帰させる復帰コマンドを送信する。
ステップS110では、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる。その後、ステップS111で割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
次に、通常処理の流れを図10のフローチャートを参照しながら説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS210までの処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS211のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
先ずステップS201では、前回の処理で更新された特別表示装置43L、43R等の設定内容に基づいた制御信号を各装置に送信したり、コマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信したりする外部出力処理を実行する。
続くステップS203では、払出制御装置311より受信した賞球計数信号を読み込む。次に、ステップS204では、払出制御装置311より受信した払出異常信号を読み込む。
その後、ステップS205では、表示制御処理を実行する。この処理では、第1及び第2特別表示装置43L、43Rにおいてどのような制御を行うか当該特別表示装置43L、43Rの制御内容の設定などが行われる。この表示制御処理の詳細は後述する。
ステップS206では、可変入賞装置制御処理を実行する。この処理では、可変入賞装置32においてどのような制御を行うか当該可変入賞装置32の制御内容の設定が行われる。これにより、大当たり状態(特別遊技状態)となった場合には、可変入賞装置32の大入賞口の開閉処理が所定ラウンド数繰り返し実行される。可変入賞装置制御処理の詳細は後述する。
その後は、ステップS209において、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。ここでバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されていなければ、ステップS210で、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判別する。そして、既に所定時間が経過していれば、ステップS201へ移行し、上記ステップS201以降の処理を繰り返し実行する。
一方、前回の通常処理の開始から未だに所定時間が経過していなければ、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行する(ステップS211)。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本例では599)に達した際0にクリアする。
ここで、ステップS201〜S209の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定ではなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができる。
さて、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されていれば(ステップS209:YES)、電源が遮断されたことになるので、電源断時の停電処理としてステップS213以降の処理が行われる。停電処理は、まずステップS213において各割込み処理の発生を禁止し、ステップS214において、CPU501が使用している各レジスタの内容をスタックエリアに退避し、ステップS215において、スタックポインタの値をバックアップエリア503aに記憶する。その後、ステップS216において、電源が遮断されたことを示す電源断通知コマンドを他の制御装置(払出制御装置311等)に対して送信する。そして、ステップS217でRAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。その後、ステップS218でRAMアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
なお、ステップS209の処理は、ステップS201〜S208で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるステップS211の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置261の通常処理において、各処理の終了時に電源断の発生情報を確認しているので、各処理が途中の場合と比較してRAM503のバックアップエリア503aに記憶するデータ量が少なくなり、容易に記憶することができる。また、電源遮断前の状態に復帰する場合には、バックアップエリア503aに記憶されているデータ量が少ないので、容易に復帰させることができ、主制御装置261の処理の負担を軽減することができる。さらに、データの記憶前に割込み処理の発生を禁止(ステップS213)するので、電源が遮断されたときのデータが変更されることを防止でき、電源遮断前の状態を確実に記憶することができる。
次に、前記ステップS205の表示制御処理について図18のフローチャートを参照して説明する。
図18において、ステップS801では、詳しくは後述する大当たり発生フラグを参照し、今現在、大当たり中であるか否かを判別する。尚、大当たり中には、大当たり状態(特別遊技状態)の最中と大当たり状態終了後の所定時間とが含まれる。ここで言う大当たり状態終了後の所定時間とは、大当たり状態終了後、通常遊技(特別表示装置43L、43Rにおける変動表示)が開始されるまでの時間であり、一般にこの時間帯は、装飾図柄表示装置42にて大当たり状態の終了や大当たり後に付与される各種遊技状態や遊技モードを示す表示などが行われる。また、特別表示装置43L、43R、及び装飾図柄表示装置42にて変動表示が大当たりに対応する態様にて停止表示されてから可変入賞装置32(大入賞口)が開放されるまでの間の期間(一般にこの時間帯は装飾図柄表示装置42にて大当たり状態の開始を示す表示が行われる)についても大当たり中に含まれる。
ステップS801で肯定判別された場合、すなわち大当たり中である場合には、そのまま本処理を終了する、一方、ステップS801で否定判別された場合には、ステップS802において、後述する表示中フラグの設定状況を見て、第1又は第2特別表示装置43L、43R(装飾図柄表示装置42)にて変動表示中であるか否かを判別する。ここで、表示中フラグが設定されている場合(オン状態の場合)には変動表示中とみなされ、表示中フラグが解除されている場合(オフ状態の場合)には、変動表示が停止した状態にあたる停止表示中であるとみなされる。尚、詳しくは後述するが、表示中フラグは、第1及び第2特別表示装置43L、43Rの変動表示を開始する際(ステップS808参照)にオンにされ、第1及び第2特別表示装置43L、43Rの変動表示が停止表示される際(ステップS814参照)にオフにされる。
そして、ステップS802で否定判別された場合、すなわち、大当たり中でなくさらに変動表示中でもない場合には、ステップS803に進み、上記合計保留カウンタNxの値(中央保留カウンタNaの値と右保留カウンタNbの値の合計値)が0よりも大きいか否かを判別する。
ステップS803で肯定判別された場合、すなわち中央保留カウンタNa又は右保留カウンタNbに変動表示が1つでも保留記憶されている場合には、ステップS804へ移行する。一方、ステップS803で否定判別された場合、すなわち変動表示が1つも保留記憶されていない場合には、そのまま本処理を終了する。
ステップS804においては、上記保留順バッファBjの値を参酌して今回の変動表示が中央始動口33又は右始動口34のいずれの始動口への入球を契機とするものかを判定する。より詳しくは、保留順バッファBjに記憶された値が「0」であるか否か、すなわち今回の変動表示が右始動口34への入球を契機とするものであるか否かを判定する。ここで、肯定判別された場合にはステップS805へ移行する。
ステップS805では、右保留カウンタNbから1を減算する。続くステップS806では、第2特別変動保留エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、第2特別変動保留エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。ステップS806の後、ステップS807において、第2保留ランプ46Rを点灯・消灯させる処理を行ってから、ステップS808に移行する。
また、ステップS804で否定判定された場合、すなわち今回の変動表示が中央始動口33への入球を契機とするものである場合には、ステップS809において、中央保留カウンタNaから1を減算する。続くステップS810では、第1特別変動保留エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、第1特別変動保留エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。ステップS810の後、ステップS811において、第1保留ランプ46Lを点灯・消灯させる処理を行ってから、ステップS808に移行する。尚、本実施形態では、特別変動保留エリアの実行エリアは1つであり、第1特別変動保留エリア及び第2特別変動保留エリアに格納されているデータは、当該データに基づく変動表示を行う際に、共通の実行エリアにシフトされることとなる。
ステップS808では、特別表示装置43L、43Rにおいて切替表示(変動表示)を行う条件が成立したことを示す開始設定処理を行う。この開始設定処理では、特別表示装置43L、43Rにて変動表示中であるか否かを示す表示中フラグがオンにされるとともに、表示タイマの設定処理が行われる。表示タイマとは、特別表示装置43L、43Rにおける変動時間(変動表示の残余時間)を計測する手段であり、変動表示開始から所定時間が経過したか否かを判別する際に参酌される。なお、本実施形態における特別表示装置43L、43Rの変動表示時間は、上記変動選択カウンタC3により選出される変動パターンに対応した値が設定される。同時に、当該開始設定処理では、サブ制御装置262に対し装飾図柄表示装置42における変動表示の開始を指示する開始コマンドの設定も併せて行われる。そして、ステップS808の終了後、表示制御処理を終了する。
尚、上記設定に基づき、次回の通常処理の外部出力処理において、特別表示装置43L、43Rに対し切替表示(変動表示)を開始する旨の制御信号が出力された場合には、特別表示装置43L、43Rにおいて切替表示(変動表示)が開始される。特別表示装置43L、43Rは上述したような7セグメント表示装置であり、表示されている文字が「−」であれば「7」、「7」であれば「3」、「3」であれば「−」へ切替表示を行う。
さてステップS802で肯定判別された場合、すなわち変動表示中である場合には、ステップS812に進み、表示タイマ減算処理を行う。この処理が1回行われる毎に表示タイマの値が4msecずつ減算されていく。例えば変動時間が10秒(10000msec)の場合には、表示タイマに対して「2500」が設定され、4msec毎に1減算される。
続いてステップS813に進み、上記減算後の表示タイマの値を参酌して所定の変動時間が経過したか否かを判別する。このとき、所定の変動時間が経過した時すなわち表示タイマの値が「0」となった時にステップS813が肯定判別される。
ステップS813で否定判別された場合には、ステップS817において、特別表示装置43L、43Rの切替表示(変動表示)を継続して行うための切替表示設定を行い、本処理を終了する。尚、切替表示設定の設定内容に基づき、上記同様、次回の通常処理における外部出力処理において、特別表示装置43L、43Rに対し切替表示を行う旨の制御信号が出力される。これによって、表示制御処理のタイミング、すなわち4ms毎に特別表示装置43L、43Rの切替表示(変動表示)が実現される。
一方、ステップS813で肯定判別された場合には、ステップS814において表示中フラグを解除(オフ)し、ステップS815において特別表示装置43L、43Rにて停止表示を行うための停止表示設定を行う。
尚、上記停止表示設定の設定内容に基づき、次回の通常処理における外部出力処理において、特別表示装置43L、42Rに対し停止表示を行う旨の制御信号が出力される。すなわち「高確率状態」への移行を伴う「確変大当たり」である場合には「7」を停止表示(例えば数秒間だけ点灯)させ、「低確率状態」への移行を伴う「通常大当たり」である場合には「3」を停止表示させ、「外れ」である場合には「−」を停止表示させる。
続いて、ステップS816において判別情報設定処理を行った後、本処理を終了する。ここで、判別情報設定処理について、図19を参照して説明する。
先ず、ステップS1001において、当選フラグを参酌し、停止表示が大当たりに対応するか否かを判別する。ここで、大当たりに対応する場合には、ステップS1002へ移行し、大当たり設定を行う。具体的には、大当たり発生フラグ、可変フラグ、可変タイマ、ラウンド数カウンタ、及び入賞カウンタ等の設定処理を行う。そして、ステップS1002の終了後、判別情報設定処理を終了する。
一方、ステップS1001において、大当たりに対応しない、すなわち当選フラグがオフであると判別された場合には、そのまま本処理を終了する。
大当たり発生フラグとは、特別遊技状態としての大当たり状態か否かを判別するための状態判別情報であり、ここでは大当たり状態の発生を示す「1」がフラグ値として設定される(オンされる)。
可変フラグとは、可変入賞装置32(大入賞口)が開状態中であるか否かを判別するための判別情報である。
可変タイマとは、可変入賞装置32の開放時間等を計測する手段であり、開放開始から規定時間が経過したか否かを判別する際等に参酌される。本例では、可変タイマに対して「7500」が値として設定される。これにより、1ラウンドあたりの最大開放時間(可変入賞装置32が開状態とされる最長時間)が30秒となる。
ラウンド数カウンタとは、大当たり状態中に実行されるラウンドの回数(特賞状態発生回数、つまり可変入賞装置32の開閉処理の実行回数)を判別するための判別情報であり、本処理では16ラウンドを示す「16」が値として設定される。
入賞カウンタとは、可変入賞装置32に入球した遊技球の数をカウントする手段であり、本処理では、1ラウンドあたりの最大入球個数を示す「8」が値として設定される。尚、タイマ割込み処理のスイッチ読み込み処理(図11参照)に際して、可変入賞装置32への入球があったか否かをカウントスイッチ223の検出情報により判別し、可変入賞装置32への入球があったと判別されると、入賞カウンタの値が1減算される。
次に、上記ステップS206の可変入賞装置制御処理について図20のフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS1201において大当たり発生フラグがオンであるか否かを判別する。ここで否定判別された場合にはそのまま本処理を終了する。
ステップS1201で肯定判別された場合、ステップS1202において、可変タイマのカウント値を1減算する。続くステップS1203では、可変フラグがオンであるか否かを判別する。
ステップS1203で肯定判別された場合、すなわち、可変入賞装置32が開状態である場合には、ステップS1204に進み、可変タイマのカウント値が「0」であるか否か、すなわち、1ラウンドあたりの可変入賞装置32の開放時間が残されているか否かを判別する。
ステップS1204にて否定判別された場合には、ステップS1205に進み、入賞カウンタの値が「0」であるか否か、すなわち、可変入賞装置32へ入賞した遊技球の球数が1ラウンドあたりの規定個数(本例では8個)に達したか否かを判別する。ステップS1204にて否定判別された場合、すなわち、可変入賞装置32を閉状態とするタイミング(ラウンド終了のタイミング)が未だ到来していない場合には、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップS1204又はステップS1205にて肯定判別された場合には、ステップS1206に進み、ラウンド数カウンタのカウンタ値が「0」であるか否か、すなわち、ラウンド数(可変入賞装置32の開放回数)が規定回数に達したか否かを判別する。
ステップS1206で肯定判別された場合には、ステップS1207において終了設定処理を行い、本処理を終了する。
ステップS1207の終了設定処理では、可変フラグ及び大当たり発生フラグをオフするとともに、高確率状態フラグの設定処理、遊技状態通知コマンドの設定処理などが行われる。
高確率状態フラグとは、遊技状態が「高確率状態」か否かを判別するための状態判別情報であり、前記高確率状態フラグの設定処理では、上述した「確変大当たりフラグ」及び「通常大当たりフラグ」に基づいて、高確率状態フラグの切換設定が行われる。これにより、大当たり終了後に「高確率状態」が設定される場合(「確変大当たりフラグ」がオン)には、「高確率状態」の発生を示す「1」がフラグ値として設定され、「低確率状態」が設定される場合(「通常大当たりフラグ」がオン)には、「低確率状態」の発生を示す「0」がフラグ値として設定される。
尚、「確変大当たりフラグ」及び「通常大当たりフラグ」に関しては、上記高確率状態フラグの設定処理の後、オフされる。また、図19の判別情報設定処理において大当たり設定(ステップS1002)が行われた場合に、高確率状態フラグを一度リセットする(「0」を設定する)構成としてもよい。
遊技状態通知コマンドとは、サブ制御装置262に対し、大当たり終了後に設定される遊技状態(「高確率状態」又は「低確率状態」)を通知するためのコマンドである。
ステップS1206で否定判別された場合、すなわちラウンド数が規定回数に達していない場合には、ステップS1208において、ラウンド送り処理を行い、本処理を終了する。ラウンド送り処理では、ラウンド数カウンタの値を1減算する。つまり、実行したラウンド数が、事前に設定された規定回数に達するまで上記開閉処理が繰り返し行われる。また、ラウンド送り処理では、可変フラグをオフにするとともに、可変タイマに対して、次のラウンドが開始されるまでの時間(ウエイト時間)をセットする。
また、上記ステップS1203にて否定判別された場合、すなわち、ラウンド間のウエイト期間中である場合には、ステップS1209に進み、可変タイマの値が「0」であるか否かを判別する。
ステップS1209にて肯定判別された場合、すなわちウエイト期間が終了し、次のラウンドを開始するタイミングに至った場合には、ステップS1210においてラウンド開始処理を行う。ラウンド開始処理では、可変フラグをオンにするとともに、可変タイマに対して1ラウンドあたりの可変入賞装置32の開放時間を設定し、入賞カウンタに対して1ラウンドあたりの最大入賞個数(本例では「8」)を設定する。また、可変入賞装置32の開放時間として、可変タイマに対して「7500」が設定される。ステップS1209にて否定判別された場合、ステップS1210にてラウンド開始処理が完了した場合には、本処理を終了する。
尚、可変フラグのオンオフ状況に基づき、次回の通常処理の外部出力処理において、可変入賞装置32に対し各種制御信号が出力される。可変フラグがオンの場合には可変入賞装置32に対し大入賞口を開放する旨の制御信号が出力され、可変入賞装置32が開状態となる。一方、可変フラグがオフの場合には可変入賞装置32に対し大入賞口を閉鎖する旨の制御信号が出力され、可変入賞装置32が閉状態となる。
次に、払出制御装置311内のCPU511により実行される払出制御について説明する。説明の便宜上、まず図21を参照して受信割込み処理を説明し、その後図22を参照してメイン処理を説明する。
図21は、払出制御装置311により実行される受信割込み処理を示すフローチャートである。受信割込み処理は、主制御装置261から送信されるコマンドを払出制御装置311が受信した場合に割り込んで実行される処理である。主制御装置261から送信されたコマンドが受信されたことを払出制御装置311が確認すると、払出制御装置311内のCPU511により実行される他の処理を一端待機させ、受信割込み処理が実行される。受信割込み処理が実行されると、まずステップS3001において主制御装置261から送信されたコマンドをRAM513のコマンドバッファに記憶し、ステップS3002において主制御装置261からコマンドが送信されたことを記憶するためにコマンド受信フラグをオンして、本受信割込み処理を終了する。上述したように、コマンドがコマンドバッファに記憶される場合には、記憶ポインタが参照されて所定の記憶領域に記憶されると共に、次に受信したコマンドを次の記憶領域に記憶させるために記憶ポインタが更新される。
なお、本実施形態では、主制御装置261から送信されるコマンドの受信処理は、そのコマンドが受信されたときに実行される割込処理で行われるものとしたが、例えば、図23に示したタイマ割込処理において、コマンド判定処理(ステップS3201)が行われる前に、コマンドが受信されたか否かを確認し、コマンドが受信されている場合にはそのコマンドをRAM513のコマンドバッファへ記憶してコマンド受信フラグをオンするとともに、コマンドが受信されていない場合にはコマンド判定処理へ移行するものとしてもよい。かかる場合には、所定間隔毎に入出力ポートのコマンド入力に対応するポートを確認することで、コマンドが受信されたか否かを確認する。
次に、払出制御装置311のメイン処理について図22を参照して説明する。図22は、払出制御装置311のメイン処理を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
先ず始めに、ステップS3101では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。そして、ステップS3103でRAMアクセスを許可すると共に、ステップS3104で外部割込みベクタの設定を行う。
その後、ステップS3106では、RAM513のバックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。そして、バックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されていれば、ステップS3107でRAM判定値を算出し、続くステップS3108で、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
ステップS3106で電源断の発生情報が設定されていない場合や、ステップS3108でRAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合には、ステップS3115以降のRAM513の初期化処理へ移行する。
ステップS3115ではRAM513の全領域を0にクリアし、ステップS3116ではRAM513の初期値を設定する。その後、ステップS3117ではCPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS3114へ移行して割込みを許可する。
一方、ステップS3106で電源断の発生情報が設定されていること、及びステップS3108でRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS3109で電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS3110で電源断の発生情報をクリアし、ステップS3111で賞球の払出を許可する払出許可フラグをクリアする。また、ステップS3112では、CPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS3113では、使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる。さらに、ステップS3114では、割込みを許可する。
ステップS3114で割込みが許可された後は、ステップS3122の処理において、バックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。ここで、電源断の発生情報が設定されていれば、電源が遮断されたことになるので、電源断時の停電処理としてステップS3123以降の処理が行われる。停電処理は、まずステップS3123において各割込み処理の発生を禁止し、次のステップS3124において後述するコマンド判定処理を実行する。その後、ステップS3125でCPU511が使用している各レジスタの内容をスタックエリアに退避し、ステップS3126でスタックポインタの値をバックアップエリア513aに記憶し、ステップS3127でRAM判定値を算出してバックアップエリア513aに保存し、ステップS3128でRAMアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM513のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、ステップS3122の処理は、電源投入時に行われる処理の終了後に電源断の発生情報を確認しているので、各処理が途中の場合と比較してRAM513のバックアップエリア513aに記憶するデータ量が少なくなり、容易に記憶することができる。また、電源遮断前の状態に復帰する場合には、バックアップエリア513aに記憶されているデータ量が少ないので、容易に復帰させることができ、払出制御装置311の処理の負担を軽減することができる。
次に、図23のフローチャートを参照して、払出制御装置311のタイマ割込み処理を説明する。このタイマ割込み処理は、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動される。
タイマ割込み処理では、まず、主制御装置261からのコマンドを取得し、そのコマンドの判定処理を行う(ステップS3201)。このコマンド判定処理について図24を参照して以下に説明する。
図24は、払出制御装置311により行われるコマンド判定処理を示すフローチャートである。コマンド判定処理(ステップS3124,S3201)では、まず、ステップS3301においてコマンド受信フラグがオンされているか否かを判別する。コマンド受信フラグは、上述した受信割込み処理(図21参照)において主制御装置261から送信されたコマンドを受信したときにオンされる。
ステップS3301においてコマンド受信フラグがオフと判別されれば、新たなコマンドを主制御装置261から受信していないので、そのまま本処理を終了する。一方、ステップS3301でコマンド受信フラグがオンと判別されれば、ステップS3302において、その受信したコマンドをRAM513から読み出し、ステップS3303においてコマンド受信フラグをオフする。ステップS3303においてコマンド受信フラグをオフすることにより、新たにコマンドが受信されるまで、ステップS3302〜ステップS3311の処理をスキップできるので、払出制御装置311の制御を軽減することもできる。
ステップS3304〜ステップS3306の処理でRAM513から読み出されたコマンドの種類が判別される。ステップS3304では主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドであるか否かが判別され、ステップS3305では払出復帰コマンドであるか否かが判別され、ステップS3306では賞球コマンドであるか否かが判別される。
主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドであれば、ステップS3307で既に払出許可フラグがオンされているか否かが判別され、払出許可フラグがオフされていれば、電源投入時に主制御装置261からRAM513の初期化が指示されていることになるので、ステップS3308でRAM513のスタックエリア以外となる作業領域(エリア)を0にクリアし、ステップS3309でRAM513の初期値を設定する。その後、ステップS3311で払出許可フラグをオンして、賞球の払出許可が設定される。
上述したように、主制御装置261は、払出初期化コマンドを送信した後に、RAM503の初期化処理を行っており、払出制御装置311は、払出初期化コマンドを受信した後に、RAM513の初期化処理を行っているので、RAM503が初期化されるタイミングと、RAM513が初期化されるタイミングとが略同時期となる。よって、初期化のタイミングがずれることにより、主制御装置261から送信されるコマンドを払出制御装置311が受信したとしても、RAM513が初期化されてしまい、受信したコマンドに対応する制御が行えない等の弊害の発生を防止することができる。また、RAM513が初期化された後に、払出許可フラグをオンするので、賞球の払出許可を確実に設定することができる。
一方、ステップS3307で既に払出許可フラグがオンされていれば、RAM513の作業領域のクリアと、RAM513の初期化処理とを行わずに、本コマンド判定処理を終了する。すなわちステップS3307の処理は、払出許可フラグが設定された状態でRAM513が初期化されることを禁止している。なお、払出初期化コマンドは、電源投入時にRAM消去スイッチ323がオンされている場合のみ送信されるコマンドであるので、払出許可フラグがオンされた状態で受信することはなく、かかる場合には、ノイズなどの影響によって払出制御装置311が払出初期化コマンドとして認識してしまったことが考えられる。よって、払出許可フラグがオンされている状態で、RAM513の作業領域のクリア(ステップS3308)と、RAM513の初期値設定(ステップS3309)を実行すると、賞球が残っている場合に払出されないなどの弊害が生じて遊技者に損失を与えてしまうが、払出許可フラグがオンされている状態で、RAM513が初期化されることを防止しているので、遊技者に損失を与えることを防止できる。
また、主制御装置261から送信されたコマンドが払出復帰コマンドであれば(ステップS3304:NO、ステップS3305:YES)、主制御装置261及び払出制御装置311が電源遮断前の状態に復帰するので、賞球の払出を許可するためにステップS3311で払出許可フラグをオンする。すなわち、電源断の発生情報があり、主制御装置261と払出制御装置311が電源遮断前の状態に復帰した場合には、賞球の払出が許可される。ステップS3311の処理において払出許可フラグがオンされると、コマンドバッファの所定の記憶領域に記憶されたコマンドに基づく処理が終わったことになるので、読出ポインタが次の記憶領域に対応した読出ポインタに更新される。
さらに、主制御装置261から送信されたコマンドが賞球コマンドであれば(ステップS3305:NO、ステップS3306:YES)、ステップS3310において、受信した賞球個数を総賞球個数に加算して記憶し、賞球の払出を許可するためにステップS3311で払出許可フラグをオンする。この際、払出制御装置311は、コマンドバッファ(リングバッファ)に記憶された賞球コマンドを順次読み出し、当該コマンドに対応する賞球個数を、所定のバッファ領域に記憶される総賞球個数に加算して記憶する。主制御装置261から送信される賞球コマンドに基づいて賞球個数に対応した賞球の払出しが行われるので、賞球コマンドは、賞球コマンドは賞球の払出しを指示する払出指示コマンドである。また、賞球コマンドが受信された場合には、即座に払出許可が設定されるので、入賞に対して早期に賞球の払出しを行うことができる。ステップS3311の処理において払出許可フラグがオンされると、コマンドバッファの所定の記憶領域に記憶されたコマンドに基づく処理が終わったことになるので、読出ポインタが次の記憶領域に対応した読出ポインタに更新される。
なお、主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドでもなく(ステップS3304:NO)、払出復帰コマンドでもなく(ステップS3305:NO)、賞球コマンドでもなければ(ステップS3306:NO)、払出許可フラグをオンすることなく、コマンド判定処理を終了する。
ここで、図23のフローチャートに戻って説明する。コマンド判定処理が終わると、ステップS3202において、コマンド判定処理で払出許可フラグがオンされたか否かが判別される。ここで、払出許可フラグがオンされていなければ、そのまま本処理を終了する。つまり、主制御装置261からコマンドが送信される前に賞球の払出しが行われることを防止することができる。
一方、ステップS3202で肯定判別されれば、ステップS3203で発射制御装置312に対して発射許可の設定を行い、ステップS3204で状態復帰スイッチ321をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。この処理により、例えば払出モータの球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
その後、ステップS3205では、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する。すなわち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿15の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、ステップS3206では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態(球切れ状態)又はタンク球無し解除状態(球有り状態)の設定を実行する。すなわち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった特、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった特、タンク球無し解除状態の設定を実行する。
その後、ステップS3207では、例えばエラー状態のように報知すべき状態の有無を判別し、報知すべき状態が有る場合には報知する。
続いて賞球及び貸球の払出制御処理を実行する。詳しくは、ステップS3208で払出個数設定処理を行い、ステップS3209においてモータ制御状態取得処理を行い、ステップS3210においてモータ駆動処理を行う。
ステップS3211では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ358aを駆動させ球抜き処理を実行する。続くステップS3212では、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ360の制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本タイマ割込み処理の先頭に戻る。
次に、サブ制御装置262の通常処理ついて図25を参照しつつ説明する。先ずステップS3901では、入出力ポート554のコマンド入力に対応するポートを確認し、主制御装置261から送信されたコマンドが受信されているか否かを判別する。
コマンドが受信されている場合には、ステップS3902においてそのコマンドをRAM553のコマンドバッファへ記憶する。RAM553のコマンドバッファは、主制御装置261から送信されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。上述したとおり、リングバッファは所定の記憶領域を有しており、その記憶領域の始端から終端に至るまで規則性をもってコマンドが記憶され、全ての記憶領域にコマンドが記憶された場合には、記憶領域の始端に戻りコマンドが更新されるよう構成されている。よって、コマンドが記憶された場合及びコマンドが読み出された場合に、コマンドバッファにおける記憶ポインタ及び読出ポインタが更新され、その各ポインタに基づきコマンドの記憶と読み出しとが行われる。
続くステップS3903では、コマンド判定処理を行う。ここで、コマンド判定処理について図26を参照して説明する。ステップS4101において、その受信したコマンドをRAM553のコマンドバッファから読み出す。続くステップS4102では当該コマンドが初期化コマンドであるか否かが判別され、ステップS4103では復帰コマンドであるか否かが判別され、ステップS4104では変動パターンコマンドであるか否かが判別され、ステップS4110では遊技状態通知コマンドであるか否かが判別され、ステップS4111では開始コマンドであるか否かが判別される。
主制御装置261から送信されたコマンドが初期化コマンドであれば、電源投入時に主制御装置261からRAM553の初期化が指示されていることになるので、ステップS4105でRAM553をクリアし、ステップS4106でRAM553の初期値を設定する。これにより、RAM553の遊技状態情報格納エリアには、初期設定である「低確率状態」に対応する遊技状態情報が記憶される。その後、本処理を終了する。
また、主制御装置261から送信されたコマンドが復帰コマンドであれば(ステップS4102:NO、ステップS4103:YES)、主制御装置261が電源遮断前の状態に復帰するので、バックアップ機能を持たないサブ制御装置262は、ステップS4107にて、当該復帰コマンドに含まれる遊技状態情報を読み出し、RAM553の遊技状態情報格納エリアに記憶する。その後、本処理を終了する。
さらに、主制御装置261から送信されたコマンドが変動パターンコマンドであれば(ステップS4103:NO、ステップS4104:YES)、ステップS4108において、当該変動パターンの内容等をサブ保留バッファBfに格納する格納処理を行い、本処理を終了する。
サブ保留バッファBfは、8つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第8エリア)と、1つの実行エリアとを備えている。各保留エリアには、変動パターンコマンドの受信履歴(受信順序)に従って、装飾図柄表示装置42にて実行される変動表示に関連する情報(大当たり種別、変動時間、後述する演出パターン等)が時系列的に格納される。これにより、サブ制御装置262は、変動表示の保留数やその内容を把握することができる。
本実施形態では、大当たり種別情報として、変動パターンコマンドの1バイト目の値がそのまま記憶され、変動時間情報として、変動パターンコマンドの2バイト目の値がそのまま記憶される。
尚、本実施形態では、変動パターンの内容をサブ保留バッファBfに格納する処理に併せて、サブ保留バッファBfの保留エリアに記憶された変動時間情報に基づき、装飾図柄の変動表示に係る演出パターンを選出し、大当たり種別情報(「外れ」を含む)に基づき、変動時間経過後に停止表示する停止図柄(停止図柄の組合わせ)を決定する。ここで決定された演出パターンや停止図柄に関する情報は、これらに対応するサブ保留バッファBfの保留エリアに追記される。尚、変動時間情報と演出パターンとの対応関係や、大当たり種別情報と停止図柄との対応関係は、サブ制御装置262のROM552にテーブルで記憶されている。
ここで、変動時間情報と演出パターンとの対応関係について説明する。まず演出パターンの種別について説明する。演出パターンとしては、例えば装飾図柄の変動以外には特段の演出表示がされない「ノーマルリーチ」、リーチ状態成立後にキャラクタ等が表示され、遊技者に対しより期待感を抱かせる「スーパーリーチ」、リーチ状態にもならない「完全外れ」などが用意されている。
特に本実施形態では、リーチ状態が成立した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」に相当する「Aリーチ」及び「Bリーチ」が上記「ノーマルリーチ」として用意されると共に、同じくリーチ状態が成立した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」に相当する「Cリーチ」及び「Dリーチ」が上記「スーパーリーチ」として用意されている。
サブ制御装置262のROM552には、変動時間情報がいずれの演出パターンに対応するかを判定するための演出パターン判定テーブルが設けられている。本実施形態では、大当たり当選時用の演出パターン判定テーブルと、落選時用の演出パターン判定テーブルの2つのテーブルが設けられている。
具体的に、大当たり当選時用の演出パターン判定テーブルでは、図17(b)に示すように、上記変動時間情報の値が「0〜4」であれば「Aリーチ」が選出され、「5〜9」であれば「Bリーチ」が選出され、「10〜54」であれば「Cリーチ」が選出され、「55〜99」であれば「Dリーチ」が選出される。つまり変動パターンが「20s変動パターン」の場合には「Aリーチ」又は「Bリーチ」が選出され、変動パターンが「30s変動パターン」の場合には「Cリーチ」又は「Dリーチ」が選出される。
一方、落選時用の演出パターン判定テーブルでは、図17(c)に示すように、上記変動時間情報の値が「0〜90」であれば、リーチ態様にもならない「完全外れ」が選出され、「91〜94」であれば「Aリーチ」が選出され、「95〜97」であれば「Bリーチ」が選出され、「98」であれば「Cリーチ」が選出され、「99」であれば「Dリーチ」が選出される。つまり変動パターンが「10s変動パターン」の場合には「完全外れ」が選出され、変動パターンが「20s変動パターン」の場合には「Aリーチ」又は「Bリーチ」が選出され、変動パターンが「30s変動パターン」の場合には「Cリーチ」又は「Dリーチ」が選出される。
従って、「Cリーチ」や「Dリーチ」は、「Aリーチ」や「Bリーチ」に比べ、大当たりとなる期待度の高いリーチとなる。
また、主制御装置261から送信されたコマンドが遊技状態通知コマンドであれば(ステップS4104:NO、ステップS4110:YES)、主制御装置261において遊技状態が切換わるタイミングであるので、ステップS4107にて、当該遊技状態通知コマンドに含まれる遊技状態情報(例えば「高確率状態」に対応する情報)を読み出し、RAM553の遊技状態情報格納エリアに記憶する。その後、本処理を終了する。
また、主制御装置261から送信されたコマンドが開始コマンドであれば(ステップS4110:NO、ステップS4111:YES)、装飾図柄表示装置42にて変動表示を開始するタイミングであるので、ステップS4112にて開始設定処理を行い、その後、本処理を終了する。
ステップS4112の開始設定処理では、装飾図柄表示装置42にて行う変動表示に係る各種設定を行う。
この開始設定処理では、まずサブ保留バッファBfに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、保留第1〜第8エリアに格納されているデータを実行エリア側へ順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、・・・保留第8エリア→保留第7エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
続いて、サブ保留バッファBfの実行エリアに記憶された変動時間に対応する値を変動表示タイマに設定する。変動表示タイマは、装飾図柄表示装置42における変動時間(変動表示の残余時間)を計測する手段であり、変動表示開始から所定時間が経過したか否かを判別する際に参酌される。
また、装飾図柄表示装置42にて変動表示中であるか否かを判別する際に参酌される変動表示中フラグがオンされる。
尚、主制御装置261からサブ制御装置262へ送信されるコマンドとしては、上記例示したコマンドだけでなく、その他にも、例えば大当たり状態の発生時(又は終了時)に出力される大当たり演出開始コマンド(又は大当たり演出終了コマンド)などがある。
図25の説明に戻り、ステップS3903の後又はステップS3901で否定判別された場合には、ステップS3904へと移行し、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本例では1msec)が経過したか否かを判別する。そして、既に所定時間が経過していればステップS3905へ移行し、一方、前回の通常処理の開始から未だに所定時間が経過していなければ、ステップS3912へと移行する。
ステップS3905では、各種カウンタの更新処理を実行する。サブ制御装置262のCPU551は、装飾図柄の表示に際し各種カウンタ情報を用いる。具体的には、図27に示すように、大当たり時装飾図柄カウンタC5と、上図柄表示領域、中図柄表示領域、及び下図柄表示領域の各外れ図柄の設定に使用する上・中・下の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、CPU551内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。これらカウンタの値は適宜、RAM553のカウンタ用バッファに格納される。
大当たり時装飾図柄カウンタC5は、大当たり(「確変大当たり」又は「通常大当たり」)の際、装飾図柄表示装置42に停止表示される図柄(大当たり図柄)を決定するためのものである。本実施形態における大当たり図柄は、「確変大当たり」又は「通常大当たり」に関係なく、10通り設定されている。従って、大当たり時装飾図柄カウンタC5としては、10個(0〜9)のカウンタ値が用意されている。すなわち、大当たり時装飾図柄カウンタC5は、0〜9の範囲内で順に1ずつ加算され、上限値(つまり9)に達した後0に戻る構成となっている。
大当たり時装飾図柄カウンタC5は、ステップS3905のカウンタ更新処理にて定期的に更新され、RAM553の大当たり時装飾図柄カウンタバッファに格納される。そして、上記ステップS4108の保留バッファ格納処理において、サブ保留バッファBfの保留エリアに記憶された大当たり種別情報が大当たりを示す「FD」又は「FE」である場合には、図示しないテーブルに基づいて、例えば大当たり時装飾図柄カウンタC5の値が「0」であれば「0」(のゾロ目)、「1」であれば「1」(のゾロ目)、・・・という具合に、「0」〜「9」のゾロ目のいずれかの図柄の組合わせを停止図柄(大当たり図柄)の組合わせとして決定する。
また、上・中・下の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が「外れ」となった場合に上・中・下の図柄表示領域の各停止図柄(外れ図柄の組合わせ)を決定するものであり、各列では10個の装飾図柄の何れかが表示されることから、各々に10個(0〜9)のカウンタ値が用意されている。上・外れ図柄カウンタCLにより上図柄表示領域の停止図柄が決定され、中・外れ図柄カウンタCMにより中図柄表示領域の停止図柄が決定され、下・外れ図柄カウンタCRにより下図柄表示領域の停止図柄が決定される。
本実施形態では、CPU551に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する構成としている。すなわち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が上限値を超えた場合に10減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合わせが、RAM553の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。
ここで、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理を詳しく説明する。図28に示すように、ステップS4001では、上・外れ図柄カウンタCLの更新時期か否かを判別し、ステップS4002では、中・外れ図柄カウンタCMの更新時期か否かを判別する。なお、上・中・下の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の更新処理で1つずつ順に更新されるように構成する。したがって、前回の更新処理において下・外れ図柄カウンタCRが更新されている場合、ステップS4001で肯定判断されることになる。また、前回の更新処理において上・外れ図柄カウンタCLが更新されている場合、ステップS4002で肯定判断されることになる。そして、上・外れ図柄カウンタCLの更新時期(ステップS4001がYES)であればステップS4003に進み、上・外れ図柄カウンタCLを更新する。また、中・外れ図柄カウンタCMの更新時期(ステップS4002がYES)であればステップS4004に進み、中・外れ図柄カウンタCMを更新する。さらに、下・外れ図柄カウンタCRの更新時期(ステップS4001、S4002が共にNO)であればステップS4005に進み、下・外れ図柄カウンタCRを更新する。ステップS4003〜S4005の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位3ビットの値を加算すると共にその加算結果が上限値を超えた場合に10を減算して、その演算結果を、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの今回値とする。
上記CL,CM,CRの更新処理によれば、上・中・下の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の更新処理で1つずつ順に更新され、各カウンタ値の更新時期が重なることはない。これにより、更新処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新されるようになっている。
その後、ステップS4006では、上記更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合わせがリーチ図柄の組合わせ(上図柄表示領域の図柄と下図柄表示領域の図柄とが同じで、上下の図柄表示領域の図柄と中図柄表示領域の図柄とが異なっている)になっているか否かを判別し、リーチ図柄の組合わせである場合(S4006がYES)、さらにステップS4007では、それが前後外れリーチであるか否かを判別する。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れリーチ(前後外れ図柄)の組合わせである場合(S4007がYES)、ステップS4008に進み、そのときの外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合わせをRAM553の前後外れリーチ図柄バッファに格納する。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れ以外リーチ(前後外れ以外図柄)の組合わせである場合(S4007がNO)には、ステップS4009に進み、そのときの外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合わせをRAM553の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納する。
また、リーチ図柄以外の組合わせである場合(S4006がNO)、ステップS4010に進み、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合わせが外れ図柄の組合わせになっているか否かを判別し、外れ図柄(完全外れ図柄)の組合わせになっていれば(S4010がYES)、ステップS4011に進み、そのときの外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合わせをRAM553の完全外れ図柄バッファに格納する。なお、ステップS4006、S4010が共にNOの場合は、上・中・下で図柄が揃っている、すなわち大当たり図柄の組合わせに相当するが、かかる場合、外れ図柄カウンタCL,CM,CRをバッファに格納することなくそのまま本処理を終了する。
そして、上記ステップS4108の保留バッファ格納処理において、サブ保留バッファBfの保留エリアに記憶された大当たり種別情報が「外れ」を示す「FF」である場合には、図示しないテーブルに基づいて、対応するRAM553のカウンタ用バッファ(図27参照)に格納されている図柄の組合わせを停止図柄(外れ図柄)の組合せとして決定する。より詳しくは、所定の保留エリアに記憶された大当たり種別情報が「外れ」で、変動時間情報の値が「0〜90」であれば(演出パターンが「完全外れ」であれば)、完全外れ図柄バッファに格納されている図柄の組合わせを停止図柄として決定する。同様に、変動時間情報の値が「91〜97」であれば(演出パターンが「Aリーチ」又は「Bリーチ」)であれば、前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている図柄の組合わせを停止図柄として決定する。また、変動時間情報の値が「98,99」であれば(演出パターンが「Cリーチ」又は「Dリーチ」)であれば、RAM553の前後外れリーチ図柄バッファに格納されている図柄の組合わせを停止図柄として決定する。
さて、図25の説明に戻り、ステップS3907では装飾図柄表示装置42にて各種表示を行うための表示設定処理を行う。当該表示設定処理では、主として装飾図柄表示装置42にて装飾図柄の変動表示を行うための変動表示設定処理や、装飾図柄表示装置42の表示態様を後述する遊技モードの種別に応じた態様で行うためのモード切換設定処理、保留表示を行うための保留表示設定処理などが行われる。ここで、装飾図柄が識別情報を構成し、変動表示設定処理を行う機能が本実施形態における変動表示制御手段を構成する。
まず変動表示設定処理について図29を参照して説明する。図29に示すように、ステップS4301では、上記変動表示中フラグの設定状況を見て、装飾図柄表示装置42にて変動表示中であるか否かを判別する。詳しくは、変動表示中フラグが設定されている場合(オン状態の場合)には変動表示中とみなされ、変動表示中フラグが解除されている場合(オフ状態の場合)には、変動表示が停止した状態にあたる停止表示中であるとみなされる。尚、変動表示中フラグは、上述したとおり装飾図柄表示装置42の変動表示を開始する際(ステップS4112の開始設定処理)にオンにされ、装飾図柄表示装置42の変動表示が停止表示される際(ステップS4305参照)にオフにされる。
ここで肯定判別された場合、すなわち変動開始時又は変動中である場合には、ステップS4302に進み、否定判別された場合には、そのまま本処理を終了する。
ステップS4302では、変動表示タイマ減算処理を行う。この処理が1回行われる毎に表示タイマの値が4msecずつ減算されていく。例えば変動時間が10秒(10000msec)の場合には、変動表示タイマに対して「2500」が設定され、4msec毎に1減算される。
続いてステップS4303に進み、上記減算後の変動表示タイマの値を参酌して所定の変動時間が経過したか否かを判別する。このとき、所定の変動時間が経過した時すなわち変動表示タイマの値が「0」となった時にステップS4303が肯定判別される。
ステップS4303で否定判別された場合には、ステップS4304において、装飾図柄表示装置42の変動表示を実行するための変動実行処理を行い、本処理を終了する。
この変動実行処理では、例えばRAM553のサブ保留バッファBfの実行エリアに格納された各種情報に基づき、表示制御装置45へ出力する表示コマンドを生成する等の各種の演算処理及びコマンドの出力設定を行う。
これによって、表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指令に応じて描画処理を行い、装飾図柄表示装置42での図柄の変動表示を開始する。そして、主制御装置261から開始コマンドが一旦受信されると、当該開始コマンドに対応する変動表示の変動時間が経過するまで(ステップS4112の開始設定処理で設定された変動表示タイマの値が「0」になるまで)の間、サブ制御装置262と表示制御装置45との協働のもとに図柄の変動表示が継続される。
尚、上述した表示コマンドは、例えば変動表示の開始から終了までの一連の表示演出を指定するためのコマンドであり、サブ保留バッファBfに格納された情報に基づいてその都度必要な表示コマンドが生成される。通常、サブ制御装置262にて生成される変動表示に関わる表示コマンドは大別して通常変動データ群やリーチ演出データ群などからなり、基本的にはこれらデータ群を構成する各データが上記変動時間タイマを基に予め決められた時間順序に則して順次出力されることで、各種変動パターンに応じた表示演出が行われる。例えば、通常変動データ群が通常変動データ1,通常変動データ2,・・・,通常変動データmからなり、リーチ演出データ群がリーチ演出データ1,リーチ演出データ2,・・・,リーチ演出データnからなる場合には、通常変動の開始に伴い通常変動データ1→2→・・・→mの順でデータ出力が順次行われ、それに引き続きリーチ演出の開始に伴いリーチ演出データ1→2→・・・→nの順でデータ出力が順次行われる。
一方、ステップS4303で肯定判別された場合、すなわち変動表示タイマの値が「0」であると判別された場合には、ステップS4305において装飾図柄表示装置42にて停止表示を行うための停止表示設定を行い、本処理を終了する。当該停止表示設定では、変動表示中フラグを解除(オフ)すると共に、表示制御装置45に対し装飾図柄表示装置42における変動表示の停止を指示する停止コマンドの設定等が行われる。
ここで装飾図柄表示装置42の表示部における表示態様について説明する。装飾図柄表示装置42には、図33(a)に示すように、上、中及び下の3つの図柄表示領域が設けられており、各図柄表示領域毎に複数種類の装飾図柄が変動表示される。本実施形態では、「0」〜「9」の数字の付された装飾図柄として各種図柄Zが表示される。各種図柄Zは、数字の昇順又は降順に周期性をもって右から左へとスクロール変動表示され、これにより一連の図柄列が構成されている。勿論、図柄の変動態様はスクロール変動に限らず、切換え変動等でもよい。
かかる場合、上図柄列においては、各種図柄Zが降順(付された数字が減る順)に表示され、中図柄列及び下図柄列においては、同じく各種図柄Zが昇順(付された数字が増える順)に表示される。そして、所定時間経過後、上図柄表示領域→下図柄表示領域→中図柄表示領域の順に変動表示が停止し、その停止時に図柄Zが、例えば所定の大当たりライン上に大当たり図柄の組合わせ(本実施形態では、同一種類の図柄の組合わせ)で揃えば大当たり状態が開始される。なお、上述した大当たり図柄の組合わせが表示される直前においては、いわゆるリーチ状態(リーチ態様の成立状態)となる。但し、リーチ状態となった場合でも大当たり状態に至らない場合もある。
本実施形態では、上記大当たりラインは、左・中・右の縦ライン及び斜めの2本のラインによって構成されている(5ラインと称される)。従って、上・中・下図柄表示領域において、各種図柄Zのうち同一種類のものが前記5つのラインのいずれかのライン上に3つ並んで確定停止表示されると、大当たり状態が発生する。
次に、モード切換設定処理について詳しく説明する。モード切換設定処理は、装飾図柄表示装置42における表示態様を遊技モードの種別に応じた態様で行うための処理である。モード切換設定処理を行う機能が本実施形態におけるモード切換手段を構成する。
本実施形態では、遊技モードが、第2の特定モードとしての「報知モード」、第1の特定モードとしての「示唆モード」、「通常モード(非報知モード)」の間で切替設定される。
「報知モード」とは、現在の遊技状態(「高確率状態」又は「低確率状態」)を遊技者に対し明示的に報知するモードである。
「示唆モード」とは、現在の遊技状態を遊技者に対し示唆するモードである。
「通常モード」とは、特定モードとしての上記「報知モード」及び「示唆モード」ではない通常の状態をいう。「通常モード」では、現在の遊技状態が遊技者に把握困難な状態となっている。従って、通常モード時において遊技状態が「高確率状態」となっていれば、これを遊技者が把握できない、いわゆる「潜伏状態」となる。
本実施形態では、遊技モードに関するモード情報が、RAM553のモード情報格納エリアに記憶される構成となっている。そして、サブ制御装置262は、モード情報格納エリアにモード情報として記憶されたモードフラグMfの値に基づき、遊技モードを判別可能に構成されている。より詳しくは、遊技モードが「通常モード」である場合には、モードフラグMfの値に「0」が設定され、遊技モードが「示唆モード」である場合には、モードフラグMfの値に「1」が設定され、遊技モードが「報知モード」である場合には、モードフラグMfの値に「2」が設定される。
ここでモード切換設定処理の流れについて図30のフローチャートを参照して詳しく説明する。
まずステップS4401では、主制御装置261からのコマンドの入力等に基づき、大当たり状態の発生時(又は終了時)か否かを判別する。ここで、肯定判別された場合には、ステップS4402へ移行し、否定判別された場合には、そのまま本処理を終了する。
ステップS4402では、モードフラグMfの値が「0」であるか否か、すなわち遊技モードが「通常モード」であるか否かを判別する。
ここで肯定判別された場合には、ステップS4403において、装飾図柄表示装置42における表示態様を通常態様とするための通常モード設定処理を行い、本処理を終了する。通常モード設定処理では、例えば表示制御装置45に実行させるための表示コマンドの設定等が行われる(以下の各種モード設定処理においても同様。)。
一方、ステップS4402において否定判別された場合には、ステップS4404において、モードフラグMfの値が「1」であるか否か、すなわち遊技モードが「示唆モード」であるか否かを判別する。
ここで、肯定判別された場合には、ステップS4405において示唆モード設定処理を行い、本処理を終了する。示唆モード設定処理では、RAM553の遊技状態情報格納エリアに記憶された遊技状態情報に基づき遊技状態の判別を行い、遊技状態が「高確率状態」であれば、上記通常態様の表示に加え、例えば70%の確率で「高確率状態かも?」等の表示設定を行う。つまり、「示唆モード」となると、所定の確率で現在の遊技状態を遊技者に示唆する示唆表示が行われることとなる。
一方、ステップS4404において否定判別された場合には、ステップS4406において、モードフラグMfの値が「2」であるか否か、すなわち遊技モードが「報知モード」であるか否かを判別する。
ここで、肯定判別された場合には、ステップS4407において報知モード設定処理を行い、本処理を終了する。報知モード設定処理では、RAM553の遊技状態情報格納エリアに記憶された遊技状態情報に基づき遊技状態の判別を行い、遊技状態が「高確率状態」であれば、上記通常態様の表示に代えて、例えば背景画像BGを赤みがかったモノトーン態様とすると共に、「高確率状態中」等の報知表示設定を行う。一方、遊技状態が「低確率状態」であれば、上記通常態様の表示に加え、「低確率状態中」等の報知表示設定を行う。つまり、「報知モード」となると、100%の確率で現在の遊技状態を遊技者に報知する報知表示が行われることとなる。
次に、保留表示設定処理について図31を参照して詳しく説明する。サブ保留バッファBfが本実施形態における保留手段を構成する。
まずステップS4501において、サブ保留バッファBfの保留第1〜第8エリアに格納された演出パターンにリーチパターン(「Aリーチ」、「Bリーチ」、「Cリーチ」又は「Dリーチ」)が含まれているか否かを判別する。
ここで否定判別された場合、すなわち、いずれのリーチパターンも含まれていない場合には、ステップS4505において、通常保留表示更新処理を行う。図33(a)に示すように、通常の保留表示では、円形状の保留ランプを模した「保留ランプ画像」よりなる保留画像T1〜T8により保留数を判別可能となっている。
本実施形態では、最大保留数である8個の保留画像T1〜T8のうち、被覆手段としての被覆画像Wにより覆われずに表示された保留画像T1〜T8の数により、変動表示の保留数を把握可能に構成されている。図33(b)に示す例では、保留画像T1〜T8のうち、第6〜第8保留画像T6〜T8が被覆画像Wにより覆われ、第1〜第5保留画像T1〜T5だけが視認可能に表示されている。これは、現在の変動表示の保留数が「5」であることを示している。
つまり、サブ保留バッファBfにおける保留数が「0」の場合には、第1〜第8保留画像T1〜T8のすべてが被覆画像Wにより覆われ、視認不能となる。
サブ保留バッファBfにおける保留数が「1」の場合には、第2〜第8保留画像T2〜T8が被覆画像Wにより覆われ、第1保留画像T1だけが視認可能となる。
サブ保留バッファBfにおける保留数が「2」の場合には、第3〜第8保留画像T3〜T8が被覆画像Wにより覆われ、第1,第2保留画像T1,T2が視認可能となる。
サブ保留バッファBfにおける保留数が「3」の場合には、第4〜第8保留画像T4〜T8が被覆画像Wにより覆われ、第1〜第3保留画像T1〜T3が視認可能となる。
サブ保留バッファBfにおける保留数が「4」の場合には、第5〜第8保留画像T5〜T8が被覆画像Wにより覆われ、第1〜第4保留画像T1〜T4が視認可能となる。
サブ保留バッファBfにおける保留数が「5」の場合には、第6〜第8保留画像T6〜T8が被覆画像Wにより覆われ、第1〜第5保留画像T1〜T5が視認可能となる。
サブ保留バッファBfにおける保留数が「6」の場合には、第7,第8保留画像T7,T8が被覆画像Wにより覆われ、第1〜第6保留画像T1〜T6が視認可能となる。
サブ保留バッファBfにおける保留数が「7」の場合には、第8保留画像T8だけが被覆画像Wにより覆われ、第1〜第7保留画像T1〜T7が視認可能となる。
サブ保留バッファBfにおける保留数が「8」の場合には、被覆画像Wにより覆われることなく、すべての保留画像T1〜T8が視認可能となる。
そして、ステップS4505の通常保留表示更新処理では、サブ保留バッファBfにおける保留数の増減に応じて、被覆画像Wにより覆われない保留画像T1〜T8の数を増減させる表示更新処理を行うこととなる。
一方、ステップS4501において肯定判別された場合、すなわちサブ保留バッファBfの保留第1〜第8エリアのいずれかにリーチパターンに係る情報が含まれている場合には、ステップS4502において、そのリーチ種別を特定する。ここで、保留第1〜第8エリアに2以上(2種類以上)のリーチパターンが格納されている場合には、所定の優先順位に従って1つのリーチパターンを決定する。本実施形態では、優先順位の高い順に「Dリーチ」、「Cリーチ」、「Bリーチ」、「Aリーチ」となっている。
従って、仮に保留第1エリアに「Dリーチ」が格納され、保留第2エリアに「Aリーチ」が格納されている場合には、保留第1〜第8エリアに格納されているリーチパターンは「Dリーチ」と特定されることとなる。また、例えば当初は保留第3エリアに「Aリーチ」が格納されているだけであったのが、その後、保留第5エリアに「Cリーチ」が格納された場合には、保留第1〜第8エリアに格納されているリーチパターンは当初「Aリーチ」であったものが、「Cリーチ」に切換わることとなる。これにより、後述する変更保留表示の内容(「音符画像」及び「休符画像」の配列)も、当初「Aリーチ」に対応するものから、「Cリーチ」に対応するものに切換わることとなる。
続くステップS4503では、ステップS4502で特定されたリーチパターンに対応するメロディの設定処理を行う。
本実施形態では、「Aリーチ」、「Bリーチ」、「Cリーチ」、「Dリーチ」に対応して、それぞれ固有のメロディが設定されている。詳しくは、「Aリーチ」では、「ドレミファソファミレド」の8音からなるメロディ(以下、「メロディA」という)がスピーカSPから繰り返し流される。「Bリーチ」では、「ドレミ・ド・ド・」からなるメロディ(以下、「メロディB」という)が繰り返し流される。ここで、「・」は「一拍休み」を表してる(以下、同様)。「Cリーチ」では、「ドレミ・ドレミ・」からなるメロディ(以下、「メロディC」という)が繰り返し流される。「Dリーチ」では、「ドレミ・ドレミレ」からなるメロディ(以下、「メロディC」という)が繰り返し流される。
そして、ステップS4503のメロディ報設定処理では、RAM553の所定エリア(メロディ記憶エリア)に、各種リーチパターンに対応するメロディ情報を記憶する。前記メロディ記憶エリアは、上記各メロディの8音をそれぞれ記憶する8つの記憶エリアからなる。
続くステップS4504では、上記ステップS4503のメロディ設定処理にて特定したメロディ情報に則して保留表示変更処理を行い、その後、本処理を終了する。
ステップS4504の保留表示変更処理により、8つの保留画像T1〜T8が、通常保留表示時の「保留ランプ画像」から、「八分音符」を模した「音符画像」、又は「星印」を模した「休符画像」に差し替えられる。例えば図33(b)に示すように、第1〜第5保留画像T1〜T5が表示された状態において、サブ保留バッファBfの保留第1〜第8エリアのいずれかに「Aリーチ」に係る情報が格納された場合には、図33(c)に示すように、第1〜第5保留画像T1〜T5がそれぞれ「保留ランプ画像」から「音符画像」に差し替えられる。
より詳しくは、図35に示すように、「Aリーチ」であれば、保留画像T1〜T8のすべてが「音符画像」に差し替えられる。
「Bリーチ」であれば、第4,第6,第8保留画像T4,T6,T8の3つが「休符画像」に差し替えられると共に、残りの第1〜第3保留画像T1〜T3及び第5,第7保留画像T5,T7が「音符画像」に差し替えられる。
「Cリーチ」であれば、第4,第8保留画像T4,T8の2つが「休符画像」に差し替えられると共に、残りの第1〜第3保留画像T1〜T3及び第5〜第7保留画像T5〜T7が「音符画像」に差し替えられる。
「Dリーチ」であれば、第4保留画像T4が「休符画像」に差し替えられると共に、残りの第1〜第3保留画像T1〜T3及び第5〜第8保留画像T5〜T8が「音符画像」に差し替えられる。
このように差し替えられた変更保留表示(「音符画像」及び「休符画像」の配列)により、上記各リーチ(「Aリーチ」〜「Dリーチ」)に対応するメロディ(「メロディA」〜「メロディD」)のリズムが表示されることとなる。変更保留表示(「音符画像」及び「休符画像」の配列)により、本実施形態における音楽情報が構成される。
但し、変更保留表示の場合においても、遊技者に視認可能となる保留画像T1〜T8の数は、上記通常保留表示と変わりなく、変動表示の保留数によるため、8音(8つの保留画像T1〜T8)すべてを視認するためには、保留数が「8」となる必要がある。
例えば、図35に示すように、変動表示の保留数が「3」の場合には、第1〜第3保留画像T1〜T3が視認可能となっているだけなので、遊技者は、変更保留表示を見ただけでは、「音符画像」及び「休符画像」の配列が「メロディA」〜「メロディD」のいずれに対応するリズムなのかを判別することができない。ここで、変動表示の保留数が「4」となり、第4保留画像T4が視認可能となった場合に、当該第4保留画像T4が「音符画像」であれば、当該変更保留表示が「メロディA」に対応するものであると判断することができる。
また、変動表示の保留数が「5」の場合には、第1〜第5保留画像T1〜T5が視認可能となっているだけなので、遊技者は、変更保留表示を見ただけでは、「音符画像」及び「休符画像」の配列が「メロディB」〜「メロディD」のいずれに対応するリズムなのかを判別することができない。ここで、変動表示の保留数が「6」となり、第6保留画像T6が視認可能となった場合に、当該第6保留画像T6が「休符画像」であれば、当該変更保留表示が「メロディB」に対応するものであると判断することができる。
また、変動表示の保留数が「7」の場合には、第1〜第7保留画像T1〜T7が視認可能となっているだけなので、遊技者は、変更保留表示を見ただけでは、「音符画像」及び「休符画像」の配列が「メロディC」又は「メロディD」のいずれに対応するリズムなのかを判別することができない。ここで、変動表示の保留数が「8」となり、第8保留画像T8が視認可能となった段階で、当該第8保留画像T8が「休符画像」又は「音符画像」のいずれであるかにより、当該変更保留表示が「メロディC」又は「メロディD」のいずれに対応するものなのかを判断することができる。
さて、図25の説明に戻り、ステップS3908では、演出装置125を用いた遊技演出を実行するための演出処理が行われる。これにより、サブ保留バッファBfに格納されたリーチパターン(後に実行されるリーチパターン)に対応するメロディを遊技者に当てさせる「メロディ当て演出」が行われることとなる。まず演出装置125の構成について詳しく説明する。
図34に示すように、演出装置125は、ピアノ等の鍵盤を模したものであり、複数の鍵部材126a〜126fが横並びに配設されている。
各鍵部材126a〜126fは、遊技者が押圧操作可能に構成されると共に、その背後に図示しないセンサが設けられており、遊技者が操作した場合には、当該操作を検知することができる。
そして、後述するように所定条件成立時に、各鍵部材126a〜126fが操作された場合には、鍵部材(センサ)126a〜126fからの検知信号を受信したサブ制御装置262がスピーカSPを駆動制御し、操作された鍵部材126a〜126fに対応する音が発せられる。
本実施形態では、第1鍵部材126aは所謂「ド」の音に対応し、第2鍵部材126bは所謂「レ」の音に対応し、第3鍵部材126cは所謂「ミ」の音に対応し、第4鍵部材126dは所謂「ファ」の音に対応し、第5鍵部材126eは所謂「ソ」の音に対応する。尚、第6鍵部材126fは、押しても音が発せられない「一拍休み」に対応している。
次にステップS3908の演出処理の流れについて図32のフローチャートを参照して説明する。
まずステップS4601において現在が操作許可期間か否かを判定する。本実施形態では、上記変更保留表示中(ステップS4504)であってかつ変動表示の高速変動期間中が操作許可期間として設定される。高速変動期間とは、変動表示開始から1つ目の図柄列(上図柄列)が停止するまでの期間、すなわち全図柄列が停止せずに変動表示されている期間をいう。本実施形態における高速変動期間は、変動パターンによらず、共通して「8秒」に設定されている。そして、ステップS4601の判定は、上記変動表示タイマを基に行われる。
尚、上記変更保留表示は、サブ保留バッファBfの保留第1〜第8エリアのいずれかにリーチパターンに係る情報が含まれている限り、継続して行われるため、操作許可期間も、サブ保留バッファBfにリーチパターンに係る情報が含まれている限り、何度でも設定されることとなる。例えば、それまで通常保留表示(「保留ランプ画像」)だったのが、変動表示の保留数が「5」となった段階で変更保留表示(「音符画像」等)に切換わった場合には、当該5番目の保留に対応する変動表示が実行されるまでの間に、操作許可期間が5回設定されることとなる。
ステップS4601にて否定判別された場合、すなわち操作許可期間でない場合には、ステップS4602へ移行し、後述する操作履歴バッファの内容をクリアした後、本処理を終了する。
ステップS4601にて肯定判別された場合には、ステップS4603へ移行し、装飾図柄表示装置42にて、遊技者に対し演出装置125の操作を促す旨のメッセージ表示を行うための設定を行う。これにより、装飾図柄表示装置42には、例えば「何のメロディか当ててみて!」等、遊技者が演出装置125を操作して「メロディ当て演出」に積極的に参加するようなメッセージが、上記操作許可期間の間、継続して表示される。
続くステップS4604では、各鍵部材(センサ)126a〜126fからの検知信号を基に、上記操作許可期間内に1度でも遊技者により鍵部材126a〜126fが操作されたか否かを判別する。
ここで、否定判別された場合には、遊技者が「メロディ当て演出」に参加していないことを意味するため、ステップS4605にて上記モードフラグMfの値に「0」に設定し、本処理を終了する。
一方、肯定判別された場合には、ステップS4606において、操作された鍵部材126a〜126fに対応する音(「ド」、「レ」、「ミ」、「ファ」、「ソ」又は「一拍休み」)を操作履歴バッファに記憶する。
操作履歴バッファには、上記メロディ記憶エリアの8つの記憶エリアと所定の対応関係をもって設定された8つの記憶エリアが設けられており、鍵部材126a〜126fに対応する音が、操作された順番に各記憶エリアに対し記憶されていく。
続いて、ステップS4607では、操作履歴バッファに記憶した音、すなわち操作された鍵部材126a〜126fに対応する音をスピーカSPから出力するための音声出力設定を行う。勿論、「一拍休み」の場合には、音声出力されない。
続くステップS4608では、操作履歴バッファの各記憶エリアに記憶された8音と、上記ステップS4503のメロディ設定処理でメロディ記憶エリアの各記憶エリアに記憶された8音(所定のメロディ情報の8音)とが一致するか否かを判定する。かかる処理を行う機能が本実施形態における判定手段を構成する。ここで、操作履歴バッファの8つの記憶エリアがすべて埋まっていない場合には、常に否定判別されることとなる。
ステップS4608にて肯定判別された場合、すなわち操作履歴バッファに記憶された8音とも全てが所定のメロディ情報と一致していた場合には、ステップS4609へ移行し、上記モードフラグMfの値に「2」に設定し、本処理を終了する。かかる処理を行う機能が主として本実施形態における付与手段を構成する。
一方、ステップS4608にて否定判別された場合には、ステップS4610へ移行し、操作履歴バッファに記憶されたリズムと、メロディ記憶エリアに記憶された所定のメロディ情報のリズムとが一致するか否かを判定する。ここで、「リズム」とは、「ド」、「レ」、「ミ」・・・等の音程は関係なく、「音(音符)」と「一拍休み(休符)」の配列を意味する。従って、例えばメロディ記憶エリアに記憶されたメロディ情報が「メロディA」に対応するものである場合に、操作履歴バッファの8つの各記憶エリアに記憶された音が8音とも全て「ド」であった場合には、メロディは異なるがリズムが一致したこととなり、ステップS4610が肯定判別されることとなる。
ステップS4610にて肯定判別された場合には、ステップS4611にて上記モードフラグMfの値に「1」に設定し、本処理を終了する。一方、ステップS4610にて否定判別された場合には、不正解を意味するため、ステップS4605へ移行し、上記モードフラグMfの値に「0」に設定し、本処理を終了する。
上記構成により、「メロディ当て演出」において、メロディ正解を得た場合には、次回の大当たり終了後に特典として「報知モード」が付与され、遊技者は、遊技状態(「高確率状態」又は「低確率状態」)を把握することができる。これにより、遊技者は、例えば「高確率状態」であれば遊技を継続し、「低確率状態」であれば遊技を終了するなどの判断を行うことができる。
また、リズム正解を得た場合には、次回の大当たり終了後に「示唆モード」が付与され、不正解の場合又は「メロディ当て演出」に参加しなかった場合には、「通常モード」が付与される。
さて、図25の説明に戻り、ステップS3909のランプ設定処理では、装飾図柄表示装置42で行われる表示演出に同期させるべく、ランプ・電飾類の点灯パターンを設定する。
ステップS3910の音声設定処理では、装飾図柄表示装置42で行われる表示演出に同期させるべく、スピーカSPの出力パターンを設定する。また、エラー発生の報知等、音声に関するコマンドが主制御装置261から送信されてきた場合には、これらの制御を行うための設定もステップS3910で行われる。
ステップ3911では、上記ステップS3905〜3910の設定内容に基づいた制御信号を各装置に送信する外部出力処理を実行する。例えば、装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動表示に際して表示コマンドを表示制御装置45に送信する。
1msec毎に行われるステップS3905〜S3911の処理が実行された後、又は、上記ステップS3904で否定判別された場合には、ステップS3912に移行し、RAM553に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する。尚、電源断の発生情報は、主制御装置261から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。
電源断の発生情報が記憶されていない場合には、ステップS3913に進み、RAM553が破壊されているか否かが判別される。ここでRAM553が破壊されていなければ、ステップS3901の処理へ戻り、繰り返し通常処理が実行される。一方、RAM553が破壊されていれば、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。
一方、ステップS3912で電源断の発生情報が記憶されると判別された場合、ステップS3914において電源断処理を実行する。電源断処理では、割り込み処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。電源断処理の実行後は、処理を無限ループする。
以上詳述したように、本実施形態によれば、サブ保留バッファBfにリーチパターンに係る情報が含まれている場合には、保留画像T1〜T8を通常保留表示時の「保留ランプ画像」から「音符画像」又は「休符画像」に差し替える変更保留表示を行うと共に、遊技者に演出装置125を演奏させ、「メロディ当て演出」を行わせる。
そして、「メロディ当て演出」において、メロディ正解を得た場合には、次回の大当たり終了後に特典として「報知モード」が付与され、遊技者は、遊技状態(「高確率状態」又は「低確率状態」)を把握することができる。これにより、遊技者は、例えば「高確率状態」であれば遊技を継続し、「低確率状態」であれば遊技を終了するなどの判断を行うことができる。
一方、リズム正解を得た場合には、次回の大当たり終了後に「示唆モード」が付与され、不正解の場合又は「メロディ当て演出」に参加しなかった場合には、「通常モード」が付与される。
また、保留表示において視認可能な保留画像T1〜T8の数は、変動表示の保留数に応じて変化するため、「メロディ当て演出」が行われる際には、保留数が多ければ多いほど、メロディの全体像を認識しやすくなる。つまり、メロディ正解を得やすくなる。このため、遊技者は、保留数を多くしょうと、遊技を熱心に行うようになる。例えば、それまで通常保留表示(「保留ランプ画像」)だったのが、変動表示の保留数が「5」となった段階で変更保留表示(「音符画像」等)に切換わった場合には、当該5番目の保留に対応する変動表示の演出パターンがリーチパターンであると判断できるため、遊技者は、残り5回の変動表示が行われる間(5回の操作許可期間)に何度か挑戦し、メロディ正解を得ればよい。
結果として、遊技者が積極的に遊技に参加することとなると共に、視覚、聴覚、触覚等を利用した総合的な演出により、遊技の単調化を抑制し、興趣の飛躍的な向上を図ることができる。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施形態では、大当たり種別として「確変大当たり」及び「通常大当たり」があると共に、大当たり状態においては、可変入賞装置32が30秒間開放状態とされる、又は可変入賞装置32に8個の遊技球が入賞することを1ラウンドとして、これが16回(16ラウンド)繰り返される構成となっているが、大当たりの種別や内容等は上記実施形態に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
(b)上記実施形態では、2つの始動口(中央始動口33及び右始動口34)が左右に離間して設けられた構成となっているが、始動口の構成はこれに限定されるものではない。例えば始動口は1つでもよいし、3つ以上設けてもよい。また、2つの始動口を上下に並設した構成としてもよいし、始動口を開閉可能とする開閉部材を備えた構成としてもよい。
(c)上記実施形態では、中央始動口33への入賞を契機とする変動表示、及び、右始動口34への入球を契機とする変動表示の両方が保留されている場合には、中央始動口33又は右始動口34への遊技球の入球順序に従って変動表示が消化される構成となっている。これに限らず、中央始動口33又は右始動口34のいずれか一方への入球を契機とする変動表示が優先して行われ、保留が消化される構成としてもよい。かかる構成の下、当該一方の始動口に係る保留表示のみに上記変更保留表示を適用する構成としてもよい。
(d)上記実施形態では、遊技状態として「高確率状態」及び「低確率状態」が設定可能な構成となっている。これに限らず、他の遊技状態が設定される構成としてもよい。例えば「高確率状態」若しくは「低確率状態」に代えて又は加えて、少なくとも特別表示装置43L、43Rにおける変動表示時間が短くなる「時間短縮状態」が設定される構成としてもよい。勿論、「時間短縮状態」が設定される場合において、併せて始動口33,34(開閉部材)の開放時間を長くする、開放回数を多くする等の従来の構成を組合せてもよい。また、「高確率状態」や「時間短縮状態」が、特別表示装置43L、43Rにて合計100回の変動表示が行われた後、「低確率状態」に移行する構成としてもよい。
(e)上記実施形態では、前面枠セット14を閉鎖した際、当該前面枠セット14によって特別表示装置43L,43R及び保留ランプ46L,46Rが覆われた状態となり、遊技者によって視認不能な状態となる。これに限らず、特別表示装置43L,43R等が視認可能な構成となっていてもよい。但し、特別表示装置43L、43Rは、上記のように遊技領域の下隅といった遊技者の目につきにくい目立たない場所に設けられるとともに、その表示部の大きさも小さく、判別用の文字が停止表示される時間も比較的短い。従って、特別表示装置43L、43Rから目を離さず、注意深く観察していなければ、付与さえる遊技状態を把握することは実質的に不可能である。
(f)操作手段の構成は、上記実施形態における演出装置125に限定されるものではない。例えば音程に無関係にリズムを当てる演出だけであれば、ボタンを1つ備えただけの構成としてもよい。また、右手で操作可能なように演出装置となる操作手段をハンドル18に備えた構成としてもよし、装飾図柄表示装置42に対応して設けられたタッチパネル等を操作手段として用いてもよい。
(g)上記実施形態では、サブ保留バッファBfにリーチパターンに係る情報が含まれている場合に上記変更保留表示を行う構成となっている。これに限らず、サブ保留バッファBfに例えば大当たりに係る情報が含まれている場合など、他の演出条件が成立した場合に変更保留表示を行う構成としてもよい。
また、大当たり抽選等とは無関係に別途、演出抽選を行い、当該抽選結果に基づいて変更保留表示を行う構成としてもよい。かかる構成と上記構成とを組み合わせることにより、リーチ示唆や大当たり示唆等を偽装する演出を行うことができ、さらなる興趣の向上を図ることができる。逆に、大当たり確定演出等として、サブ保留バッファBfにリーチパターンや大当たりに係る情報が含まれている場合であっても、変更保留表示を行わないような構成としてもよい。このようにすれば、所定の規則性がくずれることとなる。その結果、特定の表示態様又は特定の遊技状態が導出されることが決定された場合に、前記規則性がくずれることを認知している遊技者にとっては、前記規則性がくずれた態様等を視認することで、特定の表示態様又は特定の遊技状態が導出されるかもしれないといった期待感を抱くこととなり、興趣が向上する。
(h)上記実施形態では、各リーチに対応するメロディのリズムを示す変更保留表示(「音符画像」及び「休符画像」の配列)が、音楽情報として表示される構成となっているが、音楽情報は、これに限定されるものではなく、例えば曲名等であってもよい。
(i)上記実施形態では、保留表示を変更することにより、すなわち保留画像T1〜T8を通常保留表示時の「保留ランプ画像」から「音符画像」又は「休符画像」に差し替えることにより、音楽情報を表示する構成となっているが、これに限らず、例えば保留画像T1〜T8とは別に、音楽情報として「音符画像」等を表示する構成としてもよい。
(j)上記実施形態では、変動表示の高速変動期間が、演出装置125の操作許可期間として設定されている。これに限らず、例えばリーチ中や大当たり中など、他の期間が操作許可期間として設定される構成としてもよい。但し、リーチ中や大当たり中などに比べ、図柄Zの変動開始直後である上記高速変動期間においては、特段の演出が行われない場合が多いため、遊技者が積極的に遊技に参加しやすくなる。
また、例えば「報知モード」中や「高確率状態」中は、演出装置125を使用させる演出を行わないなど、遊技状態や遊技モード等に応じて、当該演出を行うか否かが決定される構成としてもよい。
(k)演出装置125等の操作手段や、音楽情報を用いて行う演出は、上記実施形態の「メロディ当て演出」に限定されるものではない。例えばリーチ中のBGMを、複数の音楽の中から選択する演出等を行う構成としてもよい。
(l)「メロディ当て演出」等に正解した場合の特典は、特定モードの付与に限定されるものではない。例えば賞球の払出し等であってもよい。
(m)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、スロットマシン、アレンジボール機、雀球等の各種遊技機として実施することも可能である。
(n)「メロディ当て演出」に係る「メロディ正解」又は「リズム正解」の判定方法は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態の操作履歴バッファには、メロディ記憶エリアの8つの記憶エリアと対応関係をもって設定された8つの記憶エリアが設けられると共に、鍵部材126a〜126fに対応する音が、操作された順番に各記憶エリアに対し記憶されていき、操作履歴バッファの各記憶エリアに記憶された8音と、メロディ記憶エリアの各記憶エリアに記憶された8音(所定のメロディ情報の8音)とが一致するか否かを判定する構成となっている。これに代えて、例えば20個の記憶エリアを有する操作履歴バッファを備え、そのうち連続する8つの記憶エリアに記憶された8音と、メロディ記憶エリアの各記憶エリアに記憶された8音とが一致すれば、「メロディ正解」となるような構成としてもよい。
(o)上記実施形態では、大当たり時(発生時又は終了時)に「報知モード」等の遊技モードの切換えを行う構成となっているが、これに限らず、例えば「メロディ当て演出」において、メロディ正解を得た時点で、次回の大当たり終了を待つことなく、遊技モードを切換える構成としてもよい。
(p)上記実施形態では、サブ保留バッファBfにリーチパターンに係る情報が含まれている場合に、保留画像T1〜T8を通常保留表示時の「保留ランプ画像」から「音符画像」又は「休符画像」に差し替える変更保留表示を行う構成となっているが、これに限らず、サブ保留バッファBfにリーチパターンに係る情報が含まれている場合に、例えば「保留ランプ画像」の上方位置など、「保留ランプ画像」に加えて、「音符画像」又は「休符画像」が表示される構成としてもよい。
(r)上記実施形態では、「メロディ当て演出(ステップS3908)」において、複数回の操作許可期間が設定された場合(例えば、それまで通常保留表示だったのが、変動表示の保留数が「5」となった段階で変更保留表示に切換わった場合には、当該5番目の保留に対応する変動表示が実行されるまでの間に、操作許可期間が5回設定されることとなる。)には、遊技者は、「メロディ正解」を得るために、何度か「メロディ当て演出」に挑戦することができるが、一旦、「メロディ正解」や「リズム正解」を得た後に、再度、「メロディ当て演出」に挑戦し、それよりも格下の解答(例えば「メロディ正解」後に「リズム正解」や「不正解」の解答)をしてしまった場合には、大当たり終了後に付与される遊技モードが遊技者に不利なモードに格下げされてしまうおそれがある。このため、上記実施形態に代えて、複数回の操作許可期間が設定された場合において、一旦、「メロディ正解」や「リズム正解」を得た場合には、それよりも格下の解答をしてしまった場合でも、大当たり終了後に付与される遊技モードが不利なモードに格下げされない構成としてもよい。また、解答入力ミス(鍵部材126a〜126fの操作ミス)等を訂正可能なように、操作履歴バッファの内容を消去するためのクリアボタン等を備えた構成としてもよい。
以下、特許請求の範囲の請求項に記載されないものであって、上記実施形態から把握できる技術的思想について、その効果とともに記載する。
手段1.所定の契機に基づき抽選を行い、当該抽選により当選結果が得られた場合に遊技者にとって有利な特別遊技状態を付与する遊技機であって、
所定演出条件の成立に基づき、所定の音楽(メロディ等)に関連する音楽情報を表示可能な表示手段と、
遊技者が操作可能な操作手段と、
前記操作手段の操作に基づき、少なくとも前記音楽に関連する音を出力可能な音出力手段とを備えたことを特徴とする遊技機。
上記手段1によれば、遊技者自身が操作手段を操作することに基づき、所定の音楽に関連する音が出力される。
従来、音出力手段から出力される音(音楽)は、遊技者の意思とは無関係に遊技機側において抽選される等して決定されていた。これに対し、本手段では、遊技者による操作手段の操作により決定されるため、遊技者は自身が遊技に能動的に参加しているという意識を強める。
結果として、遊技者が積極的に遊技に参加することとなると共に、視覚、聴覚、触覚等を利用した総合的な演出により、遊技の単調化を抑制し、興趣の飛躍的な向上を図ることができる。
なお、以下の手段でも同様であるが、上記「所定の契機」としては、例えば「遊技領域内に設けられた所定の入球手段への遊技球の入球を所定の検知手段により検知した契機」や、「所定の表示手段において変動表示を開始させるための始動用操作手段が操作されたことを所定の検知手段により検知した契機」等が態様例として挙げられる。
また、「音楽情報」には、例えば所定の楽曲(又はその一部)の歌詞や楽譜、リズム譜、曲名などが含まれる。
「所定演出条件」には、例えば特別遊技状態やリーチ状態が発生する旨の抽選結果が得られた場合などが挙げられる。
手段2.前記表示手段に表示される前記音楽情報に対応する音楽を、前記操作手段を使用して遊技者に演奏させる演出を行うことを特徴とする手段1に記載の遊技機。
上記手段2によれば、遊技者に演奏を行わせることにより、上記手段1の作用効果を高め、さらなる興趣の向上を図ることができる。
手段3.前記表示手段に表示される前記音楽情報に対応する音楽を、前記操作手段を使用して遊技者に当てさせる演出を行うことを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
上記手段3によれば、遊技者に音楽を当てさせるクイズ形式の演出を行うことにより、上記手段1等の作用効果を高め、さらなる興趣の向上を図ることができる。
手段4.前記音楽情報に対応する音楽を遊技者が当てた場合に、所定の特典を付与することを特徴とする手段3に記載の遊技機。
上記手段4によれば、特典が付与されることで、遊技者がより積極的に操作手段を使った演出に参加するため、さらなる興趣の向上を図ることができる。
従来、特典(所定の遊技モード等)が付与されるか否かは、遊技者の意思とは無関係に遊技機側において抽選される等して決定されていた。これに対し、本手段では、遊技者による操作手段の操作により決定されることとなる。結果として、遊技者が積極的に遊技に参加することとなり、さらなる興趣の向上を図ることができる。より具体的な構成としては、以下の手段5,6に示す構成等が挙げられる。
手段5.遊技モードを、少なくとも通常モードと、当該通常モードよりも遊技者に有利な特定モードとに切換設定可能なモード切換手段を備え、
前記特典として、前記特定モードを付与することを特徴とする手段4に記載の遊技機。
「通常モード」及び「特定モード」としては、例えば「遊技者に対して遊技状態を報知不能な非報知モード」及び「遊技者に対して遊技状態を報知可能な報知モード」などが考えられる。報知モードが設定された場合には、遊技者は、その時点の遊技状態を把握することができる。結果として、遊技を継続すべきかどうかといった判断を行う際の判断材料ともなり、利便性が向上する。さらに、特定モードとして、第1の特定モードと、それよりも遊技者に有利な第2の特定モードが設定される構成としてもよい。
手段6.前記表示手段に表示される音楽情報に対応する音楽と、前記操作手段を操作して演奏された音楽とが一致するか否かを判定する判定手段とを備え、
前記判定手段により両者が一致する旨の判定結果が得られた場合に、所定の特典を付与する付与手段とを備えたことを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の遊技機。
手段7.前記表示手段にて識別情報を変動表示させる変動表示制御手段と、
前記変動表示を所定回数、保留可能な保留手段とを備え、
前記変動表示の保留数に応じて、前記表示手段に表示される前記音楽情報の視認可能な範囲が変化するようにしたことを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の遊技機。
上記手段7によれば、表示手段に表示される音楽情報の視認可能な範囲が、変動表示の保留数に応じて変化する。これにより、例えば上記手段3のような演出を行った場合には、保留数が多ければ多いほど、音楽情報の全体像を認識しやすくなるため、正解(特典)を得やすくなる。つまり、保留数を多くしょうと、遊技者が遊技を熱心に行うようになり、さらなる興趣の向上を図ることができる。
手段8.前記音楽情報を複数の音情報により構成すると共に、
前記音楽情報のうち表示される音情報の数を、前記変動表示の保留数に応じて変化させることを特徴とする手段7に記載の遊技機。
上記手段8によれば、音楽情報のうち表示される音情報の数が、変動表示の保留数に応じて変化する。これにより、音情報の数によって変動表示の保留数を明確に遊技者に示すことができる。
ここで、「音情報」とは、音符や休符等を模した画像、「ド」「レ」「ミ」…等の文字などが含まれる。
パチンコ機を例にした保留手段のより具体的な構成としては、例えば、「少なくとも第1の変動表示中において、遊技球が入球手段へ入球した場合に、当該入球に起因した第2の変動表示をひかえて、前記第1の変動表示の終了後に、前記第2の変動表示が行えるよう複数の記憶領域を有し、前記抽選が行われる毎に、少なくとも前記抽選の結果情報及び前記変動態様(変動時間)に関する情報を含む情報群を前記各記憶領域に記憶していき、複数回数分の前記情報群を時系列に記憶可能な保留手段」等が挙げられる。
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
B.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。
C.上記各手段における遊技機は、スロットマシン等の回胴式遊技機であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成した回胴式遊技機」が挙げられる。