JP6314454B2 - 細胞検査装置および細胞検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自家蛍光に基づいて微生物または細胞を含むサンプルを測定する細胞検査装置等に関する。
従来、生菌検査においてはサンプルを培地上に塗布し数日間培養して、発生したコロニーの数を目視あるいは専用の装置によってカウントすることが行われてきた。この方法には培養に長時間かかるという問題があり、そのため迅速な測定が望まれてきた。
微生物・細胞の生死の状態や、微生物とそれ以外を識別し検出する方法に関しては、以下のような従来技術((1)〜(4))が知られている。
(1)2種類の蛍光試薬を用いて染色して、微生物の生死を識別する方法(特許第4487985号公報)
生細胞と死細胞を同時染色する蛍光試薬と、死細胞のみ染色する2種類の蛍光試薬を用いて、サンプルを染色することを特徴としている。複数の励起光源2と、異なる蛍光を検出するフィルタ6を備え、受光素子8から構成された検出装置(微生物計量装置1)により、蛍光が検出された粒子の波長特性から微生物とそれ以外を区別し、その微生物の生死を識別している。
(2)微生物の青色または緑色の自家蛍光を検出して、微生物とそれ以外を識別する方法(米国特許第5701012号明細書、米国特許第6831279号明細書)
米国特許第5701012号明細書に開示された技術では、空気中の浮遊微小粒子の測定において、微生物由来の粒子を検出するために、320〜420nmの範囲にある1つの波長のUVレーザーを励起光照射手段として用い、400〜540nmの蛍光を検出している。
米国特許第6831279号明細書に開示された技術では、空気中の浮遊微小粒子の測定において、微生物由来の粒子を検出するために、320〜420nmの範囲にある、ある1波長のレーザーダイオードを励起光照射手段として用い、微生物に内在している自家蛍光物質のNADHおよびフラビン類の蛍光を検出、あるいは、320〜360nmの範囲にある、ある1波長のレーザーダイオードを励起光照射手段として用い、微生物に内在している自家蛍光物質のNADHの蛍光を検出、あるいは、360〜420nmの範囲にある、ある1波長のレーザーダイオードを励起光照射手段として用い、微生物に内在している自家蛍光物質のフラビン類の蛍光を検出している。
ここで、NADHは様々な酸化還元酵素の補酵素であり、ニコチンアミドモノヌクレオチドとアデニル酸が結合している構造を持つ。NADPHはNADHのアデノシンにヒドロキシ基ではなくリン酸基が付いた構造をしており、NADHと同じ励起・蛍光スペクトルを示す。そのため、NADHとNADPHを光学的に区別することは困難であり、両者を同時に測定している表現として、本明細書ではNAD(P)Hと表記する。
フラビン類は7,8-ジメチルイソアロキサジンの10位に置換基を持つ誘導体の総称であり、リボフラビン(ビタミンB2)、FAD、FMNなどがある。
(3)赤色の自家蛍光を検出して、細胞の生死の状態を識別する方法(特許第4868879号公報)
ヒト細胞に530nmの緑色の励起光を照射して、600〜700nmの赤色の自家蛍光を検出する。この帯域の自家蛍光は死細胞の方が生細胞より蛍光強度が大きいことを利用して、ヒト細胞の生死に関する状態を出力できるとしている。
(4)1つの励起光に対して、2色の自家蛍光を検出して,微細藻類の生死を識別する方法(Schulze et al.: A simple viability analysis for unicellular cyanobacteria using a new autofluorescence assay, automated microscopy, and ImageJ. BMC Biotechnology 2011, 11:118)
435nmの青色の励起光を用いることによって、微細藻類・シアノバクテリアの生菌と死菌を識別している。生菌はクロロフィルの赤色の蛍光が検出され、死菌はFAD,フェルラ酸,ベタキサンチン,NAD(P)Hなどと想定される緑色の蛍光を検出している。
特許第4487985号公報 米国特許第5701012号明細書 米国特許第6831279号明細書 特許第4868879号公報
Schulze et al.: A simple viability analysis for unicellular cyanobacteria using a new autofluorescence assay, automated microscopy, and ImageJ. BMC Biotechnology 2011, 11:118
しかし、(1)の従来技術によれば、サンプルを蛍光試薬で染色することが必要であり、試薬の調製、染色のためのインキュベート、洗浄等の前処理を行わなくてはならない。染色の作業には時間がかかり、染色の状態によっては測定結果にばらつきが生じる可能性もある。また試薬は高価で測定ごとのコストも大きくなってしまう。さらに、染色の濃度決定や洗浄方法など、ノウハウと習熟が必要とされる。
また、(2)の従来技術は試薬を用いない方法ではあるが、たとえば米国特許第5701012号明細書に開示された技術では、波長354nmのHe-Cdレーザーを励起光照射手段として用いて、NADHとフラビン類の両方を同時に励起し、両方の蛍光を検出している。この方法では、微生物由来の粒子とそれ以外の粒子等を識別するだけで、微生物の生死の情報は得られない。
米国特許第6831279号明細書に開示された技術では、たとえば波長354nmのHe-Cdレーザーを励起光照射手段として用いて、NADHとフラビン類を同時に励起し両方の蛍光を検出する、又は、波長325nmのHe-Cdレーザーを励起光照射手段として用いて、NADHを励起しその蛍光を検出する、又は、波長405nmのレーザーダイオードを励起光照射手段として用いて、フラビン類を励起しその蛍光を検出している。これらの方法は微生物に内在している自家蛍光物質を1つの波長の励起光で2種類同時に励起する、又は1種類の自家蛍光物質を励起して、その蛍光を検出するものであり、後述するようにその蛍光が生物由来かどうか識別することはできるが、生死の情報等は得られない。また、測定対象は両特許ともに空気中の浮遊微小粒子に対して行われているものである。
また、(3)の従来技術では自家蛍光を使って細胞の生死の状態を識別しているが、応用はヒト細胞に限られている。また530nmの緑色の励起光による600〜700nmの赤色の自家蛍光の蛍光強度の相対的な強弱、あるいはスペクトルパターンの違いに着目しているだけであり、この自家蛍光が何に由来しているかは言及されておらず,測定環境中に混入してくる夾雑物との識別に関しても言及されていない。そもそも、蛍光強度は測定条件や測定環境、器差、経年変化等によって変化してしまうものである。特に励起光照射手段の光量の変動は光源の劣化等により容易に起こり得る現象である。この方法では、細胞の生死判定には光量の強度にある閾値(スレッショルド)が必要になるが、この光量自身が不安定であると,暗い生細胞は条件によっては閾値が検出できなくなり、生細胞は存在しないという誤った結果を導く可能性がある。
図28はディッシュ上で培養したCHO(Chinese Hamster Ovary)細胞の画像を示す図である。図28(a)は透過光画像を示し、図28(b)は励起波長530nmにより細胞を励起して、580nmより長波長側のロングパスフィルタにより選択された蛍光を検出した図である。図28(a)の透過光画像では全面に細胞が存在していることが認められるが、図28(b)では、その一部しか映っておらず、死細胞は検出できても生細胞を見落としているという結果になった。すなわち、図28(c)のように、死細胞の蛍光光量は背景光(ノイズ)を充分に超えているが、生細胞の蛍光光量は背景光を下回っていたため、生細胞の存在を検出できなかった。なお、CHOはヒト細胞ではない。このように、(3)の従来技術では、条件によっては生細胞の検出ができないという問題があった。
また、(4)の従来技術では自家蛍光2種類の蛍光波長で生死の状態を識別しているが、生細胞の判別にはクロロフィルを用いており、これは微細藻類や植物体にのみ存在するもので、その他の微生物・細胞には適用できず、応用分野が限定されてしまう。
本発明の目的は、染色を行わずに、好気性の微生物・細胞の生死などの状態を広く識別して検出可能な細胞検査の装置等を提供することにある。
本発明の細胞検査装置は、自家蛍光に基づいて好気性の微生物または細胞を含むサンプルを測定する細胞検査装置であって、
サンプルに励起光を照射する第1の励起光照射手段と、
前記サンプルに励起光を照射する第2の励起光照射手段と、
前記第1の励起光照射手段により照射された励起光により前記サンプルから発生する自家蛍光に基づく第1の蛍光画像を検出する第1の検出手段と、
前記第2の励起光照射手段により照射された励起光により前記サンプルから発生する自家蛍光に基づく第2の蛍光画像を検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段により検出された前記第1の蛍光画像から前記第2の検出手段により検出された前記第2の蛍光画像を差し引いた第3の蛍光画像を出力する出力手段と、
を備え、
前記第1の蛍光画像には前記サンプルの状態を示す特定画像と背景光による背景画像とが含まれ、
前記第2の蛍光画像は前記背景画像であることを特徴とする。
本発明の細胞検査装置によれば、第1の検出手段により検出された第1の蛍光画像から第2の検出手段により検出された第2の蛍光画像を差し引いた第3の蛍光画像を出力するので、サンプルの状態を示す特定画像を背景画像から分離でき、染色を行わずに、微生物・細胞の生死などの状態を広く識別して検出できる。
前記第1の励起光照射手段により照射された励起光の波長と、前記第2の励起光照射手段により照射された励起光の波長とは同一であり、前記特定画像はリポフスチンに基づき、前記背景画像はフラビン類に基づいてもよい。
前記第1の励起光照射手段により照射された励起光の波長と、前記第2の励起光照射手段により照射された励起光の波長とは互いに異なり、前記特定画像はNADHに基づき、前記背景画像はフラビン類に基づいてもよい。
前記出力手段は、前記第2の検出手段により検出された前記第2の蛍光画像または前記出力手段により出力された前記第3の蛍光画像に含まれる特定物の数を算出して出力してもよい。
本発明の細胞検査方法は、自家蛍光に基づいて好気性の微生物または細胞を含むサンプルを測定する細胞検査方法であって、
サンプルに励起光を照射する第1の励起光照射ステップと、
前記サンプルに励起光を照射する第2の励起光照射ステップと、
前記第1の励起光照射ステップにより照射された励起光により前記サンプルから発生する自家蛍光に基づく第1の蛍光画像を検出する第1の検出ステップと、
前記第2の励起光照射ステップにより照射された励起光により前記サンプルから発生する自家蛍光に基づく第2の蛍光画像を検出する第2の検出ステップと、
前記第1の検出ステップにより検出された前記第1の蛍光画像から前記第2の検出ステップにより検出された前記第2の蛍光画像を差し引いた第3の蛍光画像を出力する出力ステップと、
をコンピュータが実行し、
前記第1の蛍光画像には前記サンプルの状態を示す特定画像と背景光による背景画像とが含まれ、
前記第2の蛍光画像は前記背景画像であることを特徴とする。
本発明の細胞検査方法によれば、第1の検出ステップにより検出された第1の蛍光画像から第2の検出ステップにより検出された第2の蛍光画像を差し引いた第3の蛍光画像を出力するので、サンプルの状態を示す特定画像を背景画像から分離でき、染色を行わずに、微生物・細胞の生死などの状態を広く識別して検出できる。
前記出力するステップでは、前記第2の検出ステップにより検出された前記第2の蛍光画像または前記出力ステップにより出力された前記第3の蛍光画像に含まれる特定物の数を算出して出力してもよい。
本発明の細胞検査装置は、自家蛍光に基づいて好気性の微生物または細胞を含むサンプルを測定する細胞検査装置であって、
複数の波長帯の励起光を選択的にサンプルに照射する励起光照射手段と、
前記励起光照射手段から互いに波長帯が異なる励起光をそれぞれ照射したときに前記サンプルから発生する、互いに波長帯が異なる複数の自家蛍光をそれぞれ検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記複数の自家蛍光の強度、または前記検出手段により検出された前記複数の自家蛍光による複数の蛍光画像に基づいた演算により前記サンプルの状態を示す情報を取得して出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、前記検出手段の視野を区分して形成される複数の領域ごとに、互いに波長帯が異なる前記複数の自家蛍光の強度を算出し、これらの強度の組み合わせを各領域の状態を示す情報として出力することを特徴とする。
本発明の細胞検査装置によれば、検出手段により検出された複数の自家蛍光の強度、または前記検出手段により検出された複数の自家蛍光による複数の蛍光像に基づいた演算によりサンプルの状態を示す情報を取得するので、染色を行わずに、微生物・細胞の生死などの状態を広く識別して検出できる。
前記区分は個々の細胞に対応してもよい。
前記複数の自家蛍光のうちの一はリポフスチンからの蛍光であり、他はフラビン類からの蛍光であってもよい。
前記出力手段は、波長帯の異なる励起光を照射したときに得られる、異なる波長帯の蛍光画像の差分の演算をしてもよい。
前記励起光の波長帯域が 320〜400nmを含み、前記自家蛍光の波長帯域が 400〜500nmを含んでもよい。
前記励起光の波長帯域が 420〜500nmを含み、前記自家蛍光の波長帯域が 520〜610nmを含んでもよい。
本発明の細胞検査方法は、自家蛍光に基づいて微生物または細胞を含むサンプルを測定する細胞検査方法であって、
複数の波長帯の励起光を選択的にサンプルに照射する励起光照射ステップと、
前記励起光照射ステップから互いに波長帯が異なる励起光をそれぞれ照射したときに前記サンプルから発生する、互いに波長帯が異なる複数の自家蛍光をそれぞれ検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された前記複数の自家蛍光の強度、または前記検出手段により検出された前記複数の自家蛍光による複数の蛍光画像に基づいた演算により前記サンプルの状態を示す情報を取得して出力する出力ステップと、
をコンピュータが実行し、
前記出力ステップでは、前記検出ステップにおける視野を区分して形成される複数の領域ごとに、互いに波長帯が異なる前記複数の自家蛍光の強度を算出し、これらの強度の組み合わせを各領域の状態を示す情報として出力することを特徴とする。
本発明の細胞検査方法によれば、検出ステップにより検出された複数の自家蛍光の強度、または前記検出ステップにより検出された複数の自家蛍光による複数の蛍光像に基づいた演算によりサンプルの状態を示す情報を取得するので、染色を行わずに、微生物・細胞の生死などの状態を広く識別して検出できる。
本発明の細胞検査装置によれば、検出手段により検出された複数の自家蛍光の強度、または前記検出手段により検出された複数の自家蛍光による複数の蛍光画像に基づいた演算によりサンプルの状態を示す情報を取得するので、染色を行わずに、微生物・細胞の生死などの状態を広く識別して検出できる。
細胞検査装置の構成を示す図であり、(a)は細胞検査装置の光学系の構成を示す図、(b)は細胞検査装置の制御系の構成を示すブロック図。 細胞検査装置における処理の例を示すフローチャート。 出芽酵母を試料とした測定例を示す図であり、(a)は、UV励起の蛍光画像 P1(生細胞+死細胞)を、(b)は、青色励起の蛍光画像 P2(死細胞)を、(c)は、画像 P1 から画像 P2 を差し引いた画像 P3(生細胞)を、それぞれ示す図。 図4は、生細胞を確認するために撮影した高倍率(対物レンズx60,中間変倍x1.6)での出芽酵母の透過画像等を示す図であり、(a)は、UV励起の蛍光画像 P1(生細胞+死細胞)を、(b)は、青色励起の蛍光画像 P2(死細胞)を、(c)は、透過画像を、(d)は、生細胞の位置を、(e)は、死細胞の位置を、それぞれ示す図。 図5は、出芽酵母のサンプルを60℃30分間加熱したものを測定したものを示す図であり、(a)は、UV励起の蛍光画像 P1(生細胞+死細胞)を、(b)は、青色励起の蛍光画像 P2(死細胞)を、(c)は、画像 P1 から画像 P2 を差し引いた画像 P3(生細胞)を、それぞれ示す図。 吸収スペクトル、励起スペクトル、および蛍光スペクトルを示す図であり、(a)は、NADHの吸収スペクトルを、(b)は、NADHの蛍光スペクトルを、(c)は、NADHの励起スペクトルを、それぞれ示す図。 吸収スペクトル、励起スペクトル、および蛍光スペクトルを示す図であり、(a)はリボフラビンの吸収スペクトルを、(b)および(c)はリボフラビンの蛍光スペクトルを、(d)はリボフラビンの励起スペクトルを、それぞれ示す図。 励起吸収マトリックスを示す図であり、(a)はNADHの励起蛍光マトリックスを、(b)はリボフラビンの励起蛍光マトリックスを、それぞれ示す図。 励起吸収マトリックスを示す図であり、(a)、(b)はNADH、リボフラビンのスペクトルに合わせて励起波長・蛍光波長の異なる範囲を、それぞれ示す図。 UV励起でNAD(P)Hとフラビン類を一括して励起して得られる信号等を示す図であり、(a)は320〜380nmのUV励起による430〜490nmの青色蛍光画像を、(b)は320〜380nmのUV励起による510〜560nmの緑色蛍光画像を、(c)は460〜500nmの青色励起による510〜560nmの緑色蛍光画像を、(d)は(a)から(c)を差し引いた画像を、それぞれ示す図。 加熱により生じた出芽酵母の死細胞でNADHが減少し、FADが増加した測定例を示す図であり、(a)〜(c)は、加熱処理前の画像を、(d)〜(f)は、加熱処理後の画像を、(a)および(d)は、透過像を、(b)および(e)は、UV励起よる青色蛍光画像を、(c)および(f)は、青色励起による緑色蛍光画像を、それぞれ示す図。 加熱処理前後における蛍光強度変化を示す図であり、(a)は、UV励起における蛍光強度変化を、(b)は、青色励起における蛍光強度変化を、それぞれ示す図。 生物(大腸菌)由来のものと他非生物由来の夾雑物とが混在するサンプルの画像を示す図であり、(a)は、透過像を、(b)は、UV励起による蛍光画像を、(c)は、青色励起による蛍光画像を、それぞれ示す図。 Raji細胞の例を示す図であり、(a)は、UV励起の蛍光画像 P1(生細胞+死細胞)を、(b)は、青色励起の蛍光画像 P2(死細胞)を、(c)は、画像 P1 から画像 P2 を差し引いた画像 P3(生細胞)を、それぞれ示す図。 HeLa細胞の例を示す図であり、(a)は、UV励起の蛍光画像 P1(生細胞+死細胞)を、(b)は、青色励起の蛍光画像 P2(死細胞)を、(c)は、画像 P1 から画像 P2 を差し引いた画像 P3(生細胞)を、それぞれ示す図。 CHO(Chinese Hamster Ovary)細胞の例を示す図であり、(a)は、UV励起の蛍光画像 P1(生細胞+死細胞)を、(b)は、青色励起の蛍光画像 P2(死細胞)を、(c)は、画像 P1 から画像 P2 を差し引いた画像 P3(生細胞)を、それぞれ示す図。 CHO細胞の死細胞が青色励起の蛍光画像で取得できることを確認した図であり、(a)は透過光画像を、(b)はUV励起の蛍光画像P1(生細胞+死細胞)を、(c)は青色励起の蛍光画像P2(死細胞)を、(d)は透過光画像と同一視野のPI(Propidium Iodide)染色画像を、それぞれ示している。 大腸菌の例を示す図であり、(a)は、UV励起の蛍光画像 P1(生細胞+死細胞)を、(b)は、青色励起の蛍光画像 P2(死細胞)を、(c)は、画像 P1 から画像 P2 を差し引いた画像 P3(生細胞)を、それぞれ示す図である。 NADHを検出することで生細胞の状態を識別する方法を示す図であり、(a)は、YPD培地で培養した酵母のUV励起蛍光画像を示す図、(b)は、スクロースで培養した酵母のUV励起蛍光画像を示す図、(c)は、細胞の培養条件の違いによるNADH蛍光量の違いを示す図。 ステップS11〜ステップS33の処理において得られる画像を示す図であり、(a)は透過像を、(b)はUV励起青色蛍光画像を、(c)は青色励起緑色蛍光画像を、それぞれ示す図。 ステップS33における出力結果を例示する図。 様々なサンプルに対して得られたグラフを示す図であり、(a)は、CHO(Chinese Hamster Ovary)細胞の例を示す図、(b)は、出芽酵母の例を示す図。 様々なサンプルに対して得られたグラフを示す図であり、(a)は、枯草菌の例を示す図、(b)は、大腸菌の例を示す図。 CHO細胞に対して得られたグラフを示す図。 自家蛍光を利用して得られる別な効果を示す図であり、(a)はCHO細胞の透過光画像、(b)は同じ細胞を460〜500nmの青色励起して得られた510〜560nmの緑色蛍光画像、(c)は同じ細胞を460〜500nmの青色励起して得られた580nm以上ロングパスフィルタによる橙色蛍光画像、(d)は(c)の橙色蛍光画像から(b)の緑色蛍光画像を差し引いた画像を示す図。 リポフスチンの粒子の画像を得るための細胞検査装置における処理の例を示すフローチャート。 リポフスチン画像の産業応用の例を示す図であり、(a)はCHO細胞の透過光画像、(b)はこの細胞のリポフスチンを示す図。(c)は2つの蛍光波長により2軸を取りリポフスチンの量を定量的に表現する図。 CHO細胞に対して(3)の従来技術を適応した図であり、(a)は透過光画像を、(b)は530nm励起による580nmより長波長側のロングパスフィルタによる蛍光を検出した図。(c)生細胞、死細胞の蛍光強度と背景光の大きさの関係を表したグラフを示す図。
以下、本発明による細胞検査装置の実施形態について説明する。
図1(a)は、一実施形態の細胞検査装置の光学系の構成を示す図である。
本実施形態の細胞検査装置は落射蛍光顕微鏡を構成し、図1(a)に示すように、励起用光源1a、レンズ1bおよび不図示のフィルタ等を組み合わせて構成された励起光照射部1と、励起光照射部1からの励起光に対して反射性を有し、観察光に対して透過性を有するダイクロイックミラー2と、観察光を選択的に透過させるバリアフィルタ部3と、レンズ4aおよびレンズ4bなどから構成される観察光学系4と、観察光を撮像するカメラ5と、試料6が設置される試料台7と、試料台7を介して試料を照明する透過撮影用光源8と、を備える。
励起用光源1aには、LED、レーザーダイオード、白色光源等、複数種類の光源が設けられ、選択的に使用される。励起用光源1aからは少なくとも、波長320〜380nm(UV励起)および波長460〜500nm (青色励起)の励起光を選択的に照射することが可能とされる。また、バリアフィルタ部3は、複数の特性のフィルタを差し替え可能に構成されている。
図1(b)は、本実施形態の細胞検査装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図1(b)に示すように、本実施形態の細胞検査装置は、観察像や演算結果を表示する表示部11と、観察像や種々の演算結果等の各種データを記憶する記憶部12と、ユーザの操作を受け付ける操作部13と、表示部11、記憶部12と、操作部13、カメラ(図1(a))、励起光照射部1(図1(a))、バリアフィルタ部3(図1(a))、および透過撮影用光源8に接続され、種々の制御や演算を実行する演算制御部14と、を備える。表示部11、記憶部12と、操作部13および演算制御部14の一部または全部は、コンピュータにより構成することができる。
図2は、本実施形態の細胞検査装置における処理の例を示すフローチャートである。図2のステップS1〜ステップS10のフローチャートは、好気性の生細胞(生菌)と死細胞(死菌)とを、その自家発光のみによって識別し、最終的に生細胞(生菌)のみの情報を得る場合の処理を示している。この処理は、演算制御部14の制御および演算に基づいて実行される。以下、図2に即してステップS1〜ステップS10の処理について説明する。
図2のステップS1では、励起光照射部1から波長320〜380nmの励起光(UV励起)を照射する。この励起光は、ダイクロイックミラー2で反射され、試料6に照射される。
励起光が照射された試料6からは自家蛍光が発生する。この自家蛍光は、ダイクロイックミラー2を通過し、バリアフィルタ部3および観察光学系4を経由してカメラ5に入射する。
次に、ステップS2では、バリアフィルタ部3のフィルタを430〜490nmの通過帯域(青色蛍光)のものに設定し、カメラ5を介して430〜490nmの帯域(青色蛍光)の自家蛍光を画像P1として検出する。次にステップS3では、画像P1を記憶部12に記録する。この画像P1は、次のように生細胞と死細胞の情報を含んでいる。
P1=(L+D)
ただし、 L:生細胞 D:死細胞
図2のステップS4では、励起光照射部1から波長460〜500nm の励起光(青色励起)を照射する。この励起光は、ダイクロイックミラー2で反射され、試料6に照射される。
励起光が照射された試料6からは自家蛍光が発生する。この自家蛍光は、ダイクロイックミラー2を通過し、バリアフィルタ3および観察光学系4を経由してカメラ5に入射する。
次に、ステップS5では、バリアフィルタ部3のフィルタを510〜580nmの通過帯域(緑色蛍光)のものに設定し、カメラ5を介して510〜580nmの帯域(緑色蛍光)の自家蛍光を画像P2として検出する。次にステップS6では、画像P2を記憶部12に記録する。この画像P2は、次のように死細胞のみの情報を含んでいる。
P2=D
次に、ステップS7では、記憶部12から画像 P1 および画像 P2 を取得し、次のように、画像 P1 から画像 P2 を差し引くことによって、生細胞のみの情報(画像 P3 )を得る。
P3= P1−P2 ≒ L ・・・(1)
図3は、出芽酵母を試料6とした測定例を示す。励起光照射部1の光源としてキセノンランプを、カメラ5として冷却CCDを使用し、倍率:x40対物レンズを使用している。図3(a)は、UV励起による青色蛍光画像 P1(生細胞+死細胞)を、図3(b)は、青色励起による緑色蛍光画像 P2(死細胞)を、図3(c)は、画像 P1 から画像 P2 を差し引いた画像 P3(生細胞)を、それぞれ示している。
次に、ステップS8では、画像 P3に対して画像処理を実行し、生細胞数の算出を行う。
次に、ステップS9では、画像P2に対して画像処理を実行し、死細胞の算出を行う。
次に、ステップS10では、ステップS8およびステップS9により得られた計数(算出数)を出力して、処理を終了する。
ステップS8およびステップS9における画像処理では、細胞の輪郭の抽出や輪郭が抽出された細胞のカウントなど、従来の画像処理の技術を適宜使用することができる。また、目視により細胞数をカウントしてもよい。
図4は、死細胞を確認するために撮影した、高倍率(対物レンズx60,中間変倍x1.6)での透過画像等を示す図である。図4(a)は、UV励起による青色蛍光画像 P1(生細胞+死細胞)を、図4(b)は、青色励起による緑色蛍光画像 P2(死細胞)を、図4(c)は、高倍率(対物レンズx60,中間変倍x1.6)での透過照明と青色励起を同時に行った画像を、図4(d)は、生細胞の位置を、図4(e)は、死細胞の位置を、それぞれ示している。
透過画像において、青色励起によって得られる死細胞と考えられるものの画像では内部構造を正常に保っていないが、一方、差分で得られる生細胞と考えられる画像では内部構造を保っていることが観察される。
次に、図5は、図3(b)の青色励起による緑色蛍光画像 P2が死細胞であることを確認するために、サンプルを60℃30分間加熱処理したものを同様に測定したものを示す図である。図5(a)は、320〜380nm のUV励起による430〜490nmの青色蛍光画像 P1(生細胞+死細胞)を、図5(b)は、460〜500nm の青色励起による510〜560nmの緑色蛍光画像 P2(死細胞)を、図5(c)は、画像 P1 から画像 P2 を差し引いた画像 P3(生細胞)を、それぞれ示している。図5(a)〜図5(c)に示すように、この加熱処理により酵母は殺菌され、すべてが死細胞となる。すなわち、図5(a)と図5(b)を比較すると明らかなように、UV励起と青色励起で同一画像が得られており、両者の差を画像で演算した図5(c)の画像 P3には細胞は存在せず,すべてが死細胞であるという結果が得られた。
次に、なぜ本発明による図2のステップS1〜ステップS10により、生細胞と死細胞を識別して測定できるのかを推定する。本発明での自家蛍光の測定においては、以下の理由により、主にNAD(P)Hを主成分とした蛍光と、主にフラビン類であるリボフラビン、FAD、FMNを主成分とした、2系統の蛍光が検出されていると考えられる。また後述するようにこの2系統の蛍光が、それぞれ生細胞、死細胞と強い関連を持つと考えられる。
NADHは様々な酸化還元酵素の補酵素であり、ニコチンアミドモノヌクレオチドとアデニル酸が結合している構造を持つ。NADPHはNADHのアデノシンにヒドロキシ基ではなくリン酸基が付いた構造をしており、NADHと同じ励起・蛍光スペクトルを示す。そのため、NADHとNADPHを光学的に区別することは困難であり、前述したように両者を同時に測定している表現として、本明細書ではNAD(P)Hと表記している。
フラビン類は、7,8-ジメチルイソアロキサジンの10位に置換基を持つ誘導体の総称である。イソアロキサジン環にリビドールが結合した化合物がリボフラビンであり、フラビンモノヌクレオチド(FMN)はリボフラビンにリン酸基が付加した構造を持ち、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)はアデニル酸が付加している。FMN、FADは酸化還元酵素の補因子である。フラビン類の発色団はイソアロキサジン環であるため、リボフラビン、FMN、FADの蛍光スペクトルは同一のものである。
NADH、NADPH、リボフラビン、FAD、FMNなどは生物のエネルギー代謝に関わる物質であり、好気性の微生物および細胞内に豊富に存在している。
次に、NAD(P)Hとフラビン類の2系統の蛍光と生細胞、死細胞との関連について推定する。
生物は生きていれば細胞内でエネルギー代謝を行っており、電子伝達系などで電子の授受を行いエネルギーであるATPを生産する。
すなわち、生細胞ではNAD+とNADH間、FADとFADH2間で電子の授受を行う、以下の反応が起こっていることが知られている。
NAD+ +還元物質(2e- +2H+) ⇔ NADH + H+ +酸化物質
FAD +還元物質(2e- +2H+) ⇔ FADH2 +酸化物質
このため、細胞内にはNAD+,NADH,FAD,FADH2などの物質が大量に存在し、それが細胞の自家蛍光のもととなっている。これらの物質に着目したとき、蛍光を発するのは還元型のNADHと酸化型のFADである。またNAD+とFADH2は蛍光性を持たない。
エネルギー代謝を行っている生細胞では,NAD+→NADHとFAD→FADH2の反応が多く起こっており、生細胞内にはNADHとFADH2の量が多い状態になっていると考えられる。生細胞ではUV励起で蛍光を発するNADHの蛍光が主として検出されており、多量にあってもFADH2は蛍光性を持たないため検出されないと推定できる。すなわち、生細胞においてはNADHの蛍光が支配的であると推定できる。
一方、細胞が死ぬとエネルギー代謝は停止するが、細胞内の物質はそのまま中に留まったまま酸化が進むと考えられる。そのため、細胞内にはFADとNAD+が増加することとなる。この時、FADは蛍光を発するが、NAD+は蛍光を発しない。すなわち、死細胞においてはFADの蛍光が支配的であると推定できる。
すなわち、生細胞および死細胞では以下の反応が起こっており、検出されるのは蛍光性の物質であるNADH(生細胞)とFAD(死細胞)が主な成分であると考えられる。
生細胞: NAD+NADH ,FAD→FADH2
死細胞: NADH→NAD+ ,FADH2FAD
次に、NAD(P)Hおよびフラビン類の蛍光波長と励起波長を調べるために、NADHおよびリボフラビンの標準試料水溶液の、吸収スペクトル、蛍光スペクトル、励起スペクトルを測定した。
図6(a)はNADHの吸収スペクトルを示している。NADHは340nm付近に吸収のピークがあることがわかる。この340nmを励起波長として用いたNADHの蛍光スペクトルを図6(b)に示している。NADHは340nmの励起で460nm付近に蛍光のピークがあるスペクトルとなっていることがわかる。図6(c)は460nmの蛍光を検出して励起波長を掃引するNADHの励起スペクトルを示している。図6(c)からは460nmの蛍光を発する最も効果のある励起波長がわかるが、これは図6(a)の吸収スペクトルと同様に340nm付近にピークがある。以上より、NADHは典型的には340nm付近の励起で460nm付近の蛍光を発することがわかる。
図7(a)はリボフラビンの吸収スペクトルを示している。リボフラビンは360nm付近と450nm付近にピークのあるブロードな吸収スペクトルとなっている。図7(b)はリボフラビンの360nm励起の蛍光スペクトルを、図7(c)は450nm励起の蛍光スペクトルをそれぞれ示している。リボフラビンは360nm励起、450nm励起の両方において525nm付近にピークのある蛍光スペクトルとなっている。図7(d)は525nmの蛍光を検出して励起波長を掃引したリボフラビンの励起スペクトルを示している。図7(d)からはリボフラビンの525nmの蛍光を発する最も効果のある励起波長がわかるが、これは図7(a)の吸収スペクトルと同様に360nm付近と450nm付近にピークのあるブロードなスペクトルとなっている。
NADHおびリボフラビンの蛍光スペクトル、励起スペクトルはともにブロードなスペクトルであるが、励起波長を変化させながら蛍光スペクトルを取得する励起蛍光マトリックスを測定することによって、その詳細を理解することができる。
図8(a)はNADHの、図8(b)はリボフラビンの、励起蛍光マトリックスの等高線グラフをそれぞれ示している。励起蛍光マトリックスは、縦軸に励起波長(単位:nm)を、横軸に蛍光波長(単位:nm)をとり、その交差する条件での波長の蛍光強度を取得し表現するもので、図8(a)および図8(b)では3次元的な蛍光強度データを2次元の等高線として表している。蛍光波長を固定して縦軸に平行な直線上でのデータは励起スペクトルと等価であり、励起波長を固定して横軸に平行な直線上でのデータは蛍光スペクトルと等価となっている。図中に点線で励起範囲および蛍光検出範囲を示している。すなわち、領域「1」は320〜380nm のUV励起による430〜490nmの青色蛍光を表しており、領域「2」は320〜380nmのUV励起による510〜560nmの緑色蛍光を表しており、領域「3」は460〜500nmの青色励起による430〜490nmの青色蛍光を表しており、領域「4」は460〜500nmの青色励起による510〜560nmの緑色蛍光を表している。領域「3」は励起と蛍光の波長が重なっており、実質的には測定は困難な領域である。なお、これらの波長域は、顕微鏡等の一般のUV励起および青色励起の蛍光測定用として良く使用される波長帯である。
図8(a)、図8(b)からわかるように、320〜380nmのUV励起を行うとNADHとリボフラビンを一括して励起できる(領域「1」および領域「2」)。しかし、検出する蛍光スペクトルは前述の青色蛍光用バリアフィルタの430〜490nmの帯域(領域「1」)では、リボフラビンの短波長側のテイリング(図8(b)の「A」)がNADHの蛍光と重畳しており、両者の分離は困難である。また、510〜560nmの緑色蛍光用バリアフィルタの帯域(領域「2」)でも、NADHの長波長側のテイリング(図8(a)の「B」)がリボフラビンの蛍光に重畳しており、両者の分離は困難である。
本発明では、このNADHとリボフラビンを分離して測定するために次の方法を提案する。すなわち、前述のUV励起による蛍光に加えて、460〜500nmの青色励起(領域4)によりリボフラビンの蛍光のみを再度測定する。この青色励起による510〜560nmの緑色蛍光の信号は、図8(b)からわかるようにリボフラビンのみのものである。この後、UV励起青色蛍光の信号からの差分をとれば、NADHの情報が得られることとなる。
この、検出されるのは蛍光性の物質であるNADH(生細胞)とFAD(死細胞)が主な成分であるという本発明における推定と、その物質としての波長特性を生かした測定方法により得られた図3〜図5の実験結果(生細胞・死細胞の識別)による知見は、よく一致している。
なお、図8(a)、図8(b)の励起波長、蛍光波長帯域は一般的なUV・青色等の帯域であるが、図9(a)、図9(b)に示すようにNADH、リボフラビンのスペクトルに合わせて、励起波長、蛍光波長は以下のように変更することもできる。すなわち、UV励起として波長320〜400nmの帯域、青色励起として420〜500nmの帯域、青色蛍光として420〜500nmの帯域、緑色蛍光として500〜600nmの帯域とする。なお、図9において、図8における領域「1」、領域「2」、領域「3」および領域「4」に対応する領域を、それぞれ領域「5」、領域「6」、領域「7」および領域「8」として示している。
次にUV励起のみでNAD(P)Hとフラビン類を一括して励起して得られる蛍光画像からだけでは、両者を分離することが困難であることを示す。図10は1日培養した出芽酵母(生細胞)に、加熱処理した出芽酵母(死細胞)を約1:1の割合で混合したサンプルを測定したものである。図10(a)は320〜380nmのUV励起で430〜490nmの青色蛍光を測定したもの、すなわち図8の領域「1」での測定結果を示す。図10(b)は320〜380nmのUV励起で510〜560nmの緑色蛍光を測定したもの、すなわち図8の領域「2」での測定結果を示す。図10(c)は460〜500nmの青色励起で510〜560nmの緑色蛍光を測定したもの、すなわち図8の領域「4」での測定結果を示す。同じUV励起で、検出する波長を変えた図10(a)と図10(b)は多少のコントラストの違いはあってもほとんど同一の画像となっており、単一の励起波長(UV励起)の測定からだけでは、NAD(P)Hとフラビン類の識別が困難であることを示している。
これに対して、図10(c)は加熱処理した出芽酵母(死細胞)のみが観察されている。これはフラビン類の情報のみの画像と考えられる。図10(d)は図10(a)から図10(c)を差し引いた画像であり、NAD(P)Hの情報が得られていると考えられる。
図10(a)と図10(b)がほとんど同一の画像となってしまう理由は、蛍光波長の重なりであるが、同時にNADHとフラビン類の蛍光強度の差も考慮する必要がある。波長(色)が異なれば両者を容易に分離し光量補正ができるが、同一波長帯の場合は光量補正が困難である。この2つの波長を考慮した光量の関係の詳細は後述する。
図11は、加熱処理により生じた死細胞でNADHが減少し、FADが増加した測定例を示している。サンプルとしては出芽酵母を用いている。
図11(a)〜図11(c)は、加熱処理前の画像を、図11(d)〜図11(f)は、加熱処理後の画像を、それぞれ示している。また、図11(a)および図11(d)は、透過光画像を、図11(b)および図11(e)は、320〜380nm のUV励起による430〜490nmの青色蛍光画像を、図11(c)および図11(f)は、460〜500nmの青色励起による510〜560nmの緑色蛍光画像を、それぞれ示している。
図12は、図11の出芽酵母の加熱処理前後における蛍光強度変化を示すグラフであり、図12(a)は、320〜380nm のUV励起における430〜490nmの青色蛍光を測定した蛍光強度変化を、図12(b)は、460〜500nmの青色励起における510〜560nmの緑色蛍光を測定した蛍光強度変化を、それぞれ示している。
図11(b)と図11(e)をそれぞれ比較すると分るように、UV励起では加熱前に比べ加熱処理後は蛍光強度が減少している(図12(a))。これは加熱により細胞内のNADHが酸化されNAD+となり自家蛍光が減少したものと推定している。一方、図11(c)と図11(f)をそれぞれ比較すると分るように、青色励起では加熱処理前に比べ加熱処理後では蛍光強度が増加している(図12(b))。これは、加熱処理によりFADH2が酸化されFADが増加したためと推定される。
また、これらUV励起、青色励起で検出される自家蛍光は生物由来のものであり、その他非生物由来の夾雑物とは、その波長が異なることや、蛍光強度が異なることで、生物由来のものと他非生物由来の夾雑物との間で区別が可能である。
図13は、生物由来のものと他非生物由来の夾雑物とが混在するサンプルの画像を示す図であり、図13(a)は、透過光画像を、図13(b)は、320〜380nm のUV励起による430〜490nmの青色蛍光画像を、図13(c)は、460〜500nmの青色励起による510〜560nmの緑色蛍光画像を、それぞれ示している。また、図13(a)の透過光画像で検出される夾雑物を点線で囲うことでその位置を示している。
図13に示すように、図13(a)の透過光画像で検出される夾雑物が、図13(b)のUV励起の青色蛍光画像、および図13(c)の青色励起の緑色蛍光画像では見えておらず、自家発光による蛍光画像により、細胞だけを測定することが可能である。
本発明は、動物細胞に応用することも可能である。Raji細胞,HeLa細胞,CHO(Chinese Hamster Ovary)細胞を測定した結果をさらに示す。HeLaとCHOは接着性の細胞のため、トリプシン処理して剥離させた状態で測定している。
図14はRaji細胞の例を示しており、図14(a)は、320〜380nm のUV励起による430〜490nmの青色蛍光画像 P1(生細胞+死細胞)を、図14(b)は、460〜500nmの青色励起による510〜560nmの緑色蛍光画像 P2(死細胞)を、図14(c)は、画像 P1 から画像 P2 を差し引いた画像 P3(生細胞)を、それぞれ示している。
図15はHeLa細胞の例を示しており、図15(a)は、320〜380nm のUV励起による430〜490nmの青色蛍光画像 P1(生細胞+死細胞)を、図15(b)は、460〜500nmの青色励起による510〜560nmの緑色蛍光画像 P2(死細胞)を、図15(c)は、画像 P1 から画像 P2 を差し引いた画像 P3(生細胞)を、それぞれ示している。
図16はCHO細胞の例を示しており、図16(a)は、320〜380nm のUV励起による430〜490nmの青色蛍光画像 P1(生細胞+死細胞)を、図16(b)は、460〜500nmの青色励起による510〜560nmの緑色蛍光画像 P2(死細胞)を、図16(c)は、画像 P1 から画像 P2 を差し引いた画像 P3(生細胞)を、それぞれ示している。
図17はディッシュ上で培養したCHO細胞の死細胞が青色励起の緑色蛍光画像で取得できることを確認した例を示しており、図17(a)は透過光画像を、図17(b)は320〜380nm のUV励起による430〜490nmの青色蛍光画像P1(生細胞+死細胞)を、図17(c)は460〜500nmの青色励起による510〜560nmの緑色蛍光画像P2(死細胞)を、図17(d)は透過光画像と同一視野の細胞を、(a)〜(c)の測定の直後にPI色素(Propidium Iodide:波長帯510〜560の励起光、580nmより長波長帯域の蛍光)により染色した画像を、それぞれ示している。細胞はその死より細胞膜の状態が保たれなくなり、PI色素が細胞内に侵入し細胞核を染色する。したがってPI染色された細胞は死細胞と判断することができる。図17(d)は図17(c)の青色励起画像で検出される細胞の核が染色されており、これらが死細胞であることがこのPI色素による核染色によっても確認できる。
また、本発明は、大腸菌のような細菌に対しても応用することが可能である。
図18は大腸菌の例を示しており、図18(a)は、320〜380nm のUV励起による430〜490nmの青色蛍光画像 P1(生細胞+死細胞)を、図18(b)は、460〜500nmの青色励起による510〜560nmの緑色蛍光画像 P2(死細胞)を、図18(c)は、画像 P1 から画像 P2 を差し引いた画像 P3(生細胞)を、それぞれ示している。
本発明において使用する励起波長および蛍光波長については、図6(a)〜図6(c))から分るとおり、NADHとFADの励起・蛍光波長はブロードな帯域を持っており、上記実施例に限定されることなく、ある程度の範囲であれば励起して蛍光を検出することが可能である。
たとえば, 青色励起の代わりには、510〜560nmの緑色励起で580〜700nmの赤色蛍光を検出して死細胞を検出することもできる。
このように、UV励起と青色励起,およびUV励起と緑色励起の組み合わせで、生細胞と死細胞を識別することができる。
しかし、いずれにしても本発明では、複数の波長帯の励起光を選択的にサンプルに照射するので、サンプルの状態を評価するために最適な自家蛍光を得ることが可能となる。
本発明の手法は、次のようなアプリケーションに応用可能である。
(1)培養槽の中の微生物・細胞数の計数
バイオ医薬品,抗体医薬などの生産における培養槽内の宿主細胞の状態を識別し、その生細胞と死細胞の数を計数することができる。また、発酵食品などのタンク内の酵母の状態とその数を、サンプリングしてタンク外で計数する。直挿型のプローブ光学系により、培養槽内を直接測定することも可能である。
(2)培養細胞の状態測定
投薬試験のように,染色すると悪影響を与えてしまう細胞の状態(生死)を迅速に測定できる。また、ディッシュ上で培養しているCHO,HeLa,iPS細胞などの生死の状態を識別して選別することも可能である。
(3)透析用水や製薬用水の微生物混入検査
迅速に生菌と死菌を計数できるので、微生物混入があった場合に迅速にアラームを発報できる。
(4)生体内細胞
内視鏡に搭載することによって、生体内の細胞に対して状態を識別することができる。(例えば、Villette S, Pigaglio-Deshayes S, Vever-Bizet C, Validire P, Bourg-Heckly G. "Ultraviolet-induced autofluorescence characterization of normal and tumoral esophageal epithelium cells with quantitation of NAD(P)H" Photochemical and Photobiological Science, Vol.5, 2006, pp.483-492.)
(5)生細胞の状態の取得
本来、UV励起で検出されるのはNAD(P)Hの情報が主であり、単一細胞を測定しているときは、その蛍光強度によってNAD(P)Hの量がわかり、細胞の活性等の状態を推定することができる。
図19は、NAD(P)Hを検出することで生細胞の状態を識別する方法を示す図であり、図19(a)は、YPD培地で培養した出芽酵母の320〜380nm のUV励起による430〜490nmの青色蛍光画像を示す図、図19(b)は、スクロースで培養した酵母の320〜380nm のUV励起による430〜490nmの青色蛍光画像を示す図、図19(c)は、細胞の培養条件の違いによるNADH蛍光量の違いを示す図である。
図19に示すように、培養条件等によって影響される細胞の状態によっては、生細胞から非常に大きなNAD(P)Hの蛍光が得られる場合がある。この場合は2画像の差ではなく、UV励起のみで、生細胞の状態の違いを識別可能である。なお、図19(c)の左方の棒グラフがYPD培地で培養した酵母のUV励起蛍光画像の蛍光強度を、右方の棒グラフがスクロースで培養した酵母のUV励起蛍光画像の蛍光強度を、それぞれ示している。
次に、個々の細胞の状態をUV励起青色蛍光強度と青色励起緑色蛍光強度という2つのパラメータを用いて測定する手法について説明する。
図2のステップS11〜ステップS33は、個々の細胞の状態を測定する処理を示すフローチャートである。この処理は、演算制御部14の制御に基づいて実行される。
また、図20は、ステップS11〜ステップS33の処理において得られる画像を示す図であり、図20(a)は透過光画像を、図20(b)は320〜380nm のUV励起による430〜490nmの青色蛍光画像を、図20(c)は460〜500nmの青色励起による510〜560nmの緑色蛍光画像を、それぞれ示している。
以下、図2に即してステップS11〜ステップS33の処理について説明する。
図2のステップS11では、透過光画像撮影用光源8をオンして、カメラ5により試料6の透過光画像を取得し、記憶部12に記憶する。
次に、ステップS12では、記憶部12に記憶された透過光画像に対して画像処理を行い、個々の細胞の領域を抽出し、各領域にラべリングする。図20(a)は、透過光画像に対して1つ1つの細胞を区別する境界線を抽出して表示した状態を示している。図20(a)のように、演算制御部14での画像処理により、個々の細胞の領域が境界線で囲まれた領域として確定される。
次に、ステップS21では、バリアフィルタ部3のフィルタを430〜490nmの通過帯域(青色蛍光)のものに設定し、励起光照射部1から波長帯320〜380nmの励起光(UV励起)を照射する。この励起光は、ダイクロイックミラー2で反射され、試料6に照射される。
次に、ステップS22では、カメラ5を介して430〜490nmの帯域(青色蛍光)の自家蛍光を画像P1(図20(b))として検出する。画像P1の視野は、上記の透過像の視野と同一である。次にステップS23では、画像P1を記憶部12に記録する。
図2のステップS24では、バリアフィルタ部3のフィルタを510〜560nmの通過帯域(緑色蛍光)のものに設定し、励起光照射部1から波長帯460〜500nmの励起光(青色励起)を照射する。この励起光は、ダイクロイックミラー2で反射され、試料6に照射される。
励起光が照射された試料6からは自家蛍光が発生する。この自家蛍光は、ダイクロイックミラー2を通過し、バリアフィルタ3および観察光学系4を経由してカメラ5に入射する。
次に、ステップS25では、カメラ5を介して510〜560nmの帯域(緑色蛍光)の自家蛍光を画像P2(図21(c))として検出する。画像P2の視野は、上記の透過光画像の視野と同一である。次にステップS26では、画像P2を記憶部12に記録する。
次に、ステップS31では、記憶部12から画像P1を取得し、ステップS12でラべリングされた個々の領域について、画像P1におけるUV励起青色蛍光強度の平均を算出し、ラべリングの番号と対応付けて記憶部12に記憶する。
次に、ステップS32では、記憶部12から画像P2を取得し、ステップS12でラべリングされた個々の領域について、画像P2における青色励起緑色蛍光強度の平均を算出し、ラべリングの番号と対応付けて記憶部12に記憶する。
次に、ステップS33では、記憶部12からラべリングされた個々の領域について、UV励起青色蛍光強度の平均及び青色励起緑色蛍光強度の平均を取得する。そして、個々の領域のUV励起青色蛍光強度の平均及び青色励起緑色蛍光強度を、例えば2次元のグラフとして出力し、処理を終了する。
図21は、ステップS33における出力結果を例示する図であり、グラフの縦軸はUV励起青色蛍光強度(16ビット階調値)、グラフの横軸は青色励起緑色蛍光強度(16ビット階調値)である。また、グラフ上の個々の点は、ラべリングされた個々の細胞の領域における平均蛍光強度を示す。図21に示すように、個々の細胞の状態は、自家蛍光量に応じたグラフ上の2次元座標として示される。
図22〜図24は、様々なサンプルに対して、同様の手法により得られたグラフを示す図である。図22〜図24に示す各グラフにおいて、縦軸はUV励起青色蛍光強度(16ビット階調値)、横軸は青色励起緑色蛍光強度(16ビット階調値)である。
図22(a)は、CHO(Chinese Hamster Ovary)細胞の例を示し、グラフ上にプロットされた「〇」は生細胞を、「×」は死細胞を示している。なお、死細胞は生細胞を60℃のリン酸緩衝液PBS中で30分間加熱したものである。図22(a)に示すように、生細胞と死細胞とでは、自家蛍光量が異なるため、グラフ上において異なる分布状況を形成する。
図22(b)は、酵母の例を示し、グラフ上にプロットされた「〇」は生細胞を、「×」は死細胞を示している。なお、死細胞は生細胞を60℃のリン酸緩衝液PBS中で30分間加熱したものである。図22(b)に示すように、生細胞と死細胞とでは、自家蛍光量が異なるため、グラフ上において異なる分布状況を形成する。
図23(a)は、枯草菌の例を示し、グラフ上にプロットされた「〇」は生細胞を、「×」は死細胞を示している。なお、死細胞は生細胞を80℃のリン酸緩衝液PBBS(二価イオンとグルコースを含む)中で30分間加熱したものである。図23(a)に示すように、生細胞と死細胞とでは、自家蛍光量が異なるため、グラフ上において異なる分布状況を形成する。
図23(b)は、大腸菌の例を示し、グラフ上にプロットされた「〇」は生細胞を、「×」は死細胞を示している。なお、死細胞は生細胞を80℃のリン酸緩衝液PBBS(二価イオンとグルコースを含む)中で30分間加熱したものである。図23(b)に示すように、生細胞と死細胞とでは、自家蛍光量が異なるため、グラフ上において異なる分布状況を形成する。
図24は、CHO細胞の例を示すが、培地組成や生理状態が異なる下記の5種類の条件化での結果を示す図である。
(1)生細胞(コンフルエント)(〇印)
単層を形成するまで増殖させた細胞であり、これ以上は増えない状態にある。
(2)グルタミン欠乏培地中の生細胞(*印)
培地中から細胞の栄養源であるグルタミンのみを除き、グルタミン飢餓状態で1日間培養した細胞である。
(3)死細胞(×印)
60℃の熱湯で処理し殺した細胞である。
(4)生細胞(プライマリー)(□印)
セルバンクから解凍したばかりの細胞であり、コンフルエントになるまで増え続ける。
(5)10mM NH4Cl 中(アンモニア過多)で培養した生細胞(△印)
培地中に10mM NH4Cl を加えて16時間培養した細胞である。高濃度老廃物蓄積環境を模倣した培養による細胞である。
図24に示すように、少なくともCHO細胞では、生細胞および死細胞の区別のみならず、培地組成や生理状態に応じた自家蛍光強度のパターンを示すことが分かる。このことから、個々の自家蛍光強度のパターンに基づいて、その細胞や菌の培地組成や生理状態等の種々の状態を区別し、あるいは推測することが可能となる。また、個々の自家蛍光強度のパターン自体を、細胞や菌の状態を定義する指標として利用できる。
さらに1点鎖線で示すような境界線を定めることで、生産工程における生細胞および死細胞の品質管理等の限界ラインを定めることもできる。この場合、光学的なゼロ点と光量(W/m2)のスパンの再現性が重要となるため、光学系としては絶対光量系(特許第4835730号公報に開示された構成など)が有用である。
図25は、自家蛍光を利用して得られる別な効果を示す図である。図25(a)はCHO細胞の透過光画像、図25(b)は、同じ細胞を460〜500nmの青色励起して得られた510〜560nmの緑色蛍光画像を示し、図25(c)は、同じ細胞を460〜500nmの青色励起して得られた蛍光画像から580nm以上のロングパスフィルタにより抽出された橙色蛍光画像、そして図25(d)は、図25(c)の橙色蛍光画像と図25(b)の緑色蛍光画像の差の画像である。図25(b)は、前述のフラビン類の画像であるが、図25(b)(c)ともに、細胞質に多くの粒子があることがわかる。特に図25(c)でこの粒子が強く光っている。この粒子は420〜480nmに励起波長を持ち、570〜610nm近傍に蛍光波長のピークを持つリポフスチンであると考えられる。一方、この図25(c)における580nm以上の波長にもフラビン類の蛍光は重畳し、背景光となっている。これを除去するために、図25(d)では、図25(c)の橙色蛍光画像(リポフスチン:強+フラビン類:弱)から図25(b)の緑色蛍光画像(リポフスチン:弱+フラビン類:強)の画像の差を取った。これによって、図25(d)では背景のノイズが除去され、より鮮明なリポフスチンの粒子の画像が得られている。
図26はこのようなリポフスチンの粒子の画像を得るための細胞検査装置における処理の例を示すフローチャートである。この処理は、演算制御部14の制御に基づいて実行される。
以下、図26に即してステップS41〜ステップS61の処理について説明する。
図26のステップS41では、透過光画像撮影用光源8をオンして、カメラ5により試料6の透過光画像(図25(a)に示すCHO細胞の透過光画像)を取得し、記憶部12に記憶する。
次に、ステップS42では、記憶部12に記憶された透過光画像に対して画像処理を行い、個々の細胞の領域を抽出し、各領域にラべリングする。ここでは、演算制御部14での画像処理により、個々の細胞の領域が境界線で囲まれた領域として確定される。
次に、図26のステップS51では、バリアフィルタ部3のフィルタを460〜500nmの通過帯域(緑色蛍光)のものに設定し、励起光照射部1から波長帯460〜500nmの励起光(青色励起)を照射する。この励起光は、ダイクロイックミラー2で反射され、試料6に照射される。
励起光が照射された試料6からは自家蛍光が発生する。この自家蛍光は、ダイクロイックミラー2を通過し、バリアフィルタ3および観察光学系4を経由してカメラ5に入射する。
次に、ステップS52では、カメラ5を介して510〜560nmの帯域(緑色蛍光)の自家蛍光を画像P11(図25(b)に示す緑色蛍光画像)として検出する。画像P11の視野は、上記の透過光画像の視野と同一である。次にステップS53では、画像P11を記憶部12に記録する。
次に、図26のステップS54では、バリアフィルタ部3のフィルタを460〜500nm以上の通過帯域(青色蛍光)のものに設定し、励起光照射部1から波長帯460〜500nmの励起光(青色励起)を照射する。この励起光は、ダイクロイックミラー2で反射され、試料6に照射される。
励起光が照射された試料6からは自家蛍光が発生する。この自家蛍光は、ダイクロイックミラー2を通過し、バリアフィルタ3および観察光学系4を経由してカメラ5に入射する。


次に、ステップS55では、カメラ5を介して580nm以上の通過帯域(橙色蛍光)の自家蛍光を画像P12(図25(c)に示す橙色蛍光画像)として検出する。画像P12の視野は、上記の透過光画像の視野と同一である。次にステップS56では、画像P12を記憶部12に記録する。
次に、ステップS61では、記憶部12に記録された画像P12から記憶部12に記録された画像P11を差し引くことで、図25(d)に示すリポフスチンの粒子の画像を出力し、処理を終了する。
なお、励起光照射部1からの波長帯460〜500nmの励起光(青色励起)の照射を1回とし、同時に画像P11(図25(b)に示す緑色蛍光画像)および画像P12(図25(c)に示す橙色蛍光画像)を取り込むようにしてもよい。
図27は、リポフスチン画像の産業応用の例を示す図である。リポフスチンは、細胞質内の不飽和脂肪酸の過酸化により、細胞の廃棄物処理場であるリソソーム内に形成される不溶性色素であり、リソソームによって細胞内で消化された異物の残余物質である。このリポフスチンの蓄積の度合いを測定することにより細胞の老化具合を測定することが可能である。図27(a)はCHO細胞の透過光画像であり、C1は培養開始から数えて2〜3回分裂したばかりの若い細胞である。一方、C2は分裂限界が間近の老化した細胞である。図27(b)では、この2種類の細胞を図25の方法によりリポフスチンを測定した。C1の若い細胞では、ほとんどリポフスチンが認められない。一方、老化した細胞では多数のリポフスチンが点在していることがわかる。つまり、リポフスチンの量により細胞の老化の状態を、染色することなくノンラベルで識別できることを示している。これを定量的に表現する場合は、たとえば図27(c)のように2つの蛍光波長により2軸を取り図示する。X軸は背景のノイズとなる青色励起緑色蛍光強度であり、「リポフスチン:弱+フラビン類:強」の強度がF1で表されている。Y軸は信号となる青色励起橙色蛍光強度であり、「リポフスチン:強+フラビン類:弱」の強度がG1で表されている。ここで細胞が老化すると、リポフスチンの蛍光強度は矢印のようにG1からG2の方向に移行することになる。
なお、画像の背景の減算の演算は、両軸を対数で示すと除算の演算になる。
本発明において、UV励起ではNAD(P)Hおよびフラビン類(FAD)をほぼ同時に励起し、その蛍光を検出する。また青色励起では主にフラビン類のみを励起し、その蛍光を検出していることになる。NAD(P)Hは生細胞に多い自家蛍光物質であり、フラビン類(FAD)は死細胞に多い自家蛍光物質である。したがって、UV励起では生細胞および死細胞(全細胞)が検出され、青色励起では死細胞のみが検出されることになる。それぞれの画像の差を演算することによって生細胞の画像が得られるので、微生物・細胞の生死の状態等を染色することなく識別することができる。
また本発明において、青色励起ではフラビン類(FAD)およびリポフスチンをほぼ同時に励起し、緑色蛍光でフラビン類を強くかつリポフスチンを弱く、橙色蛍光でリポフスチンを強くかつフラビン類を弱く検出する。ここで橙色蛍光画像から緑色蛍光画像の差を演算することによってリポフスチンを明確化した画像が得られるので、微生物・細胞の老化の状態等を染色することなく識別することができる。
自家蛍光は生物由来のため、微生物・細胞を環境中の夾雑物と区別して検出することが可能であり、NAD(P)Hおよびフラビン類(FAD)はすべての好気性微生物・細胞に存在している。したがって、本発明は、細菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞など多くの細胞に適用することができる。
また、自家蛍光の強度に基づく分析を行うことにより、微生物・細胞の生死以外の状態、例えば、培地組成や生理状態に起因する細胞の状態などを染色することなく評価することができる。
以上説明したように、自家蛍光によれば染色することなくノンラベルで識別することができる。しかし自家蛍光は生物由来であり波長や量の制御が不可能であるため、複数の自家蛍光の波長が重畳し、分離が困難である。一方で、本発明では各種の自家蛍光は励起波長や蛍光波長の特性に若干の相違があることに着目した。
たとえ信号となる自家蛍光物質の蛍光波長と、背景光、つまりノイズとなる自家蛍光物質の蛍光波長が同一でも励起波長を変えれば2種類の自家蛍光は分離可能であった(NAD(P)Hとフラビン類)。また逆に、たとえ信号となる自家蛍光物質の励起波長と、背景光、つまりノイズとなる自家蛍光物質の励起波長が同一でも測定する蛍光波長を変えれば2種類の自家蛍光は分離可能であった(リポフスチンとフラビン類)。
またNAD(P)Hなどの自家蛍光物質は同時に生体内の重要な生理活性物質でもある。従って自家蛍光測定時に強い励起光により退色させてしまうと細胞に与えるダメージはきわめて大きい。従って通常の励起光でも高いS/Nで画像を測定することが重要である。
本発明では、高いS/Nで「本来の目的であるサンプルの状態を示す信号となる特定の第1の自家蛍光」を得るために、測定した画像にどうしても混合してしまう「背景光・ノイズとなる第2の自家蛍光」の除去を行う。このために2つの自家蛍光物質の励起・蛍光波長特性の違いを巧みに利用して、前記第2の「背景光・ノイズとなる第2の自家蛍光物質」のみの画像も計測し、両者の差または比をとることでノイズを低減し、「サンプルの状態を示す信号となる特定の第1の自家蛍光」のみを得ることができる。
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、自家蛍光に基づいて微生物または細胞を含むサンプルを測定する細胞検査装置等に対し、広く適用することができる。また波長帯が重複しなければ、蛍光染色等との併用も可能である。
1 励起光照射部(励起光照射手段、第1の励起光照射手段、第2の励起光照射手段)
5 カメラ(検出手段、第1の検出手段、第2の検出手段)
6 試料(サンプル)
14 演算制御部(出力手段)

Claims (10)

  1. 自家蛍光に基づいて好気性の微生物または細胞を含むサンプルを画像出力する細胞検査装置であって、
    サンプルに励起光を照射する第1の励起光照射手段と、
    前記サンプルに励起光を照射する第2の励起光照射手段と、
    前記第1の励起光照射手段により照射された励起光により前記サンプルから発生する自家蛍光に基づく第1の蛍光画像を検出する第1の検出手段と、
    前記第2の励起光照射手段により照射された励起光により前記サンプルから発生する自家蛍光に基づく第2の蛍光画像を検出する第2の検出手段と、
    前記第1の検出手段により検出された前記第1の蛍光画像から前記第2の検出手段により検出された前記第2の蛍光画像を差し引いた第3の蛍光画像を出力する出力手段と、
    を備え、
    前記第1の蛍光画像には前記サンプルの状態を示す特定画像とフラビン類から発生する自家蛍光に基づく画像とが含まれ、
    前記第2の蛍光画像はフラビン類から発生する自家蛍光に基づく画像であり、
    前記第1の励起光照射手段により照射される励起光の波長帯域が320〜400nmの範囲を含み、
    前記第2の励起光照射手段により照射される励起光の波長帯域が420〜500nmの範囲を含むことを特徴とする細胞検査装置。
  2. 自家蛍光に基づいて好気性の微生物または細胞を含むサンプルを画像出力する細胞検査装置であって、
    サンプルに励起光を照射する第1の励起光照射手段と、
    前記サンプルに励起光を照射する第2の励起光照射手段と、
    前記第1の励起光照射手段により照射された励起光により前記サンプルから発生する自家蛍光に基づく第1の蛍光画像を検出する第1の検出手段と、
    前記第2の励起光照射手段により照射された励起光により前記サンプルから発生する自家蛍光に基づく第2の蛍光画像を検出する第2の検出手段と、
    前記第1の検出手段により検出された前記第1の蛍光画像から前記第2の検出手段により検出された前記第2の蛍光画像を差し引いた第3の蛍光画像を出力する出力手段と、
    を備え、
    前記第1の蛍光画像または前記第2の蛍光画像は、前記自家蛍光のうち一部の波長の光を選択するフィルタを介して得られる蛍光画像であり、
    前記第1の蛍光画像に含まれる波長分布と、前記第2の蛍光画像に含まれる波長分布とが互いに異なり、
    前記第1の蛍光画像には前記サンプルの状態を示す特定画像とフラビン類から発生する自家蛍光に基づく画像とが含まれ、
    前記第2の蛍光画像はフラビン類から発生する自家蛍光に基づく画像であり、
    前記第2の励起光照射手段により照射される励起光の波長帯域が420〜500nmの範囲を含み、
    前記第1の励起光照射手段により照射された励起光の波長と、前記第2の励起光照射手段により照射された励起光の波長とは同一であり、
    前記特定画像はリポフスチンから発生する自家蛍光に基づくことを特徴とする細胞経検査装置。
  3. 前記第1の励起光照射手段により照射された励起光の波長と、前記第2の励起光照射手段により照射された励起光の波長とは互いに異なり、
    前記特定画像はNADHから発生する自家蛍光に基づくことを特徴とする請求項1に記載の細胞検査装置。
  4. 前記出力手段は、前記第2の検出手段により検出された前記第2の蛍光画像または前記出力手段により出力された前記第3の蛍光画像に含まれる特定物の数を算出して出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞検査装置。
  5. 自家蛍光に基づいて好気性の微生物または細胞を含むサンプルを画像出力する細胞検査方法であって、
    サンプルに励起光を照射する第1の励起光照射ステップと、
    前記サンプルに励起光を照射する第2の励起光照射ステップと、
    前記第1の励起光照射ステップにより照射された励起光により前記サンプルから発生する自家蛍光に基づく第1の蛍光画像を検出する第1の検出ステップと、
    前記第2の励起光照射ステップにより照射された励起光により前記サンプルから発生する自家蛍光に基づく第2の蛍光画像を検出する第2の検出ステップと、
    前記第1の検出ステップにより検出された前記第1の蛍光画像から前記第2の検出ステップにより検出された前記第2の蛍光画像を差し引いた第3の蛍光画像を出力する出力ステップと、
    をコンピュータが実行し、
    前記第1の蛍光画像には前記サンプルの状態を示す特定画像とフラビン類から発生する自家蛍光に基づく画像とが含まれ、
    前記第2の蛍光画像はフラビン類から発生する自家蛍光に基づく画像であり、
    前記第1の励起光照射手段により照射される励起光の波長帯域が320〜400nmの範囲を含み、
    前記第2の励起光照射手段により照射される励起光の波長帯域が420〜500nmの範囲を含むことを特徴とする細胞検査方法。
  6. 前記出力するステップでは、前記第2の検出ステップにより検出された前記第2の蛍光画像または前記出力ステップにより出力された前記第3の蛍光画像に含まれる特定物の数を算出して出力することを特徴とする請求項5に記載の細胞検査方法。
  7. 前記第1の励起光照射手段により照射される励起光により発生する前記自家蛍光の波長帯域が400〜500nmの範囲を含むことを特徴とする請求項1に記載の細胞検査装置。
  8. 前記第2の励起光照射手段により照射される励起光により発生する前記自家蛍光の波長帯域が520〜610nmの範囲を含むことを特徴とする請求項1に記載の細胞検査装置。
  9. 前記第1の励起光照射手段により照射される励起光により発生する前記自家蛍光の波長帯域が400〜500nmの範囲を含むことを特徴とする請求項5に記載の細胞検査方法。
  10. 前記第2の励起光照射手段により照射される励起光により発生する前記自家蛍光の波長帯域が520〜610nmの範囲を含むことを特徴とする請求項5に記載の細胞検査方法。
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