JP6350634B2 - ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 - Google Patents

ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 Download PDF

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Description

本発明は、ニッケル酸化鉱石から高温高圧下で硫酸を用いてニッケル及びコバルトを浸出させる高温高圧硫酸浸出法を用いたニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法に関する。
リモナイト鉱等に代表される低品位ニッケル酸化鉱石からニッケルやコバルト等の有価金属を回収する湿式製錬法として、硫酸等の酸を用いて高温高圧下で浸出する高温高圧酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leaching)法が知られている。
具体的に、HPAL法を用いて原料のニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトの混合硫化物を得る湿式製錬プロセスにおいては、例えば、原料鉱石の粒度を調整してスラリー化する前処理工程と、鉱石スラリーに硫酸を添加し高温高圧下で浸出処理を施す浸出工程と、浸出スラリーから浸出液と浸出残渣とを分離する固液分離工程と、浸出液に中和処理を施して不純物を除去する中和工程と、中和処理後の浸出液に硫化剤を添加してニッケル及びコバルトの混合硫化物を生成する硫化工程と、硫化後液を無害化する無害化工程と、が含まれる。
上述した湿式製錬プロセスにおいて、HPAL法に基づく浸出処理(浸出工程)では、原料の鉱石に含まれる元素のうち、ニッケルやコバルトのほかにも、マグネシウム、アルミニウム、鉄、クロムといった他の成分も、下記(1)式に従って浸出されることが知られている。
MO+HSO⇒MSO+HO ・・・(1)
(M:Ni,Co,Mg,Al,Fe,Cr)
このうち、鉱石中にゲーサイト[FeO(OH)]として存在する鉄は、下記(2)式に従って、200℃以上の高温下では加水分解反応が進行してヘマタイト[Fe]として析出するため、ほとんど浸出されない。このように、高温高圧下での酸浸出処理では、鉱石中の鉄をヘマタイトとして固定化することで浸出液中への浸出を抑制することができ、この点で常圧浸出法による浸出処理に比べて優れているといえる。
Fe3++3/2HO→1/2Fe+3H ・・・(2)
このように、HPAL法は、鉄を多く含む鉱石中からニッケル及びコバルトを選択的に浸出できる優れた技術であるが、鉄の浸出を完全に抑制することは困難であり、浸出液中には数g/Lオーダーで鉄が含まれるようになる。
浸出液中の鉄は、2価鉄及び3価鉄として存在しており、その絶対量及び存在比は浸出液中の酸化還元電位(ORP)によって支配される。例えば、酸化還元電位を540mV程度まで上昇させると鉄の存在形態は3価鉄のみとなり、プロトンを生成しながらヘマタイトとして固定され、鉄はほとんど存在しなくなる。このため、酸化還元電位を高めて浸出処理を行うことで、鉄のヘマタイトとしての固定化反応でプロトンの生成が起こることによって硫酸使用量を削減することができ、また、鉄が存在しないことによって後工程での中和剤の使用量を抑えることができる。ところが、それ以上に酸化還元電位を上昇させると、3価クロムが有害な6価クロムに酸化されるようになるため、好ましくない。一方で、酸化還元電位が低すぎると、設備の金属ライニングの酸化被膜が減少して設備へのダメージが発生することがある。このように、浸出処理においては、浸出液の酸化還元電位を適切に調整することが望ましい。
しかしながら、酸化還元電位は浸出処理の対象となる鉱石の組成に大きく依存する。そのため、酸化還元電位を制御しながら、鉄の浸出をより効率的に抑制できる技術が求められている。
このような技術課題に対して、例えば、特許文献1には、HPAL法による浸出処理において、酸化還元電位を低下させる因子となる硫黄や有機物(炭素化合物等)の含有量の異なる鉱石種の混合割合を所定の範囲(鉱石スラリーの固形分中の炭素品位が0.1〜0.5質量%となる範囲)に調整することで、浸出液の酸化還元電位を制御し、有効に鉄の進出を抑制する方法が提案されている。
また、特許文献2には、HPAL法による浸出処理において、反応容器に純酸素を吹き込むことによって酸素分圧を上昇させて酸化還元電位を制御することで、有効に鉄の進出を抑制する方法が提案されている。この方法は、酸素分圧維持のために供給している高圧空気の一部を高圧酸素に置き換えて酸素純度を高めるとともに、酸素吹込量を所定の範囲に維持することで、酸化還元電位を制御するというものである。
特開2009−197298号公報 特開2014−205901号公報
しかしながら、現在、有機物の含有量が多いニッケル酸化鉱石の採石量が増えており、特許文献1で提案されるような範囲内に炭素品位を的確に調整することが難しいニッケル酸化鉱石が多くなっている。HPAL法による浸出処理においては、焙焼工程を経ずに直接浸出処理を施すため、ニッケル酸化鉱石に含まれる炭素が還元剤として作用してしまう。すると、浸出処理時における酸化還元電位が低下してしまい、酸化還元電位を400〜600mVに制御することが難しくなってきているのが実情である。
そして、このように酸化還元電位が低下すると、鉄の酸化反応が促進されないため、浸出液中に2価鉄が多量に残留する結果となり、後工程で、粗硫酸ニッケル・コバルト混合水溶液から鉄を分離することが困難となったり、或いは分離に必要な操業資材コストの上昇を招いたりする。しかも、反応容器及び付帯設備の耐蝕性劣化を招くことにもなる。
また、特許文献2の技術においては、反応容器の酸素分圧を上昇させて酸化還元電位を400〜600mVに制御しているが、高圧空気及び高圧酸素の酸素純度が21〜60%となるように吹込比率を調整する手法を採用しているため、過剰量の高圧空気及び高圧酸素を吹込んでいる。そのため、必然的に反応容器からの排ガス量が増加し、それに伴う熱損失が上昇する。そしてその結果、反応容器内の温度を維持するために蒸気吹込み量を増加させる必要が生じ、エネルギーコストの悪化を招いていた。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、炭素品位が高いニッケル酸化鉱石を対象とした場合でも、効率的に鉄の浸出を抑制することができ、硫酸使用量や中和剤使用量を抑制し、またエネルギーコストを有効に削減することができるニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、HPAL法による浸出処理において、炭素品位が高いニッケル酸化鉱石を用いた場合であっても、浸出処理時に供給するガスとして高圧酸素のみを供給して酸素濃度を高め、酸化還元電位を所定の範囲にまで上昇させることによって、鉄の浸出を有効に抑制することができ、またエネルギーコストを削減できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、炭素品位が0.20質量%以上であるニッケル酸化鉱石をスラリー化し、反応容器内において該鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施し、ニッケル及びコバルトを含む浸出液を得る浸出工程を含み、
前記浸出工程では、高圧酸素のみを供給することにより、浸出処理における酸化還元電位(Ag/AgCl基準)を520mV〜560mVに制御する、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記浸出処理において、前記反応容器内に空気を供給しない、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記高圧酸素の供給量は、120Nm/hr〜180Nm/hrである、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明によれば、炭素品位が高いニッケル酸化鉱石を対象とした場合でも、効率的に鉄の浸出を抑制することができ、硫酸使用量や中和剤使用量を抑制し、またエネルギーコストを有効に削減することができるニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法を提供することができる。
HPAL法によるニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの流れを示すフロー図である。 浸出処理における酸化還元電位に対する、得られる浸出液中に含まれる2価鉄(Fe2+)の濃度との関係を示すグラフ図である。 酸素吹込配管を備えたオートクレーブ装置の構成の一例を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.概要≫
本発明に係るニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法(以下、単に「湿式製錬方法」ともいう。)は、ニッケル酸化鉱石をスラリー化し、反応容器内においてその鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施し、ニッケル及びコバルトを含む浸出液を得る浸出工程を含むものである。そして、この湿式製錬方法では、浸出工程において、高圧酸素のみを供給することにより、浸出処理における酸化還元電位(Ag/AgCl基準)を520mV〜560mVに制御する。
このような湿式製錬方法では、炭素品位が0.20質量%以上と高品位なニッケル酸化鉱石を原料とした場合であっても、高圧酸素のみを供給することにより、浸出処理における酸化還元電位を520mV〜560mVに制御することができる。そして、このことにより、主要不純物である鉄の大部分を高い酸化率で酸化させて、ヘマタイトの形で浸出残渣として固定することができる。また、硫酸使用量を有効に抑えながら、ニッケル及びコバルトを高い浸出率で浸出させることができる。
さらに、浸出処理を行う反応容器(オートクレーブ装置等)内に高圧酸素のみを供給することで酸素分圧を調整するため、高圧空気も併せて供給しながら酸素分圧を調整する従来の方法に比べて、反応容器からの排ガス量が低減され、熱損失を抑えることができる。そしてその結果、浸出時における高圧水蒸気の使用量を有効に低減することができ、浸出時のエネルギーコストを削減することできる。
≪2.ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法≫
以下、本実施の形態のHPAL法によるニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法について、より具体的に説明する。
図1は、HPAL法によるニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法の流れを示すフロー図である。本実施の形態のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、原料のニッケル酸化鉱石をスラリー化する鉱石スラリー化工程S11と、スラリーを高温高圧下で硫酸により浸出して浸出スラリーを得る浸出工程S12と、浸出スラリーを浸出液と浸出残渣とに固液分離する固液分離工程S13と、浸出液に中和剤を添加して不純物を含む中和澱物と中和後液とを得る中和工程S14と、中和後液に硫化剤を添加してニッケル及びコバルトの混合硫化物と硫化後液とを得る硫化工程S15とを含むものである。
(1)鉱石スラリー化工程
鉱石スラリー化工程S11では、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に水を添加し鉱石スラリーを調製する。
原料のニッケル酸化鉱石は、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。そして、特に、炭素品位が0.20質量%以上であるニッケル酸化鉱石のような、有機成分を多く含む原料を好適に用いることができる。なお、原料のニッケル酸化鉱石について、高炭素品位のものとして、炭素品位が0.20質量%〜0.30質量%のものが知られている。なお、ニッケル酸化鉱石に含まれる炭素品位は、酸素気流中で高周波燃焼させ赤外線吸収法により測定する一般的な炭素硫黄分析装置により測定することができる。
なお、ラテライト鉱におけるニッケル含有量は、通常、0.5質量%〜3.0質量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、鉄の含有量は、10質量%〜50質量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト、FeOOH)の形態であるが、一部2価鉄がケイ苦土鉱物に含有される。
鉱石スラリー化工程では、例えば、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石を、所定の分級点で分級してオーバーサイズの鉱石粒子を除去した後に、アンダーサイズの鉱石粒子に水を添加して鉱石スラリーとする。ニッケル酸化鉱石の分級方法は、所望とする粒径に基づいて分級できれば特に限定されず、グリズリーや振動篩等を用いた篩分けによって行うことができる。また、その分級点についても、所望とする粒径値以下の鉱石粒子からなる鉱石スラリーを得るための分級点を適宜設定することができる。
鉱石スラリー化工程で調製する鉱石スラリーのスラリー濃度としては、処理されるニッケル酸化鉱の性質に大きく左右されるため、特に限定されるものではないが、鉱石スラリーのスラリー濃度は高い方が好ましく、通常、概ね25質量%〜45質量%に調製される。すなわち、スラリー濃度が25質量%未満では、浸出の際に、同じ滞留時間を得るために大きな設備が必要となり、酸の添加量も残留酸濃度を調製するために増加する。また、得られる浸出液のニッケル濃度が低くなる。一方で、スラリー濃度が45質量%を超えると、設備の規模は小さくできるものの、スラリー自体の粘性(降伏応力)が高くなり、搬送が困難(管内閉塞の頻発、エネルギーを要する等)という問題が生じることとなる。
(2)浸出工程
浸出工程S12では、反応容器内において鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施し、ニッケル及びコバルトを含む浸出液と、ヘマタイト(Fe)を含む浸出残渣とからなる浸出スラリーを得る。
具体的に、浸出工程S12においては、下記式(3)〜(5)で表される浸出反応と下記式(6)、(7)で表される高温加水分解反応によって、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われる。
「浸出反応」
MO+HSO⇒MSO+HO ・・・(3)
(なお、式中Mは、Ni、Co、Fe、Zn、Cu、Mg、Cr、Mn等を表す。)
2FeOOH+3HSO⇒Fe(SO+4HO ・・・(4)
FeO+HSO⇒FeSO+HO ・・・(5)
「高温加水分解反応」
2FeSO+HSO+1/2O⇒Fe(SO+HO ・・・(6)
Fe(SO+3HO⇒Fe+3HSO ・・・(7)
ここで、浸出工程S12における浸出処理では、高圧酸素のみを供給することにより、浸出処理における酸化還元電位(ORP、Ag/AgCl基準)を所定の範囲に制御することを特徴としている。具体的には、反応容器内に装入された鉱石スラリーに対して、高圧酸素を供給することにより、浸出処理における酸化還元電位を520mV〜560mVの範囲に制御する。
このような浸出処理を行うことにより、炭素品位が0.20質量%以上であるニッケル酸化鉱石を原料として用いた場合であっても、高圧酸素のみを供給することにより、適切にかつ安定的に酸化還元電位を520mV〜560mVの範囲に制御することができる。そしてこれにより、主要不純物である鉄の大部分を高い酸化率で酸化させて、ヘマタイトの形で浸出残渣として固定することができる。また、硫酸使用量を有効に抑えながら、ニッケル及びコバルトを高い浸出率で浸出させることができる。
浸出処理における酸化還元電位については、上述したように、520mV〜560mVに制御し、好ましくは530mV〜550mVに制御する。
ここで、図2は、浸出処理における酸化還元電位に対する、得られる浸出液中に含まれる2価鉄(Fe2+)の濃度との関係を示すグラフ図である。図2に示すように、本発明者らによる研究により、浸出処理における酸化還元電位を520mV〜560mVの範囲に制御することにより、Fe2+の濃度を極めて少なくさせることができることが見出された。これにより、硫酸や、得られた浸出液に対する中和処理で使用する中和剤量を有効に低減させることができる。
酸化還元電位が520mV未満であると、設備の金属ライニングの酸化被膜が減少して設備へのダメージが発生することがある。また、鉄の高温熱加水分解反応が抑制されて浸出液中に多量の鉄が残留し、後工程の中和工程での薬剤の使用量やニッケル及びコバルトの共沈量が上昇し、ニッケル及びコバルトの浸出率の低下を招く。一方で、酸化還元電位が560mVを超える場合には、ニッケル酸化鉱石中に含まれるクロムが6価まで酸化された状態で浸出される。6価のクロムが浸出されると、中和工程や排水処理工程にて除去処理を行うために、還元剤を使用して3価に還元することが必要となり、製錬コストの上昇が必至となる。3価への還元を行わないと、ニッケルやコバルトの製品中にクロムが不純物として含まれたり、排水処理の終液にクロムが残留したりするという問題が起きる。さらに、酸化還元電位が560mVを超えると、反応容器の圧力上昇を招くため、エネルギーコスト的に不利となる。
なお、浸出工程S12における浸出処理では、浸出液中の酸化還元電位(酸化還元電位)をモニタリングしながら、酸化還元電位が520mV〜560mVとなるように、高圧酸素の供給量を調整すればよい。
さて、浸出処理において、各種添加物量(例えば、鉱石スラリーや高圧水蒸気等)に変化がない場合、高圧酸素を供給した分だけ反応容器内の圧力が上昇する。そのため、全体圧力が過度に上昇しすぎないように、反応温度を調整するか、高圧酸素の供給量を調整することが望ましい。ただし、反応温度を低下させて圧力調整を実施した場合には、高いニッケル浸出率が得られない可能性があるため、高圧酸素の供給量を調整することがより好ましい。このように、高圧酸素のみを用いて酸素分圧を管理することにより、従来のように高圧空気(約酸素21%含有)を用いて酸素分圧を上昇させる場合に比べて、より少量の供給量で酸素分圧を上昇させることが可能となり、設備の圧力管理の面で有利であり、エネルギーコストも削減できる。
なお、より少ない高圧酸素供給量で、所望とする酸化還元電位を達成することが好ましく、このことから、目標の酸素分圧に達しているかを確認するために、設備圧力調整用のベントライン等により酸素濃度をモニタリングすることが望ましい。
具体的に、高圧酸素の供給量としては、特に制限されないが、120Nm/hr〜180Nm/hrとすることが好ましく、130Nm/hr〜160Nm/hrとすることがより好ましい。本実施の形態においては、高圧酸素のみにより酸素分圧を調整することから、従来のように高圧空気も併用して酸素分圧を調整する場合に比べ、全体のガス供給量を180Nm/hr以下程度にまで削減することができる。このことから、反応容器からの排ガス量を有効に低減させることができ、熱損失を抑えることができる。また、熱損失を抑制できることから、浸出処理における高圧水蒸気の使用量を低減させることができ、エネルギーコストを削減することができる。なお、高圧水蒸気の使用量としては、例えば、乾燥鉱石1トン当たり150kg〜200kg程度とすることができる。
なお、高圧酸素の供給量が120Nm/hr未満になると、浸出処理における酸化還元電位を上述した所望の範囲に制御することが難しくなる。
浸出処理における温度条件としては、特に制限されないが、220℃〜280℃程度とすることが好ましく、240℃〜270℃程度とすることがより好ましい。このような温度範囲で反応を行うことにより、より効率的に鉄をヘマタイトとして固定化することができる。温度が220℃未満であると、高温熱加水分解反応の速度が遅いため反応溶液中に鉄が溶存して残り、鉄を除去するための後工程の中和工程における負荷が増加し、ニッケルとの分離が困難となる。一方で、温度が280℃を超えると、高温熱加水分解反応自体は促進されるものの、高温高圧浸出に用いる容器の材質の選定が難しいだけでなく、温度上昇にかかる高圧水蒸気のコストが上昇するため好ましくない。
温度の制御は、例えば、反応容器内に高圧水蒸気を供給して行うことができる。また、反応容器内の圧力条件としては、例えば、3MPaG〜6MPaG程度に加圧することが好ましい。反応容器内の圧力は、高圧酸素とともに、上述した高圧水蒸気の供給により制御することができる。なお、このような温度、圧力の条件で行う浸出処理においては、反応容器としては、オートクレーブ装置等の加圧反応容器が用いられる。
浸出処理に用いる硫酸の添加量としては、特に制限されないが、例えば、乾燥鉱石1トン当たり200〜250[kg−HSO/t−dry Solid]程度とすることが好ましい。乾燥鉱石1トン当たりの硫酸添加量が多すぎると、硫酸の使用に伴うコストが上昇し、また後工程の中和工程における中和剤使用量が多くなり好ましくない。
また、得られる浸出液のpHは、生成したヘマタイトを含む浸出残渣を分離するためのろ過性の観点から、0.1〜1.0に調整されることが好ましい。
(3)固液分離工程
固液分離工程S13では、浸出工程S12で生成した浸出スラリーを多段洗浄して、ニッケル及びコバルトを含む浸出液と、ヘマタイトである浸出残渣とを固液分離する。
固液分離工程S13では、浸出スラリーを洗浄液と混合した後、シックナー等の固液分離装置を用いて固液分離処理を施す。具体的には、先ず、スラリーが洗浄液により希釈され、次に、スラリー中の浸出残渣がシックナーの沈降物として濃縮される。これにより、浸出残渣に付着するニッケル分をその希釈の度合いに応じて減少させることができる。実操業では、このような機能を持つシックナーを多段に連結して用いる。
(4)中和工程
中和工程S14では、浸出液に中和剤を添加してpHを調整し、不純物元素を含む中和澱物と中和後液とを得る。このような中和処理により、ニッケル、コバルト、スカンジウム等の有価金属は、中和後液に含まれるようになり、アルミニウムをはじめとした不純物の大部分が中和澱物となる。
中和処理に用いる中和剤としては、公知のもの使用することができる。例えば、石灰石、消石灰、水酸化ナトリウム等が挙げられる。また、中和処理においては、分離された浸出液の酸化を抑制しながら、pHを1〜4の範囲に調整することが好ましく、pHを1.5〜2.5の範囲に調整することがより好ましい。pHが1未満であると、中和が不十分となり、中和澱物と中和後液とに分離できない可能性がある。一方で、pHが4を超えると、アルミニウムをはじめとした不純物のみならず、ニッケル等の有価金属も中和澱物に含まれる可能性がある。
(5)硫化工程
硫化工程S15では、中和処理で得られた中和後液に硫化剤を添加してニッケル及びコバルトの混合硫化物と、硫化後液とを得る。このような硫化処理により、ニッケル、コバルト、亜鉛等は硫化物となって回収され、スカンジウム等のその他の元素は硫化後液に残留することになる。
具体的に、硫化工程S15では、得られた中和後液に対して、硫化水素ガス、硫化ナトリウム、水素化硫化ナトリウム等の硫化剤を添加し、不純物成分の少ないニッケル及びコバルトを含む混合硫化物(ニッケル・コバルト混合硫化物)と、ニッケル等の濃度を低い水準で安定させた硫化後液(貧液)とを生成させる。
硫化工程S15における硫化処理では、ニッケル・コバルト混合硫化物を含むスラリーをシックナー等の沈降分離装置を用いて分離処理し、その混合硫化物をシックナーの底部より分離回収する一方で、水溶液成分である硫化後液はオーバーフローさせて回収する。
なお、硫化処理に供する中和後液に亜鉛が含まれる場合には、硫化物としてニッケル及びコバルトを分離するに先立って、亜鉛を硫化物として選択的に分離することができる。
≪3.浸出処理に用いる反応容器(オートクレーブ装置)≫
次に、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法における浸出処理で用いる反応容器について説明する。上述したように、浸出工程S12における浸出処理では、高温高圧下において、高圧酸素を供給しながら、硫酸を用いて酸浸出する。また、このとき、浸出処理に用いる反応容器の構造やその材料は、耐食性及び耐酸素燃焼性を考慮し、かつ材料の汎用性(継続的な入手等)という観点から選定することが好ましい。特に、本実施の形態においては、純酸素濃度の高い高圧酸素のみをガス成分として供給することから、安全性を留意することが好ましい。
図3は、浸出処理に用いる反応容器としてのオートクレーブ装置の構成を示す図であり、オートクレーブ装置を垂直に切断して内部構造を模式的に示した断面図である。
(オートクレーブ装置の構成)
オートクレーブ装置1は、金属原料である鉱石スラリーMが装入され、高温高圧下において硫酸の供給によりその鉱石中に含まれる金属を浸出する浸出処理が施される反応容器である。このオートクレーブ装置1は、鉱石スラリーMが装入されて浸出反応の場となる本体部11と、鉱石スラリーMを撹拌する撹拌機12とを備える。また、オートクレーブ装置1には、鉱石スラリーMに対して酸素を吹き込む酸素吹込配管13が設けられている。
(本体部)
本体部11は、上述したように、その内部に鉱石スラリーMが装入されて、硫酸による浸出反応が生じる反応場となる。本体部11は、図示しないが、例えば隔壁によって複数の区画室に区画されており、各区画室で浸出反応が生じるようになっており、上流の区画室から下流の区画室へと鉱石スラリーMがオーバーフローして移送される。
本体部11の内部(各区画室の内部)には、例えばその上部から垂下されるようにして、浸出処理に用いる硫酸溶液を供給する硫酸供給配管や、処理対象となる鉱石スラリーMを最上流の区画室に装入するためのスラリー装入配管、さらには高圧蒸気等を供給するための蒸気供給配管等の種々の供給配管が付設されている。
ここで、オートクレーブ装置1の本体部11においては、特に限定されないが、少なくともその内部の壁面(内壁)がTi(チタン)を含む材質で構成されていること好ましい。本体部11内では、上述したように高温高圧下で硫酸による浸出反応を生じさせることから、耐腐食性を有する材質により構成されていることが好ましく、特にTiにより構成することで、その耐腐食性を高めることができる。
(撹拌機)
撹拌機12は、本体部11の内部に設置され、例えば本体部11の内部が隔壁により複数の区画室に区画されている場合にはそれぞれの区画室に設置されている。撹拌機12は、本体部11の内部に装入された鉱石スラリーMを撹拌する。
撹拌機12としては、例えば図3に模式的に示すように、モータ21に連結された撹拌軸22と、その撹拌軸22の端部に設けられた撹拌羽根23とを備えたプロペラ形状のものを用いることができる。撹拌機12は、本体部11の上部天井から垂下されて、オートクレーブ装置1を上部から視たとき、反応空間の中央部分に撹拌軸22が位置するように設けることができる。
撹拌機12は、モータ21の駆動により例えば時計回りに所定速度で撹拌軸22を回転させ、撹拌羽根23によって鉱石スラリーMを撹拌する。図3に示すように、撹拌羽根23(23a,23b)は、撹拌軸22の端部における上下方向に複数設けることができる。
(酸素吹込配管)
酸素吹込配管13は、鉱石スラリーMに対して高濃度の酸素を吹き込み供給するための配管である。酸素吹込配管13は、例えば、本体部11の上部天井から垂下されるようにして設けられている。具体的には、酸素吹込配管13は、本体部11の上部に設けられたフランジ14に固定されて設けられている。この酸素吹込配管13は、酸素発生設備2に接続されており、酸素発生設備2にて発生した酸素が酸素吹込配管13を介して本体部11内に供給される。
ここで、酸素吹込配管13においては、その酸素吐出口13aから酸素が吐出される。このとき、オートクレーブ装置1では、酸素吐出口13aが、鉱石スラリーMが装入された本体部11内における気相部(図3中の符号「11G」で示す空間)に位置するように、酸素吹込配管13を配設するようにしている。つまり、酸素吐出口13aが鉱石スラリーMの液面Msに触れない状態で配設されており、気相部11Gに位置させた酸素吐出口13aから、本体部11内の鉱石スラリーMの液面Msに向かって酸素が吹き込まれる。
このような構成を有するオートクレーブ装置1においては、酸素吹込配管13の酸素吐出口13aが本体部11内の気相部11Gに位置されていることから、その気相部11Gに酸素が吹き出された後に、気相部11Gに吹き出された酸素が次第に鉱石スラリーMに取り込まれて溶解するようになる。そのため、例えば酸素吹込配管13を介した酸素の供給量を制御することで、酸化還元電位を所望の範囲に適切に制御することができる。
また、酸素吹込配管13の酸素吐出口13aが気相部11Gに位置されるように設けられているため、酸素吹込配管における酸素吐出口を液相に挿入してその液相に直接酸素を吹き込むことにより硫酸等を含むスラリーが配管内を逆流するといった問題が起こらず、ニッケルやコバルトの浸出率の低下を抑制することができる。
さて、オートクレーブ装置1においては、例えば220℃〜280℃程度の高温下で硫酸を用い、さらに酸素吹込配管13を介して酸素を吹き込みながら浸出処理を行うため、オートクレーブ装置1の内部において腐食が発生する可能性が考えられる。そのため、このような浸出処理を行うオートクレーブ装置1としては、上述したように、耐腐食性を高める観点からTiを含む材質により構成することが好ましい。
しかしながら、Tiにより構成された反応容器の場合、酸素濃度を上昇させたガスが通気されると、Tiの発火点に到達して燃焼が起こることが知られている。そのことから、オートクレーブ装置1においてTiにより装置内壁等を構成する場合には、酸素吹込配管13から本体部11の内部に吹き込まれる酸素が、そのTiにより構成された内壁に触れることのないように供給することが求められる。
このことから、オートクレーブ装置1においては、酸素吹込配管13の酸素吐出口13aが、オートクレーブ装置1の本体部11の内部の壁面11sから離して配置されるようにすることが好ましい。具体的には、図3に示すように、オートクレーブ装置1の高さ方向(図3中の矢印H方向)の位置として、本体部11内の壁面11sと鉱石スラリーMの液面Msとの略中間点に酸素吐出口13aが配置されるようにすることが好ましい。
オートクレーブ装置1の本体部11における気相部11Gは、蒸気と酸素との混合ガスで構成されているが、その大部分は蒸気であり、平均分子量はおよそ20程度であると推測される。一方で、酸素吹込配管13を介して供給する酸素は比重が大きく冷たいため、本体部11の内部の気相部11Gに鉱石スラリーMの液面Msに向かって酸素を供給すると、そのまま液面Msの方向に酸素が流れていく。そのため、供給される酸素は、オートクレーブ装置1の内部の壁面11s、すなわちTiにより構成される壁面には直接触れることはない。
酸素吹込配管13の材質としては、高温高圧下での耐腐食性を確保し、また配管内を通過する酸素による燃焼を防ぐ観点から、例えば、ニッケルクロムモリブデン(Ni−Cr−Mo)合金を使用することが好ましい。Ni−Cr−Mo合金としては、マンガン、シリコン、コバルト、タングステン、タンタル、鉄等を随意に含み、例えば、58Ni−22Cr−13Mo−3W―3Fe(市販品:ハステロイC−22)、60Ni−19Cr−19Mo−2Ta(市販品:MAT21)、53Ni−45Cr−1Mo(市販品:MCアロイ)等が挙げられる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析は、ICP発光分析法で行った。
[実施例1]
炭素品位が0.25質量%、ニッケル品位が1.25質量%、及び鉄品位が46質量%のニッケル酸化鉱石を、固形分割合が約40質量%となる鉱石スラリーに調製し、容量430mのチタン製オートクレーブ反応容器内に投入した。そして、反応終液中のフリー硫酸濃度が約45g/Lとなるように鉱石スラリーに硫酸を添加して浸出処理を施した。
このとき、オートクレーブ反応容器内には、約5MPaGの高圧酸素を、150Nm/hrの吹込量で吹き込みながら、スラリーを撹拌して245℃の温度で操業した。なお、約5MPaGの高圧水蒸気を吹き込むことによって、反応容器内の温度を維持した。高圧水蒸気の使用量は、乾燥鉱石1トン当たり200kgであった。
このような浸出処理により得られた浸出スラリー中の鉄濃度と酸化還元電位(ORP、Ag/AgCl基準)を測定した。なお、浸出スラリー中の鉄濃度は、以下のようにして測定した。すなわち、得られた浸出スラリーに、炭酸カルシウムスラリーを添加して3価鉄を酸化中和除去し、液中に残留する2価鉄の濃度を分析した。その後、浸出スラリー中の浸出液の総鉄濃度と中和後液中の2価鉄濃度及び液量から逆算した浸出液中の3価鉄濃度を求めた。
[比較例1]
高圧酸素を供給せず、高圧空気のみを供給したこと以外は、実施例1と同様にして浸出処理の操業を行い、得られた浸出スラリー中の鉄濃度とORPを測定した。
[比較例2]
高圧空気及び高圧酸素の両方を供給したこと以外は、実施例1と同様にして浸出処理の操業を行い、得られた浸出スラリー中の鉄濃度とORPを測定した。
[結果]
下記表1に、実施例及び比較例での浸出処理条件と、得られた浸出スラリーに含まれる鉄濃度、及びORPの測定結果をまとめて示す。
Figure 0006350634
表1に示すように、高圧酸素のみを供給して浸出処理を行った実施例1では、高圧空気のみを供給した比較例1に比べ、酸化還元電位は約80mV上昇して540mVになり、浸出液中の2価鉄濃度は約6.2g/Lから1.3g/Lに低下し、2価鉄濃度は4.2g/Lから3.9g/Lまで低下した。これにより、硫酸使用量及び中和剤使用量は、比較例1に比べて92%まで抑制できた。このことは、鉄の浸出が抑制されたことを意味し、ヘマタイト固定化反応が有効に促進されたことを示す。
一方で、高圧空気及び高圧酸素の両方を供給した浸出処理を行った比較例2では、高圧空気のみを供給した比較例1に比べ、酸化還元電位は約40mV上昇して500mVになり、浸出液中の2価鉄濃度は約6.2g/Lから3.9g/Lに低下し、3価鉄濃度は4.2g/Lから4.0g/Lまで低下した。しかしながら、硫酸使用量及び中和剤使用量は、実施例1での操業結果ほどに抑制されず、効率的な操業を行うことができなかった。
以上の結果より、鉱石中の炭素品位が高いニッケル酸化鉱石を対象とする高温高圧下での浸出処理において、高圧酸素のみの供給により、効率的に酸素分圧を上昇させることができ、所望とする酸化還元電位に効率的に制御できることが分かった。そしてその結果、鉄の浸出を抑制することができ、また、硫酸及び中和剤使用量を大幅に削減することが可能となることが確認された。
1 オートクレーブ装置
11 本体部
12 撹拌機
13 酸素吹込配管
13a 酸素吐出口
14 フランジ

Claims (3)

  1. 炭素品位が0.20質量%以上であるニッケル酸化鉱石をスラリー化し、反応容器内において該鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施し、ニッケル及びコバルトを含む浸出液を得る浸出工程を含み、
    前記浸出工程では、酸素分圧を上昇させるための供給ガスとして高圧酸素のみを供給することにより、浸出処理における酸化還元電位(Ag/AgCl基準)を520mV〜560mVに制御する
    ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  2. 前記浸出処理において、前記反応容器内に酸素分圧を上昇させるための供給ガスとして空気を供給しない
    請求項1に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  3. 前記高圧酸素の供給量は、120Nm/hr〜180Nm/hrである
    請求項1に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
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