JP6356017B2 - 有機金属錯体 - Google Patents

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Description

本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に、本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、照明装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法に関する。特に、本発明の一態様は、有機金属錯体に関する。特に、三重項励起状態を発光に変換できる有機金属錯体に関する。また、該有機金属錯体を用いた発光素子、発光装置、電子機器、及び照明装置に関する。
近年、発光性の有機化合物や無機化合物を発光材料として用いた発光素子の開発が盛んである。特に、EL(Electroluminescence)素子と呼ばれる発光素子の構成は、電極間に発光材料を含む発光層を設けただけの単純な構造であり、薄型軽量化できる、入力信号に高速に応答できる、直流低電圧駆動が可能であるなどの特性から、次世代のフラットパネルディスプレイ素子として注目されている。また、このような発光素子を用いたディスプレイは、コントラストや画質に優れ、視野角が広いという特徴も有している。さらに、これらの発光素子は面光源であるため、液晶ディスプレイのバックライトや照明等の光源としての応用も考えられている。
発光物質が発光性の有機化合物である場合、発光素子の発光機構は、キャリア注入型である。すなわち、電極間に発光層を挟んで電圧を印加することにより、電極から注入された電子及びホールが再結合して発光物質が励起状態となり、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。そして、励起状態の種類としては、一重項励起状態(S)と三重項励起状態(T)が可能である。また、発光素子におけるその統計的な生成比率は、S:T=1:3であると考えられている。
発光性の有機化合物は通常、基底状態が一重項状態である。したがって、一重項励起状態(S)からの発光は、同じ多重度間の電子遷移であるため蛍光と呼ばれる。一方、三重項励起状態(T)からの発光は、異なる多重度間の電子遷移であるため燐光と呼ばれる。ここで、蛍光を発する化合物(以下、蛍光性化合物と称す)は室温において、通常、燐光は観測されず蛍光のみが観測される。したがって、蛍光性化合物を用いた発光素子における内部量子効率(注入したキャリアに対して発生するフォトンの割合)の理論的限界は、S:T=1:3であることを根拠に25%とされている。
一方、燐光性化合物を用いれば、内部量子効率は100%にまで理論上は可能となる。つまり、蛍光性化合物に比べて4倍の発光効率が可能となる。このような理由から、高効率な発光素子を実現するために、燐光性化合物を用いた発光素子の開発が近年盛んに行われている。特に、燐光性化合物としては、その燐光量子収率の高さゆえに、イリジウム等を中心金属とする有機金属錯体が注目されており、例えば、特許文献1および2には、イリジウムを中心金属とする有機金属錯体が燐光材料として開示されている。
高効率な発光素子を用いるメリットとしては、当該発光素子を用いた電子機器の消費電力を低減できることなどが挙げられる。エネルギー問題がとりざたされる昨今、消費電力は消費者の購買動向を左右する大きなファクターとなりつつあることから、非常に重要な要素である。
国際公開第00/70655号 特開2013−53158号
本発明の一態様は、燐光を発光することが可能な新規物質を提供することを課題とする。または、発光効率の高い新規物質を提供することを目的の一とする。または、新規物質を提供することを目的の一とする。または、該新規物質を用いた発光素子、発光装置、電子機器、もしくは照明装置を提供することを目的の一とする。
または、発光効率の高い発光素子、発光装置、電子機器、もしくは照明装置を提供することを目的の一とする。または、信頼性の高い発光素子、発光装置、電子機器、もしくは照明装置を提供することを目的の一とする。または、消費電力が低い発光素子、発光装置、電子機器、もしくは照明装置を提供することを目的の一とする。または、新規な発光素子、発光装置、電子機器、もしくは照明装置を提供することを目的の一とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
開示する発明の一態様は、一般式(G1)で表される構造を有する有機金属錯体である。
但し、一般式(G1)中、R11は、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基を表し、Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
また、本発明の他の一態様は、一般式(G2)で表される構造を有する有機金属錯体である。
但し、一般式(G2)中、R12は、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表し、Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
また、本発明の他の一態様は、一般式(G3)で表される有機金属錯体である。
但し、一般式(G3)中、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。R11は、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基を表し、Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
また、本発明の他の一態様は、一般式(G4)で表される有機金属錯体である。
但し、一般式(G4)中、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。R12は、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表し、Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
また、一般式(G3)乃至(G4)に示す有機金属錯体において、モノアニオン性の配位子は、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、カルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、フェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、又は2つの配位元素がいずれも窒素であるモノアニオン性の二座キレート配位子が好ましい。
また、モノアニオン性の配位子は、一般式(L1)乃至(L7)のいずれか一であることが好ましい。
但し、一般式(L1)乃至(L7)中、R71〜R109は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン基、ビニル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基を表す。また、A〜Aは、それぞれ独立に、窒素、水素と結合するsp混成炭素、または置換基Rと結合するsp炭素を表し、前記置換基Rは炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン基、炭素数1〜6のハロアルキル基、またはフェニル基を表す。
また、本発明の他の一態様は、一般式(G5)で表される有機金属錯体である。
但し、一般式(G5)中、R11は、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基を表し、Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
また、本発明の他の一態様は、一般式(G6)で表される有機金属錯体である。
但し、一般式(G6)中、R12は、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表し、Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
また、本発明の他の一態様は、構造式(100)で表される有機金属錯体である。
また、本発明の他の一態様は、構造式(101)で表される有機金属錯体である。
また、本発明の他の一態様は、構造式(102)で表される有機金属錯体である。
また、本発明の他の一態様は、構造式(111)で表される有機金属錯体である。
また、本発明の他の一態様は、構造式(112)で表される有機金属錯体である。
また、本発明の他の一態様は、有機金属錯体を発光層に有する発光素子において、有機金属錯体はピリミジン骨格の3位の窒素原子にイリジウムとの結合を有し、ピリミジン骨格の4位の炭素原子にベンゼン環との結合を有し、ベンゼン環に前記イリジウムとの結合を有し、ピリミジン骨格の6位の炭素原子に第1の置換基との結合を有し、第1の置換基は置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基である発光素子である。
また、本発明の他の一態様は、有機金属錯体を発光層に有する発光素子において、有機金属錯体はピリミジン骨格の3位の窒素原子にイリジウムとの結合を有し、ピリミジン骨格の4位の炭素原子にベンゼン環との結合を有し、ベンゼン環に前記イリジウムとの結合を有し、ピリミジン骨格の6位の炭素原子に第1の置換基との結合を有し、第1の置換基は置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基である発光素子である。
また、本発明の一態様は、一対の電極間に上記有機金属錯体を有する発光素子である。特に、上記有機金属錯体を発光層に含むことが好ましい。
上記発光素子を用いた発光装置、電子機器、及び照明装置も本発明の一態様の範疇に含めるものとする。なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス及び光源を含む。また、パネルにコネクター、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、又は発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールは、発光装置を含む場合がある。
本発明の一態様に係る有機金属錯体は、ピリミジン骨格の6位の炭素原子に結合した置換基に、炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基、または、炭素数5〜10のアルキル基を有する。本発明の一態様に係る有機金属錯体は、置換基の主鎖の炭素数が大きいため、π電子が共役していない部分が比較的大きくなる。その立体効果により、本発明の一態様に係る有機金属錯体を含む層はキャリアが適度に流れにくく抜けにくい傾向にある。ゆえに本発明の一態様に係る有機金属錯体を有する発光素子は、キャリアバランスが整うことで外部量子効率が高くなる。
例えば、ピリミジン骨格の6位の炭素原子に結合したアルキル基の炭素数が4である場合において、tert−ブチル基とイソブチル基を比較すると、tert−ブチル基は直鎖の炭素数が2であるのに対し、イソブチル基は直鎖の炭素数が3となる。すると、イソブチル基はπ電子が共役していない部分が比較的大きくなる。すると、有機金属錯体を含む層をキャリアが抜けにくくなるために、発光素子のキャリアバランスが整う。したがって、置換基をイソブチル基とした有機金属錯体を用いた発光素子は、置換基をtert−ブチル基とした有機金属錯体を用いた発光素子より、外部量子効率が高くなる。
ピリミジン骨格にこのような置換基が結合している有機金属錯体を有する発光素子は、外部量子効率が1〜2割程度高くなる傾向にある。
本発明の一態様により、燐光を発光することが可能な新規物質を提供することができる。または、発光効率の高い新規物質を提供することができる。または、該新規物質を用いた発光素子、発光装置、電子機器、もしくは照明装置を提供することができる。
または、発光効率の高い発光素子、発光装置、電子機器、もしくは照明装置を提供することができる。または、信頼性の高い発光素子、発光装置、電子機器、もしくは照明装置を提供することができる。または、消費電力が低い発光素子、発光装置、電子機器、もしくは照明装置を提供することができる。または、新規な物質を提供することができる。または、新規な発光素子、発光装置、電子機器、もしくは照明装置を提供することができる。なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
本発明の一態様の発光素子について説明する図。 パッシブマトリクス型の発光装置を示す図。 パッシブマトリクス型の発光装置を示す図。 アクティブマトリクス型の発光装置を示す図。 電子機器について説明する図。 照明装置について説明する図。 照明装置について説明する図。 構造式(100)に示す有機金属錯体のH NMRチャート。 構造式(100)に示す有機金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトル。 構造式(100)に示す有機金属錯体のLC/MSスペクトル。 構造式(101)に示す有機金属錯体のH NMRチャート。 構造式(101)に示す有機金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトル。 構造式(101)に示す有機金属錯体のLC/MSスペクトル。 構造式(102)に示す有機金属錯体のH NMRチャート。 構造式(102)に示す有機金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトル。 構造式(111)に示す有機金属錯体のH NMRチャート。 構造式(111)に示す有機金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトル。 構造式(112)に示す有機金属錯体のH NMRチャート。 構造式(112)に示す有機金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトル。 構造式(112)に示す有機金属錯体のLC/MSスペクトル。 実施例の発光素子について説明する図。 発光素子1の電圧−電流特性を示す図。 発光素子1の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子1の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子1の輝度−外部量子効率特性を示す図。 発光素子1の発光スペクトルを示す図。 発光素子1の信頼性試験の結果を示す図。 発光素子2の電圧−電流特性を示す図。 発光素子2の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子2の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子2の輝度−外部量子効率特性を示す図。 発光素子2の発光スペクトルを示す図。 発光素子3の電圧−電流特性を示す図。 発光素子3の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子3の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子3の輝度−外部量子効率特性を示す図。 発光素子3の発光スペクトルを示す図。 発光素子4の電圧−電流特性を示す図。 発光素子4の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子4の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子4の輝度−外部量子効率特性を示す図。 発光素子4の発光スペクトルを示す図。 発光素子4の信頼性試験の結果を示す図。 発光素子5の電圧−電流特性を示す図。 発光素子5の電圧−輝度特性を示す図。 発光素子5の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子5の輝度−外部量子効率特性を示す図。 発光素子5の発光スペクトルを示す図。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の有機金属錯体について説明する。
本発明の一態様は、6位にアルキル基を有する4−フェニルピリミジン誘導体(置換基の種類によっては、4位にアルキル基を有する6−フェニルピリミジン誘導体と命名される場合もある)を配位子とし、第9族元素、あるいは第10族元素を中心金属とする有機金属錯体である。
具体的な、本発明の一態様は、一般式(G7)で表される構造を有する有機金属錯体である。
一般式(G7)中、Rは、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、あるいは第10族元素を表す。
は、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基となるが、そのようなアルキル基は、立体障害により分子間相互作用を抑制する。そのため、本発明の一態様である有機金属錯体の合成反応における副反応が抑制され、収率が向上する。
これを考慮すると、Rにおけるアルキル基としては、イソブチル基、sec‐ブチル基、分枝を有するまたは有さないペンチル基、分枝を有するまたは有さないヘキシル基、分枝を有するまたは有さないヘプチル基、分枝を有するまたは有さないオクチル基、分枝を有するまたは有さないノニル基、分枝を有するまたは有さないデシル基が挙げられる。
また、R〜Rにおける炭素数1〜6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、イソブチル基、tert‐ブチル基、n‐ペンチル基、1‐メチルブチル基、2‐メチルブチル基、3‐メチルブチル基、1‐エチルプロピル基、1,1‐ジメチルプロピル基、1,2‐ジメチルプロピル基、2,2‐ジメチルプロピル基、分枝を有するまたは有さないヘキシル基等があげられる。
また、R〜Rの具体例としては、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec−ブチルスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基、フルオロ基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基で1以上置換されたフェニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基で1以上置換されたフェニル基、炭素数1〜4のアルキルチオ基で1以上置換されたフェニル基、炭素数6〜10のアリール基で1以上置換されたフェニル基、ハロゲン基で1以上置換されたフェニル基、炭素数1〜4のハロアルキル基で1以上置換されたフェニル基、置換もしくは無置換のナフタレン−イル基等が挙げられる。
また、Mの具体例としては、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金が挙げられる。
また、本発明の一態様は、一般式(G1)で表される構造を有する有機金属錯体である。一般式(G1)で表される構造を有する有機金属錯体は、一般式(G7)で表される構造を有する有機金属錯体中、Rを、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基とし、Mをイリジウム(Ir)としたものである。したがって、一般式(G1)で表される構造を有する有機金属錯体は、一般式(G7)で表される構造を有する有機金属錯体でもある。
一般式(G1)中、R11は、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
11におけるアルキル基としては、イソブチル基、sec‐ブチル基、分枝を有するペンチル基、分枝を有するヘキシル基、分枝を有するヘプチル基、分枝を有するオクチル基、分枝を有するノニル基、分枝を有するデシル基が挙げられる。
なお、R〜Rの具体例は、一般式(G7)と同様である。
また、本発明の一態様は、一般式(G2)で表される構造を有する有機金属錯体である。一般式(G2)で表される構造を有する有機金属錯体は、一般式(G7)で表される構造を有する有機金属錯体中、Rを、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基とし、Mをイリジウム(Ir)としたものである。したがって、一般式(G2)で表される構造を有する有機金属錯体は、一般式(G7)で表される構造を有する有機金属錯体でもある。
一般式(G2)中、R12は、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
12におけるアルキル基としては、分枝を有するまたは有さないペンチル基、分枝を有するまたは有さないヘキシル基、分枝を有するまたは有さないヘプチル基、分枝を有するまたは有さないオクチル基、分枝を有するまたは有さないノニル基、分枝を有するまたは有さないデシル基が挙げられる。
なお、R〜Rの具体例は、一般式(G7)と同様である。
また、本発明の一態様は、一般式(G8)で表される有機金属錯体である。一般式(G8)で表される有機金属錯体は、一般式(G7)で表される構造を有する有機金属錯体である。
一般式(G8)中、Rは、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。Mは中心金属であり、第9族元素、あるいは第10族元素を表し、Lはモノアニオン性の配位子を表す。
なお、R〜R、Mの具体例は、一般式(G7)と同様である。
一般式(G8)に示す有機金属錯体において、モノアニオン性の配位子は、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、カルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、フェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、又は2つの配位元素がいずれも窒素であるモノアニオン性の二座キレート配位子であることが好ましい。特に、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子であることが好ましい。ベータジケトン構造を有することで、有機金属錯体の有機溶媒への溶解性が高まり、精製が容易となり好ましい。また、ベータジケトン構造を有することで、発光効率の高い有機金属錯体を得ることができるため好ましい。また、ベータジケトン構造を有することで昇華性が高まり、蒸着性能に優れるという利点がある。
また、一般式(G8)に示す有機金属錯体において、モノアニオン性の配位子は、一般式(L1)乃至(L7)のいずれか一であることが好ましい。
一般式(L1)乃至(L7)中、R71〜R109はそれぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン基、ビニル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基を表す。また、A〜Aは、それぞれ独立に、窒素、水素と結合するsp混成炭素、又は置換基Rと結合するsp炭素を表し、置換基Rは炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン基、炭素数1〜4のハロアルキル基、又はフェニル基を表す。
また、本発明の一態様は、一般式(G3)で表される有機金属錯体である。一般式(G3)で表される有機金属錯体は、一般式(G8)で表される有機金属錯体中、Rを、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基とし、Mをイリジウム(Ir)としたものである。したがって、一般式(G3)で表される構造を有する有機金属錯体は、一般式(G8)でも表される。
一般式(G3)中、R11は、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。Lはモノアニオン性の配位子を表す。
なお、R11の具体例は、一般式(G1)と同様である。R〜Rの具体例は、一般式(G7)と同様である。Lの具体例は一般式(G8)と同様である。
また、本発明の一態様は、一般式(G4)で表される有機金属錯体である。一般式(G4)で表される有機金属錯体は、一般式(G8)で表される有機金属錯体中、Rを、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基とし、Mをイリジウム(Ir)としたものである。したがって、一般式(G4)で表される構造を有する有機金属錯体は、一般式(G8)でも表される。
一般式(G4)中、R12は、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。Lはモノアニオン性の配位子を表す。
なお、R12の具体例は、一般式(G2)と同様である。R〜Rの具体例は、一般式(G7)と同様である。Lの具体例は一般式(G8)と同様である。
また、本発明の一態様は、一般式(G9)で表される有機金属錯体である。一般式(G9)で表される有機金属錯体は、一般式(G7)で表される構造を有する有機金属錯体である。
一般式(G9)中、Rは、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。Mは中心金属であり、第9族元素、あるいは第10族元素を表す。
なお、R〜R、Mの具体例は、一般式(G7)と同様である。
また、本発明の一態様は、一般式(G5)で表される有機金属錯体である。一般式(G5)で表される有機金属錯体は、一般式(G9)で表される有機金属錯体中、Rを、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基とし、Mをイリジウム(Ir)としたものである。したがって、一般式(G5)で表される構造を有する有機金属錯体は、一般式(G9)でも表される。
一般式(G5)中、R11は、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
なお、R11の具体例は、一般式(G1)と同様である。R〜Rの具体例は、一般式(G7)と同様である。
また、本発明の一態様は、一般式(G6)で表される有機金属錯体である。一般式(G6)で表される有機金属錯体は、一般式(G9)で表される有機金属錯体中、Rを、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基とし、Mをイリジウム(Ir)としたものである。したがって、一般式(G6)で表される構造を有する有機金属錯体は、一般式(G9)でも表される。
一般式(G6)中、R12は、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
なお、R12の具体例は、一般式(G2)と同様である。R〜Rの具体例は、一般式(G7)と同様である。
≪一般式(G0)で表されるピリミジン誘導体の合成方法≫
下記一般式(G0)で表されるピリミジン誘導体の合成法の一例について説明する。下記一般式(G0)で表されるピリミジン誘導体は、例えば以下のような簡便な合成スキーム(a)または(b)により合成できる。
一般式(G0)において、Rは、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
を表す。
例えば、一般式(G0)で表されるピリミジン誘導体は、合成スキーム(a)に示すように、1,3−ジケトン(A1)とアミジン(A2)を反応させることにより得られる。
なお、一般式(G0)において、Rが水素の場合は、非特許文献(H. Brenereck, R. Gompper, G. Morlock, 「Chemische Berichte」, 90, 942 (1957))に示されるように、1,3−ジケトン(A1)とホルムアミドを酸触媒下で加熱し、反応させることにより得られる。
合成スキーム(a)において、Rは、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
また、一般式(G0)で表されるピリミジン誘導体は、合成スキーム(b)に示すように、ハロゲン化ピリミジン化合物(A1’)とグリニヤール反応剤(A2’)をクロスカップリングさせることにより得られる。
合成スキーム(b)において、XおよびXはハロゲンを表し、Rは、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
上述の(A1)、(A2)、(A1’)、(A2’)は、様々な種類が市販されているか、あるいは合成可能であるため、一般式(G0)で表されるピリミジン誘導体は数多くの種類を合成することができる。したがって、本発明の一態様である有機金属錯体は、その配位子のバリエーションが豊富であるという特徴がある。
≪一般式(G3)、(G4)(G5)または(G6)で表される本発明の一態様の有機金属錯体の合成方法≫
次に、一般式(G0)で表される4−アリールピリミジン誘導体をオルトメタル化して形成される本発明の一態様の有機金属錯体の中でも、好ましい具体例である下記一般式(G3)、(G4)(G5)または(G6)で表される有機金属錯体の合成方法について説明する。
11は、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基を表す。R12は、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。Lはモノアニオン性の配位子を表す。
<一般式(G3)または(G4)で表される本発明の一態様の有機金属錯体の合成方法>
まず、下記合成スキーム(c)に示すように、一般式(G0)で表されるピリミジン誘導体と、ハロゲン化イリジウム化合物(塩化イリジウム、臭化イリジウム、ヨウ化イリジウムなどで、好ましくは3塩化イリジウム水和物)とを無溶媒、アルコール系溶媒(グリセロール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノールなど)単独、又はアルコール系溶媒1種類以上と水との混合溶媒を用いて、不活性ガス雰囲気にて加熱することにより、ハロゲンで架橋された構造を有する有機金属錯体の一種であり、新規物質である複核錯体(B)を得ることができる。加熱手段として特に限定はなく、オイルバス、サンドバス、又はアルミブロックを用いてもよい。また、マイクロ波を加熱手段として用いることも可能である。
合成スキーム(c)において、Xはハロゲンを表し、Rは、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
さらに、下記合成スキーム(d)に示すように、上述の合成スキーム(c)で得られる複核錯体(B)と、モノアニオン性の配位子の原料HLとを、不活性ガス雰囲気にて反応させることにより、HLのプロトンが脱離してLが中心金属Irに配位し、有機金属錯体(C)が得られる。ここで、有機金属錯体(C)において、Rが、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基を表すとすると、一般式(G3)で表される有機金属錯体となり、Rが、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表すとすると、一般式(G4)で表される有機金属錯体となる。したがって、有機金属錯体(C)の合成方法を示したが、一般式(G3)または(G4)で表される本発明の一態様の有機金属錯体の合成方法も同様である。なお、加熱手段として特に限定はなく、オイルバス、サンドバス、又はアルミブロックを用いてもよい。また、マイクロ波を加熱手段として用いることも可能である。
合成スキーム(d)において、Lは、モノアニオン性の配位子を表し、Xはハロゲンを表し、Rは、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
本発明の一態様においては、上述したようにピリミジン誘導体を配位子とするオルトメタル錯体を得るために、ピリミジンの6位(すなわちR)に置換基を導入している。特にRとして、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を用いている。このため、合成スキーム(c)において生成したハロゲンで架橋された複核金属錯体が合成スキーム(d)で表される反応中に分解してしまうことを抑制し、飛躍的に高い収率を得ることができる。
なお、有機金属錯体(C)中における、すなわち一般式(G3)または(G4)中におけるモノアニオン性の配位子Lは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、カルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、フェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、又は2つの配位元素がいずれも窒素であるモノアニオン性の二座キレート配位子であることが好ましい。特に、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子であると、ベータジケトン構造を有することで、有機金属錯体の有機溶媒への溶解性が高まり、精製が容易となり好ましい。また、ベータジケトン構造を有することで、発光効率の高い有機金属錯体を得ることができるため好ましい。また、ベータジケトン構造を有することで昇華性が高まり、蒸着性能に優れるという利点がある。
また、モノアニオン性の配位子は、一般式(L1)乃至(L7)のいずれか一であることが好ましい。これらの配位子は、配位能力が高く、また、安価に入手することができるため有効である。
一般式(L1)乃至(L7)中、R71〜R109はそれぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン基、ビニル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基を表す。また、A〜Aは、それぞれ独立に、窒素、水素と結合するsp混成炭素、又は置換基Rと結合するsp炭素を表し、置換基Rは炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン基、炭素数1〜4のハロアルキル基、又はフェニル基を表す。
<一般式(G5)または(G6)で表される本発明の一態様の有機金属錯体の合成方法>
一般式(G5)または(G6)で表される本発明の一態様である有機金属錯体は、下記合成スキーム(e)により合成することができる。すなわち、一般式(G0)で表されるピリミジン誘導体と、ハロゲン化イリジウム化合物(塩化イリジウム、臭化イリジウム、ヨウ化イリジウムなどで、好ましくは3塩化イリジウム水和物)、又はイリジウム有機金属錯体化合物(アセチルアセトナト錯体、ジエチルスルフィド錯体等)とを混合した後、加熱することにより、有機金属錯体(D)を得ることができる。ここで、有機金属錯体(D)において、Rが、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基を表すとすると、一般式(G5)で表される有機金属錯体となり、Rが、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表すとすると、一般式(G6)で表される有機金属錯体となる。したがって、有機金属錯体(D)の合成方法を示したが、一般式(G5)または(G6)で表される本発明の一態様の有機金属錯体の合成方法も同様である。また、この加熱プロセスは、一般式(G0)で表されるピリミジン誘導体と、ハロゲン化イリジウム化合物、又はイリジウム有機金属錯体化合物とをアルコール系溶媒(グリセロール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等)に溶解した後に行ってもよい。加熱手段として特に限定はなく、オイルバス、サンドバス、又はアルミブロックを用いてもよい。また、マイクロ波を加熱手段として用いることも可能である。
合成スキーム(e)において、Rは、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を表す。Rは、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン基、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。
本発明の一態様においては、上述したようにピリミジン誘導体を配位子とするオルトメタル錯体を得るために、ピリミジンの6位(すなわちR)に置換基を導入している。特にRとして、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を用いているため、合成スキーム(e)における収率を高めることができる。Rとして、置換もしくは無置換の炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数5〜10のアルキル基を用いることで、メリジオナル異性体の生成が抑制できる。一般的にメリジオナル異性体はフェイシャル体に比べて発光効率が低く、光励起により反応しやすいことが知られている。本発明の一態様の構成ではRとして長鎖のアルキル基を有するため、メリジオナル異性体の生成が抑えられている。したがって、本発明の一態様に係る有機金属錯体を用いることでメリジオナル異性体の生成を抑えることができ、EL素子に本発明の一態様に係る有機金属錯体を用いたとき、効率や信頼性の向上に寄与する。また、Rにtert−ブチル基を用いた場合と比較して、有機溶媒への溶解性が高いという特徴がある。
以上、合成方法の一例について説明したが、開示する本発明の一態様である有機金属錯体は、他のどのような合成方法によって合成されても良い。
下記構造式(100)〜(117)に、本発明の一態様の有機金属錯体の具体的な構造式を列挙する。ただし、本発明の一態様はこれらに限定されることはない。
なお、上記構造式(100)〜(117)で表される有機金属錯体には、配位子の種類によっては立体異性体が存在しうるが、本発明の一態様の有機金属錯体にはこれらの異性体も全て含まれる。
上述した本発明の一態様である有機金属錯体は、燐光を発光することが可能であり、赤色から緑色の波長域に幅広い発光スペクトルを有するため、発光材料や発光素子の発光物質として利用できる。
本発明の一態様の有機金属錯体を用いることで、発光効率の高い発光素子、発光装置、電子機器、又は照明装置を実現することができる。または、消費電力が低い発光素子、発光装置、電子機器、もしくは照明装置を実現することができる。
また、本発明の一態様の有機金属錯体を用いることで、信頼性の高い発光素子、発光装置、電子機器、又は照明装置を実現することができる。
本実施の形態においては、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様として、実施の形態1で説明した有機金属錯体を発光層に用いた発光素子について図1(A)を用いて説明する。
図1(A)は、第1の電極101と第2の電極103との間にEL層102を有する発光素子を示した図である。EL層102は、発光層113を含む。発光層113は、実施の形態1で説明した本発明の一態様の有機金属錯体を含む。
このような発光素子に対して、電圧を印加することにより、第1の電極101側から注入された正孔と、第2の電極103側から注入された電子とが、発光層113において、再結合し、有機金属錯体を励起状態にする。そして、励起状態の有機金属錯体が基底状態に戻る際に発光する。このように、本発明の一態様である有機金属錯体は、発光素子における発光物質として機能する。なお、本実施の形態に示す発光素子において、第1の電極101は陽極として機能し、第2の電極103は陰極として機能する。
陽極として機能する、第1の電極101は、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム等が挙げられる。この他、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、チタン等を用いることができる。
但し、EL層102のうち、第1の電極101に接して形成される層が、後述する有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料を用いて形成される場合には、第1の電極101に用いる物質は、仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。例えば、アルミニウム、銀、アルミニウムを含む合金(例えば、Al−Si)等も用いることもできる。
第1の電極101は、例えばスパッタリング法や蒸着法(真空蒸着法を含む)等により形成することができる。
第1の電極101上に形成されるEL層102は、少なくとも発光層113を有しており、また、本発明の一態様である有機金属錯体を含んで形成される。EL層102の一部には様々な物質を用いることもでき、低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもできる。なお、EL層102を形成する物質には、有機化合物のみからなるものだけでなく、無機化合物を一部に含む構成も含めるものとする。
EL層102は、発光層113の他、図1(A)に示すように正孔注入性の高い物質を含んでなる正孔注入層111、正孔輸送性の高い物質を含んでなる正孔輸送層112、電子輸送性の高い物質を含んでなる電子輸送層114、電子注入性の高い物質を含んでなる電子注入層115などを適宜組み合わせて積層することにより形成される。
正孔注入層111は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いることができる。また、フタロシアニン(略称:HPc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
また、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
さらに、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
また、正孔注入層111として、有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子受容体によって有機化合物に正孔が発生するため、正孔注入性及び正孔輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した正孔の輸送に優れた材料(正孔輸送性の高い物質)であることが好ましい。
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、TDATA、MTDATA、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)等の芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等のカルバゾール誘導体を用いることができる。
また、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチルアントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
さらに、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
なお、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物と、上述した電子受容体を用いて複合材料を形成し、正孔注入層111に用いてもよい。
正孔輸送層112は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、NPB、TPD、BPAFLP、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
また、正孔輸送層112には、CBP、CzPA、PCzPAのようなカルバゾール誘導体や、t−BuDNA、DNA、DPAnthのようなアントラセン誘導体を用いても良い。
また、正孔輸送層112には、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDなどの高分子化合物を用いることもできる。
発光層113は、実施の形態1で示したような本発明の一態様である有機金属錯体を含む層である。本発明の一態様の有機金属錯体からなる薄膜で発光層113が形成されていてもよいし、本発明の一態様である有機金属錯体よりも大きい三重項励起エネルギーを有する物質をホストとして用い、本発明の一態様である有機金属錯体がゲストとして分散された薄膜で発光層113を形成しても良い。これによって、有機金属錯体からの発光が、濃度に起因して消光してしまうことを防ぐことができる。なお、三重項励起エネルギーとは、基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差である。
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、Alq、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、BAlq、Zn(BOX)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などの金属錯体が挙げられる。また、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。また、ポリ(2,5−ピリジン−ジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いてもよい。
また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
電子注入層115は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層115には、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層114を構成する物質を用いることもできる。
あるいは、電子注入層115に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性及び電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層114を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
なお、上述した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
陰極として機能する、第2の電極103は、仕事関数の小さい(好ましくは3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いて形成することが好ましい。具体的には、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素、すなわちリチウムやセシウム等のアルカリ金属、及びマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(例えば、Mg−Ag、Al−Li)、ユーロピウム、イッテルビウム等の希土類金属及びこれらを含む合金の他、アルミニウムや銀などを用いることができる。
但し、EL層102のうち、第2の電極103に接して形成される層が、上述する有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いる場合には、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を用いることができる。
なお、第2の電極103を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。また、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
上述した発光素子は、第1の電極101と第2の電極103との間に生じた電位差により電流が流れ、EL層102において正孔と電子とが再結合することにより発光する。そして、この発光は、第1の電極101又は第2の電極103のいずれか一方又は両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極101又は第2の電極103のいずれか一方、又は両方が可視光に対する透光性を有する電極となる。
本実施の形態で示した発光素子を用いて、パッシブマトリクス型の発光装置や、トランジスタによって発光素子の駆動が制御されたアクティブマトリクス型の発光装置を作製することができる。
なお、アクティブマトリクス型の発光装置を作製する場合におけるトランジスタの構造は、特に限定されない。例えば、スタガ型や逆スタガ型のトランジスタを適宜用いることができる。また、基板に形成される駆動用回路についても、N型及びP型のトランジスタからなるものでもよいし、N型のトランジスタのみ、又はP型のトランジスタのみからなるものであってもよい。さらに、トランジスタに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定されない。例えば、非晶質半導体膜、結晶性半導体膜等を用いることができる。また、半導体膜の材料としてはシリコンなどの単体のほか、酸化物半導体などを用いることができる。
なお、本実施の形態において、発光層113で用いた本発明の一態様である有機金属錯体は、赤色から緑色の波長域に幅広い発光スペクトルを有する。従って、演色性の高い発光素子を実現することができる。
また、本実施の形態の発光素子は、本発明の一態様の有機金属錯体を含むため、発光効率の高い発光素子を実現することができる。また、消費電力が低い発光素子を実現することができる。また、信頼性の高い発光素子を実現することができる。
本実施の形態においては、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本発明の一態様の発光素子は、複数の発光層を有するものであってもよい。複数の発光層を設け、それぞれの発光層から発光させることで、複数の発光が混合された発光を得ることができる。したがって、例えば白色光を得ることができる。本実施の形態では、複数の発光層を有する発光素子の態様について図1(B)を用いて説明する。
図1(B)は、第1の電極101と第2の電極103との間にEL層102を有する発光素子を示した図である。EL層102は、第1の発光層213と第2の発光層215を含むため、図1(B)に示す発光素子は、第1の発光層213における発光と第2の発光層215における発光が混合された発光を得ることができる。第1の発光層213と第2の発光層215との間には、分離層214を有することが好ましい。
本実施の形態では、第1の発光層213に青色の発光を示す有機化合物を含み、第2の発光層215に本発明の一態様の有機金属錯体を含む発光素子を説明するが、本発明の一態様はこれに限らない。
第1の発光層213に本発明の一態様である有機金属錯体を用い、第2の発光層215に他の発光物質を適用してもよい。
EL層102は、発光層を3層以上有していても良い。
第1の電極101の電位が第2の電極103の電位よりも高くなるように電圧を印加すると、第1の電極101と第2の電極103との間に電流が流れ、第1の発光層213、第2の発光層215、又は分離層214において正孔と電子とが再結合する。生じた励起エネルギーは、第1の発光層213と第2の発光層215の両方に分配され、第1の発光層213に含まれた第1の発光物質と第2の発光層215に含まれた第2の発光物質を励起状態にする。そして、励起状態になった第1の発光物質と第2の発光物質とは、それぞれ基底状態に戻るときに発光する。
第1の発光層213には、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、DPVBi、4,4’−ビス[2−(N−エチルカルバゾール−3−イル)ビニル]ビフェニル(略称:BCzVBi)、BAlq、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)ガリウムクロリド(GamqCl)などの蛍光性化合物や、ビス{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:[Ir(CFppy)(pic)])、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[FIr(acac)])、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラ(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)などの燐光性化合物に代表される第1の発光物質が含まれており、450〜510nmに発光スペクトルのピークを有する発光(すなわち、青色〜青緑色)が得られる。
また、第1の発光層213の構成は、第1の発光物質が蛍光性化合物の場合、第1の発光物質よりも大きい一重項励起エネルギーを有する物質を第1のホストとして用い、第1の発光物質をゲストとして分散してなる層であることが好ましい。また、第1の発光物質が燐光性化合物の場合、第1の発光物質よりも大きい三重項励起エネルギーを有する物質を第1のホストとして用い、第1の発光物質をゲストとして分散してなる層であることが好ましい。第1のホストとしては、先に述べたNPB、CBP、TCTA等の他、DNA、t−BuDNA等を用いることができる。なお、一重項励起エネルギーとは、基底状態と一重項励起状態とのエネルギー差である。
第2の発光層215は、本発明の一態様である有機金属錯体を含んでおり、赤色〜緑色の発光が得られる。第2の発光層215の構成は、実施の形態2で説明した発光層113と同様の構成とすればよい。
また、分離層214は、具体的には、上述したTPAQn、NPB、CBP、TCTA、Znpp、ZnBOX等を用いて形成することができる。このように、分離層214を設けることで、第1の発光層213と第2の発光層215のいずれか一方のみの発光強度が強くなってしまうという不具合を防ぐことができる。ただし、分離層214は必ずしも必要ではなく、第1の発光層213の発光強度と第2の発光層215の発光強度との割合を調節するため、適宜設ければよい。
また、EL層102は、発光層の他に正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114、電子注入層115を設けているが、これらの層の構成に関しても、実施の形態2で述べた各層の構成を適用すればよい。ただし、これらの層は必ずしも必要ではなく、素子の特性に応じて適宜設ければよい。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様として、発光素子においてEL層を複数有する構造(以下、積層型素子という)について、図1(C)を用いて説明する。この発光素子は、第1の電極101と第2の電極103との間に、複数のEL層(図1(C)では、第1のEL層700、第2のEL層701)を有する積層型発光素子である。なお、本実施の形態では、EL層が2層の場合について示すが、3層以上としても良い。
本実施の形態において、第1の電極101及び第2の電極103は実施の形態2に示した構成を適用すれば良い。
本実施の形態において、複数のEL層のうち、全てが実施の形態2で示したEL層と同様の構成であっても良いし、一部が同様の構成であっても良い。すなわち、第1のEL層700と第2のEL層701は、同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成には実施の形態2と同様なものも適用することができる。
また、図1(C)において、第1のEL層700と第2のEL層701との間には、電荷発生層305が設けられている。電荷発生層305は、第1の電極101と第2の電極103に電圧を印加したときに、一方のEL層に電子を注入し、他方のEL層に正孔を注入する機能を有する。本実施の形態の場合には、第1の電極101に第2の電極103よりも電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層305から第1のEL層700に電子が注入され、第2のEL層701に正孔が注入される。
なお、電荷発生層305は、光の取り出し効率の点から、可視光に対する透光性を有することが好ましい。また、電荷発生層305は、第1の電極101や第2の電極103よりも低い導電率であっても機能する。
電荷発生層305は、正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを含む構成であっても、電子輸送性の高い有機化合物と電子供与体(ドナー)とを含む構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。
正孔輸送性の高い有機化合物に電子受容体が添加された構成とする場合において、正孔輸送性の高い有機化合物としては、例えば、NPBやTPD、TDATA、MTDATA、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
一方、電子輸送性の高い有機化合物に電子供与体が添加された構成とする場合において、電子輸送性の高い有機化合物としては、例えば、Alq、Almq、BeBq、BAlqなど、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。また、この他、Zn(BOX)、Zn(BTZ)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、PBDやOXD−7、TAZ、BPhen、BCPなども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
また、電子供与体としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又は希土類金属又は元素周期表における第13族に属する金属及びその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、イッテルビウム、インジウム、酸化リチウム、炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
なお、上述した材料を用いて電荷発生層305を形成することにより、EL層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
本実施の形態では、2つのEL層を有する発光素子について説明したが、3つ以上のEL層を積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に、電荷発生層を挟んで複数のEL層を配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での発光が可能である。電流密度を低く保てるため、長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することができる。
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。
また、3つのEL層を有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1のEL層の発光色が赤色であり、第2のEL層の発光色が緑色であり、第3のEL層の発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子を用いた、パッシブマトリクス型の発光装置、及びアクティブマトリクス型の発光装置について説明する。
図2、図3にパッシブマトリクス型の発光装置の例を示す。
パッシブマトリクス型(単純マトリクス型ともいう)の発光装置は、ストライプ状(帯状)に並列された複数の陽極と、ストライプ状に並列された複数の陰極とが互いに直交するように設けられており、その交差部に発光層が挟まれた構造となっている。従って、選択された(電圧が印加された)陽極と選択された陰極との交点にあたる画素が点灯することになる。
図2(A)乃至図2(C)は、封止前における画素部の上面図を示す図であり、図2(A)乃至図2(C)中の鎖線A−A’で切断した断面図が図2(D)である。
基板401上には、下地絶縁層として絶縁層402を形成する。なお、下地絶縁層が必要でなければ特に形成しなくともよい。絶縁層402上には、ストライプ状に複数の第1の電極403が等間隔で配置されている(図2(A))。
また、第1の電極403上には、各画素に対応する開口部を有する隔壁404が設けられ、開口部を有する隔壁404は絶縁材料(感光性もしくは非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン)、又はSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜))で構成されている。なお、各画素に対応する開口部405が発光領域となる(図2(B))。
開口部を有する隔壁404上に、第1の電極403と交差する互いに平行な複数の逆テーパ状の隔壁406が設けられる(図2(C))。逆テーパ状の隔壁406はフォトリソグラフィ法に従い、未露光部分がパターンとして残るポジ型感光性樹脂を用い、パターンの下部がより多くエッチングされるように露光量又は現像時間を調節することによって形成する。
図2(C)に示すように逆テーパ状の隔壁406を形成した後、図2(D)に示すようにEL層407及び第2の電極408を順次形成する。開口部を有する隔壁404及び逆テーパ状の隔壁406を合わせた高さは、EL層407及び第2の電極408の膜厚より大きくなるように設定されているため、図2(D)に示すように複数の領域に分離されたEL層407と、第2の電極408とが形成される。なお、複数に分離された領域は、それぞれ電気的に独立している。
第2の電極408は、第1の電極403と交差する方向に伸長する互いに平行なストライプ状の電極である。なお、逆テーパ状の隔壁406上にもEL層407及び第2の電極408を形成する導電層の一部が形成されるが、EL層407、及び第2の電極408とは分断されている。
なお、本実施の形態における第1の電極403及び第2の電極408は、一方が陽極であり、他方が陰極であればどちらであっても良い。なお、EL層407を構成する積層構造については、電極の極性に応じて適宜調整すればよい。
また、必要であれば、基板401に封止缶やガラス基板などの封止材をシール材などの接着剤で貼り合わせて封止し、発光素子が密閉された空間に配置されるようにしても良い。これにより、発光素子の劣化を防止することができる。なお、密閉された空間には、充填材や、乾燥した不活性ガスを充填しても良い。さらに、水分などによる発光素子の劣化を防ぐために基板と封止材との間に乾燥剤などを封入してもよい。乾燥剤によって微量な水分が除去され、十分乾燥される。なお、乾燥剤としては、酸化カルシウムや酸化バリウムなどのようなアルカリ土類金属の酸化物のような化学吸着によって水分を吸収する物質を用いることが可能である。その他の乾燥剤として、ゼオライトやシリカゲル等の物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。
次に、図2(A)乃至図2(D)に示したパッシブマトリクス型の発光装置にFPCなどを実装した場合の上面図を図3に示す。
図3において、画像表示を構成する画素部は、走査線群とデータ線群が互いに直交するように交差している。
ここで、図2における第1の電極403が、図3の走査線503に相当し、図2における第2の電極408が、図3のデータ線508に相当し、逆テーパ状の隔壁406が隔壁506に相当する。データ線508と走査線503の間には、図2のEL層407が挟まれており、領域505で示される交差部が画素1つ分となる。
なお、走査線503は配線端で接続配線509と電気的に接続され、接続配線509が入力端子510を介してFPC511bに接続される。また、データ線は入力端子512を介してFPC511aに接続される。
また、必要であれば、射出面に偏光板、円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
なお、図3では、駆動回路を基板501上に設けない例を示したが、基板501上に駆動回路を有するICチップを実装させてもよい。
また、ICチップを実装させる場合には、画素部の周辺(外側)の領域に、画素部へ各信号を伝送する駆動回路が形成されたデータ線側IC、走査線側ICをCOG方式によりそれぞれ実装する。COG方式以外の実装技術としてTCPやワイヤボンディング方式を用いて実装してもよい。TCPはTABテープにICを実装したものであり、TABテープを素子形成基板上の配線に接続してICを実装する。データ線側IC、及び走査線側ICは、シリコン基板を用いたものであってもよいし、ガラス基板、石英基板もしくはプラスチック基板上にFETで駆動回路を形成したものであってもよい。
次に、アクティブマトリクス型の発光装置の例について、図4を用いて説明する。なお、図4(A)は発光装置を示す上面図であり、図4(B)は図4(A)を鎖線A−A’で切断した断面図である。本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、素子基板601上に設けられた画素部602と、駆動回路部(ソース側駆動回路)603と、駆動回路部(ゲート側駆動回路)604と、を有する。画素部602、駆動回路部603、及び駆動回路部604は、シール材605によって、素子基板601と封止基板606との間に封止されている。
また、素子基板601上には、駆動回路部603、及び駆動回路部604に外部からの信号(例えば、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、又はリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線607が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC(フレキシブルプリントサーキット)608を設ける例を示している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図4(B)を用いて説明する。素子基板601上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、ソース側駆動回路である駆動回路部603と、画素部602が示されている。
駆動回路部603はnチャネル型FET609とpチャネル型FET610とを組み合わせたCMOS回路が形成される例を示している。なお、駆動回路部を形成する回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に駆動回路を形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用FET611と、電流制御用FET612と電流制御用FET612の配線(ソース電極又はドレイン電極)に電気的に接続された陽極613とを含む複数の画素により形成される。なお、陽極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂を用いることにより形成する。
また、上層に積層形成される膜の被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部又は下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物614の上端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができ、有機化合物に限らず無機化合物、例えば、酸化シリコン、酸窒化シリコン等、の両者を使用することができる。
陽極613上には、EL層615及び陰極616が積層形成されている。なお、陽極613をITO膜とし、陽極613と接続する電流制御用FET612の配線として窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層膜、或いは窒化チタン膜、アルミニウムを主成分とする膜、窒化チタン膜との積層膜を適用すると、配線としての抵抗も低く、ITO膜との良好なオーミックコンタクトがとれる。なお、ここでは図示しないが、陰極616は外部入力端子であるFPC608に電気的に接続されている。
なお、EL層615は、少なくとも発光層が設けられており、発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層又は電子注入層を適宜設ける構成とする。陽極613、EL層615及び陰極616との積層構造で、発光素子617が形成されている。
また、図4(B)に示す断面図では発光素子617を1つのみ図示しているが、画素部602において、複数の発光素子がマトリクス状に配置されているものとする。画素部602には、3種類(R、G、B)の発光が得られる発光素子をそれぞれ選択的に形成し、フルカラー表示可能な発光装置を形成することができる。また、カラーフィルタと組み合わせることによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。
さらにシール材605で封止基板606を素子基板601と貼り合わせることにより、素子基板601、封止基板606、及びシール材605で囲まれた空間618に発光素子617が備えられた構造になっている。なお、空間618には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される構成も含むものとする。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板606に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステル又はアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、アクティブマトリクス型の発光装置を得ることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明を適用した一態様である発光装置を用いて完成させた様々な電子機器及び照明器具の一例について、図5〜図7を用いて説明する。
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
本発明の一態様の有機金属錯体を用いた発光素子を、可撓性を有する基板上に作製することで、曲面を有する発光部を有する電子機器、照明装置を実現することができる。
また、本発明の一態様の有機金属錯体を用いた発光素子が備える一対の電極を可視光に対する透光性を有する材料を用いて形成することで、シースルーの発光部を有する電子機器、照明装置を実現することができる。
また、本発明の一態様を適用した発光装置は、自動車の照明にも適用することができ、例えば、ダッシュボードや、フロントガラス上、天井等に照明を設置することもできる。
これらの電子機器及び照明器具の具体例を図5〜図7に示す。
図5(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、発光装置を表示部7103に用いることができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図5(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
図5(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図5(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304及び表示部7305の両方、又は一方に発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図5(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図5(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
図5(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
図5(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボード又は番号ボタンを表示させることが好ましい。
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
以上のように、本発明の一態様の発光装置を適用することで、電子機器の表示部は高い発光効率を実現することができる。また、本発明の一態様を適用することで、信頼性の高い電子機器を提供することができる。また、本発明の一態様を適用することで消費電力の低い電子機器を作製することができる。
また、図5(E)は卓上照明器具であり、照明部7501、傘7502、可変アーム7503、支柱7504、台7505、電源7506を含む。なお、卓上照明器具は、発光装置を照明部7501に用いることにより作製される。なお、照明器具には天井固定型の照明器具又は壁掛け型の照明器具なども含まれる。
図6(A)は、発光装置を、室内の照明装置801として用いた例である。発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。その他、ロール型の照明装置802として用いることもできる。なお、図6(A)に示すように、室内の照明装置801を備えた部屋で、図5(E)で説明した卓上照明器具803を併用してもよい。
図6(B)に別の照明装置の例を示す。図6(B)に示す卓上照明装置は、照明部9501、支柱9503、支持台9505等を含む。照明部9501は、本発明の一態様の有機金属錯体を含む。このように、可撓性を有する基板上に、本発明の一態様の発光素子を作製することで、曲面を有する照明装置、又はフレキシブルに曲がる照明部を有する照明装置とすることができる。このように、フレキシブルな発光装置を照明装置として用いることで、照明装置のデザインの自由度が向上するのみでなく、例えば、自動車の天井、ダッシュボード等の曲面を有する場所にも照明装置を設置することが可能となる。
図7に別の照明装置の例を示す。上述のように、本発明の一態様を適用し、曲面を有する照明装置を作製することができる。また、本発明の一態様の有機金属錯体は、黄色〜橙色の発光を呈するため、黄色照明装置や橙色照明装置を提供することができる。例えば、図7に示すトンネル内の照明装置9900に本発明の一態様を適用することができる。本発明の一態様を適用することで、発光効率、及びエネルギー効率の高い照明装置を実現することができるうえ、黄色〜橙色の発光は視感度が高いことから、事故を抑制することができる。また、本発明の一態様を適用した照明装置は面光源であるため、指向性が過度に強くなることを抑制することができ、事故の要因を減らすことができる。
また、上述の黄色照明装置を、イエロールーム等に適用することも可能である。本発明の一態様を適用した照明装置をイエロールームの照明に用いることで、影が生じにくく、良好な作業環境を提供することができる。
以上のように、本発明の一態様の発光装置を適用することで、照明装置は高い発光効率を実現することができる。また、本発明の一態様を適用することで、信頼性の高い照明装置を提供することができる。また、本発明の一態様を適用することで消費電力の低い照明装置を作製することができる。
上述のように、発光装置を適用して電子機器や照明器具を得ることができる。発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
≪合成例1≫
本実施例1では、実施の形態1の構造式(100)で表される本発明の一態様である有機金属イリジウム錯体、トリス{2−[6−(2−メチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(iBuppm)])の合成方法について説明する。なお、[Ir(iBuppm)](略称)の構造を以下に示す。
<ステップ1:5−メチル−1−フェニルヘキサン−1,3−ジオンの合成>
まず、N,N´−ジメチルホルムアミド(略称:DMF)55mL、カリウム‐t−ブトキシド(略称:tBuOK)9.0gを、200mL三口フラスコに入れ、容器内を窒素置換し、50℃に加熱した。その後、4−メチル−2−ペンタノン4.0g、5mLのDMF(略称)に溶かした安息香酸エチル9.0gを加え、50℃で2時間加熱した。得られた混合物に20%硫酸、水を加え、吸引ろ過した。ろ液に水を加え、ジクロロメタンにて有機層を抽出し、飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムを加え、自然ろ過した。ろ液の溶媒を留去し、ジクロロメタン:ヘキサン=1:2を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、目的物を6.8g(収率:83%、黄色の油状物)得た。ステップ1の合成スキームを下記(A−1)に示す。
<ステップ2:4−(2−メチルプロピル)−6−フェニルピリミジン(略称:HiBuppm)の合成>
次に上記ステップ1で合成した5−メチル−1−フェニルヘキサン−1,3−ジオン6.8g、ホルムアミド15gを反応容器に入れ、マイクロ波(2.45GHz、400W)を4時間照射した。得られた溶液を0.1M水酸化ナトリウム水溶液200mLに入れ、30分攪拌し、ジクロロメタンにて有機層を抽出した。抽出液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムを加え、自然ろ過した。ろ液の溶媒を留去し、ジクロロメタンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより目的物2.7g(収率:38%、淡い黄色の油状物)を得た。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(MILESTONE製 MicroSYNTH)を用いた。ステップ2の合成スキームを下記(A−2)に示す。
<ステップ3:ジ−μ−クロロ−テトラキス{2−[6−(2−メチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}ジイリジウム(III)(略称:[Ir(iBuppm)Cl])の合成>
上記ステップ2で合成したHiBuppm(略称)1.5g、塩化イリジウム(III)水和物1.1g、2−エトキシエタノール30mL、水10mLを、還流管を付けた100mL丸底フラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換して、マイクロ波(2.45GHz、100W)を2時間照射した。得られた反応液の溶媒を留去し、メタノールにて吸引ろ過し、目的物を1.3g(収率:71%、暗い茶色の粉末個体)得た。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製 Discover)を用いた。ステップ3の合成スキームを下記(A−3)に示す。
<ステップ4:トリス{2−[6−(2−メチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(iBuppm)])の合成>
上記ステップ3で合成した[Ir(iBuppm)Cl](略称)1.2g、HiBuppm(略称)0.94g、炭酸カリウム1.2g、フェノール11gを、還流管を付けた200mL三口フラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換し、185℃で9時間加熱した。得られた反応物をメタノールにて超音波洗浄し、吸引ろ過した。ろ物をジクロロメタンにて溶かし、酢酸エチル:ヘキサン=1:2を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。得られた溶液の溶媒を留去し、ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒を用いて再結晶をすることにより、本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(iBuppm)](略称)を得た(収率:68%、橙色粉末固体)。得られた橙色粉末固体0.73gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.5Pa、アルゴンガスを流量15mL/minで流しながら、250℃で固体を加熱した。昇華精製後、目的物の橙色固体を収率66%(UPLC純度99.9area%以上)で得た。ステップ4の合成スキームを下記(A−4)に示す。
なお、上記ステップ4で得られた橙色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、H−NMRチャートを図8に示す。本結果から、本合成例1において、上述の構造式(100)で表される本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(iBuppm)](略称)が得られたことが確認された。
有機金属錯体[Ir(iBuppm)](略称)のH NMRデータを以下に示す。
H−NMR.δ(CDCl):0.962−0.976(d,18H),2.09−2.17(m,3H),2.65−2.66(dd,6H),6.80−6.82(dd,3H),6.89−6.92(dt,3H),6.94−6.97(dt,3H),7.58(s,3H),7.73−7.75(d,3H),8.18(s,3H)。
次に、[Ir(iBuppm)](略称)のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液(0.081mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.081mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図9に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。また、図9において2本の実線が示されているが、細い実線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。図9に示す吸収スペクトルは、ジクロロメタン溶液(0.081mmol/L)を石英セルに入れて測定した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた結果を示している。
図9に示す通り、本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(iBuppm)](略称)は、534nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは黄緑色の発光が観測された。
次に、本実施例で得られた[Ir(iBuppm)](略称)を液体クロマトグラフ質量分析(Liquid Chromatography Mass Spectrometry(略称:LC/MS分析))により質量(MS)分析を行った。
LC/MS分析は、LC(液体クロマトグラフィー)分離をウォーターズ社製Acquity UPLCにより、MS分析(質量分析)をウォーターズ社製Xevo G2 Tof MSにより行った。LC分離で用いたカラムはAcquity UPLC BEH C8 (2.1×100mm 1.7μm)、カラム温度は40℃とした。移動相は移動相Aをアセトニトリル、移動相Bを0.1%ギ酸水溶液とした。また、サンプルは任意の濃度の[Ir(iBuppm)](略称)をクロロホルムに溶解し、アセトニトリルで希釈して調整し、注入量は5.0μLとした。
MS分析では、エレクトロスプレーイオン化法(ElectroSpray Ionization(略称:ESI))によるイオン化を行った。この時のキャピラリー電圧は3.0kV、サンプルコーン電圧は30Vとし、検出はポジティブモードで行った。以上の条件でイオン化されたm/z=827.34の成分を衝突室(コリジョンセル)内でアルゴンガスと衝突させてプロダクトイオンに解離させた。アルゴンを衝突させる際のエネルギー(コリジョンエネルギー)は50eVとした。なお、測定する質量範囲はm/z=100〜1200とした。図10に、解離させたプロダクトイオンを飛行時間(TOF)型MSで検出した結果を示す。
図10の結果から、[Ir(iBuppm)](略称)は、主としてm/z=611、401、213、170付近 にプロダクトイオンが検出されることがわかった。なお、図10に示す結果は、[Ir(iBuppm)](略称)に由来する特徴的な結果を示すものであることから、混合物中に含まれる[Ir(iBuppm)](略称)を同定する上での重要なデータであるといえる。
なお、m/z=611付近のプロダクトイオンは、[Ir(iBuppm)](略称)におけるHiBuppm(略称)が離脱した状態のカチオンと推定され、m/z=401付近のプロダクトイオンは、[Ir(iBuppm)](略称)におけるHNpppm(略称)が2つ離脱した状態のカチオンと推定され、m/z=213付近のプロダクトイオンは、HiBuppm(略称)のカチオンと推定され、HiBuppm(略称)が[Ir(iBuppm)](略称)に含まれていることを示唆するものである。さらにm/z=170付近のプロダクトイオンは、m/z=213付近のプロダクトイオンからプロピル基が脱離した状態のカチオンと推定され、[Ir(iBuppm)](略称)にアルキル鎖が含まれていることを示唆するものである。
≪合成例2≫
本合成例2では、実施形態1の構造式(101)で表される本発明の一態様である有機金属錯体、トリス{2−[6−(2,2´−ジメチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(Npppm)])の合成例を具体的に例示する。なお、[Ir(Npppm)](略称)の構造を以下に示す。
<ステップ1:5,5´−ジメチル−1−フェニルヘキサン−1,3−ジオンの合成>
まず、カリウム‐t−ブトキシド(略称:KOtBu)14gを、還流管を付けた200mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換し、N,N´−ジメチルホルムアミド(略称:DMF)83mLを加え、50℃に加熱した。その後、安息香酸エチル13.5g、7.5mLのDMF(略称)に溶かした4,4´−ジメチル−2−ペンタノン6.85gを加え、1.5時間加熱した。得られた溶液に20%硫酸水溶液、水を加え、ジクロロメタンにて有機層を抽出した。抽出液を飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて自然ろ過した。ろ液の溶媒を留去し、ヘキサンを展開溶媒としたフラッシュカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、目的物を11g(収率:84%、淡い黄色の油状物)得た。ステップ1の合成スキームを下記(B−1)に示す。
<ステップ2:4−(2,2´−ジメチルプロピル)−6−フェニルピリミジン(略称:HNpppm)の合成>
次に上記ステップ1で合成した5,5´−ジメチル−1−フェニルヘキサン−1,3−ジオン11g、ホルムアミド23gを反応容器に入れ、密閉系にてマイクロ波(2.45GHz、400W)を2時間照射した。得られた混合物に水酸化ナトリウム200mLを加え30分間攪拌し、ジクロロメタンにて有機層を抽出した。抽出液を飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムを加え、自然ろ過した。ろ液の溶媒を留去し、酢酸エチル:ヘキサン=1:5を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、目的物3.2g(収率:29%、淡い黄色の油状物)を得た。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(MILESTONE製 MicroSYNTH)を用いた。ステップ2の合成スキームを下記(B−2)に示す。
<ステップ3:ジ−μ−クロロ−テトラキス{2−[6−(2,2´−ジメチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}ジイリジウム(III)(略称:[Ir(Npppm)Cl])の合成>
上記ステップ2で合成したHNpppm(略称)2.1g、塩化イリジウム(III)水和物1.5g、2−エトキシエタノール30mL、水10mLを、還流管を付けた100mL丸底フラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換し、マイクロ波(2.45GHz 100W)を3.5時間照射した。得られた混合物の溶媒を留去し、メタノールにて吸引ろ過することにより、目的物2.6g(収率:74%、暗い緑色の固体)を得た。ステップ3の合成スキームを下記(B−3)に示す。
<ステップ4:トリス{2−[6−(2,2´−ジメチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(Npppm)])の合成>
上記ステップ3で合成した[Ir(Npppm)Cl](略称)2.6g、HNpppm(略称)1.9g、炭酸ナトリウム1.9g、フェノール10gを、還流管を付けた200mL三口フラスコに入れ、180℃で7時間加熱した。得られた混合物をメタノールにて超音波洗浄し、吸引ろ過した。ろ液の溶媒を留去し、ジクロロメタンにて有機層を抽出し、飽和食塩水にて洗浄、硫酸マグネシウムを加え、自然ろ過した。ろ液の溶媒を留去し、酢酸エチル:ヘキサン=1:5を展開溶媒としたフラッシュカラムクロマトグラフィーにて精製した。得られた溶液の溶媒を留去し、メタノールとジクロロメタンにて再結晶をすることにより、本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(Npppm)](略称)を得た(収率:48%、橙色粉末固体)で得た。得られた橙色粉末固体1.3gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.4Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minで流しながら、250℃から260℃の間で固体を加熱した。昇華精製後、目的物の橙色固体を収率85%(UPLC純度96.9area%)で得た。ステップ4の合成スキームを下記(B−4)に示す。
なお、上記ステップ4で得られた橙色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、H−NMRチャートを図11に示す。本結果から、本合成例2において、上述の構造式(101)で表される本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(Npppm)](略称)が得られたことが確認された。
有機金属錯体[Ir(Npppm)](略称)のH NMRデータを以下に示す。
H−NMR.δ(CDCl):1.00(s,18H),2.66(s,6H),6.79−6.80(dd,3H),6.88−6.96(dm,6H),7.56(ds,3H),7.72−7.74(dd,3H),8.19(ds,3H)。
次に、[Ir(Npppm)](略称)のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液(0.080mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.080mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図12に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。また、図12において2本の実線が示されているが、細い実線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。図12に示す吸収スペクトルは、ジクロロメタン溶液(0.080mmol/L)を石英セルに入れて測定した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた結果を示している。
図12に示す通り、本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(Npppm)](略称)は、535nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは黄緑色の発光が観測された。
次に、本実施例で得られた[Ir(Npppm)](略称)を液体クロマトグラフ質量分析(Liquid Chromatography Mass Spectrometry(略称:LC/MS分析))により質量(MS)分析を行った。
LC/MS分析は、LC(液体クロマトグラフィー)分離をウォーターズ社製Acquity UPLCにより、MS分析(質量分析)をウォーターズ社製Xevo G2 Tof MSにより行った。LC分離で用いたカラムはAcquity UPLC BEH C8 (2.1×100mm 1.7μm)、カラム温度は40℃とした。移動相は移動相Aをアセトニトリル、移動相Bを0.1%ギ酸水溶液とした。また、サンプルは任意の濃度の[Ir(Npppm)](略称)をクロロホルムに溶解し、アセトニトリルで希釈して調整し、注入量は5.0μLとした。
MS分析では、エレクトロスプレーイオン化法(ElectroSpray Ionization(略称:ESI))によるイオン化を行った。この時のキャピラリー電圧は3.0kV、サンプルコーン電圧は30Vとし、検出はポジティブモードで行った。以上の条件でイオン化されたm/z=869.39の成分を衝突室(コリジョンセル)内でアルゴンガスと衝突させてプロダクトイオンに解離させた。アルゴンを衝突させる際のエネルギー(コリジョンエネルギー)は50eVとした。なお、測定する質量範囲はm/z=100〜1200とした。図13に、解離させたプロダクトイオンを飛行時間(TOF)型MSで検出した結果を示す。
図13の結果から、[Ir(Npppm)](略称)は、主としてm/z=643、415、401付近 にプロダクトイオンが検出されることが確認された。なお、図13に示す結果は、[Ir(Npppm)](略称)に由来する特徴的な結果を示すものであることから、混合物中に含まれる[Ir(Npppm)](略称)を同定する上での重要なデータであるといえる。
なお、m/z=643付近のプロダクトイオンは、[Ir(Npppm)](略称)におけるHNpppm(略称)が離脱した状態のカチオンと推定され、m/z=415付近のプロダクトイオンは、[Ir(Npppm)](略称)におけるHNpppm(略称)が2つ離脱した状態のカチオンと推定され、[Ir(Npppm)](略称)に、HNpppm(略称)が含まれていることを示唆するものである。さらにm/z=401付近のプロダクトイオンは、m/z=415付近のプロダクトイオンからメチル基が脱離した状態のカチオンと推定され、[Ir(Npppm)](略称)に、アルキル鎖が含まれていることを示唆するものである。
≪合成例3≫
本合成例3では、実施形態1の構造式(102)で表される本発明の一態様の有機金属錯体、トリス{5−メトキシ−2−[6−(2−メチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(iBumoppm)])の合成例を具体的に例示する。なお、[Ir(iBumoppm)](略称)の構造を以下に示す。
<ステップ1;4−クロロ−6−(2−メチルプロピル)ピリミジンの合成>
まず、4,6−ジクロロピリミジン1.02g、トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄(III)(略称:Fe(acac))0.14g、dryTHF67mL、1−メチル−2−ピロリドン(略称:NMP)5.6mLを200mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。フラスコを氷冷後、イソブチルマグネシウムブロミド(1M THF溶液)6.7mLを加え、室温で20時間半撹拌した。その後、1N塩酸を加え、酢酸エチルにて有機層を抽出した。得られた抽出液を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した後の溶液をろ過した。この溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ジクロロメタン:酢酸エチル=10:1を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物を得た(黄色オイル、収率65%)。ステップ1の合成スキームを下記(C−1)に示す。
<ステップ2;4−(4−メトキシフェニル)6−(2−メチルプロピル)ピリミジン(略称:HiBumoppm)の合成>
次に、上記ステップ1で得た4−クロロ−6−(2−メチルプロピル)ピリミジン2.06gと4−メトキシフェニルボロン酸2.74g、炭酸ナトリウム1.85g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(略称:Pd(PPhCl)0.098g、水20mL、DMF20mLを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部をアルゴン置換した。この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 100W)を2時間照射することで加熱した。その後この溶液に水を加え、ジクロロメタンにて有機層を抽出した。得られた有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥した後の溶液をろ過した。この溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、トルエン:酢酸エチル=9:1を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、目的のピリミジン誘導体HiBumoppm(略称)を得た(黄色オイル、収率94%)。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製 Discover)を用いた。ステップ2の合成スキームを下記(C−2)に示す。
<ステップ3; ジ−μ−クロロ−テトラキス{5−メトキシ−2−[6−(2−メチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}ジイリジウム(III)(略称:[Ir(iBumoppm)Cl])の合成>
次に、2−エトキシエタノール15mLと水5mL、上記ステップ2で得たHiBumoppm(略称)0.91g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)(Sigma−Aldrich社製)0.54gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を1時間照射し、反応させた。溶媒を留去した後、得られた残渣をエタノールで吸引ろ過、洗浄し、複核錯体[Ir(iBumoppm)Cl] (略称)を得た(赤褐色粉末、収率77%)。また、ステップ3の合成スキームを下記(C−3)に示す。
<ステップ4; トリス{5−メトキシ−2−[6−(2−メチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(iBumoppm)]の合成>
さらに、フェノール10g、上記ステップ4で得た複核錯体[Ir(iBumoppm)Cl] 0.98g、HiBumoppm(略称)0.85g、炭酸カリウム0.95gを、還流管を付けた200mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。その後、185℃で8時間加熱し、反応させた。得られた残差をジクロロメタンに溶解させ、水、飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、乾燥した後の溶液をろ過した。この溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ヘキサン:酢酸エチル=2:1を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。フラクションを濃縮し、得られた固体をジクロロメタンとメタノールの混合溶媒にて再結晶することにより、本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(iBumoppm)](略称)を黄色粉末として得た(収率72%)。得られた黄色粉末固体0.86gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.7Pa、アルゴンガスを流量5mL/minで流しながら、225℃で固体を加熱した。昇華精製後、目的物の黄色固体を収率90%で得た(UPLC純度99.7area%)。ステップ4の合成スキームを下記(C−4)に示す。
なお、上記ステップ4で得られた黄色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、H−NMRチャートを図14に示す。本結果から、本合成例3において、上述の構造式(102)で表される本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(iBumoppm)](略称)が得られたことが確認された。
有機金属錯体[Ir(iBumoppm)](略称)のH NMRデータを以下に示す。
H−NMR.δ(CDCl):0.96(d,9H),0.98(d,9H),2.09−2.14(m,3H),2.57−2.65(m,6H),3.57(s,9H),6.39(d,3H),6.51(dd,3H),7.42(s,3H),7.66(d,3H),8.09(s,3H)。
次に、[Ir(iBumoppm)](略称)のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液(0.076mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.076mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図15に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。また、図15において2本の実線が示されているが、細い実線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。図15に示す吸収スペクトルは、ジクロロメタン溶液(0.076mmol/L)を石英セルに入れて測定した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた結果を示している。
図15に示す通り、本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(iBumoppm)](略称)は、512nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは緑色の発光が観測された。
≪合成例4≫
本合成例4では、実施形態1の構造式(111)で表される本発明の一態様である有機金属錯体、トリス[2−(6−ペンチル−4−ピリミジニル−κN3)フェニル−κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(nPeppm)])の合成例を具体的に例示する。なお、[Ir(nPeppm)](略称)の構造を以下に示す。
<ステップ1:4−クロロ−6−ペンチルピリミジンの合成>
まず、4,6−ジクロロピリミジン3.0g、トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄(III)0.42g、テトラヒドロフラン(略称:THF)200mL、1−メチル−2−ピロリドン(略称:NMP)17mLを500mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換し、氷冷した。さらに、ペンチルマグネシウムブロミド(1M THF(略称)溶液)20mLを加え、室温で25時間攪拌した。得られた混合物に1M塩酸を入れ、酢酸エチルにて有機層を抽出した。抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムを加え、自然ろ過した。ろ液の溶媒を留去し、ジクロロメタン:酢酸エチル=10:1を展開溶媒としたフラッシュカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、目的物を1.1g(収率:30%、淡い黄色の油状物)得た。ステップ1の合成スキームを下記(D−1)に示す。
<ステップ2:4−ペンチル−6−フェニルピリミジン(略称:HnPeppm)>
次に上記ステップ1で合成した4−クロロ−6−ペンチルピリミジン1.1g、フェニルボロン酸1.1g、炭酸ナトリウム0.95g、DMF20mL、水20mLを、還流管を付けた100mL丸底フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にビス(フェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(略称:Pd(PPh)Cl)50mgを入れ、マイクロ波(2.45GHz、200W)を3時間照射した。得られた混合物からジクロロメタンにて有機層を抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え、自然ろ過した。ろ液の溶媒を留去し、酢酸エチル:ジクロロメタン=1:10を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、目的物を1.1g(収率:81%、橙色油状物)得た。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製 Discover)を用いた。ステップ2の合成スキームを下記(D−2)に示す。
<ステップ3:ジ−μ−クロロ−テトラキス[2−(6−ペンチル−4−ピリミジニル−κN3)フェニル−κC]ジイリジウム(III)(略称:[Ir(nPeppm)Cl])>
上記ステップ2で合成したHnPeppm(略称)0.52g、塩化イリジウム(III)水和物0.35g、2−エトキシエタノール10mL、水5mLを、還流管を付けた100mL丸底フラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換し、マイクロ波(2.45GHz、120W)を1時間照射した。得られた混合物の溶媒を留去し、メタノールで洗浄することにより、目的物0.48gを得た(60%、暗い緑色粉末固体)。ステップ2の合成スキームを下記(D−3)に示す。
<ステップ4:トリス[2−(6−ペンチル−4−ピリミジニル−κN3)フェニル−κC]イリジウム(III)(略称:Ir(nPeppm))>
上記ステップ3で合成した[Ir(nPeppm)Cl](略称)0.48g、HnPeppm(略称)0.34g、炭酸カリウム0.48g、フェノール10gを、還流管を付けた100mL三口フラスコに入れ、180℃で6.5時間加熱した。得られた混合物をメタノールにて超音波洗浄し、ろ過した。ろ物に水を加え、ジクロロメタンにて有機層を抽出し、飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムを加え、自然ろ過した。ろ液の溶媒を留去し、ジクロロメタン:酢酸エチル=10:1を展開溶媒としたフラッシュカラムクロマトグラフィーにて精製した。得られた溶液の溶媒を留去し、ジクロロメタンとメタノールの混合溶液にて再結晶することにより、目的物を得た。本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(nPeppm)]を得た(収率:53%(UPLC純度93.7area%)、橙色粉末固体)。ステップ4の合成スキームを下記(D−4)に示す。
なお、上記ステップ4で得られた橙色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、H−NMRチャートを図16に示す。当該結果から、本合成例4において、上述の構造式(111)で表される本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(nPeppm)](略称)が得られたことが確認された。
有機金属錯体[Ir(nPeppm)](略称)のH NMRデータを以下に示す。
H−NMR.δ(CDCl):0.90−0.92(t,9H),1.36−1.39(m,12H),1.70−1.75(m,6H),2.77−2.80(t,6H),6.81−6.83(d,3H),6.89−6.96(dm,6H),7.60(s,3H),7.73−7.74(d,3H),8.17(s,3H)。
次に、[Ir(nPeppm)](略称)のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液(0.12mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.12mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図17に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。また、図17において2本の実線が示されているが、細い実線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。図17に示す吸収スペクトルは、ジクロロメタン溶液(0.12mmol/L)を石英セルに入れて測定した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた結果を示している。
図17に示す通り、本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(nPeppm)](略称)は、542nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは黄緑色の発光が観測された。
≪合成例5≫
本合成例5では、実施形態1の構造式(112)で表される本発明の一態様である有機金属錯体、ビス{2−[6−(2−メチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}(2,4−ペンタンジオナト−κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(iBuppm)(acac)])の合成例を具体的に例示する。なお、[Ir(iBuppm)(acac)](略称)の構造を以下に示す。
<ステップ1:ビス{2−[6−(2−メチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}(2,4−ペンタンジオナト−κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(iBuppm)(acac)])の合成>
まず[Ir(iBuppm)Cl](略称)2.5g、アセチルアセトン(略称:Hacac)0.57g、炭酸ナトリウム2.0g、2−エトキシエタノール20mLを、還流管を付けた100mL丸底フラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。この混合物にマイクロ波(2.45GHz、120W)を1.5時間照射した。得られた混合物をメタノールにて吸引ろ過し、ろ物をジクロロメタンに溶解させ、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナ、セライトの順で積層したろ過補助剤に通してろ過した。ろ液の溶媒を留去し、メタノールとジクロロメタンの混合溶媒にて再結晶をすることにより、本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(iBuppm)(acac)](略称)を得た(収率:56%、橙色粉末固体)。得られた橙色粉末固体1.5gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.4Pa、アルゴンガスを流量10mL/minで流しながら、230℃から240℃の間で固体を加熱した。昇華精製後、目的物の橙色固体を収率48%(UPLC純度99.9area%以上)で得た。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製 Discover)を用いた。ステップ1の合成スキームを下記(E−1)に示す。
なお、上記ステップ1で得られた橙色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、H−NMRチャートを図18に示す。このことから、本合成例5において、上述の構造式(112)で表される本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(iBuppm)(acac)](略称)が得られたことが確認された。
有機金属錯体[Ir(iBuppm)(acac)](略称)のH NMRデータを以下に示す。
H−NMR.δ(CDCl):1.05−1.06(d,12H),1.78(s,6H),2.25−2.33(m,2H),2.83−2.87(d,4H),5.25(s,1H),6.34−6.36(d,2H),6.76−7.79(t,2H),6.83−6.86(t,2H),7.56(s,2H),7.62−7.64(d,2H),9.01(s,2H)。
次に、[Ir(iBuppm)(acac)](略称)のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液(0.12mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.12mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図19に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。また、図19において2本の実線が示されているが、細い実線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。図19に示す吸収スペクトルは、ジクロロメタン溶液(0.12mmol/L)を石英セルに入れて測定した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた結果を示している。
図19に示す通り、本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(iBuppm)(acac)](略称)は、540nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは黄緑色の発光が観測された。
次に、本実施例で得られた[Ir(iBuppm)(acac)](略称)を液体クロマトグラフ質量分析(Liquid Chromatography Mass Spectrometry(略称:LC/MS分析))により質量(MS)分析を行った。
LC/MS分析は、LC(液体クロマトグラフィー)分離をウォーターズ社製Acquity UPLCにより、MS分析(質量分析)をウォーターズ社製Xevo G2 Tof MSにより行った。LC分離で用いたカラムはAcquity UPLC BEH C8 (2.1×100mm 1.7μm)、カラム温度は40℃とした。移動相は移動相Aをアセトニトリル、移動相Bを0.1%ギ酸水溶液とした。また、サンプルは任意の濃度の[Ir(iBuppm)(acac)](略称)をクロロホルムに溶解し、アセトニトリルで希釈して調整し、注入量は5.0μLとした。
MS分析では、エレクトロスプレーイオン化法(ElectroSpray Ionization(略称:ESI))によるイオン化を行った。この時のキャピラリー電圧は3.0kV、サンプルコーン電圧は30Vとし、検出はポジティブモードで行った。以上の条件でイオン化されたm/z=715.26の成分を衝突室(コリジョンセル)内でアルゴンガスと衝突させてプロダクトイオンに解離させた。アルゴンを衝突させる際のエネルギー(コリジョンエネルギー)は50eVとした。なお、測定する質量範囲はm/z=100〜1200とした。図20に、解離させたプロダクトイオンを飛行時間(TOF)型MSで検出した結果を示す。
図20の結果から、[Ir(iBuppm)(acac)](略称)は、主としてm/z=615、572付近 にプロダクトイオンが検出されることが確認された。なお、図20に示す結果は、[Ir(iBuppm)(acac)](略称)に由来する特徴的な結果を示すものであることから、混合物中に含まれる[Ir(iBuppm)(acac)](略称)を同定する上での重要なデータであるといえる。
なお、m/z=615付近のプロダクトイオンは、[Ir(iBuppm)(acac)](略称)におけるHacac(略称)が離脱した状態のカチオンと推定され、[Ir(iBuppm)(acac)](略称)に、Hacac(略称)が含まれていることを示唆するものである。さらにm/z=572付近のプロダクトイオンは、m/z=615付近のプロダクトイオンからプロピル基が脱離した状態のカチオンと推定され、[Ir(iBuppm)](略称)に、アルキル鎖が含まれていることを示唆するものである。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図21を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
以下に、本実施例の発光素子1の作製方法を示す。
まず、ガラス基板1100上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、陽極として機能する第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
基板1100上に発光素子を形成するための前処理としては、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、1,3,5−トリ(ジベンゾチオフェン−4−イル)−ベンゼン(略称:DBT3P−II)と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、20nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、正孔注入層1111上に、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
さらに、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、N−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−9,9−ジメチル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)、及び実施例1で合成したトリス{2−[6−(2−メチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(iBuppm)])を2回共蒸着し、正孔輸送層1112上に、第1の発光層と第2の発光層とを有する発光層1113を形成した。ここで、2mDBTBPDBq−II、PCBBiF及び[Ir(iBuppm)]の重量比は、第1の発光層は0.7:0.3:0.05(=2mDBTBPDBq−II:PCBBiF:[Ir(iBuppm)])となるように調節し、第2の発光層は0.8:0.2:0.05(=2mDBTBPDBq−II:PCBBiF:[Ir(iBuppm)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は、各20nm、計40nmとした。
次に、発光層1113上に2mDBTBPDBq−IIを膜厚20nmとなるよう成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
次に、第1の電子輸送層1114a上に、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚10nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
さらに、第2の電子輸送層1114b上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子1を作製した。
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
以上により得られた発光素子1の素子構造を表1に示す。
発光素子1を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子1が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子1の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子1の電圧−電流特性を図22に示す。図22において、横軸は電圧(V)を、縦軸は電流(mA)を表す。また、電圧−輝度特性を図23に示す。図23において、横軸は電圧(V)を、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、輝度−電流効率特性を図24に示す。図24において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、輝度―外部量子効率特性を図25に示す。図25において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は外部量子効率(%)を表す。また、発光素子1における輝度1017cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、パワー効率(lm/W)、外部量子効率(%)を表2に示す。
また、発光素子1に0.1mAの電流を流した際の発光スペクトルを、図26に示す。図26において、横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。図26に示す通り、発光素子の発光スペクトルは、532nmにピークを有していた。また、表2に示す通り、1017cd/mの輝度の時の発光素子1のCIE色度座標は(x,y)=(0.37,0.61)であった。この結果から、発光素子1は、[Ir(iBuppm)]に由来する緑色発光が得られたことがわかった。
表2及び図22〜図26からわかるように、発光素子1は、発光効率が良好であった。
以上の結果から、本発明の一態様の有機金属錯体を発光材料として用いることで、高い発光効率の素子を実現できることが示された。
次に、発光素子1の信頼性試験を行った。信頼性試験の結果を図27に示す。図27において、縦軸は初期輝度を100%とした時の規格化輝度(%)を示し、横軸は素子の駆動時間(h)を示す。
信頼性試験は、初期輝度を5000cd/mに設定し、電流密度一定の条件で発光素子1を駆動した。
330時間後の輝度について、発光素子1は、初期輝度の85%を保っていた。
以上の結果から、本発明の一態様の有機金属錯体を発光材料として用いることで、信頼性の高い素子を実現できることが示された。
(比較例1)
本実施例では、有機金属錯体、トリス{2−[6−(tert−ブチル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)])を発光材料として用いた発光素子について、図21を用いて説明する。なお、[Ir(tBuppm)]は、本発明の一態様に係る[Ir(iBuppm)]のイソブチル基を、直鎖の炭素数が2のtert−ブチル基に置き換えたものである。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。なお、既に実施例6にて示した材料については省略する。
本実施例の比較例発光素子1の作製方法を示す。
まず、ガラス基板1100上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、陽極として機能する第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
基板1100上に発光素子を形成するための前処理としては、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、1,3,5−トリ(ジベンゾチオフェン−4−イル)−ベンゼン(略称:DBT3P−II)と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、20nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、正孔注入層1111上に、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
さらに、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、N−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−9,9−ジメチル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)、及びトリス{2−[6−(tert−ブチル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)])を2回共蒸着し、正孔輸送層1112上に、第1の発光層と第2の発光層とを有する発光層1113を形成した。ここで、2mDBTBPDBq−II、PCBBiF及び[Ir(tBuppm)]の重量比は、第1の発光層は0.7:0.3:0.05(=2mDBTBPDBq−II:PCBBiF:[Ir(tBuppm)])となるように調節し、第2の発光層は0.8:0.2:0.05(=2mDBTBPDBq−II:PCBBiF:[Ir(tBuppm)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は、各20nm、計40nmとした。
次に、発光層1113上に2mDBTBPDBq−IIを膜厚20nmとなるよう成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
次に、第1の電子輸送層1114a上に、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚10nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
さらに、第2の電子輸送層1114b上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の比較例発光素子1を作製した。
すなわち、比較例発光素子1は、発光素子1に用いられた本発明の一態様に係る有機金属錯体[Ir(iBuppm)]に代えて、有機金属錯体[Ir(tBuppm)]が用いられて、発光素子1と同様の方法にて作製された。
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
以上により得られた比較例発光素子1の素子構造を表3に示す。
比較例発光素子1を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、比較例発光素子1が大気に曝されないように封止する作業を行った後、比較例発光素子1の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
比較例発光素子1における輝度1215cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、パワー効率(lm/W)、外部量子効率(%)を表4に示す。
外部量子効率について、本発明の一態様の発光素子である実施例6の発光素子1と、本実施例の比較例発光素子1とを比較すると、発光素子1においては25.1%であるのに対し、比較例発光素子1においては22.1%であった。すなわち、本発明の一態様である有機金属錯体は、[Ir(tBuppm)]と比較して、発光素子の外部量子効率を大幅に向上する。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図21を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。なお、既に実施例6にて示した材料については省略する。
以下に、本実施例の発光素子2の作製方法を示す。
まず、ガラス基板1100上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、陽極として機能する第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
基板1100上に発光素子を形成するための前処理としては、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、1,3,5−トリ(ジベンゾチオフェン−4−イル)−ベンゼン(略称:DBT3P−II)と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、20nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、正孔注入層1111上に、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
さらに、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、N−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−9,9−ジメチル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)、及び実施例2で合成したトリス{2−[6−(2,2´−ジメチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(Npppm)])を2回共蒸着し、正孔輸送層1112上に、第1の発光層と第2の発光層を有する発光層1113を形成した。ここで、2mDBTBPDBq−II、PCBBiF及び[Ir(Npppm)]の重量比は、第1の発光層は0.7:0.3:0.05(=2mDBTBPDBq−II:PCBBiF:[Ir(Npppm)])となるように調節し、第2の発光層は0.8:0.2:0.05(=2mDBTBPDBq−II:PCBBiF:[Ir(Npppm)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は各20nm、計40nmとした。
次に、発光層1113上に2mDBTBPDBq−IIを膜厚20nmとなるよう成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
次に、第1の電子輸送層1114a上に、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚10nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
さらに、第2の電子輸送層1114b上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子2を作製した。
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
以上により得られた発光素子2の素子構造を表5に示す。
発光素子2を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子2が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子2の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子2の電圧−電流特性を図28に示す。図28において、横軸は電圧(V)を、縦軸は電流(mA)を表す。また、電圧−輝度特性を図29に示す。図29において、横軸は電圧(V)を、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、輝度−電流効率特性を図30に示す。図30において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、輝度―外部量子効率特性を図31に示す。図31において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は外部量子効率(%)を表す。また、発光素子2における輝度1017cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、パワー効率(lm/W)、外部量子効率(%)を表6に示す。
また、発光素子2に0.1mAの電流を流した際の発光スペクトルを、図32に示す。図32において、横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。図32に示す通り、発光素子2の発光スペクトルは、532nmにピークを有していた。また、表4に示す通り、694cd/mの輝度の時の発光素子2のCIE色度座標は(x,y)=(0.36,0.62)であった。この結果から、発光素子2は、[Ir(Npppm)]に由来する緑色発光が得られたことがわかった。
表6及び図28〜図32からわかるように、発光素子2は、発光効率が良好であった。
以上の結果から、本発明の一態様の有機金属錯体を発光材料として用いることで、高い発光効率の素子を実現できることが示された。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図21を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。なお、実施例6にて既に示した材料については省略する。
以下に、本実施例の発光素子3の作製方法を示す。
まず、ガラス基板1100上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、陽極として機能する第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
基板1100上に発光素子を形成するための前処理としては、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、1,3,5−トリ(ジベンゾチオフェン−4−イル)−ベンゼン(略称:DBT3P−II)と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、20nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、正孔注入層1111上に、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
さらに、4,6−ビス〔3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル〕ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)、N−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−9,9−ジメチル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)、及び実施例3で合成したトリス{5−メトキシ−2−[6−(2−メチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(iBumoppm)])を共蒸着し、正孔輸送層1112上に、第1の発光層と第2の発光層を有する発光層1113を形成した。ここで、4,6mCzP2Pm、PCBBiF及び[Ir(iBumoppm)]の重量比は、0.8:0.2:0.05(=4,6mCzP2Pm:PCBBiF:[Ir(iBumoppm)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は40nmとした。
次に、発光層1113上に4,6mCzP2Pmを膜厚20nmとなるよう成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
次に、第1の電子輸送層1114a上に、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚10nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
さらに、第2の電子輸送層1114b上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子3を作製した。
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
以上により得られた発光素子3の素子構造を表7に示す。
発光素子3を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子3が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子3の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子3の電圧−電流特性を図33に示す。図33において、横軸は電圧(V)を、縦軸は電流(mA)を表す。また、電圧−輝度特性を図34に示す。図34において、横軸は電圧(V)を、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、輝度−電流効率特性を図35に示す。図35において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、輝度―外部量子効率特性を図36に示す。図36において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は外部量子効率(%)を表す。また、発光素子3における輝度1017cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、パワー効率(lm/W)、外部量子効率(%)を表8に示す。
また、発光素子3に0.1mAの電流を流した際の発光スペクトルを、図37に示す。図37において、横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。図37に示す通り、発光素子3の発光スペクトルは、504nmにピークを有していた。また、表4に示す通り、846cd/mの輝度の時の発光素子3のCIE色度座標は(x,y)=(0.28,0.62)であった。この結果から、発光素子3は、[Ir(iBumoppm)]に由来する緑色発光が得られたことがわかった。
表8及び図33〜図37からわかるように、発光素子3は、発光効率が良好であった。
以上の結果から、本発明の一態様の有機金属錯体を発光材料として用いることで、高い発光効率の素子を実現できることが示された。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図21を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。なお、実施例6にて既に示した材料については省略する。
以下に、本実施例の発光素子4の作製方法を示す。
まず、ガラス基板1100上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、陽極として機能する第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
基板1100上に発光素子を形成するための前処理としては、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、1,3,5−トリ(ジベンゾチオフェン−4−イル)−ベンゼン(略称:DBT3P−II)と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、20nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、正孔注入層1111上に、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
さらに、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、N−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−9,9−ジメチル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)、及び実施例5で合成したビス{2−[6−(2−メチルプロピル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}(2,4−ペンタンジオナト−κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(iBuppm)(acac)])を2回共蒸着し、正孔輸送層1112上に、第1の発光層と第2の発光層とを有する発光層1113を形成した。ここで、2mDBTBPDBq−II、PCBBiF及び[Ir(iBuppm)(acac)]の重量比は、第1の発光層は0.7:0.3:0.05(=2mDBTBPDBq−II:PCBBiF:[Ir(iBuppm)(acac)])となるように調節し、第2の発光層は0.8:0.2:0.05(=2mDBTBPDBq−II:PCBBiF:[Ir(iBuppm)(acac)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は、各20nm、計40nmとした。
次に、発光層1113上に2mDBTBPDBq−IIを膜厚20nmとなるよう成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
次に、第1の電子輸送層1114a上に、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚10nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
さらに、第2の電子輸送層1114b上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子4を作製した。
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
以上により得られた発光素子4の素子構造を表9に示す。
発光素子4を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子4が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子4の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子4の電圧−電流特性を図38に示す。図38において、横軸は電圧(V)を、縦軸は電流(mA)を表す。また、電圧−輝度特性を図39に示す。図39において、横軸は電圧(V)を、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、輝度−電流効率特性を図40に示す。図40において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、輝度―外部量子効率特性を図41に示す。図41において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は外部量子効率(%)を表す。また、発光素子4における輝度816cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、パワー効率(lm/W)、外部量子効率(%)を表10に示す。
また、発光素子4に0.1mAの電流を流した際の発光スペクトルを、図42に示す。図42において、横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。図42に示す通り、発光素子4の発光スペクトルは、545nmにピークを有していた。また、表8に示す通り、816cd/mの輝度の時の発光素子4のCIE色度座標は(x,y)=(0.42,0.57)であった。この結果から、発光素子4は、[Ir(iBuppm)(acac)]に由来する黄緑色発光が得られたことがわかった。
表10及び図38〜図42からわかるように、発光素子4は、発光効率が良好であった。
以上の結果から、本発明の一態様の有機金属錯体を発光材料として用いることで、高い発光効率の素子を実現できることが示された。
次に、発光素子4の信頼性試験を行った。信頼性試験の結果を図43に示す。図43において、縦軸は初期輝度を100%とした時の規格化輝度(%)を示し、横軸は素子の駆動時間(h)を示す。
信頼性試験は、初期輝度を5000cd/mに設定し、電流密度一定の条件で発光素子4を駆動した。
980時間後の輝度について、発光素子4は、初期輝度の85%を保っていた。
以上の結果から、本発明の一態様の有機金属錯体を発光材料として用いることで、信頼性の高い素子を実現できることが示された。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図21を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。なお、既に実施例6にて示した材料については省略する。
以下に、本実施例の発光素子5の作製方法を示す。
まず、ガラス基板1100上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、陽極として機能する第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
基板1100上に発光素子を形成するための前処理としては、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、1,3,5−トリ(ジベンゾチオフェン−4−イル)−ベンゼン(略称:DBT3P−II)と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、20nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、正孔注入層1111上に、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
さらに、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、N−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−9,9−ジメチル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)、及び実施例4で合成したトリス[2−(6−ペンチル−4−ピリミジニル−κN3)フェニル−κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(nPeppm)])を共蒸着し、正孔輸送層1112上に、発光層1113を形成した。ここで、2mDBTBPDBq−II、PCBBiF及び[Ir(nPeppm)]の重量比は、0.8:0.2:0.05(=2mDBTBPDBq−II:PCBBiF:[Ir(nPeppm)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は40nmとした。
次に、発光層1113上に2mDBTBPDBq−IIを膜厚20nmとなるよう成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
次に、第1の電子輸送層1114a上に、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚10nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
さらに、第2の電子輸送層1114b上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子5を作製した。
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
以上により得られた発光素子5の素子構造を表5に示す。
発光素子5を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子5が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子5の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子5の電圧−電流特性を図44に示す。図44において、横軸は電圧(V)を、縦軸は電流(mA)を表す。また、電圧−輝度特性を図45に示す。図45において、横軸は電圧(V)を、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、輝度−電流効率特性を図46に示す。図46において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、輝度―外部量子効率特性を図47に示す。図47において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は外部量子効率(%)を表す。また、発光素子5における輝度1048cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、パワー効率(lm/W)、外部量子効率(%)を表12に示す。
また、発光素子5に0.1mAの電流を流した際の発光スペクトルを、図48に示す。図48において、横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。図48に示す通り、発光素子5の発光スペクトルは、545nmにピークを有していた。また、表12に示す通り、694cd/mの輝度の時の発光素子5のCIE色度座標は(x,y)=(0.40,0.59)であった。この結果から、発光素子5は、[Ir(nPeppm)]に由来する緑色発光が得られたことがわかった。
表12及び図44〜図48からわかるように、発光素子5は、発光効率が良好であった。
以上の結果から、本発明の一態様の有機金属錯体を発光材料として用いることで、高い発光効率の素子を実現できることが示された。
(比較例2)
本実施例では、比較例1と同様に、トリス{2−[6−(tert−ブチル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)])を発光材料として用いた図21に示される構造を有する比較例発光素子2について説明する。比較例発光素子2は、発光材料以外は発光素子5と同様の構成の発光素子であり、発光材料は[Ir(nPeppm)]の代わりに[Ir(tBuppm)]を用いた。比較例発光素子2の作成方法は、発光層の作成工程以外は発光素子5の作成方法と同様である。
本実施例の比較例発光素子2の発光層の作製方法を示す。
2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、N−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−9,9−ジメチル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)、及びトリス{2−[6−(tert−ブチル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)])を共蒸着し、正孔輸送層1112上に、発光層1113を形成した。ここで、2mDBTBPDBq−II、PCBBiF及び[Ir(tBuppm)]の重量比は、0.8:0.2:0.05(=2mDBTBPDBq−II:PCBBiF:[Ir(tBuppm)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は40nmとした。
すなわち、比較例発光素子2は、発光素子5に用いられた本発明の一態様に係る有機金属錯体[Ir(nPeppm)]に代えて、有機金属錯体[Ir(tBuppm)]が用いられて、発光素子5と同様の方法にて作製された。
以上により得られた比較例発光素子2の素子構造を表13に示す。
比較例発光素子2を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、比較例発光素子2が大気に曝されないように封止する作業を行った後、比較例発光素子2の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
比較例発光素子1における輝度1090cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、パワー効率(lm/W)、外部量子効率(%)を表14に示す。
外部量子効率について、本発明の一態様の発光素子である実施例11の発光素子5と、本実施例の比較例発光素子2とを比較すると、発光素子5においては22.5%であるのに対し、比較例発光素子1においては21.6%であった。すなわち、本発明の一態様である有機金属錯体は、[Ir(tBuppm)]と比較して、発光素子の外部量子効率が向上していることが確認された。
101 第1の電極
102 EL層
103 第2の電極
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
115 電子注入層
213 第1の発光層
214 分離層
215 第2の発光層
305 電荷発生層
401 基板
402 絶縁層
403 第1の電極
404 隔壁
405 開口部
406 隔壁
407 EL層
408 第2の電極
501 基板
503 走査線
505 領域
506 隔壁
508 データ線
509 接続配線
510 入力端子
512 入力端子
601 素子基板
602 画素部
603 駆動回路部
604 駆動回路部
605 シール材
606 封止基板
607 配線
608 FPC
609 nチャネル型FET
610 pチャネル型FET
611 スイッチング用FET
612 電流制御用FET
613 陽極
614 絶縁物
615 EL層
616 陰極
617 発光素子
618 空間
700 第1のEL層
701 第2のEL層
801 照明装置
802 照明装置
803 卓上照明器具
511a FPC
511b FPC
1100 基板
1101 第1の電極
1103 第2の電極
1111 正孔注入層
1112 正孔輸送層
1113 発光層
1114a 第1の電子輸送層
1114b 第2の電子輸送層
1115 電子注入層
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作キー
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7301 筐体
7302 筐体
7303 連結部
7304 表示部
7305 表示部
7306 スピーカ部
7307 記録媒体挿入部
7308 LEDランプ
7309 操作キー
7310 接続端子
7311 センサ
7312 マイクロフォン
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7501 照明部
7502 傘
7503 可変アーム
7504 支柱
7505 台
7506 電源
9501 照明部
9503 支柱
9505 支持台
9900 照明装置

Claims (2)

  1. 一般式(G5)で表される有機金属錯体。


    (式中、R11、炭素数4以上であり直鎖の炭素数が3以上である分枝鎖状アルキル基を表し、Rは、水素を表し、Rは、水素を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
  2. 一般式(G6)又は(G4)で表される有機金属錯体。


    (式中、R12、炭素数5〜10のアルキル基を表し、Rは、水素を表し、Rは、水素を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素又は炭素数1〜6のアルコキシ基をし、Lは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子を表す。)

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