JP6355706B2 - 磁気抵抗構造を有する磁気センサデバイス、および、磁気抵抗構造を有する磁気センサデバイスのための方法 - Google Patents

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Description

実施例は、磁気抵抗構造を有する磁気センサデバイス、および、磁気抵抗構造を有する磁気センサデバイスのための方法に関する。
磁気抵抗効果には複数の異なる物理的現象が含まれており、これらの物理的現象の全てに共通する点は、抵抗素子の電気的抵抗が、当該抵抗素子を通る磁界の振舞いによって変化し得ることである。磁気抵抗効果を利用した技術は「xMR技術」と称されることもあり、ここで「x」は、巨大磁気抵抗(GMR)効果、トンネル磁気抵抗(TMR)効果または異方性磁気抵抗(AMR)効果等の複数の効果を対象とし得ることを意味するものである。これらは、ごく一部を例示列挙したに過ぎない。xMR効果は、幅広いフィールドベースのセンサに適用することができ、たとえば回転、角度等を測定するためのセンサに適用することができる。一部の用途、特にセーフティに関連する用途では、これらのセンサが高信頼性かつ高精度で動作することが必要とされる。
センサが、未知のまたは計算不可能な磁界の形態の妨害を受けてしまう用途もある。かかる妨害は、センサの状態または初期値を不規則に変化させることができる。センサのヒステリシス特性により、測定値を上回る初期値から当該測定値になったのか、または測定値を下回る初期値から当該測定値になったのかで大きな差が生じ得るので、ヒステリシスは測定結果の誤差の原因になり得る。渦型のフリー層を有する磁気xMRセンサのコンセプトのヒステリシスは、ほぼ0になり得る。換言すると低ヒステリシスは、フリー層に渦状の磁化状態(磁界)が存在しているときに達成することができ、低ヒステリシスは特に、車輪速度センシング、電流センシングまたは線形磁界センシング等の用途において関心対象となり得る。しかしこの渦状磁化状態は、測定される印加された磁界の磁界強度に関して特定の範囲内でしか安定的になることができない。
よって、測定結果の精度および信頼性を改善できるセンサ素子を実現することが望まれている。
1つの実施例は、磁気抵抗構造を有する磁気センサデバイスに関するものである。磁気抵抗構造は磁化フリー層を有し、磁化フリー層は、当該フリー層に閉じた磁束の磁化パターンを自発的に生成するように構成されている。磁気抵抗構造はさらに、閉じていない磁束の参照磁化パターンを有する磁化参照層も有する。磁気センサデバイスはさらに、磁化フリー層にバイアス磁界を生成するように構成された磁気バイアス構造も有する。バイアス磁界は、参照磁化パターンに対して垂直であるゼロではないバイアス磁界成分を有する。磁気抵抗構造はたとえば、磁性層と非磁性層とを交互に配置したものにより構成することができる。ここで「磁性」および「非磁性」との用語は、「強磁性」および「非強磁性」を意味することが可能である。よって「非磁性」層は、常磁性、反磁性または反強磁性の特性を有し得る。各層は実質的に、対ごとに平行である3つの方向x,yおよびzを有する直交座標系の2つの方向xおよびyに延在することができる。換言すると、第3の方向zの層の寸法は、第1および第2の方向xおよびyの当該層の寸法と比較して無視できる程度に小さくすることができる。方向xが参照磁化方向と一致する場合、たとえば、バイアス磁界のx成分を0に等しくし、バイアス磁界のy成分およびz成分はゼロではなくすることができる。閉じた磁束の磁化パターンは、「渦状態」とも称し得る。自発生成される渦状態はたとえば、フリー層の作製直後、または外部磁界が印加されない場合、フリー層に形成されることができる。閉じていない磁束の参照磁化パターンは具体的には、カール形および発散が0である一様の真っ直ぐまたは線形の磁界に相当することができる。かかる実施形態により、測定される外部磁界の、渦状態が自発生成される値の範囲を拡大することができる。その結果、ヒステリシスが消失する磁界範囲を拡大することができ、かかる磁界範囲の拡大により信頼性を向上させることができる。かかる磁界範囲の上限および下限は、「核形成磁界閾値」と称することもできる。
一部の実施形態では磁気バイアス構造は、ゼロではない面内バイアス磁界成分を有するバイアス磁界を生成するように構成されている。「面内」との用語は、フリー層が主にxy平面において延在することを意味することができる。よって、参照磁化パターンに対して垂直である面内成分は、換言するとy成分と一致し得る。
一部の実施形態では磁気バイアス構造は、方向が固定された磁界としてバイアス磁界を生成するように構成されている。これにより、外部磁界の渦核形成磁界閾値を、予め定められた値または固定値まで上昇させることができる。
一部の実施形態では磁気バイアス構造は、参照磁化パターンに対して垂直方向に、磁化フリー層にバイアス磁界を生成するように構成されている。換言すると、バイアス磁界のz成分も0にすることができる、ということである。これにより、渦形成範囲の拡大の効果を増大にすることができ、また最大限にすることさえも可能になる。
一部の実施形態では、磁化フリー層は中心対称性の形状である。換言するとかかる形状は、z方向に対して平行な中心軸まわりを所定の角度だけ回転することにより得ることができるものであり、たとえば等角形、等辺形または正多角形(三角形、四角形、六角形等)または楕円形を有することができる。これにより、自発的な渦形成を容易にすることができる。フリー層の形状は、他のファクタの中でも、バイアス磁界が印加されていない場合の外部磁界の渦形成範囲の初期幅を決定することができる。
一部の実施形態では、磁化フリー層は回転対称性の形状である。換言すると、フリー層は円板形状を有することができる。円板形状を用いると、自発的な渦形成を更に容易にすることができる。
一部の実施形態では、磁化フリー層の厚さと径との比は1/500から1/5までの範囲内である。厚さはz方向に測定することができ、径はxy平面内にて測定することができる。フリー層が非円形である場合、径はたとえば楕円形の長軸もしくは短軸、または、多角形の内接円もしくは外接円の直径に相当することができる。フリー層の厚さと径との比は、外部磁界の渦形成範囲の初期幅を決定するもう1つのファクタを提供するものとなり得る。上述の範囲内で値を選択することにより、渦形成を格段に容易にすることができる。
一部の実施形態では磁気バイアス構造は、バイアス磁界がある場合の、閉じた磁束の磁化パターンが自発的に生成される核形成磁界閾値を、バイアス磁界が無いときよりも大きくするバイアス磁界強度を有するバイアス磁界を生成するように構成されている。換言すると、顕著な効果(たとえば少なくとも1,2または5%)を引き起こすためには、バイアス磁界強度を所定の範囲内の値に設定することを要する場合がある。このようにして、核形成磁界閾値の上昇の効果を更に向上させることができる。
一部の実施形態では磁気バイアス構造は、バイアス磁界がある場合の核形成磁界閾値を、バイアス磁界が無いときよりも少なくとも5Oeまたは10Oeだけ大きくするバイアス磁界強度を有するバイアス磁界を生成するように構成されている。5Oeに磁界定数μを乗算すると、5Oeは0.5mTに相当することができる。
一部の実施形態では磁気バイアス構造は、閉じた磁束の磁化パターンが消滅する、外部磁界の消滅閾値の最大1/5であるバイアス磁界強度を有するバイアス磁界を生成するように構成されている。「消滅閾値」とは、これを超える場合、フリー層内の磁界の渦構造が消滅し得る外部磁界の値を意味することができる。よって、この値を下回ると、核形成磁界閾値で渦構造が再形成されるまでは、フリー層のヒステリシス特性を生じさせることができる。
一部の実施形態では磁気バイアス構造は、フリー層において交換バイアス磁界を生成するための反強磁性層を有する。かかる実施形態により、磁気センサデバイスのコンパクトの程度を増大させることができ、このことは、実装体積が小さい用途、たとえば自動車等において望まれている。
一部の実施形態では、フリー層は反強磁性層と参照層との間に配置される。かかる実施形態により、バイアス磁界を供給することの問題が緩和し得る。また、磁気センサデバイスのコンパクトの程度を更に向上させることもできる。
一部の実施形態では、反強磁性層はフリー層に直接隣接して配置される。かかる実施形態により、フリー層と反強磁性層との間に設けられる他の層を省略することができる。このことにより、バイアス磁界を供給する手段を更に簡素化することができる。
一部の実施形態では、フリー層の厚さは参照層の厚さの少なくとも3倍である。かかる実施形態により、参照層の交換バイアス効果と比較してフリー層の交換バイアス効果を小さく抑えることができる。このことによってバイアス磁界の強度は、渦形成範囲の拡大が更に強化される範囲内に来ることができる。これにより、バイアス磁界の効果を最大限にすることも可能である。
一部の実施形態では磁気バイアス構造は、フリー層にバイアス磁界を生成するように構成された1つまたは複数の永久磁石または電磁石を有する。このことにより、バイアス磁界を既存の磁気抵抗構造に印加できるようにすることができる。換言すると、1つまたは複数の永久磁石または電磁石は、磁気抵抗構造が集積される基板から離隔して配置することができる。
一部の実施形態では、磁気バイアス構造は少なくとも第1の永久磁石と第2の永久磁石とを有し、両永久磁石は、フリー層のそれぞれ反対側に配置される。このことにより、バイアス磁界の形状がより線形になることができる。さらに、永久磁石のz方向の厚さを削減することもでき、これにより、所要体積がより小さい実施が可能になる場合がある。
一部の実施形態では、磁気バイアス構造は電気導体を有し、これは、当該電気導体内の電流に応答して、バイアス磁界に応じて磁界をフリー層内に生成するように構成されている。かかる構成により、磁気バイアス構造と磁気抵抗構造とを1つの共通の基板またはチップ上に集積することが可能になる。さらに、上述の実施形態により、バイアス磁界の正確な調整も簡素化することができる。
一部の実施形態では、磁気抵抗構造は巨大磁気抵抗(GMR)構造またはトンネル磁気抵抗(TMR)構造に相当する。よって、種々の実施形態は、複数の異なるセンサ種類に適用することができる場合がある。
他の側面では、一部の実施形態は磁気抵抗センサ素子に関するものである。磁気抵抗センサ素子は磁化フリー層を有し、磁化フリー層は、当該フリー層に渦磁化パターンを自発的に生成させるように構成されている。磁気抵抗センサ素子はさらに、線形の参照磁化パターンを有する磁化参照層も有する。磁気抵抗センサ素子はさらに磁気バイアス構造も有し、磁気バイアス構造は、参照磁化パターンに対して垂直である、方向が固定されたバイアス磁界を、磁化フリー層に生成するように構成されている。
一部の実施形態では磁気バイアス構造は、1Oeから60Oeまでの範囲内のバイアス磁界強度を有するバイアス磁界を生成するように構成されている。
他の1つの側面では一部の実施形態は、磁気抵抗構造を有する磁気センサデバイスのための方法に関するものである。当該方法は、磁気抵抗構造の磁化参照層に閉じていない磁束の参照磁化パターンを設けることを含む。当該方法はさらに、磁気抵抗構造の磁化フリー層にバイアス磁界を生成することも含む。バイアス磁界は、参照磁化パターンに対して垂直であるゼロではないバイアス磁界成分を有する。当該方法はさらに、磁化フリー層に閉じた磁束の磁化パターンを自発的に生成させることも含む。かかる方法により、測定される外部磁界の、渦状態が自発的に生成される値の範囲を拡大することができる。この範囲内でヒステリシスは消失することができ、かかるヒステリシスの消失によって磁気センサデバイスの信頼性を向上させることができる。
以下、添付の図面を参照して、装置および/または方法の一部の実施形態について、単なる例として説明する。
磁気渦状態にあるときのフリー層を有する一実施例のTMRボトムスピンバルブ(BSV)構造の分解組立図である。 渦を特徴付ける核形成磁界および消滅磁界を示す、1つの円板形状のフリー層部材のヒステリシスループの概略図である。 一実施形態の、円板形状のNiFeフリー層をそれぞれ有する2つのTMRセルのヒステリシスループを示す図である。 一実施形態のスピンバルブ構造のセンシング方向に対して垂直である複数の異なるバイアス磁界のシミュレーション結果を示す図である。 バイアス磁界を用いない場合と、20Oeのバイアス磁界を用いた場合とにおける、磁化パターンのシミュレーション結果の対比図である。 複数の異なる外部磁界の存在下での、一実施形態のフリー層における閉じた磁束の磁化パターンの変化を示す図である。 一様の交換バイアスが印加されるフリー層を有する、一実施形態のTMR渦構造の分解組立図である。 一実施形態の、フリー層において磁界を生成する電気導体層を示す図である。 一実施形態の、フリー層において磁界を生成する裏面バイアス磁石を示す図である。 一実施形態の、フリー層においてバイアス磁界を形成する2つの硬磁性構造を示す図である。 一実施形態のフリー層の径厚比d/tと、渦核形成磁界および渦消滅磁界の磁束密度(単位mT)との関係を示す図である。 一部の実施形態のフリー層の複数の異なる径の場合における渦核形成磁界の範囲の幅の増大を、バイアス磁界強度に対して示す図である。 一実施形態の磁気センサデバイスのための方法のフローチャートである。
以下、幾つかの実施例を示している添付の図面を参照して、複数の実施例について詳細に説明する。図面中、分かりやすくするために、線の太さ、および層ならびに/もしくは領域の厚さを誇張している場合がある。
よって、種々の変更や代替的態様が可能である実施例は他にもあるが、そのうち一部の特定の実施例を図面に示しており、以下詳細に説明する。しかし本願の詳細な説明は、他の実施例を、ここで記載されている特定の態様に限定するものではない。他の実施例は、本願発明の範囲に属する全ての変更、均等態様および代替的態様を含むことができる。図面の説明全体において、同様の符号は同様または類似の要素を示しており、かかる同様または類似の要素は同一構成とすることができ、または、互いに比較したときに変更された形態であるが同一または類似の機能を果たす構成とすることもできる。
要素が他の要素に「接続」または「結合」されているという場合には、両要素が直接接続もしくは結合されていること、または、両要素が1つまたは複数の介在要素を介して接続もしくは結合されていることを意味する。これとは対照的に、要素が他の要素に「直接接続」または「直接結合」されているという場合には、介在要素は存在しない。要素間の関係を表すために使用される他の文言も、同様に解釈すべきである(たとえば「〜の間に」と「〜の間に直接」、「隣接」と「直接隣接」。これらは、ごく一部を例示列挙したものである)。
ここで使用される用語は、特定の実施例を説明するためのものであり、他の実施例について限定することを意図したものではない。たとえば「1つの(a, an)」および「前記1つの(the)」等の単数形が用いられており、1つの要素のみを使用することが任意的事項であると明示的にも暗黙的にも定義されていない場合には常に、同一の機能を具現化する要素を複数使用する他の実施例も可能である。また、それ以降に1つの機能が複数の要素を用いて具現化されると記載されている場合も、1つの要素または処理主体を用いて同一の機能を具現化する他の実施例が可能である。さらに、「備える」、「含む」、「有する」および/または「包含する」(“comprises”、“comprising”、“includes”、“including”)との用語が使用される場合には、記載の構成、完成品、ステップ、操作、処理、動作、要素および/または構成部品の存在を特定するものであり、更に1つまたは複数の当該構成、完成品、ステップ、操作、処理、動作、要素、構成部品および/またはこれらの群の存在または追加を除外するものではないと解される。
別段の定義がない限り、全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本願明細書において明示的に別段の定義がなされていない限り、本願明細書では、実施例が属する分野の通常の意味で用いられている。
図1は、トンネル磁気抵抗(TMR)センサ素子100の一実施例を示しており、これは、スピンバルブまたはボトムスピンバルブ(BSV)としても知られている。TMRセンサ素子100は、強磁性層と非強磁性層とを交互に配置した積層体110を有する。対ごとに直交する座標軸x,yおよびzを有する直交座標系で記述される場合、各層は、x軸とy軸とにより定まる平面内に延在する。1つの層のz方向における寸法は、層厚tと称することができる。
下から順に、TMRセンサ素子100は反強磁性のピニング層120と強磁性のピンド層130とを有する。ピニング層120とピンド層130との接触部は、「交換バイアス効果」として知られている効果を引き起こし、この効果により、ピンド層130の磁化は優位方向に配向される。換言するとピンド層130は、線形の磁束パターンを示すものであり、これは図1では、x方向に対して平行になっている。TMRセンサ素子100はさらに、結合層140も有する。結合層140は反磁性体とすることができ、たとえばルテニウム、イリジウム、銅または銅合金およびこれらに類する材料を含むことができる。結合層140は、ピンド層130を強磁性の参照層150から空間的に分離する。かかる構成を使用すると、参照層150の磁化は配向して、ピンド層130の磁化に対して反平行の方向に維持することができる。TMRセンサ素子100はトンネル障壁160も有している。このトンネル障壁160は電気絶縁性であり、参照層150を強磁性フリー層170から分離する。フリー層170、参照層150およびピンド層130は、一部の実施形態では鉄、コバルトまたはニッケルを含むことができ、一部の他の実施形態ではこれらの合金を含むことができる。合金は、各層の材料組成の少なくとも50%を構成する強磁性材料を含有する非強磁性材料、たとえば炭素等を含むこともできる。たとえば層は、コバルト鉄(CoFe)またはニッケル鉄(NiFe)合金を含むことができる。これとは対照的に、ピニング層120はたとえば、イリジウム、マンガン、白金またはこれらを含有する合金を含むことができる。
動作中、または電気回路に結合されているとき、一定の外部磁界が印加されると、予め決まった量の電荷がトンネル障壁160の一方の側から他方の側へ通過することができる。TMR効果は、外部磁界の方向が変化したときにトンネル障壁を通過する電荷の量の変化となって表れる量子物理現象である。この効果は、外部磁界の変化によって引き起こされるフリー層170の磁化の方向の変化に起因して生じ得る。
図1のフリー層170は円形である。または換言すると、円板状の構造を有する。この円板の径dは、たとえば、数百nmから10μmまでの範囲内とすることができる。円板はさらに、たとえば1nmから100nmまたは200nmまでの範囲内の厚さtを有する。かかる構造を有する層を設けることにより、フリー層170において閉じた磁束の磁化パターンが自発的に形成し得る。換言すると、フリー層170における
は0とは異なることができ、または、磁界線は円板内において閉じたループを形成することができる。かかる磁界の生成は「渦状態」または「渦配向」とも称し得る。換言すると、渦状態はたとえば、円板厚さtをたとえば10nmから最大100nmまでの範囲内に選択し、かつ、円板径dを500nmから3μmまでの間に選択することによって達成し得る。渦スピンバルブ構造はTMR効果に限定されることはなく、たとえば巨大磁気抵抗(GMR)を利用して渦スピンバルブ構造を実現することもできる。
渦配向のフリー層を有する磁気xMRセンサのコンセプトのヒステリシスは、ほぼ0になり得る。このことは特に、車輪速度センシングまたは電流センシング等の用途において関心対象となり得る。低ヒステリシスの前提条件は、渦状態の存在であり得る。渦状態が存在する領域を記述することができる重要なパラメータは、渦が核形成する核形成磁界Hと、渦が破壊されて元に戻る消滅磁界Hanである。
図2は、渦特性である核形成磁界Hおよび消滅磁界Hanを示す、1つの円板形状のフリー層部材のヒステリシスループの概略図である。図2では、外部磁界に対する磁化の正規化された面内成分(またはx成分)m/Mを示しており、これは、対応するスピンバルブ構造のセンサ信号と等価である。ここでは、2つの異なる動作域を区別することができる。動作域Aまたは渦形成域210は核形成磁界Hn+およびHn−によって定義され、磁気履歴によって影響を受けることはない。というのも、渦核形成を常に保証できるからである。動作域Bまたは渦消滅域220は消滅磁界Han+およびHan−によって定義され、これを(たとえば磁界パルスの形態の妨害によって)超えない限り、渦状態を保存することができる。換言すると、外部磁界を変化させることによって、磁化の面内成分m/Mを曲線230に沿ってシフトさせることができる。しかし、渦消滅域220外に出た後は、外部磁界強度を渦形成域210内の値まで低減することにより渦構造を再形成するためには、「リセット」が必要となることがある。渦消滅域220外に出た時から渦再形成までの間、磁化の面内成分m/Mはヒステリシス曲線240−1;240−2に従うことができる。
ロバストなセンサは理想的には、常にまたは少なくとも動作時間の大部分において、渦状態において動作することができる。よって、渦形成域210を拡大すること、または可能な限り大きくすることが望まれる場合がある。複数の実施形態は、Hの値を増大させることにより渦状態方式のセンサの動作域を格段に拡大するための手段を提供する。
渦状態センサの核形成磁界を調整するための手段の幾つかの例は、複数の異なる材料系、厚さと径との比t/D、および、フリー層の上部に設けられた追加の反強磁性体を用いるゼロ磁場冷却プロセスとに関することができる。
理論上(たとえばマイクロマグネティックシミュレーション)、材料が異なる場合、核形成磁界に差異が生じ得る。その変化し得る材料パラメータは、飽和磁化、交換スティフネスおよび結晶異方性である。渦状態はエネルギーの最小化から発達するものであるから、核形成磁界Hは主に、散乱磁界エネルギーと交換エネルギーとによって影響を受け得る。よって、交換スティフネスが増加するとHが減少することができるのに対し、飽和磁化の増大によりHが増大することができる。文献の値とシミュレーション結果とを比較すると、たとえば1μm円板、20nmの厚さの核形成磁界Hの差異は、たとえばCoFeの場合には約75Oeとなり、NiFeの場合には−30Oeとなる。
フリー層円板の厚さと径との比t/Dは、渦形成域210の幅に影響を及ぼすことができる。厚さtが増大するとHが増大することができる。これは、径Dが減少した場合も同様である。かかる関係は測定によっても確認することができるが、従来の手段では、集積サイズが限られることにより、その効果を完全に活用することはできない。更に厚いフリー層(たとえば50nm超)を用いて更なる調査を行うことにより、もう1つの選択肢が得られるが、かかる厚さのxMR積層体の構造化による問題が生じ得る。GMRの場合、フリー層の厚さが増加すると、磁気抵抗作用も低減することがある。
従来の他の1つの選択肢として、フリー層の上部において追加の反強磁性体を用いるいわゆる「ゼロ磁場冷却(ZFC)」プロセスを使用することができる。これにより、反強磁性体の表面に渦磁化パターンを刷り込むことができ、これにより核形成磁界をシフトおよび/または改善することができる。しかし、かかる措置により、xMR積層体の複雑性およびその処理は格段に増大することがある。
複数の実施形態は、磁気渦状態の核形成性能を改善するために、磁気渦センサと、センシング方向に対して垂直なバイアス磁界との組合せに関するものである。バイアス磁界の特定の範囲内の実験条件下において、渦核形成に及ぼされるバイアス磁界の効果の促進を観察することができる。実験データで、図3に示されているように、バイアス磁界の存在に起因する核形成磁界のシフトを観察することができる。外部磁界のx成分(単位Oe)を横軸として、電気的抵抗(単位kΩ)を示している。図3では、2つのTMRセルのヒステリシスループを示しており、これらのTMRセルはそれぞれ、t=20nmの厚さおよびD=2μmの径の円板形状のNiFeフリー層を有する。センシング方向に対して垂直方向に、それぞれ0Oe,10Oe,20Oeおよび30Oeの強度の複数の異なるバイアス磁界を印加した。矢印310は、10Oeのバイアス磁界の場合における核形成磁界Hのシフトを示している。
バイアス磁界強度に依存して、Hの上述の異なる明確なシフトが観察される。図3のループの正のブランチと負のブランチとにおける核形成磁界の得られた対称性については、本実施例ではバイアス印加の最適値は約10Oeとなり得る。他の構造では、バイアス印加を行わないと、上述の非対称的な核形成経路は見られず、本実施例では、バイアス印加によるHの多かれ少なかれ対称的なシフトが観察される。たとえば10Oeの小さいバイアス磁界の場合、センサ用途の場合の核形成磁界に及ぼされる促進影響を観察することができる。
以下、バイアス磁界が存在すると核形成磁界が何故シフトするのかについて説明する。
同等のスピンバルブ構造のマイクロマグネティックシミュレーション結果を、図4に示す。図4に示された結果は、20nmの厚さかつ1μmの径の円板のフリー層応答を示している。実験データと同一の効果を観察することができる。センシング方向(H)に対して垂直方向のバイアス磁界を印加した場合の核形成磁界のシフト、およびそのシフトの大きさは、バイアス磁界強度に依存する。核形成磁界が異なる理由は、渦前磁化状態が異なることに関連付けることができる。図2および図3を見ると、バイアス磁界が印加された場合、|H|の減少と共にフリー層円板磁化のx成分は格段に急峻に低下し得る。これにより、特定の周囲条件下において、渦核形成のエネルギー障壁が低下し得る。
ここで図5を参照すると、センシング方向における複数の異なる外部磁界強度(当該外部磁界のx成分に相当する)における、バイアス磁界を用いない場合とy方向に20Oeのバイアス磁界を用いる場合との各磁化パターンを示している。最初に、バイアスを印加しない場合、90Oeと40Oeとの間で(パネルa参照)、磁界線がC文字形に沿った非常に明確なC状態が生じていることを観察することができる。かかる状態は、バイアスを印加することによりスキップできる場合もある。更に、バイアスを印加することにより、このC状態はより明確な非対称性を有することができる。磁界線がS字形に沿ったS状態になだらかに移行する、非対称的な形状が形成される。第2に、バイアス印加を行わないS状態(パネルb参照)は更に安定的になり、−5Oeで既に、明確な非対称性は存在しなくなる(図示されていない)。−10Oeで、渦状態に達する(パネルc参照)。これとは対照的に、バイアスを印加するとC状態はスキップされ、50Oeにおいて既に非対称的なS状態が生じる(パネルd参照)。飽和状態から離脱するときに存在するこの明確な非対称性により、後続の渦状態の回転方向は、核形成前であっても明らかとなる。渦核形成は20Oeにおいて終了する(パネルe参照)。当業者が図5を見れば、バイアス磁界が存在する場合、(渦状態に先行して現れる)S字形状は格段に早期に形成され、既に磁化方向の非対称的な分布を示すことが分かる。
図6a,6bおよび6cに、フリー層770を有するxMRセンサの動作モードを、渦状の磁気の流れパターンと共に示す(対比のため、図5のパネルcおよびeも参照のこと)。図6aに示されているように、外部磁界が0に等しい場合、渦中心610は円板形状のフリー層770の中心に位置する。他の実施形態では、フリー層770の形状は円板形状とは異なることができる。参照層の参照磁化755の方向は、x方向に対して平行である。以下の説明は、フリー層770の渦状態が存在すると何故、参照磁化755の方向がxMRセンサの優位センシング方向として機能し得るのかを明らかにするために提示されるものである。
閉じた磁束パターンまたは渦を有する磁界が、円板形状のフリー層770にセンタリングされている場合、当該円板のうち、参照磁化755に対して平行な成分を磁界線が有する第1の部分620は、参照磁化755に対して反平行の成分を磁界線が有する当該円板の第2の部分630と等しい大きさになることができる。換言すると、円板表面全体にわたって積分されたフリー層磁化の巨視的方向は、0に等しくなることができる。しかしここで留意すべき点は、第1の円板部分620と第2の円板部分630とが明確に分離されておらず、むしろ互いになだらかに繋がっている場合があることである。このことは、図6a,6bおよび6c中では破線により示されている。
x方向における外部磁界640の印加または変化により、y方向において、またはxに対して垂直方向において、渦中心610のシフト650が生じ得る。このことは図6bに示されている。参照磁化755と同一正負符号を有する値まで外部磁界を増大させると(または、外部磁界と参照磁化755とを平行にすると)、円板表面全体にわたって積分されたフリー層磁化の巨視的方向は、たとえば正になることができる。図6bでは、かかる効果は第1の部分620の寸法の増大と、部分630の寸法の減少とに相当する。よって、参照磁化755の正負符号とは逆の正負符号の値まで外部磁界を減少させると、フリー層磁化の巨視的方向はたとえば負になることができる。
たとえばTMR等の幾つかの磁気抵抗効果は、電気抵抗が、フリー層770および参照層における磁化の平行配向または反平行配向に依存することを利用するものである。よって、フリー層770の渦構造磁化が存在する場合、電気抵抗は、参照磁化755の方向に対するフリー層770全体の巨視的磁化の相対方向(または、第1の部分620および第2の部分630の寸法比)に依存することができる。よって、図6aに相当する状態から図6bに相当する状態へ移行すると、フリー層770を含むxMRセンサデバイスの電気抵抗に顕著な変化が生じることができる。
図6cは、y方向または参照磁化755に対して垂直方向における外部磁界の変化660が生じた場合に生じ得る結果を示している。図6cでは、x方向において渦シフト670が生じることができる。図6cを見ると分かるように、y方向における外部磁界の変化660が生じても、第1の部分620および第2の部分630の相対寸法(または、反平行成分の累積値に対して相対的な、平行磁界線成分の累積値)を不変に維持することができる。したがって、フリー層770の巨視的磁化は不変に留まることができ、このことによって、xMRセンサデバイスの電気抵抗にいかなる顕著な変化も生じることはない。よって参照磁化755の方向は、その正負符号に依存せずに、優位センシング方向とみなすことができるのである。
図7に、磁気抵抗構造710を有する上述の磁気センサデバイス700の一実施形態を示す。磁気抵抗構造710は、図1の磁気抵抗構造110と同様とすることができる。対応する要素が図1にある構成要素については、以下の実施例において再度説明しないが、可能性のある相違点については言及する。磁気抵抗構造710は、閉じていない磁束の参照磁化パターンを有する磁化参照層750を有し、この閉じていない磁束の参照磁化パターンは、一様、真っ直ぐまたは線形の磁界とみなすこともできる。ここで、優位センシング方向790は参照磁化755によって決定されるので、x方向に対して平行になる。磁気抵抗構造710は磁化フリー層770も有し、磁化フリー層770は、当該フリー層770において閉じた磁束の磁化パターンまたは渦775を自発生成するように構成されている。磁気センサデバイス700はさらに、磁化フリー層770にバイアス磁界を生成するように構成された磁気バイアス構造780も有する。バイアス磁界は、参照磁化755に対して垂直であるゼロではないバイアス磁界成分を有する。換言すると、バイアス磁界のx成分は0とすることができ、かつ、バイアス磁界はゼロではないy成分および/またはz成分を有することができる。参照磁化755はゼロではないx成分を有することができ、かつ、参照磁化755のy成分およびz成分は0とすることができる。他の1つの実施形態ではバイアス磁界は、参照磁化755に対して垂直方向のゼロではない面内成分を有する。換言すると、バイアス磁界のy成分をゼロではなくすることができ、かつ、z成分をゼロとすること、またはこれに代えてゼロではなくすることができる。
磁気バイアス構造780はたとえば、磁気抵抗構造710に含まれる層として実現することができる。その一実施形態は、図7に示されている。これに代えて、磁気バイアス構造780はたとえば、積層体(磁気抵抗構造710)の外部に実現することができる。これについては、以下の実施形態のうち幾つかにおいて詳細に説明する。
一部の実施形態ではバイアス磁界は、方向が固定された磁界である。他の一部の実施形態ではバイアス磁界は、磁化フリー層770内の方向であって、参照磁化パターン755に対して垂直な方向とすることができる。換言すると、バイアス磁界のz成分も0にすることができ、または、バイアス磁界をフリー層770と同一平面内とすることができる、ということである。
磁気抵抗構造710は、図1の実施例に相当する、磁性層と非磁性層とを交互に配置した積層体に類するものとすることができる。積層体は下から順に、反強磁性のピニング層720と、磁化ピンド層730と、非磁性の結合層740と、参照層750と、電気絶縁性のトンネル障壁760と、フリー層770とを備えることができる。磁気抵抗構造710は、外部磁界を測定するためにTMR効果を使用する構成とすることができ、またはこれに代えて、他のxMR効果、たとえばGMRを使用する構成とすることもできる。一部の実施形態では、参照層750をピンド層730に相当するもの、またはこれと同一とすることもできる。
図7では磁気抵抗構造710は、ピンド層730と参照層750とが結合層740によって分離されている反平行(AP)ピンド構造であって、その各層の磁気モーメントが反平行である反平行ピンド構造として構成されている。さらに、磁気抵抗構造710を有するスピンバルブセンサは、1つ(たとえばピンド層730)または複数(たとえばピンド層730および参照層750)の強磁性層を有する単一ピンド構造であって、一方向の磁気モーメントを有する単一ピンド構造として構成することもできる。APピンド層構造では、ピンド層730の磁化と参照層750の磁化とが実質的に釣り合うことができる。よって、APピンド層構造の巨視的磁化がフリー層770の静止平行位置に及ぼす影響が少なくなり得る。一部の実施形態は、フリー層770以外には1つの強磁性層のみを有する磁気抵抗構造710、つまり参照層750を省略した磁気抵抗構造710を対象とすることができる。しかし、かかる磁気抵抗構造710における磁化の、外部磁界に対する不安定性は大きくなり得る。
さらに、磁気抵抗構造710を有するスピンバルブセンサは依然として、シングル型またはデュアル型に分類することができる。シングルスピンバルブセンサが使用するピンド層は1つのみとすることができ、デュアルスピンバルブセンサは2つのピンド層を使用することができ、たとえば両ピンド層間にフリー層構造を配置して使用することができる。他の一部の実施形態では、磁気抵抗構造710は硬磁性体とすることができ、または、スペーサ層により分離されて平行または反平行に結合された3つ以上の強磁性層を有する多層参照システムとすることもできる。
図7のフリー層770は円板形状で示されているが、別の実施形態では、他の中心対称性または回転対称性の形状を実現することも可能である。かかる形状はたとえば、楕円形、三角形、四角形(正方形、菱形等)、正六角形、線対称六角形または他の多角形を含むことができ、これらは一部の可能な形状を列挙したに過ぎない。さらに、上述の対称性を有しない他の任意の形状、たとえば不規則多角形、または1つの側がカットされている円板も、使用することができる。フリー層厚さはたとえば、10nmから100nmまでの間の値を有することができ、その径は、500nmから5μmまでの間の値を有することができる。よって、フリー層770の厚さと径との比t/dは有利には、1/500から1/5までの範囲内とすることができる。
複数の実施形態は、複数の異なる技術的具現化を対象とすることができ、これらの異なる技術的具現化は、オンチップ構成と外付け構成とに分割することができる。図7では、オンチップ構成のための一実施形態が示されており、同実施形態では磁気バイアス構造780は、フリー層770において交換バイアス磁界を生成するための反強磁性層781を有する。換言すると本実施形態は、フリー層770の交換バイアスとしてフリー層770に作用する、実質的に一様のバイアス印加を含むことができる。上述の交換バイアスは、フリー層770の上部に更なる反強磁性層781を追加して(たとえば、図7に示されているBSV構造の場合)、オプションとして追加の磁場冷却プロセスを行うことにより実現することができる。
ここで留意すべき点は、フリー層770と反強磁性層781との間のギャップは、単に図7が分解図であるからに過ぎないことである。一部の実施形態では、何らかの形態の結合が存在する場合、バイアスが観察される。かかる結合はたとえば、フリー層770とルテニウム層と別の強磁性層と反強磁性層781とがこの順に接触している層間交換結合とすることができる。また結合は、フリー層770と非磁性スペーサと別の強磁性層と反強磁性層781とがこの順に接触している静磁結合として生じることもできる。さらに他の一実施例では、フリー層770と反強磁性層781との結合は、直接接触によって直接交換バイアスを生じさせることにより達成することもできる。
y方向における一方向交換バイアスを分かりやすくするため、反強磁性層781は方形で描かれている。フリー層770と上部反強磁性体781との得られる構造は、ピンド層730と下部反強磁性体720との組合せと同様とすることができる。しかしフリー層770は、ピンド層730より厚くすることができ、たとえばピンド層730の3倍または5倍以上とすることができる。ピンド層730が参照層750に相当する実施形態ではこのことに応じて、フリー層770は参照層750の厚さを超えることができ、たとえば参照層750の厚さの3倍または5倍以上とすることができる。たとえば、10nmの厚さのフリー層(770)と2nmの厚さの参照層(750)またはピンド層(730)とを使用することができる。したがって、交換バイアス効果は表面現象であるから、フリー層770の交換バイアス磁界Heb(強磁性体‐反強磁性体交換結合に起因する1つの強磁性層のヒステリシス曲線のシフトとして表すことができる)は、反強磁性材料および磁場冷却プロセスが同一である場合でも、ピンド層730のHebと比較して格段に小さくすることができる。このことにより、10Oeから100Oeまでの交換バイアス磁界が生じることができる。この範囲内ではたとえば、IrMnと組み合わされた30nmの厚さのNiFe膜の交換バイアス磁界を配置することができ、IrMn厚さを変化することによってかかる交換バイアス磁界を調整することができる。他の実施形態では、参照層(750)はフリー層(770)の構造と比較して大きい寸法および/または厚さを有することができる。さらに、参照層(750)も渦状の磁化パターンを有することができる。
フリー層770の交換バイアスは有利には、ピンド層の交換バイアスに対して垂直方向と、面内とにおいても実現することができる。これは図7では、y方向に対して平行な矢印によって示されている。2つの異なる磁場冷却プロセスを実現するため、2つの異なるブロッキング温度を使用することができる。このことは一部の実施形態では、2つの異なる反強磁性材料を用いることにより、たとえばPtMnおよびIrMnを用いることにより実現することができる。ブロッキング温度および交換バイアス磁界は、反強磁性層781の厚さによって調整することもできる。一様に交換バイアスが印加されるフリー層770を対象とする複数の実施形態は、x方向に対して平行な飽和に由来する場合、渦核形成を含むことができる。
一部の実施形態ではフリー層770の交換バイアスは、反強磁性層781とフリー層770との間に配置された追加の層を介在して行うことができる。この追加の層は、たとえば強磁性体とすることができ、実際の交換バイアス効果を生じ、これによりその磁化の方向固定を行うことができる。フリー層770は、追加の層の磁化による影響を受けることができる。よって、かかる磁化はバイアス磁界となることができる。
上述の実施形態に代わる一部の実施形態では、反強磁性層781はフリー層770に直接隣接して配置される。フリー層770は反強磁性層781と参照層750との間に配置される。このことにより、より明確な交換バイアス効果を生じさせることができる一方、フリー層770の厚さを増大させることにより、交換バイアス効果は緩和する。このようにして、個々の要求に応じてバイアス磁界の値のバランスをとることができ、また最適化することもできる。また、渦安定性もより良好に活用することができる。
たとえば12nmの厚さおよび400および800nmの円板径の一方向交換バイアス印加されるフリー層を用いる幾つかのアプローチでは、バイアス方向と外部磁界とが垂直方向である場合、渦核形成は観察されない。一部の実施形態では、より厚いフリー層の場合、核形成磁界は正にシフトし得る。さらに、バイアス磁界の向きと外部磁界の向きとが平行であり、かつ構造がより小さい場合、渦核形成が観察される。垂直方向の場合、磁気力顕微法を用いて、コヒーレントな回転反転を観察することができる。一実施形態では、外部磁界を用いない温度処理ステップを追加することにより、ここで提案している、フリー層770への一様交換バイアス印加をさらに、ゼロ磁場冷却と組み合わせることができる。
本願開示内容から利益を享受する分野の通常の知識を有する者であれば、図7に明示的に示されていない他の実施形態を使用しても、類似の結果を達成できることが明らかである。かかる他の実施形態のうち1つは、フリー層770と反強磁性層781との間の他の1つの強磁性層が交換バイアス効果を生じて磁界を生成することにより、この磁界がフリー層770の磁化に影響を及ぼすことができる、というものである。上述の他の実施形態のうち他の1つは、反強磁性層781をフリー層770の下方に配置する、というものである。上述の他の実施形態のうちさらに他の1つは、バイアス磁界が参照磁化755に対して垂直方向のゼロではない成分を有し、かつ、参照磁化755に対して平行なゼロではない成分を有することができる、というものである。つまり、バイアス磁界と参照磁化755との間の角度は90°とは異なることができ、たとえばその差は、最大5°、10°、20°またはそれ以上の値とすることができる。
図8に示されている一実施形態では、磁気バイアス構造780は電気導体782を有し、これは、当該電気導体782内の電流810に応答して、バイアス磁界に応じて磁界820をフリー層770内に生成するように構成されている。電気導体782はワイヤ・オン・チップ構造として構成することができ、または換言すると、フリー層770と共に1つの共通の積層体に集積することができる。ここでも、外部磁界の優位センシング方向790(図6a〜6c参照)はx方向に対して平行である。電気導体782はまた、フリー層770に対して平行でありかつフリー層770の下方または上方に位置する金属層とすることもできる。電流810を供給すると、外部磁界またはその優位センシング方向790に対して垂直なベクトル成分であって、主にフリー層770の位置において面内のベクトル成分を有するエルステッド磁界が生じ得る。よって、渦状態の核形成性能を改善することができる。電気導体782はストリップの形状を有することができる。これにより、磁界820のうちフリー層770を貫通する一部は、z成分の値を超えるy方向のベクトル成分を有することができる。他の実施形態では、電気導体782を磁気抵抗構造とは別個に搭載することができる。よって、既製の磁気抵抗センサデバイスに、事後的または補充的に磁気バイアス構造780を取り付けることが可能である。換言すると当該実施形態は、オンチップ構成または外付け構成として実施することができる。当業者であれば、図8の範囲を越える他の実施形態も、同様の結果を達成できることが明らかである。たとえば、電気導体782を円柱形とし、その円柱軸を参照磁化755に対して平行にすることができる。これと共に、またはこれに代えて、電気導体782を磁気抵抗構造710から分離することもできる。オプションとして、たとえば追加層等の絶縁手段を、電気導体782とフリー層770との間に配置することができる。
図9を参照すると、一部の実施形態では磁気バイアス構造780は、フリー層770にバイアス磁界を生成するように構成された1つまたは複数の永久磁石783または電磁石を有する。磁気バイアス構造780は図9では外付け構成となり得るものであり、これは、シリコン上に実装されることを要しない場合がある。図9の永久磁石783は、センシング渦要素またはフリー層770の位置においてy成分を有する散乱磁界910を供給するように配置される裏面バイアス磁石である。これはたとえば、図9に示されたような回転される永久磁石783または電磁石を用いて実現することができる。これにより生じる散乱磁界910のz成分の、センサ性能に関する影響は、無視できる程度になり得る。フリー層770はセンサチップ920上に搭載され、このセンサチップ920は、磁気センサデバイス700または磁気抵抗構造710に包含することができる。たとえばセンサチップ920は、磁気抵抗構造710の積層体またはその一部に相当することができる。図9の永久磁石783は、ゼロではないy成分およびz成分を有する方向に当該永久磁石783の1極を向けた状態でフリー層770の下方に配置されているが、本願の開示内容から利益を享受する分野の通常の知識を有する者であれば、異なる実施形態からも類似の結果を達成できることが明らかである。たとえば他の一実施形態では、永久磁石783に代えて電磁石を設けることも可能である。さらに、永久磁石783もしくは電磁石をフリー層770の上方に配置すること、または、永久磁石783もしくは電磁石の一部をフリー層770と同一平面内に配置することも可能である。さらに、永久磁石783の1極は、ゼロではないy成分およびz成分を有する方向を向くことができ、オプションとして当該方向はさらに、ゼロではないx成分を有するものである。これに応じて、散乱磁界910の強度を選択または調整することができる。
図10に示されている他の一実施形態では、磁気バイアス構造780は少なくとも第1の永久磁石784と第2の永久磁石785とを有し、両永久磁石は、フリー層770のそれぞれ反対側に配置される。このことによってバイアス磁界の形状は、1つの永久磁石を備えた実施形態より線形になることができる。第1および第2の永久磁石784;785は、軟磁性のフリー層770付近の硬磁性層を成すことができ、センシング方向790に対して垂直方向の散乱磁界1010を生成することができる。図10は、かかる構造の概略的な平面図である。フリー層770と、第1ならびに第2の永久磁石784;785とは、少なくとも部分的に同一平面内に配置することができる。太線矢印は、第1および第2の永久磁石784;785それぞれの向きを示しており、これらの向きは互いに平行とすることができる。換言すると、第1の永久磁石784のN極は第2の永久磁石785のS極を向くことができ、その逆も同様である。磁気センサデバイスの優位センシング方向790は、ここでもx軸に対して平行である。さらに、第1および第2の永久磁石784;785の各磁化はy軸に対して平行とすることができ、これにより、渦核形成を改善できる散乱磁界1010を生成することができる。しかし、これらの硬磁性構造の形状は方形に限定されることはなく、方形は図10において単に例示したものに過ぎない。さらに、第1および第2の永久磁石784;785の各z方向厚さは、フリー層770の厚さと一致することができ、これにより、オンチップ構成として実施することが容易になる。他の一実施形態では、第1および第2の永久磁石784;785をチップ外部または外側に配置することも、同様に可能である。
上述の実施形態のうち一部では、フリー層の径厚比d/tによって、核形成磁界および消滅磁界(HおよびHan。図2も参照のこと)を変化させることができる。他の実施形態では、バイアス磁界がある場合の核形成磁界閾値を、バイアス磁界が無いときよりも少なくとも5Oeまたは有利には少なくとも10Oeだけ大きくするような値に、バイアス磁界強度を調整することができる。図11に、径厚比d/tと、核形成磁界および消滅磁界の磁束密度(単位mT)との関係を示す。三角形は、厚さt=20nmのフリー層における消滅磁界の測定値に相当し、×印は、当該フリー層における核形成磁界の測定値に相当する。菱形は、厚さt=10nmのフリー層における消滅磁界の測定値に相当し、正方形は、当該フリー層における核形成磁界の測定値に相当する。
図12に、分かりやすくするため、y方向におけるバイアス磁界強度を横軸として、複数の異なる円板径の場合における渦核形成磁界域(図2の領域210を参照のこと)の幅の拡大を示している。線で繋がっていない正方形はd=1.0μm円板を示しており、点線で繋がった正方形はd=2.0μm円板を示しており、破線により繋がった三角形はd=2.2μm円板を示しており、破線により繋がった菱形はd=2.8μm円板を示している。最大60Oeのバイアス磁界は、渦核形成域の幅に大きな影響を及ぼし得る。しかし40Oeを上回ると、かかる効果が減少し得る場合がある。この効果は5Oeまたは10Oeのバイアス磁界の場合に最大となり得る。よって、バイアス磁界強度の一例の値範囲は1Oeから60Oeまでの間とすることができ、また、5Oeから20Oeまでの間とすることも可能である。他の一部の実施形態ではバイアス磁界強度は、渦パターンが消滅する、外部磁界の消滅閾値の最大1/5とすることができる。
図13は、一実施形態の磁気抵抗構造を有する磁気センサデバイスのための方法1100を示す。方法1100は、磁気抵抗構造の磁化参照層に閉じていない磁束の参照磁化パターンを設けること1110を含む。方法1100はさらに、磁気抵抗構造の磁化フリー層にバイアス磁界を生成すること1120も含む。バイアス磁界は、参照磁化パターンに対して垂直であるゼロではないバイアス磁界成分を有する。オプションとして、このバイアス磁界成分は面内成分とすることができる。方法1100はさらに、磁化フリー層に閉じた磁束の磁化パターンを自発生成すること1130も含む。かかる方法により、測定される外部磁界の、渦状態が自発生成される値の範囲を拡大することができる。この範囲内でヒステリシスは消失することができ、かかるヒステリシスの消失によって磁気センサデバイスの信頼性を向上させることができる。
ここで記載されている実施形態は、実質的に一様のバイアス磁界の使用にも関することができ、また、磁気抵抗スピンバルブ構造における渦核形成プロセスに影響を及ぼすことができ、これにより渦核形成磁界のシフトを達成することができる。複数の実施形態は、ストリップ形状または楕円形状の磁気微小構造と比較してヒステリシスが小さい渦センサの実現に寄与することができる。交換バイアスを使用して実現されるときの一様のバイアス印加と、ゼロ磁場冷却(ZFC)法との間には、類似性がある。双方とも、交換バイアス効果に基づくものであるが、磁区状態に及ぼされる効果は異なり得る。さらに、ここで記載されている実施形態は外部磁界の変化に基づくこともできる。このことは、ZFCには重要ではないことがある。しかし、他の実施形態は双方を組み合わせたものとすることができ、さらに、核形成磁界のシフトを増大して改善することもできる。たとえば2つの磁場冷却プロセスをそれぞれ異なる温度で、磁界を用いて、また磁界を用いずに行うことができる。
上記の詳細な実施例および図面のうち1つまたは複数と共に言及および説明した側面および特徴は、他の実施例のうち1つまたは複数と組み合わせて、当該他の実施例の同様の特徴に代えて用いること、または、当該他の実施例に当該特徴を追加的に組み入れることも、同様に可能である。
本明細書および図面は、本発明の原理を説明したものに過ぎない。当業者であれば、本明細書または図面に明示的に記載または図示されていなくても、本発明の原理を具現化する、その思想および範囲に属する種々の構成に想到することができることが明らかである。さらに原則として、本願にて列挙した実施例は全て、本願発明者によって創作された本発明の原理およびコンセプトを読み手が理解して関連分野を発展させるのを助けるという説明目的のために過ぎないことは明らかであり、また、かかる実施例は全て、当該実施例や条件に限定されないと解すべきものである。また、本発明の基本的原理、態様、実施形態、実施例およびその具体例についての記載は全て、等価的な構成も包含する。
本願明細書または特許請求の範囲にて開示されている複数の動作、処理、操作、ステップまたは機能についての記載は、たとえば技術上の理由により、明示的または暗黙的に別段の記載がない限り、その順序が特定されていると解してはならない。よって、複数の動作または機能についての記載は、当該動作または機能が技術上の理由により入れ替え可能でない場合を除いて、特定の順序に限定するものではない。さらに一部の実施例では、1つの動作、機能、処理、操作またはステップが複数の部分動作、部分機能、部分処理、部分操作または部分ステップを含むこと、または1つの動作等を複数の部分動作等に分割することも可能である。かかる部分動作は、明示的に除外されていない限り、1つの動作の開示内容に含まれ、その一部を成すことができる。
さらに、以下の特許請求の範囲は、発明の詳細な説明に包含されるものであり、かつ、各請求項はそれ自体が、別個の実施例として独立し得るものである。各請求項はそれ自体が、別個の実施例として独立し得るものであるが、‐従属請求項が1つまたは複数の他の請求項との特定の組合せを引用する場合であっても‐他の実施例も、当該従属請求項と他の各従属請求項または独立請求項の対象との組合せを含み得ることに留意すべきである。かかる組合せは、特定の組合せを意図していない旨が宣言されていない限り、本願において明示的に提案されたものである。さらに、1つの請求項がいずれかの他の独立請求項に直接従属していない場合であっても、当該1つの請求項の特徴を当該他の独立請求項に含めることも意図している。

Claims (15)

  1. 磁気抵抗構造(710)および磁気バイアス構造(780)を備えた磁気センサデバイス(700)であって、
    前記磁気抵抗構造(710)は、磁化フリー層(770)に閉じた磁束の磁化パターン(775)を自発生成するように構成された磁化フリー層(770)と、閉じていない磁束の参照磁化パターン(755)を有する磁化参照層(750)と、を備え、
    前記磁気バイアス構造(780)は、バイアス磁界を前記磁化フリー層(770)に生成するように構成され、前記バイアス磁界は、前記参照磁化パターン(755)に対して垂直方向のゼロではないバイアス磁界成分を有し、
    前記磁化フリー層(770)は、中心対称性または回転対称性の形状であり、
    前記磁気バイアス構造(780)は、前記磁化フリー層(770)において交換バイアス磁界を生成するための反強磁性層(781)を有し、
    前記反強磁性層(781)は、前記磁化フリー層(770)に直接隣接して配置されている、
    磁気センサデバイス(700)。
  2. 磁気抵抗構造(710)および磁気バイアス構造(780)を備えた磁気センサデバイス(700)であって、
    前記磁気抵抗構造(710)は、磁化フリー層(770)に閉じた磁束の磁化パターン(775)を自発生成するように構成された磁化フリー層(770)と、閉じていない磁束の参照磁化パターン(755)を有する磁化参照層(750)と、を備え、
    前記磁気バイアス構造(780)は、バイアス磁界を前記磁化フリー層(770)に生成するように構成され、前記バイアス磁界は、前記参照磁化パターン(755)に対して垂直方向のゼロではないバイアス磁界成分を有し、
    前記磁化フリー層(770)は、中心対称性または回転対称性の形状であり、
    前記磁気バイアス構造(780)は、電気導体(782)を有し、
    前記電気導体(782)は、前記電気導体(782)内の電流(810)に応答して、前記バイアス磁界に応じて磁界を前記磁化フリー層(770)内に生成するように構成されている、
    磁気センサデバイス(700)。
  3. 前記磁気バイアス構造(780)は、ゼロではない面内バイアス磁界成分を有するバイアス磁界を生成するように構成されている、
    請求項1または2記載の磁気センサデバイス(700)。
  4. 前記磁気バイアス構造(780)は、方向が固定された磁界として前記バイアス磁界を生成するように構成されている、
    請求項1から3までのいずれか1項記載の磁気センサデバイス(700)。
  5. 前記磁気バイアス構造(780)は、前記参照磁化パターン(755)に対して垂直方向に、前記磁化フリー層(770)に前記バイアス磁界を生成するように構成されている、
    請求項1から4までのいずれか1項記載の磁気センサデバイス(700)。
  6. 前記磁化フリー層(770)の厚さと径との比は、1/500から1/5までの範囲内である、
    請求項1から5までのいずれか1項記載の磁気センサデバイス(700)。
  7. 前記磁気バイアス構造(780)は、バイアス磁界がある場合の、前記閉じた磁束の磁化パターン(775)が自発生成される核形成磁界閾値を、バイアス磁界がいときよりも大きくするバイアス磁界強度を有するバイアス磁界を生成するように構成されている、
    請求項1から6までのいずれか1項記載の磁気センサデバイス(700)。
  8. 前記磁気バイアス構造(780)は、バイアス磁界がある場合の前記核形成磁界閾値を、バイアス磁界がいときよりも少なくとも5Oe大きくするバイアス磁界強度を有するバイアス磁界を生成するように構成されている、
    請求項7記載の磁気センサデバイス(700)。
  9. 前記磁気バイアス構造(780)は、前記閉じた磁束の磁化パターンが消滅する、外部磁界の消滅閾値の最大1/5であるバイアス磁界強度を有するバイアス磁界を生成するように構成されている、
    請求項1から8までのいずれか1項記載の磁気センサデバイス(700)。
  10. 前記磁化フリー層(770)は、前記反強磁性層(781)と前記磁化参照層(750)との間に配置されている、
    請求項1記載の磁気センサデバイス(700)。
  11. 前記磁化フリー層(770)の厚さは、前記磁化参照層(750)の厚さの少なくとも3倍である、
    請求項1から10までのいずれか1項記載の磁気センサデバイス(700)。
  12. 前記磁気バイアス構造(780)は、前記磁化フリー層(770)にバイアス磁界を生成するように構成された1つまたは複数の永久磁石(783;784;785)または電磁石を有する、
    請求項1から11までのいずれか1項記載の磁気センサデバイス(700)。
  13. 前記磁気バイアス構造は、少なくとも第1の永久磁石(784)と第2の永久磁石(785)とを有し、前記両永久磁石(784;785)は、前記磁化フリー層(770)のそれぞれ反対側に配置されている、
    請求項12記載の磁気センサデバイス(700)。
  14. 前記磁気抵抗構造(710)は、巨大磁気抵抗(GMR)構造またはトンネル磁気抵抗(TMR)構造に相当する、
    請求項1から13までのいずれか1項記載の磁気センサデバイス(700)。
  15. 請求項1から14までのいずれか1項記載の磁気センサデバイス(700)のための方法(1100)であって、
    前記磁気抵抗構造の磁化参照層に閉じていない磁束の参照磁化パターンを設けるステップ(1110)と、
    前記参照磁化パターンに対して垂直方向のゼロではないバイアス磁界成分を有するバイアス磁界を、前記磁気抵抗構造の磁化フリー層に生成するステップ(1120)と、
    前記磁化フリー層に閉じた磁束の磁化パターンを自発生成するステップ(1130)と、
    を含む方法(1100)。
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