JP6312367B2 - 析出硬化系マルテンサイト系ステンレス鋼、蒸気タービン動翼および蒸気タービン - Google Patents

析出硬化系マルテンサイト系ステンレス鋼、蒸気タービン動翼および蒸気タービン Download PDF

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本発明は、優れた組織の安定性、機械特性及び耐食性を備えた析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼と、それを適用した蒸気タービン長翼およびそれを用いた蒸気タービンに関する。
近年、省エネルギー(例えば、化石燃料の節約)および地球温暖化防止(例えば、CO2ガスの発生量抑制)の観点から火力発電プラントの効率向上(例えば、蒸気タービンにおける効率向上)が望まれている。蒸気タービンの効率を向上させる有効な手段の1つとして、蒸気タービン長翼の長大化がある。また、蒸気タービン長翼の長大化は、車室数の低減によって設備建設期間の短縮やそれによるコスト削減という副次的な効果も期待できる。
蒸気タービンの信頼性を向上するために機械的性質と耐食性の両方に優れる長翼材が求められている。析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼はCr添加量が多くC添加量が少ないため耐食性に優れるが、強度と靭性のバランスが悪い(例えば特許文献1参照)。
特開2005−194626号公報
優れた組織の安定性、機械特性及び耐食性を備えた析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼と、それを用いた蒸気タービン長翼およびそれを用いた蒸気タービンを提供することを目的とする。
本発明の析出強化型マルテンサイト系ステンレス鋼は、質量基準で、C:0.1%以下、Cr:11〜13%、Ni:10.5〜11.5%、Al:0.25%以下、Ti:0.9〜1.5%、Mo+0.5W:0.5〜1.5%、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Mo/W(質量%比)0.4〜0.6、残部が鉄及び不可避不純物である。
本発明によれば、優れた組織の安定性、機械特性及び耐食性を備えた析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼と、それを用いた蒸気タービン長翼およびそれを用いた蒸気タービンを提供することができる。
本発明に係る蒸気タービン長翼の1例を示す斜視模式図である。 本発明に係る低圧段ロータの1例を示す模式図である。 本発明に係る低圧段タービンの1例を示す模式図である。 本発明に係る発電プラントの1例を示す模式図である
以下、本発明に係る析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼に含まれる成分元素の役割と添加量の規定について説明する。以下の説明において、成分元素の添加量は、重量%で表わしている。
<主要元素>
C:0.1%以下
カーボン(C)は、クロム炭化物を形成し、炭化物の過剰析出による靭性の低下、粒界近傍のCr濃度低下による耐食性の悪化などが問題となる。また、Cはマルテンサイト変態温度を著しく低下させる。このため、Cの量は抑制する必要があり、0.1%以下であることが好ましく、0.05%以下であることがより好ましい。
Cr:11〜13%
クロム(Cr)は、表面に不動態被膜を形成することで耐食性向上に寄与する元素である。添加の下限を11.0%とすることで耐食性を十分に確保できる。一方で、Crを過剰に添加すると有害相が析出し機械的性質を著しく悪化させるので、上限を13.0%とした。以上の点から、Crの添加量は11.0〜13.0%とする必要がある。11.5〜12.5%が望ましく、特に11.75〜12.25%が好ましい。
Ni:10.5〜11.5%
ニッケル(Ni)はδフェライトの形成を抑制し、また金属間化合物の析出硬化により、強度の向上に寄与する元素である。また、焼入れ性、靭性も改善する。上記の効果を十分にするためには、添加の下限を10.5%とする必要がある。一方、添加量が11.5%を超えると、有害相が析出し目標とする機械特性が得られない。以上の点から、Niの添加量は10.5〜11.5%とする必要がある。10.75〜11.25%がより望ましい。
Al:0.25%以下
アルミニウム(Al)は、Ni−Al系金属間化合物を形成し析出硬化に寄与する元素であるが、Ni−Al系金属間化合物の過剰な析出や有害相の形成による機械的性質の低下を引き起こすことから、Alの添加量は0.25%以下とする必要がある。0.10%以下がより好ましく、特に0.05%以下が好ましい。
Ti:0.9〜1.5%
チタン(Ti)は、Ni−Ti系金属間化合物を形成し析出硬化に寄与する元素である。析出硬化を十分に発現するためには、少なくとも、0.9%以上添加する必要がある。添加量が1.5%を超えると、Ni−Ti系金属間化合物の過剰析出や有害相の形成による機械的性質の低下を引き起こす。以上の点から、Tiの添加量は0.9〜1.5%とする必要がある。1.05〜1.35%がより好ましく、特に1.15〜1.25%が好ましい。
Mo+0.5W:0.5〜1.5%
モリブデン(Mo)、タングステン(W)は機械特性を向上させる効果と耐食性を改善させる効果がある。MoとWの複合添加により一層この効果を高めることができる。Mo+0.5Wが0.5〜1.5重量%で、Mo/W(重量%比)が0.4〜0.6であるときに複合添加の効果が最適になることを見出した。
Si:1.0%以下
シリコン(Si)は脱酸材であり1.0%以下とするのが好ましい。1.0%を超えるとδフェライトの析出が問題となるためである。0.5%以下がより望ましく、0.25%%以下が特に好ましい。カーボン真空脱酸法、及びエレクトロスラグ溶解法を適用すればSiの添加を省くことが可能である。その場合はSiを無添加とするのが好ましい。
Mn:1.0以下
マンガン(Mn)は脱酸剤及び脱硫剤として添加されるが、1.0%を超えると有害相が過剰に生成し、必要な強度を得ることができないため、1.0%以下とする必要がある。真空誘導溶解(VIM)、真空アーク再溶解(VAR)の方法で溶解する場合は、Mnを添加する必要はなく、0.5%以下がより好ましく、0.25%以下が特に好ましい。
<その他の元素>
Co:3%以下
コバルト(Co)はオーステナイトの安定化元素であり、マルテンサイト変態温度の調整のためにNiの代わりに添加しても良い。この場合、Ni+Coが10.5〜11.5%で、Coの添加量は3%以下にする必要がある。Coの添加量が3%を超えると、Ni−Ti系金属間化合物の量が低下し強度が不十分となる。
Nb:0.5%
また、ニオブ(Nb)は炭化物を形成して強度向上に寄与するが、製造性を悪化させる。このため、Nbを添加する場合は、Nbの添加量は0.5%以下とする必要がある。また、Nbをバナジウム(V)に置き換えることもできる。Nb、Vを複合添加する場合、添加量の合計はNb単独添加と同量にする必要がある。これらの元素の添加は必須ではないが、析出硬化をより顕著にする。
本発明における不可避的不純物とは、原料にもともと含まれていた、もしくは製造の過程で混入したなどに起因して本発明に含まれる成分であり、意図的に入れたものではない成分を指す。不可避不純物として、P、S、Sb、Sn、AsおよびNがあり、このうちの少なくとも一種類が本発明に含まれる。
P:0.5%以下、S:0.5%以下
また、P及びSの低減は、引張特性を損なわずに、靭性を向上できるので極力低減することが好ましい。Pが0.5%以下、Sが0.5%以下とすることが靭性を向上させる観点から好ましい。特に、Pが0.1%以下、Sが0.1%以下とすることが好ましい。
As:0.1%以下、Sb:0.1%以下、Sn:0.1%以下
As、Sb、及びSnを低減することで靭性を改善できる。このため、上記の元素を極力低下することが望ましく、Asが0.1%以下、Sbが0.1%以下、Snが0.1%以下が好ましい。特に、Asが0.05%以下、Sbが0.05%以下、Snが0.05%以下が好ましい。
N:0.1%以下
窒素(N)は、TiNやAlNを形成して疲労強度を低下させ、靭性にも悪影響を及ぼす。このため、Nの量は抑制する必要があり、0.1%以下であることが好ましく0.05%以下であることがより好ましい。
次に、本発明の熱処理について説明する。
本発明では、850〜1050℃、望ましくは900〜1000℃で加熱保持後急冷する溶体化処理を行う必要がある。本発明における溶体化処理とは、析出物の形成に関わるAlやTiなどの成分を組織中に溶かし込むと同時にマルテンサイト組織を得るための熱処理を指す。マルテンサイト組織は鉄鋼のマトリクスの一種であり、強度・靭性のバランスに優れた組織である。溶体化処理に続き、450〜650℃で加熱保持後に徐冷する時効処理を行う必要がある。本発明における時効処理とは、溶体化処理を施した後に行うNi-Ti化合物などを組織中に微細析出させることで優れた強度を得るための熱処理を指す。Ni-Ti化合物は出来るだけ細かいことが望ましく、100nm以下であることが望ましい。
また、残留オーステナイトを低減したい場合は、サブゼロ処理を行っても良い。サブゼロ処理はドライアイスとイソペンタンなどの有機溶媒を用いて、−70℃以下で少なくとも4時間以上保持して、大気中で室温まで昇温する必要がある。
本発明の蒸気タービン長翼への適用について説明する。成形加工、曲がり取りの作業は時効処理後に行うこともできるが、Ni−Ti化合物などが析出していない溶体化処理直後にこれらの作業を行えば、加工性が良いために高い作業効率が期待できる。
本発明を適用した蒸気タービン長翼は、Co系合金板をTIG溶接によって翼先端部に接合することができる。これは、結露した高速の蒸気が衝突することによって翼が損傷するエロージョンから蒸気タービン長翼を保護するための手段である。その他のCo系合金板の取り付け手段として、銀ロウ付けや電子ビーム溶接がある。また、プラズマトランスファーアークやレーザーによりCo系合金粉末を肉盛溶接しても良い。エロージョンから蒸気タービン長翼を保護するための他の手段として、窒化チタンコーティングなどにより表面改質をすることもできる。また、翼先端部表面をAc3変態点以上に加熱し空冷により室温まで下げる熱処理を複数回繰り返し結晶粒度6より微細にし、その後の翼全体の時効処理で翼先端部表面のみを高硬度にして耐エロージョンを備えることもできる。本発明はある程度の耐エロージョン性を有するので、エロージョンが厳しくない状況下であれば、上記したエロージョン対策を省略しても構わない。
図1は本発明を適用した蒸気タービン長翼10である。長翼は、蒸気を受ける翼プロファイル部1、ロータに翼を植え込む翼根部2、捩りによって隣接する翼と一体化するためのスタブ4、コンティニュアスカバー5から構成される。この蒸気タービン長翼10は翼根部2が逆クリスマスツリー形状のアキシャルエントリータイプである。また、エロージョンシールド3の一例としてステライト板が接合されている。
図2は本発明の蒸気タービン長翼10を適用した低圧段ロータ20を示す。この低圧段ロータ20は複流構造のものであり、長翼は左右対称に長翼植込み部21に複数段にわたって設置される。蒸気タービン長翼10は最終段に設置されるものである。
図3は本発明の低圧段ロータ20を適用した低圧段蒸気タービン30を示す。蒸気タービン長翼31は、ノズル32によって導かれる蒸気を受けることで回転する。低圧段ロータ20は軸受け33によって支持される。
図4は本発明の低圧段蒸気タービン30を適用した発電プラント40である。ボイラ41で発生した高温高圧蒸気は高圧段タービン42で仕事をした後、ボイラ41で再加熱される。再加熱された蒸気は中圧段タービン43で仕事をした後、更に低圧段タービン44で仕事をする。蒸気タービンで発生した仕事は、発電機45で電力に変えられる。低圧段タービン44を出た蒸気は、復水器46に導かれる。
以下、実施例を説明する。
<試料作製>
本発明に係る析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の化学組成と、引張強さ、0.02%耐力、シャルピー衝撃吸収エネルギー、孔食電位、ミクロ組織の関係性を評価するために試料を作製した。表1に、各試料の化学組成を示す。
はじめに、表1に示す組成となるように、高周波真空溶解炉(5.0×10-3 Pa以下、1600℃以上)を用いて原料を溶解した。得られた鋳塊に対して、プレス鍛造機およびハンマ鍛造機を用いて熱間鍛造を行い、幅×厚さ×長さ=100 mm×30 mm×1000 mmの角材に成形した。次に、この角材を幅×厚さ×長さ=50 mm×30 mm×120 mmに切断加工してステンレス鋼出発材とした。
次に、各ステンレス鋼出発材に対して、ボックス電気炉を用いて種々の熱処理を施した。発明合金1〜9には、溶体化熱処理として980℃で1時間保持した後に室温の水に浸漬する水急冷を行った。次いで、時効熱処理として538℃温度で2時間保持した後に室温の大気中に取り出して冷却する空冷を行った。
上記で得られた各試料に対して、引張強さ、シャルピー衝撃吸収エネルギー、孔食電位、ミクロ組織観察の評価試験をそれぞれ実施した。各評価試験の概要について説明する。
<試験方法>
引張試験は、前記で得られた各試料から試験片(評点間距離30 mm、外径6 mm)を用意しJIS Z 2241に準拠して室温で行った。引張強さ、0.02%耐力の判定基準は、それぞれ、1500 MPa以上、1000 MPa以上を「合格」とし、その値未満を「不合格」とした。また、伸び、絞りは、それぞれ、10 %以上、30 %以上を「合格」とし、その値未満を「不合格」とした。
シャルピー衝撃吸収エネルギーの測定は、前記で得られた各試料から2 mmVノッチを有する試験片を用意しJIS Z 2242に準拠して室温でシャルピー衝撃試験を行った。シャルピー衝撃吸収エネルギーの判定基準は、30 J以上を「合格」とし、その値未満を「不合格」とした。
孔食電位の評価には、前記で得られた各試料から板状の試験片(長さ15 mm、幅15 mm、厚さ3 mm)を用意し、測定面の面積が1.0 cm2になるように絶縁体で被覆した。試験液は3.0 %NaCl溶液、溶液の温度は30 ℃、掃引速度は20 mV/minの条件で評価を実施した。 孔食電位の判定基準は、150 mV以上を「合格」とし、その値未満を「不合格」とした。
ミクロ組織の判定基準は、δフェライト、残留オーステナイトの析出量が面積率でそれぞれ1.0 %以下、10 %以下であるマルテンサイト組織を有するものを「合格」とした。それ以外を「不合格」とした。δフェライト析出量の測定は、JIS G 0555に記載の点算法に準拠した。残留オーステナイト析出量の測定は、X線回折により行った。
<試験結果>
本発明に係る発明合金1〜9は、引張強さ、0.02%耐力、伸び、絞りおよび衝撃吸収エネルギーの機械的特性も合格であった。さらに、孔食電位も良好な結果が得られた。また、金属組織中にδフェライト相や残留オーステナイトは目標範囲内であり、マルテンサイト組織となっていることが確認された。
比較合金1〜15のいずれも各特性の目標全てを満足するものはなかった。比較合金1〜8は、Cr、Ni、Ti、MoおよびWなど主要成分の影響を検討したが、そのうち、比較合金6はTiの添加量が低い試料で、引張強さ、0.02%耐力は目標を下回った。一方、比較合金7はTiの添加量が多く、引張強さ、0.02%耐力は高いが、伸び、絞り、衝撃吸収エネルギーは低かった。これは、強化相の析出量が過剰だったためと考えられる。また、比較合金8〜11はMo、Wの影響を検討したが、比較合金8はMo、Wの添加量が低い試料で、引張強さ、0.02%耐力、および孔食電位は目標を下回った。比較合金9〜11ではいずれもミクロ組織が不合格であった。比較合金9はMo、Wの添加量が高い試料であり、引張強さ、0.02%耐力、伸び、絞り、衝撃吸収エネルギーは目標を下回った。比較合金10はW比が高い試料で、固溶強化が十分でなく引張強さ、0.02%耐力は目標を下回った。比較合金11はMo比が高い試料で衝撃吸収エネルギーが目標を下回った。
比較合金12〜15は不純物元素の影響を評価した試料であり、いずれもミクロ組織が不合格だった。比較合金12はAlの添加量が高い試料で、伸び、絞り、衝撃吸収エネルギーは目標を下回った。比較合金13はSiの添加量が高い試料であり、引張強さ、0.02%耐力、伸び、衝撃吸収エネルギーは目標を下回った。比較合金14はMnの添加量が高い試料であり、0.02%耐力が目標を下回った。比較合金15はNの添加量が高い試料で、伸び、絞りおよび衝撃吸収エネルギーが目標を著しく下回った。
本発明を用いた蒸気タービン長翼について説明する。本実施形態では、発明材である表1記載の合金1を用いて翼長が48インチのアクシャルエントリー型蒸気タービン長翼を作成した。長翼の作製方法として、まず、5.0×10-3Pa以下の高真空状態で、C + O → COとなる化学反応によって溶鋼を脱酸する真空カーボン脱酸を行った。続いて、鍛伸により電極棒に成形した。この電極棒を溶融スラグに浸漬し電流を流した際に発生するジュール熱で自己溶解させ、水冷鋳型内で凝固させ高品位の鋼塊を得るエレクトロスラグ再溶解を行った。次に、熱間鍛造を行った後に48インチ翼型によって型打ち鍛造を行った。この後に、溶体化処理として、980℃で2.0時間加熱保持後、送風機で急冷する強制冷却した。次に、切削工程を経て所定の形状に加工し、続いて時効処理として538℃で4.0時間加熱保持後、空冷した。最終的な仕上げ加工として、曲がり取りや表面の研磨を行い48インチの長翼とした。
以上の工程により得られた蒸気タービン長翼の先端、中央、及び根部から試験片をそれぞれ採取し実施例1と同様の評価試験を行った。採取した試験片の方向は翼の長さ方向である。
各部位のミクロ組織は均一マルテンサイト組織であり、残留オーステナイト、δフェライトは認められなかった。また、引張強さ、0.02%耐力、衝撃吸収エネルギー、孔食電位は試験片の採取位置によらず目標を全て満足した。
本発明の析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼は、優れた機械特性及び耐食性を備えるため蒸気タービン長翼に適用することができる他、ガスタービン圧縮機用の翼などにも適用できる。
1…翼プロファイル部、2…翼根部、3…エロージョンシールド、4…スタブ、5…コンティニュアスカバー、10…蒸気タービン長翼、20…低圧段ロータ、21…長翼植込み部、30…低圧段蒸気タービン、31…蒸気タービン長翼、32…ノズル、33…軸受け、40…発電プラント、41…ボイラ、42…高圧段タービン、43…中圧段タービン、44…低圧段タービン、45…発電機、46…復水器

Claims (7)

  1. 質量基準で、C:0.1%以下、Cr:11〜13%、Ni:10.5〜11.5%、Al:0.25%以下、Ti:0.9〜1.5%、Mo+0.5W:0.5〜1.5%、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Mo/W(質量%比)0.4〜0.6、を含み、残部が鉄及び不可避不純物であることを特徴とした析出強化型マルテンサイト系ステンレス鋼。
  2. 請求項1において、
    0%超3%以下のCoを更に含み、Ni+Coが10.5%超11.5%以下であることを特徴とする析出化型マルテンサイト系ステンレス鋼。
  3. 請求項1または2において、
    NbまたはVを含み、NbとVの合計量が0.5%以下であることを特徴とする析出化型マルテンサイト系ステンレス鋼。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    前記不可避不純物がP、S、Sb、Sn、AsおよびNのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする析出化型マルテンサイト系ステンレス鋼。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    Ni−Ti系金属間化合物が微細析出していることを特徴とする析出化型マルテンサイト系ステンレス鋼。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の析出化型マルテンサイト系ステンレス鋼を用いることを特徴とする蒸気タービン長翼。
  7. 請求項6に記載の蒸気タービン長翼を備えたことを特徴とする蒸気タービン。
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