本発明は、被処理水を生物学的または化学的に処理するための水処理装置と、当該装置を用いた水処理方法に関する。本発明の水処理装置は、被処理水を処理する反応槽を備え、被処理水が反応槽の下部に導入され上部から処理水が流出する上向流式で処理が行われる。本発明の水処理装置は、反応槽中で固形分が浮遊状態で存在している被処理水を処理する流動床式の反応槽を備え、特に反応槽中で沈降しやすい、あるいは沈降後に圧密状態で堆積しやすい固形分を含む被処理水を処理するのに好適に用いられる。
本発明の水処理装置は、反応槽に、被処理水を反応槽内に導入する供給管が複数設けられている。そして、被処理水が反応槽内で互いに異なる方向の流れを形成するように供給管が設けられ、さらに、被処理水を反応槽に導入する供給管を選択する切替手段が設けられている。そのため、被処理水を反応槽に導入する際、経時的に複数の異なる被処理水の流れを反応槽内に形成することができ、その結果、反応槽内での固形分の偏在を防止しやすくなり、被処理水の処理を効率的に行いやすくなる。
本発明において、被処理水とは、反応槽に導入されて処理される水を意味し、例えば、原水や、後述するように循環流路を介して反応槽に返送される処理水、返送汚泥、希釈水等が含まれる。処理対象となる原水は特に限定されず、有機物または無機物を含むものであればよい。原水としては、例えば、下水、し尿、下水処理やし尿処理に伴い発生するプロセス排水、食品工場、紙パルプ工場、化学工場等から発生する工場排水、家畜糞尿、家畜糞尿等の畜産廃棄物の処理により発生する排水等が挙げられる。
水処理装置は、被処理水を処理する反応槽と、反応槽の下部に被処理水が移送される被処理水流路と、反応槽の上部に、処理水が流出する流出部とを有する。反応槽の形状は特に限定されず、代表的には、円筒形や直方体が挙げられる。
反応槽には、被処理水とともに、被処理水に含まれる有機物や無機物を生物学的または化学的に変換するための反応場が固形分として保持される。反応場を提供する媒体は、流動状態で反応槽に保持される。すなわち、反応槽は流動床式となる。例えば被処理水を生物学的に処理する場合は、汚泥すなわち微生物が反応場として反応槽に保持され、汚泥(微生物)により被処理水が好気的または嫌気的に処理される。汚泥は浮遊状態で反応槽に存在していてもよく、粒状に形成されたグラニュール汚泥として存在していてもよい。また、微生物が担体に保持された微生物保持担体が反応槽に保持されていてもよい。被処理水を化学的に処理する場合は、触媒や吸着材が反応場として保持されうる。この場合、触媒や吸着材は流動状態で反応槽内に保持される。
被処理水流路は、反応槽の下部に被処理水を移送できるものであれば、反応槽にどのような形態で設けられてもよく、例えば、反応槽の外部から反応槽の下部に接続されるものであってもよく、反応槽の外部から反応槽内に導入され、反応槽内を反応槽の下部まで配設されるものであってもよい。被処理水流路は、反応槽に連通して設けられるとともに、原水が供給される原水流路に連通したり、また後述する循環流路に連通していてもよい。
被処理水流路には、被処理水が反応槽内に導入される供給管が備えられており、反応槽の下部に供給管が複数設けられている。なお、反応槽の下部とは、反応槽の底部から流出部に至る高さ方向の下方1/3の領域を意味する。従って、供給管(詳細には供給管の先端)は、反応槽の底部から流出部に至る高さ方向の下方1/3の領域(好ましくは下方1/4の領域)に複数設けられている。流出部に至る高さとは、流出部のうち最も低い位置に至る高さを意味する。
被処理水流路は、単一の流路であってもよく、複数の流路であってもよく、また途中で分岐していてもよい。つまり、被処理水流路や配設形態に関わらず、供給管が反応槽の下部に複数設けられていればよい。被処理水流路は管路として設けられればよい。
被処理水を反応槽に導入する供給管は、反応槽内に水流を形成できるものであればよく、その形態は限定されない。供給管は被処理水流路の先端に設けられてもよく、途中で分岐して設けられてもよい。供給管の内径は、被処理水流路の内径と同じかそれ以下で形成されることが好ましく、このように供給管が形成されることにより、被処理水を勢いよく反応槽に導入することができる。なお、供給管の内径と被処理水流路の内径が同じで、見かけ上両者の区別がつかない場合は、先端から5cmの部分を供給管と見なす。
被処理水の供給管は、例えば、ノズルであってもよい。被処理水の供給管としてノズルが設けられれば、被処理水流路よりも内径が狭くなるように形成され、被処理水を勢いよく反応槽に導入することができる。
反応槽の下部に設けられる複数の供給管は、少なくとも一部が、供給管から噴出した被処理水が反応槽内で互いに異なる流れを形成するように設けられる。反応槽内に導入された被処理水は、大きく分けて、(1)反応槽の鉛直方向に向かう流れ、(2)反応槽の水平面中心方向に向かう流れ、(3)反応槽の水平面中心に対して放射方向に向かう流れ、(4)反応槽の水平面中心に対して旋回方向に向かう流れに分けられる。なお(2)〜(4)の流れは、鉛直方向に向かう流れを含むもの、すなわち鉛直方向ベクトルと水平方向ベクトルが合成されたものであってもよい。さらに、(4)の旋回方向に向かう流れは、水平面中心から見て様々な角度を取り得るため、(4)の流れには複数の流れが含まれる。しかし、これらの流れのうちいずれか1つの流れしか反応槽内に形成されない場合、反応槽内で被処理水の流れに偏りが生じ、反応槽内で固形分が偏在しやすくなる。その結果、反応槽内での被処理水の処理が不十分となるおそれがある。
そこで、本発明の水処理装置では、複数の供給管を次のように設けている。すなわち、供給管を反応槽の水平面重心を通る鉛直線を軸とする回転移動および/または当該軸からの放射方向への平行移動によって各供給管の先端を重ねたときに、被処理水を噴出させる方向が互いに異なるように、複数の供給管を設けている。これについて以下に詳しく説明する。
反応槽の水平面重心とは、対象となる供給管の先端を含む水平面における反応槽断面の重心を意味する。反応槽の水平面重心は、例えば、反応槽の水平面断面が円形である場合は、円の中心に相当し、反応槽の水平面断面が長方形である場合は、2つの対角線の交点に相当する。複数の供給管が異なる高さに位置する場合は、供給管ごとに水平面を規定する。
水平面重心を通る鉛直線を軸とする回転移動とは、対象となる供給管を、当該水平面上で、水平面重心を中心として回転移動させることを意味する。この際、複数の供給管を、軸から放射方向へ一直線上に並ぶように回転移動させる。各供給管の軸が一致しない場合は、軸が一致するように供給管と水平面を水平方向に移動してから回転移動させるものとする。複数の供給管が異なる高さに位置する場合は、各供給管を鉛直方向に平行移動させることにより、各供給管の先端の高さを揃えるものとする。例えば、反応槽の手前から見て複数の供給管を向こう側(0時の方向)に一直線上に並ぶように回転移動させる。複数の供給管が既に軸から放射方向へ一直線上に並んで配置されている場合は、回転移動をさせなくてもよい。
水平面重心を通る鉛直線を軸とし当該軸からの放射方向への平行移動とは、対象となる供給管を、当該水平面上で水平面重心から離れるように放射方向に平行移動させることを意味する。この際、複数の供給管の先端の水平面重心からの距離が等しくなるように、供給管を放射方向に平行移動させる。複数の供給管が既に水平面重心から等距離に配置されている場合は、放射方向へ水平移動させなくてもよい。
上記のように、各供給管を仮想的に、各供給管(詳細には供給管の先端)を含む水平面上で、回転移動および/または放射方向に平行移動することで、各供給管の先端を重ねる。なお、複数の供給管は初めから重なっていてもよく、この場合も、上記のように各供給管を回転移動および/または放射方向に平行移動させて、各供給管の先端を重ねることができる。
本発明の水処理装置では、上記のように各供給管を回転移動および/または放射方向に平行移動させて各供給管の先端を重ねたときに、被処理水を噴出させる方向が互いに異なるように複数の供給管を設けている。なお、各供給管の被処理水の噴出方向(被処理水を噴出させる方向)は、供給管の先端部分の内径の中心の延在方向に基づき定めることができる。このように複数の供給管を設けることにより、反応槽の水平面重心を中心として異なる方向の流れを反応槽内に形成することができる。すなわち、上記(1)〜(4)の流れのうちの複数の流れ、または(4)の流れのうちの複数の流れを反応槽内に形成することができる。
複数の供給管は、少なくとも2つの供給管が互いに異なる流れを形成するように設けられればよく、少なくとも3つの供給管が互いに異なる流れを形成するように設けられることが好ましい。なお、少なくとも2つの供給管が互いに異なる流れを形成するように設けられていれば、互いに同じ流れを形成する供給管が複数設けられていてもよい。
被処理水流路には、被処理水を反応槽に導入する供給管を選択する切替手段が設けられている。切替手段としては、二方弁や三方弁等の切替弁や調整弁を用いればよい。切替弁や調整弁は、手動の弁でもよいが、電動あるいは、油圧、水圧、空気圧等により弁の開閉や開度を調節できるものであることが好ましい。被処理水流路に切替手段を設けることにより、被処理水を反応槽内に導入する供給管を経時的に変えることができる。
本発明の水処理装置は、切替手段を操作することにより、次のように処理を行うことが好ましい。すなわち、本発明の水処理装置を用いた水処理方法は、複数の供給管のうちの一部の供給管から被処理水を反応槽に供給し、他部の供給管から被処理水を反応槽に供給しない工程と、前記他部の供給管から被処理水を反応槽に供給し、前記一部の供給管から被処理水を反応槽に供給しない工程を有することが好ましい。このように被処理水を反応槽に供給することで、反応槽内での被処理水の流れが経時的に変化して、反応槽内に異なる被処理水の流れを形成することができる。その結果、反応槽内での固形分の偏在を防止しやすくなり、被処理水の処理を効率的に行いやすくなる。前記一部の供給管は1つの供給管であっても複数の供給管であってもよく、前記他部の供給管は1つの供給管であっても複数の供給管であってもよい。
本発明の水処理装置を用いた水処理方法は、複数の供給管のうちの一部の供給管から被処理水を反応槽に大流量A1で供給し、他部の供給管から被処理水を反応槽に当該大流量A1の1/2倍以下(好ましくは1/3倍以下であり、より好ましくは1/4倍以下)の小流量で供給する工程と、前記他部の供給管から被処理水を反応槽に大流量A2で供給し、前記一部の供給管から被処理水を反応槽に当該大流量A2の1/2倍以下(好ましくは1/3倍以下であり、より好ましくは1/4倍以下)の小流量で供給する工程を有するものであってもよい。このように被処理水を反応槽に供給しても、反応槽内での被処理水の流れを経時的に変化させることができ、反応槽内に異なる被処理水の流れを形成することができる。
本発明は特に、沈降しやすい、あるいは沈降後に圧密状態で堆積しやすい固形分を保持した反応槽で被処理水を処理するのに好適に用いられる。この点から、反応槽内には、微生物保持担体またはグラニュール汚泥が保持されていることが好ましい。微生物保持担体やグラニュール汚泥は、粒径が大きいため沈降しやすく、またある程度の質量を持っているため、圧密状態で堆積しやすい。従って、反応槽に微生物保持担体やグラニュール汚泥が保持されていれば、本発明に従って反応槽内に異なる被処理水の流れを経時的に変化させて形成することにより、反応槽内での微生物保持担体やグラニュール汚泥の偏在を防止しやすくなり、被処理水の処理を効率的に行いやすくなる。また、反応槽内に水みちが形成されにくくなり、被処理水が、微生物保持担体やグラニュール汚泥がほとんど存在しない領域を通過することによって処理が不十分になることが防止される。また、反応槽内の被処理水の流れを変化させたときに、微生物保持担体やグラニュール汚泥の表面に付着している気泡が剥離して、これらの浮上を防止する効果もある。
本発明は、散気装置が反応槽に設けられていないことが好ましい。また、撹拌装置(例えば、プロペラ式撹拌機)などが設けられる必要もない。本発明は、被処理水を供給管から反応槽に供給することにより、反応槽内で被処理水を撹拌できるものであり、反応槽に散気装置や撹拌装置が設けられなくても、被処理水と固形分(例えば、微生物保持担体やグラニュール汚泥)とを効果的に混合できる。例えば、本発明は、被処理水を嫌気的に処理する場合に好適に用いることができ、例えば、メタン発酵(嫌気性消化)、酸発酵、脱窒、嫌気性アンモニア酸化、脱リン(嫌気的リン放出)等に好適に用いることができる。
反応槽は、反応槽の下部に、水平断面積が底部に向かって漸次縮小するように形成された縮小領域を有していることが好ましい。このように反応槽の下部が形成されていれば、固形分が反応槽の底部の隅に滞留しにくくなり、当該部分に固形分が堆積しにくくなる。縮小領域は、反応槽の外周壁が底部に向かって漸次縮小する逆錐体形状であることがより好ましい。縮小領域には、供給管のうちの少なくとも一部が設けられていることが好ましく、これにより固形分の反応槽の底部への滞留や堆積が起こりにくくなる。なお、反応槽の水平断面積とは、反応槽を水平面で切断したときの反応槽有効部分の断面積を意味する。
水処理装置には、反応槽の流出部と被処理水流路に連通して、処理水の少なくとも一部を循環させる循環流路が設けられていてもよい。例えば、被処理水を反応槽に1回通過させただけでは被処理水が十分に処理されない場合などは、処理水の少なくとも一部を、循環流路を通して被処理水流路に返送することが好ましい。このように処理水を返送することで、最終的に高度に処理された処理水を得ることができる。
循環流路を通して処理水を反応槽に返送する場合、処理水は全ての供給管から反応槽に返送してもよく、一部の供給管のみから反応槽に返送してもよい。例えば、原水中の特定成分の濃度が高すぎると、汚泥中の微生物の優占種が変化したり、あるいは所望する微生物の活性が低下するおそれがある。また、触媒反応において、所望しない副反応が起こりやすくなるおそれもある。そのような場合は、処理水により原水を希釈してもよい。
また、反応槽は、下方に行くほど微生物等の固形分濃度が高くなりやすいが、このような場合は、下方に位置する供給管から供給される被処理水の原水の割合を高め、上方に位置する供給管から供給される被処理水の原水の割合を下げてもよい。このように原水の割合を変えて被処理水を反応槽に供給することにより、反応槽内への被処理水の供給量を増やして反応槽内での撹拌効率を高めつつ、原水を、微生物等の反応場を提供する固形分の濃度の高い箇所により多く導入して、被処理水を効率的に処理することが可能となる。
次に、本発明の水処理装置の好適態様、特に供給管の設置の好適態様を詳しく説明する。本発明の水処理装置は、次のように設けられた供給管を有することが好ましい。すなわち、供給管として、次の第1供給管と第2供給管と第3供給管のうちの少なくとも2つを有することが好ましい。
第1供給管は、被処理水の噴出方向が、第1供給管の先端から反応槽の水平面重心への方向に対して、当該水平面に投射された当該噴出方向が0°または正の角度α1となるとともに、水平面に対して−45°以上45°以下の角度となるように設けられる。第1供給管は、主に水平方向(水平面に平行な方向)への流れを形成するとともに、被処理水が水平面重心へ向かう流れを形成するか、水平面重心に対して右回り(時計回り)の旋回流を形成することを意図して設けられる。水平面に投射された第1供給管の被処理水の噴出方向の角度α1は、第1供給管の先端から反応槽の水平面重心へ向かうベクトルR1を基準として定められる。すなわち、第1供給管の先端から被処理水の噴出方向に延びるベクトルS1が水平面に投射された投射ベクトルT1と、ベクトルR1となす角度がα1となる。第1供給管は、噴出方向の水平面投射ベクトルT1が、水平面重心へのベクトルR1と同じ方向に向かうか、水平面重心へのベクトルR1に対して反時計回りに0°超180°未満ずれた方向に向かうように設けられる。鉛直方向に対しては、第1供給管は、噴出方向のベクトルS1が、水平面に対して−45°以上45°以下の角度となるように設けられる。
第2供給管は、被処理水の噴出方向が、第2供給管の先端から反応槽の水平面重心への方向に対して、当該水平面に投射された当該噴出方向が0°または負の角度α2となるとともに、水平面に対して−45°以上45°以下の角度となるように設けられる。第2供給管は、主に水平方向への流れを形成するとともに、被処理水が水平面重心へ向かう流れを形成するか、水平面重心に対して左回り(反時計回り)の旋回流を形成することを意図して設けられる。水平面に投射された第2供給管の被処理水の噴出方向の角度α2は、第2供給管の先端から反応槽の水平面重心へ向かうベクトルR2を基準として定められる。すなわち、第2供給管の先端から被処理水の噴出方向に延びるベクトルS2が水平面に投射された投射ベクトルT2と、ベクトルR2となす角度がα2となる。第2供給管は、噴出方向の水平面投射ベクトルT2が、水平面重心へのベクトルR2と同じ方向に向かうか、水平面重心へのベクトルR2に対して時計回りに0°超180°未満ずれた方向(すなわち負の角度にずれた方向)に向かうように設けられる。鉛直方向に対しては、第2供給管は、噴出方向のベクトルS2が、水平面に対して−45°以上45°以下の角度となるように設けられる。
第3供給管は、被処理水の噴出方向が、水平面に対して45°超90°以下または−90°以上−45°未満の角度となるように設けられる。第3供給管は、主に鉛直方向への流れを形成することを意図して設けられる。第3供給管は、第3供給管の先端から被処理水の噴出方向に延びるベクトルS3が、水平面に対して45°超90°以下または−90°以上−45°未満の角度となるように設けられる。なお、水平面に対する角度は、ベクトルS3が上向きの場合にプラスの値を取り、ベクトルS3が下向きの場合にマイナスの値を取る。
供給管として第1供給管と第2供給管が設けられる場合、反応槽内には、左旋回流と右旋回流、または左旋回流と右旋回流のどちらか一方と水平面重心に向かう流れが形成される。このように供給管を設けることにより、反応槽内に、水平方向に異なる被処理水の流れを形成することができる。そのため、反応槽内で固形分の偏在を防止して、被処理水の処理効率を高めることができる。
供給管として第1供給管と第2供給管を設ける場合、第1供給管の噴出方向の投射ベクトルT1が水平面重心へのベクトルR1となす角度α1と、第2供給管の噴出方向の投射ベクトルT2が水平面重心へのベクトルR2となす角度α2との差が45°以上となることが好ましく、60°以上がより好ましく、90°以上がさらに好ましい。このように第1供給管と第2供給管を設けることにより、第1供給管と第2供給管によって、より異なる被処理水の流れを反応槽内に形成することができる。
供給管として第1供給管と第3供給管または第2供給管と第3供給管が設けられる場合、反応槽内には、主に鉛直方向に向かう流れと主に水平方向に向かう流れが形成されることとなる。この場合もまた、反応槽内で固形分の偏在を防止して、被処理水の処理効率を高めることができるようになる。
本発明の水処理装置は、第1供給管と第2供給管と第3供給管が設けられることが好ましい。このように供給管を設けることにより、反応槽内に、被処理水の流れが、水平方向と鉛直方向の様々な方向に形成されることとなり、より効果的に反応槽内で固形分の偏在を防止して、被処理水の処理効率を高めることができる。
第1供給管は、好ましくは、左回りの旋回流を形成するように設けられることが好ましい。従って、第1供給管は、噴出方向の水平面投射ベクトルT1が水平面重心へのベクトルR1に対して正の角度α1となるように設けられることが好ましい。角度α1は、より好ましくは30°以上であり、さらに好ましくは45°以上であり、また120°以下が好ましく、90°以下がさらに好ましい。
第2供給管は、好ましくは、右回りの旋回流を形成するように設けられることが好ましい。従って、第2供給管は、噴出方向の水平面投射ベクトルT2が水平面重心へのベクトルR2に対して負の角度α2となるように設けられることが好ましい。角度α2は、より好ましくは−30°以下であり、さらに好ましくは−45°以下であり、また−120°以上が好ましく、−90°以上がさらに好ましい。
反応槽内で上向流が形成されやすくする点から、第1供給管と第2供給管は、被処理水の噴出方向が、水平面に対して−15°以上となることが好ましく、−5°以上となることがより好ましい。また第3供給管は、被処理水の噴出方向が、水平面に対して45°超90°以下となることが好ましく、60°以上がより好ましく、75°以上がさらに好ましい。
反応槽に上記に説明した縮小領域が設けられる場合、第1供給管および/または第2供給管はこの縮小領域に設けられることが好ましい。第1供給管や第2供給管が縮小領域に設けられれば、第1供給管や第2供給管から噴出した被処理水が縮小領域で反応槽の内面に当たることにより、被処理水の流れの一部が上向きに変換され、上向流を形成しやすくなる。また、反応槽の底部の隅にも被処理水の流れが形成されやすくなり、固形分が反応槽の底部の隅に滞留したり堆積しにくくなる。好ましくは、第1供給管と第2供給管の両方が縮小領域に設けられる。
供給管として第3供給管が設けられる場合、第3供給管は、第1供給管および/または第2供給管よりも下方に設けられることが好ましい。第3供給管は主に鉛直方向に向かう流れを形成するため、第3供給管を第1供給管および/または第2供給管よりも下方に設けることにより、反応槽内の全体に上向流を形成しやすくなり、その結果、固形分が反応槽の底部に滞留したり堆積しにくくすることができる。第3供給管は、より好ましくは、第1供給管と第2供給管よりも下方に設けられる。第3供給管はまた、反応槽の底部に設けられることが好ましい。
供給管として少なくとも第1供給管と第2供給管が設けられる場合、本発明の水処理装置は、切替手段を操作することにより、次のように処理を行うことが好ましい。すなわち、本発明の水処理装置を用いた水処理方法は、第1供給管から被処理水を反応槽に供給し、第2供給管から被処理水を反応槽に供給しない工程と、第2供給管から被処理水を反応槽に供給し、第1供給管から被処理水を反応槽に供給しない工程を有することが好ましい。このように被処理水を反応槽に供給することで、反応槽内での被処理水の流れが経時的に変化して、反応槽内に、水平方向に異なる被処理水の流れを形成することができる。その結果、反応槽内で固形分の偏在を防止して、被処理水の処理効率を高めることができる。
供給管として少なくとも第1供給管と第2供給管が設けられる場合、本発明の水処理装置を用いた水処理方法は、第1供給管から被処理水を反応槽に大流量B1で供給し、第2供給管から被処理水を反応槽に当該大流量B1の1/2倍以下(好ましくは1/3倍以下であり、より好ましくは1/4倍以下)の小流量で供給する工程と、第2供給管から被処理水を反応槽に大流量B2で供給し、第1供給管から被処理水を反応槽に当該大流量B2の1/2倍以下(好ましくは1/3倍以下であり、より好ましくは1/4倍以下)の小流量で供給する工程を有するものであってもよい。このように被処理水を反応槽に供給しても、反応槽内での被処理水の流れを経時的に変化させて、反応槽内に、水平方向に異なる被処理水の流れを形成することができる。
供給管として第1供給管と第2供給管と第3供給管が設けられる場合は、切替手段を操作することにより、次のように処理を行うことが好ましい。すなわち、本発明の水処理装置を用いた水処理方法は、第1供給管と第3供給管から被処理水を反応槽に供給し、第2供給管から被処理水を反応槽に供給しない工程と、第2供給管と第3供給管から被処理水を反応槽に供給し、第1供給管から被処理水を反応槽に供給しない工程を有することが好ましい。この場合、いずれの工程でも第3供給管から被処理水が供給されることとなるため、反応槽内で上向きの流れが形成され、固形分が常に浮遊状態で存在しやすくなる。しかも第3供給管からの流れとともに、第1供給管または第2供給管からも経時的に変化しながら被処理水が供給されるため、鉛直方向への被処理水の流れに水平方向や旋回方向への被処理水の流れが加わって、反応槽内での固形分の偏在が起こりにくくなる。その結果、被処理水の処理効率を高めることができる。なお、第1供給管と第3供給管から被処理水を反応槽に供給する場合、あるいは第2供給管と第3供給管から被処理水を反応槽に供給する場合、第3供給管から供給される被処理水の流量は、第1供給管から供給される被処理水の流量よりも多いことが好ましく、また第2供給管から供給される被処理水の流量よりも多いことが好ましい。
上記の水処理方法においては、さらに、第3供給管から被処理水を反応槽に供給し、第1供給管と第2供給管から被処理水を反応槽に供給しない工程を有していてもよい。第3供給管のみから被処理水を供給することにより、反応槽内で上向きの強い流れが形成されやすくなり、反応槽の下部に沈降していた固形物を浮遊させて、固形物の堆積を防止しやすくなる。
供給管として第1供給管と第2供給管と第3供給管が設けられる場合、本発明の水処理装置を用いた水処理方法は、第3供給管から被処理水を反応槽に大流量C1で供給し、第2供給管から被処理水を当該大流量C1の1/2倍以下(好ましくは1/3倍以下であり、より好ましくは1/4倍以下)の小流量C2で供給し、第1供給管から被処理水を反応槽に当該大流量C1より少なく当該小流量C2より多い中流量で供給する工程と、第3供給管から被処理水を反応槽に大流量C3で供給し、第1供給管から被処理水を反応槽に当該大流量C3の1/2倍以下(好ましくは1/3倍以下であり、より好ましくは1/4倍以下)の小流量C4で供給し、第2供給管から被処理水を反応槽に当該大流量C3より少なく当該小流量C4より多い中流量で供給する工程を有するものであってもよい。当該水処理方法は、さらに、第3供給管から被処理水を反応槽に大流量C5で供給し、第1供給管と第2供給管から被処理水を反応槽に当該大流量C5の1/2倍以下(好ましくは1/3倍以下であり、より好ましくは1/4倍以下)の小流量で供給する工程を有していてもよい。このように被処理水を反応槽に供給しても、反応槽内で被処理水の上向きの流れを形成して、固形分を常に浮遊状態で存在させつつ、反応槽内での被処理水の流れを経時的に変化させて、反応槽内での固形分の偏在を起こりにくくすることができる。
本発明の水処理装置が、第1供給管と第2供給管と第3供給管のうちの少なくとも2つを有するものである場合、水処理装置には、処理水の少なくとも一部を循環させる循環流路が次のように設けられることが好ましい。すなわち、被処理水流路は、第1供給管と第2供給管と第3供給管のうちの一部の供給管が備えられた第1被処理水流路と、他部の供給管が備えられた第2被処理水流路から構成され、循環流路が反応槽の流出部と被処理水流路に連通して設けられ、第1被処理水流路は、原水が供給される原水流路と循環流路に連通し、第2被処理水流路は、循環流路に連通し、原水流路には連通していないことが好ましい。
この場合、第1被処理水流路と第2被処理水流路には、第1供給管と第2供給管と第3供給管のうちの1つまたは2つが設けられるが、第1被処理水流路と第2被処理水流路には互いに異なる供給管が設けられる。原水は第1被処理水流路を通して反応槽に供給され、処理水は第1被処理水流路と第2被処理水流路を通して反応槽に返送できるようになっている。この場合、第1被処理水流路は、微生物等の反応場を提供する固形分の濃度が高くなりやすい箇所に被処理水を供給できる供給管に接続していることが好ましい。このように第1処理水流路と第2処理水流路を設けることにより、被処理水を効率的に処理することが可能となる。すなわち、原水は、第1被処理水流路を通って反応槽中の処理効率(活性)の高い箇所に導入され、必要に応じて(例えば、原水中の特性成分の濃度が高く微生物の活性阻害を起こすおそれがある場合など)処理水で希釈することにより、反応槽内の活性を高く維持できるようになる。第2被処理水流路からは、濃度の低い処理水を反応槽に導入するので、反応槽内の活性や導入流量に拘束されず、反応槽内での撹拌効率を高めることを優先させることができ、反応槽内での固形分の偏在を防止することができる。
第1被処理水流路には第3供給管が備えられ、第2被処理水流路には第1供給管および/または第2供給管が備えられていることが好ましい。第3供給管は主に鉛直方向に向かう流れを形成するため、第3供給管から導入された被処理水は、第1供給管や第2供給管から導入された被処理水と比べて、微生物等の反応場を提供する固形分との接触頻度が相対的に高くなる。従って、原水を第1被処理水流路を通して第3供給管から反応槽内に供給することで、反応槽における処理効率を高めやすくなる。好ましくは、第1被処理水流路に第3供給管が備えられ、第2被処理水流路に第1供給管と第2供給管が備えられる。また、第3供給管は、第1供給管と第2供給管よりも下方に設けられることが好ましく、これにより、第3供給管を通して、固形分濃度が高くなりやすい反応槽のより下方から被処理水が供給されるようになり、被処理水の処理効率を高めることが可能となる。
被処理水流路として第1被処理水流路と第2被処理水流路が設けられる場合、本発明の水処理装置は、切替手段を操作することにより、次のように処理を行うことが好ましい。すなわち、本発明の水処理装置を用いた水処理方法は、第1被処理水流路と第2被処理水流路を通じて被処理水を反応槽に供給する工程と、第1被処理水流路を通じて被処理水を反応槽に供給し、第2被処理水流路を通じて被処理水を供給しない工程を有することが好ましい。この場合、原水流路に連通した第1被処理水流路からはいずれの工程でも被処理水が反応槽に供給され、原水流路に連通していない第2被処理水流路からは一部の工程のみから被処理水が反応槽に供給されることとなる。そのため、原水は基本的に常時反応槽に供給され、安定的に処理されるようになる。一方、第2被処理水流路からは、処理水が経時的に変化して反応槽に返送されることとなるため、反応槽内に経時的に異なる被処理水の流れが形成され、反応槽内で固形分の偏在を防止することができる。
第1被処理水流路に第3供給管が備えられ、第2被処理水流路に第1供給管と第2供給管が備えられる場合は、切替手段を操作することにより、次のように処理を行うことが好ましい。すなわち、本発明の水処理装置を用いた水処理方法は、第1供給管と第3供給管から被処理水を反応槽に供給し、第2供給管から被処理水を反応槽に供給しない工程と、第2供給管と第3供給管から被処理水を反応槽に供給し、第1供給管から被処理水を反応槽に供給しない工程と、第3供給管から被処理水を反応槽に供給し、第1供給管と第2供給管から被処理水を反応槽に供給しない工程を有することが好ましい。この場合、原水は第3供給管のみから反応槽に供給されることとなるが、第3供給管からはいずれの工程でも被処理水が反応槽に供給され、第1供給管と第2供給管からは一部の工程のみから被処理水が反応槽に供給されることとなる。そのため、原水は基本的に常時反応槽に供給され、安定的に処理されるようになる。一方、第1供給管と第2供給管からは、処理水が経時的に変化して反応槽に返送されることとなるため、反応槽内に異なる被処理水の流れが時間を変えて形成され、反応槽内で固形分の偏在を防止することができる。なお、第1供給管と第3供給管から被処理水を反応槽に供給する場合、あるいは第2供給管と第3供給管から被処理水を反応槽に供給する場合、第3供給管から供給される被処理水の流量は、第1供給管から供給される被処理水の流量よりも多いことが好ましく、また第2供給管から供給される被処理水の流量よりも多いことが好ましい。
第1被処理水流路に第3供給管が備えられ、第2被処理水流路に第1供給管と第2供給管が備えられる場合、本発明の水処理装置を用いた水処理方法は、第3供給管から被処理水を反応槽に大流量D1で供給し、第2供給管から被処理水を反応槽に当該大流量D1の1/2倍以下(好ましくは1/3倍以下であり、より好ましくは1/4倍以下)の小流量D2で供給し、第1供給管から被処理水を反応槽に当該大流量D1より少なく当該小流量D2より多い中流量で供給する工程と、第3供給管から被処理水を反応槽に大流量D3で供給し、第1供給管から被処理水を反応槽に当該大流量D3の1/2倍以下(好ましくは1/3倍以下であり、より好ましくは1/4倍以下)の小流量D4で供給し、第2供給管から被処理水を反応槽に当該大流量D3より少なく当該小流量D4より多い中流量で供給する工程と、第3供給管から被処理水を反応槽に大流量D5で供給し、第1供給管と第2供給管から被処理水を反応槽に当該大流量D5の1/2倍以下(好ましくは1/3倍以下であり、より好ましくは1/4倍以下)の小流量で供給する工程を有していてもよい。このように被処理水を反応槽に供給しても、被処理水を反応槽内で安定的に処理しつつ、反応槽内での被処理水の流れを経時的に変化させて、反応槽内での固形分の偏在を起こりにくくすることができる。
次に、本発明の水処理装置の構成例について、図面を参照して説明する。なお、本発明は、図面に示した実施態様に限定されない。
図1には、本発明の水処理装置の一例を示した。水処理装置1(1A)は、被処理水を処理する反応槽2と、反応槽2の下部に被処理水が移送される被処理水流路3と、被処理水流路3に備えられ、被処理水が反応槽2内に導入される供給管4と、反応槽2の上部に、処理水が流出する流出部5とを有する。水処理装置1Aには、供給管4として、第1供給管4Aと第2供給管4Bと第3供給管4Cが設けられ、各供給管4は、反応槽2の底部から流出部5に至る高さ方向の1/3の領域に設けられている。また反応槽2は、下部に、水平断面積が底部に向かって漸次縮小するように形成された縮小領域2Rを有し、各供給管4が縮小領域2Rに設けられている。被処理水流路3には、切替手段6として二方弁が設けられており、切替手段6によって、被処理水を反応槽2に導入する供給管4を選択することができるようになっている。図1に示した水処理装置1Aでは、被処理水流路3が、原水が供給される原水流路7と連通し、各供給管4に原水が供給できるようになっている。
図1では、第1供給管4Aと第2供給管4Bが、縮小領域2Rにおいて、反応槽2の側面に接続し、第3供給管4Cが反応槽2の底部に接続して設けられている。第1供給管4Aと第2供給管4Bは、被処理水の噴出方向が水平面に対して0°の角度で設けられており、すなわち、被処理水が水平方向に噴出するように設けられている。一方、第3供給管4Cは、被処理水の噴出方向が水平面に対して90°の角度で設けられており、すなわち、被処理水が鉛直方向に噴出するように設けられている。
各供給管4からの被処理水の噴出方向について、図2および図3を参照して詳しく説明する。図2は、図1に示した反応槽に関し、第1供給管と第2供給管の先端を含む水平面における第1供給管と第2供給管からの被処理水の噴出方向を示した模式図を表し、図3は、反応槽の下部を横から見た各供給管からの被処理水の噴出方向を示した模式図を表す。なお、図1に示した水処理装置では、各供給管の先端を含む水平面における反応槽断面の重心が、反応槽の上から見て一致するように構成されている。
第1供給管4Aは、被処理水の噴出方向を表すベクトルS1が水平方向に延びており、ベクトルS1の水平面投射ベクトルT1と一致する。投射ベクトルT1は、第1供給管4Aの先端から反応槽2の水平面重心Gに向かうベクトルR1に対し、反時計回りにずれた方向に向かうように形成され、ベクトルR1に対し正の角度α1(約85°)をなしている。第1供給管4Aから被処理水が反応槽2内に導入されることにより、反応槽2内には左回りの旋回流が形成される。
第2供給管4Bは、被処理水の噴出方向を表すベクトルS2が水平方向に延びており、ベクトルS2の水平面投射ベクトルT2と一致する。投射ベクトルT2は、第2供給管4Bの先端から反応槽2の水平面重心Gに向かうベクトルR2に対し、時計回りにずれた方向に向かうように形成され、ベクトルR2に対し負の角度α2(約−85°)をなしている。角度α1と角度α2の差は約170°となっている。第2供給管4Bから被処理水が反応槽2内に導入されることにより、反応槽2内には右回りの旋回流が形成される。
第3供給管4Cは、被処理水の噴出方向を表すベクトルS3が水平面に対して90°の角度となるように設けられている。第3供給管4Cから被処理水が反応槽2内に導入されることにより、反応槽2内には鉛直方向の上向きの被処理水の流れが形成される。図面では、第3供給管4Cは、第1供給管4Aと第2供給管4Bよりも反応槽2の下方に設けられており、反応槽2内の全体に上向流が形成されやすくなっている。
第1供給管4Aと第2供給管4Bと第3供給管4Cは、供給管4を、反応槽2の水平面重心Gを通る鉛直線を軸とする回転移動および/または当該軸からの放射方向への平行移動によって各供給管4の先端を重ねたときに、被処理水の噴出方向S1,S2,S3が互いに異なるように設けられている。例えば、第1供給管4Aと第2供給管4Bは、第1供給管4Aを、水平面重心Gを軸として回転移動させて第2供給管4Bと互いの先端を重ねたときに、第1供給管4Aの噴出方向S1と第2供給管4Bの噴出方向S2が水平面上で約170°の角度差を形成するように設けられている。第1供給管4Aと第3供給管4Cは、それぞれの水平面を重心Gが一致するように重ねて、第3供給管4Cを水平面重心Gから放射方向に平行移動させて第1供給管4Aと互いの先端を重ねたときに、第1供給管4Aの噴出方向S1と第3供給管4Cの噴出方向S3が90°の角度差を形成するように設けられている。
水処理装置1Aは、切替手段6を操作することにより、被処理水を反応槽2に導入する供給管4を経時的に変えることができる。水処理装置1Aを用いた水処理方法としては、例えば、第1供給管4Aから被処理水を反応槽2に供給し、第2供給管4Bから被処理水を反応槽2に供給しない工程と、第2供給管4Bから被処理水を反応槽2に供給し、第1供給管4Aから被処理水を反応槽2に供給しない工程を有するものが好ましい。また、水処理装置1Aを用いた水処理方法は、第1供給管4Aと第3供給管4Cから被処理水を反応槽2に供給し、第2供給管4Bから被処理水を反応槽2に供給しない工程と、第2供給管4Bと第3供給管4Cから被処理水を反応槽2に供給し、第1供給管4Aから被処理水を反応槽2に供給しない工程を有するものであってもよく、さらに、第3供給管4Cから被処理水を反応槽2に供給し、第1供給管4Aと第2供給管4Bから被処理水を反応槽2に供給しない工程を有していてもよい。いずれの場合も、反応槽2内での被処理水の流れが経時的に変化し、反応槽2内に異なる被処理水の流れを形成することができる。その結果、反応槽2内で固形分の偏在を防止して、被処理水の処理効率を高めることができる。
図4には、図1に示した水処理装置の変形例を示す。なお図4に示した水処理装置に関する下記の説明では、図1の説明と重複する説明を省く。
図4に示した水処理装置1(1B)では、反応槽2の流出部5と被処理水流路3に連通して、処理水の少なくとも一部を循環させる循環流路8が設けられている。そして、原水が供給される原水流路7は、第3供給管4Cのみに連通して設けられている。すなわち、被処理水流路3として、原水流路7と循環流路8に連通した第1被処理水流路3Aと、循環流路8に連通し、原水流路7には連通していない第2被処理水流路3Bが設けられている。そして、第1被処理水流路3Aには第3供給管4Cが設けられ、第2被処理水流路3Bには第1供給管4Aと第2供給管4Bが設けられている。
水処理装置1Bを用いた水処理方法としては、例えば、第1供給管4Aと第3供給管4Cから被処理水を反応槽2に供給し、第2供給管4Bから被処理水を反応槽2に供給しない工程と、第2供給管4Bと第3供給管4Cから被処理水を反応槽2に供給し、第1供給管4Aから被処理水を反応槽2に供給しない工程と、第3供給管4Cから被処理水を反応槽2に供給し、第1供給管4Aと第2供給管4Bから被処理水を反応槽2に供給しない工程を有するものが好ましい。この場合、第3供給管4Cからはいずれの工程でも被処理水が反応槽2に供給され、第1供給管4Aと第2供給管4Bからは一部の工程のみから被処理水が反応槽2に供給されることとなる。そのため、原水は基本的に常時反応槽2に供給され、安定的に処理されるようになる。一方、第1供給管4Aと第2供給管4Bからは、処理水が経時的に変化して反応槽2に返送されることとなるため、反応槽2内に異なる被処理水の流れが時間を変えて形成され、反応槽2内で固形分の偏在を防止することができる。
第3供給管4Cからは、切替手段6を操作して、原水のみを供給したり、原水と処理水を混合して供給することもできる。例えば、上述した3つ工程の全てにおいて、第3供給管4Cから常に混合水を供給してもよい。また、第1供給管4Aと第3供給管4Cから被処理水を反応槽2に供給し、第2供給管4Bから被処理水を反応槽2に供給しない工程と、第2供給管4Bと第3供給管4Cから被処理水を反応槽2に供給し、第1供給管4Aから被処理水を反応槽2に供給しない工程において、第3供給管4Cからは原水のみを供給したり、処理水の流量を少量にした混合水を供給してもよい。