以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1を用いて本実施形態に係る端末を含む情報配信システムを説明する。図1に示されるように、情報配信システムは、無線基地局であるeNodeB1(eNodeB1A、eNodeB1B)と携帯電話等の移動通信端末である端末2(端末2A、端末2B、端末2C、端末2D、端末2E)とを含む。本発明では、配信情報の発信源を無線基地局とする。
ここで、配信情報は、例えば、災害に関する情報を含む情報であり、音声データである。本実施形態では、災害に関する情報として地震に関する情報(震度を示す情報)を含むものとする。配信情報には、地震を識別する情報(災害を識別する情報)である地震ID(識別情報)、震度を示す震度情報と、eNodeB1の位置を示す情報(例えば、eNodeB1の緯度経度情報)である配信位置情報と、eNodeB1が配信する範囲を示すエリアの識別情報であるエリア情報と、とが含まれる。配信情報は、同一地震においてエリア毎に生成される。この場合、上記それぞれの配信情報に含まれる地震IDが同一となるように生成される。すなわち、地震IDは、配信情報の集合を識別する情報となる。
eNodeB1は、移動体通信網において無線基地局の機能を備える機能要素である。eNodeB1は、一以上のCPUを含む一以上の物理的な筐体(サーバ機器等)によって構成される。図示しないMMEからeNodeB1へ配信情報が送信されると、eNodeB1は、配信情報を受信する。eNodeB1は、配信情報を受信すると、eNodeB1が配信可能な範囲である配信範囲(eNodeB1が発信する移動体通信の電波が届く範囲)に移動体通信により、当該範囲へ当該配信情報を電波によりブロードキャスト送信する。これにより、上記範囲に位置する端末2は、配信情報を受信することができる。
端末2は、eNodeB1から配信情報を受信し、当該配信情報に含まれる震度情報に基づいて自端末で鳴動する。そして、端末2は、受信した配信情報を周囲の他の端末2へ音波により直接転送する。音波による送信は、従来技術を用いて実現できる。なお、端末2は、音波で音声データを転送する際、相手の端末2を特定する必要はなく、音波が届けばよい。音波による送信では、送信元の端末2から数十mの距離までの範囲に位置する他の端末2へ音声データである配信情報を送信することができる。
例えば、端末2AがeNodeB1Aから配信情報(地震IDが「A」、エリアが「X」、震度情報が「6弱」)を受信すると、端末2Aは、当該配信情報を周辺に転送する。端末2Aの周辺に位置している端末2Bは、端末2Aから転送された配信情報を直接受信する。端末2Bは、eNodeB1の配信範囲(エリアX)に位置しているが、電波の届きにくい範囲(圏外エリア)に位置しているものとする。圏外エリアの例としては、複数のeNodeB1の間に位置する場所であり、且ついずれのeNodeB1の圏内に位置しない場所や、eNodeB1の配信範囲内であるが、トンネルや地下等電波が届きにくい場所が該当する。この場合、端末2Bは、圏外エリアに位置しているため、eNodeB1から配信情報を受信できないが、端末2Aから配信情報を受信することにより、配信情報に基づき自端末で鳴動処理をすることができる。このように、eNodeB1から受信できない配信情報を他の端末2から受信することができるので、圏外エリアに位置する端末2であっても、eNodeB1から送信された配信情報を出力することができる。よって、圏外エリアに位置する端末2のユーザに適切な避難行動を促すことができる。
また、他の端末2によって転送された配信情報を受信した端末2は、周囲の端末2へ当該配信情報を転送する。例えば、eNodeB1Bが、当該eNodeB1Bの配信範囲(エリアY)に配信情報(地震IDが「A」、エリアが「Y」、震度情報が「5強」)をブロードキャストで送信すると、当該エリアYの範囲内に位置する端末2Eが当該配信情報を受信する。そして、端末2Eが当該配信情報を、当該端末2E周辺に位置する端末2へ転送する。端末2E周辺に位置する端末2Dが、当該配信情報を受信し、さらに当該配信情報を周囲に転送する。このように、端末2Dから端末2C、端末2Bへと配信情報が転送される。従って、エリアXのエリアに位置する端末2Bでも、eNodeB1BによってエリアYに送信された配信情報が転々と転送された後に端末2Bへ転送される。なお、配信範囲であるエリアX及びエリアYは、セクタ領域(なお、セクタ領域を複数含めたセル領域でもよい)である。このように、端末間で配信情報を転送するため、端末2が位置しているエリアに隣接するエリアに配信された配信情報を受信することがある。上述の例の場合、仮に無条件で受信した配信情報に基づいて出力をしてしまうと、端末2Bは、端末2BのユーザへエリアXの震度情報に基づく通知をした後に、端末2BのユーザへエリアYの震度情報に基づく通知をすることになる。よって、同一の地震に基づいた、異なる複数の情報を出力してしまうことになり、誤報に繋がる情報を出力してしまう可能性がある。そこで、端末2は、誤報に繋がる情報か否かを判断した上で、受信した配信情報の出力処理(鳴動処理、転送処理)をする。
続いて、図2に示されるブロック図を用いて、端末2の各機能要素について説明する。端末2は、受信部21(受信手段)、記憶部22(記憶手段)、出力制御部23(出力制御手段)、位置取得部24(位置取得手段)、鳴動部25(出力手段)、及び転送部26(出力手段)を有する。
また、図3は、端末2のハードウェア構成を示すブロック図である。端末2は、図3に示されるように、一以上のCPU101と、主記憶装置であるRAM102及びROM103と、入力装置104と、出力装置105と、無線通信を行うための無線通信モジュール106と、音波により音声データの送受信をする音波通信モジュール107と、ハードディスクドライブ及び半導体メモリ等の補助記憶装置108と、GPS(Global Positioning System)信号を受信するGPS受信機109とを含むコンピュータシステムとして構成されている。
端末2の各機能は、CPU101、RAM102等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで、入力装置104、出力装置105、無線通信モジュール106、音波通信モジュール107、補助記憶装置108、及びGPS受信機109を動作させると共に、RAM102におけるデータの読出し及び書き込みを行うことで実現される。
受信部21は、eNodeB1から無線によって送信された、当該eNodeB1の位置を示す情報である配信位置情報を含む配信情報を、当該eNodeB1又は当該eNodeB1以外の端末2から無線(音波、電波)によって直接受信する部分である。
受信部21は、eNodeB1によってブロードキャスト送信された配信情報を受信する。また、受信部21は、自端末周辺の端末2から転送された音声データの配信情報を受信する。また、受信部21は、受信した配信情報をeNodeB1及び自端末周辺の端末2の何れから受信したのかを判断する。具体的には、受信部21は、eNodeB1が電波により配信情報を送信するので、電波により配信情報を受信した場合、eNodeB1から配信情報を受信したと判断する。また、受信部21は、自端末周辺の端末2が音波により配信情報を送信するので、音波により配信情報を受信した場合、自端末周辺の端末2から配信情報を受信したと判断する。
受信部21は、eNodeB1又は自端末周辺の端末2から配信情報を受信すると、配信情報を記憶部22へ送出する。また、受信部21は、受信した配信情報をeNodeB1及び自端末周辺の端末2の何れから受信したのかを判断した結果を出力制御部23へ送出する。出力制御部23は、当該判断した結果を参照して、eNodeB1及び自端末周辺の端末2の何れから配信情報を受信したのかを判断する。
記憶部22は、受信部21によって受信された配信情報を記憶する部分である。記憶部22は、受信部21から配信情報を受け取ると、当該配信情報に含まれる地震ID、配信位置情報と、エリア情報と、震度情報と共に、端末2が記憶している情報の通番(配信情報を記憶する度に一意に付される番号)を、受信履歴情報として記憶手段(例えば、補助記憶装置108)へ記憶する。例えば、記憶部22は、受信部21から配信情報を受け取る度に受信履歴情報をデータベース化して記憶する。
記憶部22が記憶している受信履歴情報のデータベースを図4に示す。図4に示すように、通番、地震ID、位置情報(配信位置情報)、エリア情報、及び震度情報を含む受信履歴情報を記憶している。通番が1である受信履歴情報に含まれる地震IDと、通番が2である受信履歴情報に含まれる地震IDとが「A」であるので同一であるが、通番が1である受信履歴情報に含まれる位置情報と、通番が2である受信履歴情報に含まれる位置情報とが異なる。これは、配信情報の発信源となるeNodeB1がそれぞれ異なることを意味する。
記憶部22は、受信部21によって新たに受信された配信情報に基づいた受信履歴情報を記憶した後に、当該配信情報を出力制御部23へ送出する。
出力制御部23は、受信部21によってeNodeB1以外の端末2から配信情報が新たに受信された場合、当該配信情報に含まれる配信位置情報と自端末位置情報とによる第1の位置関係と、当該受信された配信情報より前に受信され記憶部22によって記憶された配信情報による配信位置情報と自端末位置情報とによる第2の位置関係とに基づいて、当該受信された配信情報を出力するか否かを決定する部分である。ここで、第1の位置関係とは、受信部21によって受信された配信情報に含まれる配信位置情報によって示される位置と自端末の位置情報である自端末位置情報によって示される位置との間の位置関係をいう。また、第2の位置関係とは、上記新たに受信された配信情報より前に記憶部22によって記憶された配信情報に含まれる配信位置情報によって示される位置と当該自端末位置情報によって示される位置との間の位置関係をいう。なお、出力制御部23は、eNodeB1から配信情報が新たに受信された場合には、上記の2つの位置関係に基づいて当該受信された配信情報を出力するか否かを決定することなく、新たに受信された配信情報を出力する。
また、出力制御部23は、記憶部22によって記憶された受信履歴情報のうち、新たに受信された配信情報に含まれる地震IDと同一の地震IDを含む配信情報を、新たに受信された配信情報を出力するか否かの決定に用いる。
具体的に、出力制御部23は、まず受信部21から受け取った判断結果(受信した配信情報をeNodeB1及び自端末周辺の端末2の何れから受信したのかを判断した結果)を参照する。出力制御部23は、参照した結果、自端末周辺の端末2から配信情報を新たに受信したと判断した場合には、以下のように、上述した2つの位置関係に基づいて、当該受信された配信情報を出力するか否かを決定する。
出力制御部23は、記憶部22から配信情報を受け取ると、当該受け取った配信情報に含まれる地震IDと同一の地震IDを含む受信履歴情報があるか否かを判断する。なお、出力制御部23は、そのときに受け取った配信情報を上記判断対象から外す。すなわち、出力制御部23は、受信直後の配信情報を上記判断対象としないようにする。
出力制御部23は、受け取った配信情報に含まれる地震IDと同一の地震IDを含む受信履歴情報がある場合、位置取得部24へ端末2の位置情報(自端末位置情報)の取得要求をする。出力制御部23は、位置取得部24から端末2の位置情報を取得すると、端末2の位置情報と、受け取った配信情報に含まれるeNodeB1の位置を示す情報とを用いて、端末2の位置から当該eNodeB1の位置までの距離(新たに受信した配信情報の発信源から端末2までの距離)を算出する。また、出力制御部23は、端末2の位置情報と、受け取った配信情報に含まれる地震IDと同一の地震IDを含む受信履歴情報に含まれるeNodeB1の位置を示す情報とを用いて、端末2の位置から当該eNodeB1の位置までの距離(過去に受信した配信情報の発信源から端末2までの距離)を算出する。
出力制御部23は、新たに受信した配信情報の発信源から端末2までの距離と、過去に受信した配信情報の発信源から端末2までの距離とを比較して、新たに受信した配信情報の発信源から端末2までの距離の方が短い場合、受信部21によって新たに受信された配信情報を鳴動部25と、転送部26とへ送出すると共に、鳴動部25へ鳴動指示を送出し、転送部26へ転送指示を送出する。なお、出力制御部23は、eNodeB1から配信情報が直接新たに受信された場合にも、受信部21によって新たに受信された配信情報を鳴動部25と、転送部26とへ送出すると共に、鳴動部25へ鳴動指示を送出し、転送部26へ転送指示を送出する。このように、出力制御部23は、鳴動部25に対して、当該配信情報を用いた鳴動処理をさせると共に、転送部26に対して、当該配信情報を用いた転送処理をさせる。
また、出力制御部23は、新たに受信した配信情報の発信源から端末2までの距離と、過去に受信した配信情報の発信源から端末2までの距離とを比較して、新たに受信した配信情報の発信源から端末2までの距離が、過去に受信した配信情報の発信源から端末2までの距離より長い場合、受信部21によって新たに受信された配信情報を鳴動部25と、転送部26とへ送出しない。すなわち、出力制御部23は、受信部21によって新たに受信された配信情報の鳴動及び転送を抑止する。
また、出力制御部23は、受け取った配信情報に含まれる地震IDと同一の地震IDを含む受信履歴情報がない場合、受信部21によって新たに受信された配信情報を鳴動部25と、転送部26とへ送出する。
位置取得部24は、自端末の位置を示す自端末位置情報を取得する部分である。位置取得部24は、出力制御部23から自端末の位置情報の取得要求を受け付けると、GPS衛星から発信されるGPS信号を受信して、当該GPS信号を用いて、公知の測位処理をして自端末の位置情報(例えば、自端末の位置を示す緯度経度の情報)を算出する。位置取得部24は、算出した自端末の位置情報を出力制御部23へ送出する。
鳴動部25は、新たに受信した配信情報の内容を鳴動処理により出力する部分である。鳴動部25は、配信情報に基づく鳴動処理として、配信情報に含まれる震度情報に基づいた音声出力や、配信情報を受け付けた旨の音声通知を行う。鳴動部25は、出力制御部23から配信情報と共に鳴動指示を受け取ると、当該配信情報に基づく鳴動処理を行う。
転送部26は、新たに受信した配信情報の内容を他の端末2へ転送することにより出力する部分である。転送部26は、出力制御部23から配信情報と共に転送指示を受け取ると、音声データである配信情報を音波で転送する。
続いて、図5のフローチャートを用いて、本実施形態に係る端末2で実行される処理及び動作を説明する。図5に記載のフローチャートは、eNodeB1又は周囲の端末2から新たに受信した配信情報に含められる地震IDと同一の地震IDを含む配信情報を過去に受信していた場合における配信情報の出力制御する処理(出力制御方法)を示すフローチャートである。前提として、処理開始時に記憶している受信履歴情報は無いものとする。
まず、eNodeB1又は周囲の端末2によって、配信情報が送信・転送されると、受信部21が、eNodeB1又は周囲の端末2から配信情報(1通目の配信情報)を新たに受信し(ステップS1 受信ステップ)、当該配信情報を記憶部22へ送出する。記憶部22は、受信部21が受信した配信情報を記憶し、当該配信情報を出力制御部23へ送出する(ステップS2 記憶ステップ)。
出力制御部23は、受信部21が新たに受信した配信情報(記憶部22から受け取った配信情報)に含まれる地震IDと同一の地震IDを有する配信情報が記憶されているか否かを判断する。この時点では、記憶部22は、受信部21が受信した配信情報に含まれる地震IDと同一の地震IDを有する配信情報(受信部21が新たに受信した配信情報に基づく受信履歴情報は除く)を記憶していないので、出力制御部23は、受信部21が新たに受信した配信情報(記憶部22から受け取った配信情報)に含まれる地震IDと同一の地震IDを有する配信情報が記憶されていないと判断する。そこで、出力制御部23は、受信部21が受信した配信情報を鳴動部25へ送出すると共に鳴動指示を鳴動部25へ通知することにより鳴動部25に鳴動させる。鳴動部25は、これに応じて当該配信情報に基づく鳴動処理を行う(ステップS3 出力ステップ)。
また、出力制御部23は、転送部26に配信情報を送出すると共に転送指示を転送部26へ通知することにより当該配信情報を転送させる。転送部26は、これに応じて当該配信情報の転送処理を行う(ステップS4 出力ステップ)。
続いて、受信部21が、周囲の端末2から配信情報(2通目の配信情報)を受信する(ステップS5 受信ステップ)と、当該配信情報を記憶部22へ送出する。記憶部22は、受信部21が受信した配信情報を記憶する(ステップS6 記憶ステップ)。
出力制御部23は、受信部21が受信した配信情報に含まれる地震IDと同一の地震IDを有する配信情報が記憶されているか判断する(ステップS7)。
ステップS7の判断により、受信部21が受信した配信情報に含まれる地震IDと同一の地震IDを有する配信情報が記憶されていない場合(ステップS7;No)、出力制御部23は、受信部21が受信した配信情報と、鳴動指示とを鳴動部25へ送出する。鳴動部25は、これに応じて当該配信情報に基づく鳴動処理を行う(ステップS11 出力ステップ)。
また、出力制御部23は、受信部21が受信した配信情報と、転送指示を転送部26に送出する。転送部26は、これに応じて当該配信情報の転送処理を行う(ステップS12 出力ステップ)。
ステップS7の判断により、受信部21が受信した配信情報に含まれる地震IDと同一の地震IDを有する配信情報が記憶されている場合(ステップS7;Yes)、出力制御部23は、位置取得部24に自端末の位置情報の取得要求をする。位置取得部24は、これに応じて端末位置情報を取得する(ステップS8 位置取得ステップ)。出力制御部23は、新たに受信した配信情報の発信源から端末2までの距離と、過去に受信した配信情報の発信源から端末2までの距離とを比較して、新たに受信した配信情報の発信源から端末2までの距離の方が短い場合(ステップS9;No 出力制御ステップ)、出力制御部23は、受信部21が受信した配信情報と鳴動指示とを鳴動部25に送出し、受信部21が受信した配信情報と転送指示とを転送部26に送出する。これに応じて、鳴動部25が当該配信情報に基づく鳴動処理を行い(ステップS11 出力ステップ)、転送部26が当該配信情報の転送処理を行う(ステップS12 出力ステップ)。
出力制御部23は、新たに受信した配信情報の発信源から端末2までの距離と、過去に受信した配信情報の発信源から端末2までの距離とを比較して、新たに受信した配信情報の発信源から端末2までの距離が、過去に受信した配信情報の発信源から端末2までの距離より長い場合(ステップS9;YES 出力制御ステップ)、受信部21によって受信された配信情報に基づく鳴動処理・転送処理を抑止して(ステップS10 出力制御ステップ)、処理を終了する。
上述のように、配信情報に含まれる配信位置情報によって示される位置と位置取得部24によって取得された自端末位置情報によって示される位置との間の位置関係と、記憶部22によって記憶された配信情報に含まれる配信位置情報によって示される位置と当該自端末位置情報によって示される位置との間の位置関係に基づいて、配信情報を出力するか否かを決定するので、緊急速報等の配信情報を受信した場合に、誤報に繋がる情報を出力してしまう可能性を低減することができる。
例えば、端末間で配信情報を転送するため、端末2が位置しているエリアに隣接するエリアに配信された配信情報を受信することがあり、遠く離れた場所(例えば、隣接セル、隣接セクタ)で配信された情報であると、正確度が低くなり、誤報となる可能性がある。しかし、上述のように、配信情報に含まれる配信位置情報によって示される位置と位置取得手段によって取得された自端末位置情報によって示される位置との間の位置関係と、記憶手段によって記憶された配信情報に含まれる配信位置情報によって示される位置と当該自端末位置情報によって示される位置との間の位置関係に基づいて、配信情報を出力するか否かを決定するので、誤報に繋がる情報を出力することを防止することができる。すなわち、異なるエリアの配信情報を受信した場合、発信源の位置を示す配信位置情報と自端末の位置を示す端末位置情報とにより算出した距離を用いて、誤報に繋がる情報を出力することを抑止するので、最適な情報に絞って出力することができる。
また、端末2は、配信情報には、当該配信情報の集合を識別する地震IDを含み、出力制御部23は、記憶部22によって記憶された配信情報のうち、受信された配信情報に含まれる地震IDと同一の地震IDを含む配信情報を、受信された配信情報を出力するか否かの決定に用いる。
この場合、受信した配信情報の地震IDと、同一の地震IDを有する過去の配信情報の位置情報を用いて位置関係を比較するので、共通する地震IDを有する配信情報でもeNodeB1によって、配信情報の内容が異なる場合に信頼度の高い情報を出力させることができる。
また、端末2は、受信部21によって新たに受信された配信情報を他の端末に転送する。この場合、配信情報に含まれる配信位置情報によって示される位置と位置取得部24によって取得された自端末位置情報によって示される位置との間の位置関係と、記憶部22によって記憶された配信情報に含まれる配信位置情報によって示される位置と当該自端末位置情報によって示される位置との間の位置関係に基づいて、配信情報を他の端末2へ転送するか否かを決定する。これにより、例えば、端末2の位置と配信情報のeNodeB1の位置とが遠い場合に、他の端末に配信情報を転送してしまうことを未然に防止することができる。
上述の実施形態では、記憶部22によって記憶された配信情報のうち、受信された配信情報に含まれる地震IDと同一の地震IDを含む配信情報を、受信された配信情報を出力するか否かの決定に用いる場合について述べたが、記憶部22によって記憶された配信情報のうち、受信された配信情報に含まれる地震IDに対応する地震IDを含む配信情報を、受信された配信情報を出力するか否かの決定に用いるようにしてもよい。新たに受信された配信情報に含まれる地震IDに対応する地震IDの例としては、新たに受信された配信情報に含まれる地震IDの一部が一致する地震IDが該当する。この場合、地震IDは、対応する個々の配信情報に一意に対応付けられたものであってもよい。
また、上述の実施形態では、位置取得部24が、GPS信号に基づいて自端末の位置を取得する場合について述べたが、他の方法により位置を取得するようにしてもよい。例えば、位置が固定され、自装置の位置情報を記憶している装置と端末2とが近距離無線通信可能である場合、位置取得部24は、近距離無線通信により、上記装置から当該装置の位置情報を取得するようにしてもよい。例えば、建物内や地下街等の屋内に配置されたビーコン端末等から発信される情報を取得し、当該情報を基にして位置情報を算出してもよい。また、上述のGPSは、GLONASSやGALILEO等を含むGNSS(Global Navigation Satellite System)でもよい。
また、上述の実施形態では、位置取得部24が、出力制御部23からの自端末位置情報の取得要求に応じて測位した結果を自端末位置情報として出力制御部23へ送出する場合について述べたが、自端末位置情報の取得要求に応じて、測位しなくてもよい。例えば、位置取得部24が定期的に測位している場合、出力制御部23からの自端末位置情報の取得要求時における、直近の測位結果を自端末位置情報として出力制御部23へ送出するようにしてもよい。
上述の実施形態では、端末2が音波により配信情報を転送する場合について述べたが、音波以外の無線波を用いて転送するようにしてもよい。
上述の実施形態では、eNodeB1が、配信情報を配信する場合について述べたが、3Gネットワークにおける無線基地局装置(BTS(Base Transceiver Station))が配信情報を配信してもよい。
上述の実施形態では、災害に関する情報として地震に関する情報を配信情報に含める場合について述べたが、津波等の別の災害の情報を災害に関する情報として含めるようにしてもよい。例えば、津波に関する情報(例えば、大津波警報、津波警報、津波注意報等の災害の重要度を示す情報)を含めた配信情報として、eNodeB1及び他の端末2が送信する場合にも、端末2は、本実施形態と同様の動作をすることとしてもよい。
また、上述の実施形態のように、音波で情報伝達する場合(すなわち、端末2間で通信する場合)だけでなく、eNodeB1から配信情報を受信した場合に、配信情報に含まれる配信位置情報によって示される位置と位置取得部24によって取得された自端末位置情報によって示される位置との間の位置関係と、記憶部22によって記憶された配信情報に含まれる配信位置情報によって示される位置と当該自端末位置情報によって示される位置との間の位置関係に基づいて、配信情報を出力するか否かを決定するようにしてもよい。
上述の実施形態では、配信情報に含まれる配信位置情報によって示される位置と位置取得部24によって取得された自端末位置情報によって示される位置との間の位置関係と、記憶部22によって記憶された配信情報に含まれる配信位置情報によって示される位置と当該自端末位置情報によって示される位置との間の位置関係に基づいて、配信情報を出力するか否かを決定する場合について述べた。上述の実施形態とは別に、eNodeB1による送信範囲である配信範囲(eNodeB1が配信情報を配信する範囲である配信範囲)を示す情報(配信範囲情報)に基づいて、配信情報を出力するか否かを決定するようにしてもよい。即ち、受信された配信情報に含まれる配信位置情報によって示される配信範囲と位置取得部24によって取得された自端末位置情報によって示される位置との間の位置関係と、記憶部22によって記憶された配信情報に含まれる配信位置情報によって示される配信範囲と当該自端末位置情報によって示される位置との間の位置関係とに基づいて、配信情報を出力するか否かを決定するようにしてもよい。ここで、配信範囲を示す情報は、例えば、eNodeB1の位置を示す情報(上述した実施形態と同様の情報)と、当該配信範囲の半径を示す情報とを含む。すなわち、配信範囲情報は、配信位置情報と、配信範囲の大きさ(配信範囲の半径)を示す情報とを含む情報である。
端末2が、配信元のeNodeB1の配信範囲に基づいて、配信情報を出力するか否かを判断する例について図6を用いて説明する。eNodeB1Aの配信範囲(位置P1と半径L2とに基づく範囲)が、eNodeB1Bの配信範囲(位置P2と半径L6とに基づく範囲)より広いものとする。また、eNodeB1Aの位置P1から端末2Bまでの距離である距離L1は、eNodeB1Bの位置P2から端末2Bまでの距離である距離L4より長いものとする。また、距離L1から、eNodeB1Aの配信範囲の半径L2を引いた値であり、端末2BからeNodeB1Aの配信範囲の外周までの距離である距離L3は、距離L5(距離L4から、eNodeB1Bの配信範囲の半径L6を引いた値であり、端末2BからeNodeB1Bの配信範囲の外周までの距離)より短いものとする。
eNodeB1は、配信情報として、地震ID、配信位置情報(例えば、eNodeB1Aであれば、位置P1を示す情報)と、エリア情報と、震度情報とに加えて、配信範囲の半径を示す情報(例えば、eNodeB1Aであれば、半径L2を示す情報)を配信する。
最初に、eNodeB1Aが配信情報を配信すると、当該eNodeB1Aの配信範囲内に位置する端末2が当該配信情報を受信する。そして、当該端末2から転送され、端末2Bの受信部21がeNodeB1Aから配信された配信情報を受信する。端末2Bは、受信した配信情報を含めた受信履歴情報を記憶部22へ記憶する。続いて、eNodeB1Bが配信情報を配信すると、当該eNodeB1Bの配信範囲内に位置する端末2が当該配信情報を受信する。そして、当該端末2から転送され、端末2Bの受信部21がeNodeB1Aから配信された配信情報を受信する。端末2Bの位置取得部24は、これに応じて端末2Bの位置を取得する。
端末2Bの出力制御部23は、eNodeB1Bから配信された配信情報に含まれる、半径L6を示す情報と、eNodeB1Bの位置情報(位置P2を示す情報)と位置取得部24によって取得された端末2Bの位置とを用いて、端末2Bの位置からeNodeB1Bの配信範囲の外周までの距離L5を算出する。具体的には、出力制御部23は、端末2Bの位置から位置P2までの距離L4から、半径L6を引くことで距離L5を算出する。この距離L5が正の値であれば、端末2BがeNodeB1Bの配信範囲の外に位置することになり、距離L5が負の値であれば、端末2BがeNodeB1Bの配信範囲の中に位置することになる。
そして、出力制御部23は、受信履歴情報を参照し、eNodeB1Aから配信された配信情報に含まれる、半径L2を示す情報と、eNodeB1Aの位置情報(位置P1を示す情報)と位置取得部24によって取得された端末2Bの位置とを用いて、端末2Bの位置からeNodeB1Aの配信範囲の外周までの距離L3を算出する。具体的には、出力制御部23は、端末2Bの位置から位置P1までの距離L1から、半径L2を引くことで距離L3を算出する。
出力制御部23は、距離L5が距離L3よりも短い場合、eNodeB1Bから配信された配信情報を出力する。一方、距離L5が距離L3以上である場合、eNodeB1Bから配信された配信情報を出力しない。図6に示す例では、距離L5の方が距離L3より大きいので、出力制御部23は、配信情報を出力しないようにする。このように、端末2は、自端末から各eNodeB1の配信範囲の外周までの距離に基づいて、配信情報を出力するか否かを判断することにより、自端末の位置からeNodeB1の配信範囲まで遠いにも関わらず、当該eNodeB1から配信された配信情報を出力してしまう可能性を低減することができる。特に、各eNodeB1の配信範囲がそれぞれ異なる場合(特に一方の配信範囲が他方の配信範囲より極端に大きい場合)に、出力制御部23は、適切に配信情報を出力するか否かを判断することができる。なお、上記の例の場合、距離L5が距離L3以下である場合に、eNodeB1Bから配信された配信情報を出力するようにしてもよい。また、配信範囲情報として、配信範囲の外周を定義した情報(例えば、当該外周の位置情報の集合)をeNodeB1が送信するようにしてもよい。この場合、出力制御部23は、自端末の位置と配信範囲の外周との距離を算出し、上記図6に示した例のように配信情報を出力するか否かを判断することができる。
また、出力制御部23は、上述のように自端末の位置と配信範囲の外周との距離により配信情報を出力するか否かを判断するのではなく、配信範囲に占める自端末の位置と配信範囲の外周との距離の割合により配信情報を出力するか否かを判断するようにしてもよい。例えば、出力制御部23は、図6における距離L3/半径L2と、距離L5/半径L6とをそれぞれ第1の位置関係、第2の位置関係として算出し、当該第1の位置関係と第2の位置関係との比較により、自端末が配信範囲からどの程度の割合で離れているかを算出して、後に受信した配信情報に対応する割合が小さい場合に、当該配信情報を出力するようにしてもよい。