(第1実施例)
本実施例のぱちんこ遊技機においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技とが、同時に実行されないよう第2の遊技が優先的に実行される。またこれらの遊技性を両立させるために、複数の始動入賞口、複数の特別図柄表示装置、複数の保留ランプを備える。第1の遊技における大当りの出玉より、第2の遊技における大当りの出玉の方がおおむね多くなるように設計される。例えば、第2の遊技の方が確変を伴う大当りとなる確率が高く、また、第2の遊技の方が特別遊技を構成する単位遊技数が多い(大入賞口の開放時間が長い長開放単位遊技と開放時間が短い短開放単位遊技とが一つの特別遊技中に混在し、同一単位遊技数であっても第2の遊技の方が第1の遊技よりも長開放単位遊技の数が多い場合を含む)など、第2の遊技の方が第1の遊技より相対的に利益が高くなる設計がされている。その上で、最初は第1の遊技にて初当りを狙い、第1の遊技における大当りで時短が付与された後は第2の遊技を繰り返し狙って多くの出玉を得る、という遊技性を実現する。
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機100は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機100の遊技機枠は、外枠101、前枠102、透明板103、扉104、上球皿105、下球皿106、発射ハンドル107、スピーカ108、演出ボタン109、十字キー110、装飾ランプ111を含む。外枠101は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機100を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠102は、外枠101の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠101へ開閉可能に取り付けられる。前枠102は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板103は、ガラスなどにより形成され、扉104により支持される。扉104は、図示しないヒンジ機構により前枠102へ開閉可能に取り付けられる。上球皿105は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿106への遊技球の抜き取り等をする機構を有する。下球皿106は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。扉104の上部には左右にスピーカ108が設けられており、演出を制御する手段によって遊技状態や演出などに応じた効果音や楽曲の音声を出力する。扉104の外観を構成する樹脂部材の大部分が半透明であり、その透過する内部に装飾ランプ111が設けられる。装飾ランプ111は、演出を制御する手段によって遊技状態や演出などに応じた様々な色で発光するLEDであり、点滅等することで演出の役割を果たす。
遊技盤80は、レール82により区画された遊技領域81上に、第1始動口11、第2始動口12、大入賞口20、第1作動口31、第2作動口32、一般入賞口33、アウト口34、演出表示装置60、センター飾り64を含む。センター飾り64は、遊技領域81の略中央部とその上部および右部にわたって演出表示装置60の画面枠を形成するように設けられる装飾的な樹脂部材であり、遊技球の流路、演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。センター飾り64の下部には流入した遊技球が転動するステージ65が形成され、その転動の仕方によってステージ65からの落下方向は第1始動口11へ入球する方向と第1始動口11に入球しない側方の方向とに振り分けられる。センター飾り64の上部には、演出内容に沿って駆動されて演出的な動作をする可動役物66が設けられる。遊技領域81には、遊技球の流路を形成するための図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
第1始動口11は第1の遊技に対応する始動入賞口として設けられ、第2始動口12は第2の遊技に対応する始動入賞口として設けられる。第1始動口11と第2始動口12は、遊技者の意思にしたがった遊技球の発射強弱によって一方への入球を狙うことが可能となるように構成される。第1始動口11は、遊技領域81における略中央下部に設けられ、第2始動口12は、第1始動口11の直下に設けられる。左打ち、すなわちセンター飾り64の左側通路へ流れるように狙って相対的に弱めに打球した場合は第1始動口11および第2始動口12に入球可能ないし入球容易である一方、右打ち、すなわちセンター飾り64の右側通路へ流れるように狙って相対的に強めに打球した場合は第2始動口12には入球可能ないし入球容易であるが第1始動口11には入球不能ないし入球困難となるように遊技釘の配置による流路が形成される。ただし、通常時には第2始動口12の開口部上方が第1始動口11に覆われて遊技球の流入が妨げられることから、第2始動口12の拡開機構が開放されない限り第2始動口12には入球不能ないし入球困難である。当否抽選は、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する抽選であり、第1始動口11または第2始動口12へ入球があるたびに実行される。
なお、第1始動口11および第2始動口12は、遊技球の発射強弱によっていずれかを目標にした打ち分けが可能な程度に互いに離れた位置に設けられてもよい。第1始動口11と第2始動口12は、それぞれ遊技領域81の左側と右側に離して設置され、一方を狙った遊技球が他方へ入球しがたい構成としてもよい。たとえば、第1始動口11は、左打ち、すなわちセンター飾り64の左側通路へ流れるように狙って比較的弱めに発射したときに入球可能ないし入球容易となるような位置に設けられる。第2始動口12は、右打ち、すなわちセンター飾り64の右側通路へ流れるように狙って比較的強めに発射したときに入球可能ないし入球容易となるような位置に設けられる。
第1始動口11は、第1始動入賞検出装置16を備える。第1始動入賞検出装置16は、第1始動口11への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1始動入賞情報を生成する。第2始動口12は、第2始動入賞検出装置17と、拡開機構である普通電動役物90(いわゆる電動チューリップ)と、普通電動役物90を開閉させるための普通電役ソレノイド91を備える。第2始動入賞検出装置17は、第2始動口12への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2始動入賞情報を生成する。
普通電役ソレノイド91の駆動力により普通電動役物90が拡開されると、第2始動口12への入球容易性が高まる。普通電動役物90の1回の開放時間は、短開放時は0.1秒程度の短時間であるのに対し、長開放時は普通電動役物90の1回の開放時間が6秒程度と短開放時よりも長く設定されて遊技球が第2始動口12に入球しやすくなる。普通電動役物90の長開放は「開放延長」とも呼ばれる。なお、変形例として、普通電動役物90が拡開するときはその旨を事前に報知してもよく、普通図柄変動の保留を先読みして普通図柄の変動開始前に報知してもよいし、普通図柄の変動中に報知してもよい。
第2始動口12の普通電動役物90を長開放させるときの開放態様の変形例としては、短開放時より長い2秒開放を3回繰り返すことにより総開放時間を6秒程度にまで長くする態様としてもよい。また、開放時間と開放回数の組合せを複数通り用意し、いずれかを選択する構成としてもよい。例えば2秒開放を3回の場合、6秒開放を1回の場合と比較して総開放時間は同じであるが、インターバル期間も含めると前者は後者より長い。そのため、特に第2始動口12を右打ちの方向に配置する変形例の構成では、開放に気がついた遊技者がその時点から打球方向を第2始動口12に合わせたとして前者の方が入球チャンスが長いともいえる。また、普通図柄の当り種類が複数存在するように構成し、その当り種類に応じて拡開機構の開放態様が異なるようにしてもよい。例えば、普通図柄が第1の当りとなった場合、通常状態では0.1秒開放を1回、入球容易状態では1秒開放を3回とし、第2の当りとなった場合、通常状態では6秒開放を1回、入球容易状態では2秒開放を2回としてもよい。
3つの一般入賞口33は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置38をそれぞれ備える。一般入賞検出装置38は、一般入賞口33への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
大入賞口20は、遊技球の入球を検出するための大入賞検出装置25と、大入賞口20を開閉させるための大入賞口ソレノイド92を備える。大入賞検出装置25は、大入賞口20への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。大入賞口20は、第1特別図柄51または第2特別図柄52が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口20はアウト口34の右上方の位置に設けられる。なお、変形例として大入賞口を遊技領域81の中央下部や大入賞口20の上方または下方にさらにもう一つ設け、複数の大入賞口が設けられる構成としてもよい。
遊技盤80における遊技領域81の外側左下位置に第1の遊技に対応する第1特別図柄表示装置41と第2の遊技に対応する第2特別図柄表示装置42とが左右に並設され、第1特別図柄51および第2特別図柄52の変動が表示される。遊技領域81の略中央にはセンター飾り64により形成される画面枠から画面が露出するように演出表示装置60が設けられ、第1特別図柄51または第2特別図柄52に連動する装飾図柄61を含む演出画像の変動を表示する。以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という。
第1特別図柄51は、第1始動口11への遊技球の入球を契機として行われる第1当否抽選の判定結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第2特別図柄52は、第2始動口12への遊技球の入球を契機として行われる第2当否抽選の判定結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第1特別図柄表示装置41および第2特別図柄表示装置42は、例えば「8の字」を形成する7個のセグメントおよび「ドット」を表す1個のセグメントの8個のセグメントからなる8セグメントLEDの表示装置である。8セグメントLEDでは、8個のセグメントを組み合わせることにより8ビット分の数値を表現できる。セグメントの組合せで表される第1特別図柄51および第2特別図柄52は、必ずしも文字や数字の体をなしておらず、各セグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号であってよい。これらの記号が高速で次々に入れ替わって第1特別図柄表示装置41および第2特別図柄表示装置42へ表示されることにより、第1特別図柄51および第2特別図柄52の図柄変動表示が実現される。さらに、第1特別図柄表示装置41および第2特別図柄表示装置42を8セグメントLEDではないLEDドットアレーを用いて、その点灯パターンや点灯色の組合せで複数種類の第1特別図柄51および第2特別図柄52を表現してもよい。
演出表示装置60は、第1特別図柄51または第2特別図柄52の変動表示と連動する形で装飾図柄61を変動表示する液晶ディスプレイで構成される表示装置である。装飾図柄61は、第1特別図柄51および第2特別図柄52で示される抽選の判定結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄61として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄を変動させる動画像を画面の中央領域に表示する。本実施例においては、「0」〜「9」の数字で構成される図柄を3列に表示して変動させ、最終的に停止表示される3個の図柄組合せによって当りまたは外れを示す。装飾図柄61を構成する複数図柄のそれぞれは、色彩や模様の装飾が施された数字、文字、または記号で構成されるが、これら数字、文字、記号に対して全図柄に共通する絵柄または図柄ごとに異なる絵柄を加えて一体化させる形で構成されてもよい。この絵柄は、ぱちんこ遊技機100の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連するモチーフが描かれた絵柄であり、例えば人物や動物のキャラクタが描かれた絵柄であってもよい。装飾図柄61は、絵柄が一体的に含まれる図柄が変動表示される場合と、絵柄が分離して数字、文字、記号の部分のみが変動表示される場合とが、演出の展開に沿って切り替えられる構成であってもよい。装飾図柄61の変動表示の背景には、ぱちんこ遊技機100の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連する演出的効果を有する動画像が図柄変動と連動して表示される。
なお、第1特別図柄51および第2特別図柄52は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では遊技領域81の左下方の第1特別図柄表示装置41および第2特別図柄表示装置42にて目立たない大きさで表示させる。ただし、特別図柄自体に演出的な役割をもたせることで装飾図柄を用いずに表現する手法を採用する場合には、特別図柄を8セグメントLEDではなく液晶ディスプレイに表示させる構成としてもよい。
第1作動口31は、遊技領域81の左側方位置に設けられ、第1通過検出装置36を含む。第1通過検出装置36は、第1作動口31への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。第2作動口32は、遊技領域81の右側方位置に設けられ、第2通過検出装置37を含む。第2通過検出装置37は、第2作動口32への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。第1作動口31または第2作動口32への遊技球の通過は普通電動役物90を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。第1作動口31または第2作動口32を遊技球が通過すると、開放抽選の判定結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置45に変動表示される。したがって、開放抽選は「普通図柄抽選」とも呼ぶ。普通図柄表示装置45は遊技領域81の外側右下方に設けられ、便宜上、二つのランプで構成されるとともに、それらのうちいずれのランプが点灯しているかによって普通図柄の表示状態が表現される。例えば、第1のランプの点灯が外れを示し、第2のランプが当りを示すとき、それらが交互に点灯と消灯を繰り返すことによって普通図柄の変動表示が表現され、最終的にいずれかの点灯状態にて停止されることで普通図柄の停止図柄が表現される。変動開始から所定時間の経過後に、普通図柄の変動表示が停止する。普通図柄が当りの図柄で停止すると、普通電動役物90が拡開される。
普通電動役物90の開放時間は、0.1秒間の短開放と6秒間の長開放の2通りがある。通常状態における開放抽選では、1/50の確率で普通図柄が当りとなって長開放が実行され、1/100の確率で普通図柄が当りとなって短開放が実行される。このように通常状態では長開放となる確率の方が短開放の確率より高いが、変形例では逆に短開放となる確率の方が長開放の確率より高い仕様としてもよいし、両者の確率を同じにする仕様としてもよい。入球容易状態における開放抽選では、普通図柄の当り確率を99/100に高め、さらに開放時間を長開放のみとする。このように入球容易状態では普通図柄の当り確率の変動機能と開放時間の延長機能により、第2始動口12への入球容易性を高める。変形例における入球容易状態では、さらに普通図柄の変動時間の短縮機能を加えた3つの機能を用いて第2始動口12への入球容易性を高める構成としてもよい。その場合の普通図柄の変動時間は、例えば通常状態では10秒間であり、入球容易状態では2秒間である。
遊技領域81の外側左下位置において、第1特別図柄表示装置41の上方には第1の遊技に対応する第1特図保留ランプ71が設けられ、第2特別図柄表示装置42の上方には第2の遊技に対応する第2特図保留ランプ72が設けられる。第1特図保留ランプ71は2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって第1の遊技における当否抽選値の保留数を表示する。第1特図保留ランプ71における当否抽選値の保留数は、第1特別図柄51の変動中または特別遊技の実行中に第1始動口11へ入賞した抽選値の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。第2特図保留ランプ72も2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって第2の遊技における当否抽選値の保留数を表示する。第2特図保留ランプ72における当否抽選値の保留数は、第2特別図柄52の変動中または特別遊技の実行中に第2始動口12へ入賞した抽選値の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。当否抽選値の保留数は、演出表示装置60の画面下部にも保留ランプ画像の点灯個数で表す形で表示される。
当否抽選の保留数が3個になると、遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が通常より短縮される(以下、「短縮変動」ともいう)。同様に、当否抽選の保留数が4個になると、さらに遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が上記3個の場合よりもさらに短縮される(以下、「超短縮変動」ともいう)。
遊技領域81の外側右下位置において、普通図柄表示装置45の右側には普図保留ランプ75が設けられる。普図保留ランプ75もまた2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に第1作動口31または第2作動口32を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
演出ボタン109は、遊技者が演出内容に応じて遊技機へ所定の指示を入力するために押下する操作入力手段であり、その押下態様に応じて演出内容等に変化が加えられる。演出ボタン109は、上球皿105近傍の外壁面に設けられる。十字キー110は、遊技者が遊技機へ方向指示を入力する操作入力手段であり、上球皿105の左方の外壁面に設けられる。
以上のような構成においてなされる遊技の方法および制御の流れを概説する。遊技者が発射ハンドル107を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿105に貯留された遊技球が1球ずつレール82に案内されて遊技領域81へ発射される。遊技者が発射ハンドル107の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域81の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口33、第1始動口11、第2始動口12、大入賞口20の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿105または下球皿106に払い出される。一般入賞口33等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口34に落入した遊技球はアウト球として処理される。
第1始動口11または第2始動口12に入球すると、第1特別図柄表示装置41、第2特別図柄表示装置42および演出表示装置60において第1特別図柄51、第2特別図柄52、および装飾図柄61が変動表示される。第1特別図柄51、第2特別図柄52、および装飾図柄61の変動表示は、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止される。第1特別図柄51および第2特別図柄52は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄61は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって第1特別図柄51および第2特別図柄52が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄61が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に第1特別図柄51、第2特別図柄52、および装飾図柄61の変動が停止される。
装飾図柄61の変動表示としては、まず変動開始とともにスロットマシンのリール回転のように3列とも図柄を変動させ、変動終了タイミングへ近づいたときに一列ずつ停止させることで最終的な停止態様としての図柄組合せを表示する。停止時の第1特別図柄51、第2特別図柄52、および装飾図柄61が大当りを示す停止態様となった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口20の開閉動作が開始される。大当りを示す装飾図柄61の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する組合せの態様である。
変動演出パターンには、通常外れ演出パターン、リーチ外れ演出パターン、リーチ大当り演出パターンが含まれる。通常外れ演出パターンは、通常の外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ外れ演出パターンは、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態であるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ大当り演出パターンは、リーチ状態を経て大当りの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。通常外れ演出パターン、リーチ外れ演出パターン、リーチ大当り演出パターンは、それぞれ通常状態にて表示する通常のパターンと、時短状態において表示する時短用パターンとがある。ただし、通常状態であっても、第2始動口12への入球に対応する第2図柄変動であった場合は、大当りが確変を伴う確率や特別遊技の単位遊技数が多くなる確率が第1始動口11への入球に対応する第1変動より高いチャンス状態といえるため、相対的に有利な大当りが発生するチャンスであることを表示するチャンス演出用のパターンを用いてもよい。なお、本実施例では時短状態において時短用のパターンを用いるが、確変状態では時短を伴うため、確変状態においても時短用パターンが用いられる。ただし、変形例では確変状態において時短用とは異なる確変用のパターンを用いる仕様としてもよい。あるいは、時短用と確変用で共通のパターンを用いる仕様としてもよいし、時短用のパターンは特に用いずに確変状態において確変用のパターンを用いる仕様としてもよい。
特別遊技には通常特別遊技と短縮特別遊技の2種類があり、それぞれ獲得賞球による利益に大きな差が生じる。通常特別遊技は、開始デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって開始される。開始デモ時間の画面表示後に大入賞口20が開放され、その開放が約30秒間続いた後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口20の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。大入賞口20の開閉ないし単位遊技が所定回数、例えば4回または16回繰り返された後、終了デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって通常特別遊技が終了される。通常特別遊技においては、1回の単位遊技あたり9球以上の入球が十分に期待でき、16回分の単位遊技によって十分な賞球(これを「出玉」ともいう)を獲得でき、大きな利益が得られる。大入賞口20が長時間開放される単位遊技で構成され、16回の単位遊技が繰り返される通常特別遊技を適宜「16R大当り」とも称し、4回の単位遊技が繰り返される通常特別遊技を適宜「4R長開放大当り」とも称する。
一方、短縮特別遊技は、開始デモ時間および終了デモ時間もなく、1回の単位遊技で大入賞口20を0.2秒間だけ開放させる。この単位遊技を所定回数(本実施例では4回)繰り返して短縮特別遊技が終了される。短縮特別遊技では、ごく短時間の大入賞口20の開放を4回繰り返すだけであるため、大入賞口20にはほとんど入球し得ず、実質的に出玉がほぼゼロに等しい特別遊技である。大入賞口20が短時間しか開放されない単位遊技で構成され、4回の単位遊技が繰り返される短縮特別遊技を適宜「4R短開放大当り」とも称する。
停止時の第1特別図柄51または第2特別図柄52および装飾図柄61が所定の小当り態様であった場合、1回の単位遊技で構成される小当り遊技に移行し、大入賞口20の開閉動作が実行される。小当り遊技を構成する1回の単位遊技においては、大入賞口20が約0.2秒間の開放を4回繰り返すので、外観上は4R短開放大当りと同様の動作態様となる。
特別遊技が発生した場合であってそのときの当り停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである確変がさらに開始される。確変中は、通常の確率状態より当りの確率が高い当否抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生し得る。なお、当否抽選の判定結果が特定大当り、すなわち確変を伴う大当りであったことは外観上明示せず、装飾図柄や演出内容として明示的に報知しない潜伏確変状態としてもよい。その場合、確変中であっても確変であるか非確変であるかが演出表示装置60には明示されない。
特別遊技が終了した後の通常遊技において特定遊技状態の一つである入球容易状態が開始される。入球容易状態では、開放抽選の当り確率を通常より高めるとともに、普通電動役物90の拡開時間を長開放とする開放延長を実行する。一定時間あたりの普通図柄の当り回数が増加し得る上、第2始動口12への入球容易性も増すため、第2始動口12への入球数が増加する可能性も高い。したがって、第2始動口12への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさないか、あるいは少しずつ持ち玉を増やしながら遊技し続けることが可能となる。
入球容易状態においては、特定遊技状態の一つとして、第1特別図柄51、第2特別図柄52、装飾図柄61の変動時間が通常状態よりも短縮される、いわゆる時短がさらに実行される。第1特別図柄51、第2特別図柄52、装飾図柄61の変動時間は、所定の変動回数、例えば100回の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻されるが、その変動回数に達する前に大当りが発生すれば時短もいったん終了する。時短において第1特別図柄51、第2特別図柄52、装飾図柄61の変動時間が短縮されるため、通常の変動時間のまま図柄変動がなされる通常状態の場合と比べて、大当りが発生するまでの時間を短縮することができ、大当りの獲得容易性を相対的に高めることができる。変形例では、入球容易状態において特別図柄の時短を実施しない仕様としてもよい。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ150は、ぱちんこ遊技機100の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板200は、ぱちんこ遊技機100の全体動作を制御し、とくに第1始動口11、第2始動口12へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板300は、液晶ユニット151を備え、演出表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板200による判定結果に応じて演出的な表示内容を変動させる。裏セット機構152は、賞球タンク153や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット154等を含む。払出ユニット154は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク153から供給される遊技球を上球皿105へ払い出す。払出制御基板155は、払出ユニット154による払出動作を制御する。発射装置156は、上球皿105の貯留球を遊技領域81へ1球ずつ発射する。発射制御基板157は、発射装置156の発射動作を制御する。電源ユニット158は、ぱちんこ遊技機100の各部へ電力を供給する。
図3は、ぱちんこ遊技機100の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機100は、遊技の基本動作や遊技の進行を制御する主制御装置としてのメイン基板200と、演出的な動作や処理を制御する副制御装置としてのサブ基板300とに機能を分担させた形態で構成される。メイン基板200は、第1始動口11、第2始動口12、大入賞口20、一般入賞口33、第1作動口31、第2作動口32、第1特別図柄表示装置41、第2特別図柄表示装置42、普通図柄表示装置45と電気的に接続されており、各々との間で各種制御信号を送受信する。サブ基板300は、演出表示装置60、演出ボタン109、スピーカ108、装飾ランプ111と電気的に接続されており、各々との間で各種制御信号を送受信する。メイン基板200とサブ基板300の間におけるデータの送受信はメイン基板200からサブ基板300への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板200とサブ基板300に配置される。メイン基板200からサブ基板300へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板300に含まれる構成からメイン基板200に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板200で生成された情報は、メイン基板200がサブ基板300へ一方的に送信しない限りサブ基板300から参照することはできない。
なお、メイン基板200に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板200ではなくサブ基板300に搭載されてもよいし、サブ基板300に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板300ではなくメイン基板200に搭載されてもよい。
図4は、メイン基板200の構成を示すブロック図である。メイン基板200は、入球判定手段201、第1抽選手段211、第2抽選手段212、普図抽選手段213、保留制御手段240、メイン表示制御手段250、特別遊技制御手段260、小当り遊技制御手段265、特定遊技制御手段270、開閉制御手段275、特図調整手段276を備える。
入球判定手段201は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段201は、第1始動入賞情報を受け取ると遊技球が第1始動口11に入賞したと判断し、第2始動入賞情報を受け取ると遊技球が第2始動口12に入賞したと判断する。入球判定手段201は、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口20に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口33に入賞したと判断する。入球判定手段201は、通過情報を受け取ると遊技球が第1作動口31または第2作動口32を通過したと判断する。
第1抽選手段211は、第1の遊技に係る第1の抽選を実行する機能として、第1抽選値取得手段216、第1当否判定手段221、第1図柄決定手段226、第1変動パターン決定手段231を含み、第1始動口11への入球に対応する当否抽選として第1当否抽選を実行する。第1当否抽選の判定結果は、第1特別図柄表示装置41において第1特別図柄51の変動表示の形で示され、演出表示装置60の表示領域において装飾図柄61の変動表示の形で示される。第2抽選手段212は、第2抽選値取得手段217、第2当否判定手段222、第2図柄決定手段227、第2変動パターン決定手段232を含み、第2始動口12への入球に対応する当否抽選として第2当否抽選を実行する。第2当否抽選の判定結果は、第2特別図柄表示装置42において第2特別図柄52の変動表示の形で示され、演出表示装置60の表示領域において装飾図柄61の変動表示の形で示される。第1抽選手段211および第2抽選手段212は、図柄変動を開始するにあたり、その図柄変動に対応する抽選の判定結果を図柄変動の制御コマンドとともに演出決定手段303へ送信する。
第1抽選手段211および第2抽選手段212は、第1始動口11または第2始動口12への入球時にも事前判定処理として抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定を実行し、その判定結果を演出決定手段303へ送信する。事前判定処理の結果は送信バッファに一時保存された後、その抽選に対応する図柄変動表示が直ちに開始されるか否かにかかわらず演出決定手段303へ送信され、送信バッファから消去または後に上書きされる。そのため、サブ基板300の側にとっては図柄変動開始の順番が巡ってくる前にあらかじめ当否結果を推測的に認識できる、いわゆる「先読み」と呼ばれる処理が実現される。
第1抽選値取得手段216は、第1始動口11への入球を契機に、第1当否抽選のために乱数の値を第1当否抽選値として取得する。第2抽選値取得手段217は、第2始動口12への入球を契機に、第2当否抽選のために乱数の値を第2当否抽選値として取得する。例えば、当否抽選のために第1当否抽選値および第2当否抽選値として取得する値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。第1当否抽選値、第2当否抽選値として取得する値は、保留制御手段240により一時的に保留される。ただし、所定の保留上限数を超えない範囲で当否抽選値が保留される。
第1当否判定手段221は、第1当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定と、第1当否抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定を実行する。第2当否判定手段222は、第2当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定と、第2当否抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定を実行する。第1当否判定手段221および第2当否判定手段222は、当否判定で参照する当否判定テーブルと事前当否判定テーブルを保持する。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する当否判定を、特に事前当否判定と区別するために、適宜「本判定としての当否判定」とも呼ぶ。
第1当否判定手段221および第2当否判定手段222は、当否判定で参照する当否判定テーブルを複数保持する。複数の当否判定テーブルには、大当りおよび外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた大当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。第1当否判定手段221および第2当否判定手段222は、通常確率状態においては通常の当り確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動状態においては通常確率より大当り確率が高くなる当否テーブルを参照する。第1当否判定手段221および第2当否判定手段222は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当りであるか否かを判定する。
図5は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。第1当否判定手段221および第2当否判定手段222は、本判定として当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。第1当否判定手段221による第1当否抽選と第2当否判定手段222による第2当否抽選のいずれにおいても、通常時には当否抽選値が0〜299の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜299の範囲に該当する場合だけでなく、300〜2999の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよいし、第1当否抽選用と第2当否抽選用とで別個に用意してもよい。
本実施例においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、第1当否判定手段221が取得する当否抽選値が56500〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。その一方、第2の遊技では小当りは発生せず、すなわち第2当否判定手段222が取得する当否抽選値は小当りに対応付けられていない。変形例として、第2当否判定手段222が取得する当否抽選値の一部が小当りに対応付けられてもよく、また、第2当否抽選よりも第1当否抽選の方が小当りに該当する範囲が広く、小当りが発生しやすいよう当否判定テーブルが設定されてもよい。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
図6は、事前当否判定で参照される事前当否判定テーブルを模式的に示す図である。第1当否判定手段221は図6(a)のテーブルを参照し、当否抽選値が「0〜299」の場合はその旨を示す「1」の値を判定結果としての当否範囲に設定し、当否抽選値が「300〜2999」の場合はその旨を示す「2」の値を判定結果としての当否範囲に設定する。当否抽選値が「3000〜56499」の場合はその旨を示す「3」の値を判定結果としての当否範囲に設定し、当否抽選値が「56500〜65535」の場合はその旨を示す「4」の値を判定結果としての当否範囲に設定する。第1当否判定手段221は、以上のように当否範囲を設定するたびにその値を第1当否抽選であることを示す値や保留の個数とともに演出決定手段303へ送信する。
第2当否判定手段222は図6(b)のテーブルを参照し、当否抽選値が「0〜299」の場合はその旨を示す「1」の値を判定結果としての当否範囲に設定し、当否抽選値が「300〜2999」の場合はその旨を示す「2」の値を判定結果としての当否範囲に設定する。当否抽選値が「3000〜65535」の場合はその旨を示す「3」の値を判定結果としての当否範囲に設定する。第2当否判定手段222は、以上のように当否範囲を設定するたびにその値を第2当否抽選であることを示す値や保留の個数とともに演出決定手段303へ送信する。
図4に戻り、第1図柄決定手段226および第2図柄決定手段227は、別途取得する図柄抽選値と当否判定の結果に基づいて、図柄の変動開始にあたってその停止図柄を決定するとともに、図柄抽選値がいずれの図柄範囲に該当するかの事前図柄判定を実行する。第1図柄決定手段226および第2図柄決定手段227は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照する複数の図柄判定テーブルと事前図柄判定テーブルを保持する。第1図柄決定手段226および第2図柄決定手段227は、当否判定結果に応じて異なる図柄判定テーブルを参照する。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する図柄判定を、特に事前図柄判定と区別するために、適宜「本判定としての図柄判定」とも呼ぶ。
図7は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図7(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図7(b)は当否判定結果が外れであった場合に参照するテーブルであり、図7(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。第1図柄決定手段226および第2図柄決定手段227は、本判定として図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、特別図柄の種類を示す「0」〜「10」の番号と第1図柄抽選値または第2図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、「0」〜「8」が大当りに対応し、「9」が小当りに対応し、「10」が外れに対応する。各種類には複数の特別図柄、すなわちセグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号が複数割り当てられている。
図7(a)に示す通り、特別図柄の種類「0」〜「8」が大当りに対応付けられている。そのうち、種類「0」は特定大当りとして確変を伴う16R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「0〜49」に対応付けられ、第2図柄抽選値の場合は「0〜99」に対応付けられる。種類「1」は特定大当りとして確変を伴う4R長開放大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「50〜99」に対応付けられ、第2図柄抽選値の場合は「100〜119」に対応付けられる。種類2は特定大当りとして確変を伴う4R短開放大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「100〜149」に対応付けられ、第2図柄抽選値の場合は「120〜149」に対応付けられる。
種類「3」〜「5」は通常大当りとして確変を伴わない4R長開放大当りを示し、それぞれ第1図柄抽選値の「150〜179」「180〜209」「210〜255」に対応付けられる。種類「6」〜「8」は通常大当りとして確変を伴わない4R短開放大当りを示し、それぞれ第2図柄抽選値の「150〜179」「180〜209」「210〜255」に対応付けられる。種類「3」と「6」には、入球容易状態の終期であり、いわゆる電チューサポートの終期として、大当り終了後における30回の図柄変動終了が対応付けられる。言い換えれば、特別遊技終了から30回の図柄変動が終了するまでの期間が、入球容易状態の継続期間として定められている。種類「4」と「7」には、入球容易状態の終期として、大当り終了後における20回の図柄変動終了が対応付けられ、種類「5」と「8」には、入球容易状態の終期として、大当り終了後における10回の図柄変動終了が対応付けられる。このように図柄抽選値の範囲の大きさによって大当り種類ごとの選択確率が定まる。
図7(b)に示す通り、種類「10」は当否判定結果が外れの場合における全範囲の図柄抽選値に対応付けられている。
図7(c)に示す通り、種類「9」は当否判定結果が小当りの場合における全範囲の図柄抽選値に対応付けられている。
なお、事前図柄判定においても図7のテーブルが事前図柄判定テーブルとして参照される。第1図柄決定手段226および第2図柄決定手段227は、事前図柄判定の結果として特別図柄の種類を示す「0」〜「10」の値を第1当否抽選または第2当否抽選であることを示す値や保留の個数とともに演出決定手段303へ送信する。
図4に戻り、第1変動パターン決定手段231は、第1特別図柄表示装置41および演出表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第1パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第2変動パターン決定手段232は、第2特別図柄表示装置42および演出表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第2パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第1変動パターン決定手段231および第2変動パターン決定手段232は、それぞれ図柄変動を開始する際に変動パターンテーブルを参照してその図柄変動の変動パターンを決定する。また、第1変動パターン決定手段231および第2変動パターン決定手段232は、パターン抽選値がいずれの変動パターン範囲に該当するかの事前パターン判定を実行する。第1変動パターン決定手段231および第2変動パターン決定手段232は、変動パターンを決定するために参照する変動パターンテーブルと事前パターン判定テーブルをそれぞれ保持または共有する。変動パターンには、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動時間が定められており、その種類によって長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する変動パターン判定を、特に事前パターン判定と区別するために、適宜「本判定としての変動パターン判定」とも呼ぶ。
図8は、変動パターンテーブルを模式的に示す図である。第1変動パターン決定手段231および第2変動パターン決定手段232は、通常状態においては本図(a)のテーブルを参照し、時短状態においては本図(b)のテーブルを参照する。
図8(a)の通り、通常状態において当否判定結果が外れとなった場合、パターン抽選値が0〜4であればパターン範囲番号「0」のスーパーリーチである「スーパー1」を選択し、パターン抽選値が5〜9であればパターン範囲番号「1」のスーパーリーチである「スーパー2」を選択する。パターン抽選値が10〜19であればパターン範囲番号「2」のノーマルリーチである「ノーマル1」を選択し、パターン抽選値が20〜29であればパターン範囲番号「3」のノーマルリーチである「ノーマル2」を選択する。パターン抽選値が30〜255であればパターン範囲番号「4」の「リーチなし外れ」を選択する。「リーチなし外れ」としては、保留数に応じて異なる変動パターンが選択され、保留数が0〜2のときは10秒の変動パターン、保留数が3のときは7秒の変動パターン、保留数が4のときは4秒の変動パターンがそれぞれ選択される。
本図では、変動時間別に主に5種類に分類した例を説明するが、サブ基板300においてそれらの変動パターンごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがそれぞれの分類の抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。
「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし外れ」に割り当てられたパターン抽選値の範囲もまた保留数に応じて異なる。保留数が0,1のときは本図(a)に示す通りであるが、保留数が増えるほど「ノーマル1」「ノーマル2」の抽選値範囲が狭くなり、「リーチなし外れ」の抽選値範囲が広くなる。保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンの抽選値範囲が広くされており、変動時間の長い変動パターンが選択される確率が高まる。そのため、保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなり、保留数が多いほど平均的な変動時間が短くなる。保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現できる。
通常状態において当否判定結果が4R長開放大当りまたは16R大当りとなった場合、パターン抽選値が0〜123であればパターン範囲番号「5」のスーパーリーチである「スーパー1」を選択し、パターン抽選値が124〜248であればパターン範囲番号「6」のスーパーリーチである「スーパー2」を選択する。パターン抽選値が249〜252であればパターン範囲番号「7」のノーマルリーチである「ノーマル1」を選択し、パターン抽選値が253〜255であればパターン範囲番号「8」のノーマルリーチである「ノーマル2」を選択する。
通常状態において当否判定結果が4R短開放大当りまたは小当りとなった場合、パターン抽選値が0〜122であればパターン範囲番号「9」のスーパーリーチである「スーパー3」を選択し、パターン抽選値が123〜255であればパターン範囲番号「10」のノーマルリーチである「ノーマル3」を選択する。
第1変動パターン決定手段231および第2変動パターン決定手段232は、いわゆる先読み結果として事前判定結果を演出決定手段303へ送信する場合は、パターン範囲番号の値(0〜10)を、第1当否抽選と第2当否抽選のいずれであるかを示す値や保留の個数とともに送信する。
時短状態において参照する図8(b)の変動パターンテーブルは、すべて時短用の変動パターンにパターン抽選値が割り当てられている。ただし、パターン抽選値の範囲と変動時間の対応関係は、外れで選択される「リーチなし外れ短縮」以外はすべて図8(a)と同様である。「リーチなし外れ短縮」は、図8(a)における「リーチなし外れ」と同じ抽選値範囲とパターン範囲番号に対応付けられる、相対的に短い変動時間の変動パターンである。「リーチなし外れ短縮」もまた、保留数に応じて異なる変動パターンが選択され、保留数が0,1のときは10秒の変動パターン、保留数が2〜4のときは1秒の変動パターンがそれぞれ選択される。
図4に戻り、普図抽選手段213は、第1作動口31または第2作動口32を遊技球が通過したときに抽選値を取得することにより抽選を実行する。普図抽選手段213による抽選の判定結果は、普通図柄表示装置45において普通図柄の形で変動表示される。普図抽選手段213は、普通図柄表示装置45に表示させる普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄判定テーブルを保持する。その図柄判定テーブルには抽選値と普通図柄の対応関係が定められており、普図抽選手段213は普通図柄の停止図柄を図柄判定テーブルを参照して決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段275が第2始動口12の普通電動役物90を拡開する。拡開時間は、短開放時が0.1秒で、長開放時で6秒である。普通図柄の抽選値は、保留制御手段240により一時的に保留される。ただし、保留制御手段240により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
保留制御手段240は、特図保留手段241、普図保留手段242を含む。特図保留手段241は、新たに第1当否抽選または第2当否抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1当否抽選または第2当否抽選に対する図柄変動の開始を保留し、その当否抽選値を対応する図柄の変動表示開始まで記憶する。第1当否抽選について4個を上限に当否抽選値と事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲の設定を記憶し、第2当否抽選について4個を上限に当否抽選値と事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲の設定を記憶する。あるいは、当否抽選値とは別の領域に事前判定の結果を記憶してもよい。普図保留手段242は、普図抽選手段213により取得された普図抽選値を保留球として記憶する。これらの保留数がそれぞれ第1特図保留ランプ71、第2特図保留ランプ72、普図保留ランプ75の点灯数または点滅数により表される。特図保留手段241による保留の数は演出表示装置60にも表示される。
特図保留手段241に保留された第2当否抽選の抽選値は第1当否抽選の抽選値より優先的に消化されて図柄変動が表示される。そのため、第1当否抽選として大当りの抽選値が保留されていても第2当否抽選として抽選値の保留がある限りは第1当否抽選の大当り抽選値に対応する図柄変動は表示されない。したがって、第1当否抽選として大当りの保留があっても、さらに第2当否抽選として大当りの保留が入るまで打ち続けることで、複数回の連続的な大当りを獲得できる可能性がある。
メイン表示制御手段250は、第1特図制御手段251、第2特図制御手段252、普図制御手段254を含む。第1特図制御手段251は、第1抽選手段211による第1当否抽選の判定結果に対応して決定された変動パターンにしたがい第1特別図柄51の変動を第1特別図柄表示装置41に表示させる。第1特図制御手段251は、それ以前になされた第1当否抽選または第2当否抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。第2特図制御手段252は、第2抽選手段212による第2当否抽選の判定結果に対応して決定された変動パターンにしたがい第2特別図柄52の変動を第2特別図柄表示装置42に表示させる。第2特図制御手段252もまた、それ以前になされた第1当否抽選または第2当否抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。
第1特図制御手段251は、特図保留手段241により第2当否抽選の当否抽選値が記憶されている場合は第1当否抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。一方、第2特図制御手段252は、特図保留手段241により第1当否抽選の当否抽選値が記憶されているか否かにかかわらず第2当否抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1当否抽選と第2当否抽選の双方に抽選値が保留されていた場合、第2当否抽選で保留された抽選値が優先的に読み出されて図柄変動が表示される。そのような場合、第2当否抽選の保留数が0になるまでは第1当否抽選で保留された抽選値は読み出されずその図柄変動も開始しない。
第1特図制御手段251および第2特図制御手段252は、第1特別図柄51および第2特別図柄52の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出制御手段304へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、本判定として判定ないし決定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値と第1当否抽選と第2当否抽選のいずれであるかを示す値とを変動開始コマンドとともに演出制御手段304へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出制御手段304へ送信する。これにより、メイン表示制御手段250および演出制御手段304による変動表示が同期し、連動が保たれる。普図制御手段254は、普図抽選手段213による抽選の判定結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置45に表示させる。
特図調整手段276は、第1特別図柄51および第2特別図柄52のうち、一方を変動表示させる間は他方の変動表示の開始を待機させる。特図調整手段276は、第1始動口11および第2始動口12のうちいずれに遊技球が入球したかの順序に関係なく、第2始動口12への入球に基づく第2特別図柄52の変動表示を、第1始動口11への入球に基づく第1特別図柄51の変動表示より優先させる。例えば、第1当否抽選値および第2当否抽選値の双方が保留されているとき、つねに第2当否抽選値を優先的に消化させ、第2特別図柄52を連続的に変動表示させる。
なお、変形例における特図調整手段276は、第1特別図柄51の変動表示と第2特別図柄52の変動表示とを、第1始動口11および第2始動口12への入球順序にしたがって選択的に変動表示させてもよい。例えば、第1始動口11、第1始動口11、第2始動口12の順序で入球したときは、第1特別図柄51、第1特別図柄51、第2特別図柄52の順序で変動表示される。この場合、特図調整手段276は保留制御手段240を監視して当否抽選値の保留順序を記憶する。どちらの特別図柄を変動させるべきかが遊技球の入球順、すなわち保留制御手段240における当否抽選値の保留順序にしたがって決定されるので、遊技者は変動の順序を視覚的に把握しやすい。
別の変形例における特図調整手段276は、第1特別図柄51の変動表示と第2特別図柄52の変動表示とを、入球順序にかかわらず予め定められた消化順序にて表示させてもよい。例えば、第1特別図柄51の変動表示と第2特別図柄52の変動表示とを交互に表示することを優先してもよい。例えば、第1当否抽選値および第2当否抽選値の双方が保留されているとき、第1特別図柄51と第2特別図柄52とが交互に変動表示される。いずれの特別図柄を変動させるべきかが遊技球の入球順に関係なく単純に交互に入れ替わるので、遊技者は変動の順序を感覚的に把握しやすい。
特図調整手段276は、また、第1特別図柄51および第2特別図柄52のうち、一方が当り態様で停止されたときは他方の変動表示の開始を待機させる。この場合、特別遊技を実行する間は特別図柄の変動表示は開始されないので、遊技者は特別遊技に集中することができる。
特別遊技制御手段260は、第1抽選手段211による第1当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄51が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口20を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段260は、第2抽選手段212による第2当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄52が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口20を開放させることにより特別遊技を実行する。
特別遊技は、大入賞口20の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を16回繰り返す16R大当りと、単位遊技を4回繰り返す4R長開放大当りと、16R大当りおよび4R長開放大当りより開放時間が短い単位遊技を4回繰り返す4R短開放大当りがある。16R大当りおよび4R長開放大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口20を原則として約30秒間開放させる。4R短開放大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口20を約0.2秒間だけ開放させる。特別遊技制御手段260は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。なお、4R短開放大当りとなった場合においても、所定の条件を満たした場合には、16R大当りおよび4R長開放大当りと同様の開放態様で大入賞口20を開放させてもよい。
小当り遊技制御手段265は、第1抽選手段211による第1の抽選が小当りを示す結果となった場合、第1特別図柄51が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、開閉制御手段275に大入賞口20を開放させることにより小当り遊技を実行する。変形例として、小当り遊技制御手段265は、第2抽選手段212による第2の抽選が小当りを示す結果となった場合、第2特別図柄52が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、開閉制御手段275に大入賞口20を開放させることにより小当り遊技を実行してもよい。
小当り遊技においては、単位遊技が1回実行され、1回の単位遊技において大入賞口20を4回開閉する。小当り遊技制御手段265は、1回の開閉あたり大入賞口20を約0.2秒間だけ開放させ、小当り遊技全体としては約0.8秒間開放させた後、大入賞口20を閉鎖して小当り遊技を終了させる。
特定遊技制御手段270は、確変状態、時短状態、および入球容易状態における通常遊技を制御する。時短状態においては、第1特別図柄51および第2特別図柄52の変動表示時間が概ね短くなるよう、第1変動パターン決定手段231および第2変動パターン決定手段232が変動時間の短い変動パターンを選択する。ただし、通常状態においては、保留制御手段240による当否抽選値の保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、保留制御手段240による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。入球容易状態においては、普通図柄の確変および第2始動口12の開放延長の双方、または第2始動口12の開放延長のみが実施される。すなわち、特定遊技制御手段270は、特定大当りとなった場合に第2始動口12を開放延長状態にさせるとともに、その当否抽選が第2当否抽選であった場合に限りさらに開放抽選の当り確率を通常確率状態より高い確変状態へ移行させる。
特定遊技制御手段270は、特別図柄が確変への移行を伴う特定大当りの図柄であった場合に、特別遊技の終了後に遊技状態を確変状態、時短状態および入球容易状態へ移行させる。確変状態、時短状態および入球容易状態は、次の大当りが発生するまで継続される。確変状態の間は第1当否判定手段221および第2当否判定手段222による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。特定遊技制御手段270は、特別図柄が確変への移行を伴わない通常大当りの図柄であった場合、特別遊技の終了後に遊技状態を時短状態および入球容易状態へ移行させるが、確変状態へは移行させない。そして、当該図柄に対応付けられた期間、例えば図柄変動回数が30回、20回、10回のいずれかに到達するまで時短状態および入球容易状態を継続させる。
開閉制御手段275は、第2始動口12の普通電動役物90や大入賞口20の開閉を制御する。開閉制御手段275は、普通図柄が特定の態様で停止されると、普通電役ソレノイド91に開放指示を送り、第2始動口12の普通電動役物90を開放させる。開閉制御手段275は、通常状態においては開放抽選の結果に応じて短開放または長開放の開放時間にて第2始動口12を開放させ、入球容易状態においては長開放の開放時間にて第2始動口12を開放させる。第2始動口12の入球容易性を高め、遊技者が持ち玉を減らさずに遊技を継続できるようにするものである。開閉制御手段275は、特別遊技において、大入賞口ソレノイド92に開放指示を送り、大入賞口20を開放させる。
図9は、サブ基板の構成を示すブロック図である。サブ基板300は、図柄態様決定手段301、パターン記憶手段302、演出決定手段303、演出制御手段304、計時手段307、入力制御手段390、遊技者識別手段392を備える。
パターン記憶手段302は、装飾図柄61の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄61の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを変動表示の停止前に予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
演出決定手段303は、第1抽選手段211から受け取る第1当否抽選の判定結果または第2抽選手段212から受け取る第2当否抽選の判定結果に応じて、演出制御手段304によって演出表示装置60へ表示し、スピーカ108に出力する演出内容を決定する。演出決定手段303は、第1変動パターン決定手段231または第2変動パターン決定手段232により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンの中からいずれかを選択してパターン記憶手段302から読み出す。演出決定手段303は、読み出した変動演出パターンの情報を演出制御手段304へ送る。演出決定手段303は、変動演出パターンを選択するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段303は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
図柄態様決定手段301は、装飾図柄61の停止図柄の組合せとその配置を、第1抽選手段211または第2抽選手段212による抽選の判定結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段301は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出制御手段304へ送信する。図柄態様決定手段301は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
装飾図柄61の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば第1当否判定手段221および第2当否判定手段222による当否判定結果が4R大当りまたは16R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が4R大当りや16R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
装飾図柄の変動演出パターンには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち装飾図柄の変動開始から変動停止までの演出過程が定義される。変動演出パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当りとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当り図柄を表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段303は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい装飾図柄の変動演出パターンを選択する。
時短状態において、第1変動パターン決定手段231または第2変動パターン決定手段232により選択された変動パターンが時短用のパターンであった場合、演出決定手段303は時短用の演出内容が定められた変動演出パターンを選択する。時短用の演出内容は、時短または確変により遊技者に有利な状態であることを印象づける背景映像や音声が出力される演出である。
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、役物を動作させる演出パターン、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当りへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
予告演出パターンには、装飾図柄61の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄61が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
演出決定手段303は、当否抽選の判定結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定して事前演出設定をするとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段303は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の判定結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、当否抽選が当りの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の判定結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当りへの期待度の高さを示唆することができる。また演出決定手段303は、予告決定テーブルと予告種類テーブルを参照して、複数種類の変動パターンのうち特定の変動パターンがメイン基板200において選択された場合にその旨を示唆する予告演出の実行を決定する。
演出制御手段304は、第1抽選手段211または第2抽選手段212による当否抽選の判定結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄61を含む演出画像を変動表示させる。演出制御手段304は、装飾図柄61の変動開始コマンドを受け取ったことと、それ以前の第1当否抽選および第2当否抽選に対応する装飾図柄61の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。演出制御手段304は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段303により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を図柄変動の演出に重畳させる形で演出表示装置60へ表示させる。
演出制御手段304は、第2当否抽選の当否抽選値が記憶されている場合は第1当否抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保し、第1当否抽選の当否抽選値が記憶されているか否かにかかわらず第2当否抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1当否抽選と第2当否抽選の双方について抽選値が保留されていた場合は第2当否抽選で保留された抽選値が優先的に読み出されて装飾図柄の変動が表示される。そのような場合、第2当否抽選の保留数が0になるまでは第1当否抽選で保留された抽選値は読み出されずその装飾図柄の変動も開始しない。このように演出制御手段304は、装飾図柄61の変動表示を含む図柄変動演出を演出表示装置60に表示させる。
演出制御手段304は、装飾ランプ111の点灯および消灯や、可動役物66の動作をさらに制御する。演出制御手段304は、演出表示制御手段305および音声制御手段306を有する。演出表示制御手段305は、演出表示装置60への表示を制御し、音声制御手段306は、スピーカ108からの音声出力を制御する。
本実施例の演出表示装置60の詳細な構成を説明する。演出表示装置60は、演出的な内容を表示するための複数の表示画面を有し、遊技領域81の略中央に設けられる第1画面に加えて、第1画面の上に重なるように配置可能とされる第2画面を有する。第1画面および第2画面はそれぞれ液晶ディスプレイなどで構成される。第1画面は、第2画面と比較して相対的に大きな表示領域を有しており、遊技に係る演出の主内容が表示される「メイン液晶」ということもできる。一方、第2画面は、第1画面と比較して相対的に小さな表示領域を有し、第1画面に表示される演出を盛り上げるための補助的な演出内容が表示される「サブ液晶」ということもできる。本実施例では、このような複数の表示画面を組み合わせて一体的な演出を表示する。
演出表示装置60が備える第1画面と第2画面の配置関係について説明する。図10は、第1画面561と、第2画面562R、562L(以下、総称して第2画面562ともいう)の配置関係を模式的に示す図である。図10(a)は、第1画面561および第2画面562を正面から見た図であり、図10(b)は、第1画面561および第2画面562を上から見た図である。第2画面562は、第1画面561の上に重なるように配置され、遊技者から見て第2画面562が手前側、第1画面561が奥側となるように配置される。第1画面561のうち第2画面562に重なった一部範囲は、第2画面562の裏に隠されるため、遊技者から視認できない状態、または、視認困難な状態となる。第2画面562は、左右方向に移動可能に構成されており、第1画面561に対する配置が変化しうる。したがって、第2画面562は、可動式画面または「可動サブ液晶」ということができる。なお、本図では、第1画面561の上に全体が重なった第2画面562を実線で示し、第1画面561の上に一部が重なった第2画面562を破線で示している。
図11は、第1画面561と第2画面の配置関係の別の例を模式的に示す図である。図11(a)は、第1画面561および第2画面562を正面から見た図であり、図11(b)は、第1画面561および第2画面562を上から見た図である。本図は、第2画面562が第1画面561の上に重なっていない状態を示しており、第2画面562Rが第1画面561の右側に位置し、第2画面562Lが第1画面561の左側に位置している状態を示している。また、第2画面562Lおよび第2画面562Rは、第1画面561に対して角度を有するように配置され、第2画面562Rの右端側および第2画面562Lの左端側がそれぞれ手前側に迫り出すように配置される。これにより、第1画面561と二つの第2画面562は、三面鏡のような構成を有する立体的な表示画面を形成する。
図10および図11に示したように、第2画面562は、第1画面561の上に重なって配置される重複状態と、第1画面561の上に重ならずに配置される非重複状態の大きく2種類の配置をとりうる。第2画面562の配置は、予め定められた表示パターンデータにより定義される。演出制御手段304は、表示パターンデータに基づいて第2画面562の位置を変化させる駆動装置を制御し、第2画面562の配置を変える。これにより、表示パターンデータに含まれる演出表示過程に合わせて第2画面562の位置を変化させ、演出表示装置60の表示内容と第2画面562の動きとが一体となった演出を表示することができる。
本実施例では、後述の時計同調演出が実行される同調演出期間中、第2画面562は、図11で示したような非重複状態の配置となる。また図11で示すように、演出表示装置60の近傍上位置には、大当り報知役物564が設けられる。大当り報知役物564は、演出表示装置60に表示された演出内容に関わらず、大当りの発生(特別遊技への移行)を遊技者に報知するための可動役物である。例えば、演出表示装置60における演出内容が大当りを報知または示唆していない場合でも、外観上、それまでの演出を中断させて強制的に大当り遊技・大当り演出へ移行させるための可動役物である。大当り報知役物564は、演出表示装置60に表示中の時計同調演出とは非同期に動作する。具体的には、演出制御手段304は、大当り報知役物564を作動させるための所定の条件が成立した場合に、大当り報知役物564の位置を変化させる駆動装置を制御し、大当り報知役物564を初期位置から第1画面561の前面(図11において破線で示す位置)へ移動させる。
次に、本遊技機の遊技者が利用可能な携帯連携システムについて説明する。
図12は、携帯連携システムの概略を模式的に示す図である。携帯連携システムの前提として、遊技者はあらかじめ携帯端末554で専用サイトが設けられた遊技履歴サーバ558にユーザ登録し、自身のアカウントを設定しておく。ぱちんこ遊技機100での遊技開始時に、遊技者は、携帯端末554で専用サイトにアクセスし、アカウントを送信してログインする。遊技履歴サーバ558は、遊技者個人のこれまでの遊技履歴(例えば遊技回数、演出のカスタマイズ情報、遊技回数等に基づき加点される遊技ポイントや遊技レベル、イベント等)を保持し、その遊技履歴を反映したパスワードを携帯端末554へ提供する。
遊技ポイントや遊技レベルは、同メーカの遊技機や、同機種の遊技機を遊技者が過去どれだけ遊技したかを示す指標とも言え、過去の遊技回数や遊技頻度の大きさを示す指標とも言える。携帯端末554にインストールされた携帯連携システム用のアプリケーションまたは遊技履歴サーバ558は、同メーカの遊技機や、同機種の遊技機を遊技するほど、高い遊技ポイントや遊技レベルを遊技者へ付与してもよい。また、遊技者が獲得した大当り回数や、遊技中の図柄変動回数が多くなるほど、高い遊技ポイントや遊技レベルを遊技者へ付与してもよい。
遊技者は、ぱちんこ遊技機100の演出ボタン109を押下してパスワード入力画面を表示させ、携帯端末554に表示されたパスワードを入力すると、ぱちんこ遊技機100に遊技者の識別情報が登録された状態となる。具体的には図9を適宜参照しつつ説明する。入力制御手段390は、遊技者が演出表示装置60のパスワード入力画面に入力したパスワードを読込む。遊技者識別手段392は、入力制御手段390が取得したパスワードに基づいて遊技者の識別情報を取得する。この遊技者の識別情報は、遊技者のID(専用サイトにおけるアカウント)と、遊技履歴(例えば遊技回数、演出のカスタマイズ情報、遊技ポイントや遊技レベル、遊技者が獲得したイベント等)を含む。
携帯連携システムでは、演出上の特典や遊技履歴などの情報を符号化した二次元コード550を演出表示制御手段305が演出表示装置60に表示させ、その二次元コード550を遊技者が自身の携帯端末のカメラで読み取り、その読み取った二次元コード552を復号することにより情報を取得して携帯端末554に蓄積できる。またその情報は携帯端末554から専用サイトのある遊技履歴サーバ558へネットワーク556を経由して送信され、自身のアカウント情報と紐付けられて管理される。このように、演出上の特典や遊技履歴などの情報が二次元コード550の表示およびその読み取りという伝送手段を介して携帯端末554へ伝達される。
例えば、時計同調演出において表示されるミニゲームの得点が遊技者に付与される場合、演出決定手段303は演出上の特典ないし遊技履歴として、ミニゲームの得点情報を符号化した二次元コード550を演出表示装置60に表示させる決定をする。遊技者はその二次元コード550を自身の携帯端末のカメラで読み取り、得点の情報を蓄積する。遊技者は累積した得点のうち利用するポイント数に応じて、演出表示装置60に表示される演出内容を構成する色、背景、形状、キャラクタ、楽曲などの演出要素を好みの種類に変更することができる。長く遊技を続けることで時計同調演出を実行すべき時刻が何度も訪れることにより個別展開演出であるミニゲームの実行機会も増やすことができ、その分、得点を得ることができる。また本実施例では、同調演出期間において携帯連携システムの利用者への特典としての、遊技ポイント獲得のためのミニゲームを実行する。
なお、携帯連携システムは以下のように構成されてもよい。すなわち、遊技開始時において遊技者により演出ボタン109が押下されたとき、演出表示制御手段305が演出表示装置60の画面に遊技履歴サーバ558の専用サイトのアドレスを符号化した二次元コード550を表示させ、それを遊技者に携帯端末のカメラで読み取らせて遊技履歴サーバ558の専用サイトにアクセスさせる。その専用サイトから遊技者の識別情報や演出得点履歴を符号化した文字情報(これを「パスワード情報」とも呼ぶ)が携帯端末に送信され、携帯端末の画面に表示される。そのパスワード情報の入力画面を演出表示制御手段305が演出表示装置60に表示させ、十字キー110等のボタン操作を介して遊技者に入力させる。入力されたパスワード情報を演出設定手段508が復号して遊技者の識別情報や演出得点履歴として登録することにより、その遊技者の前回までの遊技内容や演出得点状態を引き継ぐことができる。このパスワード情報の入力が、その遊技者の遊技や演出に関する履歴の記録開始指示および各種演出要素を選択する演出カスタマイズの開始指示となる。以降、ぱちんこ遊技機100においては遊技や演出の進行に伴い、演出設定手段508がその遊技者に対して演出上の利益として付与する得点を随時加算して演出得点履歴として累積させるとともに、遊技者は随時、演出カスタマイズを実施して、各種演出要素として好みの要素を選択して設定することができる。演出上の得点付与は、図柄変動ごとに加算することを基本とし、特別遊技への移行期待度が高い演出種類ほど高い得点を付与し、特別遊技へ移行したときも高い得点を付与する。また、時計同調演出の実行中に特別遊技へ移行した場合は、時計同調演出の実行中でないときに特別遊技へ移行するよりも高い得点を付与する。ミニゲームの得点もまた演出上の特典ないし演出得点履歴として記録される。
演出カスタマイズとして、遊技者は累積的に獲得した得点の一部を利用し、その利用するポイント数に応じて、演出表示装置60に表示される演出内容を構成する色、背景、形状、キャラクタ、楽曲などの演出要素を好みの種類に変更することができる。演出設定手段508は、遊技者によるボタン操作を介した演出要素の変更指示を受け取り、その指示に応じて各種演出要素を変更する。カスタマイズできる演出要素は、その要素ごとに複数種類の項目が用意され、項目ごとに必要なポイント数として異なる値が設定されている。したがって、累積された得点が所定値に達することを契機にカスタマイズ可能な項目が増え、あるいはカスタマイズ可能項目を増加させるチャンスが付与されることとなる。遊技者が遊技ないし演出カスタマイズの終了指示としてボタン操作をすると、演出設定手段508は、演出上の特典や演出得点履歴などの情報を符号化した二次元コード550を生成し、これを演出表示制御手段305が演出表示装置60に表示する。その二次元コード550を遊技者が自身の携帯端末のカメラで読み取り、その読み取った二次元コード552を復号することにより情報を取得して携帯端末554に蓄積できる。またその情報は携帯端末554から専用サイトのある遊技履歴サーバ558へネットワーク556を経由して送信され、自身のアカウント情報と紐付けられて管理される。このように、演出上の特典や演出得点履歴などの情報が二次元コード550の表示およびその読み取りという伝送手段を介して携帯端末554へ伝達され、遊技履歴サーバ558にて管理されることで、次回の遊技で遊技や演出の内容を引き継ぐことができる。また、長く遊技を続けることで図柄変動回数や演出回数が増えるだけでなく、時計同調演出を実行すべき時刻が何度も訪れることにより個別展開演出であるミニゲームの実行機会も増やすことができ、その分、得点を得ることができる。また、時計同調演出のときに遊技上の利益付与が予定される状況が重なれば、特殊時計同調演出としてのミニゲームによって高得点が得られる可能性がある。
図9に戻り、計時手段307は、時間に関する情報を生成する計時回路である。本実施例における計時手段307は、電源投入時からの時間を計測して、その計測結果を示す情報を出力するタイマ回路である。例えば、電源投入を契機として、所定のカウンタの値を増加させていくことにより、電源投入時からの時間を計測してもよい。ただし、電池を内蔵してぱちんこ遊技機100の電源オフ時や停電時も電池によって日時を計測し続けられるリアルタイムクロック回路でもよい。この場合、計時手段307は、時計手段として、現在時刻の情報を出力してもよい。リアルタイムクロック回路の場合、個体差や時刻ズレによって遊技台ごとの時刻に微差が生じる可能性があるのに対し、タイマ回路の場合、同時に電源投入する限り複数の遊技台の間で時刻の差が生じる可能性は小さい。
演出決定手段303は、計時手段307により生成された情報が所定の内容となったことを契機とする所定タイミングに開始する時計同調演出を実行する。本実施例では、ぱちんこ遊技機100の電源が投入されてから、3時間後、7時間後、11時間後が、時計同調演出の開始タイミング、言い換えれば、同調演出期間の開始タイミングに対応付けられている。演出決定手段303は、計時手段307により生成された(もしくは出力された)時間情報が、電源投入から3時間、7時間、11時間のいずれかを示すか否かを判定し、これらの開始タイミングのそれぞれに至ったタイミングで時計同調演出の開始を決定する。このように時計同調演出は、時間、または時間の計測に同調する演出であり、「時間同調演出」とも言え、「計時同調演出」とも言える。詳細は後述するが、本実施例の時計同調演出は、通常遊技中には通常の態様で表示される一方、特別遊技中や入球容易状態(すなわち電チューサポート実行中)等、特定の遊技状態においては通常より抑制した態様で表示される。なお、計時手段307が現在時刻の情報を出力する場合、演出決定手段303は、計時手段307から出力された現在時刻が予め定められた所定時刻になったことを契機に時計同調演出を実行してもよい。
時計同調演出は、図柄変動の変動期間や遊技状態とは非同期の期間である同調演出期間にて演出表示装置60に表示させる演出である。同調演出期間は数分間に及び、その長さは1回分の図柄変動時間よりも長く、複数回の図柄変動期間を包含し得る。本実施例での同調演出期間は10分である。演出決定手段303は、計時手段307により出力される現在時刻が、時計同調演出の開始タイミングから所定時間(すなわち10分)が経過したことを示す時刻となった場合に、時計同調演出の終了を決定する。
時計同調演出は、例えば所定の楽曲を演奏する動画を所定の時刻に再生する演出であってもよい。時計同調演出を再生する契機となる時刻は、ぱちんこ遊技機100の電源投入時から所定時間間隔を挟んで到達する時刻であってもよいし、標準時を基準とした毎正時または正時半の時刻であってもよい。あるいは、遊技店ごとに遊技店員によって時刻を指定できる可変設定であってもよい。ただし、同じ遊技店に設置される複数台の同一機種間において少なくとも同じ時刻で同じ時計同調演出が実行されるようあらかじめ設定される。例えば、電源投入時から所定時間間隔を挟んで到達する時刻を契機とする仕様の場合、遊技店においては複数台を同時に電源投入する。これにより、所定時刻となったことを契機にそれら複数の遊技台において一斉に同じ時計同調演出が実行される。その結果、あたかも複数台で同期しているように同時に演出が表示され、同時に同じ楽曲が流れることでその場でライブ演奏がなされているかの如く臨場感のある相乗的な演出効果が得られる。時計同調演出はホールの複数台に亘る一斉演出とも言える。
図13は、図柄変動と時計同調演出の非同期性を示すタイムチャートである。第1時間軸350においては複数の図柄変動期間360〜374を示す。ここでの図柄変動は第1特別図柄51または第2特別図柄52の変動と、装飾図柄61の変動演出を含む。ここでは便宜上、リーチなしの外れ変動が連続している場合を示す。第2時間軸352は、時計同調演出の期間を示す時間軸である。図示しないぱちんこ遊技機100の電源投入タイミングで時間計測を開始し、電源投入時から3時間後、7時間後、11時間後のそれぞれに設定された同調時刻から10分間の時計同調演出を実行する。時計同調演出を実行する期間である10分間の同調演出期間においては、始めに同調時刻から所定時間の準備演出が表示された後で本演出が表示される。準備演出は、同調時刻(S400)から本演出開始までのカウントダウンを表示させる映像および音声の出力であり、そのカウントダウンの終わりとともに本演出の映像出力に移る(S402)。同調時刻から10分が経過したときに本演出が終了する(S404)。
同調演出期間と並行して第1時間軸350に示すように図柄変動表示が非同期で実行される。本図の例では同調時刻(S400)が図柄変動期間362の最中に生じているが、同調時刻のタイミングと同期して図柄変動表示を中断させるわけでもなければ、同調時刻のタイミングと同期して新たな図柄変動表示を開始させるわけでもない。ただし、同調時刻までは演出表示装置60の画面全体を使って表示させていた図柄変動演出を、同調時刻のタイミングで画面の右隅に移動して縮小し、S400からS404までの同調演出期間では画面右隅に小さく図柄変動表示をする。
このような時計同調演出の機能は同じ機種の別の遊技台にも同様に内蔵されており、遊技店における同じ遊技台が設置された一角(いわゆる「遊技島」ともいう)は毎日遊技店員によって同時に電源投入される。そして、同時に電源投入される複数の遊技台はすべてほぼ同時に同調時刻を迎えることとなり、一斉に同時進行で時計同調演出を実行することになる。その場合、映像の表示が複数台で同調するだけでなく、効果音や背景音楽の出力もまた複数台で同調することとなり、同調する台数が多いほど一斉に演出を実行することによる相乗効果も高まる。
本実施例の時計同調演出は、遊技者に有利な状態へ移行するための所定の条件の達成を要求する内容を演出的に表示するミッション演出である。具体的には、大当りを獲得するための条件としてダンジョンの10階に到達することをミッション達成の条件とする演出である。時計同調演出では、所定の主人公キャラクタ(味方キャラクタとも言える)が敵キャラクタを撃破しつつ階を上がっていき、10階まで到達してミッションを達成する内容のアニメーションを表示する。もしくは、10階到達前にHP(ヒットポイント)が0になり、ミッション達成に失敗する内容のアニメーションを表示する。後述するように本実施例では、時計同調演出における具体的な演出内容は抽選により決定するため遊技機毎に異なるが、時計同調演出全体としての世界観やテーマ(ミッション達成条件)、モチーフ、キャラクタ等は複数の遊技機に亘り共通するものが表示される。
ここで本実施例の時計同調演出の5つの特徴を説明する。これらの特徴は適宜組み合わせ可能であることはもちろんである。
[特徴1:演出突入条件]
特徴1は、時計同調演出開始時の遊技状態に応じて遊技者にとって重要と想定される演出を主の演出として提供することを目的とする。演出決定手段303は、時計同調演出の開始タイミングにおける遊技状態が既に、時計同調演出においてミッション達成の特典となる有利な状態に対応するものである場合、時計同調演出とは異なる内容の演出であり、それまでの遊技状態に応じた所定の演出を時計同調演出より優先的に表示させる。
「ミッション達成の特典となる有利な状態に対応する遊技状態」(以下「優先モード」とも呼ぶ。)は、本実施例では特別遊技中または入球容易状態であることとする。優先モードでない状態は、特別遊技中でもなく入球容易状態でもない遊技状態であり、すなわち通常遊技中の通常状態である。変形例として、入球容易状態を伴わない確変状態を優先モードに含んでもよい。「それまでの遊技状態に応じた所定の演出」は、特別遊技におけるラウンド演出等の大当り演出や、入球容易状態における図柄変動演出や予告演出等である。以下、「優先モード演出」とも呼ぶ。「優先的に表示させる」とは、優先モード演出を表示させる一方、時計同調演出を非表示とすることでもよい。また、優先モード演出を相対的に広い領域に表示させる一方、時計同調演出を相対的に狭い領域に表示させることでもよい。また、優先モード演出を相対的に低い透過度で表示させる一方、時計同調演出を相対的に高い透過度で表示させることでもよい。
時計同調演出の開始タイミングにおいて既に、ミッション達成の特典となる有利な状態に対応する遊技状態であれば、遊技者の関心は、時計同調演出の内容より、現在の有利な状態で出玉を増加させること、例えば新たな大当りを獲得することに向くと考えられる。特徴1によると、所定時刻になった場合に原則として時計同調演出を表示させることで、複数の遊技機・遊技者間における一体感を醸成できる。また例外として、本来は時計同調演出の実行期間であっても、現在の有利な状態に応じた演出を時計同調演出より優先的に表示させることで、遊技者にとって現在の優先順位が高い演出を主の演出として遊技者へ提示できる。これにより、時計同調演出の表示による複数の遊技機・遊技者間での一体感の醸成と、各遊技機の遊技者にとっての優先順位に則した演出の表示とを両立することができる。
[特徴2:演出終了条件]
特徴2は、時計同調演出と携帯連携システムの連動により遊技者へ特典を提供することを目的とする。演出表示制御手段305は、時計同調演出において、当該演出の終期を示す値である終期値を少なくとも示唆する態様で表示させる。演出決定手段303は、遊技者識別手段392により遊技者を識別するための情報が取得された場合に、本遊技機の遊技者への特典として、本遊技機の時計同調演出における終期値を予め定められた初期値とは異なる値に設定する。
終期値は、時計同調演出の世界観やモチーフに整合(対応)する各種オブジェクトの値であってもよい。また、時計同調演出の長さやその終了を示唆することに適すると想定される各種オブジェクトの値であってもよい。後述するように本実施例では、時計同調演出においてミッション達成を試行する主人公キャラクタであり、所定のアニメ作品に登場する主人公キャラクタのHPを終期値とする。演出表示制御手段305は、終期値そのものを表示させてもよく、終期値の大きさを示唆するグラフや画像等の各種オブジェクトを表示させてもよい。「初期値とは異なる値」は、初期値より大きい値でもよく、初期値より小さい値でもよく、遊技者への特典となることが想定される態様で初期値を調整した値であればよい。本実施例では、終期値が大きいほど、少なくとも外観上、時計同調演出の期間が長くなり、ミッション達成の可能性が高まるため、遊技者への特典として初期値より大きい値に設定する。
特徴2によると、遊技者が遊技の開始を示す情報を遊技機へ入力したという事実、すなわち遊技者が携帯連携システムの利用者であるという事実に基づいて、少なくとも見た目上、時計同調演出の実行期間が変化するという特典を遊技者へ提供する。本実施例では、遊技履歴サーバ558から提供されたパスワードを遊技者が遊技機へ入力することで、時計同調演出の実行期間の延長という特典を遊技者へ提供する。これにより、遊技機とモバイル端末との連携サービスと、時計同調演出とを連動させ、遊技者の意思を、少なくとも外観上の時計同調演出の実行期間に反映できるという新たな遊技の興趣を提供できる。また、遊技機とモバイル端末との連動サービスの利用を促進し、メーカや遊技機に対する遊技者のロイヤルティの獲得を促進することができる。
[特徴3:演出内容]
特徴3は、時計同調演出の内容を当否判定結果または図柄変動パターンと整合させつつ、時計同調演出が盛り上がりを欠いた内容となることを回避することを目的とする。演出決定手段303は、同調演出期間中に当否抽選の判定結果が所定の結果となり、または、第1変動パターン決定手段231もしくは第2変動パターン決定手段232により決定された変動パターンが所定のパターンとなった場合に、ミッション達成に近づくことを示唆する内容を表示させる決定をする。その一方、演出決定手段303は、同調演出期間において予め1回以上定められた時間依存の演出タイミングに至った場合に、当否抽選の判定結果と変動パターンに関わらず、ミッション達成に近づくことを示唆する内容を表示させる決定をする。
当否抽選の判定結果が所定の結果となるとは、本判定としての当否判定が大当りとなることであってもよい。また事前当否判定が大当りとなることであってもよい。また本判定としての図柄判定が確変と入球容易状態の少なくとも一方への移行を伴う大当りとなることでもよい。すなわち、遊技者に所定の利益をもたらす可能性のある結果であり、大当りの発生だけでなく、小当りの発生を含めてもよいし、大当りか外れかは問わずスーパーリーチなどの期待度の高い変動演出が表示される場合を示してもよい。変動パターンが所定のパターンとなるとは、大当りの期待度が相対的に高い変動パターンとなることでもよく、変動時間が所定時間以上のパターンとなることでもよい。例えば、変動パターンが、所定のスーパーリーチとなることでもよく、当否判定結果が大当り時に選択される(大当りが発生する)変動パターンとなることでもよい。また外れであっても、所定のスーパーリーチやノーマルリーチとなることでもよい。
ミッション達成に近づくことを示唆する内容とは、ミッション達成に近づくことを示す内容のみならず、ミッション達成に近づくことに失敗する内容も含む。本実施例では、ダンジョンの10階に近づくことに成功する予告(例えば敵キャラクタの撃破成功や、宝箱の解錠による上階への移動を示す予告)を抽選により選択する。また、ダンジョンの10階に近づくことに失敗する予告(例えば敵キャラクタの撃破失敗や、宝箱の解錠失敗を示す予告)を抽選により選択する。時間依存の演出タイミングは、同調演出期間開始からの経過時間が所定時間になったことでもよく、遊技機への電源投入からの経過時間が所定時間になったことでもよい。本実施例では、図13で示すように、同調演出期間の開始後、言い換えれば、時計同調演出の開始後、1分経過時点(S406)、5分経過時点(S408)、7分経過時点(S410)の3つが定められている。
特徴3によると、同調演出期間において、当否抽選の判定結果が所定の結果(例えば大当り)にならず、または変動パターンが大当りの期待度が高い所定パターン(例えばスーパーリーチ)にならない場合でも、時計同調演出においてミッション達成に近づくことを示唆する予告を時間依存で表示させることにより、有利な状態への移行に対する遊技者の期待感を高めることができる。すなわち、ミッションの達成に近づく内容が表示されず、盛り上がりのないまま時計同調演出が終了してしまうことを確実に回避して、時計同調演出による遊技者の期待感の煽りを担保することができる。
[特徴4:演出内容調整]
特徴4は、時計同調演出を図柄変動期間に非依存の態様で表示させつつ、当り時には当り演出へスムーズに繋げることを目的とする。演出決定手段303は、同調演出期間中、ミッション達成に近づくことを示唆する特殊演出の演出パターンであって、複数の演出期間を定めた複数の特殊演出パターンの中からいずれかを、図柄変動期間に非依存の基準にしたがって選択する。その一方、演出決定手段303は、同調演出期間中に当否抽選の判定結果が当りとなった場合、複数の特殊演出パターンの中から、図柄変動が当りを示す態様で停止するまでの残り期間に対応する演出期間を定めた特殊演出パターンを選択する。
特殊演出は、ミッション達成に近づくことを示す内容のみならず、ミッション達成に近づくことに失敗する内容も含む。例えば、ダンジョンの10階に近づくことに成功する予告(例えば敵キャラクタの撃破成功や、宝箱の解錠による上階への移動を示す予告)を含む演出であってもよい。また、ダンジョンの10階に近づくことに失敗する予告(例えば敵キャラクタの撃破失敗や、宝箱の解錠失敗を示す予告)を含む演出であってもよい。
図柄変動期間に非依存の基準は、図柄変動の開始タイミングや終了タイミングに関わらず、特定の特殊演出パターンを選択する基準であってもよい。例えば、当否判定結果、図柄判定結果、または変動パターン選択結果の少なくとも1つが所定の結果になったことに対応付けられた所定の確率で特定の特殊演出パターンを選択する基準であってもよい。また、時計同調演出において図柄変動期間に関わらず予め定められた時間依存の演出タイミングにおいて、所定の確率で特定の特殊演出パターンを選択する基準であってもよい。図柄変動が当りを示す態様で停止するまでの残り期間に対応する演出期間は、その残り期間以下の期間であってもよい。また、現在時点もしくは現在から所定時間経過時点を始期とし、図柄変動が当りを示す態様で停止する時点、もしくは少なくとも図柄変動停止時点以前を終期とする期間であってもよい。
特徴4によると、原則として同調演出期間中は、図柄変動と連動しない時計同調演出を表示することで、同調演出期間外とは異なる演出の興趣を遊技者へ提供できる。ただし当りが発生する場合は例外として、当りを示す図柄変動の終期と、時計同調演出における特殊演出の終期を同期させることにより、特殊演出にて当りが発生するか否かを煽りつつ、遊技者に違和感を抱かせることなく、時計同調演出からその後の大当り遊技の演出へ繋げることができる。
[特徴5:ミッション中予告決定方法]
特徴5は、時計同調演出において、ミッション達成に近づくことを示唆する予告(以下「特殊予告」とも呼ぶ。)を好適に表示させることを目的とする。演出決定手段303は、同調演出期間中に、特殊予告を1回以上含む特殊演出を時計同調演出として表示させることを決定する。そして、特殊演出の表示を決定したときに、特殊予告の表示タイミングを、その表示タイミングにおける図柄変動の有無に関わらず予め決定する。演出表示制御手段305は、同調演出期間中に特殊演出を表示させ、特殊演出の表示中、図柄変動の有無に関わらず、演出決定手段303により決定された表示タイミングで特殊予告を表示させる。
特殊予告の表示タイミングを、表示タイミングにおける図柄変動の有無に関わらず予め決定することは、将来時点における特殊予告の表示タイミングを、その将来時点において図柄変動がなされるか否かが不確定の状況において決定することを含む。また、現在時点では(例えば保留がないために)図柄変動がなされない予定であっても、将来時点における特殊予告の表示タイミングを決定することを含む。
特徴5によると、時計同調演出の中で、図柄変動の実行有無や、図柄変動における当りの信頼性(大当りの発生有無、スーパーリーチの実行有無等)に関わらず、予め決定したタイミングで、ミッションの達成に近づくことを示唆する予告を表示させる。これにより、図柄変動が実行されないために、または、図柄変動における当りの信頼性が低いために特殊予告が表示されず、盛り上がりを欠く時計同調演出となってしまうことを回避できる。
以上の特徴1〜5を包含する本実施例の時計同調演出について詳細に説明する。
図14は同調演出期間の演出例を示す。演出表示制御手段305は、第1画面561・第2画面562L・第2画面562Rに亘るメイン表示領域570に時計同調演出を表示させる。具体的には、ミッション成功やミッション失敗に関する様々な予告であり、時計同調演出に対応付けられた画像や映像である予告画像571を表示させる。後述するように、予告画像571は、ミッションの達成に近づくことを示唆する予告の画像であり、敵キャラクタの撃破成功や失敗、宝箱の解錠成功や失敗等を示す画像を含む。また演出表示制御手段305は、メイン表示領域570に、達成条件572、同調演出期間の残り時間574、現在階と目標階、各階の構成を示すダンジョンマップ576、主人公キャラクタの残りHPを示すHPバー578を表示させる。
演出表示制御手段305は、同調演出期間中は原則として、装飾図柄61の変動を、第2画面562の一部に設けた、メイン表示領域570より小さい領域である変動表示領域580に表示させる。このように図柄変動を縮小表示させることで、変動表示に用いる装飾図柄の種類削減等による演出の簡素化がなされ、これによって主たる演出であるメイン表示領域570の時計同調演出を遊技者に注視させることができる。また同調演出期間中は原則として、変動表示領域580に表示された図柄変動の区切りとは無関係に、時計同調演出内の個別演出としての様々な予告画像571をメイン表示領域570に表示させる。また、第1の遊技における当否抽選値の保留数と、第2の遊技における当否抽選値の保留数を保留表示領域582に表示させる。
演出決定手段303は、HPバー578に表示された主人公キャラクタのHPの値を、敵キャラクタとのバトル演出等の都度、減少させる。演出表示制御手段305は、最新のHPを示唆するようHPバー578の表示を逐次更新する。HPの値は、時計同調演出の終期を遊技者に示唆するための値であり、この値が小さくなると時計同調演出の残りが短いことが遊技者へ示唆される。
図15も同調演出期間の演出例を示す。本図は、時計同調演出の進行に伴いHPバー578のHPが0になった状況を示している。演出決定手段303は、HPが0になった場合に、同調演出期間の残り時間に関わらず、時計同調演出を終了するか否かを遊技者に選択させるための所定のメッセージ(「終了選択メッセージ」とも呼ぶ。)の表示を決定する。演出表示制御手段305は、終了選択メッセージをメイン表示領域570に表示させる。この終了選択メッセージに対して、遊技者は、十字キー110および演出ボタン109を使用して、「諦める」(時計同調演出終了)または「リトライ」(時計同調演出継続)を選択入力する。
演出決定手段303は、「諦める」が選択されたことを検出すると、時計同調演出の終了を決定し、演出表示制御手段305は、メイン表示領域570における時計同調演出の表示を終了させる。演出表示制御手段305は、それまで変動表示領域580に小さく表示させていた装飾図柄61の変動表示を、メイン表示領域570に拡大表示させ、すなわち同調演出期間外での通常の図柄変動表示態様に戻す。「リトライ」が選択された場合、演出決定手段303は、時計同調演出の継続を決定するとともに、ダンジョン内での現在位置を1階に戻す。演出表示制御手段305は、メイン表示領域570に時計同調演出を継続表示させる。このように、複数の遊技機で一斉に実行される時計同調演出の演出時間(言い換えれば継続時間)に遊技者の意思を反映させることで、遊技者間における一体感の醸成と、遊技者個々の好みに応じた演出期間とを両立させることができる。
また本実施例のぱちんこ遊技機100は、遊技者が携帯連携システムの利用者か否か、言い換えれば、遊技者が携帯連携システムを利用して自身の識別情報をぱちんこ遊技機100へ入力したか否かに応じて、本遊技機における演出の内容を異ならせる。具体的には、演出決定手段303は、遊技者識別手段392により遊技者の識別情報(例えば遊技ポイント・遊技レベル等の遊技履歴)が未取得の場合に、主人公キャラクタのHPの初期値を、遊技者の識別情報が未取得の場合の予め定められた初期値である「100」(以下「HPデフォルト値」とも呼ぶ。)に設定する。その一方、遊技者識別手段392により遊技者の識別情報が取得済の場合、その識別情報に基づいて、主人公キャラクタのHPの初期値をHPデフォルト値とは異なる値になるよう調整する。
本実施例では、遊技者の識別情報として取得された遊技履歴、具体的には遊技ポイントまたは遊技レベルが高いほど大きい調整値をHPデフォルト値に加算する。演出表示制御手段305は、調整後のHPを主人公キャラクタの初期HPとして、時計同調演出開始時にHPバー578に表示させる。図14では、主人公キャラクタの初期HPを「200」に調整した例を示している。これにより、少なくとも時計同調演出の外観上、時計同調演出が終了するまでの期間を長くすることができる。言い換えれば、時計同調演出の継続期間を長く見せることができる。時計同調演出の継続期間が長くなれば、10階到達というミッション達成の可能性が高まるため、特典が得られたとの印象を遊技者に抱かせることができる。
また、携帯連携システム(携帯端末554内のアプリケーションや遊技履歴サーバ558)では、遊技者の遊技回数(例えば遊技日数や、変動回数、獲得した大当り回数でもよい)が多くなるほど、遊技ポイントや遊技レベルを大きくしていく。遊技ポイントや遊技レベルに応じてHPの値を大きくすることで、遊技者が同機種遊技台で繰り返し遊技することに対する特典を提供し、繰り返し遊技することへのインセンティブを遊技者へ提供できる。また、遊技者が自身の識別情報をぱちんこ遊技機100へ登録することは、遊技者が特典を得たいという意思を持っていることであり、本実施例では遊技者の意思を時計同調演出期間の延長という特典提供に反映させることができる。
なお、時計同調演出の外観上の継続期間を長く見せるだけでなく、終期値を長くすることで、時計同調演出の現実の継続期間を長くしてもよいことはもちろんである。例えば、時計同調演出におけるバトル予告等にて所定のダメージ値をHP初期値から減算していく方式の場合、HP初期値が大きいほど、時計同調演出の実際の継続期間を長くすることができる。変形例として、遊技者が自身の識別情報を入力した場合、終期値(HP)をそのデフォルト値より大きくするか、小さくするか、変化させないかを選択させる画面を演出表示装置60に表示させてもよい。演出決定手段303は、遊技者の選択結果にしたがって終期値を調整してもよい。
また演出決定手段303は、遊技者識別手段392により遊技者の識別情報(例えば遊技ポイント・遊技レベル等の遊技履歴)が取得済の場合、演出決定手段303は、計時手段307により生成された時間情報が所定条件を満たす場合に、遊技ポイントを獲得しやすい特典演出や、遊技レベルを上昇させやすい特典演出を表示させる決定をし、演出表示制御手段305はこのような特典演出をメイン表示領域570に表示させる。例えば、遊技機の電源投入から2時間後、6時間後、10時間後等、所定のタイミングでこれらの特典演出を表示させてもよい。本実施例では、上記特典演出を同調演出期間外に表示させるが、変形例として同調演出期間内に表示させてもよい。このように本実施例のぱちんこ遊技機100では、計時手段307を複数の遊技機が同調して実行する時計同調演出の開始タイミング計時手段とするだけでなく、時計同調演出とは異なる演出であり、携帯連携システムの利用者が遊技している遊技機であることを条件に実行される(すなわち実行されない遊技機も存在する)特典演出の開始タイミング計時手段としても活用する。
図16も同調演出期間の演出例を示す。本図は、同調演出期間における遊技状態が優先モード、具体的には入球容易状態である場合の演出表示態様を示している。同調演出期間の開始時における遊技状態が優先モードの場合、演出決定手段303は、同調演出期間中である旨の情報、言い換えれば、ホールの複数台において時計同調演出が実施されている期間であることを示す情報をサブ表示領域590に表示させることを決定する。そして優先モードの演出、例えば入球容易状態における装飾図柄61の変動や、入球容易状態における予告を、メイン表示領域570に継続表示させることを決定する。
演出表示制御手段305は、演出決定手段303の決定にしたがって、優先モードの演出をメイン表示領域570に表示させ、時計同調演出に関する画像や映像をサブ表示領域590に表示させる。例えば、時計同調演出の準備演出(カウントダウン等)をサブ表示領域590に表示させ、本演出期間中(図13のS402〜S404)には、ホールの複数台で一斉演出を実施中である旨のメッセージをサブ表示領域590に表示させる。変形例として、遊技状態が優先モードの間、通常態様の時計同調演出の画像や映像をサブ表示領域590にそのまま縮小表示させてもよい。
このように、優先モード演出を優先してメイン表示領域570に表示させ、時計同調演出の表示を抑制する場合も、時計同調演出の実施期間である事実を遊技者へ報知し、もしくは少なくとも示唆する。これにより、遊技状態が優先モードにある遊技機では遊技者にとって優先順位の高い演出を主として表示させつつも、時計同調演出の目的である複数台の遊技者間での一体感の醸成が毀損されてしまうことを抑制できる。
計時手段307は、遊技状態が優先モードか否かに関わらず、言い換えれば、時計同調演出を通常態様(例えば図14)で表示させているか、抑制した態様(例えば図16)で表示させているかに関わらず、同調演出期間開始からの経過時間を計測する。演出決定手段303は、遊技状態が優先モードで、時計同調演出を抑制した態様で表示中に、優先モードの終了を検出すると、同調演出期間の残り時間において時計同調演出をメイン表示領域570に通常態様(例えば図14)で表示させるよう決定する。すなわち、時計同調演出の表示態様を図16の状態から図14の状態へ切り替える。
優先モードの終了は、優先モード(大当り遊技中)の場合、その大当りが終了して入球容易状態への移行がなされないことを含む。また、優先モード(入球容易状態)の場合、大当りのないまま入球容易状態における図柄変動回数が上限に達して入球容易状態が終了することや、入球容易状態への移行を伴わない大当りが発生し、その大当り遊技が終了したことを含む。同調演出期間の残り時間は、以下の計算式により算出されてもよい。
10分−(計時手段307により計測された同調演出期間開始からの経過時間)
演出決定手段303は、同調演出期間の途中から時計同調演出を通常態様で表示させた場合も、同調演出期間の最初から時計同調演出を通常態様で表示させた場合と同様に、同調演出期間開始からの経過時間が10分になると、時計同調演出を終了させる。すなわち、同調演出期間において時計同調演出を通常態様で表示させた始期に関わらず、時計同調演出の終期は同一とする。このように、優先モードの終了に伴い時計同調演出をできるだけ通常態様で表示させることで、時計同調演出の目的である複数台の遊技者間での一体感の醸成を可及的に実現する。また、時計同調演出の終了タイミングを複数台で同調させることを維持することで、違和感のない一斉演出を提供し、時計同調演出の目的である複数台の遊技者間での一体感を醸成しやすくする。
本実施例のぱちんこ遊技機100は、時計同調演出としての共通するモチーフ(例えば世界観、テーマ、キャラクタ等)を有する個別の演出として、ミッション達成に近づくことを1回以上の予告で示唆する特殊演出を表示させる。特殊演出は、例えば、ダンジョン内で現在より上の階に上がることに成功することや、上の階に上がることに失敗して現在階に留まることを示唆する内容の演出である。本実施例では、特殊演出の発生契機・表示条件を、大当り発生の信頼度が比較的高い、もしくは同調演出期間における特定の時間位置になることの少なくとも1つが満たされた場合とした。以下、前者を契機とする特殊演出を「信頼度依存特殊演出」とも呼び、後者を契機とする特殊演出を「時間依存特殊演出」とも呼ぶ。
演出決定手段303は、同調演出期間中に、当否抽選の判定結果が大当りとなったことを検出した場合に信頼度依存特殊演出の実行を決定する。演出表示制御手段305は、特殊演出と予め対応付けられた予告の画像や映像を演出表示装置60に表示させる。または演出決定手段303は、当否抽選の判定結果を条件とすることに代えて、同調演出期間中に、第1特別図柄51、第2特別図柄52、装飾図柄61の変動パターンがスーパーリーチを含む大当り用の変動パターンとなったことを検出した場合に信頼度依存特殊演出の実行を決定してもよい。変形例として、当否抽選の判定結果が外れの場合であっても所定の条件を満たす場合は、信頼度依存特殊演出の実行を決定してもよい。具体的には、大当りの信頼度が相対的に高い変動パターンであり、例えば大当りの場合の選択確率が比較的高い所定のスーパーリーチ等が選択された場合に、信頼度依存特殊演出の実行を決定してもよい。
計時手段307は、同調演出期間が開始してからの経過時間を計測する。演出決定手段303は、信頼度依存特殊演出の発生契機となる当否判定結果または変動パターンとなったか否かに関わらず、本実施例では当否抽選の判定結果または図柄変動パターンが大当りに対応するものになったか否かに関わらず、同調演出期間の開始後、1分、5分、7分経過のタイミングで時間依存特殊演出の実行を決定する。なお、計時手段307は、電源投入時からの経過時間を計測し、演出決定手段303は、同調演出期間開始時の経過時間と現在時点の経過時間とにもとづいて上記タイミングに至ったことを検出してもよい。演出表示制御手段305は、信頼度依存特殊演出と同様に、特殊演出と予め対応付けられた予告の画像や映像を演出表示装置60に表示させる。ただし信頼度依存特殊演出の表示中は、上記のタイミングに至っても時間依存特殊演出の表示を抑制する。
なお、演出決定手段303は、時間依存特殊演出の実行タイミング、例えば同調演出期間開始後何分経過で特殊演出を開始するか、また同調演出期間における特殊演出の実行回数を、同調演出期間開始時に抽選により決定してもよい。これにより、同調演出期間における特殊演出の実行タイミングに変化を生じさせることができ、実行タイミングの単調化を抑制できる。また、時間依存特殊演出の開始タイミングにおいて第1特別図柄51、第2特別図柄52、装飾図柄61が変動していなければ、時間依存特殊演出をキャンセルしてもよい。これにより、図柄変動がないのに特殊演出が表示されるという違和感を排除し、また、結局大当りにならないガセ演出であると遊技者に感じさせてしまい遊技の興趣を却って損なうことを回避できる。また、時間依存特殊演出の表示中に、図柄変動が終了した場合でも時間依存特殊演出をその終了まで継続表示させてもよい。特殊演出が途中で途切れてしまうことにより遊技者に違和感を抱かせてしまうことを回避できる。
図17は、図柄変動と特殊演出の時間的な関係を示すタイムチャートである。本図は、同調演出期間中に大当りとなる図柄変動(以下「大当り変動」とも呼ぶ。)が実行されることを契機とする信頼度依存特殊演出を示している。本図を含め図18、図19において破線矢印で示す期間では、演出決定手段303は、時計同調演出として、図柄変動の区切りに関係なくミッションに関連する予告の画像や映像を演出表示装置60に表示させる。この予告は、世界観やテーマ、モチーフ、キャラクタが特殊演出と一致する内容であってもよい。また演出決定手段303は、特殊演出に用いられる複数の予告の中から特定の予告を抽選で選択して破線矢印の期間で表示させてもよい。
演出決定手段303は、同調演出期間においてこれから実行される図柄変動(以下「当該変動」とも呼ぶ。)について、メイン基板200から受信した本判定としての当否判定結果、図柄判定結果、変動パターンにしたがって、当該変動が大当り変動か否かを判定する。当該変動が大当り変動である場合、当該変動の変動パターンもしくは変動演出パターンを参照して、当該変動の実行時間、すなわち第1特別図柄51、第2特別図柄52の変動表示時間であり、装飾図柄61の変動演出表示時間を特定する。なお、変動パターンもしくは変動演出パターンのデータには図柄変動時間が予め対応付けられてもよい。
パターン記憶手段302は、複数種類の演出期間が定められた複数種類の特殊演出パターンを定めたテーブルである特殊演出パターンテーブルを保持する。このテーブルにおいて各特殊変動パターンには、特殊演出抽選値の範囲が対応付けられる。演出決定手段303は、複数種類の特殊演出パターンの中から1つの特殊演出パターンを抽選により選択する。具体的には、特殊演出抽選値を所定の抽選手段から取得し、複数種類の特殊演出パターンの中から、取得した抽選値に対応付けられた特殊演出パターンを選択する。
図17(a)で示すように、演出決定手段303が選択した特殊演出パターン(特殊演出1)の実行時間(演出表示時間でもあり、「尺」とも言える)が、大当り変動の実行時間以下である場合、演出決定手段303は、その特殊演出パターンを表示対象とする信頼度依存特殊演出のパターンとして決定する。演出決定手段303は、信頼度依存特殊演出の終了タイミングが大当り変動の終了タイミングに同期(一致)するよう、信頼度依存特殊演出の開始タイミングを決定する。具体的には、大当り変動の開始から、信頼度依存特殊演出の実行時間と、大当り変動の実行時間の差分に応じた時間分遅延させた時間位置を、信頼度依存特殊演出の開始タイミングとして決定する。
演出表示制御手段305は、演出決定手段303により決定された開始タイミングで特殊演出の表示を開始する。そして、図柄変動停止タイミングに同期した、特殊演出が終了したタイミングで大当り演出を開始する。例えば、大当りの発生を遊技者へ報知し、また大当りのラウンド演出を開始する。これにより、同調演出期間では原則として図柄変動に連動しない予告を表示させつつも、遊技者の期待感を高めるために重要な当否の煽りから大当り演出へ遊技者に違和感を抱かせることなく繋げて表示することができる。
図17(b)で示すように、演出決定手段303が選択した特殊演出パターン(特殊演出1)の実行時間が、大当り変動の実行時間を超過する場合、演出決定手段303は、抽選により別の特殊演出パターンを再選択する。再選択した特殊演出パターン(特殊演出2)の実行時間が、大当り変動の実行時間以下であれば、その特殊演出パターンを表示対象とする信頼度依存特殊演出のパターンとして決定する(時計同調演出態様1)。
大当り変動の実行時間以下の特殊演出パターンが存在しない場合、演出決定手段303は、大当り変動の実行時間を超過する特殊演出パターンを表示対象の信頼度依存特殊演出のパターンとして決定する(時計同調演出態様2)。この場合、演出決定手段303は、大当り変動の終了時に、図11の大当り報知役物564を作動させることを決定する。演出制御手段304は、役物制御手段としても機能し、演出決定手段303により決定されたタイミングで大当り報知役物564を動作させる。具体的には、第1画面561の前面を覆うように大当り報知役物564を移動させる。演出表示制御手段305は、大当り報知役物564作動時に特殊演出の表示を終了させ、大当り演出を開始する。このように、大当り変動の実行時間以下の特殊演出パターンが存在しない場合に、特殊演出を強制的に終了させて大当り演出へ移行させるが、その移行時に大当り報知役物564を作動させることで、遊技者に違和感を抱かせてしまうことを抑制できる。
図18も、図柄変動と特殊演出の時間的な関係を示すタイムチャートである。本図は、同調演出中に特定の時刻になったことを契機とする時間依存特殊演出を示すものである。本図で示すように、演出決定手段303は、同調演出中に特定の時刻になったことを検出すると、図柄変動期間に関わらず、言い換えれば図柄変動の始期・終期に関わらず、複数の特殊変動パターンの中から1つの特殊演出パターン(例えば図の特殊演出3)を、時間依存特殊演出のパターンとして選択する。演出表示制御手段305は、同調演出中の特定の時刻を始期として時間依存特殊演出の表示を開始する。
図19も、図柄変動と特殊演出の時間的な関係を示すタイムチャートである。ここでは、時間依存特殊演出の実行中に、大当りが発生する状況を想定し、言い換えれば、当該変動として大当り変動が実行される状況を想定する。時間依存特殊演出をここでは適宜「特殊演出3」とも呼ぶ。特殊演出3の終了タイミングは、大当り変動終了の後であるため、このままでは演出に不整合を生じることになる。そこで演出決定手段303は、時間依存特殊演出の実行中に大当りが発生することを検出した場合、表示中の時間依存特殊演出をキャンセルして、改めて信頼度依存特殊演出を決定して演出を差替える。
具体的には、演出決定手段303は、特殊演出3の実行中に大当りの当否判定結果を受け付けると、大当り変動の変動パターンを参照して、大当り変動の実行期間であり、言い換えれば、変動終了までの残り期間を特定する。それとともに演出決定手段303は、特殊演出3の残り部分の中に演出をキャンセル可能なデータの区切り(以下「中断可能ポイント」とも呼ぶ。)が存在するか否かを判定する。ここで中断可能ポイントは、特殊演出を違和感なく終了させるための予め定められた区切り位置であり、後述のシナリオ内での特定の時間位置を示す中断可能タイミングとも言える。本実施例では、図22や図23で後述するように、1回の特殊演出内に設けられた個々の予告の間を中断可能ポイントとする。
調整態様1で示すように、演出決定手段303は、大当り変動終了までの残り期間に特殊演出3の中断可能ポイントがなければ、特殊演出3の表示途中であり、大当り変動の終了に応じたタイミングで大当り報知役物564を動作させることを決定する。大当り報知役物564の動作タイミングは、大当り変動の終了直前であり、例えば大当り変動終了の1〜2秒前である。演出制御手段304は、演出決定手段303により決定されたタイミングで大当り報知役物564を作動させる。演出表示制御手段305は、大当り報知役物564の作動に伴って特殊演出3の表示を終了させ、大当り変動終了に伴い大当り演出の表示を開始する。
大当り変動終了までの残り期間の中に特殊演出3の中断可能ポイントがあれば、演出決定手段303は、その中断可能ポイントにて特殊演出3の終了を決定し、演出表示制御手段305は、その中断可能ポイント直前の予告が終了した時点で特殊演出3の表示を終了させる。演出決定手段303は、大当り変動に伴う信頼度依存特殊演出のパターンを既述の態様で選択する。調整態様2で示すように、選択した特殊演出パターン(特殊演出4)の実行時間が、大当り変動の残り時間以下であれば、その特殊演出パターンを表示対象として決定する。
また調整態様3で示すように、大当り変動の残り時間以下の特殊演出パターンが存在しない場合、例えば調整態様2で示した特殊演出4が存在しない場合、演出決定手段303は、大当り変動の実行時間を超過する特殊演出パターン(特殊演出5)を表示対象として決定する。それとともに演出決定手段303は、大当り変動の終了に伴い大当り報知役物564を作動させることを決定する。これにより、図柄変動期間と非依存の時間依存特殊演出を表示させる場合も、遊技者にできるだけ違和感を抱かせることなく大当り演出へ移行させることができる。なお、大当り変動の終了が特殊演出3の終了後である場合も、特殊演出3に中断可能ポイントがあれば特殊演出3をキャンセルして、調整態様2もしくは3を実施する。特殊演出3に中断可能ポイントがなければ、特殊演出3の終了後に、大当り変動に伴う信頼度依存特殊演出のパターンを既述の態様で選択する。
特殊演出の内容の決定方法を詳細に説明する。演出決定手段303は、同調演出期間において、信頼度依存特殊演出と時間依存特殊演出のそれぞれを開始すべきタイミングで各特殊演出における予告態様を決定する。演出決定手段303は、特殊演出の実行中(すなわち将来時点)において図柄変動が行われるか否かに関わらず、その特殊演出において予告を発生させるタイミングと回数を抽選により予め決定する。具体的には、演出決定手段303は、特殊演出を開始すべき場合に、(1)特殊演出における最終結果を決定し(以下「親抽選」とも呼ぶ。)、(2)最終結果に至る過程を定めたシナリオを決定し、(以下「子抽選」とも呼ぶ。)、(3)シナリオ内の予告に関する詳細を決定する(以下「孫抽選」とも呼ぶ。)。演出決定手段303は、信頼度依存特殊演出と時間依存特殊演出の両方について親抽選、子抽選、孫抽選を順次実行する。
(1)親抽選:
演出決定手段303は、ダンジョンの1階〜9階のそれぞれに対応する親抽選用の最終結果抽選テーブルを保持する。図20と図21は最終結果抽選テーブルを模式的に示す。図20は、主人公キャラクタが1階滞在中に参照されるテーブルを示し、図21は、主人公キャラクタが4階滞在中に参照されるテーブルを示している。最終結果抽選テーブルでは、最終結果、現在階からの差分、抽選値範囲(不図示)が対応付けられる。差分は、現在階から最終結果が示す目標階までの階数差であり、現在階が1階で目標階が10階である場合に最大の「9」となる。図20と図21が示す最終結果のうち「10階到達」「中ボスバトル勝利」「特殊イベント発生」は、大当りの場合に選択され、外れ(小当りを含む)の場合は選択されないよう抽選値範囲が設定される。なお、最終結果抽選テーブルは単一のテーブルとして構成されてもよく、ダンジョンの現在階毎に差分と抽選値範囲が設定されてもよい。すなわち現実のテーブルの個数に制限はない。
演出決定手段303は、時計同調演出の実行中、主人公キャラクタがダンジョンの何階に現在滞在しているか(時計同調演出開始時は1階)を示す現在階の情報を保持し、特殊演出の予告により上階へ移動した場合は現在階の情報を更新する。演出決定手段303は、特殊演出の開始時点での現在階に対応する最終結果抽選テーブルを参照して特殊演出の最終結果と差分を抽選により決定する。具体的には、親抽選値を取得し、最終結果抽選テーブルにてその親抽選値に対応付けられた最終結果を、特殊演出の最終結果として決定する。
(2)子抽選:
演出決定手段303は、子抽選用のシナリオ抽選テーブルを保持する。図22と図23はシナリオ抽選テーブルを模式的に示す。図22は、親抽選により現在階と目標階の差分が「2」に決定された場合に参照されるテーブルを示し、図23は、差分が「3」に決定された場合に参照されるテーブルを示している。シナリオ抽選テーブルも実際の個数に制限はない。シナリオ抽選テーブルでは、1回の特殊演出の進行過程を定めたシナリオであり、具体的には、1つ以上の予告の組み合わせと表示順序(予告1→予告2→予告3)を定めた複数種類のシナリオと、抽選値範囲(不図示)が対応付けられる。
図22と図23が示す予告のうち「撃破・成功」は敵キャラクタの撃破に成功し、1つ上の階に移動する内容の予告である。「宝箱・成功」は扉の鍵を取得し、1つ上の階に移動する内容の予告である。「撃破・失敗」は敵キャラクタの撃破に失敗し、現在階に留まる内容の予告である。「宝箱・孫抽選」は孫抽選により定まる結果(アイテム取得等)を得られるが現在階に留まる内容の予告である。したがって、差分「2」に対応する図22のシナリオには「撃破・成功」と「宝箱・成功」が合計2個含まれ、差分「3」に対応する図23のシナリオには「撃破・成功」と「宝箱・成功」が合計3個含まれる。なお、図の「撃破・成功1」は1倍速表示、「撃破・成功2」は2倍速表示、「撃破・成功3」は3倍速表示を示し、予告の表示時間が互いに異なる。
演出決定手段303は、親抽選により決定した差分に対応するシナリオ抽選テーブルを参照し、特殊演出のシナリオを抽選により決定する。具体的には、子抽選値を取得し、シナリオ抽選テーブルにおいて子抽選値に対応付けられたシナリオを、特殊演出のシナリオとして決定する。
(3)孫抽選:
演出決定手段303は、子抽選で選択したシナリオに含まれる各予告の詳細内容を抽選により決定する。例えば、選択シナリオが「撃破・成功」や「撃破・失敗」を含む場合、各撃破予告におけるバトル回数や、主人公キャラクタのHPの減算量を抽選により決定する。また、選択シナリオが「宝箱・成功」や「宝箱・孫抽選」を含む場合、各宝箱予告での予告内容(獲得アイテム等)を抽選により決定する。
また演出決定手段303は、子抽選で選択したシナリオに含まれる複数の予告について、先に実行される予告の終了から、次に実行される予告の開始までの時間間隔(以下「予告間尺」とも呼ぶ。)を抽選により決定する。予告間尺は、先の予告終了から、次の予告開始までの待機時間・演出表示留保時間とも言える。図24は予告間尺抽選テーブルを模式的に示す。予告間尺抽選テーブルでは、予告間尺と抽選値範囲が対応付けられる。演出決定手段303は、1つのシナリオ内に複数の予告が存在する場合、予告間ごとの抽選値を取得し、予告間尺抽選テーブルにてその抽選値に対応付けられた予告間尺を選択する。例えば図22における予告1〜予告2、予告2〜予告3、予告3〜予告4のそれぞれについて、各予告間の尺を決定する。抽選値に応じて各予告間には異なる尺を決定する。
演出表示制御手段305は、特殊演出を表示すべき際に、上記子抽選で決定されたシナリオにしたがって1つ以上の予告を順次表示させる。各予告では、上記孫抽選で決定された内容を示す画像や映像を表示させる。1回の特殊演出において複数の予告を表示させる場合、演出表示制御手段305は、先の予告の表示を終了後、上記予告間尺抽選で決定された予告間尺の間、次の予告の表示を抑制し、その予告間尺が経過すると次の予告の表示を開始する。予告間尺の間に、シナリオに定義された予告とは異なる画像や映像を表示させてもよい。シナリオで定義された全予告の表示を終了すると、上記親抽選で決定された最終結果に対応する目標階に到達しているため、演出表示制御手段305は、上記親抽選で決定された最終結果を表示させる。
このように、親抽選で特殊演出の最終結果を決定した後、子抽選、孫抽選と順次詳細を決定していくことで、演出内容のランダム性を抽選により維持しつつ、特殊演出の終了時に親抽選で決定した最終結果に到達することを担保できる。例えば、シナリオ抽選テーブルにおいて、ある最終結果と、その最終結果に確実に到達するシナリオ(予告の組み合わせ)を対応付けておくことにより、最終結果に到達するシナリオが選択されることを担保できる。時間依存特殊演出は2分間隔(同調演出期間開始から5分後と7分後)で実行されることがあるが、最長のシナリオ時間+予告間尺+最終結果の表示時間が最大2分以内になるよう設計することで、ある特殊演出の終了時であり、次の特殊演出の開始前に、親抽選で決定した最終結果に到達することを保証できる。次の特殊演出では、先の特殊演出の最終結果にもとづいて最終結果を抽選し、さらにシナリオを抽選する。これにより、先の特殊演出と次の特殊演出の両方で重複する予告を表示させてしまうことを回避できる。また、ダンジョンの階数をスキップしてしまうこと等、主人公キャラクタが滞在する階について特殊演出間で不整合が発生することを防止できる。
これに加え、親抽選で決定された差分のそれぞれに対して設けられた複数種類のシナリオの中から特定のシナリオを抽選で決定することで、1回の特殊演出でどの階へ到達するかを遊技者が予測することを困難にでき、ミッション達成可否に関して遊技者を効果的に煽ることができる。また、1回の特殊演出における複数の予告をシナリオ抽選により一度に決定しつつも、それぞれの予告間尺を抽選により決定する。これにより、最終結果に到達するための予告の回数や順序を効率的に決定しつつも、特殊演出における予告間隔をランダムにして、特殊演出の単調化を回避できる。例えば、主人公キャラクタが3階から7階へ移動した場合に、その移動が1回の特殊演出でなされたのか、2回の特殊演出でなされたのかを遊技者が判別することを困難にでき、さらなる特殊演出発生への期待感を遊技者に抱かせやすくなる。また、シナリオ間で予告を使い回して、これによるデータ量の低減と開発の容易性向上を実現しつつ、予告間隔をランダムにすることで特殊演出の単調化を回避できる。
ここで、図22のシナリオ抽選テーブルを参照して、図19で説明した時間依存特殊演出のキャンセルについて説明する。図19の特殊演出3〜5のそれぞれは、シナリオ抽選テーブルで規定された1つのシナリオにしたがって実行される特殊演出である。シナリオ抽選テーブルの各シナリオで規定される個々の予告には予告表示時間が対応付けられている。演出決定手段303は、子抽選で選択したシナリオが規定する1つ以上の予告それぞれの予告表示時間と、複数の予告がある場合の予告間尺と、予め定められた最終結果の表示時間を合計することで、時間依存特殊演出全体の表示時間を取得する。信頼度依存特殊演出全体の表示時間の算出方法も同じである。特殊演出全体時間は大当り変動時間との比較に用いる。
また演出決定手段303は、時間依存特殊演出中に、大当り変動の開始を検出すると、計時手段307が出力する現在時刻(時間依存特殊演出開始からの経過時間でもよい)、各予告の表示時間、予告間尺に基づいて、未開始の予告が存在するか否かを判定する。未開始の予告が存在する場合、現在表示中の予告が終了する時点を中断可能ポイントと識別し、現在表示中の予告が終了したことを契機に時間依存特殊演出を中断させる。または現在、未開始の予告の開始待ちの状態(予告間)であれば、現在時点を中断可能ポイントと識別して時間依存特殊演出を中断させる。このように、複数の予告により構成されるシナリオを定めることで、特殊演出の途中でのキャンセルを容易にしている。
図25は、メイン基板200およびサブ基板300のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。メイン基板200は、メインCPU290、メインRAM291、メインROM292などの電子部品を含む。メインROM292には、遊技動作全般を制御するためのメイン制御プログラムおよびデータがあらかじめ格納される。メインROM292からメイン制御プログラムまたはデータがメインRAM291へ読み込まれ、メイン制御プログラムがメインCPU290によって実行される。各電子部品間は図示しないシステムバスやデータバスなどのバスで結ばれる。各入球口からの入球信号や払出制御基板155からの払出信号などは図示しない各種インタフェースを介してメインCPU290により取得される。メインCPU290は、図示しない各種駆動回路により各入賞口ソレノイドや第1特別図柄表示装置41、第2特別図柄表示装置42などの外部装置を駆動制御する。また、メインCPU290からサブ基板300へは、演出制御に必要な命令が当否抽選の結果や図柄の決定結果、変動パターンの決定結果などの情報とともに送信される。メイン基板200からサブ基板300へは、一方向通信で信号が送信される。
メイン基板200からサブ基板300へ送信する命令データは、いわゆるMODEデータと呼ばれる1バイトの命令種別データと、いわゆるEVENTデータと呼ばれる1バイトの命令内容データとの組合せによる2バイト構成である。メイン基板200は、命令種別データおよび命令内容データを対応付けてサブ基板300へ送信することで一命令を送ることができる。命令種別データは、命令の種別を示すビット列であり、あらかじめ命令の種別ごとに開発段階で一意の種別コードを割り当ててある。命令内容データは、命令の内容を示すビット列である。命令種別データおよび命令内容データの最上位ビットは命令種別データと命令内容データのいずれであるかを示す識別ビットであり、最上位ビットが1のときは命令種別データであることを示し、最上位ビットが0のときは命令内容データであることを示す。
メイン基板200からサブ基板300への通信は、1回のデータ送信につき1バイトのデータを送信する仕様のため、2バイトの命令データを送信するために1バイトずつ2回の送信が必要となる。1回目の通信で上位バイトであるMODEデータを送信し、2回目の通信で下位バイトであるEVENTデータを送信する。ノイズ等の影響による通信失敗の可能性を考慮し、メイン基板200は同じデータを連続で送信し、サブ基板300により同じデータが2連続で読み込まれた時点でそのデータの送受信の完了を確定する。2連続で読み込まれるまではメイン基板200は同じデータを繰り返し送信し、最大5回まで送信する。
サブ基板300は、サブCPU310、サブRAM311、サブROM312、演出表示制御装置313、音声制御装置314などの電子部品を含む。サブROM312は、演出過程が定義された演出パターンデータや演出表示過程が定義された表示パターンデータなどを含むサブ制御プログラムを保持するデータ格納手段の一つである。サブROM312から演出パターンデータ、表示パターンデータ、音声パターンデータを含むサブ制御プログラムがサブRAM311へ読み込まれ、そのサブ制御プログラムによる演出制御がサブCPU310によって実行される。各電子部品間は図示しないシステムバスやデータバスなどのバスで結ばれる。演出ボタン109などの外部装置からの信号は図示しない各種インタフェースを介してサブCPU310により取得される。サブCPU310は、演出パターンデータにしたがって、演出表示制御装置313、音声制御装置314、図示しない各種駆動回路や制御回路により演出表示装置60、スピーカ108、装飾ランプ111、可動役物66などの外部装置を駆動して表示出力、音声出力、ランプ点灯、役物動作による演出を制御する。サブCPU310は、表示パターンデータを演出表示制御装置313へ送信し、音声パターンデータを音声制御装置314へ送信する。なお、本基本構成ではサブ基板300が演出表示制御装置313および音声制御装置314を内包する例を説明するが、サブ基板300と演出表示制御装置313および音声制御装置314とは基板として一体化していることを要さず、分離して互いに接続された別個の基板として形成されてもよい。
図26は、演出表示制御装置313のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。演出表示制御装置313は、表示CPU320、表示RAM322、データROM324、表示制御回路326を含む。データROM324は、演出表示に用いられる演出画像データやモーションデータなどの素材データをデータ圧縮した状態で保持するデータ格納手段の一つである。演出画像データは、当否抽選の判定結果などを示す演出オブジェクトとして変動表示や演出表示に用いられる画像であり、例えば装飾図柄変動に用いる装飾図柄のスプライト画像、予告演出に用いるスプライト画像、各種演出に用いる動画といった素材画像である。モーションデータは、各種演出に用いる画像に所定タイミングで演出的な動作を加える場合のその動作が定義されたデータである。
サブCPU310から送られた表示パターンデータに基づいて、その表示パターンデータに指定された演出画像データやモーションデータがデータROM324から表示RAM322へ読み出され、その演出画像データやモーションデータを用いた演出表示が表示CPU320によって実行される。その結果、表示CPU320から表示制御回路326へ演出表示に関するコマンド、演出画像データ、モーションデータが送信され、表示制御回路326により表示制御がなされる。
表示制御回路326は、デコーダ332、描画メモリ334、描画回路336、フレームバッファ338、表示回路340を含み、それぞれがバス330を介して接続される。本図のバス330は、便宜上、システムバス、データバス、アドレスバスなどのバスを包括的に示したものである。
表示CPU320から送られた演出画像データやモーションデータは描画メモリ334に格納され、それらのデータのうち圧縮されたデータはデコーダ332によって復号される。描画メモリ334は、演出画像データやモーションデータをデコーダ332により復号する場合のワークエリアとして用いられたり、描画回路336による描画処理や画像処理を実行する場合のワークエリアとして用いられたりするVRAM(VideoRAM)である。
描画回路336は、描画メモリ334に格納されたデータを用い、表示CPU320から送られたコマンドを順に実行して表示用画像を生成し、その生成された表示用画像を動画像のフレームとしてフレームバッファ338に格納する。フレームバッファ338は、演出表示装置60へ出力すべき動画像のフレームを一時的に格納するバッファメモリとしてのVRAMである。
表示回路340は、フレームバッファ338に格納された表示用画像を格納された順に映像信号の形で演出表示装置60へ出力する。フレームバッファ338は、例えば2フレーム分のメモリ領域を有し、表示回路340が1フレーム分のメモリ領域から表示用画像を出力する間に、描画回路336が次の表示用画像を生成して、もう1フレーム分のメモリ領域に格納する。
なお、データROM324には、表示制御回路326によりなされる表示制御過程が定義された「詳細表示パターンデータ」が保持されている。このとき、サブCPU310から送られる表示パターンデータは、演出表示過程の概要が定義される「概略表示パターンデータ」ということができる。例えば、概略表示パターンデータには、装飾図柄の変動開始および変動停止タイミングや、複数の動画像の再生順序や、再生開始および停止のタイミングなど、一連の演出表示過程の大まかな流れが定義される。一方、詳細表示パターンデータには、装飾図柄の変動表示を実現するためのスプライト画像の表示順序や、モーションデータに基づく動画像を表示するためのフレーム単位での表示処理順序など、細かな表示制御過程が定義される。
演出表示制御装置313は、サブCPU310から送られた「概略表示パターンデータ」に基づく表示制御をする場合、その処理に必要な「詳細表示パターンデータ」をデータROM324から読み出し、双方の表示パターンデータを用いて表示処理を実行する。したがって、演出表示制御装置313は、「概略表示パターンデータ」および「詳細表示パターンデータ」を含む表示パターデータに基づいて表示制御処理を実行するということができる。そこで、本明細書においては、明示的に言及しない限り、サブROM312に格納される「概略表示パターンデータ」とデータROM324に格納される「詳細表示パターンデータ」を区別せず、単に「表示パターンデータ」という。例えば、演出制御表示手段が、データ格納手段に保持される表示パターンデータに基づき特定の処理をするという場合、この表示パターンデータには、「概略表示パターンデータ」と「詳細表示パターンデータ」を含むものとする。なお、変形例においては、表示パターンデータが、「概略表示パターンデータ」と「詳細表示パターンデータ」とに分かれておらず、双方を兼ねる表示パターンデータがサブROM312またはデータROM324に保持されていてもよい。
本基本構成では、演出表示制御装置313のハードウェア構成として、表示CPU320、表示RAM322、データROM324および表示制御回路326が含まれる構成を示している。変形例においては、表示CPU320、表示RAM322、データROM324および表示制御回路326が、それぞれ別の電子部品として構成されるのではなく、一体化されていてもよい。また、表示制御回路326によって実行されるとした処理が、表示CPU320、表示RAM322またはデータROM324により実行されてもよい。例えば、演出表示制御装置313に含まれる表示CPU320が、表示制御回路326に含まれるデコーダ332、描画回路336、表示回路340により実行されるとした処理を実行してもよい。また、演出表示制御装置313に含まれる表示RAM322が描画メモリ334やフレームバッファ338の機能を兼ねてもよい。その他、演出表示制御装置313に表示制御回路326が含まれないハードウェア構成であってもよく、この場合、表示制御回路326により実行されるとした処理が、表示CPU320、表示RAM322またはデータROM324により実行されてもよい。
また、本基本構成では、サブ基板300のハードウェア構成として、サブCPU310、サブRAM311およびサブROM312の他に、演出表示制御装置313が含まれる構成を示している。変形例においては、サブCPU310、サブRAM311、ROM312および演出表示制御装置313が、それぞれ別の電子部品として構成されるのではなく、一体化されていてもよい。また、演出表示制御装置313によって実行されるとした処理が、サブCPU310、サブRAM311またはサブROM312により実行されてもよい。例えば、サブCPU310が表示CPU320の処理を実行してもよいし、サブRAM311が表示RAM322の機能を兼ねてもよいし、サブROM312がデータROM324の機能を兼ねてもよい。その他、サブ基板300に演出表示制御装置313が含まれないハードウェア構成であってもよく、この場合、演出表示制御装置313により実行されるとした処理が、サブCPU310、サブRAM311またはサブROM312により実行されてもよい。
図27は、ぱちんこ遊技機におけるメイン基板200の制御開始処理を示すフローチャートである。電源スイッチ150が投入されると、メインCPU290は、スタックポインタを設定し(S100)、メインRAM291へのアクセスを許可し(S102)、メインCPU290の内蔵レジスタの設定などのハードウェアに関する初期設定を実行する(S104)。
つづいて、RAMクリアスイッチの操作状態、電源断情報フラグの値、及びメインRAM291に格納されているデータの状態に応じて、電源断復帰処理又はメインRAM291の初期化処理を実行する。具体的には、RAMクリアスイッチがONされず、かつ、電源断情報フラグの値と、メインRAM291に格納されているデータとの双方が正常であった場合は、電源断復帰時の処理を実行する。それ以外の場合、すなわち、RAMクリアスイッチがONされた場合、又は、RAMクリアスイッチがONされなかった場合でも、電源断情報フラグと、メインRAM291に格納されているデータとのいずれかが正常でなかった場合は、メインRAM291の初期化処理を実行する。
メインCPU290は、RAMクリアスイッチの操作状態を確認し、RAMクリアスイッチがONされた場合(S106のY)、メインRAM291を初期化する(S116)。RAMクリアスイッチがONされなかった場合(S106のN)、メインCPU290は、電源断情報フラグの値を確認する(S108)。電源断情報フラグの値が電源断正常データと一致しなければ(S108のN)、メインRAM291を初期化する(S116)。電源断情報フラグの値が電源断正常データと一致すれば(S108のY)、メインRAM291に格納されているデータを検査する(S110)。後述するように、前回の電源断時に処理が正常に終了していれば、メインRAM291に格納されていたデータのチェックサムがメインRAM291に格納されているので、メインCPU290は、チェックサムを用いてメインRAM291のデータを検査する。メインRAM291に格納されているデータが正常でなければ(S112のN)、メインRAM291のデータを初期化する(S116)。メインRAMに格納されているデータが正常であれば(S112のY)、電源断前の状態に復帰するための処理を実行する(S114)。
電源断復帰処理(S114)において、電源投入が正常に行われたことを示す電源投入正常データを電源断情報フラグに格納し、各種エラーの初期設定及び払出制御基板155との通信初期設定を実行する。つづいて、電源断前の未送信分のコマンド要求をクリアし、遊技状態を示す各種情報のコマンド送信を要求する。つづいて、第1特別図柄及び第2特別図柄の作動保留球数に対応した演出コマンドを要求する。つづいて、第2始動口12及び大入賞口20の開放/閉鎖状態を電源断前の状態に復帰させる。つづいて、特別図柄の確率変動機能の作動状態を報知するための処理を実行する。
RAM初期化処理(S116)において、電源投入正常データを電源断情報フラグに格納し、メインRAM291の全領域を0でクリアし、メインRAM291の初期設定及び演出表示器の初期化を実行する。
電源断復帰処理(S114)又はRAM初期化処理(S116)が終了すると、後述する割込処理を起動するためにカウント値をセットし、割込タイマの動作を開始させる(S118)。これにより、以降、所定の時間(例えば4ミリ秒)ごとにタイマ割込が発生し、後述する割込処理が実行される。つづいて、メインCPU290は、遊技機を管理するためのメイン処理を実行する(S120)。
図28は、図27におけるS120のメイン処理を詳細に示すフローチャートである。メインCPU290は、タイマ割込をいったん禁止し(S200)、ウォッチドッグタイマの動作を開始させ(S202)、電源断を監視する(S204)。図示しない電源電圧監視回路において電源ユニット158から供給される電源電圧の低下が検出されると、電源電圧監視回路からメインCPU290に無条件割込要求信号が入力されることにより実行される電源断記憶処理において、電源断確認データが電源断確認フラグに格納される。したがって、メインCPU290は、電源断確認フラグの値を監視し(S204)、電源断確認フラグの値が電源断確認データに一致する場合は(S206のY)、電源断のための処理を実行するために、S212に進む。電源断確認フラグの値が電源断確認データに一致しない場合は(S206のN)、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数を更新するため、初期値乱数更新処理を実行し(S208)、タイマ割込を許可して(S210)、S200に戻る。以降、S200〜S210が繰り返される。タイマ割込が禁止されている間(S202〜S208)にタイマ割込が発生した場合、S210においてタイマ割込が許可された後に、後述する割込処理を実行する。
S206において電源断が検知されると(S206のY)、メインCPU290は、ウォッチドッグタイマをリスタートさせ(S212)、電源断情報フラグの内容を確認する(S214)。電源断情報フラグの内容が電源投入正常データと一致しない場合は(S214のN)、電源投入時のデータが正常に保存されていないと判断し、電源断異常データを電源断情報フラグに格納して(S216)、S222に進む。電源断情報フラグの内容が電源投入正常データと一致する場合は(S214のY)、電源投入時のデータが正常に保存されていると判断し、電源断正常データを電源断情報フラグに格納する(S218)。つづいて、次回の電源投入時に、バックアップされたメインRAM291のデータを検査するために、メインRAM291に格納されているデータのチェックサムを算出してメインRAM291に格納する(S220)。つづいて、メインRAM291へのアクセスを禁止して(S222)、電源が落ちるまでループする。
図29は、割込処理の詳細を示すフローチャートである。メイン処理(S120)においてタイマ割込が発生すると、メインCPU290は割込処理を実行する。まず、割込動作条件を設定し(S300)、ウォッチドッグタイマをリスタートさせる(S302)。つづいて、遊技機を管理するため、入力処理(S304)、各種乱数更新処理(S306)、初期値更新型乱数更新処理(S308)、初期値乱数更新処理(S310)、タイマ減算処理(S312)、第2始動口有効期間設定処理(S314)、入賞監視処理(S316)、賞球制御処理(S318)、普通図柄作動ゲート監視処理(S320)、普通図柄制御処理(S322)、普通図柄変動開始監視処理(S324)、始動口監視制御処理(S326)、特別図柄制御処理(S328)、特別電動役物制御処理(S330)、大入賞口有効期間設定処理(S332)、特別図柄変動開始監視制御処理(S334)、異常検知処理(S336)、入球通過時間異常検出処理(S338)、遊技状態表示処理(S340)、ハンドル状態信号検査処理(S342)、LED出力処理(S344)、発射制御信号出力処理(S346)、試験信号出力処理(S348)、ソレノイド出力処理(S350)、演出制御コマンド送信処理(S352)、外部情報出力処理(S354)を順に実行し、次回のタイマ割込を許可して(S356)、リターンする。
入力処理(S304)において、遊技盤面に取り付けられているスイッチ、断線短絡電源異常検知信号、扉・枠の開放信号、磁気検知信号、電波検知信号、及びタッチ状態信号の入力を監視し、入力状態を示すデータを作成してメインRAM291に格納する。
各種乱数更新処理(S306)において、普通図柄変動パターン乱数及び変動パターン乱数を更新する。普通図柄変動パターン乱数をメインRAM291から読み出し、値が所定の最大値未満である場合は値をインクリメントして格納し、値が所定の最大値以上である場合は0を格納する。また、変動パターン乱数をメインRAM291から読み出し、値から所定値を減算した結果が0以上である場合は減算結果を格納し、0未満である場合は所定の最大値を格納する。これにより、普通図柄変動パターン乱数及び変動パターン乱数は、タイマ割込が発生する時間ごとに更新される。
初期値更新型乱数更新処理(S308)において、普通図柄当り乱数、特別図柄当り図柄乱数、及び特別図柄当りソフト乱数を更新する。それぞれの乱数の値、最大値、及び初期値をメインRAM291から読み出し、乱数の値をインクリメントする。インクリメントした結果が、最大値を超えた場合は、乱数の値を0とする。また、インクリメントした結果が、初期値に一致した場合は、初期値乱数をメインRAM291から読み出し、初期値を更新する。これにより、普通図柄当り乱数、特別図柄当り図柄乱数、及び特別図柄当りソフト乱数は、タイマ割込が発生する時間ごとに更新され、乱数の値が初期値に戻ると、すなわち乱数の範囲を一巡すると、新たに初期値を設定し直して乱数が生成される。
初期値乱数更新処理(S310)において、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数を更新する。メインRAM291の初期値乱数更新テーブルから初期値乱数を読み出し、初期値乱数の値をインクリメントする。インクリメントした結果が、上限値を超えていた場合は、初期値乱数の値を0とする。メイン処理(S120)における初期値乱数更新処理(S208)においても、同様の処理が実行される。
タイマ減算処理(S312)において、2バイトタイマを更新する。タイマの値をメインRAM291から読み出し、タイマの値が0以外である場合、値をデクリメントして格納する。タイマの値が0である場合、タイマの更新は実行しない。
第2始動口有効期間設定処理(S314)において、第2始動口12の有効期間を設定する。第2始動口12には、遊技球の入球により賞球の払い出し及び第2特別図柄に係る抽選が実行される有効期間と、遊技球が入球しても賞球の払い出し及び第2特別図柄に係る抽選が実行されない無効期間が設定される。後述するように、始動口監視制御処理(S326)において、第2始動口12の無効期間には、第2始動口入賞の監視処理を実行しないので、第2始動口12に遊技球が入球しても賞球の払い出し及び第2特別図柄に係る抽選は実行されない。第1始動口11、大入賞口20、作動口30、一般入賞口33などに、有効期間及び無効期間が設定される場合についても同様である。普通図柄の状態が「普通電動役物作動中」である場合、第2始動口有効期間フラグに第2始動口12が有効期間であることを示すデータを格納する。普通図柄の状態が「普通電動役物作動中」でない場合、第2始動口有効延長タイマの値が0でなければ、第2始動口有効期間フラグに第2始動口12が有効期間であることを示すデータを格納し、第2始動口有効延長タイマの値が0であれば、第2始動口有効期間フラグに第2始動口が無効期間であることを示すデータを格納する。
入賞監視処理(S316)において、遊技球のスイッチ通過を検査し、遊技球がスイッチを通過したとき、そのスイッチに無効期間がない、又は、現在有効期間である場合で、かつ、賞球払い出しがある場合、入賞カウンタを更新する。また、外部端子へ出力するセキュリティの出力要求の作成及びコマンドの送信を要求する。
賞球制御処理(S318)において、払出制御基板155からのデータ受信の監視、払出制御基板155へのコマンド送信要求、払出制御基板155へのコマンド送信、及び払出制御基板155からの受信データの検査を、順に実行する。
普通図柄作動ゲート監視処理(S320)において、遊技球の作動口30の通過を監視し、遊技球が作動口30を通過したと判断したとき、普通図柄変動の保留数が上限値である4未満である場合は、普通図柄の保留数を更新し、普通図柄に係る乱数をメインRAM291に格納する。
普通図柄制御処理(S322)において、普通図柄の状態を監視し、普通図柄制御中と判断した場合、普通図柄表示装置45又は普通電動役物90に係る処理を実行する。普通図柄の状態が「普通図柄変動中」である場合、普通図柄変動中処理を実行し、「普通図柄停止図柄表示中」である場合、普通図柄停止図柄表示中処理を実行し、「普通電動役物作動中」である場合、普通電動役物作動中処理を実行し、「普通電動役物作動終了デモ中」である場合、普通電動役物作動終了デモ中処理を実行する。普通図柄変動中処理において、普通図柄の変動を行った後、変動時間を監視し、普通図柄の変動時間終了と判断した場合、普通図柄の変動停止設定を行って、普通図柄の状態を「普通図柄停止図柄表示中」に設定する。普通図柄停止図柄表示中処理において、普通図柄の停止図柄表示時間を監視し、普通図柄の停止図柄表示時間終了と判断した場合、当り判定の結果に対応した普通図柄の作動終了設定を実行する。当りの場合は、普通図柄の状態を「普通電動役物作動中」に設定し、普通電動役物作動開始時の普通電動役物開放延長機能の作動状態を保存し、普通電動役物作動開始時の普通電動役物開放延長機能の作動状態に対応した普通電役ソレノイド91の作動設定を実行する。はずれの場合は、普通図柄の状態を「普通図柄変動待機中」に設定する。普通電動役物作動中処理において、遊技球の普通電動役物90に係る入賞口の入賞を監視し、普通電動役物90に係る入賞口の入賞数が最大入賞数に達したと判断した場合は、普通電動役物90の作動終了設定及び第2始動口有効延長時間の設定を実行する。普通電動役物90に係る入賞口の入賞数が最大入賞数に達していないと判断した場合は、普通電動役物90に係る入賞口の入口の開放/閉鎖時間の監視、普通電動役物90に係る入賞口の入口の開放/閉鎖の設定を行い、一連の普通電動役物90の入口の開放が終了したと判断した場合は、普通電動役物90の作動終了設定及び第2始動口有効延長時間の設定を実行する。なお、普通電動役物90に係る入賞口の入口の開放/閉鎖時間の終了でないと判断した場合は、普通電動役物90に係る入賞口の入口の開放/閉鎖の設定は実行しない。普通電動役物作動終了デモ中処理において、普通電動役物90の作動終了デモ時間の監視を行い、普通電動役物90の作動終了デモ時間終了と判断した場合、普通図柄の状態を「普通図柄変動待機中」に設定する。
普通図柄変動開始監視処理(S324)において、普通図柄の状態を監視し、「普通図柄変動待機中」であり、かつ、普通図柄作動保留球数の値が0以外である場合、普通図柄の変動を開始させると判断する。普通図柄の変動を開始させると判断した場合、普通図柄作動保留球数をデクリメントし、当り判定、停止図柄の決定、普通図柄の変動パターン番号の設定、及び普通図柄の変動時間の設定を実行する。その後、普通図柄の状態を「普通図柄変動中」に設定し、普通図柄の状態設定、当り判定、及び変動パターン決定に使用したメインRAM291の領域をクリアする。
始動口監視制御処理(S326)において、遊技球の第1始動口11入賞及び第2始動口12入賞を監視する。第1特別図柄の作動保留球数が4未満であるときに遊技球の入賞を確認した場合は、内蔵乱数を取得し、取得した内蔵乱数に特別図柄当りソフト乱数の値を加算した値を、大当り判定で使用する特別図柄当り乱数としてバッファに格納する。また、特別図柄に係る乱数として、図柄乱数及び変動パターン乱数を取得して記憶する。第2特別図柄の保留を第1特別図柄の保留に優先して消化する場合は、当該入賞に係る保留の更新のみを実行するが、特別図柄の保留の消化順序が入賞順である場合は、当該入賞に係る保留の更新のほか、合計保留数の更新及び入賞順序の記憶を実行する。つづいて、始動口入賞時に記憶する乱数に対応した予告演出コマンドを要求するため、遊技機の状態を確認し、コマンド送信期間と判断した場合、当り予告演出要求、当り図柄予告演出要求、パターン予告演出要求を順に実行する。ここで、(1)当り待ち中で、かつ、普通図柄の確率変動機能が未作動中に、第1特別図柄に係る乱数を記憶する場合、(2)当り待ち中で、かつ、普通図柄の確率変動機能が未作動中に、第2特別図柄に係る乱数を記憶する場合、(3)大当り中又は小当り中に第2特別図柄に係る乱数を記憶する場合のいずれかに該当する場合に、コマンド送信期間であると判断する。つづいて、特別図柄の作動保留球数に対応した演出コマンドを要求する。これにより、特別図柄の作動保留球数が更新されたことが、サブ基板300に通知される。以上のように、先読みにおいては、当り、当り図柄、変動パターン、保留球数の4つがセットとしてサブ基板300に送信される。つづいて、第2始動口有効期間フラグの値を検査し、第2始動口有効期間フラグの値が第2始動口12が有効期間であることを示すデータである場合、第1始動口入賞の場合と同様に、第2始動口入賞の監視処理を実行する。第2始動口有効期間フラグの値が第2始動口12が無効期間であることを示すデータである場合、第2始動口入賞の監視処理は実行しない。なお、保留球数が0であったときに遊技球の入賞を確認した場合には、ここでいったん保留球数を0から1にした上で、後述する変動開始に係る制御処理が実行される。
特別図柄制御処理(S328)において、当り待ち状態の検査を行い、特別電動役物が作動中、すなわち、大当り中又は小当り中である場合、特別図柄制御処理を終了する。特別電動役物が未作動である場合、特別図柄の状態を検査し、「特別図柄変動待機中」であれば、特別図柄制御汎用処理を終了し、「変動開始」であれば、特別図柄変動開始処理を実行し、「特別図柄変動中」であれば、特別図柄変動中処理を実行し、「特別図柄停止図柄表示中」であれば、特別図柄停止図柄表示中処理を実行する。特別図柄変動開始処理において、変動パターン乱数に基づいて特別図柄変動パターンの選択番号を取得し、特別図柄変動パターン番号に対応した変動時間を決定し、サブ基板300に演出表示を開始させるため、変動付加図柄情報、変動パターン、及びキャラクタの情報のコマンドを要求し、特別図柄の状態を「特別図柄変動中」に設定し、特別図柄変動パターンの決定に使用した変動パターン判定領域を0でクリアする。特別図柄変動中処理において、特別図柄の変動を行った後、変動時間を監視し、特別図柄の変動時間終了と判断した場合、特別図柄の変動停止設定を行って、特別図柄の状態を「特別図柄停止図柄表示中」に設定する。特別図柄停止図柄表示中処理において、特別図柄の停止図柄表示時間を監視し、特別図柄の停止図柄表示時間終了と判断した場合、当り判定の結果に対応した特別図柄の作動終了設定を実行する。当りの場合は、特別図柄の作動を終了させるため、特別図柄の状態を「特別図柄変動待機中」に設定し、特別電動役物が連続して作動する回数の設定を行い、特別図柄の確率変動機能、特別図柄の変動時間短縮機能、普通図柄の確率変動機能、普通図柄の変動時間短縮機能、及び普通電動役物の開放延長機能を未作動にし、遊技機の状態を大入賞口開放準備中に設定し、当り開始デモ表示時間の設定、当り開始デモ演出のコマンド要求、及び発射位置指定演出のコマンド要求を実行する。当り判定の結果が小当りである場合、特別図柄の変動時間短縮機能及び普通図柄の確率変動機能の作動終了判定を行い、変動パターン選択状態を更新し、遊技状態のコマンド要求を行い、特別図柄の作動を終了させるため、特別図柄の状態を「特別図柄変動待機中」に設定し、遊技機の状態を小当り開始デモ中に設定し、当り開始デモ表示時間の設定、当り開始デモ演出のコマンド要求、及び発射位置指定演出のコマンド要求を実行する。当り判定の結果がはずれである場合、特別図柄の変動時間短縮機能及び普通図柄の確率変動機能の作動終了判定を行い、変動パターン選択状態を更新し、遊技状態のコマンド要求を行い、特別図柄の作動を終了させるため、特別図柄の状態を「特別図柄変動待機中」に設定し、発射位置指定演出のコマンド要求を実行する。
特別電動役物制御処理(S330)において、特別電動役物に係る処理を実行するため、条件装置及び特別電動役物の作動状態を検査し、条件装置が作動中又は特別電動役物が作動中と判断した場合、特別電動役物に係る処理を実行する。特別電動役物の作動状態に応じて、大入賞口開放準備中処理、特別電動役物作動中処理、大入賞口閉鎖中処理、大当り終了デモ中処理、小当り開始デモ中処理、小当り特電作動中処理、小当り大入賞口閉鎖中処理、小当り終了デモ中処理を実行する。
大入賞口有効期間設定処理(S332)において、大入賞口20の有効期間判定の結果を保存するため、大入賞口有効時間の値が0である場合は、大入賞口有効期間フラグに大入賞口無効期間データを格納し、0以外である場合は、大入賞口有効期間フラグに大入賞口有効期間データを格納する。
特別図柄変動開始監視制御処理(S334)において、特別図柄の作動状態を監視し、特別図柄が変動開始できる状態であるか否かを判定する。特別図柄の保留球の消化順序が、第2特別図柄の優先消化である場合、(1)大当り中又は小当り中でないこと、(2)第1特別図柄が変動待機中であること、(3)第2特別図柄が変動待機中であること、(4)当該特別図柄の作動保留球数が0以外であること、の全てが満たされているときに、特別図柄が変動開始できる状態であると判定する。特別図柄の保留球の消化順序が、入賞順である場合、上記(1)〜(3)に加えて、(5)特別図柄の保留球数の合計が0以外であること、(6)当該判定が消化順序すなわち入賞順と一致すること、の全てが満たされているときに、特別図柄が変動開始できる状態であると判定する。
特別図柄が変動開始できる状態であると判定された場合、当該特別図柄の作動保留球数を減算し、第1特別図柄及び第2特別図柄の保留球数に対応した演出コマンドを要求する。これにより、特別図柄の保留球数が更新されたことがサブ基板300に通知される。
つづいて、特別図柄の当り判定を実行する。当り判定において、特別図柄当り乱数により、大当り、小当り、はずれのいずれであるかが判定され、判定結果が、特別図柄判定フラグに格納される。つづいて、図柄を決定する。図柄の決定において、当り判定が大当りであった場合、特別図柄当り図柄乱数に基づいて大当り図柄が決定され、小当りであった場合、小当り図柄が決定され、はずれであった場合、はずれ図柄が決定される。
当り判定の結果が大当りであった場合、図柄の決定処理において決定された当り図柄の種別を示す群判定番号の値に基づいて、特別図柄の確率変動機能の作動内容を判定し、特別図柄の変動時間短縮機能の作動内容や、普通図柄の入賞容易状態を設定など、大当り終了後の遊技状態を設定する。つづいて、特別電動役物が連続して作動する回数や、大入賞口の開放時間の内容など、大当り中の設定を実行する。つづいて、当り判定の結果と、普通図柄の確率変動機能の作動状態に基づいて、大当り終了後に参照すべき変動パターンテーブルを選択することにより、変動パターン選択状態の内容を設定する。つづいて、遊技状態及び当り図柄の種別を示す群判定番号の値に基づいて選択されたテーブルを参照して、開始デモ時間及び終了デモ時間を設定する。つづいて、当り判定及び図柄決定に使用したメインRAM291の領域をクリアし、特別図柄の状態を「変動開始」に設定する。
当り判定の結果が小当りであった場合、小当り終了後に参照すべき変動パターンテーブルを選択することにより、変動パターン選択状態の内容を設定し、開始デモ時間及び終了デモ時間を設定し、当り判定及び図柄決定に使用したメインRAM291の領域をクリアして、特別図柄の状態を「変動開始」に設定する。当り判定の結果がはずれであった場合、当り判定及び図柄決定に使用したメインRAM291の領域をクリアして、特別図柄の状態を「変動開始」に設定する。
異常検知処理(S336)において、磁気検知信号、断線短絡電源異常検知信号、電波検知信号、扉・枠の開放信号を検査し、エラー状態に変化があった場合は、エラー状態を記憶して、サブ基板300に遊技機のエラー状態演出の表示を要求する。エラー状態に変化がなかった場合は、エラー状態の記憶及びエラー状態演出の表示要求は実行しない。
入球通過時間異常検出処理(S338)において、入球通過時間異常を検出するため、各スイッチレベルの連続オン時間の監視を行い、その結果、前回から変化があったと判断した場合、入球通過時間異常の設定、コマンドの送信要求、外部端子へ出力するセキュリティの出力要求の作成を順に実行する。連続オン時間が異常ではないと判断した場合は、セキュリティの出力要求の作成は実行しない。
遊技状態表示処理(S340)において、特別電動役物が連続して作動する回数、エラー状態、普通図柄の作動保留球数、及び特別図柄の作動保留球数の表示を要求するため、それぞれの表示データを作成する。
ハンドル状態信号検査処理(S342)において、ハンドルのタッチ状態を監視するため、ハンドル状態の検査を行い、検査の結果、ハンドル状態に変化ありと判断した場合、ハンドル状態監視タイマの減算、ハンドル状態の更新、ハンドル状態監視タイマの設定、及びハンドル状態演出のコマンド送信要求を実行する。検査の結果、ハンドル状態に変化なしと判断した場合、ハンドル状態監視タイマの設定を実行する。ハンドル状態監視タイマの値をデクリメントした結果が0以外の場合、タイマ減算中と判断して、以降の処理は実行しない。
LED出力処理(S344)において、特別図柄の表示、普通図柄の表示、特別図柄の作動保留球数の表示、普通図柄の作動保留球数の表示、遊技状態の表示、特別電動役物が連続して作動する回数の表示、役物連続作動装置未作動時の特別電動役物の作動状態の表示、打ち分けの表示及びエラーの表示を実行するために、表示の初期化、表示データの取得及び出力を順に実行する。
発射制御信号出力処理(S346)において、遊技球の発射の禁止/許可の信号を出力するため、払出制御基板155との通信状態及び断線短絡電源異常に対応した発射の禁止/許可の設定、及び発射の禁止/許可データの取得を行った後、発射の禁止/許可の信号の出力を実行する。
試験信号出力処理(S348)において、試験装置に出力する信号を作成し、対応した出力ポートに出力する。
ソレノイド出力処理(S350)において、普通電役ソレノイド91及び大入賞口ソレノイド92の出力データを出力するために、普通電役ソレノイド91の出力データの取得、大入賞口ソレノイド92の出力データの取得及び出力データの出力を実行する。それぞれのソレノイドの作動フラグ及び作動タイマを取得し、取得したソレノイド作動フラグ及びソレノイド作動タイマに対応した出力データを取得する。つづいて、ソレノイド作動タイマを更新し、出力データをソレノイド出力ポートへ出力する。
演出制御コマンド送信処理(S352)において、サブ基板300へ送信するコマンドの送信要求の有無を検査し、送信要求があると判断した場合、要求するコマンドデータを取得し、使用したコマンドバッファを0でクリアし、取得したコマンドデータに対応したMODEデータの取得、MODEデータの出力、MODEデータの保持、取得したコマンドデータに対応したEVENTデータの取得、EVENTデータの出力を順に実行する。
外部情報出力処理(S354)において、外部端子に出力する信号を作成し、作成した信号を外部情報出力ポートに出力する。
上述したメイン基板200の動作過程において使用される乱数について、より詳細に説明する。メイン基板200において使用される乱数には、主に、普通図柄に係る乱数として、普通図柄当り乱数、及び普通図柄変動パターン乱数があり、特別図柄に係る乱数として、特別図柄当り乱数、特別図柄当りソフト乱数、特別図柄当り図柄乱数、変動パターン乱数がある。また、初期更新値型乱数である、普通図柄当り乱数、特別図柄当り図柄乱数、及び特別図柄当りソフト乱数の初期値を与えるための乱数として、普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数がある。
普通図柄当り乱数は、割込処理の初期値更新型乱数更新処理(S308)において更新され、メインRAM291の所定位置に格納される。普通図柄当り乱数は、割込処理の普通図柄作動ゲート監視処理(S320)において、遊技球が作動口30を通過したと判断されたとき、普通図柄変動の保留数が上限値である4未満である場合に、メインRAM291の所定位置から取得され、メインRAM291の別の領域に格納される。普通図柄乱数は、普通図柄変動開始監視処理(S324)において、普通図柄の変動を開始させると判断されたときに、当り判定及び停止図柄の決定のために使用される。
普通図柄変動パターン乱数は、例えば0〜232の値をとり、割込処理の各種乱数更新処理(S306)において更新され、メインRAM291の所定位置に格納される。普通図柄変動パターン乱数は、割込処理の普通図柄作動ゲート監視処理(S320)において、遊技球が作動口30を通過したと判断されたとき、普通図柄変動の保留数が上限値である4未満である場合に、メインRAM291の所定位置から取得され、メインRAM291の別の領域に格納される。普通図柄変動パターン乱数は、普通図柄変動開始監視処理(S324)において、普通図柄の変動を開始させると判断されたときに、普通図柄の変動パターンの決定のために使用される。
特別図柄当り乱数は、割込処理の始動口監視制御処理(S326)において、第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球数が4未満であるときに遊技球の入賞を確認した場合に、内蔵乱数と特別図柄当りソフト乱数の値を取得し、両者を加算することにより生成され、メインRAM291の所定位置に格納される。特別図柄当り乱数は、割込処理の特別図柄変動開始監視制御処理(S334)において、大当り判定及び小当り判定を実行するために使用される。
特別図柄当りソフト乱数は、割込処理の初期値更新型乱数更新処理(S308)において更新され、メインRAM291の所定位置に格納される。特別図柄当りソフト乱数は、始動口監視制御処理(S326)において、第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球数が4未満であるときに遊技球の入賞を確認した場合に、メインRAM291の所定位置から取得され、上述したように、特別図柄当り乱数を生成するために使用される。
特別図柄当り図柄乱数は、例えば0〜999の値をとり、割込処理の初期値更新型乱数更新処理(S308)において更新され、メインRAM291の所定位置に格納される。特別図柄当り図柄乱数は、始動口監視制御処理(S326)において、第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球数が4未満であるときに遊技球の入賞を確認した場合に、メインRAM291の所定位置から取得され、メインRAM291の別の領域に格納される。特別図柄当り図柄乱数は、割込処理の特別図柄変動開始監視制御処理(S334)において、当り判定が大当りであった場合に、大当り図柄を決定するために用いられる。
変動パターン乱数は、例えば0〜49999の値をとり、割込処理の各種乱数更新処理(S306)において更新され、メインRAM291の所定位置に格納される。変動パターン乱数は、始動口監視制御処理(S326)において、第1特別図柄又は第2特別図柄の作動保留球数が4未満であるときに遊技球の入賞を確認した場合に、メインRAM291の所定位置から取得され、メインRAM291の別の領域に格納される。変動パターン乱数は、割込処理の特別図柄制御処理(S328)において、特別図柄変動パターンを決定するために用いられる。
普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数は、それぞれ、普通図柄当り乱数、特別図柄当り図柄乱数、及び特別図柄当りソフト乱数と同じ範囲の値をとり、メイン処理(S120)の初期値乱数更新処理(S208)及び割込処理の初期値乱数更新処理(S310)において更新され、メインRAM291の所定位置に格納される。普通図柄当り初期値乱数、特別図柄当り図柄初期値乱数、及び特別図柄当りソフト初期値乱数は、初期値更新型乱数更新処理(S308)において、普通図柄当り乱数、特別図柄当り図柄乱数、及び特別図柄当りソフト乱数を更新するときに、それぞれの乱数の初期値として用いられる。
割込処理は、タイマ割込により一定時間ごとに実行されるので、割込処理に含まれる各種乱数更新処理(S306)及び初期値更新型乱数更新処理(S308)も、一定時間ごとに実行される。すなわち、普通図柄当り乱数、普通図柄変動パターン乱数、特別図柄当り乱数、特別図柄当りソフト乱数、特別図柄当り図柄乱数、変動パターン乱数は、一定時間ごとに更新される。これに対して、メイン処理(S120)は、割込処理が終了してから次のタイマ割込が発生するまでの間、すなわち、タイマにより計測される一定時間から割込処理に要した時間を減じた時間だけ繰り返される。割込処理に要する時間は、遊技状態などに応じて異なるので、メイン処理(S120)における初期値乱数更新処理(S208)は、各種乱数更新処理(S306)や初期値更新型乱数更新処理(S308)と異なり、一定時間ごとに実行されるわけではない。これにより、初期値更新型乱数更新処理(S308)において初期値を設定する際に取得される初期値乱数を毎回ランダムにすることができる。
図30は、ぱちんこ遊技機におけるサブ基板300の制御開始処理を示すフローチャートである。サブ基板300の制御を開始すると、サブCPU310はスタックポインタを設定し(S500)、各種の初期設定が完了するまですべての割込を禁止し(S502)、サブCPU310のレジスタ設定やポート初期化といったハードウェアに関する初期設定を実行する(S504)。サブROM312から制御プログラムを読み出してサブRAM311に配置するとともに、制御プログラムにおける各種の変数のうち、初期値のある変数については初期値を設定し、初期値のない変数についてはゼロクリアのデータを設定することにより、サブRAM311を初期化する(S506)。なお、サブ基板300における割込処理は、最優先で実行される割込処理として、電源立ち上げ時の処理と、ウォッチドッグ機能が有効な場合における各種異常発生時のリセット処理とがある。次に実行優先度の高い優先レベル7の割込処理として、メイン基板200から受信するコマンド処理があり、その次に優先度の高い優先レベル3の割込処理として、ウォッチドッグタイマによるCPU暴走検知時のリセット処理がある。次に優先される優先レベル2の割込処理として、表示CPU320との間で送受信されるコマンドに係る処理があり、最も優先度の低い優先レベル1の割込処理として、リアルタイムクロックとの通信処理やランプ、ソレノイド、モータ等の各種デバイス制御処理等がある。以上の各種処理に関する割込が仮に同時に発生した場合には、割込の種類ごとにあらかじめ設定された優先度の高いものから優先して実行される。なお、本図に示す処理は、最優先レベルの割込である電源立ち上げ時の処理および各種異常発生時のリセット処理と、優先レベル3の割込であるCPU暴走検知時のリセット処理とを含む。
メイン基板200から受信するコマンド以外の割込(優先レベル7)を禁止し(S510)、あらかじめ記憶された全機種用のすべてのエラー情報から当該機種で使用する各種エラー情報を設定する(S512)。装飾ランプ111などのすべてのランプを消灯し(S514)、ウォッチドッグタイマの動作を開始し(S516)、メイン処理を実行する(S518)。通常はS518のメイン処理から本フローへ戻ることはないが、戻ったときはスリープ(小消費電力モード)へ移行する(S520)。
図31は、図30におけるS518のメイン処理を詳細に示すフローチャートである。図17のS506においてサブRAM311に配置された制御プログラムが正確に配置されているかを本図のメイン処理内でチェックするためにそのチェックを開始する先頭アドレスを取得し(S530)、以降の処理においてすべての割込を許可し(S532)、モータやソレノイド等のデバイスの初期化動作を実行する(S534)。
ウォッチドッグタイマを使用する設定であればウォッチドッグタイマをクリアし(S536)、装飾図柄の外れの組合せがランダムの組合せになるように装飾図柄のカウンタを更新し(S540)、サブCPU310の入力ポートを監視する(S542)。なお、S540はカウンタを用いて装飾図柄の外れ図柄を決定する方式における処理であるため、外れ図柄となる全ての図柄組合せを組み込んだ抽選シートを用いて装飾図柄の外れ図柄を決定する方式の場合にはS540の処理は実行しない。その抽選シートを用いて装飾図柄の外れ図柄を決定する処理は、S552で後述する通りメイン基板200から特別図柄の停止図柄を示すコマンドを受信したときに実行する。エラー状態を監視して各種エラーを検知したときはそのエラーを報知し(S544)、演出ボタン109の入力状態に応じた処理を実行し(S546)、予告抽選を実行する(S548)。なお、S548における予告抽選は、特に図柄変動開始直後に出現させる予告演出のコマンドをできる限り早期に演出表示制御装置313へ送信するため、抽選処理を1回のループで処理するのではなく複数回のループに分け、図柄変動開始直後に出現させる予告演出を先のループで抽選する。リアルタイムクロック、ランプ、モータ、ソレノイド等のデバイスに対する動作要求があればその動作を実行し(S550)、コマンドバッファに保存されたコマンドを解析し(S552)、コマンド解析直後の場合はS536の処理へ戻り(S554のY)、コマンド解析直後でないときは(S554のN)、空き時間で行えばよい低優先度の処理として抽選用ソフト乱数を更新し(S556)、S536の処理に戻る。なお、S552において、解析するコマンドが特別図柄の変動パターンを示す場合は装飾図柄の変動演出パターンをこのS552の処理にて決定し、解析するコマンドが特別図柄の停止図柄を示す場合は抽選シートを用いて装飾図柄の外れ図柄を決定する方式であれば装飾図柄の停止図柄をこのS552の処理にて決定する。
図32は、メイン基板200からコマンドを受信した場合の割込処理を示すフローチャートである。メイン基板200から受信するメインコマンドは、リセット割込やエラー割込に次いで優先度の高い優先レベル7の割込命令である。メイン基板200から受信したデータを入力ポートへ読みに行き、2回連続で同じデータが読み込まれたときにそのデータを新たなコマンドとして確定し(S600のY)、その確定したコマンドが第1コマンド(MODEデータ)であれば(S602のY)、その第1コマンドを一時記憶領域に保存する(S604)。ハード乱数を後続の処理のために取得し(S606)、元のルーチンに戻る。このようにメイン基板200からメインコマンドの割込があるたびにハード乱数を取得しておくことにより、乱数の取得タイミングに周期性を生じさせず、値のランダム性を高める。S600において読み込まれたデータが2回連続で一致しなければ(最高5回まで読み込み可能)、S602をスキップして元のルーチンに戻る(S600のN)。
S602において、確定したコマンドが第1コマンドではなく第2コマンドの場合は(S602のN)、第1コマンドがすでに適切に受信済みであることが確認できれば(S608のY)、コマンドバッファ(コマンドデータ用のリングバッファ)における読み取り位置であるコマンドライトポインタを取得し(S610)、第1コマンドと第2コマンドとをコマンドバッファに保存する(S612)。コマンドバッファに保存されたコマンドデータは、図18のS552において解析される。コマンドライトポインタを更新し(S614)、一時記憶領域に保存させていた第1コマンドをクリアして(S616)、元のルーチンに戻る。S608において第1コマンドが受信済みでないときはS610以降をスキップして(S608のN)、元のルーチンに戻る。
図33は、演出表示制御のためのタイマ割込が発生した場合の割込処理を示すフローチャートである。このタイマ割込は、サブCPU310から表示CPU320へ演出表示に関するコマンドを送信するための優先レベル2の割込であり、500μs周期で発生する。この割込では、バッファをチェックし(S620)、バッファに送信用のコマンドデータがあれば(S622のY)、そのコマンドデータを読み込み(S624)、表示CPU320へ送信する(S626)。なお、表示CPU320へのコマンドデータの送信は、表示CPU320側で正常受信された旨を示すコマンドをサブCPU310が表示CPU320から受信するまで所定時間間隔で最大3回まで送信を試みる。送信後、バッファの読み出しアドレスの設定を更新し(S628)、元のルーチンに戻る。バッファに送信用のデータがなければ(S622のN)、S624以降をスキップして元のルーチンに戻る。
図34は、サブCPU310が表示CPU320からコマンドを受信した場合の割込処理を示すフローチャートである。この割込もまた優先レベル2の割込である。サブCPU310が表示CPU320から受信するコマンドは、主にサブCPU310から表示CPU320へ送信したコマンドが正常受信された旨を示すコマンドである。表示CPU320からコマンドを受信した場合、受信したコマンドデータを読み出し(S630)、コマンドを解析し(S632)、コマンドバッファに保存して(S634)、元のルーチンに戻る。
図35は、各種デバイス制御のためのタイマ割込が発生した場合の割込処理を示すフローチャートである。このタイマ割込は、装飾ランプ111などのランプ制御、可動役物66を駆動するソレノイドやモータの制御、各種タイマの管理制御のための割込であり、1ms周期で発生する。優先度が最も低い優先レベル1の割込であるため、優先レベル2以上の割込を許可し(S640)、演出ボタン109からの入力を示す信号、エラー検知を示す信号、電断を示す信号、モータやソレノイド等の制御対象デバイスへの駆動信号等を入出力するポートの入出力を処理する(S642)。このとき、電断を示す信号が入力された場合は直ちにバックアップ処理へ移行する。モータやソレノイド等のデバイスの制御パターンに基づくカウント処理やS642でポートにデータを書き込むためのバッファのオンオフ制御など、デバイス制御に係るデータを更新し(S644)、演出のタイミングを計るためのタイマを更新し(S646)、演出ボタン109の入力有効時間を管理するためのタイマを更新し(S648)、装飾ランプ111の点灯切換制御や表示CPU320の暴走監視制御等のためのタスク制御用カウンタを更新して16ms周期を作成する(S650)。
なお、装飾ランプ111の点灯切換制御の最小単位は16msである。画像表示制御の1フレームが16msまたは32msであり、その整数倍を装飾ランプ111の点灯切換制御の最小単位としておくことで、ランプ制御と画像表示制御を同期させやすくできる。また、例えば30秒間のエラー報知といった、比較的長時間の期間をカウントする場合に、仮に1割込(1ms)周期のカウントを用いてしまうとカウント値が必要以上に長くなってしまうが、16ms周期のカウント値とすることによってカウント値を短くすることもできる。
タスク制御には処理0〜15までの16種類のタスクがあり、そのうち1つのタスクが装飾ランプ111の点灯切換制御であり、2つのタスクが表示CPU320の暴走監視制御である。装飾ランプ111の点灯切換制御は、タスク制御用カウンタのカウント値に応じて16割込に1回実行することで16ms周期での切換を実現する。表示CPU320の暴走監視制御は、例えば処理0と処理8に割り当て、タスク制御用カウンタのカウント値が0と8のとき、すなわち8割込に1回、表示CPU320からのトグル信号を監視(S652)することで、8ms周期での監視を実現する。
なお、表示CPU320からは1フレームごとにオンオフ反転するトグル信号が出力されており、このトグル信号が1600ms連続して同じ値のまま変化しない場合に表示CPU320が暴走していると判断し、サブCPU310から表示CPU320へリセット信号を送信し、リセット信号を受信した表示CPU320はリセットを実行する。表示CPU320からは1フレーム(16msまたは32ms)周期でトグル信号を受信するため、その周期より短い8ms周期で監視する。最後に、上述のような例えば30秒間のエラー報知といった比較的長時間のエラー報知期間を管理するタイマを減算し(S654)、そのタイムアウト時にエラー報知が終了する。
図36は、特別図柄変動表示の過程を示すフローチャートである。第2当否抽選値の保留がなされている場合(S700のY)、第2当否判定手段222が第2当否抽選値を読み出して第2特別図柄52の当否を判定し(S702)、第2当否判定手段222が第2特別図柄52の停止図柄を決定し(S704)、第2変動パターン決定手段232が第2特別図柄52の変動パターンを決定し(S706)、決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板300へ送信して第2特別図柄52の図柄変動を開始する(S716)。
第2当否抽選値の保留がなされていない場合であって(S700のN)、第1当否抽選値の保留がなされている場合(S708のY)、第1当否判定手段221が第1当否抽選値を読み出してあらためて第1特別図柄51の当否を判定し(S710)、第1当否判定手段221が第1特別図柄51の停止図柄を決定し(S712)、第1変動パターン決定手段231が第1特別図柄51の変動パターンを決定し(S714)、決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板300へ送信して第1特別図柄51の図柄変動を開始する(S716)。第1当否抽選値の保留がなされていない場合はS710からS722までの処理をスキップする(S708のN)。
特別図柄の図柄変動表示を処理し(S718)、所定の変動時間が経過して図柄表示の停止タイミングに達するまでS718を繰り返し(S720のN)、所定の変動時間が経過して図柄表示の停止タイミングに達したときは(S720のY)、変動停止コマンドをサブ基板300へ送信して表示中の図柄変動をあらかじめ決定された停止図柄にて停止し(S722)、特別図柄の変動表示を終了する。
図37は、装飾図柄変動表示の過程を示すフローチャートである。サブ基板300の演出決定手段303がメイン基板200から変動開始および演出表示内容を示すコマンドを受信し(S750)、受信した特別図柄の停止図柄、変動パターン、当否判定結果に応じて装飾図柄の停止態様を決定し(S752)、変動パターンに対応する変動演出パターンを決定する(S754)。ここで、事前判定により前兆設定がオンになっている場合(S756のY)、すでに決定されている変動演出パターンが、予告演出との重畳表示を回避すべき特定の演出内容が含まれたパターンでない場合であって(S758のN)、前兆設定がオンされた契機である図柄変動でなければ(S760のN)、所定の予告演出を表示すべき設定を実行し(S764)、前兆設定がオンされた契機である図柄変動である場合は(S760のY)、前兆設定をオフする(S762)。前兆設定がオンでない場合や(S756のN)、変動演出パターンに特定の演出内容が含まれる場合は(S758のY)、S760からS764の処理をスキップする。
その後、装飾図柄の変動演出表示を開始し(S766)、装飾図柄の変動演出表示処理と(S768)、予告演出の表示処理を実行し(S770)、メイン基板200から変動停止コマンドを受信するまでS768とS770を繰り返し(S772のN)、変動停止コマンドを受信したときに(S772のY)、S752で決定された停止態様にて装飾図柄を停止表示させることで図柄変動表示を停止し(S774)、装飾図柄の変動演出を終了する(S776)。本実施例では、同調演出期間中でなく、もしくは同調演出期間中でも遊技状態が優先モードであれば、装飾図柄の変動演出を演出表示装置60のメイン表示領域570に表示させる。その一方、同調演出期間中であり、かつ、遊技状態が優先モードでなければ、装飾図柄の変動演出を第2画面562Rに縮小表示させる。
図38は、特別遊技の過程を示すフローチャートである。まず、演出表示制御手段305が特別遊技の演出処理を開始し(S800)、開閉制御手段275が大入賞口20を開放する(S802)。本実施例では、特別遊技の演出は、同調演出期間か否かに関わらず、演出表示装置60のメイン表示領域570に表示する。所定の開放時間が経過せず(S804のN)、大入賞口20への入球数も9球以上に達していなければS804に戻り(S806のN)、所定の開放時間が経過したか(S804のY)、開放時間が経過していないものの(S804のN)、大入賞口20への入球数が9球以上に達した場合(S806のY)、開閉制御手段275が大入賞口20を閉鎖させる(S810)。
単位遊技が最終ラウンドに達していなければ(S810のN)、ラウンド数に1を加算してS802に戻り(S812)、単位遊技が最終ラウンドに達していた場合は(S810のY)、演出表示制御手段305は特別遊技の演出処理を終了させ(S814)、特別遊技制御手段260は特別遊技を終了させ(S816)、特定遊技、すなわち確変、時短、入球容易状態の実行を開始する(S818)。
図39は、小当り遊技の過程を示すフローチャートである。まず、大入賞口20を開放させ(S820)、所定の開放時間を経過するまで開放を継続させ(S822のN)、開放時間を経過した場合(S822のY)、大入賞口20を閉鎖し(S824)、設定回数分の開閉が終了していなければ(S826のN)、開閉回数に1を加算してS820に戻り(S828)、設定回数分の開閉が終了していれば(S826のY)、小当り遊技を終了する。
図40は、時計同調演出処理を詳細に示すフローチャートである。本図のフローは、通常遊技、特別遊技、小当り遊技のいずれの期間においても繰り返し実行される。時計同調演出を未開始の状態で(S1000のN)、同調演出期間の開始時刻になったことを検出すると(S1002のY)、計時手段307は、同調演出期間開始からの経過時間の計測を開始する(S1004)。そのときに遊技状態が優先モードでなく(S1006のN)、遊技者識別情報が本遊技機へ入力済であり、すなわち遊技者の遊技レベルを識別済であれば(S1008のY)、演出決定手段303は、時計同調演出における主人公キャラクタのHPを調整する(S1010)。遊技者識別情報が本遊技機へ未入力であれば(S1008のN)、S1010をスキップする。演出表示制御手段305は、演出表示装置60のメイン表示領域570において、時計同調演出に対応付けられた画像や映像の表示を開始させ(S1012)、それまでメイン表示領域570に表示させた図柄変動演出を変動表示領域580に縮小表示させる(S1014)。そして同調演出表示処理を実行する(S1016)。
演出決定手段303が、時計同調演出の終了条件が満たされたことを検出すると(S1018のY)、演出表示制御手段305は、時計同調演出の表示を終了する(S1020)。そして、それまで変動表示領域580に縮小表示させた図柄変動演出をメイン表示領域570に表示させるよう切り替える(S1022)。時計同調演出の終了条件が満たされるのは、(1)同調演出期間中に大当りが発生したこと、(2)同調演出期間が終了したこと、すなわち同調演出期間の開始から10分が経過したこと、(3)主人公キャラクタのHPが0になり、かつ、遊技者が時計同調演出の終了を選択入力したこと、の少なくとも1つが充足された場合である。大当りが発生した場合は、S1020の後、図38の特別遊技へ移行する。終了条件が満たされていなければ(S1018のN)、S1020とS1022をスキップする。時計同調演出を未開始の状態で、同調演出期間の開始時刻に至ってなければ(S1002のN)、S1004〜S1022をスキップする。
同調演出期間において遊技状態が優先モードであれば(S1006のY)、演出表示制御手段305は、演出表示装置60のサブ表示領域590に、時計同調演出の実行期間であることを示す情報を表示させる(S1026)。同調演出期間が終了すると(S1028のY)、サブ表示領域590にそれまで表示させた時計同調演出に関する情報を消去し、本図のフローを抜ける(S1030)。同調演出期間終了前に(S1028のN)、遊技状態が優先モードから抜けた場合(S1032のN)、S1008へ進む。すなわち、時計同調演出を通常態様で表示させるよう切り替える。遊技状態が優先モードのままであれば(S1032のY)、本図のフローを抜ける。
既に時計同調演出を開始済で(S1000のY)、時計同調演出をメイン表示領域570に表示中であれば(S1024のY)、S1016の同調演出表示処理へ進む。その一方、時計同調演出をサブ表示領域590に表示中であれば(S1024のN)、S1026へ進む。
図41は、図40のS1016の同調演出表示処理の詳細を示すフローチャートである。同調演出期間の開始から所定時間の経過を検出すると(S1040のY)、所定の時刻になったことを契機とする時間依存特殊演出の表示処理を実行する(S1042)。所定時間を経過していなければ(S1040のN)、S1042をスキップする。当否判定結果が大当りとなったことを契機とする大当り変動の開始を検出すると(S1044のY)、大当りの発生を契機とする信頼度依存特殊演出の表示処理を実行する(S1046)。大当り変動の開始を未検出であれば(S1044のN)、S1046をスキップする。なお本図には不図示だが、当否判定結果が外れであっても、大当りの信頼度が相対的に高い変動パターンによる図柄変動の開始を検出した場合に、信頼度依存特殊演出の表示処理を所定確率にて実行してもよい。この場合、大当りは発生しないため、特殊演出のシナリオとして大当りを示すシナリオ(例えば10階に到達するシナリオ等)は選択しない。また、図柄変動の終期に特殊演出の終期を整合させるための調整処理をスキップしてもよい。また、特殊演出の終了より先に図柄変動が終了しても大当り報知役物564は作動させない。
図42は、図41のS1042の時間依存特殊演出表示処理の詳細を示すフローチャートである。演出決定手段303は、特殊演出の最終結果を抽選し(S1060)、最終結果が示す目標階と現在階との差分に対応付けられた複数のシナリオの中から、今回の特殊演出で用いる1つのシナリオを抽選により決定する(S1062)。続いて、シナリオ内の予告の詳細を決定するとともに予告間尺を抽選により決定する(S1064)。演出表示制御手段305は、演出決定手段303による決定内容に対応する特殊演出の画像や映像の表示を開始する(S1066)。演出決定手段303は、時間依存特殊演出の表示中に、大当り変動の開始を検出すると(S1068のY)、表示中の特殊演出のシナリオを参照し、現時点における当該シナリオの未実行部分、すなわちシナリオの残りの中に中断可能ポイントがあるか否かを判定する。
中断可能ポイントがあれば(S1070のY)、演出決定手段303は特殊演出の中断を決定し、演出表示制御手段305は中断可能ポイント(シナリオ内の特定の予告終了時)に特殊演出の表示を中止する(S1072)。以降、中断ポイント前までの予告で到達した階を現在階として、図41のS1046の信頼度依存特殊演出の表示処理を実行する。中断可能ポイントがなく(S1070のN)、大当り変動の停止前に特殊演出が終了した場合(S1074のN)、本図のフローを終了し、以降、時間依存特殊演出の最終予告で到達した階を現在階として、図41のS1046の信頼度依存特殊演出の表示処理を実行する。中断可能ポイントがなく(S1070のN)、特殊演出の終了前に大当り変動が停止する場合(S1074のY)、演出制御手段304は、大当り変動の停止タイミングに応じたタイミングで、大当りを報知する態様にて大当り報知役物564を動作させる(S1076)。そして、大当り変動の停止に同期して大当り演出を開始する(S1078)。時間依存特殊演出の表示中に、大当り変動の開始を未検出であれば(S1068のN)、S1070以降をスキップし、本図のフローを抜ける。
図43は、図41のS1046の信頼度依存特殊演出表示処理の詳細を示すフローチャートである。演出決定手段303は、現在から大当り変動停止までの残期間に収まる特殊演出のシナリオを選択するよう試行する。このシナリオ選択の処理は、大当りを示す最終結果(例えば10階到達、中ボスバトル勝利、特殊イベント発生等)の選択と、その最終結果への差分に基づくシナリオ選択、予告詳細の抽選、予告間尺の抽選を含む。そして、これらの抽選結果に基づくシナリオ全体の実行時間が上記残期間に収まるか否かを判定し、収まらない場合、シナリオ選択を再実行する。
上記残期間に収まるシナリオを選択した場合(S1080のY)、演出決定手段303は、特殊演出の終期が大当り変動の終期に同期するよう、特殊演出の開始タイミングを調整する(S1082)。例えば、大当り変動の終了タイミングから特殊演出の実行時間分戻した時間位置を特殊演出の開始タイミングとして決定する。演出表示制御手段305は、演出決定手段303が決定したタイミングで特殊演出の表示を開始する(S1084)。特殊演出の終了タイミングに至らなければ(S1086のN)、S1084へ戻り、特殊演出の終了タイミングに至ると(S1086のY)、演出表示制御手段305は、特殊演出の表示を終了し、大当り演出の表示を開始する(S1088)。
上記残期間に収まるシナリオを選択しなかった場合、例えば、上記残期間に収まるシナリオが存在せず、上記残期間に収まらない演出期間のシナリオを選択した場合(S1080のN)、演出表示制御手段305は、演出決定手段303が選択したシナリオに基づく特殊演出の表示を開始する(S1090)。大当り変動の停止タイミングに至らなければ(S1092のN)、S1090に戻り、大当り変動の停止タイミングに至ると(S1092のY)、演出制御手段304は、大当りを報知する態様にて大当り報知役物564を動作させる(S1094)。そして大当り変動の停止に同期して大当り演出を開始する(S1088)。
上記のフローチャートには不図示だが、ぱちんこ遊技機100は、遊技者識別情報が本遊技機へ入力済であれば、同調演出期間外の所定タイミングにおいて、図柄変動とは独立して実行されるミニゲームであり、携帯連携システムの利用者への特典演出(例えば遊技ポイント獲得用の特別な演出)を演出表示装置60に表示させる。遊技者識別情報が本遊技機へ未入力であれば、上記特典演出の表示を抑制する。
(第2実施例)
第2実施例でも第1実施例と同様に、時計同調演出の開始タイミングにおける遊技状態が既に、時計同調演出においてミッション達成の特典となる有利な状態に対応するものである場合、演出決定手段303は、時計同調演出とは異なる内容の演出であり、それまでの遊技状態に応じた所定の演出を演出表示装置60のメイン表示領域570に表示させる。ただし第2実施例では、時計同調演出に関連する演出として予め定められた特殊演出を演出表示装置60のサブ表示領域590に表示させる。第2実施例では、同調演出期間における遊技状態が優先モードである場合に、通常の時計同調演出の内容とは異なるが、外観上、時計同調演出に関連する内容を示すオリジナルミッション(以下「特殊ミッション演出」とも呼ぶ。)を上記特殊演出として表示させる。
時計同調演出の開始タイミングで既に、ミッション達成の特典となる有利な状態に対応する遊技状態であれば、遊技者の関心は、時計同調演出の内容より、現在の有利な状態で出玉を増加させること、例えば新たな大当りを獲得することに向くと考えられる。第2実施例の構成によると、所定時刻になった場合には原則として時計同調演出を表示させることで、複数の遊技機・遊技者間における一体感を醸成できる。また、本来は時計同調演出の実行期間であっても、現在の有利な状態に応じた演出を時計同調演出より優先的に表示させることで、遊技者にとって現在の優先順位が高い演出を主の演出として遊技者へ提示できる。さらに、時計同調演出に関連する特殊ミッション演出をサブ表示領域590に表示させることで、遊技者に時計同調演出の実施期間であることを認知させ、通常の時計同調演出が提供されている他の遊技者との一体感を醸成させやすくなる。さらにまた、特殊ミッション演出に対して、時計同調演出の開始タイミングにおいて既に有利な状態へ移行済であるからこそ表示される演出という付加価値、言い換えればプレミア演出としての価値を与え、遊技の興趣を向上できる。
以下、第1実施例と異なる構成を主に説明する。
図44は同調演出期間の演出例を示す。本図は、図14に対応する図であり、同調演出期間における遊技状態が優先モード、具体的には入球容易状態である場合の演出表示態様を示している。第2実施例の演出決定手段303は、同調演出期間における遊技状態が優先モードの場合、メイン表示領域570に優先モードの演出を表示させ、サブ表示領域590に特殊ミッション演出を表示させる決定をする。演出表示制御手段305は、同調演出期間中で、かつ遊技状態が優先モードの間、特殊ミッション演出に予め対応付けられた画像や映像をサブ表示領域590に表示させる。同調演出期間中に優先モードが終了すれば、第1実施例と同様に、特殊ミッション演出の表示を終了し、同調演出期間の残り時間において時計同調演出を通常の態様で表示させる。
特殊ミッション演出の画像や映像は、時計同調演出(例えば時計同調演出においてミッション達成に近づくことを示唆する特殊演出)の内容と外観上、関連を有するよう定められる。例えば、主人公キャラクタや敵キャラクタ、背景、モチーフ、テーマのうち少なくとも1つが時計同調演出と共通する画像であってもよい。例えば、時計同調演出と共通の主人公キャラクタが、時計同調演出にも登場する敵キャラクタを倒すことをミッションとして表示してもよい。
演出決定手段303は、予め用意された特殊ミッション演出の複数の画像の中から、メイン表示領域570に表示中の演出内容(例えば装飾図柄61の変動結果)に対応する画像を表示対象として選択する。すなわち、特殊ミッション演出の内容として、メイン表示領域570の演出結果と連動した内容を選択し、または、図柄変動中(大当り変動中)の大当り先告知用予告としての内容を選択する。第2実施例では、主人公キャラクタが敵キャラクタに対して与えたダメージ量を、当否判定結果、図柄判定結果に応じて抽選により決定する。演出表示制御手段305は、メイン表示領域570に表示する装飾図柄61の変動について、その変動パターンを参照し、変動停止前に先告知としてダメージ量を表示させてもよく、変動停止と同期・連動したタイミングでダメージ量を表示させてもよい。
図45は、特殊ミッション演出における予告内容を抽選する際に参照するテーブルの一例として、ダメージ量抽選テーブルを模式的に示す。演出決定手段303は、メイン基板200から通知された当否判定結果および図柄判定結果にしたがって、16R大当りか、他の大当りか、外れかを識別する。そして、それらの当否結果に対応付けられた選択確率にしたがって、予告内容としてのダメージ量を決定する。実際には、ダメージ量抽選テーブルには、各当否結果毎の選択確率に応じた抽選値範囲が設定されてよく、演出決定手段303は、所定の抽選手段からダメージ量抽選値を取得し、取得した抽選値が対応付けられたダメージ量を選択してもよい。
第2実施例の構成によると、メイン表示領域570とサブ表示領域590のそれぞれにおいて異なる内容の演出を同時進行させつつ、それぞれの演出内容に関連性を持たせているため、遊技者はどちらの演出を見ても当否結果を認識できる。例えば、ダメージ量を大当り先予告として表示する場合に、逆順目のダメージ量が図柄変動停止前に表示されると、当該図柄変動において大当りが発生すること、典型的には優先モードにおいて連チャンが発生することに対する遊技者の期待が高まる。遊技者は自身の嗜好にあった好みの演出を中心に楽しむことができ、演出をザッピングするような楽しみ方を遊技者へ提供できる。
第2実施例の変形例として、原則は優先モードの演出をメイン表示領域570に表示させ、特殊ミッション演出をサブ表示領域590に表示させるが、特殊ミッション演出における予告内容等、演出内容に応じてこの表示構成を逆転させてもよい。例えば、演出決定手段303が特殊ミッション演出の予告として「激アツ」以上の信頼度を示すダメージ量を選択した場合、特殊ミッション演出をメイン表示領域570に表示させ、装飾図柄61の変動をサブ表示領域590や図14の変動表示領域580に表示させてもよい。演出表示領域の切替により、遊技者の大当りへの期待感を一層高めることができる。
また、遊技者は、十字キー110や演出ボタン109を操作して、特殊ミッション演出の表示領域を選択してもよく、遊技者の入力内容に応じて、演出決定手段303は、特殊ミッション演出をメイン表示領域570に表示させることを決定してもよい。この場合、演出表示制御手段305は、遊技者の選択に応じて、特殊ミッション演出をメイン表示領域570に表示させ、装飾図柄61の変動をサブ表示領域590や図14の変動表示領域580に表示させてもよい。これにより、遊技者の嗜好に即した態様で演出を提供できる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例を挙げる。
上記の実施例においては、第1の抽選および第2の抽選の双方の当否判定結果を事前判定結果としてメイン基板200からサブ基板300へ送信する例を説明した。変形例としては、第1の抽選または第2の抽選のいずれかの当否判定結果のみを事前判定結果としてメイン基板200からサブ基板300へ送信する構成としてもよい。
本明細書または特許請求の範囲において、「入球」「入賞」「落入」は相互に同義としてもよい。また、各入賞口や各入球口は、遊技球が通過するタイプの「通過口」(「ゲート」や「スルーチャッカー」等とも呼ぶ)で構成される場合があってもよく、「入球」「入賞」「落入」と「通過」もまた相互に同義としてもよい。
本明細書または特許請求の範囲にいう「乱数」は、乱数生成回路で生成する物理乱数や数学的な意味での真正乱数でなくてもよく、16ビットカウンタを利用したハードウエア乱数や乱数生成アルゴリズムを利用したソフトウエア乱数などの疑似乱数でもよい。またはハードウェア乱数とソフトウェア乱数の組合せ、例えばカウンタが1周するたびに初期値を変更するプラス乱数方式でもよい。
本明細書または特許請求の範囲において「テーブル」や「選択基準」というときは、厳密に抽選値などの第1のパラメータと、選択肢を示す値などの第2のパラメータとの対応関係をテーブル構造で定めたデータを指すだけでなく、そのような対応関係として第1のパラメータから第2のパラメータを導出するプログラム構造で実現する場合も広く含むものとする。それらを含めて実質的に「テーブル」と同義の概念として適宜「選択基準」と称する。また、テーブル構造を用いる場合、実質的に1種類となる選択基準を構造的に細分化された複数のテーブルの組合せで構成してもよいが、「複数種の選択基準」というときはその細分化されたテーブルの数ではなくテーブルの実質的な種類の数を示す。
演出表示装置は、高精細なドットマトリクス型表示装置である液晶ディスプレイで構成されるが、その表示領域の横幅は遊技領域の横幅の半分程度であってもよいし、半分を超える大型サイズであってもよい。大型サイズの場合、演出表示装置の右側の遊技球通路は遊技球1個が通過できる程度の通路幅にて形成され、遊技者はいわゆる「右打ち」として最大強度で打ち出せばほぼ確実に右側通路へ遊技球を通過させることができ、いわゆる「左打ち」との打ち分けができる。
演出表示装置は、液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイなどの表示装置で構成されてもよいし、ドラム回転式などの機械的表示手段やLEDマトリクス式などの表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、遊技盤上の7セグメントLEDにて目立たない大きさで表示させる。ただし、特別図柄自体に演出的な役割をもたせることで装飾図柄を用いずに表現する手法を採用する場合には、特別図柄を7セグメントLEDではなく液晶ディスプレイに表示させる構成としてもよい。