JP6335877B2 - ウイルス感染を治療する方法および組成物 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、抗ウイルス活性を有するアルテミシニン誘導体の使用を含む、ウイルス複製を阻害し、ウイルス感染、ウイルス疾患および障害を治療する組成物および方法に関する。
発明の背景
化合物アルテミシニンは、キンガオス(III)としても公知で、アルテミシア・アニュア(Artemisia annua)内で生成される四環式1,2,4−トリオキサンであり、McChesneyらへの米国特許第4,920,147号に記載される。アルテミシニン、ならびにその誘導体であるジヒドロアルテミシニン(DHA)(IV)、アルテメテル(V)およびアルテスネート(VI)(図1)は、Scheiweへの米国特許第6,306,896号に記載された通り、主としてマラリアの治療に用いられてきた。
アルテミシニンおよびその合成誘導体に関する化学試験では、不安定性の原因がアルテミシニンまたはその誘導体ジヒドロアルテミシニンのトリオキサン部分の容易な開環にあることが示されている。開環により、還元を受け易い遊離過酸化水素がもたらされる。この基を除去すれば、薬物活性が確実に破壊され、還元生成物はデスオキソ代謝産物に変換される。容易に開環させないために、C−10の酸素原子を除去して10−デオキシジヒドロアルテミシニンを提供することができるか、または他の基に置換することもできる。これが、一般には10−デオキシアルテミシニン誘導体である、いわゆる「第二世代」化合物の原理をもたらした。加えて、C−9に様々な置換基を有するアルテミシニンの誘導体も、調製された。
C−10の酸素原子がアミン基に置換されたアルテミシニン誘導体が製造された。例えば、Yangら(Biorg.Med.Chem.Lett.,1995,5,1791−1794)は、C−10の酸素原子が−NHAr(ここでArは、フェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−ブロモフェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、3−カルボキシルフェニル、または4−カルボキシルフェニル基を表す)に置換された10種の新しいアルテミシニン誘導体を合成した。これらの化合物は、プラスモジウム・ベルゲイ(Plasmodium berohei)のK173株に対するin vivo活性について試験し、活性であることがわかった。
米国特許第6,984,640号および米国特許出願公開第2005/0119232号には、マラリア、ネオスポラ症およびコクシジウム病を起こす、それぞれプラスモジウム属、ネオスポラ属またはアイメリア属の寄生虫、とりわけプラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、ネオスポラ・カニヌム(Neospora caninum)およびアイメリア・テネラ(Eimeria tenella)への感染により引き起こされた疾患の治療に効果的であることが開示された、アルテミシニンの特定のC−10置換誘導体が開示される。開示された化合物は、寄生虫感染により引き起こされた疾患の治療および/または予防において使用される、一般式I:
Figure 0006335877
(式中、Yは、ハロゲン原子、場合により置換されたシクロアルキル、アリール、C結合テロアリールもしくはヘテロシクリルアルキル基、または基−NRを表し;ここでRは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニルもしくはアルキニル基を表し;Rは、場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキル基を表すか、あるいはRおよびRは、介在する窒素原子と共に、場合により置換された複素環基、または場合により置換されたアミノ酸エステルから誘導されたアミノ基を表す)で示されるもの、またはその塩である。
アルテミシニン誘導体であるアルテミソン、とりわけアルテミシド(artemiside)が、トキソプラズマ・ゴンジイ(Toxoplasma gondii)の高度阻害を呈することがDunayら(Antimicrob Agents Chemother.2009,53(10),4450−4456)により示され、そしてプラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)への顕著な効果を有することがGuoら(Antimicrob Agents Chemother.2012,56(1),163−173)により示された。アルテミソンは、前臨床in vitroおよびin vivoスクリーニングにおいて神経毒性を誘発しない現在用いられている臨床アルテミシニン類とは異なる。パイロット耐容性試験において、雄ラットへの14日間の50mg/kgアルテミソン治療は、対照に比較して全く効果を有さなかった。ヒト内皮細胞の増殖および新しい血管の生成に関する試験では、アルテミソンがジヒドロアルテミシニンよりも抗血管新生性が有意に低いことが示され、妊娠期にアルテミソンを使用することがより安全となり得ることが示唆された(D’Alessandro et al.,Toxicology,2007,241,66−74)。尿素誘導体RW177を含むより新しい極性誘導体も、マラリア寄生虫に対するナノモル以下の活性を有することが示された(該誘導体の構造については、図1を参照されたい)。
本発明の発明者の一人への米国特許第6,649,647号には、細胞毒性および抗腫瘍活性を有するトリオキサン部分を含有する化合物、とりわけ特定のアルテミシニン誘導体、ならびに癌の治療におけるそれらの使用が開示されている。これらの化合物の幾つかは、核酸に結合し得るリガンドと、核酸との化学的相互作用が可能なフリーラジカルの供給源として作用し得るトリオキサン部分を含む基と、を含む。そのような化合物と、そのような化合物を含有する医薬組成物と、の調製方法も示されている。
ウイルス感染は、世界全体での感染疾患による死亡および感染疾患の罹患のうちで非常に大きな割合を占める。サイトメガロウイルス(CMV)、例えばβヘルペスウイルスは、AIDS患者および造血幹細胞移植(HSCT)または固形臓器移植のレシピエントをはじめとする免疫無防備状態の患者における罹患および死亡の主な原因である。CMVは、先天性感染の主因でもあり、新生児の1%以下に影響を及ぼして、神経障害および聴覚損失を誘発する。先天性CMVによる公的健康負担が相当な量に及ぶにもかかわらず、出生前抗ウイルス治療として、利用が確立されたものはない。
移植施設において、予防的抗ウイルス療法の広範な使用により、早発性CMV疾患の発生が低減したが、晩発性疾患の発症は、次第に認識されている。予防的抗ウイルス戦略としては、(a)移植後の血中のCMV抗原またはCMV DNAが陽性となった患者における先制的治療、および(b)生着時にリスクのある患者全てで開始されて移植後100日まで継続される、全身への予防(universal prophylaxis)が挙げられる。
ガンシクロビル、ホスカルネットおよびシドホビルをはじめとする現在入手可能な抗CMV薬の全てが、ウイルスDNAポリメラーゼをターゲットとしている。これらの薬物は効果的ではあるが、毒性、経口生物学的利用度が低いこと、高コスト、および催奇形性により、使用が限定される。加えて、長期的または反復的抗ウイルス治療が、薬物耐性、そして場合により多剤への交叉耐性の発生に導く可能性がある。
ウイルス感染治療にアルテミシニン誘導体が示唆された。米国特許出願公開第2008/0161324号に、アルテミシニンがウイルス疾患を治療する上で他の薬剤と併用すると有用になる可能性が示唆されている。アルテスネートは、サイトメガロウイルス(CMV)の複製を阻害することが示され(Efferth et al.,J.Mol.Med.,2002,80(4),233−242)、CMV感染を治療するのに用いられてきた(Shapira et al.,Clin.Infect.Dis.,2008,46(9),1455−1457)。
先の参考資料のいずれも、ウイルス感染およびそれによる疾患を治療する際の10−アルキルアミノアルテミシニン誘導体の使用を開示または示唆していない。
つまり、効果的かつ安全であり高い経口生物学的利用度を有する抗CMV薬が、明らかに必要とされている。加えて、ウイルス感染を治療する新規な治療様式の重大なアンメットメディカルニーズが、依然として存在する。
発明の概要
本発明は、抗ウイルス活性を有するアルテミシニン誘導体の使用を含む、ウイルス複製、ウイルス感染、ならびにウイルス疾患および障害を治療、減弱、または阻害する組成物および方法を提供する。
本発明は一部として、複数のアルテミシニン誘導体が単独または他の抗ウイルス薬と併用でCMVを治療する際に高い効力をもたらす、という予期されなかった発見に基づいている。任意の理論または作用機序に束縛されるものではないが、本発明のアルテミシニン誘導体は、ヒトCMVウイルスの前初期(IE)遺伝子発現を阻害することが可能である。
一実施形態において、本発明は、式I:
Figure 0006335877
(式中、Yは、基−NRを表し、ここで、
(i)Rは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基を表し、Rは、場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキル基を表す;
(ii)RおよびRは、介在する窒素原子と共に、複素環基、または場合により置換されたアミノ酸エステルから誘導されたアミノ基を表す;あるいは
(iii)Rは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し、Rは、−X(=Z)−A基を表す、
かのいずれかであり;ここで
Xは、炭素原子、硫黄原子、スルホキシド基S=O、または基PR、P−O−RもしくはP−N(R)−Rを表し、ここでRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し;
Zは、酸素原子、硫黄原子または基NRを表し、ここでRは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し;
Aは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基、またはN(R、NHNH、NRNHR、NRN(R、OR、SR、10α−ジヒドロアルテミシニル、ORおよびNRから選択される基を表し、ここで各Rは、独立して、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し、Rは、介在する基と共に場合により置換された複素環基を表すRまたはRに、置換基として付着された結合を表す)
で示される抗ウイルス活性を有する化合物、またはその塩もしくは溶媒和物の治療有効量を含む医薬組成物を、必要とする対象に投与するステップを含む、必要とする対象においてウイルス感染を治療する方法を提供する。
各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
幾つかの実施形態において、本発明は、ウイルス感染を治療する際に用いられる、本明細書に定義された式Iで示される抗ウイルス活性を有する化合物の治療有効量を含む医薬組成物を提供する。
別の実施形態において、本発明は、ウイルス感染を治療する薬剤を調製する際の、本明細書に定義された式Iで示される抗ウイルス活性を有する化合物の使用を提供する。
一実施形態において、本明細書に定義された式Iで示される化合物の抗ウイルス活性は、抗サイトメガロウイルス活性である。特定の実施形態において、本発明の抗サイトメガロウイルス活性を有する化合物は、IE遺伝子の発現を阻害する。
特定の実施形態において、ウイルス感染は、ヘルペスウイルス感染である。追加の実施形態において、ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)およびエプスタイン・バーウイルス(EBV)から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。別の実施形態において、ウイルス感染は、フラビウイルス感染である。特定の実施形態において、フラビウイルスは、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)である。更なる実施形態において、ウイルス感染は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染またはC型肝炎ウイルス(HCV)感染である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。模範的実施形態において、ウイルス感染は、サイトメガロウイルス感染、特にヒトサイトメガロウイルス感染である。特定の実施形態において、サイトメガロウイルスは、公知の抗ウイルス薬に耐性のあるウイルス株である。別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、先天性感染の症例に効果的である。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、特に移植レシピエントをはじめとし、免疫抑制患者においてCMV感染を治療、減弱または抑制するのに効果的である。
幾つかの実施形態において、本発明は、式I:
Figure 0006335877
(式中、Yは、基−NRを表し、ここで、
(i)Rは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基を表し、Rは、場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキル基を表すか;
(ii)RおよびRは、介在する窒素原子と共に、複素環基、または場合により置換されたアミノ酸エステルから誘導されたアミノ基を表すか;あるいは
(iii)Rは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し、Rは、−X(=Z)−A基を表す、
のいずれかであり;ここで
Xは、炭素原子、硫黄原子、スルホキシド基S=O、または基PR、P−O−RもしくはP−N(R)−Rを表し、ここでRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し;
Zは、酸素原子、硫黄原子または基NRを表し、ここでRは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し;
Aは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基、またはN(R、NHNH、NRNHR、NRN(R、OR、SR、10α−ジヒドロアルテミシニル、ORおよびNRから選択される基を表し、ここで各Rは、独立して、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し、Rは、介在する基と共に場合により置換された複素環基を表すRまたはRに、置換基として付着された結合を表す)
で示される抗ウイルス活性を有する化合物、またはその塩もしくは溶媒和物の治療有効量を含む医薬組成物を、必要とする対象に投与するステップを含む、ウイルス複製を抑制する方法を提供する。
各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
特定の実施形態において、ウイルス複製を抑制する方法は、細胞または臓器培養物中でウイルス複製を抑制することを含むex vivo法である。
別の実施形態において、本発明は、ウイルス複製を抑制する際に用いられる、本明細書に定義された構造式Iにより表される抗ウイルス活性を有する化合物の治療有効量を含む医薬組成物を提供する。
様々な実施形態において、本発明は、ウイルス複製を抑制する薬剤の調製における、本明細書に定義された式Iで示される抗ウイルス活性を有する化合物の使用を提供する。
一実施形態において、本明細書に定義された式Iで示される化合物の抗ウイルス活性は、抗サイトメガロウイルス活性である。特定の実施形態において、本発明の抗サイトメガロウイルス活性を有する化合物は、IE遺伝子の発現を阻害する。
特定の実施形態において、ウイルス複製は、ヘルペスウイルス複製である。別の実施形態において、ウイルス複製は、フラビウイルス複製である。一実施形態において、ウイルス複製は、サイトメガロウイルス複製、特にヒトサイトメガロウイルス複製である。特定の実施形態において、サイトメガロウイルスは、公知の抗ウイルス薬に耐性のあるウイルス株である。
幾つかの実施形態において、本発明の抗ウイルス活性を有する化合物は、構造式VII:
Figure 0006335877
(式中、RおよびRは、介在する窒素原子と共に、非芳香族複素環基を表す)
により表される。
幾つかの実施形態において、本発明の抗ウイルス活性を有する化合物は、構造式VIII:
Figure 0006335877
により表される10α−(4’−(S,S−ジオキソチオモルホリン−1’−イル)−10−デオキソ−10−ジヒドロアルテミシンである。
更なる実施形態において、本発明の抗ウイルス活性を有する化合物は、構造式IX:
Figure 0006335877
により表される。
別の実施形態において、本発明の抗ウイルス活性を有する化合物は、構造式X:
Figure 0006335877
(式中、Rは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し;
Xは、炭素原子、硫黄原子、スルホキシド基S=O、または基PR、P−O−RもしくはP−N(R)−Rを表し、ここでRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し;
Zは、酸素原子、硫黄原子または基NRを表し、ここでRは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し;
Aは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基、またはN(R、NHNH、NRNHR、NRN(R、OR、SR、10α−ジヒドロアルテミシニル、ORおよびNRから選択される基を表し、ここで各Rは、独立して、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し、Rは、介在する基と共に場合により置換された複素環基を表すRまたはRに、置換基として付着された結合を表す)
により表される。
更なる実施形態において、本発明の抗ウイルス活性を有する化合物は、Rが、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し;Xが、炭素原子、硫黄原子、またはスルホキシド基S=Oを表し;Zが、酸素原子または硫黄原子を表し;Aが、N(R、NHNH、NRNHR、またはNRN(R基を表し、ここで各Rが、独立して、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表す、構造式Xにより表される。
別の実施形態において、本発明の抗ウイルス活性を有する化合物は、pH7.2で40mg/Lを超える水溶解度を有する。幾つかの実施形態において、本発明の抗ウイルス活性を有する化合物は、約2.0〜3.0の範囲内のlogPを有する。特定の実施形態において、本発明の抗ウイルス活性を有する化合物は、in vivoでジヒドロアルテミシニンに実質的に変換することができない。
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬的に許容し得る担体または賦形剤を更に含む。
様々な実施形態において、本発明の医薬組成物は、経口、経直腸、筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内、鼻内、動脈内、膀胱内、眼内、経皮および局所からなる群より選択される経路を介した投与に好適である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
幾つかの態様および実施形態によれば、本発明の医薬組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、ペレット、顆粒、粉末、ロゼンジ、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル、懸濁液、分散液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアロゾル、軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射溶液、および滅菌包装粉末からなる群より選択された形態である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
追加の実施形態において、本発明の抗ウイルス活性を有する化合物は、少なくとも1種の他の抗ウイルス薬と併用で共投与される。模範的で非限定的な実施形態としては、本発明の抗ウイルス活性を有する化合物と、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドホビル、アシクロビル、およびバラシクロビルからなる群より選択される抗ウイルス薬との共投与が挙げられる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
特定の実施形態において、本発明の抗ウイルス活性を有する化合物は、少なくとも1種の他の抗ウイルス薬と共に、少なくとも相加的である治療性抗ウイルス効果をもたらす。
更なる実施形態において、本発明の抗ウイルス活性を有する化合物と少なくとも1種の他の抗ウイルス薬との共投与は、単一の混合組成物、実質的に同時に投与される分離された個別の組成物、および別のスケジュールで投与される分離した個別の組成物から選択されるレジメンで実施される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
更に別の実施形態において、本発明は、本明細書に定義された式Iで示される抗ウイルス活性を有する化合物の治療有効量を含む医薬組成物を、必要とする対象に投与するステップを含む、必要とする対象において、腫瘍の発症に関連する腫瘍調節活性(oncomodulatory activity)を有するウイルス感染を治療する方法を提供する。
追加の実施形態において、腫瘍の発症に関連する腫瘍調節活性を有するウイルス感染を治療する際に使用される、本明細書に定義された式Iで示される抗ウイルス活性を有する化合物の治療有効量を含む医薬組成物が、本明細書において提供される。
更なる実施形態において、本発明は、腫瘍の発症に関連する腫瘍調節活性を有するウイルス感染を治療する薬剤を調製する際の、本明細書に定義された式Iで示される抗ウイルス活性を有する化合物の使用を提供する。
特定の実施形態において、腫瘍は、サイトメガロウイルス感染を伴うグリオブラストーマである。別の実施形態において、腫瘍は、サイトメガロウイルス感染を伴う結腸癌または前立腺癌である。別の実施形態において、腫瘍は、エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染を伴うバーキットリンパ腫である。別の実施形態において、腫瘍は、EBV感染を伴うホジキンリンパ腫である。別の実施形態において、腫瘍は、EBV感染を伴う移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)である。更に別の実施形態において、腫瘍は、EBV感染を伴う鼻咽頭癌である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の説明および図面から明白となろう。
複数のアルテミシニン誘導体の分子構造を示す図である。 図2A:アルテミソンとのインキュベーション後のCMVプラーク形成の阻害を示すアルテミソン用量反応曲線である。このアッセイのアルテミソンIC50値は、1.2μMであった。 図2B:アルテミソンとのインキュベーション後のCMV DNA蓄積の阻害を示す、アルテミソン用量反応曲線である。 図3A:アルテスネートとのインキュベーション後のCMVプラーク形成の阻害を示すアルテスネート用量反応曲線である。このアッセイのアルテスネートIC50値は、15μMであった。 図3B:アルテスネートとのインキュベーション後のCMV DNA蓄積の阻害を示す、アルテスネート用量反応曲線である。 感染(hpi)から24時間および72時間後の、CMV前初期(IE)および初期−後期(pp65)ウイルス遺伝子の発現の免疫蛍光顕微鏡検査結果を示す。 図5A:未治療感染細胞対照と薬物治療された感染細胞との対比によるHCMV IE抗原陽性細胞を示す。 図5B:未治療感染細胞対照と薬物治療された感染細胞との対比によるHCMV pp65抗原陽性細胞を示す。比較するために、未治療感染細胞対照における抗原陽性細胞を100%として表す。 HCMV感染および非感染脱落膜臓器培養物の組織病理学分析結果を示す。図6A〜6B:培養開始時および8日目に調製された非感染脱落膜培養物のH&E染色切片(5ミクロン)である。矢印は、脱落膜の表面上皮を指す。図6C〜6D:6dpiで得た、H&E染色を受けたHCMV PT30株(10PFU/ウェル)に感染させた2種の異なる培養切片を示す。黒い矢印は、「フクロウの目」封入体を有する感染細胞を示し;白い矢印は、顆粒状の細胞質内封入体を示し、黒い矢じりは、核形不整の濃染核を示す。図6E〜6F:6dpiで得た、ウイルス前初期(IE)(核染色を示す)蛋白質および早期−後期(pp65)(主に細胞質染色を示す)蛋白質の免疫組織化学分析を受けたHCMV PT30株(10PFU/ウェル)に感染させた培養切片を示す。 図6A〜6B:培養開始時および8日目に調製された非感染脱落膜培養物のH&E染色切片(5ミクロン)である。矢印は、脱落膜の表面上皮を指す。 図6C〜6D:6dpiで得た、H&E染色を受けたHCMV PT30株(10PFU/ウェル)に感染させた2種の異なる培養切片を示す。黒い矢印は、「フクロウの目」封入体を有する感染細胞を示し;白い矢印は、顆粒状の細胞質内封入体を示し、黒い矢じりは、核形不整の濃染核を示す。 図6C〜6D:6dpiで得た、H&E染色を受けたHCMV PT30株(10PFU/ウェル)に感染させた2種の異なる培養切片を示す。黒い矢印は、「フクロウの目」封入体を有する感染細胞を示し;白い矢印は、顆粒状の細胞質内封入体を示し、黒い矢じりは、核形不整の濃染核を示す。 図6E〜6F:6dpiで得た、ウイルス前初期(IE)(核染色を示す)蛋白質および早期−後期(pp65)(主に細胞質染色を示す)蛋白質の免疫組織化学分析を受けたHCMV PT30株(10PFU/ウェル)に感染させた培養切片を示す。 図6E〜6F:6dpiで得た、ウイルス前初期(IE)(核染色を示す)蛋白質および早期−後期(pp65)(主に細胞質染色を示す)蛋白質の免疫組織化学分析を受けたHCMV PT30株(10PFU/ウェル)に感染させた培養切片を示す。 脱落膜培養物中のHCMV感染動態。脱落膜臓器培養物を、HCMV(10PFU/ウェル)で感染させた。図7A.モック感染細胞;図7B.2日目;図7C.3日目;および図7D.5日目の、共焦顕微鏡検査により検出された生存組織中のPT30株感染細胞の画像である。 図7B.2日目 図7C.3日目;および図7D.5日目の、共焦顕微鏡検査により検出された生存組織中のPT30株感染細胞の画像である。 図7C.3日目;および図7D.5日目の、共焦顕微鏡検査により検出された生存組織中のPT30株感染細胞の画像である。 脱落膜培養物中のHCMV感染動態である。PNase P遺伝子のDNAコピーにより標準化された、示されたウイルス株による感染後の組織溶解物中のウイルスDNA蓄積である。PT30:u;TB40/E:n;AD169:△;およびCI851:×。 感染させた脱落膜培養物中のHCMVの細胞指向性を示す図である。10dpiで、UL83(pp65)融合GFPを発現するHCMV TB40/E株に感染させ、示された細胞型に対するモノクローナル抗体で染色し、DAPIで対比染色し、細胞核を視覚化した脱落膜培養物から、凍結切片を調製した。ウイルス(GFPで標識)と特異的細胞マーカとの共局在を、共焦顕微鏡像検査により分析した。矢印は、共局在を示す細胞、特異的細胞マーカとの共局在を示さなかった感染細胞、および染色させた非感染細胞を指している。CK7.サイトケラチン7;vWF.フォン・ヴィレブランド因子;Vim.ビメンチン。 抗ウイルス薬(GCV:●;ACV:■)による脱落膜臓器培養物におけるHCMV感染の阻害を示す。結果は、未治療培養物中に存在する標準化HCMV DNAの量のパーセント率±標準誤差として表す。エラーバーは、標準誤差が低値であるために即座に見ることができない。治療された脱落膜培養物と未治療の脱落膜培養物との間に有意差が認められた(対応のある両側t検定によりp<0.05)。 HCMV高度免疫グロブリン(HIG)による、脱落膜臓器培養物中のHCMV感染の中和および吸着後阻害を示す図である。図11A:ウイルス中和を検査するために、HCMV HIGの示された希釈物を、HCMV TB40/E株の10PFUと共に感染前に1時間インキュベートした。 図11B:吸着後24時間目に感染細胞を十分に洗浄した後、HCMV HIGの示された希釈物を感染させた脱落膜培養物(10PFU/ウェル)の培地に添加した。脱落膜組織溶解物中のウイルスDNAを8dpiに定量し、値をRNase P DNAコピーにより標準化した。結果は、未治療培養物中に存在する標準化HCMV DNAの量のパーセント率として表す。アスタリスクは、治療された脱落膜培養物と未治療の脱落膜培養物との有意差を示す(対応のある両側t検定によりp<0.05)。
発明の詳細な説明
本発明は、抗ウイルス活性、特に抗CMV活性を有するアルテミシニン誘導体の使用を含む、ウイルス複製、ウイルス感染、ならびにウイルス疾患および障害を治療、予防、減弱、および阻害する組成物および方法を提供する。
HCMV遺伝子発現は、ウイルス遺伝子の3つの一般的分類:前初期(IE、主にIE1およびIE2)遺伝子、主にウイルスDNA合成において役割を演じる遺伝子を含む後期−初期遺伝子、およびビリオン構成成分をコードする後期ウイルス遺伝子、に関係する事象の高度に協調的な連鎖を介して起こる。HCMVの複製周期は緩やかであり、子孫の放出を開始するのに48〜72時間を要するが、IE遺伝子産物の発現は、ウイルス侵入の直後に開始し、感染後24時間目に明確に検出され得る。早期に発現するウイルスの機能は、感染の後期において調節的役割を担う。早期から後期への切り替えは、感染後24〜36時間までは遅延的で、ウイルスDNA合成の際に起こり、感染後72〜96時間目に存在する後期遺伝子発現が最大レベルになる。
ガンシクロビルをはじめとする現在認可されている抗HCMV薬は全て、ウイルスDNAポリメラーゼを阻害し、つまりIE遺伝子発現を阻害せず、むしろ後期遺伝子発現を阻害する。
本発明は、本発明は一部として、複数の10−アミノアルテミシニン誘導体がHCMV複製の早期段階および後期段階を遮断することが可能である、という予期されなかった発見に基づいている。意外にも本発明の化合物は、感染後に発現する最初の遺伝子であるウイルスIE遺伝子の発現を効果的に阻害することが示された。早期遺伝子発現を阻害する能力が、後期ウイルス遺伝子発現のみに影響を及ぼす、これまで知られた抗ウイルス薬を上回る顕著な利点を提供する。
こうして本発明は、式I:
Figure 0006335877
(式中Yは、基−NRを表す)で示される抗ウイルス活性を有する化合物、またはその塩もしくは溶媒和物の治療有効量を、必要とする対象に投与すること、それにより該対象におけるウイルス感染を治療することを含むステップを含む、必要とする対象においてウイルス感染を治療する方法を提供する。
幾つかの態様および実施形態において、Rは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基を表し、Rは、場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキル基を表す。
別の態様および実施形態において、RおよびRは、介在する窒素原子と共に、複素環基、または場合により置換されたアミノ酸エステルから誘導されたアミノ基を表す。
更に別の態様および実施形態において、Rは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し、Rは、−X(=Z)−A基を表し、ここで
Xは、炭素原子、硫黄原子、スルホキシド基S=O、または基PR、P−O−RもしくはP−N(R)−Rを表し、ここでRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し;
Zは、酸素原子、硫黄原子または基NRを表し、ここでRは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し;
Aは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基、またはN(R、NHNH、NRNHR、NRN(R、OR、SR、10α−ジヒドロアルテミシニル、ORおよびNRから選択される基を表し、ここで各Rは、独立して、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し、Rは、介在する基と共に場合により置換された複素環基を表すRまたはRに、置換基として付着された結合を表す。
各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
様々な実施形態において、本発明の抗ウイルス活性を有する化合物は、本明細書の以下に定義された式VII、VIIIXまたはX:
Figure 0006335877
(式中、RおよびRは、介在する窒素原子と共に、非芳香族複素環基を表す);
Figure 0006335877
Figure 0006335877
Figure 0006335877
(式中、Rは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し;
Xは、炭素原子、硫黄原子、スルホキシド基S=O、または基PR、P−O−RもしくはP−N(R)−Rを表し、ここでRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し;
Zは、酸素原子、硫黄原子または基NRを表し、ここでRは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し;
Aは、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基、または基N(R、NHNH、NRNHR、もしくはNRN(R、または基ORもしくはSR(ここで各Rは、独立して、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表す)または10α−ジヒドロアルテミシニル基を表すか、あるいはAは、基ORまたはNR(ここで各Rは、先に定義された基を表し、Rは、介在する基−X(=Z)−(ここでZは、基NRを表す)と共に場合により置換された複素環基を形成するRに、置換基として付着する結合を表すか、またはRは、介在する基−N−X(=Z)−と共に場合により置換された複素環基を形成するRに、置換基として付着する結合を表す)を表す)のいずれかにより表される。
各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
本明細書において、ウイルス感染を治療する薬剤の調製のための、式I、VII、VIII、IXまたはXのいずれかの抗ウイルス活性を有する化合物の使用が、開示される。本発明は更に、ウイルス感染を治療する際に使用される、式I、VII、VIII、IXもしくはXのいずれかの抗ウイルス活性を有する化合物、またはそれを含む医薬組成物を提供する。
本明細書で用いられる用語「治療すること」は、治療される状態、障害または疾患に関連する、または誘発された少なくとも1種の症状の消失、軽減、または緩和を包含する。幾つかの実施形態において、本明細書で用いられる用語「治療すること」は、ウイルス量の減少を伴うウイルス複製の阻害を指す。したがって用語「治療すること」は、更に、予防的または先制的治療、即ち感染していない患者、または感染していて無症候の患者における感染および疾患の予防を包含する。一実施形態において、治療は、ex vivoで実施される。本明細書で用いられる用語「治療有効量」は、対象に単回または反復投与すると効果的になり対象への治療的利益を提供する、薬剤量を指す。一実施形態において、治療的利益は、ウイルス活性を阻害することである。本明細書で用いられる用語「投与すること」は、本発明の化合物または組成物と接触させることを指す。投与は、細胞もしくは組織培養物に、または生存している生物体、例えば哺乳動物、特にヒトに遂行することができる。
式I、VII、VIII、IXもしくはXのいずれかの抗ウイルス活性を有する化合物、または該化合物および医薬的に許容し得る担体もしくは賦形剤を含む組成物を投与するステップを含む、ウイルス複製を抑制する方法は、本発明の範囲内である。追加の実施形態は、ウイルス複製を抑制する薬剤の調製のための、式I、VII、VIII、IXまたはXのいずれかの抗ウイルス活性を有する化合物の使用を提供する。幾つかの態様および実施形態によれば、本発明は、ウイルス複製を抑制する際に使用される、式I、VII、VIII、IXもしくはXのいずれかの抗ウイルス活性を有する化合物、または該物質を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、本明細書で提供される方法および使用は、細胞または臓器培養物を、式I、VII、VIII、IXもしくはXのいずれかの抗ウイルス活性を有する化合物、または該化合物および医薬的に許容し得る担体もしくは賦形剤を含む組成物と接触させるステップを含む、細胞または臓器培養物においてウイルス複製を抑制することに関する。
式IのRにより表されるアルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、幾つかの実施形態において、置換される。別の実施形態において、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、非置換である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
式IのRもしくはRにより表される、または式XのR、AもしくはZにより表される、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキル基は、幾つかの実施形態において置換される。別の実施形態において、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキル基は、非置換である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
本明細書で提供される10−アミノアルテミシニン誘導体は、極度に高い抗ウイルス効力を示す。この特性を優れた安全性および耐容性プロファイルと併せることで、それらは、ウイルス感染ならびにそれにより生じた疾患および障害の治療に関して興味深い選択肢となる。
別の実施形態において、式IのYは、RおよびRが介在する窒素原子と共に非芳香族複素環基を形成する、基−NRを表す。別の実施形態において、非芳香族複素環基は、置換される。別の実施形態において、非芳香族複素環基は、非置換である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態において、非芳香族複素環基は、極性部分で置換される。
別の実施形態において、非芳香族複素環基は、ピペラジンである。特定の実施形態において、非芳香族複素環基は、モルホリンである。別の実施形態において、非芳香族複素環基は、チオモルホリンである。別の実施形態において、非芳香族複素環基は、モルホリノ−スルホンである。別の実施形態において、非芳香族複素環基は、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、およびモルホリノスルホニルからなる群より選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
特定の実施形態において、本発明の化合物は、アルテミソン(式VIII)である。「10α−(4’−(S,S−ジオキソチオモルホリン−1’−イル)−10−デオキソ−10−ジヒドロアルテミシン」および「BAY44−9585」としても公知のアルテミソンは、Bayer AG(ドイツ)から入手可能である。
別の実施形態において、本発明の化合物は、10α−(4’−ベンジルピペラジン−1’−イル)−10−デオキソ−10−ジヒドロアルテミシニンである。
別の実施形態において、本発明の化合物は、10α−(モルホリノ)−10−デオキソ−10−ジヒドロアルテミシンである。
別の実施形態において、本発明の化合物は、10α−(1−(2−ピペリミジル)−ピペラジノ)−10−デオキソ−10−ジヒドロアルテミシニンである。
別の実施形態において、本発明の化合物は、10α−(スルフアミノ)−ジヒドロアルテミシニンである。
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、Rが水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表し;Xが炭素原子、硫黄原子、またはスルホキシド基S=Oを表し;Zが酸素原子または硫黄原子を表し;AがN(R、NHNH、NRNHR、またはNRN(R(ここで各Rは、独立して、水素原子、または場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル基を表す)を表す、構造式Xにより表される。
特定の実施形態において、本発明の化合物は、Yが−NR基を表し、Rが水素原子を表し、Rが−X(=Z)−A基を表し、ここでXがスルホキシド基S=Oを表し、Zが酸素原子を表し、AがNH基を表す、構造式Iにより表される。
アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、他に指示がなければ、直鎖状または分枝状であってもよく、12以下、6以下、または4以下の炭素原子を含んでいてもよい。アルキル基の非限定的例は、メチル、エチル、プロピルおよびブチルである。幾つかの実施形態において、アルケニルまたはアルキニル基は、アルカ−1−エニルまたはアルカ−1−イニル基ではない。これらの実施形態によれば、二重または三重C−C結合の一部を形成する炭素原子と、その基が付着する窒素原子との間に、少なくとも1つのメチレン基−CH−または類似のsp−混成軌道の中心が存在する。アルケニルおよびアルキニル基の非限定的例としては、プロペニル、ブテニル、プロピニルおよびブチニル基が挙げられる。アルキル部分が別の基の一部、例えばアラルキル基のアルキル部分を形成する場合、それは、6以下、または4以下の炭素原子を含んでいてもよい。模範的アルキル部分は、メチルおよびエチルである。
アリール基は、任意の芳香族炭化水素基であってもよく、6〜24、好ましくは6〜18、より好ましくは6〜16、とりわけ6〜14の炭素原子を含んでいてもよい。アリール基の非限定的例としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、およびピリル基、とりわけフェニルまたはナフチル、特にフェニル基が挙げられる。アリール部分が別の基の一部、例えばアラルキル基のアリール部分を形成する場合、それは、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルまたはピリル、とりわけフェニルまたはナフチル、特にフェニル部分であってもよい。
アラルキル基は、アリール基により置換された任意のアルキル基であってもよい。適切なアラルキル基は、7〜30個、特に7〜24個、とりわけ7〜18個の炭素原子を含む。アラルキル基の非限定的例としては、ベンジル、ナフチルメチル、アントリルメチル、フェナントリルメチルおよびピリルメチル基が挙げられる。模範的なアラルキル基は、ベンジル基である。
シクロアルキル基は、任意の飽和環状炭化水素基であってもよく、3〜12個、例えば3〜8個、とりわけ3〜6個の炭素原子を含んでいてもよい。シクロアルキル基の非限定的例は、シクロプロピル、シクロペンチル、およびシクロヘキシル基である。
ヘテロアリール基は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む任意の芳香族単環式または多環式環系であってもよい。典型的にはヘテロアリール基は、酸素、硫黄および窒素原子から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、5〜18員、特に5〜14員、とりわけ5〜10員の芳香族環系である。非限定的なヘテロアリール基としては、ピリジル、ピリリウム、チオピリリウム、ピロリル、フリル、チエニル、インドリニル、イソインドリニル、インドリジニル、イミダゾリル、ピリドニル、ピロニル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサゾリル、チアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ピリダジニル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、およびアクリジニル基が挙げられる。C−結合ヘテロアリール基は、ヘテロ芳香族環系中の炭素原子を介して、本発明の化合物の四環式1,2,4−トリオキサン部分に結合された、先に定義されたヘテロアリール基である。
複素環基は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む任意の単環式または多環式環系であってもよく、不飽和または部分飽和または完全飽和であってもよい。つまり用語「複素環式」は、先に定義されたヘテロアリール基、および非芳香族複素環基を包含する。典型的には複素環基は、酸素、硫黄および窒素原子から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む3〜18員、特に3〜14員、とりわけ5〜10員の環系である。複素環基の非限定的例としては、先に挙げられた特定のヘテロアリール基に加え、ピラニル、ピペリジニル、ピロリジニル、ジオキサニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、モルホリノスルホニル、テトラヒドロイソキノリニルおよびテトラヒドロフラニル基が挙げられる。
ヘテロシクリルアルキル基は、複素環基により置換された任意のアルキル基であってもよい。典型的には複素環部分は、先に定義された3〜18員、特に3〜14員、とりわけ5〜10員複素環基であり、アルキル部分は、C1〜6アルキル、またはC1〜4アルキル、例えばメチル基である。
アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、ヒドロキシプロリンまたはフェニルグリシンなどの任意のα−アミノ酸であってもよく、D−配置およびL−配置の両方を含む。アミノ酸エステルは、そのようなアミノ酸の任意のエステル、例えばC1〜4アルキルエステルなどのアルキルエステルであってもよい。
前述の置換基のいずれかが、場合により置換された、と称される場合、場合により存在する置換基は、医薬化合物の開発および/またはそのような化合物の修飾に慣例的に用いられて、構造/活性、安定性、生物学的利用度または他の特性に影響を及ぼすもののうちの任意の1種または複数種であってもよい。そのような置換基の具体的例としては、例えばハロゲン原子、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、シクロアルキル、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ホルミル、アルコキシカルボニル、カルボキシル、アルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホナネート、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルホナネート、カルバモイル、アルキルアミド、アリール、アラルキル、場合により置換されたアリール、複素環式、およびアルキル−またはアリール置換複素環基が挙げられる。前述の置換基のいずれかが、アルキルまたはアルケニル置換基を表すか、または含む場合、これは、直鎖状または分枝状であってもよく、12個以下、6個以下、とりわけ4個以下の炭素原子を含んでいてもよい。シクロアルキル基は、3〜8個、例えば3〜6個の炭素原子を含んでいてもよい。アリール基またはアリール部分は、6〜10個の炭素原子、例えばフェニル基を含んでいてもよい。複素環基または複素環部分は、先に定義された5〜10員環系であってもよい。ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素原子、およびハロ部分を含む任意の基、例えばこれらのハロゲン原子の任意の1つまたは複数を含むハロアルキル基であってもよい。
一態様において、Yは、ハロゲン原子、特にフッ素または臭素、とりわけフッ素原子を表してもよい。
別の態様において、Yは、C3〜8シクロアルキル基、C6〜18アリール基、5〜10員C結合ヘテロアリール基または5〜10員ヘテロシクリル−C1〜6アルキル基を表してもよく、各基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C1〜4ハロアルキル、C1〜4アルコキシ、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4アルキル)アミノ、カルボキシル、C6〜10アリール、5〜10員複素環式、およびC1〜4アルキル−またはフェニル置換された5〜10員複素環基からなる群より選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されていてもよい。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。幾つかの態様および実施形態によれば、Yは、ハロゲン原子、ヒドロキシル、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C1〜4ハロアルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4アルキル)アミノおよびカルボキシル基からなる群より選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されたC6〜18アリール基を表してもよい。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。特にYは、フェニル、ナフチル、アントリルまたはフェナントリル基を表してもよく、各基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、メチル、ビニル、C1〜4アルコキシおよびカルボキシル基からなる群より選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されていてもよい。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
化合物の別の部分群において、Yは、フェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、トリエチルフェニル、ビニルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、トリメトキシフェニル、カルボキシルフェニル、ナフチル、ヒドロキシナフチル、メトキシナフチル、アントリル、またはフェナントリル基を表してもよい。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。Yがフェニルまたはトリメトキシフェニル基を表し得る化合物も、本発明の範囲内に含まれる。
更なる態様において、Yは、Rが水素原子もしくはC1〜6アルキル基を表し、RがC1〜6アルキル、C3〜4シクロアルキル、C6〜10アリールもしくはC7〜16アラルキ基を表すか、またはRおよびRが介在する窒素原子と共に、5〜10員複素環基もしくはアミノ酸のC1〜6アルキルエステルから得られたアミノ基を表し、各基がハロゲン原子、C1〜4アルキル、C1〜4ハロアルキル、C1〜6アルコキシカルボニル、フェニル、ハロフェニル、C3〜4アルキルフェニル、C1〜4ハロアルキルフェニル、C1〜4アルコキシフェニル、ベンジル、ピリジルおよびピリミジニル基からなる群より選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されている、基−NRを表してもよい。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。特にYは、Rが水素原子もしくはC1〜4アルキル基を表し、RがC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、フェニルもしくはベンジル基を表すか、またはRおよびRが介在する窒素原子と共に、6〜10員複素環基、もしくはアミノ酸のC1〜4アルキルエステルから得られたアミノ基を表し、各基がハロゲン原子、C1〜4ハロアルキル、C1〜4アルコキシカルボニル、フェニル、ハロフェニル、C1〜4アルキルフェニル、C1〜4ハロアルキルフェニル、C1〜4アルコキシフェニル、ベンジル、ピリジルおよびピリミジニル基からなる群より選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されている、基−NRを表してもよい。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
これらの化合物の別の部分群において、Yは、プロピルアミノ、シクロペンチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、フェニルアミノ、フルオロフェニルアミノ、クロロフェニルアミノ、ブロモフェニルアミノ、ヨードフェニルアミノ、メトキシカルボニルフェニルアミノ、ビフェニルアミノ、ベンジルアミノ、フルオロベンジルアミノ、ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ、フェニルエチルアミン、フェニルメトキシカルボニルメチルアミノ、ジエチルアミノ、モルホリニル、チオモルホリニル、モルホリノスルホニル、インドリニル、テトラヒドロイソキノリニル、フェニルピペラジニル、フルオロフェニルピペラジニル、クロロフェニルピペラジニル、メチルフェニルピペラジニル、トリフルオロメチルフェニルピペラジニル、メトキシフェニルピペラジニル、ベンジルピペラジニル、ピリジルピペラジニルおよびピリミジニルピペラジニル基を表す。模範的化合物としては、非限定的に、Yがプロピルアミノ、フェニルアミノ、ブロモフェニルアミノ、ヨードフェニルアミノ、ビフェニルアミノ、ベンジルアミノ、ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ、フェニルエチルアミノ、フェニル−メトキシカルボニルメチルアミノまたはモルホリニル基が挙げられる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態において、Yが基−NRを表し、Rがフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−ブロモフェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、3−カルボキシルフェニル、または4−カルボキシルフェニル基である場合には、Rが場合により置換されたアルキル基であることを前提に、本発明の方法は、先に定義された一般式Iで示される化合物を使用する。
本発明の化合物の1種または複数種は、塩として存在し得る。本発明のアルテミシニン誘導体の適切な塩は、塩基付加塩および酸付加塩の両方を包含する。特定の実施形態において、式I、VII、VIII、IXまたはXで示される適切な化合物と適切な酸、例えば有機酸または鉱酸との反応により形成され得る酸付加塩は、本発明により包含される。鉱酸との反応により形成される酸付加塩、とりわけ塩酸または臭化水素酸との反応により形成される塩は、本発明の原理によれば適切である。Yが基−NRを表し、ここでRおよびRが、先に定義された通りである、式Iで示される化合物は、そのような酸付加塩の形成に特に適している。
一般式I、VII、VIII、IXまたはXで示される化合物が、異なる幾何および光学異性体として存在し得ることも、認識されなければならない。つまり本発明は、個々の異性体と、そのような異性体の混合物の両方を包含する。本発明は、本発明の化合物の溶媒和物、および本明細書に記載された塩の溶媒和物も包含する。「溶媒和物」は、本発明の化合物と1種または複数種の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合をはじめとする様々な度合いのイオン結合および共有結合を含む。「溶媒和物」は、溶液相と単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的例としては、エタノラート、メタノラートなどが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子が水である、溶媒和物である。
本発明は、本発明の化合物およびその塩の多形も包含する。用語「多形」は、X線回折、IRまたはラマンスペクトル、融点などの特定の物理的特性により特徴づけ得る、物質の特定の結晶または非晶質状態を指す。
本発明の化合物を製造する方法は、当該技術分野で公知であり、とりわけ米国特許第6,984,640号および米国特許出願公開第2005/0119232号に記載されており、それらの内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
別の実施形態において、本発明の化合物は、pH7.2で40mg/Lを超える水溶解度を示す。別の実施形態において、水溶解度は、約40〜1000mg/Lの範囲内である。更に別の実施形態において、水溶解度は、約30〜1000mg/Lの範囲内である。更に別の実施形態において、水溶解度は、約50〜1000mg/Lの範囲内である。追加の実施形態において、水溶解度は、約60〜1000mg/Lの範囲内である。様々な実施形態において、水溶解度は、約40〜800mg/Lの範囲内である。特定の実施形態において、水溶解度は、約40〜600mg/Lの範囲内である。幾つかの実施形態において、水溶解度は、約40〜400mg/Lの範囲内である。別の実施形態において、水溶解度は、約40〜2000mg/Lの範囲内である。特定の実施形態において、水溶解度は、約20〜1000mg/Lの範囲内である。更に別の実施形態において、水溶解度は、約20〜800mg/Lの範囲内である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
幾つかの態様および実施形態によれば、本発明の化合物は、約2.0〜3.0(初めと終わりを含む)のlogPを示す。本明細書で用いられるlogPは、オクタノール/水分配係数を指す。特定の実施形態において、logPは、約2.1〜2.9(初めと終わりを含む)である。別の実施形態において、logPは、約2.2〜2.8(初めと終わりを含む)である。更に別の実施形態において、logPは、約2.3〜2.7(初めと終わりを含む)である。追加の実施形態において、logPは、約2.1〜3.0(初めと終わりを含む)である。更なる実施形態において、logPは、約2.2〜3.0(初めと終わりを含む)である。別の実施形態において、logPは、約2.0〜2.9(初めと終わりを含む)である。特定の実施形態において、logPは、約2.0〜2.8(初めと終わりを含む)である。特定の実施形態において、logPは、約2.4〜2.8(初めと終わりを含む)である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
幾つかの態様および実施形態によれば、本発明の化合物は、in vivoでジヒドロアルテミシニンに実質的に変換することができない。この特性が、既に低い神経毒性の可能性を低下させることにより、これらの化合物の安全性を増大することが企図される。本明細書で用いられる「実質的に変換された」は、標準的代謝的運命アッセイにより検出可能な程度まで、ジヒドロアルテミシニンにin vivo変換することを指す。代謝的運命アッセイは、当該技術分野で周知であり、例えば、14CまたはHで標識された本発明の化合物をヒト肝臓ミクロゾームに投与し、その後、生成された代謝産物を1Dおよび2D核磁気共鳴(NMR)により同定すること、を含む(Haynes et al.,Angew.Chem.Int.Ed.,2006,45,2082−2088)。別の実施形態において、当該技術分野で公知の任意の他の代謝的運命アッセイが用いられる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
特定の実施形態において、本発明の方法により治療、阻害、減弱または抑制されるウイルス感染は、ヘルペスウイルス感染である。別の実施形態において、ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)1型、HSV2型、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヒトヘルペスウイルス6、ヒトヘルペスウイルス7、およびヒトヘルペスウイルス8(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)からなる群より選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。本明細書で用いられるヒトヘルペスウイルス6は、変異体AおよびBの両方を包含する。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。別の実施形態において、ウイルス感染は、αヘルペスウイルス感染である。特定の実施形態において、ウイルス感染は、βヘルペスウイルス感染である。別の実施形態において、ウイルス感染は、γヘルペスウイルス感染である。更に別の実施形態において、ウイルス感染は、サイトメガロウイルス感染である。模範的実施形態において、ウイルス感染は、ヒトサイトメガロウイルス感染である。別の実施形態において、ウイルス感染は、フラビウイルス感染である。特定の実施形態において、フラビウイルス感染は、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)感染である。更なる実施形態において、ウイルス感染は、B型肝炎ウイルス(HBV)感染またはC型肝炎ウイルス(HCV)感染である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。更なる実施形態において、ウイルス感染は、当該技術分野で公知のウイルス感染の任意の他の型である。
本発明の組成物および方法が、ウイルス感染そのものだけでなく、ウイルス感染により生じた疾患および障害も治療する用途を有することは、当業者に理解されよう。つまり、例えば本発明は、本明細書に定義された式I、VII、VIII、IXもしくはXのいずれかで示される抗ウイルス活性を有する化合物、または前記化合物および医薬的に許容し得る担体もしくは賦形剤を含む医薬組成物の治療有効量を、必要とする対象に投与することを含む、必要とする対象における腫瘍への腫瘍調節活性を有するウイルス感染を治療する方法を提供する。例えば、HCMVは、グリオブラストーマの悪性表現型を調節し得ることを示す幾つかの証拠が存在し、HCMV配列およびウイルス遺伝子発現は、全てではないがほとんどの悪性グリオーマに存在する(Dziurzynski et al.,2012,Neuro−Oncology,doi:10.1093/neuonc/nor227)。つまり幾つかの態様および実施形態によれば、本発明は、本明細書に定義された式I、VII、VIII、IXもしくはXのいずれかで示される抗ウイルス活性を有する化合物、または前記化合物および医薬的に許容し得る担体もしくは賦形剤を含む医薬組成物の治療有効量を、必要とする対象に投与することを含む、必要とする対象において腫瘍、特にサイトメガロウイルスに伴うグリオブラストーマへの腫瘍調節活性を有するウイルス感染を治療する方法を提供する。本発明の方法は、グリオブラストーマ患者のサイトメガロウイルスの直接的な標的化、あるいはグリオブラストーマ患者の形質転換された表現型の調節を包含する。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、サイトメガロウイルスに侵された対象においてグリオブラストーマの発症を予防する、または発症の可能性を低下させる。
更に、CMVが非限定的に結腸癌、前立腺癌などの腫瘍に伴うCMV感染の治療、ならびにEBVが非限定的にバーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、および鼻咽頭癌などの腫瘍に伴うEBVの治療が、本発明に包含される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
本発明の化合物が、ヒトおよび動物におけるウイルス感染および疾患の予防、減弱または治療、および制御に有用であることも、当業者に理解されよう。幾つかの実施形態において、治療は、先天性感染の症例において効果的である。追加の実施形態において、治療は、移植レシピエントをはじめとする免疫抑制患者におけるCMV感染の症例において効果的である。特定の実施形態において、治療は、ex vivoで効果的である。HCMVに感染した新生児、HCMVに感染した妊婦、および移植レシピエントの治療は、本発明の範囲内である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
特定の態様および実施形態において、本発明は、本発明の化合物および少なくとも1種の他の抗ウイルス薬を含む併用療法を提供する。一実施形態において、本発明の化合物は、ウイルスDNAポリメラーゼ阻害剤と併用で用いられる。別の実施形態において、ウイルスDNAポリメラーゼ阻害剤は、ガンシクロビル、ホスカルネット、およびシドホビルからなる群より選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。更に別の実施形態において、ウイルスDNAポリメラーゼ阻害剤は、当業者に公知である、任意の他のウイルスDNAポリメラーゼ阻害剤である。特定の実施形態において、本発明の化合物は、非限定的にガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドホビル、アシクロビル、バラシクロビル、および当業者に公知の任意の他の抗ウイルス薬をはじめとする抗ウイルス薬と併用で用いられる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。追加の実施形態において、本発明の化合物は、マリバビル、レテルモビル(AIC246としても公知)、CMX−001、CMV高度免疫グロブリンおよびCMVモノクローナル抗体のうちのいずれか1つと併用で用いられる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
本発明の組成物が、追加の治療薬(例えば、他の抗ウイルス薬)との併用療法として投与しなければならない場合、治療は、任意の順序で連続して、同時に、またはそれらの組み合わせで実施されてもよい。例えば本発明の化合物の投与は、追加の治療薬(複数可)の投与の前、その投与の後、その投与と同時に実施され得る。例えば全体的な治療期間は、本発明の化合物ごとに決定され得る。追加的薬剤(複数可)は、本発明の化合物での治療の開始前に、または本発明の化合物での治療に続いて、投与され得る。追加として、更なる薬剤(複数可)は、本発明の化合物を投与する期間に投与され得るが、全治療期間にわたり実施する必要はない。別の実施形態において、治療レジメンは、1つの薬剤での前治療に続いて、他の薬剤または複数の他の薬剤の追加を含む。別の投与順序も、企図される。別の投与としては、本発明の化合物の投与に続いて、更なる薬剤を投与し、それに続いて本発明の化合物を投与することを含む。本発明の化合物と更なる薬剤(複数可)との併用の治療効力は、少なくとも相加的である。幾つかの実施形態において、治療効力は、相乗的であり、即ち、成分それぞれの全体的用量を少なくしてもよく、それにより対象の副作用は有意に少なく、それにもかかわらず十分な抗ウイルス効果が実現される。
別の実施形態において、有効成分としての、本明細書に定義された式I、VII、VIII、IXまたはXのいずれかで示される抗ウイルス活性を有する化合物を含む医薬組成物は、医薬的に許容し得る担体または賦形剤を更に含み得る。
医薬的に許容し得る担体または賦形剤は、任意の材料であってもよく、その有効成分は、投与を容易にするように配合される。担体または賦形剤は、通常は気体であるが液体を形成するように圧縮された材料、および通常は医薬組成物を配合する際に用いられる任意の担体または賦形剤を含む、固体または液体であってもよい。典型的には本発明による組成物は、有効成分の重量に対して、0.5〜95重量%含有する。
本発明の化合物は、例えば錠剤、丸薬、カプセル、ペレット、顆粒、粉末、ロゼンジ、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル、懸濁液、分散液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアロゾル、軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射溶液、および滅菌包装粉末として配合されてもよい。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。これらの配合剤は、例えばラクトース、デンプンもしくはタルクなどの従来の固体担体もしくは賦形剤、または例えば水、脂肪油もしくは液体パラフィンなどの液体担体を用いて、公知の方法により製造され得る。用いられ得る他の担体または賦形剤としては、非限定的に、ゼラチン、デキストリン、ならびに大豆、小麦およびオオバコ種子の蛋白質などの動物または植物性蛋白質由来の材料;アカシア、グアー、寒天およびキサンタンなどのガム;多糖類;アルギン酸塩;カルボキシメチルセルロース;カラギーナン;デキストラン;ペクチン;ポリビニルピロリドンなどの合成ポリマー;ゼラチン−アカシア複合体などのポリペプチド/蛋白質または多糖複合体;マンニトール、デキストロース、ガラクトースおよびトレハロースなどの糖;シクロデキストリンなどの環状糖;リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよびケイ酸アルミニウムなどの無機塩;ならびに、非限定的にグリシン、L−アラニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−ヒドロキシプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシン、およびL−フェニルアラニンなどの、2〜12個の炭素原子を有するアミノ酸およびその誘導体が挙げられる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
錠剤崩壊剤、可溶化剤、防腐剤、酸化予防剤、界面活性剤、粘度増強剤、着色剤、香料添加剤、pH調整剤、甘味剤または矯味剤などの補助成分が、該組成物に組み入れられていてもよい。適切な着色剤としては、非限定的に、赤色、黒色および黄色酸化鉄、ならびにEllis&Everardから入手可能なFD&C染料、例えばFD&C青色2号、およびFD&C赤色40号が挙げられる。適切な香料添加剤としては、非限定的に、ミント、ラズベリー、甘草、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、カラメル、バニラ、チェリーおよびブドウの香料、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。適切なpH調整剤としては、非限定的に、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸およびマレイン酸が挙げられる。適切な甘味剤としては、非限定的に、アスパルテーム、アセスルファームK、およびタウマチンが挙げられる。適切な矯味剤としては、非限定的に、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂;シクロデキストリン包接化合物、吸着剤またはマイクロカプセル化された化学薬品が挙げられる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
特定の実施形態において、送達ビヒクルが用いられる。本発明の医薬組成物のための模範的送達ビヒクルは、リポソームである。リポソームは、対象において、本発明の化合物を対象に送達するのに十分な時間、安定性を保持することが可能である。本発明の範囲内のリポソームは、好ましくは投与された対象において、好ましくは少なくとも約30分間、より好ましくは少なくとも約1時間、更により好ましくは少なくとも約24時間、安定している。
本発明の化合物および組成物の適切な投与経路としては、例えば経口、経直腸、経皮、局所、経粘膜、とりわけ経鼻、腸管、または非経口送達、例えば筋肉内、皮下および髄内注射に加え、髄腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻内、動脈内、膀胱内(膀胱の中へ)、または眼内注射が挙げられる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
特定の態様および実施形態によれば、本発明の化合物および組成物は、経口投与に特に適する。本発明の化合物および組成物を経口投与することにより、全身への効果が実現され得ることが企図される。一実施形態において、本発明の化合物および組成物は、鼻呼吸経路を通して投与される。医薬的に許容し得る溶媒中の組成物は、不活性ガスの使用により噴霧され得る。噴霧された溶液を噴霧デバイスから直接吸い込んでもよく、または噴霧デバイスをフェイスマスクテントもしくは間欠的な陽圧呼吸模擬装置に取り付けてもよい。溶液、懸濁液、または粉末組成物が、適切な手法で該組成物を送達するデバイスから、経口または経鼻投与されてもよい。
非経口、皮内、または皮下適用に用いられる溶液または懸濁液としては、典型的には以下の成分が挙げられる:滅菌希釈液、例えば注射用水、生理食塩液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール(または他の合成溶媒)、抗菌剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム)、キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸)、緩衝液(例えば、酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩)、および等張性を調整する薬剤(例えば、塩化ナトリウム、デキストロース)。pHは、酸または塩基、例えば塩酸または水酸化ナトリウムなどにより調整され得る。非経口調製剤は、アンプル、ディスポーザブルシリンジまたは反復投与用ガラスもしくはプラスチックバイアルに封入され得る。
非経口投与用に適応する医薬組成物としては、非限定的に、水性および非水性滅菌注射溶液または懸濁液が挙げられ、それらは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および組成物を意図するレシピエントの血液と実質的に等張にする溶質を含み得る。そのような組成物は、例えば水、アルコール、ポリオール、グリセリンおよび植物油も含み得る。即時注射溶液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。そのような組成物は、好ましくは本発明の化合物および/または他の治療剤(複数可)の治療有効量を、適切量の担体と共に含み、対象に適切に投与するための形態を提供する。
投与レジメンは、状態の感染性および重症度、患者集団、年齢、体重などに応じて当業者により決定され得る。HCMVをはじめとする特定の障害または状態の治療において効果的となる本発明の化合物量は、障害または状態の性質に依存し、標準の臨床技術により決定され得る。加えて本明細書の以下に記載されるin vitroアッセイ、動物アッセイ(例えば、モルモット経胎盤移行モデルおよび新生仔マウスモデル)およびex vivoアッセイを場合により用いて、最適な投薬範囲の同定を支援してもよい。用いられる正確な用量は、投与経路、および疾患または障害の進行にも依存し、実施者の判断および各患者の状況に従って決定しなければならない。典型的には、0.01〜1000mg/kg体重、0.1〜100mg/kg体重、1〜100mg/kg体重、10〜75mg/kg体重などの範囲内の投薬量が用いられ得る。本発明の化合物の模範的で非限定的な量としては、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、75mg/kgおよび100mg/kgが挙げられる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。あるいは投与された量を測定して、投与された化合物のモル量として表すことができる。例示であり限定ではなく、本発明の化合物(例えば、式I、VII、VIII、IX、またはXのいずれかで示される化合物)は、0.1μM〜10mMの範囲内、例えば約0.1μM、10μM、100μM、1mM、および10mMで投与され得る。あるいは投与された量を測定して、mg/ml、μg/ml、またはng/mlとして表すことができる。例示であり限定ではなく、抗ウイルス薬は、1ng/ml〜1000mg/ml、例えば1〜1000ng/ml、1〜100ng/ml、1〜1000μg/ml、1〜100μg/ml、1〜1000mg/ml、1〜100mg/mlなどの量で投与され得る。有効用量は、in vitro、動物モデルまたはex vivoモデルテストのバイオアッセイもしくはシステムから求めた用量反応曲線から外挿され得る。
投与スケジュールは、1日1回、1日2回、1日3回、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、1ヶ月に1回、1ヶ月に2回、1ヶ月に3回、または当業者に公知の任意の他の投与スケジュールで実施され得る。加えて投与は、連続で、即ち毎日、または間欠的であってもよい。本明細書で用いられる用語「間欠的」または「間欠的に」は、規則的または不規則的間隔で停止および開始することを意味する。例えば間欠的投与は、1週間に1〜6回投与され得、または周期での投与(例えば、1日1回を連続で2〜8週間、その後、休薬期間は最大1週間投与しない)を意味する場合があり、または数日間ずつ交互での投与を意味する場合がある。
以下の実施例は、本発明の幾つかの実施形態をより完全に示すために表されている。しかしそれらは、本発明の広い範囲を限定すると解釈されてはならない。
実験の詳細の区分
実施例1:プラーク減少アッセイにより決定されたアルテミソンおよび化合物IXの強力な抗ウイルス活性
材料および実験方法
ウイルス、細胞、および被験化合物
用いられたCMV株は、AD169(American Type Culture Collectionから入手)、およびTB40/Eであった。加えて、Hadassah Clinical Virology Laboratoryで先天性感染の新生仔の尿から採取し、3〜5代増殖させた低継代臨床単離物CI704およびCI893を幾つかの実験に用いた。CMV株は全て、ヒト包皮線維芽細胞(HFF)細胞中で増殖させて、力価測定した。無細胞ウイルスストックおよび細胞結合型臨床単離物を、−70℃で保存した。ウイルスストックは、アガロース培地で覆われたHFF単層を含む24ウェル組織培養プレート中で、10倍の系列希釈により力価測定した。7〜10日間インキュベーションした後、プラークを計数し、ウイルス力価をミリリットル(ml)あたりのプラーク形成単位(PFU)として決定した。アルテミソン、アルテミシド、RW177、化合物IX、およびアルテスネートの原液を、DMSO中の10mM濃度で新たに調製した。10mM原液として貯蔵されたガンシクロビルを、比較アッセイにおいて用いた。
プラーク減少アッセイ
24ウェル培養プレートにおいて、細胞の単層に、60〜10PFU/ウェルを含むウイルス懸濁液0.2mlを接種した。37℃で60分間吸着させた後、接種物を除去し、培地を、被験薬を含むアガロース培地オーバーレイと交換した。以下の最終薬物濃度を用いた:アルテミソン:0、0.1、1、5、10、25、および50μM;アルテスネート:0、1、5、10、25、50、および100μM;ガンシクロビル、アルテミシド、化合物IXおよびRW177:0、0.1、1、5、10、25、および50μM。プレートを5%COインキュベーター中、37℃で10日間インキュベートした。その後、プラークを顕微鏡で計数した。プラーク数を対照値の50%まで減少させるのに必要な薬物濃度(IC50)を計算した。
結果
アルテミソンの抗ウイルス活性を、標準のプラーク減少アッセイを利用して細胞培養で生育しているウイルスに様々な薬物濃度を適用することにより決定した。顕著な抗ウイルス活性を有することが知られる化合物であるアルテスネートを、並行して試験した。ガンシクロビルを、更なる陽性対照として用いた。各薬物およびウイルスを用いた少なくとも3種の別個の実験のIC50値を平均して、結果を平均±標準偏差値として報告する。アルテミソンおよびアルテスネートのプラーク減少アッセイの代表的曲線を、それぞれ図2Aおよび3Aに示す。アルテミソンは、細胞毒性を呈さず、ガンシクロビルと同様の抗ウイルス活性を示した(0.9±0.3μM)。比較すると、アルテスネートの平均IC50は、10.8±4.2μMであった。つまり、アルテミソンは、アルテスネートよりも優れた、高い抗ウイルス効力を有する。重要なこととして、アルテミソンは、実験室で得られたCMV株と低継代CMV臨床単離物の両方に対して広範囲の抗ウイルス活性を示した。アルテスネートに比較して優れたアルテミソンの抗ウイルス活性は、網膜上皮細胞(RPE)の更なる細胞型培養系でも示された。化合物IXのCMV抗ウイルス活性が優れていて、2.1±0.6μMのIC50値であることも見出された。つまり本発明の化合物IXも、効果的な抗CMV剤として用いられ得る。
これに反して、寄生虫に対して高い活性を有する10−アルキルアミノアルテミシニン誘導体であるアルテミシドおよびRW177(図1)は、顕著に劣る抗ウイルス活性を有しており(IC50値>40μM)、アルテミソンおよび化合物IXの非常に驚くべき抗ウイルス活性が強調された。
実施例2:ウイルスDNA定量によるアルテミソンの強力な抗ウイルス活性の確認
材料および実験方法
ウイルスDNAの定量
薬物を添加した、または添加していない感染細胞中のウイルスDNA量(ゲノムコピー数/ウェルとして表す)を、細胞からDNA抽出後、CMV gB遺伝子から得られたプライマーおよびプローブを使用して、リアルタイムPCRアッセイにより決定した。このアッセイは、50コピー/mlの感度で6log範囲にわたり直線性のある定量を示すことが公知である。
結果
実施例1の結果を、リアルタイムPCRを用いたウイルスDNAの定量により確認した。これらのアッセイにより、アルテミソンが高い抗ウイルス効力を有し、アルテスネートよりもかなり優れていることが確認された。アルテミソンおよびアルテスネートのウイルスDNA蓄積量の代表的曲線を、それぞれ図2Bおよび3Bに示す。
つまり抗ウイルス感受性およびウイルスDNA定量アッセイから、アルテミソンがCMV複製およびウイルスDNA合成の非常に効果的な阻害剤であることが明らかとなった。
実施例3:アルテミソンはCMV前初期(IE)遺伝子発現を効果的に阻害する
材料および実験方法
ウイルス遺伝子発現の分析
ヒト包皮線維芽細胞(HFF)を、HCMV AD169株に感染させた。感染後(hpi)1時間目に、アルテミソン(25μM)またはガンシクロビル(25μM)を生育培地に添加して、IEおよびpp65の発現を分析するために、それぞれ24および72hpiの免疫蛍光分析の準備に取り掛かるまで、細胞を薬物の存在下で更にインキュベートした。未治療感染細胞対照およびモック感染細胞を、並行して分析した。
免疫蛍光アッセイ
8ウェルスライドガラス上で生育させた細胞を、0.1PFU/細胞の感染多重度(moi)で感染させた。上清を24および72hpiに除去して、細胞をPBSで3回洗浄し、3.7%ホルムアルデヒドにより室温で30分間固定させた。細胞をPBS+1%NHClで5回洗浄し、0.1%TX100により5分間浸透させて、PBS+1%NHClで5回洗浄した。PBS中の1%BSAを用いて1時間ブロッキングした後、指示された一次モノクローナル抗体(IE1/2またはpp65)を、PBS中の0.5%BSAに適切に希釈された細胞に添加して、室温で2時間または4℃で一晩のいずれかでインキュベートした。二次抗体を、0.5%BSAを含むPBS中に適切に希釈された細胞に、室温で30分間添加して、PBSにより洗浄した。
市販の封入剤により封入した後、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)核染料(全ての細胞で核を青色に染色する)を添加して、細胞を蛍光顕微鏡検査により分析した。結果は、少なくとも3回の独立した実験でモニタリングし、各治療群について少なくとも5視野でスコアリングした(それぞれ500〜800細胞)。
結果
アルテミソンおよびガンシクロビルで治療された感染細胞中で得られた代表的な免疫蛍光画像を、図4に示す。アルテミソン治療により、24hpiでウイルスIE遺伝子発現の有意な減少をもたらした。これは、IE遺伝子発現を阻害しないガンシクロビルでの治療の際に得られた結果とは、明確に対照的であった(表1;図5A)。
IE遺伝子発現の減少と一致して、アルテミソン治療はガンシクロビルと同じく、ウイルス後期(pp65)遺伝子発現を非常に効率的に減少させた(表1;図4、5B)。
Figure 0006335877
ガンシクロビルは、HCMV前初期(IE)遺伝子発現を阻害しないが、アルテミソンは、IE遺伝子発現を効果的に阻害し、アルテミソンおよびガンシクロビルは両者とも、HCMV後期遺伝子発現を効果的に阻害する。つまり、任意の理論または作用機序に束縛されるものではないが、アルテミソンは、ガンシクロビルとは異なり、ウイルスDNA合成前のウイルス複製の非常に早い段階での阻害に関与する新規な作用機序を示すことが企図される。
実施例4:アルテミソンでの併用療法
従来の抗HCMV薬の効力に対するアルテミソン治療の影響を検討するために、HCMV感染細胞を、アルテミソンとガンシクロビルとの併用により治療した。中間濃度のガンシクロビル(1μM)を用いると、アルテミソンでの併用治療は、HCMV複製への付加的阻害効果を導いた。
実施例5:治療効率の評価
本発明の抗CMV化合物の治療効力を評価するために、母体脱落膜のHCMV感染のex vivoモデルを、内容が全体として本明細書に組み入れられるJ.Virol.,2011;85:13204−13213に記載された通り使用した。特にHCMV伝播および病原性の試験は、HCMV感染に関する動物モデルが存在しないため大きく限定される。モルモット経胎盤移行モデルおよび新生仔マウスモデルが、ワクチンおよびウイルス誘発脳症状の実験的評価に関して非常に価値があることが立証されているが、HCMVの種特異性により、先天性ヒト感染の実験モデリングが妨げられてきた。Ex vivo感染の脱落膜培養物は、処置的治療をスクリーニングするための独特の代理的ヒトモデルとなり得る。Ex vivoモデルを利用して、本発明のアルテミシニン誘導体での治療に応答して生じる様々な生理学的および病理学的工程をモニタリングし、それにより治療の効力を決定することができる。
材料および実験方法
細胞およびウイルス
初代ヒト包皮線維芽細胞(HFF)を用いて、内容が全体として本明細書に組み入れられる、Wolf et al.,PNAS,2001,98,1895−900;およびWolf et al.,J.Clin.Invest.,1995,95,257−63に記載されたHCMV株を増殖させて単離した。HFFを、10%牛胎仔血清、2mMグルタミン、100IU/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン(Biological industries,イスラエル、ベイトハエメック)および0.25μg/ml Fungisone(Invitrogen,米国カリフォルニア州)を補充されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で増殖させた。用いられたHCMV株は、AD169(American Type Culture Collectionから入手)、UL32融合GFPを発現するTB40/E株(ドイツのC.Sinzger氏から供与)、UL83融合GFPを発現するTB40/E(RV1305株;ドイツのM.Winkler氏から供与)、およびGFTを発現する無細胞HCMV臨床由来株であるCMVPT30−gfp(PT30)であった。これらのウイルス株を、無細胞ウイルスストックとして保持した。加えて、細胞結合型ウイルスとして、Hadassah Clinical Virology Laboratoryで先天性感染の新生仔の尿から採取されて3〜5代増殖させた、低継代臨床単離物CI851を用いた。CI851の無細胞ストックを感染細胞の音波処理により調製し、その後ペレット化された細胞残屑を除去した。洗浄した上清のウイルス力価を、HFFでの標準のプラークアッセイにより決定した。
脱落膜臓器培養物の調製および感染
妊娠第一期に人工妊娠中絶を受けた女性の脱落膜組織を、深部の擦過により得て、間質の栄養膜細胞浸潤を伴う脱落膜組織を含む基底部および胎盤床から母体組織を得た。この試験は、Hadassah Medical Center Institutional Review Boardにより認可され、ヘルシンキ宣言、Good Clinical Practiceガイドライン、およびイスラエル保険省のヒト実験ガイドラインに従って実施した。ドナーは全て、署名したインフォームドコンセントを提出した。術後4時間以内に送達された組織を、切片作製まで氷上に保持した。脱落膜臓器培養物を調製するために、組織をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、ミクロトーム(Tissue Sectioner,TC−2,Sorvall Corp.)により、約10の細胞層を含む薄い切片(250μm厚)に切り出して、25% Ham’s F124、10%牛胎仔血清、5mM HEPES、2mMグルタミン、100IU/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン(Biological industries,イスラエル、ベイトハエメック)および0.25μg/ml Fungisoneを含むDMEM中、37℃の5%CO中でインキュベートした。
脱落膜臓器培養物の感染のために、組織を切片作製の直後に48ウェルプレートに入れて(最適な生存性を保持するために約5枚/ウェル)、指示されたウイルス(他に指示がなければ104プラーク形成単位/ウェル)を12時間接種して、効果的にウイルスを吸着させた。ウイルス吸着に続いて、培養物を十分に洗浄して、実験期間の間、2〜3日ごとに培地交換しながら更にインキュベートした。
組織生存性のモニタリング
ミトコンドリア脱水素酵素(MTT)アッセイ:組織切片をMTT基質(3−[4,5−ジメチルチアゾル−2−イル−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド])(Sigma、イスラエル)と共に37℃で1時間インキュベートし、その後、PBSで洗浄して、100%エタノールを添加して有色結晶の生成物を溶解した。四重測定の試料の吸光度を、ELISAプレートリーダー(Organon Teknika,オランダ)を用い、650nmを参照波長として540nmの波長で読み取った。ブラッドフォードアッセイ(Kolodkin−Gal et al.,2008,J.Virol.,82,999−1010)により試験された各抽出物の蛋白質量に関して吸光度値を標準化することにより、生存性を決定した。
グルコース消費アッセイ:インキュベートされた組織の培地中のグルコースレベルを、Accu−check(商標)血糖感知装置(Roche,ドイツ)により、48時間の培養後にモニタリングした。
組織学および免疫組織化学分析
脱落膜組織を37%ホルマリンに固定し、パラフィンに包埋して、5μm切片に切り出した。切片をキシレンで脱パラフィンして、再水和し、ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)で染色した。
HCMV抗原の免疫組織化学的検出のために、組織切片を0.01Mクエン酸緩衝液に入れて、水浴で90℃まで15分間加温して、室温に放冷し、CAS−Block(Zymed Laboratories,米国カリフォルニア州)に希釈されたHCMVに対する一次マウスモノクローナル抗体(mAb);前初期(IE)、pp65、もしくはgB抗原(1:1000希釈;Virusys Corporation,米国メリーランド州);または陰性対照として働く一次抗体不含のCAS−Blockと共にインキュベートした。その後、切片を洗浄し、HRPコンジュゲートヤギ抗マウス二次抗体(Biocare Medical,米国カリフォルニア州)と共にインキュベートした。切片を再度洗浄し、HCMV抗原をHRP基質3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)により検出し、その後、ヘマトキシリンで対比染色させた。
免疫蛍光
免疫蛍光染色のための組織標本を、4%パラホルムアルデヒドに固定し、OCTに包埋して、液体窒素で急速冷凍して、10μm切片に切り出した。非特異的抗体結合を回避するために、凍結切片をCAS−Blockで処理して、CAS−Blockのみ、または特異的細胞マーカに関する以下の抗体を含むCAS−Blockと共にインキュベートした:サイトケラチン7に対するmAb(1:300希釈、Dako Glostrup4、デンマーク)を、CTBの検出に用い;ビメチンに対するmAb(1:100希釈、Dako)を、脱落膜間質細胞の検出に用い;CD11cに対するmAb(1:50希釈、Biolegend、米国カリフォルニア州)を、樹状細胞の検出に用い;CD68に対するmAb(1:200希釈、Abcam、英国ケンブリッジ)を、マクロファージの検出に用い、フォン・ヴィレブランド因子に対するウサギポリクローナル抗体(1:800希釈、Dako)を、内皮細胞の検出に用いた。切片を洗浄し、cy5コンジュゲートヤギ抗マウスまたはcy5コンジュゲートヤギ抗ウサギ二次抗体(1:200希釈、Jackson Immunoresearch,米国ペンシルバニア州)と共にインキュベートし、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)核染料を含むVectashield封入剤(Vector Laboratories,Burlingame、カリフォルニア州バーリンゲーム)に封入した。スライドをZeiss LSM710 Axio Observer.z1.共焦顕微鏡を用いて視覚化し、Zen 2009ソフトウエアを用いて解析した。
HCMV DNAおよびRNAの定量
感染させた脱落膜組織およびHFF細胞培養物を十分に洗浄し、対応する上清(最後の培地交換の2日後に採取)と共に−70℃で貯蔵した。
DNAおよびRNAを、それぞれQIAamp DNA Mini Kit抽出キットおよびRNeasy Mini Kit(QIAGEN,ドイツ、ヒルデン)を用い、製造業者の使用説明書に従って試料から抽出した。7900HT Real Time PCRシステム(Applied Biosystems,米国カリフォルニア州フォスターシティー)で、Boeckh et al.,2004,J.Clin.Microbiol.,42,1142−1148に記載されたHCMV糖蛋白質B(gB)から得られたプライマーおよびプローブを用いて、精製されたDNA試料を定量リアルタイムPCR反応に供した。このアッセイは、6log範囲にわたり直線性のある定量を示した。精製されたRNA試料を、GoScript(商標)(Promega,米国マディソン)を用いた逆転写に供し、White et al.,2004,J.Virol.,78,1817−1830に記載された通り後期HCMV R160461のスプライシングを受けたmRNAの定量リアルタイムPCRを実施した。比較および速度論分析のために、組織およびHFF細胞培養物中のウイルスDNAコピー数を、細胞のシングルコピー遺伝子RNase Pにより標準化した。RNase Pを、Taqman RNase Pキット(Applied Biosystems)を用い、製造業者の使用説明書に従って定量した。ウイルスmRNAコピー数を、細胞内ハウスキーピング遺伝子G6PDにより標準化した。
抗ウイルス治療およびアッセイ
抗ウイルス薬ガンシクロビルおよびアシクロビル(Sigma)を、25μM、50μM、250μMおよび500μMの濃度で用いた。薬物を、ウイルス吸着後の培地に添加した。
抗体による中和を測定するために、指示されたウイルス株を1:10、1:100、および1:1000希釈されたHCMV HIG(Megalotect;100mg蛋白質/50IU/ml;Biotest,ドイツ)と共に室温で1時間プレインキュベートし、その後、プレインキュベートさせたウイルス/抗体混合物を組織に接種した。
吸着後処置実験において、同じHCMV HIG希釈物を、ウイルス吸着の24時間目に培地に添加した後、十分に洗浄し、結合の緩いウイルスを除去した。
組織を、薬物または抗体の存在下で、実験期間の間、更にインキュベートした。薬物または抗体を、培地交換の際に再度補充した。
薬物あたり少なくとも5回の独立した反復実験を利用して、標準化された組織ウイルスDNAコピー数を50%減少させるのに必要な薬物濃度(IC50)を決定することにより、抗ウイルス薬の感受性をアッセイした。
結果
脱落膜臓器培養物の樹立
新しい妊娠第一期脱落膜組織を、薄い切片(250μm厚)に切片作製して、栄養素の接近性を確保した。切片作製の直後に、脱落膜臓器培養物を48ウェルプレートに入れて(約5枚/ウェル)、濃縮DMEM中でインキュベートし、頻繁に培地交換して、最適な生存性を維持した。MTTおよびグルコース消費アッセイの両方によりモニタリングされる脱落膜組織生存性を、ex vivoでインキュベーションの少なくとも12日間維持した。更に、培養の開始時(0日目)および8日目に得られた切片の組織学的検査から、典型的な脱落膜の形態学的特徴が保持され、目に見える細胞死の兆候がないことが実証された(図6A〜6B)。つまり脱落膜組織の外植片は、HCMV感染と典型的には4〜7日以内に起こる伝播を裏付け、かつモニタリングするのに必要な時間にわたり、依然として生存性があり、自然な形態を持続する。
脱落膜のHCMV感染速度論
HCMVへの脱落膜臓器培養物の感受性を評価するために、脱落膜組織培養物を、無細胞臨床由来PT30株に感染させて、GFPを発現させた(Fox−Canale et al.,2007,Virology,369,55−68)。HFF、臍静脈内皮細胞、および網膜上皮細胞への広い細胞指向性を保持することが示されたこのウイルス株を、HCMVの広いin vivo細胞指向性を表して、感染の視覚的モニタリングを提供するように選択した。
ex vivo感染させた脱落膜の組織病理学的特徴を評価するために、感染組織の組織切片を、6dpiに検査した。ex vivo感染させた組織の組織切片は、天然HCMV感染の典型的な組織病理学的特性を示し、巨細胞の外観は「フクロウの目」封入体、顆粒状の細胞質内封入体、および核形不整の濃染核を有した(図6C〜6D)。
感染させた切片の免疫組織化学分析から、前初期およびpp65初期−後期遺伝子の両方に加え(図6E〜6F)、gB(感染後、後期に発現することが公知)の発現が明らかとなった。モック感染切片および二次抗体のみと反応させた感染切片をはじめとする対照組織は全て、免疫組織化学染色では陰性であった。これらの知見から、感染させた脱落膜組織においてHCMVが完全な複製サイクルを受けることが示される。
脱落膜中のウイルス伝搬速度に従うために、PT30感染させた生存組織を、共焦顕微鏡検査によりGFP発現細胞に関して1日1回モニタリングした。図7A〜7Dに示される通り、GFP発現は、最初、感染後(dpi)2日目に検出され、それは個々の細胞に出現した。感染細胞のプラーク様クラスターの形成と共に、感染の緩やかな進行が3〜7dpiまでに認められた(図7A〜7D)。臓器培養物感染のこの速度パターンは、異なる対象から得られた80を超える脱落膜組織において一定して観察され、内皮指向性(endotheloitropic)のTB40/E株に感染させて、後期構造蛋白質pp150に融合したGFPを発現させた後に、同様にモニタリングすることができた。
時間経過に伴う感染の進行を更に定量するために、ウイルス株PT30、TB40/E、AD169、および低継代臨床株CI851に感染させた後(10PFU/ウェル)、感染させた脱落膜培養物中のウイルスDNAの蓄積をリアルタイムPCRにより測定した。図8に示す通り、組織に結合するウイルスDNAが時間と共に一定して増加し(感染後早期に検出された残りのインプットDNAレベルを超え)、それは全てのウイルス株について実証され、ウイルスDNA蓄積の1.3〜2log増加が全てのウイルス株で2〜9dpiに観察され、感染組織内の活発なDNA合成を反映していることが示された。その上、HCMV真正後期(true−late)RNA R160461の定量分析から、TB40/EおよびAD169の両方で7dpi以内に1.9logの上昇が実証された。これらの知見をGFP発現の拡散パターン(2種の異なるGFP発現ウイルス株で独立して実証された)および後期ウイルス蛋白質の発現と併せると、脱落膜臓器培養物中の活発なウイルス複製が裏付けられる。
HCMVは脱落膜中の広範囲の細胞に感染する
HCMVはin vivoで広範囲の細胞指向性が特徴づけられているが、in vitro試験では、一般に単一細胞型の培養に限定される。脱落膜内のHCMVの細胞指向性を定義するために、感染細胞の型を同定した。臨床由来株TB40/EおよびPT30(広範囲の細胞指向性を特徴とする)、ならびに内皮指向性の低い株AD169により感染させた脱落膜組織を検査した。HCMV感染組織の凍結切片を、特異的細胞マーカを用いた共焦免疫蛍光法により分析した。図9に、浸潤性栄養膜細胞(サイトケラチン7)、内皮細胞(フォン・ヴィレブランド因子)、脱落膜細胞(ビメチン)、樹状細胞(CD11c)、およびマクロファージ(CD68)のマーカによる、TB49/E株のウイルス共局在を示す。類似の細胞指向性がPT30で示されており、HCMVによる主要な脱落膜細胞型の全てでex vivo感染が示された。AD169株での感染後の並行実験において、ビメチン陽性間質脱落膜細胞のみのウイルス共局在が、実証され得る。
脱落膜臓器培養物のHCMV感染の阻害
近年の試験により、母体胎児移行および先天性疾患を予防する際の出生前抗ウイルス的介入の潜在的適用性が示唆された(Jacquemard et al.,2007 BJOG,114,1113−1121;およびNigro et al.,2005,N.Engl.J.Med.,353,1350−1362)。現在入手し得る抗HCMV薬(即ち、ガンシクロビル、ホルカルネット、およびシドホビル)は全て、催奇形性と見なされているが、アシクロビルおよびHCMV HIGをはじめとする新規の代替的抗ウイルス薬の選択肢が探求されてきた。
抗ウイルス活性を評価するための脱落膜臓器培養物の効力を評定するため、および脱落膜中のHCMV複製に対する抗ウイルス薬のex vivo効果を検査するために、感染させた脱落膜培養物を異なる濃度のガンシクロビルおよびアシクロビルと共にインキュベートした。脱落膜培養物をHCMV株TB49/E(10PFU/ウェル)に感染させて、ガンシクロビル(GCV)またはアシクロビル(ACV)濃度を増加させてインキュベートした。治療および未治療の脱落膜組織溶解物中のウイルスDNAを、8dpiに定量し、値をRNase P DNAコピー数により標準化させた。
図10には、感染組織中のウイルスDNA蓄積の用量依存的減少により測定された通り、両方の抗ウイルス薬が脱落膜培養物中のHCMV複製を阻害したことが示される。アシクロビルと比較すると、ガンシクロビルは、より高い抗ウイルス効力を示した(IC50が1.5μM対18.3μM)。これらの知見から、ex vivo感染させた脱落膜培養物は、抗ウイルス的介入効果の試験および本発明の化合物の治療効力の評定に有用であり得ることが実証される。
感染させた脱落膜培養物中のHCMV HIGの抗ウイルス効果を検査した。中和活性の試験から、ウイルスと共にプレインキュベートされた場合のHCMV HIG調製物が、脱落膜のHCMV感染を中和できることが示された(図11A)。ウイルスを50%中和するための計算されたHIG濃度は、36μg/mlであった。HCMV IgG陰性血清では、抗ウイルス効果は全く観察されなかった。この知見は、in vivoでの母体−胎児移行の予防におけるHIGの予防効果と相関し得る。脱落膜培養物中のHCMV HIGの中和活性が、線維芽細胞培養物中の中和活性よりも高かったことに、留意しなければならない。比較実験において、HCMV HIGの中和力価は、HFF細胞培養物よりも脱落膜培養物で10倍を上回る低さであった。HIGの潜在的治療効果を更に検査するために、ウイルス吸着後に添加された場合の抗ウイルス活性を検査した。組織は、吸着後24時間目に十分に洗浄し、その後、HIGの希釈率を増加させながら培地に添加した。HCMV複製の有意な用量依存性阻害が明瞭に示され(図11B)、IC50は652μg/mlであった。吸着後に添加された場合のHIGの阻害効果は、感染後の後期にプラーク様クラスターの拡散が減少することによっても明白となった。対照的に、吸着後の阻害作用は、HFF細胞培養物中では観察されなかった。これらの試験から、脱落膜中で併せて起こるHCMV HIGの中和および吸着後抗ウイルス効果が明らかとなった。
こうして、組織中の活発なウイルス複製が、1)感染後2〜9日間隔でのウイルスDNAの一定した増加と共に、GFP発現HCMV株に感染した後のGFP発現細胞の小増殖層が徐々に進行すること;2)感染臓器培養物中の前早期および真正後期の両方のRNAおよび蛋白質の発現;3)自然な感染の典型的な組織病理学的特徴の出現;ならびに4)抗ウイルスDNAポリメラーゼ阻害剤ガンシクロビルによるウイルス拡散およびDNA蓄積の用量依存的阻害、により実証された。これらの知見を組み合わせると、ウイルス親和性および拡散の動的態様に取り組むためのex vivo感染脱落膜臓器培養物の能力が実証される。
脱落膜中のHCMV臨床由来株に感染させた、浸潤性CTB、内皮細胞、マクロファージ、間質脱落膜細胞および樹状細胞などの広範囲の細胞が同定された。この知見は、脱落膜の独特の多重細胞性を反映している。脱落膜中の感染細胞は、線維芽細胞中および上皮/内皮細胞中で特徴づけられたウイルス侵入の2つの異なる経路、即ちそれぞれ融合による経路(細胞表面で)およびエンドサイトーシスによる経路を表す。HCMVのエンドサイトーシスによる侵入は、ウイルスgH/gL/UL128−131複合体を必要とすることが示されたが、UL128−131蛋白質は、HCMVの融合による侵入にとって肝要ではない。
HCMV HIGのウイルス中和効果と感染後効果を組み合わせあることで、脱落膜臓器培養物中のex vivoモデルによる、母体−胎児境界部分で新たな抗ウイルス的介入の効果を評価する能力が実証される。例えば感染させた脱落膜臓器培養物は、抗HCMV薬の出生前の予防的および治療的使用を行う臨床試験のためのメカニズム上の原理を提供することができた。新規な脱落膜臓器培養物中のHCMV感染のex vivoモデリングにより、広い標的細胞範囲が、臨床由来および検査室由来の両ウイルス株の伝播の一定した細胞間様式と共に明らかとなった。このモデルを利用して、本発明の化合物の効力を、新規で効果的で非催奇形性の抗HCMV薬として評価することができる。
特定の実施形態の前述の記載から、他者が、現在の知識を適用することにより、過度の実験を行わず一般的概念から逸脱せずに、そのような特定の実施形態を様々な適用例に向けて即座に改良および/または適合させ得る、という本発明の一般的性質が完全に明らかとなり、それゆえそのような適合および改良は、開示された実施形態の均等物の意味および範囲内で解釈されるべきであり、解釈されることを意図する。本明細書で用いられる語法または用語法が、限定ではなく説明を目的としていることが理解されなければならない。様々な開示された機能を実行する手段、材料、およびステップは、本発明から逸脱せずに様々な別の形態をとることができる。
本発明の主旨および範囲内での様々な変更および改良がこの詳細な説明から当業者に明白となるため、本発明の好ましい実施形態を示しながら詳細な説明および具体的実施例が例示によって与えられたに過ぎないことは、理解されなければならない。

Claims (13)

  1. ウイルス感染を治療する際、またはウイルス複製を抑制する際に使用される、医薬的に許容し得る担体または賦形剤と、構造式I:
    Figure 0006335877
    (式中、Yは基−NRを表し、RおよびRが介在する窒素原子と共に、ピペラジニル、モルホリニル、およびチオモルホリニルからなる群より選択される、任意選択で置換されている非芳香族複素環基を表す。)
    により表される抗ウイルス活性を有する化合物、またはその塩もしくは溶媒和物の治療有効量を含み、
    前記ウイルス感染または複製が、ヘルペスウイルス感染または複製である、
    医薬組成物。
  2. ウイルス感染が腫瘍の発症に関する腫瘍調節活性を有する、請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
  3. 前記非芳香族複素環基が置換されている、請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
  4. 前記ウイルス感染または複製が、サイトメガロウイルス感染または複製であり、好ましくは前記ウイルス感染または複製が、ヒトサイトメガロウイルス感染または複製である、請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
  5. 前記腫瘍がサイトメガロウイルスを伴うグリオブラストーマである、請求項2に記載の使用のための医薬組成物。
  6. 錠剤、丸薬、カプセル、ペレット、顆粒、粉末、ロゼンジ、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル、懸濁液、分散液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアロゾル、軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射溶液、および滅菌包装粉末からなる群より選択された形態であるか、または、経口、経直腸、筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内、鼻内、動脈内、膀胱内、眼内、経皮および局所からなる群より選択される経路を介した投与に適する、請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
  7. 前記化合物が、少なくとも1種の他の抗ウイルス薬と併用での共投与に適し、好ましくは前記少なくとも1種の他の抗ウイルス薬が、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドホビル、アシクロビルおよびバラシクロビルからなる群より選択されるか、または、前記治療薬の共投与が、単一の混合組成物、実質的に同時に投与される分離された個別の組成物、および別のスケジュールの下で投与される分離した個別の組成物から選択されるレジメンで実施される、請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
  8. ウイルス感染を治療する際、またはウイルス複製を抑制する際に使用される、医薬的に許容し得る担体または賦形剤と、
    構造式VIII:
    Figure 0006335877
    により表される抗ウイルス活性を有する化合物、またはその塩もしくは溶媒和物の治療有効量を含み、
    前記ウイルス感染または複製が、ヘルペスウイルス感染または複製である、
    医薬組成物。
  9. ウイルス感染が腫瘍の発症に関する腫瘍調節活性を有する、請求項8に記載の使用のための医薬組成物。
  10. 前記腫瘍がサイトメガロウイルスを伴うグリオブラストーマである、請求項9に記載の使用のための医薬組成物。
  11. 前記ウイルス感染または複製が、サイトメガロウイルス感染または複製であり、好ましくは前記ウイルス感染または複製が、ヒトサイトメガロウイルス感染または複製である、請求項8に記載の使用のための医薬組成物。
  12. 錠剤、丸薬、カプセル、ペレット、顆粒、粉末、ロゼンジ、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル、懸濁液、分散液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアロゾル、軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射溶液、および滅菌包装粉末からなる群より選択された形態であるか、または、経口、経直腸、筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内、鼻内、動脈内、膀胱内、眼内、経皮および局所からなる群より選択される経路を介した投与に適する、請求項8に記載の使用のための医薬組成物。
  13. 前記化合物が、少なくとも1種の他の抗ウイルス薬と併用での共投与に適し、好ましくは前記少なくとも1種の他の抗ウイルス薬が、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドホビル、アシクロビルおよびバラシクロビルからなる群より選択されるか、または、前記治療薬の共投与が、単一の混合組成物、実質的に同時に投与される分離された個別の組成物、および別のスケジュールの下で投与される分離した個別の組成物から選択されるレジメンで実施される、請求項8に記載の使用のための医薬組成物。
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