本発明の実施形態を説明する前に、本発明に関するキャリア・アグリゲーション、ハンドオーバーパラメータ、物理チャネルについて簡単に説明する。
(1)キャリア・アグリゲーション
図11は、キャリア・アグリゲーションを用いた受信周波数帯域の増減の一例を示す図である。Band1〜Band3は、それぞれ基地局装置が送信する下りリンクの周波数帯域(コンポーネントキャリア)を示し、キャリア・アグリゲーションによって同時に複数の周波数帯域を一つの移動局装置との接続に用いることが出来る。Band1〜Band3はそれぞれ異なる周波数である。なお、Band1〜Band3の周波数帯域の送信帯域幅はそれぞれ同じでも、一部または全部が異なっても良い。また、Band1〜Band3は連続した周波数帯域であっても、不連続な周波数帯域であってもよい。各周波数帯域は、Advanced EUTRAの移動局装置のみが使用可能な周波数帯域であっても良いし、Advanced EUTRAの移動局装置とEUTRAの移動局装置が共に使用可能な周波数帯域であっても良い。本例の移動局装置は、20MHzの周波数帯域を同時に3つまで受信可能であり、その受信帯域幅の合計は60MHzである。
図11の例では、ある時間Time1において、移動局装置はBand3の20MHzを使用して基地局装置と通信を行なっており、同時にBand1〜Band2の測定を行なっている。また、ある別の時間Time2において、移動局装置はBand2が追加され、Band2とBand3の合計40MHzを使用して基地局装置と通信を行なっており、同時にBand1の測定を行なっている。また、ある別の時間Time3において、移動局装置は更にBand1が追加され、Band1〜Band3の合計60MHzを使用して基地局装置と通信を行なっている。また、ある別の時間Time4において、移動局装置はBand2が削除され、Band1とBand3の合計40MHzを使用して基地局装置と通信を行なっており、同時にBand2の測定を行なっている。このように、キャリア・アグリゲーションを用いることで基地局装置の構成を大きく変えることなく、データレートを大幅に向上させることが可能となる。なお、Time1〜Time4の時間長は可変であり、各時間長が同じである必要は無い。
OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)のように、シンボル毎にガードインターバル(CP;Cyclic Prefix)が設けられた通信方式を使用する場合、キャリア・アグリゲーションに用いられる各周波数帯域のOFDMシンボルタイミングは等しいことが望ましい。OFDMシンボルタイミングが等しいとは、移動局装置の受信アンテナ端において各周波数帯域のOFDMシンボルの受信タイミングの差がCPの長さ以内に収まることを意味する。また、移動局装置が送信する上りリンクの周波数帯域に対して上述したキャリア・アグリゲーションを適用することも可能である。上りリンクの周波数帯域に対してキャリア・アグリゲーションを適用する場合、上りリンクの周波数帯域の送信タイミングは同じ、またはその差がCP長の長さ以内に収まることが望ましい。
(2)ハンドオーバーパラメータ
ハンドオーバーパラメータとは、移動局装置にハンドオーバーの実施のタイミングを判定させるために基地局装置が内部で保持している準静的な複数のパラメータ群のことである。ここでは、EUTRAにおけるハンドオーバーと、ハンドオーバーパラメータについて説明する。ハンドオーバーは、現在接続中のセル(在圏セル)の受信品質(Ms)とそれ以外のセル(周辺セル)の受信品質(Mn)に適用されるイベント条件が基地局装置から移動局装置に通知され、イベント条件が成立したときにイベント条件の成立を基地局装置に報告することによって開始される。受信品質は、下りリンクリファレンスシグナルの参照信号受信電力(RSRP;Reference Signal Received Power)または参照信号受信品質(RSRQ;Reference Signal Received Quality)を移動局装置が測定することによって得られる。
ハンドオーバーに関するイベント条件(ハンドオーバー条件とも称する)とは、典型的には、在圏セルと周辺セルのそれぞれの受信品質にセル毎に設定されるオフセット値(Oc)と周波数帯域毎に設定されるオフセット値(Of)を加え、更に在圏セルの受信品質にイベント用のオフセット値(Off)を加えた結果を比較することであり、周辺セルの受信品質が在圏セルの受信品質を上回ることで成立する。また、基地局装置は、ハンドオーバーが頻繁に発生しないように、周辺セルの受信品質を調整するヒステリシス(Hysteresis)と、ハンドオーバー条件が成立するまでの所要時間(TTT;Time To Trigger)とを移動局装置に通知する。すなわち、ハンドオーバーパラメータとしては、セル毎のオフセット値、周波数帯域毎のオフセット値、イベント用のオフセット値、ヒステリシス、TTTとが存在する。
図12は、測定対象セルと測定方法について説明した図である。イベント判定に関するセル毎の対応関係について、図12を用いて説明する。図12のセルA1とセルA2は、空間的に同一エリアに配置され、互いに異なる周波数F1と周波数F2で運用されるセルである。セルB1とセルB2も同様に、空間的に同一エリアに配置され、互いに異なる周波数F1〜周波数F2で運用されるセルである。このとき、在圏セルがセルA2であった場合、セルA2からセルA1またはセルB1へのハンドオーバーは異周波数ハンドオーバーとなり、セルA2には、セルA2のオフセット値(Oc_A2)と周波数F2のオフセット値(Of_F2)、イベント用のオフセット値(Off)が加えられる。また、セルA1にはセルA1のオフセット値(Oc_A1)と周波数F1のオフセット値(Of_F1)、ヒステリシスが加えられる。また、セルB1にはセルB1のオフセット値(Oc_B1)と周波数F1のオフセット値(Of_F1)、ヒステリシスが加えられる。また、セルA2からセルB2へのハンドオーバーは同周波数ハンドオーバーとなり、セルA2には、セルA2のオフセット値(Oc_A2)とイベント用のオフセット値(Off)が加えられる。また、セルB2にはセルB2のオフセット値(Oc_B2)とヒステリシスが加えられる。ハンドオーバー条件に用いられるヒステリシスとTTTは、周波数帯域毎に設定される。オフセット値とヒステリシスは負の値が設定されても良い。
更に、移動局装置の移動速度によってハンドオーバー条件が成立するまでの所要時間を緩和させるために、基地局装置は、TTTの短縮(または延長)を行なうためのスケーリング係数(Scaling Factor)を指定することも可能である。すなわち、スケーリング係数はハンドオーバー条件が成立するまでの所要時間を短縮(または延長)するために用いられる。基地局装置は、スケーリング係数を移動局装置の移動速度毎に指定することが可能であり、例えば、基地局装置は移動局装置に対して高速移動時と高速移動時よりも遅い中速移動時とで別のスケーリング係数を指定することもできる。基地局装置は移動局装置毎に異なるスケーリング係数を割当てることもできる。移動局装置は、基地局装置から高速移動時におけるスケーリング係数として0.5が指定されたときで、移動局装置が高速移動中であると判定した場合、移動局装置は通知されたTTTに0.5を乗算した値をTTTとして設定してイベント判定を行なう。このように、スケーリング係数と移動速度(移動速度情報)もハンドオーバー条件に関係するため、ハンドオーバーパラメータに含まれる。移動速度情報は、移動局装置が所定の時間内に発生したハンドオーバーの回数によって移動局装置で生成する。
(3)物理チャネル
EUTRAおよびAdvanced EUTRAで使用される物理チャネル(または物理シグナル)について説明を行なう。物理チャネルはEUTRA、およびAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、その構造が変更される可能性もあるが、変更された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
同期シグナル(Synchronization Signal)は、移動局装置が基地局装置(またはリレー局装置)を高速に検出するために使用される。同期シグナルは、3種類のプライマリ同期シグナルと周波数領域で互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセル識別子(セルID)と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。移動局装置は、セルサーチによって受信したセルIDを特定する。
物理報知情報チャネル(PBCH;Physical Broadcast Channel)は、セル内の移動局装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報)を通知する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、下りリンク共用制御チャネルで無線リソースが通知され、下りリンクデータチャネルを用いて送信される。報知情報として、アクセス制限情報やセル個別の識別子を示すセルグローバルIDなどが通知される。
下りリンクリファレンスシグナルは、セル毎に所定の電力で送信されるパイロットシグナルである。また、下りリンクリファレンスシグナルは、所定の規則に基づき周波数・時間位置で周期的に繰り返される既知の信号である。移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルを受信することでセル毎の受信品質を測定する。また、移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルと同時に送信される下りリンク共用制御チャネル、または下りリンクデータチャネルの復調のための参照用の信号としても下りリンクリファレンスシグナルを使用する。下りリンクリファレンスシグナルに使用される系列は、セル毎に一意に識別可能な系列が用いられる。なお、下りリンクリファレンスシグナルはセル専用RS(Cell-specific reference signal)と記載される場合もあるが、その用途と意味は同じである。
下りリンク共用制御チャネル(PDCCH;Physical Downlink Common Channel)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボルで送信され、移動局装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割当て情報や、送信電力の増減の調整量を指示する目的で使用される。移動局装置は、下りリンクデータ(下りリンクトラフィックデータ)や制御メッセージを送受信する前に下りリンク共用制御チャネルを受信し、送信時には上りリンクグラントを、受信時には下りリンクグラントから無線リソース割当て情報を取得する必要がある。
下りリンクデータチャネル(PDSCH;Physical Downlink Shared Channel)は、下りリンクデータの他、ページング情報、報知情報の一部を通知するためにも使用される。下りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク共用制御チャネルで示される。
上りリンクデータチャネル(PUSCH;Physical Uplink Shared Channel)は、主に上りリンクデータ(上りリンクトラフィックデータ)を送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、下りリンクと同様に上りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク共用制御チャネルで示される。
ランダムアクセスチャネル(PRACH;Physical Random Access Channel)は、プリアンブル系列を通知するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを持つ。ランダムアクセスチャネルは、上りリンク送信タイミングが非同期状態の移動局装置の基地局装置へのアクセス手順として用いられ、無線リソース要求や上りリンク送信タイミングの調整に用いられる。なお、それ以外の物理チャネルは、本発明の各実施形態に関わらないため詳細な説明は省略する。
[本発明の通信ネットワーク構成の例]
図13は、本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって複数の周波数帯域(コンポーネントキャリア、Band1~Band3)を同時に用いて基地局装置3と接続することが可能な場合、通信ネットワーク構成としては、ある一つの基地局装置3が複数の周波数帯域毎に送信装置11〜13(図示しない受信装置21〜23)を備えており、各周波数帯域の制御を一つの基地局装置3で行なう構成が制御の簡略化の観点から好適である。ただし、複数の周波数帯域が連続する周波数帯域であるなどの理由で、基地局装置3が一つの送信装置で複数の周波数帯域の送信を行なう構成であっても構わない。基地局装置3の送信装置によって制御される各周波数帯域の通信可能範囲はセルとしてみなされ、空間的に同一のエリアに存在する。このとき、各周波数帯域がカバーするエリア(セル)はそれぞれ異なる広さ、すなわち異なる半径であっても良い。ただし、後述する記載において、基地局装置3が形成するキャリア要素の周波数の各エリアのことをセルと称して説明するが、これは実際に運用される通信システムにおけるセルの定義とは異なる可能性があることに注意する。例えば、ある通信システムでは、キャリア・アグリゲーションによって用いられるコンポーネントキャリアのことを、セルではなく単なる追加の無線リソースと定義するかもしれない。本発明でコンポーネントキャリアをセルと称することで、実際に運用される通信システムにおけるセルの定義と異なる場合が発生したとしても、本発明の主旨には影響しない。
[コンポーネントキャリアの対応関係の例]
図14は、本発明の実施形態に係る移動局装置1がキャリア・アグリゲーションを行なう場合に、構成される下りリンクコンポーネントキャリアと、上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係の例を示した図である。下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC1は上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC1に対応している。すなわち、DL_CC1で受信されたデータのACK/NACKや受信品質のフィードバックは、UL_CC1で送信される。また、上りリンクコンポーネントキャリアに対し、複数の下りリンクコンポーネントキャリアが対応する場合も可能である。図の例では、DL_CC2とDL_CC3で受信されたデータのACK/NACKや受信品質のフィードバックは、どちらもUL_CC2で送信される。
移動局装置1は、下りリンクコンポーネントキャリアがどの基地局装置3から送信されているか、上りリンクコンポーネントキャリアがどの基地局装置3で受信されるかを特に意識することなく、通常のセルサーチ手順を用いて選択する。そして、移動局装置1は、選択したセルの報知情報から下りリンクコンポーネントキャリアが対応する上りリンクコンポーネントキャリアの周波数帯域や帯域幅などの情報を取得する。基地局装置3は、下りリンクコンポーネントキャリアと上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係を移動局装置1毎に個別に設定しても良い。移動局装置1は、基地局装置3の指示に基づいてキャリア・アグリゲーションを開始し、複数のコンポーネントキャリアに対する送受信を開始する。
以上の事項を考慮しつつ、以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の説明において、本発明に関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明瞭にすると判定される場合には、その詳細な説明を省略する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。本実施形態は、移動局装置1がキャリア・アグリゲーションにより複数の下りリンクの周波数帯域(下りリンクコンポーネントキャリア)を用いているときに、移動局装置1が効率的にイベント判定を行なうためのイベント条件のパラメータ調整方法に関する。
図1は、本発明の実施形態に係る基地局装置3の概略構成を示すブロック図である。本基地局装置3は、受信部101、復調部103、復号部105、上位レイヤ107、符号部109、変調部111、RS生成部113、多重部115、送信部117、制御部119から構成される。
上位レイヤ107は、下りリンクデータと下りリンク制御データを符号部109へ入力する。符号部109は、入力されたデータを符号化し、変調部111へ入力する。変調部111は、符号化した信号の変調を行なう。また、変調部111から出力される信号とRS生成部113で生成される下りリンクリファレンスシグナルは、多重部115にて周波数領域にマッピングされる。多重部115からの出力信号は、送信部117に入力される。送信部117は、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行ない送信する。
上位レイヤ107は、移動局装置1毎にイベント条件を設定する。上位レイヤ107から出力されたイベント条件およびハンドオーバーパラメータは、イベント条件を設定する必要がある場合に下りリンクデータとして符号部109と変調部111へ入力され、物理報知情報チャネル、または下りリンクデータチャネルに適切に配置され、送信信号として送信される。基地局装置3が送信するハンドオーバーパラメータが配置された下りリンクデータチャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)を構成する。
また、受信部101は、移動局装置1から受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換する。デジタル信号は、復調部103へ入力されて復調される。復調部103で復調された信号は続いて復号部105へ入力されて復号され、正しく復号された上りリンク制御データや上りリンクデータは上位レイヤ107へ出力される。これら各ブロックの制御に必要なスケジューリングに関する制御情報は、上位レイヤ107より制御部119へ入力され、制御部119より送信に関連する制御情報は送信制御情報として、符号部109、変調部111、RS生成部113、多重部115、送信部117の各ブロックに、受信に関連する制御情報は受信制御情報として、受信部101、復調部103、復号部105の各ブロックに適切に入力される。図1において、その他の基地局装置3の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。
なお、ハンドオーバーパラメータは基地局装置3毎に管理されることが好適であるが、基地局装置3よりも上位の制御局装置がハンドオーバーパラメータを管理し、上位の制御局装置から適宜ハンドオーバーパラメータを基地局装置3に通知する、または基地局装置3の要求に応じてハンドオーバーパラメータを基地局装置3に通知するような管理方法であっても良い。
図2は、本発明の実施形態に係る移動局装置1の概略構成を示すブロック図である。本移動局装置1は、受信部201、復調部203、復号部205、測定処理部207、イベント判定部209、ランダムアクセス生成部211、符号部213、変調部215、送信部217、送信帯域設定部219、制御部221、上位レイヤ223、セル判定部225から構成される。受信に先立ち、上位レイヤ223より制御部221へ制御情報が入力され、受信に関する制御情報が受信制御情報として、受信部201、復調部203、復号部205へ適切に入力される。受信制御情報は、受信周波数帯域の情報の他に、各チャネルに関する受信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。移動局装置1は、受信部201と送信部217を複数備えていても良い。
受信信号は、受信部201において受信される。受信部201は、受信制御情報で指定された周波数帯域で信号を受信する。受信された信号は、復調部203へと入力される。復調部203は、受信信号の復調を行ない、復号部205へと信号を入力して下りリンクデータと下りリンク制御データとを正しく復号し、復号された各データを上位レイヤ223へと入力する。ハンドオーバーパラメータが復号された場合、ハンドオーバーパラメータはイベント判定部209へ入力される。また、ハンドオーバーパラメータは上位レイヤ223からイベント判定部209へ入力されてもよい。測定処理部207は、セル毎の下りリンクリファレンスシグナルの受信品質の測定処理や、下りリンク共用制御チャネルまたは下りリンクデータチャネルの受信誤り率の測定結果に基づいて測定処理を行ない、測定した受信品質をサンプル毎に平均化(フィルタリング)した測定情報を生成し、測定情報を上位レイヤ223と、必要であればイベント判定部209へ出力する。
イベント判定部209には、イベント条件、ハンドオーバーパラメータ、測定情報のほか、移動局装置1がキャリア・アグリゲーションを用いて接続中であれば、キャリア・アグリゲーションによって接続されているコンポーネントキャリアを一意に特定するための情報であるキャリア要素情報が入力される。キャリア要素情報は、移動局装置1が現在接続に使用しているキャリア・アグリゲーションを用いて接続中のコンポーネントキャリアを判別可能な情報であれば、いかなる形式でも良い。例えば、絶対無線周波数チャネル番号(ARFCN;Absolute Radio Frequency Channel Number)とセルIDで構成されることも可能である。
イベント判定部209は、入力されたキャリア要素情報をセル判定部225へ入力する。セル判定部225は、入力されたキャリア要素情報から、測定対象の周波数のセル(キャリア要素)毎の関係について判定するセル判定処理を行ない、その判定結果であるセル判定結果情報をイベント判定部209に対して出力する。セル判定結果情報は、セル毎にハンドオーバーパラメータを調整するか否かの情報を示す。また、イベント判定部209は、入力されたイベント条件、ハンドオーバーパラメータ、測定情報、セル判定結果情報に基づき、イベント条件(ハンドオーバー条件)が満たされたか否かを評価するためのイベント判定処理を行なう。そして、イベント判定部209は、イベント条件が満たされた場合、成立したイベント条件を示すイベント情報を上位レイヤ223へと出力する。イベント情報には、少なくとも成立したイベント条件の種別を示すイベント識別子(Event ID)とイベント条件が成立したセル(キャリア要素)のセルIDとが含まれる。接続しているキャリア要素を識別するため、キャリア要素毎に割り振られるIDであるキャリア要素IDが使用される場合、イベント判定部209は、セルIDの代わりにキャリア要素IDを含めることも可能である。キャリア要素IDは、基地局装置3よりキャリア・アグリゲーションによって接続されキャリア要素が指示されるたびに割当てられる。イベント判定部209及びセル判定部225は、上位レイヤ223のサブ機能ブロックとすることもできる。イベント条件は、上位レイヤ223によって通知される。
また、送信に先立ち、上位レイヤ223より制御部221へ制御情報が入力され、送信に関する制御情報が送信制御情報として、ランダムアクセス生成部211、符号部213、変調部215、送信帯域設定部219へ適切に入力される。送信制御情報は、送信信号の上りリンクスケジューリング情報として、符号化情報、変調情報、送信周波数帯域の情報、各チャネルに関する送信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。ランダムアクセス情報はランダムアクセス生成部211に入力され、ランダムアクセス生成部211においてランダムアクセスデータが生成される。ランダムアクセス情報には、プリアンブル情報や送信用の無線リソース情報などが含まれる。
符号部213には、前記ランダムアクセスデータのほか、上位レイヤ223より上りリンクデータと上りリンク制御データとが入力される。符号部213は送信制御情報に従い、各データを適切に符号化し、変調部215に出力する。変調部215は、符号部213からの入力を変調する。送信帯域設定部219は、各送信部217に対して送信する周波数帯域を設定する。送信部217は、変調部215の出力を周波数領域にマッピングすると共に、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換し、既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行ない送信する。また、上位レイヤ223に入力されたイベント情報は、上りリンクデータとして符号部213と変調部215へ入力され、上りリンクデータチャネルに適切に配置されて送信信号として送信される。移動局装置1が送信するイベント情報が配置された上りリンクデータチャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)を構成する。図2において、その他の移動局装置1の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。
また、本基地局装置3と本移動局装置1が配置される通信システムの通信ネットワーク構成および周波数帯域の対応関係は、それぞれ図13と図14に示したものと同様のものを適用できる。
図3は、本発明の実施形態に係る移動局装置1の測定処理に関するシーケンスチャート図である。本発明に関するイベント判定処理の方法について、図3のシーケンスチャートを用いて説明する。図3は、移動局装置1と、キャリア要素1の周波数〜キャリア要素4の周波数(コンポーネントキャリア1〜コンポーネントキャリア4)とが存在し、移動局装置1がキャリア・アグリゲーションによってキャリア要素1の周波数〜キャリア要素3の周波数の周波数帯域を用いて基地局装置3と接続している状態(キャリア・アグリゲーション状態)から開始される。キャリア要素1の周波数〜キャリア要素3の周波数は異なる周波数帯域である。移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションされるキャリア要素1の周波数〜キャリア要素3の周波数を空間的に同一な場所で受信する。ただし、各キャリア要素の周波数のセル半径は異なっていても良い。キャリア要素4の周波数は移動局装置1と未接続である。キャリア要素4の周波数は、キャリア要素1の周波数〜キャリア要素3の周波数のいずれかと同じ周波数でも良いし、異なる周波数でも良い。キャリア要素4の周波数は、移動局装置1と未接続の別の基地局装置3が使用する周波数でも良い。
特に説明の無い限り、キャリア要素の周波数とは、下りリンクコンポーネントキャリアと、下りリンクコンポーネントキャリアに対応する上りリンクコンポーネントキャリアのセットを意味する。また、図中の移動局装置1からキャリア要素の周波数への送信は、上りリンクコンポーネントキャリアを使用した基地局装置3への送信を意味し、キャリア要素の周波数から移動局装置1への送信は、下りリンクコンポーネントキャリアを使用した基地局装置3から移動局装置1への送信を意味する。以下、適宜キャリア要素の周波数のことを単にキャリア要素またはセルと称して説明することがある。イベント判定のために移動局装置1が測定を行なうキャリア要素の周波数のセルのことを特に測定対象セルと称する。なお、実際は各制御メッセージの送受信に先立ち、下りリンク共用制御チャネルによる下りリンクまたは上りリンクの無線リソース割当て情報が必要であるが、図面上ならびに説明では省略してある。
基地局装置3は、いずれかのキャリア要素の周波数を用いて移動局装置1へ測定制御情報を送信する(ステップS101)。測定制御情報には、イベント条件とハンドオーバーパラメータ(測定対象セル毎の受信品質の比較や、測定対象セルの受信品質と閾値との比較の際に用いられる各パラメータ(セル毎のオフセット値、周波数帯域毎のオフセット値、ヒステリシス、TTT)、およびスケーリング係数)が含まれる。測定制御情報は、周波数帯域毎に設定される。また、測定制御情報は、セル内で共通の情報として報知情報として送信されても、接続中の移動局装置1の個別の情報として送信されても良い。また、測定制御情報のみをレイヤ3メッセージとして送信しても良いし、移動局装置1の無線接続設定または無線接続設定変更に関するレイヤ3メッセージと一緒に送信されても良いし、下りリンクデータと一緒に送信されても良い。また、複数のレイヤ3メッセージに分散されて送信されても良い。無線接続設定は、例えばRRC Connection Setupであり、無線接続設定変更は、例えばRRC Connection Reconfigurationである。
移動局装置1は、基地局装置3より送信される測定制御情報を、新たな測定制御情報を受信するまで、または基地局装置3との接続を終了するまで、移動局装置1内部で保持し続ける。測定制御情報を保持した後、移動局装置1は自局の移動速度の判定を行なうことで移動局装置速度情報を求める(ステップS103)。移動速度情報は、所定の時間内にハンドオーバーによって移動したセルの数と閾値を比較することによって判定される。判定に用いられる所定の時間と閾値は、基地局装置3から移動局装置1に通知される。移動局装置1は、例えばセルの数が閾値1よりも少なければ速度S1であると判定し、閾値1以上で閾値2未満であれば速度S2と判定し、閾値2以上であれば速度S3と判定する。閾値を多くすることで、移動局装置1は更に細かい移動速度を判定することも可能である。移動局装置1は、移動速度の判定によって判定した移動速度情報をハンドオーバーパラメータとして移動局装置1内部に保持する。
続いて、移動局装置1は各キャリア要素における下りリンクリファレンスシグナルをそれぞれ受信し(ステップS105)、キャリア要素毎に受信品質を測定する。そして、測定対象であるキャリア要素毎の受信品質を計算するために、測定した受信品質に対してハンドオーバーパラメータであるセル毎のオフセット値と周波数帯域毎のオフセット値、イベント用のオフセット値、ヒステリシスを加える。そして、移動局装置1は、計算した受信品質を用いてキャリア要素(セル)毎に受信品質の比較を行ない、イベント条件が成立したかどうかをイベント条件が成立するまでの所要時間(TTT)に基づいて判定する(ステップS107)。
本実施形態の移動局装置1は、イベント判定においてキャリア要素情報からキャリア要素毎に関係を判定し、判定結果に応じてイベント条件に用いるパラメータを修正するパラメータ調整処理を行った後にイベント判定を行なう。そして、当該イベント条件が成立した場合、移動局装置1は成立したイベント情報をレイヤ3メッセージである測定報告に含め、接続しているキャリア要素のいずれかを用いて基地局装置3へ送信する(ステップS109)。図では移動局装置1はキャリア要素1の周波数に対して測定報告を送信しているが、接続中の別のキャリア要素2の周波数またはキャリア要素3の周波数で送信しても良い。測定報告は、例えばレイヤ3メッセージのMeasurement Reportである。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る移動局装置1のパラメータ調整処理を示すフローチャートである。パラメータ調整処理は、図3のイベント判定処理におけるキャリア要素(セル)毎に受信品質の比較を行なうときの処理の一部として実行される。移動局装置1は、キャリア要素情報から、測定対象セルがキャリア・アグリゲーションを用いて接続中であるかどうかを判定するセル判定処理を行なう(ステップS201)。例えば、移動局装置1は、図3におけるキャリア要素1の周波数とキャリア要素2の周波数との受信品質の比較であれば、測定対象セルがキャリア・アグリゲーションを用いて接続中であると判定し、パラメータ調整を行ない、調整後の値を使用する(ステップS203)。一方、移動局装置1は、図3におけるキャリア要素1の周波数とキャリア要素4の周波数との受信品質の比較であれば、測定対象セルがキャリア・アグリゲーションを用いて接続中ではないと判定し、パラメータ調整を行なわず、通知された値をそのまま使用する(ステップS205)。
ここで、パラメータ調整は、ハンドオーバーパラメータのいずれかを基地局装置3から通知された値と異なる値となるように修正することにより行なわれる。例えば、イベント用のオフセット値(Off)を大きくすることである。あるいは、周辺セルの受信品質を調整するヒステリシス(Hysteresis)を小さくすることである。あるいは、イベント条件が成立するまでの所要時間を示す時間(TTT)を長くすることである。
また、この他のパラメータ調整の制御内容としては、当該イベント条件に新たなハンドオーバーパラメータを追加することにより、通知されたイベント条件を修正する方法がある。例えば、測定したキャリア要素の受信品質に対して、キャリア・アグリゲーションを用いて接続中のキャリア要素用のオフセット値(COff)を加えることである。また、上記の各ハンドオーバーパラメータ(TTT、Off、Hysteresis、COff)を、それぞれ無限大(infinity)とすることでパラメータ調整した場合においてイベント条件が成立しないようにしても良い。なお、通常よりイベント条件の成立が抑制されるようなパラメータの調整方法であれば、上記に示した修正の方法だけに限らず、いかなるパラメータの調整方法を用いても良い。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る移動局装置1がキャリア要素(セル)の受信品質の比較を行なう際のパラメータ調整の有無を示す図である。セルA1〜セルA3は、空間的に同一エリアに配置され、互いに異なる周波数F1〜周波数F3で運用されるセルである。セルB1とセルB2も同様に、空間的に同一エリアに配置され、互いに異なる周波数F1〜周波数F2で運用されるセルである。このとき、セルA1とセルA2とが、ある移動局装置1に対してキャリア・アグリゲーションを用いて接続中である場合で、かつ移動局装置1がセルA1とセルA2との受信品質の比較を行なう場合、移動局装置1はパラメータ調整を行なう。移動局装置1はそれ以外のセルで受信品質を比較する場合、パラメータ調整を行なわない(例えばセルA1とセルB1との比較)。
このように、第1の実施形態では、イベント条件に用いるパラメータ調整が、キャリア・アグリゲーションを用いて接続中のキャリア要素毎に受信品質の比較を行なう際に実施される。すなわち、比較する2つのキャリア要素がキャリア・アグリゲーションを用いて接続中の場合、移動局装置1がパラメータ調整を行なうことによって、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
以上のように、移動局装置1は、基地局装置3から通知されるハンドオーバーパラメータと、キャリア・アグリゲーションを用いて接続中であるかを示すキャリア要素情報とに基づいて適切にパラメータを調整する。よって、移動局装置1は、測定しているキャリア要素毎に適切にイベント条件を設定してイベント判定を行なうため、効率的なイベント判定を行なうことができる。移動局装置1がパラメータ調整を行なう場合はイベント条件の成立が通常時よりも抑制される。このように、不必要なイベント条件が成立しなくなり、イベント情報の報告の発生が抑制されるため、移動局装置1における消費電力を削減することができる。また、不要なハンドオーバー処理に伴う通信の切断確率ならびにハンドオーバー失敗確率が低下するため、移動局装置1における通信品質が向上する。また、イベント情報の報告のための無線リソースの消費が抑制されるため、無線リソースの利用効率が向上する。基地局装置3は、移動局装置1からの測定報告に基づきハンドオーバーを制御するため、複雑な制御が不要となり、スケジューリングの複雑性(Complexity)が低減する。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について以下に説明する。本実施形態は、移動局装置1が、各キャリア要素の受信品質の比較を行なうに際して基準となるセルを設定されているときに、移動局装置1が効率的にイベント判定を行なうためのイベント条件のパラメータ調整方法に関する。
本実施形態の基地局装置3と移動局装置1の構成は、第1の実施形態と同じで良いため、その説明を省略する。ただし、移動局装置1のイベント判定部に入力されるキャリア要素情報に、基準セル情報が含まれる点が異なる。また、本基地局装置3と本移動局装置1が配置される通信システムの通信ネットワーク構成および周波数帯域の対応関係は、それぞれ図13と図14に示したものと同様のものを適用できる。イベント判定に関するシーケンスチャートは図3と同じで良い。
移動局装置1がキャリア要素毎に受信品質の比較を行なうに際して基準となるキャリア要素(基準セル)は、アンカーコンポーネントキャリア(アンカー上りリンクコンポーネントキャリアとアンカー下りリンクコンポーネントキャリアのセット)、またはアンカーセルと呼ばれることもある。基準セルは、セル毎に共通であっても良いし、移動局装置1毎に個別に指定されても良い。基準セルは、基地局装置3から移動局装置1へ明示的に指定されても良いし、または暗黙的に指定されてもよい。移動局装置1が任意の方法で選択し、選択した結果を基地局装置3へ報告しても良い。移動局装置1は、基準セルであるキャリア要素のみ下りリンク共用制御チャネルを受信するかもしれないし、基準セルであるキャリア要素のみ下りリンクの受信品質の測定を行なうかもしれない。基地局装置3は、イベント条件を基準セルであるキャリア要素との比較のみに設定するかもしれない。このように、移動局装置1に対して基準セルを設定することによって、基準セルであるキャリア要素を中心とした測定方法が可能であるため、移動局装置1の測定処理に必要な制御が簡略化される。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る移動局装置1のパラメータ調整処理を示すフローチャートである。移動局装置1は、キャリア要素情報から、測定対象セルがキャリア・アグリゲーションを用いて接続中であるかどうかを判定するセル判定処理を行なう(ステップS301)。また、移動局装置1は基準セルがどのキャリア要素であるかを把握する。移動局装置1は、測定対象セルがキャリア・アグリゲーションを用いて接続中であれば、パラメータ調整を行ない、調整後の値を使用する(ステップS303)。一方、移動局装置1は、測定対象セルがキャリア・アグリゲーションを用いて接続中ではない場合、測定対象セルが基準セルとの比較であるかどうかを判定する(ステップS305)。測定対象セルが基準セルとの比較であれば、パラメータ調整を行なわず、通知された値をそのまま使用する(ステップS307)。
すなわち、第2の実施形態におけるキャリア要素情報には、移動局装置1が受信品質の比較を行なうキャリア要素がキャリア・アグリゲーションを用いて接続中か否かの情報と、基準セルとを識別可能な情報が少なくとも含まれる必要がある。パラメータ調整の方法は第1の実施形態で説明した方法を用いることができるため、説明を省略する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る移動局装置1がキャリア要素(セル)毎に受信品質の比較を行なう際のパラメータ調整の有無を示す図である。図7の各要素は図5と同じであるため詳細を略す。ただし、セルA2は基準セルである。このとき、セルA1とセルA2とが、ある移動局装置1に対してキャリア・アグリゲーションを用いて接続中である場合で、かつ移動局装置1がセルA1とセルA2との受信品質の比較を行なう場合、移動局装置1はパラメータ調整を行なう。移動局装置1がそれ以外のセルの受信品質を比較する場合、基準セルとの受信品質の比較であれば、移動局装置1はパラメータ調整を行なわない(例えばセルA2とセルB1との比較)。移動局装置1は基準セル以外との受信品質の比較を行なう場合、パラメータ調整を行なう(例えばセルA1とセルB2との比較)。
このように、第2の実施形態では、イベント条件に用いるパラメータ調整が、キャリア・アグリゲーションを用いて接続中のキャリア要素毎に受信品質の比較を行なう際の他、移動局装置1が基準セル以外のキャリア要素同士の受信品質の比較を行なう際に実施される。すなわち、移動局装置1が比較する2つのキャリア要素がキャリア・アグリゲーションを用いて接続中の場合、またはどちらも基準セルでない場合、移動局装置1がパラメータ調整を行なうことによって、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
以上のように、移動局装置1は、基地局装置3から通知されるハンドオーバーパラメータと、移動局装置1が受信品質の比較を行なうキャリア要素がキャリア・アグリゲーションを用いて接続中であるか、および基準セルであるかを示すキャリア要素情報とに基づいて適切にパラメータを調整する。よって、移動局装置1は、測定しているキャリア要素毎に適切にイベント条件を設定してイベント判定を行なうため、効率的なイベント判定を行なうことができる。移動局装置1がパラメータ調整を行なう場合はイベント条件の成立が通常時よりも抑制される。このように、不必要なイベント条件が成立しなくなり、イベント情報の報告の発生が抑制されるため、移動局装置1における消費電力を削減することができる。また、不要なハンドオーバー処理に伴う通信の切断確率ならびにハンドオーバー失敗確率が低下するため、移動局装置1における通信品質が向上する。また、イベント情報の報告のための無線リソースの消費が抑制されるため、無線リソースの利用効率が向上する。基地局装置3は、移動局装置1からの測定報告に基づきハンドオーバーを制御するため、複雑な制御が不要となり、スケジューリングの複雑性が低減する。また、基準セルを用いることによって測定方法の簡略化が可能となり、移動局装置1または基地局装置3の制御の複雑さを低減できる。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について以下に説明する。本実施形態は、移動局装置1が各キャリア要素の受信品質の比較を行なうに際して、キャリア要素毎にイベント判定の有無を判定するイベント判定方法を示す。
本実施形態の基地局装置3と移動局装置1の構成は、第1の実施形態と同じで良いため、その説明を省略する。移動局装置1のイベント判定部に入力されるキャリア要素情報に、基準セル情報が含まれても良いし、含まれなくても良い。また、本基地局装置3と本移動局装置1が配置される通信システムの通信ネットワーク構成および周波数帯域の対応関係は、それぞれ図13と図14に示したものと同様のものを適用できる。イベント判定に関するシーケンスチャートは図3と同じで良い。
図8は、本発明の第3の実施形態に係る移動局装置1のパラメータ調整処理を示すフローチャートである。移動局装置1は、キャリア要素情報から、測定対象セルがキャリア・アグリゲーションを用いて接続中であるかどうかを判定するセル判定処理を行なう(ステップS401)。測定対象セルがキャリア・アグリゲーションを用いて接続中であれば、移動局装置1は、当該測定対象セルをイベント判定が不要なイベント非判定のセルであると判定し、当該測定対象セルの受信品質はイベント判定のために使用しない(ステップS403)。一方、測定対象セルがキャリア・アグリゲーションを用いて接続中でなければ、パラメータ調整を行なわず、通知された値をそのまま使用する(ステップS405)。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る移動局装置1において、基準セルが指定された場合の、パラメータ調整処理を示すフローチャートである。図9のフローチャートを用いて、第3の実施形態の移動局装置1におけるパラメータ調整処理の別の方法について説明する。移動局装置1は、キャリア要素情報から、測定対象セルがキャリア・アグリゲーションを用いて接続中であるかどうかを判定するセル判定処理を行なう(ステップS501)。また、基準セルがどのキャリア要素であるかを把握する。移動局装置1は、測定対象セルがキャリア・アグリゲーションを用いて接続中であれば、当該対象セルをイベント非判定のセルであると判定し、当該測定対象セルの受信品質はイベント判定のために使用しない(ステップS503)。一方、移動局装置1は、測定対象セルがキャリア・アグリゲーションを用いて接続中ではない場合、測定対象セルが基準セルとの比較であるかどうかを判定する(ステップS505)。移動局装置1は、測定対象セルが基準セルとの比較であれば、パラメータ調整を行なわず、通知された値をそのまま使用する(ステップS507)。
なお、パラメータ調整処理において、移動局装置1が測定対象セルをイベント非判定のセルと判定した場合の移動局装置1の制御として、基地局装置3から通知されたイベント条件が成立したときに移動局装置1が基地局装置3へ当該イベント条件の成立を報告しない方法であれば、他の方法を用いても良い。例えば、移動局装置1はイベント判定を通常通り行なうが、イベント非判定のセルでイベント条件が成立したことを基地局装置3に報告しないなどの方法を用いても良い。
基地局装置3は、本パラメータ調整処理の有無をセル毎に明示的に指定することも可能である。例えば、基地局装置3は、あるセルについては特定のイベント条件にのみ本パラメータ調整処理方法を適用し、それ以外のイベント条件では適用しないという指定も可能である。
図10は、本発明の第3の実施形態に係る基地局装置3が移動局装置1にイベント条件を通知する際に、イベント条件毎にパラメータ調整処理の実施の有無を行なうセルを指定するために参照されるテーブルの一例である。なお、基地局装置3は、図10に示すテーブルを、報知情報を用いてセル内の移動局装置1に通知しても良いし、移動局装置1毎に個別に通知しても良いし、イベント条件を移動局装置1毎に通知するに際して通知するイベント条件毎に通知しても良い。後者の好適な通知方法は、基地局装置3がイベント条件を移動局装置1に通知する際に使用される測定制御情報に、イベント非判定のセルを示すセルID、または複数のセルIDを示すセルIDグループ(連続するセルIDの始まりと終わりを示す範囲指定でも良い)を、設定するイベント条件毎に指定して図10に示すテーブルを移動局装置1に通知することである。すなわち、基地局装置3は、指定した一つ以上のセルIDに対して移動局装置1にイベント判定を行なわせるか否かを指定するイベント判定情報を設定し、当該イベント判定情報を測定制御情報と共に移動局装置1に送信する。
このように、第3の実施形態では、イベント判定が、キャリア・アグリゲーションを用いて接続中のキャリア要素毎に受信品質の比較を移動局装置1が行なう際に実施されない。すなわち、移動局装置1が比較する2つのキャリア要素がキャリア・アグリゲーションを用いて接続中の場合、移動局装置1がイベント判定を行なわないことによって、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
以上のように、移動局装置1は、移動局装置1が受信品質の比較を行なうキャリア要素がキャリア・アグリゲーションを用いて接続中であるかを示すキャリア要素情報に基づいてイベント判定の有無を判定する。よって、移動局装置1は、測定しているキャリア要素毎にイベント条件を設定してイベント判定を行なうため、効率的なイベント判定を行なうことができる。移動局装置1がイベント判定を行なわない場合はイベント条件の成立が通常時よりも抑制される。このように、不必要なイベント条件が成立しなくなり、イベント報告の発生が抑制されるため、移動局装置1における消費電力を削減することができる。また、不要なハンドオーバー処理に伴う通信の切断確率ならびにハンドオーバー失敗確率が低下するため、移動局装置1における通信品質が向上する。また、イベント報告のための無線リソースの消費が抑制されるため、無線リソースの利用効率が向上する。また、基地局装置3は、移動局装置1に対してセル毎にイベント判定の有無を明示的に指定可能であるため、実際の基地局装置3の配置に即した柔軟なハンドオーバー制御を行なうことができる。
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態について以下に説明する。本実施形態は、高速移動中の移動局装置1が各キャリア要素の受信品質の比較を行なう場合のイベント判定方法を示す。本実施形態の基地局装置3と移動局装置1の構成は、第1の実施形態と同じで良いため、その説明を省略する。移動局装置1のイベント判定部に入力されるキャリア要素情報に、基準セル情報が含まれても良いし、含まれなくても良い。また、本基地局装置3と本移動局装置1が配置される通信システムの通信ネットワーク構成および周波数帯域の対応関係は、それぞれ図13と図14に示したものと同様のものを適用できる。イベント判定に関するシーケンスチャートは図3と同じで良い。
移動局装置1は、イベント判定においてイベント条件が成立するまでの所要時間(TTT)を、移動速度情報とスケーリング係数と、キャリア要素情報に基づいて調整する。移動局装置1は、第1の実施形態または第2の実施形態において「パラメータ調整あり」と判定されたキャリア要素では、スケーリング係数に基づくTTTの値の短縮(または延長)を行なわない。本実施形態は、本実施形態のみをパラメータ調整の方法として適用することも可能であるし、第1の実施形態または第2の実施形態と組み合わせて適用することも可能である。第1の実施形態または第2の実施形態と組み合わせて適用する場合、第1の実施形態または第2の実施形態におけるパラメータ調整処理は、TTT以外のパラメータに対して行なわれることが望ましい。
このように、第4の実施形態では、高速移動中の移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションを用いて接続中のキャリア要素の受信品質の比較を行なう際に適用されるスケーリング係数を適用しない。すなわち、移動局装置1が比較する2つのキャリア要素がキャリア・アグリゲーションを用いて接続中の場合、移動局装置1がスケーリング係数を適用しないことによって、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
以上のように、高速移動中の移動局装置1は、基地局装置3から通知されるハンドオーバーパラメータと、移動局装置1が受信品質の比較を行なうキャリア要素がキャリア・アグリゲーションを用いて接続中であるかを示すキャリア要素情報とに基づいて適切にパラメータを調整する。よって、移動局装置1は、測定しているキャリア要素毎にイベント条件を設定してイベント判定を行なうため、効率的なイベント判定を行なうことができる。移動局装置1がパラメータ調整を行なう場合はイベント条件の成立が通常時よりも抑制される。このように、不必要なイベント条件が成立しなくなり、イベント情報の報告の発生が抑制されるため、移動局装置1における消費電力を削減することができる。また、不要なハンドオーバー処理に伴う通信の切断確率ならびにハンドオーバー失敗確率が低下するため、移動局装置1における通信品質が向上する。また、イベント情報の報告のための無線リソースの消費が抑制されるため、無線リソースの利用効率が向上する。
以上、キャリア・アグリゲーションにより一つまたは複数のキャリア要素を用いて基地局装置3と接続中の移動局装置1における不要なハンドオーバーに関するイベント条件を抑制するための方法について述べたが、本発明の適用範囲はハンドオーバーに関するイベント条件に限らず、基地局装置3から移動局装置1に通知される全てのイベント条件に対しても適用可能である。抑制の対象となるイベント条件は、基地局装置3が個別に指定することも可能である。
なお、以上説明した実施形態は単なる例示に過ぎず、様々な変形例、置換例を用いて実現することができる。説明の便宜上、実施形態の移動局装置1および基地局装置3を機能的なブロック図を用いて説明したが、移動局装置1および基地局装置3の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより移動局装置1や基地局装置3の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上記各実施形態に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
本発明の一様態においては、上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、(1)本発明の通信システムは、基地局装置と移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を同時に使用して通信を行なう通信システムであって、前記基地局装置は、前記移動局装置が少なくとも一つの前記キャリア要素の受信品質を測定するためのイベント条件および前記イベント条件が成立したか否かの判定に用いるパラメータを前記移動局装置に通知する送信部を備え、前記移動局装置は、前記イベント条件および前記パラメータを受信する受信部と、少なくとも一つの前記キャリア要素の受信品質を測定する測定処理部と、前記受信したパラメータを調整するか否かを判定するセル判定部と、前記受信したパラメータまたは調整後のパラメータに基づいて前記イベント条件を設定し、前記設定したイベント条件が成立したか否かを判定するイベント判定部と、を備えることを特徴とする。
このように、受信したパラメータを調整するか否かを判定し、受信したパラメータまたは調整後のパラメータに基づいて、イベント条件を設定し、設定したイベント条件が成立したか否かを判定するので、移動局装置は、測定しているキャリア要素毎にイベント条件を設定してイベント判定を行なうことができ、効率的なイベント判定を行なうことができる。移動局装置がパラメータ調整を行なう場合はイベント条件の成立が通常時よりも抑制される。このように、不必要なイベント条件が成立しなくなり、イベント情報の報告の発生が抑制されるため、移動局装置における消費電力を削減することができる。また、不要なハンドオーバー処理に伴う通信の切断確率ならびにハンドオーバー失敗確率が低下するため、移動局装置における通信品質が向上する。また、イベント情報の報告のための無線リソースの消費が抑制されるため、無線リソースの利用効率が向上する。基地局装置は、移動局装置からの測定報告に基づきハンドオーバーを制御するため、複雑な制御が不要となり、スケジューリングの複雑性が低減する。
(2)また、本発明の通信システムにおいて、前記セル判定部は、前記測定処理部で受信品質を測定する複数のキャリア要素が、前記基地局装置への接続に使用されている場合に、前記受信したパラメータを調整すると判定することを特徴とする。
このように、受信品質を測定する複数のキャリア要素が、基地局装置への接続に使用されている場合に、受信したパラメータを調整するので、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
(3)また、本発明の通信システムにおいて、前記セル判定部は、前記測定処理部で受信品質を測定する複数のキャリア要素が、前記測定処理部における受信品質の測定の基準となる基準セルではない場合に、前記受信したパラメータを調整すると判定することを特徴とする。
このように、受信品質を測定する複数のキャリア要素が、測定処理部における受信品質の測定の基準となる基準セルではない場合に、受信したパラメータを調整するので、基準セルを用いることによって測定方法の簡略化が可能となり、移動局装置または基地局装置の制御の複雑さを低減できる。さらに、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
(4)また、本発明の通信システムにおいて、前記イベント判定部は、前記セル判定部が前記受信したパラメータを調整すると判定したキャリア要素に対して、前記イベント条件が成立するまでの所要時間が、前記受信したパラメータの調整前よりも長くなるように前記受信したパラメータを調整して、前記設定したイベント条件が成立したか否かを判定することを特徴とする。
このように、イベント条件が成立するまでの所要時間が、受信したパラメータの調整前よりも長くなるように受信したパラメータを調整して、設定したイベント条件が成立したか否かを判定するので、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
(5)また、本発明の通信システムにおいて、前記イベント判定部は、前記移動局装置が高速移動中である場合に、前記セル判定部が前記受信したパラメータを調整すると判定したキャリア要素に対して、前記イベント条件が成立するまでの時間調整に用いられるスケーリング係数を無効として、前記設定したイベント条件が成立したか否かを判定することを特徴とする。
このように、受信したパラメータを調整すると判定したキャリア要素に対して、イベント条件が成立するまでの時間調整に用いられるスケーリング係数を無効として、設定したイベント条件が成立したか否かを判定するので、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
(6)また、本発明の通信システムにおいて、前記イベント判定部は、前記セル判定部が前記受信したパラメータを調整すると判定したキャリア要素において、前記イベント条件の成立が抑制されるように前記受信したパラメータの調整を行なうことを特徴とする。
このように、受信したパラメータを調整すると判定したキャリア要素において、イベント条件の成立が抑制されるように受信したパラメータの調整を行なうので、不必要なイベント条件が成立しなくなり、イベント情報の報告の発生が抑制されるため、移動局装置における消費電力を削減することができる。
(7)また、本発明の通信システムにおいて、基地局装置と移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を同時に使用して通信を行なう通信システムであって、前記基地局装置は、前記移動局装置が少なくとも一つの前記キャリア要素の受信品質を測定するためのイベント条件および前記イベント条件が成立したか否かの判定に用いるパラメータを前記移動局装置に通知する送信部を備え、前記移動局装置は、前記イベント条件および前記パラメータを受信する受信部と、少なくとも一つの前記キャリア要素の受信品質を測定する測定処理部と、前記イベント条件が成立したか否かの判定を行なうか否かを判定するセル判定部と、前記セル判定部の判定結果に基づいて前記イベント条件を設定し、前記設定したイベント条件が成立したか否かを判定するイベント判定部と、を備えることを特徴とする。
このように、イベント条件が成立したか否かの判定を行なうか否かを判定するので、移動局装置は、測定しているキャリア要素毎にイベント条件を設定してイベント判定を行なうため、効率的なイベント判定を行なうことができる。移動局装置がイベント判定を行なわない場合はイベント条件の成立が通常時よりも抑制される。このように、不必要なイベント条件が成立しなくなり、イベント報告の発生が抑制されるため、移動局装置における消費電力を削減することができる。また、イベント報告のための無線リソースの消費が抑制されるため、無線リソースの利用効率が向上する。また、基地局装置は、移動局装置に対してセル毎にイベント判定の有無を指定可能であるため、実際の基地局装置の配置に即した柔軟なハンドオーバー制御を行なうことができる。
(8)また、本発明の通信システムにおいて、前記セル判定部は、前記測定処理部で受信品質を測定する複数のキャリア要素が、前記基地局装置への接続に使用されている場合に、前記イベント条件が成立したか否かの判定を行なわないと判定することを特徴とする。
このように、受信品質を測定する複数のキャリア要素が、基地局装置への接続に使用されている場合に、イベント条件が成立したか否かの判定を行なわないので、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
(9)また、本発明の通信システムにおいて、前記セル判定部は、前記測定処理部で受信品質を測定する複数のキャリア要素が、前記測定処理部における受信品質の測定の基準となる基準セルではない場合に、前記イベント条件が成立したか否かの判定を行なわないと判定することを特徴とする。
このように、受信品質を測定する複数のキャリア要素が、測定処理部における受信品質の測定の基準となる基準セルではない場合に、イベント条件が成立したか否かの判定を行なわないので、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
(10)本発明の移動局装置は、基地局装置と移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を同時に使用して通信を行なう通信システムに適用される移動局装置であって、前記基地局装置から、少なくとも一つの前記キャリア要素の受信品質を測定するためのイベント条件および前記イベント条件が成立したか否かの判定に用いるパラメータを受信する受信部と、少なくとも一つの前記キャリア要素の受信品質を測定する測定処理部と、前記受信したパラメータを調整するか否かを判定するセル判定部と、前記受信したパラメータまたは調整後のパラメータに基づいて前記イベント条件を設定し、前記設定したイベント条件が成立したか否かを判定するイベント判定部と、を備えることを特徴とする。
このように、受信したパラメータを調整するか否かを判定し、受信したパラメータまたは調整後のパラメータに基づいて、イベント条件を設定し、設定したイベント条件が成立したか否かを判定するので、移動局装置は、測定しているキャリア要素毎にイベント条件を設定してイベント判定を行なうため、効率的なイベント判定を行なうことができる。移動局装置がイベント判定を行なわない場合はイベント条件の成立が通常時よりも抑制される。このように、不必要なイベント条件が成立しなくなり、イベント報告の発生が抑制されるため、移動局装置における消費電力を削減することができる。また、不要なハンドオーバー処理に伴う通信の切断確率ならびにハンドオーバー失敗確率が低下するため、移動局装置における通信品質が向上する。また、イベント報告のための無線リソースの消費が抑制されるため、無線リソースの利用効率が向上する。また、基地局装置は、移動局装置に対してセル毎にイベント判定の有無を指定可能であるため、実際の基地局装置の配置に即した柔軟なハンドオーバー制御を行なうことができる。
(11)また、本発明の移動局装置において、前記セル判定部は、前記測定部で受信品質を測定する複数のキャリア要素が、前記基地局装置への接続に使用されている場合に、前記受信したパラメータを調整すると判定することを特徴とする。
このように、受信品質を測定する複数のキャリア要素が、基地局装置への接続に使用されている場合に、受信したパラメータを調整するので、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
(12)また、本発明の移動局装置において、前記セル判定部は、前記測定処理部で受信品質を測定する複数のキャリア要素が、前記測定処理部における受信品質の測定の基準となる基準セルではない場合に、前記受信したパラメータを調整すると判定することを特徴とする。
このように、受信品質を測定する複数のキャリア要素が、受信品質の測定の基準となる基準セルではない場合に、受信したパラメータを調整するので、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
(13)また、本発明の移動局装置において、前記イベント判定部は、前記セル判定部が前記受信したパラメータを調整すると判定したキャリア要素に対して、前記イベント条件が成立するまでの時間が、前記受信したパラメータの調整前よりも長くなるように前記受信したパラメータを調整して、前記設定したイベント条件が成立したか否かを判定することを特徴とする。
このように、受信したパラメータを調整すると判定したキャリア要素に対して、イベント条件が成立するまでの時間が、受信したパラメータの調整前よりも長くなるように受信したパラメータを調整するので、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
(14)また、本発明の移動局装置において、前記イベント判定部は、前記移動局装置が高速移動中である場合に、前記セル判定部が前記受信したパラメータを調整すると判定したキャリア要素に対して、前記イベント条件が成立するまでの時間調整に用いられるスケーリング係数を無効として、前記設定したイベント条件が成立したか否かを判定することを特徴とする。
このように、受信したパラメータを調整すると判定したキャリア要素に対して、イベント条件が成立するまでの時間調整に用いられるスケーリング係数を無効として、設定したイベント条件が成立したか否かを判定するので、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
(15)また、本発明の移動局装置において、前記イベント判定部は、前記セル判定部が前記受信したパラメータを調整すると判定したキャリア要素において、前記イベント条件の成立が抑制されるように前記受信したパラメータの調整を行なうことを特徴とする。
このように、受信したパラメータを調整すると判定したキャリア要素において、イベント条件の成立が抑制されるように受信したパラメータの調整を行なうので、不必要なイベント条件が成立しなくなり、イベント情報の報告の発生が抑制されるため、移動局装置における消費電力を削減することができる。
(16)また、本発明の移動局装置は、基地局装置と移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を同時に使用して通信を行なう通信システムに適用される移動局装置であって、前記基地局装置から、少なくとも一つの前記キャリア要素の受信品質を測定するためのイベント条件および前記イベント条件が成立したか否かの判定に用いるパラメータを受信する受信部と、少なくとも一つの前記キャリア要素の受信品質を測定する測定処理部と、前記イベント条件が成立したか否かの判定を行なうか否かを判定するセル判定部と、前記セル判定部の判定結果に基づいて、前記イベント条件を設定し、前記設定したイベント条件が成立したか否かを判定するイベント判定部と、を備えることを特徴とする。
このように、イベント条件が成立したか否かの判定を行なうか否かを判定するので、移動局装置は、測定しているキャリア要素毎にイベント条件を設定してイベント判定を行なうため、効率的なイベント判定を行なうことができる。移動局装置がイベント判定を行なわない場合はイベント条件の成立が通常時よりも抑制される。このように、不必要なイベント条件が成立しなくなり、イベント報告の発生が抑制されるため、移動局装置における消費電力を削減することができる。また、不要なハンドオーバー処理に伴う通信の切断確率ならびにハンドオーバー失敗確率が低下するため、移動局装置における通信品質が向上する。また、イベント報告のための無線リソースの消費が抑制されるため、無線リソースの利用効率が向上する。また、基地局装置は、移動局装置に対してセル毎にイベント判定の有無を指定可能であるため、実際の基地局装置の配置に即した柔軟なハンドオーバー制御を行なうことができる。
(17)また、本発明の移動局装置において、前記セル判定部は、前記測定部で受信品質を測定する複数のキャリア要素が、前記基地局装置への接続に使用されている場合に、前記イベント条件が成立したか否かの判定を行なわないと判定することを特徴とする。
このように、受信品質を測定する複数のキャリア要素が、基地局装置への接続に使用されている場合に、イベント条件が成立したか否かの判定を行なわないので、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
(18)また、本発明の移動局装置において、前記セル判定部は、前記測定処理部で受信品質を測定する複数のキャリア要素が、前記測定処理部における受信品質の測定の基準となる基準セルではない場合に、前記イベント条件が成立したか否かの判定を行なわないと判定することを特徴とする。
このように、受信品質を測定する複数のキャリア要素が、測定処理部における受信品質の測定の基準となる基準セルではない場合に、イベント条件が成立したか否かの判定を行なわないので、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
(19)本発明の基地局装置は、基地局装置と移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を同時に使用して通信を行なう通信システムに適用される基地局装置であって、前記移動局装置が少なくとも一つの前記キャリア要素の受信品質を測定するためのイベント条件および前記イベント条件が成立したか否かの判定に用いるパラメータを前記移動局装置に通知する送信部を備えることを特徴とする。
このように、移動局装置の通信状態に変化を及ぼすイベントを実行する前提となるイベント条件およびイベント条件が成立したか否かの判定に用いるパラメータを移動局装置に通知するので、移動局装置は、測定しているキャリア要素毎にイベント条件を設定してイベント判定を行なうため、効率的なイベント判定を行なうことができる。移動局装置がイベント判定を行なわない場合はイベント条件の成立が通常時よりも抑制される。このように、不必要なイベント条件が成立しなくなり、イベント報告の発生が抑制されるため、移動局装置における消費電力を削減することができる。また、イベント報告のための無線リソースの消費が抑制されるため、無線リソースの利用効率が向上する。また、基地局装置は、移動局装置に対してセル毎にイベント判定の有無を指定可能であるため、実際の基地局装置の配置に即した柔軟なハンドオーバー制御を行なうことができる。
(20)また、本発明の基地局装置において、前記移動局装置が、前記イベント条件が成立したか否かについての判定を行なうか否かを指定するイベント判定情報を、前記移動局装置毎に設定するイベント条件設定部をさらに備え、前記送信部は、前記イベント判定情報を前記移動局装置に送信することを特徴とする。
このように、イベント条件が成立したか否かについての判定を行なうか否かを指定するイベント判定情報を、移動局装置毎に設定するので、イベント条件の成立が当該キャリア要素では抑制されることになる。
(21)また、本発明の基地局装置において、前記イベント判定情報は、前記イベント条件毎に設定され、一つ以上のセル識別子を示す情報を含むことを特徴とする。
このように、イベント判定情報は、イベント条件毎に設定され、一つ以上のセル識別子を示す情報を含むので、基地局装置は、移動局装置に対してセル毎にイベント判定の有無を指定可能であるため、実際の基地局装置の配置に即した柔軟なハンドオーバー制御を行なうことができる。