JP6320256B2 - 静電タッチパネル制御装置 - Google Patents
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Description
例えば、車載用の静電タッチパネルは、一般の商用製品に搭載される静電タッチパネルとは使用される温度範囲が異なり、−40度〜85度の環境下での使用も想定しなければならない。しかし、人の体温は35度前後で安定しており、人と静電タッチパネルとで温度差がある状態で接触するとその周辺のタッチパネル温度が急激に変化する。このとき、温度変化によって静電タッチパネルの特性は大きく変化し、接触有無の誤判定を引き起こす。
図1に図示するように、静電タッチパネル1は、互いに直交するX軸とY軸のそれぞれの方向に複数本の電極X1〜X4,Y1〜Y4が配列されている。タッチパネル制御部2は、電極Y1を駆動させている間に電極X1〜X4を順次駆動させ、次に電極Y2を駆動させている間に電極X1〜X4を順次駆動させるというように、X軸とY軸の各電極の駆動を切り替える。また、タッチパネル制御部2は、駆動中の電極が交差する電極交点を示す座標情報をタッチ検出部3へ通知する。
ここでは、X軸とY軸に4本ずつ電極を配列した構成例を示したが、電極数はこれに限定されない。また、電極の駆動方法は上記の例に限定されるものではなく、例えば、X軸側の電極は順次駆動させ、Y軸側の電極は同時駆動させても構わない。
以下では、静電タッチパネル1に接触する人の指などを「タッチ物」と呼び、タッチ物の静電タッチパネル1への接触を「タッチ」と呼ぶ。
なお、以下では、タッチ判定部6によりタッチ有りと判定された電極交点からなる範囲を「タッチ検出範囲」と呼ぶ。
実施の形態1において、特性変化とは、タッチ検出範囲に含まれる電極交点における静電容量値の変化である。特性変化検出部7は、例えば、タッチ検出範囲の静電容量値の変化量が、予め設定された変化量を超えた場合に、特性変化有りと判断する。
以下では、電極交点1点(例えば、電極X1,Y1の電極交点)を閾値制御の対象に用いて説明するが、他の電極交点についても同様の動作を行う。
フィルタ部51は、例えば、無限インパルス応答(IIR)フィルタであってローパスフィルタとして機能する。フィルタ部51は、対象の電極交点の今回駆動時、タッチ判定部6のタッチ検出情報がタッチ無し判定であれば、静電容量検出部4の静電容量値をフィルタリングし、フィルタリングした静電容量値を基準値として前回値保持部52へ出力する。フィルタリングにより、静電容量値の変動に含まれるノイズのような高周波成分がカットされ、周囲温度などの使用環境の変化に起因した低周波成分が抽出される。前回値保持部52は、対象の電極交点の今回駆動時の基準値を次回駆動時まで保持する。この前回値保持部52は、静電タッチパネル1の電極交点と同数用意され、電極交点それぞれの基準値を保持している。
対象の電極交点の前回駆動時の閾値が、補正部53からフィルタ部51に通知される。フィルタ部51は、対象の電極交点の今回駆動時、タッチ判定部6のタッチ検出情報がタッチ有り判定であれば動作しない。よって、補正部53からフィルタ部51へ出力された前回駆動時の閾値が、そのまま、前回値保持部52へ出力される。
なお、補正部53は、差分検出部54が検出した差分値をゲイン補正した上で、前回値保持部52が保持している基準値に加え、閾値としてもよい。
グラフの横軸は時間、縦軸は静電容量値、実線は対象の電極交点について静電容量検出部4が検出する静電容量値(検出値)である。一点鎖線は、フィルタ部51が静電容量検出値をフィルタリングした基準値である。ΔEは、第1の閾値制御において補正部53に予め設定されているオフセット、または、第2の閾値制御において差分検出部54が検出した差分値を補正部53でゲイン補正した値である。破線は、閾値である。
タッチ判定部6は、静電容量検出値が閾値以下(または、閾値未満)のときタッチ有りと判定し、静電容量検出値が閾値より大きい(または、閾値以上)のときタッチ無しと判定する。
静電タッチパネル1とタッチ物の温度差がない場合、タッチ物が静電タッチパネル1にタッチしているタッチ期間でも、静電タッチパネル1の温度変化がなく特性も変化しないので、タッチしたことによる静電容量値の変化のみが検出できる。よって、第1の閾値制御のみ実施していても、正確にタッチ有無を判定できる。
静電タッチパネル1よりタッチ物の温度が高い場合、タッチ期間にタッチ物から静電タッチパネル1へと熱が伝わり、タッチ前後で静電タッチパネル1の温度が変化することにより静電容量検出値も変化する。図4では第2の閾値制御が実施されないので、静電タッチパネル1の温度上昇により静電容量検出値が閾値を超え、タッチ期間であるにもかかわらずタッチ無しと判定されてしまう。
なお、タッチ物が静電タッチパネル1から離れた後、第1の閾値制御が働いて閾値が静電容量検出値に近づいていく。しかし、フィルタ部51のフィルタ特性により、閾値が本来あるべき値に収束するまでに時間がかかってしまい、その間はタッチ判定の精度が低下してしまう。
第2の閾値制御が実施されているため、静電タッチパネル1よりタッチ物の温度が高い場合、特性変化検出部7によりタッチ検出範囲の静電容量値の変化が検出された時点から(図5の時刻t1)、静電タッチパネル1の温度変化に伴う静電容量検出値の変化に合わせて閾値が変化する。そのため、タッチ期間中に静電容量検出値と閾値が逆転することもなく、タッチ判定動作が安定する。
また、タッチ物が静電タッチパネル1から離れた後も第1の閾値制御が働いて閾値が安定した状態で確保されるため、タッチ判定の精度が悪化することもない。
上記実施の形態1では、特性変化検出部7がタッチ検出範囲の静電容量値の変化を検出する構成にしたが、実施の形態2では、タッチ検出範囲の中心部の静電容量値の変化を検出する構成にする。実施の形態2のタッチ検出部3は、図1に示したタッチ検出部3と図面上では同一の構成であるため、以下では図1を援用する。
実施の形態2では、対象の電極交点についてタッチ判定部6でタッチ有りと判定され、かつ、特性変化検出部7でタッチ中心部の特性変化が検出された場合、特性変化検出部7から差分検出部54aへ特性変化検出情報と中心座標情報が通知される。このときの中心座標情報は、前回駆動時のタッチ中心部の電極交点を示す情報であり、特性変化検出情報は、前回駆動時のタッチ中心部の電極交点において今回駆動時の静電容量値が変化したことを示す情報である。
対象の電極交点がタッチ中心部の場合、差分検出部54aは、前回値保持部52が保持している基準値と今回駆動時の静電容量値との差分値を検出して、補正部53aと差分保持部55へ出力する。補正部53aは、差分検出部54aから通知された差分値(またはこの差分値をゲイン補正した値)を、前回値保持部52が保持している対象の電極交点の基準値に加えて、タッチ中心部の閾値にする。また、差分保持部55は、差分検出部54aから通知されたタッチ中心部の差分値を保持する。
差分修正部56は、タッチ中心部の差分値が最も大きく、タッチ周辺部の差分値がそれより小さくなるようにゲイン補正する。または、差分修正部56は、タッチ周辺部の電極交点のうち、タッチ中心部から離れた電極交点ほど差分値が小さくなるようにゲイン補正してもよい。
安定検出が可能なタッチ中心部の静電容量値を用いてタッチ周辺部の閾値を生成することにより、タッチ周辺部のタッチ有無を安定して判定できる。
上記実施の形態1,2では、静電タッチパネル1の特性変化としてタッチ検出範囲の静電容量値の変化を検出する構成にしたが、実施の形態3ではタッチ検出範囲の温度が変化した場合に静電タッチパネル1の特性変化があったものとして扱う。
なお、温度情報として静電タッチパネル1の温度の絶対値が必要なのではなく、温度変化の有無が分かればよいため、温度検出部8は、静電容量検出用のアンプの温度ドリフトに基づいて各電極の温度変化を推測したり、電極の入力側と出力側の信号差に基づいて温度変化を推測したりしても構わない。
対象の電極交点がタッチ有り、かつ温度変化がある場合、タッチ中に温度変化に応じて静電容量値が変化すると考えられる。この場合、差分検出部54bは、前回値保持部52が保持している基準値と静電容量検出部4で検出された静電容量値との差分値を検出して、補正部53へ出力する。補正部53は、前回値保持部52が保持している基準値に、差分検出部54bが検出した差分値(またはその差分値をゲイン補正した値)を加え、閾値にする。
一方、対象の電極交点がタッチ有り、かつ温度変化がない場合、タッチ中に静電容量値が変化しないと考えられる。この場合、差分検出部54bは差分検出動作を行わない。よって、補正部53は、前回値保持部52が保持している基準値に、前回駆動時と同じ差分値(またはその差分値をゲイン補正した値)を加え、閾値とする。
図11は、閾値制御部5bの変形例を示すブロック図である。閾値制御部5bは、フィルタ部51、前回値保持部52および補正部53を備えた上、差分検出部54bの代わりに補正量決定部57が追加された構成である。
補正量決定部57は、第2の閾値制御において補正部53が閾値を補正するときの補正量と、静電タッチパネル1の温度変化量との対応関係を規定したテーブルを有している。静電タッチパネル1の温度変化量が大きければ補正量も大きく、温度変化量が小さければ補正量も小さい。温度変化量と補正量の対応関係は、実測等により事前に求めておく。
一方、補正量決定部57は、第2の閾値制御において対象の電極交点がタッチ有り判定、かつ、温度変化がない場合、補正量の出力を行わない。よって、補正部53は、前回値保持部52が保持している基準値に、前回駆動時と同じ補正量を加え、閾値とする。
図12に、実施の形態4に係るタッチパネルシステムの構成例を示す。図12において、図1および図9と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。実施の形態4では、温度検出部8が静電タッチパネル1の温度を検出し、温度情報として特性変化検出部7cへ出力する。
第1の閾値制御と第2の閾値制御を切り替える温度範囲は、例えば、静電タッチパネル1の温度と静電容量値との対応関係を実測して決定し、特性変化検出部7cに設定しておけばよい。
閾値制御部5は、特性変化検出部7cから特性変化検出情報が通知された場合に第2の閾値制御を実施し、通知されない場合に第1の閾値制御を実施する。
Claims (8)
- 静電タッチパネルに対するタッチ物のタッチ有無を判定する静電タッチパネル制御装置において、
前記静電タッチパネルの静電容量値を検出する静電容量検出部と、
前記静電容量検出部により検出された静電容量値と閾値を比較して前記タッチ物のタッチ有無を判定するタッチ判定部と、
前記静電タッチパネルのうち、前記タッチ判定部によりタッチ有りと判定されたタッチ検出範囲の特性変化を検出する特性変化検出部と、
前記特性変化検出部により前記タッチ検出範囲の特性変化が検出された場合、当該特性変化に応じて前記閾値を制御する閾値制御部とを備え、
前記特性変化検出部は、前記タッチ検出範囲の中心部の静電容量値の変化を前記特性変化として検出し、
前記閾値制御部は、前記中心部に係る制御前の閾値と制御後の閾値との差より、当該中心部の周辺部に係る制御前の閾値と制御後の閾値との差が、小さくなるように閾値を制御することを特徴とする静電タッチパネル制御装置。 - 前記特性変化検出部は、前記タッチ検出範囲の温度の変化を前記特性変化として検出することを特徴とする請求項1記載の静電タッチパネル制御装置。
- 前記閾値制御部は、前記タッチ検出範囲の温度が、前記タッチ物の温度に基づいて設定された温度範囲から外れた場合に、前記特性変化に応じて前記閾値を制御することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項記載の静電タッチパネル制御装置。
- 静電タッチパネルに対するタッチ物のタッチ有無を判定する静電タッチパネル制御装置において、
前記静電タッチパネルの静電容量値を検出する静電容量検出部と、
前記静電容量検出部により検出された静電容量値と閾値を比較して前記タッチ物のタッチ有無を判定するタッチ判定部と、
前記静電タッチパネルのうち、前記タッチ判定部によりタッチ有りと判定されたタッチ検出範囲の特性変化を検出する特性変化検出部と、
前記特性変化検出部により前記タッチ検出範囲の特性変化が検出された場合、当該特性変化に応じて前記閾値を制御する閾値制御部とを備え、前記特性変化検出部は、前記タッチ検出範囲の温度の変化を前記特性変化として検出することを特徴とする静電タッチパネル制御装置。 - 静電タッチパネルに対するタッチ物のタッチ有無を判定する静電タッチパネル制御装置において、
前記静電タッチパネルの静電容量値を検出する静電容量検出部と、
前記静電容量検出部により検出された静電容量値と閾値を比較して前記タッチ物のタッチ有無を判定するタッチ判定部と、
前記静電タッチパネルのうち、前記タッチ判定部によりタッチ有りと判定されたタッチ検出範囲の特性変化を検出する特性変化検出部と、
前記特性変化検出部により前記タッチ検出範囲の特性変化が検出された場合、当該特性変化に応じて前記閾値を制御する閾値制御部とを備え、前記閾値制御部は、前記タッチ検出範囲の温度が、前記タッチ物の温度に基づいて設定された温度範囲から外れた場合に、前記特性変化に応じて前記閾値を制御することを特徴とする静電タッチパネル制御装置。 - 前記閾値制御部は、前記タッチ検出範囲の温度が、前記タッチ物の温度に基づいて設定された温度範囲から外れた場合に、前記特性変化に応じて前記閾値を制御することを特徴とする請求項4記載の静電タッチパネル制御装置。
- 前記特性変化検出部は、前記タッチ検出範囲の静電容量値の変化を前記特性変化として検出することを特徴とする請求項4から請求項6のうちのいずれか1項記載の静電タッチパネル制御装置。
- 前記特性変化検出部は、前記タッチ検出範囲の中心部の静電容量値の変化を前記特性変化として検出することを特徴とする請求項4から請求項6のうちのいずれか1項記載の静電タッチパネル制御装置。
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