JP6324910B2 - 光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、数百ギガヘルツから数十テラヘルツの周波数で使用される光学素子に係り、特に光学特性あるいは光学特性の方向依存性が可変な光学素子に関するものである。
テラヘルツ(1012Hz)波は、セキュリティチェック、非破壊検査、分光分析、あるいは大容量通信など、様々な分野での応用が期待されている。テラヘルツ波を利用するためには、テラヘルツ波を効率よく送信、あるいは受信するアンテナやフィルター、吸収体などの光学素子が必要となる。
マイクロメートルスケールにパタン化されたグラフェンに生成するプラズモンのエネルギーは、テラヘルツ光の光子のエネルギーに相当する。従ってグラフェンのマイクロパタンは、プラズモンの生成を通してこれと共鳴するテラヘルツ光と強く結合し、この特定のテラヘルツ光を吸収、あるいは反射することができる(非特許文献1)。また、プラズモンの周波数はパタンの大きさ、グラフェンのキャリアドーピング量、グラフェンの層数、グラフェンを担持する基板の誘電率などで制御することができる。これらの条件によってグラフェンパタンと共鳴するテラヘルツ光の周波数を制御することができる。一般に、プラズモンのエネルギーを大きくするためには、パタンを小さく、ドーピング量を大きく、層数を大きく、グラフェンの周囲の物質の誘電率を小さくすれば良い。
また最近、発明者等は、僅かに異なる共鳴周波数を持つグラフェンパタンを所定の距離離して積層することで光学特性に大きな異方性が現れることを報告した(非特許文献2,3)。すなわち、特定の方向から入射したテラヘルツ光の反射率を抑制する(光は透過あるいは吸収される)機能を有する光学素子が作製できることを報告した。
L.Ju,B.Geng,J.Horng,C.Girit,M.Martin,Z.Hao,H.A.Bechtel,X.Liang,A.Zettl,Y.R.Shen,and F.Wang,"Graphene plasmonics for tunable terahertz metamaterials",Nature Nanotechnology,Vol.6,p.630-634,2011 鈴木,日比野,「僅かな対称性の低下により現れるグラフェンリボンスタック構造の光学的異方性」,第34回表面科学会学術講演会,8Ap08,2014年11月8日,松江市 S.Suzuki and H.Hibino,"Directivity of stacked graphene patterns for THz light",The 7th International Symposium on Surface Science(ISSS-7),3pE1-2,2014年11月3日,松江市
しかしながら、これまでのグラフェンパタンを用いたテラヘルツ光用の光学素子では、光学素子を作製した後に特性を変調することはできないか、あるいは困難であるという問題があった。
本発明の目的は、このような課題を解決し、テラヘルツ光に対する光学特性を変調可能な光学素子を実現することにある。
本発明は、パタン化されたグラフェンのプラズモン共鳴を利用するテラヘルツ帯用の光学素子において、グラフェンパタンを誘電体あるいは真空を挟んで積層したキャパシタと、対向する前記グラフェンパタンの間に印加する電圧の調整が可能な電源とを備え、複数の前記キャパシタを誘電体あるいは真空を介して積層し、前記キャパシタの積層間隔を、前記キャパシタと共鳴するテラヘルツ光の波長の1/20から1/8とし、複数の前記電源から前記複数のキャパシタに独立に電圧を印加することを特徴とするものである。
また、本発明の光学素子の1構成例において、前記キャパシタを構成する対向するグラフェンパタンの一方は、細線状の複数のグラフェンリボンを、グラフェンパタンの積層方向と直交する方向に周期的に配列したものであり、対向するグラフェンパタンの他方は、平板状のグラフェンパタンである。
本発明によれば、グラフェンパタンを誘電体あるいは真空を挟んで積層したキャパシタと、対向するグラフェンパタンの間に印加する電圧の調整が可能な電源とを設けることにより、印加する電圧によって光学素子の共鳴周波数を制御することができ、光学特性(透過、吸収、反射特性)を制御することができる。
また、本発明では、複数のキャパシタを誘電体あるいは真空を介して積層し、複数の電源から複数のキャパシタに独立に電圧を印加することにより、光学素子に光学的異方性を持たせることができ、また、この光学的異方性を光学素子に印加する電圧によって制御することができる。
本発明の参考例に係る光学素子の構造を示す斜視図である。 本発明の参考例に係る光学素子の構造を示す断面図である。 本発明の参考例に係る光学素子に電圧を印加したときの光学素子の透過スペクトル、吸収スペクトルおよび反射スペクトルを示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る光学素子の構造を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る光学素子に電圧を印加したときの光学素子の透過スペクトル、吸収スペクトルおよび反射スペクトルを示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る光学素子の構造を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る光学素子に電圧を印加したときの光学素子の透過スペクトル、吸収スペクトルおよび反射スペクトルを示す図である。
[発明の原理]
本発明に係る光学素子は、グラフェンパタンを誘電体あるいは真空を挟んで積層し、グラフェンパタン間に任意の電圧を加えられるようにしたものである。積層されたグラフェンパタンは、特定の周波数のテラヘルツ光と共鳴的に結合してこの光を吸収あるいは反射すると共に、キャパシタとしても作用する。このため、グラフェンパタン間に電圧を加えると、グラフェンパタンに正あるいは負の電荷(蓄積電荷)が蓄えられる。この蓄積電荷は、グラフェンに対するキャリアドーピングと同様な光学特性の変化をもたらす。この蓄積電荷によってグラフェンのフェルミレベルの位置が変化して、伝導度が変化し、共鳴周波数も変化する。蓄積電荷の量はグラフェンパタン間に印加する電圧で制御できるため、グラフェンパタンの共鳴周波数を電圧で制御できる。なお、対向するグラフェンパタンに誘起される電荷の符号は逆向きとなるが、グラフェンが元々非ドープの場合、蓄積電荷はその符号によらず同一の光学特性の変化をもたらす。
グラフェンパタンの積層間隔が狭い方が印加電圧1Vあたりに誘起される電荷の密度が増大する。また、グラフェンパタン間の誘電体の誘電率が大きいほど印加電圧1Vあたりに誘起される電荷の密度が増大する。ただし、積層間隔を広げるほどグラフェンパタン間の近接相互作用が減少し、グラフェンパタンの共鳴周波数は低下する。また、グラフェンパタン間の誘電体の誘電率が大きいほどグラフェンパタンの共鳴周波数は減少する。
なお、グラフェンパタンと対向する金属電極を設けることによってもキャパシタとして作用させることができ、印加電圧によってグラフェンの電荷量を制御できるが、通常の金属電極はテラヘルツ光をほぼ全て反射してしまうため、グラフェンパタンと金属電極とからなるキャパシタを透過型の光学素子に利用することは困難である。
また、本発明に係る光学素子は、複数の前記キャパシタを誘電体あるいは真空を介して複数積層したものである。各グラフェンキャパシタに独立に電圧を印加することにより、各グラフェンキャパシタの共鳴周波数を独立に変化させることができる。従ってそれぞれのグラフェンキャパシタの共鳴周波数を僅かに異なるようにすれば、非特許文献1〜3に開示されているように光の入射方向に依存する位相干渉が発生し、素子の光学特性に異方性を付与することができる。更にそれぞれのグラフェンキャパシタに印加する電圧を調整することによって光学特性の異方性を変化させることができる。例えば光学的異方性を瞬時に反転させることができる。このときの各グラフェンキャパシタ間の積層間隔(キャパシタ中心間距離)の光学的距離は、共鳴するテラヘルツ光の波長の1/20から1/8程度にすれば良い。
参考例
以下、本発明の参考例について図を参照して説明する。図1は本発明の参考例に係る光学素子の構造を示す斜視図、図2は図1の光学素子の断面図である。本参考例の光学素子は、水晶基板1と、水晶基板1上に配置されたグラフェンパタン2と、グラフェンパタン2を覆うように水晶基板1上に形成されたSiO2などの絶縁膜3と、グラフェンパタン2と対向するように絶縁膜3上に配置されたグラフェンパタン4と、グラフェンパタン2の端部に形成された金属電極5と、グラフェンパタン4の端部に形成された金属電極6とから構成される。グラフェンパタン2,4と絶縁膜3とはキャパシタを構成している。
グラフェンパタン2は、水晶基板1上に互い平行に配置されたμmスケール幅(本参考例では2μm幅)の細線状の複数のグラフェンリボン20と、複数のグラフェンリボン20の一端を接続する細線状のグラフェン接続部21とを備えている。グラフェンリボン20の周期は例えば10μmである。グラフェン接続部21の端部には金属電極5が形成されており、外部から電圧を印加できるようになっている。
同様に、グラフェンパタン4は、絶縁膜3上に互い平行に配置されたμmスケール幅(本参考例では2μm幅)の細線状の複数のグラフェンリボン40と、複数のグラフェンリボン40の一端を接続する細線状のグラフェン接続部41とを備えている。グラフェンリボン20と同様に、グラフェンリボン40の周期は10μmである。グラフェン接続部41の端部には金属電極6が形成されている。
グラフェンパタン2,4を構成する材料は、非ドープのグラフェン、キャリアドーピングされたグラフェンのどちらでも構わない。グラフェンパタン2とグラフェンパタン4の積層間隔(絶縁膜3の厚さ)は例えば50nmとすれば良い。このとき近接効果により、グラフェンパタン2,4からなるグラフェンパタン対の共鳴周波数は孤立したグラフェンパタンに比べて高くなる。
以上のような光学素子に対して、テラヘルツ光は図1の上方あるいは下方から照射される。光学素子は、グラフェンリボン20,40の幅方向(図1、図2左右方向)に偏光した特定の周波数のテラヘルツ光と共鳴する。
グラフェンリボン20,40の数は、グラフェンパタン2,4のそれぞれの全幅が照射されるテラヘルツ光の大きさよりも大きくなるようにすればよい。例えばテラヘルツ光のスポット10の径が数mmならば、グラフェンパタン2,4の積層方向(図1、図2上下方向)と直交する方向にグラフェンリボン20,40をそれぞれ1001個配置して、グラフェンパタン2,4の全幅を10mmとすればよい。また、グラフェンリボン20,40の長さも、照射されるテラヘルツ光の大きさより大きくなるようにすればよい。すなわち、グラフェンリボン20,40の長さを例えば10mmとすればよい。
図1、図2で示した光学素子の構造は例えば以下のように作製すればよい。最初に、水晶基板1の上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成したグラフェンを転写する。続いて、光リソグラフィーと反応性プラズマエッチングによってグラフェンを加工して、グラフェンパタン2を形成する。そして、このグラフェンパタン2上の一部に金属電極5を形成する。
次に、グラフェンパタン2を覆うように水晶基板1上に厚さ50nmのSiO2などの絶縁膜3を蒸着する。続いて、絶縁膜3の上に、CVD法で形成したグラフェンを転写する。このグラフェンを光リソグラフィーと反応性プラズマエッチングによって加工して、グラフェンパタン4を形成する。そして、このグラフェンパタン4上の一部に金属電極6を形成する。なお、上層のグラフェンパタン4を保護するために必要に応じて図1の構造の上に水晶基板1を接着するなどして、図2に示すように光学素子全体を水晶基板1で覆うようにしても良い。
こうして作製した光学素子の金属電極5,6に電源11を接続し、2つのグラフェンパタン2,4の間に電圧V1を印加する。
図3は本参考例の光学素子に電圧V1として17.7V、21.9V、26.4Vを印加したときの光学素子の透過スペクトル、吸収スペクトルおよび反射スペクトルを示す図である。図3のP1,P2,P3はそれぞれ電圧V1が17.7V、21.9V、26.4Vのときの透過スペクトル、A1,A2,A3はそれぞれ電圧V1が17.7V、21.9V、26.4Vのときの吸収スペクトル、R1,R2,R3はそれぞれ電圧V1が17.7V、21.9V、26.4Vのときの反射スペクトルである。
プラズモン共鳴が発生する周波数で吸収や反射が起こり、透過率は減少する。電圧V1が17.7V、21.9V、26.4Vのときの光学素子の共鳴周波数はそれぞれ8.0THz、8.45THz、8.85THzであり、電圧によって光学素子の共鳴周波数を制御することができ、光学特性(透過、吸収、反射特性)を制御できることが分かる。
なお、本参考例では、上層のグラフェンパタン4と下層のグラフェンパタン2の大きさと形状を同一としているが、これに限るものではなく、グラフェンパタン2,4の大きさや形状が同一でなくても類似の効果が得られる。例えば上層、あるいは下層の一方を加工せずに平板状のグラフェンの連続膜としても良い。言い換えると、グラフェンパタン2,4のそれぞれの共鳴周波数は同一でも良いし、異なっていても良い。
第1の実施の形態
次に、本発明の第1の実施の形態について説明する。図4は本発明の第1の実施の形態に係る光学素子の構造を示す断面図である。本実施の形態の光学素子は、グラフェンパタン2,4と同様の構造を有するグラフェンパタン2a,4aおよびグラフェンパタン2a,4a間に設けられた絶縁膜3aからなるキャパシタと、グラフェンパタン2,4と同様の構造を有するグラフェンパタン2b,4bおよびグラフェンパタン2b,4b間に設けられた絶縁膜3bからなるキャパシタとを3μm間隔で2段に重ねた構造を有している。なお、図4では、グラフェンパタン2a,2b,4a,4bに形成される金属電極の記載を図2と同様に省略している。
参考例と同様に、グラフェンパタン2a,4aの積層間隔(絶縁膜3aの厚さ)およびグラフェンパタン2b,4bの積層間隔(絶縁膜3bの厚さ)は50nmである。
図4に示したような光学素子を作製するには、例えば参考例で説明した方法で光学素子を2つ作製し、2つの光学素子の水晶基板1同士を接着剤等で貼り合わせるようにすればよい。
こうして作製した光学素子のグラフェンパタン2a,4aの金属電極に電源11aを接続して、2つのグラフェンパタン2a,4aの間に電圧V1を印加すると共に、グラフェンパタン2b,4bの金属電極に電源11bを接続して、2つのグラフェンパタン2b,4bの間に電圧V2を印加する。
図5は本実施の形態の光学素子に電圧V1として21.9V、電圧V2として18.7Vを印加したときの光学素子の透過スペクトル、吸収スペクトルおよび反射スペクトルを示す図である。ここでは、図4の上から光が入射する場合を前方入射、下から光が入射する場合を後方入射と呼ぶことにする。図5のPは透過スペクトル、FAは前方入射の場合の吸収スペクトル、BAは後方入射の場合の吸収スペクトル、FRは前方入射の場合の反射スペクトル、BRは後方入射の場合の反射スペクトルである。
図5から明らかなように、透過率は光の入射方向に依存しない。しかし、吸収率と反射率は光の入射方向に大きく依存する。周波数が8THz付近では前方入射の光に対する反射率が大きく減少し、その分吸収率が増大する。電圧V1,V2の両方、あるいはいずれかを変化させるとスペクトルを変化させることができる。
特に上下のキャパシタの共鳴周波数を数%から十数%ずらすと、図5に示したような大きな光学的異方性が現れる。グラフェンパタン2a,4aおよび絶縁膜3aからなる上層のキャパシタの共鳴周波数を、グラフェンパタン2b,4bおよび絶縁膜3bからなる下層のキャパシタの共鳴周波数に対して高くした場合、図5の8THzの例で見られるように、前方入射するある周波数のテラヘルツ光に対して反射率がほぼ0となる。上層のキャパシタと下層のキャパシタの共鳴周波数を一致させると入射方向依存性は消失する。
また、電圧V1とV2の制御により光学特性の異方性を瞬時に反転させることができる。例えば電圧V1として21.9V、電圧V2として18.7Vを印加した状態のスペクトルが図5に示したスペクトルであるが、電圧V1を18.7Vに、また電圧V2を21.9Vにすると図5における前方入射のスペクトルと後方入射のスペクトルを入れ替えることができる。つまり、図5の前方入射の吸収スペクトルが後方入射の吸収スペクトルとなり、図5の後方入射の吸収スペクトルが前方入射の吸収スペクトルとなる。同様に、図5の前方入射の反射スペクトルが後方入射の反射スペクトルとなり、図5の後方入射の反射スペクトルが前方入射の反射スペクトルとなる。なお、電圧V1,V2の極性は正負逆でも構わない。
透過率+吸収率+反射率=1の関係があり、透過率は前方、後方の入射方向に依存性しないため、図5に示すように反射率が消失するとその入射方向に対する吸収率が増大する。従って本実施の形態の光学素子を例えばアンテナ、あるいはテラヘルツ吸収体として用いると、特定の方向からの特定の周波数のテラヘルツ光を効率良く吸収することができ、効率良く吸収できる方向や吸収できる周波数を光学素子に印加する電圧によって制御することができるという優れた機能が発現する。
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図6は本発明の第2の実施の形態に係る光学素子の構造を示す断面図である。本実施の形態の光学素子は、第1の実施の形態と同様の構造を有するものであるが、各グラフェンパタン2a,2b,4a,4bを構成するグラフェンリボン20,40の周期を5μmとし、またグラフェンパタン2a,4aおよび絶縁膜3aからなる上層のキャパシタとグラフェンパタン2b,4bおよび絶縁膜3bからなる下層のキャパシタの積層間隔(上層のキャパシタの中心と下層のキャパシタの中心間の距離)を4μmとしている。
上層と下層のキャパシタの積層間隔4μmは、光学素子に印加する電圧V1,V2が第1の実施の形態に比して小さく共鳴周波数が低いことに対応して最適化した値である。しかし、積層間隔を共鳴テラヘルツ光の波長の1/20から1/8程度の値にすれば、第1の実施の形態と類似の効果が得られる。
上記のとおり、参考例で10μmであったグラフェンリボン20,40の周期を5μmとしている。同一層のグラフェンリボン間の間隔が狭いほどグラフェンリボンが占める面積が大きくなるため光の反射、吸収は増大する。しかし、グラフェンリボン間の相互作用のため、同一層のグラフェンリボン間の間隔が狭いほど共鳴周波数は小さくなる。グラフェンリボンの周期はこれらを勘案して適当に選べば良い。
第1の実施の形態と同様に、グラフェンパタン2a,4aの金属電極に電源11aを接続して、2つのグラフェンパタン2a,4aの間に電圧V1を印加すると共に、グラフェンパタン2b,4bの金属電極に電源11bを接続して、2つのグラフェンパタン2b,4bの間に電圧V2を印加する。
図7は本実施の形態の光学素子に電圧V1として5.5V、電圧V2として4.4Vを印加したときの光学素子の透過スペクトル、吸収スペクトルおよび反射スペクトルを示す図である。図5と同様に、Pは透過スペクトル、FAは前方入射の場合の吸収スペクトル、BAは後方入射の場合の吸収スペクトル、FRは前方入射の場合の反射スペクトル、BRは後方入射の場合の反射スペクトルである。
図5と同じく透過率は光の入射方向に依存しない。しかし、吸収率と反射率は光の入射方向に大きく依存する。周波数が5.8THz付近では前方入射の光に対する反射率が大きく減少し、その分吸収率が増大する。電圧V1,V2の両方、あるいはいずれかを変化させるとスペクトルを変化させることができる。
特に上下のキャパシタの共鳴周波数を数%から十数%ずらすと、図7に示したような大きな光学的異方性が現れる。グラフェンパタン2a,4aおよび絶縁膜3aからなる上層のキャパシタの共鳴周波数を、グラフェンパタン2b,4bおよび絶縁膜3bからなる下層のキャパシタの共鳴周波数に対して高くした場合、図5の5.8THzの例で見られるように、前方入射するある周波数のテラヘルツ光に対して反射率がほぼ0となる。上層のキャパシタと下層のキャパシタの共鳴周波数を一致させると入射方向依存性は消失する。
また、電圧V1とV2の制御により光学特性の異方性を瞬時に反転させることができる。例えば電圧V1として5.5V、電圧V2として4.4Vを印加した状態のスペクトルが図7に示したスペクトルであるが、電圧V1を4.4Vに、また電圧V2を5.5Vにすると図7における前方入射のスペクトルと後方入射のスペクトルを入れ替えることができる。
なお図5と図7で周波数が異なるのは印加している電圧の違いによる。このように参考例および第1、第2の実施の形態では、光学素子に印加する電圧によって吸収、反射するテラヘルツ光の周波数を変調することができる。また、第1、第2の実施の形態では、吸収スペクトルおよび反射スペクトルが光の入射方向によって変化するという光学的異方性を持たせることができる。更に、この光学的異方性を光学素子に印加する電圧によって変えることができる。
なお、参考例および第1、第2の実施の形態では、対向するグラフェンパタンによって挟まれる誘電体として絶縁膜を用いたが、これに限るものではなく、対向するグラフェンパタン間の絶縁膜の一部に空間を設けるようにしても良い。この場合には、グラフェンパタン間の誘電体の一部として空気を用いることになる。また、グラフェンパタンの間の空間を真空にしてもよい。
また、第1、第2の実施の形態では、複数のキャパシタ間に挿入される誘電体として水晶基板を用いたが、これに限るものではなく、キャパシタ間の水晶基板の一部に空間を設けるようにしても良い。この場合には、キャパシタ間の誘電体の一部として空気を用いることになる。また、キャパシタの間の空間を真空にしてもよい。
また、第1、第2の実施の形態では、2つのキャパシタを積層しているが、3つ以上のキャパシタを積層してもよい。この場合には、キャパシタの数だけ電源を設けることになる。
本発明は、テラヘルツ帯用の光学素子に適用することができる。
1…水晶基板、2,2a,2b,4,4a,4b…グラフェンパタン、3,3a,3b…絶縁膜、5,6…金属電極、11,11a,11b…電源、20,40…グラフェンリボン、21,41…グラフェン接続部。

Claims (2)

  1. パタン化されたグラフェンのプラズモン共鳴を利用するテラヘルツ帯用の光学素子において、
    グラフェンパタンを誘電体あるいは真空を挟んで積層したキャパシタと、
    対向する前記グラフェンパタンの間に印加する電圧の調整が可能な電源とを備え
    複数の前記キャパシタを誘電体あるいは真空を介して積層し、
    前記キャパシタの積層間隔を、前記キャパシタと共鳴するテラヘルツ光の波長の1/20から1/8とし、
    複数の前記電源から前記複数のキャパシタに独立に電圧を印加することを特徴とする光学素子。
  2. 請求項記載の光学素子において、
    前記キャパシタを構成する対向するグラフェンパタンの一方は、細線状の複数のグラフェンリボンを、グラフェンパタンの積層方向と直交する方向に周期的に配列したものであり、
    対向するグラフェンパタンの他方は、平板状のグラフェンパタンであることを特徴とする光学素子。
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