JP6341125B2 - 2相ステンレス継目無鋼管の製造方法 - Google Patents
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(1)熱間加工温度域でフェライト相とオーステナイト相を含む組織を有する2相ステンレス継目無鋼管の製造方法であって、質量%で、C:0.05%以下、Si:2.0%以下、Mn:5.0%以下、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Cr:16.0〜35.0%、Ni:3.0〜12.0%、Mo:5.0%以下、Al:0.1%以下、N:0.5%以下、を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材を加熱した後、熱間加工を施して所定形状の継目無鋼管とするにあたり、前記加熱および前記熱間加工中の前記鋼素材の最高到達温度を1000℃以上δA(昇温過程でδフェライト相単相になる温度)以下とし、かつ前記鋼素材の温度が(δA−100℃)以上になる時間を3600s以下とし、さらに前記熱間加工の最終加工を前記鋼素材の外表面温度で1100℃以下の温度域で施すことを特徴とする表面性状に優れ、異方性の小さい2相ステンレス継目無鋼管の製造方法。
(2)前記鋼素材が、前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:3.0%以下、Ti:0.1%以下、V:3.0%以下、Zr:0.5%以下、W:3.5%以下、Cu:3.5%以下、REM:0.05%以下、B:0.01%以下、Ca:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)に記載の表面性状に優れ、異方性の小さい2相ステンレス継目無鋼管の製造方法。
(3)前記熱間加工を施す熱間加工装置として、穿孔圧延装置以降のいずれかに傾斜圧延機を配設し、該傾斜圧延機を用いて外表面温度1100℃以下の温度で断面減少率10%以上の圧延を施すことを特徴とする(1)または(2)に記載の表面性状に優れ、異方性の小さい2相ステンレス継目無鋼管の製造方法。
質量%で、C:0.05%以下、Si:2.0%以下、Mn:5.0%以下、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Ni:3.0〜12.0%、Cr:16.0〜35.0%、Mo:5.0%以下、Al:0.1%以下、N:0.5%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる二相ステンレス鋼組成とする。
Cは、強度を増加させる元素であるが、耐食性を低下させるため、できるだけ低減することが望ましいが、過度の低減は製造コストの高騰を招く。このため、本発明では、0.05%以下に限定した。なお、好ましくは0.03%以下である。
Siは、脱酸剤として作用するとともに、強度を向上させる元素であり、このような効果を得るためには0.01%以上含有することが望ましいが、2.00%を超える多量の含有は、延性の低下や、金属間化合物の析出を助長し、耐食性を低下させる。このため、Siは2.0%以下に限定した。なお、好ましくは0.5〜1.5%である。
Mnは、オーステナイト安定化元素であり、2相組織の分率を適正に調整し、2相ステンレス鋼材の耐食性と加工性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、0.01%以上の含有が望ましいが、5.0%を超える含有は、熱間加工性、耐食性を低下させる。このため、Mnは5.0%以下に限定した。なお、好ましくは0.5〜2.0%である。
Pは、不純物として混入する元素であり、結晶粒界等に偏析しやすく、耐食性や熱間加工性の低下を招くため、できるだけ低減することが望ましいが、0.05%までは許容できる。しかし、過度の低減は、材料コストの高騰を招くため、0.002%以上とすることが好ましい。このようなことから、Pは0.05%以下に限定した。なお、好ましくは0.02%以下である。
Sは、Pと同様に、不純物として混入する元素であり、鋼中では硫化物系介在物として存在し、延性、耐食性、熱間加工性を低下させるため、できるだけ低減することが好ましいが、0.03%までは許容できる。しかし、過度の低減は、材料コストの高騰を招くため、0.002%以上とすることが好ましい。このようなことから、Sは0.03%以下に限定した。なお、好ましくは0.005%以下である。
Niは、オーステナイト安定化元素であり、2相組織の分率を適正に調整し、2相ステンレス鋼材の耐食性と加工性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、3.0%以上の含有を必要とする。一方、12.0%を超える含有は、過度のオーステナイト相の増加を招き、所望の2相組織を維持することが困難となる。このため、Niは3.0〜12.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは5.0%超9.0%以下である。
Crは、耐食性を向上させる元素であり、かつフェライト安定化元素であってフェライト相とオーステナイト相の2相組織の分率を決める主要な元素である。このような効果を得るためには16.0%以上の含有を必要とする。一方、35.0%を超えて多量に含有すると、σ相、χ相等の金属間化合物の生成を助長し、耐食性の低下を招く。このため、Crは16.0〜35.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは18.0%超28.0%以下である。
Moは、耐食性を向上させる元素であり、このような効果を得るためには、1.0%以上含有することが望ましい。一方、5.0%を超えて含有すると、金属間化合物の析出を助長し、耐食性、熱間加工性を低下させる。このため、Moは5.0%以下に限定した。なお、好ましくは2.0〜4.0%である。
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、このような効果を得るためには、0.001%以上含有することが望ましいが、0.1%を超えて多量に含有すると、酸化物系介在物量が増加し、清浄度の低下を招く。このため、Alは0.1%以下に限定した。なお、好ましくは0.001〜0.050%である。
Nは、強力なオーステナイト安定化元素であり、耐食性向上にも寄与する。このような効果を得るためには、0.050%以上含有することが望ましい。一方、0.5%を超えて含有すると、過度のオーステナイト相の増加を招き、所望の2相組織を維持することが困難となる。このため、Nは0.5%以下に限定した。
(1)温度測定
継目無鋼管製造時の温度は加熱炉での温度、圧延終了直後の鋼管内面温度、および最終熱間加工温度の3点を測定した。なお、加熱および熱間加工中の温度履歴については接触式熱電対による測定温度を基に伝熱解析により導いた。また、δフェライト単相になる温度(δA)については予め加熱過程の熱膨張曲線を測定し、δフェライトへの変態が完了し、膨張曲線の曲率が変化した点を使用した。
各丸鋼片(鋼素材)のδA、および、各鋼管製造時の鋼素材の最高到達温度、(δA−100℃)以上の温度域における保持時間、最終加工温度を表2に示す。
得られた継目無鋼管の肉厚中心から、鋼管周方向(C方向)と鋼管長手方向(L方向)が試験片長手方向となるように、Vノッチ試験片(ハーフサイズ)を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を実施し、試験温度:−40℃における吸収エネルギー(vE−40)を測定した。なお、試験片は各3本とし、それらの平均値を当該鋼管の吸収エネルギーとした。吸収エネルギーが60Jを超えたものを○とし、さらに(L方向の吸収エネルギー)/(C方向の吸収エネルギー)の値を調べ異方性について調査した。
(3)疵調査
得られた継目無鋼管の外面及び内面について、疵の有無を確認し、個数と、切り出しによる深さの調査を行った。疵の深さが0.5mm以下でかつ個数が5個以下を○とし、それ以上の深さ、個数がある場合を×で示した。
2 熱間加工装置
21 穿孔圧延装置
22 圧延装置
221 エロンゲータ
222 プラグミル
223 サイジングミル
Claims (2)
- 熱間加工温度域でフェライト相とオーステナイト相を含む組織を有する2相ステンレス継目無鋼管の製造方法であって、
質量%で、
C :0.05%以下、 Si:2.0%以下、
Mn:5.0%以下、 P :0.05%以下、
S :0.03%以下、 Cr:16.0〜35.4%、
Ni:3.0〜12.0%、 Mo:5.0%以下、
Al:0.1%以下、 N :0.5%以下、
を含み、加えてさらに、質量%で、Nb:3.0%以下、Ti:0.1%以下、V:3.0%以下、Zr:0.5%以下、W:3.5%以下、Cu:3.5%以下、REM:0.05%以下、B:0.01%以下、Ca:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材を加熱した後、熱間加工を施して所定形状の継目無鋼管とするにあたり、前記加熱および前記熱間加工中の前記鋼素材の温度を直接接触式または非接触式の温度計で測定し、測定したタイミングでの温度から伝熱解析で導かれる最高到達温度を1000℃以上δA(昇温過程でδフェライト相単相になる温度)以下とし、かつ前記伝熱解析で導かれる温度履歴から前記鋼素材の温度が(δA−100℃)以上になる時間を3600s以下とし、さらに前記熱間加工の最終加工を前記鋼素材の外表面温度で1100℃以下の温度域で施すことを特徴とする表面性状に優れ、異方性の小さい2相ステンレス継目無鋼管の製造方法。 - 前記熱間加工を施す熱間加工装置として、穿孔圧延装置以降のいずれかに傾斜圧延機を配設し、該傾斜圧延機を用いて外表面温度1100℃以下の温度で断面減少率10%以上の圧延を施すことを特徴とする請求項1に記載の表面性状に優れ、異方性の小さい2相ステンレス継目無鋼管の製造方法。
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