JP6345524B2 - 電気化学プロセスによる化学品の製造方法及び製造装置 - Google Patents

電気化学プロセスによる化学品の製造方法及び製造装置 Download PDF

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本発明は、イオン交換膜を用いた電気化学プロセスによる酸性および塩基性の化学品合成に関し、特に、酸化還元媒体(レドックス媒体)の光触媒反応を用いた低電圧化の方法、並びに当該方法を用いた装置に関する。
人類社会は経済活動(物質・人・金・情報)の流動の中で様々な価値を創造しているが、その流動は膨大なエネルギー消費によって生み出されている。持続可能社会の構築のためには省エネルギーおよび再生可能エネルギーの両方の推進が不可欠である。再生可能エネルギーの中で最も膨大な太陽エネルギーを積極的に利用する方法として、太陽光発電による一次エネルギーとしての利用だけでは無く、その光エネルギーを様々な化学反応プロセスに組み込むことができれば、創エネと省エネを同時に達成できるためにまさに理想的である。
太陽エネルギーを化学物質に変換する技術として、半導体光触媒や光電極を利用した人工光合成技術がある。水を水素と酸素に分解するソーラー水素製造や炭酸ガスを有機物に変換するソーラー燃料技術などが世界中で研究されている。しかし、このような反応だけで無く、この技術形態や反応の種類には植物のようにもっと多様性が有って良い。早期の実用化を目指すためには、多くの新規反応と新規技術を開発する必要がある。
発明者らは以前、レドックス反応を進行する光触媒と水分解水素製造を組み合わせた光触媒−電解ハイブリッドシステムを考案している(特許文献1−3、非特許文献1)。例えば、Fe3+水溶液からFe2+を生成しながら水を酸化して酸素を発生させる。このレドックス反応は光エネルギーを蓄積するアップヒル反応である。Fe2+イオンのままではエネルギーを利用しにくいので、カチオン交換膜で仕切った2室型の水電解装置のアノード電極でFe2+をFe3+に酸化しながらカソード電極で水素を製造する。カチオン交換膜ではプロトン(H+)が移動する。トータルでは水を水素と酸素に分解するソーラー水素製造が進行できる。必要な理論電圧はレドックス反応と水素発生の酸化還元準位の差になる。
しかし、現状では大規模な水素製造の需要は少なく、このような新エネルギーの未来技術の実用化は進んでいない。光触媒のレドックス反応で蓄えられたエネルギーを現実の社会に役立てるためには、その蓄えられたエネルギーの活用技術を新規に開発する必要がある。発明者らは、光触媒のレドックス反応で蓄えられたエネルギーを応用できる技術を模索した結果、本発明を考案した。
実用化されている電気化学プロセスにはいくつかの種類かある。例えば、苛性ソーダ(NaOH)電解合成(日本で年産400万トン)に適応し、レドックス媒体を用いた半導体光触媒を組み込めれば省エネ化に貢献できる可能性がある。日本の電解ソーダ工業の年間電力消費量は約110億kWhで、化学工業全体の約17%を占めるほど膨大である。従来技術では海水を電解してカソード側でNaOHと水素を製造するとともにアノード側で塩素(Cl-/Cl2=+1.36V)が生成する。理論電解電圧は2.19Vであるが、実際は過電圧により約3Vで稼働している。この電解電圧を少しでも低下できれば非常に大きな省エネにつながる。例えば、単純計算でNaOH製造の2割に適応するだけで4億kWh分に相当する省エネ効果がある。また、電解を利用して様々なイオンを含む溶液から酸や塩基を製造するプロセスも工業的に稼働しているが、その電圧を低下できれば大きな省エネになる。
光エネルギーによって電解電圧を低下させる技術としては光電極反応があるが、通常はレドックス媒体を用いない。半導体膜を導電性基板に成膜し、対極とともに用いる技術である(非特許文献2)。しかし、大面積化においては、導電性基板や配線を用いる光電極よりも光触媒の方が優れている。レドックス媒体を介在することで、昼間だけでなく、安い夜間電力を使えるメリットおよび変動の激しい再生可能エネルギー由来の電力変動を吸収するメリットがある。
特願平9-325708、登録3198298、光触媒−電解ハイブリッドシステムによる水素の製造方法,佐山 和弘,荒川 裕則,岡部 清美,草間 仁,工業技術院、1997/11/27 特願2003-051854、水素及び酸素の製造方法及びその装置、佐山和弘、荒川裕則、阿部竜、産総研、2003/02/27 特願2000-391356、登録3455779、半導体光触媒反応装置及び電解装置からなる水素の製造装置,佐山 和弘,荒川 裕則,岡部 清美,草間 仁,産総研、2000/12/22
三石 雄悟、草間 仁、杉原 秀樹、佐山 和弘,Cs-Modified WO3 Photocatalyst Showing Efficient Solar Energy Conversion for O2 Production and Fe (III) Ion Reduction under Visible Light, The Journal of Physical Chemistry Letters,1-8,pp.1196-1200、2010。 A. Fujishima and K. Honda: Electrochemical photolysis of water at a semiconductor electrode, Nature, 238, 37-38 (1972).
以上のような背景から、本発明は、原料塩水溶液から酸性または塩基性の化学品合成を行うイオン交換膜を用いた電気化学プロセスにおいて、光触媒のレドックス反応で蓄えられたエネルギーを適応して電解電圧を低下できる技術を提供することを課題としている。
本発明者らは、原料塩水溶液から酸性または塩基性の化学品合成を行うイオン交換膜を用いた電気化学プロセスに、光触媒のレドックス反応で蓄えられたエネルギーを適応して電解電圧を低下できる技術を鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
すなわち、この本発明は以下のことを特徴としている。
[1]金属塩の水溶液を原料とし、カチオン交換膜で原料金属のカチオンをカソード電極側に移動させて、カソード電極側で塩基性の水溶液を製造し、アノード電極側で酸性の水溶液を製造する電気化学プロセスにおいて、
光触媒反応で生じたレドックス媒体の還元体を、アノード電極に接触させることにより電解電圧を低下させることを特徴とする光エネルギーを利用した化学品製造方法。
[2]前記レドックス媒体は、その標準酸化還元準位が、酸素発生準位(O2/H2O=+1.23V、NHE、pH=0)よりも負側にあることを特徴とする請求項1に記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
[3]前記レドックス媒体が、鉄イオンであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
[4]前記カチオン交換膜に接触する反応溶液において、金属カチオン濃度がプロトン濃度より高い条件で反応を行うことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
[5]前記カチオン交換膜に、アノード電極側にアニオンを移動させるアニオン交換膜を組み合わせて用いることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
[6]前記アノード電極と前記カソード電極の間に、プロトン選択性カチオン交換膜およびアニオン交換膜、カチオン交換膜をこの順に設置することを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
[7]前記塩基性の水溶液が、アルカリ金属の水酸化物水溶液であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
[8]前記アノード電極側で生成する酸性の水溶液が、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸又は有機酸の水溶液であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
[9]前記カソード電極での反応が、酸素還元反応であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
[10]金属塩の水溶液を原料とし、電気化学反応により塩基性の水溶液及び酸性の水溶液を製造する化学品製造装置であって、
内部にアノード電極及びカソード電極並びに両電極間に配置されたカチオン交換膜を備えた電解槽と、光触媒を備えた光触媒反応槽とを有し、
該光触媒反応槽で生成されたレドックス媒体の還元体を含む溶液を、前記アノード電極側の電解槽に導入する手段を設けたことを特徴とする化学品製造装置。
[11][10]に記載の化学品製造装において、前記電解槽内の前記アノード電極と前記カチオン交換膜の間にさらにアニオン交換膜を備え、
前記光触媒反応槽で生成されたレドックス媒体の還元体を含む溶液を、前記アノード電極側の電解槽に導入する手段と、
前記金属塩の水溶液を、前記アニオン交換膜とカチオン交換膜の間の電解槽に導入する手段とを設けたことを特徴とする化学品製造装置。
[12][11]に記載の化学品製造装置において、前記電解槽内の前記アノード電極と前記アニオン交換膜の間にさらにH選択性カチオン交換膜を備えたことを特徴とする化学品製造装置。
本発明によれば、原料塩水溶液から酸性または塩基性の化学品合成を行うイオン交換膜を用いた電気化学プロセスに、光触媒のレドックス反応で蓄えられたエネルギーを適応することにより、電解電圧を低下させることができる。
本発明の、2室型電解槽を用いた化学品製造プロセス及び装置を模式的に示す図。 本発明の、3室型電解槽を用いた化学品製造プロセス及び装置を模式的に示す図。 本発明の、4室型電解槽を用いた化学品製造プロセス及び装置を模式的に示す図。
本発明の光エネルギーを利用した化学品製造方法は、金属塩の水溶液を原料とし、カチオン交換膜で原料金属のカチオンをカソード電極側に移動させて、カソード電極側で塩基性の水溶液を製造し、アノード電極側で酸性の水溶液を製造する電気化学プロセスにおいて、光触媒反応で生じたレドックス媒体の還元体を、アノード電極に接触させることにより電解電圧を低下させることを特徴とする。
以下、本発明について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の1実施形態を模式的に示す図であり、化学品の原料の塩(MX)の溶解した水溶液から塩基性化学品(MOH)高濃度溶液及び酸性化学品(HX)高濃度溶液を製造する電気化学プロセスを模式的に示している。
図1に示すとおり、本発明の該実施形態における電気化学プロセスは、2室型の電解槽内にそれぞれアノード電極及びカソード電極が配置されており、両室間に設けられたカチオン交換膜により、カチオンをアノード電極側からカソード電極側に移動させて、アノード電極側及びカソード電極側のそれぞれに、酸性の水溶液及び塩基性の水溶液を製造するものである。すなわち、カソード電極側の電解槽は塩基性化学品の濃度が高くなることで強い塩基性水溶液となり、アノード電極側の電解槽は酸性化学品の濃度が高くなることで強い酸性水溶液となる。
本発明においては、前記のカチオン交換膜で金属カチオンを移動させる点に加え、光触媒反応で生じたレドックス媒体を含む水溶液を、上記のアノード電極側の電解槽に流入させることにより、還元体(A−Red)をアノード電極側に接触させる点に特徴を有するものである。
すなわち、図1に図示する「光触媒反応槽」では、光触媒及びレドックス媒体の酸化体(A−Ox)が存在する水溶液に光照射することにより、レドックス媒体の酸化体(A−Ox)をレドックス媒体の還元体(A−Red)に変化させる還元反応が進行する。該A−Ox/A−Redの対としては、標準酸化還元準位として、酸素発生準位(O2/H2O=+1.23V、NHE、pH=0)よりも負側の酸化還元準位の反応種が利用できる。特に好ましくはFe3+/Fe2+(+0.77V)である。
本発明においては、この還元体(A−Red)を含んだ水溶液を、電気化学プロセスのアノード電極側の電解槽に流入させることにより、還元体(A−Red)をアノード電極側に接触させて電解電圧を低下させるものである。
化学品の原料の塩(MX)(カチオン(M+)とアニオン(X-)からなる塩)における「カチオン」としては、様々なプラス電荷のイオンが用いられるが、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、有機金属イオンなどであるが、好ましくはアルカリ金属イオンである。特にNa+イオンが好ましい。金属イオンだけで無くアンモニウムイオンなどのカチオンも利用できる。
また、化学品の原料の塩(MX)における「アニオン」としては、塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、ホウ酸イオン、過塩素酸イオン、有機酸イオンなどであ。特に塩化物イオンと硫酸イオン、過塩素酸イオンが好ましい。
本発明の電気化学プロセスにおける生成物は、カチオン(M+)の水酸化物(MOH)(塩基性化学品)の高濃度溶液及びアニオン(X-)の酸(HX)(酸性化学品)の高濃度溶液である。
アノード電極上では、レドックス媒体の還元体(A−Red)が酸化体(A−Ox)になる酸化反応が進行する。この時の反応はそのA−Ox/A−Redの標準酸化還元準位付近で進行する。つまり、酸素発生や塩素発生よりも進行しやすい。
カソード電極上では、ある酸化体(C−Ox)が還元体(C−Red)になる還元反応が進行する。主な反応としては、水からの水素製造や酸素の還元反応がある。電圧低下の観点からは、好ましくは酸素の還元反応である。
カチオン交換膜では、塩(MX)のカチオン(M+)がプロトンよりも優先して透過する条件で反応を行うことが好ましい。その膜の両側を弱酸性や特に、中性付近から塩基性で反応を行うと、塩(MX)のカチオン(M+)がカソード電極側に移動するので、その水酸化物(MOH)の高濃度溶液が得られる。その高濃度溶液はカソード電極槽から流出し、その後脱水することで塩基性の化学品(MOH)が得られる。特に、金属カチオン濃度がプロトン濃度より高い条件での反応が良い。カチオン交換膜付近を強い酸性にするとプロトンが優先的にカソード側に透過して好ましくないので、その場合は酸を別途回収(透析、蒸留、イオン交換など)することが好ましい。
カソード電極槽に流入する溶液は、初期は純水でも良いが、好ましくは水酸化物(MOH)の低濃度溶液または支持電解質を初期に入れることが良い。
本発明においては、上記の電気化学プロセスに、アニオン交換膜とカチオン交換膜をそれぞれ1枚以上組み合わせると塩(MX)や生成する酸(HX)を分離することができる。
図2は、その1つの実施形態を模式的に示す図であり、アニオン交換膜とカチオン交換膜をそれぞれ1枚組み合わせた、3室型電解槽を用いた場合を示している。
図2に示すように、アニオン交換膜をアノード電極とカチオン交換膜の間に配置した3室型とすることにより、塩(MX)のカチオンはアノード電極槽に移動しない。また、レドックス媒体がカチオンまたはアニオンの場合、それぞれアニオン交換膜とカチオン交換膜を透過できないので、生成物の分離が容易になる。水溶液の移動に妨げにならない範囲で、イオン交換膜同士の間隔は狭いほど過電圧は小さくなるので好ましい。電解質が十分に高濃度であれば導電性は確保できる。
図3は、もう1つの実施形態を模式的に示す図であり、H+選択性カチオン交換膜と、アニオン交換膜と、カチオン交換膜とを、それぞれ1枚組み合わせた、4室型電解槽を用いた場合を示している。
図に示すように、H+選択性アニオン交換膜をアノード電極とアニオン交換膜の間に配置した4室型とすることにより、塩(MX)自体はアノード電極槽に移動しない。また、生成した酸(HX)もアノード電極槽に移動しないので、光触媒用のA−Ox/A−Redを含んだ水溶液を分離することができる。特にMXに塩化物(X=Cl-)を用いた場合は、塩素として回収するよりも塩酸として回収する方が、そのXの回収は容易であるが、特に、図3に示す実施形態では、分離も容易になる。
+選択性カチオン交換膜とアニオン交換膜に挟まれた部分に流入する溶液は、初期は純水でも良いが、好ましくは酸(HX)の低濃度溶液であるか、または、支持電解質を初期に入れることが良い。
電解に必要な理論上の電圧は、pH補正した後のA−Ox/A−RedとC−Ox/C−Redの酸化還元準位の差である。A−Ox/A−Redとして、酸素発生(+1.23V)や塩素発生(+1.36V)よりも負のA−Ox/A−Red準位の還元体がアノード電極槽に流入すれば、電解電圧は低下できる。
光触媒反応槽では、酸化体(A−Ox)が還元体(A−Red)になる還元反応が進行させるが、特に、酸素発生反応に優れた光触媒が利用できる。光触媒の半導体としては、その伝導帯準位がA−Ox/A−Redの準位よりも負であり、その価電子帯準位が酸素発生準位よりも正である材料が利用できる。具体的には、TiO2、WO3、BiVO4、Fe23、TaON、Ta35などがある。
光励起により生成した電子はA−Redを生成する。光励起により生成した正孔は水を酸化して酸素を生成しても良いし、また有機物などの還元し易い物質を添加してそれを酸化分解しても良い。
光触媒は粉末状でも良いが、基板に固定して膜状にすることが好ましい。導電性基板に固定しても良い。助触媒を利用する場合、は半導体表面に付けても、導電性基板の一部に付けても良い。導電性基板の一面に半導体を成膜し、裏面に導通して助触媒を付けても良い。逆反応を防ぐために、半導体と助触媒をイオン交換膜で空間的に分離することもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1、比較例1)
電気化学プロセスとして、ポテンショスタットおよび図1に図示する1枚のカチオン交換膜を付けた2室型電解槽を用いた。アノード電極とカソード電極にはPt網とPtワイヤーを用いた。
実施例1として、光触媒反応後の溶液を想定し、アノード電極側にはNa2SO4(0.1M)とH2SO4(0.02M)およびFeSO4(0.01M)の混合液を流入した。カソード電極側にはNa2SO4(0.1M)とNaOH(0.04M)の混合液を流入した。生成した化合物の量を滴定で正確に測定することと、伝導度を高めるために、Na2SO4を最初にどちらの電極槽の溶液に入れているが、実際の反応では、目的の酸性と塩基性の化合物を入れておくことが望ましい。アノード電極側にFe2+が存在しており、1mA一定で、0.5時間の平均で0.8Vの電解電圧であった。カソード電極側には電解効率97%でNaOHが生成していることを滴定実験で確認した。
比較例1として、アノード電極側にFe2+が存在しない場合、1mA一定で、0.5時間の平均で1.6Vの電解電圧が必要であり、実施例1よりも高い電解電圧であった。カソード電極側には電解効率97%でNaOHが生成していることを滴定実験で確認した。
(実施例2、比較例2)
電気化学プロセスとして、ポテンショスタットおよび図2に図示する1枚のカチオン交換膜と1枚のアニオン交換膜を付けた3室型電解槽を用いた。アノード電極とカソード電極にはPt網とPtワイヤーを用いた。各イオン交換膜の間隔は2mmである。
実施例2として、光触媒反応後の溶液を想定し、アノード電極側にはNa2SO4(0.1M)とH2SO4(0.02M)およびFeSO4(0.01M)の混合液を流入した。カソード電極側にはNa2SO4(0.1M)とNaOH(0.04M)の混合液を流入した。カチオン交換膜とアニオン交換膜の間にはNa2SO4(0.3M)を流入した。
生成した化合物の量を滴定で正確に測定することと、伝導度を高めるために、Na2SO4を最初にどの電極槽の溶液に入れているが、実際の反応では、目的の酸性と塩基性の化合物を入れておくことが望ましい。アノード電極側にFe2+が存在しており、1mA一定で、0.5時間の平均で1.7Vの電解電圧であった。カソード電極側には電解効率97%でNaOHが生成していることを滴定実験で確認した。
比較例2として、アノード電極側にFe2+が存在しない場合、1mA一定で、0.5時間の平均で2.5Vの電解電圧が必要であり、実施例2よりも高い電解電圧であった。カソード電極側には電解効率97%でNaOHが生成していることを滴定実験で確認した。
(実施例3、比較例3)
実施例3として、図2の1枚のカチオン交換膜と1枚のアニオン交換膜を付けた3室セルを用い、光触媒反応後の反応溶液をアノード電極側に流入した。
光触媒反応としては、Cs表面処理したWO3粉末光触媒を懸濁した0.1M−HClO4および0.01M−Fe(ClO4)3の混合水溶液に光照射を行い、Fe2+を生成させた。上澄みの光触媒反応後の反応溶液をアノード電極側に流入した。カソード電極側にはNaCl(0.1M)の水溶液を流入した。カチオン交換膜とアニオン交換膜の間にはNaCl(0.3M)を流入した。各イオン交換膜の間隔は2mmである。
アノード電極側にFe2+が存在しており、3mA一定で、0.5時間の平均で2.3Vの電解電圧であった。カソード電極側には電解効率78%でNaOHが生成していることを滴定実験で確認した。
比較例3として、アノード電極側に光照射を行わない光反応前の溶液を用い、Fe2+が存在しない場合、1mA一定で、0.5時間の平均で2.9Vの電解電圧が必要であり、実施例3よりも高い電解電圧であった。カソード電極側には電解効率72%でNaOHが生成していることを滴定実験で確認した。
(実施例4、比較例4)
実施例4として、図3に図示する、1枚のカチオン交換膜と、1枚のアニオン交換膜と、1枚のH+選択性カチオン交換膜とを付けた4室型電解槽を用い、光触媒反応後の反応溶液をアノード電極側に流入した。
光触媒反応としては、Cs表面処理したWO3粉末光触媒を懸濁した0.1M−HClO4および0.01M−Fe(ClO4)3の混合水溶液に光照射を行い、Fe2+を生成させた。上澄みの光触媒反応後の反応溶液をアノード電極側に流入した。カソード電極側にはNaCl(0.1M)の水溶液を流入した。カチオン交換膜とアニオン交換膜の間にはNaCl(0.3M)を流入した。アニオン交換膜とH+選択性カチオン交換膜の間にはNaCl(0.1M)を流入した。各イオン交換膜の間隔は2mmである。
アノード電極側にFe2+が存在しており、3mA一定で、0.5時間の平均で2.4Vの電解電圧であった。カソード電極側には電解効率77%でNaOHが生成していることを滴定実験で確認した。
比較例4として、アノード電極側に光照射を行わない光反応前の溶液を用い、Fe2+が存在しない場合、1mA一定で、0.5時間の平均で3Vの電解電圧が必要であり、実施例4よりも高い電解電圧であった。カソード電極側には電解効率76%でNaOHが生成していることを滴定実験で確認した。
(実施例5、比較例5)
実施例5として、各イオン交換膜の間隔を50mmに広げた、前記の4室型電気反応槽を用いて、酸性および塩基性の化学品の定量を行った。光触媒反応としては、Cs表面処理したWO3粉末光触媒を懸濁した0.1M−HClO4および0.01M−Fe(ClO4)3の混合水溶液に光照射を行い、Fe2+を生成させた。上澄みの光触媒反応後の反応溶液をアノード電極側に流入した。カソード電極側にはNaCl(0.1M)水溶液を流入した。カチオン交換膜とアニオン交換膜の間にはNaCl(0.3M)を流入した。アニオン交換膜とH+択性カチオン交換膜の間にはNaCl(0.1M)を流入した。アノード電極側にFe2+が存在しており、3mA一定で、3.55Vの電解電圧であった。カソード電極側には電解効率89%でNaOHが生成していることを滴定実験で確認した。アニオン交換膜とH+選択性カチオン交換膜の間には、電解効率89%でHClが生成していることを滴定実験で確認した。
比較例5として、アノード電極側に光照射を行わない光反応前の溶液を用い、Fe2+が存在しない場合、3mA一定で、3.8Vの電解電圧が必要であり、実施例5よりも高い電解電圧であった。カソード電極側には電解効率92%でNaOHが生成していることを滴定実験で確認した。アニオン交換膜とH+選択性カチオン交換膜の間には、電解効率92%でHClが生成していることを滴定実験で確認した。
以上のように、アノード電極槽に光触媒反応で生成したレドックス媒体の還元体を流入させると、金属塩水素溶液から塩基性および酸性の化学品を合成のための電解電圧が低下できることがわかった。
本発明は、酸化還元媒体(レドックス媒体)の光触媒反応と、イオン交換膜を用いた電気化学プロセスによる酸性および塩基性の化学品合成の低電圧化の方法、並びに当該方法を用いた反応装置に関するものであるが、それだけではなく脱塩やメッキなど様々な電気化学プロセスの省エネにも応用できる。

Claims (12)

  1. 金属塩の水溶液を原料とし、カチオン交換膜で原料金属のカチオンをカソード電極側に移動させて、カソード電極側で塩基性の水溶液を製造し、アノード電極側で酸性の水溶液を製造する電気化学プロセスにおいて、
    光触媒反応で生じたレドックス媒体の還元体を、アノード電極に接触させることにより電解電圧を低下させることを特徴とする光エネルギーを利用した化学品製造方法。
  2. 前記レドックス媒体は、その標準酸化還元準位が、酸素発生準位(O2/H2O=+1.23V、NHE、pH=0)よりも負側にあることを特徴とする請求項1に記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
  3. 前記レドックス媒体が、鉄イオンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
  4. 前記カチオン交換膜に接触する反応溶液において、金属カチオン濃度がプロトン濃度より高い条件で反応を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
  5. 前記アノード電極と前記カチオン交換膜との間に、アノード電極側にアニオンを移動させるアニオン交換膜を配置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
  6. 前記アノード電極と前記カソード電極の間に、前記アノード電極側からみて、プロトン選択性カチオン交換膜アニオン交換膜、カチオン交換膜をこの順に置することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
  7. 前記塩基性の水溶液が、アルカリ金属の水酸化物水溶液であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
  8. 前記アノード電極側で生成する酸性の水溶液が、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸又は有機酸の水溶液であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
  9. 前記カソード電極での反応が、酸素還元反応であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光エネルギーを利用した化学品製造方法。
  10. 金属塩の水溶液を原料とし、電気化学反応により塩基性の水溶液及び酸性の水溶液を製造する化学品製造装置であって、
    内部にアノード電極及びカソード電極並びに両電極間に配置されたカチオン交換膜を備えた電解槽と、光触媒を備えた光触媒反応槽とを有し、
    該光触媒反応槽で生成されたレドックス媒体の還元体を含む溶液を、前記アノード電極側の電解槽に導入する手段と、アノード電極側に酸性化学品取出し手段と、カソード電極側に塩基性化学品取出し手段を設けたことを特徴とする化学品製造装置。
  11. 金属塩の水溶液を原料とし、電気化学反応により塩基性の水溶液及び酸性の水溶液を製造する化学品製造装置であって、
    内部にアノード電極及びカソード電極並びに両電極間に配置されたカチオン交換膜を備えた電解槽と、光触媒を備えた光触媒反応槽と、前記電解槽内の前記アノード電極と前記カチオン交換膜の間にさらにアニオン交換膜を備え、
    前記光触媒反応槽で生成されたレドックス媒体の還元体を含む溶液を、前記アノード電極側の電解槽に導入する手段と、
    前記金属塩の水溶液を、前記アニオン交換膜とカチオン交換膜の間の電解槽に導入する手段とを設けたことを特徴とする化学品製造装置。
  12. 請求項11に記載の化学品製造装置において、前記電解槽内の前記アノード電極と前記アニオン交換膜の間にさらにH+選択性カチオン交換膜を備えたことを特徴とする化学品製造装置。
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