以下、建物が存在する島を含む所定範囲のエリアを警備空間とし、当該警備空間内の海面を移動(巡回警備)する船舶を警備移動体としたとき、当該警備移動体に搭載された撮像装置から所定の警備対象に対する見え方(視野)を時系列画像(動画像)として出力すると共に、移動予定経路上において警備対象の位置が可視か否かを識別可能とする地図画像を表示する警備シミュレーション装置の一実施形態について、添付した図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態における警備移動体は撮像装置を備え当該撮像装置は、CCD素子やC−MOS素子等の撮像素子、光学系部品等を含んで構成される所謂監視カメラである。当該監視カメラは、カメラ制御装置に取り付けられており、当該カメラ制御装置によりパン、チルト、ズーム等の制御によって画角を自由に変更できるものであるが、詳細については、本発明の本質的なことでないので説明を省略する。
(警備シミュレーション装置の全体構成について)
図1に示すように、本実施形態の警備シミュレーション装置1は、記憶部11、制御部12、出力部13及び入力部14を含んで概略構成される。入力部14は、キーボードやマウス、タッチパネル、可搬記憶媒体の読み取り装置、LANやUSB等の通信インタフェース等の情報入力デバイスである。警備シミュレーション装置1の利用者(例えば警備計画立案者)は、入力部14を用いて、例えば、後述する空間モデル111の3次元形状データなどを記憶部11に記憶させたり、様々な設定情報を設定することができる。
記憶部11は、ROM、RAM、HDD等の情報記憶装置である。記憶部11は、各種プログラムや各種データを記憶し、制御部12との間でこれらの情報を入出力する。各種データには、空間モデル111、注視点情報112、移動予定経路113、視野情報114、判定結果115、その他、制御部12の処理に使用される各種情報(例えば、後述する仮想カメラ視野条件情報、警備移動体の移動速度、生成された地図画像など)を記憶している。
空間モデル111は、警備空間に存在する現実世界の建造物・地面・樹木等の物体の3次元形状データを配置して、警備空間を3次元の仮想空間として表した情報である。より具体的には、3次元形状データを元に立体的な物体の平面や曲面をポリゴンにより表現し、ポリゴンデータに対して警備空間を実際に上空から撮影した静止画像をテクスチャマッピングすることにより生成した情報である。空間モデル111を生成するための3次元形状データは、上空から撮影した画像をステレオ法によって物体の形状・位置を認識することにより作成する。しかし、これに限らず、3次元形状データは、3次元CADで作成されたものでも良いし、3次元レーザースキャナー等により警備空間に存在する物体の3次元形状を取り込んだデータを利用しても良い。このようにして作成された空間モデル111は、利用者により入力部14から設定登録されることにより記憶部11に記憶される。図2は、本実施形態で利用する空間モデル111の一部を例示したものである。図2に示した空間モデル111では、符号111aと111bはそれぞれ警備空間に存在する陸地と海に相当し、符号111c〜符号111eは建物に相当する。
注視点情報112は、警備空間における警備対象の位置である注視点を表した情報であり、図3に表すように、一又は複数の注視点の識別子(注視点ID)と、各注視点の座標値(x,y,z)とを対応付けたテーブルとして記憶部11に記憶される。後述するように、注視点情報112は、利用者によって入力部14から設定されることにより、記憶部11に記憶される。
移動予定経路113は、警備移動体が移動を予定している経路を表した情報であり、図4に表すように、移動予定経路113上の各位置を表す座標の座標値列(x_1,y_1,z_1)、(x_2,y_2,z_2)、(x_3,y_3,z_3)、・・・と当該位置の識別子(位置ID)とを対応付けたテーブルとして記憶部11に記憶される。後述するように、注視点情報112は、利用者によって入力部14から設定されることにより、記憶部11に記憶される。
視野情報114は、後述する視野情報生成手段121によって生成される情報であり、図5に表すように移動予定経路113上の各位置を示した位置IDと、当該位置から各注視点(A、B、・・・)に向かう方向(視野条件)とを対応付けた情報である。本実施形態では、右手系の直交座標系におけるヨー角(α°)・ピッチ角(β°)・ロール角(γ°)により方向(α,β,γ)を表現する。例えば、水平面における真北の方向を(0,0,0)とし、水平面における真南の方向を(180,0,0)、真北の俯角30°の方向を(0,−30,0)として表現する。
判定結果115は、後述する判定手段122によって生成される情報であり、図6に表すように、移動予定経路113上の各位置を示した位置IDと、当該位置から各注視点を見たときに可視と判定された注視点の注視点IDとを対応付けた情報である。例えば、図6の位置ID=00001の位置からは注視点A,Bが可視と判定されており、位置ID=00003の位置からはいずれの注視点についてもいずれも非可視と判定されていることを示している。なお、本実施形態では、判定結果115として可視の注視点IDのみを記憶しているが、これに限らず、非可視の注視点IDのみを記憶してもよいし、各注視点IDが可視であるか非可視であるかを示した情報を記憶してもよい。
制御部12は、CPU等を備えたコンピュータで構成され、図7に示すように、視野情報生成手段121、判定手段122、画像処理手段123、地図画像生成手段124、経路変更手段125を含んで構成される。
視野情報生成手段121は、移動予定経路113上の位置毎に注視点情報112の各注視点に向かう方向(視野条件)を求め、求めた方向(視野条件)を移動予定経路113上の各位置に対応付けて視野情報114として記憶部11に記憶する視野情報生成処理を行う。以下、視野情報生成処理の詳細について説明する。視野情報生成処理では、まず、移動予定経路113を記憶部11から読み出し、移動予定経路113を構成する位置(座標)の中から未処理の位置を選択する。そして選択した位置から注視点情報112に記憶された各注視点までの線分を求め、当該線分の方向をヨー角(α°)・ピッチ角(β°)・ロール角(γ°)に換算して視野情報114に記憶する。この処理を移動予定経路113を構成する全ての位置に対して繰り返し実行し、全ての位置に対して当該処理が完了した時点で視野情報生成処理を終了する。
判定手段122は、移動予定経路113上の位置毎に警備移動体が各注視点を可視か否かを判定して、その判定結果115を記憶部11に記憶する可視判定処理を行う。以下、可視判定処理の詳細について説明する。可視判定処理では、まず、移動予定経路113を記憶部11から読み出し、移動予定経路113を構成する位置の中から未処理の位置を選択する。そして選択した位置から注視点情報112に記憶された各注視点までの線分を求め、当該線分が空間モデル111で表現される物体(障害物)に干渉(交差)するか否かといった干渉状態を幾何計算により判定する。線分が物体に干渉するとき、選択した位置から当該注視点を非可視であると判定し、反対に干渉しないときは可視であると判定する。また、線分の長さから求まる距離(警備移動体から注視点に至る距離)が予め定めた距離閾値以上であるときも非可視であると判定する。このように、可視判定処理では、線分の長さ、又は当該線分と空間モデル111との干渉状態のうち少なくとも一方に基づいて警備移動体が前記注視点を可視か否かを判定する。そして、選択した位置から可視であると判定された注視点の注視点IDを、記憶部11の判定結果115に選択した位置の位置IDに対応付けて記憶する。この処理を移動予定経路113を構成する全ての位置に対して繰り返し実行し、全ての位置に対して当該処理が完了した時点で可視判定処理を終了する。
画像処理手段123は、判定結果115と視野情報114と空間モデル111と移動予定経路113とに基づいて、各注視点を可視であるか否かを利用者が識別できる時系列画像を生成する時系列画像生成処理を行う。時系列画像生成処理の詳細については後述する。
地図画像生成手段124は、移動予定経路113に対して可視判定処理の判定結果115を付与したものを、警備空間を表す地図上にオーバーレイ表示した地図画像を生成する地図画像生成処理を行う。地図画像生成処理の詳細については後述する。
経路変更手段125は、地図画像上に表示されたアンカーポイントの位置が、入力部14により変更されたとき、変更後のアンカーポイントの位置に基づいて移動予定経路113を更新する経路変更処理を行う。経路変更処理の詳細については後述する。
出力部13は、ディスプレイ等の情報表示デバイス、記憶媒体への情報記憶デバイス、ネットワークを介して情報送信可能な通信デバイスなどである。画像処理手段123で生成された時系列画像及び地図画像は、出力部13により表示されたり、記憶されたり、送信されたりする。
(警備シミュレーション装置1が実行する処理について)
以下、本実施形態の警備シミュレーション装置1が実行する処理の流れについて、図8を参照しながら詳細に説明する。
警備シミュレーション装置1の処理では、まず、利用者が警備シミュレーション装置1の入力部14を用いて各種データを設定する初期設定が行われる(ST1)。初期設定では、空間モデル111の登録、仮想カメラの画角・フレームレート・解像度の設定、警備移動体の移動速度、可視/非可視を判定するための距離閾値などが設定される。本実施形態では、仮想カメラの画角として、警備移動体である船舶に搭載された撮像装置の画角が設定される。なお、警備移動体が警備員(人)である場合は、人の標準的な視野角(例えば、水平200°、垂直125°など)が設定されるものとする。また、仮想カメラのフレームレート及び解像度は、利用者が時系列画像として表示したい任意の値(例えば30fps、1920×1080)が設定されるものとする。また、警備移動体の移動速度は、警備移動体である船舶の巡回警備時における平均移動速度が設定されるものとする。また、空間モデル111として図2の3次元形状データ(ポリゴンデータ)が、初期設定にて登録されたとして以下の処理を説明する。
次に、利用者により入力部14から注視点が設定される(ST2)。図9の符号A〜Cは、空間モデル111上に設定された注視点を表している。マウスやタッチパネル等の入力部14を用いて利用者により空間モデル111内の任意の3次元位置を注視点として指定されることにより、制御部12は、指定された注視点の座標値を注視点情報112として記憶する。
次に、利用者により入力部14から移動予定経路113が設定される(ST3)。図9の符号Lは、空間モデル111に設定された移動予定経路113を線で図示している。マウスやタッチパネル等の入力部14から利用者により空間モデル111内の任意の経路Lが指定されることにより、制御部12は、指定された経路Lの座標列を移動予定経路113として記憶する。この際、利用者は、空間モデル111上の経路Lをマウス等によりドラックして移動予定経路113を指定してもよいし、空間モデル111上の経路Lの任意の位置(ポイント)を複数指定(クリック)して各ポイント間を移動予定経路113として設定してもよい。なお、本実施形態では、移動予定経路113として記憶される座標群を、ST1にて初期設定された仮想カメラのフレームレートと警備移動体(船舶)の平均移動速度とを用いて算出する。すなわち、フレームレートからフレーム間隔(期間)を求め、平均移動速度及びフレーム間隔からフレーム間に移動する距離を求め、当該距離の間隔となるように指定された経路上から座標値を求める。
次に、制御部12の視野情報生成手段121は、視野情報生成処理を行う(ST4)。図9の例では、注視点A〜Cの3か所が設定されているため、視野情報生成処理にて生成される視野情報114は、図5に表すように移動予定経路113の位置IDに対応付けて注視点A〜Cのそれぞれに対する方向(視野条件)が記憶される。視野情報生成処理の詳細については、前述したためここでは説明を省略する。
次に、制御部12の判定手段122は、可視判定処理を行う(ST5)。図9の例では、注視点A〜Cの3か所が設定されているため、可視判定処理にて生成される判定結果115は、図6に表すように移動予定経路113の位置IDに対応付けて注視点A〜Cのそれぞれが可視であるか否かについて記憶される。可視判定処理の詳細については、前述したためここでは説明を省略する。
次に、地図画像生成手段124は、警備空間を表す地図上にST5の判定結果115が付与された移動予定経路113を表した地図画像を生成する地図画像生成処理を行う(ST6)。地図画像生成処理では、まず、移動予定経路113を記憶部11から読み出し、移動予定経路113を構成する各位置(3次元座標値の集合)に基づいて、警備空間を表した3次元の仮想空間内における移動予定経路の経路形状を表す経路モデルを生成する。この際、判定手段122の判定結果115が付与されるよう経路モデルを生成する。すなわち、記憶部11から判定結果115を読み出し、移動予定経路113上の各位置における可視/非可視に応じて経路モデルの部分区間の色・線種・記号などを変更することにより、判定結果115が付与された経路モデルを生成する。また、地図画像生成処理では、移動予定経路113上の非可視の位置を含む区間(非可視区間)を求め、当該非可視区間を地図画像にて識別可能となるよう、可視区間とは異なる線種(又は色)となるように経路モデルを生成する。ここで非可視区間は、移動予定経路113上の非可視の位置が連続する区間としてもよいし、区間全体に占める非可視位置の割合が所定の閾値以上となる区間としてもよい。そして、地図画像生成処理では、求めた非可視区間の両端(非可視区間の開始位置と終了位置)にアンカーポイントを付与するよう経路モデルを生成する。最後に、以上のようにして生成した経路モデルを空間モデル111上に配置すると共に、注視点を示すラベルを配置し、警備空間(3次元の仮想空間)内の所定の位置に設置した仮想カメラから所定の撮像条件(画角等)により撮像(レンダリング)することにより、地図画像を生成する。このように、地図画像生成処理により生成された地図画像は、警備空間を表す地図であって、判定結果115が付与(反映)された移動予定経路113が一緒に表示された画像となる。
図10に、本実施形態における地図画像生成処理によって生成された地図画像3を表す。同図において、符号3aと3bはそれぞれ警備空間に存在する陸地と海に相当する画像領域であり、符号3c〜符号3eは建物に相当する画像領域である。また、符号L’は、移動予定経路113(経路モデル)に相当する画像領域であり、当該移動予定経路L’上における点線で示した区間は、いずれの注視点についても非可視であると判定された区間(非可視区間)である。この例では、いずれの注視点からも閾値距離以上となる位置であることから非可視とされている。非可視区間の両端に表示されている符号P1、P2は、後述する経路変更処理にて利用者が経路の変更を行うためのアンカーポイントを表している。また、移動予定経路L’において「C」と示された区間は注視点Cについては可視と判定された区間であり、「BC」と示された区間は注視点BとCについては可視と判定された区間であり、「AB」と示された区間は注視点AとBについては可視と判定された区間である。このように地図画像生成処理によって生成された地図画像における移動予定経路L’を参照することにより、利用者は、移動予定経路上の所定の位置において、どの注視点が死角になっているのかを容易に判定することが可能となる。
次に、経路変更手段125は、入力部14からの利用者によるアンカーポイントの位置変更を検出し、変更されたアンカーポイントの位置に基づいて記憶部11の移動予定経路113を更新する経路変更処理を行う(ST7)。経路変更処理では、まず、利用者による入力部14からのアンカーポイントの位置の変更入力があったか否かを検出する。本実施形態では、アンカーポイントがマウスによってドラック&ドロップされているか否かを検出する。あるアンカーポイントが利用者によってドラック&ドロップされたと検出したとき、当該検出したアンカーポイントがドロップされた位置に基づいて、記憶部11の移動予定経路113を逐次更新する。
次に、制御部12は、記憶部11の移動予定経路113が変更されたか否かを判定する(S8)。移動予定経路113が変更された場合(S8−Yes)、処理をステップST4へ進め、変更された移動予定経路113を用いて、視野情報生成処理(ST4)、可視判定処理(ST5)、地図画像生成処理(ST6)、経路変更処理(ST7)を再度実行する。これにより、利用者は、地図画像3上に表示されたアンカーポイントの位置を変更する度に、変更後のアンカーポイントの位置に基づいて移動予定経路113が変更され、当該変更された移動予定経路113上の各位置から注視点が可視か否かを示した地図画像を容易に再生成することができる。図11は、図10におけるアンカーポイントP1、P2の位置をそれぞれP1’、P2’の位置に変更した後における地図画像3を表している。図11に表すように、アンカーポイントをP1’、P2’の位置に変更すると、図10で非可視区間であった点線の区間が、注視点Cを可視となる区間と表示変更される。
移動予定経路113が変更されなかった場合(S8−No)、ステップS9へ処理を進め、入力部14から移動予定経路113を確定することを示す入力コマンドが入力されたか否かを判定する(ST9)。入力部14から移動予定経路113を確定することを示す確定コマンドが入力をされない場合(S9−No)、処理をST7に戻す。
入力部14から移動予定経路113を確定することを示す確定コマンドが入力された場合(S9−Yes)、処理をステップST10へ進める。ステップST10では、可視と判定された複数の注視点のうちの一つの注視点について、利用者により入力部14から選択される(ST10)。例えば、図11の移動予定経路L’において「BC」と示された区間について、利用者はBかCの何れかをマウスやキーボード等の入力部14を用いて選択する。同じように、移動予定経路L’において「AB」と示された区間について、利用者はAかBの何れかを選択する。なお、移動予定経路L’においていずれの注視点も不可視とされた「点線」の区間が存在する場合は、利用者は注視点A〜Cの何れかを任意に選択する。利用者により選択された結果は、ST11の時系列画像生成処理にて利用される仮想カメラ視野条件情報として記憶部11に記憶される。図12に仮想カメラ視野条件情報の例を表す。同図に表すように、仮想カメラ視野条件情報は、移動予定経路113上の位置を示す位置IDと、当該位置における視野条件(方向)とを対応付けた情報である。ここで設定される視野条件は、視野情報114から利用者が選択した注視点に係る視野条件である。このように、仮想カメラ視野条件情報は、視野情報114と判定結果115とST7における利用者による選択とに基づいて生成される。
次に、制御部12の画像処理手段123は、時系列画像生成処理を行う(ST11)。以下、時系列画像生成処理の詳細について説明する。時系列画像生成処理では、まず、記憶部11から仮想カメラ視野条件情報を読み出す。そして、仮想カメラ視野条件情報における移動予定経路113の所定の位置IDの視野条件を選択する。当該位置IDの座標値を移動予定経路113を参照して求め、当該座標値を仮想カメラの撮像条件として設定するとともに、仮想カメラ視野条件情報から選択した視野条件(方向)とST1の初期設定にて設定した視野条件(画角)とを仮想カメラの撮像条件として設定する。そして、空間モデル111上にST6にて生成した(判定結果115が付与された)経路モデルを配置すると共に、仮想カメラの撮像条件に基づいて、当該仮想カメラから空間モデル111を撮像したときの静止画像に相当する仮想カメラ画像を出力する。この際、仮想カメラ画像を、既知のコンピュータグラフィックス技術によるレンダリング処理にて求める。なお、その手法については、例えば、「コンピュータグラフィックス」(コンピュータグラフィックス編集委員会 編集・出版、平成18年刊)に詳細に記述されている
続いて、時系列画像生成処理では、出力された仮想カメラ画像に対して、注視点の3次元位置に相当する画像位置に注視点を示すラベルとフキダシをオーバーレイする。図12は、移動予定経路113上の所定の位置(図10におけるBCが可視とされる区間内の位置)から、(利用者に選択された)注視点Bの方向を仮想カメラで撮像した際の仮想カメラ画像2である。同図において、符号2a〜2cで示した画像領域は、それぞれ空間モデル111における海、陸地、建物に相当する画像領域であり、符号24及び符号25はそれぞれオーバーレイされたラベル及びフキダシに相当する画像領域である。同図に示したように、本実施形態における時系列画像生成処理では、判定結果115を参照し、可視/非可視に応じて注視点を示すフキダシの色を異ならせてオーバーレイ表示させている。同図では、注視点A及び注視点Cについては可視であることからフキダシの色を「白色」として表現している。一方、注視点Aについては(注視点Bが示す建物の陰に隠れているために)非可視と判定されていることからフキダシの色を「黒色」として表現している。なお、注視点Cは可視と判定されてはいるが、仮想カメラの撮像範囲外に位置しているため、フキダシの引き出し線及び枠線を点線にて表現している。また、同図において、符号23は、移動予定経路を表す画像領域であり、仮想カメラから見た経路モデルに相当する画像領域である。すなわち、図12の視野となる警備移動体の位置からは、注視点B及びCが可視となる移動予定経路が見えることがわかる。
時系列画像生成処理では、このような仮想カメラ画像(オーバーレイ済み)を、全ての移動予定経路113上の位置に対して生成し、これらの複数の仮想カメラ画像をフレームレートに従って合成することにより、時系列画像(動画像)を生成する。
次に、制御部12は、ST11の時系列画像生成処理にて生成した時系列画像をディスプレイ等の出力部13により表示出力する出力処理を行う(ST12)。なお、ST6にて生成した地図画像3は、地図画像3生成・更新される都度、ディスプレイ等の出力部13により逐次表示出力するものとする。
以上のように、本実施形態の警備シミュレーション装置1は、表示出力された地図画像3を警備計画立案者が閲覧することにより、警備計画立案者は、警備移動体の移動予定経路上における警備対象の可視・非可視を容易に確認することができる。また、表示出力された時系列画像を警備計画立案者が閲覧することにより、警備計画立案者は、警備空間内を移動する警備移動体からの仮想的な視野(時系列画像)を容易に把握できる。そして、時系列画像にオーバーレイ表示された注視点を示すラベル及びフキダシを閲覧することにより、その視野における位置において、各注視点が可視であるか非可視であるかを一目で判別することができるため、その位置でどの注視点を重点監視すべきかを判断することが容易となる。したがって、警備計画立案者は、警備計画の立案、確認を容易に行うことが可能となる。
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、更に種々の異なる実施形態で実施されてもよいものである。また、実施形態に記載した効果は、これに限定されるものではない。
上記実施形態では、視野情報114及び仮想カメラ視野条件情報において、視野条件として「方向」のみを位置IDに対応付けているが、これに限らず、画角や焦点距離等の他の視野条件を対応付けて記憶してもよい。すなわち、上記実施形態では、ST1にて初期設定した画角を固定値として利用していたが、これを可変値として扱うことにより、移動予定経路113上の位置に応じて方向・画角等を変更した視野条件の視野を表す時系列画像を得ることができる。例えば、注視点からの距離が遠くなるほど、ズームするような画角を求めて、視野情報114及び仮想カメラ視野条件情報の視野条件として方向と共に記憶する。これにより、注視点から離れても、注視点を所定の大きさのままの時系列画像を得ることができる。
上記実施形態では、ST7にて、可視と判定された注視点が複数存在する移動予定経路113上の位置が存在するとき、当該複数の注視点の中から一つの注視点を利用者により選択されているが、これに限らず、自動的に選択できるようにしてもよい。例えば、可視と判定された複数の注視点のうち、その移動予定経路113上の位置から最も近い注視点を自動選択してもよい。
上記実施形態では、ST9の出力処理にて、時系列画像を表示出力しているが、これに限らず、移動予定経路113の各位置における時系列画像の生成に用いた注視点に係る視野条件(仮想カメラ視野条件情報)を警備移動体が読み取り可能な形式からなるデータとして可搬記憶媒体やネットワーク等に出力(エクスポート)してもよい。出力されたデータを警備移動体に搭載されたカメラ制御装置(カメラのパン、チルト、ズームを制御操作する装置)に入力(インポート)することにより、警備移動体においてカメラを自動制御により、時系列画像と同じ視野からなるカメラ撮像画像を取得することが可能となる。
上記実施形態では、注視点情報112を警備空間における所定の一点を示した座標値として記憶しているが、これに限らず、所定の面(面範囲)を表した座標値(座標により面の範囲を指定)であってもよい。この場合、視野情報114の視野条件(方向)は、移動予定経路113上の位置から面の重心位置に向かう方向(角度)として算出すればよい。また、可視判定処理は、移動予定経路113上の位置から面の重心位置に向かう線分を求め、当該線分が障害物に干渉しないときに可視としてもよいし、面上に複数のサンプル位置を設け、各サンプル位置に向かう線分を求めて何れかの線分が障害物に干渉しないときに可視としてもよい。
上記実施形態では、警備対象(注視点)が動かないとみなして注視点情報112を警備空間における固定的な座標値として記憶しているが、これに限らず、注視点情報112を動的に変化させてもよい。例えば、VIP等の警備対象の移動ルートが予め判明している場合は、当該警備対象(注視点)と当該移動ルートを示す座標列と時刻とを対応付けた情報として注視点情報112を記憶しておく。この場合、視野情報生成処理(ST4)、可視判定処理(ST5)、地図画像生成処理(ST6)、時系列画像生成処理(ST11)等の各処理にて利用する注視点の座標値は、移動予定経路113上の所定の位置に警備移動体(仮想カメラ)が存在している時刻を求め、当該求めた時刻に対応する注視点情報112における注視点の座標値(その時刻に警備対象が存在している位置)を利用して処理すればよい。これによって、生成された時系列画像には、その時刻における警備対象の位置(注視点)が再現され、当該警備対象の方向を向くような警備移動体の視野を再現することができる。
上記実施形態では、ST2にて利用者により設定された注視点情報112に基づいて、設定された当該注視点を移動予定経路113の各位置から可視か否かを示した地図画像を生成しているが、これに限らず、ネットワーク等の入力部14から入力に基づいて注視点情報112を更新するようにしてもよい。この場合、注視点情報112が更新される都度、当該更新された注視点情報112を用いて可視判定処理(ST5)及び地図画像生成処理(ST6)を行い、更新された注視点を移動予定経路113の各位置から可視か否かを示した地図画像を逐次生成する。これにより、VIP等の警備対象の位置をGPSなどにより逐次更新し、既存の移動予定経路113で十分な警備を行うことが可能かについて即時に確認でき、警備計画の柔軟な変更に活用することが可能となる。
上記実施形態では、地図画像生成処理(ST6)にて、警備空間を仮想的に表した3次元の空間モデル111上に移動予定経路113の形状を表した(判定結果115が付与されている)経路モデルを配置し、当該空間モデル111を仮想カメラから仮想的に撮像した3次元画像を地図画像として出力している。しかし、これに限らず、予め記憶部11に記憶した警備空間の(2次元)地図上に(判定結果115が付与されている)移動予定経路113をオーバーレイ表示したものを地図画像として出力してもよい。この場合、地図画像生成手段124は、移動予定経路113と判定結果115とを用いて各注視点の可視/非可視について色・線種・記号により識別できる経路図形を生成し、予め記憶した地図上の座標と移動予定経路113の座標とが合致するようにオーバーレイ表示する。また、地図画像生成手段124は、経路図形を非可視区間が識別できるよう可視区間とは異なる色・線種・記号により表示し、非可視区間の両端にアンカーポイントを表示させる。
上記実施形態では、ST3にて移動予定経路113の全ての座標値を設定した後に、可視判定処理(ST5)及び地図画像生成処理(ST6)により、移動予定経路に判定結果115が付与された地図画像3を生成している。しかし、これに限らず、ST3にて移動予定経路113を設定している最中においても、逐次、設定中の移動予定経路に判定結果115が付与された地図画像3を生成してもよい。例えば、ST3にてマウス等により移動予定経路113を指定するための2点の位置がクリックされたとき、当該2点間を結ぶ経路の位置(座標)が移動予定経路113に対して追記されると共に、追記された位置についてそれぞれ可視判定処理(ST5)及び地図画像生成処理(ST6)を行う。これにより、利用者は、移動予定経路113を設定しながら注視点の可視/非可視が付与された地図画像を確認することができ、警備計画の立案をより容易に行うことができる。更に、ネットワーク等の入力部14から入力に基づいて移動予定経路113を逐次更新するようにしてもよい。この場合も、移動予定経路113が更新される都度、当該更新された移動予定経路113を用いて可視判定処理(ST5)及び地図画像生成処理(ST6)を行い、更新された移動予定経路113の各位置から注視点を可視か否かを示した地図画像を生成する。
上記実施形態では、地図画像生成処理(ST6)にて、非可視区間の両端にアンカーポイント(2つ)を付与するよう経路モデルを生成しているが、非可視区間に付与するアンカーポイントは2つに限定されない。すなわち、非可視区間の両端だけでなく、非可視区間の中間位置にもう一つアンカーポイントを追加してもよいし、所定間隔毎にアンカーポイントを追加してもよい。
上記実施形態では、経路変更処理(ST7)にて、利用者がアンカーポイントをドラック&ドロップしてアンカーポイントの位置を変更することによって記憶部11の移動予定経路113が更新され、当該更新された移動予定経路113に基づいてST4〜ST6の各処理が実行される。しかし、これに限らず、利用者がアンカーポイントの位置をドラックしている最中においても、移動予定経路113が逐次更新され、当該更新された移動予定経路113に基づいて可視判定処理(ST5)及び地図画像生成処理(ST7)の各処理を実行してもよい。これにより、利用者は、ドラックしたアンカーポイントをドロップする前に地図画像の移動予定経路113上に表示された判定結果115を参照して、可視区間となる位置にアンカーポイントをドロップすることができ、警備計画の迅速な策定に活用することが可能となる。