以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係る血液浄化装置は、患者の血液を体外循環させつつ浄化し得る血液浄化治療(血液透析治療)で使用されるもので、図1に示すように、患者の血液を体外循環可能な動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3を有する血液回路と、動脈側血液回路2と静脈側血液回路3との間に接続され、当該血液回路を流れる血液を浄化するダイアライザ1(血液浄化手段)と、透析装置本体B内に配設された透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を含む配管部と、制御手段16とを具備して構成されている。
ダイアライザ1は、血液を浄化するためのもので、ポート1a、1bを介して血液回路を構成する動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3とそれぞれ接続されるとともに、ポート1c、1dを介して透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2とそれぞれ接続されている。動脈側血液回路2には、しごき型ポンプから成る血液ポンプ4が配設されており、かかる血液ポンプ4を駆動させることにより、血液回路にて透析液等の液体を送液させ得るようになっている。
また、動脈側血液回路2の先端及び静脈側血液回路3の先端には、それぞれ動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針が取り付け可能とされており、これら動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針を患者に穿刺させつつ血液ポンプ4を駆動させることにより、動脈側穿刺針から採取された患者の血液を血液回路にて体外循環させ、ダイアライザ1にて血液浄化及び除水した後、静脈側穿刺針から患者に戻すようになっている。
動脈側血液回路2におけるクランプ手段Vaと血液ポンプ4との間には、供給ラインLcを介して生理食塩液(プライミングや返血等で使用する置換液)を収容した収容バッグbが接続されており、供給ラインLcの途中に配設されたクランプ手段Vcを開状態とすることにより、収容バッグb内の生理食塩液を自重(高低差による静圧)にて動脈側血液回路2に供給して血液回路のプライミングや返血等を行い得るようになっている。かかる供給ラインLcは、プライミング時においては「プライミング液を自重で血液回路に供給し得るプライミング液供給手段」を構成するとともに、返血時においては「置換液を前記血液回路に供給し得る置換液供給手段」を構成する。血液回路に供給される置換液は、生理食塩液に限定されず、他のプライミング液や置換液であってもよい。
なお、動脈側血液回路2には、エアトラップチャンバ5が接続され、先端側(動脈側血液回路2の供給ラインLcが接続された部位より上流側)にクランプ手段Vaが配設されるとともに、静脈側血液回路3には、エアトラップチャンバ6が接続され、先端側(静脈側血液回路3のエアトラップチャンバ6が接続された部位より下流側)にクランプ手段Vbが配設されている。エアトラップチャンバ5には、血液回路におけるダイアライザ1の入口側液圧を検出し得るセンサが接続されるとともに、エアトラップチャンバ6には、治療時における血液回路内の静脈圧を検出し得るセンサが接続されている。また、本実施形態に係るエアトラップチャンバ5は、その上部から先端が大気開放された大気開放ラインLbが延設されるとともに、当該大気開放ラインLbを任意に開閉可能なクランプ手段Vdが配設されている。
さらに、動脈側血液回路2におけるクランプ手段Vaと供給ラインLcとの接続部との間には、動脈側の気泡検出器17が配設されるとともに、静脈側血液回路3におけるクランプ手段Vbとエアトラップチャンバ6との間には、静脈側の気泡検出器18が配設されている。これら気泡検出器17、18は、動脈側血液回路2又は静脈側血液回路3を流れる液体(血液等)中の気泡(エア)を検出し得るセンサから成る。
またさらに、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2には、所定濃度に調製された透析液をダイアライザ1に供給し、当該ダイアライザ1からの排液を排出させる送液ポンプとしての複式ポンプ7が接続されている。すなわち、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2に跨って複式ポンプ7が配設されており、かかる複式ポンプ7を駆動させることにより、ダイアライザ1に対して透析液導入ラインL1にて透析液を導入及び透析液排出ラインL2にて透析液(排液)を排出させ得るよう構成されているのである。
また、透析液導入ラインL1には、フィルタ11、12が接続されており、ダイアライザ1に導入する透析液をフィルタ11、12にて濾過し得るとともに、電磁弁V1、V7、V8にて任意タイミングで流路を遮断又は開放可能とされている。なお、透析液導入ラインL1は、バイパスラインL7、L8、L9にて透析液排出ラインL2と接続されており、これらバイパスラインL7、L8、L9には、電磁弁V3、V4、V12がそれぞれ接続されている。さらに、透析液導入ラインL1には、当該透析液導入ラインL1を流れる透析液を採取可能な採取口10(サンプルポート)が接続されている。
透析液排出ラインL2は、電磁弁V2、V9にて任意タイミングで流路を遮断又は開放可能とされているとともに、複式ポンプ7を迂回する迂回ラインL3、L4が接続されており、迂回ラインL3には除水ポンプ8が接続されている。なお、迂回ラインL4には、電磁弁V5が接続されている。これにより、血液回路にて患者の血液を体外循環させる過程で除水ポンプ8を駆動させることにより、ダイアライザ1を流れる血液から水分を取り除いて除水し得るようになっている。
さらに、透析液排出ラインL2における複式ポンプ7より上流側(図中左側)には、当該複式ポンプ7における透析液排出ラインL2の液圧調整を行う加圧ポンプ9が接続されており、当該加圧ポンプ9と複式ポンプ7との間からは、脱ガスチャンバ13を介して迂回ラインL5が延設されている。かかる脱ガスチャンバ13は、複式ポンプ7より上流側の透析液排出ラインL2を流れる透析液中の気泡を捕捉し、複式ポンプ7を迂回して迂回ラインL5から外部へ排出させるためのものである。
この迂回ラインL5には、電磁弁V6が接続されており、その電磁弁V6より上流側(チャンバ13と電磁弁V6との間)とバイパスラインL9との間には、これらの流路を連通する分岐ラインL10が接続されている。かかる分岐ラインL10は、透析液排出ラインL2の所定部位から分岐した流路(具体的には、透析液排出ラインL2から分岐した分岐ラインL5の更なる分岐ライン)から成るとともに、電磁弁V10(第1クランプ手段)及び電磁弁V11(第2クランプ手段)が接続されており、当該電磁弁V10と電磁弁V11との間には、連通ラインLaの先端を接続可能な接続ポート14(接続手段)が取り付けられている。
本実施形態においては、第1クランプ手段としての電磁弁V10は、接続ポート14と除水ポンプ8(所定のポンプ手段)との間の流路に配設されるとともに、第2クランプ手段としての電磁弁V11は、接続ポート14(接続手段)を挟んで電磁弁V10(第1クランプ手段)とは反対側の流路に配設されているのである。そして、連通ラインLaの一端を接続ポート14に接続するとともに、他端をエアトラップチャンバ6を介して血液回路(静脈側血液回路3)に接続することにより、血液回路内の液体(生理食塩液や他の置換液等)を透析液排出ラインL2まで流動させ得るようになっている。
なお、透析液排出ラインL2における迂回ラインL4の接続部と加圧ポンプ9との間から迂回ラインL3まで、迂回ラインL6が延設されており、かかる迂回ラインL6にはリリーフ弁VLaが接続されている。さらに、透析液排出ラインL2における複式ポンプ7の下流側であって、迂回ラインL3と迂回ラインL4との接続部の間には、背圧弁VLbが接続されている。
透析装置本体Bは、ダイアライザ1に透析液を導入する透析液導入ラインL1及び当該ダイアライザ1から透析液を排出する透析液排出ラインL2を含む配管部と、制御手段16とを有している。本発明に係る配管部は、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2の他、これら透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2から分岐した迂回ライン(L3、L4、L5、L6)、バイパスライン(L7、L8、L9)及び分岐ラインL10等を含み、透析液等を流通させ得るものである。
制御手段16は、透析装置本体Bに配設されたマイコン等から成り、配管部又は血液回路に配設された任意のクランプ手段(例えば、電磁弁等)の開閉、任意のポンプの駆動を制御して、血液浄化治療やその治療前後の動作を行わせ得るものである。また、連通ラインLaは、透析装置本体B内の配管部及び血液回路に接続されて、これら配管部の流路と血液回路の流路とを連通し得る流路から成る。本実施形態に係る連通ラインLaは、クランプ手段Veが配設されており、当該クランプ手段Veを開状態とすることにより、エアトラップチャンバ6を介して動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3と透析液排出ラインL2から分岐した分岐ラインL10とを連通し得るとともに、当該クランプ手段Veを閉状態とすることにより、流路を閉塞し得るよう構成されている。
ここで、本実施形態においては、接続ポート14(接続手段)は、配管部における除水ポンプ8(所定のポンプ手段)の上流側に配設されるとともに、制御手段16は、除水ポンプ8(所定のポンプ手段)を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内のプライミング液(液体)を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させ得るよう構成されている。具体的には、供給ラインLc(プライミング液供給手段)によるプライミング時、制御手段16による制御にて除水ポンプ8(所定のポンプ手段)を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の生理食塩液(プライミング液)を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させ得るのである。
さらに、本実施形態に係る接続ポート14(接続手段)は、透析液排出ラインL2の所定部位から分岐した流路から成る分岐ラインL10に配設されるとともに、当該分岐ラインL10における除水ポンプ8(前記所定のポンプ手段)より上流側の流路には、血液回路内から流動させた液体に含まれる異物を捕捉し得るフィルタ15(捕捉手段)が取り付けられている。このフィルタ15は、液体を透過しつつ異物を捕捉し得る濾過フィルタ等から成るもので、第1クランプ手段としての電磁弁V10と接続ポート14(接続手段)との間の流路に取り付けられている。
また、本実施形態においては、例えば電磁弁V10(第1クランプ手段)を閉状態としつつ電磁弁V11(第2クランプ手段)を開状態とすることにより、分岐ラインL10に液体を流動させてフィルタ15(捕捉手段)で捕捉された異物を除水ポンプ8(所定のポンプ手段)を介さずに透析液排出ラインL2から排出させ得るよう構成されている。なお、フィルタ15に代えて、血液回路内から流動させた液体に含まれる異物を捕捉し得る他の形態の捕捉手段としてもよい。
以下、第1の実施形態に係る制御手段16によるプライミング時の具体的制御について、図2のフローチャートを用いて説明する。
先ず、図1に示すように、連通ラインLaの一端をエアトラップチャンバ6に接続し、他端を接続ポート14に接続した状態とするとともに、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3の先端同士を接続して閉回路を形成しておく。なお、供給ラインLcの先端には、生理食塩液(プライミング液)が収容された収容バッグbを接続しておく。
そして、図3に示すように、血液ポンプ4の停止状態を維持するとともに、血液回路側のクランプ手段(Va、Vb、Vc、Ve)を開状態としつつクランプ手段Vdを閉状態とし、且つ、配管部の電磁弁(V9、V10)を開状態としつつ電磁弁(V2〜V6、V11)を閉状態とし、その状態にて除水ポンプ8(所定のポンプ手段)を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の生理食塩液(プライミング液)を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させる(オーバーフロー工程S1)。なお、配管部の電磁弁(V1、V7、V8、V12)は、開状態及び閉状態の何れであってもよい。
その後、静脈側の気泡検出器18にて気泡が検出されたか否かを判定し(S2)、所定時間、気泡が検出されない状態が続いたと判定されると、図4に示すように、供給ラインLcのクランプ手段Vc、連通ラインLaのクランプ手段Ve及び大気開放ラインLbのクランプ手段Vdを閉状態としつつ血液ポンプ4を逆回転駆動(治療時とは液体を反対側に送液する駆動)させ(送液工程S3)、静脈側の気泡検出器18にて気泡が検出される(S4)と、S1に戻って再びオーバーフロー工程を行わせる。このように、静脈側の気泡検出器18にて気泡が検出されなくなるまでS1〜S4を繰り返すことにより、オーバーフロー工程S1で生理食塩液(プライミング液)が供給されなかった血液回路の部位(供給ラインLcからダイアライザ1を介して連通ラインLaに至る経路の部位)にも生理食塩液(プライミング液)を送液することができる。
そして、S4にて静脈側の気泡検出器18による気泡の検出が所定時間ないと判定されると、図3に示すように、血液ポンプ4を停止するとともに、血液回路側のクランプ手段(Va、Vb、Vc、Ve)を開状態としつつクランプ手段Vdを閉状態とし、且つ、配管部の電磁弁(V9、V10)を開状態としつつ電磁弁(V2〜V6、V11)を閉状態とし、その状態にて除水ポンプ8(所定のポンプ手段)を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の生理食塩液(プライミング液)を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させる(第1洗浄工程S5)。なお、配管部の電磁弁(V1、V7、V8、V12)は、開状態及び閉状態の何れであってもよい。
その後、図5に示すように、除水ポンプ8を停止させて代わりに血液ポンプ4を正回転駆動(治療時と同方向に液体を送液する駆動)させるとともに、血液回路側のクランプ手段(Vc、Ve)を開状態としつつクランプ手段(Vd、Va又はVb)を閉状態とし、且つ、配管部の電磁弁(V9、V11)を開状態及び電磁弁(V1、V2、V5、V10)を閉状態とする(第2洗浄工程S6)。これにより、第1洗浄工程S5において配管部に送液できなかった部位(供給ラインLcからダイアライザ1を介して連通ラインLaに至る経路の部位)の生理食塩液(プライミング液)を配管部に送液することができる。なお、配管部の電磁弁(V3、V4、V6〜V8、V12)は、開状態及び閉状態の何れであってもよい。
以上で、一連のプライミング時の工程が終了する。なお、上記プライミング時においては、配管部側の除水ポンプ8を任意タイミングで駆動させており、複式ポンプ7及び加圧ポンプ9等の他のポンプ手段は停止した状態とされている。また、本実施形態においては、上記のように、除水ポンプ8(所定のポンプ手段)を駆動させて血液回路内の液体を透析液排出ラインL2から排出させるとき(例えば第1洗浄工程S5のとき)、第1クランプ手段(電磁弁V10)を開状態としつつ第2クランプ手段(電磁弁V11)を閉状態とし、血液ポンプ4を駆動させて血液回路内の液体を透析液排出ラインL2から排出させるとき(例えば第2洗浄工程S6のとき)、第1クランプ手段(電磁弁V10)を閉状態としつつ第2クランプ手段(電磁弁V11)を開状態としている。
次に、本発明の第2の実施形態に係る制御手段16によるプライミング時の具体的制御について、図6のフローチャートを用いて説明する。
先ず、図7に示すように、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3の先端にY字管aを接続するとともに、そのY字管aの先端と接続ポート14とに連通ラインLaを接続した状態(プライミングを行うための状態)とする。なお、供給ラインLcの先端には、生理食塩液(プライミング液)が収容された収容バッグbを接続しておく。
そして、同図に示すように、血液ポンプ4の停止状態を維持するとともに、血液回路側のクランプ手段(Va、Vc)を開状態としつつクランプ手段(Vb、Vd)を閉状態とし、且つ、配管部の電磁弁(V9、V10)を開状態としつつ電磁弁(V2〜V6、V11)を閉状態とし、その状態にて除水ポンプ8(所定のポンプ手段)を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の生理食塩液(プライミング液)を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させる(動脈側の充填工程S1)。なお、配管部の電磁弁(V1、V7、V8、V12)は、開状態及び閉状態の何れであってもよい。
動脈側の充填工程S1において、除水ポンプ8(所定のポンプ手段)の駆動による流量が所定量に達したか否か判断し(S2)、所定量に達した場合、図8に示すように、除水ポンプ8(所定のポンプ手段)を停止させるとともに、血液回路側のクランプ手段(Vb、Vc)を開状態としつつクランプ手段(Va、Vd)を閉状態とし、且つ、配管部の電磁弁(V9、V11)を開状態としつつ電磁弁(V1、V2、V5、V6、V10)を閉状態とし、その状態にて血液ポンプ4を正回転駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の生理食塩液(プライミング液)を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させる(静脈側の充填工程S3)。一方、S2にて所定量以下の場合はS1に戻って引き続き動脈側の充填工程S1が行われる。これにより、動脈側の充填工程S1において配管部に送液できなかった部位(供給ラインLcからダイアライザ1を介して連通ラインLaに至る経路の部位)の生理食塩液(プライミング液)を配管部に送液することができる。なお、配管部の電磁弁(V3、V4、V7、V8、V12)は、開状態及び閉状態の何れであってもよい。
そして、静脈側の充填工程S3において、血液ポンプ4の駆動による流量が所定量に達したか否か判断し(S4)、所定量以下の場合はS3に戻って引き続き静脈側の充填工程S3が行われるとともに、所定量に達した場合は一連のプライング時の工程が終了する。なお、上記プライミング時においては、複式ポンプ7及び加圧ポンプ9等の他のポンプ手段は停止した状態とされている。また、本実施形態においては、上記のように、除水ポンプ8(所定のポンプ手段)を駆動させて血液回路内の液体を透析液排出ラインL2から排出させるとき(動脈側の充填工程S1のとき)、第1クランプ手段(電磁弁V10)を開状態としつつ第2クランプ手段(電磁弁V11)を閉状態とし、血液ポンプ4を駆動させて血液回路内の液体を透析液排出ラインL2から排出させるとき(動脈側の充填工程S3のとき)、第1クランプ手段(電磁弁V10)を閉状態としつつ第2クランプ手段(電磁弁V11)を開状態としている。
上記第実施形態によれば、接続ポート14(接続手段)は、配管部における所定のポンプ手段(本実施形態においては除水ポンプ8)の上流側に配設されるとともに、制御手段16は、当該除水ポンプ8を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の液体を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させ得るので、供給ラインLcから供給された血液回路内の液体(生理食塩液)を円滑に配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させることができる。
特に、本実施形態においては、供給ラインLc(プライミング液供給手段)によるプライミング時、制御手段16による制御にて除水ポンプ8(所定のポンプ手段)を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の生理食塩液(プライミング液)を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させ得るので、血液回路内のプライミング液を円滑に配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させることができ、プライミングの作業性を向上させることができる。
このように、本実施形態においては、血液回路に自重で液体(プライミング液)を供給可能な供給ラインLc(供給手段)を具備したので、自重によって液体を血液回路に供給するものにおいても、円滑に血液回路内の液体を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させることができる。なお、自重によらず液体(プライミング液)を血液回路に供給する血液浄化装置に適用してもよい。
また、本実施形態に係る接続ポート14(接続手段)は、透析液排出ラインL2の所定部位から分岐した流路から成る分岐ラインL10に配設されるとともに、当該分岐ラインL10における所定のポンプ手段(本実施形態においては除水ポンプ8)より上流側の流路には、血液回路内から流動させた液体(生理食塩液等のプライミング液)に含まれる異物を捕捉し得るフィルタ15(捕捉手段)が取り付けられたので、血液回路内の異物が除水ポンプ8(所定のポンプ手段)に至ってしまうのを防止することができる。
しかるに、分岐ラインL10に液体を流動させてフィルタ15(捕捉手段)で捕捉された異物を除水ポンプ8(所定のポンプ手段)を介さずに透析液排出ラインL2から排出させるよう構成するのが好ましい。例えば、プライミングが終了した後、分岐ラインL10において、電磁弁V10から電磁弁V11に向かう方向に透析液を流通させてフラッシングを行うことにより、フィルタ15(捕捉手段)で捕捉された異物を除水ポンプ8(所定のポンプ手段)を介さずに透析液排出ラインL2から排出させることができる。これにより、フィルタ15(捕捉手段)で捕捉された異物を排出することができるとともに、その異物が除水ポンプ8(所定のポンプ手段)に至ってしまうのを防止することができる。
さらに、本実施形態に係る制御手段16は、除水ポンプ8(所定のポンプ手段)を駆動させて血液回路内の液体(生理食塩液)を透析液排出ラインL2から排出させるとき、第1クランプ手段(電磁弁V10)を開状態としつつ第2クランプ手段(電磁弁V11)を閉状態とし、血液ポンプ4を駆動させて血液回路内の液体(生理食塩液)を透析液排出ラインL2から排出させるとき、第1クランプ手段(電磁弁V10)を閉状態としつつ第2クランプ手段(電磁弁V11)を開状態とするので、血液ポンプ4を駆動して血液回路内の液体を配管部に流動させる際には、除水ポンプ8(所定のポンプ手段)を介さずに透析液排出ラインL2から排出させることができる。
すなわち、除水ポンプ8(所定のポンプ手段)の駆動によって血液回路内の液体を配管部に流動させる際は、第1クランプ手段(電磁弁V10)を開状態としつつ第2クランプ手段(電磁弁V11)を閉状態とし、除水ポンプ8による送液を可能とするとともに、血液ポンプ4の駆動によって血液回路内の液体を配管部に流動させる際は、第1クランプ手段(電磁弁V10)を閉状態としつつ第2クランプ手段(電磁弁V11)を開状態とし、除水ポンプ8を介さずに送液を可能とするので、血液ポンプ4及び除水ポンプ8(所定のポンプ手段)が同時に駆動して送液することにより流量コントロールが困難になってしまうのを回避することができるのである。
一方、上記の如きプライミングの後、透析治療(血液浄化治療)が終了すると、連通ラインLaが接続ポート14から取り外されて血液回路と共に廃棄されるとともに、配管部の洗浄及び消毒が行われる。例えば配管部の洗浄又は消毒時において、図9に示すように、透析液導入ラインL1の先端及び透析液排出ラインL2の先端にカプラCを接続して当該透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を連通させておく。
そして、配管部の洗浄又は消毒工程が開始されると、電磁弁(V1、V2、V5〜V9)を開状態としつつ電磁弁(V3、V4、V10〜V12)を閉状態とするとともに、透析液導入ラインL1に洗浄液又は消毒液を供給しつつ複式ポンプ7及び加圧ポンプ9を駆動させる。これにより、洗浄液が供給された場合は、分岐ラインL10以外の流路の洗浄が行われるとともに、消毒液が供給された場合は、分岐ラインL10以外の主な流路の消毒が行われることとなる。
その後、図10に示すように、複式ポンプ7及び加圧ポンプ9の駆動を維持しつつ電磁弁(V10、V11)を開状態とするとともに、電磁弁V6を閉状態とする。これにより、洗浄液又は消毒液は、分岐ラインL10を流通し、その流通過程で当該分岐ラインL10及び接続ポート14(接続手段)が洗浄又は消毒されることとなる。そして、図9、10の状態による洗浄又は消毒を所定回数繰り返し行わせることにより、配管部の洗浄又は消毒が行われる。
しかして、本実施形態によれば、接続手段は、連通ラインLaの一端を接続可能な接続ポート14から成り、配管部の洗浄又は消毒時に当該接続ポート14が洗浄又は消毒可能とされたので、配管部の洗浄又は消毒工程において接続手段の洗浄又は消毒を併せて行わせることができ、接続手段(接続ポート14)の衛生管理を容易且つ確実に行うことができる。
次に、本発明の第3実施形態に係る血液浄化装置について説明する。
本実施形態に係る血液浄化装置は、第1、2の実施形態と同様、患者の血液を体外循環させつつ浄化し得る血液浄化治療(血液透析治療)で使用されるもので、図11に示すように、置換液を血液回路に供給し得る置換液供給手段(供給ラインLc)を具備するとともに、当該置換液供給手段によって置換液を供給して返血が行われた後、制御手段16による制御にて所定のポンプ手段(除水ポンプ8)を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の置換液を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させ得るものである。なお、第1の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
より具体的には、本実施形態においては、血液回路にて患者の血液を体外循環させて血液浄化治療が終了した後、クランプ手段Vcを開状態とすることにより、収容バッグb内の生理食塩液を置換液として血液回路に供給するとともに、その供給された置換液と血液回路内の血液とを置換させることにより、血液回路内の血液を患者に返血するよう構成されている。そして、返血後、血液回路内に置換液が充填された状態において、図11に示すように、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3の先端同士を接続して閉回路を形成しておくとともに、連通ラインLaは、一端が接続ポート14及び他端が血液回路に接続された状態としておく。
その後、同図に示すように、血液回路側のクランプ手段(Va、Vb、Vc、Vd、Ve)を開状態とし、且つ、配管部の電磁弁(V9、V10)を開状態としつつ電磁弁(V1、V2、V5、V6、V11、V12)を閉状態とし、その状態にて、血液ポンプ4を逆回転駆動させつつ除水ポンプ8を駆動させる。なお、配管部の電磁弁(V3、V4、V7、V8)は、開状態及び閉状態の何れであってもよい。
また、除水ポンプ8による流量の方が血液ポンプ4による流量よりも大きく設定されているとともに、所定時間経過後、血液ポンプ4を停止させて除水ポンプ8のみの駆動とすることにより、残りの生理食塩液を当該除水ポンプ8にて配管部側に引き込むことができる。
これにより、制御手段16による制御にて所定のポンプ手段(本実施形態においては除水ポンプ8)を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の置換液を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させることができる。したがって、血液回路内の置換液を円滑に配管部に流動させて透析液排出ラインL3から排出させることができ、返血後における血液回路の廃棄時の作業性を向上させることができる。
このように、本実施形態においては、血液回路に自重で液体(置換液)を供給可能な供給ラインLc(供給手段)を具備したので、自重によって液体を血液回路に供給するものにおいても、円滑に血液回路内の液体を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させることができる。なお、自重によらず液体(置換液)を血液回路に供給する血液浄化装置に適用してもよい。
次に、本発明の第4実施形態に係る血液浄化装置について説明する。
本実施形態に係る血液浄化装置は、第1、2の実施形態と同様、患者の血液を体外循環させつつ浄化し得る血液浄化治療(血液透析治療)で使用されるもので、図12に示すように、置換液を血液回路に供給し得る置換液供給手段(供給ラインLc)を具備するとともに、当該置換液供給手段によって置換液を供給して返血が行われた後、制御手段16による制御にて所定のポンプ手段(除水ポンプ8)を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の置換液を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させ得るものである。なお、第1の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
より具体的には、本実施形態においては、血液回路にて患者の血液を体外循環させて血液浄化治療が終了した後、クランプ手段Vcを開状態とすることにより、収容バッグb内の生理食塩液を置換液として血液回路に供給するとともに、その供給された置換液と血液回路内の血液とを置換させることにより、血液回路内の血液を患者に返血するよう構成されている。そして、返血後、血液回路内に置換液が充填された状態において、図12に示すように、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3の先端にY字管aを接続するとともに、そのY字管aの先端と接続ポート14とに連通ラインLaを接続した状態(プライミングを行うための状態)とする。
その後、同図に示すように、血液回路側のクランプ手段(Va、Vb、Vc、Vf)を開状態としつつクランプ手段Vdを閉状態とし、且つ、配管部の電磁弁(V9、V10)を開状態としつつ電磁弁(V1、V2、V5、V6、V11、V12)を閉状態とし、その状態にて、血液ポンプ4を逆回転駆動させつつ除水ポンプ8を駆動させる。なお、配管部の電磁弁(V3、V4、V7、V8)は、開状態及び閉状態の何れであってもよい。
また、除水ポンプ8による流量の方が血液ポンプ4による流量よりも大きく設定されているとともに、所定時間経過後、血液ポンプ4を停止させて除水ポンプ8のみの駆動とすることにより、残りの生理食塩液を当該除水ポンプ8で配管部側に引き込むことができる。
これにより、制御手段16による制御にて所定のポンプ手段(本実施形態においては除水ポンプ)を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の置換液を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させることができる。したがって、血液回路内の置換液を円滑に配管部に流動させて透析液排出ラインL3から排出させることができ、返血後における血液回路の廃棄時の作業性を向上させることができる。
このように、本実施形態においては、血液回路に自重で液体(置換液)を供給可能な供給ラインLc(供給手段)を具備したので、自重によって液体を血液回路に供給するものにおいても、円滑に血液回路内の液体を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させることができる。なお、自重によらず液体(置換液)を血液回路に供給する血液浄化装置に適用してもよい。
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば所定のポンプ手段として除水ポンプ8が使用されるものに限らず、複式ポンプ7を所定のポンプ手段としてもよい。この場合、図13に示すように、接続ポート14(接続手段)は、配管部における複式ポンプ7(所定のポンプ手段)の上流側に配設されるとともに、制御手段16は、当該複式ポンプ7(所定のポンプ手段)を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の液体を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させ得るよう構成されている。
例えば、同図に示すように、透析液導入ラインL1において複式ポンプ7をバイパスするバイパスラインLeを形成し、そのバイパスラインLeに電磁弁Vgを配設する。そして、血液回路側のクランプ手段(Va、Vb、Vc、Ve)を開状態としつつクランプ手段Vdを閉状態とし、且つ、配管部の電磁弁(V9、V10、Vg)を開状態としつつ電磁弁(V1〜V6、V11、V12)を閉状態とし、その状態にて複式ポンプ7(所定のポンプ手段)を駆動させる。なお、配管部の電磁弁(V7、V8)は、開状態及び閉状態の何れであってもよい。
しかして、所定のポンプ手段としての複式ポンプ7を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の生理食塩液(プライミング液又は置換液)を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させることができる。なお、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3の先端にY字管を接続するとともに、そのY字管の先端と接続ポート14とに連通ラインLaを接続したものであってもよい。
さらに、所定のポンプ手段として除水ポンプ8や複式ポンプ7が使用されるものに限らず、加圧ポンプ9を所定のポンプ手段としてもよい。この場合、図14に示すように、接続ポート14(接続手段)は、配管部における加圧ポンプ9(所定のポンプ手段)の上流側に配設されるとともに、制御手段16は、当該加圧ポンプ9(所定のポンプ手段)を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の液体を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させ得るよう構成されている。
例えば、同図に示すように、分岐ラインL10’を透析液排出ラインL2から分岐させ、その分岐ラインL10’に接続ポート14、第1クランプ手段としての電磁弁V10及び第2クランプ手段としての電磁弁V11を配設する。そして、血液回路側のクランプ手段(Va、Vb、Vc、Ve)を開状態としつつクランプ手段Vdを閉状態とし、且つ、配管部の電磁弁(V6、V9、V10)を開状態としつつ電磁弁(V1、V2、V5、V11、V12)を閉状態とし、その状態にて加圧ポンプ9(所定のポンプ手段)を駆動させる。なお、配管部の電磁弁(V7、V8)は、開状態及び閉状態の何れであってもよい。
しかして、所定のポンプ手段としての加圧ポンプ9を駆動させることにより、連通ラインLaを介して血液回路内の生理食塩液(プライミング液又は置換液)を配管部に流動させて透析液排出ラインL2から排出させることができる。なお、動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3の先端にY字管を接続するとともに、そのY字管の先端と接続ポート14とに連通ラインLaを接続したものであってもよい。
一方、上記実施形態においては、何れも接続手段としての接続ポート14、第1クランプ手段としての電磁弁V10及び第2クランプ手段としての電磁弁V11が分岐ラインL5から更に分岐された分岐ラインL10(L10’)に配設されているが、図15に示すように、分岐ラインL5に接続手段としての接続ポート14、第1クランプ手段としての電磁弁V10及び第2クランプ手段としての電磁弁V11を配設したものとしてもよい。
また、所定のポンプ手段として、除水ポンプ8、複式ポンプ7及び加圧ポンプ9の他、配管部に配設された他のポンプ手段(血液浄化治療時に配管部内の液体を流動させ得るポンプ)としてもよい。なお、本実施形態が適用される血液浄化装置は、何れの形態のものであってもよく、例えば、複式ポンプ7に代えてチャンバにて透析液を導入又は排出させるもの、ダイアライザ1に代えて他の形態の血液浄化器を具備したもの等としてもよい。