以下に、本発明を具体化した第1実施形態を図面(図1〜図20)に基づいて説明する。図1はディーゼルエンジン1の排気マニホールド6が設置された左側面図、図2はディーゼルエンジン1の吸気マニホールド3が設置された右側面図、図3はディーゼルエンジン1の冷却ファン24が設置された正面図である。なお、排気マニホールド6が設置された側をディーゼルエンジン1の左側面と称し、吸気マニホールド3が設置された側をディーゼルエンジン1の右側面と称し、冷却ファン24が設置された側をディーゼルエンジン1の正面と称する。
図1〜図5を参照しながら、ディーゼルエンジン1の全体構造について説明する。図1〜図5に示す如く、ディーゼルエンジン1のシリンダヘッド2の一側面には吸気マニホールド3が配置されている。シリンダヘッド2は、エンジン出力軸4(クランク軸)とピストン(図示省略)が内蔵されたシリンダブロック5に上載されている。シリンダヘッド2の他側面に排気マニホールド6が配置されている。シリンダブロック5の正面と背面からエンジン出力軸4の前端と後端を突出させている。
図1〜図5に示す如く、シリンダブロック5の背面にフライホイールハウジング8を固着している。フライホイールハウジング8内にフライホイール9を設ける。エンジン出力軸4の後端側にフライホイール9を軸支させている。フライホイール9を介してディーゼルエンジン1の動力を取り出すように構成している。さらに、シリンダブロック5の下面にはオイルパン11が配置されている。
図2〜図5に示すように、吸気マニホールド3には、再循環用の排気ガスを取込む排気ガス再循環装置(EGR)15を配置する。エアクリーナ16(図21参照)が吸気マニホールド3に接続される。エアクリーナ16にて除塵・浄化された外部空気は、吸気マニホールド3に送られ、ディーゼルエンジン1の各気筒に供給されるように構成している。
上記の構成により、ディーゼルエンジン1から排気マニホールド6に排出された排気ガスの一部が、排気ガス再循環装置15を介して、吸気マニホールド3からディーゼルエンジン1の各気筒に還流されることによって、ディーゼルエンジン1の燃焼温度が下がり、ディーゼルエンジン1からの窒素酸化物(NOx)の排出量が低減され、かつディーゼルエンジン1の燃費が向上される。
なお、シリンダブロック5内とラジエータ19(図21参照)に冷却水を循環させる冷却水ポンプ21を備える。ディーゼルエンジン1の冷却ファン24設置側に冷却水ポンプ21を配置する。エンジン出力軸4にVベルト22などを介して冷却水ポンプ21及び冷却ファン24を連結し、冷却水ポンプ21及び冷却ファン24を駆動する。冷却水ポンプ21から、排気ガス再循環装置15のEGRクーラ18を介して、シリンダブロック5内に冷却水を送込む一方、冷却ファン24風にてディーゼルエンジン1を冷却するように構成している。
図1〜図5に示す如く、前記ディーゼルエンジン1の各気筒から排出された排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置27として、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)としての第1ケース28と、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する尿素選択触媒還元(SCR)システムとしての第2ケース29を備える。図5に示すように、DPFケースとしての第1ケース28には、酸化触媒30と、スートフィルタ31が内設される。SCRケースとしての第2ケース29には、尿素選択触媒還元用のSCR触媒32と、酸化触媒33が内設される。
ディーゼルエンジン1の各気筒から排気マニホールド6に排出された排気ガスは、排気ガス浄化装置27等を経由して、外部に放出される。排気ガス浄化装置27によって、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や、炭化水素(HC)や、粒子状物質(PM)や、窒素酸化物質(NOx)を低減するように構成している。
図3〜図5に示す如く、第1ケース28と第2ケース29は、平面視でディーゼルエンジン1の出力軸(クランク軸)4と交叉する直交方向に長く延びた長尺円筒形状に構成している。第1ケース28の筒形状両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れるDPF入口管34と、排気ガスを排出するDPF出口管35を設けている。同様に、第2ケース29の両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れるSCR入口管36と、排気ガスを排出するSCR出口管37を設けている。
また、排気マニホールド6の排気ガス出口に、ディーゼルエンジン1に空気を強制的に送り込む過給機38と、排気マニホールド6にボルト締結する排気ガス出口管7を配置している。過給機38と排気ガス出口管7を介して排気マニホールド6にDPF入口管34を連通させ、ディーゼルエンジン1の排気ガスを第1ケース28内に導入する。一方、後述する尿素混合管39を介して、DPF出口管35にSCR入口管36を接続させ、第1ケース28の排気ガスを第2ケース29内に導入するように構成している。加えて、DPF出口管35と、尿素混合管39は、ボルト締結させるDPF出口側フランジ体41にて着脱可能に接続されている。なお、SCR入口管36と尿素混合管39は、溶接加工にて一体的に接続されている。
図2に示す如く、ディーゼルエンジン1の多気筒分の各インジェクタ(図示省略)に、図21(図22)に示す燃料タンク45を接続する燃料ポンプ42とコモンレール43を備える。シリンダヘッド2の吸気マニホールド3設置側にコモンレール43と燃料フィルタ44を配置し、吸気マニホールド3下方のシリンダブロック5に燃料ポンプ42を配置している。なお、前記各インジェクタは、電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ(図示省略)を有する。
燃料タンク45内の燃料が燃料フィルタ44を介して燃料ポンプ42に吸込まれる一方、燃料ポンプ42の吐出側にコモンレール43が接続され、円筒状のコモンレール43がディーゼルエンジン1の各インジェクタにそれぞれ接続されている。なお、燃料ポンプ42からコモンレール43に圧送される燃料のうち余剰分は、燃料タンク45に戻され、高圧の燃料がコモンレール43内に一時貯留され、コモンレール43内の高圧燃料がディーゼルエンジン1の各気筒(シリンダ)内部に供給される。
上記の構成により、前記燃料タンク45の燃料が燃料ポンプ42によってコモンレール43に圧送され、高圧の燃料がコモンレール43に蓄えられると共に、前記各インジェクタの燃料噴射バルブがそれぞれ開閉制御されることによって、コモンレール43内の高圧の燃料がディーゼルエンジン1の各気筒に噴射される。即ち、前記各インジェクタの燃料噴射バルブを電子制御することによって、燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)を高精度にコントロールできる。したがって、ディーゼルエンジン1から排出される窒素酸化物(NOx)を低減できる。
さらに、図1〜図14を参照して、前記第1ケース28と第2ケース29の取付け構造を説明する。図2、図4、図13、図17、図18に示す如く、シリンダヘッド2の前面のうち右側角隅部に下端側をボルト81締結する前部支脚体82と、シリンダヘッド2の左側面のうち前側角隅部に下端側をボルト83締結する側部支脚体84と、シリンダヘッド2の後面に下端側をボルト85締結する後部支脚体86を備え、シリンダヘッド2に各支脚体82,84,86を立設させる。板金加工にて形成した矩形状の支持台87を備え、各支脚体82,84,86の上端側に支持台87の側面及び上面側をボルト88締結させている。また、排気ガス出口管7に対設する支持台87の上面に平板状の位置決め体89を溶接固定させると共に、上向きに開口させた排気ガス出口管7の平坦な排気ガス出口面7aと平行に、排気ガス出口管7に平坦な位置決め段部7bを形成し、位置決め段部7bに位置決め体89の平板状下面の一部を面接触させ、排気ガス出口管7に位置決め体89を位置決めボルト90にて締結している。排気ガス出口管7(位置決め段部7bの平坦な上面)と、位置決め体89の平坦な下面との面接触にて、ディーゼルエンジン1に対して支持台87の上面が略水平になるように構成している。
図1〜図14、図17、図18に示す如く、第1ケース28と第2ケース29を平行に配置させる挟持体として、一対の左ケース固定体95及び右ケース固定体96と、両端側に締結ボルトを設けた4本の締結バンド97を備える。左ケース固定体95及び右ケース固定体96の後側載置部95a,96aに左右一対の締結バンド97にて第1ケース28を着脱可能に固着させると共に、左ケース固定体95及び右ケース固定体96の前側載置部95b,96bに左右一対の締結バンド97にて第2ケース29を着脱可能に固着させる。したがって、左右方向に長尺な円筒状の第1ケース28と第2ケース29が、ディーゼルエンジン1の上面側に平行に配置されるもので、ディーゼルエンジン1上面後側(後側載置部95a,96a)に第1ケース28が位置し、ディーゼルエンジン1上面前側(前側載置部95b,96b)に第2ケース29が位置する。ディーゼルエンジン1の上面側に、後側載置部95a,96aよりも前側載置部95b,96bを低く形成し、第1ケース28と第2ケース29の支持高さを異ならせて、ディーゼルエンジン1上面の低い位置に尿素混合管39を支持し、ディーゼルエンジン1の上面側高さを嵩低く形成可能に構成している。
図6〜図14に示す如く、左ケース固定体95及び右ケース固定体96の前後端部に前後支持フレーム体98を取付け位置(支持姿勢)調節可能にボルト99締結させ、右ケース固定体96の側面に側部支持フレーム体105を取付け位置(支持姿勢)調節可能にボルト106締結させ、左右ケース固定体95,96と前後支持フレーム体98と側部支持フレーム体105を四角枠状に連結させ、支持台87の上面に前後支持フレーム体98と側部支持フレーム体105をボルト100締結させ、左右ケース固定体95,96と締結バンド97を介して支持台87の上面に第1ケース28と第2ケース29を固着させ、排気浄化ユニットとしての排気ガス浄化装置27を構成している。
即ち、図6〜図10に示す如く、複数の挟持体として4本の締結バンド97を備える。締結バンド97は、帯状の締結バンド本体97aと、締結バンド本体97aの両端側に固着する締結ボルト97bを有する。第1ケース28または第2ケース29に締結バンド本体97aを巻装させた状態で、左ケース固定体95及び右ケース固定体96のボルト孔95c,96cに締結ボルト97bの先端側を嵌挿させ、その締結ボルト97bの先端側に締結ナット97cを螺着させ、左ケース固定体95及び右ケース固定体96の後側載置部95a,96aに左右2本の締結バンド97を介して第1ケース28を固着させると共に、左ケース固定体95及び右ケース固定体96の前側載置部95b,96bに左右2本の締結バンド97を介して第2ケース29を固着させ、左右方向に長尺な円筒状の第1ケース28と第2ケース29を、ディーゼルエンジン1の上面側に横倒し姿勢で平行に配置している。
また、左ケース固定体95の前端側と右ケース固定体96の後端側に左右のユニット吊下げ部材91をボルト92締結させて、左右ケース固定体95,96と前後支持フレーム体98の四角枠の対角線位置に左右のユニット吊下げ部材91を配置し、ホイストまたはチェンブロックなどの荷役機械を用いて、左右のユニット吊下げ部材91を介して排気ガス浄化装置27を吊下げ移動可能に構成している。一方、ディーゼルエンジン1のシリンダヘッド2の左側前部と背面部に前後のエンジン吊下げ部材102,103をボルト104締結させて、ホイストまたはチェンブロックなどの荷役機械を用いて、前後のエンジン吊下げ部材102,103を介してディーゼルエンジン1を吊下げ移動可能に構成している。
次いで、図3、図15、図16を参照して、第2ケース29と尿素混合管39の構造を説明する。図3、図15に示す如く、尿素の加水分解にてアンモニアを形成させる直管状部145と、直管状部145の排気上流側端部に設ける尿素水噴射部146と、エルボ管状部185にて、前記尿素混合管39を形成している。DPF出口管35の排気ガス出口側に尿素水噴射部46の排気ガス入口側をDPF出口側フランジ体41にてボルト締結させると共に、尿素水噴射部146の排気ガス出口側に直管状部145の排気ガス入口側を溶接固定させ、直管状部145の排気ガス出口側にエルボ管状部185の排気ガス入口側を溶接固定させ、第1ケース28から尿素混合管39に排気ガスを移動させるように構成している。
図15、図16に示す如く、エルボ管状部185は、円筒を長手方向に二分割した一対の半割れ筒体にて形成するエルボ外管186を有し、エルボ外管186の半割れ筒体の長手方向の端部を外側に向けて折り曲げて、該部に接合フランジ部186aを形成している。同様に、エルボ管状部185は、円筒を長手方向に二分割した一対の半割れ筒体にて形成するエルボ内管187を有し、エルボ内管187の半割れ筒体の長手方向の端部を外側に向けて折り曲げて、該部に接合フランジ部187aを形成する。そして、エルボ外管186の接合フランジ部186aにてエルボ内管187の接合フランジ部187aを挟持して溶接固定し、エルボ管状部185のエルボ外管186及びエルボ内管187を一体的に形成する。
図15に示す如く、尿素混合管39の直管状部145は、二重管構造の混合外管188と混合内管189を有している。混合外管188のパイプ長さよりも混合内管189のパイプ長さを短尺に形成する。エルボ管状部185のエルボ外管186排気入口側の円筒状開口からエルボ内管187の排気入口側を突出させ、混合外管188の排気出口側にエルボ外管186の排気入口側を溶接固定させると共に、混合内管189の排気出口側にエルボ内管187の排気入口側を溶接固定させ直管状部145の排気ガス出口側にエルボ管状部185の排気入口側を連結する。即ち、尿素混合管39の排気出口側にエルボ管状部185の排気入口側を一体的に連結している。
加えて、エルボ管状部185のエルボ外管186排気出口側の円筒状開口からエルボ内管187の排気出口側を突出させ、SCR入口管36の排気入口側にエルボ外管186の排気出口側を溶接固定すると共に、エルボ内管187の排気出口側に延長管190の排気ガス入口側を溶接固定させている。
また、図15に示す如く、第2ケース29は、内側ケース136及び外側ケース137にて二重筒構造に形成する。内側ケース136内に尿素選択触媒還元用のSCR触媒32と酸化触媒33が収容される。内側ケース136の外周側と外側ケース137の内周側とは、リング形状の薄板製支持体138などを介して連結されている。内側ケース136の外周側と外側ケース137の内周側との間に耐熱繊維製のケース断熱材139を充填している。
図15に示す如く、内側ケース136及び外側ケース137の一端側(排気上流側の端部)に入口側蓋体135を溶接固定する。内側ケース136及び外側ケース137の筒状開口部の一端側を入口側蓋体135によって塞いでいる。また、SCR触媒32収納部と入口側蓋体135間の内側ケース136及び外側ケース137に排気ガス入口133,134を形成する。内側ケース136の排気ガス入口133よりも外側ケース137の排気ガス入口134を大径に形成し、内側ケース136の排気ガス入口133外周側にSCR入口管36の排気ガス出口側を溶接固定している。
即ち、内側ケース136の入口開口よりもエルボ管状部185の内管187を小径に形成する一方、SCR入口管36の入口開口よりもSCR入口管36の出口開口を大径に形成するものであり、外側ケース137の排気ガス入口134にSCR入口管36を貫通させ、内側ケース136内にSCR入口管36内部を連通している。SCR触媒32と入口側蓋体135間の内側ケース136内部に第2ケース29の排気ガス供給室140を形成し、SCR入口管36の排気ガス出口側に突出させた延長管190の排気ガス入口側から、排気ガス供給室140内部に向けて、エルボ管状部185の内管187の排気ガス出口側を突出させる。
上記の構成により、第2ケース29の排気ガス供給室140は、SCR触媒32の排気ガス受入れ端面と、SCR触媒32との対向面を凹面状に窪ませた入口側蓋体135の間に形成される。エルボ管状部185の内管187から排気ガス供給室140に、尿素水がアンモニアとして混合された排気ガスを投入させ、SCR触媒32及び酸化触媒33内部に前記排気ガスを通過させ、第2ケース29のSCR出口管37から排出される排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)を低減させる。
図1、図15、図16に示す如く、エンジン1の排気ガス中に尿素水を噴射する尿素混合管39と、エンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を除去するSCRケースとしての第2ケース29を備え、尿素混合管39の出口側に第2ケース29の入口側を接続するエンジン装置において、二重管構造のエルボ外管186とエルボ内管187にて尿素混合管39を形成すると共に、二重ケース構造の内側ケース136体と外側ケース137体にて第2ケース29を形成する構造であって、内側ケース136体の排気ガス入口133にエルボ外管186の排気ガス出口側端部を接続させると共に、第2ケース29の内部にエルボ内管187の排気ガス出口側端部を突設させている。したがって、エルボ内管187が外気と接触するのを阻止でき、エルボ内管187の内孔面に尿素成分の結晶塊が形成されるのを低減できる。前記尿素結晶塊の成長などにてエルボ内管187の排気抵抗が増大するのを容易に防止できる。
図15に示す如く、内側ケース136体の入口開口よりもエルボ外管186の排気ガス出口側端部を大径に形成し、内側ケース136体の外周面にエルボ外管186の排気ガス出口側端部を溶接固定している。したがって、内側ケース136体の外周面のうち、内側ケース136体の入口開口縁から離間させた外周面に、エルボ外管186の排気ガス出口側端部を接合できる。即ち、内側ケース136体の変形などを防止しながら、内側ケース136体の外周面にエルボ外管186(排気ガス出口側端部)を溶接加工にて簡単に固着できると共に、内側ケース136体の入口開口縁から離間させて内側ケース136体外周面にエルボ外管186の排気ガス出口側端部を高剛性に連結でき、内側ケース136体外周面とエルボ外管186の排気ガス出口側端部の連結強度を向上できる。
図15、図16に示す如く、エルボ外管186とエルボ内管187を二つ割り構造に形成し、エルボ外管186の二つ割り接合部にてエルボ内管187の二つ割り接合部を挟んで一体的に構成している。したがって、エルボ内管187の支持部材を特別に設ける必要がなく、管構造を簡略化して、第2ケース29の排気ガス入口付近に尿素成分の結晶塊が形成されるのを防止できる。エルボ外管186から第2ケース29内部に突出させるエルボ内管187の排気ガス出口側端部と、第2ケース29の排気ガス入口開口縁との接触などを容易に防止できる。
図15に示す如く、前記内側ケース136体の入口開口部に排気ガス入口管としてのSCR入口管36の排気ガス出口側を固着し、エルボ外管186の排気ガス出口側端部にSCR入口管36の排気ガス入口側を固着すると共に、エルボ内管187の排気ガス出口側端部に延長管190の排気ガス入口側を連結させ、前記内側ケース136体の内部に延長管190の排気ガス出口側を突設させている。したがって、第2ケース29とエルボ外管186の連結部(排気ガス入口管)にエルボ内管187(排気ガス)を接触させることなく、第2ケース29に前記尿素混合管39を接続でき、第2ケース29入口(尿素混合管39との接合部)付近での尿素結晶塊の形成を防止できる。
さらに、図15に示す如く、第2ケース29の外側ケース137の排気ガス出口側から内側ケース136の排気ガス出口側を突出させ、内側ケース136の排気ガス出口側に出口側蓋体141を溶接固定にて連結する。出口側蓋体141は、内側ケース136に連結した排気ガス入口側の直径寸法よりも、SCR出口管37が連結される排気ガス出口側の直径寸法が小さい円錐台形状円筒にて形成されている。出口側蓋体141の排気ガス出口の外側面に平板状支持ステー体142を配置し、SCR出口管37と支持ステー体142を出口側蓋体141にボルト143締結する。なお、出口側蓋体141の排気ガス出口の外側面に平板状支持ステー体142を溶接固定してもよい。
図6、図11、図12、図15に示す如く、第2ケース29の外周方向に支持ステー体142の一端側を延設させ、支持ステー体142の延設端部に混合管支持体143の一端側をボルト144締結し、混合管支持体143の他端側に受け部143aを設け、尿素混合管39の尿素水噴射部146に混合管支持体143の受け部143aを溶接固定し、支持ステー体142と混合管支持体143を介して、第2ケース29の排気ガス出口側に尿素混合管39の尿素水噴射部146を支持するように構成している。
一方、図11、図12に示す如く、第1ケース28内の酸化触媒30付近の排気温度を検出するDPF温度センサ115,116と、第1ケース28内のスートフィルタ31の排気圧力を検出するDPF差圧センサ111を、第1ケース28に備えると共に、第2ケース29の排気ガス入口温度を検出するSCR温度センサ117と、第2ケース29の排気ガス出口側における排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)を検出するNOx残存センサ110を、第2ケース29に備えている。混合管支持体143にセンサブラケット112をボルト113締結すると共に、各温度センサ115,116,117に電気接続させる配線コネクタ114と、DPF差圧センサ111を、センサブラケット112に取付けている。また、センサブラケット112に噴射管ホルダ75aを介して後述する尿素水噴射管75を取付けている。
即ち、スートフィルタ31に捕集された排気ガス中の粒子状物質の残留量が排気ガスの差圧に比例するから、スートフィルタ31に残留する粒子状物質の量が所定以上に増加したときに、差圧センサ111の検出結果に基づき、スートフィルタ31の粒子状物質量を減少させるスートフィルタ再生制御(例えば排気ガス温度を上昇させるディーゼルエンジン1の燃料噴射制御または吸気制御)が実行されるように構成している。一方、NOx残存センサ110の検出結果に基づき、尿素混合管39の内部に噴射される尿素水溶液量を調節する尿素水噴射制御が実行されるように構成している。
図1〜図5、図11、図12、図15に示す如く、ディーゼルエンジン1の排気ガス中に尿素水を噴射する尿素混合管39と、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を除去するSCRケースとしての第2ケース29を備え、尿素混合管39の排気ガス出口側に第2ケース29の排気ガス入口側を接続させるエンジン装置において、第2ケース29内の排気ガス中に含まれる窒素酸化物質を検出するNOx残存センサ110(NOxセンサ)を備える構造であって、SCRケース29の排気ガス出口側に円錐台形状の先細りテーパ部としての出口側蓋体141を形成すると共に、出口側蓋体141にNOx残存センサ110を取付けている。出口側蓋体141の円錐台形状の斜面に交叉する方向にNOx残存センサ110を、出口側蓋体141の円錐台形状の斜面に固着し、第2ケース29の排気ガス移動方向の中心線に対してNOx残存センサ110を斜設させている。即ち、SCR出口管37の排気出口方向にNOx残存センサ110を傾倒させて支持している。
したがって、第2ケース29の排気ガス出口側が円筒形状で、その円筒形状の外径方向にNOx残存センサが直立する構造では、円筒形状の角隅部にガス溜り部が形成される不具合があると共に、第2ケース29の排気ガス移動方向中心線に対してNOx残存センサ110が直交状に支持され、第2ケース29の外周側から外径方向に向けてNOx残存センサ110が大きく突設する不具合がある。これに対して、SCRケース29の排気ガス出口側に円錐台形状の先細りテーパ部としての出口側蓋体141を形成すると共に、出口側蓋体141にNOx残存センサ110を取付けているから、第2ケース29の排気ガス出口側に円筒形状の角隅部にガス溜り部が形成される不具合をなくすことができ、第2ケース29の排気ガス出口側から、該部に接続させる排気管としてのSCR出口管37に向けて排気ガスをスムーズに移動でき、第2ケース29の排気ガス出口側における排気ガス中の窒素酸化物質量を適正に計測できる。また、第2ケース29の排気ガス移動方向中心線に対してNOx残存センサ110を傾斜させて支持できるものであり、第2ケース29の排気ガス出口側内部のうち、円柱形の触媒33中心部に向けて、NOx残存センサ110先端の検出部を突出でき、窒素酸化物質量の計測精度を向上できる。加えて、第2ケース29の外周側から外径方向に向けて突設させるNOx残存センサ110の基端側突出寸法を短尺に形成でき、第2ケース29の外形寸法をコンパクトに構成できる。
図11、図12、図15に示す如く、第2ケース29一端側の外周面に排気ガス入口を形成し、尿素混合管39の排気ガス出口側に第2ケース29の排気ガス入口側を一体的に連結すると共に、第2ケース29他端側の端面に排気ガス出口を形成し、第2ケース29の排気ガス出口側に支持部材(支持ステー体142、混合管支持体143)を介して尿素混合管39の排気ガス入口側を連結している。したがって、第2ケース29一端側の内部に排気ガスを拡散させながら供給でき、第2ケース29に内設させる尿素選択触媒還元用のSCR触媒32の浄化作用を有効に働かせることができ、第2ケース29の排気浄化機能を向上できると共に、第2ケース29他端側から排気ガスをスムーズに排出でき、第2ケース29の排気抵抗を低減できる。
図15に示す如く、前記先細りテーパ部を出口側蓋体141にて形成する構造であって、第2ケース29は内側ケース136と外側ケース137を有し、尿素選択触媒還元用のSCR触媒32が内設された内側ケース136の排気ガス入口側を入口側蓋体135にて閉塞すると共に、内側ケース136の排気ガス出口側を出口側蓋体141にて閉塞し、入口側蓋体135と出口側蓋体141間の内側ケース136外周側に外側ケース137を外装している。したがって、内側ケース136内の排気ガス及びSCR触媒32の温度を所定以上に容易に維持でき、第2ケース29の排気浄化機能を向上できると共に、金属板を円筒状に折り曲げたパイプにて内側ケース136または外側ケース137を形成する場合、内側ケース136または外側ケース137のパイプ肉厚(金属板の板厚)を薄く形成しても、SCR触媒32の内装支持に必要な強度を容易に確保でき、第2ケース29の軽量化または製造コスト低減などを図ることができる。
図15に示す如く、内側ケース136の外周面と外側ケース137の内周面の間隔を一定に維持するスペーサ体としての薄板製支持体138を備え、内側ケース136の外周側に薄板製支持体138を介して前記外側ケース137を一体的に連結している。したがって、内側ケース136と外側ケース137にて形成される円筒構造の剛性を容易に向上でき、内側ケース136または外側ケース137の変形損傷を低減できると共に、第2ケース29を軽量化でき、かつ第2ケース29の製造コストを低減できる。
さらに、図17、図19〜図22に示す如く、尿素水タンク71内の尿素水溶液を圧送する尿素水噴射ポンプ73と、尿素水噴射ポンプ73を駆動する電動モータ74と、尿素水噴射ポンプ73に尿素水噴射管75を介して接続させる尿素水噴射体76を備える。尿素混合管39の尿素水噴射部146に噴射台座77を介して尿素水噴射体76を取付け、尿素混合管39の内部に尿素水噴射体76から尿素水溶液を噴霧する。尿素水噴射部146は、噴射台座77を溶接固定する外殻ケース147と、外殻ケース147の排気ガス出口側に混合外管188の排気ガス入口側を接続する外側連結管148と、外殻ケース147及び外側連結管148に内設させる二重管状の内側連結管149を有する。DPF出口管35(二重管構造)の排気ガス出口側に内側連結管149の排気ガス入口側を接続すると共に、内側連結管149の排気ガス出口側に混合内管189の排気ガス入口側を接続し、混合内管189の内部にDPF出口管35の排気ガスを導入するように構成している。
また、外殻ケース147に溶接固定する噴射台座77の接着面に遮熱用凹部77aを形成すると共に、外殻ケース147に溶接固定された噴射台座77に尿素水噴射体76をボルト76b締結するものであり、外殻ケース147の溶接固定面に対して遮熱用凹部77aを離間させ、外殻ケース147の溶接固定面に対する噴射台座77の接着面積を少なく形成し、排気ガスにて加熱される外殻ケース147の熱を遮熱用凹部77aにて遮断して、外殻ケース147の熱によって噴射台座77が加熱されるのを防止している。即ち、外殻ケース147の排気熱が尿素水噴射体76に伝達されるのを低減し、尿素水噴射体76の尿素水噴射弁76a、または尿素水噴射弁76aに連通接続させる尿素水噴射管75、または尿素水噴射弁76aに電気接続させる制御ハーネス(図示省略)などを保護するように構成している。
図1〜図5、図11、図12、図15、図18、図20に示す如く、ディーゼルエンジン1の排気ガス中に尿素水を噴射する尿素混合管39と、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を除去するSCRケースとしての第2ケース29を備え、尿素混合管39の出口側に第2ケース29の入口側を接続するエンジン装置において、尿素水噴射手段としての尿素水噴射弁76aが配置される尿素混合管39の排気ガス入口側に第2ケース29の排気ガス出口側を連結し、第2ケース29の排気ガス出口側に尿素混合管39の排気ガス入口側を支持させている。したがって、第2ケース29の排気ガス出口側との連結にて尿素混合管39の排気ガス入口側の支持剛性を向上でき、機械振動などを抑制でき、尿素水噴射弁76aの損傷などを低減できる。尿素混合管39または第2ケース29などの剛性を高くする必要がなく、軽量化できる。第2ケース29の排気ガス出口側に配管機能を持たせて、尿素混合管39取付け構造の部品点数削減または製造コスト低減を達成できる。
図11、図12、図15、図18に示す如く、着脱可能に連結する混合管支持体143と支持ステー体142を備え、尿素混合管39の排気ガス入口側に混合管支持体143を連結させると共に、第2ケース29の排気ガス出口側に前記支持ステー体142を連結させている。したがって、混合管支持体143と支持ステー体142の連結調節にて、第1ケース28または第2ケース29とケース固定体95,96の連結誤差、または尿素混合管39の排気ガス入口側の取付け寸法誤差などを吸収でき、尿素混合管39の組付け作業性を向上できると共に、尿素混合管39の排気ガス入口側に接続させる配管作業性も向上できる。
例えば、排気ガス浄化装置27を組立てるとき、支持台87に、支持フレーム体98と側部支持フレーム体105をボルト100締結させると共に、支持フレーム体98と側部支持フレーム体105に、左ケース固定体95と右ケース固定体96をボルト99,106締結させる。そして、左ケース固定体95と右ケース固定体96に、第1ケース28と第2ケース29を載置し、前記尿素混合管39の排気ガス入口側にDPF出口側フランジ体41を介してDPF出口管35を連結し、混合管支持体143と支持ステー体142をボルト144締結させる。混合管支持体143と支持ステー体142のボルト144締結は、混合管支持体143または支持ステー体142の一方または両方にボルト144を遊嵌挿入させて、混合管支持体143と支持ステー体142の連結誤差を吸収する。
次いで、第1ケース28と第2ケース29の外周に締結バンド97を巻装させ、締結ボルト97bと締結ナット97cを介して、左ケース固定体95と右ケース固定体96に締結バンド本体97aの両端側を連結し、左ケース固定体95と右ケース固定体96に第1ケース28と第2ケース29を固着する。即ち、左ケース固定体95と右ケース固定体96に、第1ケース28と第2ケース29を固定支持させ、排気ガス浄化装置27の組立作業を完了する。
図15、図18に示す如く、前記尿素混合管39の排気ガス出口側に第2ケース29の排気ガス入口側を一体的に固着する一方、前記尿素混合管39の排気ガス入口側に尿素水噴射部146を設け、尿素水噴射弁76aが配置された尿素水噴射部146の外周面に前記混合管支持体143を一体的に固着している。したがって、前記尿素混合管39の排気ガス入口側を耐震支持でき、尿素水噴射弁76aが配置された尿素水噴射部146の振動を低減でき、前記尿素水噴射部146の耐久性を向上できる。
図11、図12、図15に示す如く、第2ケース29の排気ガス出口側に支持ステー体142を介して排気管としてのSCR出口管37を締結固定している。したがって、第2ケース29にSCR出口管37を締結するボルト143を兼用して、第2ケース29に支持ステー体142を取付けることができる。支持ステー体142にSCR出口管37の連結機能を持たせることができ、構成部品数を削減して製造コストを低減できる。なお、第2ケース29の排気ガス出口側に支持ステー体142を溶接固定して、支持ステー体142にSCR出口管37をボルト143締結できるように構成する一方、第2ケース29の排気ガス出口側に支持ステー体142とSCR出口管37をボルト143にて共締め連結するように構成してもよい。
図1〜図5、図11、図12、図15、図18に示す如く、ディーゼルエンジン1の排気ガス中に尿素水を噴射する尿素混合管39と、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を除去するSCRケースとしての第2ケース29を備え、尿素混合管39の排気ガス出口側に第2ケース29の排気ガス入口側を接続させるエンジン装置において、第2ケース29の排気ガス出口側に支持部材としての支持ステー体142と混合管支持体143にて連結させる尿素混合管39の排気ガス入口側に尿素水噴射体76を配置すると共に、尿素水噴射体76に接続させる尿素水供給ホースとしての尿素水噴射管75をクランプ部材としての噴射管ホルダ75aにて混合管支持体143に固着している。したがって、ディーゼルエンジン1などの機械振動に起因する尿素水噴射管75の損傷を低減できるものでありながら、支持ステー体142と混合管支持体143の活用により尿素水噴射管75またはハーネスなどの支持構造を簡略化でき、尿素水噴射管75またはハーネスなどの取付け構造の部品点数削減または製造コスト低減を達成できる。
図11、図12、図15、図18に示す如く、着脱可能に連結する混合管支持体143と支持ステー体142にて前記支持部材を形成し、尿素混合管39の排気ガス入口側に混合管支持体143を連結させると共に、第2ケース29の排気ガス出口側に支持ステー体142を連結させ、混合管支持体143に噴射管ホルダ75aを介して尿素水噴射管75を支持するように構成している。したがって、溶接加工などの簡単な加工作業にて尿素混合管39に混合管支持体143を固着でき、尿素混合管39の組立部品を少なくして組付け作業性を向上できると共に、尿素混合管39の排気ガス入口側に接続させる配管作業性も向上できる。
図15、図18に示す如く、尿素混合管39の排気ガス入口側に尿素水噴射部146を設け、尿素水噴射部146に尿素水噴射体76を配置する構造であって、尿素水噴射部146に混合管支持体143を一体的に固着している。したがって、尿素水噴射部146の尿素水噴射体76取付け剛性と、混合管支持体143の連結剛性を相互に向上でき、尿素混合管39の排気ガス入口側を耐震支持でき、耐久性に優れた構造に尿素水噴射部146を構成できる。
図11、図12に示す如く、混合管支持体143にセンサブラケット112を固着し、センサブラケット112に噴射管ホルダ75aまたは配線コネクタ114などを配置している。したがって、尿素水噴射体76の耐震支持構造に、尿素水噴射管75または配線コネクタ114などのクランプ機能を付加して、尿素混合管39の排気ガス入口側を耐久性に優れた構造に構成できるものでありながら、尿素混合管39の排気ガス入口側の構成部品数を少なくして製造コストを低減できる。
次に、図21、図22を参照して、前記ディーゼルエンジン1を搭載したトラクタ51について説明する。図21、図22に示す作業車両としてのトラクタ51は、図示しない耕耘作業機などを装着し、圃場を耕す耕耘作業などを行うように構成されている。図13は農作業用トラクタの側面図、図14は同平面図である。なお、以下の説明では、トラクタの前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
図21、図22に示す如く、作業車両としての農作業用トラクタ51は、走行機体52を左右一対の前車輪53と左右一対の後車輪54とで支持し、走行機体52の前部に前記ディーゼルエンジン1を搭載し、ディーゼルエンジン1にて後車輪54及び前車輪53を駆動することにより、前後進走行するように構成されている。ディーゼルエンジン1の上面側及び左右側面側は、開閉可能なボンネット56にて覆われている。
また、前記走行機体52の上面のうち、ボンネット56の後方には、オペレータが搭乗するキャビン57が設置されている。該キャビン57の内部には、オペレータが着座する操縦座席58と、操向手段としての操縦ハンドル59などの操縦機器が設けられている。また、キャビン57の左右外側部には、オペレータが乗降するための左右1対のステップ60が設けられ、該ステップ60より内側で且つキャビン57の底部より下側には、ディーゼルエンジン1に燃料を供給する燃料タンク45が設けられている。
また、前記走行機体52は、ディーゼルエンジン1からの出力を変速して後車輪54(前車輪53)に伝達するためのミッションケース61を備える。ミッションケース61の後部には、ロワーリンク62及びトップリンク63及びリフトアーム64などを介して、図示しない耕耘作業機などが昇降動可能に連結される。さらに、ミッションケース61の後側面に、前記耕耘作業機などを駆動するPTO軸65が設けられている。なお、トラクタ51の走行機体52は、ディーゼルエンジン1と、ミッションケース61と、それらを連結するクラッチケース66などにて構成される。
加えて、図21、図22に示す如く、キャビン57の前面のうち、キャビン57右側角隅部の前面にテールパイプ78を立設させ、ボンネット56内部に向けてテールパイプ78の下端側を延設させ、SCR出口管37に蛇腹管状可とう管79を介してテールパイプ78の下端側を接続し、第2ケース29にて浄化された排気ガスがテールパイプ78からキャビン57の上方に向けて排出される。可とう管79の接続にて、ディーゼルエンジン1側からテールパイプ78側に伝達される機械振動が低減される。また、キャビン57の前面のうち、テールパイプ78が配置された右側部と反対側のボンネット56の左側部に尿素水タンク71を設置している。即ち、ボンネット56後部の右側部にテールパイプ78を配置させる一方、ボンネット56後部の左側部に尿素水タンク71を振分けて配置している。
さらに、ボンネット56左側後部の走行機体52(キャビン57の底部フレーム等)に尿素水タンク71を搭載する。キャビン57左側の前面下部に、燃料タンク45の注油口46と、尿素水タンク71の注水口72を隣接させて設ける。オペレータの乗降頻度が低いキャビン57右側の前面にテールパイプ78が配置される一方、オペレータの乗降頻度が高いキャビン57左側の前面に注油口46と注水口72が配置される。なお、キャビン57は、左側または右側のいずれからでもオペレータが操縦座席58に乗降可能に構成されている。
上記の構成により、第1ケース28内の酸化触媒30及びスートフィルタ31にて、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や、炭化水素(HC)が低減される。次いで、尿素混合管39の内部で、ディーゼルエンジン1からの排気ガスに、尿素水噴射弁76aからの尿素水が混合される。そして、第2ケース29内のSCR触媒32、酸化触媒33にて、尿素水がアンモニアとして混合された排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)が低減され、テールパイプ78から機外に放出される。
次に、図23、図24を参照して、前記ディーゼルエンジン1を搭載したスキッドステアローダ151について説明する。図23、図24に示す作業車両としてのスキッドステアローダ151は、後述するローダ装置152を装着し、ローダ作業を行うように構成されている。このスキッドステアローダ151には、左右の走行クローラ部154が装着されている。また、スキッドステアローダ151の走行クローラ部54の上方には、開閉可能なボンネット155が配置されている。ボンネット155内にはディーゼルエンジン1が収容されている。ボンネット155内部のうち、ディーゼルエンジン1の上面部に、前記第1ケース28及び第2ケース29が上載固定されている。
前記ディーゼルエンジン1は、スキッドステアローダ151が備える走行機体156に防振部材等を介して支持されている。ボンネット155の前方には、運転者が搭乗するキャビン157が配置されており、このキャビン157の内部には操縦ハンドル158及び運転座席159等が備えられている。また、ディーゼルエンジン1によって駆動されるローダ作業油圧ポンプ装置160と、左右の走行クローラ部154を駆動する走行ミッション装置161が備えられている。ディーゼルエンジン1からの動力が、走行ミッション装置161を介して左右の走行クローラ部154に伝達される。運転座席159に座乗したオペレータは、操縦ハンドル158等の操作部を介して、スキッドステアローダ151の走行操作等を行うことができる。
また、ローダ装置152は、走行機体156の左右両側に配置されたローダポスト162と、各ローダポスト162の上端に上下揺動可能に連結された左右一対のリフトアーム163と、左右リフトアーム163の先端部に上下揺動可能に連結されたバケット164とを有している。
各ローダポスト162とこれに対応したリフトアーム163との間には、リフトアーム163を上下揺動させるためのリフトシリンダ166がそれぞれ設けられている。左右リフトアーム163とバケット164との間には、バケット164を上下揺動させるためのバケットシリンダ168が設けられている。この場合、操縦座席159のオペレータがローダレバー(図示省略)を操作することによって、ローダ作業油圧ポンプ装置160の油圧力が制御されて、リフトシリンダ166やバケットシリンダ168が伸縮作動し、リフトアーム163やバケット164を上下揺動させ、ローダ作業を実行するように構成している。なお、前記尿素水タンク71は、ボンネット155の前側方上部に内設される。また、冷却ファン24に対向させて配置する前記ラジエータ19は、ボンネット155の後部に内設されている。