以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態は本発明を限定するものではない。
[第1の実施の形態]
本実施の形態の放射線画像撮影装置は、放射線検出器と被写体との間にグリッドを配置せず、撮影された放射線画像に対して、画像処理により散乱線の影響を除去する仮想グリッド処理を行う機能を有する。
まず、本実施の形態の放射線画像撮影装置の構成について説明する。図1には、本実施の形態の放射線画像撮影装置な構成の一例を示す。図1に示すように、本実施の形態の放射線画像撮影装置10は、画像処理装置12、U/I部13、制御装置14、及び撮影装置16を備える。
撮影装置16は、放射線源18及び放射線検出器20を備える。放射線源18は、線源制御部22の制御に基づいて、被写体19に放射線Xを照射する機能を有する。放射線検出器20は、放射線源18から照射され、被写体19を透過した放射線Xを検出して被写体19の放射線画像を出力する機能を有する。本実施の形態の制御装置14は、可搬型の電子カセッテであり、いわゆるFPD(Flat Panel Detector)である。
制御装置14は、線源制御部22及び検出器制御部24を備える。線源制御部22は、画像処理装置12により設定された撮影条件に従って放射線源18の駆動を制御する機能を有する。検出器制御部24は、放射線検出器20を制御し、放射線検出器20から出力された放射線画像を取得して、画像処理装置12に出力する機能を有する。
画像処理装置12は、受付部26、導出部28、記憶部30、及び実行部32を備える。また、U/I部13は、入力部34及び表示部36を備える。なお、画像処理装置12、U/I部13、及び制御装置14を含んだ装置の具体的一例としては、放射線画像撮影に関するコンソールが挙げられる(後述、図6参照)。
入力部34は、ユーザが、放射線画像の撮影に関する指示を、画像処理装置12に対して行うためのものである。入力部34の具体例としては、キーボード、マウス、及びタッチパネル等が挙げられる。
受付部26は、U/I部13の入力部34から放射線画像の撮影に対するユーザの指示を受け付ける機能を有する。なお、本実施の形態では、放射線技師や医師等、放射線画像撮影装置10を操作する者や放射線画像の撮影を行う者を「ユーザ」という。
そのため、U/I部13は、入力部34に対してユーザが行った指示(操作)を検出する機能を有する。本実施の形態の受付部26は、少なくとも、入力部34からユーザが行った仮想グリッド特性に関する指示を受け付ける機能を有している。なお、仮想グリッド特性とは、撮影された放射線画像に対して、画像処理により散乱線の影響を除去する仮想グリッド処理を行うために使用が想定される、仮想的なグリッドの特性である。
仮想グリッド特性として、本実施の形態の放射線画像撮影装置10では、グリッド比を用いている。一般に、グリッドは、放射線Xの吸収率が高い鉛の薄膜と、鉛薄膜間の中間物質(インタースペース)で放射線Xの吸収率が低い物質とが、例えば4.0本/mm程度の細かな格子密度で交互に配置されている。中間物質の材料としては、例えば、アルミニウム、紙、及び炭素繊維等が用いられている。グリッド比は、鉛と鉛間の距離(中間物質の厚さ)を「1」とした場合の、鉛の高さの比率で定義される。グリッド比が高いと、散乱線の減少に効果的であるため、一般的に、使用する放射線源18の管電圧が高いほど、高いグリッド比が用いられる。
本実施の形態の受付部26は、LAN等の通信回線や(Local Area Network)ネットワーク回線等を介して、RIS(Radiology Information System)等の外部のシステムから放射線画像の撮影に関するオーダ等の情報を取得する機能を有する。そのため、U/I部13は、ネットワークI/F(インターフェース)機能を有する。
記憶部30は、仮想グリッド特性と、被写体19の被写体情報と、撮影条件との対応関係をあらわすテーブルを記憶する機能を有する。また、本実施の形態の記憶部30は、受付部26で受け付ける仮想グリッド特性と、実行部32で仮想グリッド処理を行うための情報と、を対応付けたテーブルを記憶する機能を有する。なお、仮想グリッド処理を行うための情報としては、仮想グリッドについて散乱線透過率Ts、及び被写体19を透過して直接、放射線検出器20に照射される一次線の透過率である一次線透過率Tpを含む。散乱線透過率Ts、及び一次線透過率Tpは0〜1の間の値をとる。なお仮想グリッド特性は、本実施の形態に限定されず、例えば、グリッド密度(格子密度)、収束型か平行型か、収束型の場合の集束距離、及び中間物質の材料等を含んでいてもよい。
記憶部30は、不揮発性の記憶部であればよく、具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)等が挙げられる。図2には、仮想グリッド特性と、被写体情報と、撮影条件との対応関係を表すテーブルの具体的一例を示す。
図2に示すように、本実施の形態では、撮影条件として、放射線源18の管電圧、及び被写体19に向けて照射される放射線Xの線量(管電流×照射時間)を用いている。なお、撮影条件はこれに限らず、放射線源18から放射線検出器20までの距離や、被写体19から放射線検出器20までの距離等を含んでいてもよい。
また、開示の技術の被写体の体格に関する情報の一例である被写体情報とは、被写体19の主に、体格に関する情報であり、具体例として、年齢、体型、及び撮影部位を含む。体型(例えば、普通や太め等)により、放射線Xの散乱線の量が異なる。一例として、体型が太め、すなわち被写体19の厚み(照射方向の厚み)が大きい方が、散乱線が多くなる。また、撮影部位(例えば、胸部や腹部等)により、散乱線の量や分布が異なる。なお、被写体19の体格(体型)は、被写体19の身長及び体重から推定するようにしてもよい。また、被写体情報として、その他、被写体19の放射線画像上での位置、被写体19の組成の分布等に関する情報を含んでいてもよい。
導出部28は、受付部26で受け付けた仮想グリッド特性に対応する撮影条件を、記憶部30に記憶されている対応関係を表すテーブルに基づいて導出する機能を有する。また、導出部28は、導出した撮影条件を制御装置14(線源制御部22)に対して指示する機能を有する。
実行部32は、撮影装置16により撮影された放射線画像、より詳しくは、放射線検出器20が出力した放射線画像を検出器制御部24を介して取得し、取得した放射線画像に対して、仮想グリッド処理を行う機能を有する。実行部32により仮想グリッド処理が行われた放射線画像は、U/I部13の表示部36に表示される。表示部36は、放射線画像の撮影に関する情報や、撮影された放射線画像等が表示される機能を有する。表示部36の具体例としては、液晶等のディスプレイが挙げられる。
実行部32で実行される散乱線を除去するための仮想グリッド処理の具体的一例について説明する。
実行部32は、検出器制御部24を介して放射線検出器20から取得した放射線画像を解析することにより、散乱成分情報すなわち散乱線含有率分布を得る。本実施の形態の実行部32では、放射線画像の解析は、放射線画像の撮影における照射野情報、被写体情報、及び撮影条件に基づいて行う。なお、照射野情報とは、照射野絞りを用いて撮影を行った場合における、放射線画像に含まれる照射野の位置、及び大きさに関する照射野分布を表す情報である。
照射野情報、被写体情報、及び撮影条件は、上述したように放射線画像に含まれる散乱線の量や分布を決める要因となっている。例えば、照射野が大きいほど、また被写体19の体厚さが大きいほど散乱線の量は多くなる。また、被写体19と放射線検出器20との間に空気が存在すると散乱線が減少する。したがって、これらの撮影に関する情報を用いることにより、より正確に散乱線含有率分布を得ることができる。
実行部32は、放射線画像内の被写体19の体厚分布T(x,y)から、下記の(1)及び(2)式に基づいて一次線像および散乱線像を算出する。さらに、実行部32は、算出した一次線像および散乱線像から(3)式に基づいて、散乱線含有率分布S(x,y)を算出する。なお、散乱線含有率分布S(x,y)は0〜1の間の値をとる。
Ip(x,y) = Io(x,y)×exp(-μ×T(x,y)) ・・・(1)
Is(x,y) = Io(x,y)*Sσ(T(x,y)) ・・・(2)
S(x,y) = Is(x,y)/(Is(x,y)+Ip(x,y)) ・・・(3)
上記(1)〜(3)式において、(x,y)は放射線画像の画素位置の座標、Ip(x,y)は画素位置(x,y)における一次線像、Is(x,y)は画素位置(x,y)における散乱線像である。また、Io(x,y)は画素位置(x,y)における被写体19の表面への入射線量、μは被写体の線減弱係数、及びSσ(T(x,y))は画素位置(x,y)における被写体19の体厚に応じた散乱の特性を表す畳みこみカーネルである。上記(1)式は公知の指数減弱則に基づく式であり、(2)式は、「J M Boon et al, An analytical model of the scattered radiation distribution in diagnostic radiolog, Med. Phys. 15(5), Sep/Oct 1988」(参考文献1)に記載された手法に基づく式である。なお、被写体19の表面への入射線量Io(x,y)は、どのような値を定義してもS(x,y)を算出する際に除算によってキャンセルされるため、例えば、「1」とする等、任意の値とすればよい。
また、被写体19の体厚分布T(x,y)は、放射線画像における輝度分布が被写体19の体厚の分布と略一致するものと仮定し、放射線画像の画素値を線減弱係数値により厚さに変換することにより算出すればよい。なお、これに代えて、センサ等を用いて被写体19の体厚を計測してもよいし、立方体あるいは楕円柱等のモデルで近似してもよい。
ここで、上記(2)式における「*」は、畳みこみ演算を表す演算子である。カーネルの性質は、被写体19の体厚の他に、照射野の分布、被写体19の組成の分布、撮影条件、及び放射線検出器20の特性等によっても変化する。上記の参考文献1に記載された手法によれば散乱線は一次線に対する位置拡張関数(point spread function、上記(2)式におけるSσ(T(x,y)))の畳みこみにより近似することができる。なお、Sσ(T(x,y))は、照射野情報、被写体情報、及び撮影条件等に応じて実験的に求めることができる。
なお、撮影における照射野情報、被写体情報、及び撮影条件に基づいてSσ(T(x,y))を算出してもよいが、各種照射野情報、各種被写体情報および各種撮影条件とSσ(T(x,y))とを対応づけた対応関係を表すテーブルを記憶部30に記憶しておき、撮影における照射野情報、被写体情報、及び撮影条件に基づいて、記憶部30に記憶されている対応関係を表すテーブルを参照してSσ(T(x,y))を求めるようにしてもよい。なお、Sσ(T(x,y))をT(x,y)にて近似するようにしてもよい。
実行部32は、仮想グリッド特性、及び散乱成分情報に基づいて、放射線画像における散乱線とみなせる周波数帯域の周波数成分を低減させることにより、散乱線除去処理を行う。このため、実行部32は、放射線画像を周波数分解して複数の周波数帯域毎の周波数成分を取得し、少なくとも1つの周波数成分のゲインを低減する処理を行い、処理済みの周波数成分およびこれ以外の周波数成分を合成して、散乱線除去処理済みの放射線画像を取得する。なお、周波数分解の手法としては、放射線画像を多重解像度変換する手法の他、ウェーブレット変換、及びフーリエ変換等、公知の任意の手法を用いることができる。
実行部32は、散乱線透過率Tsおよび一次線透過率Tp、並びに散乱線含有率分布S(x,y)から、周波数成分を変換する変換係数R(x,y)を下記の(4)式により算出する。
R(x,y) = S(x,y)×Ts + (1-S(x,y))×Tp ・・・(4)
散乱線透過率Ts、一次線透過率Tp、及び散乱線含有率分布S(x,y)は0〜1の間の値となるため、変換係数R(x,y)も0〜1の間の値となる。実行部32は、変換係数R(x,y)を複数の周波数帯域のそれぞれについて算出する。
なお、以下では、放射線画像の画素値をI(x,y)、周波数分解により得られる周波数成分画像をI(x,y,r)、周波数合成をI(x,y)=ΣrI(x,y,r)、周波数帯域毎の変換係数をR(x,y,r)、周波数帯域毎の散乱線透過率および一次線透過率をTs(r)、Tp(r)で表す。なお、rは周波数帯域の階層を表し、rが大きいほど低周波であることを表す。したがって、I(x,y,r)は、ある周波数帯域の周波数成分画像となる。散乱線含有率分布S(x,y)は放射線画像に対するものをそのまま用いればよいが、散乱線透過率Ts、及び一次線透過率Tpと同様に周波数帯域のそれぞれについて取得するようにしてもよい。
本実施の形態においては、周波数成分毎に変換係数R(x,y,r)を算出し、周波数成分画像I(x,y,r)に対して対応する周波数帯域の変換係数R(x,y,r)を乗算して、周波数成分画像I(x,y,r)の画素値を変換し、変換係数R(x,y,r)が乗算された周波数成分画像I(x,y,r)(すなわち、I(x,y,r)×R(x,y,r))を周波数合成して処理済みの放射線画像I′(x,y)を取得する。したがって、実行部32において行われる処理は、下記の(5)式により表される。なお、変換係数R(x,y,r)は0〜1の間の値となるため、周波数成分(x,y,r)に対して対応する周波数帯域の変換係数R(x,y,r)を乗算することにより、その周波数成分の画素位置(x,y)における画素値、すなわちゲインが低減されることとなる。
I’(x,y)=Σr{I(x,y,r)×R(x,y,r)}
=Σr{I(x,y,r)×(S(x,y)×Ts(r)+(1-S(x,y))×Tp(r))} ・・・(5)
実行部32では、上述のように算出した変換係数を用いて上記(5)式に示す処理を行うことにより取得された処理済みの放射線画像においては、使用が想定されるグリッドの特性(種類)に応じて散乱線成分が除去されたものとなる。
なお、本実施の形態の画像処理装置12は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びHDD(Hard disk drive)を備えたコンピュータ等により実現される。例えば、CPUが詳細を後述する撮影制御処理のプログラムを実行することにより、導出部28としての機能が実現する。なお、撮影制御処理のプログラムは、予めROM等の不揮発性の記憶部に記憶させておいてもよいし、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型の記憶部やネットワーク等の回線を通じて、画像処理装置12にインストールするようにしてもよい。
次に、本実施の形態の放射線画像撮影装置10の画像処理装置12において実行される、撮影制御処理について説明する。撮影制御処理は、開示の技術の、放射線画像撮影方法の一例に対応している。
図3に、本実施の形態の撮影制御処理の一例のフローチャートを示す。図3に示した撮影制御処理は、例えば、受付部26が放射線画像の撮影指示を受け付けた場合に実行される。
ステップS100では、受付部26は、外部のシステムや入力部34から受け付けた、放射線画像の撮影に関するオーダ情報を表示部36に表示させる。ここで、表示されるオーダ情報の具体例としては、被写体19を識別するための、被写体19の名前やID、撮影部位、撮影方向(正面等)、及び撮影枚数等が挙げられるが、特に限定されるものではなく、これから行われる放射線画像の撮影を特定するための情報であればよい。
オーダ情報の表示に応じて、ユーザは、被写体19を挟んで、放射線検出器20及び放射線源18を撮影位置にセットする。さらにユーザは、仮想グリッド特性を含むオーダ情報を入力部34から指示する。なお、ここでユーザが指示するオーダ情報は、上記ステップS100で表示されたオーダ情報に追加する内容を指示するようにしてもよい。また、本実施の形態に限らず、上記ステップS100におけるオーダ情報の表示を省略し、ここで、ユーザがオーダ情報を入力部34から指示するようにしてもよい。なお、本実施の形態において、仮想グリッド特性とは、上述したように、具体例としてグリッド比を用いている。
次のステップS102では、上記のようにしてユーザが入力部34により行った仮想グリッド特性を含むオーダ情報を受付部26が受け付ける。なお、受け付けた情報から順次、表示部36に表示し、ユーザに確認を促すようにするとよい。
次のステップS104では、導出部28が、受け付けた仮想グリッド特性に応じた撮影条件を、記憶部30に記憶させてあるテーブルに基づいて導出する。図2に示した具体例1では、導出部28は、仮想グリッド特性として、グリッド比=3:1を受け付けた場合、撮影条件として、管電圧=αkVp、管電流=βmA、及び照射時間=γmsecを導出する。なお、撮影条件を導出する際、被写体情報、特に被写体19の体格(体型等)を加味するようにしてもよい。上述したように、被写体19の体厚が大きい場合、体厚が薄い場合に比べて、放射線源18の管電圧を大きくすることが好ましい。そのため、被写体情報、特に、被写体19の体厚に対して、撮影条件(主に管電圧)を異ならせた、撮影条件を対応付けたテーブルを用いることが好ましい。例えば、図2に示した具体例2では、具体例1と異なり、体型が「太め」となっているため、撮影条件の管電圧は、α+θ(θ>0)kVpとなっており、具体例1よりも大きくなっている。
次のステップS106では、導出部28は、導出した撮影条件を制御装置14の線源制御部22にセットする。線源制御部22は、導出部28によりセットされた撮影条件に応じて、放射線源18を制御して放射線画像の撮影を行う。
撮影条件がセットされると、線源制御部22は、放射線源18を制御して、被写体19に対して放射線Xを照射する。また、検出器制御部24が、放射線検出器20を制御することにより、被写体19を透過した放射線Xを放射線検出器20が検出し、被写体19像を表す放射線画像を検出器制御部24に出力する。
次のステップS108では、実行部32が、検出器制御部24を介して、放射線検出器20から放射線画像を受信したか否かを判定する。未だ、放射線画像の撮影中の場合等、放射線画像を未だ受信していない場合は、待機状態になる。一方、放射線画像を受信した場合は、ステップS110へ進む。
ステップS110では、実行部32が、上記ステップS102で受付部26が受け付けた仮想グリッド特性に応じた仮想グリッド処理を、受信した放射線画像に対して行い、放射線画像から散乱線の影響を除去する。具体的には、実行部32は、受信した仮想グリッド特性(グリッド比)に対応する散乱線透過率Ts、及び一次線透過率Tpを記憶部30に記憶されている対応関係を表すテーブルから取得する。また、実行部32は、導出部28が導出した撮影条件を導出部28から取得する。そして、散乱線透過率Ts、一次線透過率Tp、及び撮影条件に基づいて、上述した(1)〜(5)式を用いて、仮想グリッド処理を行う。
次のステップS112では、仮想グリッド処理により、実行部32で散乱線の影響が除去された放射線画像を表示部36に表示させた後、本処理を終了する。
なお、上記ステップS104の後、若しくは、ステップS106の後の、放射線画像の撮影を行う前に、ユーザにより撮影条件の微調整を行ってもよい。例えば、被写体19の体格が普通であるが、撮影部位の体厚が普通体型として想定しているものよりも若干、大きい場合等、ユーザの判断により、管電圧等の撮影条件を調整するようにしてもよい。調整を行う場合は、入力部34によりユーザが行った調整指示を受付部26を介して導出部28が取得し、取得した調整指示に基づいて、線源制御部22に対してセットされている撮影条件を調整するように指示すればよい。また、撮影装置16に、被写体19の体厚を測定するセンサ等(図示省略)を設け、センサにより測定した体厚に応じて、導出部28または、線源制御部22が撮影条件の微調整を行うようにしてもよい。このようにして撮影条件の調整を行った場合は、ステップS110の実行部32による仮想グリッド処理では、調整された撮影条件に応じて仮想グリッド処理を行う。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置10と同様の部分については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
放射線画像撮影装置10の構成は、第1の実施の形態(図1参照)と同様であるため、説明を省略する。一方、本実施の形態の放射線画像撮影装置10は、撮影制御処理において、第1の実施の形態の撮影制御処理(図3参照)と異なる処理を含むため、異なる処理について説明する。
図4には、本実施の形態の撮影制御処理の一例のフローチャートを示す。本実施の形態の撮影制御処理は、第1の実施形態の撮影制御処理において被写体情報を得られた場合に、被写体情報に応じて仮想グリッド特性を決定し、決定した仮想グリッド特性に応じて撮影条件をセットする点で、第1の実施の形態と異なっている。そのため、図4に示すように、本実施の形態の撮影制御処理では、ステップS102とステップS104との間に、ステップS103A〜S103Eの処理を含んでいる。その他のステップS100〜S112の処理は、第1の実施の形態のステップS100〜S112の処理と同様である。
すなわち、受付部26は、放射線画像の撮影に関するオーダ情報を表示部36に表示させる。オーダ表示に応じて、ユーザは、被写体19を挟んで、放射線検出器20及び放射線源18を撮影位置にセットする。さらにユーザは、仮想グリッド特性(グリッド比)を含むオーダ情報を入力部34から指示する。受付部26は、仮想グリッド特性を含むオーダ情報を受け付ける。
本実施の形態の撮影制御処理では、上記処理の後、さらにステップS103Aへ進む。ステップS103Aで、導出部28が、被写体情報を取得したか否かを判定する。例えば、ユーザが、被写体19の体型が太めであると判断した場合は、入力部34により被写体情報として、「太め」の体型である旨を指示する。このように受付部26が入力部34から被写体情報を受け付けた場合や、オーダ情報に被写体情報が含まれていた場合等は、被写体情報を取得したため、ステップS103Bへ進む。一方、被写体情報を取得しなかった場合は、ステップS104へ進む。
ステップS103Bで、導出部28が、上記ステップS102で受け付けた仮想グリッド特性と、取得した被写体情報とに基づいて、記憶部30に記憶させてあるテーブルから仮想グリッド特性を決定する。例えば、仮想グリッド特性=3:1を受け付け、被写体情報として「普通」を取得した場合、具体例1のように、仮想グリッド特性=3:1に決定する。また例えば、仮想グリッド特性=3:1を受け付け、被写体情報として「太め」を取得した場合、具体例2のように、仮想グリッド特性=4:1に決定する。
次のステップS103Cで、導出部28が、上記ステップS103Bで決定した仮想グリッド特性と上記ステップS102で受け付けた仮想グリッド特性とが一致しない(≠)か否かを判定する。一致する場合は、ステップS104へ進む。一方、一致する場合は、ステップS103Dへ進む。
次のステップS103Dで、導出部28が、上記ステップS103Bで決定した仮想グリッド特性に変更するか否かを判定する。決定した仮想グリッド特性に変更するか否かの判定方法は特に限定されないが、例えば、仮想グリッド特性を変更するか否かをユーザに問い合わせる表示を表示部36に行い、入力部34から受付部26が受け付けたユーザからの問い合わせ結果に基づいて判定するようにしてもよい。また例えば、決定した仮想グリッド特性に変更するか否かが予め導出部28内部等に設定されている場合は、設定に応じて判定するようにしてもよい。
決定した仮想グリッド特性に変更しない場合は、ステップS104へ進む。一方、変更する場合は、ステップS103Eへ進む。ステップS103Eで、導出部28が、仮想グリッド特性を変更する。具体的には、上記ステップS102で受け付けた仮想グリッド特性から、ステップS103Bで決定した仮想グリッド特性に変更する。
次のステップS104で、導出部28が、仮想グリッド特性に応じた撮影条件を、記憶部30に記憶させてあるテーブルに基づいて導出する。ここで、導出部28は、上記ステップS103Eにより仮想グリッド特性が変更されている場合は、変更後の仮想グリッド特性、すなわち、上記ステップS103Bで決定した仮想グリッド特性に応じた撮影条件を導出する。また、導出部28は、仮想グリッド特性が変更されていない場合は、ステップS102で受け付けた仮想グリッド特性に応じた撮影条件を導出する。すなわち、導出部28は、被写体情報を取得しなかった場合、決定した仮想グリッド特性が上記ステップS102で受け付けた仮想グリッド特性と一致した場合、及び上記ステップS103Dで決定した仮想グリッド特性に変更しないと判定した場合は、ステップS102で受け付けた仮想グリッド特性に応じた撮影条件を導出する。
以降の、ステップS106〜S112の処理は、第1の実施の形態のステップS106〜ステップS112の処理と同様である。
すなわち、導出部28が、導出した撮影条件を制御装置14の線源制御部22にセットする。線源制御部22は、導出部28によりセットされた撮影条件に応じて、放射線源18を制御して放射線画像の撮影を行う。実行部32は、放射線検出器20により撮影された放射線画像を受信すると、受け付けた仮想グリッド特性に応じた乱線透過率Ts、一次線透過率Tp、及び撮影条件に基づいて、上述した(1)〜(5)式を用いて、仮想グリッド処理を行う。さらに、仮想グリッド処理により、散乱線の影響が除去された放射線画像を表示部36に表示させる。
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、上記各実施の形態に係る放射線画像撮影装置10と同様の部分については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
放射線画像撮影装置10の構成は、第1の実施の形態(図1参照)と同様であるため、説明を省略する。一方、本実施の形態の放射線画像撮影装置10は、撮影制御処理において、上記各実施の形態の撮影制御処理(図3及び図4参照)と異なる処理を含むため、異なる処理について説明する。
図5には、本実施の形態の撮影制御処理の一例のフローチャートを示す。本実施の形態の撮影制御処理は、第2の実施形態の撮影制御処理において放射線画像を表示させた後に、再撮影を行う場合の処理が含まれる点で、第2の実施の形態と異なっている。そのため、図5に示すように、本実施の形態の撮影制御処理のステップS100〜S112の処理は、第2の実施の形態のステップS100〜S112の処理と同様である。
すなわち、受付部26は、放射線画像の撮影に関するオーダ情報を表示部36に表示させる。オーダ表示に応じて、ユーザは、被写体19を挟んで、放射線検出器20及び放射線源18を撮影位置にセットする。さらにユーザは、仮想グリッド特性(グリッド比)を含むオーダ情報を入力部34から指示する。受付部26は、仮想グリッド特性を含むオーダ情報を受け付ける。
さらに、被写体情報を取得した場合は、導出部28が、上記ステップS102で受け付けた仮想グリッド特性と、取得した被写体情報とに基づいて、記憶部30に記憶させてあるテーブルから仮想グリッド特性を決定する。
さらに、決定した仮想グリッド特性と受け付けた仮想グリッド特性とが一致せず、決定した仮想グリッド特性に変更する場合は、導出部28が、仮想グリッド特性を変更する。そして、導出部28が、仮想グリッド特性に応じた撮影条件を、記憶部30に記憶させてあるテーブルに基づいて導出する。導出部28は、仮想グリッド特性が変更されている場合は、変更後の仮想グリッド特性(決定した仮想グリッド特性)に応じた撮影条件を導出する。
さらに、導出部28が、導出した撮影条件を制御装置14の線源制御部22にセットする。線源制御部22は、導出部28によりセットされた撮影条件に応じて、放射線源18を制御して放射線画像の撮影を行う。実行部32は、放射線検出器20により撮影された放射線画像を受信すると、受け付けた仮想グリッド特性に応じた乱線透過率Ts、一次線透過率Tp、及び撮影条件に基づいて、上述した(1)〜(5)式を用いて、仮想グリッド処理を行う。さらに、仮想グリッド処理により、散乱線の影響が除去された放射線画像を表示部36に表示させる。
本実施の形態の撮影制御処理では、上記処理の後、さらにステップS114へ進む。ステップS114では、再撮影を行うか否かを判定する。ステップS112の処理により表示部36に表示された放射線画像をユーザが確認し、好ましくない等の理由により再撮影を行う場合、ユーザは、入力部34により、再撮影を指示する。受付部26が再撮影の指示を入力部34から受け付けない場合(ユーザが再撮影を指示しない場合9は、本処理を終了する。一方、受付部26が再撮影の指示を入力部34から受け付けた場合は、ステップS116へ進む。
ステップS116では、変更した撮影条件を受付部26が受け付ける。上記のように、例えば、好ましくない放射線画像となる場合、撮影における撮影条件が適切ではなかった場合がある。このような場合の具体例としては、放射線源18の管球の劣化により、線源制御部22にセット(設定)したよりも多い、または少ない線量が被写体19に照射された場合や、被写体19の体厚が大きい場合等が挙げられる。そのため、再撮影にあたっては、撮影条件を変更することが好ましい場合があり、ユーザは、再撮影のための撮影条件を入力部34により指示する。なお、この際、撮影条件の変更を行いやすくするために、現在の撮影条件を表示部36に表示させて、ユーザに提示するようにしてもよい。
次のステップS116では、受付部26が撮影条件を受け付けた後、ステップS106に戻って、本処理を繰り返す。
すなわち、ステップS106で、導出部28が、受け付けた再撮影の撮影条件を線源制御部22にセットする。次のステップS108では、実行部32は放射線画像を受信したか否かを判定する。実行部32が放射線画像を受信した場合は、次のステップS110で、実行部32が、受信した放射線画像に対して、ステップS102で受け付けた仮想グリッド特性に応じた仮想グリッド処理を行う。次のステップS112では、仮想グリッド処理により散乱線の影響が除去された、再撮影による放射線画像を表示部36に表示させる。このように本実施の形態の導出部28では、再撮影の際、当初の撮影で用いた仮想グリッド特性(グリッド比)を用いて仮想グリッド処理を行う。例えば、再撮影における撮影条件が、図2に示した対応関係を示すテーブルでは、グリッド比が6:1に対応している場合がある。このような場合でも、本実施の形態の画像処理装置12の導出部28では、当初の撮影で用いた仮想グリッド特性(グリッド比)を適用して、仮想グリッド処理を行う。
なお、本実施の形態の放射線画像撮影装置10(画像処理装置12)は、ステップS102の処理により取得した仮想グリッド特性(グリッド比)と異なる仮想グリッド特性(グリッド比)で、仮想グリッド処理を行うことを妨げるものではない。例えば、ステップS112の処理により、表示部36に表示された放射線画像を確認したユーザの指示により、仮想グリッド特性(グリッド比)を変更して実行部32が仮想グリッド処理を行い、散乱線の影響を除去した放射線画像を表示部36に表示させるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、具体例として、決定した仮想グリッド特性を表示部36に表示する等して、仮想グリッド特性を変更するか否かを判定する場合を挙げているこれに限らない。例えば、被写体情報(体型)を表示部36に表示させて、仮想グリッド特性を変更するか否かをユーザに問い合わせ、ユーザ空の問い合わせ結果に基づいて、仮想グリッド特性の決定や変更を行うようにしてもよい。
また、本実施の形態では、第2の実施の形態の撮影制御処理において再撮影を行う場合について説明したがこれに限らず、第1の実施の形態の撮影制御処理において、再撮影を行う場合についても同様にすればよいことはいうまでもない。
以上説明したように上記各実施の形態の放射線画像撮影装置10では、画像処理装置12が、受付部26、導出部28、記憶部30、及び実行部32を備える。受付部26は、入力部34から仮想グリッド特性を受け付ける。導出部28は、受け付けた仮想グリッド特性(グリッド比)に対応する撮影条件を記憶部30に記憶されているテーブルに基づいて、導出する。導出部28は、導出した撮影条件を線源制御部22にセットする。線源制御部22は、セットされた撮影条件に応じて放射線源18を制御して、放射線画像の撮影を行う。画像処理装置12の実行部32は、放射線検出器20により撮影された放射線画像を、検出器制御部24を介して取得する。実行部32は、取得した放射線画像に対して、受付部26が受け付けた仮想グリッド特性、及び導出部28が導出した撮影条件に基づいて、仮想グリッド処理を行い、散乱線の影響を除去した放射線画像を生成し、表示部36に表示させる。
このように上記各実施の形態の放射線画像撮影装置10では、受付部26が受け付けた仮想グリッド特性に対応する撮影条件を導出部28が導出して、線源制御部22にセットするため、撮影条件の設定に係るユーザの作業負担の軽減を図ることができる。
また、上記各実施の形態の放射線画像撮影装置10では、実際に放射線検出器20と被写体19との間にグリッドを配置せずに撮影された放射線画像を実行部32が取得し、取得した放射線画像に対して画像処理として仮想グリッド処理を行うことにより、放射線画像から散乱線の影響を除去している。放射線検出器20と被写体19との間に実際に配置されるグリッドは、上述したように、鉛とアルミ等の中間物質が細かな格子密度で交互に配置されているため、重量があるものとなっている。そのため、例えば、図6のように、寝ている被写体19と放射線検出器20との間にグリッドを配置する必要があるが、配置の作業の負担、及び撮影における被写体19の負担が大きいものとなる。また、収束型のグリッドの場合、放射線の斜入により放射線画像に濃度ムラが発生するおそれがある。また、放射線画像には被写体像とともにグリッドのピッチに対応した細かな縞模様(モアレ)が記録されてしまい、放射線画像が見づらいものとなってしまうおそれもある。縞模様を除去する画像処理は、従来技術として例えば、特開2013−172881号公報等に記載された技術等が周知であるが、従来の技術では、処理時間が増大する場合がある。これに対して、本実施の形態の放射線画像撮影装置10では、実際のグリッドを用いずとも、グリッドを設けた場合と同様に、仮想グリッド特性に基づいた仮想グリッド処理により、放射線画像から散乱線の影響を除去しているため、被写体19やユーザの負担をさらに低減することができる。また、放射線画像がモアレ等により見づらいものとなることを抑制することができる。
また、放射線画像撮影装置10では、受付部26で受け付けたグリッド特性に基づいて、実行部32が仮想グリッド処理を行うため、使用を想定する仮想グリッド特性を指示することにより、散乱線の除去量をコントロールすることが可能である。
また、上記第1の実施の形態の放射線画像撮影装置10では、ステップS102で受け付けた仮想グリッド特性に基づいて撮影条件をセットするため、例えば、ユーザが当初、希望した仮想グリッド特性に応じた、仮想グリッド処理が行われる。そのため、所望の仮想グリッド特性に応じた仮想グリッド処理を希望するユーザに対して、特に、負荷を低減させることができる。
また、上記第2及び第3の実施の形態の放射線画像撮影装置10では、ステップS102で受け付けた仮想グリッド特性、及び被写体情報に基づいて、仮想グリッド特性を決定し、決定した仮想グリッド特性に応じて、撮影条件を導出してセットするため、より、ユーザの負荷を低減させ、適切に放射線画像から散乱線の影響を除去することができる。
なお、上記各実施の形態では、放射線検出器20がFPDの場合について説明したがこれに限らず、その他の形態の放射線検出器であってもよい。また、放射線画像撮影装置10の構成も特に限定されない。なお、放射線画像撮影装置10として、回診車に適用することが好ましい。放射線画像撮影装置10を回診車に適用し、被写体19の病室に配置した状態の具体例を図6に示す。
図6に示すように、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置10は、放射線検出器20及び回診車50を備えている。また、回診車50は、放射線源18と、コンソールとして機能する画像処理装置12、U/I部13、及び制御装置14と、を備えている。放射線検出器20は、寝台52と寝台52に仰臥している被写体19としての患者との間に配置される。一方、本実施の形態に係る回診車50は、アーム54を備えており、アーム54の一端部には放射線源18が設けられる。放射線源18は、寝台52に仰臥している被写体19の上部に配置される。また、回診車50は、本体部58の底部に車輪60が設けられており、病院内を移動可能とされている。回診車50は、U/I部13を介して放射線画像の撮影が指示されると、撮影条件に応じて、画像処理装置12及び制御装置14の制御により、放射線検出器20を用いて放射線画像の撮影を行う。
また、上記各実施の形態では、記憶部30に、グリッド特性と、被写体19の被写体情報と、撮影条件との対応関係をあらわすテーブル、及び仮想グリッド特性と、実行部32で仮想グリッド処理を行うための情報と、を対応付けたテーブルの2つのテーブルを記憶させていたが、それぞれ別個の記憶部に記憶させるようにしてもよい。
また、上記各実施の形態における放射線は、特に限定されるものではなく、X線やγ線等を適用することができる。
その他、上記各実施の形態で説明した放射線画像撮影装置10等の構成及び動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。