JP6345931B2 - 火災検知システム及び火災検知方法 - Google Patents
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Description
本発明の火災検知システムは、
監視領域を撮影する撮像手段と、
撮像手段により撮影した画像から煙プルームが存在する画像を判定して煙プルームの太さを示す画素数と上昇速度を示す単位時間当りの画素数の変化である速度画素数を測定する測定手段と、
一定規模のモデル火災により発生する煙プルームの太さ及び上昇速度を基準太さ及び基準上昇速度として設定するモデル火災設定手段と、
測定手段で測定した煙プルームの太さを示す画素数及び上昇速度を示す速度画素数と、モデル火災設定手段で設定した煙プルームの基準太さ及び基準上昇速度との関係に基づいて火災を判定して警報を出力させる火災判定手段と、
を設けたことを特徴とする。
火災判定手段は、
基準太さの煙プルームが、測定手段で測定した煙プルーム太さの画素数で撮像される第1火点距離を推定すると共に、測定手段で測定した上昇速度の速度画素数から第1火点距離における煙プルームの上昇速度を算出して推定し、
基準上昇速度の煙プルームが、測定手段で測定した上昇速度を示す速度画素数で撮像される第2火点距離を推定すると共に、測定手段で測定した煙プルームの太さを示す画素数から第2火点距離における煙プルームの太さを推定し、
推定した煙プルームの上昇速度が基準上昇速度に一致するか又は所定の誤差以内で、且つ、推定した煙プルームの太さが基準太さに一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災と判定し、それ以外に場合は非火災と判定する。
測定した煙プルームの太さを示す画素数をD、測定した煙プルームの上昇速度を示す速度画素数をU、煙プルームの基準太さをdr、煙プルームの基準上昇速度をur、撮像手段の垂直片側視野角をθA、撮像手段の水平片側視野角をθB、撮像手段の垂直片側画素数をA、撮像手段の水平片側画素数をBとした場合、
第1火点距離L1を、
L1=(B/D)(dr/tanθB)
により算出して推定し、
算出した第1火点距離L1における煙上昇速度uを、
u=(U/A)(L1・tanθA)
により算出して推定し、
第2火点距離L2を、
L2=(A/U)(ur/tanθA)
により算出して推定し、
算出した第2火点距離L2における煙プルーム太さdを
d=(D/B)(L2・tanθB)
により算出して推定する。
火災判定手段は、
基準太さの煙プルームが、測定手段で測定した煙プルーム太さの画素数で撮像される第1火点距離を推定すると共に、基準上昇速度の煙プルームが、測定手段で測定した上昇速度の速度画素数で撮像される第2の火点距離を推定し、
第1火点距離と第2火点距離が一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外の場合は非火災と判定する。
測定した煙プルームの太さを示す画素数をD、測定した煙プルームの上昇速度を示す速度画素数をU、煙プルームの基準太さをdr、煙プルームの基準上昇速度をur、撮像手段の垂直片側視野角をθA、撮像手段の水平片側視野角をθB、撮像手段の垂直片側画素数をA、撮像手段の水平片側画素数をBとした場合、
火災判定手段は、第1火点距離L1と第2火点距離L2を、
L1=(B/D)(dr/tanθB)
L2=(A/U)(ur/tanθA)
により算出して推定する。
また、火災判定手段は、火災を判定した後は、推定した火点距離L0に固定し、観測画像による煙プルームの太さを示す画素数Dと上昇速度を示す速度画素数Uから固定した火点距離L0で発生している煙プルームの太さdと上昇速度uを、
u=(U/A)(L0/tanθA)
d=(D/B)(L0/tanθB)
により算出して出力表示させる。
モデル火災設定手段は、所定の火点距離で撮像されるモデル火災の煙プルームによる上昇速度を示す速度画素数と太さを示す画素数との比率を算出して基準比率として予め設定し、
火災判定手段は、測定手段で測定した煙プルームの太さを示す画素数と上昇速度を示す速度画素数との比率を測定比率として算出して、火災モデルの基準比率と比較し、測定比率と基準比率が一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外の場合は非火災と判定する。
火災判定手段は、
測定した煙プルームの太さを示す画素数をD、上昇速度を示す速度画素数をUとした場合、両者の測定比率として(D/U)又は(U/D)を算出し、
モデル火災による所定の火点距離で撮像した煙プルームの太さを示す画素数をDr、上昇速度を示す速度画素数をUrとした場合の基準比率(Dr/Ur)又は(Ur/Dr)と比較し、
測定比率(D/U)と基準比率(Dr/Ur)が一致するか又は所定の誤差以内の場合又は測定比率(U/D)と基率比率(Ur/Dr)が一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外の場合は非火災と判定する。
測定手段は、撮像手段により撮影した画像から煙プルームの太さを示す画素数を測定し、撮像手段により所定の最大監視距離で撮像されるモデル火災による煙ブルームの太さを示す画素数以上の煙プルーム太さの画素数を測定した場合に、煙プルーム上昇速度の速度画素数を測定して判定手段に火災判定を行わせる。
モデル火災設定手段は、火災規模の異なる複数のモデル火災で発生する煙プルームの基準上昇速度と基準太さを設定し、
火災判定手段は、測定手段で測定した煙プルーム太さの画素数及び上昇速度の速度画素数が、モデル火災設定手段により複数のモデル火災の何れかに設定した煙プルームの基準太さ及び基準上昇速度との関係に相当する場合に火災を判定する。
また、火災判定手段は、測定手段で測定した煙プルーム太さの画素数及び煙上昇速度の速度画素数が、モデル火災設定手段により複数のモデル火災の何れか1つに設定した煙プルームの基準太さ及び基準上昇速度に相当した場合に予報警報を行い、予報警報を行ったときよりも火災規模の大きいモデル火災に設定した煙プルームの基準太さ及び基準上昇速度に相当した場合に本警報を行う。
本発明は、火災検知方法に於いて、
監視領域を撮影する撮像手段により撮影した画像から煙プルームが存在する画像を判定して前記煙プルームの太さを示す画素数と上昇速度を示す単位時間当りの画素数の変化である速度画素数を検出する測定ステップと、
一定規模のモデル火災により発生する煙プルームの太さと上昇速度を太さ基準値及び基準上昇速度として設定するモデル火災設定ステップと、
測定ステップで検出した煙プルームの太さを示す画素数及び煙上昇速度を示す速度画素数と、モデル火災設定ステップで設定した煙プルームの基準太さ及び基準上昇速度との関係に基づいて火災を判定して警報を出力させる火災判定ステップと、
を設けたことを特徴とする。
本発明の火災検知システムは、監視領域を撮影する撮像手段により撮影した画像から煙プルームが存在する画像を判定して煙プルームの太さを示す画素数と上昇速度を示す単位時間当りの画素数の変化である速度画素数を測定手段で測定し、また、モデル火災設定手段により、一定規模のモデル火災により発生する煙プルームの太さ及び上昇速度を基準太さ及び基準上昇速度として設定し、火災判定手段により、測定手段で測定した煙プルームの太さを示す画素数及び上昇速度を示す速度画素数と、モデル火災設定手段で設定した煙プルームの基準太さ及び基準上昇速度との関係に基づいて火災を判定して警報を出力させるようにしたため、モデル火災として設定した一定規模の火災による煙の観測画像から、距離に依存することなく火災を検知して警報を出力することを可能とし、遠くの火災であっても検知感度を落とすことなく確実に検知可能とし、また近くで発生したタバコの煙等の非火災現象を火災と誤判定してしまうことを防止可能とする。
また、第1火災判定として、火災判定手段は、基準太さの煙プルームが、測定手段で測定した煙プルーム太さの画素数で撮像される第1火点距離を推定すると共に、測定手段で測定した上昇速度の速度画素数から第1火点距離における煙プルームの上昇速度を算出して推定し、また、基準上昇速度の煙プルームが、測定手段で測定した上昇速度を示す速度画素数で撮像される第2火点距離を推定すると共に、測定手段で測定した煙プルームの太さを示す画素数から第2火点距離における煙プルームの太さを推定し、推定した煙プルームの上昇速度が基準上昇速度に一致するか又は所定の誤差以内で、且つ、太さ推定した煙プルームの太さが基準太さに一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外に場合は非火災と判定するようにしたため、モデル火災として設定した一定規模の火災による煙であれば、火点まで距離によらず、モデル火災に相当する火災と判定して警報することを可能とする。
また、火災判定手段は、基準太さの煙プルームが、測定手段で測定した煙プルーム太さの画素数で撮像される第1火点距離を推定すると共に、基準上昇速度の煙プルームが、測定手段で測定した上昇速度の速度画素数で撮像される第2火点距離を推定し、第1火点距離と第2火点距離が一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外の場合は非火災と判定するようにしたため、同様に、モデル火災として設定した一定規模の火災による煙であれば、火点まで距離の距離によらず、モデル火災に相当する火災と判定して警報することを可能とする。また、煙プルーム太さ及び上昇速度の測定画素数と火災モデルによる煙プルーム基準太さ及び基準上昇速度の関係から第1及び第2火点距離を推定して比較判定することから、第1火災判定に比べ、処理を簡単して高速処理を可能とする。
また、火災判定手段は、火災を判定した後は、推定した火点距離に固定し、観測画像による煙プルームの太さを示す画素数と上昇速度を示す速度画素数から固定した火点距離で発生している煙プルームの太さと上昇速度を算出して出力表示させるようにしたため、火災を判定した後は、そのときに推定した火点距離に火災が発生しているとして火点距離を固定し、固定した火点距離で発生している煙プルームの太さと上昇速度を火災報知設備等に出力して表示させることで、火災の進展状況を把握可能とする。
また、モデル火災設定手段は、所定の火点距離で撮像されるモデル火災の煙プルームによる煙上昇速度を示す速度画素数と太さを示す画素数との比率を算出して基準比率として予め設定し、火災判定手段は、測定手段で測定した煙プルームの太さを示す画素数と上昇速度を示す速度画素数との比率を測定比率として算出して、火災モデルの基準比率と比較し、測定比率と基準比率が一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外の場合は非火災と判定するようにしたため、同様に、モデル火災として設定した一定規模の火災による煙であれば、火点まで距離の距離によらず、モデル火災に相当する火災と判定して警報することを可能とする。
また、測定手段は、撮像手段により撮影した画像から煙プルームの太さを示す画素数を測定し、撮像手段により所定の最大監視距離で撮像されるモデル火災による煙ブルームの太さを示す画素数以上の煙プルーム太さの画素数を測定した場合に、煙プルーム上昇速度の速度画素数を測定して判定手段に火災判定を行わせるようにしたため、想定したモデル火災による煙プルーフの太さ未満の非火災現象による煙プループによる火災判定を抑止し、処理負担を低減可能とする。
また。モデル火災設定手段は、火災規模の異なる複数のモデル火災で発生する煙プルームの基準上昇速度と基準太さを設定し、火災判定手段は、測定手段で測定した煙プルーム太さの画素数及び上昇速度の速度画素数と、モデル火災設定手段により複数のモデル火災毎に設定した煙プルームの基準太さ及び基準上昇速度との関係に基づいて火災を判定するようにしたため、想定される火災規模のモデル火災を複数設定して火災を判定可能とし、例えば、大小2段階の火災規模のモデル火災設定し、規模の小さいモデル火災に相当する火災の判定により予報警報(プリアラーム)を行い、規模の大きいモデル火災に相当する火災の判定で本警報を行うことを可能とし、火災の早期発見を可能とする。
図1は本発明による火災検知システムを設置した監視領域を示した説明図である。
(煙プルーム)
図2は、図1示したように、火災により発生する煙をモデル化して示した説明図である。
本発明で想定するモデル火災における煙プルーム24の上昇速度は、アルパート(Alpart)による天井流の実験式から設定する。このアルパートの実験式は、1972年5月18日、米国、フィラディルフィアで開催されたNational Fire Protection Association の年次会合の76番目の論文「天井設置された火災感知器の時間応答の計算(Calculation of Response Time of Ceiling−Mounted Fire Detectors)」として発表されている。
uH=0.95・(Q/H)1/3
火災は自然拡大していくに従い、次第に煙プルームの太さは大きくなり、火点の温度は高くなっていく。例えば、木材が何らかの熱源により燻焼状態となったときを考える。燻焼領域が拡大するに従い、発生する煙プルームは太くなっていき、並行して火点温度は高くなり、それに連れて煙の上昇速度は大きくなっていく。その一例を図6に示す。
(火災検知システムの機能構成)
図7は本発明による火災検知システムの機能構成の概略を示したブロック図である。図7に示すように、火災検知システムは、監視カメラ10と画像処理装置12で構成され、画像処理装置12は、そのハードウェアとしてCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等で構成される。
基準太さdr=0.3(m)
基準上昇速度ur=3.5(m/s)
を設定する。
図8は、煙プルームの上昇速度と撮像した速度画素数の関係を監視カメラの垂直監視領域について示した説明図である。
30(m)/500(pxl)=6(cm/pxl)
となる。また、同様に、監視カメラ10からカメラから3m離れた地点での1ピクセルあたりの監視高さは
3(m)/500(pxl)=0.6(cm/pxl)
となる。
3.5(m/s)/6(cm/pxl)=58(pxl/s)
で観測されることとなる。
3.5(m/s)/6(cm/pxl)=583(pxl/s)
で観測されることとなる。
この関係式から、煙プルーム24における上昇速度u(m/s)に対応した速度画素数U(pxl/s)が監視カメラ10の観測画像から検出できれば、垂直半角画素数A=500(pxl)、垂直片側視野角θA=45°が定数で与えられることから、火点距離Lを
L=(A/U)(u/tanθA) (式2)
として推定することができる。
図9は、煙プルームの太さと撮像した画素数の関係を監視カメラの水平監視領域視について示した説明図である。
30・(700/500)=42(m)
となり、このため水平半角視野角θBは、
θB=tan-1(42/30)=54.5(°)
となる。
D=700(pxl)・(0.3m/42m)=5(pxl)
となる。
D=700(pxl)・(0.3m/4.2m)=50(pxl)
となる。
この関係式から、煙プルーム24における太さd(m)に対応した画素数D(pxl)が監視カメラ10の観測画像から検出できれば、水平半角画素数B=500(pxl)、片側視野角θB=54.5°が定数で与えられることから、火点距離Lを
L=(B/D)(d/tanθB) (式4)
として推定することができる。
図7に示した画像処理装置12の火災判定部32は、次の手順に従った第1火災判定プロセスにより火災を判定する。
火災判定部32は、モデル火災設定部30でモデル火災として設定した基準太さdr(m)の煙プルームが、測定部28で測定した煙プルーム太さd(m)の画素数D(pxl)で撮像される第1火点距離L1を推定すると共に、測定部28で測定した上昇速度u(m/s)から速度画素数U(pxl/s)の第1火点距離L1における上昇速度u(m)を算出して推定する。
火災判定部32は、モデル火災設定部30でモデル火災として設定した基準上昇速度ur=3.5(m/s)の煙プルームが、測定部28で測定した上昇速度u(m/s)を示す速度画素数U(pxl/s)で撮像される第2火点距離L2を推定すると共に、測定部28で測定した煙プルームの太さを示す画素数D(pxl)から第2火点距離L2における煙プルームの太さd(m)を推定する。
火災判定部32は、手順1で推定した上昇速度u(m/s)が基準上昇速度ur=3.5(m/s)に一致するか又は所定の誤差以内で、且つ、手順2で推定した煙プルーム太さd(m)が基準太さdr=0.3(m)に一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災と判定し、それ以外に場合は非火災と判定する。
L1=(B/D)(dr/tanθB) (式5)
により算出して推定し、算出した第1火点距離L1における煙プルームの上昇速度uを、
u=(U/A)(L1・tanθA) (式6)
により算出して推定する。
L2=(A/U)(ur/tanθA) (式7)
により算出して推定し、算出した第2火点距離L2における煙プルームの太さdを
d=(D/B)(L2・tanθB) (式8)
により算出して推定する。
第1火災判定プロセスによる火災判定の具体例を第1乃至第3ケースについて説明する。
煙プルームの太さを示す画素数D=14(pxl)、上昇速度を示す速度画素数U=115(pxl/s) と観測された場合、第1手順により、第1火点距離L1と、第1火点距離L1における煙プルームの上昇速度uを、前記(式5)(式6)から
L1=(700/14)(0.3/1.40)=10.7(m)
u=(115/500)(15・1)=3.45(m/s)
として算出して推定する。
L2=(500/115)(3.5/1)=15.2(m)
d=(14/700(15.2・1.40)=0.42(m)
として算出して推定する。
煙プルームの太さを示す画素数D=7(pxl)、煙上昇速度を示す速度画素数U=17(pxl/s) と観測された場合であり、次の算出結果が得られる。
L1=(700/7)(0.3/1.40)=21.4(m)
u =(17/500)(30・1)=1.02(m/s)
L2=(500/17)(3.5/1)=100(m)
d =(14/700(100・1.40)=1.4(m)
このケースの火炎はモデル火炎と比較して煙上昇速度uのわりにプルーム太さdが異常に大きく、火災によるプルームではないと判定できる。これは例えば劇場用スモーク等が想定される。
煙プルームの太さを示す画素数D=25(pxl)、煙上昇速度を示す速度画素数U=58(pxl/s) と観測された場合であり、次の算出結果が得られる。
L1=(700/25)(0.3/1.40)=5.7(m)
u =(17/500)(8・1) =0.93(m/s)
L2=(500/58)(3.5/1)=15.2(m)
d =(14/700(15.2・1.40)=0.76(m)
このケースの火炎はモデル火炎と比較してプルーム太さdのわりに煙上昇速度uが小さく、火災によるプルームではないと判定できる。これは監視カメラ10の近くで観測した例えばタバコの煙であると推察することができる。
図11は、第1火災判定プロセスを含む火災検知処理を示したフローチャートである。図11に示すように、まずステップS1(以下「ステップ」は省略)でモデル火災に対応した煙プルームの基準太さdr、煙プルームの基準上昇速度ur、監視カメラ10の垂直片側視野角θA、監視カメラ10の水平片側視野角θB、垂直片側画素数A及び水平片側画素数Bを定数として設定する。
図7に示した画像処理装置12の火災判定部32は、次の手順に従った第2火災判定プロセスにより火災を判定する。
火災判定部32は、モデル火災設定部30でモデル火災として設定した基準太さdr(m)の煙プルームが、測定部28で測定した煙プルーム太さd(m)の画素数D(pxl)で撮像される第1火点距離L1を推定する。
火災判定部32は、モデル火災設定部30でモデル火災として設定した基準上昇速度ur=3.5(m/s)の煙プルームが、測定部28で測定した上昇速度u(m/s)を示す速度画素数U(pxl/s)で撮像される第2火点距離L2を推定する。
火災判定部32は、手順2で推定した第1火点距離L1と第2火点距離L2が一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外に場合は非火災と判定する。
L1=(B/D)(dr/tanθB) (式9)
により算出して推定し、また第2火点距離L2を、
L2=(A/U)(ur/tanθA) (式10)
により算出して推定する。
第2火災判定プロセスによる火災判定の具体例を第1乃至第3ケースについて説明する。
煙プルームの太さを示す画素数D=14(pxl)、煙上昇速度を示す速度画素数U=115(pxl/sec) と観測された場合、第1手順及び第2手順により、第1火点距離L1と第2火点距離L2を、(式9)(式10)から
L1=(700/14)(0.3/1.40)=10.7(m)
L2=(500/115)(3.5/1)=15.2(m)
として算出する。
煙プルームの太さを示す画素数D=7(pxl)、煙上昇速度を示す速度画素数U=17(pxl/sec) と観測された場合であり、次の算出結果が得られる。
L1=(700/7)(0.3/1.40)=21.4(m)
L2=(500/17)(3.5/1)=102.9(m)
このケースの火炎は第1火点距離L1と第2火点距離L2が大きく相違していることから、火災によるプルームではないと判定できる。
煙プルームの太さを示す画素数D=25(pxl)、煙上昇速度を示す速度画素数U=58(pxl/sec) と観測された場合であり、次の算出結果が得られる。
L1=(700/25)(0.3/1.40)=5.7(m)
L2=(500/58)(3.5/1)=30.2(m)
このケースの火炎も第1火点距離L1と第2火点距離L2が大きく相違していることから、火災によるプルームではないと判定できる。
図13は、第2火災判定プロセスを含む火災検知処理を示したフローチャートである
図13に示すように、まずS11でモデル火災に対応した煙プルームの基準太さdr、基準上昇速度ur、監視カメラ10の垂直片側視野角θA、監視カメラ10の水平片側視野角θB、垂直片側画素数A及び水平片側画素数Bを定数として設定する。
図7に示した画像処理装置12の火災判定部32は、次の手順に従った第3火災判定プロセスにより火災を判定する。
火災判定部32は、測定部28で測定した煙プルームの太さを示す画素数D(pxl)と上昇速度を示す速度画素数U(pxl/s)との比率を測定比率(D/U)として算出する。
火災判定部32は、手順1で算出した測定比率(D/U)と基準比率(Dr/Ur)とを比較し、測定比率(D/U)と基準比率(Dr/Ur)が一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外の場合は非火災と判定する。
第3火災判定プロセスによる火災判定の具体例を第1乃至第3ケースについて説明する。
煙プルームの太さを示す画素数D=9(pxl)、煙上昇速度を示す速度画素数U=115(pxl/sec) と観測された場合、第1手順により測定比率(D/U)として
(D/U)=9/115=0.078
を算出し、基準比率(Dr/Ur)=0.086と比較する。この場合、両者はほぼ一致することから(所定の誤差範囲内)、モデル火災の煙プルームに相当する煙プルームの存在を推定して火災と判定する。
煙プルームの太さを示す画素数D=7(pxl)、煙上昇速度を示す速度画素数U=17(pxl)と観測された場合であり、次の測定比率を算出して基準比率(Dr/Ur)=0.086と比較する。
(D/U)=7/17=0.412
このケースの火炎は両者の比率が大きく相違していることから、火災によるプルームではないと判定できる。
煙プルームの太さを示す画素数D=25(pxl)、煙上昇速度を示す速度画素数U=58(pxl/sec) と観測された場合であり、次の測定比率を算出して基準比率(Dr/Ur)=0.086と比較する。
(D/U)=25/58=0.431
このケースの火炎も両者の比率が大きく相違していることから、火災によるプルームではないと判定できる。
図15は、第3火災判定プロセスを含む火災検知処理を示したフローチャートである
図15に示すように、まずS21でモデル火災に対応した煙プルームの基準太さ画素数Dr、基準上昇速度の速度画素数Ur、基準比率(Dr/Ur)を定数として設定する。なお、基準比率(Dr/Ur)は、モデル火災設定部30が、所定の火点距離で撮像されるモデル火災の煙プルームによる基準煙上昇速度を示す速度画素数Urと、煙プルームの基準太さを示す画素数Drとの比率として予め算出した値を定数として設定する。
本実施例では、一定規模のモデル火災を想定し、このモデル火災で発生するプルームの太さを0.3(m)、煙上昇速度を3.5(m/s)に設定し、観測画像から推定したプルーム太さと煙上昇速度からモデル火災に相当すると判定された場合、火災を検知している。
図7の実施形態に示した火災判定部32にあっては、推定した上昇速度が基準上昇速度に一致するか又は所定の誤差以内で、且つ、推定した煙プルーム太さが基準太さに一致するか又は所定の誤差以内の場合にモデル火災に相当するとして火災を判定しているが、火災を判定した後は、そのときに推定した火点距離L0に火災が発生しているとして、火点距離L0は再計算せずに固定し、観測画像による煙プルームの太さを示す画素数Dと上昇速度を示す速度画素数Uから固定した火点距離L0で発生している煙プルームの太さdと上昇速度uを、前記式3及び式4を変形した
u=(U/A)(L0/tanθA)
d=(D/B)(L0/tanθB)
により算出して火災報知設備14に出力して表示させ、火災の進展状況を把握可能とする。
(監視カメラ)
上記の実施形態にあっては、説明を簡単にするため監視カメラの垂直片側視野角θAを45°とした場合を例にとっているが、適宜の片側視野角に適用できる。また、監視カメラの垂直及び水平の画素数も(1000×1400)ピクセルに限定されず、適宜の解像度のものが使用できる。また、監視カメラの最大監視距離も監視領域の状況に応じて適宜に設定することになる。
上記の実施形態にあっては、監視カメラと画像処理装置を分離配置して伝送路により接続しているが、両者を一体化した装置としても良い。
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
12:画像処理装置
14:火災報知設備
15:撮像領域
16:監視領域
18:火点
20:煙
24:煙プルーム
26:伝送部
28:測定部
30:モデル火災設定部
32:火災判定部
Claims (15)
- 監視領域を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段により撮影した画像から煙プルームが存在する画像を判定して前記煙プルームの太さを示す画素数と上昇速度を示す単位時間当りの画素数の変化となる速度画素数を検出する測定手段と、
一定規模のモデル火災により発生する煙プルームの太さ及び上昇速度を基準太さ及び基準上昇速度として設定するモデル火災設定手段と、
前記測定手段で検出した煙プルームの太さを示す画素数及び上昇速度を示す速度画素数と、前記モデル火災設定手段で設定した煙プルームの基準太さ及び基準上昇速度との関係に基づいて火災を判定して警報を出力させる火災判定手段と、
を設けたことを特徴とする火災検知装置。
- 請求項1記載の火災検知装置に於いて、
前記火災判定手段は、
前記基準太さの煙プルームが、前記測定手段で測定した煙プルーム太さの画素数で撮像される第1火点距離を推定すると共に、前記測定手段で測定した上昇速度の速度画素数から前記第1火点距離における上昇速度を算出して推定し、
前記基準上昇速度の煙プルームが、前記測定手段で測定した上昇速度を示す速度画素数で撮像される第2火点距離を推定すると共に、前記測定手段で測定した煙プルームの太さを示す画素数から前記第2火点距離における煙プルームの太さを推定し、
前記推定した上昇速度が前記基準上昇速度に一致するか又は所定の誤差以内で、且つ、前記推定した煙プルーム太さが前記基準太さに一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外に場合は非火災と判定することを特徴とする火災検知装置。
- 請求項2記載の火災検知装置に於いて、
測定した煙プルームの太さを示す画素数をD、測定した煙プルームの上昇速度を示す速度画素数をU、煙プルームの前記基準太さをdr、煙プルームの前記基準上昇速度をur、前記撮像手段の垂直片側視野角をθA、前記撮像手段の水平片側視野角をθB、前記撮像手段の垂直片側画素数をA、前記撮像手段の水平片側画素数をBとした場合、
前記火災判定手段は、前記第1火点距離L1を、
L1=(B/D)(dr/tanθB)
により算出して推定し、
算出した前記第1火点距離L1における煙プルームの上昇速度uを、
u=(U/A)L1・tanθA
により算出して推定し、
前記第2火点距離L2を、
L2=(A/U)(ur/tanθA)
により算出して推定し、
算出した前記第2火点距離L2における煙プルームの太さdを
d=(D/B)L2・tanθB
により算出して推定することを特徴とする火災検知装置。
- 請求項1記載の火災検知装置に於いて、
前記火災判定手段は、
前記基準太さの煙プルームが、前記測定手段で測定した煙プルーム太さの画素数で撮像される第1火点距離を推定すると共に、前記基準上昇速度の煙プルームが、前記測定手段で測定した上昇速度の速度画素数で撮像される第2火点距離を推定し、
前記第1火点距離と前記第2火点距離が一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外の場合は非火災と判定することを特徴とする火災検知装置。
- 請求項4記載の火災検知装置に於いて、
測定した煙プルームの太さを示す画素数をD、測定した煙プルームの上昇速度を示す速度画素数をU、煙プルームの前記基準太さをdr、煙プルームの前記基準上昇速度をur、前記撮像手段の垂直片側視野角をθA、前記撮像手段の水平片側視野角をθB、前記撮像手段の垂直片側画素数をA、前記撮像手段の水平片側画素数をBとした場合、
前記火災判定手段は、前記第1火点距離L1と前記第2火点距離L2を、
L1=(B/D)(dr/tanθB)
L2=(A/U)(ur/tanθA)
により算出して推定することを特徴とする火災検知装置。
- 請求項3又は5記載の火災検知装置に於いて、前記火災判定手段は、火災を判定した後は、推定した火点距離L0に固定し、前記観測画像による煙プルームの太さを示す画素数Dと上昇速度を示す速度画素数Uから前記固定した火点距離L0で発生している煙プルームの太さdと上昇速度uを、
u=(U/A)(L0/tanθA)
d=(D/B)(L0/tanθB)
により算出して出力表示させることを特徴とする火災検知装置。
- 請求項1記載の火災検知装置に於いて、
前記モデル火災設定手段は、所定の火点距離で撮像されるモデル火災の煙プルームによる上昇速度を示す速度画素数と前記煙プルーム太さを示す画素数との比率を算出して基準比率として予め設定し、
前記火災判定手段は、前記測定手段で測定した煙プルームの太さを示す画素数と上昇速度を示す速度画素数との比率を測定比率として算出して、前記火災モデルの基準比率と比較し、前記測定比率と前記基準比率が一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外の場合は非火災と判定することを特徴とする火災検知装置。
- 請求項7記載の火災検知装置に於いて、
前記火災判定手段は、
測定した煙プルームの太さを示す画素数をD、上昇速度を示す速度画素数をUとした場合、両者の測定比率として(D/U)又は(U/D)を算出し、
前記モデル火災による煙プルームの基準太さ画素数をDr、基準上昇速度の速度画素数をUrとした場合の前記基準比率(Dr/Ur)又は(Ur/Dr)と比較し、
前記測定比率(D/U)と前記基準比率(Dr/Ur)が一致するか又は所定の誤差以内の場合又は前記測定比率(U/D)と前記基率(Ur/Dr)が一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外の場合は非火災と判定することを特徴とする火災検知装置。
- 請求項1記載の火災検知装置に於いて、前記測定手段は、前記撮像手段により撮影した画像から煙プルーム太さの画素数を測定し、前記撮像手段による最大監視距離で撮像される前記モデル火災による煙ブルーム太さの画素数以上の煙プルーム太さの画素数を測定した場合に、前記煙プルーム上昇速度の速度画素数を測定して前記判定手段に火災判定を行わせることを特徴とする火災検知装置。
- 請求項1記載の火災検知装置に於いて、
前記モデル火災設定手段は、火災規模の異なる複数のモデル火災で発生する煙プルームの基準上昇速度と基準太さを設定し、
前記火災判定手段は、前記測定手段で測定した煙プルーム太さの画素数及び煙上昇速度の速度画素数が、前記モデル火災設定手段により前記複数のモデル火災の何れかに設定した煙プルームの基準太さ及び基準上昇速度に相当する場合に火災を判定することを特徴とする火災検知装置。
- 請求項10記載の火災検知装置に於いて、
前記火災判定手段は、前記測定手段で測定した煙プルーム太さの画素数及び煙上昇速度の速度画素数が、前記モデル火災設定手段により前記複数のモデル火災の何れか1つに設定した煙プルームの基準太さ及び基準上昇速度に相当した場合に予報警報を行い、前記予報警報を行ったときよりも火災規模の大きいモデル火災に設定した煙プルームの基準太さ及び基準上昇速度に相当した場合に本警報を行うことを特徴とする火災検知装置。
- 監視領域を撮影する撮像手段により撮影した画像から煙プルームが存在する画像を判定して前記煙プルームの太さを示す画素数と上昇速度を示す単位時間当りの画素数の変化である速度画素数を検出する測定ステップと、
一定規模のモデル火災により発生する煙プルームの太さと上昇速度を基準太さ及び基準上昇速度として設定するモデル火災設定ステップと、
前記測定ステップで検出した煙プルームの太さを示す画素数及び煙上昇速度を示す画素数と、前記モデル火災設定ステップで設定した煙プルームの基準太さ及び基準上昇速度との関係に基づいて火災を判定して警報を出力させる火災判定ステップと、
を設けたことを特徴とする火災検知方法。
- 請求項12記載の火災検知方法に於いて、
前記火災判定ステップは、
前記基準太さの煙プルームが、前記測定手段で測定した煙プルーム太さの画素数で撮像される第1火点距離を推定すると共に、前記測定手段で測定した上昇速度の速度画素数から前記第1火点距離における上昇速度を算出して推定し、
前記基準上昇速度の煙プルームが、前記測定手段で測定した上昇速度を示す画素数で撮像される第2火点距離を推定すると共に、前記測定手段で測定した煙プルームの太さを示す画素数から前記第2火点距離における煙プルームの太さを推定し、
前記推定した上昇速度が前記基準上昇速度に一致するか又は所定の誤差以内で、且つ、前記推定した煙プルーム太さが前記基準太さに一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外に場合は非火災と判定することを特徴とする火災検知方法。
- 請求項12記載の火災検知方法に於いて、
前記火災判定ステップは、
前記基準太さの煙プルームが、前記測定手段で測定した煙プルーム太さの画素数で撮像される第1火点距離を推定すると共に、前記基準上昇速度の煙プルームが、前記測定手段で測定した上昇速度の速度画素数で撮像される第2火点距離を推定し、
前記第1火点距離と前記第2火点距離が一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外の場合は非火災と判定することを特徴とする火災検知方法。
- 請求項12記載の火災検知方法に於いて、
前記モデル火災設定ステップは、所定の火点距離で撮像されるモデル火災の煙プルームによる煙上昇速度を示す画素数と前記煙プルーム太さを示す画素数との比率を算出して基準比率として予め設定し、
前記火災判定ステップは、前記測定手段で測定した煙プルームの太さを示す画素数と上昇速度を示す速度画素数との比率を測定比率として算出して、前記火災モデルの基準比率と比較し、前記測定比率と前記基準比率が一致するか又は所定の誤差以内の場合に火災を判定し、それ以外の場合は非火災と判定することを特徴とする火災検知装置。
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