JP6352717B2 - 列車編成認識装置、および列車編成認識システム - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、列車編成認識装置、および列車編成認識システムに関する。
従来、各車両間に通信ケーブルを配線して、配線した通信ケーブルを用いた信号の入出力により、自動で列車の編成を認識することが提案されている。しかしながら、従来の技術では、各車両間に通信ケーブルを配線する必要があり、自動で列車の編成を認識するには、利便性の低い場合があった。
特開2013−42608号公報
本発明が解決しようとする課題は、より利便性の高い列車編成認識装置、および列車編成認識システムを提供することである。
実施形態の列車編成認識装置は、通信部と、判定部とを持つ。通信部は、複数の車両から無線により送信される車両情報であって、前記車両の識別情報と、前記車両の位置情報と、前記車両の進行速度と進行方位とのうち一方または双方と、を含む車両情報を取得する。判定部は、前記通信部が取得した車両情報に基づいて、前記複数の車両の連結状態を判定する判定部であって、一つの車両から取得した前記車両情報と、他の車両または複数の車両が連結されてなる列車編成についての車両情報との間で共通する項目について相関関係を数値化し、前記相関関係を数値化した数値の履歴に基づいて、前記複数の車両が互いに連結された状態であるか、連結されていない状態であるかを判定する。
実施形態の列車編成認識システム1の構成図。 実施形態の車両10の機能構成図。 実施形態の列車編成認識装置30の機能構成図。 実施形態の中央管理装置100の機能構成図。 実施形態の列車編成認識装置30により実行される処理の流れを示すフローチャート。 車両情報、列車編成情報、および相関条件情報を示す図。 確立/解除処理に用いられる各種相関表を示す図。 列車編成10-nの速度を考慮した、位置差と点数との対応づけの傾向を示す図。 列車編成10-nの速度を考慮した、位置差と最高点となる領域との対応づけの傾向を示す図。 車両(または列車編成)の速度を考慮した、方位差と点数との対応づけを例示した図。 列車編成管理情報を示す図。 過去の車両情報の履歴と、各時点において求められる相関度合数とを示す図。 電力管理装置110の表示部が表示する画面を示す図。
以下、実施形態の列車編成認識装置30を組み込んだ列車編成認識システム1を、図面を参照して説明する。図1は、実施形態の列車編成認識システム1の構成図である。列車編成認識システム1は、列車編成認識装置30と、複数の車両(図では車両10−1−1、車両10−1−2、車両10−1−3、車両10−2−1、車両10−2−2、車両10−3−1)とを含む。列車編成認識装置30は、以下に説明する処理を実行することにより、車両10−1−1と車両10−1−2と車両10−1−3とを1つの列車編成(列車編成10−1)として認識し、車両10−2−1と車両10−2−2とを1つの列車編成(列車編成10−2)として認識し、車両10−3−1を1つの列車編成(列車編成10−3)として認識する。なお、以下、いずれの車両であるかを区別しないときは、単に車両10と表記する。
列車編成認識システム1は、例えば、車両10と、アンテナ20−1、20−2と、列車編成認識装置30とを備える。車両10と列車編成認識装置30は、例えば、アンテナ20−1、20−2を介して通信を行う。車両10とアンテナ20−1、20−2との間では無線通信が行われ、アンテナ20−1、20−2との間では、例えば、専用線や公衆回線を介した有線通信が行われる。また、列車編成認識装置30と、中央管理装置100とは、例えば、ネットワークNWを介した通信を行って情報を送受信する。ネットワークNWは、インターネットやLAN(Local Area Network)、携帯電話網等のネットワークである。
図2は、実施形態の車両10の機能構成図である。車両10は、例えば、車両通信部12と、位置特定部14と、制御部16とを備える。車両通信部12は、列車編成認識装置30と通信を行う。車両通信部12は、位置特定部14または制御部16により出力された信号を、列車編成認識装置30へ送信する。また、車両通信部12は、列車編成認識装置30により送信された信号を取得する。
位置特定部14は、例えば、衛星により送信される情報を受信して車両10の位置を特定する。位置特定部14は、例えば、複数のGPS(Global Positioning System)衛星から電波を受信して、測位演算を行うことによって車両10の位置を特定(算出)する。なお、位置特定部14は、他の手法、例えばINS(Inertial Navigation System)と路線構造を組み合わせて自己の位置を特定してもよいし、固定局から無線通信を介して自己の位置を取得してもよい。
制御部16は、位置特定部14が特定した車両10の位置、車両10において取得された車両状態情報、および列車編成認識装置30から受信した情報に基づき、車両10を監視、および制御する。制御部16は、例えば、TCMS(Train Control Monitoring System)である。車両状態情報とは、例えば、車両の移動速度、移動方位など車両が備える計器が計測した情報、車両の使用電力、車両設備の使用状況、ブレーキやアクセルの操作状態などを含む。また、制御部16は、位置特定部14が特定した車両10の位置(以下、位置情報)、上記車両状態情報、並びに車両の監視や制御に関する情報を、車両通信部12を用いて列車編成認識装置30へ送信する。車両の監視や制御に関する情報とは、車両状態情報に基づき車両の状態を導出した結果や、制御部16が車両情報に基づき車両の状態を制御する際の制御内容、制御結果、並びに制御のための処理の過程で得られる情報等を含む。
図3は、実施形態の列車編成認識装置30の機能構成図である。列車編成認識装置30は、通信部32と、判定部34と、予測部36と、記憶部38とを備える。通信部32は、アンテナ20−1、20−2を介して、車両10と通信を行う。判定部34と予測部36は、列車編成認識装置30が備えるCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが記憶部38に格納されたプログラムを実行することで機能する、ソフトウェア機能部である。なお、これらの機能部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。判定部34は、車両10により送信された情報や、予測部36による予測結果、記憶部38に記憶された情報等に基づき、車両10の列車編成を識別する。判定部34は、車両10の列車編成を識別した処理結果、および処理の過程で得られる情報を記憶部38に記憶させる。また、判定部34により出力された信号は、通信部32を用いて、車両10へ送信される。
予測部36は、車両10により送信された情報、判定部34が車両10の列車編成を識別した処理結果、処理の過程で得られる情報、或いは、車両10若しくは列車編成の識別情報に対応づけられて記憶部38に記憶されている情報に基づき、列車編成10−1、10−2、10−3、および車両10の将来の位置、移動速度、移動方位を予測する。
記憶部38は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory),ROM(Read Only Memory),またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。また、記憶部38は、ファームウェアやアプリケーションプログラム等の各種プログラムやCPUが実行した処理の結果などを記憶する。記憶部38には、例えば、列車編成認識装置30が車両10から取得した情報(車両情報)が記憶される。車両情報とは、例えば、車両10の識別情報、位置、速度、進行方位が、送信時刻または受信時刻等の時刻情報と対応づけられた情報である。また、車両情報は、車両10の運行情報、車両10の仕様、車両10のメンテナンス情報、列車編成情報などを含んでもよい。車両10の運行情報とは、車両10の運行予定を示す情報であり、例えば、連結予定の列車編成、目的地、経路、出発予定時刻、または到着予定時刻などを含む。車両10の仕様とは、車両10の技術的特性を示す情報であり、例えば、車両10の最高速度、車両10の速度に対応する消費電力などを含む。車両10のメンテナンス情報とは、車両10のメンテナンスが実施された日時、メンテナンスの予定日、およびメンテナンスの実施内容などを含む。
列車編成情報とは、例えば、列車編成を構成する車両に対応する情報、列車編成の位置、移動速度、移動方位、列車編成の運行予定、その他列車編成に関する情報を含む。なお、列車編成情報は、列車編成を構成する車両10に、車両10の識別情報と対応づけられて記憶され、通信によって列車編成認識装置30に送信されてもよいし、予め記憶部38に記憶されていてもよいし、列車編成認識装置30が中央管理装置100から取得してもよい。さらに、記憶部38には、判定部34が、列車編成識別処理を行うのに参照する相関条件情報、相関度合に対応する点数が示された相関表、および過去の車両情報の履歴と、各時点において求められる相関度合数などが記憶されている。
図4は、実施形態の中央管理装置100の機能構成図である。中央管理装置100は、電力管理装置110と、車両整備管理装置120と、運行管理装置130とを備える。電力管理装置110は、列車編成認識装置30が実行した処理結果、または記憶部38に記憶されている情報を取得して、電力管理を行う。電力管理装置110は、例えば、所定区間を走行する列車編成の電力消費量が、その所定区間の電力供給量の上限を超えているかを判定し、判定結果を表示部に出力する。車両整備管理装置120は、列車編成認識装置30が実行した処理結果、または記憶部38に記憶されている情報を取得して、列車編成の整備スケジュール調整や、整備が必要な列車編成、または車両を抽出する。運行管理装置130は、列車編成認識装置30が実行した処理結果、または記憶部38に記憶されている情報を取得して、列車編成10−1、10−2、10−3、車両10の運行状況を監視する。
以下、実施形態の列車編成認識装置30による処理について、より詳細に説明する。図5は、実施形態の列車編成認識装置30により実行される処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、所定周期(5分おき等)で繰り返し実行される。
まず、判定部34は、記憶部38を参照して、相関処理を行う(ステップS100)。相関処理は、同一時刻における列車編成と車両との相関関係を判定し、列車編成に連結されている可能性がある候補車両を抽出する処理である。相関関係の判定には、列車編成と車両の位置、速度、方位、またはその他の車両情報が用いられる。
図6を用いて、相関処理について説明する。図6は、車両情報、列車編成情報、および相関条件情報を示す図である。図6(a)は、列車編成認識装置30が、車両10−1−3と、車両10−3−1から取得した情報を示す図である。図6(b)は、列車編成認識装置30が、列車編成10−1と、列車編成10−2から取得した列車編成情報を示す図である。図6(c)は、相関条件情報を示す図である。
図6(a)は、車両10−1−3、および車両10−3−1についての車両情報の一部を示している。図中、「車両ID」は、各車両に対応づけて付された車両10の識別番号である。「時刻」は、車両から情報を取得した時刻である。「位置」は、情報を取得した時刻において車両が位置していた緯度(北緯)、経度(東経)である。「速度(km/h)」は、情報を取得した時刻における車両の移動速度である。「移動方位」は、情報を取得した時刻に、車両が移動していた方位である。「その他」は、車両の識別情報に対応づけられているその他の車両情報であり、例えば、予め定められた運行情報、車両ID(識別番号)に対応した車両の仕様、または列車編成情報などである。これらの車両情報は、所定周期で取得されるため、例えば情報を取得した時刻に対応づけられて、「位置」「速度」「移動方位」「その他」の車両情報が記憶部38に記憶されている。なお、異なる時刻における「位置」と「時刻」に基づき、判定部34が「速度」「移動方位」を算出してもよい。
図6(b)は、列車編成10−1、および列車編成10−2の列車編成情報の一部を示している。「編成ID」は、列車編成に対応づけて付された列車編成の識別番号である。「時刻」は、車両などから情報を取得した時刻である。「位置」は、情報を取得した時刻に、列車編成が位置していた緯度(北緯)、経度(東経)である。「速度(km/h)」は、情報を取得した時刻における列車編成の移動速度である。「移動方位」は、情報を取得した時刻に列車編成が、移動していた方位である。「その他」は、列車編成の識別情報に対応づけられている情報であり、列車編成の運行情報、仕様、メンテナンス情報、列車編成を構成する車両情報などである。これらの列車編成情報は、所定周期で取得されるため、情報取得の時刻に対応づけられて、「位置」「速度」「移動方位」「その他」の情報が記憶部38に記憶されている。なお、異なる時刻における「位置」と「時刻」に基づき、列車編成認識装置30が「速度」「移動方位」を算出してもよい。
図6(c)に示す相関条件情報とは、車両が列車編成の候補となる車両であるか判定するのに用いる条件である。図6(c)では、列車編成10−1、10−2と連結されている可能性がある候補車両を抽出するための、相関条件を示している。例えば、列車編成10−1と連結されている可能性があると判定される候補車両の相関条件は、車両が、「時刻範囲」の示す時刻12:00において、列車編成10−1の半径3km以内に位置し、移動速度差が25km以内、且つ移動方位差が45度以内であることである。
判定部34は、通信部32が取得した車両情報、または記憶部38に記憶されている車両情報(図6(a))、列車編成情報(図6(b))、相関条件(図6(c))を参照して、相関処理を行い、列車編成に連結されている可能性がある候補車両を抽出する。相関処理の具体的な手順について、説明する。
車両10−1−3と列車編成10−1に関する候補車両抽出処理について説明する。まず、判定部34は、車両10−1−3と、列車編成10−1のそれぞれの緯度および経度から車両10−1−3と列車編成10−1の距離を算出し、距離が位置範囲に収まっていれば、車両10−1−3を列車編成10−1に連結されている可能性のある候補車両として残し、収まっていなければ候補車両から除外する。ここでは、位置範囲が、列車編成10−1の半径「3km」となっており、車両10−1−3と、列車編成10−1との距離は「0.3km」であるため、車両10−1−3は、列車編成10−1に連結されている可能性のある候補車両として残される。
次に、判定部34は、車両10−1−3の移動速度と、編成10−1の移動速度に基づいて、速度差を算出する。判定部34は、車両10−1−3と、列車編成10−1との速度差が速度範囲に収まっているか否かを判定し、速度範囲に収まっていれば、車両10−1−3を列車編成10−1に連結されている可能性のある候補車両として残し、収まっていなければ候補車両から除外する。ここでは、速度範囲が、「25km」としており、車両10−1−3と、列車編成10−1との速度差は「0km」であるため、車両10−1−3は、列車編成10−1に連結されている可能性のある候補車両として判定される。
そして、判定部34は、車両10−1−3の移動方位と、編成10−1の移動方位に基づいて、方位差を算出する。判定部34は、車両10−1−3と、列車編成10−1との速度差が方位範囲に収まっているか否かを判定し、方位範囲に収まっていれば、車両10−1−3を列車編成10−1に連結されている可能性のある候補車両として決定し、収まっていなければ候補車両から除外する。ここでは、方位範囲を「45度」としており、車両10−1−3と、列車編成10−1との方位差は「0度」であるため、車両10−1−3は、列車編成10−1に連結されている可能性のある候補車両として決定される。また、車両10−3−1についても同様の処理が行われ、列車編成10−1に連結されている可能性のある候補車両とするか否かが決定される。
図6の例では、判定部34は、列車編成10−1、10−2と、車両10−1−3、10−3−1の位置、速度、方位に基づき、車両10−1−3、10−3−1を、列車編成10−1、10−2に連結されている可能性のある候補車両として決定する。なお、相関条件である「位置範囲」「速度範囲」「方位範囲」は、適宜変更してもよいし、相関条件の一部を用いて、候補車両とするかの判定を行ってもよい。また、判定部34は、その他の車両情報を加味して、候補車両とするか否かを判定してもよい。判定部34は、例えば、車両10より速度に関する情報として、移動速度が「時速100km」と取得されたが、車両IDに対応づけられて記憶された車両の仕様に関する情報では、最高時速は80kmとして記憶されている場合、候補車両に該当しないと判定してもよい。
次に、判定部34は、例えば記憶部38に記憶されている車両情報、列車編成情報、相関表を参照して、確立/解除処理を実行する(ステップS102)。確立/解除処理では、相関処理で抽出した列車編成に連結されている可能性のある候補車両と、列車編成との相関を点数化(数値化)して、所定の点数(数値)以上である場合、候補車両は列車編成に連結されていると判定する(確立処理)。また、判定部34は、所定の点数(数値)未満である場合には、候補車両は列車編成に連結されていない、または連結から解除されたと判定する(解除処理)。なお、確立処理における「所定の点数」を、解除処理における「所定の点数」よりも大きくし、ハンチングを防止するようにしてもよい。
図7は、確立/解除処理に用いられる各種相関表を示す図である。相関表では、車両情報と列車編成情報の位置差、速度差、方位差と点数とが対応づけられている。図7(a)は、車両と列車編成の位置差と、点数とを対応づけた位置相関表を示している。図7(b)は、車両と列車編成の速度差と、点数とを対応づけた速度相関表を示している。図7(c)は、車両と列車編成の方位差と、点数とを対応づけた方位相関表を示している。
相関表と点数との対応づけは、適宜変更することができる。例えば、車両10と列車編成10-nのいずれか一方または双方の速度を考慮して、位置差と点数との対応づけを変更してもよい。図8は、列車編成10-nの速度を考慮した、位置差と点数との対応づけの傾向を示す図である。図8(a)は、列車編成10-nの速度が時速10kmのときの位置差と点数との対応づけの傾向を示す図であり、図8(b)は、列車編成10-nの速度が時速60kmのときの位置差と点数との対応づけの傾向を示す図である。また、図8(c)は、列車編成10-nの速度が時速90kmのときの位置差と点数との対応づけの傾向を示す図である。
図8に示すように、列車編成10-nの速度が遅い場合には、列車編成10-nの進行方向と直交する方向の位置差が大きくても対応づけされている点数が高く設定され、列車編成10-nの進行方向の位置差が大きいと対応づけされている点数は低く設定される。一方、列車編成10-nの速度が速い場合には、列車編成10-nの進行方向と直交する方向の位置差が小さいと対応づけされている点数が低く設定され、列車編成10-nの進行方向の位置差が大きくても対応づけされている点数は高く設定される。
図9は、列車編成10-nの速度を考慮した、位置差と最高点となる領域との対応づけの傾向を示す図である。図9に示すV0からV90の線は、列車編成10-nの各移動速度に対応する点数が最高点(10点)の領域を示している。V0からV90は、それぞれ列車編成の移動速度と対応している。例えば、V0は、列車編成の速度が、時速0kmであり、列車編成が停止している状態における最高点の領域であり、V10は、列車編成が時速10kmで移動している状態における最高点の領域である。このように、列車編成10-nの移動速度が速い場合には、列車編成10-nは直進に近い走行をしている可能性が高いため進行方向と直交する方向の位置差を許容せず、列車編成10-nの移動速度が遅い場合には、移動軌跡の曲率が大きくなるように移動している可能性があるため進行方向と直交する方向の位置差を許容する傾向で、位置差と点数との対応づけを行ってもよい。
図10は、車両(または列車編成)の速度を考慮した、方位差と点数との対応づけを例示した図である。図10における縦軸は車両の速度を示し、横軸は方位差を示している。例えば、列車編成の移動速度が遅いときには、車両の進行方向と、列車編成との進行方向との方位差が大きくても、相関の度合いを示す点数は高く維持される。一方、列車編成の移動速度が速いときには、車両の進行方向と、列車編成との進行方向との方位差が大きいと、相関の度合いを示す点数は低く下げられる。このように、方位相関表における方位差と点数との対応づけは、車両や列車編成情報の速度を考慮して行われてもよい。
判定部34は、確立/解除処理を行う過程で、列車編成管理情報を生成する。図11は、列車編成管理情報を示す図である。図中、「編成ID」は、車両が連結されてなる列車編成に対応づけられ付された識別番号である。「編成ID」は、例えば、判定部34が確立/解除処理を行い、複数の車両を1つの列車編成として扱うと判定した場合に、列車編成に対応づけて付与される。また、「編成ID」は、例えば、判定部34が後述する管理処理を行い、1つの車両を、1つの列車編成として扱うと判定した場合にも、当該列車編成(車両)に対応づけて付与される。「時刻」は、列車編成管理情報が生成された時刻である。
予測情報は、予測部36(後述)により予測された列車編成の将来の位置、移動速度、移動方位を含む。「相関車両ID1」は、相関処理により候補車両と判定された車両に対応づけられて付された識別番号である。「相関度合数1」は、列車編成10−1、または列車編成10−2と、相関車両ID1に対応する車両10−1−3との相関度合いを示す数値(点数)である。「相関車両ID2」は、車両10−3−1に対応づけられて付された識別番号である。「相関度合数2」は、列車編成10−1、または列車編成10−2と、「相関車両ID2」に対応する車両10−3−1との相関度合いを示す数値(点数)である。相関度合数は、数値が大きければ、相関度合いが高いことを示している。
確立/解除処理を行うのに用いる相関度合数の算出について、説明する。「相関度合数」は、例えば、相関車両と、列車編成との位置差、速度差、移動方位差に対応する点数の合計である。図11の例では、列車編成ID「10−1」と、相関車両ID1「10−1−3」との位置差に対応する点数が「10」、速度差に対応する点数が「10」、方位差に対応する点数が「10」である。判定部34は、これらを合計した点数「30」に、図6中、その他の欄の点数「10点」「9点」を加えて、合計「49」を「相関度合数1」として算出する。なお、図6中、その他の欄の点数「10点」は、相関車両10−1−3と、列車編成10−1との過去の相関合数であり、記憶部38に記憶されている時刻「12:00」以前の時刻における相関度合点数である。また、図6中、その他の欄の点数「9点」は、過去の相関度合数の一部や、予め車両10が列車編成に連結される予定などの車両情報や列車編成情報に基づき、算出された点数である。
編成ID「10−1」に対応する「相関度合数2」についても、同様の処理が行われ、「相関度合数2」が算出される。判定部34は、位置差に対応する点数「4」、速度差に対応する点数「7」、方位差対応する点数「10」を合計し、列車編成10−1と、車両10−3−1との相関度合いを示す相関度合数2を「21」と算出する。
また、編成ID「10−2」に対応する相関度合数についても同様の処理が行われ、「相関度合数1」「相関度合数2」が算出される。判定部34は、位置差に対応する点数「6」、速度差に対応する点数「7」、方位差対応する点数「2」を合計し、列車編成10−1と、車両10−3−1との相関度合いを示す「相関度合数1」を「15」と算出する。次に、判定部34は、位置差に対応する点数「1」、速度差に対応する点数「10」、方位差対応する点数「2」を取得し、列車編成10−1と、車両10−3−1との相関度合いを示す「相関度合点数2」を「13」と算出する。
判定部34は、編成ID「10−1」に対応する「相関度合数1」と「相関度合数2」と、編成ID「10−2」に対応する「相関度合数1」と「相関度合数2」とから、最も高い点数を抽出する。そして、判定部34は、相関度合数が予め設定された閾値を超えているか否かを判定する。これにより、判定部34は、車両が列車編成と連結されているかを判定する。
判定部34は、編成ID「10−1」に対応する相関度合数1「49」を、最も高い点数として抽出する。判定部34は、は、予め定められた列車編成条件となる閾値の点数が「30」であれば、編成ID「10−1」に対応する相関度合数1「49」が閾値を超えているため、相関度合数1に対応する車両10−1−3は、列車編成10−1に連結されていると判定し、車両10−1−3を確立車両IDに対応する車両とする。
なお、判定部34は、編成ID「10−1」に対応する相関度合数の最高点と、編成ID「10−2」に対応する相関度合数に関する最高点を、それぞれ抽出して、列車編成について判定してもよい。また、判定部34は、判定部34により算出された全ての相関度合数を、閾値と比較してもよい。さらに、車両情報に、連結される予定の列車編成に関する情報が対応づけられている場合には、判定部34は、列車編成に関する情報を優先し、または列車編成に関する情報を加味して、対応する車両が列車編成に連結されているか否かを判定してもよい。
また、判定部34は、確立処理と同様に算出した方位差、速度差、位置差の相関度合数が、予め定められた方位差、速度差、位置差の相関度合数の閾値に満たない場合、閾値に満たない車両は、列車編成との連結が解除されたと判定する。また、確立/解除処理には、確立/解除処理の履歴を参照して、処理を行ってもよい。
判定部34は、現時点の情報だけでなく、過去の履歴を用いて相関処理、および確立/解除処理をしてもよい。図12は、過去の車両情報の履歴と、各時点において求められる相関度合数とを示す図である。例えば、車両10−1−3より、5分周期で取得した「位置」「速度」「移動方位」および対応する点数(「位置差点数」「速度差点数」「方位差点数」)が、生成されている。また、「その他」欄には、車両10が、過去に列車編成を構成していた列車編成IDが記憶されている。判定部34は、相関度合数の履歴から現時点の相関度合数を導出する。具体的には、判定部34は、例えば、現在の相関度合数の点数と、過去の相関度合数の点数とが、例えば、連続して5回以上、予め定めた閾値を超えた場合に、車両10は列車編成に連結されていると判定してもよい。また、判定部34は、確立処理を行った結果、車両10が、2つの編成に連結されている可能性が同等である場合、過去の履歴を参照して、車両10が過去に連結されていた列車編成を、現在、連結されている列車編成と判定してもよい。このように、判定部34は、過去の履歴の一部、または全部の要素を加味して、確立/解除処理を行ってもよい。
次に、判定部34は、記憶部38を参照して、管理処理を実行する(ステップS104)。前述の例では、車両10−1−3は、判定部34により列車編成10−1に連結されていると判定された。一方、車両10−3−1は、列車編成10−1、10−2に連結されているとは判定されていない。判定部34は、他の車両と連結されていない車両10−3−1を新たな1つの列車編成10−3として扱う。これにより、車両10−3−1は、列車編成IDが付与されると共に、列車編成情報が生成される。
次に、予測部36が、記憶部38を参照して、予測処理を実行する(ステップS106)。予測処理は、車両、および/または列車編成の将来位置を、列車編成認識装置30が取得した車両情報、列車編成情報の位置、速度、方位などに基づき、算出する処理である。予測部36は、車両情報、および列車編成情報を参照して、車両、および/または列車編成の将来位置を予測する。
予測部36は、例えば、記憶部38に記憶されている過去の列車編成情報から、列車編成の過去の速度と方位に基づき、所定時間t後の列車編成の位置を予測する。判定部34は、例えば、予測した所定時間t後の列車編成の位置から、半径5kmを位置範囲として、位置範囲内に位置する車両10について、相関処理、確立/解除処理の対象としてもよい。また、車両10についても、過去の速度と方位に基づき、所定時間t後の車両の位置を予測し、予測した位置が位置範囲内にある場合に、相関処理、または確立/解除処理の対象としてもよい。このように、予測処理を行うことにより、相関処理、または確立/解除処理を行う位置範囲と、列車編成と、車両とを絞り込めるため、判定部34の処理を軽減するとともに、処理時間を短縮することができる。また、将来の列車編成、車両の位置、および列車編成の状態を予測することができるため、所定の区間における将来の列車編成、および車両が消費する電力量を予測することができる。なお、速度、方位についても、同様に予測処理を行ってもよい。また、判定部34は、予測処理により予測された情報に基づき、相関処理に用いる相関条件、または確立/解除処理に用いる条件を設定してもよい。例えば、通信状況が悪い等で情報を取得する間隔が大きくなる場合では、相関処理を前回情報(位置、速度、方位)ではなく、予測情報(位置、速度、方位)を用いることで、前回情報を用いると、速度差、位置差が大きくなるが、予測情報を用いると速度差、位置差が大きくならず、相関状態を維持できる可能性を上げることができる。
図13は、電力管理装置110の表示部が表示する画面を示す図である。縦軸は、電力量である。「A−C」の棒グラフは、区間A−Cで使用できる最大消費電力量である。区間A−Cでは、列車編成X、Yが走行しており、斜線で示した電力を消費している。また、「D−H」の棒グラフは、区間D−Hで使用できる最大消費電力量である。区間D−Hでは、列車編成Zと、車両aが走行しており、斜線で示した電力を消費している。電力管理装置110は、列車編成認識装置30より、列車編成の状態と、列車編成を構成している車両の情報を取得することにより、所定の区間の電力使用量を算出することができる。また、電力管理装置110は、列車編成認識装置30により、予測処理に基づき予測された列車編成の将来位置と、列車編成を構成する車両10の電力消費量を取得できる。これにより、電力管理装置110は、所定時間後に、所定区間で消費される電力量を予測することができる。
また、車両整備管理装置120は、列車編成認識装置30より取得した情報に基づき、列車編成、および列車編成を構成する車両の整備状況を管理することができる。運行管理装置130は、列車編成認識装置30より取得した情報に基づき、列車編成の運行、および列車編成を構成する車両の運行を管理することができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、複数の車両10から無線により送信される車両情報であって、少なくとも車両の識別情報と位置情報を含む車両情報を取得する通信部32と、通信部32が取得した車両情報に基づいて、複数の車両10の連結状態を判定する判定部34とを持つことにより、自動的に列車編成の状態を認識することができる。この結果、利便性を高めることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10(10−1−1、10−1−2、10−1−3、10−2−1、10−2−2、10−3−1−)…車両、10−1、10−2、10−n…列車編成、12…車両通信部、14…位置特定部、16…制御部、20−1、20−2…アンテナ、30…列車編成認識装置、32…通信部、34…判定部、36…予測部、38…記憶部、100…中央管理装置、110…電力管理装置、120…車両整備管理装置、130…運行管理装置

Claims (7)

  1. 複数の車両から無線により送信される車両情報であって、前記車両の識別情報と、前記車両の位置情報と、前記車両の進行速度と進行方位とのうち一方または双方と、を含む車両情報を取得する通信部と、
    前記通信部が取得した車両情報に基づいて、前記複数の車両の連結状態を判定する判定部であって、一つの車両から取得した前記車両情報と、他の車両または複数の車両が連結されてなる列車編成についての車両情報との間で共通する項目について相関関係を数値化し、前記相関関係を数値化した数値の履歴に基づいて、前記複数の車両が互いに連結された状態であるか、連結されていない状態であるかを判定する判定部と、
    を備える列車編成認識装置。
  2. 複数の車両から無線により送信される車両情報であって、少なくとも前記車両の識別情報と位置情報を含む車両情報を取得する通信部と、
    前記通信部が取得した車両情報に基づいて、他の車両または複数の車両が連結されてなる列車編成と連結された可能性がある候補車両を抽出し、前記候補車両の車両情報に基づいて、前記候補車両が他の車両または複数の車両が連結されてなる列車編成と連結された状態であるか、連結されていない状態であるかを判定する判定部と、
    を備える列車編成認識装置。
  3. 複数の車両から無線により送信される車両情報であって、前記車両の識別情報と、前記車両の位置情報と、前記車両の進行速度と進行方位とのうち一方または双方と、を含む車両情報を取得する通信部と、
    前記通信部が取得した車両情報に基づいて、前記複数の車両の連結状態を判定する判定部であって、一つの車両から取得した前記車両情報と、他の車両または複数の車両が連結されてなる列車編成についての車両情報との間で共通する項目について相関関係を数値化し、前記数値化した相関関係に基づいて、前記複数の車両が互いに連結された状態であるか、連結されていない状態であるかを判定する判定部と、
    前記車両情報、および/または前記判定部による判定結果に基づいて、前記列車編成の将来の位置を予測する予測部と、を備え、
    前記判定部は、前記予測部により予測された前記列車編成の将来の位置に基づき、前記複数の車両が互いに連結された状態であるか、連結されていない状態であるかを判定する基準を設定する、
    列車編成認識装置。
  4. 前記予測部は、前記車両情報に基づいて、前記判定部により複数の車両が連結されてなる列車編成であると判定された列車編成の将来の位置、速度、または方位を予測し、
    前記判定部は、前記予測部が予測した結果に基づいて、他の車両または複数の車両が連結されてなる列車編成と連結された可能性がある候補車両として抽出される条件を定める、
    請求項3に記載の列車編成認識装置。
  5. 前記車両情報は、車両の仕様を含み、
    前記判定部は、前記車両の仕様に基づいて、前記複数の車両の連結状態を判定する、
    請求項1から4のうちいずれか1項に記載の列車編成認識装置。
  6. 前記判定部は、前記複数の車両が互いに連結された状態であるか否かを判定した結果、他の車両と連結されていないと判定された車両を、1つの列車編成として扱う、
    請求項1から5のうちいずれか1項に記載の列車編成認識装置。
  7. 請求項1から6のうちいずれか1項に記載の列車編成認識装置と、
    前記車両の位置を特定する位置特定部と、前記位置特定部が特定した位置情報と前記車両の識別番号とを、無線通信により前記列車編成認識装置に送信する車両通信部とを有する車両と、
    を備える列車編成認識システム。
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