JP6350882B2 - 膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法 - Google Patents

膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法 Download PDF

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Description

本発明は、建物などの構造物を膨張性地盤上に構築するために用いて好適な膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法に関する。
本願は、2013年3月6日に日本に出願された特願2013−044273号、2013年4月15日に日本に出願された特願2013−085068号、及び、2013年4月23日に日本に出願された特願2013−090170号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
例えば東南アジアやアフリカ、中東地域などの乾燥、準乾燥地域では、モンモリロナイト等の膨張性の粘土鉱物を含む膨張土が堆積し、雨期に浸水・吸水に伴って膨張、乾期に排水・乾燥に伴って収縮する膨張土(膨張性を示す地盤)が広範囲に存在している。
そして、図22に示すように、このような膨張土1の上に住宅や工場などの構造物2を構築した場合には、雨期と乾期の膨張土1の膨張と収縮による地盤変形に伴って、構造物2に不同浮上りや不同沈下が生じ、構造物2の壁や床にひび割れが生じたり、1階床のタイルが局部的にふくれて不陸(ずれ)が生じるなどの被害が多々発生してしまう。
特に生産施設(工場)では、製造機器の稼働やフォークリフトの走行を円滑に行うために床(1階の床構造)の水平精度をある程度高精度で維持する必要があり、膨張圧を受けた場合であっても床に不陸が生じないようにすることが強く求められている。
このため、従来、以下の4つの手法を単独あるいは組み合わせ、膨張土対策を講じた上で、構造物を構築している。
第一に、構造物下方の膨張性を示す地盤1をすべて良質土3に置換した後、構造物2を直接基礎支持形式としたり、1階床を土間床として構築する。あるいは、膨張性を示す地盤1をすべてセメント又は石灰によって固化処理した後、構造物2を直接基礎支持形式としたり、1階床を土間床として構築する(図23参照)。
第二に、膨張性を示さない良質な地盤4の支持層まで杭5を打設し、この杭5によって地盤1の膨張時の浮上り力に抵抗することで、構造物2に有害な変形が生じないようにする(図24、例えば特許文献1参照)。
第三に、地盤1が膨張した際に浮上った地表部1aの土を空隙部分に貫入(収容)させ、膨張力が構造物に直接作用しないように緩衝する治具6を地表部1aに敷設しておき、この治具6の上に、構造物を直接基礎支持形式で構築したり、床を構築する(図25参照)。
第四に、膨張性を示さない良質な地盤4の支持層まで杭5を打設し、この杭5に接続するとともに地表面(地表部)1aよりも上方に配設して浮き床(構造床)7を構築し、床7と地盤1との間の空洞によって地盤1の膨張を吸収する(図26参照)。
日本国特開2008−174936号公報
しかしながら、上記の第一の膨張土対策においては、その地層の全てを良質土に置換、あるいはセメントや石灰を撹拌混合して固化処理するため、膨張性を示す地層の厚さが大きくなるほどに工期が長期化し、高コスト化する。例えば、平面的に大規模な工場などを構築する際に、3m以上の膨張性を示す地層を処理する必要が生じると、工期が非常に長期化し、且つ莫大なコストが必要になってしまう。
上記の第二の膨張土対策においては、構造物全体を杭で支持することで、膨張土の膨張・収縮による構造物の浮上りや沈下を効果的に防止することが可能である反面、大掛かりな対策であるが故に、杭に依らない直接基礎形式と比較し、やはり工期やコストが大幅に増大する。このため、中小規模の建物などの構造物への適用は事実上不可能になってしまう。
杭間のフラットスラブが膨張圧に抵抗できるように構築・設計されている必要がある。このため、例えば、杭打設間隔を2〜4mと小さくし、さらにフラットスラブの配筋量を通常の構造床よりも多くする必要があり、この点からも、工期が長期化し、且つ莫大なコストが必要になってしまう。
上記の第三の膨張土対策においては、専用治具が高コストであり、且つ構造物を構築する現場、地域、特に発展途上国によっては容易に専用治具を入手することができず、適用できない場合が多い。また、専用治具を全面に設置することは多大な労力と手間が必要になるため、平面的に大規模な工場、生産施設などへの適用が難しい。
上記の第四の膨張土対策においては、浮き床にするため、床コンクリート打設時に大掛かりな型枠が必要になる。これに対し、合板型枠(木材)を用いると、低コストである反面、例えば、乾燥地域・準乾燥地域では、アリの食害を受けることもある。そして、食害を受けることによって形成されたコンクリート打ち継ぎ部や配管の隙間からアリが室内に侵入してしまうので、合板型枠を使用できないケースもある。
一方、ハーフPCaスラブ(プレキャスト型枠)を用いる場合には、重量物であるPC型枠の吊り上げに大型クレーンが必要となる。そして、例えば、発展途上国に膨張性地盤が広範囲に存在する地域が多く、このような地域では大型クレーンの調達が難しい。また、構造床用のデッキプレートを用いることも考えられるが、デッキプレートは、コンクリート材料に比べて高価である上、やはり発展途上国では購入できない場合が多い。
本発明の第1の態様によれば、膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造は、膨張性を示す地盤の上に構築される構造物の膨張性地盤対策用の床構造であって、前記地盤を掘削して平面視に一方向に延びて形成された溝、又は格子状に形成された溝に粒状体を充填してなる第1の緩衝層、あるいは前記溝に粒状体を充填するとともに前記地盤上に粒状体を敷設してなる第1の緩衝層と、前記第1の緩衝層及び前記地盤上に直接形成される床スラブとを備えて構成されている。

本発明の第1の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、前記粒状体として、粒度分布により得られた透過質量百分率が50%のときの粒径D50が20mm以上のものが用いられていることが好ましい。
本発明の第1の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、前記溝が、平面視で前記一方向に直交する他方向の掘削幅をa、前記溝が格子状に形成されている場合の前記一方向の掘削幅をd、前記溝の掘削深さをc、前記他方向の溝の間隔をM、前記溝が格子状に形成されている場合の前記一方向の溝の間隔をNとしたとき、a≧0.5m、d≧0.5m、c≧0.5m、M≦5c+a、N≦5c+dを満足するように形成されていることが好ましい。
本発明の第2の態様によれば、膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造は、膨張性を示す地盤の上に構築される構造物の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造であって、断面略U字状に形成され、開口部を下方に向けて前記地盤の地表面上に載置される管状部材と、前記管状部材の少なくとも一部を埋設しつつ前記地盤の地表面上に敷設される膨張抑制土層と、前記膨張抑制土層上に粒状体を敷設して積層形成される第2の緩衝層と、前記第2の緩衝層上にコンクリートを打設して積層形成されるレベルコンクリート層と、前記レベルコンクリート層の上に形成される床スラブとを備えて構成されており、前記膨張抑制土層は、前記地盤を掘削して複数の凹所を形成し、前記地盤を掘削して得た掘削土をほぐして膨張抑制土を生成し、前記膨張抑制土を前記地盤からの膨張圧を吸収可能に緩詰めして前記凹所に充填するとともに前記地盤の地表面上に敷設することにより、前記膨張抑制土を前記地盤内に貫設した複数の貫入部を備えて形成されている。
本発明の第2の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、前記複数の貫入部が平面視で所定の間隔をあけて整列配置され、前記管状部材が隣り合う前記貫入部の間の前記地表面に敷設されて格子状に配設されていてもよい。
本発明の第2の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、前記膨張抑制土が、前記地盤を掘削して得た掘削土をほぐすとともに消石灰を混合して生成されていてもよい。
本発明の第3の態様によれば、膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法は、膨張性を示す地盤の上に構造物の膨張性地盤対策用の床構造を構築する方法であって、前記地盤を掘削して複数の凹所を形成する地盤つぼ掘り工程と、断面略U字状に形成された管状部材を、開口部を下方に向けて前記地盤の地表面上に載置する管状部材設置工程と、前記地盤つぼ掘り工程で得た掘削土をほぐして膨張抑制土を生成し、前記膨張抑制土を前記地盤からの膨張圧を吸収可能に緩詰めして前記凹所に充填するとともに前記地盤の地表面上に敷設して膨張抑制土層を形成する膨張抑制土層形成工程と、前記膨張抑制土層上に粒状体を敷設して第2の緩衝層を積層形成する緩衝層形成工程と、前記第2の緩衝層上にコンクリートを打設してレベルコンクリート層を積層形成するレベルコンクリート層形成工程と、前記レベルコンクリート層の上に床スラブを形成する床スラブ形成工程とを備えている。
本発明の第3の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法においては、前記地盤つぼ掘り工程で得た掘削土をほぐすとともに消石灰を混合して膨張抑制土を生成する膨張抑制土生成工程を備えていてもよい。
本発明の第4の態様によれば、膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造は、水との接触によって膨張性を示す地盤の上に構造物を構築するための膨張性地盤対策用基礎構造であって、構造物の外周部側の外周部領域を杭基礎とし、前記外周部領域よりも内側の内部領域を直接基礎として構成されている。
本発明の第4の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、前記構造物の外周縁から前記内部領域までの距離Xが、距離X=前記地盤の透水係数k×前記地盤に継続的あるいは断続的に水が接触し、前記地盤に膨張が継続的あるいは断続的に生じている期間t1、又は、距離X=前記地盤の透水係数k×ある一定以上の前記地盤に水が継続的に接触しない期間t2のいずれか大きい値で設定されていることが望ましい。
本発明の第5の態様によれば、膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造は、膨張性を示す地盤の上に構造物を構築するための膨張性地盤対策用基礎構造であって、平面視で構造物を囲むように連続して形成されるとともに、地表面から所定の深度まで延設された遮水構造部と、前記遮水構造部で囲んだ部分で、且つ地表面から所定の深度範囲の地盤を改良処理してなる地盤改良処理部とを備えており、地盤を浸透した水と接触することによる膨張と乾燥による収縮が繰り返し生じる地盤深度を特定し、前記遮水構造部が、少なくとも、前記膨張と収縮が繰り返し生じる特定地盤深度まで根入れして形成されている。
本発明の第5の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、文献・資料調査、原位置地盤調査、地盤から採取した土試料の土質試験の少なくとも1種の調査及び/又は試験を実施して前記膨張と収縮が繰り返し生じる特定地盤深度を特定し、前記遮水構造部が形成されていてもよい。
本発明の第5の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、雨期と乾期の前記地盤の含水比を地表面から深度方向の複数箇所で計測し、少なくとも、雨期と乾期の含水比の差が雨期に膨張して構造物に悪影響を及ぼすことがないように予め設定した値よりも小さくなる前記特定地盤深度まで根入れして、前記遮水構造部が形成されていてもよい。
本発明の第5の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、前記地盤改良処理部が、前記遮水構造部で囲んだ内部地盤を地表面から掘削し、粒径が数cm〜数十cmオーダーの充填材を敷き詰めてなる第3の緩衝層と、前記第3の緩衝層の上に敷設され、前記第3の緩衝層を保護するシート状部材からなる保護層と、セメントあるいは石灰を混合した混合土を前記保護層の上に転圧してなる固化処理土層とを備えて構成されていてもよい。
本発明の第5の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、前記シート状部材がジオシンセティックスあるいは防水シートであってもよい。
本発明の第5の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、前記遮水構造部が、少なくとも雨期と乾期の含水比の差が5%以下となる前記特定地盤深度まで根入れして形成されていることが望ましい。
本発明の第5の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、前記地盤改良処理部が、前記固化処理土層の上にコンクリートを打設してなるレベルコンクリート層を備えて構成されていてもよい。
本発明の第5の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、前記地盤改良処理部が、地上から前記第3の緩衝層に達する換気パイプを備えて構成されていてもよい。
本発明の第6の態様によれば、膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法は、膨張性を示す地盤の上に構造物を構築するための膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造を構築する方法であって、地盤を浸透した水と接触することによる膨張と乾燥による収縮が繰り返し生じる地盤深度を特定する特定地盤深度調査工程と、平面視で構造物を囲むように連続して、且つ地表面から、少なくとも前記特定地盤深度調査工程で特定した前記地盤深度まで根入れして、遮水構造部を形成する遮水構造部形成工程と、前記遮水構造部で囲んだ内部地盤を地表面から掘削し、粒径が数cm〜数十cmオーダーの充填材を敷き詰めて第3の緩衝層を形成する緩衝層形成工程と、前記第3の緩衝層の上に、前記第3の緩衝層を保護するためのシート状部材を敷設して保護層を形成する保護層形成工程と、前記保護層の上に、セメントあるいは石灰を混合した混合土を転圧して固化処理土層を形成する固化処理土層形成工程とを備えている。
本発明の第6の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法においては、前記特定地盤深度調査工程で、文献・資料調査、原位置地盤調査、地盤から採取した土試料の土質試験の少なくとも1種の調査及び/又は試験を実施して前記膨張と収縮が繰り返し生じる特定地盤深度を特定してもよい。
本発明の第6の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法においては、前記特定地盤深度調査工程が、膨張性を示す前記地盤の雨期と乾期の含水比を地表面から深度方向の複数箇所で計測する地盤調査工程と、前記地盤の雨期の含水比と乾期の含水比の差を求め、雨期に膨張して構造物に悪影響を及ぼすことがない地盤深度を特定する遮水構造部深度決定工程とを備えていてもよい。
本発明の第1の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、原位置土の膨張土を掘削して、平面視で一方向に延びる溝あるいは格子状の溝を形成し、この溝に砕石などの粒状体を充填して第1の緩衝層を形成し、この第1の緩衝層上に床スラブを形成する。これにより、膨張性を示す地盤に膨張が発生した際、第1の緩衝層によって膨張圧を吸収することができるとともに、粒状体を溝に充填して第1の緩衝層が形成されていることで、鉛直方向の膨張圧を効果的に吸収することができる。よって、第1の緩衝層上の1階床(床スラブ)に、膨張性地盤の膨張に伴ってふくれが生じることを防止できる。そして、上記のように構成、施工することにより、低コストで効果的な膨張土対策を講じることが可能になる。
また、本発明の第1の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、粒状体として、粒度分布により得られた透過質量百分率が50%のときの粒径D50が20mm以上のものが用いることにより、第1の緩衝層によって膨張性地盤の水平方向の変位を許容した場合においても、土砂が溝内に崩落することがなく、好適に水平方向及び鉛直方向の膨張圧を低減させることが可能になる。
さらに、本発明の第1の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、平面視で一方向に直交する他方向の掘削幅をa、溝が格子状に形成されている場合の一方向の掘削幅をd、溝の掘削深さをc、他方向の溝の間隔をM、溝が格子状に形成されている場合の一方向の溝の間隔をNとしたとき、a≧0.5m、d≧0.5m、c≧0.5m、M≦5c+a、N≦5c+dを満足するように溝ひいては第1の緩衝層を形成すると、溝の形成とともに突出する地盤の残部(突出部)の幅/高さの比(M−a)/c、(N−d)/cが5以下となる。これにより、膨張性を示す地盤に膨張が発生した際、第1の緩衝層によって膨張圧、特に鉛直方向の膨張圧をさらに確実且つ効果的に吸収することが可能になる。
本発明の第2の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに本発明の第3の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法においては、原位置土の膨張土を掘削して、例えば転圧をせずに埋め戻して整地することで膨張抑制土層を形成し、砕石などの粒状体を敷設することで第2の緩衝層を形成し、レベルコンクリートを打設してレベルコンクリート層を形成する。これにより、膨張性を示す地盤に膨張が発生した際、膨張抑制土層や第2の緩衝層によって膨張圧を吸収することができ、さらにレベルコンクリート層によって膨張圧を受け止めることができる。よって、レベルコンクリート層の上に形成した1階床(床スラブ)に、膨張性地盤の膨張に伴ってふくれが生じることを防止できる。そして、上記のように構成、施工することにより、低コストで効果的な膨張土対策を講じることが可能になる。
また、転圧をせずに埋め戻した緩詰めの膨張抑制土層とレベルコンクリート層を、1階床スラブのコンクリート打設時の型枠として兼用できるため、浮き床を施工する際に、合板型枠、プレキャスト型枠、デッキプレートなどを不要にすることができ、床構造の施工性、信頼性の向上を図ることも可能になる。
本発明の第4の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造においては、降雨、水分蒸発の影響を受けて地盤の膨張や沈下が生じる平面範囲を特定し、この地盤の膨張、沈下が生じると推定した構造物の外周部領域を杭基礎とし、それより内側の内部領域を直接基礎として構造物を支持する基礎構造を構築することにより、従来の構造物全体を杭基礎で支持させる対策と比較し、低コストで合理的に構造物の膨張土対策を講じることが可能になる。
本発明の第5の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに本発明の第6の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法においては、遮水構造部によって構造物の直下の内部地盤への水分の浸入を抑止(または防止)することができる。これにより、遮水構造部で囲んだ内部地盤の膨張土が膨張と収縮を繰り返すことを抑止(防止)することが可能になり、この膨張性を示す地盤の膨張と収縮に伴って構造物に外力が作用してひび割れなどの被害が生じることを防止できる。
また、このとき、地盤を浸透した水と接触することによる膨張と乾燥による収縮が繰り返し生じる地盤深度を特定し、遮水構造部が、少なくとも、膨張と収縮が繰り返し生じる特定地盤深度まで根入れして形成されていることにより、より具体的に、例えば、雨期と乾期に地盤調査を行い、膨張性を示す地盤の雨期の含水比と乾期の含水比の差を求め、これら含水比の差が雨期に膨張して構造物に悪影響を及ぼすことがないように予め設定した値よりも小さくなる深度まで根入れして、遮水構造部を形成することにより、確実に、遮水構造部で囲んだ内部地盤の膨張土が膨張と収縮を繰り返すことを抑止(防止)することが可能になる。
すなわち、遮水構造部によって、膨張土の地盤全てではなく、膨張と収縮が繰り返し発生する地盤(のみ)を取り囲み、例えば、雨期と乾期に膨張、収縮する地盤(のみ)を取り囲み、この内部地盤の含水比を、年間を通じて安定した状態で保持することができる。これにより、構造物の直下の地盤が膨張し、その膨張圧によって構造物にひび割れなどの被害が生じることを確実に防止できる。
また、遮水構造部で囲んだ部分で、且つ地表面から所定の深度範囲の地盤を改良処理してなる地盤改良処理部(第3の緩衝層、保護層、固化処理土層)を備えていることにより、遮水構造部で囲んだ内部地盤に水が浸入し、膨張が発生した場合であっても、この地盤膨張圧を地盤改良処理部で緩衝することができる。これにより、遮水構造部で囲んだ内部地盤に水が浸入してしまった場合であっても、構造物に膨張圧が作用することを抑止でき、さらに確実に、構造物にひび割れなどの被害が生じることを防止できる。
よって、本発明の第5の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに本発明の第6の態様に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法によれば、従来と比較し、安価に構造物の膨張土対策を講じることができ、また、地盤の含水比変化を抑えるための遮水構造部と、地盤膨張圧を緩衝する地盤改良処理部とを兼ね備えることにより、確実で信頼性の高い膨張土対策を実現することが可能になる。
本発明の第1実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)を示す図である。 地盤膨張時の構造物の変形状態を示す図である。 地盤収縮時の構造物の変形状態を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)を示す断面図である。 図5のX1−X1線矢視図であり、本発明の一実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)の外周部領域と内部領域を示す平面図である。 粒径加積曲線に基づいて透水係数を推定するための推定式の一例を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)の構築方法において、地盤を掘削して凹所を形成した状態を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)の構築方法において、地盤を掘削して凹所を形成した状態を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)の構築方法において、管状部材を敷設した状態を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)の構築方法において、管状部材を敷設した状態を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)の構築方法において、膨張抑制土層を形成した状態を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)の構築方法において、膨張抑制土層を形成した状態を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)の構築方法において、第2の緩衝層、レベルコンクリート層を形成した状態を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)の構築方法において、第2の緩衝層、レベルコンクリート層を形成した状態を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)の溝及び第1の緩衝層を形成した状態を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)の溝及び第1の緩衝層を形成した状態を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)おいて、一方向に延びる溝を形成した状態を示す平面図である。 図15のX1−X1線矢視図である。 本発明の第4実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)において、格子状の溝を形成した状態を示す平面図である。 図17のX1−X1線矢視図である。 図17のX2−X2線矢視図である。 異なる条件下での膨張土の鉛直方向の膨張圧を測定して比較した土質試験の結果を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)の作用効果の説明に用いた図である。 膨張性を示す地盤の上に構築した構造物に膨張圧が作用している状態を示す図である。 従来の膨張土対策を示す図であり、構造物下方の膨張性を示す地盤をすべて良質土に置換した状態を示す図である。 従来の膨張土対策を示す図であり、膨張性を示さない良質な地盤の支持層まで杭を打設した状態を示す図である。 従来の膨張土対策を示す図であり、膨張力が構造物に直接作用しないように緩衝する治具を地表部に敷設した状態を示す図である。 従来の膨張土対策を示す図であり、膨張性を示さない良質な地盤の支持層まで杭を打設し、この杭に浮き床を支持させた状態を示す図である。
以下、図1から図3を参照し、本発明の第1実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法について説明する。ここで、本実施形態は、東南アジアやアフリカ、中東地域などの乾燥、準乾燥地域で広範囲に存在するモンモリロナイト等の膨張性の粘土鉱物を含む膨張土(膨張性を示す地盤)の上に、建物などの構造物を構築するための膨張性地盤対策用の基礎の構造及びその構築方法に関するものである。
そして、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)Aは、図1及び図2に示すように、平面視で構造物を囲むように連続して形成され、地表面(地表部1a)から所定の深度まで延設された遮水構造部10と、遮水構造部10で囲んだ部分で、且つ地表面1aから所定の深度範囲の地盤を改良処理してなる地盤改良処理部11とを備えて構成されている。
遮水構造部10は、例えば、ソイルセメント柱列壁であり、建物などの構造物の外周部、あるいは構造物の外周部から所定の距離で離間した位置に配設されている。また、この遮水構造部10は、平面視で構造物を囲むように連続して形成されていることにより、取り囲んだ内部地盤1bと外部地盤1cを区画し、内部地盤1b内に雨水(雨水などの水)を浸入させない、あるいは浸入しにくくする。
なお、遮水構造部10は、内部地盤1b内に雨水などの水の浸入を防止(抑止)することが可能であれば、ソイルセメント柱列壁であることに限定する必要はなく、例えば、シートパイルの打設、遮水シートの埋設、セメントベントナイト壁の構築など、遮水性を発揮する他の材料、構造を適用して構成してもよい。
また、図1に示すように、この遮水構造部10は、地盤1を浸透した水と接触することによる膨張と乾燥による収縮が繰り返し生じる地盤深度hを特定し、少なくとも、この膨張と収縮が繰り返し生じる特定地盤深度hまで根入れして形成されている。より具体的に、例えば、雨期と乾期の前記地盤1の含水比を地表面(地表部1a)から深度方向の複数箇所で計測し、少なくとも、雨期と乾期の含水比の差が雨期に膨張して構造物に悪影響を及ぼすことがないように予め設定した値よりも小さくなる深度まで根入れして形成されている。そして、本実施形態では、図1に示すように、雨期の含水比Wwと乾期の含水比Wdの差が5%以下(Ww−Wd≦5%)となる深度まで根入れして形成されている。
一方、地盤改良処理部11は、遮水構造部10で囲まれた内部地盤1bを地表面(地表部1a)から掘削し、直径10cm〜20cmの割栗石など、粒径が数cm〜数十cmオーダーの充填材を敷き詰めてなる第3の緩衝層12と、ジオテキスタイル(ジオシンセティックス)あるいは防水シートを第3の緩衝層12の上に敷設してなる保護層13と、原位置土にセメントあるいは石灰を添加するとともに混合し、この混合土を保護層13の上に転圧してなる固化処理土層14と、固化処理土層14の上にコンクリートを打設してなるレベルコンクリート層15とを備えて構成されている。
また、本実施形態では、遮水構造部10で囲まれた内部地盤1bを地表面1aから60cm以上の深さで掘削し、掘削底から30cm以上の層厚となるように第3の緩衝層12を形成し、さらに30cm以上の層厚となるように固化処理土層14を形成する。また、固化処理土層14は、例えば20〜150kg/mの添加量でセメントあるいは石灰を原位置土に添加して混合した混合土を転圧して形成されている。このとき、石灰としては生石灰と消石灰のいずれを用いてもよいが、より強固な固化層を形成する場合には生石灰を用いることが好ましい。
さらに、本実施形態の地盤改良処理部11においては、図3に示すように、地上から第3の緩衝層12に達する換気パイプ16を備え、この換気パイプ16を経由して、割栗石などの充填材を敷き詰めてなる第3の緩衝層12の間隙と地上(構造物2の内部など)との間で空気のやり取り(空気の循環、流通)が行えるように構成されている。
次に、上記構成からなる本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)Aを構築する際には(本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法(膨張性地盤対策用の基礎構造)Aの構築方法においては)、まず、建物などの構造物2を構築するにあたり、地盤1を浸透した水と接触することによる膨張と乾燥による収縮が繰り返し生じる地盤深度hを特定する(特定地盤深度調査工程)。より具体的に、本実施形態においては、膨張性を示す前記地盤1の雨期と乾期の含水比を地表面1aから深度方向の複数箇所で計測する(地盤調査工程/特定地盤深度調査工程)。また、このとき、例えば乾期に膨張性を示す膨張土1を採取し、膨潤性(膨張性)や力学的性質など、その土質の調査も行うことが好ましい。
そして、図1に示すように、地盤1の雨期の含水比と乾期の含水比の差を求め、雨期に膨張して構造物2に悪影響を及ぼすことがない地盤深度を特定する(遮水構造部深度決定工程/特定地盤深度調査工程)。本実施形態では、含水比の差が5%以下となる深度を、雨期に膨張して構造物2に悪影響を及ぼすことがない地盤深度とする。
そして、少なくとも前記特定地盤深度調査工程で特定した前記地盤深度まで根入れして遮水構造部10を形成する(遮水構造部形成工程)。すなわち、本実施形態では、上記のように雨期と乾期の含水比の差が5%以下となる深度を決定した後、平面視で構造物2を囲むように連続して、且つ、少なくとも、この決定した深度まで根入れして、構造物範囲の外周部に、遮水構造部10を形成する。
次に、遮水構造部10で囲んだ内部地盤1bを掘削し、掘削底から所定の層厚となるように割栗石などの粒径が数cm〜数十cmオーダーの充填材を敷き詰めて第3の緩衝層12を形成する(緩衝層形成工程)。また、第3の緩衝層12の上に、ジオテキスタイルあるいは防水シートのシート状部材を敷設し、保護層13を形成する(保護層形成工程)。
このように保護層13を形成した段階で、例えば遮水構造部10で囲んだ内部地盤1bを掘削して得た土などの原位置土を用い、この原位置土にセメントあるいは石灰を所定量添加して混合し、この混合土を保護層13の上に転圧し、所定の厚さの固化処理土層14を形成する(固化処理土層形成工程)。
また、固化処理土層14の上に、上面が所定の高さレベルに位置するようにコンクリートを打設し、レベルコンクリート層15を形成する(レベルコンクリート層形成工程)。その後、このレベルコンクリート層15の上に直接基礎形式で構造物を構築する(構造物構築工程)。
さらに、レベルコンクリート層15を形成する前の段階で、第3の緩衝層12に通気するための換気パイプ16を設置する(換気パイプ設置工程)。そして、構造物2を構築した後、換気パイプ16を経由して、例えば空調された室内空気を強制的に割栗石などからなる第3の緩衝層12の間隙に供給、循環させる。
そして、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法(膨張性地盤対策用の基礎構造A及び膨張性地盤対策用の基礎構造Aの構築方法)においては、遮水構造部10によって構造物2の直下の内部地盤1bへの水分の浸入を抑止(または防止)することができる。これにより、遮水構造部10で囲んだ内部地盤1bの膨張土が膨張と収縮を繰り返すことを抑止することが可能になり、この膨張性を示す地盤1の膨張と収縮に伴って構造物2に外力が作用してひび割れなどの被害が生じることを防止できる。
また、このとき、地盤1を浸透した水と接触することによる膨張と乾燥による収縮が繰り返し生じる地盤深度を特定し、遮水構造部10が、少なくとも、膨張と収縮が繰り返し生じる特定地盤深度まで根入れして形成されていることにより、より具体的に、例えば、雨期と乾期に地盤調査を行い、膨張性を示す地盤1の雨期の含水比と乾期の含水比の差を求め、これら含水比の差が雨期に膨張して構造物2に悪影響を及ぼすことがないように予め設定した値よりも小さくなる深度まで根入れして、遮水構造部10を形成することにより、確実に、遮水構造部10で囲んだ内部地盤1bの膨張土が膨張と収縮を繰り返すことを抑止することが可能になる。
すなわち、遮水構造部10によって、膨張土の地盤全てではなく、膨張と収縮が繰り返し発生する地盤(のみ)を取り囲み、例えば、雨期と乾期に膨張、収縮する地盤(のみ)を取り囲み、この内部地盤1bの含水比を、年間を通じて安定した状態で保持することができる。また、膨張性を示す地盤1の雨期の含水比と乾期の含水比の差が5%以下になる深度まで根入れして遮水構造部10を形成すると、内部地盤1bの含水比を、年間を通じて安定した状態で保持することができる。これにより、構造物2の直下の地盤1が膨張し、その膨張圧によって構造物2にひび割れなどの被害が生じることを確実に防止できる。
ここで、厳密に言えば、遮水構造部10は、膨張と収縮が全く発生しない地盤深度まで根入れして形成されていればよい。しかしながら、地盤調査を行うにあたり、土質試験を行って求められる含水比には、地盤のばらつきや測定誤差などが含まれる。
これに対し、上記のように雨期と乾期の含水比の差が5%以下であれば、誤差範囲であると判断できる。すなわち、本願の発明者は、膨張性を示す粘土地盤において、降雨・地表乾燥の影響が小さくなると考えられる地盤深度10m以上になると、多くの事例でそこでの粘土の含水比が40〜60%になるという知見を得ている。そして、含水比のばらつき(変動係数)を過去の事例から0.05〜0.1とすると、含水比の標準偏差は(40〜60%)×(0.05〜0.1)=2〜6%となる。土質試験で得られた含水比が確からしいと言える基準を超過確率10%(地盤の技術分野で汎用される値)とすると、誤差は1.28×標準偏差=1.28×(2〜6%)=2.56〜7.68%となり、この中央値はおよそ5%となる。これにより、含水比について2つの測定値があり、その差が5%以下であれば、それは想定されるばらつきの範囲内であり、その2つの含水比は同等であるとみなすことができる。よって、本実施形態のように、雨期の含水比Wwと乾期の含水比Wdの差が5%以下となる深度まで根入れして遮水構造部10を形成すると、確実に、構造物に悪影響を及ぼすほどの地盤の膨張/収縮(膨張/収縮による変位量・圧力)が発生しないと判断することが可能になる。
また、遮水構造部10で囲んだ部分で、且つ地表面1aから所定の深度範囲の地盤を改良処理してなる地盤改良処理部11(第3の緩衝層12、保護層13、固化処理土層14)を備えていることにより、遮水構造部10で囲んだ内部地盤1bに水が浸入し、膨張が発生した場合であっても、この地盤膨張圧を地盤改良処理部11で緩衝することができる。これにより、遮水構造部10で囲んだ内部地盤1bに水が浸入してしまった場合であっても、構造物2に膨張圧が作用することを抑止でき、さらに確実に、構造物2にひび割れなどの被害が生じることを防止できる。
すなわち、この地盤改良処理部11が割栗石などの充填材を敷き詰めてなる第3の緩衝層12を備えているため、遮水構造部10で囲まれた内部地盤1bに水が浸入してしまい、この内部地盤1bの膨張土が膨張した場合に、膨張時に割栗石などの充填材の間隙に膨張土が入り込むことで(貫入することで)、地盤1の膨張力(膨張圧)を吸収、減衰させることができる。これにより、遮水構造部10で囲まれた内部地盤1bに水が浸入してしまった場合であっても、構造物2に不同浮上りや不同沈下が生じることがなく、より確実に、構造物2にひび割れなどの被害が生じることを防止できる。
さらに、この第3の緩衝層12と構造物2の間に、第3の緩衝層12を保護する保護層13のジオシンセティックスと、原位置土にセメントあるいは石灰を混合して転圧した固化処理土層14とが設けられている。このため、遮水構造部10で囲まれた内部地盤1bに水が浸入してしまい、この内部地盤1bの膨張土が膨張した場合に、第3の緩衝層12で内部地盤1bの膨張力を吸収、減衰させつつ、これらジオシンセティックス9や固化処理土層14によって地盤剛性を高め、内部地盤1bの膨張力を受け止めることができる。これにより、遮水構造部10で囲まれた内部地盤1bに水が浸入してしまった場合であっても、さらに確実に、構造物2に不同浮上りや不同沈下が生じることがなく、構造物2にひび割れなどの被害が生じることを防止できる。また、固化処理土層14の上にコンクリートを打設してレベルコンクリート層15が形成されているため、遮水構造部10で囲まれた内部地盤1bに水が浸入してしまった場合に、このレベルコンクリート層15によっても内部地盤1bの膨張力を受け止めることができる。
さらに、保護層13として防水シートを設けた場合には、レベルコンクリート層15とともに、この防水シート9によって、内部地盤1bに水が浸入することを防止することができる。言い換えれば、防水シート9によって、遮水構造部10で囲まれた内部地盤1bの含水比を雨期と乾期で大きく差が生じないように、内部地盤1bを水から保護することができる。これにより、より確実に、構造物2の下方の地盤1の膨張土が膨張と収縮を繰り返すことを抑止することができ、構造物2にひび割れなどの被害が生じることを防止できる。
さらに、換気パイプ16を通して空調された室内空気を第3の緩衝層12の充填材間隙に循環させたり、第3の緩衝層12の間隙と地上との間で空気を流通させることで、遮水構造部10で囲まれた構造物直下の膨張土の含水比を一定に保持することができる。これにより、さらに確実に、構造物2の下方の地盤1の膨張土が膨張と収縮を繰り返すことを抑止することができ、構造物2にひび割れなどの被害が生じることを防止できる。
よって、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)Aによれば、現地で入手可能な一般的地盤材料を用い、従来と比較し、安価に構造物2の膨張土対策を講じることが可能になる。また、地盤1の含水比変化を抑えるための遮水構造部10と、地盤膨張圧を緩衝する地盤改良処理部11とを兼ね備えることにより、確実で信頼性の高い膨張土対策を実現することが可能になる。
一方、一般に、膨張性を示す鉱物として、バーミキュライト群、スメクタイト群、ハロサイト群が知られている。特に、スメクタイト群、さらにスメクタイト群のバイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、モンモリロナイトのうち、モンモリロナイトは膨張性(膨潤性)に富み、このモンモリロナイトを主成分とするベントナイト(や酸性白土)が代表的な膨張性粘土として知られている。
また、例えば、このモンモリロナイトは、単位結晶層が負の電荷を帯びており、単位結晶層間にNa、K、Ca2+、Mg2+、Hなどの陽イオンが入り込んで結晶構造を形成している。そして、単位結晶層間に入り込む陽イオンによってその膨潤性に違いがあり、例えばNaが入り込んだNa型は水と接触すると10倍以上に体積が増大(膨潤)するのに対し、Ca2+が入り込んだCa型は、Ca2+がNaよりも単位結晶層を引き付ける力が強いため、水と接触してもNa型の数十分の一程度しか体積が増大しない。
ここで、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)Aにおいては、第3の緩衝層12と構造物2の間に、原位置土にセメントあるいは石灰(生石灰又は消石灰)を混合して転圧した固化処理土層14を設けている。このため、遮水構造部10で囲まれた内部地盤1bに水が浸入した場合には、固化処理土層14に水が接触するとともに原位置土に混合したセメントや石灰からCa2+(カルシウム)が溶出する。このため、Ca2+を水とともにモンモリロナイトなどの膨潤性を示す地盤1に接触させることが可能になる。そして、例えば、Na型のモンモリロナイトにCa2+が接触することで、単位結晶層間のNaをCa2+に置換させてCa型に変異させることができる。すなわち、膨張性を示す地盤1を膨張性が非常に小さい地盤に自動的に変異させることが可能になる。
さらに、固化処理土層14のセメントや石灰に水が接触することで、その水のpHを上昇させ、アルカリ性にすることができる。具体的に、最大で、セメントに接触するとpH12.6、消石灰に接触するとpH12.4まで水のpHを上昇させることができる。
また、例えばモンモリロナイトは、pH11以上のカルシウム溶液(アルカリ水)に接触すると、消失したり、CAH(アルミン酸カルシウム水和物)やCSH(ケイ酸カルシウム水和物)に変異する。
このため、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)Aでは、遮水構造部10で囲まれた内部地盤1bに水が浸入した場合に、固化処理土層14のセメントや石灰に水(雨水)が接触するとともにpHが上昇し、このpHが上昇したアルカリ水をモンモリロナイトなどの膨潤性を示す地盤に接触させることができる。そして、例えば、モンモリロナイトにpH11以上のアルカリ水(pHが上昇した雨水)を接触させることで、膨張性を示す地盤1を膨張性が非常に小さい地盤に自動的に変異させることが可能になる。
よって、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)A(並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)Aの構築方法)によれば、第3の緩衝層12と構造物2の間に、セメントあるいは石灰を含む固化処理土層14を設けることで、遮水構造部10で囲まれた内部地盤1bに水が浸入してしまった場合であっても、膨張性を示す地盤1の特性を変異させ、膨張圧の発生を抑制することも可能になる。
以上、本発明に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法の第1実施形態について説明したが、本発明は上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本発明に係る遮水構造部は、地盤1を浸透した水と接触することによる膨張と乾燥による収縮が繰り返し生じる地盤深度を特定し、少なくとも、この膨張と収縮が繰り返し生じる特定地盤深度まで根入れして形成されていればよい。このため、本実施形態のように、雨期と乾期の前記地盤1の含水比を地表面1aから深度方向の複数箇所で計測し、少なくとも、雨期と乾期の含水比の差が雨期に膨張して構造物2に悪影響を及ぼすことがないように予め設定した値よりも小さくなる深度まで根入れして形成することに限定する必要はない。
すなわち、膨張と収縮が繰り返し生じる特定地盤深度を特定する際に(特定地盤深度調査工程で)、雨期と乾期の含水比を計測する手法の他に、文献・資料調査、原位置地盤調査、地盤から採取した土試料の土質試験の少なくとも1種の調査及び/又は試験を実施して、この調査、試験によって膨張と収縮が繰り返し生じる特定地盤深度を特定し、遮水構造部を形成してもよい。
より具体的に、文献・資料調査では、その地歴や過去に行った地盤調査、土質試験の結果などの文献や資料を調査する。例えば、「Hamberg,D.J(1985).A simplified method for predicting heave in expansive soils.M.S.thesis,Colorado State University,Fort Collins,CO.」には、寒暖期の(周期的な)地盤の含水比の変化を調査した結果が示され、ここでは5〜8m以深で含水比の変化が小さくなることが示されている。よって、このような既存の文献や資料を調査することによって特定地盤深度を特定することも可能である。
また、地盤の電気検層、弾性波速度検層などの物理探査や、各種貫入試験などのサウンディング、突き砂や水置換、砂置換法などを用いた現場密度試験、地中ひずみなどを用いた変位測定などの原位置地盤調査を選択的に行い、この結果を基に、膨張と収縮が繰り返し生じる特定地盤深度を特定することも可能である。
さらに、地盤から採取した土試料に対し、含水比測定だけでなく、透水試験、圧密試験、一軸圧縮試験、三軸圧縮試験、一面せん断試験などの各種土質試験を選択的に実施し、この結果を基に、膨張と収縮が繰り返し生じる特定地盤深度を特定することも可能である。
また、勿論、膨張性を示さない地盤(地層)4に到達する深度で遮水構造部10を形成してもよい。
さらに、本実施形態では、地盤改良処理部11がレベルコンクリート層15を備え、さらに換気パイプ16を備えて構成されているものとしたが、これらレベルコンクリート層15、換気パイプ16は必ずしも備えられていなくてもよい。
次に、図4Aから図7を参照し、本発明の第2実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造について説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態と同様、東南アジアやアフリカ、中東地域などの乾燥、準乾燥地域で広範囲に存在するモンモリロナイト等の膨張性の粘土鉱物を含む膨張土(膨張性を示す地盤)の上に、建物などの構造物を構築するための膨張性地盤対策用の基礎の構造に関するものである。よって、第1実施形態と同様の構成に対し同一符号を付して説明を行う。
ここで、図4A及び図4Bに示すように、構造物2の平面が大規模である場合、例えば構造物2が工場などである場合、構造物2の下方の地盤1では、構造物2の外周縁(外周部、外壁面2a)に近いほど、雨水の地盤1内への浸透や、土中水分の地表面1aからの蒸発が生じやすく、地盤1の膨張、地盤1の沈下が生じやすい。この一方で、構造物2の中央側の部分は、例えば、屋根がかけられていたり、地表面1aがコンクリート製の床スラブで覆われているなどし、このため、雨水の地盤1内への浸透や、土中水分の地表面1aからの蒸発が生じにくく、地盤1の膨張、沈下が生じない。
このような現象に基づき、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)Bでは、図5(断面図)及び図6(平面図)に示すように、一つの独立した構造物2に対し、平面視で、この構造物2の外周部側の領域(外周部領域S1)と、構造物2の内部側の領域(内部領域S2)とに分け、それぞれの領域S1、S2に異なる基礎構造を適用して構成されている。
具体的に、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)Bは、外周部領域S1の基礎構造を杭基礎17とし、内部領域S2の基礎構造を直接基礎18として構成されている。また、外周部領域S1は、構造物2の外周縁(外壁面)2aから、次の式(1)あるいは式(2)のいずれかで算定される距離Xの範囲内とされ、内部領域S2は、構造物2の外周縁2aから距離Xの位置よりも内側の範囲とされる。また、本実施形態では、距離Xとして、式(1)と式(2)のいずれか大きい方の値を採用する。
距離X={(透水係数k)×(一つの連続した雨期の継続時間t1)}・・・式(1)
距離X={(透水係数k)×(一つの連続した乾期の継続時間t2)}・・・式(2)
ここで、透水係数kは、原位置において透水試験を行って決定する。あるいは、乱れの少ない土質サンプルを採取して圧密試験又は透水試験を行って決定する。または、土質サンプルを採取して粒度試験を行い、得られた粒径加積曲線に基づいて透水係数を推定し決定する。なお、粒径加積曲線に基づいて透水係数を推定する方法としては、例えば、図7に示すような20%粒径に基づくCreagerらの推定式がある。
また、上記の式(1)と式(2)は、例えば1年の中で雨期と乾期がある程度明確に区別できるケースを想定している。このため、この式(1)における「一つの連続した雨期の継続時間t1」は、「地盤1に継続的あるいは断続的に水が接触し、地盤1に膨張が継続的あるいは断続的に生じている期間t1」を意味する。また、式(2)における「一つの連続した乾期の継続時間t2」は、「ある一定以上の地盤に水が継続的に接触しない期間t2」を意味する。
そして、本実施形態では、このように設定した構造物2の外周部領域S1が構造部2の外周部2aに面した領域となり、雨期における雨水の地盤1内への浸透、及び乾期における土中水分の地表面1aからの蒸発の影響を受ける範囲となる。すなわち、含水比の変化が大きい範囲である。
したがって、この外周部領域S1では、構造物2の下方の地盤1が雨期には膨張、乾期には沈下を生じる。このため、本実施形態では、外周部領域S1の基礎構造を杭基礎17(膨張性を示さない良質な地盤4の支持層に達する基礎杭(杭支持)5)とし、1階床を構造スラブ(浮き床)とし、杭5によって地盤1の膨張時の浮上り力に抵抗することで構造物2に有害な変形が生じないようにすることができる。
次に、本実施形態において、内部領域S2は、外周部領域S1よりも構造物2の内側に位置し、例えば屋根がかけられ、地表面1aがコンクリート床で覆われている。このため、雨期における雨水の地盤1内への浸透、及び乾期における土中水分の地表面1aからの蒸発が生じない(生じにくい)範囲である(含水比の変化が生じない範囲である)。
したがって、この内部領域S2では、構造物下方の地盤の膨張、沈下が生じない。このため、本実施形態では、内部領域S2の基礎構造を直接基礎18とし、1階床を土間形式とし、このように内部領域S2の基礎構造を構成しても構造物2に有害な変形が生じることはない。
ここで、構造物2の外周部領域S1と内部領域S2の境界位置、すなわち、構造物2の外周縁(外壁面)2aから前述の式(1)、式(2)で算定される距離Xの試算例を示しておく。
この距離Xの試算例では、条件(1)として、1年間のうち、雨期はおおよそ5カ月間、乾期はおおよそ7カ月間とした。また、条件(2)として、乱れの少ない土質サンプルを採取して圧密試験を行った結果から、膨張性地盤1の透水係数kは10−4cm/secオーダーとした。
そして、式(1)によると、距離X={(0.0001cm/sec)×5か月×30日×24時間×60分×60秒}=1296cmとなり、式(2)によると、距離X={(0.0001cm/sec)×7か月×30日×24時間×60分×60秒}=1814cmとなる。
これにより、式(1)と式(2)で求めた値の大きい方を採用し、距離Xが1814cmと設定される。そして、距離Xはおおよそ18mであるので、構造物2の外周縁2aから水平距離で内側に18m以下の範囲が外周部領域S1となり、この範囲に杭基礎17、且つ1階床の構造スラブ(浮き床)が構築される。また、構造物2の外周縁2aより水平距離が18mを超える内側範囲が内部領域S2となり、この範囲には、直接基礎18、且つ土間形式の1階床が構築される。
したがって、上記のように構成した本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)Bにおいては、降雨、水分蒸発の影響を受けて地盤1の膨張や沈下が生じる平面範囲を特定し、この地盤1の膨張、沈下が生じると推定した構造物2の外周部領域S1を杭基礎17とし、それより内側の内部領域S2を直接基礎18として構造物2を支持する基礎構造を構築することにより、従来の構造物全体を杭基礎で支持させる対策と比較し、低コストで合理的に構造物の膨張土対策を講じることが可能になる。
また、構造物2の外周縁2aから内部領域S2までの距離X(外周部領域S1の範囲)を、距離X=地盤の透水係数k×地盤に継続的あるいは断続的に水が接触し、地盤に膨張が継続的あるいは断続的に生じている期間t1、又は、距離X=地盤の透水係数k×ある一定以上の地盤に水が継続的に接触しない期間t2のいずれか大きい値で設定することにより、確実且つ精度よく、降雨、水分蒸発の影響を受けて地盤1の膨張や沈下が生じる外部領域S2の平面範囲を特定することができる。これにより、より確実且つ効果的に、地盤1の膨張と収縮に伴って構造物2に有害な変形が生じることを防止できる。
以上、本発明に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の第2実施形態について説明したが、本発明は上記の第2実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
次に、図8から図12Bを参照し、本発明の第3実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法について説明する。ここで、本実施形態は、東南アジアやアフリカ、中東地域などの乾燥、準乾燥地域で広範囲に存在するモンモリロナイト等の膨張性の粘土鉱物を含む膨張土(膨張性を示す地盤)の上に構築する建物などの構造物の膨張性地盤対策用の床の構造及びその構築方法に関するものである。よって、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成に対し同一符号を付して説明を行う。
そして、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)Cは、図8に示すように、膨張性を示す地盤(膨張性地盤)1の地表面1aに敷設される管状部材20と、管状部材20の下端側を埋設するように膨張性地盤1上に積層形成される膨張抑制土層21と、膨張抑制土層21の上に積層形成される第2の緩衝層22と、第2の緩衝層22の上に積層形成されるレベルコンクリート層23と、レベルコンクリート層23の上に形成される1階床の床スラブ24とを備えて構成されている。
また、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)Cにおいて、膨張抑制土層21は、地盤1を掘削して複数の凹所25を形成し、地盤1を掘削して得た掘削土をほぐして膨張抑制土を生成し、この膨張抑制土を地盤1からの膨張圧を吸収可能に緩詰めして凹所25に充填するとともに地盤1の地表面1a上に敷設して形成されている。すなわち、膨張抑制土層21は、凹所25に膨張抑制土を緩詰めし、地盤1内に貫設された複数の貫入部21aを備えて形成されている。
また、本実施形態の膨張抑制土層21は、複数の貫入部が方形ブロック状に形成され、所定の間隔をあけて整列配置されている。さらに、膨張抑制土が、地盤を掘削して得た掘削土をほぐすとともに消石灰を混合して生成されている。
また、管状部材20は、例えば、U字溝や半割りしたコルゲートパイプなどの断面略U字状(略C字状)の部材であり、軸方向に延びる開口部20aを備えて形成されている。そして、膨張性地盤1に形成された複数の凹所25の間の地表面1a上に、開口部20aを下方に向けるように載置して設けられている。また、本実施形態では、管状部材20が整列配置された隣り合う貫入部21a間に縦横延設されて格子状に配設されている。
そして、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)Cは、膨張性地盤1上の膨張抑制土層21の上に砕石などの粒状体を敷設して第2の緩衝層22が形成され、この第2の緩衝層22の上に、管状部材20を完全に埋設してレベルコンクリート層23が形成されている。また、本実施形態では、レベルコンクリート層23の上に適宜鉄筋を配筋し、この鉄筋を埋設するようにコンクリートを打設して、1階床の床スラブ24が形成されている。
次に、上記構成からなる本実施形態の膨張性地盤対策用の床構造Cを構築する際には(本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)Cの構築方法においては)、図9Aの平面図及び図9Bの断面図に示すように、まず、膨張性地盤1を地表面1aからつぼ掘りし、平面視で横a(m)×縦b(m)、深さc(m)の複数の凹所25を、平面視で横方向T1の間隔をM、縦方向T2の間隔をNとして形成する(地盤つぼ掘り工程)。
そして、つぼ掘り掘削で発生した掘削土をほぐす。このとき、一般に粘土を掘削してほぐすと、ほぐした掘削土の体積は、原地盤(地山)1の体積に比べておおよそ1.3〜1.5倍(30〜50%の体積増加)となる。
また、本実施形態では、つぼ掘り掘削で発生した掘削土をほぐすとともに、消石灰を掘削土1mあたり20〜150kg/m添加して混合撹拌する。これにより、膨張性地盤1の掘削土に対し、その膨張する性質が喪失・抑制される。すなわち、膨張性を示す掘削土を改質処理した膨張抑制土を生成する(膨張抑制土生成工程/膨張抑制土層形成工程)。
次に、図10Aの平面図及び図10Bの断面図に示すように、複数の凹所25を形成した膨張性地盤1の地表面1a上に、U字溝あるいは半割りしたコルゲートパイプなどの管状部材20を載置して配設する(管状部材設置工程)。このとき、本実施形態では、U字溝あるいは半割りしたコルゲートパイプなどの複数の管状部材20が、開口部20aを下方に向け、隣り合う凹所25の間の地表面1a上に、平面視で横方向T1と縦方向T2にそれぞれ延設される。すなわち、複数の管状部材20は、開口部20aを地表面側の下方に向けて配設されるとともに、平面視で各凹所25を囲むように配設され、本実施形態では平面視で格子状を呈するように配設される。また、管状部材20は、その高さがh(m)、幅がw(m)とされている。
このように開口部20aを備えた管状部材20を配設した段階で、図11Aの平面図及び図11Bの断面図に示すように、膨張抑制土を各凹所25に埋め戻して充填するとともに、各凹所25上を含め、管状部材20の下端側の一部を埋設するように地表面1a上に膨張抑制土を敷設する。また、敷設した膨張抑制土の上面を平らに均し、膨張抑制土層21を形成する(膨張抑制土層形成工程)。ここで、膨張抑制土層21は、膨張抑制土を緩詰めの状態で充填、敷設し、転圧・締固めを行わずに形成する。これにより、下方の膨張性地盤1からの膨張圧と地盤変位を吸収・緩衝(減衰)させる機能が膨張抑制土層21に付与される。
次に、膨張抑制土層21の上に砕石などを敷設して第2の緩衝層22を形成し、この第2の緩衝層22上にコンクリートを打設してレベルコンクリート層23を積層形成する(緩衝層形成工程/レベルコンクリート層形成工程)。さらに、本実施形態では、図8に示したようにレベルコンクリート層23上に鉄筋を配筋するとともにコンクリートを打設して1階床の床スラブ24が構築される(床スラブ形成工程)。
ここで、管状部材20の高さをh(m)、幅をw(m)、第2の緩衝層22の厚さをy(m)、レベルコンクリート層23の厚さをz(m)、さらに、前述の通り、凹所25の横寸法をa(m)、縦寸法をb(m)、深さをc(m)とし、複数の凹所25の横方向T1の間隔をM(m)、縦方向T2の間隔をN(m)としたとき、次の式3を満たすように膨張性地盤対策用の床構造Cを構築する。この式1によると、管状部材20の上面(上端部)とレベルコンクリート層23の上面がほぼ一致する。
Figure 0006350882
例えば、つぼ掘り規模をa=b=3m、c=2mとし、つぼ掘り間隔をM=N=6m、掘削土をほぐすことによる掘削土の体積増加割合を30〜50%、管状部材20の幅をw=0.3m、第2の緩衝層22の厚さy=0.05m、レベルコンクリート層23の厚さz=0.05mとすると、式3より、用いるべき管状部材20の高さhが、h=0.27〜0.38(m)と算定される。
このとき、掘削土をほぐすことによる体積増加割合は、土の性状により変化するので、現場で試験施工を行って算定することが望ましい。また、管状部材20の高さhは、地盤1の膨張を緩衝できるように設定する必要があり、少なくともh≧0.2mとする。
そして、上記のように膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)Cを構築すると、1階床と膨張性地盤1の間に設けられた膨張抑制土層(埋戻し層)21が緩詰めであるため、雨水などの水が膨張性地盤1に接触し、膨張圧が発生した際に、膨張抑制土層21が圧縮することで地盤1の膨張圧を吸収・緩衝することができる。これにより、1階床のふくれが生じることを防止(抑止)することが可能になる。また、管状部材20の下面の開口部20aから内部に膨張した地盤1が貫入することで、地盤1の膨張圧を管状部材20によっても緩衝することができる。
また、地盤に複数の凹所25を規則的に配列し、凹所25に膨張抑制土を充填することによって、膨張抑制土層21の複数の貫入部21aが整列配置されている。このため、地盤1に膨張が発生した際に、隣り合う貫入部21aの変形によって効果的に膨張圧が吸収・緩衝される。
さらに、膨張抑制土層21の上に砕石などを敷設して間隙を形成してなる第2の緩衝層22が設けられている。このため、第2の緩衝層22に膨張圧が作用した際に、砕石などを敷設して間隙によって膨張圧が吸収・緩衝される。
さらに、第2の緩衝層22の上にレベルコンクリート層23が形成されているため、このレベルコンクリート層23によって地盤1の膨張力が受け止められる。
したがって、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法(膨張性地盤対策用の床構造C及びこの床構造Cの構築方法)においては、掘削土をほぐした膨張抑制土を地表面1aに敷設して積層形成された膨張抑制土層21によって、膨張性を示す地盤1が膨張した際の膨張圧を吸収することができる。また、このとき、膨張抑制土層21が地盤1内に貫設した複数の貫入部21aを備えているため、この貫入部21aに膨張圧が作用して効果的に膨張圧を吸収することができる。よって、地盤1の隆起を効果的に抑止することができる。
また、貫入部21aが設けられていない部分の地盤1の地表面1a上に、開口部20aを下方に向けて管状部材20が載置されているため、開口部20aを通じて管状部材20の内部に地盤(膨張土)1が入り込む。これにより、膨張圧を吸収することができ、貫入部21aが設けられてない部分の地盤1から膨張圧、ひいては地盤1の隆起を管状部材20によって効果的に吸収、抑止することができる。
さらに、膨張抑制土層21の上に砕石などの粒状体を敷設した第2の緩衝層22が設けられているため、地盤1が膨張した際の膨張圧を第2の緩衝層22によってさらに効果的に吸収することができる。また、第2の緩衝層22の上にレベルコンクリート層23が設けられているため、レベルコンクリート層23によって地盤1の膨張圧を受け止めることができる。
よって、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法(膨張性地盤対策用の床構造C及びこの床構造Cの構築方法)においては、原位置土の膨張土を掘削して、例えば転圧をせずに埋め戻して整地することで膨張抑制土層21を形成し、砕石などの粒状体を敷設することで第2の緩衝層22を形成し、レベルコンクリートを打設してレベルコンクリート層23を形成する。また、地表面1aに管状部材20を敷設する。これにより、膨張性を示す地盤1に膨張が発生した際、膨張抑制土層21や第2の緩衝層22、管状部材20によって膨張圧を吸収することができ、さらにレベルコンクリート層23によって膨張圧を受け止めることができる。よって、レベルコンクリート層23の上に形成した1階床(床スラブ)24に、膨張性地盤1の膨張に伴ってふくれが生じることを防止できる。そして、上記のように構成、施工することにより、低コストで効果的な膨張土対策を講じることが可能になる。
また、転圧をせずに埋め戻した緩詰めの膨張抑制土層21とレベルコンクリート層23を、1階床スラブ24のコンクリート打設時の型枠として兼用できるため、浮き床を施工する際に、合板型枠、プレキャスト型枠、デッキプレートなどを不要にすることができ、床構造の施工性、信頼性の向上を図ることも可能になる。
また、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法(膨張性地盤対策用の床構造C及びこの床構造Cの構築方法)においては、膨張抑制土層21の複数の貫入部21aが所定の間隔をあけて整列配置されているため、構造物2の下方の地盤1が膨張した際、複数の貫入部21aによって略均等に膨張圧を吸収・緩衝させることができる。また、整列配置された複数の貫入部21aの間に敷設して管状部材20が格子状に配設されていることによって、管状部材20によっても略均等に地盤1の膨張圧を吸収・緩衝させることができる。これにより、より効果的に膨張圧を吸収することができる。
さらに、膨張性を示す地盤1を掘削して得た掘削土に消石灰を混合することにより、膨張抑制土(掘削土)の膨張性を喪失・抑制させることができる。これにより、膨張抑制土層21によってさらに効果的に地盤1の膨張圧を吸収することが可能になる。
すなわち、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)Cにおいては、膨張性を示す原位置の掘削土に消石灰を掘削土1mあたり20〜150kg添加し混合撹拌して膨張抑制土が生成されている。このため、前述と同様、消石灰のCa2+によって掘削土の膨張性が喪失・抑制される。これにより、雨水が地盤1に浸透した際に、膨張抑制土は膨張することがなく、地盤1の膨張圧を確実に吸収・緩衝することが可能になる。
さらに、このように生成した膨張抑制土を膨張性を示す地盤1と構造物2の間に敷設して膨張抑制土層21が形成されている。このため、構造物2の下方の地盤1に水が浸入しようとする際、膨張抑制土層21に水が接触するとともに原位置土に混合した消石灰からCa2+(カルシウム)が溶出する。これにより、Ca2+を水とともにモンモリロナイトなどの膨潤性を示す地盤1に接触させることが可能になる。そして、例えば、Na型のモンモリロナイトにCa2+が接触することで、単位結晶層間のNaをCa2+に置換させてCa型に変異させることができる。すなわち、膨張性を示す地盤1を膨張性が非常に小さい地盤に自動的に変異させることが可能になる。
さらに、膨張抑制土層の消石灰に水が接触することで、その水のpHを上昇させ、アルカリ性にすることができる。具体的に、消石灰に接触すると最大でpH12.4まで水のpHを上昇させることができる。
また、例えばモンモリロナイトは、pH11以上のカルシウム溶液(アルカリ水)に接触すると、消失したり、CAH(アルミン酸カルシウム水和物)やCSH(ケイ酸カルシウム水和物)に変異する。
このため、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)Cでは、構造物2の下方の地盤1に水が浸入した場合に、膨張抑制土層21の消石灰に水(雨水)が接触するとともにpHが上昇し、このpHが上昇したアルカリ水をモンモリロナイトなどの膨潤性を示す地盤1に接触させることができる。そして、例えば、モンモリロナイトにpH11以上のアルカリ水(pHが上昇した雨水)を接触させることで、膨張性を示す地盤1を膨張性が非常に小さい地盤1に自動的に変異させることが可能になる。
よって、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法(膨張性地盤対策用の床構造C及びこの床構造Cの構築方法)によれば、膨張性を示す地盤1と構造物2の間に設けられる膨張抑制土層21に消石灰が含まれていることで、地盤1に水が浸入した場合であっても、膨張性を示す地盤1の特性を変異させ、膨張圧の発生を抑制することも可能になる。
さらに、膨張抑制土層21が膨張性地盤に貫入する貫入部21aを備えていることにより、地盤1に浸入する水のpHを上昇させ、より確実にアルカリ化した水を接触させ、膨張性を示す地盤1の特性を変異させることができ、膨張圧の発生を抑制することが可能になる。
以上、本発明に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法の第3実施形態について説明したが、本発明は上記の第3実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本発明に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法(膨張性地盤対策用の床構造及びこの床構造の構築方法)は、土間形式、構造スラブ形式など、あらゆる床の構造形式に適用可能である。
次に、図13Aから図21を参照し、本発明の第4実施形態に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造について説明する。ここで、本実施形態は、東南アジアやアフリカ、中東地域などの乾燥、準乾燥地域で広範囲に存在するモンモリロナイト等の膨張性の粘土鉱物を含む膨張土(膨張性を示す地盤)の上に構築する建物などの構造物の膨張性地盤対策用の床の構造に関するものである。よって、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態と同様の構成に対し同一符号を付して説明を行う。
本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)Dは、図13A、図13B、図14A及び図14Bに示すように、膨張性を示す地盤(膨張性地盤)1の地表面1aを掘削して形成された溝30と、この溝30に、あるいは溝30及び地表面1aに砕石などの粒状体を充填・敷設してなる第1の緩衝層31と、第1の緩衝層31の上に積層形成される1階床の床スラブ(土間床)32とを備えて構成されている。
また、膨張抑制土層21は、図15及び16、あるいは図17から図19に示すように、地盤1を掘削して平面視で一方向T2に延びる溝30、あるいは格子状の溝30を形成し、この溝30に砕石などの粒状体を充填して形成されている。
さらに、本実施形態において、溝30は、平面視で横方向(他方向)T1の掘削幅をa、縦方向(一方向)T2の掘削幅をd(格子状の場合)、溝の掘削深さをc、横方向T1の溝30の間隔をM、縦方向T2の溝30の間隔をN(格子状の場合)としたとき、a≧0.5m、d≧0.5m、c≧0.5m、M≦5c+a、N≦5c+dを満足するように形成されている。
また、粒状体としては、例えば、粒度分布により得られた透過質量百分率が50%のときの粒径D50が20mm以上であるライムストーン等の砕石を用いることが好ましい。そして、図14A及び図14Bに示すように、この粒状体を溝30、あるいは溝30及び地表面1aに充填・敷設し、第1の緩衝層31の表面レベルを原地盤1の地表面レベル以上にする。また、後工程の構造物2の建設作業がしやすいように、投入した粒状体を転圧し、第1の緩衝層31の表面を平らに整地することがより好ましい。
そして、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)Dにおいては、このように溝30を形成し、粒状体を充填・敷設して第1の緩衝層31を形成した段階で、図13A及び図13Bに示すように、床スラブ32及び建物基礎5を構築する。
ここで、図20は、「Shahid Azam(2006):Large-scale odometer for assessing swelling and consolidation behavior of Al-Qatifclay,Expansive soils,Taylor&Francis,edited by Amer Ali Al-Rawas&Mattheus F.A.Goosen.」に示された「条件が異なる膨張圧試験での鉛直方向の膨張圧を比較した結果」である。
この膨張圧試験では、膨張土を乱さないように採取して土質試験室内に持ち帰り、
1)直径7cm、高さ2cmの扁平な円柱形上に土質サンプルを成型し、水平方向に極めて剛性の高いモールドに詰め、水浸・膨張させたときの鉛直方向の圧力を測定している。
2)一辺が30cm、高さ8.5cmの扁平な直方体の土質サンプルを成型し、水平方向に剛性の低いモールドに詰め、水浸・膨張させたときの鉛直方向の圧力を測定している。
すなわち、上記1)の土質試験では、土質サンプルが水平方向に全く変位(膨張)できない条件下での鉛直方向の膨張圧を測定しており、上記2)の土質試験では、土質サンプルが水平方向に若干の変位(膨張)を生じる条件下での鉛直方向の膨張圧を測定している。
そして、図20に示すように、上記1)の土質試験では鉛直方向の膨張圧が550kPaであるのに対し、上記2)の土質試験では鉛直方向の膨張圧が200kPaとなった。すなわち、この結果から、水平方向に変位を生じるようにすることで、鉛直方向の膨張圧は1/2以下に低減することが確認された。ここで、上記2)の土質試験のサンプルサイズは、一辺が30cm、高さ8.5cmであるため、サンプルの幅/高さの比は30/8.5=3.5である。
これを踏まえ、本実施形態のように、膨張性を示す地盤1を掘削して一方向に延びる溝30または格子状の溝30を形成し、この溝30に粒状体を充填して第1の緩衝層31を形成すると、図21に示すように、膨張性地盤1が膨張した際に第1の緩衝層31の粒状体の間隙に膨張土が貫入し、この第1の緩衝層31によって水平方向の変位が許容され、この結果、鉛直方向の膨張圧が低減することになる。
したがって、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)Dにおいては、原位置土の膨張土を掘削して、平面視で一方向T2に延びる溝30あるいは格子状の溝30を形成し、この溝30に砕石などの粒状体を充填して第1の緩衝層31を形成し、この第1の緩衝層31上に床スラブ32を形成する。これにより、膨張性を示す地盤1に膨張が発生した際、第1の緩衝層31によって膨張圧を吸収することができるとともに、粒状体を溝30に充填して第1の緩衝層31が形成されていることで、鉛直方向の膨張圧を効果的に吸収することができる。よって、第1の緩衝層31上の1階床(床スラブ32)に、膨張性地盤1の膨張に伴ってふくれが生じることを防止できる。そして、上記のように構成、施工することにより、低コストで効果的な膨張土対策を講じることが可能になる。
また、溝30に充填する粒状体として、透過質量百分率が50%のときの粒径D50が20mm以上のもの(砕石など)を用いることにより、第1の緩衝層31によって膨張性地盤1の水平方向の変位を許容した場合においても、土砂が溝30内に崩落することがなく、好適に水平方向及び鉛直方向の膨張圧を低減させることが可能になる。
さらに、平面視で一方向T2に直交する他方向T2の掘削幅をa、溝30が格子状に形成されている場合の一方向T2の掘削幅をd、溝30の掘削深さをc、他方向T1の溝30の間隔をM、溝30が格子状に形成されている場合の一方向T2の溝30の間隔をNとしたとき、a≧0.5m、d≧0.5m、c≧0.5m、M≦5c+a、N≦5c+dを満足するように溝30ひいては第1の緩衝層31を形成すると、溝30の形成とともに突出する地盤1の残部(突出部)の幅/高さの比(M−a)/cが5以下となる。これにより、膨張性を示す地盤1に膨張が発生した際、第1の緩衝層31によって膨張圧、特に鉛直方向の膨張圧をさらに確実且つ効果的に吸収することが可能になる。
以上、本発明に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の第4一実施形態について説明したが、本発明は上記の第4実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本発明に係る膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)は、土間形式、構造スラブ形式など、あらゆる床の構造形式に適用可能である。
また、本実施形態の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)Dは、構造物2の直下全体に設けるだけでなく、前述の図4A、図4B、図5、図6に示したように、平面視で、この構造物2の外周部側の領域(外周部領域S1)に適用してもよい。そして、このように本実施形態の床構造Dを、雨水の地盤1内への浸透や、土中水分の地表面1aからの蒸発が生じやすく、地盤1の膨張、地盤1の沈下が生じやすい構造物2の外周部領域S1に適用することで、その作用効果を十分に発揮させることが可能になる。
上記の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造、並びに膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法においては、従来と比較し、安価に構造物の膨張土対策を講じることができ、また、確実で信頼性の高い膨張土対策を実現することが可能になる。
本発明の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造は、確実で信頼性の高い膨張土対策を実現することが可能になる。
1 膨張性を示す地盤(膨張土)
1a 地表面(地表部)
1b 内部地盤
1c 外部地盤
2 構造物
2a 外周縁(外周部、外壁面)
3 良質土
4 膨張性を示さない良質な地盤(支持層)
5 杭
6 治具
7 浮き床(構造床)
10 遮水構造部
11 地盤改良処理部
12 第3の緩衝層
13 保護層(ジオテキスタイル(ジオシンセティックス)あるいは防水シート)
14 固化処理土層
15 レベルコンクリート層
16 換気パイプ
17 杭基礎
18 直接基礎
20 管状部材
20a 開口部
21 膨張抑制土層
21a 貫入部
22 第2の緩衝層
23 レベルコンクリート層
24 床スラブ
25 凹所
30 溝
31 第1の緩衝層
32 床スラブ
A 膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)
B 膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の基礎構造)
C 膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)
D 膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造(膨張性地盤対策用の床構造)
S1 外周部領域
S2 内部領域
T1 横方向(他方向)
T2 縦方向(一方向)

Claims (24)

  1. 膨張性を示す地盤の上に構築される構造物の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造であって、
    前記地盤を掘削して平面視に一方向に延びて形成された溝、又は格子状に形成された溝に粒状体を充填してなる第1の緩衝層、あるいは前記溝に粒状体を充填するとともに前記地盤上に粒状体を敷設してなる第1の緩衝層と、
    前記第1の緩衝層及び前記地盤上に直接形成される床スラブとを備えて構成されている膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  2. 前記粒状体として、粒度分布により得られた透過質量百分率が50%のときの粒径D50が20mm以上のものが用いられている請求項1に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  3. 前記溝が、平面視で前記一方向に直交する他方向の掘削幅をa、前記溝が格子状に形成されている場合の前記一方向の掘削幅をd、前記溝の掘削深さをc、前記他方向の溝の間隔をM、前記溝が格子状に形成されている場合の前記一方向の溝の間隔をNとしたとき、a≧0.5m、d≧0.5m、c≧0.5m、M≦5c+a、N≦5c+dを満足するように形成されている請求項1に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  4. 膨張性を示す地盤の上に構築される構造物の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造であって、
    断面略U字状に形成され、開口部を下方に向けて前記地盤の地表面上に載置される管状部材と、
    前記管状部材の少なくとも一部を埋設しつつ前記地盤の地表面上に敷設される膨張抑制土層と、
    前記膨張抑制土層上に粒状体を敷設して積層形成される第2の緩衝層と、
    前記第2の緩衝層上にコンクリートを打設して積層形成されるレベルコンクリート層と、
    前記レベルコンクリート層の上に形成される床スラブとを備えて構成されており、
    前記膨張抑制土層は、前記地盤を掘削して複数の凹所を形成し、前記地盤を掘削して得た掘削土をほぐして膨張抑制土を生成し、前記膨張抑制土を前記地盤からの膨張圧を吸収可能に緩詰めして前記凹所に充填するとともに前記地盤の地表面上に敷設することにより、前記膨張抑制土を前記地盤内に貫設した複数の貫入部を備えて形成されている膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  5. 前記複数の貫入部が平面視で所定の間隔をあけて整列配置され、
    前記管状部材が隣り合う前記貫入部の間の前記地表面に敷設されて格子状に配設されている請求項4に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  6. 前記膨張抑制土が、前記地盤を掘削して得た掘削土をほぐすとともに消石灰を混合して生成されている請求項4に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  7. 膨張性を示す地盤の上に構造物の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造を構築する方法であって、
    前記地盤を掘削して複数の凹所を形成する地盤つぼ掘り工程と、
    断面略U字状に形成された管状部材を、開口部を下方に向けて前記地盤の地表面上に載置する管状部材設置工程と、
    前記地盤つぼ掘り工程で得た掘削土をほぐして膨張抑制土を生成し、前記膨張抑制土を前記地盤からの膨張圧を吸収可能に緩詰めして前記凹所に充填するとともに前記地盤の地表面上に敷設して膨張抑制土層を形成する膨張抑制土層形成工程と、
    前記膨張抑制土層上に粒状体を敷設して第2の緩衝層を積層形成する緩衝層形成工程と、
    前記第2の緩衝層上にコンクリートを打設してレベルコンクリート層を積層形成するレベルコンクリート層形成工程と、
    前記レベルコンクリート層の上に床スラブを形成する床スラブ形成工程とを備えている膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法。
  8. 前記地盤つぼ掘り工程で得た掘削土をほぐすとともに消石灰を混合して膨張抑制土を生成する膨張抑制土生成工程を備えている請求項7に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び構造の構築方法。
  9. 水との接触によって膨張性を示す地盤の上に構造物を構築するための膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造であって、
    構造物の外周部側の外周部領域を杭基礎とし、前記外周部領域よりも内側の内部領域を直接基礎として構成されている膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  10. 前記構造物の外周縁から前記内部領域までの距離Xが、
    距離X=前記地盤の透水係数k×前記地盤に継続的あるいは断続的に水が接触し、前記地盤に膨張が継続的あるいは断続的に生じている機関t1、
    又は、距離X=前記地盤の透水係数k×ある一定以上の前記地盤に水が継続的に接触しない期間t2のいずれか大きい値で設定されている請求項9に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  11. 膨張性を示す地盤の上に構造物を構築するための膨張性地盤対策用基礎構造であって、
    平面視で構造物を囲むように連続して形成されるとともに、地表面から所定の深度まで延設された遮水構造部と、
    前記遮水構造部で囲んだ部分で、且つ地表面から所定の深度範囲の地盤を改良処理してなる地盤改良処理部とを備え、
    地盤を浸透した水と接触することによる膨張と乾燥による収縮が繰り返し生じる地盤深度を特定し、前記遮水構造部が、少なくとも、前記膨張と収縮が繰り返し生じる特定地盤深度まで根入れして形成されている膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  12. 文献・資料調査、原位置地盤調査、地盤から採取した土試料の土質試験の少なくとも1種の調査及び/又は試験を実施して前記膨張と収縮が繰り返し生じる特定地盤深度を特定し、前記遮水構造部が形成されている請求項11に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  13. 雨期と乾期の前記地盤の含水比を地表面から深度方向の複数箇所で計測し、少なくとも、雨期と乾期の含水比の差が雨期に膨張して構造物に悪影響を及ぼすことがないように予め設定した値よりも小さくなる前記特定地盤深度まで根入れして、前記遮水構造部が形成されている請求項11に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  14. 前記地盤改良処理部が、前記遮水構造部で囲んだ内部地盤を地表面から掘削し、粒径が数cm〜数十cmオーダーの充填材を敷き詰めてなる第3の緩衝層と、前記第3の緩衝層の上に敷設され、前記第3の緩衝層を保護するシート状部材からなる保護層と、セメントあるいは石灰を混合した混合土を前記保護層の上に転圧してなる固化処理土層とを備えて構成されている請求項11に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  15. 前記シート状部材がジオシンセティックスあるいは防水シートである請求項14に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  16. 前記遮水構造部が、少なくとも雨期と乾期の含水比の差が5%以下となる前記特定地盤深度まで根入れして形成されている請求項11に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  17. 前記地盤改良処理部が、前記固化処理土層の上にコンクリートを打設してなるレベルコンクリート層を備えて構成されている請求項11に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  18. 前記地盤改良処理部が、地上から前記第3の緩衝層に達する換気パイプを備えて構成されている請求項14に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  19. 前記地盤改良処理部が、地上から前記第3の緩衝層に達する換気パイプを備えて構成されている請求項15に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  20. 前記地盤改良処理部が、地上から前記第3の緩衝層に達する換気パイプを備えて構成されている請求項16に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  21. 前記地盤改良処理部が、地上から前記第3の緩衝層に達する換気パイプを備えて構成されている請求項17に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造。
  22. 膨張性を示す地盤の上に構造物を構築するための膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造を構築する方法であって、
    地盤を浸透した水と接触することによる膨張と乾燥による収縮が繰り返し生じる地盤深度を特定する特定地盤深度調査工程と、
    平面視で構造物を囲むように連続して、且つ地表面から、少なくとも前記特定地盤深度調査工程で特定した前記地盤深度まで根入れして、遮水構造部を形成する遮水構造部形成工程と、
    前記遮水構造部で囲んだ内部地盤を地表面から掘削し、粒径が数cm〜数十cmオーダーの充填材を敷き詰めて第3の緩衝層を形成する緩衝層形成工程と、
    前記第3の緩衝層の上に、前記第3の緩衝層を保護するためのシート状部材を敷設して保護層を形成する保護層形成工程と、
    前記保護層の上に、セメントあるいは石灰を混合した混合土を転圧して固化処理土層を形成する固化処理土層形成工程とを備えている膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法。
  23. 前記特定地盤深度調査工程では、文献・資料調査、原位置地盤調査、地盤から採取した土試料の土質試験の少なくとも1種の調査及び/又は試験を実施して前記膨張と収縮が繰り返し生じる特定地盤深度を特定する請求項22に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法。
  24. 前記特定地盤深度調査工程は、膨張性を示す前記地盤の雨期と乾期の含水比を地表面から深度方向の複数箇所で計測する地盤調査工程と、前記地盤の雨期の含水比と乾期の含水比の差を求め、雨期に膨張して構造物に悪影響を及ぼすことがない地盤深度を特定する遮水構造部深度決定工程とを備えている請求項22に記載の膨張性地盤対策用の基礎及び床の構造の構築方法。
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