JP6339877B2 - ろ過器およびろ過槽 - Google Patents
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Description
処理水を工事用水として使用する場合においては、処理水中に高分子や軽量フロック等の浮遊物質が残っていると、重機やポンプ等の故障の原因となる。
また、処理水を放流した河川から農業用水用や魚飼育用水用に取水をしている場合には、放流基準内で処理した処理水であっても、浮遊物質や油分等が問題となる可能性がある。
ろ過効率が高いろ過器としては砂ろ過器が知られているが、砂ろ過器は比較的高価である。また、砂ろ過器は、濁水処理設備の一部として構築する必要があり、トンネル工事等の仮設備として簡易的に用いることは困難であった。
繊維ろ過器は、垂直に吊り下げられた組紐状繊維ろ過材を、ろ過槽内で濁水の流れに対して直交する方向に列状(カーテン状)に配設しているのが一般的である。
また、特許文献1には、空隙率の大きい編組状接触材(ろ過材)が内部に配設された沈殿槽および浮上分離槽を備えた繊維ろ過器であって、沈殿槽から浮上分離槽に濁水を通過させることで、浮遊物を編組状接触材に接触させてろ過処理を行う繊維ろ過器が開示されている。編組状接触材は、濁水の流れに沿うように設けられている。
ろ過槽1は、トンネルの坑外に設置されており、トンネル坑内から送水管5を介して輸送された濁水W0中の浮遊物や油分等をろ過し、処理水Wとして排水する。
なお、ろ過槽1の形状寸法は限定されるものではなく、工事によって発生する濁水W0の量や設置スペース等に応じて適宜設定すればよい。
送水管5は、図2に示すように、ろ過槽1の長手方向の一方(図2において左側)の端部の上方から、濁水W0を投入することが可能に設けられている。
送水管5を構成する材料は限定されないが、例えば鋼管により構成すればよい。また、送水管5の内径等は、濁水W0の量等に応じて適宜設定すればよい。
排水口15は、槽壁13に形成された貫通孔に筒状の部材を取り付けることにより形成されている。
なお、排水口15の形状、数や形成箇所等は限定されない。
垂れ壁11および越流壁12は、濁水W0の流れ(長手方向)に対して直交するようにろ過槽1内を仕切っている。すなわち、垂れ壁11および越流壁12は、ろ過槽1の短手方向に沿って形成されている。垂れ壁11および越流壁12の両端は、槽壁13に接合されている。
垂れ壁11は、槽底14との間に隙間を有した状態で形成された仕切り壁である。ろ過槽1の第一室R1に投入された濁水W0は、垂れ壁11の下をくぐって第二室R2に至る。
垂れ壁11の下端と槽底14との隙間の大きさ(高さ)は限定されるものではないが、少なくとも送水管5の内空面積よりも、隙間の面積の方が大きくなるようにする。
また、本実施形態では、垂れ壁11を、ろ過槽1の長手方向中央よりもやや上流側(送水管5側)に形成しているが、垂れ壁11の位置は限定されない。
図2に示すように、越流壁12の上端は、垂れ壁11および槽壁13の上端よりも低く、越流壁12の下端は槽底14に当接している。
また、越流壁12の上端と垂れ壁11および槽壁13の上端との高低差の大きさも限定させるものではないが、垂れ壁11の下端を潜った濁水W0が、垂れ壁11および槽壁13を越流することなく、越流壁12のみを越流することが可能な大きさとする。
ろ過器2は、第三室R3に設けられた容器3と、容器3に充填されたろ過体4とを備えている。
本実施形態では、図2に示すように、2枚のエキスパンドメタルをL字状に組み合わせることにより、容器3の底面31と下流側面32を形成している。そして、底面31の上流側の端面を越流壁12の側面に突き合わせるとともに、底面31および下流側面32の側端面(図1における上下の端面)を槽壁13に突き合わせた状態で固定することで、箱型の容器3を形成している。
なお、容器3の底面31は、必ずしも水面よりも高い位置に形成する必要はないが、容器3の下流側面32の上端は水面よりも高い位置となるように形成する必要がある。底面31が水面よりも低い位置となるように容器3を形成する場合には、下流側面32の水面よりも上の部分には透水孔がない部材により構成する。
容器3内において、複数の組紐状繊維ろ過材41,41,…は、容器3に流入した濁水W0の流下方向に対して直交するように横向きに(ろ過槽1の短手方向に沿って)設置されている。
また、容器3内では、複数の組紐状繊維ろ過材41,41,…が、長手方向に沿って並設されていて、層を形成している。
また、複数の油吸収材42,42,…は、長手方向に沿って並設されていて、層を形成している。
なお、ろ過体4は、必ずしも組紐状繊維ろ過材41の層と油吸収材42の層とを積層して形成する必要はなく、組紐状繊維ろ過材41と油吸収材42とがランダムに配設されていいもよい。
第一室R1に投入された濁水W0は、垂れ壁11の下端を潜りぬけて第二室R2に流入した後、越流壁12を越流して容器3に流入する。
容器3に流入した濁水W0は、組紐状繊維ろ過材41および油吸収材42に接触することで浮遊物質や油分などが除去された処理水Wとして第三室R3に流下する。
その後、第三室R3内の処理水Wの上澄みが排水口15から排水される。
そのため、処理水Wを工事用水として再利用する場合であっても、機械設備等への悪影響を防止することができる。また、処理水Wを河川等に放流する場合や農業用水などに使用する場合であっても、浮遊物質や油分などにより問題が生じることもない。
動力を要することなく、水の流れにより浮遊物質などをろ過体4に吸着させるため、沈殿時間等を必要とせず、連続的な水処理を行うことができる。
また、動力が不要なため、現地の状況(動力の確保の可否や設置個所等)に限定されることなく、使用することができるとともに、安価である。
また、容器3は、底面31が水面よりも高くなるように形成されているため、容器3に流入した濁水がろ過体4を確実に通過し、浮遊物質や油分の除去が効率的に行われる。
ろ過槽1の排水口15は、比較的高い位置に形成されているため、処理水の上澄みを排水することを可能としている。
例えば、前記実施形態では、トンネル工事の濁水処理に本発明のろ過槽を使用する場合について説明したが、ろ過槽の使用箇所はトンネル工事に限定されるものではなく、あらゆる作業現場(建設工事や工場等)の簡易濁水処理設備として使用することができる。また、河川や水路などの水処理にも使用することができる。
送水管により輸送された濁水をろ過槽の上方から投入する場合について説明したが、濁水はろ過槽の側面や底面等から投入してもよい。
11 垂れ壁
12 越流壁
13 槽壁
14 槽底
15 排水口
2 ろ過器
3 容器
4 ろ過体
41 組紐状繊維ろ過材
42 油吸収材
5 送水管
W 処理水(流体)
W0 濁水(流体)
Claims (4)
- 透水孔が形成された容器と、前記容器内に充填されたろ過体と、を備えるろ過器であって、
前記ろ過体は、前記容器に流入した流体の流下方向に対して直交するように横向きに設置された複数の組紐状繊維ろ過材を含むろ過材の層が複数積層されてなることを特徴とするろ過器。 - 透水孔が形成された容器と、前記容器内に充填されたろ過体と、を備えるろ過器であって、
前記ろ過体は、前記容器に流入した流体の流下方向に対して直交するように横向きに設置された複数の組紐状繊維ろ過材と複数の棒状の油吸収材とからなり、
前記容器内に、前記組紐状繊維ろ過材の層と、前記油吸収材の層とが、積層されていることを特徴とする、ろ過器。 - 前記容器が、網状部材を組み合わせることにより形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のろ過器。
- 垂れ壁と、
前記垂れ壁の下流側に設置された越流壁と、
前記越流壁を越流した流体が流入するように設けられたろ過器と、を備えるろ過槽であって、
前記ろ過器が、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のろ過器であることを特徴とする、ろ過槽。
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