本願の出願者は、本願と同日に出願され、その全体が参照により本願に組み込まれる「Staple Cartridge Tissue Thickness Sensor System」と題する米国特許出願(代理人整理番号END7198USNP/120306)を所有する。
以下では、組織厚感知モジュールを備える外科用器具の例示的実施を示す実施形態を含むいくつかの実施形態の詳細について言及する。可能である場合は、類似又は同様の参照番号を図面で用いてよく、類似又は同様の機能性を示してよい。図面は、開示される外科用器具及び/又はその使用方法の例示的な実施形態を、描写する目的のみのために図示する。当業者は、以下の記載から、本明細書に記載の原則から逸脱することなく、本明細書に示される構造及び方法の代替的な例示的実施形態を用いることができることを容易に理解できるであろう。
「近位(側)」及び「遠位(側)」という用語は、本願では臨床医が器具のハンドルを握ることに関して用いられることが理解されよう。したがって、エンドエフェクタは、より近位のハンドルに対して遠位である。更に理解されたいこととして、便宜のため、また明確にするために、「垂直」及び「水平」などの空間に関する用語は、本明細書において、図面を基準にして用いられている。しかしながら、外科用器具は、多くの方向及び配置において使用され、これらの用語は、限定的及び絶対的であることを意図しない。
器具は、様々な実施形態によって、モータ駆動器具、手動器具、又はロボット制御の外科用器具であってよい。2013年3月1日に出願された、「Articulatable Surgical Instruments With Conductive Pathways For Signal Communication」と題する米国特許出願第13/782,295号、「Rotary Powered Articulation Joints For Surgical Instruments」と題する同第13/782,323号、「Thumbwheel Switch Arrangements For Surgical Instruments」と題する同第13/782,338号、「Electromechanical Surgical Device with Signal Relay Arrangement」と題する同第13/782,499号、「Multiple Processor Motor Control for Modular Surgical Instruments」と題する同第13/782,460号、「Joystick Switch Assemblies For Surgical Instruments」と題する同第13/782,358号、「Sensor Straightened End Effector During Removal Through Trocar」と題する同第13/782,481号、「Control Methods for Surgical Instruments with Removable Implement Portions」と題する同第13/782,518号、「Rotary Powered Surgical Instruments With Multiple Degrees of Freedom」と題する同第13/782,375号、及び「Surgical Instrument Soft Stop」と題する同13/782,536号は、これら全体が参照により本願に組み込まれる。
図1及び2は、本開示の様々な実施形態によるモータ駆動の手術用切断及び締結器具10を描写する。図示された実施形態は、直線状の内視鏡器具であり、本明細書に記載される器具10の実施形態は、一般的に、直線状の内視鏡手術用切断及び締結器具である。しかしながら、本発明はそのように制限されるものではないこと、及び本発明の他の実施形態により、器具は、円形又は湾曲エンドカッター等の別のタイプの内視鏡器具であってもよいことに留意されたい。2008年7月17日公開の「Surgical Stapling Device with a Curved Cutting Member」と題する米国特許出願公開第2008/0169332号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。更に、この器具は、腹腔鏡器具、開放手術用器具、又はロボット手術用器具などの非内視鏡的手術用切断及び締結器具であってよい。いくつかの実施形態では、外科用器具10は、記録機能を備えてよい。2010年12月7日発行の「Surgical Instrument Having Recording Capabilities」と題する米国特許第7,845,537号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1及び2に示す手術器具10は、ハンドル6と、シャフト8と、シャフト8に連結されたエンドエフェクタ12とを備えている。様々な実施形態では、エンドエフェクタ12は、関節運動枢動点14を中心として関節運動することができる。関節運動制御部16がハンドル6に隣接して設けられて、関節運動枢動点14を中心としてエンドエフェクタ12を回転させてよい。例示される実施形態では、エンドエフェクタ12は、細胞をクランプし、切断し、ステープル留めするためのエンドカッターとして機能するように構成されているが、他の実施形態では、捕捉器具、カッター、ステープラー、クリップ用具、アクセスデバイス、薬物/遺伝子治療デバイス、超音波、高周波、又はレーザー装置などの異なるタイプのエンドエフェクタが、使用されてよい。
器具10のハンドル6は、エンドエフェクタ12を作動させるための閉鎖トリガー18及び発射トリガー20を備えてよい。異なる外科的手技を目的とするエンドエフェクタを有する器具は、エンドエフェクタ12を操作するために異なる数又はタイプのトリガー若しくは他の適切な制御部を有し得ることが理解されよう。エンドエフェクタ12は、細長いシャフト8によってハンドル6から分離されている様子が示されている。一実施形態では、臨床医又は器具10の操作者は、関節制御部16を使用することによって、シャフト8に対してエンドエフェクタ12を関節運動させる。「Surgical Instrument Having an Articulating End Effector」と題する米国特許第7,670,334号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
エンドエフェクタ12は、他のものと共に、ステープル溝22及びアンビル24など枢動可能に平行移動可能なクランピング部材を含み、これらは、アンビル24がクランプされた位置にある際に、エンドエフェクタ12によりクランプされた組織の効果的なステープリングと切断を確保するために必要な間隔で維持されている。ハンドル6は下向きに延在するピストルグリップ26を有し、臨床医がピストルグリップ26の方向に閉鎖トリガー18を旋回させて引き寄せてアンビル24をエンドエフェクタ12のステープル溝22の方向に締める、又は閉じることによってアンビル24と溝22との間に位置する組織をクランプすることができる。発射トリガー20は、閉鎖トリガー18の更に外側に設けられている。閉鎖トリガー18が、閉鎖位置に固定されると、発射トリガー20は、ピストルグリップ26の方向にわずかに回転して、操作者が片手で操作できるようになる。次いで操作者は、エンドエフェクタ12内でクランプされた組織のステープル留め及び切断を行うために、発射トリガー20をピストルグリップ12の方向に旋回させて引いてよい。他の実施形態において、アンビル24の他に、異なるタイプのクランピング部材が使用される場合がある。ハンドル6はまた、使用者が手でピストルグリップ部26を握る際に使用者の手の甲の上に位置し得る上部28を含んでよい。アンビル24は、アンビル24の遠位端に位置する磁石78を含んでよい。
使用操作時には、クロージャトリガー18が最初に作動され得る。臨床医がエンドエフェクタ12の位置決めに満足すると、臨床医は、閉鎖トリガー18をピストルグリップ26に近接した完全閉鎖ロック位置に引き寄せることができる。閉鎖トリガー18を引き戻すことで、アンビル24を下向きに回転させ、アンビル24と溝22内に位置付けられたカートリッジ34との間の組織をクランプする。次に、発射トリガー20を作動することができる。発射トリガー20の作動により、エンドエフェクタ12内の切断器具に、クランプされた組織を切断させ、ステープルカートリッジ34内の締結具に、切断された組織を締結させる。臨床医が圧力を解放すると、発射トリガー20は開放位置(図1及び2に図示)に戻る。ハンドル6の解放19ボタンは、押圧されると、固定された閉鎖トリガー18を解放し得る。解放ボタン19は、例えば、米国特許出願公開第2007/0175955号に開示されているように、様々な形式で実施されてよい。「Surgical cutting and fastening instrument with closure trigger ocking mechanism」と題する米国特許出願公開第2007/0175955号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
エンドエフェクタ12は、発射トリガー20が使用者によって引き戻される際に、エンドエフェクタ12内でクランプされた組織を切断するための、ナイフなどの切断器具を含んでよい。エンドエフェクタ12はまた、ステープル、RF電極、接着剤など、切断器具によって切断された組織を締結する手段を備えてよい。器具10はまた、閉鎖トリガー18の閉鎖時(つまり、引き戻し時)に閉鎖する(又はクランプする)閉鎖システムを備えてよい。
器具10のシャフト8内に位置する長手方向に可動する又は回転可能な駆動シャフトは、エンドエフェクタ12内の切断器具及び締結手段を駆動/作動させることができる。器具10のハンドル6のピストルグリップ部26に位置付けられた電動モータは、駆動シャフトを直接的又は間接的(ギア駆動系を介して)駆動するために使用されてもよい。様々な実施形態では、モータは、例えば約25,000RPMの最大回転数を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。他の実施形態では、モータは、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッピングモータ、又は任意の他の好適な電動モータであってよい。2010年4月15日公開の「Powered Surgical Cutting and Stapling Apparatus with Manually Retractable Firing System」と題する米国特許出願公開第2010/0089970号及び2012年7月3日発行の「Motor−Driven Surgical Cutting Instruments」と題する米国特許第8,210,411号は、これら全体が参照により本願に組み込まれる。リチウムイオン電池など電池(又は「電源」若しくは「電力パック」)は、モータに隣接するハンドル6のピストルグリップ部26内に設けられてよい。電池は、モータ制御回路を介してモータに電力を供給してよい。様々な実施形態によると、直列に接続されている多数の電池セルが、モータに電力を供給するための電源として使用されてよい。加えて、電源は交換可能及び/又は再充電可能であってよい。
図3は、本発明の様々な実施形態によるエンドエフェクタ12の図である。例示した実施形態に示されるように、エンドエフェクタ12は、上記の溝22及びアンビル24に加えて、切断器具32、橇状部材33、溝22内に取り外し可能に位置するステープルカートリッジ34、及び螺旋状ねじシャフト36を有し得る。切断器具32は、例えば、ナイフであってよい。アンビル24は、溝22の近位端に連結された旋回ピン25において旋回により開閉することができる。アンビル24は更にその近位端において、アンビル24を開閉するために機械的閉鎖システムの構成要素に挿入されるタブ27を含むことができる。クロージャトリガー18が作動される、つまり、器具10の使用者によって引き寄せられる際、アンビル24は、枢動ピン25を中心に、クランプ位置又は閉鎖位置内に旋回し得、そうしてチャネル22とアンビル24との間の組織をクランプする。エンドエフェクタ12によるクランピングが満足すべきものである場合、操作者は、ナイフ32とスレッド33をチャネル22に沿っての長手方向に移動させるために発射トリガー20を作動でき、それによってエンドエフェクタ12内にクランプされた組織が切断される。橇状部材33が溝22に沿って動くことにより、ステープルカートリッジ34のステープル(図示なし)が切断された組織を貫通して閉じたアンビル24に対して打ち込まれ、これによりアンビル24がステープルを折り曲げて切断組織を締結する。様々な実施形態では、橇状部材33は、カートリッジと一体の構成要素であってよい。ナイフ32が切断操作後に後退する際に橇状部材33がナイフ32と共に後退せず、少なくとも部分的に発射されたステープルカーリッジと留まるように、橇状部材33はカートリッジ34の一部分とすることができる。
図4〜5は、様々な非制限的な実施形態によるエンドエフェクタ12及びシャフト8の分解図であり、図6は、同側面図である。図の実施形態に示されるように、シャフト8は、旋回連結部44によって旋回可能に連結された近位側閉鎖管40及び遠位側閉鎖管42を有してよい。遠位側閉鎖管42は開口部45を有しており、下記に詳述するように開口部45内にアンビル24のタブ27が挿入されることでアンビル24が開閉される。閉鎖管40、42の内部には近位側脊柱管46が配置され得る。近位側脊柱管46の内部には、傘歯車アセンブリ52を介して第2の(又は遠位側)駆動シャフト50と連動した主回転(又は近位側)駆動シャフト48が配置され得る。第2の駆動シャフト50は、螺旋状ねじシャフト36の近位側駆動ギア56と噛み合う駆動ギア54に連結されている。垂直傘歯車52bは近位スパイン管46の遠位端の開口部57内に位置し、開口部57内で旋回し得る。遠位側脊柱管58は、第2駆動シャフト50及び駆動ギア54、56を収容するために用いられてもよい。主駆動シャフト48、第2の駆動シャフト50、及び関節アセンブリ(例、傘歯車アセンブリ52a〜c)は、本願ではまとめて「主駆動シャフトアセンブリ」と呼ぶ場合がある。
ステープル溝22の遠位端に位置付けられたベアリング38が螺旋駆動ねじ36を受容することにより、螺旋駆動ねじ36は溝22に対して自由に回転することが可能である。螺旋ねじシャフト36がナイフ32のねじ付き開口部(図示なし)と干渉することにより、シャフト36の回転によってナイフ32がステープル溝22内で遠位方向又は近位方向に(回転方向に応じて)並進運動する。したがって、発射トリガー20の作動によって主駆動シャフト48が回転させられると、傘歯車アセンブリ52a〜cが第2の駆動シャフト50を回転させ、これにより、駆動ギア54、56が噛合しているために螺旋状ねじシャフト36が回転し、これによりナイフ駆動部材32が溝22に沿って長手方向に移動してエンドエフェクタ12内のクランプされた任意の組織を切断する。橇状部材33は、例えばプラスチックで作製されてよく、傾斜した遠位面を有し得る。橇状部材33が溝22を移動するにしたがって、傾斜した前面がステープルカートリッジ34内のステープルを、クランプされた組織を貫通してアンビル24に対して押し上げる、すなわち、駆動することができる。アンビル24がステープルを折り曲げるか、変形させることによって、切断された組織をステープル留めする。ナイフ32が後退すると、ナイフ32と橇状部材33とが分離し、これにより橇状部材33は溝22の遠位端に残される。
例示される実施形態において、エンドエフェクタ12は、切断器具32を駆動するために、回転可能な、螺旋状ねじシャフト36を使用する。かかる螺旋状駆動ねじシャフト36は、回転駆動部材が使用される実施形態において、使用されてよい。他の実施形態では、長手方向に往復する駆動部材は、切断器具、例えば、長手方向に往復する駆動部材に電力を供給するために使用されてもよい。エンドエフェクタ12は、そのような長手方向に往復する駆動部材に適するように、適宜改善されてもよい。
様々な実施形態によると、ステープルカートリッジ34は、ステープル溝22(ステープルカートリッジ34を含む)とアンビル24との間に、エンドエフェクタ12内でクランプされた組織の厚さを感知する組織厚感知モジュール102を備えてよい。図7に示されるように、様々な非制限的な実施形態によると、組織厚感知モジュール102は、例えば、ステープルが発射される際にステープルカートリッジ34のステープルに対して遠位に位置付けられるように、ステープルカートリッジ34の遠位端62に隣接して位置してよい。図8〜9Bは、組織厚感知モジュール102の一実施形態を示す。図8に示されるように、組織厚感知モジュール102は、使用中に組織厚感知モジュール102の要素を保護するエンクロージャ103を備えてよい。図9A及び9Bは、エンクロージャ103を取り外した組織厚感知モジュール102のある図を例示する。図9A及び9Bに示すように、組織厚感知モジュール102は、組織厚感知器104と、制御部106と、無線モジュール108と、電源110と、アンテナ112と、を備えてよい。
いくつかの実施形態では、組織厚感知器104は、ステープル溝22とアンビル24との間でクランプされた組織の厚さを示す組織厚信号を生成するように構成されてよい。組織厚感知器104は、エンドエフェクタ12内でクランプされた組織の厚さを検出する、任意の好適な感知器であってよい。例えば、組織厚感知器104は、磁気センサー、磁気誘導センサー、磁気抵抗センサー(AMR、GMR)、超音波センサー、電波センサー、及び/又は任意の他の好適なセンサーを備えてよい。いくつかの実施形態では、組織厚感知器104は、アンビル24の遠位端80に位置する磁石78によって生成される磁場を検出するように構成されてよい。臨床医が、閉鎖トリガー18を引き戻すことによってアンビル24を閉じると、磁石78は、感知器104の近くで下向きに回転し、その結果、感知器104によって検出される磁場は、アンビル24が回転して閉鎖(つまり、クランプされた位置)位置になるにつれて変化する。磁石78からの、組織厚感知器104によって検出される磁場の強度は、エンドエフェクタ12が閉鎖(つまり、クランプされた)位置にある場合に、ステープルカートリッジ34とアンビル24との間でクランプされた組織の厚さを示す、ステープルカートリッジ34とアンビル24との間の距離を示す。例えば、ステープルカートリッジ34とアンビル24との間の距離がより大きく、したがって、組織厚感知器104によってより弱い磁場が検出されたことは、ステープルカートリッジ34とアンビル24との間に厚い組織が存在することを示してよく、ステープルカートリッジ34とアンビル24との間の距離がより短いこと、したがって、組織厚感知器104によってより強い磁場が検出されたことは、ステープルカートリッジ34とアンビル24との間に薄い組織が存在することを示してよい。いくつかの実施形態では、組織厚感知器104は、ホール効果センサーを備えてよい。
制御部106は、組織厚感知モジュール102の1つ以上の操作を制御するように構成されてよい。制御部106は、組織厚感知器104と信号通信を行ってよい。信号通信は、有線及び/又は無線通信を含んでよい。制御部106は、組織厚感知器104、送信機108、及び/又は電源110の操作を制御するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、制御部106は、1つ以上のプロセスを実行して、組織厚感知モジュール102及び/又はエンドエフェクタ12の操作を制御するように構成されてよい。
いくつかの実施形態では、制御部106は、ステープル溝22内に位置付けられているステープルカートリッジのタイプを識別する識別手段を備えてよい。ステープルカートリッジ34は、最適な組織厚範囲内で使用するように構成されてよく、制御部106は、所与の一連の状況において特定のステープルカートリッジが好適である、及び/又は好ましいかどうかを判定するように構成されていてよい。例えば、いくつかの実施形態では、ステープルカートリッジ34は、厚い組織で使用するように構成されている、複数の長いステープルを含んでよい。いくつかの実施形態では、ステープルカートリッジ34は、薄い組織で使用するように構成されている、複数の短いステープルを含んでよい。ステープルカートリッジ34に最適な組織厚範囲がより長いステープルの使用を命じるか、好む場合、薄い組織で使用するように構成されたステープルカートリッジを使用しようとすると、外科用器具2は、臨床医に警告してよい。例えば、又は場合によっては、外科用器具2を使用できないようにする。識別手段は、ステープル溝22内に位置付けられたステープルカートリッジのタイプを識別して、処置される組織のために適切なタイプのステープルカートリッジ34を確実に設置するように構成されてよい。
いくつかの実施形態では、組織厚感知モジュール102は、無線モジュール108を含んでよい。無線モジュール108は、無線データ通信プロトコルを使用して、遠隔装置、例えば、器具10のハンドル6内に位置する受信機と無線通信を行う、低電力の、2方向無線モジュールであってよい。様々な実施形態によると、無線モジュール108は、ヒト組織を通しての伝送に好適な通信周波数を使用して、遠隔装置と通信してよい。無線モジュール108と遠隔装置との通信には、MICS(Medial Implant Communication Service)周波数帯域(502〜405MHz)、好適な産業、科学及び医療用(ISM)無線帯域(433MHzの中心周波数、又は915MHzの中心周波数など)、Bluetooth通信帯域(2.4GHz)、又は任意の他の好適なヒト組織透過性の周波数帯域を使用してよい。いくつかの実施形態では、アンテナ112は、無線モジュール108と信号通信を行ってよい。いくつかの実施形態では、アンテナ112は、無線モジュール108と一体的に形成されてよい。
組織厚感知モジュール102は、制御部106又は無線モジュール108に独立した電力を供給するために、1つ以上の電源110を備えてよい。電源110は、組織厚感知モジュール102の構成要素に電力を供給するための好適な電池セル、例えば、リチウムイオン電池又はいくつかの他の好適な電池セルなどを備えてよい。いくつかの実施形態では、多数の電池セルが設けられて、組織厚感知モジュール102の構成要素に電力を供給してよい。
いくつかの実施形態では、識別手段によって生成されたステープルカートリッジタイプ信号及び組織厚感知器104によって生成された組織厚信号を使用して、ステープル溝22とアンビル24との間でクランプされた組織がステープルカートリッジ34の最適な組織厚範囲内にあるかどうかを判定してよい。いくつかの実施形態では、制御部106は、ステープル溝22とアンビル24との間でクランプされた組織が最適な組織厚範囲内にあるかどうかを判定するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、外科用器具10のハンドル6に位置する遠隔装置など遠隔システムは、判定を行うか、少なくともかかる判定の一部を行うように構成されてよい。
図10は、組織厚感知モジュール202の一実施形態のブロック図を示す。例示された実施形態では、組織厚感知モジュール202は、組織厚感知器204と、制御部206と、無線モジュール208と、電源210と、リードスイッチ211と、を含む。図10に示されるように、組織厚感知器204は、制御部206と信号通信を行ってよい。組織厚感知器204は、外科用器具の10のステープル溝22とアンビル24との間にクランプされた組織の厚さを判定するのに好適な任意の感知器であってよい。いくつかの実施形態では、組織厚感知器204は、アンビル24の遠位端80に位置する磁石78によって生成される磁場を検出するように構成されてよい。磁場の強度は、エンドエフェクタ12内でクランプされた組織の厚さを示してよい。いくつかの実施形態では、組織厚感知器204は、ホール効果センサーを備えてよい。
図10に示される制御部206は、ステープルカートリッジ34のステープルカートリッジタイプを識別する識別手段(identifier means)214を含んでよい。識別手段214は、制御部206が使用してステープルカートリッジタイプを識別できる任意の好適な手段であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、識別手段214はメモリ装置を備えてよい。制御部206のメモリ装置は、1つ以上の固体読み出し専用メモリ(ROM)装置及び/又はランダムアクセスメモリ(RAM)装置を備えてよい。様々な実施形態では、制御部206及びメモリ装置は、単一集積回路(IC)、又は複合ICに組み込まれてよい。ROMメモリ装置は、フラッシュメモリを備えてよい。メモリ装置は、ステープルカートリッジ34のカートリッジタイプを示すデータを記憶してよい。つまり、例えば、メモリ装置は、ステープルカートリッジ34のタイプを示すデータを記憶してよい。いくつかの実施形態では、メモリ装置は、ステープルカートリッジ34のタイプの最適な組織厚範囲を示すデータを記憶してよい。
いくつかの実施形態では、識別手段214は、組織厚感知モジュール102の近位端に形成された第1の複数の端子を備えてよい。第2の複数の端子は、ステープルカートリッジ34の遠位端に形成されてよい。第1の複数の端子のサブセットは、第2の複数の端子と信号通信を行ってよい。ステープルカートリッジ34のタイプは、第2の複数の端子と信号通信を行う、第1の複数の端子のサブセットによって示されてよい。1つ以上の回路は、信号通信を行う第1の複数の端子のサブセットを識別し、識別したサブセットに基づいて、制御部106にステープルカートリッジタイプ信号を供給するように構成されてよい。
様々な実施形態では、組織厚感知器204によって生成された組織厚信号及び識別手段214によって生成されたステープルカートリッジタイプ信号を使用して、組織厚信号によって示されるエンドエフェクタ12内でクランプされた組織の厚さが、ステープルカートリッジタイプ信号によって示されるようにステープルカートリッジ34最適な組織厚範囲内にあるかどうかを判定してよい。例えば、組織厚信号によって示される組織の厚さは、ステープルカートリッジ34の最適な組織厚範囲と比較されてよい。いくつかの実施形態では、制御部206は、測定された厚さが最適な組織厚範囲内にあるかどうかを判定するように構成されてよい。例えば、制御部206は、ステープルカートリッジタイプ及びこれらに関連する最適な組織厚範囲を記憶するように構成されているメモリ装置を備えてよい。組織厚感知モジュール202がアクティブ状態になると、識別手段214は、制御部206にステープルカートリッジタイプ信号を供給してよい。組織がエンドエフェクタ12内でクランプされると、制御部206は、エンドエフェクタ12内でクランプされた組織の厚さを示す組織厚信号を組織厚感知器204から受信してよい。制御部206はメモリ装置にアクセスし、識別手段214によって生成されたステープルカートリッジタイプ信号を記憶されたステープルカートリッジタイプと比較してよい。ステープルカートリッジ34のステープルカートリッジタイプがメモリ装置に記憶されたステープルカートリッジタイプと一致する場合、制御部206は、ステープルカートリッジ34の、記憶された最適な組織厚範囲にアクセスしてよい。制御部206は、ステープルカートリッジ34の、記憶された最適な組織厚範囲を組織厚感知器204によって示された組織厚と比較してよく、測定された組織厚がステープルカートリッジ34の最適な組織厚範囲内にあるかどうかを示す、状態信号を生成してよい。制御部206は、伝送するために無線モジュール208に状態信号を供給してよい。いくつかの実施形態では、無線モジュール208は、外科用器具10のハンドル6に位置する受信機に状態信号を伝送してよい。いくつかの実施形態では、無線モジュール208は、遠隔装置、例えば、受信機82を備える手術室のビデオディスプレイ80、又は受信機86を備える遠隔コンピュータシステム84(図11を参照)に連結された受信機に状態信号を伝送してよい。
ステープルカートリッジ34は、識別手段214によって認識されないステープルカートリッジタイプを備えることがある。いくつかの実施形態では、識別手段214がステープル溝22に挿入されたステープルカートリッジ34を識別できない場合、制御部206は、ステープルカートリッジを認識できないことを示す警告を臨床医に提供してよい。この警告は、例えば、可聴警告、視覚的警告、及び/又は触覚的警告など任意の好適な警告であってよい。この警告は、ステープルカートリッジ34を認識できないこと、臨床医は、自身の判断で挿入したステープルカートリッジ34を使用する必要があることを臨床医に示してよい。
特定のステープルカートリッジの最適な組織厚範囲は、無制限の範囲を含んでよい。例えば、いくつかの実施形態では、特定のステープルカートリッジの最適な組織厚範囲は、最大組織厚未満である任意の組織厚を含んでよい。他の実施形態では、特定のステープルカートリッジの最適な組織厚範囲は、最小組織厚を超える任意の組織厚を含んでよい。例えば、ステープルカートリッジは、厚い組織又は薄い組織をステープルするのに好適な長いステープルを含んでよい。このステープルカートリッジに最適な組織厚範囲は、ステープルカートリッジの最大組織厚未満である任意の組織厚であってよい。
いくつかの実施形態では、ステープルカートリッジ34は、任意の組織厚に好適な汎用ステープルカートリッジを含んでよい。識別手段214が汎用ステープルカートリッジを識別すると、制御部206は、ステープルカートリッジ34が汎用カートリッジであり、したがって、アンビル24とステープルカートリッジ34との間に位置する組織の厚さは、外科用器具2の操作に影響しないはずであることを示す信号を臨床医に供給してよい。
一例として、ステープルカートリッジ34は、組織厚感知モジュール202に隣接して位置してよい。ステープルカートリッジ34及び組織厚感知モジュールは、ステープル溝22に挿入されてよい。識別手段は、第1の値(x1)と第2の値(x2)との間の最適な組織厚範囲を有するカートリッジとしてステープルカートリッジ34を識別してよい。組織は、臨床医によって、アンビル24とステープルカートリッジ34との間にクランプされてよい。組織厚感知器204は、アンビル24とステープルカートリッジ34との間でクランプされた組織の厚さがxであることを示す組織厚信号を生成してよい。いくつかの実施形態では、組織厚xは最適な組織厚範囲x1〜x2に含まれてよく、組織厚感知モジュール202は、組織厚xが最適な組織厚範囲内にあることを示す表示を臨床医に提供する。
いくつかの実施形態では、組織厚xは、ステープルカートリッジ34の最適な組織厚範囲外であってよい。例えば、組織厚xは、最適な組織厚範囲の下限値x1よりも薄いことがある。外科用器具2は、組織厚xが最適な組織厚範囲よりも低いことを示す警告信号を臨床医に供給してよい。外科用器具2はまた、測定された組織厚xが最適な組織厚範囲よりも薄い場合でもステープル留めできてよい。別の例として、組織厚xは、最適な組織厚範囲の上限値x2よりも厚いことがある。外科用器具2は、組織厚xが最適な組織厚範囲よりも厚いことを示す警告を臨床医に提供してよい。いくつかの実施形態では、外科用器具2は、測定された組織厚xが最適な組織厚範囲よりも厚い場合、ステープルカートリッジ34の発射を阻止してよい。いくつかの実施形態では、外科用器具は、ステープルカートリッジ34を異なる最適な組織厚範囲を有する別のカートリッジタイプに交換するように臨床医に指示してよい。
いくつかの実施形態では、制御部206は、遠隔装置に伝送するために、組織厚信号及びステープルカートリッジタイプ信号を無線モジュール208に供給するように構成されてよい。無線モジュール208は、エンドエフェクタ12から離れて位置する遠隔装置、例えば、外科用器具10のハンドル6内の制御回路又は遠隔コンピュータシステム84などに組織厚信号及びステープルカートリッジタイプ信号を伝送してよい。遠隔装置は、受信した組織厚信号、受信したステープルカートリッジタイプ信号、及び既知の最適な組織厚範囲の比較を実行するように構成されてよい。例えば、遠隔装置は、既知のステープルカートリッジ及びこの既知のステープルカートリッジの最適な組織厚範囲を記憶するように構成されてよい。受信したステープルカートリッジタイプ信号は、既知のステープルカートリッジと比較されてよい。一致が識別されると、受信した組織厚信号は、ステープルカートリッジ34の最適な組織厚範囲と比較されてよい。遠隔装置は、組織厚信号によって示される、測定された組織厚がステープルカートリッジ34の最適な組織厚範囲内にあるかどうかを示す状態信号を生成してよい。遠隔装置は、例えば、有線及び/又は無線ネットワークへの接続などを使用して更新されてよい。遠隔装置は、新しいステープルカートリッジタイプ及び最適な組織厚範囲を追加するように更新されてよいか、既存のステープルカートリッジタイプの最適な組織厚範囲を調整するように更新されてよい。遠隔装置を更新することにより、組織厚感知モジュール202を更新する必要なく、ステープルカートリッジタイプを追加したり、更新したりできる。いくつかの実施形態では、遠隔装置は、定期的に更新版を受信してよい、又は新しい、若しくは変更されたカートリッジが利用可能になったらすぐに更新されてよい。
いくつかの実施形態では、制御部206又は遠隔装置のいずれかによって状態信号が生成された後で、状態信号を使用して、外科用器具10の操作を制御してよい。例えば、状態信号は、外科用器具10のハンドル6内の回路に供給されてよい。モータ制御回路は、外科用器具10の切断及び閉鎖操作を制御するように構成されてよい。測定された組織厚がステープルカートリッジ34の最適な組織厚範囲内にあることを状態信号が示す場合、モータ制御回路は、切断及び閉鎖操作を生じさせることができてよい。測定された組織厚がステープルカートリッジ34の最適な組織厚範囲内にないことを状態信号が示す場合、モータ制御回路は、切断操作及び閉鎖操作を阻止してよく、組織厚が最適な組織厚範囲内にないことを示す警告を臨床医に提供してよい。
いくつかの実施形態では、状態信号は、フィードバック装置を使用して臨床医に対して表示されてよい。フィードバック装置は外科用器具10に位置してよいか、手術室のビデオディスプレイ80など遠隔装置であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、外科用器具10は、発光ダイオード(LED)を装備してよい。LEDは、エンドエフェクタ12内でクランプされた組織がステープルカートリッジ34の最適な組織厚範囲内の厚さを有することを状態信号が示すとき、作動してよい。別の例として、手術室のビデオディスプレイ80は、例えば、測定された組織厚が最適な組織厚範囲内にあるときに標識を表示するなど、状態信号のグラフィック表示を表示するように構成されてよい。当業者は、任意の好適なフィードバック装置を使用して、臨床医に状態信号を供給してよいことを認識するであろう。いくつかの実施形態では、外科用器具2は、外科用器具2にディスプレイウィンドウを備えてよい。このディスプレイウィンドウは、状態信号又は組織厚信号の表示を臨床医に表示するように構成されてよい。ディスプレイウィンドウは、ステープルカートリッジ34の測定された組織厚及び最適な組織厚範囲を示してよい。
いくつかの実施形態では、組織厚感知モジュール102は、電源スイッチを受容するように構成されてよい。電源スイッチは、ステープル溝22へのステープルカートリッジ34の設置に先立って、組織厚感知モジュール102の操作を制御するように構成されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、組織厚感知モジュール102は、電源110を備えてよい。電源110は、制御部106と信号通信を行ってよい。制御部106は、電源スイッチの存在を検出してよく、電源110及び組織厚感知モジュール102を低電力状態に維持して、電源110からの使用可能なエネルギーを節約してよい。
図12は、電源スイッチ320を受容するように構成されている組織厚感知モジュール302の一実施形態を例示する。電源スイッチ320は、電源スイッチ320が組織厚感知モジュール302に隣接して位置する、及び/又は組織厚感知モジュール302に接続しているときに、組織厚感知器104を飽和状態に維持するように構成されている磁石378を備えてよい。制御部106は、組織厚感知器104の飽和状態を検出してよく、組織厚感知器104が飽和状態の間は、組織厚感知モジュール302を低電力状態に維持してよい。低電力状態は、組織厚感知モジュール302の様々なモジュールが、電力を受け取らない、又は組織厚感知モジュール302の様々な操作が実行されない状態を含んでよい。例えば、低電力状態は、電源110から制御部106、無線モジュール108、及び/又は組織厚感知器104への接続を切断してよい。電源スイッチ320が組織厚感知モジュール302から離されるか、取り外されると、組織厚感知器104は非飽和状態になってよい。制御部106が非飽和状態を検出すると、制御部106は、外科用器具10で使用するために、組織厚感知モジュール302をアクティブ状態に移行させてよい。アクティブ状態は、組織厚感知モジュール302のすべてのモジュール及び機能に電源が供給され、使用可能である状態を含んでよい。
いくつかの実施形態では、装置は、リードスイッチと、電源と、電源と信号通信を行う制御部と、を備えてよい。この制御部は、リードスイッチの状態を検出するように構成されてよい。磁石は、装置に隣接して取り外し可能に位置してよい。この磁石は、リードスイッチを飽和状態に維持するために十分な磁場を生成するように構成されてよい。制御部は、飽和状態を検出してよく、リードスイッチが飽和状態の間は、装置を低電力状態に維持してよい。磁石が装置から取り外されると、リードスイッチは非飽和状態になってよい。制御部は、リードスイッチの非飽和状態を検出し、低電力状態からアクティブ電力状態へと装置を移行させてよい。
図13は、ホール効果センサー402の一実施形態を例示する。ホール効果センサー402は、ホール素子404と、増幅器406と、電源408と、を備える。ホール素子は、第1の入力端子410と、第2の入力端子412と、を備える。第1及び第2の入力端子410、412は、電源408から一定の入力電流を受けるように構成されている。磁場が存在しないとき、入力電流は第1の入力端子410に入り、ホール素子404の両側に対して電位を損失せずに、第2の入力端子412から出る。例えば磁石478などによって、磁場がホール素子404に印加されるとき、ホール素子404を流れる電子の偏向のために、ホール素子404の両側に電位が形成される。第1の出力端子414及び第2の出力端子416は、ホール素子404の反対側に位置する。第1及び第2の出力端子414、416は、磁場によって生じた電位を増幅器406に供給する。増幅器406は、ホール素子404によって経験された電位を増幅し、出力端子418に対して増幅した電圧を出力する。増幅器406の出力は、電源408によって課された上限を超えなくてよい。増幅器406の上限は、ホール効果センサー402の飽和点である。飽和点は、増幅器406に接続されている電源408に基づいて選択されてよい。飽和は、ホール素子404ではなく、増幅器406で生じるため、大きい磁場に露出させてもホール効果センサー402を損傷することはないが、ホール効果センサー402を飽和状態にする。いくつかの実施形態では、オープンエミッタ、オープンコレクタ、又はプッシュプルトランジスタを増幅器406の出力に加えてよい。
図14は、電源スイッチ520を受容するように構成されている組織厚感知モジュール502の一実施形態を例示する。組織厚感知モジュール502は、電源スイッチ520を受容するように構成されている、第1の端子516と、第2の端子518と、を備えてよい。第1の端子516及び第2の端子518は、制御部106と信号通信を行ってよい。電源スイッチ520は、第1の端子516と第2の端子518との間に第1の電気回路状態をもたらすように構成されてよい。第1の電気回路状態は、第1の端子516と第2の端子518との間での任意の好適な回路状態、例えば、開回路、短絡、特定の抵抗、キャパシタンス、インダクタンス、又は任意の他の好適な回路状態であってよい。いくつかの実施形態では、制御部106は、第1の端子516と第2の端子518との間で第1の電気回路状態を検出し、組織厚感知モジュール502を低電力状態に維持してよい。いくつかの実施形態では、第1の電気回路状態は、電源スイッチ520が存在する間には、電源110が、開回路などを通じて組織厚感知モジュール502の素子に電力を供給しないようにし、制御部106、無線モジュール108、又は他の電動素子が動作しないようにしてよい。
いくつかの実施形態では、第1の端子516及び第2の端子518から電源スイッチ520を取り外すと、第1の端子516と第2の端子518との間に第2の電気回路状態をもたらしてよい。第2の電気回路状態は、第1の端子516と第2の端子518との間での任意の好適な回路状態、例えば、開回路又は短絡などであってよい。制御部106は、第2の電気回路状態を検出してよく、外科用器具10で使用するために、組織厚感知モジュール502をアクティブ電力状態に移行させてよい。
例えば、いくつかの実施形態では、電源スイッチ520は、第1の端子516と第2の端子518との間に短絡をもたらすように構成されてよい。制御部106は、第1の端子516と第2の端子518との間で短絡を検出してよい。第1の端子516と第2の端子518との間に短絡が存在する間は、制御部106が組織厚感知モジュール502を低電力状態に維持して、電源110を節約してよい。ステープルカートリッジ34のステープル溝22への設置に先立って、組織厚感知モジュール502から電源スイッチ520が取り外されてよい。電源スイッチ520が組織厚感知モジュール502から取り外されると、第1の端子516と第2の端子518との間の回路は開かれてよい。制御部106は、第1の端子516と第2の端子518との間での開回路を検出してよく、組織厚感知モジュール502をアクティブ状態へと移行させてよい。
別の例として、いくつかの実施形態では、電源スイッチ520は、第1の端子516と第2の端子518との間で開回路を維持するように構成されてよい。第1の端子516及び第2の端子518が開回路状態にあるとき、電源110は、制御部106及び無線モジュール108から切断されてよい。ステープルカートリッジ3は、ステープル溝22に挿入されてよい。設置されると、臨床医は、組織厚感知モジュール502から電源スイッチ520を取り外してよい。電源スイッチ520が取り外されると、第1の端子516と第2の端子518との間の回路は、第1の端子516と第2の端子518との間での直接接続又はステープルカートリッジ34、ステープル溝22、若しくはエンドエフェクタ12の任意の他の好適な部分を使用してなどの間接接続により完成してよい。例えば、第1の端子516及び第2の端子518は、ステープルカートリッジ34がステープル溝22に設置され、組織厚感知モジュール502が電源スイッチ520から取り外されたときに短絡を含んでよい。第1の端子516と第2の端子518との間での短絡によって、電源110が制御部106及び無線モジュール108に接続し、外科用器具10で使用するために、組織厚感知モジュール502をアクティブ状態に移行させてよい。
図15は、組織厚感知モジュール102を低電力状態に維持する方法の一実施形態を示すフローチャートを例示する。図15に示されるように、工程602において、制御部106は、取り外し可能に組織厚感知モジュール102に隣接するステープルカートリッジの電源スイッチ320、520を検出してよい。制御部106は、例えば、任意の好適な方法(例えば、回路状態又は感知器状態など)を使用して、電源スイッチ320、520などステープルカートリッジの電源スイッチを検出してよい。工程604において、ステープルカートリッジの電源スイッチが組織厚感知モジュール102に隣接して、又は取り付けられて位置する間は、制御部106が組織厚感知モジュール102を低電力状態に維持する。606において、ステープルカートリッジの電源スイッチが組織厚感知モジュール102から取り外される。制御部106は、ステープルカートリッジの電源スイッチの取り外しを検出し、工程608において低電力状態からアクティブ状態へと組織厚感知モジュール102を移行させる。
いくつかの実施形態では、組織厚感知モジュール302は、例えば、ホール効果センサーなど磁場を検出するように構成されている組織厚感知器104を備えてよい。ステープルカートリッジの電源スイッチ320は、組織厚感知モジュール302に隣接して位置してよく、組織厚感知器104を飽和状態にするように構成されている磁石378を備えてよい。いくつかの実施形態では、工程604において、組織厚感知モジュール302内の制御部106は、組織厚感知器104の飽和状態を検出してよい。組織厚感知器104が飽和状態の間は、制御部106が組織厚感知モジュール302を低電力状態に維持してよい。ステープルカートリッジの電源スイッチ320は、組織厚感知モジュール302から取り外されてよい。組織厚感知器104は、飽和状態から非飽和状態に移行してよい。制御部106は、組織厚感知器104の非飽和状態を検出してよく、組織厚感知モジュール302を低電力状態からアクティブ状態へと移行させてよい。
いくつかの実施形態では、組織厚感知モジュール502は、組織厚感知モジュール502のエンクロージャに形成された、第1の端子516と、第2の端子518と、を備えてよい。第1の端子516及び第2の端子518は、電源スイッチ520を受容するように構成されてよい。電源スイッチ520は、第1の端子516と第2の端子518との間に第1の電気回路状態をもたらしてよい。例えば、第1の電気回路状態は、開回路又は短絡を含んでよい。工程604において、制御部106は、第1の電気回路状態に基づいて電源スイッチ520の存在を検出するように構成されてよい。第1の端子516及び第2の端子518が第1の電気回路状態の間は、制御部106が組織厚感知モジュール502を低電力状態に維持してよい。電源スイッチ520は、組織厚感知モジュール502から取り外して、ステープルカートリッジ34をステープル溝22に設置できるようにしてよい。いくつかの実施形態では、電源スイッチ520を取り外すと、第1の端子516及び第2の端子518を短絡又は開回路など第2の電気回路状態に移行させてよい。制御部106は、第2の電気回路状態を検出し、組織厚感知モジュール502を低電力状態からアクティブ状態へと移行させてよい。
本明細書に開示される様々な実施形態の組織厚感知モジュールは無線送信機と、電源と、を備えるが、他の実施形態が想定される。例えば、一実施形態では、例えば電線など少なくとも1つの伝導体が、外科用器具のシャフト全体に延在してよく、ハンドルから組織厚感知モジュールへの信号通信及び/又は電力通信をもたらしてよい。いくつかの実施形態では、制御部及び/又は電源は、ハンドルに位置してよく、制御部、電源、及び/又はハンドルに位置する任意の他の構成要素への有線接続を通じて組織厚感知モジュールに接続されてよい。
本明細書に開示される様々な実施形態の組織厚感知モジュールは、ステープルカートリッジに対して遠位に位置付けられるが、組織厚感知モジュールがステープルカートリッジに対して横方向に、近位に、及び/又は遠位に位置付けられ得る、様々な他の実施形態が想定される。特定の実施形態では、複数の組織厚感知モジュールを使用できる。かかる実施形態では、マイクロ制御部は、複数の組織厚感知モジュールからの複数の組織厚信号を解読して、組織の厚さを導くように構成され得る。
本明細書で説明した様々な実施形態は、手術用ステープル留め器具で使用するためのステープルカートリッジ内に着脱可能に格納されたステープルと関連させて説明されている。いくつかの状況において、ステープルは、手術用ステープラーのアンビルと接触すると変形するワイヤを有してもよい。そのようなワイヤは、例えばステンレス鋼などの金属、及び/又は任意の他の好適な材料から構成されたものでよい。そのような実施形態及びその教示は、任意の好適な締結器具と共に使用するためのファスナカートリッジ内に着脱可能に格納されるファスナを有する実施形態に適用されることができる。
本明細書で説明した各種の実施形態は、線形エンドエフェクタ及び/又は線形ファスナカートリッジとの関連で説明されている。そのような実施形態及びその教示は、例えば円形の及び/又は起伏のあるエンドエフェクタなど、非線形エンドエフェクタ及び/又は非線形ファスナカートリッジに適用されることができる。例えば、非線形エンドエフェクタなど様々なエンドエフェクタは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2011年2月28日出願の「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第13/036,647号(現在の米国特許出願公開第2011/0226837号)に開示されている。加えて、2012年9月29日出願の「STAPLE CARTRIDGE」と題する米国特許出願第12/893,461号(現在の米国特許出願公開第2012/0074198号)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2008年2月15日出願の「END EFFECTORS FOR A SURGICAL CUTTING AND STAPLING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第12/031,873号(現在の米国特許第7,980,443号)はまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2013年3月12日発行の「SELECTIVELY ORIENTABLE IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE」と題する米国特許第8,393,514号はまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
様々な実施形態では、組織を処置するための外科用エンドエフェクタが開示される。外科用エンドエフェクタは、ステープルカートリッジを備える。このステープルカートリッジは、近位端と、遠位端と、を備える。このステープルカートリッジは、最適な組織厚範囲内の組織のステープル留めに使用されるように構成されている。アンビルは、ステープルカートリッジの近位端に対して可動連結される。組織厚感知モジュールは、ステープルカートリッジの遠位端に隣接している。組織厚感知モジュールは、感知器と、制御部と、を備える。この感知器は、アンビルとステープルカートリッジとの間に位置する組織の厚さを示す組織厚信号を生成するように構成されている。制御部は、感知器と信号通信を行う。制御部は、ステープルカートリッジタイプを識別する識別手段を備える。ステープルカートリッジタイプ及び組織厚信号を使用して、厚さが最適な組織厚範囲内にあるかどうかを判定する。
いくつかの実施形態では、アンビルは磁石を備える。感知器は、磁石によって生成される磁場を検出するように構成されてよい。感知器は、ホール効果センサーを備えてよい。いくつかの実施形態では、組織厚感知モジュールは、制御部と信号通信を行う送信機を備える。送信機は、ステープルカートリッジタイプ及び組織厚信号を受信機に伝送するように構成されてよい。ステープルカートリッジタイプ及び組織厚信号は、外科用器具内の受信機によって受信されてよい。受信機は、厚さの測定値が最適な組織厚範囲内にあるかどうかを判定する。
いくつかの実施形態では、制御部は、厚さの測定値が最適な組織厚範囲内にあるかどうかを示す信号を生成するように構成されてよい。送信機は、信号を伝送するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、組織厚感知モジュールは、制御部に電力を供給するように構成されている、少なくとも1つの電源を備えてよい。
いくつかの実施形態では、識別手段は、制御部に連結されているメモリ装置を備えてよい。メモリ装置は、ステープルカートリッジタイプを記憶するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、識別手段は、組織厚感知モジュールに位置する第1の複数の端子と、ステープルカートリッジの遠位端に位置する第2の複数の端子と、を備えてよい。第1の複数の端子のサブセットは、第2の複数の端子と信号通信を行う。ステープルカートリッジタイプは、第2の複数の端子と信号通信を行う第1の複数の端子のサブセットによって判定される。いくつかの実施形態では、組織厚感知モジュールは、電源スイッチを受容するように構成されてよい。組織厚感知モジュールは、第1の端子と、第2の端子と、を備えてよい。第1の端子及び第2の端子は、組織厚感知モジュールを低電力状態に維持するように構成されている電源スイッチを受容するように構成されてよい。
様々な実施形態では、手術用ステープラーで使用するステープルカートリッジが開示される。このステープルカートリッジは、近位端と、遠位端と、を備える、ステープル本体を備える。複数のステープルは、ステープル本体内に取り外し可能に格納される。この複数のステープルは、最適な組織厚範囲内の組織のステープル留めに使用されるように構成されている。組織厚モジュールは、ステープル溝の遠位端に隣接している。組織厚モジュールは、感知器と、制御部と、を備える。この感知器は、アンビルとステープルカートリッジとの間に位置する組織の厚さを示す組織厚信号を生成するように構成されている。制御部は、感知器と信号通信を行う。制御部は、ステープルカートリッジタイプを識別する識別手段を備える。ステープルカートリッジタイプ及び組織厚信号を使用して、組織の厚さが最適な組織厚範囲内にあるかどうかを判定する。
いくつかの実施形態では、組織厚感知モジュールは、制御部と信号通信を行う送信機と、制御部及び送信機に電力を供給するように構成されている少なくとも1つの電源と、を備える。送信機は、ステープルカートリッジタイプ及び組織厚信号を伝送するように構成されてよい。ステープルカートリッジタイプ及び組織厚信号は、外科用器具内の受信機によって受信されてよい。受信機は、組織の厚さが最適な組織厚範囲内にあるかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、制御部は、組織の厚さが最適な組織厚範囲内にあるかどうかを示す信号を生成するように構成されている。送信機は、信号を伝送するように構成されてよい。
いくつかの実施形態では、識別手段は、制御部と信号通信を行うメモリ装置を備えてよい。メモリ装置は、ステープルカートリッジタイプを記憶するように構成されている。いくつかの実施形態では、識別手段は、組織厚感知モジュールに位置する第1の複数の端子と、ステープルカートリッジの遠位端に位置する第2の複数の端子と、を備えてよい。第1の複数の端子のサブセットは、第2の複数の端子と信号通信を行ってよい。ステープルカートリッジタイプは、第2の複数の端子と信号通信を行う第1の複数の端子のサブセットによって判定される。
いくつかの実施形態では、感知器は、ホール効果センサーを備えてよい。いくつかの実施形態では、組織厚感知モジュールは、取り外し可能に電源スイッチを受容するように構成されてよい。電源スイッチは、組織厚感知モジュールを低電力状態に維持するように構成されてよい。取り外し可能な電源スイッチは、感知器を飽和状態に維持するように構成されている磁石を備えてよい。感知器が飽和状態の間は、低電力状態が維持されてよい。
様々な実施形態では、組織の処置用に構成されている外科用ステープルカートリッジに取り付ける組織厚感知モジュールが開示される。組織厚感知モジュールは、感知器と、制御部と、を備える。この感知器は、外科用ステープルカートリッジに対してクランプされた組織の厚さを示す磁場を検出するように構成されている。制御部(control)は、感知器と信号通信を行う。制御部は、ステープルカートリッジタイプを識別する識別手段を備える。ステープルカートリッジタイプ及び組織の厚さを使用して、厚さが外科用ステープルカートリッジの最適な組織厚範囲内にあるかどうかを判定する。送信機は、制御部と信号通信を行う。少なくとも1つの電源が、制御部及び送信機に電力を供給するように構成されている。
様々な実施形態では、手術用ステープラーで使用するステープルカートリッジが開示される。このステープルカートリッジは、近位端と、遠位端と、を備える、ステープル本体を備える。組織厚感知モジュールは、ステープル本体の遠位端に連結される。組織厚感知モジュールは、制御部と、感知器と、を備える。電源スイッチは、組織厚感知モジュールに対して取り外し可能に位置付けられる。制御部は、電源スイッチを検出するように構成されている。制御部が電源スイッチを検出すると、制御部は、組織厚感知モジュールを低電力状態に維持する。電源スイッチが取り外されると、制御部は、組織厚感知モジュールをアクティブ状態に移行させる。
いくつかの実施形態では、感知器はホール効果センサーを備え、電源スイッチは磁石を備える。磁石は、電源スイッチが組織厚感知モジュールに対して位置付けられると、ホール効果センサーを飽和状態に維持するように構成されている。制御部は、ホール効果センサーの飽和状態を検出し、ホール効果センサーが飽和状態の間は、低電力状態に維持する。電源スイッチが組織厚感知モジュールから取り外されると、ホール効果センサーは非飽和状態に移行する。制御部はホール効果センサーの非飽和状態を検出し、組織厚感知モジュールをアクティブ状態に移行させる。
いくつかの実施形態では、ステープルカートリッジは、第1の端子と、第2の端子と、を備える。電源スイッチは、第1の端子と第2の端子との間に第1の電気回路状態をもたらしてよい。制御部は第1の電気回路状態を検出し、第1の端子及び第2の端子が第1の電気回路状態の間は、組織厚感知モジュールを低電力状態に維持する。電源スイッチが組織厚感知モジュールから取り外されると、第1の端子及び第2の端子は第2の電気回路状態に移行する。制御部は第2の電気回路状態を検出し、組織厚感知モジュールをアクティブ状態に移行させる。
いくつかの実施形態では、第1の電気回路状態は、第1の端子と第2の端子との間での短絡を含み、第2の電気回路状態は、第1の端子と第2の端子との間での開回路を含む。いくつかの実施形態では、第1の電気回路状態は、第1の端子と第2の端子との間での開回路を含み、第2の電気回路状態は、第1の端子と第2の端子との間での短絡を含む。第1の端子と第2の端子との間での短絡は、ステープルカートリッジが手術用ステープラーに挿入されたときのステープルカートリッジと手術用ステープラーとの接続によって確立してよい。
様々な実施形態では、ホール効果センサーと、電源と、制御部と、を含む装置が開示される。制御部は、電源から電力を受け取るように構成されている。制御部は、リードスイッチが飽和状態にあるときに装置を低電力状態に維持するように構成されている。制御部は、ホール効果センサーが非飽和状態にあるときに装置をアクティブ状態に移行させるように構成されている。
様々な実施形態では、組織厚感知モジュールを有するステープルカートリッジアセンブリの電源管理方法が開示される。この方法は、組織厚感知モジュールに隣接して、取り外し可能に位置付けられた電源スイッチを制御部によって検出することを含む。この方法は、電源スイッチが検出されるときに、制御部によって組織厚感知モジュールを低電力状態に維持することを更に含む。電源スイッチが組織厚感知モジュールから取り外されると、制御部は、アクティブ状態に移行する。
いくつかの実施形態では、電源スイッチを検出することは、制御部によって、感知器の状態を検出することを含んでよい。感知器の状態は、電源スイッチが当該組織厚感知モジュールに対して位置付けられているかどうかを示す。感知器は、ホール効果センサーを備えてよい。感知器の状態は、飽和状態を含んでよい。いくつかの実施形態では、電源スイッチの検出は、制御部によって、第1の端子と第2の端子との間での第1の電気回路状態を検出することを含んでよい。第1の電気回路状態は、組織厚感知モジュールに対して電源スイッチが位置付けられていることを示す。制御部は、第1の端子と第2の端子との間での第2の電気回路状態を検出するように構成されてよい。第2の電気回路状態は、組織厚感知モジュールに対して電源スイッチが位置付けられていないことを示す。
いくつかの実施形態では、第1の電気回路状態は、第1の端子及び第2の端子にわたる短絡を含んでよく、第2の電気回路状態は、第1の端子と第2の端子との間での開回路を含んでよい。いくつかの実施形態では、第1の電気回路状態は、第1の端子と第2の端子との間での開回路を含んでよく、第2の電気回路状態は、第1の端子及び第2の端子にわたる短絡を含んでよい。
いくつかの実施形態では、この方法は、手術用ステープラーにステープルカートリッジを挿入することを更に含んでよい。電源スイッチは、組織厚感知モジュールから取り外されてよい。手術用ステープラーは、第1の端子と第2の端子との回路接続を完成してよい。
様々な実施形態では、制御部と、電源と、リードスイッチと、を備える装置の制御方法が開示される。この方法は、制御部によってリードスイッチの飽和状態を検出することを含む。リードスイッチは、リードスイッチに対して位置付けられた電源スイッチによって飽和状態に維持される。電源スイッチは、リードスイッチを飽和状態にするために十分な磁場を生成するように構成されている磁石を備える。この方法は、リードスイッチが飽和状態の間は、制御部によって装置をロック状態に維持することを更に含む。ロック状態は、装置の低電力状態を含む。この方法は、制御部によって装置をアンロック状態に移行させることを更に含み、この移行は、電源スイッチがリードスイッチから取り外され、リードスイッチが非飽和状態に移行するときに発生する。アンロック状態は、装置のアクティブ状態を含む。
外科用器具及びロボット外科用システムの様々な実施形態が本明細書に記載される。当業者は、本明細書に記載の様々な実施形態が記載の外科用器具及びロボット外科用システムで使用できることを理解するであろう。説明は例示ためにのみ提供されており、当業者は、開示の実施形態が本明細書に開示される装置のみに制限されず、任意の互換性を有する外科用器具又はロボット外科用システムで使用できることを理解するであろう。
本明細書を通して、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」「一例示的な実施形態」又は「実施形態」とは、その実施形態との関連において記述されている特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの例示的な実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して複数の実施形態に出現する「様々な実施形態では」「いくつかの実施形態では」「一例示的な実施形態では」又は「実施形態では」というフレーズは、必ずしもすべてが同一の実施形態を指すものではない。更に、1つの例示的な実施形態に関して図示又は記載される特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の他の実施形態の特徴、構造、又は特性と、全体として又は部分的に、制限なしに組み合わせることができる。
本明細書中の様々な実施形態がいくつかの実施形態により説明され、説明的実施形態がかなり詳細に記載されているが、出願人には、いかなる方法によっても添付された特許請求の範囲をかかる詳細によって制限する意図はない。当業者には更なる効果及び改変がただちに明らかとなり得る。例えば、開示された実施形態のそれぞれは顕微鏡手術、腹腔鏡手術、並びに開腹手術においても用いることができ、意図する用途に制限はない。
本明細書における図及び説明の少なくとも一部は、開示を明確に理解するのに関連する要素を示すために簡素化されており、明確にする目的でその他の要素を排除していることを理解すべきである。しかしながら、当業者は、これらの及びその他の要素が望ましい可能性があることを認識するであろう。
いくつかの実施形態を説明してきたが、本開示の利点の一部又はすべてを習得した当業者は、これらの実施形態に対する様々な修正、変更及び改作を想起することができることは明白である。例えば、様々な実施形態によると、所与の機能を実行するために、単一の構成要素が複数の構成要素で置き換えられてもよく、また複数の構成要素が単一の構成要素で置き換えられてもよい。本願はしたがって、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲及び趣旨を逸脱することなく、かかるすべての修正、変更、及び改作を網羅することを意図したものである。
全体又は部分において、参照により本明細書に組み込まれるとされるいずれの特許、公報又は他の開示物も、組み込まれる内容が現行の定義、記載、又は本開示に記載されている他の開示物と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれるものとする。したがって、必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載されている開示は、参照により本明細書に組み込まれる任意の矛盾する事物に取って代わるものとする。本明細書に参照により組み込まれるとされているが、既存の定義、見解、又は本明細書に記載された他の開示内容と矛盾するすべての内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と既存の開示内容との間にあくまで矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれるものとする。
〔実施の態様〕
(1) 手術用ステープラーで使用するステープルカートリッジであって、
近位端及び遠位端を備えるステープル本体と、
前記ステープル本体の前記遠位端に連結された組織厚感知モジュールであって、
制御部と、
感知器と、を備える、組織厚感知モジュールと、
前記組織厚感知モジュールに対して取り外し可能に位置付けられた電源スイッチと、を備え、前記制御部が前記電源スイッチを検出するように構成されており、前記制御部が前記電源スイッチを検出すると、前記制御部が前記組織厚感知モジュールを低電力状態に維持し、前記電源スイッチが取り外されると、前記制御部が前記組織厚感知モジュールをアクティブ状態に移行させる、ステープルカートリッジ。
(2) 前記感知器がホール効果センサーを備え、
前記電源スイッチが磁石を備え、前記磁石は、前記電源スイッチが前記組織厚感知モジュールに対して位置付けられると、前記ホール効果センサーを飽和状態に維持するように構成されており、前記制御部が前記ホール効果センサーの前記飽和状態を検出し、前記ホール効果センサーが前記飽和状態の間は、前記低電力状態を維持する、実施態様1に記載のステープルカートリッジ。
(3) 前記電源スイッチが前記組織厚感知モジュールから取り外されると、前記ホール効果センサーが非飽和状態に移行し、前記制御部が前記ホール効果センサーの前記非飽和状態を検出し、前記組織厚感知モジュールを前記アクティブ状態に移行させる、実施態様2に記載のステープルカートリッジ。
(4) 第1の端子及び第2の端子を備え、
前記電源スイッチが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に第1の電気回路状態をもたらし、前記制御部が前記第1の電気回路状態を検出し、前記第1の端子及び前記第2の端子が前記第1の電気回路状態の間は、前記低電力状態を維持する、実施態様1に記載のステープルカートリッジ。
(5) 前記電源スイッチが前記組織厚感知モジュールから取り外されると、前記第1の端子及び前記第2の端子が第2の電気回路状態に移行し、前記制御部が前記第2の電気回路状態検出し、前記組織厚感知モジュールを前記アクティブ状態に移行させる、実施態様4に記載のステープルカートリッジ。
(6) 前記第1の電気回路状態が、前記第1の端子と前記第2の端子との間での短絡を含み、前記第2の電気回路状態が、前記第1の端子と前記第2の端子との間での開回路を含む、実施態様5に記載のステープルカートリッジ。
(7) 前記第1の電気回路状態が、前記第1の端子と前記第2の端子との間での開回路を含み、前記第2の電気回路状態が、前記第1の端子と前記第2の端子との間での短絡を含む、実施態様5に記載のステープルカートリッジ。
(8) 前記第1の端子と前記第2の端子との間での短絡が、前記ステープルカートリッジが手術用ステープラーに挿入されたときの前記ステープルカートリッジと前記手術用ステープラーとの接続によって確立する、実施態様7に記載のステープルカートリッジ。
(9) 装置であって、
リードスイッチと、
電源と、
前記電源から電力を受け取るように構成されている制御部と、を備え、前記制御部が、前記リードスイッチが飽和状態にあるときに前記装置を低電力状態に維持するように構成されており、前記制御部が、前記リードスイッチが非飽和状態にあるときに前記装置をアクティブ状態に移行させるように構成されている、装置。
(10) 組織厚感知モジュールを有するステープルカートリッジアセンブリの電源管理方法であって、
前記組織厚感知モジュールに隣接して、取り外し可能に位置付けられた電源スイッチを制御部によって検出することと、
前記電源スイッチが検出されると、前記制御部によって組織厚感知モジュールを低電力状態に維持することと、
前記電源スイッチが前記組織厚感知モジュールから取り外されると、前記制御部によって前記組織厚感知モジュールをアクティブ状態に移行させることと、を含む、方法。
(11) 前記電源スイッチを検出することが、
前記制御部によって感知器の状態を検出することを含み、前記感知器の前記状態は、前記電源スイッチが前記組織厚感知モジュールに対して位置付けられていることを示す、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記感知器がリードスイッチを備え、前記状態が飽和状態を含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記電源スイッチを検出することが、
前記制御部によって、第1の端子と第2の端子との間での第1の電気回路状態を検出することを含み、前記第1の電気回路状態は、前記組織厚感知モジュールに対して前記電源スイッチが位置付けられていることを示す、実施態様10に記載の方法。
(14) 前記制御部によって、前記第1の端子と前記第2の端子との間での第2の電気回路状態を検出することを含み、前記第2の電気回路状態は、前記組織厚感知モジュールに対して前記電源スイッチが位置付けられていないことを示す、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記第1の電気回路状態が、前記第1の端子及び前記第2の端子にわたる短絡を含み、前記第2の電気回路状態が、前記第1の端子と前記第2の端子との間での開回路を含む、実施態様14に記載の方法。
(16) 前記第1の電気回路状態が、前記第1の端子と前記第2の端子との間での開回路を含み、前記第2の電気回路状態が、前記第1の端子及び前記第2の端子にわたる短絡を含む、実施態様14に記載の方法。
(17) 手術用ステープラーに前記ステープルカートリッジを挿入することと、
前記組織厚感知モジュールから前記電源スイッチを取り外すことと、
前記手術用ステープラーによって、前記第1の端子と前記第2の端子との回路接続を完成させることと、を含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 制御部と、電源と、リードスイッチ感知器と、を備える装置の制御方法であって、
前記制御部によって前記リードスイッチの飽和状態を検出することであって、前記リードスイッチが、前記リードスイッチに対して位置付けられた電源スイッチによって前記飽和状態に維持され、前記電源スイッチが、前記リードスイッチを前記飽和状態にするために十分な磁場を生成するように構成されている磁石を備える、ことと、
前記リードスイッチが前記飽和状態の間は、前記制御部によって前記装置をロック状態に維持することであって、前記ロック状態が、前記装置の低電力状態を含む、ことと、
前記制御部によって前記装置をアンロック状態に移行させることであって、前記移行は、前記電源スイッチが前記リードスイッチから取り外され、前記リードスイッチが非飽和状態にあるときに発生し、前記アンロック状態が、前記装置のアクティブ状態を含む、ことと、を含む、方法。