以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の遊技機の一実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明する。
[パチンコ遊技機1の概略構成例]
まず、図1及び図2を参照しつつ、パチンコ遊技機1の概略構成について説明する。ここで、図1は、パチンコ遊技機1の概略正面図である。図2は、パチンコ遊技機1の一部を示す概略平面図である。図1に例示されるように、パチンコ遊技機1は、入賞や判定に関する役物等が設けられた遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材3とを備えている。枠部材3は、遊技盤2と所定の間隔を隔てて平行配置された透明なガラス板を支持しており、このガラス板と遊技盤2とによって、遊技球が流下可能な遊技領域10が形成されている。
遊技者がハンドル20を握ってレバー21を時計方向に回転させると、上皿28に溜められた遊技球が発射装置(不図示)へと案内され、ハンドル20の回転角度に応じた打球力で遊技領域10へと発射される。この遊技領域10には、不図示の遊技クギや風車等が設けられており、発射された遊技球は、遊技領域10における上部位置へと案内され、遊技クギや風車等に接触することでその移動方向を変化させながら遊技盤2に沿って落下する。なお、遊技球の発射は、遊技者が停止ボタン22を操作することによって一時的に停止される。
上皿28は、発射装置へ供給される遊技球及び賞球を溜めるものである。この上皿28の下方には、賞球を溜める下皿29が設けられている。この下皿29と近接配置された取り出しボタン23を遊技者が操作すると、下皿29の下面の一部が開口されて、下皿29に溜まった遊技球が下皿29の下方に配置された不図示の箱に落下する。
遊技者がハンドル20を小さい回転角で回転させた状態を維持するいわゆる「左打ち」を行うと、遊技球が相対的に弱い打球力で打ち出される。この場合、遊技球は、矢印31に例示されるように遊技領域10における左側領域を流下する。一方、遊技者がハンドル20を大きい回転角で回転させた状態を維持するいわゆる「右打ち」を行うと、遊技球が相対的に強い打球力で打ち出される。この場合、遊技球は、矢印32に例示されるように遊技領域10における右側領域を流下する。
左打ちされた遊技球の通過経路には、入賞や判定に関する役物として、第1始動口11、第2始動口12、2つの普通入賞口14、第1ゲート15、及び電動チューリップ17が設けられている。また、右打ちされた遊技球の通過経路には、入賞や判定に関する役物として、上記第2始動口12、大入賞口13、2つの普通入賞口14、第2ゲート16、及び上記電動チューリップ17が設けられている。
遊技領域10に打ち出された遊技球は、遊技盤2に沿って流下する過程で、第1始動口11、第2始動口12、大入賞口13、及び普通入賞口14のいずれかに入球して入賞する。これにより、入賞した箇所に応じた所定数の賞球が上皿28又は下皿29に払い出される。なお、入賞しなかった遊技球は、排出口18を介して遊技領域10から排出される。
第1始動領域としての第1始動口11は、常時開放されている始動口であり、第2始動領域としての第2始動口12は、普通電動役物としての電動チューリップ17が作動しているときだけ開放される始動口である。パチンコ遊技機1では、遊技球が第1始動口11を通過して入賞した場合、又は遊技球が第2始動口12を通過して入賞した場合、遊技者にとって有利な大当たり遊技(特別遊技)を実行するか否かが判定され、その判定結果が後述する表示器4に表示される。
なお、以下の説明では、第1始動口11への遊技球の入賞を条件として実行される判定を「第1特別図柄判定」と呼び、第2始動口12への遊技球の入賞を条件として実行される判定を「第2特別図柄判定」と呼び、これらの判定を総称して「特別図柄判定」と呼ぶものとする。
大入賞口13は、特別図柄判定の結果に応じて開放される特別入賞領域である。この大入賞口13の開口部には、大入賞口13を開閉するプレートが設けられている。大入賞口13は、通常はこのプレートによって閉塞されている。これに対して、特別図柄判定の判定結果が「大当たり」であることを示す所定の大当たり図柄が表示器4に停止表示された場合、上記プレートを作動させて大入賞口13を開放する大当たり遊技が実行される。このため、遊技者は、大当たり遊技中に右打ちを行うことで、大当たり遊技が行われていないときに比べてより多くの賞球を得ることができる。
電動チューリップ17は、第2始動口12に近接配置されており、一対の羽根部材を有している。この電動チューリップ17は、一対の羽根部材が第2始動口12を閉塞する閉姿勢(図1参照)と、第2始動口12を開放する開姿勢(不図示)とに姿勢変化可能に構成されている。
第2始動口12は、図1に例示されるように、通常は電動チューリップ17によって閉塞されている。これに対して、遊技球が第1ゲート15又は第2ゲート16を通過すると、賞球の払い出しは行われないものの、第2始動口12を開放するか否かが判定される。ここで、第2始動口12を開放すると判定された場合、電動チューリップ17の一対の羽根部材が規定時間開姿勢を維持した後に閉姿勢に戻る動作が規定回数行われる。このように、第2始動口12は、電動チューリップ17が作動していないときには遊技球が通過し難い状態であるのに対して、電動チューリップ17が作動することによって遊技球が通過し易い状態となる。なお、以下の説明では、第1ゲート15又は第2ゲート16に対する遊技球の通過を条件として実行される判定を「普通図柄判定」と呼ぶものとする。
普通入賞口14は、第1始動口11と同様に常時開放されており、遊技球の入賞によって所定個数の賞球が払い出される入賞口である。なお、第1始動口11等とは異なり、普通入賞口14に遊技球が入賞しても判定が行われることはない。
[パチンコ遊技機1の演出手段の構成例]
図1に例示されるように、遊技盤2又は枠部材3には、各種の演出を行うものとして、液晶表示装置5、スピーカ24、第1可動役物71、第2可動役物72、第3可動役物73、盤ランプ25、及び回転演出装置38,39が設けられている。また、枠部材3には、図1には示されていない枠ランプ37(図8参照)が内蔵されている。
液晶表示装置5は、演出画像を表示する画像表示装置であり、液晶表示装置5の表示画面は、遊技者によって視認され易い位置に設けられている。この表示画面には、例えば、特別図柄判定の判定結果を報知する装飾図柄、予告演出などを行うキャラクタやアイテム、特別図柄判定が保留されている数だけ表示される保留表示画像等の各種表示オブジェクトを含む演出画像が表示される。なお、画像表示装置は、EL表示装置等の他の画像表示装置によって構成されてもよい。
スピーカ24は、液晶表示装置5で行われる表示演出と同期するように楽曲や音声、効果音等を出力して音による演出を行う。
可動役物71〜73は、液晶表示装置5の表示画面とパチンコ遊技機1の奥行方向(図1の紙面に垂直な方向)に所定の間隔を隔てて配置されており、いずれも遊技盤2に対して可動に構成されている。これらの可動役物71〜73にはそれぞれ発光素子(例えばLED)が内蔵されており、可動役物71〜73は、可動役物71〜73自体の動きと光との両方或いは一方によって各種の演出を行う。可動役物71〜73の概略構成及び演出については、図4〜図7に基づいて後に詳述する。
盤ランプ25及び枠ランプ37は、点灯又は点滅のパターンの変更、発光色の変更等の光による各種の演出を行う。回転演出装置38,39は、内蔵された発光素子と発光素子の周辺を回転する回転体とによって各種の演出を行う。
[パチンコ遊技機1の操作手段の構成例]
図2に例示されるように、枠部材3には、遊技者が操作する操作手段として、演出ボタン26及び十字キー27が設けられている。演出ボタン26は、遊技者が押下することによって操作情報を入力するための押ボタンである。十字キー27は、遊技者が選択操作を行うためのいわゆる十字キーである。パチンコ遊技機1では、演出ボタン26又は十字キー27の操作に応じた演出が行われる場合がある。
[表示器4の構成例]
図3は、図1における表示器4の拡大図である。表示器4は、主に特別図柄判定や普通図柄判定に関する情報を表示するものであり、図3に例示されるように、第1特別図柄表示器41、第2特別図柄表示器42、第1特別図柄保留表示器43、第2特別図柄保留表示器44、普通図柄表示器45、普通図柄保留表示器46、及び遊技状態表示器47を有して構成されている。
第1特別図柄表示器41は、第1特別図柄判定が行われると、図柄を変動表示してから第1特別図柄判定の判定結果を示す判定図柄を停止表示することによって第1特別図柄判定の判定結果を報知する。第2特別図柄表示器42は、第2特別図柄判定が行われると、図柄を変動表示してから第2特別図柄判定の判定結果を示す判定図柄を停止表示することによって第2特別図柄判定の判定結果を報知する。第1特別図柄表示器41及び第2特別図柄表示器42には、判定図柄として、特別図柄判定の判定結果が「大当たり」であることを示す大当たり図柄、又は特別図柄判定の判定結果が「ハズレ」であることを示すハズレ図柄が停止表示される。
第1特別図柄保留表示器43は、第1特別図柄判定の保留数を表示する。第2特別図柄保留表示器44は、第2特別図柄判定の保留数を表示する。
普通図柄表示器45は、普通図柄判定が行われると、図柄を変動表示してから普通図柄判定の判定結果を示す判定図柄を停止表示することによって普通図柄判定の判定結果を報知する。普通図柄保留表示器46は、普通図柄判定の保留数を表示する。遊技状態表示器47は、パチンコ遊技機1の電源投入時点における遊技状態を表示する。
なお、以下の説明では、第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42に表示される図柄を「特別図柄」と呼び、普通図柄表示器45に表示される図柄を「普通図柄」と呼ぶものとする。
[第1可動役物71の概略構成]
次に、図4を参照しつつ、第1可動役物71の概略構成について説明する。ここで、図4は、第1可動役物71の概略構成について説明するための説明図である。本実施形態における第1可動役物71(本発明における可動役物の一例)は、その表面に野球のボールを模した装飾が施されると共に、裏面に太陽を模した装飾が施されている(図5及び図7(D)参照)。
この第1可動役物71は、第1可動役物71の動作を伴う演出が行われていない通常時には、液晶表示装置5に表示されている演出画像の視認性を極力低下させないように、液晶表示装置5の表示画面を正面視した場合に当該表示画面の左側における所定の初期位置(収納位置)に配置されている(図1及び図4(A)参照)。通常時は、第1可動役物71を初期位置からは移動させずに、第1可動役物71に内蔵されている不図示の発光素子(例えばLED)を所定の発光パターンで発光させる、第1可動役物71の動きを伴わない演出が行われる。
この第1可動役物71は、図には示されていないが、パチンコ遊技機1の幅方向(図1における左右方向)を長手方向とし、当該長手方向にスライド移動可能なスライド部材に設けられている。このため、このスライド部材がモータ(スライドモータ1602:図9参照)からの駆動力を受けてパチンコ遊技機1の幅方向に移動することによって、第1可動役物71も同方向に移動する。
図4(B)には、第1可動役物71が後述する第2演出位置まで移動した状態が示されている。第1可動役物71は、上記スライド部材に対して姿勢変化可能に構成されている。具体的には、本実施形態における第1可動部材71は、スライド部材の長手方向(図4における左右方向)を軸方向として後述する回転モータ1603(図9参照)からの駆動力により回転可能に構成されており、野球のボールを模した表面がパチンコ遊技機1の正面側を向いた第1姿勢(図4(B)参照)と、太陽を模した裏面がパチンコ遊技機1の正面側を向いた第2姿勢(図4(C)参照)とに姿勢変化可能である。
第1可動役物71は、第3可動役物73と協働して第2演出を行う場合に第2演出位置に配置され、第2姿勢に維持された状態で、第2演出を行う。この第2演出については、図7に基づいて後に詳述する。
また、第1可動役物71は、第2可動役物72と協働して第1演出を行う。その際、第1演出位置として、初期位置(図4(A)参照)と最進出位置(図4(D)参照)との間を移動しながら第1演出を行う。ここで、最進出位置は、第1可動役物71が移動可能な位置であって、初期位置から最も遠い位置であり、第1演出は、第1可動役物71が第1姿勢に維持された状態で行われる。
[第1演出について]
図5は、第1可動役物71及び第2可動役物72を用いた大当たり時の第1演出について説明するための説明図である。
第2可動役物72(本発明における第1演出手段の一例)は、パチンコ遊技機1を正面から見て液晶表示装置5の外側(本実施形態では右側)に配置されている。この第2可動役物72には、第1可動役物71の表面(野球のボール)に対応する装飾が施されている。具体的には、本実施形態では、第2可動役物72には、バット及びバッターの腕を模した装飾が施されており、第1演出として、ボールを模した第1可動役物71を第2可動役物72が打ち返すような、第1可動役物71と第2可動役物72との両方を動作させる演出が行われる。このため、第2可動役物72は、バッターの腕を模した部分を中心として液晶表示装置5の表示画面に沿って回動するように構成されている。
第1演出の開始前には、第2可動役物72がバットの先端が液晶表示装置5の表示画面の外側に位置するような初期姿勢に維持されると共に、第1可動役物71が初期位置に配置されている(図5(A)参照)。これに対して、上述した特別図柄判定の判定結果が「大当たり」である場合、例えば大当たりであることを示す装飾図柄が液晶表示装置5に停止表示される直前に、バットでボールを打ち返してホームランとなる様子を表す第1可動役物71及び第2可動役物72による第1演出が行われる。
この第1演出の実行が指示されると、まず、第1姿勢の第1可動役物71が初期位置から右方向へと移動すると共に、第2可動役物72が反時計回りに回動する(図5(A)参照)。第1可動役物71及び第2可動役物72が動作を開始してから所定時間が経過すると、第1可動役物71と第2可動役物72とが近接する近接状態となる(図5(B)参照)。
続いて、ボールの球威によってバットが押し戻される様子を表現するために、第1可動役物71及び第2可動役物72が近接状態を維持したまま右方向へと移動する(図5(B)及び(C)参照)。具体的には、第1可動役物71と第2可動役物72とが離反しないように、第1可動役物71を右方向へ移動させる動作と、第2可動役物72を時計回りに回動させる動作とが同時に行われる。
続いて、今回の第1演出に際しては、特別図柄判定の判定結果が「大当たり」であるため、第1可動役物71及び第2可動役物72が以下のような動作を行う。すなわち、第1可動役物71及び第2可動役物72が近接した状態を維持したまま、左方向へ移動する(図5(C)及び(D)参照)。具体的には、第1可動役物71と第2可動役物72とが離反しないように、第1可動役物71を左方向へ移動させる動作と、第2可動役物72を反時計回りに回動させる動作とが同時に行われる。そして、ボールがバットに打ち返されて飛んでいく様子を表現するために、第1可動役物71が初期位置に向けた高速移動を継続するのに対して、第2可動役物72は、その回動動作を途中で止める(図5(D)及び(E)参照)。その結果、第1可動役物71が第2可動役物72から離反していく。このような第1可動役物71及び第2可動役物72の動きにより、遊技者は、特別図柄判定の判定結果が「大当たり」であることを容易に認識することができる。
図6は、第1可動役物71及び第2可動役物72を用いたハズレ時の第1演出について説明するための説明図である。
上述した特別図柄判定の判定結果が「ハズレ」である場合、例えばハズレであることを示す装飾図柄が液晶表示装置5に停止表示される直前に、ボールをバットで打ち返せずに終わる様子を表す第1可動役物71及び第2可動役物72による第1演出が行われる。
このハズレ時の第1演出は、第1可動役物71及び第2可動役物72の先端側が近接状態を維持したまま右方向へ移動するまでは、大当たり時の第1演出と同じである(図5(A)〜(C)、及び図6(A)〜(C)参照)。ハズレ時の第1演出では、図6(C)に示される状態となった後、第1可動役物71が初期位置に向けて左方向へと低速で移動すると共に、第2可動役物72の先端側が右方向へ低速移動するように第2可動役物72が時計回りに回動して、それぞれ初期状態に戻る。このような第1可動役物71及び第2可動役物72の動きにより、遊技者は、特別図柄判定の判定結果が「ハズレ」であることを容易に認識することができる。
このように、本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、大当たりか否かを遊技者に分かり易く報知することを目的として、第1姿勢に制御された第1可動役物71と第2可動役物72とが協働した第1演出が行われる。
[第2演出について]
図7は、第1可動役物71及び第3可動役物73を用いた第2演出について説明するための説明図である。
本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、大当たりに対する信頼度が相対的に高いことを報知することを目的として、第1可動役物71と第3可動役物73とを用いた第2演出が行われる。
第3可動役物73(本発明における第2演出手段の一例)は、パチンコ遊技機1を正面から見て液晶表示装置5の外側(本実施形態では左側)に配置されている。この第3可動役物73には、第1可動役物71の裏面(太陽)に対応する装飾が施されている。具体的には、本実施形態では、第3可動役物73には、太陽の周辺に位置する惑星を模した装飾が施されており、第2演出として、太陽の周辺に惑星が移動してくるように見せる演出が第1可動役物71及び第3可動役物73によって行われる。このため、第3可動役物73は、パチンコ遊技機1の奥行方向を軸方向として液晶表示装置5の表示画面に沿って回動するように構成されている。
第2演出の開始前には、第1可動役物71が初期位置に配置されると共に、第3可動役物73が液晶表示装置5の表示画面の外側に位置するような初期姿勢に維持されている(図7(A)参照)。
これに対して、例えば装飾図柄のリーチ成立直後に第2演出の実行が指示されると、太陽が現れた後にその太陽の周囲を惑星が取り囲む様子を表す第2演出が行われる。
まず、第1可動役物71が初期位置から第2演出位置への移動を開始する(図7(A)参照)。そして、第2演出位置まで移動すると、第1可動役物71は、スライド部材に対して回転(表裏反転)することによって、第1姿勢から第2姿勢へと姿勢変化する(図7(B)及び(C)参照)。この第1可動役物71の姿勢変化によって太陽が現れると、第1可動役物71の上下に配置されている2つの第3可動役物73が回動して、第1可動役物71の周辺部に配置される(図7(C)及び(D)参照)。
このように、本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、大当たりに対する信頼度が相対的に高いことを報知することを目的として、第2姿勢に制御された第1可動役物71と第3可動役物73とが協働した第2演出が行われる。
ところで、本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、液晶表示装置5の前方において、液晶表示装置5の表示画面を正面視した場合に当該表示画面の外側の位置に、不図示の装飾部材が設けられている。この装飾部材は、第1可動役物71が初期位置に配置された状態において、第1可動役物71と近接するように形成されている。
このため、初期位置に配置された第1可動役物71を第1姿勢(又は第2姿勢)から他の姿勢へと姿勢変化させようとした場合、第1可動役物71が装飾部材に衝突するため、他の姿勢への姿勢変化は不可能である。これに対して、液晶表示装置5を正面視した場合にその表示画面と重なる位置には装飾部材が設けられていないため、第1可動役物71が少なくとも第2演出位置まで移動すると、第1可動役物71の姿勢変化(本実施形態では回転)が可能となる。すなわち、第2演出位置から最進出位置までが、第1可動役物71の回転許可位置であり、第1可動役物71は、回転許可位置にあれば回転可能である。
このように、本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、第1可動役物71を初期位置に配置された状態では姿勢変化させることができない。このため、上述した第1演出又は第2演出が終了すると、第1可動役物71は、第2演出位置に配置された状態で第1姿勢に制御され、その後、初期位置へと戻される。
なお、本実施形態では、第1姿勢が基本姿勢となっているため、基本的には、第1可動役物71を第1姿勢に制御してから第1姿勢のまま初期位置に戻す制御が行われる。これに対して、例えば第1可動役物71が第1姿勢であることが検知できないような場合、例外的に、第1可動役物71を第2姿勢に制御してから第2姿勢のまま初期位置に戻す制御が行われる。
以下、図4〜図7に基づいて上述した第1演出及び第2演出、これらの演出後の収納を実現するためのパチンコ遊技機1の内部構成やパチンコ遊技機1で行われる処理の一例について、詳細に説明する。
[パチンコ遊技機1の制御装置の構成]
遊技盤2の裏面側には、上皿28又は下皿29へと送り出される遊技球を溜めておく球タンクの他に、パチンコ遊技機1の動作を制御する制御装置が設けられている。図8に例示されるように、パチンコ遊技機1の制御装置は、各種判定やコマンドの送信といった遊技の進行を制御する遊技制御基板100、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて演出を統括的に制御する演出制御基板130、画像や音による演出を制御する画像音響制御基板140、各種のランプや可動体による演出を制御するランプ制御基板150等から構成されている。なお、制御装置の構成はこれに限定されるものではなく、例えば演出制御基板130、画像音響制御基板140、及びランプ制御基板150が1つの基板で構成されていてもよい。
[遊技制御基板100の構成例]
遊技制御基板100は、メインCPU101、メインROM102、及びメインRAM103を備えている。メインCPU101は、メインROM102に記憶されたプログラム等に基づいて、判定や払い出し賞球数に関連する各種の演算処理を行う。メインRAM103は、メインCPU101が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
遊技制御基板100には、第1始動口スイッチ111、第2始動口スイッチ112、電動チューリップ開閉部113、第1ゲートスイッチ114、第2ゲートスイッチ115、大入賞口スイッチ116、大入賞口制御部117、普通入賞口スイッチ118、及び表示器4を構成する各表示器41〜47が接続されている。
第1始動口スイッチ111は、第1始動口11に遊技球が入賞したことを検知して、その検知信号を遊技制御基板100に出力する。第2始動口スイッチ112は、第2始動口12に遊技球が入賞したことを検知して、その検知信号を遊技制御基板100に出力する。電動チューリップ開閉部113は、遊技制御基板100からの制御信号に応じて、電動チューリップ17の一対の羽根部材に駆動伝達可能に連結された電動ソレノイドを作動させることによって、第2始動口12を開閉する。第1ゲートスイッチ114は、遊技球が第1ゲート15を通過したことを検知して、その検知信号を遊技制御基板100に出力する。第2ゲートスイッチ115は、遊技球が第2ゲート16を通過したことを検知して、その検知信号を遊技制御基板100に出力する。
大入賞口スイッチ116は、大入賞口13に遊技球が入賞したことを検知して、その検知信号を遊技制御基板100に出力する。大入賞口制御部117は、遊技制御基板100からの制御信号に基づいて、大入賞口13を閉塞するプレートに駆動伝達可能に連結された電動ソレノイドを作動させることによって、大入賞口13を開閉する。普通入賞口スイッチ118は、遊技球が普通入賞口14に入賞したことを検知して、その検知信号を遊技制御基板100に出力する。
遊技制御基板100のメインCPU101は、第1始動口スイッチ111、第2始動口スイッチ112、大入賞口スイッチ116、又は普通入賞口スイッチ118からの検知信号が入力されると、遊技球が入賞した場所に応じた所定数の賞球の払い出しを払出制御基板(不図示)に指示し、払出制御基板からの情報に基づいて、払い出す賞球の個数を管理する。詳細な説明は省略するが、払出制御基板は、球タンクから遊技球を送り出す駆動モータを制御することによって、上皿28又は下皿29に遊技球を供給する。
メインCPU101は、第1始動口スイッチ111からの検知信号が入力されたタイミングで取得情報としての各種乱数を取得し、取得した乱数を用いて第1特別図柄判定を実行する。また、第2始動口スイッチ112からの検知信号が入力されたタイミングで取得情報としての各種乱数を取得し、取得した乱数を用いて第2特別図柄判定を実行する。そして、大当たりであると判定した場合には、大入賞口制御部117を介して大入賞口13を開閉して大当たり遊技を実行する。
また、メインCPU101は、第1ゲートスイッチ114又は第2ゲートスイッチ115からの検知信号が入力されたタイミングで乱数を取得し、取得した乱数を用いて普通図柄判定を実行する。そして、第2始動口12を開放すると判定した場合、電動チューリップ開閉部113を介して電動チューリップ17を作動させることにより、第2始動口12を一時的に開放する。
また、メインCPU101は、表示器4を構成する各表示器41〜47に図3に基づいて上述した処理を実行させる。
[演出制御基板130の構成例]
演出制御基板130は、サブCPU131、サブROM132、サブRAM133、及びRTC(リアルタイムクロック)134を備えている。サブCPU131は、サブROM132に記憶されたプログラムに基づいて、演出を制御する際の演算処理を行う。サブRAM133は、サブCPU131が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。RTC134は、現時点の日時(日付及び時刻)を計測する。
サブCPU131は、遊技制御基板100から送信される特別図柄判定や普通図柄判定、大当たり遊技等に関する遊技情報に基づいて演出内容を設定する。その際、演出ボタン26又は十字キー27からの操作情報の入力を受け付けて、その操作情報に応じた演出内容を設定する場合もある。サブCPU131は、設定した演出内容の演出の実行を指示するコマンドを画像音響制御基板140及びランプ制御基板150に送信する。
[画像音響制御基板140の構成例]
画像音響制御基板140は、図には示されていないが、統括CPU、制御用ROM、制御用RAM、VDP(Video Display
Processor)、音響DSP(DigitalSignal Processor)等を有して構成されている。統括CPUは、制御用ROMに記憶されたプログラムに基づいて、演出制御基板130において演出内容が設定された演出を表現する画像や音を制御する際の演算処理を行う。制御用RAMは、統括CPUが上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
統括CPUは、演出制御基板130からのコマンド及び制御用ROMに記憶されているプログラムに基づいて制御信号を生成してVDP及び音響DSPに出力することにより、VDP及び音響DSPの動作を制御する。
図には示されていないが、VDPは、演出画像の生成に必要な素材データを記憶する画像用ROM、演出画像の描画処理を実行する描画エンジン、及び描画エンジンによって描画された演出画像を液晶表示装置5に出力する出力回路を有している。描画エンジンは、統括CPUからの制御信号に基づいて、画像用ROMに記憶されている素材データを用いて、フレームバッファに演出画像を描画する。出力回路は、このフレームバッファに描画された演出画像を所定のタイミングで液晶表示装置5に出力する。
図には示されていないが、音響DSPには、楽曲や音声、効果音等に関する各種音響データを記憶する音響用ROMと、音響DSPによるデータ処理等の作業領域として使用されるSDRAMが接続されている。音響DSPは、統括CPUからの制御信号に対応する音響データを音響用ROMからSDRAMに読み出してデータ処理を実行し、データ処理後の音響データをスピーカ24へ出力する。
[ランプ制御基板150の構成例]
ランプ制御基板150は、ランプCPU151、ランプROM152、及びランプRAM153を備えている。ランプCPU151は、ランプROM152に記憶されたプログラムに基づいて、第1可動役物71、第2可動役物72、第3可動役物73、遊技盤2に設けられた盤ランプ25、枠部材3に内蔵された枠ランプ37、及び回転演出装置38,39の動作を制御する際の演算処理を行う。ランプRAM153は、ランプCPU151が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
ランプROM152には、発光パターンデータ及び動作パターンデータが記憶されている。ここで、発光パターンデータは、第1可動役物71、第2可動役物72、第3可動役物73、盤ランプ25、枠ランプ37、及び回転演出装置38,39が備える発光素子のそれぞれの発光パターンを示すデータである。動作パターンデータは、第1可動役物71、第2可動役物72、第3可動役物73、及び回転演出装置38,39の動作パターンを示すデータである。
ランプCPU151は、ランプROM152に記憶された発光パターンデータの中から、演出制御基板130から受信したコマンドに対応する発光パターンデータをランプRAM153に読み出して、第1可動役物71の発光素子、第2可動役物72の発光素子、第3可動役物73の発光素子、盤ランプ25、枠ランプ37、及び回転演出装置38,39の各発光素子の発光を制御する。
また、ランプCPU151は、ランプROM152に記憶された動作パターンデータの中から、演出制御基板130から受信したコマンドに対応する動作パターンデータをランプRAM153に読み出して、第1可動役物71、第2可動役物72、第3可動役物73、回転演出装置38,39を動作させる各ステッピングモータの駆動を制御する。ランプCPU151は、上述した第1演出及び第2演出を実現するために、役物制御部160を介して第1可動役物71、第2可動役物72、及び第3可動役物73の動作を制御する。
[役物制御部160の構成例]
図9は、役物制御部160の構成例を示すブロック図である。図9に例示されるように、役物制御部160は、第1駆動回路1601、スライドモータ1602、回転モータ1603、第2駆動回路1604、回動モータ1605、第3駆動回路1606、回動モータ1607、初期位置検知センサ1609、第2演出位置検知センサ1610、第1姿勢検知センサ1611、第2姿勢検知センサ1612、初期姿勢検知センサ1613、近接姿勢検知センサ1614、初期姿勢検知センサ1615、及び回動姿勢検知センサ1616を有して構成されている。
ランプCPU151は、ランプROM152から読み出した動作パターンデータに応じたパルス信号を、第1駆動回路1601、第2駆動回路1604、第3駆動回路1606に出力する。これにより、各駆動回路1601,1604,1606からパルス信号に応じた励磁信号がスライドモータ1602、回転モータ1603、回動モータ1605、回動モータ1607に出力される。これにより、各ステッピングモータ1602,1603,1605,1607の回転が制御される。
第1駆動回路1601は、第1可動役物71が設けられたスライド部材をパチンコ遊技機1の幅方向にスライドさせるスライドモータ1602の駆動と、第1可動役物71をスライド部材に対して回転させる回転モータ1603の駆動とを制御する。
初期位置検知センサ1609は、第1可動役物71が初期位置(例えば図5(A)参照)に配置されたことを検知するセンサである。この初期位置検知センサ1609は、例えば、第1可動役物71に設けられている遮光片を、第1可動役物71が初期位置に配置された際に検知して、その検知信号をランプ制御基板150へと出力するフォトインタラプタにより構成される。
第2演出位置検知センサ1610は、第1可動役物71が第2演出位置(図7(B)参照)に配置されたことを検知するセンサである。この第2演出位置検知センサ1610は、例えば、第1可動役物71に設けられている遮光片を、第1可動役物71が第2演出位置に配置された際に検知して、その検知信号をランプ制御基板150へと出力するフォトインタラプタにより構成される。
ランプCPU151は、初期位置検知センサ1609及び第2演出位置検知センサ1610からの検知信号に基づいて、第1駆動回路1601及びスライドモータ1602を介して第1可動役物71の位置制御を行う。具体的には、第1可動役物71を第1可動役物71が動作する前の初期位置、第2演出を行うための第2演出位置、第1演出を行うための第1演出位置などに移動させる制御を行う。
第1姿勢検知センサ1611は、第1可動役物71の姿勢が第1姿勢(例えば図7(B)参照)であることを検知するセンサである。この第1姿勢検知センサ1611は、例えば、第1可動役物71に設けられている遮光片を、第1可動役物71が第1姿勢となった際に検知して、その検知信号をランプ制御基板150へと出力するフォトインタラプタにより構成される。
第2姿勢検知センサ1612は、第1可動役物71の姿勢が第2姿勢(例えば図7(C)参照)であることを検知するセンサである。この第2姿勢検知センサ1612は、例えば、第1可動役物71に設けられている遮光片を、第1可動役物71が第2姿勢となった際に検知して、その検知信号をランプ制御基板150へと出力するフォトインタラプタにより構成される。
ランプCPU151は、第1姿勢検知センサ1611及び第2姿勢検知センサ1612からの検知信号に基づいて、第1駆動回路1601及び回転モータ1603を介して第1可動役物71の姿勢制御を行う。具体的には、第1可動役物71を、第1演出を行うための第1姿勢と、第2演出を行うための第2姿勢とに姿勢変化させる。
第2駆動回路1604は、第2可動役物72を回動させる回動モータ1605の駆動を制御する。
初期姿勢検知センサ1613は、第2可動役物72の姿勢が初期姿勢(例えば図5(A)参照)であることを検知するセンサである。この初期姿勢検知センサ1613は、例えば、第2可動役物72に設けられている遮光片を、第2可動役物72が初期姿勢となった際に検知して、その検知信号をランプ制御基板150へと出力するフォトインタラプタにより構成される。
近接姿勢検知センサ1614は、第2可動役物72の姿勢が近接姿勢(例えば図5(B)参照)であることを検知するセンサである。この近接姿勢検知センサ1614は、例えば、第2可動役物72に設けられている遮光片を、第2可動役物72が近接姿勢となった際(第1可動役物71との関係で近接状態となる位置に配置された際)に検知して、その検知信号をランプ制御基板150へと出力するフォトインタラプタにより構成される。
ランプCPU151は、初期姿勢検知センサ1613及び近接姿勢検知センサ1614からの検知信号に基づいて、第2駆動回路1604及び回動モータ1605を介して第2可動役物72の回動制御を行う。
第3駆動回路1606は、第3可動役物73を回動させる回動モータ1607の駆動を制御する。
初期姿勢検知センサ1615は、第3可動役物73の姿勢が初期姿勢(例えば図7(A)参照)であることを検知するセンサである。この初期姿勢検知センサ1615は、例えば、第3可動役物73に設けられている遮光片を、第3可動役物73が初期姿勢となった際に検知して、その検知信号をランプ制御基板150へと出力するフォトインタラプタにより構成される。
回動姿勢検知センサ1616は、第3可動役物73の姿勢が回動姿勢(例えば図7(D)参照)であることを検知するセンサである。この回動姿勢検知センサ1616は、例えば、第3可動役物73に設けられている遮光片を、第3可動役物73が回動姿勢となった際に検知して、その検知信号をランプ制御基板150へと出力するフォトインタラプタにより構成される。
ランプCPU151は、初期姿勢検知センサ1615及び回動姿勢検知センサ1616からの検知信号に基づいて、第3駆動回路1606及び回動モータ1607を介して第3可動役物73の回動制御を行う。
[遊技制御基板100によるタイマ割込み処理]
次に、図10を参照しつつ、遊技制御基板100において実行されるタイマ割込み処理について説明する。ここで、図10は、遊技制御基板100において実行されるタイマ割込み処理の一例を示すフローチャートである。遊技制御基板100は、電源投入時や電源断時等の特殊な場合を除く通常の動作時において、図10に例示されている一連の処理を一定時間(例えば4ミリ秒)毎に繰り返し実行する。なお、図10以降のフローチャートに基づいて説明する遊技制御基板100の処理は、メインROM102に記憶されているプログラムに基づいてメインCPU101が発行する命令に従って行われる。
まず、メインCPU101は、大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数、及び普通図柄乱数の各種乱数を更新する乱数更新処理を実行する(ステップS1)。
ここで、大当たり乱数は、大当たり又はハズレを決定するための乱数である。図柄乱数は、大当たりであると判定された場合に、大当たりの種類を決定するための乱数である。リーチ乱数は、ハズレであると判定された場合に、リーチ有りの演出を行うか或いはリーチ無しの演出を行うかを決定するための乱数である。変動パターン乱数は、特別図柄が変動表示される際の変動パターンを決定するための乱数である。普通図柄乱数は、第2始動口12を開放するか否かを決定するための乱数である。大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数、及び普通図柄乱数は、このステップS1の処理が行われる毎に「1」ずつ加算される。なお、このステップS1の処理を行うカウンタとしてはループカウンタが使用されており、各乱数は、予め設定された最大値に達した後は「0」に戻る。
ステップS1の処理に続いて、メインCPU101は、各スイッチからの検知信号が入力された場合に、スイッチ処理を実行する(ステップS2)。このスイッチ処理については、図11〜図13に基づいて後に詳述する。
ステップS2の処理に続いて、メインCPU101は、特別図柄判定を実行し、第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42に特別図柄を変動表示させてから特別図柄判定の判定結果を示す判定図柄を停止表示させる処理等を含む特別図柄処理を実行する(ステップS3)。この特別図柄処理については、図14に基づいて後に詳述する。
ステップS3の処理に続いて、メインCPU101は、普通図柄判定を実行し、普通図柄表示器45に普通図柄を変動表示させてから普通図柄判定の結果を示す普通図柄を停止表示させる処理等を含む普通図柄処理を実行する(ステップS4)。
ステップS4の処理に続いて、メインCPU101は、普通図柄判定を行った結果、第2始動口12を開放すると判定した場合に、電動チューリップ開閉部113を介して電動チューリップ17を作動させる電動チューリップ処理を実行する(ステップS5)。
ステップS5の処理に続いて、メインCPU101は、ステップS3の処理で大当たりであると判定した場合に、大入賞口制御部117を制御して大入賞口13を開放する大入賞口開放制御処理を実行する(ステップS6)。
ステップS6の処理に続いて、メインCPU101は、遊技球の入賞に応じた賞球の払い出しを制御する賞球処理を実行する(ステップS7)。
ステップS7の処理に続いて、メインCPU101は、ステップS7以前の処理ステップにおいてメインRAM103にセット(格納)された各種コマンドや演出内容を決定するために必要な情報を演出制御基板130に送信する送信処理を実行する(ステップS8)。
[遊技制御基板100によるスイッチ処理]
図11は、図10のステップS2におけるスイッチ処理の詳細フローチャートである。ステップS1の処理に続いて、メインCPU101は、図11に例示されるように、第1始動口スイッチ111からの検知信号の入力の有無を監視して、ステップS1の処理によって適宜更新される各種乱数(大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数)について、第1始動口スイッチ111からの検知信号が入力された時点の値を取得する処理等を含む第1始動口スイッチ処理を実行する(ステップS21)。この第1始動口スイッチ処理については、図12に基づいて後に詳述する。
次に、メインCPU101は、第2始動口スイッチ112からの検知信号の入力の有無を監視して、ステップS1の処理によって適宜更新される各種乱数について、第2始動口スイッチ112からの検知信号が入力された時点の値を取得する処理等を含む第2始動口スイッチ処理を実行する(ステップS22)。この第2始動口スイッチ処理については、図13に基づいて後に詳述する。
そして、メインCPU101は、第1ゲートスイッチ114又は第2ゲートスイッチ115からの検知信号の入力の有無を監視して、ステップS1の処理によって適宜更新される普通図柄乱数について、第1ゲートスイッチ114又は第2ゲートスイッチ115からの検知信号が入力された時点の値を取得するゲートスイッチ処理を実行する(ステップS23)。
[遊技制御基板100による第1始動口スイッチ処理]
図12は、図11のステップS21における第1始動口スイッチ処理の詳細フローチャートである。図12に例示されるように、メインCPU101は、ステップS1の乱数更新処理に続いて、第1始動口スイッチ111からの検知信号(具体的には第1始動口スイッチ111が「ON」になったことを示すON信号)が入力されたか否かに基づいて、第1始動口スイッチ111が「ON」になったか否かを判定する(ステップS210)。ここで、第1始動口スイッチ111が「ON」になったと判定した場合(ステップS210:YES)、メインRAM103に記憶されている第1特別図柄判定の保留数U1が、メインROM102に記憶されている第1特別図柄判定の最大保留数Umax1(本実施形態では「4」)未満であるか否かを判定する(ステップS211)。
メインCPU101は、保留数U1が最大保留数Umax1未満であると判定した場合(ステップS211:YES)、保留数U1の値を「1」加算した値に更新し(ステップS212)、第1特別図柄判定に使用する取得情報として、大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数を取得して、これらの乱数を対応付けてメインRAM103に格納する(ステップS213〜ステップS216)。
[遊技制御基板100による第2始動口スイッチ処理]
図13は、図11のステップS22における第2始動口スイッチ処理の詳細フローチャートである。図13に例示されるように、メインCPU101は、ステップS21の第1始動口スイッチ処理に続いて、第2始動口スイッチ112からの検知信号(具体的には第2始動口スイッチ112が「ON」になったことを示すON信号)が入力されたか否かに基づいて、第2始動口スイッチ112が「ON」になったか否かを判定する(ステップS220)。
メインCPU101は、第2始動口スイッチ112が「ON」になったと判定した場合(ステップS220:YES)、メインRAM103に記憶されている第2特別図柄判定の保留数U2が、メインROM102に記憶されている第2特別図柄判定の最大保留数Umax2(本実施形態では「4」)未満であるか否かを判定する(ステップS221)。
メインCPU101は、保留数U2が最大保留数Umax2未満であると判定した場合(ステップS221:YES)、保留数U2の値を「1」加算した値に更新し(ステップS222)、第2特別図柄判定に使用する取得情報として、大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数を取得して、これらの乱数を対応付けてメインRAM103に格納する(ステップS223〜ステップS226)。
[遊技制御基板100による特別図柄処理]
次に、図14を参照しつつ、遊技制御基板100によって実行される特別図柄処理の詳細について説明する。ここで、図14は、図10のステップS3における特別図柄処理の詳細フローチャートである。図14に例示されるように、メインCPU101は、メインRAM103に記憶されている大当たり遊技フラグが「ON」に設定されているか否かに基づいて、大当たり遊技中であるか否かを判定する(ステップS301)。この大当たり遊技フラグは、大当たり遊技の実行中であるか否かを示すフラグであり、大当たり遊技の開始時に「ON」に設定され、大当たり遊技の終了時に「OFF」に設定される。ここで、大当たり遊技中であると判定された場合(ステップS301:YES)、ステップS4の普通図柄処理に処理が進められる。
メインCPU101は、大当たり遊技中ではないと判定した場合(ステップS301:NO)、特別図柄の変動表示中であるか否かを判定する(ステップS302)。ここで、特別図柄の変動表示中ではないと判定した場合(ステップS302:NO)、メインRAM103に記憶されている第2特別図柄判定の保留数U2が「1」以上であるか否かを判定する(ステップS303)。ここで、保留数U2が「1」以上であると判定した場合(ステップS303:YES)、保留数U2を「1」減算した値に更新する(ステップS304)。
メインCPU101は、保留数U2が「1」以上ではないと判定した場合(ステップS303:NO)、メインRAM103に記憶されている第1特別図柄判定の保留数U1が「1」以上であるか否かを判定する(ステップS305)。ここで、保留数U1が「1」以上ではないと判定された場合(ステップS305:NO)、ステップS4の普通図柄処理に処理が進められる。逆に、保留数U1が「1」以上であると判定した場合(ステップS305:YES)、メインCPU101は、保留数U1を「1」減算した値に更新する(ステップS306)。
ステップS304の処理又はステップS306の処理に続いて、メインCPU101は、メインRAM103の保留記憶領域に対するシフト処理を実行する(ステップS308)。具体的には、ステップS304の処理に続いてシフト処理を実行する場合には、第2特別図柄判定用の保留記憶領域に記憶されている最古の取得情報を判定用記憶領域にシフトさせると共に、残りの取得情報を判定用記憶領域側にシフトさせる。また、ステップS306の処理に続いてシフト処理を実行する場合には、第1特別図柄判定用の保留記憶領域に記憶されている最古の取得情報を判定用記憶領域にシフトさせると共に、残りの取得情報を判定用記憶領域側にシフトさせる。
ステップS308の処理に続いて、メインCPU101は、判定用記憶領域に記憶されている乱数に基づいて、大当たり判定処理を実行する(ステップS309)。この大当たり判定処理が実行されることによって、大当たりか否かが判定されると共に、大当たりであると判定された場合には大当たりの種類が決定される。そして、これらの処理の結果を示す判定図柄の設定情報がメインRAM103にセットされる。この大当たり判定処理については、図15に基づいて後に詳述する。
ステップS309の処理に続いて、メインCPU101は、特別図柄の変動パターンを選択する変動パターン選択処理を実行する(ステップS310)。この変動パターン選択処理については、図16に基づいて後に詳述する。
ステップS310の処理に続いて、メインCPU101は、ステップS309の処理で設定した図柄の設定情報、この図柄の設定情報が第1特別図柄判定に係るものであるか或いは第2特別図柄判定に係るものであるかを示す情報、ステップS310の処理で設定した変動パターンの設定情報、パチンコ遊技機1の遊技状態に関する情報等を含む変動開始コマンドをメインRAM103にセットする(ステップS311)。この変動開始コマンドは、特別図柄の変動表示に伴う変動演出の開始を指示するコマンドであって、ステップS8の送信処理によって演出制御基板130に送信される。
ステップS311の処理に続いて、メインCPU101は、ステップS311の処理でセットした変動開始コマンドに含まれている変動パターンの設定情報に基づいて、特別図柄の変動表示を開始する(ステップS312)。その際、判定用記憶領域に第1特別図柄判定に係る取得情報(乱数)が記憶された状態でステップS308〜ステップS311の処理が行われた場合には第1特別図柄表示器41において特別図柄の変動表示が開始され、第2特別図柄判定に係る取得情報(乱数)が記憶された状態でステップS308〜ステップS311の処理が行われた場合には第2特別図柄表示器42において特別図柄の変動表示が開始される。
ステップS312の処理に続いて、メインCPU101は、ステップS312における変動表示を開始してからの経過時間である変動時間の計測を開始する(ステップS313)。
メインCPU101は、ステップS313の処理を実行した場合、又は特別図柄の変動表示中であると判定した場合(ステップS302:YES)、ステップS313における変動時間の計測開始から、ステップS310の処理によって選択された変動パターンに対応する変動時間が経過したか否かを判定する(ステップS315)。ここで、変動時間が経過していないと判定された場合(ステップS315:NO)、ステップS4の普通図柄処理に処理が進められる。
メインCPU101は、変動時間が経過したと判定した場合(ステップS315:YES)、第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42に特別図柄判定の判定結果を示す判定図柄が停止表示されることを通知する図柄確定コマンドをメインRAM103にセットする(ステップS316)。この図柄確定コマンドは、ステップS8における送信処理によって演出制御基板130に送信される。これにより、液晶表示装置5に変動表示されていた装飾図柄を特別図柄判定の判定結果を示す態様で停止表示させる処理等が行われることになる。
ステップS316の処理に続いて、メインCPU101は、ステップS312の処理で開始した特別図柄の変動表示を終了させる(ステップS317)。具体的には、ステップS309の処理で設定した判定図柄(大当たり図柄又はハズレ図柄)を、特別図柄を変動表示していた特別図柄表示器に停止表示させる。なお、この判定図柄の停止表示は、少なくとも所定の図柄確定時間(例えば1秒)が経過するまで継続される。
このように、メインCPU101は、第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42に特別図柄を変動表示させてから大当たり判定処理の判定結果を示す判定図柄を第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42に停止表示させる。
ステップS317の処理に続いて、メインCPU101は、上記ステップS313の処理で計測を開始した変動時間をリセットし(ステップS318)、大当たりである場合に大当たり遊技を開始させる処理等を含む停止中処理を実行する(ステップS319)。
[遊技制御基板100による大当たり判定処理]
図15は、図14のステップS309における大当たり判定処理の詳細フローチャートである。メインCPU101は、判定用記憶領域に記憶された大当たり乱数に基づいて大当たり判定を実行する(ステップS3091)。具体的には、判定用記憶領域に記憶されている大当たり乱数が、予め設定された当選値と一致するか否かに基づいて、大当たりであるか否かを判定する。
このように、メインCPU101は、第1始動口11又は第2始動口12に遊技球が入賞したことを契機として取得された大当たり乱数等の取得情報が判定用記憶領域に記憶されるといった始動条件が成立すると、その大当たり乱数に基づいて、遊技者にとって有利な大当たり遊技を実行するか否かを判定する。
ステップS3091の処理に続いて、メインCPU101は、大当たり判定の判定結果が大当たりであるか否かを判断する(ステップS3092)。ここで、大当たりであると判断した場合(ステップS3092:YES)、メインROM102に記憶されている大当たり時の図柄決定テーブルを参照して大当たりの種類を決定する(ステップS3093)。
そして、メインCPU101は、決定した大当たりの種類に応じた大当たり図柄の設定情報をメインRAM103にセットする(ステップS3094)。これにより、上記ステップS317の処理の際にここでセットされた大当たり図柄が第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42に判定図柄として停止表示されて、その図柄に応じた大当たり遊技が行われることになる。
一方、メインCPU101は、大当たりではないと判断した場合(ステップS3092:NO)、ハズレ図柄の設定情報をメインRAM103にセットする(ステップS3095)。これにより、上記ステップS317の処理の際にここでセットされたハズレ図柄が第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42に判定図柄として停止表示される。この場合、大当たり遊技は行われない。
[遊技制御基板100による変動パターン選択処理]
図16は、図14のステップS310における変動パターン選択処理の詳細フローチャートである。メインCPU101は、図14のステップS309における大当たり判定処理を実行した後、ステップS3091の判定結果が大当たりであるか否かを判断する(ステップS3101)。ここで、大当たりであると判断した場合(ステップS3101:YES)、大当たり用変動パターンテーブルをメインROM102から読み出してメインRAM103にセットする(ステップS3102)。
一方、メインCPU101は、大当たりではないと判断した場合(ステップS3101:NO)、判定用記憶領域に記憶されているリーチ乱数がメインROM102に記憶されているリーチ乱数の当選値と一致するか否かに基づいて、遊技者に対して大当たりを期待させるリーチ演出を行うか否かを判定する(ステップS3103)。ここで、リーチ演出を行うと判定した場合(ステップS3103:YES)、リーチ用変動パターンテーブルをメインROM102から読み出してメインRAM103にセットする(ステップS3104)。逆に、リーチ演出を行わないと判定した場合(ステップS3103:NO)、ハズレ用変動パターンテーブルをメインROM102から読み出してメインRAM103にセットする(ステップS3105)。
続いて、メインCPU101は、ステップS3102の処理、ステップS3104の処理、又はステップS3105の処理によってメインRAM103にセットされた変動パターンテーブルを参照して変動パターン乱数判定処理を実行する(ステップS3106)。具体的には、大当たり用変動パターンテーブル又はリーチ用変動パターンテーブルがメインRAM103にセットされた場合、判定用記憶領域に記憶されている変動パターン乱数に対応する変動パターンを、セットされている変動パターンテーブルから読み出すことによって変動パターンを選択する。
また、ハズレ用変動パターンテーブルがメインRAM103にセットされた場合、ステップS308のシフト処理が行われる直前に各種情報が記憶されていた保留記憶領域の数に基づいて特別図柄判定の保留数を特定し、特定した保留数と現在の時短の有無とに対応する変動パターンをハズレ用変動パターンテーブルから読み出すことによって変動パターンを選択する。
このようにして特別図柄の変動パターンが選択されることによって、特別図柄の変動時間が必然的に決定されることになる。
メインCPU101は、変動パターンを選択すると、選択した変動パターンの設定情報をメインRAM103にセットする(ステップS3107)。この変動パターンの設定情報は、上述したステップS309の大当たり判定処理によってメインRAM103にセットされた図柄の設定情報と共に変動開始コマンドに含まれて演出制御基板130に送信される。
[演出制御基板130によるタイマ割込み処理]
パチンコ遊技機1の電源が投入されると、演出制御基板130のサブCPU131は、後述するタイマ割込み処理を行う周期であるCTC周期を設定する。そして、サブCPU131は、演出内容を決定するために用いられる演出乱数等を更新する乱数更新処理をCTC周期よりも短い所定周期で繰り返す。すなわち、サブCPU131は、パチンコ遊技機1が起動している間、所定周期で乱数更新処理を繰り返しつつ、CTC周期でタイマ割込み処理を繰り返す。
以下、図17を参照しつつ、演出制御基板130において実行されるタイマ割込み処理について説明する。ここで、図17は、演出制御基板130において実行されるタイマ割込み処理の一例を示すフローチャートである。サブCPU131は、遊技制御基板100で行われるタイマ割込み処理と同様に、図17に例示されている一連の処理を一定時間(例えば4ミリ秒)毎に繰り返し実行する。なお、図17以降のフローチャートに基づいて説明する演出制御基板130で行われる処理は、サブROM132に記憶されているプログラムに基づいてサブCPU131が発行する命令に従って行われる。
サブCPU131は、まず、遊技制御基板100からのコマンドに応じた処理を行うコマンド受信処理を実行する(ステップS10)。このコマンド受信処理については、図18に基づいて後に詳述する。
ステップS10の処理に続いて、サブCPU131は、演出ボタン26又は十字キー27からの操作情報の入力の有無に基づいて、演出ボタン26又は十字キー27が操作されたか否かを判定する(ステップS11)。ここで、演出ボタン26又は十字キー27が操作されたと判定した場合(ステップS11:YES)、その旨を通知するための操作コマンドをサブRAM133にセットする(ステップS12)。この操作コマンドが画像音響制御基板140及びランプ制御基板150へ送信されることによって、演出ボタン26又は十字キー27の操作に応じた演出上の効果を実現するための処理が行われる。
サブCPU131は、演出ボタン26及び十字キー27がいずれも操作されていないと判定した場合(ステップS11:NO)、又はステップS12の処理を実行した場合、送信処理を実行する(ステップS13)。具体的には、ステップS10やステップS12の処理によってサブRAM133にセットされたコマンドを画像音響制御基板140及びランプ制御基板150に送信する。このコマンド送信処理が行われることによって、画像表示や音声出力等による演出の実行が画像音響制御基板140に対して指示され、各種ランプの点灯や可動役物71〜73の動作による演出の実行等がランプ制御基板150に対して指示される。
ステップS13の処理に続いて、サブCPU131は、データ転送処理を実行する(ステップS14)。具体的には、画像音響制御に関するデータが画像音響制御基板140から送信されるので、そのデータをランプ制御基板150に転送する。これにより、液晶表示装置5及びスピーカ24によって行われている演出と同期するように、可動役物71〜73や盤ランプ25等の演出媒体による演出がランプ制御基板150によって制御される。
[演出制御基板130によるコマンド受信処理]
図18は、図17のステップS10におけるコマンド受信処理の詳細フローチャートである。図18に例示されるように、サブCPU131は、まず、特別図柄の変動表示に伴う変動演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、例えば、遊技制御基板100から送信された変動開始コマンドに含まれている特別図柄の変動パターンを示す情報に基づいて特別図柄の変動時間を特定し、その変動開始コマンドを受信してからその変動時間が経過したか否かに基づいて、特別図柄の変動表示に伴う変動演出の実行中であるか否かを判定する。
サブCPU131は、変動演出の実行中ではないと判定した場合(ステップS101:NO)、ステップS311の処理(図14参照)に応じて遊技制御基板100から送信された変動開始コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS102)。ここで、変動開始コマンドを受信したと判定した場合(ステップS102:YES)、その変動開始コマンドを解析する(ステップS103)。
この変動開始コマンドには、上述したように、大当たり判定処理の判定結果を示す図柄の設定情報、この図柄の設定情報が第1特別図柄判定に係るものであるか或いは第2特別図柄判定に係るものであるかを示す入賞始動口情報、特別図柄の変動パターンの設定情報、パチンコ遊技機1の遊技状態を示す情報等が含まれている。したがって、変動開始コマンドを解析することによって、特別図柄判定の種類と結果を特定することができる。すなわち、大当たりであるか或いはハズレであるか、大当たりである場合にはその大当たりの種類が何であるかを特定することができる。また、変動パターンの設定情報に基づいて変動パターンがハズレ用の変動パターンであるか否かを特定することにより、リーチ有り演出とリーチ無し演出のどちらを行う必要があるのかを判断することができる。また、同じく変動パターンの設定情報に基づいて、特別図柄の変動時間を特定することができる。また、遊技状態を示す情報に基づいて、パチンコ遊技機1の現在の遊技状態を特定することができる。
変動開始コマンドを解析すると、サブCPU131は、その解析結果に基づいて、変動演出パターン選択処理を実行する(ステップS104)。
図には示されていないが、サブROM132には、特別図柄の変動表示に伴う変動演出に関して、大当たり演出テーブル、ハズレリーチ有り演出テーブル、及びハズレリーチ無し演出テーブルの少なくとも3つの演出テーブルが記憶されている。これらの演出テーブルの各々には、遊技制御基板100において決定される変動パターン(変動時間)に対応するテーブルが複数設けられている。例えば、大当たり演出テーブルには、60秒用、80秒用、120秒用、及び160秒用のテーブルが設けられている。
サブCPU131は、これら複数のテーブルの中から、変動開始コマンドに含まれている設定情報に基づいて、1のテーブルを選択する。例えば、設定情報に「大当たり」を示す情報、変動時間が60秒である大当たり用の変動パターンを示す情報が含まれている場合、サブCPU131は、60秒用の大当たり演出テーブルを選択する。また、設定情報に「ハズレ」を示す情報、遊技状態が時短遊技状態であることを示す情報、変動時間が10秒であるハズレ用の変動パターンを示す情報が含まれている場合、サブCPU131は、10秒用のハズレリーチ無し演出テーブルを選択する。
演出テーブルにおいては、演出乱数と演出パターンとが対応付けられている。サブCPU131は、上述した乱数更新処理が行われる毎に更新される演出乱数について、変動開始コマンドを受信した時点の値を取得しておき、選択した演出テーブルに格納されている多数の演出パターンの中から、予め取得した演出乱数に対応する演出パターンを読み出すことによって、1つの演出パターンを選択する。
このような変動演出パターン選択処理が実行されることによって、装飾図柄の変動態様、リーチ演出の有無、演出ボタン26を用いた演出の有無、第1演出の有無、第2演出の有無、背景画像の種類等の変動演出を構成する各演出の態様が決定される。
ここで、第1演出を行うと決定した場合、サブCPU131は、変動開始コマンドに含まれている大当たり判定処理の判定結果を示す図柄の設定情報に基づいて、大当たり用の第1演出、及びハズレ用の第1演出のどちらを行うかを決定する。また、第1演出又は第2演出を行うと決定した場合、サブCPU131は、これらの演出が行われている際に可動役物71〜73の演出効果を高めるために液晶表示装置5の表示画面に表示させるエフェクト画像の表示態様(例えば色)も併せて決定する。
次に、サブCPU131は、ステップS104の処理で選択した変動演出パターンの変動演出の開始を指示する変動演出開始コマンドをサブRAM133にセットする(ステップS105)。この変動演出開始コマンドは、ステップS13の送信処理によって画像音響制御基板140及びランプ制御基板150に送信される。これにより、演出制御基板130において演出パターンが決定された変動演出が、画像音響制御基板140及びランプ制御基板150によって実現されることになる。
このステップS105の処理に応じた変動演出は、第2特別図柄表示器42(又は第1特別図柄表示器41)において特別図柄の変動表示が開始されてから特別図柄判定の判定結果を示す判定図柄が停止表示されるまで行われる。
一方、サブCPU131は、変動演出の実行中であると判定した場合(ステップS101:YES)、ステップS316の処理(図14参照)に応じて遊技制御基板100から送信された図柄確定コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS106)。ここで、図柄確定コマンドを受信したと判定した場合(ステップS106:YES)、例えば特別図柄の変動表示に伴う変動演出の終了を指示する変動演出終了コマンドをサブRAM133にセットする(ステップS107)。この変動演出終了コマンドは、ステップS13の送信処理によって画像音響制御基板140及びランプ制御基板150に送信される。これにより、ステップS105の処理に応じて開始された変動演出が終了することになる。
[画像音響制御基板140による画像音響制御処理]
図19は、画像音響制御処理の一例を示すフローチャートである。画像音響制御基板140は、電源投入時や電源断時等の特殊な場合を除く通常の動作時において、図19に例示されている一連の処理を一定時間(例えば33ミリ秒)毎に繰り返し実行する。
図19に例示されるように、画像音響制御基板140の統括CPUは、まず、演出制御基板130から送信された変動演出開始コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS501)。ここで、変動演出開始コマンドを受信したと判定した場合(ステップS501:YES)、受信した変動演出開始コマンドに含まれる情報、及びディスプレイリスト作成テーブルに基づいて変動演出の表示内容を設定し(ステップS502)、その設定内容に基づいてディスプレイリストを作成する(ステップS503)。
ここで、ディスプレイリストは、フレーム単位で描画の実行を指示するためのコマンド群で構成されており、描画する画像の種類、画像を描画する位置(座標)、表示の優先順位、表示倍率、回転角、透過率等の各種パラメータを含むものであり、ディスプレイリスト作成テーブルは、このディスプレイリストを作成するために使用されるテーブルである。
画像音響制御基板140のVDPは、統括CPUによって作成されたディスプレイリストに基づいてCGROMから演出データを読み出し、読み出した演出データを用いて、変動演出を行うための描画処理を実行する。
統括CPUは、ステップS503の処理を実行した場合、又は変動演出開始コマンドを受信していないと判定した場合(ステップS501:NO)、演出制御基板130から送信された変動演出終了コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS504)。ここで、変動演出終了コマンドを受信したと判定した場合(ステップS504:YES)、VDPに実行中の変動演出を終了させる変動演出終了処理を実行する(ステップS505)。
統括CPUは、ステップS505の処理を実行した場合、又は変動演出終了コマンドを受信していないと判定した場合(ステップS504:NO)、データ送信制御処理を実行する(ステップS506)。具体的には、画像音響制御基板140において行われる画像音響制御に関するデータを演出制御基板130に送信する。
これに対して、演出制御基板130は、画像音響制御基板140から受信したデータをランプ制御基板150に転送する。これにより、液晶表示装置5及びスピーカ24によって行われる演出と同期するように、ランプ制御基板150によって各種演出動作などが制御されることになる。
なお、ここでは演出制御基板130から受信したコマンドに基づいて液晶表示装置5で行われる変動演出の制御について説明したが、スピーカ24からの演出音の出力制御は、液晶表示装置5における変動演出と対応したものとなるため、ここでの詳細な説明は省略する。
[ランプ制御基板150によるランプ制御処理]
次に、図20及び図21を参照しつつ、ランプ制御基板150において実行されるランプ制御処理について説明する。ここで、図20及び図21は、ランプ制御基板150において実行されるランプ制御処理の一例を示すフローチャートである。ランプ制御基板150は、電源投入時や電源断時等の特殊な場合を除く通常の動作時において、演出制御基板130からのコマンド、及び演出制御基板130を介して画像音響制御基板140から送信される画像音響制御に関するデータに基づいて、図20及び図21に例示されている一連の処理を一定時間毎に繰り返し実行する。
ランプ制御基板150のランプCPU151は、まず、演出制御基板130を介して画像音響制御基板140から送信された画像音響制御に関するデータを受信するデータ受信処理を実行する(ステップS601)。ランプCPU151は、このステップS601の処理によって受信した画像音響制御に関するデータに基づいて、液晶表示装置5やスピーカ24による演出と同期するように、各種演出手段(可動役物71〜73など)を制御する。
ステップS601の処理に続いて、ランプCPU151は、演出制御基板130から送信された変動演出開始コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS602)。ここで、変動演出開始コマンドを受信したと判定した場合(ステップS602:YES)、受信した変動演出開始コマンドに対応する発光パターンデータをランプROM152から読み出してランプRAM153にセットすることにより、第1可動役物71の発光素子、第2可動役物72の発光素子、第3可動役物73の発光素子、盤ランプ25、枠ランプ37、及び回転演出装置38,39の各発光素子の発光パターンを設定する(ステップS603)。そして、セットした発光パターンデータに基づいて、これらの各発光素子の発光制御を開始する(ステップS604)。
ステップS604の処理に続いて、ランプCPU151は、変動演出開始コマンドに基づいて、役物演出の実行が指示されたか否かを判定する(ステップS605)。具体的には、変動演出開始コマンドによって、第1演出及び第2演出の少なくとも一方の実行が指示されたか否かを判定する。
ランプCPU151は、役物演出の実行が指示されたと判定した場合(ステップS605:YES)、第1演出の実行が指示されたか否かを判定する(ステップS606)。ここで、第1演出の実行が指示されたと判定した場合(ステップS606:YES)、第1演出用の第1動作パターンを設定する(ステップS607)。具体的には、受信した変動演出開始コマンドに対応する第1可動役物71及び第2可動役物72の動作パターンを示す第1動作パターンデータをランプROM152から読み出してランプRAM153にセットすることにより、第1演出用の第1動作パターンを設定する。
ランプCPU151は、ステップS607の処理を実行した場合、又は第1演出の実行が指示されていないと判定した場合(ステップS606:NO)、第2演出の実行が指示されたか否かを判定する(ステップS608)。ここで、第2演出の実行が指示されたと判定した場合(ステップS608:YES)、第2演出用の第2動作パターンを設定する(ステップS609)。具体的には、受信した変動演出開始コマンドに対応する第1可動役物71及び第3可動役物73の動作パターンを示す第2動作パターンデータをランプROM152から読み出してランプRAM153にセットすることにより、第2演出用の第2動作パターンを設定する。
ランプCPU151は、ステップS609の処理を実行した場合、第2演出の実行が指示されていないと判定した場合(ステップS608:NO)、変動演出開始コマンドを受信していないと判定した場合(ステップS602:NO)、又は役物演出の実行が指示されていないと判定した場合(ステップS605:NO)、可動役物71〜73のいずれかの可動役物の動作パターンが設定されているか否かを判定する(ステップS611)。具体的には、可動役物(可動役物71〜73)用の動作パターンデータがランプRAM153に記憶されているか否かを判定する。
ランプCPU151は、動作パターンが設定されていると判定した場合(ステップS611:YES)、すなわちランプRAM153に動作パターンデータが記憶されている場合、記憶されている動作パターンデータが第1動作パターンデータであるか否かを判定する(ステップS612)。
ランプCPU151は、記憶されている動作パターンデータが第1動作パターンデータであると判定した場合(ステップS612:YES)、その第1動作パターンデータに基づいて、上述した第1演出制御(図5及び図6参照)を開始する(ステップS613)。
一方、ランプCPU151は、記憶されている動作パターンデータが第1動作パターンデータではないと判定した場合(ステップS612:NO)、すなわち第2動作パターンデータが記憶されている場合、その第2動作パターンデータに基づいて、上述した第2演出制御(図7参照)を開始する(ステップS614)。
ランプCPU151は、ステップS613の処理を実行した場合、又はステップS614の処理を実行した場合、ランプRAM153に記憶されている実行回数Tをリセットする(ステップS615)。この実行回数Tは、第2演出(又は第1演出)の終了後に第1可動役物71の姿勢を第1姿勢に制御する第1姿勢制御の実行回数である。
ランプCPU151は、ステップS615の処理を実行した場合、又は可動役物71〜73のいずれの可動役物の動作パターンも設定されていないと判定した場合(ステップS611:NO)、演出制御基板130から送信された変動演出終了コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS616)。ここで、変動演出終了コマンドを受信したと判定した場合(ステップS616:YES)、上述したステップS604の処理で開始した発光制御を終了させる(ステップS617)。
ランプCPU151は、ステップS617の処理を実行した場合、又は変動演出終了コマンドを受信していないと判定した場合(ステップS616:NO)、図21に例示されるように、役物演出制御中であるか否かを判定する(ステップS619)。具体的には、ステップS613の処理で開始した第1演出制御又はステップS614の処理で開始した第2演出制御の実行中であるか否かを判定する。
ランプCPU151は、役物演出制御中であると判定した場合(ステップS619:YES)、ランプRAM153に記憶されている動作パターンデータと現在の役物演出(第1演出又は第2演出)の実行状況とに基づいて、役物演出が完了したか否かを判定する(ステップS620)。
ランプCPU151は、役物演出が完了したと判定した場合(ステップS620:YES)、第2可動役物72又は第3可動役物73を初期姿勢に戻す(ステップS621)。具体的には、役物演出として第1演出の制御中であった場合には第2可動役物72を初期姿勢に戻し、第2演出の制御中であった場合には第3可動役物73を初期姿勢に戻す。これらの完了動作は、第2可動役物72の駆動源である回動モータ1605を駆動させる第2駆動回路1604、又は第3可動役物73の駆動源である回動モータ1607を駆動させる第3駆動回路1606の制御により実現される。
ステップS621の処理に続いて、ランプCPU151は、第1可動役物71の姿勢が第1姿勢であることを示す第1姿勢検知センサ1611(図9参照)からの検知信号の入力の有無に基づいて、第1可動役物71の姿勢が第1姿勢であるか否かを判定する(ステップS622)。
本実施形態では、第1可動役物71の姿勢が第1姿勢に制御された状態で第1演出が行われ、第1可動役物71の姿勢が第2姿勢に制御された状態で第2演出が行われる。このため、このステップS622において、基本的には、第1演出の完了時には第1可動役物71の姿勢が第1姿勢であると判定され、第2演出の完了時には第1可動役物71の姿勢が第1姿勢ではないと判定されることになる。
ランプCPU151は、第1可動役物71の姿勢が第1姿勢であると判定した場合(ステップS622:YES)、スライドモータ1602を駆動させる第1駆動回路1601を制御して、第1可動役物71を第1姿勢で初期位置に戻す第1移動制御を実行する(ステップS623)。
このように、ランプCPU151は、第1演出の実行により第1可動役物71の姿勢が第1姿勢に制御されている場合には、第1可動役物71を姿勢変化させずに第1姿勢のまま初期位置に戻す。
ランプCPU151は、第1可動役物71の姿勢が第1姿勢ではないと判定した場合(ステップS622:NO)、第1可動役物71の駆動源である回転モータ1603を駆動させる第1駆動回路1601を制御して、第1可動役物71の姿勢を第1姿勢に制御する第1姿勢制御を実行する(ステップS624)。そして、第1姿勢制御の実行回数Tを「1」加算した値に更新する(ステップS625)。
ステップS625の処理に続いて、ランプCPU151は、ステップS622の処理と同様に、第1可動役物71の姿勢が第1姿勢であるか否かを判定する(ステップS626)。ここで、第1姿勢であると判定した場合(ステップS626:YES)、上述したステップS623の第1移動制御を実行する。
このように、ランプCPU151は、第2演出の実行により第1可動役物71の姿勢が第2姿勢に制御された後に第1可動役物71を初期位置に戻す際には、第1可動役物71の姿勢を第1姿勢に制御する第1姿勢制御を実行し、第1姿勢制御が完了した後に、第1可動役物71を第1姿勢で初期位置に戻す第1移動制御を実行する。
ところで、例えば第1姿勢検知センサ1611の動作不良により第1可動役物71の姿勢が第1姿勢であることが検知できない状態で第1可動役物71を初期位置へ戻す制御を行った場合、第1可動役物71が装飾部材に衝突して第1可動役物71の移動が阻止され、スライドモータ1602の故障や、スライドモータ1602とスライド部材との間に設けられているギヤ等を有する駆動伝達機構の破損を引き起こすおそれがある。
このため、第1演出又は第2演出の完了時に第1可動役物71の姿勢が第1姿勢であることが検知できない場合に、第1可動役物71の初期位置への移動を禁止する制御を行うことが考えられる。
しかしながら、本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、第1可動役物71が第2演出位置に配置された状態で液晶表示装置5の表示画面を正面視した場合に第1可動役物71が表示画面の一部を覆ってしまうため、上記のような禁止制御を行った場合、液晶表示装置5による液晶演出を妨げることになる。このことは、第1可動役物71が第1演出位置の一部の位置に配置された状態で禁止制御が行われる場合も同様である。
そこで、本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、第1姿勢制御を複数回(本実施形態では3回)実行しても第1可動役物71の姿勢が第1姿勢であることが検知できない場合には、第1可動役物71を第2姿勢に制御してから第2姿勢のまま初期位置に戻すこととしている。
ランプ制御基板150では、このような制御を実現するために、以下のような処理が行われる。すなわち、ランプCPU151は、第1可動役物71の姿勢が第1姿勢ではないと判定した場合(ステップS626:NO)、ランプRAM153に記憶されている第1姿勢制御の実行回数Tが所定数(本実施形態では「2」)以下であるか否かを判定する(ステップS627)。ここで、第1姿勢制御の実行回数Tが「2」以下であると判定された場合(ステップS627:YES)、上記ステップS624に処理が戻される。
このため、第1姿勢検知センサ1611によって第1可動役物71の姿勢が第1姿勢であることが検知されない場合、第1姿勢制御が3回繰り返されることになる。
このように、第1姿勢制御を3回試みても第1可動役物71の姿勢が第1姿勢であることが検知できない場合には、第1姿勢検知センサ1611が正常に機能しなくなっている可能性が高い。このため、第1姿勢制御を3回試みても第1可動役物71の第1姿勢が検知できない場合、以下のような処理が行われる。
すなわち、ランプCPU151は、第1姿勢制御の実行回数Tが「2」以下ではないと判定した場合(ステップS627:NO)、すなわち第1姿勢制御の実行回数Tが「3」に達した場合、第1可動役物71の駆動源である回転モータ1603を駆動させる第1駆動回路1601を制御して、第1可動役物71の姿勢を第2姿勢に制御する第2姿勢制御を実行する(ステップS628)。
ステップS628の処理に続いて、ランプCPU151は、第1可動役物71の姿勢が第2姿勢であることを示す第2姿勢検知センサ1612(図9参照)からの検知信号の有無に基づいて、第1可動役物71の姿勢が第2姿勢であるか否かを判定する(ステップS629)。
ランプCPU151は、第1可動役物71の姿勢が第2姿勢であると判定した場合(ステップS629:YES)、回転モータ1603及び第2姿勢検知センサ1612は正常に動作していると判断して、スライドモータ1602を駆動させる第1駆動回路1601を制御して、第1可動役物71を第2姿勢で初期位置に戻す第2移動制御を実行する(ステップS630)。
このように、ランプCPU151は、第1姿勢制御を行っても第1可動役物71の姿勢が第1姿勢であることが第1姿勢検知センサ1611によって検知されない場合には、第1可動役物71の姿勢を第2姿勢に制御する第2姿勢制御を実行し、第2姿勢制御が完了した後に、第1可動役物71を第2姿勢で初期位置に戻す。
一方、第1可動役物71の姿勢が第2姿勢ではないと判定された場合(ステップS629:NO)、第1姿勢検知センサ1611の動作不良ではなく、回転モータ1603の動作不良が生じている可能性があるため、第1可動役物71を初期位置へと移動させる移動制御が行われずに、一連のランプ制御処理が終了する。すなわち、上述した禁止制御が行われる。
なお、詳細な説明は省略するが、第1可動役物71が第2姿勢で初期位置に戻された場合、又は禁止制御が行われた場合、第1可動役物71、及び第1可動役物71と協働する可動役物(第2可動役物72及び第3可動役物73)のその後の動作が禁止される。これは、第1演出及び第2演出を正常に行えない可能性が高いためである。
[本実施形態の作用効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、第1可動役物71を初期位置に戻すことが可能な姿勢が2つあるため、例えば第1可動役物71が第1姿勢であることが検知できないといった第1可動役物71の姿勢制御に関する不具合が原因で第1可動役物71を初期位置に戻せなくなるといった問題が生じるのを容易に抑制することができる。
また、本実施形態では、第1可動役物71が基本的には第1姿勢で初期位置に戻されるものの、第1姿勢であることが検知できない場合には第2姿勢で初期位置に戻される。このため、例えばパチンコ遊技機1が設置されたホールの店員が、第1可動役物71が第2姿勢で初期位置に戻されているのを見て、第1可動役物71の姿勢制御に関する不具合が生じていることを容易に認識することができる。
また、第1可動役物71が例外的に第2姿勢で初期位置に戻されることによって、第1可動役物71の第1姿勢が検知できなくなっていることが暗示される。このため、例えば第1可動役物71の第1姿勢が検知できなくなったことを報知するメッセージを液晶表示装置5に表示するような場合に比べて、遊技者に役物制御に関する不具合が発生したことを認識され難いという利点がある。
また、本実施形態では、1つの第1可動役物71によって第2可動役物72との第1演出及び第3可動役物73との第2演出の両方が行われるため、2つの可動役物を設けることなく、相異なる2種類の役物演出を効果的に行うことができる。
また、本実施形態では、第1可動役物71の姿勢が第1姿勢であることが検知できない場合には第1可動役物71が第2姿勢に制御されてから初期位置へと戻されるので、第1可動役物71が液晶表示装置5の表示画面の一部を覆ったままの状態になることが抑制される。すなわち、第1可動役物71の姿勢制御に関する不具合が原因で第1可動役物71が液晶表示装置5の表示画面の一部を覆ったままの状態となって表示画面に表示された演出画像の視認性が低下するといった重大な問題が生じるのを回避することができる。
[変形例]
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下の形態であってもよい。すなわち、上記実施形態では、第1可動役物71が第2演出位置に配置された状態で液晶表示装置5の表示画面を正面視した場合に第1可動役物71が表示画面の少なくとも一部を覆うように第2演出位置が設定されている場合について説明した。これに代えて、第2演出位置は、液晶表示装置5の表示画面を第1可動役物71が一切覆わない位置であってもよい。
また、上記実施形態では、第1可動役物71を初期位置に戻す際の基本姿勢が第1姿勢である場合について説明したが、例えば第1演出の実行頻度よりも第2演出の実行頻度の方が高いような場合には、基本姿勢を第2姿勢としてもよい。この場合、第1可動役物71の第2姿勢が検知できないときに、第1可動役物71を第1姿勢にして初期位置に戻すようにすればよい。
また、上記実施形態では、第1可動役物71の姿勢変化が、スライド部材の長手方向を軸方向とする回転である場合について説明したが、第1可動役物71の姿勢変化は、他の方向(例えばスライド部材の短手方向)を軸方向とする回転であってもよいし、或いは、回転以外の姿勢変化であってもよい。また、第1可動役物71を収納可能な姿勢が3つ以上あってもよい。
また、上記実施形態では、第1可動役物71の表面に野球のボールを模した装飾が施されていると共に裏面に太陽を模した装飾が施されている場合について説明したが、第1可動役物71に対する装飾はどのようなものであってもよい。このことは、第2可動役物72及び第3可動役物73についても同様である。
また、上記実施形態では、本発明における第1演出手段及び第2演出手段が可動役物(第2可動役物72及び第3可動役物73)である場合について説明したが、第1演出手段及び第2演出手段は、例えば液晶表示装置5や、遊技盤2に設けられた発光素子(例えば盤ランプ25)といった可動役物以外の演出手段であってもよい。
また、上記実施形態では、第1可動役物71が2つの演出手段(第2可動役物72及び第3可動役物73)とそれぞれ個別に協働して第1演出及び第2演出を行う場合について説明したが、第1可動役物71が協働して演出を行う演出手段は、1つ或いは3つ以上であってもよい。また、第1可動役物71は、他の演出手段と協働して演出を行うものではなく、単独で演出を行うものであってもよい。
また、上記実施形態において説明したパチンコ遊技機1の構成や各部材の動作態様は単なる一例に過ぎず、他の構成や動作態様であっても本発明を実現できることは言うまでもない。また、上述したフローチャートにおける処理の順序、設定値、判定に用いられる閾値等は単なる一例に過ぎず、本発明の範囲を逸脱しなければ他の順序や値であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。また、上記実施形態で例示した画面図等も単なる一例であって、他の態様であってもよい。