JP6319129B2 - 深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管及びその製造方法 - Google Patents

深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、油井やガス井の掘削時に、井戸の土留めとして用いられるコンダクターケーシング用として好適なスパイラル鋼管に係り、とくに水深3,000m以上に存在する深海油田や深海ガス田の開発に用いられる井戸(以下、深井戸ともいう)向け、コンダクターケーシング用として好適な、高強度厚肉スパイラル鋼管およびその製造方法に関する。
コンダクターケーシングは、油井やガス井の掘削作業の初期段階に、油井管を外圧から保護する、井戸の土留めとして用いられている。従来から、コンダクターケーシングは、UOE鋼管とコネクター(ねじ加工された鍛造部材)とを接合して製造されてきた。
通常、コンダクターケーシングには、鋼管と鍛造部材との接合部の残留応力除去や、水素割れ防止のために、500℃超え600℃未満の温度範囲で溶接後熱処理(以下、SR処理ともいう)が施される場合がある。そのため、SR処理による強度の低下を抑制し、SR処理後でも所望の強度を保持できる耐SR処理性に優れる鋼管が要望されていた。
このような要望に対し、特許文献1には、重量%で、C:0.03〜0.09%、Si:0.05〜0.20%、Mn:1.2〜2.0%、Nb:0.005〜0.05%、Ti:0.005〜0.02%、Al:0.01%未満を含み、あるいはさらにCu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.30%以下、Ca:0.0005〜0.0025%のうち1種または2種以上を含有する降伏強さ551MPa以上の母材部と、C:0.03〜0.07%、Si:0.05〜0.30%、Mn:1.2〜2.0%、Ni:0.5〜2.5%、Mo:0.3〜1.0%、O:0.015〜0.035%を含有し、更にCu:0.50%以下、Cr:1.0%以下、V:0.10%以下、Ti:0.03%未満のうち1種または2種以上を含有する降伏強さ551MPa以上の溶接金属と、を有し、SR処理前後の溶接部靭性に優れた高強度高靭性鋼管が記載されている。
また、特許文献2には、API X80グレード以上の高強度鋼板の製造方法が記載されている。特許文献2に記載された技術は、質量%で、C:0.03%以上0.07%未満、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.5〜2%、Mo:0.1〜0.5%、Al:0.08%以下を含有し、Ti:0.005〜0.035%、Nb:0.005〜0.07%、V:0.005〜0.1%の1種または2種以上を含有し、Ceq値が0.32以上であり、さらに原子%でMo、Ti、Nb、Vの合計量が0.14%以上で、かつ原子%でのC量との比である[C]/([Mo]+[Ti]+[Nb]+[V])が0.6〜1.7である鋼を、1100〜1250℃の温度に加熱し、750℃以上の圧延終了温度で熱間圧延した後、5℃/s以上の冷却速度で400〜600℃の温度まで加速冷却を行い、その後0.5℃/市場の昇温速度で550〜700℃までの再加熱を行う高強度鋼板の製造方法である。これにより、10nm以下の微細炭化物を分散析出させることができ、溶接後に行う応力除去焼鈍(SR)後においても、多量の合金元素を含有することなく優れた強度と靭性を有する、耐SR特性に優れた高強度鋼板が得られるとしている。
特許文献3には、API X100グレード以上で、耐SR特性および変形性能に優れた高強度鋼板の製造方法が記載されている。特許文献3に記載された技術は、質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.01〜0.5%、Mn:1.5〜2.5%、Mo:0.1〜0.5%、Al:0.08%以下を含み、さらにTi:0.005〜0.035%、Nb:0.005〜0.07%、V:0.005〜0.1%の1種又は2種以上を含有し、PCM値が0.19〜0.25、P値が0.20以上を満たす組成の鋼を、1100〜1300℃の温度に加熱し、750℃以上の圧延終了温度で熱間圧延した後、20℃/s以上の冷却速度で350〜550℃の温度まで加速冷却し、その後直ちに0.5℃/s以上の昇温速度で550〜700℃まで再加熱する高強度鋼板の製造方法である。これにより、ミクロ組織が板厚中心部で面積率2%〜10%の島状マルテンサイトを含むベイナイト組織で、板厚方向全断面において円相当径10nm以下のMo主体の複合炭化物が1μmあたり30個以上分散し、その総析出量が0.03質量%以上である組織を有し、耐SR特性および変形性能に優れた高強度鋼板が得られるとしている。
特開2001-158939号公報 特開2004-269964号公報 特開2008-274405号公報
エネルギー資源の枯渇という観点から、最近では、従来に比べて深い水深の油田、ガス田等の開発が促進され、そこで用いられるコンダクターケーシング(深井戸向けコンダクターケーシング)においても、20in程度の径のものが主要なサイズとして要求されるようになっている。特許文献1に記載された技術で製造された鋼管はUOE鋼管であり、この方法で上記したようなサイズのパイプを得るためには、生産性が著しく低下するという問題がある。また、特許文献2、3に記載された技術で製造された厚鋼板は、耐SR特性の改善のために、熱間圧延後の加速冷却に引続いて再加熱を施し微細な複合炭化物を析出させることを必要とし、生産工程が複雑になり、生産性が低下するという問題もある。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、深井戸向けコンダクターケーシング用として好適な、高強度で高靭性、さらに耐SR処理性に優れた高強度厚肉スパイラル鋼管およびその製造方法を提供することを目的とする。
なお、ここでいう「高強度」とは、API X80グレード以上の高強度、すなわち、降伏強さYS:555MPa以上、引張強さTS:625MPa以上である場合をいう。また、ここでいう「高靭性」とは、試験温度:−40℃でのシャルピー衝撃試験吸収エネルギーvE−40が27J以上である場合をいう。また、ここでいう「厚肉」とは、肉厚:15mm以上である場合をいう。特に深海埋設用には肉厚20mm以上を用いる場合が多い。また、「耐SR処理性に優れた」とは、500℃超え600℃未満のSR処理を施したのちにおいても、スパイラル鋼管の円周方向の強度が、API X80グレード以上の強度を維持している場合をいうものとする。
上記した目的を達成するため、本発明者らは、深井戸向けコンダクターケーシング用として好適な、スパイラル鋼管の強度、靭性、耐SR処理性に及ぼす各種要因、とくに耐SR処理性に及ぼす、鋼管素材である熱延鋼板の組成、熱延条件の影響について、鋭意検討した。その結果、500℃超え600℃未満のSR処理後においても、スパイラル鋼管の強度が、API X80以上を維持できるためには、鋼管素材である熱延鋼板で、粒径20nm未満の微細なNb析出物(析出Nb)量を、Nb換算で含有Nb量の75%超えとする必要があることを見出した。微細なNb析出物(析出Nb)量が、含有Nb量の75%以下では、500℃超え600℃未満のSR処理時の降伏強さYSの低下を抑制できないことを知見した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.0〜2.2%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.001〜0.10%、N:0.006%以下、Nb:0.010〜0.100%、Ti:0.001〜0.050%を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、体積率で90%以上のベイニティックフェライト相を主相とし、該主相と、体積率で10%以下(0%を含む)の第二相とからなり、前記ベイニティックフェライト相の平均粒径が10μm以下であり、かつ粒径:20nm未満の微細なNb析出物が、Nb換算で、全Nb量に対する比率(%)で、75%を超えて分散してなる組織と、を有することを特徴とする深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.1%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、B:0.0030%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管。
(4)熱延鋼板を、スパイラル造管機で連続的にスパイラル状に巻きながら、該熱延鋼板の幅方向端面同士を溶接するスパイラル鋼管の製造方法であって、前記熱延鋼板を、質量%で、C :0.01〜0.12%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.0〜2.2%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.001〜0.10%、N:0.006%以下、Nb:0.010〜0.100%、Ti:0.001〜0.050%を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成の鋼素材に、加熱温度:1150〜1250℃の温度域で均熱するスラブ加熱を施したのち、仕上圧延終了温度:750℃以上とする熱間圧延を施し、該熱間圧延終了後、板厚中央部温度で750℃〜650℃の温度域での平均冷却速度が8〜70℃/sとなるように加速冷却を施し、巻取温度:580℃超え700℃以下で巻き取る工程を施して製造された熱延鋼板とすることを特徴とする深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管の製造方法。
(5)(4)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.1%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、B:0.0030%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管の製造方法。
(6)(4)または(5)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管の製造方法。
(7)(1)ないし(3)のいずれかに記載の深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管の両管端に螺子部材を取り付けてなる深井戸向け高強度厚肉コンダクターケーシング。
本発明によれば、深井戸向けコンダクターケーシング用として好適な、API X80グレード以上の高強度で高靭性、さらに耐SR処理性に優れた高強度厚肉スパイラル鋼管を容易に、かつ安価に製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、500℃超え600℃未満のSR処理後においても、API X80グレード以上の強度を保持したコンダクターケーシングとすることができるという効果もある。
スパイラル鋼管の製造工程の概略を示す説明図である。
本発明高強度厚肉スパイラル鋼管は、深井戸向けコンダクターケーシング用として好適な高強度厚肉スパイラル鋼管である。ここでいう「高強度厚肉スパイラル鋼管」とは、少なくとも母材部強度がAPI X80グレード以上の高強度を有する、肉厚:15mm以上の厚肉スパイラル鋼管である。なお、API X80グレード以上とは、円周方向引張強度が、降伏強さYS:555MPa以上、引張強さTS:625MPa以上を保持する場合をいう。また、本発明高強度厚肉スパイラル鋼管は、500℃超え600℃未満のSR処理後においても、スパイラル鋼管の強度が、API X80グレード以上を維持できる耐SR処理性に優れた厚肉スパイラル鋼管である。
本発明高強度厚肉スパイラル鋼管は、質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.0〜2.2%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.001〜0.10%、N:0.006%以下、Nb:0.010〜0.100%、Ti:0.001〜0.050%を含み、あるいはさらに、V:0.1%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、B:0.0030%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種、を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有する。
まず、本発明高強度厚肉スパイラル鋼管の組成限定理由について説明する。以下、とくに断わらない限り、組成における質量%は単に%で記す。
C:0.01〜0.12%
Cは、鋼管の強度増加に寄与する重要な元素であり、所望の高強度を確保するためには0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.12%を超えて多量に含有すると、溶接性が低下する。このため、Cは0.01〜0.12%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.03〜0.10%、より好ましくは0.03〜0.08%である。
Si:0.05〜0.50%
Siは、固溶強化により、鋼管の強度増加に寄与する元素であり、このような効果を得て、所望の高強度を確保するためには0.05%以上の含有を必要とする。一方、0.50%を、超えて過剰に含有すると、スパイラル溶接部にMA(島状マルテンサイト)などの硬質相を生じやすく、溶接HAZ靭性を悪化させる。このようなことから、Siは0.05〜0.50%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.05〜0.30%である。
Mn:1.0〜2.2%
Mnは、鋼管の強度増加に寄与する元素であり、所望の高強度を確保するためには1.0%以上の含有を必要とする。一方、2.2%を超えて多量に含有すると、Siと同様に、MAを生成しやすくし、溶接性を低下させる。このため、Mnは1.0〜2.2%の範囲に限定した。なお、好ましくは1.2〜2.0%である。
P:0.03%以下
Pは、鋼中に不純物として存在し、しかも結晶粒界等に偏析し易く、靭性等鋼管特性に悪影響を及ぼす元素であり、できるだけ低減することが好ましいが、0.03%までは許容できる。このようなことから、Pは0.03%以下に限定した。なお、好ましくは0.02%以下である。なお、過度の低減は、精錬コストの高騰を招くため、0.001%以上とすることが好ましい。
S:0.005%以下
Sは、鋼中では、MnS等の粗大な硫化物系介在物として存在し、延性や靭性の低下を招くため、できるだけ低減することが望ましいが、0.005%までは許容できる。このようなことから、Sは0.005%以下に限定した。なお、好ましくは0.004%以下である。なお、過度の低減は、精錬コストの高騰を招くため、0.0001%以上とすることが好ましい。
Al:0.001〜0.10%
Alは、鋼の脱酸剤として有用に作用する元素であり、このような効果を得るためには、0.001%以上含有する必要がある。一方、0.10%を超えて多量に含有すると、Al酸化物を生成し、鋼の清浄度を低下させる。このため、Alは0.001〜0.10%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.005〜0.08%である。
N:0.006%以下
Nは、鋼中では不可避的不純物として存在し、固溶してあるいは窒化物を形成して、鋼管の母材部あるいはスパイラル溶接部の靭性低下を招く。このため、できるだけ低減することが望ましいが、0.006%までは許容できる。このようなことから、Nは0.006%以下に限定した。
Nb:0.010〜0.100%
Nbは、本発明では重要な元素である。鋼素材(スラブ)加熱時に、鋼中にNb炭窒化物として存在し、オーステナイト粒の粗大化を抑制し、組織微細化に寄与する元素である。また、熱延鋼板中に微細Nb析出物として析出し、500℃超え600℃未満のSR処理時のマトリックスの回復・再結晶を抑制して、SR処理後の鋼管母材部の強度低下を抑制する。このような効果を得るためには、0.010%以上の含有を必要とする。一方、0.100%を超える過剰の含有は、鋼管の靭性に悪影響を及ぼす。このため、Nbは0.010〜0.100%の範囲に限定した。なお、好ましくは、0.020〜0.080%である。
Ti:0.001〜0.050%
Tiは、Nと結合しTi窒化物を形成し、鋼管靭性に悪影響を及ぼすNを固定し、鋼管靭性を向上させる作用を有する。このような効果を得るためには、0.001%以上の含有を必要とする。一方、0.050%を超えて含有すると、鋼管靭性の著しい低下を招く。このため、Tiは0.001〜0.050%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.005〜0.030%である。
上記した成分が基本の成分であるが、基本の組成に加えてさらに、V:0.1%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、B:0.0030%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種、を含有してもよい。
V:0.1%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、B:0.0030%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
V、Mo、Cr、Cu、Ni、Bはいずれも、焼入れ性向上を介して、鋼管の強度増加に寄与する元素であり、必要に応じて、選択して1種または2種以上含有できる。これらの元素の含有は、とくに、板厚が15 mm以上の厚肉の場合に、パーライト、ポリゴナルフェライトの生成を防止し、所望の強度、靭性を確保するうえで有効である。このような効果を得るためには、V:0.005%以上、Mo:0.05%以上、Cr:0.05%以上、Cu:0.05%以上、Ni:0.05%以上、B:0.0005%以上、含有することが望ましい。一方、V:0.1%、Mo:0.5%、Cr:0.5%、Cu:0.5%、Ni:1.0%、B:0.0030%を、それぞれ超える含有は、溶接性および靱性の低下を招くとともに、材料コストの高騰を招く。このため、含有する場合には、V:0.1%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、B:0.0030%以下に、それぞれ限定することが好ましい。なお、より好ましくはV:0.08%以下、Mo:0.45%以下、Cr:0.3%以下、Cu:0.35%以下、Ni:0.35%以下、B:0.0025%以下である。
Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種
Ca、REMはいずれも、伸展したMnS等の硫化物系介在物を球状の硫化物系介在物とする介在物の形態制御に寄与する元素であり、必要に応じて、1種または2種を選択して含有できる。このような効果を得るためには、Ca、REMともに0.0005%以上含有する必要がある。一方、Ca、REMとも0.0050%を超えて含有すると、酸化物系介在物が増加し、靱性を低下させる。このため、含有する場合には、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%の範囲に限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Fe及び不可避的不純物からなる。
本発明高強度厚肉スパイラル鋼管は、上記した組成を有し、体積率で90%以上のベイニティックフェライト相を主相とし、該主相と、体積率で10%以下(0%を含む)の第二相とからなり、前記ベイニティックフェライト相の平均粒径が10μm以下であり、かつ粒径:20nm未満の微細なNb析出物が、Nb換算で、全Nb量に対する比率(%)で、75%を超えて分散してなる組織を有する厚肉のスパイラル鋼管である。
主相:体積率で90%以上のベイニティックフェライト相
深井戸向けコンダクターケーシング用として所望の高強度、靭性を兼備させるために、本発明スパイラル鋼管は、体積率で90%以上のベイニティックフェライト相を主相とする組織を有する。ベイニティックフェライト相が90%未満では、すなわち主相以外の第二相が10%以上となり、所望の靭性を確保できなくなる。主相以外の第二相としては、パーライト、縮退パーライト、ベイナイト相、マルテンサイト相などの硬質相が例示できる。このようなことから、主相であるベイニティックフェライト相の体積率は90%以上に限定した。なお、好ましくは95%以上である。
ベイニティックフェライト相の平均粒径:10μm以下
深井戸向けコンダクターケーシング用として、所望の高強度、靭性を兼備させるために、本発明では、主相であるベイニティックフェライト相を平均粒径が10μm以下と微細な組織とする。平均粒径が10μmを超えて大きくなると、所望の高靭性を保持することができなくなる。このため、主相であるベイニティックフェライト相の平均粒径は10μm以下に限定した。なお、ここでいう「粒径」は、SEM/EBSD法で、隣接する結晶粒の間の方位差を求め、方位差が15°以内の領域の大きさをいうものとする。
粒径:20nm未満の微細なNb析出物:Nb換算で、全Nb量に対する比率(%)で、75%超え
粒径:20nm未満の微細なNb析出物は、500℃超え600℃未満の温度範囲で施されるSR処理における回復・再結晶による降伏強さの低下を抑制する作用、すなわち優れた耐SR処理性を付与する作用、を有する。このため、本発明では、鋼管母材部に、粒径:20nm未満の微細なNb析出物を、Nb換算で、全Nb量に対する比率(%)で、75%超え、析出させる。微細なNb析出物の析出量が、Nb換算で、75%以下では、微細なNb析出物の析出量が不足し、所望の耐SR処理性を確保できなくなる。このため、粒径:20nm未満の微細なNb析出物量はNb換算で、全Nb量に対する比率(%)で、75%超えに限定した。
なお、ここでいう「粒径:20nm未満の微細なNb析出物量」は、電縫鋼管の母材部から採取した電解抽出用試験片を、電解液(10%アセチルアセトン−1%塩化テトラメチルアンモニウム−メタノール溶液)中で電解し、得られた電解残渣について、孔径:0.02μmのフィルターでろ過し、フィルターを通過したNb量を分析して得られた値を用いるものとする。
本発明高強度厚肉スパイラル鋼管は、上記した組成、上記した組織を有する熱延鋼板(熱延鋼帯)1を素材として、例えば図1に示すように、いわゆる、スパイラル造管工程を経て、スパイラル鋼管6とされたのち、所定寸法に切断される。
素材として用いる熱延鋼板(熱延鋼帯)は、上記した組成の鋼素材に、次に示す工程を経て製造された板厚:15mm以上、好ましくは26mm以下の厚肉熱延鋼板(熱延鋼帯)とする。
なお、鋼素材の製造方法については、本発明では特に限定する必要はないが、上記した組成の溶鋼を転炉等の常用の溶製方法で溶製し、連続鋳造法等の常用の鋳造方法でスラブ等の鋳片(鋼素材)とすることが好ましい。なお、連続鋳造法に代えて、造塊−分塊圧延法を用いて鋼素材(鋼片)としてもなんら問題はない。
上記した組成の鋼素材に、加熱温度を1150〜1250℃の温度域の温度とする加熱を施したのち、粗圧延と仕上圧延からなり、仕上圧延終了温度:750℃以上とする熱間圧延を施す。
加熱温度:1150〜1250℃
熱延鋼板の靱性向上のためには、結晶粒の微細化が期待できる低い加熱温度とすることが好ましいが、加熱温度が1150℃未満では、加熱温度が低すぎて、未溶解炭化物の固溶が進まず、API X80グレード以上の所望の高強度を確保できない場合がある。一方、加熱温度が1250℃を超える高温では、オーステナイト(γ)粒の粗大化が生じ、靭性が低下するうえ、スケール生成量の増加を招き、表面性状の悪化を招く恐れがある。また、過剰な高温で加熱すると、エネルギーロスの増大を招き経済的に不利になる。このため、鋼素材の加熱温度は、1150〜1250℃の温度域の温度とした。なお、当該加熱温度での均熱保持は、60min以上とすることが、スラブの加熱温度均一化の観点からも好ましい。
粗圧延は、所定の寸法形状のシートバーとすることができればよく、とくに限定する必要はない。仕上圧延では、仕上圧延終了温度:750℃以上に調整する。なお、この温度は、表面温度とする。
仕上圧延終了温度:750℃以上
仕上圧延終了温度が、750℃未満では、フェライト変態が開始し、生成した粗大なフェライトが加工されるため、 強度の低下を招く。このため、仕上圧延終了温度は、750℃以上に限定した。なお、仕上圧延では、板厚中心温度で930℃以下の未再結晶温度域での圧下率を20%以上に調整することが好ましい。未再結晶温度域での圧下率を20%未満では、未再結晶温度域での圧下率が少なく、フェライトの核生成サイトが少なく、フェライト粒の微細化を達成できない恐れがある。そのため、未再結晶温度域での圧下率を20%以上に調整することが好ましい。なお、圧延機への負荷の観点から、熱間圧延での累積圧下率は95%以下とすることが好ましい。
本発明では、上記した熱間圧延を終了したのち、直ちに、好ましくは5s以内に、冷却を開始し、板厚中央部温度で750℃〜650℃の温度域での平均冷却速度が8〜70℃/sとなる加速冷却を施し、巻取温度:580℃超え700℃以下で、コイル状に巻き取る。なお、コイル状に巻き取った後は、放冷する。
加速冷却の750℃〜650℃の温度域での平均冷却速度:8〜70℃/s
750℃〜650℃の温度域での平均冷却速度が8℃/s未満では、冷却速度が遅く、生成する組織が、平均粒径が10μm超の粗大なポリゴナルフェライト相とパーライトとなり、ケーシング用として要求される靭性、強度を確保できなくなる。一方、平均冷却速度が70℃/sを超えると、マルテンサイト相が生成し、靭性が低下する恐れがある。そのため、750℃〜650℃の温度域での平均冷却速度を8〜70℃/sの範囲に限定した。なお、好ましくは10〜50℃/sである。上記した温度はいずれも、板厚中央部温度である。
なお、加速冷却の冷却停止温度は、板表面温度で、580〜720℃の温度域の温度とすることが好ましい。加速冷却の冷却停止温度が、580〜720℃の温度域を外れると、所望の巻取温度:580℃超え700℃以下を安定して確保できなくなる。
巻取温度:580℃超え700℃以下
巻取温度が700℃を超える高温では、粗大なNb炭窒化物(析出物)の析出量が増加し、500℃超え600℃未満で実施されるSR処理における降伏強さの低下を防止できなくなる。一方、巻取温度が580℃以下では、微細なNb炭窒化物(析出物)の析出量が少なくなり、500℃超え600℃未満で実施されるSR処理における降伏強さの低下を防止できなくなる。このため、巻取温度は580℃超え700℃以下の温度域の温度に限定した。巻取温度を上記した温度域に調整することにより、粒径:20nm未満の微細なNb析出物が、Nb換算で、全Nb量に対する比率(%)で、75%を超えて分散した組織を確保でき、500℃超え600℃未満で実施されるSR処理における降伏強さの低下を防止できる。なお、巻取温度の好ましい範囲は600〜680℃である。上記した温度はいずれも、板表面温度である。
上記した製造条件で得られた熱延鋼板は、体積率で90%以上のベイニティックフェライト相を主相とし、残部が体積率で10%以下(0%を含む)のベイニティックフェライト相以外の第二相からなり、主相の平均粒径が10μm以下であり、かつ粒径:20nm未満の微細なNb析出物が、Nb換算で、全Nb量に対する比率(%)で、75%を超えて分散してなる組織を有し、スパイラル鋼管の円周方向に該当する熱延鋼板の圧延方向に対して30°方向の引張強度が、API X80グレード以上の高強度、すなわち、降伏強さYS:555MPa以上の高強度、を有する熱延鋼板である。なお、上記した製造条件で得られた熱延鋼板は、スパイラル鋼管の円周方向に該当する熱延鋼板の圧延方向に対して30°方向で、試験温度:−40℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーvE−40が27J以上となる低温靭性を有する。
本発明高強度厚肉スパイラル鋼管は、上記した組成、上記した組織を有する熱延鋼板(熱延鋼帯)1を素材として、冷間で、例えば図1に示すように、巻き戻され、巻き戻された熱延鋼板1の幅方向端部を、エッジミラー等の端面加工機2で開先加工(トリミング)を施し、その後、スパイラル造管機3でスパイラル状に加工し、ついで隣接する熱延鋼板1の端部同士をスパイラル溶接機4(内面溶接用41、外面溶接用42)で内面および外面から溶接する、常用のいわゆる、スパイラル造管工程を経て、スパイラル鋼管6とされたのち、所定寸法に切断される。
なお、スパイラル造管工程における溶接(スパイラル溶接)には、通常、サブマージアーク溶接法が用いられるが、スパイラル溶接部が母材部と同等あるいはそれ以上の強度、靭性を有するように溶接条件を調整することは言うまでもないが、スパイラル溶接部は余盛を削除することがないため、溶接部の強度、靭性はとくに限定する必要はない。また、本発明では、サブマージアーク溶接法と同程度の効率で溶接することができる溶接法であればサブマージアーク溶接法に代えて使用することができ、サブマージアーク溶接法に限定されないことはいうまでもない。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について具体的に説明する。
表1に示す溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法でスラブ(鋳片:肉厚250mm)とし、鋼素材とした。
得られた鋼素材を、表2に示す条件(加熱温度×加熱時間)で再加熱したのち、粗圧延と仕上圧延とからなる熱間圧延を施し、熱延鋼板とした。なお、熱間圧延は、表2に示す、未再結晶温度域での圧下率(%)、仕上圧延終了温度(℃)、の条件の圧延で行なった。仕上圧延終了後、直ちに冷却を開始し、板厚中心温度で、表2に示す条件(750〜650℃の温度域での平均冷却速度、冷却停止温度)で冷却する加速冷却を施し、表2に示す巻取温度でコイル状に巻き取り、鋼管素材とした。
Figure 0006319129
Figure 0006319129
得られた熱延鋼板を鋼管素材として、スパイラル状に巻きながら熱延鋼板の幅方向端面同士を、内外面からそれぞれサブマージアーク溶接法を用いて溶接する、スパイラル造管工程を経てスパイラル鋼管とした。なお、サブマージアーク溶接は、入熱:35kJ/cmで、ワイヤーとフラックス(リンカーン社製)を組み合わせて、溶接部が母材部と同等あるいはそれ以上の強度を有するように調整した。
得られたスパイラル鋼管から、試験片を採取して、組織観察、引張試験、衝撃試験、SR処理試験を実施した。試験方法はつぎのとおりである。
(1)組織観察
得られたスパイラル鋼管の母材部から組織観察用試験片を採取し、管軸方向断面の肉厚中央位置が観察面となるように研磨し、腐食(腐食液:ナイタール液)し、走査型電子顕微鏡SEM(倍率:1000倍)を用いて組織を観察し、少なくとも2視野で撮像した。得られた組織写真を用いて、画像解析し、組織の同定と、各相の分率を求めた。
なお、結晶粒径は、SEM/EBSD(Electron Back Scattering Diffraction)法で、隣接する結晶粒の間の方位差を求め、方位差が15°以内の領域の大きさをもとめ、得られた大きさの算術平均を当該結晶粒の粒径とした。
また、得られたスパイラル鋼管の母材部から、電解抽出用試験片を採取し、電解液(10%アセチルアセトン−1%塩化テトラメチルアンモニウム−メタノール溶液)中で、電流密度:20mA/cmで電解した。得られた電解残渣を、液に溶かし、アルミフィルター(孔径:0.02μm)で捕集し、アルミフィルターを通過した液について、ICP発光分光法でNb量を分析し、粒径20nm未満の析出Nb量を求め、全Nb量に対する比率(%)として析出Nb量比を算出した。
(2)引張試験
得られたスパイラル鋼管の母材部から、引張方向が円周方向となるように、ASTM A 370の規定に準拠して、板状引張試験片を採取し、引張特性(降伏強さYS、引張強さTS)を求めた。
(3)衝撃試験
得られたスパイラル鋼管の母材部から、ASTM A 370の規定に準拠して、試験片長手方向が円周方向(C方向)となるように、Vノッチ試験片を採取し、試験温度:−40℃でシャルピー衝撃試験を各3本実施し、吸収エネルギーvE−40(J)を求め、3本の平均値を当該鋼管のvE−40とした。
(4)SR処理試験
得られた電縫鋼管の母材部から試験材を採取し、採取した試験材を、表5に示すSR処理を想定した加熱温度に保持した熱処理炉に装入し、試験材の温度が(加熱温度−10℃)に到達した時点から、表4に示す所定の保持時間経過した後、熱処理炉から取り出し、放冷した。熱処理済みの試験材から、引張方向が円周方向となるように、ASTM A 370の規定に準拠して、板状引張試験片を採取し、引張特性(降伏強さYS、引張強さTS)を求めた。なお、SR処理前後の降伏強さの差ΔYSを算出した。SR処理後の強度が低い場合には、ΔYSは負となる。また参考として、SR処理後の試験片から電解抽出用試験片を採取し、(1)と同様に、析出Nb量比を求めた。
本実施例では、L方向にてSR処理前後の引張強さの変化を求めたが、本発明例の熱延鋼板を用いれば、Nb炭窒化物の析出形態に異方性が無いため、試験片採取方向によらず、SR処理後API X80以上の強度を得ることができることは明らかである。
得られた結果を、表3、表4に示す。
Figure 0006319129
Figure 0006319129
本発明例はいずれも、深井戸向けコンダクターケーシング用として好適な、API X80グレードである、降伏強さYS:555MPa以上、引張強さTS:625MPa以上の高強度と、優れた低温靭性とを有し、しかも500℃超え600℃未満に加熱するSR処理後にも強度の低下が少なく、上記したAPI X80グレード以上の高強度を保持し、また低温靭性の低下も少なく、優れた耐SR処理性をも保持したスパイラル鋼管となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、強度が不足しているか、低温靭性が低下しているか、耐SR処理性が低下している。
1 熱延鋼板(熱延鋼帯)
2 端面加工機(エッジミラー)
3 スパイラル造管機(成形ロール)
4 スパイラル溶接機
5 ロール保持冶具
6 スパイラル鋼管

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C :0.01〜0.12%、 Si:0.05〜0.50%、
    Mn:1.0〜2.2%、 P :0.03%以下、
    S :0.005%以下、 Al:0.001〜0.10%、
    N :0.006%以下、 Nb:0.010〜0.100%、
    Ti:0.001〜0.050%
    を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、
    体積率で90%以上のベイニティックフェライト相を主相とし、該主相と、体積率で10%以下(0%を含む)の第二相とからなり、前記ベイニティックフェライト相の平均粒径が10μm以下であり、かつ粒径:20nm未満の微細なNb析出物が、Nb換算で、全Nb量に対する比率(%)で、75%を超えて分散してなる組織と、
    を有することを特徴とする高靭性、さらに耐SR処理性に優れた深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管。
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.1%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、B:0.0030%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項1に記載の深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管。
  4. 熱延鋼板を、スパイラル造管機で連続的にスパイラル状に巻きながら、該熱延鋼板の幅方向端面同士を溶接するスパイラル鋼管の製造方法であって、
    前記熱延鋼板を、質量%で、
    C :0.01〜0.12%、 Si:0.05〜0.50%、
    Mn:1.0〜2.2%、 P :0.03%以下、
    S :0.005%以下、 Al:0.001〜0.10%、
    N :0.006%以下、 Nb:0.010〜0.100%、
    Ti:0.001〜0.050%
    を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成の鋼素材に、
    加熱温度:1150〜1250℃の温度域で均熱するスラブ加熱を施したのち、仕上圧延終了温度:750℃以上とする熱間圧延を施し、該熱間圧延終了後、板厚中央部温度で750℃〜650℃の温度域での平均冷却速度が8〜70℃/sとなるように加速冷却を施し、巻取温度:580℃超え700℃以下で巻き取る工程を施して製造された熱延鋼板とし、前記組成と、体積率で90%以上のベイニティックフェライト相を主相とし、該主相と、体積率で10%以下(0%を含む)の第二相とからなり、前記ベイニティックフェライト相の平均粒径が10μm以下であり、かつ粒径:20nm未満の微細なNb析出物が、Nb換算で、全Nb量に対する比率(%)で、75%を超えて分散してなる組織と、を有し、高強度と高靭性、さらに耐SR処理性に優れたスパイラル鋼管とすることを特徴とする深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管の製造方法。
  5. 前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.1%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、B:0.0030%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項4に記載の深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管の製造方法。
  6. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする請求項4ないし5のいずれかに記載の深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管の製造方法。
  7. 請求項1ないし3のいずれかに記載の深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉スパイラル鋼管の両管端に螺子部材を取り付けてなる深井戸向け高強度厚肉コンダクターケーシング。
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