以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係わる赤外線体温計を示す斜視図である。図2は、図1に示す赤外線体温計1のカバー200を取り外した状態を示す斜視図である。
図1に示す赤外線体温計1は、カバー200を有しており、このカバー200は、若干縦型の樽状の形状に構成される。このことから、測定者は、カバー200の中央の少し凹んだ凹部分1A等を指でつまみ易くなっている。そして、測定者は、赤外線体温計1のカバー200の凹部分1Aをつまんで、体温の測定対象部である例えば赤ちゃんのような人体の額の中央部の皮膚に近づいた位置で、非接触で体温を測定するようになっている。
このため、この赤外線体温計1は、人体の皮膚に対して非接触であり、つまり被検体である赤ちゃんのような人体の皮膚に触れないので、体温測定時に温度(体温)が皮膚から赤外線体温計1側に移動することが無く、より正確な体温を測定することができる。
図1に示すように、この赤外線体温計1の本体部1Rの前面側のほぼ中央部分、すなわち図1においてカバー200の右下方を向いた先端部分1Bのほぼ中央部分は、すり鉢状に凹んでおり、すり鉢状部分1Cとして構成されている。このすり鉢状部分1Cの中心の奥まった部分には、赤外線センサ3と距離センサ300が取り付けられている。
図2は、図1に示す赤外線体温計1のカバー200を取り外した状態を示す斜視図である。図2に示すように、赤外線体温計1の先端部分1Bの内側には、図2に示すように回路基板250が配置されている。この回路基板250は、体温を測定するための赤外線センサ3、および人体の測定対象部と赤外線体温計1の先端部分1Bとの間の距離を測定するための距離センサ300を搭載している。この回路基板250では、距離センサ300が赤外線センサ3の周囲に設けられている。
図2に示すように、この回路基板250は、内部構造体240の先端部241に固定されている。すなわち、回路基板250は、本体部1Rの先端部分1Bに配置されている。これにより、回路基板250の距離センサ300と赤外線センサ3を、人体の測定対象部である例えば赤ちゃんの額等の皮膚に容易に向けることができ、他の要素に邪魔されること無く、内部構造体240の先端部241と額等の皮膚との間の距離の測定と、額等の皮膚からの赤外線量を直接測定することができる。
回路基板250は、内部構造体240の中に配置されている制御部(図5に示す制御部250)に対して、例えばフレキシブル配線板242を用いて電気的に接続されている。距離センサ300は、人体等の額等の皮膚の測定対象部への赤外線センサ3の接近距離を、非接触で適確に検出することができる。
距離センサ300は距離測定センサともいう。測定者が、例えば赤ちゃんの体温を測定する際には、図1および図2に示す赤外線体温計1の赤外線センサ3や距離センサ300を、人体の額等の皮膚に近づける。これにより、このすり鉢状部分1Cに設けられている距離センサ300は、人体の皮膚との間の距離を正確に測定した位置で、赤外線体温計1を人体の皮膚には接触させない非接触状態で、赤外線センサ3により人体からの赤外線量を検出する。そして、制御部は、この検出した赤外線の量から体温を計算することで、体温を得ることができる。
図3(a)、(b)および(c)は、図1に示した赤外線体温計1の後面、側面および前面をそれぞれ示す後面図、側面図および前面図である。
図3(a)に示す赤外線体温計1の後面には、体温を表示したり、必要な警報内容を通知する通知手段としての液晶表示器11が設けられている。この液晶表示器11の上側には、押圧面の広い電源スイッチ13が設けられている。この電源スイッチ13をオンに操作すれば、赤外線体温計1は作動して、体温を人体の測定対象部に対して非接触で測定し、この測定した体温の数値を液晶表示器11に表示する。
また、図3(b)に示す赤外線体温計1のカバー200の凹部分1Aの側面には、電池収納部15が設けられている。この電池収納部15に例えば1.5〜3ボルトのボタン電池等の電池(図5に示す電池221)を入れて、蓋をビス留め等することにより、赤外線体温計1の電源として機能することから、赤外線体温計1は作動可能になる。
図3(c)に示すように、本体部1Rのすり鉢状部分1C(先端部分1B)には、赤外線センサ3と、この赤外線センサ3の周囲において距離センサ300が同心円状に配置されている。
次に、図4から図6を参照して、上述した距離センサ300の好ましい構造例を、詳しく説明する。
図4は、図2に示す距離センサ300と赤外線センサ3を搭載した回路基板250を示す正面図である。図5は、図4に示す距離センサ300と赤外線センサ3を搭載した回路基板250のA−A線における断面図である。図6は、図4に示す距離センサ300と赤外線センサ3を搭載した回路基板250のB−B線における断面図である。
図7は、距離センサ300と赤外線センサ3を搭載した回路基板250を示す斜視図である。図8は、距離センサ300と回路基板250を示す斜視図である。図9は、光源301の光LがターゲットTGに投射されて、戻り光LRとして、受光センサ302に受光される様子を示す図である。
図4に示すように、距離測定用の距離センサ300と温度測定用の赤外線センサ3は、回路基板250の一方の面250Aに搭載されている。回路基板250は、図5に示すように、制御部150に対して、例えばフレキシブル配線板242を用いて電気的に接続されている。回路基板250は例えば正方形の基板であるが、回路基板250の形状は円形であっても良い。赤外線センサ3は、回路基板250の中央の位置において中心軸CLに沿って固定されている。距離センサ300は、赤外線センサ3の周囲において中心軸CLを中心として、赤外線センサ3と同心円状になるように固定されている。
ところで、皮膚に直接接触させて体温を測定する従来の体温計は、皮膚に接触することによって測定距離は一定にできるが、体温計本体と皮膚との間での熱の移動が起こり、本来測定したい値に誤差を生む原因となっている。
そこで、本発明の実施形態の赤外線体温計1は、皮膚からある距離をおいて非接触で体温測定をすることで、皮膚までの距離を非接触で測定する距離センサ300が必要である。もしも測定距離を測定者の手技にゆだねるのでは、体温測定の際に体温測定値に誤差を生む要因になるので、この誤差を生む要因を排除するために、図9に示すように、赤外線体温計1では、距離センサ300が用いて、本体部1Rと人体の皮膚(ターゲットTG)との距離を正確に計測できるようにする。
図9に示すように、この距離センサ300は、光学センサであり、光LをターゲットTGである皮膚に対して投射することで、受光センサ302はその光Lの戻り光LR(反射光)の光量(強さ)を受けて受光信号RSを制御部150に送る。これにより、制御部150は、その戻り光LRの光量の大小に基づく受光信号RSの信号レベル値の大小から、測定距離を求める。
図4に示すように、距離センサ300は、光源301と、受光センサ302と、投射レンズ311と、受光レンズ312を有している。図5に示すように、光源301と受光センサ302は、赤外線センサ3を挟んで互いに反対側の対称位置に固定されており、光源301と赤外線センサ3との距離Dと、受光センサ302と赤外線センサ3との距離D(S/2)は、同じに設定されている。図9では、光源301と受光センサ302の配置間隔はSで示している。この配置間隔Sは、例えば12mmであるが、特に限定されない。
光源301としては、例えば発光ダイオード(LED)を用いることができる。光源301が発する光としては、外乱光である外光と区別し易いように、可視光以外の近赤外光を使用するのが望ましい。受光センサ302としては、例えばフォトダイオードを用いることができ、近赤外光を受光できるものである。光源301は、好ましくは常時点灯ではなく一定間隔で点滅して、点灯している時と消灯している時の差をもってして受光量(戻り量)として、この受光量が、赤外線体温計1と人体の皮膚との間の距離に換算されるようになっている。
図4と図5に示すように、投射レンズ311と受光レンズ312は、ともに半円弧状のレンズであり、図7と図8に示すように、投射レンズ311と受光レンズ312は間隔Gを置いて向かい合うようにして、回路基板250上に固定されている。投射レンズ311と受光レンズ312は、好ましくはプラスチック製のレンズ、例えばアクリル製のレンズを使用している。空気の屈折率を1.0とした場合に、アクリルの屈折率は、1.49である。
図5に示すA−A線で示す断面の位置では、投射レンズ311の真ん中の位置の先端部311Aは、角度Pθで外側に下がるように傾斜して形成されている。同様にして、受光レンズ312の真ん中の位置の先端部312Aは、角度Pθで外側に下がるように傾斜して形成されている。
また、図6に示すB−B線における断面位置では、投射レンズ311の左右の端部の先端部311Bは、角度Qθで外側に下がるように傾斜して形成されている。同様にして、受光レンズ312の左右の端部の先端部312Bは、角度Qθで外側に下がるように傾斜して形成されている。角度Pθは、角度Qθよりも大きい。
図5に示すように、光源301は、投射レンズ311の真ん中の位置(中央位置)の先端部311Aの後端部311Cに対面して配置されている。この後端面311Cには、光源301の発光を受けるための凹レンズ部分311Dが形成されており、光源301の発光は、この凹レンズ部分311Dで受けて投射レンズ311を通して投射レンズ311の先端部から投射することができるようになっている。この凹レンズ部分311Dは、光源301に対面している。
図5に示すように、受光センサ302は、受光レンズ312の真ん中の位置(中央位置)の後端部312Cに対面して配置されている。この後端面312Cには、凹レンズ部分312Dが形成されている。凹レンズ部分312Dは、受光レンズ312を通じて受光レンズ312を通ってきた戻り光LRを受光センサ302に受光させる。この凹レンズ部分312Dは、受光センサ302に対面している。
図4と図7に示すように、投射レンズ311と受光レンズ312は、赤外線センサ3の中心線CLを中心として、間隔をおいて同心円状に囲むようにして、回路基板250に固定されている。
ここで、図5と図6に示す投射レンズ311と受光レンズ312の形状を、さらに詳しく説明する。
図8に示すように、投射レンズ311の真ん中の位置の先端部311Aは、所定の角度(図5に示す角度Pθ)が付けられており、真ん中の位置の先端部311Aから半円弧に沿って左右の端部の先端部311Bにそれぞれ至るに従って、この角度が徐々に変わっていき、投射レンズ311の左右端部の先端部311Bでは、図6にも示すように角度Qθに減少している。
同様にして、受光レンズ312の真ん中の位置の先端部312Aの先端部312Aは、所定の角度(図5に示す角度Pθ)が付けられており、真ん中の位置の先端部311Aから半円弧に沿って左右端部の先端部312Bにそれぞれ至るに従って、この角度が徐々に変わっていき、受光レンズ312の左右端部の先端部312Aでは、図6にも示すように角度Qθに減少している。
このため、投射レンズ311ではこの角度Pθから角度Qθによって投射角度(射出角度)を連続的に半円弧形状にそって変化していくようにしているので、投射レンズ311を通った光Lは、図9に示す中心軸CLとターゲットTGが交わる位置PPに焦点を結ぶことができる。
また、受光レンズ312ではこの角度Pθから角度Qθによって受光角度(入射角度)を連続的に半円弧形状にそって変化させておくことで、ターゲットTGからの戻り光LRが、図9に示す中心軸CLとターゲットTGが交わる位置PP(皮膚)上で反射した時に拡散しても、受光レンズ312は、拡散した戻り光LRをうまく入射できるようになっている。
このようにして、投射レンズ311の先端部311Aの形状では、投射レンズ311を通ったいずれの光Lも、中心軸CLとターゲットTGが交わる位置PPを通るようになっている。投射レンズ311の中央位置(真ん中位置)311Aから左右の先端部311Bに至る先端部の範囲からは光Lが投射されるが、投射レンズ311の中央位置(真ん中位置)311Aを通る光Lが、最も中心軸Lの位置PPを通り、投射レンズ311の左右の先端部311Bに行くに従って位置PPまでの距離が長くなる。
また、ターゲットTGで反射した戻り光LRは拡散するが、拡散した戻り光LRは、図8に示す受光レンズ312の真ん中の先端部312Aと左右端部の先端部312Bに至る範囲に入射されて、図5に示す凹レンズ部分312Dを介して、受光センサ302に受光されるようになっている。
これにより、光源301の発する光Lを皮膚で反射して戻り光LRを受光センサ302で受光させる際に、制御部150は、受光量の変化を、距離の変化として精度良く検出できる。
図9に示すように、光源301からの光LがターゲットTGである例えば赤ちゃんの皮膚の表面で反射して、戻り光LRとして受光センサ302に受光される様子を示している。図9に示すように、光源301からの光Lは、投射レンズ311を通って、焦点距離FCを経てターゲット面である例えば赤ちゃんの皮膚の表面で、すなわち中心軸CLとターゲットTGが交わる位置PPにおいて集光して反射する。反射した戻り光LRは、焦点距離FCを経て受光レンズ312を通って受光センサ302に受光される。
図10は、図9に示すように投射レンズ311の真ん中位置の先端部311Aと受光レンズ312の真ん中位置の先端部312Aでの焦点距離FCが、50mmである場合の例を示しており、この場合の光Lと戻り光LRについての屈折角θ1は、例えば20.313度であり、その時の入射角θ2は、13.47度である。
また、図11は、投射レンズ311の真ん中位置の先端部311Aと受光レンズ312の真ん中位置の先端部312Aでの焦点距離FCが、100mmである場合の例を示しており、この場合の光Lと戻り光LRについての屈折角θ1は、例えば10.344度であり、その時の入射角θ2は、6.91度である。
図10と図11では、投射レンズ311と受光レンズ312の屈折角θ1と、その時にターゲットTGに現れる光Lと戻り光LRの位置を模式的に示している。
図10と図11の例では、投射レンズ311と受光レンズ312の焦点距離FCは、例えば50mmと100mmを示しているが、これに限らず、投射レンズ311と受光レンズ312の焦点距離FCは、好ましくは最小で1mmから最大で200mmの範囲で設定することができる。
この焦点距離FCが1mmよりも小さいと、赤外線体温計1が皮膚に接触してしまうので好ましくない。また、焦点距離FCが200mmよりも大きいと、皮膚からの赤外線量が少なくなりすぎて体温を測定するのが難しくなる。すなわち、図9に示す測長できる予め定めた焦点距離FCの最大長は、投射レンズ311と受光レンズ312の外径(半径)に比例するが、赤外線体温計1内に設置できる距離センサ300の大きさと、確保できる光量から考えると、焦点距離FCは、最大で200mmに設定することができる。
焦点距離FCは、戻り光LRの光量と比例しているとして測定するのであるが、焦点距離FCが長いと、光が減衰拡散して、戻り光LRの光量が減るので、大きい焦点距離FCでは、戻り光LRの光量の減衰が大きくなり過ぎて、戻り光LRと外光との違いが小さくなる。このため、回路基板250において対向した配置された投射レンズ311と受光レンズ312を用いて、投射レンズ311から投射した光Lは、ターゲットTGで反射した後に、ターゲットTGの位置PPからの戻り光LRは、受光レンズ312を用いて受光センサ302で受光させる構造を採用している。
この距離センサ300の構造は、小型の赤外線体温計1内に搭載できる図9に示す電池221の容量が限られていることから、省電力で精度良く非接触で体温測定を行えるように考慮されている。小型の赤外線体温計1の距離センサ300は、電力が十分に確保できるのであれば、外光に対して十分な明るさを確保できる。
次に、以上のように構成される赤外線体温計1の作用について説明する。
まず、図3(a)に示す赤外線体温計1の電源スイッチ13をオン操作して、図3(b)に示す電池収納部15内に配置されている図5に示す3ボルトの電池221から動作電圧を赤外線体温計1に供給すると、制御部150の指令により、図3(c)に示す赤外線体温計1の赤外線センサ3および距離センサ300が動作を開始する。
次に、測定者は、人体の例えば額の皮膚の温度を測定する際に、人体の皮膚との間の距離を測定するために、図3に示す樽状の赤外線体温計1の凹部分1Aを指等でつまんで、この赤外線体温計1の本体部1Rのすり鉢状部分1C(先端部分1B)を、人体の例えば額の皮膚に向けて近づけていく。図9に示すように、光源301からの光Lは、投射レンズ311を通って、人体の例えば額の皮膚であるターゲットTGに向けて投射される。
そして、図9に示すように、距離センサ300がターゲットTGに接近して
光源301からの光Lが、投射レンズ311を通ってターゲットTGで焦点を結ぶと、このターゲットTGではこの光Lが反射して戻り光LRとして、受光レンズ312を通して受光センサ302に受光される。
図9に示すように、光源301からの光Lが、投射レンズ311を通ってターゲットTGで予め定めた焦点距離FCで焦点(例えば50mm)を結ぶと、赤外線体温計1の距離センサ300とターゲットTGとの距離の値が予め定めた焦点距離FC(例えば50mm)でない場合に比べて、受光センサ302が受光する光量が最大になる。従って、制御部150は、受光センサ302から制御部150に送られる受光信号RSの信号レベル値が最大になる。この予め定めた焦点距離FCでない場合とは、赤外線体温計1の距離センサ300とターゲットTGとの距離の値が、例えば50mmではなく、赤外線体温計1が皮膚から50mmよりも離れすぎていたり、50mmよりも近づき過ぎている場合である。
制御部150が、受光信号RSの信号レベル値を検知すると、制御部150は、図3に示す液晶表示器11において、体温の測定が可能であることを表示して、測定者に報知する。すなわち、赤外線体温計1が人体の皮膚に対して適正な測定位置に位置されたことにより、測定者に対して「体温測定状態」を報知する。そして、制御部150は、受光センサ302から制御部150に送られる受光信号RSの信号レベル値が最大になった時点での、赤外線センサ3からの体温測定信号TKから、赤外線センサ3からの赤外線量に基づいて、人体の体温を算出して体温の測定値を得ることができる。
なお、このように体温の測定を正しくできたかどうかが測定者には不明なので、正しく体温測定が成功した時には、制御部150は、通知手段である例えばブザー180を作動して「ピビッ」と鳴動させるとともに、図3(a)に示す液晶表示器11に、体温測定が成功した旨を表示する。これにより、測定者は、体温測定が成功したことを、視覚的に聴覚的に確実に認識することができる。
このように、赤外線体温計1は、距離センサ300を用いて、被検体である人体との距離を正しく測定して、赤外線センサ3を人体に対して最適距離を離して非接触で検温することができる。
なお、この場合の赤外線センサ3を用いて測定した温度が28度以上である場合、この温度を人体の測定対象部の体温と考えるが、この28度未満の場合には、制御部150は、赤外線体温計1が人体以外の、例えば衣服や髪に触れている、あるいは机上に載置されている等であると考えて無視する。
また、赤外線センサ3は、導電性の物質に反応するが、木や樹脂等の机等には反応しない。更に、金属製の机等には反応するが、室温が高くない場合には、体温程度まで高くならないので、この時の温度は無視される。
上述したように、本実施形態では、赤外線体温計1の赤外線センサ3が人体の皮膚に接触しないようにして体温を測定する、すなわち非接触状態で体温を測定することができるので、被検体である例えば赤ちゃんのような人体の皮膚に触れないので、非接触で体温測定時に皮膚から赤外線体温計1側に温度の移動が無く、より正確な体温を測定することができる。
また、本実施形態では、赤外線体温計1の赤外線センサ3が人体の皮膚に非接触状態で体温を測定して液晶表示器11で表示するので、体温測定で例えば顔を背けて嫌がったり、じっとしていないような幼児や乳児等の体温を測定するのに非常に有効である。すなわち、幼児や乳児等は物が触れると、反射的に顔を動かすので、本実施形態の赤外線体温計1のように非接触で体温を測定できることは、非常に有効なことであり、確実かつ簡単に失敗することなく幼児等の体温を測定することができる。
また、赤外線体温計1は、額表面の温度から腋の下の温度に換算して表示する機能も備えているが、上述したように、この時、額の中央部等の特定の位置で測定する必要がある。これはこの部位近傍にある動脈に由来する温度を測るためである。
次に、図12から図15を参照して、本発明の別の実施形態を説明する。
図12は、距離センサ300の好ましい形状例を示している。距離センサ300の投射レンズ311Lと受光レンズ312Lの先端部の形状は、それぞれ焦点距離(焦点)が50mmに固定できるように、中央の位置から左右の位置までに渡って一定の角度で傾斜して形成されている。図12では、投射レンズ311L側からの光Lと、50mm位置でのターゲットTGで反射された戻り光LRの光路例を示している。
投射レンズ311Lと受光レンズ312Lは、それぞれ焦点距離が50mmの固定長を測定できるレンズ上面形状(先端部形状)を有している。投射レンズ311Lの先端部と受光レンズ312Lの先端部は、それぞれ真ん中の位置から左右の位置まで同じ角度で傾斜して連続して形成されている。このため、投射レンズ311Lと受光レンズ312Lの真ん中の位置の先端部311LA、312LAは、角度P1で外側に下がるように傾斜して形成されている。しかも、投射レンズ311Lと受光レンズ312Lの左右の端部の先端部311LB,312LBは、角度Q1で外側に下がるように傾斜して形成されている。この角度P1と角度Q1は、P1=Q1に設定されている。
この場合に、図12に示す投射レンズ311Lと受光レンズ312Lは、それぞれ焦点距離が50mmで固定されているが、光の拡散や乱反射のために、50mm以外でも戻り光があるが、光の強弱で50mm前後の距離を認識することは可能である。
次に、図13は、距離センサ300の別の好ましい形状例を示しており、距離センサ300の投射レンズ311と受光レンズ312の先端部の形状は、それぞれ焦点距離(焦点)が50mm〜100mmになるように滑らかに連続変化になっている。図13では、投射レンズ311側からの光Lと、50mmと100mm位置でのターゲットTGで反射された戻り光LRの光路例を示している。
投射レンズ311と受光レンズ312は、それぞれ焦点距離が50mm〜100mmの範囲で測定できるレンズ上面形状(先端部形状)を有している。投射レンズ311の先端部と受光レンズ312の先端部は、それぞれ真ん中の位置の先端部311A,312Aから左右の位置311B,312Bまで滑らかに連続変化するように傾斜して形成されている。このため、投射レンズ311と受光レンズ312の真ん中の位置の先端部311A、312Aは、角度Pθで外側に下がるように傾斜して形成されている。しかも、投射レンズ311と受光レンズ312の左右の端部の先端部311B、312Bは、角度Qθで外側に下がるように傾斜して形成されている。この角度Pθと角度Qθは、Pθ>Qθに設定されている。
このように、投射レンズ311と受光レンズ312の先端部形状は、焦点距離が50mm〜100mmの範囲で測定できるように、中央の位置の先端部から左右の端部の位置にかけて滑らかに連続変化している。なお、図12に示す角度P1と図13に示す角度Pθの関係は、角度P1=角度Pθである。図12に示す角度Q1と図13に示す角度Qθの関係は、角度Q1>角度Qθである。
この場合、投射レンズ311と受光レンズ312の先端部形状では、それぞれ焦点距離が50mmとなるように角度Pθを設定し、焦点距離が100mmになるように角度Qθを設定し、角度Pθから角度Qθまでの間は、角度が滑らかに連続的に変化している。この焦点距離の設定範囲は、焦点距離の最短(50mm)を投射レンズ311と受光レンズ312の先端部形状の中央の1点の位置として、焦点距離50mmを超えて100mmに達するように、投射レンズ311と受光レンズ312の先端部形状の左右位置に角度を振り分けている。これは、焦点距離が長いと到達距離が延びて光Lが減衰するので、投射レンズ311から投射した光Lは、ターゲットTGで反射して、戻り光LRは2方向から受光レンズ312の先端部側に戻すことで、受光光量を確保するためである。なお、光Lが十分に強ければ、戻り光LRを2方向から受光レンズ312の先端部に戻す必要はない。
図14は、距離センサ300のさらに別の好ましい形状例を示しており、距離センサ300の投射レンズ311Pと受光レンズ312Pの先端部の形状は、それぞれ焦点距離(焦点)が50mm〜100mmになるように段状に変化している。図14では、投射レンズ311P側からの光Lと、50mmと100mm位置でのターゲットTGで反射された戻り光LRの光路例を示している。
投射レンズ311Pと受光レンズ312Pは、それぞれ焦点距離が50mm〜100mmの範囲で測定できるレンズ上面形状(先端部形状)を有している。投射レンズ311Pの先端部と受光レンズ312Pの先端部は、それぞれ真ん中の位置から左右の位置まで段状に変化するように傾斜して形成されている。このため、投射レンズ311Pと受光レンズ312Pの真ん中の位置の先端部311PA、312PAは、角度P3で外側に下がるように傾斜して形成されている。しかも、投射レンズ311Pと受光レンズ312Pの左右の端部の先端部311PB、312PBは、角度Q3で外側に下がるように傾斜して形成されている。
この角度P3と角度Q3の関係は、P3>Q3に設定されている。このように、投射レンズ311Pと受光レンズ312Pの先端部形状は、焦点距離が50mm〜100mmの範囲で測定できるように、中央の位置の先端部から左右の位置の先端部に渡って、複数の段部を設けることで、段状に変化している。なお、図12に示す角度P1と図13に示す角度Pθと図14に示す角度P3の関係は、角度P1=角度Pθ=角度P3である。また、図13に示す角度Qθと図14に示す角度Q3の関係は、角度Qθ=角度Q3である。
この場合に、図14に示す投射レンズ311Pと受光レンズ312Pの先端部形状は、それぞれ焦点距離が角度P3を50mmとして、角度Q3に向かって焦点距離が100mmになるように段状に変化している。この焦点距離の設定範囲は、焦点距離の最短(50mm)を投射レンズ311Pと受光レンズ312Pの先端部形状の中央の1点の位置として、投射レンズ311pと受光レンズ312pの先端部形状の左右位置に角度を振り分けている。
図15(A),図15(B),図15(C)は、図14に示す投射レンズ311Pと受光レンズ312Pの先端部形状のV1−V1線における断面、V2−V2線における断面、V3−V3線における断面を示す図である。
図15(A)では、先端部の中央の段部DAの傾斜を示し、図15(B)では、先端部の中央の段部DAの外側の段部DBの傾斜を示し、図15(C)では、先端部の左右の段部DCの傾斜を示している。先端部の中央の段部DAの角度P3と段部DBの角度R3と左右の段部DCの角度Q3の関係は、角度P3>角度R3>角度Q3である。このような構造を採用するのは、焦点距離が長いと到達距離が延びて光Lが減衰するので、投射レンズ311Pから投射した光Lは、ターゲットTGで反射して、戻り光LRは2方向から受光レンズ312Pの先端部に戻すことで、受光光量を確保するためである。
図14に示す投射レンズ311Pと受光レンズ312Pの段状の先端部形状では、例えば焦点距離10mmごとに段部を有しており、これらの段部の面積は、中央の位置から左右の端部位置に至るに従って広くなっていることで、戻り光LRの受光光量を確保できるようになっている。戻り光LRの受光光量は、段部の面積の設計により、コントロールすることができる。ただし、戻り光LRの受光光量が十分に強ければ、戻り光LRを2方向から受光レンズ312Pの先端部に戻す必要はなく、段部の面積の設計を行う必要もない。
図13と図14に示す実施形態では、すでに説明したように、受光レンズ側の受光センサ302(図4を参照)は1つであるので、距離の変化は光量の変化として捉えなければならない。そこで、戻り光LRの光量を、上述したように、投射レンズと受光レンズの先端部形状の設計によりコントロールすることが重要になる。
また、図12から図14に示す投射レンズと受光レンズを組み合わせた構造のものを採用することができる。すなわち、図12の場合には、光は拡散や乱反射等で設計値前後を認識するのであるが、その認識幅は狭く、図12から図14に示す投射レンズと受光レンズを組み合わせることで、ある焦点距離の範囲を有する投射レンズと受光レンズを得ることができる。
本発明の実施形態の赤外線体温計1は、赤外線センサ3を用いて、人体に非接触で体温を測定する赤外線体温計であり、本体部1Rが人体に接近した時の本体部1Rと人体との距離を検出するための距離センサ300と、距離センサ300によって本体部1Rが人体に対して予め定めた距離(投射レンズ311と受光レンズ312の焦点距離FC)になったことを検出した時に、赤外線センサ3からの赤外線の量に基づいて、人体の体温を算出する制御部150を備える。距離センサ300は、光を発する光源301と、光源301の光Lを人体側に投射する投射レンズ311と、受光センサ302と、予め定めた距離(FC)に本体部1Rが位置されると、人体から反射して得られる投射された光Lの戻り光LRを、受光センサ302に受光させる受光レンズ312とを備える。
これにより、赤外線体温計1では、予め定めた距離に本体部が位置されると、人体で反射して得られる投射された光の戻り光を受光センサに受光させ、予め定めた距離において赤外線センサからの赤外線の量に基づいて、人体の体温を算出するので、このため、簡単な構造でありながら、被検体である例えば赤ちゃんのような人体の皮膚に触れないので、非接触で体温測定時に体温の移動が無く、正確な体温を測定することができる。
この赤外線体温計1では、投射レンズ311と受光レンズ312は、ともに半円弧状のレンズである。これにより、投射レンズ311と受光レンズ312を、ともに半円弧状のレンズを採用することで、投射レンズと受光レンズの間には、赤外線センサ3を配置できる。このため、本体部1Rにおける赤外線センサ3のレイアウトが容易であり、本体部1Rの小型化が図れる。
この赤外線体温計1は、投射レンズ311と受光レンズ312と赤外線センサ3を搭載している回路基板250を備え、投射レンズ311と受光レンズ312の間に、赤外線センサ3が配置され、赤外線センサ3を通る中心軸CLを中心にして、投射レンズ311と受光レンズ312が対称位置に配置されている。これにより、投射レンズ311と受光レンズ312の間を通して、投射レンズ311と受光レンズ312に邪魔されずに赤外線センサ3は、人体からの赤外線を受けることができる。
赤外線体温計1では、投射レンズ311と受光レンズ312と赤外線センサ3を搭載している回路基板250は、本体部1Rの先端部分1Bに配置されている。これにより、回路基板250の距離センサ300と赤外線センサ3を、人体の測定対象部である例えば赤ちゃんの額等の皮膚に容易に向けることができ、他の要素に邪魔されること無く、内部構造体240の先端部241と額等の皮膚との間の距離の測定と、額等の皮膚からの赤外線量を直接測定することができる。本体部の先端部分を人体に近づけることにより、体温を測ることができる。
受光量と距離との関係を用いることは、赤外線体温計を製造する際の個体差を無くして、赤外線体温計の体温測定の精度を確保できる。
以上、一例を示したが、本発明は如何様にも変形が可能であることは言うまでもないことである。
通知手段としては、図7に示す液晶表示器11やブザー180に限らず、有機EL表示装置やスピーカ等であっても良い。