JP6336860B2 - 高分子材料 - Google Patents

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本発明は、ポリグリコール酸またはポリグリコール酸誘導体を成分として含む徐放性の高分子材料に関する。
ポリグリコール酸は、グリコール酸(HO−CH2−COOH)の重合体であり、生分解性を有している。ポリグリコール酸は、他の生分解性樹脂と比較して分解速度が速いという特徴を有しており、また、室温でも速やかに生分解することが知られている。ポリグリコール酸は、生分解性という特性から、医療用材料および食品容器等の原料として、様々な分野で使用されている。
例えば、特許文献1には、ポリグリコール酸の末端水酸基にカルボキシル基を導入したジカルボン酸で水溶性合成ポリマーが架橋されてなる架橋生分解性粒子が開示されている。この架橋生分解性粒子は、特に生体内において血管を塞ぎ、血流の閉塞に使用する塞栓形成材料として使用することができる旨が記載されている。
また、特許文献2には、ポリグリコール酸と所定の量の多官能トリアジン化合物とを含有するとともに架橋結合させた材料からなる成形物が開示されている。この成形物は、機械的強度、耐熱性および耐久性に優れており、手術用縫合糸等の医療分野およびラップ等の食品分野等で使用することができる旨が記載されている。
特開2005−314535号公報(2005年11月10日公開) 特開2004−204195号公報(2004年7月22日公開)
ポリグリコール酸およびポリグリコール酸誘導体のさらなる用途を見出すことが期待される。
本発明者らは、ポリグリコール酸およびポリグリコール酸誘導体の用途として、薬剤等を含む液体の吸収・膨潤および生分解による薬剤の徐放を行う材料としての可能性に思い至った。しかしながら、ポリグリコール酸およびポリグリコール酸誘導体は、そのパッキング性の高さに起因して、種々の液体との親和性が極めて低い。そのため、ポリグリコール酸またはポリグリコール酸誘導体単独では、薬剤等を含む液体の吸収・膨潤および生分解による薬剤の徐放を行うことが困難であることがわかった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、薬剤等を含む液体の吸収・膨潤および生分解による薬剤の徐放が可能な、ポリグリコール酸およびポリグリコール酸誘導体を成分として含む材料を提供することである。
本発明に係る高分子材料は、複数の多価アルコール同士が架橋されてなる主骨格と、上記多価アルコールの少なくとも一部に架橋された(a)ポリグリコール酸または(b)ポリグリコール酸の末端のカルボキシル基に他の基が付加したポリグリコール酸誘導体である、側鎖と、を有している。
本発明に係る高分子材料において、上記多価アルコールは、エリトリトール、ペンタエリトリトール、およびペンタエリトリトールエトキシレートからなる群より選択されることが好ましい。
本発明に係る高分子材料において、上記多価アルコール同士および上記多価アルコールと上記ポリグリコール酸または上記ポリグリコール酸誘導体との間は、ヒドロキシ基との反応性がある官能基を2つ以上有する多価官能性化合物によって架橋されていることが好ましい。
本発明に係る高分子材料において、上記多価官能性化合物は、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、またはジイソシアン酸イソホロンであることが好ましい。
本発明に係る高分子材料において、上記ポリグリコール酸または上記ポリグリコール酸誘導体は、数平均分子量が1,000〜10,000であることが好ましい。
本発明に係る高分子材料において、上記ポリグリコール酸誘導体は、ポリグリコール酸メチルであることが好ましい。
本発明に係る高分子材料は、薬剤等を含む液体を吸収して膨潤することができ、また、ポリグリコール酸またはポリグリコール酸誘導体の加水分解や生分解によって薬剤等の徐放性を示す。
本発明に係る高分子材料の一実施形態について説明すれば以下のとおりである。
〔1.高分子材料の構成と性質〕
本実施形態に係る高分子材料は、
複数の多価アルコール同士が架橋されてなる主骨格と、
当該多価アルコールの少なくとも一部に架橋された、(a)ポリグリコール酸(PGA)または(b)ポリグリコール酸の末端のカルボキシル基に他の基が付加したポリグリコール酸誘導体(PGA誘導体)である、側鎖と、
を有する。
(主骨格)
本実施形態に係る高分子材料の主骨格は、複数の多価アルコール同士が架橋されてなる。
多価アルコールの炭素数は特に限定されないが、3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。多価アルコールのヒドロキシ基の数は3以上であれば特に限定されないが、4以上であることが好ましい。また、高分子材料の膨潤度の観点からは、多価アルコールはヒドロキシ基間の炭素数が多い方が好ましい。ヒドロキシ基間の炭素数が多い場合、架橋点間の距離が長くなるため、架橋密度が低くなり、高分子材料における自由体積が増加するため、膨潤度がより高くなる。また、多価アルコールは、分枝状であることが好ましい。分枝状の多価アルコールの場合、立体的に嵩高いため、自由体積が増加し、膨潤度がより高くなる。
多価アルコールとしては、例えば、グリセロール、ポリグリセロール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、およびペンタエリトリトールエトキシレート等が挙げられる。ペンタエリトリトールエトキシレートの場合、高分子材料の膨潤度の観点からは、ポリエチレングリコール部分(−(CH2CH2O)n−)のnが大きい方が好ましく、ペンタエリトリトールエトキシレートの数平均分子量Mnは、200〜10,000であることが好ましい。この範囲であれば、一定の強度を保ちつつ、高い膨潤度を実現することができる。なお、数平均分子量は、1H−NMR等を用いて測定することができる。
高分子材料に含まれる多価アルコールは、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
多価アルコール同士の架橋は架橋剤によってなされる。架橋剤は、ヒドロキシ基との反応性がある官能基を2つ以上有する多価官能性化合物である。そのような官能基としては、例えば、カルボン酸無水物基、イソシアネート基、エポキシ基、アルデヒド基、およびビニル基等が挙げられる。1つの多価官能性化合物において、複数種類の官能基を有していてもよい。多価官能性化合物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、および1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等の多価カルボン酸無水物;ジイソシアン酸イソホロン、1,6−ヘキサンジイソシアネート、および2,4−トルイレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル等のジエポキシ化合物;グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物;ならびにジビニルスルホン等のジビニル化合物が挙げられる。
膨潤度を高くするという観点からは、多価官能性化合物は嵩高い構造を有していることが好ましく、そのような架橋剤としては、例えば、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、およびジイソシアン酸イソホロン等が挙げられる。架橋剤として用いる多価官能性化合物は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
なお、高分子材料は、多価アルコールのヒドロキシ基と多価官能性化合物の官能基とが反応してできた構造、例えば、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−NH−、−O−、または(−O−)2CH2−等を有している。また、多価アルコールは全てのヒドロキシ基が架橋されている必要はなく、少なくとも一部のヒドロキシ基が架橋されていればよい。
このように、主骨格は、複数の多価アルコールと複数の架橋剤(多価官能性化合物)とが反応して形成された構造である。一態様においては、多数の多価アルコールが多数の架橋剤を介して網目状に構成されている。
(側鎖)
本実施形態に係る高分子材料は側鎖を有している。側鎖は、上記多価アルコールの少なくとも一部に架橋された(a)PGAまたは(b)PGAの末端のカルボキシル基に他の基が付加したPGA誘導体である。
PGAは、下記式(1):
H−[O−CH2−C(=O)]m−OH (1)
で表される。
PGA誘導体は、下記式(2):
H−[O−CH2−C(=O)]m−R (2)
で表される。
上記式(1)および(2)において、mは2以上であることがより好ましい。
上記式(2)において、Rはイオン化される部分を有さない基である。
PGAまたはPGA誘導体の数平均分子量は特に限定されないが、1,000〜10,000であることが好ましく、2,000〜9,000であることがより好ましく、3,000〜8,000であることがさらに好ましい。数平均分子量がこの範囲である場合、高分子材料の製造時において溶媒への溶解性が高いという利点を有する。
PGA誘導体は、PGAの末端のカルボキシル基に他の基が付加したものである。他の基は、イオン化される部分を有さない基であれば特に限定されない。PGA誘導体としては、例えば、ポリグリコール酸エステル、およびポリグリコール酸アミド等が挙げられる。ポリグリコール酸エステルである場合、PGAと縮合しているアルコールとしては、炭素数1〜18の1価アルコールであることが好ましく、炭素数1〜12の1価アルコールであることがより好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ヘキサノール、およびドデカノール等が挙げられる。ポリグリコール酸エステルとしては、ポリグリコール酸メチル、ポリグリコール酸エチル、ポリグリコール酸プロピル、ポリグリコール酸ヘキシル、およびポリグリコール酸ドデシル等が挙げられる。ポリグリコール酸アミドである場合、PGAと縮合しているアミンとしては、炭素数1〜18のアミンであることが好ましく、炭素数1〜12のアミンであることがより好ましい。アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、およびオクチルアミン等が挙げられる。
膨潤度が高くなるという観点からは、側鎖に含まれる化合物はPGAであることが好ましい。高分子材料の製造時における溶媒への溶解性の高さおよび反応速度が速いという観点からは、PGA誘導体であることが好ましく、中でもポリグリコール酸エステルまたはポリグリコール酸アミドであることが好ましい。
高分子材料は、PGAおよびPGA誘導体のうち、1種類を含んでいてもよいし、複数種類を含んでいてもよい。
多価アルコールとPGAまたはPGA誘導体との間の架橋は架橋剤によってなされる。架橋剤は、多価アルコールのヒドロキシ基およびPGAまたはPGA誘導体のヒドロキシ基との反応性がある官能基を2つ以上有する多価官能性化合物である。そのような多価官能性化合物の説明は、上記で説明した多価官能性化合物と同様である。多価アルコール同士を架橋する架橋剤の種類と多価アルコールとPGAまたはPGA誘導体との間を架橋する架橋剤の種類とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
なお、高分子材料は、PGAまたはPGA誘導体のヒドロキシ基と多価官能性化合物の官能基とが反応してできた構造、例えば、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−NH−、−O−、または(−O−)2CH2−等を有している。
このように、側鎖は、PGAまたはPGA誘導体と架橋剤(多価官能性化合物)とが反応して形成された構造である。架橋剤が3つ以上の官能基を有している場合、1つの架橋剤に2つ以上のPGAまたはPGA誘導体が結合していてもよい。そのため、側鎖は2つ以上のPGAまたはPGA誘導体が1つの架橋剤を介して構成された分枝状であり得る。また、高分子材料においてPGAまたはPGA誘導体における架橋点は、末端のヒドロキシ基のみである。そのため、PGAまたはPGA誘導体は、主骨格に組み込まれていない。PGAまたはPGA誘導体は、高分子材料の内部および/または外表面に存在し得る。
本実施形態に係る高分子材料において、PGAまたはPGA誘導体に対する多価アルコールの量は、例えば、5〜1000倍モルであり、10〜300倍モルであることが好ましく、50〜150倍モルであることがより好ましい。
(性質)
本実施形態に係る高分子材料は液体を吸収して膨潤し、内部に保持することができる。液体としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、およびブタノール等のアルコール;ヘキサン、シクロヘキサン、およびオクタン等のアルカン;キシレン、およびトルエン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、および酢酸ブチル等のエステル;ジメチルホルムアミド(DMF)、およびジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド;アセトン、メチルエチルケトン、およびアセトフェノン等のケトン;テトラヒドロフラン、およびクロロホルム等のハロゲン化アルキル;ならびにジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。これらの液体は、他の物質が溶解または懸濁されていてもよい。他の物質としては、医薬または農薬等の薬剤、肥料、および化粧料等が挙げられる。
高分子材料の膨潤度は、例えば、以下の式で求めることができる:
膨潤度=(Ws−Wd)/(d×Wd
ここで、Wsは液体に湿潤後の高分子材料の重量、Wdは高分子材料の乾燥重量、dは液体の比重である。
本実施形態に係る高分子材料は、液体がDMFである場合に上記の式で求められる膨潤度が、例えば3以上であり、3〜10であり得、3〜30であり得、または30以上であり得る。
また、PGAおよびPGA誘導体は生分解性を有している。そのため、本実施形態に係る高分子材料は、当該高分子材料の構成成分であるPGAまたはPGA誘導体が生分解するため、徐放性を有する。すなわち、例えば薬剤を含む液体を含浸させた高分子材料を、生体に適用したり、微生物が存在する環境下に置いたりすることによって、高分子材料中のPGAまたはPGA誘導体が徐々に加水分解され、高分子材料が保持していた薬剤が徐々に放出される。本実施形態に係る高分子材料では、主骨格にPGAまたはPGA誘導体を含んでいない。そのため、本実施形態に係る高分子材料は、主骨格が崩壊する虞が小さく、時限放出性が弱いため、優れた徐放性を発揮する。
PGAまたはPGA誘導体は、そのパッキング性の高さに起因して、種々の液体との親和性が極めて低い。そのため、PGAまたはPGA誘導体単独では、薬剤等を含む液体の吸収・膨潤および生分解による薬剤の徐放を行うことが困難である。一方、本実施形態に係る高分子材料の構成であれば、上述のように、優れた膨潤性および徐放性を発揮することができる。
高分子材料の大きさおよび形状は特に限定されず、使用目的に応じて適宜設定すればよい。形状としては、例えば、球形、直方体、およびシート状等が挙げられる。大きさは、例えば、数十cm角の大きさであってもよいし、μmオーダーの大きさであってもよい。さらに、nmオーダーの大きさであってもよい。また、厚さが例えば10μm〜10cmのシートであってもよい。なお、「平均粒径」は、レーザー回折・散乱法による測定方法を用いて、体積換算の平均粒径として算出することができる。
本実施形態に係る高分子材料は、乾燥した状態であってもよいし、液体(望ましくは水以外)に含浸された状態であってもよい。
〔2.高分子材料の製造方法〕
本実施形態に係る高分子材料の製造方法の一例を以下に説明するが、これに限定されるものではない。
まず、PGAまたはPGA誘導体と架橋剤とを溶媒中で反応させる。これにより、PGAまたはPGA誘導体の末端のヒドロキシ基と架橋剤の官能基とが反応して、PGAまたはPGA誘導体と架橋剤とが結合した構造体が生成する。次いで、ここに多価アルコールを添加し、架橋剤と多価アルコールとを反応させる。このとき、複数の多価アルコールが複数の架橋剤によって重合して主骨格が形成されるとともに、PGAまたはPGA誘導体と架橋剤とが結合した構造体における架橋剤の未反応の官能基と多価アルコールとが反応することによって、PGAまたはPGA誘導体が架橋剤を介して主骨格に結合し側鎖となる。未反応の原料、および多価アルコールと反応しなかったPGAまたはPGA誘導体と架橋剤とが結合した構造体は、洗浄して除去すればよい。
原料となるPGAまたはPGA誘導体、多価アルコールおよび架橋剤は、市販のものを使用してもよいし、公知の方法で調製したものを使用してもよい。
溶媒は、原料と反応しないものであれば特に限定されないが、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられ、溶解性の観点からジメチルホルムアミドが好ましい。PGAまたはPGA誘導体、架橋剤および多価アルコールは、それぞれ、予め溶媒に溶解した状態で添加されてもよい。
PGAまたはPGA誘導体と架橋剤との反応および架橋剤と多価アルコールとの反応において触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば、トリエチルアミン(TEA)、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]−オクタン(DABCO)等が挙げられる。触媒は、予め溶媒に溶解した状態で添加されてもよい。また、触媒は、両方の反応に共通して同じものを用いてもよい。
PGAまたはPGA誘導体に対する架橋剤の量は、例えば、2〜2000倍モルであり、10〜1000倍モルであることが好ましく、50〜400倍モルであることがより好ましい。架橋剤の量が少ないほど主骨格における架橋点の距離が長くなるため、高分子材料の膨潤度が高くなる。架橋剤の量が上記の範囲であれば、一定の強度を保ちつつ、高い膨潤度を実現することができる。また、架橋剤の量をPGAまたはPGA誘導体に対して過多にすることによって、架橋剤を追加で添加することなく続けて多価アルコールの架橋反応を行うことができる。また、架橋剤の量をPGAまたはPGA誘導体に対して過多にすることによって、PGAまたはPGA誘導体と架橋剤との反応において、全ての官能基がPGAまたはPGA誘導体と反応した架橋剤の生成量を低減することができるため、多価アルコールの架橋反応に与える影響が小さくなる。
PGAまたはPGA誘導体と架橋剤との反応において、温度は、例えば30〜150℃であり、好ましくは40〜100℃である。反応時間は、例えば、3〜72時間であり、好ましくは8〜24時間である。反応中は撹拌することが好ましい。
PGAまたはPGA誘導体に対する多価アルコールの量は、例えば、5〜1000倍モルであり、10〜300倍モルであることが好ましく、50〜150倍モルであることがより好ましい。PGAまたはPGA誘導体の量が多いほど主骨格の架橋構造の規則性が乱れ自由体積が増すため、高分子材料の膨潤度が高くなる。PGAまたはPGA誘導体の量が上記の範囲であれば、一定の強度を保ちつつ、高い膨潤度を実現することができる。
架橋剤と多価アルコールとの反応において、温度は、例えば30〜150℃であり、好ましくは40〜100℃である。反応時間は、例えば、3〜72時間であり、好ましくは8〜24時間である。多価アルコールを添加した後、撹拌し、その後静置することが好ましい。静置する前に型に流し込んで成形してもよい。
このように、先に側鎖部分を生成しておき、そこに主骨格となる多価アルコールを加えることによって、架橋点と架橋点と間の空間距離を決定する多価アルコールとの反応が後になるため、網目サイズの制御が容易になる。なお、他の製造方法において、PGAまたはPGA誘導体と架橋剤との反応および架橋剤と多価アルコールとの反応を同時に行ってもよい。
高分子材料は、乾燥させてもよい。乾燥させることによって、所望の液体を容易に含浸させることができる。乾燥は、例えば、常圧または減圧下、20〜100℃で、1時間〜7日間行えばよい。
本実施形態に係る高分子材料は徐放性を有するという特徴がある。PGAまたはPGA誘導体の量を調整することによって、高分子材料の徐放性の程度を調整することができる。多価アルコールの量に対するPGAまたはPGA誘導体の量が多い場合には、比較的速い徐放性を得ることができ、反対に量が少ない場合には、比較的遅い徐放性を得ることができる。PGAまたはPGA誘導体が優先的に加水分解するが、加水分解によって生ずるグリコール酸の酸性度(pKa=約3.8)による自己触媒作用により、後発的に起こることが望ましい主骨格の架橋点と架橋点と間の加水分解が加速される。
〔3.高分子材料の使用例〕
本実施形態に係る高分子材料は、医療分野、農業分野、化粧品分野等の広い分野において、徐放性を有する基材として利用することができる。
高分子材料の使用の一例では、高分子材料を、医薬もしくは農薬等の薬剤、肥料、または化粧料等の剤が溶解または懸濁された液体に浸漬する。これにより、当該剤が溶解または懸濁された液体が高分子材料に吸収され、内部に保持される。医薬の場合には、例えば、この高分子材料を、経口または非経口で生体に投与する、あるいは皮膚外用組成物として皮膚に接触させればよい。農薬または肥料の場合には、例えば、この高分子材料を、畑または田に撒く、あるいは植物自体に接触させればよい。化粧料の場合には、例えば、この高分子材料を、皮膚に接触させればよい。
したがって、本発明では、本実施形態に係る高分子材料と医薬もしくは農薬等の薬剤、肥料、または化粧料等の剤が溶解または懸濁された液体とを含む組成物も提供される。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
クレハ社製のポリグリコール酸(PGA,数平均分子量Mn7900)約200mgを、メタノール40mLとトリエチルアミン(PGAに対して1当量)との混合溶媒中で、40℃で2時間撹拌した。溶け残った部分を濾別し、溶媒を除去した後、減圧乾燥をしてPGAメチルの粉末を得た。得られたPGAメチルのMnは5300であった。なお、Mnはゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置(Shodex製「shodex-104」)を用いて測定し、標準ポリメタクリル酸メチルで換算した。
〔実施例1〕
20mLナスフラスコに上述のPGAメチルを100mgとり、そこにジメチルホルムアミド(DMF)5mLを加えて、120℃のオイルバス中で24時間撹拌した。その後溶け残ったPGAメチルを濾別し、そこにDMFにピロメリット酸二無水物(PMDA)を溶かした溶液を所定量加えた。次に、触媒としてDMFで希釈したトリエチルアミン(TEA)を撹拌しながらTEA濃度が5.5mmolになるように所定量加え、40℃のオイルバス中で24時間撹拌した。24時間後、Mnが270のペンタエリトリトールエトキシレート(PEE270)を所定量溶かしたDMF溶液を撹拌しながら加え、良く混合した後シャーレに移し、40℃の雰囲気中で24時間静置し、反応させた。24時間後、シャーレからゲルを取り出し、6mm四方のタブレット状に抜き打ちし、DMFで24時間およびアセトン中で3日間洗浄した。
次いで、作製したゲルを、室温、常圧で24時間、続いて減圧(10Torr)で24時間の条件下で乾燥した。乾燥したゲルの重量を測定した。
乾燥したゲルを、40℃の恒温槽中で、ゲルが完全に浸漬する量のDMFに12時間浸漬し、膨張ゲルの重量を測定した。下式を用いて膨潤度を算出した。
膨潤度=(Ws−Wd)/(d×Wd
ここで、WsはDMF湿潤後のゲルの重量、Wdはゲルの乾燥重量、dはDMF比重である。
得られたゲルの膨潤度を表1に示す。なお、表1に示されているPGAメチルの量は、100mgから濾別して得られたPGAメチルの量を差し引いた量である。
〔実施例2〕
PEE270の代わりにMnが800のペンタエリトリトールエトキシレート(PEE800)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でゲルを作製した。作製したゲルの膨潤度を実施例1と同様の方法で求めた。得られたゲルの膨潤度を表1に示す。
〔実施例3〕
PGAメチルの投入量を500mgにし、溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO)を用いた以外は、実施例2と同様の方法でゲルを作製した。作製したゲルの膨潤度を実施例1と同様の方法で求めた。得られたゲルの膨潤度を表1に示す。
〔実施例4〕
PMDAの代わりに1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPTDA)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でゲルを作製した。作製したゲルの膨潤度を実施例1と同様の方法で求めた。得られたゲルの膨潤度を表1に示す。
〔実施例5〕
DMF中で溶け残ったPGAを濾別せずに、PMDAの代わりにジイソシアン酸イソホロン(IPDI)を用い、触媒としてTEAの代わりにジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)を用いた以外は、実施例2と同様の方法でゲルを作製した。作製したゲルの膨潤度を実施例1と同様の方法で求めた。得られたゲルの膨潤度を表1に示す。
〔比較例1〕
PGAメチルを用いない以外は、実施例1と同様の方法でゲルを作製した。作製したゲルの膨潤度を実施例1と同様の方法で求めた。得られたゲルの膨潤度を表1に示す。
〔比較例2〕
PGAメチルを用いない以外は、実施例4と同様の方法でゲルを作製した。作製したゲルの膨潤度を実施例1と同様の方法で求めた。得られたゲルの膨潤度を表1に示す。
〔比較例3〕
PGAメチルを用いない以外は、実施例5と同様の方法でゲルを作製した。作製したゲルの膨潤度を実施例1と同様の方法で求めた。得られたゲルの膨潤度を表1に示す。
〔比較例4〕
PGAメチルの粉末の膨潤度を実施例1と同様の方法で求めた。PGAメチルの粉末の膨潤度を表1に示す。
Figure 0006336860
実施例1と比較例1、実施例4と比較例2、および実施例5と比較例3とを比較すると、PGAメチルを導入することによって膨潤度が大きくなることがわかる。また、実施例1と実施例2とを比較すると、PEE中のエチレングリコール鎖が長い(架橋点間の距離が長い)方が、膨潤度がより高くなることがわかる。また、実施例2と実施例3と比較例1とを比較すると、PGAメチルの量が多いほど膨潤度が高くなることがわかる。
本発明に係る高分子材料は、医療分野および農業分野等において徐放性材料として幅広く利用することができる。

Claims (6)

  1. 複数の多価アルコール同士が架橋されてなる主骨格と、
    上記多価アルコールの少なくとも一部に架橋された(a)ポリグリコール酸または(b)ポリグリコール酸の末端のカルボキシル基に他の基が付加したポリグリコール酸誘導体である、側鎖と、
    を有し、
    上記多価アルコール同士は、ヒドロキシ基との反応性がある官能基を2つ以上有する多価官能性化合物である多価カルボン酸無水物またはジイソシアネート化合物によって架橋されている高分子材料。
  2. 上記多価アルコールは、エリトリトール、ペンタエリトリトール、およびペンタエリトリトールエトキシレートからなる群より選択される、請求項1に記載の高分子材料。
  3. 記多価アルコールと上記ポリグリコール酸または上記ポリグリコール酸誘導体との間は、ヒドロキシ基との反応性がある官能基を2つ以上有する多価官能性化合物によって架橋されている、請求項1または2に記載の高分子材料。
  4. 上記多価官能性化合物は、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、またはジイソシアン酸イソホロンである、請求項3に記載の高分子材料。
  5. 上記ポリグリコール酸または上記ポリグリコール酸誘導体は、数平均分子量が1,000〜10,000である、請求項1〜4の何れか1項に記載の高分子材料。
  6. 上記ポリグリコール酸誘導体は、ポリグリコール酸メチルである、請求項1〜5の何れか1項に記載の高分子材料。
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