JP6348040B2 - 医療用磁気パルス発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、脳や末梢神経を連続磁気パルスで刺激することにより、連続する大きな筋収縮を起こすための医療用磁気パルス発生装置に関する。
脳卒中や事故のために大脳皮質運動野に機能障害が起きると、運動野の神経細胞が支配している部位の四肢に麻痺を生じる。リハビリテーションによって麻痺した四肢の機能回復訓練を繰り返すと、大脳皮質の損傷部分に新たな神経回路が形成されて運動機能を取り戻すことができる。現在、四肢麻痺のリハビリテーションで大きな注目を集めている技術に「脳と末梢神経の同期刺激法(Paired Assosiative Stimulation、PAS)」がある。この技術は機能障害がある大脳運動野を磁気刺激することによって、治療対象である麻痺した上肢あるいは下肢の筋収縮を誘発する。併せて、大脳から伝達される信号に同期させて治療対象の上肢、あるいは下肢の末梢神経を電気的、または磁気的に同期刺激すると、麻痺している筋肉の収縮が増強されて、新たな神経回路構築が促進されるので、大きなリハビリ効果が得られる。小型の電源で筋収縮を誘発できる電気刺激法は、低周波治療器として種々の電気刺激装置が実用化されている(特許文献1)。特に筋電位計による自発運動検出と、電気刺激を連動させた電気刺激装置(IVES)は、四肢麻痺のリハビリテーションに広く用いられている。電気刺激法は装置が小型軽量な長所を有する一方、感電と同じ現象なので使用時に不快感を伴う欠点がある。特に、大きな筋収縮を起こすためには100ボルト程度の高電圧パルスを用いるので、治療には大きな疼痛と不快感を伴う問題点がある。この感電による疼痛と不快感を回避するには、電気刺激電極を皮下に埋め込むことが有効であって、機能的電気刺激法FESは主にこの方法によるが、電線が生活の邪魔になり、また埋め込み部分が化膿しやすい問題がある。
一方、大きな筋収縮を誘発できる他の電磁的方法にパルス磁気刺激法がある。これは末梢神経の近くでパルス磁場を発生させて、神経に誘起される電流によって筋収縮を誘発する。磁気刺激法による疼痛と不快感は、電気刺激法によって同程度の筋収縮を誘起する際に生じるものと比較して、はるかに小さい特徴がある。また、磁気刺激法は刺激電極を皮膚に貼り付ける必要がないので、治療の準備が簡単で、かぶれの問題が少ない等の特徴がある。しかしながら、従来の磁気刺激装置によって筋収縮を起こすには最高3kV、3000A程度の高電圧・大電流磁気パルスによって、最高3T(テスラ)程度の強いパルス磁場を必要としていた(特許文献2)。このために従来の磁気パルス発生装置は重く大きく、消費電力も多いので、小型化が困難であった。
特許文献2のパルス磁気刺激は、末梢神経の刺激によって誘発される膀胱括約筋の収縮を強化する効果による尿失禁の治療を目的としている。一方、末梢神経以外を対象とするパルス磁気刺激に経頭蓋磁気刺激(TMS)がある。これは大脳皮質の表面近傍から深部を刺激対象とするので、2T(テスラ)以上の強いパルス磁場を発生するように設計されており、このために1400V以上の高電圧パルスが使用される。経頭蓋磁気刺激法において、磁気刺激強度は、最大の刺激効果が得られるパルス電圧を100%として、「刺激強度40%」のようにパルス電圧を基準とする表示が通例となっている(非特許文献1)。
磁気刺激に用いる磁気パルスは、大容量のコンデンサに蓄えた電荷を一度に放電して発生させる。磁気パルスの強度はパルス電圧とともに、増大する。磁気パルスの強度は使用目的に応じて、パルス電圧によって調整される。パルス電圧を変更するには、(1)電源電圧を変える方法と、(2)コンデンサの充電電圧を変える方法の2つがある。(1)の電源電圧の変更は、一次側電圧を調整する方法がスライダックやトランスのタップ切り替えによって簡単に実施できるが、電源装置が大がかりになり、パルス電圧を短時間で正確に変更することは容易でない。一方、(2)のコンデンサの充電電圧の制御は、大容量コンデンサの充電に時間がかかるので、充電電圧が上昇するために時間がかかる性質を利用する。この方法には(2)−1として、電源波形を変えずに充電回路の電気抵抗によって充電速度を制御する方法と、(2)−2として、PWM法あるいはPFM法により充電電流のデューティー比や周波数を変えて充電速度を制御する方法がある。(2)−1は簡単な回路で実現できるが、電圧制御の精度を上げると、充電速度が遅くなる欠点がある。(2)−2は定電圧のインバータ電源などに広く用いられる方法であるが、1000V以上の高電圧電源の場合は制御信号処理回路が複雑になる(特許文献3)。このいずれの方法によってもパルス電圧を瞬時に変化させることはできないため、パルス電圧の調整によって瞬時に磁気刺激の強度を調整することは難しい。
特開2004−255104 特開平9−276418 特開2012−182888
有田元英 リハ医学、No40:17〜26、2004
「脳と末梢神経の同期刺激法」においては、治療対象である手または足の麻痺患者の自助努力によるわずかな動きを検出し、動きの程度に応じて脳や末梢神経に強さの異なる磁気刺激を加える必要がある。このために対象部位の運動量に応じて、磁気刺激強度を瞬時に変化させることが不可欠である。しかしながら、従来法の磁気刺激装置は、磁気刺激強度をパルス電圧によって制御する必要があり、短時間で正確にパルス電圧を変化させることは困難であった。
また、刺激強度を上げるためにパルス電圧を高電圧とした場合、下記のような問題が顕出する。
(1)電源トランス2次巻き線の絶縁厚みが大きくなるため、トランスが大型で重くなり、パルス磁気刺激装置の小型・軽量化が困難となる。
(2)電源電圧が増すほど、磁気刺激コイルの線間の絶縁耐圧を増す必要があり、コイル重量およびサイズの増大を招く。
(3)高電圧−大電流パルスほど、磁気刺激コイルの発熱が増すので、長時間使用に適しない。
従来の磁気パルス発生装置は1400V以上の高電圧パルスを必要とするので、上記(1)〜(3)の技術的な問題を有している。従って、磁気パルス発生装置を小型・軽量化するとともに、外部からのリクエストに対して瞬時に求められた強度の磁気パルスを発生させるには、「低いパルス電圧で大きな筋収縮が生じることを可能にする。」「電圧変化によらないで磁気刺激の強さを調整する」という2つの課題を解決する必要がある。
以上の問題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、パルス磁気刺激の強度は、(1)磁気パルスの高さ(電圧)のみならず、磁気刺激が生じる閾値以上の磁気パルスの面積(サイクル数)にも影響されることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。本発明による磁気パルス発生装置は、比較的低い電圧の磁気パルスを用いても、パルスのサイクル数を増やす事により、強い磁気刺激を与えることが可能であり、そのサイクル数を変化させることで磁気刺激強度を短時間で精度よく切り替えることを可能としている。本発明の構成を以下に示す。
請求項1に記載の発明(図1、図3)は、磁気パルスを発生させる磁気刺激コイルと、充放電用コンデンサと、充放電用コンデンサからの放電電流を磁気刺激コイルに供給するスイッチング半導体素子とを環状に直列接続した放電回路を備えた医療用磁気パルス発生装置であって、前記スイッチング半導体素子のゲート端子はゲート信号を生成するゲート信号発生器と接続されており、ゲート信号発生器から発生するゲート信号の時間的な幅を増減することにより、磁気パルスのサイクル数を増減させ、磁気刺激強度を任意に調節することを特徴とする医療用磁気パルス発生装置である。
請求項2に記載の発明(図1、図4)は、磁気パルスを発生させる磁気刺激コイルと、充放電用コンデンサと、充放電用コンデンサからの放電電流を磁気刺激コイルに供給するスイッチング半導体素子とを環状に直列接続した放電回路を備えた医療用磁気パルス発生装置であって、前記スイッチング半導体素子のゲート端子はゲート信号を生成するゲート信号発生器と接続されており、ゲート信号発生器から発生するゲート信号のタイミングを磁気パルスの減衰振動の周期と同期させるとともにゲートパルスの数を増減させることにより、磁気パルスのサイクル数を増減させ、磁気刺激強度を任意に調節することを特徴とする医療用磁気パルス発生装置。
請求項1又は2に記載の発明によれば、任意のサイクル数の磁気パルスを発生させ任意の磁気刺激強度の磁気刺激を瞬時に行うことが出来る。またサイクル数を十分に増やす事で、モノフェーズ波形、バイフェーズ波形の磁気パルスと比較し大きな刺激強度を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、前記ゲート信号発生器は外部信号を入力する外部信号入力部と、外部信号入力部からの信号レベルを要求磁気刺激強度に換算する演算器と、要求磁気刺激強度に対応したゲートパルスを出力するゲートパルス出力部を具備し、外部信号の信号レベルによりサイクル数の磁気パルスを増減することを特徴とする請求項1または2に記載の医療用磁気パルス発生装置である。
請求項3に記載の発明によれば、外部信号により磁気刺激強度を任意に制御することが可能である。患者の対象部位の運動の大きさ・方向を加速度計、モーションキャプチャーなどで検出し、その検出信号を外部信号としてゲート信号発生部に入力すれば、患者の運動努力に応じた磁気刺激が可能となる。また、対象部位にはっきりした運動があらわれない患者を対象とする場合は、筋電計、脳波計、脳磁計などの信号をゲート信号発生部に用いることにより、運動の意図を磁気刺激の強度に反映させることも可能である。
請求項4に記載の発明は、前記前記磁気刺激コイル、充放電用コンデンサ、スイッチング半導体素子よりなる放電回路の回路上の直流抵抗値の和を10mΩ以下としたことを特徴とする請求項1‐3に記載の医療用磁気パルス発生装置である。
請求項4に記載の発明によれば、磁気パルスの減衰振動の減衰量を小さくすることが可能であり、磁気刺激に十分なレベルの磁界強度を持つ磁気パルスのサイクル数をより多くすることが可能となる。
請求項5に記載の発明は、前記放電回路に電圧を供給する高圧電源の一次側に電流遮断手段を持ち、コンデンサが放電しパルス電流が流れる間には、電源一次側に電流が流れない様、該電流遮断手段にて一次回路の通電を遮断することを特徴とする請求項1−4に記載の医療用磁気パルス発生装置である。
請求項5に記載の発明によれば、パルス放電時に高圧電源の一次側に流れる余分な消費電流を遮断することが可能であり、より低消費電力な装置とすることが可能である。
本発明によれば、サイリスタなどのスイッチング半導体を点弧するゲート信号の幅もしくはタイミングを制御することによって磁気パルスのサイクル数を変化させることにより、弱い磁気刺激から、四肢の大きな筋収縮が起きる強い磁気刺激まで、刺激強度を短時間で精度よく変化させることができる。また本発明による装置は従来と同等の刺激強度をより低いパルス電圧で得ることができるため、装置を小型、軽量化することができる。また、パルス電圧が低いので磁気刺激コイルの発熱も従来の高電圧を用いる磁気パルス発生装置よりもはるかに少ない特徴がある。また、患者の対象部位に取り付けた加速度計やモーションキャプチャー、筋電計、脳波計、脳磁計の信号を、本発明を用いた機器に入力することにより、患者の運動努力や意図に応じて強度を調整した磁気刺激をそれらの信号に同期して行うことが可能となる。
磁気パルス発生装置の電気回路を示す図 従来のパルス磁気刺激に使われているパルス波形(A:モノフェーズ、B:バイフェーズ)とその際のゲート信号波形 信号幅によってパルスサイクル数を増減させるゲート信号波形 パルス数によってパルスサイクル数を増減させるゲート信号波形 放電回路の抵抗R(横軸)と固有振動波の減衰比(縦軸)の関係を示す図 放電回路の抵抗R(横軸)と磁場強度(縦軸)の関係を示す図 サイリスタのゲート信号幅(横軸)と固有振動のサイクル数(縦軸)の関係を示す図 本願発明の装置によって発生した2サイクル、4サイクル、8サイクルの磁気パルス波形
本発明のパルス磁気刺激電源の電気回路を図1に示す。1は直流高圧電源、2はパルス電流を発生するためのコンデンサ(静電容量C)、3は対象部位に磁気パルスを発生する磁気刺激コイル(インダクタンスL)、4は放電回路上の直流抵抗(R)、5はゲート信号によってコンデンサの電荷を放電するためのスイッチング半導体素子(一般的にサイリスタを使用)、6は放電時にコイルに発生する逆電流をコンデンサに流すためにダイオード、7はゲート信号発生器が発生する放電用のゲート信号、8は任意の幅、タイミングのゲートパルスを発生することができるゲート信号発生器(マイコンや専用IC、パルストランスなどにより構成)、9は放電時に一次電流を遮断する電流遮断手段(リレー等)、10は1次電源である。
直流高圧電源1からの電流は、コンデンサ2に充電される。ゲート信号発生器8よりゲート信号7がスイッチング半導体素子5に送られるとスイッチング半導体素子5は導通し、コンデンサ2の電荷はL、C、Rによって決まる固有振動数の振動を伴う減衰電流となって磁気刺激コイル3を通して放電され、パルス磁界を発生する。
一般にスイッチング半導体素子8としてはサイリスタが使用される。図2に示す通り、磁気刺激に使われる磁気パルスの周期は一般に100〜300μs程度であり、ゲート信号(C)の幅は数十μs程度である。この幅のゲート信号がサイリスタに加えられた時に、図1の逆電流用ダイオード6がなければ、コンデンサの電荷は磁気刺激コイル3を通して1度だけ放電する。この場合の磁気パルス波形は図2Aのモノフェーズ波形となる。放電が一度で終わるのは、放電が進んで電流が0になると電流を遮断する自己消弧機能がサイリスタに備わっているためである。一方、放電時に逆電流用ダイオード6がある場合は、磁気刺激コイルに発生する逆電流がコンデンサに流れて、逆向きの磁界を発生する。この場合の磁気パルス波形は図2Bのバイフェーズ波形となり、パルス電流が増えた分だけ磁気刺激効果は増す。従来のパルス磁気刺激装置で用いられてきた磁気パルスの波形は図2のモノフェーズ波形(A)かバイフェーズ波形(B)に限られていた。
図2Aモノフェーズ波(半サイクル)よりも、図2Bのバイフェーズ波(1サイクル)の方がコイルから外部に放射される磁気エネルギーが多い。この結果を拡張するなら、磁気パルス波形のサイクル数を増すことによって、磁気パルスによる刺激効果を増すことが可能となる。LC固有振動は投入した電気エネルギーがコンデンサとコイルの間を往復する現象であって、追加のエネルギーを投入しなくても振動が減衰して消えるまで持続させることができる。
磁気パルスのサイクル数を増やすためには、サイリスタの点弧状態を必要な時間の間維持すればよい。そのためには、図3に示すように、必要な磁気パルスのサイクル数に応じた信号幅のゲートパルスをゲート信号としてサイリスタのゲート端子に与えればよく、その信号幅tは、バイフェーズ波形の周期をT、必要なサイクル数をNとすれば、T×(N−1)<t<T×Nとなる。通常t=T×(N−1/2)としてよい。
また、上記とは異なる方法として、磁気パルスの減衰振動の振動周期にあわせて必要なサイクル数と同数のゲートパルスを発生させ、磁気パルスのサイクル数を調整することも可能である。図4に示すように、先頭のトリガ信号から減衰振動の周期と同じ時間だけ間隔をあけて再びゲートパルスを発生させれば、一度消弧したサイリスタを再度点弧状態とすることができる。これを必要なサイクル数分続けることで磁気パルスのサイクル数を任意の数に増減することが可能である。
また、ゲート信号発生器は外部信号を入力する外部信号入力部をもたせ、外部信号入力部からの信号レベルを要求磁気刺激強度に換算する演算器と、要求磁気刺激強度に対応したゲートパルスを出力するゲートパルス出力部を具備することが望ましい。たとえば、必要な機能を持ったマイコンや信号用のインターフェースをインストールしたパーソナルコンピューターは、このゲート発生器として使用することができる。このような機能をもたせることにより、外部信号により磁気刺激強度を任意に制御することが可能である。患者の対象部位の運動の大きさ・方向を加速度計、モーションキャプチャーなどで検出し、その検出信号を外部信号としてゲート信号発生部に入力すれば、患者の運動努力に応じた磁気刺激が可能となる。また、対象部位にはっきりした運動があらわれない患者を対象とする場合は、筋電計、脳波計、脳磁計などの信号をゲート信号発生部に用いることにより、運動の意図を磁気刺激の強度に反映させることも可能である。
また、磁気刺激に十分な強度を維持した磁気パルスを必要なサイクル数の間維持するためには、磁気パルスの強度を減衰させないこと、すなわち磁気エネルギーを維持することが重要である。磁気の減衰にかかわるのは放電回路上の直流抵抗であり、多くの磁気エネルギーはこの直流抵抗によりジュール熱となって失われてしまう。そのため、放電回路上の直流抵抗は、回路上のケーブル長を短く太くすることで極力小さくすることが望ましい。
また、パルスの発生時はコンデンサ両端の電圧が大きく増減するため、高圧電源からコンデンサに大きな電流が流れ込み、結果として高圧電源の一次側に大きな電力消費をもたらす。そのためパルス発生時は高圧電源一次側に電流が流れない様リレーなどの電流遮断手段によって、高圧電源一次側の電流の流れを止めておくことがのぞましい。
次に本願発明の詳細を実施例に基づいて説明する。なおこの実施例は当業者の理解を容易にするためのものである。すなわち、本願発明は明細書の全体に記載される技術思想によってのみ限定されるものであり、本実施例によってのみ限定されるものではない。
図5はパルス電圧600V一定の場合に、コンデンサ(C=60μF)と磁気刺激コイル(コアなしL=24.9μH、コア付L=46.4μH)のLC固有振動波形と、放電回路の電気抵抗Rの関係を示す。放電回路の電気抵抗Rが50mΩから4mΩに減ると、磁気パルスの減衰比(a2/a1)は0.66から0.76(コア付コイル)あるいは0.81(コアなし)に増加している。ここでa1は1サイクル目の減衰振動の振幅、a2は2サイクル目の減衰振動の振幅である(図3参照)。磁気パルスが末梢神経を刺激して筋収縮を起こすことができる磁場強度の下限は、0.2T(テスラ)程度である。第1次パルスが1テスラの場合、高次パルスが磁気刺激の閾値である0.2テスラ以上となるのは、減衰比=0.8の場合は第7次パルスであり、減衰比0.75の場合は第6次パルスである。
図6はコンデンサをC=130μFとして、容量を変えた以外は、図4と同じ条件で実験した場合の、放電回路の電気抵抗Rとパルス磁場強度の関係を示す。磁場強度に及ぼす電気抵抗Rの影響(回帰直線の傾き)は、減衰比の場合よりも少ない。また、コア付コイルはコアなしコイルの2倍ほど強い磁場強度が得られている。R=4mΩの場合に、コア付コイルによれば第1次パルス磁界は1.1テスラなので、LC固有振動回路の減衰比を0.75以上にできれば、6サイクルまで磁気刺激に有効に作用することが期待できる。
図1の回路において、スイッチング半導体素子としてサイリスタを使用し、そのゲート信号として、磁気パルスの幅である0.2ms以上の長い幅を持つゲート信号7を加えると、最初の1サイクルの磁気パルスで消弧したサイリスタが、再度点弧してパルス放電がゲート信号幅の時間の間、繰り返されることが確認された。そこで、LC固有振動の高次波をパルス磁気刺激に利用するために、図1の連続磁気パルス電源において、回路抵抗4を10mΩとなるようにケーブル長およびケーブル太さを調整し、その上でサイリスタのゲート信号7の幅を0.1〜4msの幅で変化させながら、パルス磁場を発生させた。その際、一次側の消費電力を抑えるため、サイリスタのゲート信号7に同期させて、電源の一次電流を無接点リレー9にて遮断した。
これらの条件で図1の回路のゲート信号の幅を広げると、電源に焼損などの不具合を生じることなく、LC固有振動のサイクル数を増すことができた。図7にゲート信号の幅(横軸)とLC固有振動のサイクル数(縦軸)の関係を示す。ゲート信号の幅が0.4ms以下の場合の磁気パルス波のサイクル数1から、信号幅の増加とともにサイクル数は直線的に増加しており、ゲート信号幅が3.8msでは8サイクルに達している。
図8にLC固有振動が2サイクル(ゲート信号幅0.7ms)、4サイクル(同1.6ms)、8サイクル(同3.8ms)の場合の磁気パルス波形を示す。縦軸は磁場の強さ(0.6T/div)、横軸は時間(2サイクルの波形は200μs/div、4および8サイクルの波形は400μs/div)を示している。8サイクルの磁気パルスの各サイクルの磁場強度は、第1サイクル:1.1T、第2サイクル:0.95T、第3サイクル:0.8T、第4サイクル:0.55T、第5サイクル:0.4T、第6サイクル:0.35T、第7サイクル:0.3T、第8サイクル:0.2Tとなった。これら各サイクルの磁気パルス強度は磁気刺激閾値の0.2Tかそれ以上なので、末梢神経の磁気刺激に有効と考えられる。
末梢神経の磁気刺激による筋収縮は、誘発電位によって神経細胞内にカルシウムイオン濃度差が生じる結果であると考えられている。従って、大きな筋収縮を誘発するには、神経細胞内のカルシウムイオン濃度差が増すような誘発電位の付与が効果的である。カルシウムイオンの放出は単発の磁気刺激の場合よりも、ある時間間隔をおいた連発磁気刺激の場合が顕著となる。たとえば、8サイクルの固有振動を含む、600Vの磁気パルス1発を、上腕に加えると、上腕は瞬間的に屈曲するが、効果の持続時間は短い。これに対して、上腕に50Hz(20msごと)の磁気パルスを14発加えると、はるかに大きな屈曲が得られた。
本装置を四肢麻痺患者のリハビリテーションに使用すれば、自助努力によって生じる対象部位のわずかな動きの程度に応じて、瞬時に任意の磁気刺激強度にて対象部位の末梢神経を同期刺激することができる。これにより、電気刺激の場合に必要な電極を貼り付けることなく、また、感電による疼痛や不快感を伴うことなく、四肢麻痺に対するリハビリテーシ
ョンを効率よく行うことができる。
1:直流高圧電源
2:コンデンサ、C
3:磁気刺激コイル、L、
4:放電回路上の直流抵抗、R
5:スイッチング半導体素子
6:ダイオード
7:ゲート信号
8:ゲート信号発生器
9:電流遮断手段
10:1次電源

Claims (5)

  1. 磁気パルスを発生させる磁気刺激コイルと、充放電用コンデンサと、充放電用コンデンサからの放電電流を磁気刺激コイルに供給するスイッチング半導体素子とを環状に直列接続した放電回路を備えた医療用磁気パルス発生装置であって、前記スイッチング半導体素子のゲート端子はゲート信号を生成するゲート信号発生器と接続されており、ゲート信号発生器から発生するゲート信号の時間的な幅を増減することにより、磁気パルスのサイクル数を増減させ、磁気刺激強度を任意に調節することを特徴とする医療用磁気パルス発生装置。
  2. 磁気パルスを発生させる磁気刺激コイルと、充放電用コンデンサと、充放電用コンデンサからの放電電流を磁気刺激コイルに供給するスイッチング半導体素子とを環状に直列接続した放電回路を備えた医療用磁気パルス発生装置であって、前記スイッチング半導体素子のゲート端子はゲート信号を生成するゲート信号発生器と接続されており、ゲート信号発生器から発生するゲート信号のタイミングを磁気パルスの減衰振動の周期と同期させるとともにゲートパルスの数を増減させることにより、磁気パルスのサイクル数を増減させ、磁気刺激強度を任意に調節することを特徴とする医療用磁気パルス発生装置。
  3. 前記ゲート信号発生器は外部信号を入力する外部信号入力部と、外部信号入力部からの信号レベルを要求磁気刺激強度に換算する演算器と、要求磁気刺激強度に対応したゲートパルスを出力するゲートパルス出力部を具備し、外部信号の信号レベルによりサイクル数の磁気パルスを増減することを特徴とする請求項1または2に記載の医療用磁気パルス発生装置。
  4. 前期磁気刺激コイル、充放電用コンデンサ、スイッチング半導体素子よりなる放電回路の回路上の直流抵抗値の和を10mΩ以下としたことを特徴とする請求項1‐3に記載の医療用磁気パルス発生装置。
  5. 前記放電回路に電圧を供給する高圧電源の一次側に電流遮断手段を持ち、コンデンサが放電しパルス電流が流れる間には、電源一次側に電流が流れない様、該電流遮断手段にて一次回路の通電を遮断することを特徴とする請求項1−4に記載の医療用磁気パルス発生装置。
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