JP6312367B2 - 析出硬化系マルテンサイト系ステンレス鋼、蒸気タービン動翼および蒸気タービン - Google Patents
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Description
C:0.1%以下
カーボン(C)は、クロム炭化物を形成し、炭化物の過剰析出による靭性の低下、粒界近傍のCr濃度低下による耐食性の悪化などが問題となる。また、Cはマルテンサイト変態温度を著しく低下させる。このため、Cの量は抑制する必要があり、0.1%以下であることが好ましく、0.05%以下であることがより好ましい。
クロム(Cr)は、表面に不動態被膜を形成することで耐食性向上に寄与する元素である。添加の下限を11.0%とすることで耐食性を十分に確保できる。一方で、Crを過剰に添加すると有害相が析出し機械的性質を著しく悪化させるので、上限を13.0%とした。以上の点から、Crの添加量は11.0〜13.0%とする必要がある。11.5〜12.5%が望ましく、特に11.75〜12.25%が好ましい。
ニッケル(Ni)はδフェライトの形成を抑制し、また金属間化合物の析出硬化により、強度の向上に寄与する元素である。また、焼入れ性、靭性も改善する。上記の効果を十分にするためには、添加の下限を10.5%とする必要がある。一方、添加量が11.5%を超えると、有害相が析出し目標とする機械特性が得られない。以上の点から、Niの添加量は10.5〜11.5%とする必要がある。10.75〜11.25%がより望ましい。
アルミニウム(Al)は、Ni−Al系金属間化合物を形成し析出硬化に寄与する元素であるが、Ni−Al系金属間化合物の過剰な析出や有害相の形成による機械的性質の低下を引き起こすことから、Alの添加量は0.25%以下とする必要がある。0.10%以下がより好ましく、特に0.05%以下が好ましい。
チタン(Ti)は、Ni−Ti系金属間化合物を形成し析出硬化に寄与する元素である。析出硬化を十分に発現するためには、少なくとも、0.9%以上添加する必要がある。添加量が1.5%を超えると、Ni−Ti系金属間化合物の過剰析出や有害相の形成による機械的性質の低下を引き起こす。以上の点から、Tiの添加量は0.9〜1.5%とする必要がある。1.05〜1.35%がより好ましく、特に1.15〜1.25%が好ましい。
モリブデン(Mo)、タングステン(W)は機械特性を向上させる効果と耐食性を改善させる効果がある。MoとWの複合添加により一層この効果を高めることができる。Mo+0.5Wが0.5〜1.5重量%で、Mo/W(重量%比)が0.4〜0.6であるときに複合添加の効果が最適になることを見出した。
シリコン(Si)は脱酸材であり1.0%以下とするのが好ましい。1.0%を超えるとδフェライトの析出が問題となるためである。0.5%以下がより望ましく、0.25%%以下が特に好ましい。カーボン真空脱酸法、及びエレクトロスラグ溶解法を適用すればSiの添加を省くことが可能である。その場合はSiを無添加とするのが好ましい。
マンガン(Mn)は脱酸剤及び脱硫剤として添加されるが、1.0%を超えると有害相が過剰に生成し、必要な強度を得ることができないため、1.0%以下とする必要がある。真空誘導溶解(VIM)、真空アーク再溶解(VAR)の方法で溶解する場合は、Mnを添加する必要はなく、0.5%以下がより好ましく、0.25%以下が特に好ましい。
Co:3%以下
コバルト(Co)はオーステナイトの安定化元素であり、マルテンサイト変態温度の調整のためにNiの代わりに添加しても良い。この場合、Ni+Coが10.5〜11.5%で、Coの添加量は3%以下にする必要がある。Coの添加量が3%を超えると、Ni−Ti系金属間化合物の量が低下し強度が不十分となる。
また、ニオブ(Nb)は炭化物を形成して強度向上に寄与するが、製造性を悪化させる。このため、Nbを添加する場合は、Nbの添加量は0.5%以下とする必要がある。また、Nbをバナジウム(V)に置き換えることもできる。Nb、Vを複合添加する場合、添加量の合計はNb単独添加と同量にする必要がある。これらの元素の添加は必須ではないが、析出硬化をより顕著にする。
また、P及びSの低減は、引張特性を損なわずに、靭性を向上できるので極力低減することが好ましい。Pが0.5%以下、Sが0.5%以下とすることが靭性を向上させる観点から好ましい。特に、Pが0.1%以下、Sが0.1%以下とすることが好ましい。
As、Sb、及びSnを低減することで靭性を改善できる。このため、上記の元素を極力低下することが望ましく、Asが0.1%以下、Sbが0.1%以下、Snが0.1%以下が好ましい。特に、Asが0.05%以下、Sbが0.05%以下、Snが0.05%以下が好ましい。
窒素(N)は、TiNやAlNを形成して疲労強度を低下させ、靭性にも悪影響を及ぼす。このため、Nの量は抑制する必要があり、0.1%以下であることが好ましく0.05%以下であることがより好ましい。
本発明に係る析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の化学組成と、引張強さ、0.02%耐力、シャルピー衝撃吸収エネルギー、孔食電位、ミクロ組織の関係性を評価するために試料を作製した。表1に、各試料の化学組成を示す。
引張試験は、前記で得られた各試料から試験片(評点間距離30 mm、外径6 mm)を用意しJIS Z 2241に準拠して室温で行った。引張強さ、0.02%耐力の判定基準は、それぞれ、1500 MPa以上、1000 MPa以上を「合格」とし、その値未満を「不合格」とした。また、伸び、絞りは、それぞれ、10 %以上、30 %以上を「合格」とし、その値未満を「不合格」とした。
本発明に係る発明合金1〜9は、引張強さ、0.02%耐力、伸び、絞りおよび衝撃吸収エネルギーの機械的特性も合格であった。さらに、孔食電位も良好な結果が得られた。また、金属組織中にδフェライト相や残留オーステナイトは目標範囲内であり、マルテンサイト組織となっていることが確認された。
Claims (7)
- 質量基準で、C:0.1%以下、Cr:11〜13%、Ni:10.5〜11.5%、Al:0.25%以下、Ti:0.9〜1.5%、Mo+0.5W:0.5〜1.5%、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Mo/W(質量%比)0.4〜0.6、を含み、残部が鉄及び不可避不純物であることを特徴とした析出強化型マルテンサイト系ステンレス鋼。
- 請求項1において、
0%超3%以下のCoを更に含み、Ni+Coが10.5%超11.5%以下であることを特徴とする析出強化型マルテンサイト系ステンレス鋼。 - 請求項1または2において、
NbまたはVを含み、NbとVの合計量が0.5%以下であることを特徴とする析出強化型マルテンサイト系ステンレス鋼。 - 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記不可避不純物がP、S、Sb、Sn、AsおよびNのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする析出強化型マルテンサイト系ステンレス鋼。 - 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
Ni−Ti系金属間化合物が微細析出していることを特徴とする析出強化型マルテンサイト系ステンレス鋼。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の析出強化型マルテンサイト系ステンレス鋼を用いることを特徴とする蒸気タービン長翼。
- 請求項6に記載の蒸気タービン長翼を備えたことを特徴とする蒸気タービン。
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