最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる設定装置は、通信先切替動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置、の動作に関する設定を行う設定装置であって、上記無線端末装置は、自己が通信相手として選択している無線基地局装置である選択基地局以外の無線基地局装置である周辺基地局から送信される無線信号であって、上記選択基地局および上記無線端末装置間で使用される上記無線信号の周波数と異なる周波数の無線信号、を測定する異周波測定動作を間欠的に行い、上記設定装置は、上記異周波測定動作が行われる異周波測定期間において上記異なる周波数の無線信号が測定されるタイミングである測定タイミング、上記異周波測定動作が行われる間隔、または上記異周波測定期間における上記異なる周波数の無線信号の測定結果が上記選択基地局に報告されるタイミングである報告タイミングを設定するための異周波測定制御部と、上記異周波測定制御部による上記設定の内容を上記無線端末装置に通知するための設定通知部とを備え、上記異周波測定制御部は、上記周辺基地局ごとまたは上記無線信号の周波数ごとに上記設定を行う。
このような構成により、周辺基地局ごとまたは周辺基地局から送信される無線信号の周波数ごとにタイミングをずらして異周波測定動作を行うことができるため、並行して測定することのできる測定対象の数に限りがあっても、所定期間内に測定することのできる測定対象の数を従来よりも増やすことができる。このため、周辺基地局が多数存在する場合であっても測定に時間がかかることを防ぎ、無線端末装置による異周波測定動作を適切に行うことができ、通信の安定化を図ることができる。
(2)また、上記異周波測定制御部は、上記測定タイミングの間隔を上記周辺基地局ごとまたは上記無線信号の周波数ごとに設定してもよい。
このように、測定タイミングの間隔を設定する構成により、異周波測定動作のタイミング調整を適切かつ容易に行うことができる。
(3)また、上記異周波測定制御部は、上記周辺基地局と上記選択基地局との距離が遠いほど上記測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
ここで、周辺基地局と選択基地局との距離が遠いほど、通信先切替動作のタイミングが遅すぎることにより無線リンク断が発生する可能性が高い。すなわち、上記のような構成により、無線リンク断が発生する可能性が高い状況であるほど周辺基地局から送信される無線信号を頻繁に測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(4)また、上記異周波測定制御部は、上記選択基地局から送信される上記無線信号の電力が小さいほど上記測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
ここで、選択基地局から送信される無線信号の送信電力が小さいほど選択基地局により形成されるセルの半径が小さいため、周辺基地局は当該セルのエッジ付近または当該セル外に位置する可能性が高く、通信先切替動作のタイミングが遅すぎることによる無線リンク断が発生する可能性が高い。すなわち、上記のような構成により、無線リンク断が発生する可能性が高い状況であるほど周辺基地局から送信される無線信号を頻繁に測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(5)また、上記異周波測定制御部は、上記周辺基地局から送信される上記無線信号の電力が大きいほど上記測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
ここで、周辺基地局から送信される無線信号の送信電力が大きいほど周辺基地局により形成されるセルの半径が大きいため、無線端末装置が当該セル内に入ることにより当該周辺基地局が無線端末装置の通信接続先として選択される可能性が高い。すなわち、上記のような構成により、無線端末装置の通信接続先として選択される可能性が高い周辺基地局から送信される無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(6)また、上記異周波測定制御部は、上記周辺基地局から送信される上記無線信号の上記無線端末装置における受信電力が大きいほど上記測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
ここで、周辺基地局から送信される無線信号の無線端末装置における受信電力が大きいほど、当該周辺基地局は無線端末装置の通信接続先として選択される可能性が高い。すなわち、上記のような構成により、無線端末装置の通信接続先として選択される可能性が高い周辺基地局から送信される無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(7)また、上記異周波測定制御部は、上記周辺基地局から送信される上記無線信号の周波数が高いほど上記測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
ここで、周辺基地局から送信される無線信号の周波数が高いほど無線信号の減衰が大きく無線端末装置との間の通信品質が悪くなるため、無線端末装置の通信先切替動作のタイミングが遅すぎることによる無線リンク断が発生する可能性が高い。すなわち、上記のような構成により、無線端末装置の通信接続先となる場合に無線リンク断が発生する可能性が高い周辺基地局からの無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(8)また、上記異周波測定制御部は、上記周辺基地局から送信される上記無線信号の周波数が低いほど上記測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
このような構成により、送信される無線信号の減衰が小さく、無線端末装置との間の通信品質が良くなる周辺基地局から送信される無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(9)また、上記異周波測定制御部は、上記無線端末装置と上記周辺基地局との距離が近いほど上記測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
このような構成により、無線端末装置の通信接続先として選択される可能性が高い周辺基地局からの無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(10)また、上記異周波測定制御部は、上記異周波測定期間における上記異なる周波数の無線信号の測定開始タイミングを上記周辺基地局ごとまたは上記無線信号の周波数ごとに設定してもよい。
このように、測定開始タイミングを設定する構成により、異周波測定動作のタイミング調整を適切かつ容易に行うことができる。
(11)また、上記異周波測定制御部は、上記周辺基地局と上記選択基地局との距離が近いほど上記異周波測定動作を行う間隔を長く設定してもよい。
ここで、周辺基地局と選択基地局との距離が近いほど、当該周辺基地局は選択基地局により形成されるセル内に位置する可能性が高く、当該セルのセルエッジ付近に位置する周辺基地局と比較して、無線端末装置の通信先切替動作のタイミングが遅すぎることによる無線リンク断が発生する可能性が低い。すなわち、上記のような構成により、無線リンク断が発生する可能性の低い周辺基地局から送信される無線信号の測定の頻度を少なくして、無線端末装置の消費電力を低減させることができる。
(12)また、上記異周波測定制御部は、上記周辺基地局から送信される上記無線信号の周波数が高いほど上記異周波測定動作を行う間隔を短く設定してもよい。
ここで、周辺基地局から送信される無線信号の周波数が高いほど無線信号の減衰が大きく無線端末装置との間の通信品質が悪くなるため、無線端末装置の通信先切替動作のタイミングが遅すぎることによる無線リンク断が発生する可能性が高い。すなわち、上記のような構成により、無線端末装置の通信接続先となる場合に無線リンク断が発生する可能性の高い周辺基地局からの無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(13)また、上記異周波測定制御部は、上記周辺基地局から送信される上記無線信号の周波数が低いほど上記異周波測定動作を行う間隔を短く設定してもよい。
このような構成により、送信される無線信号の減衰が小さく、無線端末装置との間の通信品質が良くなる周辺基地局から送信される無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(14)また、上記異周波測定制御部は、上記無線端末装置と上記周辺基地局との距離が近いほど上記異周波測定動作を行う間隔を短く設定してもよい。
このような構成により、無線端末装置の通信接続先として選択される可能性が高い周辺基地局からの無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(15)また、上記無線端末装置は、上記異周波測定期間における上記異なる周波数の無線信号の測定結果が所定条件を満たす状態が所定時間継続するたびに、上記測定結果を上記設定装置に報告し、上記異周波測定制御部は、上記所定時間を上記周辺基地局ごとまたは上記無線信号の周波数ごとに設定してもよい。
このような構成により、たとえば、周辺基地局が選択基地局により形成されるセルのセルエッジ付近に位置する状況、すなわち無線端末装置の通信先切替動作が遅すぎることにより無線リンク断が発生する可能性が高い状況においては、上記所定時間を短く設定して通信の安定化を図るとともに、周辺基地局が選択基地局により形成されるセルの中心付近に位置する状況においては上記所定時間を長く設定して精度の高い測定結果を得ることができる。
(16)また、上記異周波測定制御部は、上記測定タイミングの間隔が長いほど、上記所定時間を長く設定してもよい。
このような構成により、測定タイミングの間隔が長く、所定期間内に行われる測定回数が少ない周辺基地局からの無線信号であっても、測定結果が所定条件を満たす状態が長時間継続するまで無線基地局装置への報告が行われないため、報告される測定結果の精度を確保することができる。
(17)また、この発明の別の局面に係わる設定装置は、通信先切替動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置、の動作に関する設定を行う設定装置であって、上記無線端末装置が通信相手として選択している無線基地局装置である選択基地局および上記無線端末装置間で使用される上記無線信号の周波数と同じ周波数の無線信号であって、上記選択基地局以外の無線基地局装置である周辺基地局から送信される無線信号の測定が上記無線端末装置によって行われるタイミングである測定タイミングを設定するための測定制御部と、上記測定制御部による上記設定の内容を上記無線端末装置に通知するための設定通知部とを備え、上記測定制御部は、上記周辺基地局ごとに上記設定を行う。
このような構成により、周辺基地局ごとにタイミングをずらして無線信号の測定を行うことができるため、並行して測定することのできる測定対象の数に限りがあっても、所定期間内に測定することのできる測定対象の数を従来よりも増やすことができる。このため、周辺基地局が多数存在する場合であっても測定に時間がかかることを防ぎ、周辺基地局から送信される無線信号の測定を適切に行うことができ、通信の安定化を図ることができる。
(18)また、上記測定制御部は、上記測定タイミングの間隔を上記周辺基地局ごとに設定してもよい。
このように、測定タイミングの間隔を設定する構成により、測定動作のタイミング調整を適切かつ容易に行うことができる。
(19)また、上記測定制御部は、上記選択基地局と上記周辺基地局との距離が近いほど上記測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
ここで、選択基地局および無線端末装置間で使用される無線信号の周波数と、周辺基地局から送信される無線信号の周波数とが同じである場合であって、周辺基地局と選択基地局との距離が近い場合、周辺基地局および選択基地局の双方から送信される無線信号が干渉することによって、周辺基地局から送信される無線信号の測定を正確に行うことが困難となることがある。すなわち、上記のような構成により、正確な測定を行うことが困難となる可能性の高い周辺基地局からの無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(20)また、上記測定制御部は、上記選択基地局が送信する上記無線信号の電力が大きいほど上記測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
ここで、選択基地局から送信される送信電力が大きい場合、周辺基地局および選択基地局の双方から送信される無線信号が干渉することによって、周辺基地局から送信される無線信号の測定を正確に行うことが困難となることがある。すなわち、上記のような構成により、正確な測定を行うことが困難となる可能性の高い状況であるほど、周辺基地局から送信される無線信号を高い頻度で測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(21)また、上記測定制御部は、上記周辺基地局から送信される上記無線信号の電力が大きいほど上記測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
ここで、周辺基地局から送信される送信電力が大きい場合、周辺基地局および選択基地局の双方から送信される無線信号が干渉することによって、周辺基地局から送信される無線信号の測定を正確に行うことが困難となることがある。すなわち、上記のような構成により、正確な測定を行うことが困難となる可能性の高い周辺基地局からの無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(22)また、上記測定制御部は、上記周辺基地局から送信される上記無線信号の測定開始タイミングを上記周辺基地局ごとに設定してもよい。
このように、測定開始タイミングを設定する構成により、測定動作のタイミング調整を適切かつ容易に行うことができる。
(23)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信制御方法は、通信先切替動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置、の動作に関する設定を行う設定装置における通信制御方法であって、上記無線端末装置は、自己が通信相手として選択している無線基地局装置である選択基地局以外の無線基地局装置である周辺基地局から送信される無線信号であって、上記選択基地局および上記無線端末装置間で使用される上記無線信号の周波数と異なる周波数の無線信号、を測定する異周波測定動作を間欠的に行い、上記異周波測定動作が行われる異周波測定期間において上記異なる周波数の無線信号が測定されるタイミングである測定タイミング、上記異周波測定動作が行われる間隔、または上記異周波測定期間における上記異なる周波数の無線信号の測定結果が上記選択基地局に報告されるタイミングである報告タイミングを、上記周辺基地局ごとまたは上記無線信号の周波数ごとに設定するステップと、設定した内容を上記無線端末装置に通知するステップとを含む。
このような構成により、周辺基地局ごとまたは周辺基地局から送信される無線信号の周波数ごとにタイミングをずらして異周波測定動作を行うことができるため、並行して測定することのできる測定対象の数に限りがあっても、所定期間内に測定することのできる測定対象の数を従来よりも増やすことができる。このため、周辺基地局が多数存在する場合であっても測定に時間がかかることを防ぎ、無線端末装置による異周波測定動作を適切に行うことができ、通信の安定化を図ることができる。
(24)また、この発明の別の局面に係わる通信制御方法は、通信先切替動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置、の動作に関する設定を行う設定装置における通信制御方法であって、上記無線端末装置が通信相手として選択している無線基地局装置である選択基地局および上記無線端末装置間で使用される上記無線信号の周波数と同じ周波数の無線信号であって、上記選択基地局以外の無線基地局装置である周辺基地局から送信される無線信号の測定が上記無線端末装置によって行われるタイミングである測定タイミングを、上記周辺基地局ごとに設定するステップと、設定した内容を上記無線端末装置に通知するステップとを含む。
このような構成により、周辺基地局ごとにタイミングをずらして無線信号の測定を行うことができるため、並行して測定することのできる測定対象の数に限りがあっても、所定期間内に測定することのできる測定対象の数を従来よりも増やすことができる。このため、周辺基地局が多数存在する場合であっても測定に時間がかかることを防ぎ、周辺基地局から送信される無線信号の測定を適切に行うことができ、通信の安定化を図ることができる。
(25)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる通信制御プログラムは、通信先切替動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置、の動作に関する設定を行う設定装置において用いられる通信制御プログラムであって、上記無線端末装置は、自己が通信相手として選択している無線基地局装置である選択基地局以外の無線基地局装置である周辺基地局から送信される無線信号であって、上記選択基地局および上記無線端末装置間で使用される上記無線信号の周波数と異なる周波数の無線信号、を測定する異周波測定動作を間欠的に行い、コンピュータに、上記異周波測定動作が行われる異周波測定期間において上記異なる周波数の無線信号が測定されるタイミングである測定タイミング、上記異周波測定動作が行われる間隔、または上記異周波測定期間における上記異なる周波数の無線信号の測定結果が上記選択基地局に報告されるタイミングである報告タイミングを、上記周辺基地局ごとまたは上記無線信号の周波数ごとに設定するステップと、設定した内容を上記無線端末装置に通知するステップとを実行させるためのプログラムである。
このような構成により、周辺基地局ごとまたは周辺基地局から送信される無線信号の周波数ごとにタイミングをずらして異周波測定動作を行うことができるため、並行して測定することのできる測定対象の数に限りがあっても、所定期間内に測定することのできる測定対象の数を従来よりも増やすことができる。このため、周辺基地局が多数存在する場合であっても測定に時間がかかることを防ぎ、無線端末装置による異周波測定動作を適切に行うことができ、通信の安定化を図ることができる。
(26)また、この発明の別の局面に係わる通信制御プログラムは、通信先切替動作を行なうことにより複数の無線基地局装置と通信可能な無線端末装置、の動作に関する設定を行う設定装置において用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータに、上記無線端末装置が通信相手として選択している無線基地局装置である選択基地局および上記無線端末装置間で使用される上記無線信号の周波数と同じ周波数の無線信号であって、上記選択基地局以外の無線基地局装置である周辺基地局から送信される無線信号の測定が上記無線端末装置によって行われるタイミングである測定タイミングを、上記周辺基地局ごとに設定するステップと、設定した内容を上記無線端末装置に通知するステップとを実行させるためのプログラムである。
このような構成により、周辺基地局ごとにタイミングをずらして無線信号の測定を行うことができるため、並行して測定することのできる測定対象の数に限りがあっても、所定期間内に測定することのできる測定対象の数を従来よりも増やすことができる。このため、周辺基地局が多数存在する場合であっても測定に時間がかかることを防ぎ、周辺基地局から送信される無線信号の測定を適切に行うことができ、通信の安定化を図ることができる。
(27)また、この発明の別の局面に係わる無線基地局装置は、無線端末装置の動作に関する設定を行う設定装置であって、上記無線端末装置は、プライマリセルを形成するプライマリ基地局との無線信号の送受信、および、セカンダリセルを形成するセカンダリ基地局との無線信号の送受信を並行して行うことが可能であり、上記無線端末装置および上記プライマリ基地局間で使用される上記無線信号の周波数と、上記無線端末装置および上記セカンダリ基地局間で使用される上記無線信号の周波数とは異なり、上記無線端末装置は、上記セカンダリ基地局から送信される上記無線信号の測定を行うセカンダリ測定動作を行い、上記設定装置は、上記プライマリ基地局、上記セカンダリ基地局および上記無線端末装置のうち少なくとも1つに関する情報に基づいて、上記無線端末装置によって上記セカンダリ測定動作が行われるタイミングであるセカンダリ測定タイミングの設定を行うためのセカンダリ測定制御部と、上記セカンダリ測定制御部による上記設定の内容を上記無線端末装置に通知するための設定通知部とを備える。
このような構成により、たとえば、無線端末装置およびプライマリ基地局間の通信品質が悪く、無線端末装置の通信接続先となるセカンダリ基地局の選択を早期に行う必要がある状況において、所定期間内の測定が頻繁に行われるようにセカンダリ測定タイミングの間隔を設定するなど、状況に応じた適切なタイミングでセカンダリ測定動作を行うことができるため、通信の安定化を図ることができる。
また、上記のような構成により、無線端末装置およびプライマリ基地局間の通信品質が良い場合などは測定の頻度を少なくすることによって、セカンダリ測定動作のための無線端末装置の消費電力を低減させることができる。
(28)また、上記セカンダリ測定制御部は、上記セカンダリ基地局ごとに上記設定を行ってもよい。
このような構成により、セカンダリ基地局ごとにタイミングをずらしてセカンダリ測定動作を行うことができるため、並行して測定することのできる測定対象の数に限りがあっても、所定期間内に測定することのできる測定対象の数を従来よりも増やすことができる。このため、セカンダリ基地局が多数存在する場合であっても測定に時間がかかることを防ぎ、無線端末装置によるセカンダリ測定動作を適切に行うことができ、通信の安定化を図ることができる。
(29)また、上記セカンダリ測定制御部は、上記無線端末装置と上記セカンダリ基地局との距離が遠いほど上記セカンダリ測定タイミングの間隔を長く設定してもよい。
ここで、無線端末装置とセカンダリ基地局との距離が遠いほど、無線端末装置および当該セカンダリ基地局間の通信品質が悪い可能性が高い。すなわち、上記のような構成により、無線端末装置の通信接続先となる可能性が低いセカンダリ基地局からの無線信号の測定を行う頻度を少なくすることができるため、無線端末装置の消費電力を低減させることができる。
(30)また、上記セカンダリ測定制御部は、上記セカンダリ基地局から送信される上記無線信号の周波数が高いほど上記セカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
ここで、セカンダリ基地局から送信される無線信号の周波数が高い場合、当該無線信号の減衰が大きく無線端末装置との間の通信品質が悪くなるため、当該セカンダリ基地局を通信接続先とする無線端末装置の数は比較的少ないことが考えられる。このため、無線端末装置の通信接続先として当該セカンダリ基地局が選択された場合、無線端末装置および当該セカンダリ基地局間の通信速度の設定値を大きくすることができる可能性が高い。すなわち、上記のような構成により、無線端末装置の通信接続先として選択されることが好ましいセカンダリ基地局からの無線信号の測定を優先的に多く行うことができるため、一層通信の安定化を図ることができる。
(31)また、上記セカンダリ測定制御部は、上記セカンダリ基地局から送信される上記無線信号の周波数が低いほど上記セカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
ここで、セカンダリ基地局から送信される無線信号の周波数が低い場合、当該無線信号の減衰が小さく無線端末装置との間の通信品質が良くなる。すなわち、上記のような構成により、無線端末装置の通信接続先として選択されることが好ましいセカンダリ基地局からの無線信号の測定を高い頻度で行うことができるため、一層通信の安定化を図ることができる。
(32)また、上記セカンダリ測定制御部は、上記無線端末装置と上記プライマリ基地局との距離が遠いほど上記セカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
ここで、無線端末装置とプライマリ基地局との距離が遠いほど、無線端末装置はプライマリセルのセルエッジ付近に位置している可能性が高く、無線端末装置およびプライマリ基地局間の通信品質が悪い可能性が高い。すなわち、上記のような構成により、無線端末装置の通信接続先となるセカンダリ基地局の選択を早期に行う必要性が高い状況であるほど、セカンダリ基地局から送信される無線信号の測定を高い頻度で行い、一層通信の安定化を図ることができる。
(33)また、上記セカンダリ測定制御部は、上記プライマリ基地局から送信される上記無線信号の上記無線端末装置における受信電力が小さいほど上記セカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
ここで、プライマリ基地局から送信される無線信号の無線端末装置における受信電力が小さいほど、無線端末装置およびプライマリ基地局間の通信品質が悪い可能性が高い。すなわち、上記のような構成により、無線端末装置の通信接続先となるセカンダリ基地局の選択を早期に行う必要性が高い状況であるほど、セカンダリ基地局から送信される無線信号の測定を高い頻度で行うことができるため、一層通信の安定化を図ることができる。
(34)また、この発明の別の局面に係わる通信制御方法は、無線端末装置の動作に関する設定を行う設定装置における通信制御方法であって、上記無線端末装置は、プライマリセルを形成するプライマリ基地局との無線信号の送受信、および、セカンダリセルを形成するセカンダリ基地局との無線信号の送受信を並行して行うことが可能であり、上記無線端末装置および上記プライマリ基地局間で使用される上記無線信号の周波数と、上記無線端末装置および上記セカンダリ基地局間で使用される上記無線信号の周波数とは異なり、上記無線端末装置は、上記セカンダリ基地局から送信される上記無線信号の測定を行うセカンダリ測定動作を行い、上記通信制御方法は、上記無線端末装置によって上記セカンダリ測定動作が行われるタイミングであるセカンダリ測定タイミングの設定を行うステップと、上記設定の内容を上記無線端末装置に通知するステップとを含む。
このような構成により、たとえば、無線端末装置およびプライマリ基地局間の通信品質が悪く、無線端末装置の通信接続先となるセカンダリ基地局の選択を早期に行う必要がある状況において、所定期間内の測定が頻繁に行われるようにセカンダリ測定タイミングの間隔を設定するなど、状況に応じた適切なタイミングでセカンダリ測定動作を行うことができるため、通信の安定化を図ることができる。
また、上記のような構成により、無線端末装置およびプライマリ基地局間の通信品質が良い場合などは測定の頻度を少なくすることによって、セカンダリ測定動作のための無線端末装置の消費電力を低減させることができる。
(35)また、この発明の別の局面に係わる通信制御プログラムは、無線端末装置の動作に関する設定を行う設定装置において用いられる通信制御プログラムであって、上記無線端末装置は、プライマリセルを形成するプライマリ基地局との無線信号の送受信、および、セカンダリセルを形成するセカンダリ基地局との無線信号の送受信を並行して行うことが可能であり、上記無線端末装置および上記プライマリ基地局間で使用される上記無線信号の周波数と、上記無線端末装置および上記セカンダリ基地局間で使用される上記無線信号の周波数とは異なり、上記無線端末装置は、上記セカンダリ基地局から送信される上記無線信号の測定を行うセカンダリ測定動作を行い、上記通信制御プログラムは、コンピュータに、上記無線端末装置によって上記セカンダリ測定動作が行われるタイミングであるセカンダリ測定タイミングの設定を行うステップと、上記設定の内容を上記無線端末装置に通知するステップとを実行させるためのプログラムである。
このような構成により、たとえば、無線端末装置およびプライマリ基地局間の通信品質が悪く、無線端末装置の通信接続先となるセカンダリ基地局の選択を早期に行う必要がある状況において、所定期間内の測定が頻繁に行われるようにセカンダリ測定タイミングの間隔を設定するなど、状況に応じた適切なタイミングでセカンダリ測定動作を行うことができるため、通信の安定化を図ることができる。
また、上記のような構成により、無線端末装置およびプライマリ基地局間の通信品質が良い場合などは測定の頻度を少なくすることによって、セカンダリ測定動作のための無線端末装置の消費電力を低減させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
無線基地局装置は、自らの形成するセルおよび周辺セルについての情報、すなわち無線信号の周波数および周辺セルのID(identification)等を無線端末装置に通知する。無線端末装置は、無線基地局装置から通知された情報に基づいて、周辺セルの検出および測定を行なう。無線端末装置は、この測定結果に基づいて、周辺セルへの移動を開始する。ここで、無線端末装置の「移動」とは、ハンドオーバを意味することに加えて、アイドル状態の無線端末装置が今後通信を開始する、すなわち通話またはデータ通信を開始する際にどのセルを介して通信を行なうかを選択することを意味する。
たとえば、無線端末装置が無線基地局装置と通49信しているときには、無線端末装置の移動先は無線基地局装置またはコアネットワークにおける上位装置が決定する。また、たとえば、無線端末装置が無線基地局装置と通信していないときには、無線端末装置の移動先は無線端末装置が決定する。
また、ハンドオーバとは、通話中またはデータ通信中の無線端末装置の通信相手となる無線基地局装置が切り替えられることを意味する。
また、無線端末装置がセルに在圏している、とは、無線端末装置が、当該セルを形成する無線基地局装置を通信先すなわち通信接続先として選択し、かつ当該無線基地局装置と通信可能な状態または通信中である状態を意味する。
フェムトセルおよびアクセスモードは、3GPP(Third Generation Partnership Project)SPEC TS22.220において以下のように説明されている。すなわち、フェムト基地局は、無線インタフェースを介して接続されている無線端末装置を、IPバックホール(backhaul)を用いて、移動通信事業者網に接続する顧客構内装置である。
また、フェムトセルのアクセスモードにおいて、クローズドアクセスモードのフェムト基地局は、関連するCSG(Closed Subscriber Group)メンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードのフェムト基地局は、関連するCSGメンバーおよびCSGノンメンバーにサービスを提供する。また、オープンアクセスモードのフェムト基地局は、通常の基地局として動作する。
本発明の実施の形態に係る通信システムにおいても、このような3GPPの定義を適用してもよい。
また、上記定義と合わせて、あるいは別個に、以下のような定義を適用することも可能である。
マクロ基地局およびピコ基地局は、事業者の管理下にあり、事業者と契約している無線端末装置が通信可能な無線基地局装置である。また、マクロ基地局およびピコ基地局は、基本的に電源がオフになることはないと考えられる。
また、フェムト基地局は、主に個人または法人の建物内に設置され、ユーザの事情により移動するまたは電源がオフとなる可能性がある無線基地局装置である。
また、フェムト基地局は、オープン/ハイブリッド/クローズドのいずれかのアクセスモードで動作する。フェムト基地局は、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバー(端末)のみ接続可能となる。また、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードで動作する場合には、登録済みのメンバー、および未登録のメンバーすなわちノンメンバーの両方にサービスを提供する。また、オープンアクセスモードで動作する場合には、マクロ基地局およびピコ基地局と同じ動作をする。
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置を備える通信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、通信システム401は、たとえば3GPPで規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置(設定装置)101A,101Bを備える。無線基地局装置101Aは、たとえばマクロ基地局であり、無線基地局装置101Bは、たとえばフェムト基地局またはピコ基地局である。無線基地局装置101A,101Bは、無線端末装置202の動作、すなわちハンドオーバ動作に関する設定を行う。
無線基地局装置101Aは、セルCAを形成し、セルCA内に存在する無線端末装置202と周波数f1の無線信号を送受信することにより、無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Bは、セルCBを形成し、セルCB内に存在する無線端末装置202と周波数f2または周波数f3の無線信号を送受信することにより、無線端末装置202と通信することが可能である。
無線基地局装置101A,101Bおよび無線端末装置202は、以下のシーケンスおよび各フローチャートの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置を備える通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
ここでは、図1に示すように、無線端末装置202がセルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、無線端末装置202がセルCBに接近する方向に移動する場合を想定する。以下、無線基地局装置101Aをサービング基地局(選択基地局)101Aとも称し、無線基地局装置101Bを周辺基地局101Bとも称する。また、サービング基地局101Aにより形成されるセルをサービングセルCAとも称し、周辺基地局101Bにより形成されるセルを周辺セルCBとも称する。
図2を参照して、まず、無線基地局装置101Aは、自己と通信中の無線端末装置202における無線信号の受信能力の問合せを無線端末装置202へ送信する。
ここで、無線端末装置202は、自己と通信中であるサービング基地局101AからサービングセルCAおよび周辺セルCBの情報などを取得する。そして、無線端末装置202は、取得した情報に基づいて、サービング基地局101Aから送信される無線信号および周辺基地局101Bから送信される無線信号の受信電力を測定する。
このとき、上述のように、サービング基地局101Aと無線端末装置202との間で周波数f1の無線信号が使用され、周辺基地局101Bから周波数f2または周波数f3の無線信号が送信されるため、無線端末装置202は、サービング基地局101Aとの間の無線信号の送受信と、周辺基地局101Bから送信される無線信号の受信とを並行して行うことができない。このため、無線端末装置202は、たとえば、受信対象となる無線信号の周波数を順次切り替えて、無線信号の受信を行う必要がある。
一方、無線端末装置202が、複数の送受信部を含む場合があり、このような場合には、複数の送受信部が、サービング基地局101Aとの間における周波数f1の無線信号の送受信と、周辺基地局101Bから送信される周波数f2,f3の無線信号の受信とを分担して行うことにより、無線端末装置202は、これらの動作を並行して行うことができる。
すなわち、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202が、サービング基地局101Aとの間における周波数f1の無線信号の送受信と、周辺基地局101Bから送信される周波数f2,f3の無線信号の受信とを並行して行うことができるか否かを当該無線端末装置202に対して問い合わせる(端末能力問合せ)(ステップS11)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aから端末能力問合せを受信して、自己の受信能力すなわちサービング基地局101Aとの間における周波数f1の無線信号の送受信と、周辺基地局101Bから送信される周波数f2,f3の無線信号の受信とを並行して行うことができるか否かを示す端末能力応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS12)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から端末能力応答を受信して、受信した端末能力応答に応じて無線端末装置202による受信電力の測定における異周波測定動作の間隔(Gap Repetition Length)および異周波測定動作を行う異周波測定期間の長さ(Gap Length)等の測定パラメータの設定を行う。なお、異周波測定動作とは、無線端末装置202により行われる周辺基地局からの無線信号の測定動作であって、サービング基地局と無線端末装置202との間で使用される周波数とは異なる周波数の無線信号を間欠的に測定する動作である。
より詳細には、図3を用いて説明する。図3は、無線端末装置によるサービング基地局との間の通信期間と、周辺基地局から送信される無線信号の測定を行う異周波測定期間との関係を説明する図である。
図3を参照して、たとえば、無線端末装置202が1つの送受信部のみを含む場合には、無線端末装置202は、サービング基地局101Aとの間における周波数f1の無線信号の送受信と、周辺基地局101Bから送信される周波数f2,f3の無線信号の受信とを並行して行うことができない。この場合、無線端末装置202は、サービング基地局101Aとの間の通信を行わない期間すなわち異周波測定動作期間を設け、当該期間に周辺基地局101Bから送信される周波数f2,f3の無線信号を受信し、受信電力の測定を行う。
再び図2を参照して、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から、サービング基地局101Aとの間における周波数f1の無線信号の送受信と、周辺基地局101Bから送信される周波数f2,f3の無線信号の受信とを並行して行うことができないことを示す端末能力応答を受信した場合、たとえば、異周波測定動作の間隔を80ms、異周波測定期間の長さを6msと設定する。
一方、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から、サービング基地局101Aとの間における周波数f1の無線信号の送受信と、周辺基地局101Bから送信される周波数f2,f3の無線信号の受信とを並行して行うことができることを示す端末能力応答を受信した場合、たとえば、異周波測定期間の長さを0msと設定することも可能である(ステップS13)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202へRRC(Radio Resource Control)コネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する。このRRCコネクション再構成指示に、ステップS13において設定した設定内容、および、周辺セルのセルIDが含まれる(ステップS14)。
次に、無線端末装置202は、RRCコネクション再構成指示を受信して、このRRCコネクション再構成指示に含まれる設定内容に従って異周波測定動作を行う。そして、無線端末装置202は、異周波測定動作により得られた測定結果を示す測定結果通知(Measurement Report)を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS15)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する。そして、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202の通信先切替動作、すなわちハンドオーバ動作を実行すべきか否かを判断し、ハンドオーバ動作を実行すべきであると判断すると、周辺セル情報を参照して、たとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先の無線基地局装置として決定する(ステップS16)。
次に、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ先の無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS17)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS18)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS19)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS20)。
また、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS21)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、無線基地局装置101Aへハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS22)。そして、無線端末装置202の移動に伴って、上述した動作が繰り返される。
[異周波測定動作における課題]
ここで、上記のように、サービング基地局と無線端末装置202との間で使用される無線信号の周波数と、サービング基地局以外の無線基地局装置である周辺基地局から送信される無線信号の周波数とが異なる場合、無線端末装置202は、異周波測定期間を設けてこの異周波測定期間に周辺基地局から送信される無線信号の測定を間欠的に行い、サービング基地局に測定結果を送信する。
また、近年の小型基地局の設置数の増加に伴い、無線端末装置202による上記異周波測定動作の測定対象が増加する。
しかしながら、異周波測定動作期間では無線端末装置202はサービング基地局との間で通信を行うことができず、当該異周波測定動作期間は所定の期間に限られる。さらに、上記測定の精度を確保するため、無線端末装置202が並行して測定することのできる周辺基地局の数には限りがあり、たとえばLTEでは最低限4つの周辺基地局を測定対象とすることが要求されている。
このため、フェムト基地局またはピコ基地局などの周辺基地局が多数存在する場合には、周辺基地局すべてに対する無線端末装置202による上記測定に時間がかかり、無線端末装置202のハンドオーバ動作のタイミングが遅れるなどの不適切なハンドオーバ動作が行われる可能性がある。
[本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置の構成]
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置の構成を示す図である。
図4を参照して、無線基地局装置101A,101Bは、アンテナ91と、サーキュレータ92と、無線受信部93と、無線送信部94と、信号処理部95と、制御部98とを含む。信号処理部95は、受信信号処理部96と、送信信号処理部97とを有する。信号処理部95および制御部98は、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)等によって実現される。
サーキュレータ92は、アンテナ91において受信された無線端末装置202からの無線信号を無線受信部93へ出力し、また、無線送信部94から受けた無線信号をアンテナ91へ出力する。
無線受信部93は、サーキュレータ92から受けた無線信号をベースバンド信号またはIF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換し、この周波数変換した信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部96へ出力する。
受信信号処理部96は、無線受信部93から受けたデジタル信号に対してCDMA(Code Division Multiple Access)方式における逆拡散等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号の一部または全部を所定のフレームフォーマットに変換してコアネットワーク側へ送信する。
送信信号処理部97は、コアネットワーク側から受信した通信データを所定のフレームフォーマットに変換した通信データまたは自ら生成した通信データに対してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式におけるIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号を無線送信部94へ出力する。
無線送信部94は、送信信号処理部97から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線信号に周波数変換してサーキュレータ92へ出力する。
制御部98は、自己の無線基地局装置101A,101Bにおける各ユニットおよびコアネットワークとの間で各種情報をやり取りする。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置における制御部の構成を示す図である。
図5を参照して、制御部98は、ハンドオーバ要求部11と、ハンドオーバ指示部12と、端末測定結果取得部15と、異周波測定制御部16と、設定通知部17とを有する。
端末測定結果取得部15は、無線端末装置202からの測定結果通知を取得し、取得した測定結果通知から自己の無線基地局装置101A,101Bおよび無線端末装置202間の通信品質を求め、当該通信品質をハンドオーバ要求部11およびハンドオーバ指示部12に通知する。
ハンドオーバ要求部11は、自己の無線基地局装置101A,101Bから他の無線基地局装置への無線端末装置202のハンドオーバ動作を行なう要求を他の無線基地局装置に対して行なう、すなわちハンドオーバ要求を他の無線基地局装置へ送信する。たとえば、ハンドオーバ要求部11は、自己の無線基地局装置101A,101Bおよび無線端末装置202間の通信品質に関する所定条件が満たされる場合に、上記要求を他の無線基地局装置に対して行なう。
ハンドオーバ指示部12は、上記要求に対する他の無線基地局装置からの応答を受けて、無線端末装置202に対して自己の無線基地局装置101A,101Bから他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を行なう指示を与える、すなわちRRCコネクション再構成指示を無線端末装置202へ送信する。
異周波測定制御部16は、無線端末装置202に対して端末能力問合せを行う。また、異周波測定制御部16は、無線端末装置202から受信した端末能力応答に基づいて、無線端末装置202による異周波測定期間における無線信号の測定タイミング、異周波測定動作が行われる間隔(Gap Repetition Length)、または、異周波測定期間における無線信号の測定結果がサービング基地局に報告される報告タイミングなどの設定を周辺基地局ごとまたは無線信号の周波数ごとに行う。
なお、測定タイミングの設定とは、たとえば、測定処理のパラメータとして、測定タイミングの間隔を設定すること、または、測定開始タイミングとしてオフセットOST(Cell Individual Offset)を設定することを意味する。
また、報告タイミングの設定とは、たとえば、無線信号の測定結果が所定条件を満たす状態が所定時間継続するたびに上記測定結果がサービング基地局へ報告すなわち送信される場合において、上記所定時間(TTT:Time to Trigger)を設定することを意味する。
設定通知部17は、異周波測定制御部16により設定された設定内容を取得して、当該設定内容を無線端末装置202へ送信する。
なお、図5におけるハンドオーバ要求部11、ハンドオーバ指示部12および端末測定結果取得部15は、本発明において必須の構成要素ではない。無線基地局装置101A,101Bは、これらの構成要素を備えなくても、周辺基地局から送信される無線信号の測定において、無線端末装置202における周辺基地局からの無線信号の測定動作を適切に行い、通信の安定化を図るという本発明の目的を達成することが可能である。
[異周波測定制御部による設定動作]
次に、無線基地局装置101Aの異周波測定制御部16による設定動作の流れについて、「測定タイミングの設定動作」、「異周波測定動作を行う間隔の設定動作」、および「報告タイミングの設定動作」に分けて説明する。
(1)測定タイミングの設定動作
(i)測定タイミングの間隔
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置の異周波測定制御部による測定タイミングの間隔の設定動作の流れを説明するフローチャートである。
図6を参照して、まず、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置であるサービング基地局101Aは、無線端末装置202の周辺基地局101Bを特定する。具体的には、サービング基地局101Aは、無線端末装置202の位置を推定し、推定した無線端末装置202の位置に基づいて当該無線端末装置202の周囲に存在する1または複数の無線基地局装置を周辺基地局101Bとして特定する。
たとえば、サービング基地局101Aは、GPS(Global Positioning System)を利用することが可能である。あるいは、サービング基地局101Aは、3GPPで規定されたLPP(LTE Positioning Protocol)を利用することが可能である。すなわち、ダウンリンクLPPにおいて、まず、3つ以上の無線基地局装置がLPP専用の信号を送信する。次に、無線端末装置202において各無線基地局装置からの当該信号の受信タイミングの差を算出し、サービング基地局101Aに算出結果を通知する。次に、サービング基地局101Aは、通知された受信タイミングの差に基づいて無線端末装置202の位置を推定する。
また、無線端末装置202の位置の推定としては、次のような方法を用いてもよい。すなわち、アップリンクLPPにおいて、まず、無線端末装置202がLPP専用の信号を送信する。次に、各無線基地局装置が当該信号の受信タイミングを算出する。次に、各無線基地局装置の上位装置が、各無線基地局装置において算出された受信タイミングを取得し、これらのタイミング差に基づいて無線端末装置202の位置を推定する。
そして、サービング基地局101Aは、上記のような方法を用いて無線端末装置202の位置を推定し、推定した無線端末装置202の位置情報と、予め記憶する複数の無線基地局装置の位置情報とに基づいて無線端末装置202の周辺基地局101Bを特定する(ステップS31)。
次に、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、無線端末装置202へ端末能力問合せを送信し、無線端末装置202から端末能力問合せに対する端末能力応答を受信する。
ここでは、異周波測定制御部16は、無線端末装置202がサービング基地局101Aおよび無線端末装置202間で使用される周波数f1の無線信号の送受信と、周辺基地局101Bから送信される周波数f2,f3の無線信号の受信とを並行して行うことができないことを示す端末能力応答を、無線端末装置202から受信するものとする。
次に、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、予め記憶する複数の無線基地局装置の位置情報に基づいて、自己のサービング基地局101Aと周辺基地局101Bとして特定した無線基地局装置との距離を取得する(ステップS32)。
なお、異周波測定制御部16は、他の方法を用いることにより自己のサービング基地局101Aと周辺基地局101Bとの距離を取得することも可能である。たとえば、異周波測定制御部16は、他の無線基地局装置が送信する無線信号の電力と、他の無線基地局装置が送信する無線信号の、自己の無線基地局装置の形成するセルにおける受信電力との差である下りパスロスに基づいて、自己の無線基地局装置と他の無線基地局装置との基地局間距離Rを推定する。
次に、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、サービング基地局101Aから送信される無線信号の電力に関する情報、および、特定した周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力に関する情報を取得する(ステップS33)。
たとえば、異周波測定制御部16は、他の無線基地局装置が送信する無線信号の電力と、他の無線基地局装置が送信する無線信号の、自己のサービング基地局101Aの形成するサービングセルCAにおける受信電力との差である下りパスロスの時間的な変化に基づいて、自己のサービング基地局101Aから送信される無線信号の電力に関する情報、および、特定した周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力に関する情報を取得することができる。
あるいは、異周波測定制御部16は、サービングセルCAに在圏する無線端末装置202が送信する無線信号の電力と、サービング基地局101Aにおける無線信号の受信電力との差である上りパスロスの時間的な変化に基づいて、サービング基地局101Aから送信される無線信号の電力に関する情報、および、特定した周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力に関する情報を取得することができる。
次に、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、ステップS32において取得したサービング基地局101Aと周辺基地局101Bとの距離、ステップS33において取得したサービング基地局101Aから送信される無線信号の電力に関する情報および特定した周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力に関する情報に基づいて、異周波測定期間における無線信号の測定タイミングの間隔を設定する(ステップS34)。
たとえば、異周波測定制御部16は、自己のサービング基地局101Aと周辺基地局101Bとの距離が遠いほど測定タイミングの間隔を短く設定する。
図7は、図6に示す測定タイミングの設定動作により設定された測定タイミングの間隔を示す図である。
図7を参照して、通信システム401に、サービング基地局101Aにより形成されるサービングセルCA内に位置する無線基地局装置101Baと、サービングセルCAのエッジ付近に位置する無線基地局装置101Bbとが設けられている状況を想定する。サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、たとえば、無線基地局装置101Baからの無線信号の測定タイミングの間隔を間隔t1と設定し、無線基地局装置101Bbからの無線信号の測定タイミングの間隔を間隔t2(<t1)と設定する。
なお、上述のように、測定の精度を確保するため、無線端末装置202が並行して測定することのできる周辺基地局の数には限りがある。このため、たとえば図5に示す状況においては、無線基地局装置101Baからの無線信号の測定タイミングと無線基地局装置101Bbからの無線信号の測定タイミングとは異なるタイミングで行われることが好ましい。このため、無線基地局装置101Baに対して設定される測定タイミングの間隔と、無線基地局装置101Bbに対して設定される測定タイミングの間隔とはいずれも素数であることが好ましい。
次に、サービング基地局101Aの設定通知部17は、ステップS34において異周波測定制御部16により設定された測定タイミングの間隔を示す情報を無線端末装置202へ送信する。これにより、無線端末装置202は、サービング基地局101Aから送信された情報の示す設定内容に基づいて異周波測定動作を行う(ステップS35)。
より詳細には、ステップS31において無線端末装置202の周辺基地局として無線基地局装置101Ba,101Bbが特定された場合、無線端末装置202は、異周波測定期間において、無線基地局装置101Ba,101Bbから送信される無線信号について異周波測定動作を行う。
このとき、図7に示すように、無線基地局装置101Baからの無線信号の測定タイミングの間隔が間隔t1と設定され、無線基地局装置101Bbからの無線信号の測定タイミングの間隔が間隔t2(<t1)と設定されていることから、無線基地局装置101Baの無線信号よりも、無線端末装置202による異周波測定期間において無線基地局装置101Bbの無線信号の方が多くの回数測定が行われる。
なお、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、たとえば、サービング基地局101Aから送信される無線信号の電力が小さいほど測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。また、たとえば、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力が大きいほど測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
さらに、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、サービング基地局101Aと周辺基地局101Bとの距離、自己のサービング基地局101Aから送信される無線信号の電力および周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力を総合的に判断することによって測定タイミングの間隔を設定してもよい。たとえば、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、{(サービング基地局101Aと周辺基地局101Bとの距離)×(周辺基地局101Bの送信電力)/(サービング基地局101Aの送信電力)}の値が小さいほど測定タイミングの間隔を長く設定することができる。
(ii)測定開始タイミング
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置の異周波測定制御部による測定開始タイミングの設定動作の流れを説明するフローチャートであり、図9は、図8に示す測定開始タイミングの設定動作により設定された測定開始タイミングを示す図である。
図8を参照して、まず、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、上述したステップS31と同様に、無線端末装置202の周辺基地局101Bを特定する(ステップS41)。
次に、サービング基地局101Aは、測定開始タイミングとしてオフセットOSTを設定する。すなわち、サービング基地局101Aは、図示しないメモリに、複数の他の無線基地局装置と当該他の無線基地局装置ごとに設定されたオフセットOSTとを対応づけて記録している。そして、異周波測定制御部16は、当該メモリを参照することにより、特定した周辺基地局101Bに対応づけて記録されているオフセットOSTを抽出し、抽出したオフセットOSTを設定する(ステップS42)。
図9を参照して、通信システム401にサービング基地局101A以外の無線基地局装置として無線基地局装置101Ba,101Bbが設けられている状況を想定する。サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、たとえば、無線基地局装置101Baに対してオフセットOST=0msを設定し、無線基地局装置101Bbに対してオフセットOST=1msを設定する。なお、図9に示す例では、無線基地局装置101Baに対して設定されている測定タイミングの間隔と、無線基地局装置101Bbに対して設定されている測定タイミングの間隔とが同じであり、無線基地局装置101Baに対して設定されているオフセットOSTと、無線基地局装置101Bbに対して設定されているオフセットOSTとが異なる状況である。
次に、サービング基地局101Aの設定通知部17は、ステップS42において設定した測定開始タイミングすなわちオフセットOSTを示す情報を無線端末装置202へ送信する。これにより、無線端末装置202は、サービング基地局101Aから送信された設定内容に基づいて異周波測定動作を行う(ステップS43)。
より詳細には、ステップS41において無線端末装置202の周辺基地局として無線基地局装置101Ba,101Bbが特定された場合、無線端末装置202は、異周波測定期間において無線基地局装置101Ba,101Bbから送信される無線信号の測定を行う。
このとき、図9に示すように、無線基地局装置101Baに対してオフセットOST=0msが設定され、無線基地局装置101Bbに対してオフセットOST=1msが設定されていることから、無線基地局装置101Bbの無線信号は無線基地局装置101Baよりも1ms遅れたタイミングで周期的に測定される。
(iii)設定内容の通知動作の詳細
次に、設定通知部17による無線端末装置202への設定内容の送信すなわち通知動作の詳細について説明する。図10は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置の設定通知部による設定内容の通知動作の流れを説明するシーケンスであり、図11は、図10に示す通知動作の設定パラメータの一例を示す図であり、図12は、図11に示すメジャメントオブジェクトに含まれる設定パラメータの一例を示す図である。
図10を参照して、まず、サービング基地局101Aの設定通知部17は、異周波測定制御部16により設定された異周波測定動作に関する設定内容すなわち設定パラメータを異周波測定制御部16から取得し、取得した設定パラメータをRRCコネクション再構成指示に含めて無線端末装置202へ送信する。
たとえば、図11および図12を参照して、3GPP TS36.331にはRRCコネクション再構成指示に含まれるメッセージが記載されている。このRRCコネクション再構成指示には、複数のメジャメントオブジェクトMO(Meas Object To Add Mod List)を追加することができる。
ここで、たとえば、異周波測定制御部16は、無線端末装置202の周囲に位置する周辺基地局として複数の無線基地局装置101Bが特定された場合、これら複数の無線基地局装置101Bを、送信される無線信号の周波数が同じであるもの同士の組に分ける。そして、異周波測定制御部16は、異周波測定動作を行う測定タイミングの間隔および測定開始タイミングを上記組ごとに設定する。
なお、異周波測定制御部16は、測定タイミングの間隔および測定開始タイミングを無線基地局装置101Bごとに設定することも可能である。
そして、設定通知部17は、異周波測定制御部16により分けられた組の数だけメジャメントオブジェクトMOをRRCコネクション再構成指示に追加する。そして、設定通知部17は、追加したメジャメントオブジェクトMOに、対応する組に含まれる無線基地局装置101Bのリストを示すメッセージML(Cells To Add Mod List)、当該組に対して設定された測定タイミングの間隔を示すメッセージMP1(Meas Period)、および、当該組に対して設定された測定開始タイミングを示すメッセージMOS1(Meas Offset)を含めたRRCコネクション再構成指示を、無線端末装置202へ送信する(ステップS51)。
次に、無線端末装置202は、サービング基地局101Aの設定通知部17からRRCコネクション再構成指示を受信して、受信したRRCコネクション再構成指示に含まれる無線基地局装置101Bのリスト、測定タイミングの間隔および測定開始タイミングなどの設定パラメータを有効にして異周波測定動作を行う。すなわち、無線端末装置202は、異周波測定動作を行うための設定パラメータを、RRCコネクション再構成指示に含まれる設定パラメータに更新する(ステップS52)。
そして、無線端末装置202は、設定パラメータの更新を行うと、設定パラメータの更新が完了したことを示す通知をRRCコネクション再構成完了通知に含め、このRRCコネクション再構成完了通知を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS53)。
(2)異周波測定動作を行う間隔の制御動作
図13は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置を備える通信システムにおいてハンドオーバ動作が行なわれる状況の一例を示す図である。また、図14は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置の異周波測定制御部による異周波測定動作を行う間隔の設定動作の流れを説明するフローチャートであり、図15は、図14に示す異周波測定動作を行う間隔の設定動作により設定された異周波測定動作を行う間隔の一例を示す図である。
図13を参照して、ここでは、サービング基地局101Aにより形成されるサービングセルCA内に位置する無線基地局装置101Baと、当該サービングセルCAのセルエッジ付近に位置する無線基地局装置101Bbとが設けられ、サービング基地局101Aと通信している無線端末装置202が、無線基地局装置101Baにより形成されるセルCBaへ向かって移動した後、さらに、無線基地局装置101Bbにより形成されるセルCBbへ向かって移動する状況を想定する。
図14を参照して、まず、サービング基地局101Aは、図6に示すステップS31と同様に、無線端末装置202の周辺基地局101Bを特定する(ステップS61)。
次に、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、特定した周辺基地局101Bに基づいて異周波測定動作の間隔(Gap Repetition Length)を設定する。
ここで、サービング基地局101Aは、図示しないメモリに、複数の他の無線基地局装置と当該他の無線基地局装置ごとに設定された異周波測定動作の間隔情報とを対応づけて記録している。そして、異周波測定制御部16は、当該メモリを参照することにより、特定した周辺基地局101Bに対応づけて記録されている異周波測定動作の間隔情報を抽出し、抽出した異周波測定動作の間隔を設定する(ステップS62)。
なお、サービング基地局と周辺基地局との距離が近いほど、当該周辺基地局はサービングセル内に位置する可能性が高く、当該サービングセルのセルエッジ付近に位置している周辺基地局と比較してハンドオーバ動作のタイミングが遅れることによる無線リンク断が発生する可能性が低い。このため、サービングセルのセルエッジ付近に位置する周辺基地局からの無線信号の測定は、サービングセル内に位置する周辺基地局からの無線信号の測定よりも高い頻度で行われることが好ましい。このため、上記メモリには、たとえばサービング基地局との距離が近い周辺基地局ほど、異周波測定動作の間隔が長くなるように異周波測定動作の間隔情報が対応づけられている。
次に、サービング基地局101Aの設定通知部17は、ステップS62において異周波測定制御部16により設定された異周波測定動作の間隔を示す情報を無線端末装置202へ送信する。これにより、無線端末装置202は、サービング基地局101Aから送信された設定内容に基づいて異周波測定動作を行う(ステップS63)。
具体的には、図15を参照して、無線端末装置202の周囲に位置する周辺基地局として無線基地局装置101Baが特定され、この無線基地局装置101Baに予め対応づけられている異周波測定動作の間隔が間隔L1=160msである場合、異周波測定制御部16はこの間隔L1を異周波測定動作の間隔として設定し、無線端末装置202へ設定内容を送信する。
その後、無線端末装置202が移動することにより、周辺基地局として無線基地局装置101Bbが特定され、この無線基地局装置101Bbに予め対応づけられている異周波測定動作の間隔が間隔L2=80ms(<L1)である場合、異周波測定制御部16はこの間隔L2を異周波測定動作の間隔として設定し、無線端末装置202へ設定内容を送信する。これにより、無線端末装置202は、自己の移動に伴って異なる間隔で異周波測定動作を繰り返す。
また、図16は、図14に示す異周波測定動作を行う間隔の設定動作により設定された異周波測定動作を行う間隔の一例を示す図である。
図13に示す状況とは異なる他の状況として、たとえば、図14に示すステップS61においてサービングセルCAのセルエッジ付近位置する無線基地局装置101Baと、サービングセルCA内に位置する無線基地局装置101Bb,101Bc,101Bd,101Beとが周辺基地局として特定される状況を想定する。
このような状況において、無線基地局装置101Baに予め対応づけられている異周波測定動作の間隔が240msであり、無線基地局装置101Bb,101Bc,101Bd,101Beに予め対応づけられている異周波測定動作の間隔が480msであるとする。また、無線端末装置202による異周波測定動作の基本間隔が80msであるとする。
この場合、図16に示すように、無線基地局装置101Ba(図16に示す「1」)は、無線端末装置202に無線端末装置による3度の異周波測定動作のうち1度の異周波測定動作においてのみ測定対象となる。これに対して、無線基地局装置101Bb,101Bc,101Bd,101Be(図16に示す「2」,「3」,「4」,「5」)は、無線端末装置202に無線端末装置による6度の異周波測定動作のうち1度の異周波測定動作において測定対象となる。
(3)報告タイミングの制御動作
(i)動作の流れ
図17は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置の異周波測定制御部による報告タイミングの設定動作の流れを説明するフローチャートである。
図17を参照して、まず、ステップ71からステップS73までの動作は、図6に示すステップS31からステップS33までの動作と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
次に、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、ステップS72において取得したサービング基地局101Aと周辺基地局101Bとの間の距離、ステップS73において取得したサービング基地局101Aから送信される無線信号の電力に関する情報および特定した周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力に関する情報に基づいて、異周波測定期間における無線信号の測定結果を報告する報告タイミングを設定する。
ここで、無線端末装置202は、異周波測定動作を行う異周波測定期間において無線信号を測定し、当該測定による測定結果が所定条件を満たす状態が所定時間継続するたびに、測定結果をサービング基地局101Aへ送信する。
詳細には、図18用いて説明する。図18は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置を備える通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信する状況の一例を示す図である。
図18において横軸は時間であり、縦軸は無線端末装置202における無線信号の受信電力またはSINR(Signal to Interference-plus-Noise Ratio)であり、SVCは周辺基地局により形成されるセルの受信電力またはSINRすなわち周辺基地局が送信する無線信号の受信電力またはSINRである。また、閾値Thに対して正負の方向にヒステリシスHSが設定されている。
無線端末装置202は、周辺基地局により形成されるセルの受信電力またはSINRが(Th+HS)よりも大きくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT1)。
そして、無線端末装置202は、受信電力またはSINRが(Th−HS)よりも大きい、という条件が満たされた状態でタイミングT1からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT2)。
次に、無線端末装置202は、当該条件が満たされた状態でタイミングT2からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT3)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT3からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT4)。
すなわち、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、上記所定時間であるTTTを、周辺基地局ごとまたは無線信号の周波数ごとに設定する(ステップS74)。
たとえば、サービング基地局と周辺基地局との距離が近いほど、当該周辺基地局はサービングセル内に位置する可能性が高く、当該サービングセルのセルエッジ付近に位置している周辺基地局と比較してハンドオーバ動作のタイミングが遅れることによる無線リンク断が発生する可能性が低い。このため、異周波測定制御部16は、たとえばサービング基地局101Aとの距離が近い無線基地局装置101Bに対してはTTTを長く設定する。
次に、サービング基地局101Aの設定通知部17は、ステップS74において異周波測定制御部16により設定されたTTTを示す情報を無線端末装置202へ送信する。これにより、無線端末装置202は、サービング基地局101Aから送信された設定内容に基づいて異周波測定動作の測定結果の報告を行う(ステップS75)。
なお、上述した動作の流れでは、サービング基地局101Aが、サービング基地局101Aと周辺基地局101Bとの間の距離、サービング基地局101Aから送信される無線信号の電力に関する情報および周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力に関する情報に基づいてTTTを設定する場合について説明した。しかしながら、このような動作の流れに限定されず、サービング基地局101Aは、他の方法を用いてTTTを設定することも可能である。
図19は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置の異周波測定制御部により設定される異周波測定動作の間隔とTTTとの関係を示す図である。
ここで、図6に示す測定タイミングの間隔の設定動作において、無線基地局装置101Baからの無線信号の測定タイミングの間隔が間隔t1と設定され、無線基地局装置101Bbからの無線信号の測定タイミングの間隔が間隔t2(<t1)と設定されているとする。この場合、図7に示すように、異周波測定動作の期間において行われる測定回数は、無線基地局装置101Baからの無線信号の方が無線基地局装置101Bbからの無線信号よりも少ない。
このため、サービング基地局101Aは、図19に示すように、測定回数が比較的少ない、すなわち測定タイミングの間隔が長いほどTTTを長く設定し、測定の回数をある程度確保したうえで測定結果が報告されるように、測定タイミングの間隔とTTTとを対応づけて図示しないメモリに予め記憶する。そして、異周波測定制御部16は、当該メモリを参照し、周辺基地局101Bからの無線信号の測定タイミングの間隔として設定された測定タイミングの間隔に基づいてTTTを設定することが可能である。
(ii)設定内容の通知動作の詳細
次に、設定通知部17による無線端末装置202への設定内容の送信すなわち通知動作の詳細について説明する。図20は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置の設定通知部による設定内容の通知動作の流れを説明するシーケンスである。
図20を参照して、まず、サービング基地局101Aの設定通知部17は、異周波測定制御部16により設定された報告タイミングすなわちTTTを異周波測定制御部16から取得し、取得したTTTをRRCコネクション再構成指示に追加して無線端末装置202へ送信する。たとえば、設定通知部17は、RRCコネクション再構成指示に追加されたメジャメントオブジェクトMOごとにTTTを含めて送信する(ステップS81)。
次に、無線端末装置202は、サービング基地局101Aの設定通知部17からRRCコネクション再構成指示を受信して、受信したRRCコネクション再構成指示に含まれるTTTに基づいて、異周波測定動作の報告タイミングを調整する(ステップS82)。
そして、無線端末装置202は、報告タイミングの調整を行うと、報告タイミングの調整が完了したことを示す通知をRRCコネクション再構成完了通知に含め、このRRCコネクション再構成完了通知を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS83)。
なお、本発明の第1の実施の形態では、異周波測定制御部16が、測定処理のパラメータとして測定タイミングの間隔、測定開始タイミング、異周波測定動作を行う間隔または報告タイミングのいずれか1つを設定する場合について説明した。しかしながら、異周波測定制御部16は、これらのパラメータの設定のうち複数の設定を並行して行うことも可能である。
また、本発明の第1の実施の形態では、サービング基地局101Aがマクロ基地局であり、周辺基地局101Bがフェムト基地局またはピコ基地局である場合について説明したが、サービング基地局101Aがフェムト基地局またはピコ基地局であり、周辺基地局101Bがマクロ基地局であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態では、ハンドオーバ動作のタイミングが遅れることにより無線リンク断が発生する可能性が高い無線基地局装置として、サービングセルCAのセルエッジ付近に位置する無線基地局装置101Bbを例示した。しかしながら、サービングセルCAのセルエッジ付近に位置する無線基地局装置だけでなく、たとえばカバレッジホール等、サービング基地局と無線端末装置202との間で使用される周波数を用いた通信が無線端末装置202において困難なエリアを形成するものであれば、ハンドオーバ動作のタイミングが遅れることにより無線リンク断が発生する可能性が高い無線基地局装置に該当する。
ところで、近年、フェムト基地局およびピコ基地局などの小型基地局の設置数が増加傾向にある。また、無線基地局装置の近くでは受信電力の変化が急であり、さらに、無線基地局により形成されるセルのセルエッジにおける受信電力の変化は、マクロ基地局よりもフェムト基地局またはピコ基地局などの小型基地局の方が大きい。このため、小型基地局の設置数の増加に伴い、無線端末装置のハンドオーバ動作が起こりやすくなっている。
また、サービング基地局と当該無線端末装置との間で使用される無線信号の周波数と、サービング基地局以外の無線基地局装置である周辺基地局から送信される無線信号の周波数とが異なる場合がある。
このような移動通信システムでは、たとえば、無線端末装置は、通信接続先として適切な無線基地局装置が選択されるために、自己とサービング基地局との間で使用される無線信号の周波数と異なる周波数の無線信号の測定を間欠的に行い、サービング基地局に測定結果を送信する(非特許文献2(3GPP TS 36.133 V10.4.0))。このような測定動作を行う無線端末装置では、近年の小型基地局の設置数の増加に伴い、上記測定の対象が増加する。
しかしながら、上記測定の精度を確保するため、無線端末装置が並行して測定することのできる周辺基地局の数には限りがある。このため、周辺基地局が多数存在する場合には、無線端末装置による上記測定に時間がかかり、ハンドオーバ動作のタイミングが遅れるなどの問題が発生する。
また、上記測定結果は、たとえば、無線端末装置において所定条件を満たす状態が所定時間継続した場合に当該無線端末装置からサービング基地局へ送信される。そして、サービング基地局への上記測定結果の送信が行われるまでに時間がかかる場合には、測定自体が遅れる場合と同様に、ハンドオーバ動作のタイミングが遅れるなどの問題が発生する。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16が、異周波測定動作が行われる異周波測定期間において異なる周波数の無線信号が測定されるタイミングである測定タイミング、異周波測定動作が行われる間隔、または異周波測定期間における異なる周波数の無線信号の測定結果がサービング基地局101Aに報告されるタイミングである報告タイミングを設定する。また、設定通知部17が、異周波測定制御部16による設定の内容を無線端末装置202に通知する。さらに、異周波測定制御部16は、周辺基地局101Bごとまたは無線信号の周波数ごとに上記設定を行う。
このような構成により、周辺基地局101Bごとまたは周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数ごとにタイミングをずらして異周波測定動作を行うことができるため、並行して測定することのできる測定対象の数に限りがあっても、所定期間内に測定することのできる測定対象の数を従来よりも増やすことができる。このため、周辺基地局101Bが多数存在する場合であっても測定に時間がかかることを防ぎ、無線端末装置202による異周波測定動作を適切に行うことができ、通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16は、測定タイミングの間隔を周辺基地局101Bごとまたは無線信号の周波数ごとに設定する。
このように、測定タイミングの間隔を設定する構成により、異周波測定動作のタイミング調整を適切かつ容易に行うことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16は、周辺基地局101Bとサービング基地局101Aとの距離が遠いほど測定タイミングの間隔を短く設定する。
このような構成により、無線リンク断が発生する可能性が高い状況であるほど周辺基地局101Bから送信される無線信号を頻繁に測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16は、サービング基地局101Aから送信される無線信号の電力が小さいほど測定タイミングの間隔を短く設定する。
このような構成により、無線リンク断が発生する可能性が高い状況であるほど周辺基地局101Bから送信される無線信号を頻繁に測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16は、周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力が大きいほど測定タイミングの間隔を短く設定する。
このような構成により、無線端末装置202の通信接続先として選択される可能性が高い周辺基地局101Bから送信される無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16は、周辺基地局101Bから送信される無線信号の無線端末装置202における受信電力が大きいほど測定タイミングの間隔を短く設定する。
このような構成により、無線端末装置202の通信接続先として選択される可能性が高い周辺基地局101Bから送信される無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16は、異周波測定期間における異なる周波数の無線信号の測定開始タイミングを周辺基地局101Bごとまたは無線信号の周波数ごとに設定する。
このように、測定開始タイミングを設定する構成により、異周波測定動作のタイミング調整を適切かつ容易に行うことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16は、周辺基地局101Bとサービング基地局101Aとの距離が近いほど異周波測定動作を行う間隔を長く設定する。
このような構成により、無線リンク断が発生する可能性の低い周辺基地局101Bから送信される無線信号の測定の頻度を少なくして、無線端末装置202の消費電力を低減させることができる。
また、本発明の第1の実施の形態において、無線端末装置202は、異周波測定期間における異なる周波数の無線信号の測定結果が所定条件を満たす状態が所定時間継続するたびに、測定結果を無線基地局装置に報告する。また、異周波測定制御部16は、所定時間を周辺基地局101Bごとまたは無線信号の周波数ごとに設定する。
このような構成により、たとえば、周辺基地局101Bがサービングセルのセルエッジ付近に位置する状況、すなわち無線端末装置202のハンドオーバ動作が遅すぎることにより無線リンク断が発生する可能性が高い状況においては、上記所定時間を短く設定して通信の安定化を図るとともに、周辺基地局101Bがサービングセルの中心付近に位置する状況においては上記所定時間を長く設定して精度の高い測定結果を得ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16は、測定タイミングの間隔が長いほど、上記所定時間を長く設定する。
このような構成により、測定タイミングの間隔が長く、所定期間内に行われる測定回数が少ない周辺基地局101Bからの無線信号であっても、測定結果が所定条件を満たす状態が長時間継続するまで無線基地局装置への報告が行われないため、報告される測定結果の精度を確保することができる。
(変形例1)
次に、本発明の第1の実施の形態の変形例1について説明する。上述した第1の実施の形態では、サービング基地局101Aと周辺基地局101Bとの距離、周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力の大きさ、および、サービング基地局101Aから送信される無線信号の電力の大きさのうち少なくとも1つ以上を基準として、測定タイミング、異周波測定動作が行われる間隔、および、報告タイミングの制御が行われる場合について説明した。
これに対して、本発明の第1の実施の形態の変形例1では、周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数の高低に基づいて、測定タイミング、異周波測定動作が行われる間隔、および、報告タイミングの制御が行われる場合について説明する。
(1)測定タイミングの間隔の制御
本発明の第1の実施の形態の変形例1に係る無線基地局装置であるサービング基地局101Aは、上述した本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置と同様に、無線端末装置202の周囲に存在する1または複数の周辺基地局101Bを特定する。
そして、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、特定された周辺基地局101Bから送信される無線信号に関する情報を、たとえばコアネットワークから取得する。この情報には、特定された各周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数を示す情報が含まれている。
ここで、周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数が高いほど無線信号の減衰が大きく無線端末装置202との間の通信品質が悪くなるため、無線端末装置202のハンドオーバ動作のタイミングが遅すぎることによる無線リンク断が発生する可能性が高い。このため、異周波測定制御部16は、特定された各周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数を示す情報に基づいて、当該周波数が高い周辺基地局101Bほど優先的に多くの測定が行われるように、測定タイミングの間隔を短く設定する。
たとえば、図13に示すように、通信システム401に、無線端末装置202との間で周波数f2の無線信号を送受信する周辺基地局101Baと、無線端末装置202との間で周波数f3の無線信号を送受信する周辺基地局101Bbとが設けられている場合であり、周波数f3が周波数f2よりも高い場合(f3>f2)を想定する。この場合、異周波測定制御部16は、無線基地局装置101Baからの周波数f2の無線信号の測定タイミングの間隔よりも、無線基地局装置101Bbからの周波数f3の無線信号の測定タイミングの間隔を短く設定する。
(2)異周波測定動作を行う間隔の制御
また、異周波測定制御部16は、特定された各周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数を示す情報に基づいて、異周波測定動作の間隔を設定することができる。具体的には、異周波測定制御部16は、特定された周辺基地局101Bのうち、送信する無線信号の周波数が高い周辺基地局ほど、異周波測定動作の間隔を短く設定する。
すなわち、上述した例において、異周波測定制御部16は、周辺基地局101Baから送信される周波数f2の無線信号を測定する異周波測定動作の間隔よりも、周辺基地局101Bbから送信される周波数f3(>f2)の無線信号を測定する異周波測定動作の間隔を短く設定する。
(3)報告タイミングの制御
また、異周波測定制御部16は、特定された各周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数を示す情報に基づいて、異周波測定動作における無線信号の測定結果を報告する報告タイミングを設定することができる。具体的には、異周波測定制御部16は、特定された周辺基地局101Bのうち、送信する無線信号の周波数が高い周辺基地局ほどTTTを短く設定する。
すなわち、上述した例において、異周波測定制御部16は、周辺基地局101Baから送信される周波数f2の無線信号の測定におけるTTTよりも、周辺基地局101Bbから送信される周波数f3(>f2)の無線信号の測定におけるTTTを短く設定する。
このように、異周波測定制御部16により測定タイミングの間隔、異周波測定動作を行う間隔およびTTTの設定が行われると、サービング基地局101Aの設定通知部17は、異周波測定制御部16により設定された設定内容を示す情報を無線端末装置202へ送信する。これにより、無線端末装置202は、サービング基地局101Aから送信された設定内容に基づいて、異周波測定動作および当該異周波測定動作の測定結果の報告を行う。
なお、異周波測定制御部16は、特定された各周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数を示す情報に基づいて、周辺基地局101Bごとに異周波測定期間における測定開始タイミング、すなわちオフセットを設定することも可能である。
上記のように、本発明の第1の実施の形態の変形例1に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16は、周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数が高いほど測定タイミングの間隔を短く設定する。
このような構成により、無線端末装置202の通信接続先となる場合に無線リンク断が発生する可能性が高い周辺基地局101Bからの無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態の変形例1に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16は、周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数が高いほど異周波測定動作を行う間隔を短く設定する。
このような構成により、無線端末装置202の通信接続先となる場合に無線リンク断が発生する可能性の高い周辺基地局101Bからの無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(変形例2)
次に、本発明の第1の実施の形態の変形例2について説明する。上述した第1の実施の形態の変形例1では、周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数が高いほど、測定タイミング、異周波測定動作が行われる間隔、および、報告タイミングを短く設定する場合について説明した。
これに対して、本発明の第1の実施の形態の変形例2では、周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数が低いほど、測定タイミング、異周波測定動作が行われる間隔、および、報告タイミングを短く設定する場合について説明する。
(1)測定タイミングの間隔の制御
ここで、周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数が低いほど無線信号の減衰が小さく無線端末装置202との間の通信品質が良くなる。このため、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、特定された1または複数の周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数を示す情報に基づいて、1または複数の周辺基地局101Bのうち、送信する無線信号の周波数が低いほど優先的に多くの測定が行われるように、測定タイミングの間隔を短く設定する。
たとえば、図13に示すように、通信システム401に、無線端末装置202との間で周波数f2の無線信号を送受信する周辺基地局101Baと、無線端末装置202との間で周波数f3の無線信号を送受信する周辺基地局101Bbとが設けられている場合であり、周波数f3が周波数f2よりも高い場合(f3>f2)、異周波測定制御部16は、無線基地局装置101Bbからの周波数f3の無線信号の測定タイミングの間隔よりも、無線基地局装置101Baからの周波数f2の無線信号の測定タイミングの間隔を短く設定する。
(2)異周波測定動作を行う間隔の制御
また、異周波測定制御部16は、特定された各周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数を示す情報に基づいて、特定された周辺基地局101Bのうち、送信する無線信号の周波数が低い周辺基地局ほど、異周波測定動作の間隔を短く設定することができる。
すなわち、上述した例において、異周波測定制御部16は、周辺基地局101Bbから送信される周波数f3の無線信号を測定する異周波測定動作の間隔よりも、周辺基地局101Baから送信される周波数f2(<f3)の無線信号を測定する異周波測定動作の間隔を短く設定する。
(3)報告タイミングの制御
また、異周波測定制御部16は、特定された各周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数を示す情報に基づいて、特定された周辺基地局101Bのうち、送信する無線信号の周波数が低い周辺基地局ほどTTTを短く設定することができる。
すなわち、上述した例において、異周波測定制御部16は、周辺基地局101Bbから送信される周波数f3の無線信号の測定におけるTTTよりも、周辺基地局101Baから送信される周波数f2(<f3)の無線信号の測定におけるTTTを短く設定する。
上記のように、本発明の第1の実施の形態の変形例2に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16は、周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数が低いほど測定タイミングの間隔を短く設定する。
このような構成により、送信される無線信号の減衰が小さく、無線端末装置202との間の通信品質が良くなる周辺基地局から送信される無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態の変形例2に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16は、周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数が低いほど異周波測定動作を行う間隔を短く設定する。
このような構成により、送信される無線信号の減衰が小さく、無線端末装置202との間の通信品質が良くなる周辺基地局から送信される無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
(変形例3)
次に、本発明の第1の実施の形態の変形例3について説明する。上述した第1の実施の形態の変形例1および変形例2では、周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数に基づいて、測定タイミング、異周波測定動作が行われる間隔、および、報告タイミングの制御が行われる場合について説明した。
これに対して、本発明の第1の実施の形態の変形例3では、無線端末装置202と周辺基地局101Bとの距離に基づいて、測定タイミング、異周波測定動作が行われる間隔、および、報告タイミングの制御が行われる場合について説明する。
(1)測定タイミングの間隔の制御
本発明の第1の実施の形態の変形例3に係る無線基地局装置であるサービング基地局101Aは、上述した本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置と同様に、無線端末装置202の周囲に存在する1または複数の周辺基地局101Bを特定する。
そして、サービング基地局101Aの異周波測定制御部16は、特定された各周辺基地局101Bと無線端末装置202との距離に基づいて測定タイミングの間隔を設定する。
ここで、無線端末装置202と周辺基地局101Bとの距離が近いほど、この周辺基地局101Bが無線端末装置202の通信接続先として選択される可能性が高い。このため、異周波測定制御部16は、無線端末装置202と周辺基地局101Bとの距離が近いほど、無線端末装置202との距離が遠い周辺基地局よりも優先的に多くの測定が行われるように、測定タイミングの間隔を短く設定する。
具体的には、異周波測定制御部16は、無線端末装置202の周囲に存在する周辺基地局101Bの特定の際に用いた無線端末装置202の位置情報と、予め記憶する複数の無線基地局装置の位置情報とに基づいて、無線端末装置202と特定された各周辺基地局101Bとの距離を算出する。そして、異周波測定制御部16は、特定された周辺基地局のうち、無線端末装置202との距離が短い周辺基地局ほど測定タイミングの間隔を短く設定する。
たとえば、図13に示すように、通信システム401に、無線端末装置202の周囲に周辺基地局101Baおよび周辺基地局101Bbが存在し、周辺基地局101Baの方が、周辺基地局101Bbよりも無線端末装置202に近い場合を想定する。この場合、異周波測定制御部16は、無線端末装置202から遠い無線基地局装置101Bbからの無線信号の測定タイミングの間隔よりも、無線端末装置202から近い無線基地局装置101Baからの無線信号の測定タイミングの間隔を短く設定する。
(2)異周波測定動作を行う間隔の制御
また、異周波測定制御部16は、無線端末装置202と、特定された各周辺基地局101Bとの距離に基づいて、異周波測定動作の間隔を設定することができる。具体的には、異周波測定制御部16は、無線端末装置202と特定された各周辺基地局101Bとの距離を算出し、特定された周辺基地局101Bのうち、無線端末装置202との距離が短い周辺基地局ほど異周波測定動作の間隔を短く設定する。
すなわち、上述した例において、異周波測定制御部16は、無線端末装置202から遠い無線基地局装置101Bbからの無線信号を測定する異周波測定動作の間隔よりも、無線端末装置202から近い無線基地局装置101Baからの無線信号を測定する異周波測定動作の間隔を短く設定する。
(3)報告タイミングの制御
また、異周波測定制御部16は、無線端末装置202と、特定された各周辺基地局101Bとの距離に基づいて、異周波測定動作における無線信号の測定結果を報告する報告タイミングを設定することができる。具体的には、異周波測定制御部16は、無線端末装置202と特定された各周辺基地局101Bとの距離を算出し、特定された周辺基地局101Bのうち、無線端末装置202との距離が短い周辺基地局ほどTTTを短く設定する。
すなわち、上述した例において、異周波測定制御部16は、無線端末装置202から遠い無線基地局装置101Bbからの無線信号の測定におけるTTTよりも、無線端末装置202から近い無線基地局装置101Baからの無線信号の測定におけるTTTを短く設定する。
なお、異周波測定制御部16は、特定された各周辺基地局101Bと無線端末装置202との距離に基づいて、周辺基地局101Bごとに異周波測定期間における測定開始タイミング、すなわちオフセットを設定することも可能である。
上記のように、本発明の第1の実施の形態の変形例3に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16は、無線端末装置202と周辺基地局101Bとの距離が近いほど測定タイミングの間隔を短く設定する。
このような構成により、無線端末装置202の通信接続先として選択される可能性が高い周辺基地局101Bからの無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態の変形例3に係る無線基地局装置では、異周波測定制御部16は、無線端末装置202と周辺基地局101Bとの距離が近いほど異周波測定動作を行う間隔を短く設定する。
このような構成により、無線端末装置の通信接続先として選択される可能性が高い周辺基地局からの無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
なお、上述した本発明の第1の実施の形態では、サービング基地局101Aと周辺基地局101Bとの距離、周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力の大きさ、および、サービング基地局101Aから送信される無線信号の電力の大きさのうち少なくとも1つ以上を基準として、測定タイミング、異周波測定動作が行われる間隔、および、報告タイミングの制御が行われる場合について説明した。
また、変形例1および変形例2では、周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数に基づいて、測定タイミング、異周波測定動作が行われる間隔、および、報告タイミングの制御が行われる場合について説明した。また、変形例3では、無線端末装置202と周辺基地局101Bとの距離に基づいて、測定タイミング、異周波測定動作が行われる間隔、および、報告タイミングの制御が行われる場合について説明した。
しかしながら、上記のような形態に限定されず、「サービング基地局101Aと周辺基地局101Bとの距離」、「周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力の大きさ」、「サービング基地局101Aから送信される無線信号の電力の大きさ」、「周辺基地局101Bから送信される無線信号の周波数」および「無線端末装置202と周辺基地局101Bとの距離」のうち少なくとも2つ以上を基準とし、たとえば各基準に基づく評価関数を用いることによって、これらの基準を総合的に判断して測定タイミング、異周波測定動作が行われる間隔、および、報告タイミングの制御が行われても良い。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。上述した第1の実施の形態では、サービング基地局101Aおよび無線端末装置202間で使用される無線信号と、周辺基地局101Bから送信される無線信号とが異なる周波数である場合について説明した。これに対して、本発明の第2の実施の形態では、サービング基地局101Aおよび無線端末装置202間で使用される無線信号と、周辺基地局101Bから送信される無線信号とが同じ周波数である場合について説明する。
[構成および基本動作]
図21は、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置を備える通信システムの構成を示す図である。
図21を参照して、通信システム402は、図1に示す通信システム401と同様に、たとえば3GPPで規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置(設定装置)101A,101Bを備える。無線基地局装置101Aは、たとえばマクロ基地局であり、無線基地局装置101Bは、たとえばフェムト基地局またはピコ基地局である。無線基地局装置101A,101Bは、無線端末装置202の動作、すなわちハンドオーバ動作に関する設定を行う。
無線基地局装置101Aは、セルCAを形成し、セルCA内に存在する無線端末装置202と周波数f1の無線信号を送受信することにより、無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Bは、セルCBを形成し、セルCB内に存在する無線端末装置202と周波数f1の無線信号を送受信することにより、無線端末装置202と通信することが可能である。
[小型基地局の設置数が増加することによる課題]
ここで、サービング基地局(選択基地局)と無線端末装置との間で使用される無線信号の周波数と、周辺基地局から送信される無線信号の周波数とが同じ場合には、無線端末装置202は、上述した本発明の第1の実施の形態とは異なり、異周波測定期間を設ける必要はない。
しかしながら、この場合であっても、無線端末装置202は、移動に伴ってハンドオーバ先の無線基地局装置が適切に選択されるために、周辺基地局から送信される無線信号を測定し、サービング基地局に測定結果を送信する必要がある。そして、周辺基地局が多数存在する場合には、すべての周辺基地局の測定を完了するのに時間がかかり、通信先切替動作、すなわちハンドオーバ動作のタイミングが遅れるなどの問題が発生する。
特に、サービング基地局と周辺基地局との距離が近い場合などには、サービング基地局から送信される無線信号と周辺基地局から送信される無線信号とが干渉することがあり、このような場合には無線端末装置202は上記測定を正確に行うことができない。
[本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置の構成]
図22は、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置における制御部の構成を示す図である。
本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置101A,101Bは、図4に示す本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置101A,101Bと同様の構成であり、制御部98の構成のみが異なる。
図22を参照して、制御部98は、図5に示す本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置101A,101Bの制御部98と比較して、異周波測定制御部16および設定通知部17の代わりに、測定制御部18および設定通知部19を有する。
測定制御部18は、自己の無線基地局装置101A,101Bおよび無線端末装置202間で使用される無線信号の周波数と同じ周波数の無線信号であって、自己の無線基地局装置101A,101B以外の無線基地局装置である周辺基地局から送信される無線信号の測定を行う測定タイミング(同一周波測定期間における測定タイミング)を周辺基地局ごとに設定する。
なお、測定タイミングの設定とは、たとえば、測定処理のパラメータとして、測定タイミングの間隔を設定すること、または、測定開始タイミングとしてオフセットOST(Cell Individual Offset)を設定することを意味する。
設定通知部19は、測定制御部18により設定された設定内容を取得して、当該設定内容を無線端末装置202へ送信する。
なお、図22におけるハンドオーバ要求部11、ハンドオーバ指示部12および端末測定結果取得部15は、本発明において必須の構成要素ではない。無線基地局装置101A,101Bは、これらの構成要素を備えなくても、周辺基地局から送信される無線信号の測定において、無線端末装置202における周辺基地局からの無線信号の測定動作を適切に行い、通信の安定化を図るという本発明の目的を達成することが可能である。
[測定制御部による制御動作]
次に、無線基地局装置101Aの測定制御部18による設定動作について、「測定タイミングの間隔」、「測定開始タイミング」および「設定内容の通知動作の詳細」に分けて説明する。
ここでは、図21に示すように、無線端末装置202がセルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、無線端末装置202がセルCBに接近する方向に移動する場合を想定する。以下、無線基地局装置101Aをサービング基地局101Aとも称し、無線基地局装置101Bを周辺基地局101Bとも称する。
(1)測定タイミングの間隔
図23は、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置の測定制御部による測定タイミングの間隔の設定動作の流れを説明するフローチャートである。
図23を参照して、ステップS91からステップS93までの動作は、図6に示すステップS31からステップS33までの動作と同様であり、測定制御部18は、サービング基地局101Aと周辺基地局101Bとの距離、サービング基地局101Aから送信される無線信号の電力に関する情報および周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力に関する情報を取得する。
そして、測定制御部18は、取得した情報に基づいて、周辺基地局から送信される無線信号の測定タイミングの間隔を設定する。たとえば、測定制御部18は、自己のサービング基地局101Aと周辺基地局101Bとの距離が近いほど測定タイミングの間隔を短く設定する(ステップS94)。
なお、測定制御部18は、たとえば、自己のサービング基地局101Aから送信される無線信号の電力が大きいほど測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。また、たとえば、測定制御部18は、周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力が小さいほど測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
さらに、測定制御部18は、自己のサービング基地局101Aと周辺基地局101Bとの距離、自己のサービング基地局101Aから送信される無線信号の電力および周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力を総合的に判断することによって測定タイミングの間隔を設定してもよい。
次に、サービング基地局101Aの設定通知部19は、ステップS94において測定制御部18により設定された測定タイミングの間隔を示す情報を無線端末装置202へ送信する。これにより、無線端末装置202は、サービング基地局101Aから送信された情報の示す設定内容に基づいて無線信号の測定を行う(ステップS95)。
(2)測定開始タイミング
図24は、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置の測定制御部による測定開始タイミングの設定動作の流れを説明するフローチャートである。
図24を参照して、ステップS101の動作は、図8に示すステップS41の動作と同様である。
次に、測定制御部18は、複数の他の無線基地局装置と当該他の無線基地局装置ごとに設定されたオフセットOSTとを予め対応づけて記録するメモリを、参照する。そして、測定制御部18は、当該メモリから、周辺基地局101Bに対応づけて記録されているオフセットOSTを抽出し、測定開始タイミング(同一周波測定動作におけるオフセット)として抽出したオフセットOSTを設定する(ステップS102)。
次に、設定通知部19は、ステップS102において設定した測定開始タイミングすなわちオフセットOSTを示す情報を無線端末装置202へ送信する。これにより、無線端末装置202は、サービング基地局101Aから送信された設定内容に基づいて、サービング基地局101Aとの間で使用されている無線信号の周波数と同じ周波数である無線信号の測定を行う(ステップS103)。
(3)設定内容の通知動作の詳細
次に、設定通知部19による無線端末装置202への設定内容の送信すなわち通知動作の詳細について説明する。
サービング基地局101Aの設定通知部19は、測定制御部18により設定された設定内容すなわち設定パラメータを測定制御部18から取得し、取得した設定パラメータをRRCコネクション再構成指示に追加して無線端末装置202へ送信する。
このRRCコネクション再構成指示は、図11に示す設定パラメータと同様であり、このRRCコネクション再構成指示には、複数のメジャメントオブジェクトMO(Meas Object To Add Mod List)を追加することができる。
図25は、図11に示すメジャメントオブジェクトに含まれる設定パラメータの一例を示す図である。
図25を参照して、たとえば、測定制御部18は、無線端末装置202の周囲に位置する周辺基地局として複数の無線基地局装置101Bが特定された場合、これら複数の無線基地局装置101Bに対してそれぞれ測定タイミングの間隔および測定開始タイミングを設定する。
そして、設定通知部19は、追加したメジャメントオブジェクトMOに、複数の無線基地局装置101Bのリストを示すメッセージML(Cells To Add Mod List)、各無線基地局装置101Bに対して設定された測定タイミングの間隔を示すメッセージMP2(Meas Period)、および、各無線基地局装置101Bに対して設定された測定開始タイミングを示すメッセージMOS2(Meas Offset)を含めて、RRCコネクション再構成指示を無線端末装置202へ送信する。
なお、測定制御部18は、図12に示すように、複数の無線基地局装置101Bを複数の組に分け、測定タイミングの間隔の設定および測定開始タイミングの設定を上記組ごとに行うことも可能である。
そして、無線端末装置202は、サービング基地局101Aの設定通知部19からRRCコネクション再構成指示を受信して、受信したRRCコネクション再構成指示に含まれる無線基地局装置101Bのリスト、測定タイミングの間隔および測定開始タイミングなどの設定パラメータを有効にして無線信号の測定を行う。すなわち、無線端末装置202は、サービング基地局101Aとの間で使用される無線信号と同じ周波数である無線信号の測定を行うための設定パラメータを、RRCコネクション再構成指示に含まれる設定パラメータに更新する。
そして、無線端末装置202は、設定パラメータの更新を行うと、設定パラメータの更新が完了したことを示す通知をRRCコネクション再構成完了通知に含め、このRRCコネクション再構成完了通知を無線基地局装置101Bへ送信する。
ところで、サービング基地局と無線端末装置との間で使用される無線信号の周波数と、周辺基地局から送信される無線信号の周波数とが同じ場合には、無線端末装置は、上記のような間欠的な測定を行う必要はない。しかしながら、この場合であっても、無線端末装置は、移動に伴ってハンドオーバ先の無線基地局装置が適切に選択されるために、周辺基地局から送信される無線信号を測定し、サービング基地局に測定結果を送信する必要がある。そして、周辺基地局が多数存在する場合には、すべての周辺基地局の測定を完了するのに時間がかかり、上記と同様に、ハンドオーバ動作のタイミングが遅れるなどの問題が発生する。
これに対して、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、測定制御部18が、自己の無線基地局装置以外の無線基地局装置である周辺基地局101Bから送信される無線信号の測定が無線端末装置202によって行われるタイミングである測定タイミングを設定する。また、設定通知部19が、測定制御部18による設定の内容を無線端末装置202に通知する。さらに、測定制御部18は、周辺基地局101Bごとに上記設定を行う。
このような構成により、周辺基地局101Bごとにタイミングをずらして無線信号の測定を行うことができるため、並行して測定することのできる測定対象の数に限りがあっても、所定期間内に測定することのできる測定対象の数を従来よりも増やすことができる。このため、周辺基地局101Bが多数存在する場合であっても測定に時間がかかることを防ぎ、周辺基地局101Bから送信される無線信号の測定を適切に行うことができ、通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、測定制御部18は、測定タイミングの間隔を周辺基地局101Bごとに設定する。
このように、測定タイミングの間隔を設定する構成により、測定動作のタイミング調整を適切かつ容易に行うことができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、測定制御部18は、自己の無線基地局装置と周辺基地局101Bとの距離が近いほど測定タイミングの間隔を短く設定する。
このような構成により、正確な測定を行うことが困難となる可能性の高い周辺基地局からの無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、測定制御部18は、自己の無線基地局装置が送信する無線信号の電力が大きいほど測定タイミングの間隔を短く設定する。
このような構成により、正確な測定を行うことが困難となる可能性の高い状況であるほど、周辺基地局から送信される無線信号を高い頻度で測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、測定制御部18は、周辺基地局101Bから送信される無線信号の電力が大きいほど測定タイミングの間隔を短く設定する。
このような構成により、正確な測定を行うことが困難となる可能性の高い周辺基地局からの無線信号を優先的に多く測定して、一層通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線基地局装置では、測定制御部18は、周辺基地局101Bから送信される無線信号の測定開始タイミングを周辺基地局101Bごとに設定する。
このように、測定開始タイミングを設定する構成により、測定動作のタイミング調整を適切かつ容易に行うことができる。
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。上述した第1の実施の形態では、無線端末装置202のハンドオーバ動作により、複数の無線基地局装置のうち選択された無線基地局装置と、無線端末装置202との間で通信が行われる場合について説明した。
これに対して、本発明の第3の実施の形態に係る通信システム403では、無線端末装置203が、プライマリセルを形成するプライマリ基地局との無線信号の送受信、および、セカンダリセルを形成するセカンダリ基地局との無線信号の送受信を並行して行うことが可能である場合について説明する。
[構成および基本動作]
図26は、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置を備える通信システムの構成を示す図である。
3GPPにおいて、より高速なデータ伝送を実現するための技術として、キャリア・アグリゲーション(Carrier Aggregation)が検討されている。このキャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数(コンポーネントキャリア(Component Carrier))を集約して使用することにより伝送レートを向上させる技術である。
たとえば、キャリア・アグリゲーションによって周波数帯域幅が20MHzのコンポーネントキャリアを5つ集約した場合、無線端末装置203はこれらを一つの100MHzの周波数帯域幅とみなしてデータ伝送を行うことが可能となる。なお、集約するコンポーネントキャリアは、連続した周波数であっても、全部または一部が不連続となる周波数であってもよい。
図26を参照して、通信システム403は、たとえば3GPPで規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置301を備える。
無線基地局装置(設定装置)301は、プライマリ送受信部302(プライマリ基地局)およびセカンダリ送受信部303a,303b,303c(セカンダリ基地局)を含む。無線基地局装置301は、無線端末装置203の動作に関する設定を行う。
プライマリ送受信部302は、プライマリセルPCell(Primary Cell)を形成する。セカンダリ送受信部303aは、セカンダリセルSCell(Secondary Cell)−aを形成し、セカンダリ送受信部303bは、セカンダリセルSCell−bを形成し、セカンダリ送受信部303cは、セカンダリセルSCell−cを形成する。以下、セカンダリセルSCell−a,SCell−b,SCell−cを総称して「セカンダリセルSCell」とも称する。また、セカンダリ送受信部303a,303b,303cの各々を、以下「セカンダリ送受信部303」とも称する。
プライマリ送受信部302およびセカンダリ送受信部303a,303b,303cは、たとえば各々異なる位置に設けられたアンテナまたは無線基地局装置である。また、プライマリ送受信部302により送受信される無線信号の周波数帯域と、セカンダリ送受信部303a,303b,303cにより送受信される無線信号の周波数帯域とは異なる。たとえば、プライマリ送受信部302により送受信される無線信号の周波数帯域は2GHz帯であり、セカンダリ送受信部303a,303b,303cにより送受信される無線信号の周波数帯域は3.5GHz帯である。
なお、セカンダリ送受信部303a,303b,303cは、それぞれ異なる周波数帯域の無線信号を送受信してもよい。
無線端末装置203は、プライマリ送受信部302との無線信号の送受信、および、セカンダリ送受信部303との無線信号の送受信を並行して行うことが可能、すなわちキャリア・アグリゲーションを使用することが可能である。
より詳細には、無線端末装置203は、まず、プライマリ送受信部302との間で無線信号の送受信を行う。そして、無線端末装置203は、プライマリ送受信部302との間における無線信号の送受信と並行して、自己の周囲に位置するセカンダリ送受信部303a,303b,303cから送信される無線信号の測定動作であるセカンダリ測定動作を行う。
そして、たとえば無線端末装置203がセカンダリ測定動作を行いながら移動し、セカンダリ送受信部303aへ接近することによって、セカンダリ送受信部303aから送信される無線信号の受信電力の大きさが所定の閾値を超えた場合、セカンダリ送受信部303aが無線端末装置203の通信接続先として選択される。
そして、無線端末装置203は、プライマリ送受信部302との間における無線信号の送受信と、通信接続先として選択されたセカンダリ送受信部303aとの間における無線信号の送受信とを並行して行う。
なお、図26では、プライマリセルPCell内に3つのセカンダリセルSCellが位置している状態を示しているが、セカンダリセルは、1つ、2つ、または、4つ以上であってもよい。また、セカンダリセルSCellはプライマリセルPCellの外に位置していてもよい。さらに、プライマリセルPCellの半径とセカンダリセルSCellの半径とが略同一、または、プライマリセルPCellの半径がセカンダリセルSCellの半径より小さくてもよい。
次に、通信システム403におけるセカンダリセルSCellの有効化処理、すなわちセカンダリ送受信部303a,303b,303cのうちの少なくとも1つのセカンダリ送受信部が無線端末装置203の通信接続先として選択されるまでの処理の流れについて説明する。無線基地局装置301および無線端末装置203は、以下のシーケンスおよび各フローの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
図27は、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置を備える通信システムにおけるセカンダリセルの有効化処理のシーケンスの一例を示す図である。
ここでは、図26に示すように、無線端末装置203がプライマリセルPCell内に位置し、プライマリ送受信部302と通信中である状態から、さらに、無線端末装置203が移動することにより、セカンダリ送受信部303a,303b,303cのうちのいずれかのセカンダリ送受信部に接近して当該セカンダリ送受信部との通信を開始する場合を想定する。
図27を参照して、まず、無線基地局装置301は、プライマリ送受信部302と通信中の無線端末装置203における無線信号の受信能力の問合せを無線端末装置203へ送信する。
詳細には、無線基地局装置301は、無線端末装置203が、プライマリ送受信部302との間における無線信号の送受信と、セカンダリ送受信部303との間における無線信号の送受信とを並行して行うことができるか否か、すなわちキャリア・アグリゲーションを使用することができるか否かを、プライマリ送受信部302経由で当該無線端末装置203に対して問い合わせる(端末能力問合せ)(ステップS111)。
次に、無線端末装置203は、無線基地局装置301から端末能力問合せを受信して、自己の受信能力すなわちキャリア・アグリゲーションを使用することができるか否かを示す端末能力応答を無線基地局装置301へ送信する(ステップS112)。なお、ここでは、無線端末装置203は、キャリア・アグリゲーションを使用できることを示す端末能力応答を無線基地局装置301へ送信することとする。
次に、無線基地局装置301は、無線端末装置203から端末能力応答を受信して、無線端末装置203がキャリア・アグリゲーションを使用可能であることを確認する(ステップS113)。
次に、無線基地局装置301は、たとえば、GPSまたはLPPを利用することにより無線端末装置203の位置を推定し、推定した無線端末装置203の位置情報と、予め記憶する複数のセカンダリ送受信部303の位置情報とに基づいて、無線端末装置203の周囲に存在する1または複数のセカンダリ送受信部を特定する。ここでは、無線基地局装置301は、たとえば図26に示すセカンダリ送受信部303a,303b,303cを、無線端末装置203の周囲に位置するセカンダリ送受信部として特定する(ステップS114)。
次に、無線基地局装置301は、プライマリ送受信部302、セカンダリ送受信部303および無線端末装置203のうち少なくとも1つに関する情報に基づいて、無線端末装置203によりセカンダリ測定動作が行われるタイミングであるセカンダリ測定タイミングの間隔の設定を行う(ステップS115)。たとえば、無線基地局装置301は、無線端末装置203とプライマリ送受信部302との距離、または、無線端末装置203とセカンダリ送受信部303a,303b,303cとの距離などを用いて、セカンダリ測定タイミングの間隔の設定を行う。このセカンダリ測定タイミングの間隔の設定の詳細については後述する。
次に、無線基地局装置301は、プライマリ送受信部302経由で、無線端末装置203へRRC(Radio Resource Control)コネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する。このRRCコネクション再構成指示に、ステップS114において特定したセカンダリ送受信部を示す識別情報、および、ステップS115において設定した設定内容等が含まれる(ステップS116)。
次に、無線端末装置203は、RRCコネクション再構成指示を受信して、このRRCコネクション再構成指示に含まれるセカンダリ送受信部を示す識別情報および設定内容に基づいて、自己の周囲に位置する1または複数のセカンダリ送受信部から送信される無線信号に対してセカンダリ測定動作を開始する。そして、無線端末装置203は、自己の周囲に位置する1または複数のセカンダリ送受信部から送信される無線信号の中から、受信電力の大きさが所定の閾値を超える無線信号の検出を行う(ステップS117)。
ここでは、無線端末装置203がセカンダリ測定動作を行いながら移動し、セカンダリ送受信部303aへ接近することによって、セカンダリ送受信部303aから送信される無線信号の受信電力の大きさが所定の閾値を超える場合を想定する。
次に、無線端末装置203は、セカンダリ測定動作により得られた測定結果を示す測定結果通知(Measurement Report)を無線基地局装置301へ送信する。この測定結果通知には、無線端末装置203における受信電力の大きさが所定の閾値を超える無線信号の送信元、すなわちセカンダリ送受信部303aを示す識別情報等が含まれている(ステップS118)。
次に、無線基地局装置301は、無線端末装置203から測定結果通知を受けて、セカンダリ送受信部303aを、無線端末装置203の新たな通信接続先として追加することを決定する。そして、無線基地局装置301は、セカンダリ送受信部303aを新たな通信接続先とすることを示す情報を含むRRCコネクション再構成指示を、プライマリ送受信部302経由で無線端末装置203へ送信する(ステップS119)。
次に、無線端末装置203は、RRCコネクション再構成指示を受信して、このRRCコネクション再構成指示に従って、セカンダリ送受信部303aにより形成されるセカンダリセルSCell−aを有効化する。すなわち、無線端末装置203は、プライマリ送受信部302との無線信号の送受信に加えて、セカンダリ送受信部303aとの無線信号の送受信を行うことを決定する(ステップS120)。
そして、無線端末装置203は、無線基地局装置301へRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS121)。
[キャリア・アグリゲーションを使用する場合における課題]
ここで、キャリア・アグリゲーションを使用可能な無線端末装置203は、プライマリ送受信部302aとの間の無線信号の送受信とセカンダリ送受信部303との間の無線信号の送受信とを並行して行うことができるため、異周波測定期間を設ける必要はない。
しかしながら、無線端末装置203は、前述のように、セカンダリ送受信部303を新たな通信接続先として選択すべきであるか否かを判断するため、これらセカンダリ送受信部303から送信される無線信号の測定、すなわちセカンダリ測定動作を行う必要がある。そして、無線端末装置203の周囲にセカンダリ送受信部303が多数存在する場合には、すべてのセカンダリ送受信部303に対するセカンダリ測定動作を完了するまでに長時間を要するとともに、多くの電力を消費するという問題がある。
[本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置の構成]
図28は、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置の構成を示す図である。
図28を参照して、無線基地局装置301は、プライマリ送受信部302と、セカンダリ送受信部303a,303b,303cとを含む。プライマリ送受信部302は、アンテナ181と、サーキュレータ182と、無線受信部183と、無線送信部184と、信号処理部185と、制御部188とを有する。
信号処理部185は、受信信号処理部186と、送信信号処理部187とを有する。また、制御部188は、セカンダリ測定制御部189と、設定通知部190とを有する。信号処理部185および制御部188は、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)等によって実現される。
アンテナ181から送信される無線信号を用いた無線端末装置203との通信が可能となる領域がプライマリセルPCellである。サーキュレータ182は、アンテナ181において受信された無線端末装置203からの無線信号を無線受信部183へ出力し、また、無線送信部184から受けた無線信号をアンテナ181へ出力する。
無線受信部183は、サーキュレータ182から受けた無線信号をベースバンド信号またはIF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換し、この周波数変換した信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部186へ出力する。
無線送信部184は、送信信号処理部187から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線信号に周波数変換してサーキュレータ182へ出力する。
セカンダリ送受信部303aは、アンテナ191aと、サーキュレータ192aと、無線受信部193aと、無線送信部194aとを有する。セカンダリ送受信部303bは、アンテナ191bと、サーキュレータ192bと、無線受信部193bと、無線送信部194bとを有する。セカンダリ送受信部303cは、アンテナ191cと、サーキュレータ192cと、無線受信部193cと、無線送信部194cとを有する。
アンテナ191aから送信される無線信号を用いた無線端末装置203との通信が可能となる領域がセカンダリセルSCell−aであり、アンテナ191bから送信される無線信号を用いた無線端末装置203との通信が可能となる領域がセカンダリセルSCell−bであり、アンテナ191cから送信される無線信号を用いた無線端末装置203との通信が可能となる領域がセカンダリセルSCell−cである。
サーキュレータ192a,192b,192cは、それぞれ、対応のアンテナ191a,191b,191cにおいて受信された無線端末装置203からの無線信号を、対応の無線受信部193a,193b,193cへ出力する。また、サーキュレータ192a,192b,192cは、それぞれ、対応の無線送信部194a,194b,194cから受けた無線信号を、対応のアンテナ191a,191b,191cへ出力する。
無線受信部193a,193b,193cは、それぞれ、対応のサーキュレータ192a,192b,192cから受けた無線信号をベースバンド信号またはIF信号に周波数変換し、この周波数変換した信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部186へ出力する。
無線送信部194a,194b,194cは、送信信号処理部187から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線信号に周波数変換して、対応のサーキュレータ192a,192b,192cへ出力する。
受信信号処理部186は、無線受信部183および無線受信部193a,193b,193cからそれぞれ受けたデジタル信号に対してCDMA(Code Division Multiple Access)方式における逆拡散等の信号処理を行なう。そして、受信信号処理部186は、これらのデジタル信号を必要に応じて結合し、所定のフレームフォーマットに変換してコアネットワーク側へ送信する。
送信信号処理部187は、コアネットワーク側から受信した通信データを所定のフレームフォーマットに変換した通信データまたは自ら生成した通信データに対してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式におけるIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号を複数の異なる周波数帯域に分散する。
具体的には、無線基地局装置301は、アンテナ181およびアンテナ191a,191b,191cのそれぞれにより送受信される無線信号の周波数帯域を予め記憶する。ここで、たとえば、プライマリ送受信部302に加えて、セカンダリ送受信部303a,303b,303cのうちセカンダリ送受信部303aが無線端末装置203との間で通信接続を確立している状況を想定する。このような状況の場合、送信信号処理部187は、信号処理後のデジタル信号を、プライマリ送受信部302のアンテナ181経由で送信されるデジタル信号と、セカンダリ送受信部303aのアンテナ191a経由で送信されるデジタル信号とに分割する。
そして、送信信号処理部187は、プライマリ送受信部302に割り当てたデジタル信号を無線送信部184へ出力し、セカンダリ送受信部303aに割り当てたデジタル信号を194aへ出力する。なお、セカンダリ送受信部303bまたはセカンダリ送受信部303cが無線端末装置203との間で通信接続を確立されている状況の場合も、上記と同様に、送信信号処理部187は、信号処理後のデジタル信号を、プライマリ送受信部302と、セカンダリ送受信部303bまたはセカンダリ送受信部303cとに分割し、それぞれ対応の無線送受信部へ出力する。
制御部188は、無線基地局装置301における各ユニットおよびコアネットワークとの間で各種情報をやり取りする。
制御部188のセカンダリ測定制御部189は、無線端末装置203に対して端末能力問合せを行い、無線端末装置203から端末能力応答を受信する。この端末能力応答が、無線端末装置203がキャリア・アグリゲーションを使用することができることを示す場合、セカンダリ測定制御部189は、無線端末装置203とプライマリ送受信部302との距離、または、無線端末装置203とセカンダリ送受信部303との距離などを用いて、セカンダリ測定タイミングの間隔の設定を行う。
設定通知部190は、セカンダリ測定制御部189により設定された設定内容を取得して、当該設定内容を無線送信部184経由で無線端末装置203へ送信する。
なお、図28におけるアンテナ181、サーキュレータ182、無線受信部183、無線送信部184、信号処理部185、および、セカンダリ送受信部303a,303b,303cは、本発明において必須の構成要素ではない。無線基地局装置301は、これらの構成要素を備えなくても、周辺基地局から送信される無線信号の測定において、無線端末装置203における周辺基地局からの無線信号の測定動作を適切に行い、通信の安定化を図るという本発明の目的を達成することが可能である。
[セカンダリ測定タイミングの間隔の設定の詳細]
次に、セカンダリ測定制御部189によるセカンダリ測定タイミングの間隔の設定動作について、「具体例1」から「具体例5」に分けて説明する。
(具体例1)無線端末装置とプライマリ送受信部との距離に基づく設定
図29は、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置のセカンダリ測定制御部によるセカンダリ測定タイミングの間隔の設定動作の流れを説明するフローチャートの一例(その1)である。
図29を参照して、まず、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置301は、無線端末装置203の位置情報と、予め記憶するプライマリ送受信部302の位置情報とに基づいて、当該無線端末装置203とプライマリ送受信部302との距離を算出する(ステップS131)。
次に、無線基地局装置301のセカンダリ測定制御部189は、算出された無線端末装置203とプライマリ送受信部302との距離に基づいて、セカンダリ測定タイミングの間隔を設定する。
ここで、無線端末装置203とプライマリ送受信部302との距離が遠いほど、無線端末装置203はプライマリセルPCellのセルエッジ付近に位置している可能性が高く、無線端末装置203がプライマリセルPCellの中心付近に位置している場合と比較して、無線端末装置203およびプライマリ送受信部302間の通信品質が悪い可能性が高い。このため、無線端末装置203とプライマリ送受信部302との距離が遠い場合ほど、無線端末装置203の通信接続先となるセカンダリ送受信部の選択を早期に行う必要性が高い。
従って、セカンダリ測定制御部189は、たとえば、無線端末装置203とプライマリ送受信部302との距離が遠い状況であるほど、セカンダリ送受信部303a,303b,303cから送信される無線信号の測定が高い頻度で行われるように、セカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する(ステップS132)。
次に、無線基地局装置301の設定通知部190は、セカンダリ測定制御部189により設定されたセカンダリ測定タイミングの間隔を示す情報を無線端末装置203へ送信する。これにより、無線端末装置203は、無線基地局装置301から送信された情報の示す設定内容に基づいてセカンダリ測定動作を行う(ステップS133)。
(具体例2)無線端末装置とセカンダリ送受信部との距離に基づく設定
図30は、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置のセカンダリ測定制御部によるセカンダリ測定タイミングの間隔の設定動作の流れを説明するフローチャートの一例(その2)である。
図30を参照して、まず、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置301は、無線端末装置203の位置情報と、予め記憶する複数のセカンダリ送受信部303a,303b,303cの位置情報とに基づいて、図27に示すステップS114において特定された1または複数のセカンダリ送受信部ごとに無線端末装置203との距離を算出する(ステップS141)。
次に、無線基地局装置301のセカンダリ測定制御部189は、算出された無線端末装置203と特定された各セカンダリ送受信部303との距離に基づいて、セカンダリ送受信部303ごとにセカンダリ測定タイミングの間隔を設定する。
ここで、無線端末装置203とセカンダリ送受信部303a,303b,303cとの距離が遠いほど、無線端末装置203およびセカンダリ送受信部間の通信品質が悪い可能性が高い。従って、セカンダリ測定制御部189は、たとえば、無線端末装置203との距離が遠いセカンダリ送受信部ほど、セカンダリ測定動作の頻度を少なくして電力の消費を抑えるため、セカンダリ測定タイミングの間隔を長く設定する(ステップS142)。
たとえば、無線端末装置203の周囲に存在するセカンダリ送受信部として、セカンダリ送受信部303aおよびセカンダリ送受信部303bが特定された場合であって、無線端末装置203とセカンダリ送受信部303aとの距離の方が、無線端末装置203とセカンダリ送受信部303bとの距離よりも遠い場合を想定する。この場合、セカンダリ測定制御部189は、セカンダリ送受信部303aから送信される無線信号のセカンダリ測定タイミングの間隔を、セカンダリ送受信部303bから送信される無線信号のセカンダリ測定タイミングの間隔よりも長く設定する。
次に、無線基地局装置301の設定通知部190は、セカンダリ測定制御部189により設定されたセカンダリ測定タイミングの間隔を示す情報を無線端末装置203へ送信する。これにより、無線端末装置203は、無線基地局装置301から送信された情報の示す設定内容に基づいてセカンダリ測定動作を行う(ステップS143)。
(具体例3)プライマリ送受信部からの無線信号の受信電力の大きさに基づく設定
図31は、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置のセカンダリ測定制御部によるセカンダリ測定タイミングの間隔の設定動作の流れを説明するフローチャートの一例(その3)である。
図31を参照して、まず、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置301は、プライマリ送受信部302から送信される無線信号の無線端末装置203における受信電力に関する情報を取得する(ステップS151)。
次に、無線基地局装置301のセカンダリ測定制御部189は、ステップS151において取得した受信電力に関する情報に基づいて、セカンダリ測定タイミングを設定する。
ここで、プライマリ送受信部302から送信される無線信号の無線端末装置203における受信電力が小さいほど、無線端末装置203およびプライマリ送受信部302間の通信品質が悪い可能性が高い。このため、プライマリ送受信部302から送信される無線信号の無線端末装置203における受信電力が小さいほど、無線端末装置203の通信接続先となるセカンダリ送受信部の選択を早期に行う必要性が高い。
従って、セカンダリ測定制御部189は、たとえば、プライマリ送受信部302から送信される無線信号の無線端末装置203における受信電力が小さいほど、セカンダリ送受信部303a,303b,303cから送信される無線信号の測定が高い頻度で行われるように、セカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する(ステップS152)。
次に、無線基地局装置301の設定通知部190は、セカンダリ測定制御部189により設定されたセカンダリ測定タイミングの間隔を示す情報を無線端末装置203へ送信する。これにより、無線端末装置203は、無線基地局装置301から送信された情報の示す設定内容に基づいてセカンダリ測定動作を行う(ステップS153)。
(具体例4)セカンダリ送受信部からの無線信号の周波数に基づく設定(1)
図32は、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置のセカンダリ測定制御部によるセカンダリ測定タイミングの間隔の設定動作の流れを説明するフローチャートの一例(その4)である。
図32を参照して、まず、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置301は、図27に示すステップS114において特定された1または複数のセカンダリ送受信部303から送信される無線信号に関する情報を取得する。この無線信号に関する情報には、各セカンダリ送受信部303から送信される無線信号の周波数を示す情報が含まれている(ステップS161)。
次に、無線基地局装置301のセカンダリ測定制御部189は、ステップS161において取得した無線信号に関する情報に基づいて、セカンダリ送受信部ごとに、セカンダリ測定タイミングを設定する。
ここで、セカンダリ送受信部303a,303b,303cから送信される無線信号の周波数が高い場合、当該無線信号の減衰が大きく無線端末装置203との間の通信品質が悪くなるため、当該セカンダリ送受信部を通信接続先とする無線端末装置の数は比較的少ないことが考えられる。このため、無線端末装置203の通信接続先として当該セカンダリ送受信部が選択された場合、無線端末装置203および当該セカンダリ送受信部間の通信速度の設定値を大きくすることができる可能性が高い。
従って、セカンダリ測定制御部189は、たとえば、特定されたセカンダリ送受信部のうち、送信する無線信号の周波数が高いセカンダリ送受信部ほど、セカンダリ測定動作が優先的に多く行われるように、セカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する(ステップS162)。
たとえば、無線端末装置203の周囲に存在するセカンダリ送受信部として、セカンダリ送受信部303aおよびセカンダリ送受信部303bが特定された場合であって、セカンダリ送受信部303aから送信される無線信号の周波数がf4であり、セカンダリ送受信部303bから送信される無線信号の周波数がf5であり、周波数f5が周波数f4よりも高い場合(f5>f4)を想定する。この場合、セカンダリ測定制御部189は、セカンダリ送受信部303aからの周波数f4の無線信号のセカンダリ測定タイミングの間隔よりも、セカンダリ送受信部303bからの周波数f5の無線信号のセカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する。
次に、無線基地局装置301の設定通知部190は、セカンダリ測定制御部189により設定されたセカンダリ測定タイミングの間隔を示す情報を無線端末装置203へ送信する。これにより、無線端末装置203は、無線基地局装置301から送信された情報の示す設定内容に基づいてセカンダリ測定動作を行う(ステップS163)。
(具体例5)セカンダリ送受信部からの無線信号の周波数に基づく設定(2)
具体例5におけるセカンダリ測定タイミングの間隔の設定動作の流れは、図32に示す具体例4におけるセカンダリ測定タイミングの間隔の設定動作の流れと概ね同様であり、ステップS162におけるセカンダリ測定タイミングの設定動作のみ異なるため、ここでは具体例4と異なる点であるステップS162の動作について説明する。
上述した具体例4では、図32に示すステップS162において、セカンダリ測定制御部189は、セカンダリ送受信部から送信される無線信号の周波数が高いほどセカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する。これに対して、具体例5では、セカンダリ測定制御部189は、たとえば、セカンダリ送受信部から送信される無線信号の周波数が高いほどセカンダリ測定タイミングの間隔を長く設定する。
ここで、セカンダリ送受信部303a,303b,303cから送信される無線信号の周波数が低い場合、当該無線信号の減衰が小さく無線端末装置203との間の通信品質が良くなる。このため、セカンダリ測定制御部189は、特定されたセカンダリ送受信部のうち、送信する無線信号の周波数が低いセカンダリ送受信部ほど優先的に多くの測定が行われるように、セカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する。
たとえば、無線端末装置203の周囲に存在するセカンダリ送受信部として、セカンダリ送受信部303aおよびセカンダリ送受信部303bが特定された場合であって、セカンダリ送受信部303aから送信される無線信号の周波数がf4であり、セカンダリ送受信部303bから送信される無線信号の周波数がf5であり、周波数f5が周波数f4よりも高い場合(f5>f4)を想定する。この場合、セカンダリ測定制御部189は、セカンダリ送受信部303bからの周波数f5の無線信号のセカンダリ測定タイミングの間隔よりも、セカンダリ送受信部303aからの周波数f4の無線信号のセカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する。
なお、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置は、上述した具体例1から具体例5に記載の形態に限定されず、たとえばセカンダリ測定制御部189は、「無線端末装置203とプライマリ送受信部302との距離」(具体例1)、「無線端末装置203とセカンダリ送受信部303との距離」(具体例2)、「プライマリ送受信部302からの無線信号の受信電力の大きさ」(具体例3)、および、「セカンダリ送受信部303からの無線信号の周波数」(具体例4および具体例5)のうち少なくとも2つ以上を基準とし、たとえば各基準に基づく評価関数を用いることによって、これらの基準を総合的に判断してセカンダリ測定タイミングの間隔を設定することも可能である。
[設定内容の通知動作の詳細]
次に、設定通知部190による無線端末装置203への設定内容の通知動作の詳細について説明する。
無線基地局装置301の設定通知部190は、セカンダリ測定制御部189により設定された設定内容である設定パラメータ、すなわちセカンダリ測定タイミングの間隔を示す情報をセカンダリ測定制御部189から取得し、取得した設定パラメータをRRCコネクション再構成指示に含めて無線端末装置203へ送信する。
このRRCコネクション再構成指示は、図11に示す設定パラメータと同様であり、このRRCコネクション再構成指示には、複数のメジャメントオブジェクトMO(Meas Object To Add Mod List)を追加することができる。
図33は、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置から送信されるメジャメントオブジェクトに含まれる設定パラメータの一例を示す図である。
図33を参照して、セカンダリ測定制御部189は、無線端末装置203の周囲に存在する1または複数のセカンダリ送受信部が特定された場合、追加したメジャメントオブジェクトMOに、特定された1または複数のセカンダリ送受信部の識別情報を示すメッセージML2、および、セカンダリ送受信部ごとに設定されたセカンダリ測定タイミングの間隔を示すメッセージMCSD(Meas Cycle SCell Dedicated)を含めて、RRCコネクション再構成指示を無線端末装置202へ送信する。
なお、図33では、上述した具体例2、具体例4または具体例5のように、セカンダリ送受信部ごとにセカンダリ測定タイミングの間隔が設定された場合における、メジャメントオブジェクトに含まれる設定パラメータの一例を示している。しかしながら、具体例1または具体例3のように、特定された複数のセカンダリ送受信部に対して共通のセカンダリ測定タイミングが設定される場合もある。このような場合、セカンダリ測定制御部189は、設定した共通のセカンダリ測定タイミングを示すメッセージを、メジャメントオブジェクトに含めることができる。
そして、無線端末装置203は、無線基地局装置301の設定通知部190からRRCコネクション再構成指示を受信して、たとえば、受信したRRCコネクション再構成指示に含まれる1または複数のセカンダリ送受信部の識別情報およびセカンダリ送受信部ごとのセカンダリ測定タイミングの間隔に従ってセカンダリ測定動作を行う。すなわち、無線端末装置203は、各セカンダリ送受信部から送信される無線信号の測定を行うための設定パラメータを、RRCコネクション再構成指示に含まれる設定パラメータに更新する。
そして、無線端末装置203は、設定パラメータの更新を行うと、設定パラメータの更新が完了したことを示す通知をRRCコネクション再構成完了通知に含め、このRRCコネクション再構成完了通知を無線基地局装置301へ送信する。
ところで、キャリア・アグリゲーションを使用可能な無線端末装置203は、プライマリ送受信部302aとの間の無線信号の送受信とセカンダリ送受信部303との間の無線信号の送受信とを並行して行うことができるため、異周波測定期間を設ける必要はない。
しかしながら、無線端末装置203は、前述のように、セカンダリ送受信部303を新たな通信接続先として選択すべきであるか否かを判断するため、これらセカンダリ送受信部303から送信される無線信号の測定、すなわちセカンダリ測定動作を行う必要がある。そして、無線端末装置203の周囲にセカンダリ送受信部303が多数存在する場合には、すべてのセカンダリ送受信部303に対するセカンダリ測定動作を完了するまでに長時間を要するとともに、多くの電力を消費するという問題がある。
これに対して、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置301では、セカンダリ測定制御部189が、プライマリ送受信部302、セカンダリ送受信部303および無線端末装置203のうち少なくとも1つに関する情報に基づいて、無線端末装置203によってセカンダリ測定動作が行われるタイミングであるセカンダリ測定タイミングの設定を行う。また、設定通知部190が、セカンダリ測定制御部189による設定の内容を無線端末装置203に通知する。
このような構成により、たとえば、無線端末装置203およびプライマリ送受信部302間の通信品質が悪く、無線端末装置203の通信接続先となるセカンダリ送受信部の選択を早期に行う必要がある状況において、所定期間内の測定が頻繁に行われるようにセカンダリ測定タイミングの間隔を設定するなど、状況に応じた適切なタイミングでセカンダリ測定動作を行うことができるため、通信の安定化を図ることができる。
また、上記のような構成により、無線端末装置203およびプライマリ送受信部302間の通信品質が良い場合などは測定の頻度を少なくすることによって、セカンダリ測定動作のための無線端末装置203の消費電力を低減させることができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置301では、セカンダリ測定制御部189は、セカンダリ送受信部303ごとに上記設定を行う。
このような構成により、セカンダリ送受信部303ごとにタイミングをずらしてセカンダリ測定動作を行うことができるため、並行して測定することのできる測定対象の数に限りがあっても、所定期間内に測定することのできる測定対象の数を従来よりも増やすことができる。このため、セカンダリ送受信部303が多数存在する場合であっても測定に時間がかかることを防ぎ、無線端末装置203によるセカンダリ測定動作を適切に行うことができ、通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置301では、セカンダリ測定制御部189は、無線端末装置203とセカンダリ送受信部との距離が遠いほどセカンダリ測定タイミングの間隔を長く設定する。
このような構成により、無線端末装置203の通信接続先となる可能性が低いセカンダリ送受信部からの無線信号の測定を行う頻度を少なくすることができるため、無線端末装置203の消費電力を低減させることができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置301では、セカンダリ測定制御部189は、セカンダリ送受信部から送信される無線信号の周波数が高いほどセカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する。
ここで、セカンダリ送受信部から送信される無線信号の周波数が高い場合、当該無線信号の減衰が大きく無線端末装置203との間の通信品質が悪くなるため、当該セカンダリ送受信部を通信接続先とする無線端末装置203の数は比較的少ないことが考えられる。このため、無線端末装置203の通信接続先として当該セカンダリ送受信部が選択された場合、無線端末装置203および当該セカンダリ送受信部間の通信速度の設定値を大きくすることができる可能性が高い。すなわち、上記のような構成により、無線端末装置203の通信接続先として選択されることが好ましいセカンダリ送受信部からの無線信号の測定を優先的に多く行うことができるため、一層通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置301では、セカンダリ測定制御部189は、セカンダリ送受信部から送信される無線信号の周波数が低いほどセカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する。
ここで、セカンダリ送受信部から送信される無線信号の周波数が低い場合、当該無線信号の減衰が小さく無線端末装置203との間の通信品質が良くなる。すなわち、上記のような構成により、無線端末装置203の通信接続先として選択されることが好ましいセカンダリ送受信部からの無線信号の測定を高い頻度で行うことができるため、一層通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置301では、セカンダリ測定制御部189は、無線端末装置203とプライマリ送受信部302との距離が遠いほどセカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する。
このような構成により、無線端末装置203の通信接続先となるセカンダリ送受信部の選択を早期に行う必要性が高い状況であるほど、セカンダリ送受信部303a,303b,303cから送信される無線信号の測定を高い頻度で行い、一層通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る無線基地局装置301では、セカンダリ測定制御部189は、プライマリ送受信部302から送信される無線信号の無線端末装置203における受信電力が小さいほどセカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する。
このような構成により、無線端末装置203の通信接続先となるセカンダリ送受信部の選択を早期に行う必要性が高い状況であるほど、セカンダリ送受信部303a,303b,303cから送信される無線信号の測定を高い頻度で行うことができるため、一層通信の安定化を図ることができる。
ここで、通信サービスを利用したシステムであって、無線機を搭載したM2M(Machine to Machine)端末同士が人間を介在せずに相互に情報交換するためのシステムであるM2Mネットワークシステムが知られている。たとえば、このM2Mネットワークシステムでは、無線機を搭載した自動販売機が、通信サービスを利用して自己に内蔵されている商品の在庫状況を自動的に管理装置にレポートすることにより、当該自動販売機の制御が自動的に行われる。
そして、上述した第1の実施の形態から第3の実施の形態に係る、LTEに従う通信システム401,402,403を、このようなM2Mネットワークシステムとして利用することも可能である。
また、通信システムは、3GPPで規格化されたLTEに従う移動体通信システムである場合に限らず、たとえばIEEE802.11で規格化された無線LANシステムを含むM2Mネットワークシステムであってもよい。以下、通信システムが、たとえば無線LAN方式に従う通信システムである場合について説明する。
<第4の実施の形態>
[構成および基本動作]
図34は、本発明の第4の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図34を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る通信システム404は、たとえば無線LAN方式に従う通信システムであり、無線基地局装置102A,102B,102C,102D,102Eと、管理装置(設定装置)103とを備える。なお、無線基地局装置102A,102B,102C,102D,102Eの各々を、以下「無線基地局装置102」とも称する。
管理装置103は、無線基地局装置102と通信を行い、無線基地局装置102を管理する。また、管理装置103は、無線基地局装置102経由で、無線端末装置204の動作、具体的には無線端末装置204による通信先切替動作に関する設定を行う。
管理装置103および無線基地局装置102は、有線接続または無線接続され、たとえば、イーサネット(登録商標)規格に従って互いに通信を行う。
無線基地局装置102は、たとえば無線LANアクセスポイントであり、無線LAN方式に従って無線端末装置204との通信を行う。
無線基地局装置102Aは、セルCAを形成し、セルCA内に存在する無線端末装置204と通信することが可能である。無線基地局装置102Bは、セルCBを形成し、セルCB内に存在する無線端末装置204と通信することが可能である。無線基地局装置102Cは、セルCCを形成し、セルCC内に存在する無線端末装置204と通信することが可能である。無線基地局装置102Dは、セルCDを形成し、セルCD内に存在する無線端末装置204と通信することが可能である。無線基地局装置102Eは、セルCEを形成し、セルCE内に存在する無線端末装置204と通信することが可能である。
たとえば、無線基地局装置102Aから周波数f1の無線信号が送信され、無線基地局装置102B,102C,102D,102Eから周波数f2または周波数f3の無線信号が送信される。
無線端末装置204は、たとえば無線LAN方式に従って通信を行う無線LANモジュールであり、M2MネットワークシステムにおけるM2M端末である。無線端末装置204は、無線基地局装置102A,102B,102C,102D,102Eのうち選択されたいずれかの無線基地局装置と通信を行う。
具体的には、無線端末装置204は、自己と通信中である無線基地局装置(選択基地局)を経由して、管理装置103から、自己の周辺に存在する他の無線基地局装置により形成される周辺セルの情報などを取得する。
たとえば、無線端末装置204が無線基地局装置102Aと通信中である場合、無線端末装置204は、無線基地局装置102Aから、セルCB,CC,CD,CFの情報を取得する。そして、無線端末装置204は、取得した情報に基づいて、無線基地局装置102Aから送信される無線信号および他の周辺基地局、すなわち無線基地局装置102B,102C,102D,102Eから送信される無線信号の受信電力を測定する。
このとき、上述のように、無線基地局装置102Aと無線端末装置204との間で周波数f1の無線信号が使用され、無線基地局装置102A以外の周辺基地局から周波数f2または周波数f3の無線信号が送信されるため、無線端末装置204は、無線基地局装置102Aとの間の無線信号の送受信と、周辺基地局から送信される無線信号の受信とを並行して行うことができない。このため、無線端末装置204は、たとえば、無線基地局装置102Aとの通信停止期間を設け、受信対象となる無線信号の周波数を順次切り替えて、無線信号の受信、すなわち異周波測定動作を行う。
そして、管理装置103は、無線端末装置204による異周波測定動作の測定結果を受けて、無線端末装置204の通信相手を切り替えるべきか否かを判断する。そして、管理装置103は、無線端末装置204の通信相手を切り替えるべきであると判断すると、新たな通信相手を示す情報を無線端末装置204へ送信し、無線端末装置204は、通信先の切替動作を行う。
図35は、本発明の第4の実施の形態に係る無線基地局装置を備える通信システムにおける通信先切替動作のシーケンスの一例を示す図である。
ここでは、図34に示すように、無線端末装置204がセルCA内に位置し、無線基地局装置102Aと通信中である状態から、無線端末装置204がセルCBに接近する方向に移動する場合を想定する。
無線基地局装置102、管理装置103および無線端末装置204は、以下のシーケンスおよび各フローチャートの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
図35を参照して、まず、管理装置103は、無線端末装置204の周辺基地局を特定し、たとえば無線基地局装置102Aと特定した周辺基地局との距離等に基づいて、無線端末装置204による受信電力の測定における異周波測定の間隔および異周波測定動作を行う異周波測定期間の長さ等の測定パラメータの設定を行う(ステップS171)。
そして、管理装置103は、設定した測定パラメータ、および、特定した周辺基地局により形成される周辺セルのセルID等を、無線基地局装置102A経由で無線端末装置204へ通知する(ステップS172)。
次に、無線端末装置204は、測定パラメータを受信して、この測定パラメータに従って異周波測定動作を行う。そして、無線端末装置204は、異周波測定動作により得られた測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置102Aへ送信する(ステップS173)。そして、無線基地局装置102Aは、無線端末装置204から受信した測定結果通知を、管理装置103へ送信する(ステップS174)。
次に、管理装置103は、無線基地局装置102A経由で無線端末装置204から受信した測定結果通知に基づいて、たとえばセルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する。そして、管理装置103は、測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置204の通信先切替動作を実行すべきか否かを判断し、通信先切替動作を実行すべきであると判断すると、周辺セルに関する情報を参照して、たとえば無線基地局装置102Bを新たな通信先の無線基地局装置として決定する(ステップS175)。
次に、管理装置103は、新たな通信先の無線基地局装置102Bを示す切替要求を無線基地局装置102Aへ送信する(ステップS176)。そして、無線基地局装置102Aは、管理装置103から受信した切替要求を無線端末装置204へ送信する(ステップS177)。
次に、無線端末装置204は、無線基地局装置102Aから切替要求を受信すると、無線基地局装置102Aとの通信接続を切断する処理を行う(ステップS178)。そして、無線端末装置204は、切替要求に示されている新たな通信先の無線基地局装置102Bとの間で認証処理を行い(ステップS179)、無線基地局装置102Bとの通信接続を確立する。
[管理装置の構成]
図36は、本発明の第4の実施の形態に係る通信システムにおける管理装置の構成を示す図である。
図36を参照して、管理装置103は、切替要求部21と、端末測定結果取得部22と、異周波測定制御部23と、設定通知部24とを有する。
端末測定結果取得部22は、無線端末装置204からの測定結果通知を取得し、取得した測定結果通知から無線基地局装置102および無線端末装置204間の通信品質を求め、当該通信品質を切替要求部21に通知する。
切替要求部21は、無線端末装置204の通信先を、無線端末装置204と通信中である選択基地局から他の無線基地局装置である周辺基地局へ切り替えるための要求、すなわち切替要求を、選択基地局経由で無線端末装置204に対して行なう。たとえば、切替要求部21は、選択基地局および無線端末装置204間の通信品質に関する所定条件が満たされる場合に、上記要求を選択基地局に対して行なう。
異周波測定制御部23は、無線端末装置204による異周波測定期間における無線信号の測定タイミング、異周波測定動作が行われる間隔、または、異周波測定期間における無線信号の測定結果が管理装置103に報告される報告タイミングなどの設定を無線基地局装置102ごとまたは無線信号の周波数ごとに行う。
なお、測定タイミングの設定とは、たとえば、測定処理のパラメータとして、測定タイミングの間隔を設定すること、または、測定開始タイミングとしてオフセットOST(Cell Individual Offset)を設定することを意味する。
また、報告タイミングの設定とは、たとえば、無線信号の測定結果が所定条件を満たす状態が所定時間継続するたびに上記測定結果がサービング基地局へ報告すなわち送信される場合において、上記所定時間(TTT:Time to Trigger)を設定することを意味する。
設定通知部24は、異周波測定制御部23により設定された設定内容を取得して、当該設定内容を、選択基地局経由で無線端末装置204へ送信する。
なお、図36における切替要求部21および端末測定結果取得部22は、本発明において必須の構成要素ではない。管理装置103は、これらの構成要素を備えなくても、周辺基地局から送信される無線信号の測定において、無線端末装置204における周辺基地局からの無線信号の測定動作を適切に行い、通信の安定化を図るという本発明の目的を達成することが可能である。
[動作]
次に、図35に示すステップS171における、管理装置103による測定パラメータの設定動作の流れについて説明する。
(1)測定タイミングの設定動作
(i)測定タイミングの間隔
管理装置103による測定タイミングの間隔の設定動作は、図6に示す第1の実施の形態に係る通信システム401の無線基地局装置101による測定タイミングの間隔の設定動作と同様である。
すなわち、図6を参照して、まず、管理装置103は、無線端末装置204の周辺基地局、すなわち無線端末装置204の周囲に存在する無線基地局装置であって、無線端末装置204と通信中である選択基地局以外の無線基地局装置を特定する。
具体的には、管理装置103は、無線端末装置204の位置を推定する。そして、管理装置103は、推定した無線端末装置202の位置情報と、予め記憶する複数の無線基地局装置の位置情報とに基づいて無線端末装置204の周囲に存在する1または複数の無線基地局装置を周辺基地局として特定する(ステップS31)。
次に、管理装置103の異周波測定制御部23は、予め記憶する複数の無線基地局装置の位置情報に基づいて、無線端末装置204と通信中である選択基地局と、周辺基地局との距離を取得する(ステップS32)。
次に、管理装置103の異周波測定制御部23は、選択基地局から送信される無線信号の電力に関する情報、および、周辺基地局から送信される無線信号の電力に関する情報を取得する(ステップS33)。
たとえば、異周波測定制御部23は、周辺基地局が送信する無線信号の電力と、周辺基地局が送信する無線信号の、選択基地局により形成されるセルにおける受信電力との差である下りパスロスの時間的な変化に基づいて、選択基地局から送信される無線信号の電力に関する情報、および、周辺基地局から送信される無線信号の電力に関する情報を取得することができる。
あるいは、異周波測定制御部23は、選択基地局により形成されるセルに在圏する無線端末装置204が送信する無線信号の電力と、選択基地局における無線信号の受信電力との差である上りパスロスの時間的な変化に基づいて、選択基地局から送信される無線信号の電力に関する情報、および、周辺基地局から送信される無線信号の電力に関する情報を取得することができる。
次に、管理装置103の異周波測定制御部23は、ステップS32において取得した選択基地局と周辺基地局との距離、ステップS33において取得した選択基地局から送信される無線信号の電力に関する情報および特定した周辺基地局から送信される無線信号の電力に関する情報に基づいて、異周波測定期間における無線信号の測定タイミングの間隔を設定する。たとえば、異周波測定制御部23は、選択基地局と周辺基地局との距離が遠いほど測定タイミングの間隔を短く設定する(ステップS34)。
そして、管理装置103は、設定内容を選択基地局経由で無線端末装置204へ送信する(ステップS35)。
図37は、本発明の第4の実施の形態に係る通信システムにおける管理装置により設定された測定タイミングの間隔を示す図である。
図37を参照して、無線基地局装置102Aが選択基地局であり、無線基地局装置102B,102Cが周辺基地局として特定された場合を想定する。この場合、選択基地局と無線基地局装置102Bとの距離より、選択基地局と無線基地局装置102Cとの距離の方が遠いため、管理装置103は、たとえば、無線基地局装置102Bからの無線信号の測定タイミングの間隔を間隔t11と設定し、無線基地局装置102Cからの無線信号の測定タイミングの間隔を間隔t12(<t11)と設定する。
そして、管理装置103は、設定内容を選択基地局経由で無線端末装置204へ送信する。これにより、無線端末装置204は、管理装置103から送信された情報の示す設定内容に基づいて異周波測定動作を行う。
ここでは、無線基地局装置102Bからの無線信号の測定タイミングの間隔t11が、無線基地局装置102Cからの無線信号の測定タイミングの間隔が間隔t12よりも長いことから、無線端末装置204による異周波測定期間において、無線基地局装置102Bの無線信号よりも、無線基地局装置102Cの無線信号の方が多くの回数測定が行われる。
なお、管理装置103は、たとえば、選択基地局から送信される無線信号の電力が小さいほど測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。また、たとえば、管理装置103は、周辺基地局から送信される無線信号の電力が大きいほど測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
さらに、管理装置103は、選択基地局と周辺基地局との距離、選択基地局から送信される無線信号の電力および周辺基地局から送信される無線信号の電力を総合的に判断することによって測定タイミングの間隔を設定してもよい。たとえば、管理装置103は、{(選択基地局と周辺基地局との距離)×(周辺基地局の送信電力)/(選択基地局の送信電力)}の値が小さいほど測定タイミングの間隔を長く設定することができる。
(ii)測定開始タイミング
管理装置103による測定開始タイミングの設定動作は、図8に示す第1の実施の形態に係る通信システム401の無線基地局装置101による測定開始タイミングの設定動作と同様である。
すなわち、図8を参照して、まず、管理装置103の異周波測定制御部23は、上述したステップS31と同様に、無線端末装置204の周辺基地局を特定する(ステップS41)。
次に、管理装置103は、測定開始タイミングとしてオフセットOSTを設定する。すなわち、管理装置103は、図示しないメモリに、複数の無線基地局装置と当該無線基地局装置ごとに設定されたオフセットOSTとを対応づけて記録している。そして、異周波測定制御部23は、当該メモリを参照することにより、特定した周辺基地局に対応づけて記録されているオフセットOSTを抽出し、抽出したオフセットOSTを設定する(ステップS42)。
そして、管理装置103は、設定内容を選択基地局経由で無線端末装置204へ送信する(ステップS43)。
図38は、本発明の第4の実施の形態に係る通信システムにおける管理装置により設定された測定開始タイミングを示す図である。
図38を参照して、無線基地局装置102Aが選択基地局であり、無線基地局装置102B,102Cが周辺基地局として特定された場合を想定する。この場合、管理装置103は、メモリを参照することにより、たとえば、無線基地局装置102Bに対してオフセットOST=0msを設定し、無線基地局装置102Cに対してオフセットOST=1msを設定する。
そして、管理装置103は、設定内容を選択基地局経由で無線端末装置204へ送信する。これにより、無線端末装置204は、管理装置103から送信された情報の示す設定内容に基づいて異周波測定動作を行う。ここでは、無線基地局装置102Cの無線信号は無線基地局装置102Bよりも1ms遅れたタイミングで周期的に測定される。
(2)異周波測定動作を行う間隔の制御動作
管理装置103による異周波測定動作の間隔の設定動作は、図14に示す第1の実施の形態に係る通信システム401の無線基地局装置101による異周波測定動作の間隔の設定動作と同様である。
すなわち、図14を参照して、まず、管理装置103は、図6に示すステップS31と同様に、無線端末装置204の周辺基地局を特定する(ステップS61)。
次に、管理装置103の異周波測定制御部23は、特定した周辺基地局に基づいて異周波測定動作の間隔を設定する。
ここで、管理装置103は、図示しないメモリに、複数の無線基地局装置と当該無線基地局装置ごとに設定された異周波測定動作の間隔情報とを対応づけて記録している。そして、異周波測定制御部23は、当該メモリを参照することにより、特定した周辺基地局に対応づけて記録されている異周波測定動作の間隔情報を抽出し、抽出した異周波測定動作の間隔を設定する(ステップS62)。
なお、選択基地局と周辺基地局との距離が近いほど、当該周辺基地局は選択基地局により形成されるセル内に位置する可能性が高く、当該セルのセルエッジ付近に位置している周辺基地局と比較して通信先切替動作のタイミングが遅れることによる無線リンク断が発生する可能性が低い。このため、選択基地局により形成されるセルのセルエッジ付近に位置する周辺基地局からの無線信号の測定は、当該セル内に位置する周辺基地局からの無線信号の測定よりも高い頻度で行われることが好ましい。このため、上記メモリには、たとえば選択基地局との距離が近い周辺基地局ほど、異周波測定動作の間隔が長くなるように異周波測定動作の間隔情報が対応づけられている。
次に、管理装置103の設定通知部24は、ステップS62において異周波測定制御部23により設定された異周波測定動作の間隔を示す情報を、選択基地局経由で無線端末装置204へ送信する。これにより、無線端末装置204は、管理装置103から送信された設定内容に基づいて異周波測定動作を行う(ステップS63)。
図39は、本発明の第4の実施の形態に係る通信システムにおける管理装置により設定された異周波測定動作を行う間隔の一例を示す図である。
図39を参照して、無線基地局装置102Aが選択基地局であり、無線基地局装置102Bが周辺基地局として特定された場合を想定する。このとき、無線基地局装置102Bに予め対応づけられている異周波測定動作の間隔が、たとえば間隔L11=160msである場合、管理装置103は、この間隔L11を異周波測定動作の間隔として設定し、設定内容を選択基地局102A経由で無線端末装置204へ送信する。
その後、無線端末装置204が移動することにより、無線基地局装置102Cが周辺基地局として特定された場合を測定する。このとき、無線基地局装置102Cに予め対応づけられている異周波測定動作の間隔が、たとえば間隔L12=80ms(<L11)である場合、管理装置103は、この間隔L12を異周波測定動作の間隔として設定し、設定内容を選択基地局経由で無線端末装置204へ送信する。これにより、無線端末装置204は、自己の移動に伴って異なる間隔で異周波測定動作を繰り返す。
(3)報告タイミングの制御動作
管理装置103による報告タイミングの設定動作は、図17に示す第1の実施の形態に係る通信システム401の無線基地局装置101による報告タイミングの設定動作と同様である。
すなわち、図17を参照して、まず、ステップ71からステップS73までの動作は、図6に示すステップS31からステップS33までの動作と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
次に、管理装置103の異周波測定制御部23は、ステップS72において取得した選択基地局と周辺基地局との間の距離、ステップS73において取得した選択基地局から送信される無線信号の電力に関する情報および特定した周辺基地局から送信される無線信号の電力に関する情報に基づいて、異周波測定期間における無線信号の測定結果を報告する報告タイミングを設定する。
ここで、無線端末装置204は、異周波測定動作を行う異周波測定期間において無線信号を測定し、当該測定による測定結果が所定条件を満たす状態が所定時間継続するたびに、測定結果を選択基地局経由で管理装置103へ送信する。すなわち、管理装置103の異周波測定制御部23は、報告タイミングの設定として、上記所定時間であるTTTを周辺基地局ごとまたは無線信号の周波数ごとに設定する(ステップS74)。
たとえば、選択基地局と周辺基地局との距離が近いほど、当該周辺基地局は選択基地局により形成されるセル内に位置する可能性が高く、当該セルのセルエッジ付近に位置している周辺基地局と比較して通信先切替動作のタイミングが遅れることによる無線リンク断が発生する可能性が低い。このため、異周波測定制御部23は、たとえば選択基地局との距離が近い周辺基地局に対してはTTTを長く設定する。
具体的には、上述した測定タイミングの間隔の設定動作において、無線基地局装置102Bからの無線信号の測定タイミングの間隔が間隔t11と設定され、無線基地局装置102Cからの無線信号の測定タイミングの間隔が間隔t12(<t11)と設定されている場合、異周波測定動作の期間において行われる測定回数は、無線基地局装置102Bからの無線信号の方が無線基地局装置102Cからの無線信号よりも少ない。
このため、管理装置103は、測定回数が比較的少ない、すなわち測定タイミングの間隔が長い無線基地局装置102Bに対して、無線基地局装置102CよりもTTTを長く設定することが可能である。
次に、管理装置103の設定通知部24は、ステップS74において異周波測定制御部23により設定されたTTTを示す情報を、選択基地局経由で無線端末装置204へ送信する。これにより、無線端末装置204は、管理装置103から送信された設定内容に基づいて異周波測定動作の測定結果の報告を行う(ステップS75)。
なお、上述した動作の流れでは、管理装置103が、選択基地局と周辺基地局との間の距離、選択基地局から送信される無線信号の電力に関する情報および周辺基地局から送信される無線信号の電力に関する情報に基づいてTTTを設定する場合について説明した。しかしながら、このような動作の流れに限定されず、管理装置103は、他の方法を用いてTTTを設定することも可能である。
上述のとおり、本発明の第4の実施の形態に係る通信システム404では、異周波測定制御部23が、異周波測定動作が行われる異周波測定期間において異なる周波数の無線信号が測定されるタイミングである測定タイミング、異周波測定動作が行われる間隔、または異周波測定期間における異なる周波数の無線信号の測定結果が選択基地局に報告されるタイミングである報告タイミングを設定する。また、設定通知部24が、異周波測定制御部23による設定の内容を無線端末装置204に通知する。さらに、異周波測定制御部23は、周辺基地局ごとまたは無線信号の周波数ごとに上記設定を行う。
このような構成により、周辺基地局ごとまたは周辺基地局から送信される無線信号の周波数ごとにタイミングをずらして異周波測定動作を行うことができるため、並行して測定することのできる測定対象の数に限りがあっても、所定期間内に測定することのできる測定対象の数を従来よりも増やすことができる。このため、周辺基地局が多数存在する場合であっても測定に時間がかかることを防ぎ、無線端末装置204による異周波測定動作を適切に行うことができ、通信の安定化を図ることができる。
<第5の実施の形態>
上述した本発明の第4の実施の形態では、無線基地局装置102Aおよび無線端末装置204間で使用される無線信号と、無線基地局装置102B,102C,102D,102Eから送信される無線信号とが異なる周波数である場合について説明した。これに対して、本発明の第5の実施の形態では、無線基地局装置102A,102B,102C,102D,102Eからそれぞれ送信される各無線信号の周波数が同じである場合について説明する。
[構成および基本動作]
図40は、本発明の第5の実施の形態に係る無線基地局装置を備える通信システムの構成を示す図である。
図40を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る通信システム405は、図34に示す通信システム404と同様に、たとえば無線LAN方式に従う通信システムであり、無線基地局装置102A,102B,102C,102D,102Eと、管理装置(設定装置)104とを備える。
無線基地局装置102AはセルCAを形成し、無線基地局装置102BはセルCBを形成し、無線基地局装置102CはセルCCを形成し、無線基地局装置102DはセルCDを形成し、無線基地局装置102EはセルCEを形成する。無線基地局装置102A,102B,102C,102D,102Eは、それぞれ自己が形成するセル内に存在する無線端末装置204と周波数f1の無線信号を送受信することにより、無線端末装置204と通信することが可能である。
図41は、本発明の第5の実施の形態に係る通信システムにおける管理装置の構成を示す図である。
図41を参照して、管理装置104は、図36に示す本発明の第4の実施の形態に係る管理装置103と比較して、異周波測定制御部23および設定通知部24の代わりに、測定制御部25および設定通知部26を有する。
測定制御部25は、無線端末装置204と通信中である選択基地局、および、無線端末装置204間で使用される無線信号の周波数と同じ周波数の無線信号であって、選択基地局以外の無線基地局装置である周辺基地局から送信される無線信号の測定を行う測定タイミング(同一周波測定期間における測定タイミング)を周辺基地局ごとに設定する。
なお、測定タイミングの設定とは、たとえば、測定処理のパラメータとして、測定タイミングの間隔を設定すること、または、測定開始タイミングとしてオフセットOST(Cell Individual Offset)を設定することを意味する。
設定通知部26は、測定制御部25により設定された設定内容を取得して、当該設定内容を、選択基地局経由で無線端末装置204へ送信する。
なお、図41における切替要求部21および端末測定結果取得部22は、本発明において必須の構成要素ではない。管理装置104は、これらの構成要素を備えなくても、周辺基地局から送信される無線信号の測定において、無線端末装置204における周辺基地局からの無線信号の測定動作を適切に行い、通信の安定化を図るという本発明の目的を達成することが可能である。
[動作]
次に、管理装置104による測定パラメータの設定動作の流れについて説明する。
(1)測定タイミングの間隔
管理装置104による測定タイミングの間隔の設定動作は、図23に示す第2の実施の形態に係る通信システム402の無線基地局装置101による測定タイミングの間隔の設定動作と同様である。
すなわち、図23を参照して、ステップS91からステップS93までの動作は、図6に示すステップS31からステップS33までの動作と同様であり、測定制御部25は、選択基地局と周辺基地局との距離、選択基地局から送信される無線信号の電力に関する情報および周辺基地局から送信される無線信号の電力に関する情報を取得する。
そして、測定制御部25は、取得した情報に基づいて、周辺基地局から送信される無線信号の測定タイミングの間隔を設定する。たとえば、測定制御部25は、選択基地局と周辺基地局との距離が近いほど測定タイミングの間隔を短く設定する(ステップS94)。
なお、測定制御部25は、たとえば、選択基地局から送信される無線信号の電力が大きいほど測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。また、たとえば、測定制御部25は、周辺基地局から送信される無線信号の電力が小さいほど測定タイミングの間隔を短く設定してもよい。
さらに、測定制御部25は、選択基地局と周辺基地局との距離、選択基地局から送信される無線信号の電力および周辺基地局から送信される無線信号の電力を総合的に判断することによって測定タイミングの間隔を設定してもよい。
次に、管理装置104の設定通知部26は、ステップS94において測定制御部25により設定された測定タイミングの間隔を示す情報を、選択基地局経由で無線端末装置204へ送信する。これにより、無線端末装置204は、管理装置104から送信された情報の示す設定内容に基づいて無線信号の測定を行う(ステップS95)。
(2)測定開始タイミング
管理装置104による測定開始タイミングの設定動作は、図24に示す第2の実施の形態に係る通信システム402の無線基地局装置101による測定開始タイミングの設定動作と同様である。
すなわち、図24を参照して、ステップS101の動作は、図8に示すステップS41の動作と同様である。
次に、測定制御部25は、複数の無線基地局装置と当該無線基地局装置ごとに設定されたオフセットOSTとを予め対応づけて記録するメモリを、参照する。そして、測定制御部25は、当該メモリから、特定した周辺基地局に対応づけて記録されているオフセットOSTを抽出し、測定開始タイミング(同一周波測定動作におけるオフセット)として抽出したオフセットOSTを設定する(ステップS102)。
次に、設定通知部26は、ステップS102において設定した測定開始タイミングすなわちオフセットOSTを示す情報を、選択基地局経由で無線端末装置204へ送信する。これにより、無線端末装置204は、管理装置104から送信された設定内容に基づいて、選択基地局との間で使用されている無線信号の周波数と同じ周波数である無線信号の測定を行う(ステップS103)。
上述のとおり、本発明の第5の実施の形態に係る通信システム405では、測定制御部25が、無線端末装置204と通信中である選択基地局以外の無線基地局装置である周辺基地局から送信される無線信号の測定が無線端末装置204によって行われるタイミングである測定タイミングを設定する。また、設定通知部26が、測定制御部25による設定の内容を、選択基地局経由で無線端末装置204に通知する。さらに、測定制御部25は、周辺基地局ごとに上記設定を行う。
このような構成により、周辺基地局ごとにタイミングをずらして無線信号の測定を行うことができるため、並行して測定することのできる測定対象の数に限りがあっても、所定期間内に測定することのできる測定対象の数を従来よりも増やすことができる。このため、周辺基地局が多数存在する場合であっても測定に時間がかかることを防ぎ、周辺基地局から送信される無線信号の測定を適切に行うことができ、通信の安定化を図ることができる。
<第6の実施の形態>
上述した本発明の第4の実施の形態では、無線端末装置204は、たとえば、自己と通信中である選択基地局との通信停止期間を設け、受信対象となる無線信号の周波数を順次切り替えて、周辺基地局から送信される無線信号の受信を行い、複数の無線基地局装置のうち選択された無線基地局装置と通信を行う。
これに対して、本発明の第6の実施の形態に係る通信システム406では、無線端末装置205が、無線信号の送受信を複数の無線基地局装置との間で並行して行うことが可能である場合について説明する。
[構成および基本動作]
図42は、本発明の第6の実施の形態に係る無線基地局装置を備える通信システムの構成を示す図である。
図42を参照して、本発明の第6の実施の形態に係る通信システム406は、図34に示す通信システム404と同様に、たとえば無線LAN方式に従う通信システムであり、無線基地局装置102A,102B,102C,102D,102Eと、管理装置(設定装置)105とを備える。
無線基地局装置102AはセルCAを形成し、無線基地局装置102BはセルCBを形成し、無線基地局装置102CはセルCCを形成し、無線基地局装置102DはセルCDを形成し、無線基地局装置102EはセルCEを形成する。無線基地局装置102A,102B,102C,102D,102Eは、それぞれ自己が形成するセル内に存在する無線端末装置205との間で無線信号を送受信することにより、無線端末装置205と通信することが可能である。
無線端末装置205は、無線信号の送受信を複数の無線基地局装置との間で並行して行うことが可能、すなわちキャリア・アグリゲーションを使用することが可能である。
より詳細には、無線端末装置205は、まず、自己と通信中である無線基地局装置(以下、「プライマリ基地局」とも称する)との間で無線信号の送受信を行う。そして、無線端末装置205は、プライマリ基地局との間における無線信号の送受信と並行して、自己の周囲に位置するプライマリ基地局以外の無線基地局装置(以下、「セカンダリ基地局」とも称する)から送信される無線信号の測定動作であるセカンダリ測定動作を行う。
なお、無線基地局装置102A,102B,102C,102D,102Eの各々を「無線基地局装置102」とも称し、プライマリ基地局により形成されるセルを「プライマリセル」とも称し、セカンダリ基地局により形成されるセルを「セカンダリセル」とも称する。
そして、たとえば無線端末装置205がセカンダリ測定動作を行いながら移動し、セカンダリ基地局へ接近することによって、当該セカンダリ基地局から送信される無線信号の受信電力の大きさが所定の閾値を超えた場合、当該セカンダリ基地局が無線端末装置205の通信接続先として選択される。
そして、無線端末装置205は、プライマリ基地局との間における無線信号の送受信と、通信接続先として選択されたセカンダリ基地局との間における無線信号の送受信とを並行して行う。
そして、たとえば無線基地局装置102Aおよび無線基地局装置102Bが無線端末装置205との間で通信接続を確立している状況である場合、無線基地局装置102Aおよび無線基地局装置102Bは、それぞれ無線端末装置205から送信される無線信号を受信する。そして、無線基地局装置102Aおよび無線基地局装置102Bは、無線端末装置205から受信した無線信号をデジタル信号に変換し、管理装置105へ送信する。そして、管理装置105は、無線基地局装置102Aおよび無線基地局装置102Bからそれぞれ受信したデジタル信号を必要に応じて結合し、たとえば図示しないインターネット側へ送信する。
また、管理装置105は、たとえば、無線基地局装置102Aおよび無線基地局装置102Bが無線端末装置205との間で通信接続を確立している状況である場合、インターネット側から受信したデジタル信号を、無線基地局装置102Aへ送信するデジタル信号と、無線基地局装置102Bへ送信するデジタル信号とに分割し、それぞれ対応の無線基地局装置へ送信する。そして、無線基地局装置102A,102Bは、それぞれ管理装置105から受信したデジタル信号を無線信号に変換して、無線端末装置205へ送信する。
また、管理装置105は、無線端末装置205の動作、すなわち無線端末装置205によるセカンダリ測定動作に関する設定を行う。
次に、通信システム406におけるセカンダリセルの有効化処理、すなわち無線基地局装置102Aがプライマリ基地局であると仮定した場合、セカンダリ基地局である無線基地局装置102B,102C,102D,102Eのうちの少なくとも1つのセカンダリ基地局が無線端末装置205の通信接続先として選択されるまでの処理の流れについて説明する。
管理装置105、無線基地局装置102および無線端末装置205は、以下のシーケンスおよび各フローの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
図43は、本発明の第6の実施の形態に係る無線基地局装置を備える通信システムにおけるセカンダリセルの有効化処理のシーケンスの一例を示す図である。
ここでは、図42に示すように、無線端末装置205が無線基地局装置102Aにより形成されるセル内に位置し、無線基地局装置102Aと通信中である状態から、さらに、無線端末装置205が移動することにより、セカンダリ基地局である無線基地局装置102B,102C,102D,102Eのうちのいずれかのセカンダリ基地局に接近して当該セカンダリ基地局との通信を開始する場合を想定する。
図43を参照して、まず、管理装置105は、たとえば、GPSまたはLPPを利用することにより無線端末装置205の位置を推定し、推定した無線端末装置205の位置情報と、予め記憶する複数の無線基地局装置102の位置情報とに基づいて、無線端末装置205の周囲に存在する1または複数のセカンダリ基地局を特定する。ここでは、管理装置105は、たとえば図42に示す無線基地局装置102Bを、無線端末装置205の周囲に位置するセカンダリ基地局として特定する(ステップS181)。
次に、管理装置105は、プライマリ基地局、セカンダリ基地局および無線端末装置205のうち少なくとも1つに関する情報に基づいて、無線端末装置205によりセカンダリ測定動作が行われるタイミングであるセカンダリ測定タイミングの間隔の設定を行う(ステップS182)。たとえば、管理装置105は、無線端末装置205とプライマリ基地局との距離、または、無線端末装置205とセカンダリ基地局との距離などを用いて、セカンダリ測定タイミングの間隔の設定を行う。このセカンダリ測定タイミングの間隔の設定の詳細については後述する。
次に、管理装置105は、ステップS181において特定したセカンダリ基地局を示す識別情報、および、ステップS182において設定した測定パラメータの設定内容等を、プライマリ基地局経由で無線端末装置205へ通知する(ステップS183)。
次に、無線端末装置205は、管理装置105から通知された、セカンダリ送受信部を示す識別情報および測定パラメータの設定内容に基づいて、自己の周囲に位置する1または複数のセカンダリ基地局から送信される無線信号に対してセカンダリ測定動作を開始する。そして、無線端末装置205は、自己の周囲に位置する1または複数のセカンダリ基地局から送信される無線信号の中から、受信電力の大きさが所定の閾値を超える無線信号の検出を行う(ステップS184)。
ここでは、無線端末装置205がセカンダリ測定動作を行いながら移動し、セカンダリ基地局である無線基地局装置102Bへ接近することによって、無線基地局装置102Bから送信される無線信号の受信電力の大きさが所定の閾値を超える場合を想定する。
次に、無線端末装置205は、セカンダリ測定動作により得られた測定結果を示す測定結果通知を、プライマリ基地局経由で管理装置105へ送信する。この測定結果通知には、無線端末装置205における受信電力の大きさが所定の閾値を超える無線信号の送信元、すなわちセカンダリ基地局である無線基地局装置102Bを示す識別情報等が含まれている(ステップS185)。
次に、管理装置105は、無線端末装置205から測定結果通知を受けて、セ無線基地局装置102Bを、無線端末装置205の新たな通信接続先として追加することを決定する。そして、管理装置105は、無線基地局装置102Bを新たな通信接続先とすることを示す通信先追加要求をプライマリ基地局である無線基地局装置102Aへ送信する(ステップS186)。そして、プライマリ基地局は、管理装置105から受信した通信先追加要求を無線端末装置205へ送信する(ステップS187)。
次に、無線端末装置205は、プライマリ基地局から通信先追加要求を受信すると、この通信先追加要求に従って、セカンダリ基地局により形成されるセカンダリセル、すなわちセルCBを有効化する。具体的には、無線端末装置205は、プライマリ基地局である無線基地局装置102Aとの無線信号の送受信に加えて、セカンダリ基地局である無線基地局装置102Bとの無線信号の送受信を行うことを決定する(ステップS188)。
[管理装置の構成]
図44は、本発明の第6の実施の形態に係る通信システムにおける管理装置の構成を示す図である。
図44を参照して、管理装置105は、信号処理部185と、制御部188とを有する。信号処理部185は、受信信号処理部186と、送信信号処理部187とを有し、制御部188は、セカンダリ測定制御部195と、設定通知部196とを有する。
受信信号処理部186は、無線基地局装置102A,102B,102C,102D,102Eのうち無線端末装置205との間で通信接続を確立している無線基地局装置からデジタル信号を受信する。そして、受信信号処理部186は、受信したデジタル信号を必要に応じて結合して、たとえばインターネット側へ送信する。
送信信号処理部187は、インターネット側から受信したデジタル信号を必要に応じて分割し、無線端末装置205との間で通信接続を確立している無線基地局装置へ送信する。
たとえば、無線基地局装置102Aに加えて、無線基地局装置102Bが無線端末装置205との間で通信接続を確立している状況を想定する。このような状況の場合、送信信号処理部187は、インターネット側から受信したデジタル信号を、無線基地局装置102A経由で無線端末装置205へ送信されるデジタル信号と、無線基地局装置102B経由で無線端末装置205へ送信されるデジタル信号とに分割する。そして、送信信号処理部187は、分割したデジタル信号をそれぞれ対応の無線基地局装置102へ送信する。
セカンダリ測定制御部195は、無線端末装置205とプライマリ基地局との距離、または、無線端末装置205とセカンダリ基地局の距離などを用いて、セカンダリ測定タイミングの間隔の設定を行う。
設定通知部196は、セカンダリ測定制御部195により設定された設定内容を取得して、当該設定内容をプライマリ基地局経由で無線端末装置205へ送信する。
なお、図44における信号処理部185は、本発明において必須の構成要素ではない。管理装置105は、この構成要素を備えなくても、周辺基地局から送信される無線信号の測定において、無線端末装置205における周辺基地局からの無線信号の測定動作を適切に行い、通信の安定化を図るという本発明の目的を達成することが可能である。
[動作]
次に、管理装置105による測定パラメータの設定動作の流れについて説明する。
(具体例1)無線端末装置とプライマリ基地局との距離に基づく設定
無線端末装置205とプライマリ基地局との距離に基づく、管理装置105による測定パラメータの設定動作は、図29に示す第3の実施の形態に係る通信システム403の無線基地局装置301による設定動作と同様である。
すなわち、図29を参照して、まず、管理装置105は、無線端末装置205の位置情報と、予め記憶する無線基地局装置102の位置情報とに基づいて、無線端末装置205と、無線端末装置205と通信中であるプライマリ基地局との距離を算出する(ステップS131)。
次に、管理装置105のセカンダリ測定制御部195は、算出された無線端末装置205とプライマリ基地局との距離に基づいて、セカンダリ測定タイミングの間隔を設定する。
ここで、無線端末装置205とプライマリ基地局との距離が遠いほど、無線端末装置205はプライマリセルのセルエッジ付近に位置している可能性が高く、無線端末装置205がプライマリセルの中心付近に位置している場合と比較して、無線端末装置205およびプライマリ基地局間の通信品質が悪い可能性が高い。このため、無線端末装置205とプライマリ基地局との距離が遠い場合ほど、無線端末装置205の通信接続先となるセカンダリ基地局の選択を早期に行う必要性が高い。
従って、セカンダリ測定制御部195は、たとえば、無線端末装置205とプライマリ基地局との距離が遠い状況であるほど、セカンダリ基地局から送信される無線信号の測定が高い頻度で行われるように、セカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する(ステップS132)。
次に、管理装置105の設定通知部196は、セカンダリ測定制御部195により設定されたセカンダリ測定タイミングの間隔を示す情報を、プライマリ基地局経由で無線端末装置205へ送信する。これにより、無線端末装置205は、管理装置105から送信された情報の示す設定内容に基づいてセカンダリ測定動作を行う(ステップS133)。
(具体例2)無線端末装置とセカンダリ基地局との距離に基づく設定
無線端末装置205とセカンダリ基地局との距離に基づく、管理装置105による測定パラメータの設定動作は、図30に示す第3の実施の形態に係る通信システム403の無線基地局装置301による設定動作と同様である。
すなわち、図30を参照して、まず、管理装置105は、無線端末装置205の位置情報と、予め記憶する無線基地局装置102の位置情報とに基づいて、図43に示すステップS181において特定された1または複数のセカンダリ基地局ごとに無線端末装置205との距離を算出する(ステップS141)。
次に、管理装置105のセカンダリ測定制御部195は、算出された無線端末装置205と特定された各セカンダリ基地局との距離に基づいて、セカンダリ基地局ごとにセカンダリ測定タイミングの間隔を設定する。
ここで、無線端末装置205とセカンダリ基地局との距離が遠いほど、無線端末装置205およびセカンダリ基地局間の通信品質が悪い可能性が高い。従って、セカンダリ測定制御部195は、たとえば、無線端末装置205との距離が遠いセカンダリ基地局ほど、セカンダリ測定動作の頻度を少なくして電力の消費を抑えるため、セカンダリ測定タイミングの間隔を長く設定する(ステップS142)。
たとえば、無線端末装置205の周囲に存在するセカンダリ基地局として、無線基地局装置102Bおよび無線基地局装置102Cが特定された場合であって、無線端末装置205と無線基地局装置102Bとの距離の方が、無線端末装置205と無線基地局装置102Cとの距離よりも遠い場合を想定する。この場合、セカンダリ測定制御部195は、無線基地局装置102Bから送信される無線信号のセカンダリ測定タイミングの間隔を、無線基地局装置102Cから送信される無線信号のセカンダリ測定タイミングの間隔よりも長く設定する。
次に、管理装置105の設定通知部196は、セカンダリ測定制御部195により設定されたセカンダリ測定タイミングの間隔を示す情報を、プライマリ基地局経由で無線端末装置205へ送信する。これにより、無線端末装置205は、管理装置105から送信された情報の示す設定内容に基づいてセカンダリ測定動作を行う(ステップS143)。
(具体例3)プライマリ基地局からの無線信号の受信電力の大きさに基づく設定
プライマリ基地局からの無線信号の受信電力の大きさに基づく、管理装置105による測定パラメータの設定動作は、図31に示す第3の実施の形態に係る通信システム403の無線基地局装置301による設定動作と同様である。
すなわち、図31を参照して、まず、管理装置105は、プライマリ基地局から送信される無線信号の無線端末装置205における受信電力に関する情報を取得する(ステップS151)。
次に、管理装置105のセカンダリ測定制御部195は、ステップS151において取得した受信電力に関する情報に基づいて、セカンダリ測定タイミングを設定する。
ここで、プライマリ基地局から送信される無線信号の無線端末装置205における受信電力が小さいほど、無線端末装置205およびプライマリ基地局間の通信品質が悪い可能性が高い。このため、プライマリ基地局から送信される無線信号の無線端末装置205における受信電力が小さいほど、無線端末装置205の通信接続先となるセカンダリ基地局の選択を早期に行う必要性が高い。
従って、セカンダリ測定制御部195は、たとえば、プライマリ基地局から送信される無線信号の無線端末装置205における受信電力が小さいほど、セカンダリ基地局から送信される無線信号の測定が高い頻度で行われるように、セカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する(ステップS152)。
次に、管理装置105の設定通知部196は、セカンダリ測定制御部195により設定されたセカンダリ測定タイミングの間隔を示す情報を、プライマリ基地局経由で無線端末装置205へ送信する。これにより、無線端末装置205は、管理装置105から送信された情報の示す設定内容に基づいてセカンダリ測定動作を行う(ステップS153)。
(具体例4)セカンダリ基地局からの無線信号の周波数に基づく設定(1)
セカンダリ基地局からの無線信号の周波数に基づく、管理装置105による測定パラメータの設定動作は、図32に示す第3の実施の形態に係る通信システム403の無線基地局装置301による設定動作と同様である。
すなわち、図32を参照して、まず、管理装置105は、図43に示すステップS181において特定された1または複数のセカンダリ基地局から送信される無線信号に関する情報を取得する。この無線信号に関する情報には、各セカンダリ基地局から送信される無線信号の周波数を示す情報が含まれている(ステップS161)。
次に、管理装置105のセカンダリ測定制御部195は、ステップS161において取得した無線信号に関する情報に基づいて、セカンダリ基地局ごとに、セカンダリ測定タイミングを設定する。
ここで、セカンダリ基地局から送信される無線信号の周波数が高い場合、当該無線信号の減衰が大きく無線端末装置205との間の通信品質が悪くなるため、当該セカンダリ基地局を通信接続先とする無線端末装置の数は比較的少ないことが考えられる。このため、無線端末装置205の通信接続先として当該セカンダリ基地局が選択された場合、無線端末装置205および当該セカンダリ基地局間の通信速度の設定値を大きくすることができる可能性が高い。
従って、セカンダリ測定制御部195は、たとえば、特定されたセカンダリ基地局のうち、送信する無線信号の周波数が高いセカンダリ基地局ほど、セカンダリ測定動作が優先的に多く行われるように、セカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する(ステップS162)。
たとえば、無線端末装置205の周囲に存在するセカンダリ基地局として、無線基地局装置102Bおよび無線基地局装置102Cが特定された場合であって、無線基地局装置102Bから送信される無線信号の周波数がf4であり、無線基地局装置102Cから送信される無線信号の周波数がf5であり、周波数f5が周波数f4よりも高い場合(f5>f4)を想定する。この場合、セカンダリ測定制御部195は、無線基地局装置102Bからの周波数f4の無線信号のセカンダリ測定タイミングの間隔よりも、無線基地局装置102Cからの周波数f5の無線信号のセカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する。
次に、管理装置105の設定通知部196は、セカンダリ測定制御部195により設定されたセカンダリ測定タイミングの間隔を示す情報を、プライマリ基地局経由で無線端末装置205へ送信する。これにより、無線端末装置205は、管理装置105から送信された情報の示す設定内容に基づいてセカンダリ測定動作を行う(ステップS163)。
(具体例5)セカンダリ基地局からの無線信号の周波数に基づく設定(2)
具体例5におけるセカンダリ測定タイミングの間隔の設定動作の流れは、図32に示す具体例4におけるセカンダリ測定タイミングの間隔の設定動作の流れと概ね同様であり、ステップS162におけるセカンダリ測定タイミングの設定動作のみ異なるため、ここでは具体例4と異なる点であるステップS162の動作について説明する。
上述した具体例4では、図32に示すステップS162において、セカンダリ測定制御部195は、セカンダリ基地局から送信される無線信号の周波数が高いほどセカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する。これに対して、具体例5では、セカンダリ測定制御部195は、たとえば、セカンダリ基地局から送信される無線信号の周波数が高いほどセカンダリ測定タイミングの間隔を長く設定する。
ここで、セカンダリ基地局から送信される無線信号の周波数が低い場合、当該無線信号の減衰が小さく無線端末装置205との間の通信品質が良くなる。このため、セカンダリ測定制御部195は、特定されたセカンダリ基地局のうち、送信する無線信号の周波数が低いセカンダリ基地局ほど優先的に多くの測定が行われるように、セカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する。
たとえば、無線端末装置205の周囲に存在するセカンダリ基地局として、無線基地局装置102Bおよび無線基地局装置102Cが特定された場合であって、無線基地局装置102Bから送信される無線信号の周波数がf4であり、無線基地局装置102Cから送信される無線信号の周波数がf5であり、周波数f5が周波数f4よりも高い場合(f5>f4)を想定する。この場合、セカンダリ測定制御部195は、無線基地局装置102Cからの周波数f5の無線信号のセカンダリ測定タイミングの間隔よりも、無線基地局装置102Bからの周波数f4の無線信号のセカンダリ測定タイミングの間隔を短く設定する。
なお、本発明の第6の実施の形態に係る通信システム406における管理装置105は、上述した具体例1から具体例5に記載の形態に限定されず、たとえば、「無線端末装置205とプライマリ基地局との距離」(具体例1)、「無線端末装置205とセカンダリ基地局との距離」(具体例2)、「プライマリ基地局からの無線信号の受信電力の大きさ」(具体例3)、および、「セカンダリ基地局からの無線信号の周波数」(具体例4および具体例5)のうち少なくとも2つ以上を基準とし、たとえば各基準に基づく評価関数を用いることによって、これらの基準を総合的に判断してセカンダリ測定タイミングの間隔を設定することも可能である。
上述のとおり、本発明の第5の実施の形態に係る通信システム406では、セカンダリ測定制御部195が、プライマリ基地局、セカンダリ基地局および無線端末装置205のうち少なくとも1つに関する情報に基づいて、無線端末装置205によってセカンダリ測定動作が行われるタイミングであるセカンダリ測定タイミングの設定を行う。また、設定通知部196が、セカンダリ測定制御部195による設定の内容を、無線基地局装置304経由で無線端末装置205に通知する。
このような構成により、たとえば、無線端末装置205およびプライマリ基地局間の通信品質が悪く、無線端末装置205の通信接続先となるセカンダリ基地局の選択を早期に行う必要がある状況において、所定期間内の測定が頻繁に行われるようにセカンダリ測定タイミングの間隔を設定するなど、状況に応じた適切なタイミングでセカンダリ測定動作を行うことができるため、通信の安定化を図ることができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。