JP6351996B2 - 庇 - Google Patents

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Description

この発明は、建物の外壁面より床面の上方位置へ庇板が前方へ張り出すように設けられる庇に関するもので、この発明は特に、庇板に明かりとりが設けられた庇に関する。
一般に庇は、建物の出入り口、窓、渡り廊下など、種々の場所に設けられる。例えば、建物の玄関口では、建物の外壁面より床面の上方位置へ庇板が前方へ張り出すように設置されている。庇は、強い日差し(直射光)や雨水を防ぐためのもので、庇の出幅(庇板の前後方向の長さ)が大きければ、日差しや雨水の遮断効果が高められるが、庇の下方の領域は暗くなる。庇の出幅が小さければ、庇の下方の領域はそれほど暗くならないが、日差しや雨水の遮断効果は不十分となり、庇本来の役割を十分に果たし得ない。特に、建物が密集している地域では、庇の出幅が大きいと、庇の下方の床面が著しく暗くなるため、庇板の下面に照明器具を組み込むことも行われている。しかし、その種の庇はコスト高となり、維持費が嵩むという問題がある。そのような問題に鑑み、先般、太陽光を照明に有効利用するために、庇板に明かりとりのための開口部を設けたものが提案された(特許文献1の図5参照)。
特開2000―145078号公報
特許文献1に記載のものは、太陽光を利用して自然照明を行うので、照明器具を必要とせず、経済性に優れているが、開口部の面積が狭いと、照明領域がスポット状となって床面上を広範囲に照明できず、また、開口部から雨水が浸入して滴下する。床面上を広範囲に照明するために、開口部の面積を大きくすると、開口部からの雨水の浸入が激しくなり、また、開口部より差し込む日差しの量も顕著となるため、庇本来の機能が損なわれる、という問題がある。
この発明は、上記した問題に着目してなされたもので、庇板に設けた開放部分を塞ぐように一定方向への光の拡散作用のある導光板を設けることにより、雨水や強い日差しを確実に遮断でき、かつ床面上を拡散された太陽光により広範囲に自然照明できる庇を提供することを目的とする。
この発明による庇は、建物の外壁面より床面の上方位置へ庇板が張り出すように設けられるもので、前記庇板は、幅方向に連ねられた複数個の庇板より成り、いずれかの隣り合う庇板間に隙間を介在させ、その隙間により明かりとりのために開放された開放部分を構成するとともに、その開放部分を塞ぐように導光板が設けられている。前記導光板は、上面が平坦面であって太陽光が入射する入射面を構成し、下面が互いに平行な突条からなる凹凸面であって前記突条の長さ方向と直交する方向へ太陽光を拡散させて出射する出射面を構成している。前記太陽光の拡散方向が庇板の幅方向に沿うように前記導光板が前記庇板の開放部分の位置に取り付けられている。
上記した構成の庇によれば、導光板の上面の入射面より入射した太陽光は導光板を透過し、出射面より建物の外壁面に沿う方向に拡散して出射されるので、例えば、建物の玄関口などの出入り口の上方に庇が設置されている場合、出入り口の床面上には幅方向へ帯状に延びる広い照明領域が形成される。また、開放部分は庇板の出幅にわたるので、照明領域が出幅方向に広がり、庇板の下方の全体が広範囲にわたって照らされる。さらに、風雨に晒される導光板の上面は平坦面であるので、導庇板の上面に塵芥が堆積しにくく、たとえ堆積しても、清掃がきわめて容易である。
上記の実施態様において、庇板と導光板との間は種々の方法で連結することが可能であるが、好ましい実施態様では、前記開放部分の位置に取り付けられた導光板と庇板との間は、導光板と庇板との対向する側縁部にそれぞれ装着された側縁枠を一体連結することにより連結されている。
この発明の好ましい実施態様においては、庇板の軽量化をはかるために、前記庇板として、合成樹脂製の芯材の表裏両面にアルミニウムの薄板材が積層されたものを用いるが、この発明はこれに限らず、例えば、アルミニウムの押出成形により形成された複数の板材を幅方向に連ねて構成される庇板など、種々の庇板に実施することが可能である。
この発明によると、導光板によって雨水や強い日差しを確実に遮断できるうえに、床面上を拡散された太陽光により広範囲に自然照明することができる。また、風雨に晒される導光板の上面は平坦面であるので、導光板の上面に塵芥が堆積しにくく、たとえ堆積しても、清掃がきわめて容易である。
この発明の一実施例である庇の設置例を示す側面である。 図1の庇の設置例を示す正面図である。 図1の庇の設置例における床面上の照明領域を示す平面図である。 図3に示された照明領域における明るさの分布を示す説明図である。 この発明の一実施例である庇の外観を示す斜視図である。 図5の実施例の平面図である。 図6のA−A線に沿う断面図である。 導光板を拡大して示す中間部が省略された断面図である。 図6のB−B線に沿う断面図である。 導光板の他の実施例を拡大して示す中間部が省略された断面図である。 この発明の他の実施例を示す平面図である。 この発明のさらに他の実施例を示す平面図である。 図12のC−C線に沿う断面図である。 この発明のさらに他の実施例を示す平面図である。 この発明のさらに他の実施例を示す斜視図である。 図5のD−D線に沿う断面図である。 図11および図15の実施例における床面上の照明領域を示す平面図である。 この発明のさらに他の実施例を示す平面図である。 図18のE−E線に沿う断面図である。 図18の実施例における導光板の保持枠材の他の実施例を示す断面図である。 図18のF−F線に沿う断面図である。 図18の実施例における連結枠の他の実施例を示す断面図である。
図1および図2は、この発明の一実施例である庇1の設置例を示している。図中、10はマンションなどの建物の外壁面、11は各戸の出入口に設けられた扉、12は通路を構成する床面、13は通路に沿う手摺であり、庇1は、建物の外壁面10より扉11の前の床面12の上方位置に庇板2が張り出すように設けられている。
この発明に係る庇板2は、明かりとりのために開放された開放部分を有し、その開放部分を塞ぐように導光板5が設けられるもので、導光板5の上面は太陽光s1が入射する入射面51、下面は導光板5を透過した太陽光s2を拡散して出射する出射面52を構成している。床面12上には、図3に示すように、庇板2の幅方向(図中、xで示す方向。)へ帯状に延びる照明領域Aが形成される。この照明領域Aは導光板5を透過し拡散された太陽光s2が照射される領域であり、周辺の庇の影となっている領域より明るい。
図4は、正方形状の導光板5による照明領域Aを拡大して示す。同図中、Dは導光板5の一辺の長さ、Lは建物の外壁面10に沿う照明領域Aの長さである。照明領域Aの長さLは、太陽光s1が庇板2の幅方向xへ拡散されることで、導光板5の一辺の長さDより数倍以上となっている。なお、照明領域Aの明るさは全体にわたって一様であることが望ましいが、床面12が照らされて多少とも明るくなっていれば、必ずしも一様である必要はなく、斑状であってもよい。また、図示例のように、両端部A1,A2が明るく、中央部A3は両端部A1,A2に比べてやや暗くなるような明るさ分布であってもよい。
図5および図6は、この発明の一実施例である庇1の外観を示している。この実施例の庇1は、庇板2が建物の外壁面10から張り出すように設けられるもので、建物の外壁面10に固着された保持枠材3により前記庇板2の基端部が全幅にわたって保持されている。保持枠材3上にはカバー7が被せられ、両端には端板15,15がネジ止めされている。なお、出幅(前方への張出し量)の大きな庇や幅の大きな庇については、必要に応じて、庇板2の少なくとも1箇所をアームにより水平ないしは水平に近い状態で支持することも可能である。
庇板2には、図9に示すように、合成樹脂製の芯材20の表裏両面にアルミニウムの薄板材21が積層された積層複合材が用いられている。庇板2の先端縁および両側縁には水切り用の枠材26が複数個のビス27によって装着されている。この枠材26はアルミニウムの押出成形により形成されている。なお、庇板2として、上記の積層複合材に代えて、単層の合成樹脂板を用いることもできる。
庇板2の板面の中央部には、図7に示すように、上下に貫通する正方形状の開口部23が形成されている。この開口部23は明かりとりのために開放された開放部分を構成しており、この開口部23の開口縁に装着された囲い枠55内に前記の導光板5がはめ込まれている。囲い枠55は、開口縁の各辺に上方から装着される上枠縁56と、開口縁の各辺に下方から装着される下枠縁57とから成り、上枠縁56と下枠縁57との間は接着剤により一体接合されている。この実施例の導光板5は正方矩形状であるが、これに限らず、後述する実施例のように長方矩形状であってもよく、その他、円形、楕円形などであってもよい。
前記導光板5は、透明の合成樹脂板により形成されており、上面の入射面51は平坦面に、下面の出射面52は凹凸面に、それぞれ形成されている。前記凹凸面は、互いに平行な複数の突条53により構成されており、入射面51より入射しかつ導光板5を透過した太陽光は突条53の長さ方向と直交する方向へ拡散されて出射面52より出射される。
この実施例の各突条53は、図8に示すように、突条53の長さ方向に対して直交する方向の断面形状が、頂角が鈍角をなす二等辺三角形に形成されているが、図10に示すように、半球状ないしは凸曲面状のものであってもよく、さらには、突条53の長さ方向と直交する方向へ太陽光を拡散させることができれば、図示例の形状以外のものであってもよい。
上記した構成の導光板5は、前記太陽光の拡散方向が庇板2の幅方向に沿うように前記庇板2の開口部23の位置に取り付けられる。なお、この実施例では、導光板5は庇板2の開口部23の位置に固定的に取り付けられているが、清掃や破損による交換のために着脱可能な構成とすることもできる。
前記保持枠材3は、庇板2の幅とほぼ一致する長さを有し、アルミニウムの押出加工により形成されており、図9に示すように、建物の外壁面10に背面を当接させてボルト18により固定される背板部30と、背板部30の前面の下端部に保持溝33を挟んで上下に対向して設けられる一対の保持板部31,32とを一体に備えている。背板部30には、各ボルト18を通すためのボルト通し孔36が所定の間隔で開設されている。
保持板部31,32間の保持溝33は、前面が全長にわたり開放されており、庇板2の基端部の厚さtにほぼ一致する溝幅dに形成されている。上側の保持板部31の前端縁は上方へ曲げられ、保持溝33の開口部分がわずかに広げられている。庇板2の基端部は保持溝33へ前方より嵌挿されており、基端面22は保持溝33の終端である背板部30の表面に達している。なお、庇板2の基端部の厚さtはわずかな誤差を有するが、その厚さtが溝幅dより多少大きくても、保持溝33へ庇板2の基端部を圧入することで保持板部31,32がわずかに撓むので、庇板2の基端部を保持溝33内に嵌挿するのに支障をきたさない。
上側の保持板部31と庇板2の基端部の上面との間、および下側の保持板部32と庇板2の基端部の下面との間に接着剤を介在させ、これにより庇板2と各保持板部31,32とを接合している。下側の保持板部32の上面には、接着剤が溜まる一定幅の凹溝37が2か所、形成されている。上側の保持板部31の前端縁の押し広げられた開口部分にはコーキング材38が充填されている。
保持枠材3の背板部30には、保持溝33に対応する部分に、背板部30を貫通するビス通し孔34が背板部30の幅方向へ所定の間隔毎に開設されている。各ビス通し孔34には、ネジ軸部91の径がビス通し孔34の内径より小さく頭部92の径がビス通し孔34の内径より大きい木ビスなどのビス9がそれぞれ挿通される。
背板部30の背面の各ビス通し孔34の位置には、ビス9の頭部92が嵌って支持される凹溝35が背板部30の全長にわたって一連に形成されている。この凹溝35は、ビス9の頭部92が背板部30の背面より突出しない溝深さ、すなわち、ビス9の頭部92の厚さより大きな溝深さに形成されている。
庇板2の基端部は保持板部31,32間の保持溝33中に基端面22が背板部30の前面に達する位置まで嵌挿される。庇板2の基端面22には背板部30の背面側よりビス通し孔34へ挿入された抜止めのためのビス9のネジ軸部91がねじ込まれている。ビス9のネジ軸部91は庇板2の基端面22より合成樹脂製の芯材20を穿孔しつつ進入するが、削り取られた合成樹脂材料が周辺へ押し退けられる結果、そのねじ込まれた部分では庇板2の芯材20が厚さ方向へ膨出し、その膨出に応じて芯材20を挟むアルミニウムの薄板材21が変形する。この変形によって庇板2の基端部は保持溝33に緊密に嵌合する。また、前記膨出部分はビス9と上下の保持板部31,32との間で圧縮変形を受けるもので、これによりビス9のネジ軸部91が庇板2の基端部にしっかり噛み込む。
保持枠材3の背板部30の上端と上側の保持板部31の前端には、カバー7の内側に形成された係合突部71a,71bと係合する係合部39a,39bが形成されている。カバー7は保持枠材3と同じ長さを有し、カバー7の前端縁は下側の保持板部32の前端部上まで達し、上側の保持板部31の前端面を覆っている。
上記の実施例では、単一の庇板2に対してその板面の中央部に1個の開口部23により構成される開放部分を設け、その開口部23を塞ぐように導光板5を取り付けたものであるが、図11に示す実施例のように、単一の庇板2に対してその板面の中央部とその両側の対称位置とにそれぞれ開口部23を設け、各開口部23を塞ぐようにそれぞれ導光板5を取り付けるようにしてもよい。なお、導光板5を取り付けるための開口部23は、庇板2の幅に応じて2個、或いは4個以上形成してもよい。
図12および図13は、この発明の他の実施例である庇1を示している。図示例の庇1は、庇板2の板面の中央部に明かりとりのための開放部分が、上下に貫通する開口部23によって形成されている。この開口部23は、照明領域を庇板の出幅方向へ広げるために、幅方向に対して出幅方向に長い長方矩形状に形成されている。この開口部23の開口縁には囲い枠55が装着され、囲い枠55の上面に導光板5が接着剤により取付け固定されている。
この実施例の庇1は、庇板2の出幅が大きく設定されたものであり、庇の耐荷重性を高めるために、庇板2の左右対称位置がアーム101,101によって支持されている。各アーム101は、長さ調節が可能な金属製パイプより成るアーム本体102の両端にネジ軸を介して取付金具8,80がそれぞれ取り付けられている。各ネジ軸は一端部に取付金具8,80が取り付けられ、他端部はアーム本体102の両端に装着されたナット部材(図示せず)にねじ込まれている。下端部側の取付金具8は庇板2の上面にネジ止めされ、上端部側の取付金具80は建物の外壁面10にアンカーボルトにより固定されている。
上記アーム101の各ネジ軸はネジの方向が逆方向であり、アーム本体102を一方向へ回転させたとき、各ネジ軸がアーム本体102の両端より突き出てアーム101の長さが長くなり、また、アーム本体102を反対方向へ回転させたとき、ネジ軸がアーム本体102の内部へ入り込んでアーム101長さが短くなる。
図14は、出幅の大きな庇1であり、庇の耐荷重性を高めるために、庇板2の左右対称位置をアーム101,101で支持するとともに、庇板2の板面の中央部に明かりとりのための開放部分を、上下に貫通する2個の開口部23,23によって形成し、各開口部23に導光板5を取り付けている。各開口部23および各導光板5は同形状をなす正方矩形状ないしは長方矩形状に形成されており、この実施例では、出幅方向に沿って整列配置されているが、これに限らず、異なる大きさや形状に形成したり、左右にずらせたりするなど、適宜設計変更が可能である。
図15は、この発明のさらに他の実施例を示している。この実施例の庇1は、幅方向に連ねられた複数個の庇板2のそれぞれに対して、あるいは選択された庇板2に対して、1個または2個以上の開口部23による開放部分を形成し、各開口部23を塞ぐようにそれぞれ導光板5を取り付けている。なお、図中、3は各庇板2の基端部を一連に保持する保持枠材、6は隣り合う庇板2,2の側端縁間を連結する連結枠、101は連結枠100を上方より支持するアームである。
前記の各連結枠6は、図16に示すように、隣り合う庇板2,2の間に介装されており、各庇板2の対向する側縁部25,25間を連結する。各庇板2の対向する側縁部25にはそれぞれ対をなす側枠材60L,60Rが装着されるとともに、各側枠材60L,60Rは横並びの状態で樋部材100および取付金具8により一体保持されている。
各連結枠6を構成する各側枠材60L,60Rは、アルミニウムの押出加工により形成されたもので、図15に示すように、基端が保持枠材3の前端縁の位置に位置し、先端は庇板2の前端縁の手前位置に達している。各側枠材60L,60Rは、一方の側枠材が他方の側枠材に対して対称をなす形状のものであり、同じものを前後反転して用いている。
各側枠材60L,60Rは、内側面に庇板2の側縁部25が挿入される挿入溝61、外側面の上下位置に突出部62,63を備えている。対をなす側枠材60L,60Rの上側の突出部62,62同士および下側の突出部63,63同士はそれぞれ衝き合わされ、その衝き合わせ状態で各側枠材60L,60Rが一体保持されている。
前記挿入溝61は、上下の支持板部64,65間に形成されており、この挿入溝61に庇板2の側縁部25が側縁端面25aが溝底面61aに当接する位置まで嵌挿されている。この挿入溝61は全長にわたって開放されており、溝幅は庇板2の側縁部25の厚さとほぼ一致させている。上側の支持板部64と庇板2の側縁部25の上面との間、および下側の支持板部65と庇板2の側縁部25の下面との間にそれぞれ接着剤を介在させることにより庇板2と各支持板部64,65とを接合している。上側の支持板部64の下面および下側の支持板部65の上面には、それぞれ接着剤が溜まる一定幅の凹溝64a,65aが形成されている。
前記溝底面61aには一定間隔毎にネジ通し孔61bが貫通して開設されている。庇板2の側縁端面25aには溝底面61aの背後よりネジ通し孔61bへ貫挿させたネジ66がねじ込まれている。ネジ66には、ネジ軸部66bの径がネジ通し孔61bの内径より小さく、頭部66aの径がネジ通し孔61bの内径より大きな木ビスが用いてある。対をなす側枠材60L,60Rの一方に形成される各ネジ通し孔61bと他方に形成される各ネジ通し孔61bとは、それぞれの位置が重ならないように穿設位置を前後にずらせてあり、これにより、溝底面61aの背後の隙間部S2において、一方の側枠材60Lの側縁端面25aにねじ込まれた各ネジ66の頭部66aと他方の側枠材60Rの側縁端面25aにねじ込まれた各ネジ66の頭部66aとが互いに干渉しないようになっている。
このネジ66はそのネジ軸部66bが庇板2の側縁端面25aより合成樹脂製の芯材20を穿孔しつつ進入するとき、削り取られた合成樹脂材料が周辺へ押し退けられる結果、そのねじ込まれた部分では庇板2の芯材20が厚さ方向へ膨出し、この膨出に応じて芯材20を挟むアルミニウムの薄板材21が変形し、この変形によって庇板2の側縁部25が挿入溝61に緊密に嵌合するものである。
上側の支持板部64の上面には、位置決め部材90を前後方向へ摺動自由に保持する摺動溝67が全長にわたって形成されている。この位置決め部材90は、アーム101の下端部を連結する前後方向の位置を調整するためのものである。摺動溝67は、支持板部64と上板部68との間に形成されており、上板部68の幅中央部には溝開口68aが全長にわたって形成されている。
位置決め部材90は、摺動溝67の溝幅とほぼ同一幅を有する金属製の板状体である。位置決め部材90の板面上の前後位置にはネジ軸90aがそれぞれ上向きに突設されている。各ネジ軸90aは溝開口68aより上板部68の上方へ突出する。各ネジ軸90aにはアーム101の下端に取り付けられた取付金具8の基板部81が接続される。
アーム101の取付金具8は、対をなす側枠材60L,60Rを横並びの状態で一体化する金具を兼ねており、側枠材60L,60Rに跨ることが可能な長さの基板部81を含み、その基板部81の左右対称位置の前後位置に貫通孔82がそれぞれ形成されている。各貫通孔82には、それぞれネジ軸90aが通され、その先端にナット90bを装着して締め付けることにより、連結枠6に対してアーム101の下端部が連結され、かつ対をなす側枠材60L,60Rが一体保持される。
対をなす各側枠材60L,60Rの外側面の上下位置には、前記上板部68および下側の支持板部65をそれぞれ外側へ延出もしくは突出させた突出部62,63が形成されている。上側の突出部62は、先端部分が折り返され、この折返し端部62a内に樋部材100の板厚に相当する溝幅の係合溝62bが形成されている。下側の突出部63は先細の形状のものであり、その突端と上側の突出部62の突端とは位置が揃っている。
対をなす側枠材60L,60Rの上側の突出部62,62同士および下側の突出部63,63同士はそれぞれ同じ高さに揃えられて衝き合わされている。その衝き合わされた上側の突出部62,62と衝き合わされた下側の突出部63,63とで挟まれる前後に延びる空間部S1内には樋部材100が挿入配備されている。樋部材100は前後の各端面が開放され、上面の開口部は上側の突出部62,62の衝き合わせ部分の真下に位置している。
前記空間部S1は、樋部材100を嵌合状態で収容することが可能な形状および大きさのものであり、両側方へ張り出すような形状をしている。その空間部S1の下方には前後方向に延びる一定幅の隙間部S2が形成されている。隙間部S2は空間部S1と連通しており、この隙間部S2に前記ネジ66の頭部66aが互いに干渉することなく位置している。
前記樋部材100は、側枠材60L,60Rと同じ長さに形成されており、内方を向く開口縁部の先端縁が対をなす各側枠材60L,60Rの上側の突出部62に形成された折返し端部62aの係合溝62bに入り込むことで開口縁部と折返し端部62aとが咬み合っている。樋部材100の底部は隙間部S2の上方を跨るようにして各側枠材60L,60Rの外面の肩部69上に支持されている。
前記アーム101は、前記した図12の実施例のものと同様、長さ調節が可能な金属製パイプより成るアーム本体102の両端にネジ軸を介して取付金具8,80がそれぞれ取り付けられている。各ネジ軸は一端部に取付金具8,80を構成する連結板83が取り付けられ、他端部はアーム本体102の両端に装着されたナット部材(図示せず)にねじ込まれている。
アーム101の下端部側の取付金具8は、前記基板部81上に前記連結板83を両側より挟むように一対の取付板85,85が一体形成されるとともに、枢軸84上に前記連結板83と取付板85,85とを回動自由に支持することにより連結板83に対して取付板85を屈曲可能としたものである。
アーム101の上端部側の取付金具80も、詳細は図示していないが、下端部側の取付金具8と同様の構成のものであるが、基板部88に形成した2個の貫通孔にアンカーボルトをそれぞれ通して基板部88を建物の外壁面10に固定する。
図17は、図11および図15の実施例により床面12上に形成される照明領域Aを示している。この照明領域Aは各導光板5により形成された複数個の帯状の照明領域が連なったもので、全体として一連の長い帯状となっている。
図18は、この発明のさらに他の実施例である庇1を示している。この実施例の庇1は、複数個の庇板2を幅方向に連ねて形成されるとともに、幅中央部の2枚の庇板2,2間に一定幅の隙間28により構成される開放部分を設け、その隙間28を塞ぐようにして導光板5を取り付けたものである。
なお、図中、4は導光板5の基端部を保持する保持枠材、40Lは導光板5と左隣の庇板2とを連結する連結枠、40Rは導光板5と右隣の庇板2とを連結する連結枠、6は隣り合う庇板2,2間を連結するための連結枠、101は連結枠6,40L,40Rを上方より支持するアームである。
前記保持枠材4は、図19に示すように、構成の一部を除き、庇板2の基端部を一連に保持する保持枠材3と同様の構成のものであり、ここでは、保持枠材3と同一もしくは類似の構成については同一の符号を付することで説明を省略する。
この保持枠材4は、導光板5の幅とほぼ一致する長さを有し、アルミニウムの押出加工により形成されており、背板部30と上下に対向する一対の保持板部31,32とを一体に備えている。保持板部31,32間の保持溝33は導光板5の基端部の厚さにほぼ一致する溝幅に形成されている。導光板5の基端部は保持溝33へ前方より嵌挿され、基端面は保持溝33の終端である背板部30の表面に達している。
上側の保持板部31と導光板5の基端部の上面との間、および下側の保持板部32と導光板5の基端部の下面との間に接着剤を介在させ、これにより導光板5と各保持板部31,32とを接合している。下側の保持板部32の上面には、接着剤が溜まる一定幅の凹溝37が2か所、形成されている。
なお、保持枠材4として、庇板2の保持枠材3を流用することが可能であり、この場合、図20に示すように、導光板5の基端部の下面または上面、或いは上下両面に肉厚調整用の板材41を接着剤により接合する。
図21は、前記した一方の連結枠40Lの構成を示している。なお、連結枠40L,40Rは、一方の連結枠40Lが導光板5と左隣の庇板2とを連結するものであるの対し、他方の連結枠40Rが導光板5と右隣の庇板2とを連結するものであり、両者の構成は基本的な差異はなく、ここでは、連結枠40Rの図示並びに説明を省略する。、
また、連結枠40L,40Rは、構成の一部を除き、隣り合う庇板2,2間を連結する連結枠6と同様の構造のものであり、ここでは、連結枠6と同一もしくは類似の構成については同一の符号を付することで説明を省略する。
前記連結枠40Lは、左隣の庇板2と導光板5との間に介装されており、庇板2と導光板5との対向する側縁部25,54間を連結する。その対向する側縁部25,54にはそれぞれ対をなす側枠材60L,60Rが装着されるとともに、各側枠材60L,60Rは横並びの状態で樋部材100および取付金具8により一体保持されている。
連結枠40Lを構成する各側枠材60L,60Rは、アルミニウムの押出加工により形成されたもので、先端は庇板2の前端縁の位置まで達している。
一方の側枠材60Lは、内側面に庇板2の側縁部25が挿入される挿入溝61を備え、他方の側枠材60Rは、内側面に導光板5の側縁部54が挿入される挿入溝61を備えている。各側枠材60L,60Rの外側面には互いに衝き合わされる上下の突出部62,63を備えている。
一方の側枠材60Lの挿入溝61には、庇板2の側縁部25が側縁端面25aが溝底面61aに当接する位置まで嵌挿されている。この挿入溝61の溝幅は庇板2の側縁部25の厚さとほぼ一致させている。挿入溝61を挟む上側の支持板部64と庇板2の側縁部25の上面との間、および下側の支持板部65と庇板2の側縁部25の下面との間にそれぞれ接着剤を介在させることにより庇板2と各支持板部64,65とを接合している。上側の支持板部64の下面および下側の支持板部65の上面には、それぞれ接着剤が溜まる一定幅の凹溝64a,65aが形成されている。
なお、庇板2の側縁部25は、側縁端面25aに溝底面61aの背後よりねじ込まれたネジ66によってねじ止めされている。
他方の側枠材60Rの挿入溝61には、導光板5の側縁部54の側縁端面54aが溝底面61aに当接する位置まで嵌挿されている。この挿入溝61の溝幅は導光板5の側縁部54の厚さとほぼ一致させている。挿入溝61を挟む上側の支持板部64と導光板5の側縁部54の上面との間、および下側の支持板部65と導光板5の側縁部54の下面との間にそれぞれ接着剤を介在させることにより導光板5と各支持板部64,65とを接合している。上側の支持板部64の下面および下側の支持板部65の上面には、それぞれ接着剤が溜まる一定幅の凹溝64a,65aが形成されている。
なお、一方の連結枠40Lの側枠材60Rとして、庇板2,2間を連結するのに用いる連結枠6の側枠材60Rを流用することが可能であり、この場合、図22に示すように、導光板5の側縁部54の上面または下面、或いは上下両面に肉厚調整用の板材42を接着剤により接合する。
上記した構成の庇1によれば、導光板5の上面の入射面51より太陽光s1が入射し、その太陽光s1は導光板5を透過して、出射面52より建物の外壁面10に沿う方向へ拡散して出射される。例えば、建物の玄関口などの出入り口の上方に図5または図18に示す庇1が設置されている場合、出入り口の床面12上には1個の導光板5によって幅方向へ帯状に延びる照明領域Aが形成される。なお、太陽光s1が庇板2の真上のみならず庇板2に対して斜め上方より入射しても同様の帯状の照明領域Aが形成される。
渡り廊下などの通路の上方に図11または図15に示す庇1が設置されている場合、通路の床面12上には各導光板5によって幅方向へ帯状に延びる照明領域が形成されて一列に連なることにより長い帯状の照明領域Aが形成される。導光板5は、風雨に晒される上面の入射面51が平坦面であるので、その入射面51上に塵芥が堆積しにくく、たとえ堆積しても、清掃がきわめて容易である。
なお、上記の各実施例は、太陽光の拡散方向が庇板2の幅方向に沿うように導光板5を設置しているが、太陽光の拡散方向が庇板の出幅方向に沿うように別の導光板を組み合わせたりすることもでき、種々の設計変更が可能である。
1 庇
2 庇板
5 導光板
23 開口部
28 隙間
20 芯材
21 薄板材
51 入射面
52 出射面
53 突条

Claims (3)

  1. 建物の外壁面より床面の上方位置へ庇板が張り出すように設けられる庇において、前記庇板は、幅方向に連ねられた複数個の庇板より成り、いずれかの隣り合う庇板間に隙間を介在させ、その隙間により明かりとりのために開放された開放部分を構成するとともに、その開放部分を塞ぐように導光板が設けられており、前記導光板は、上面が平坦面であって太陽光が入射する入射面を構成し、下面が互いに平行な突条からなる凹凸面であって前記突条の長さ方向と直交する方向へ太陽光を拡散させて出射する出射面を構成しており、前記太陽光の拡散方向が庇板の幅方向に沿うように前記導光板が前記庇板の開放部分の位置に取り付けられて成る庇。
  2. 前記開放部分の位置に取り付けられた導光板と庇板との間は、導光板と庇板との対向する側縁部にそれぞれ装着された側縁枠を一体連結することにより連結されている請求項1に記載された庇。
  3. 前記庇板は、合成樹脂製の芯材の表裏両面にアルミニウムの薄板材が積層されたものである請求項1または2に記載された庇。
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