JP6308257B2 - ディーゼルエンジンの制御方法及び制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、過給機を備えたディーゼルエンジンの制御方法及び制御システムに関する。
従来、ディーゼルエンジンのシリンダ内に堆積したデポジットを除去する方法として、例えば特許文献1に記載された方法がある。この特許文献1に記載の方法では、エンジンの燃焼状態を表す指標値として「熱発生率重心位置」という概念を導入し、冷却損失と排気損失との和が最小となる熱発生率重心位置におけるクランク角度を基準クランク角度として設定している。そして、ピストンのトップランドにデポジットが一定量以上堆積した場合に、熱発生率重心位置を基準クランク角度よりも進角させ、これにより、ピストンのトップランドの温度を上昇させてデポジットを焼失させている。
特開2016−14380号公報
ところで、デポジットは上記のようなピストンのトップランドだけでなく、例えば燃料噴射弁周辺等の他の部位でも堆積する場合があり、この場合、堆積したデポジットを焼失させるためには、燃料噴射弁周辺等の部位における温度を高める必要がある。この点に関し、上記のようなピストンのトップランドのデポジットを焼失させる方法においては、ピストンがシリンダ内で上下することによりシリンダ内の様々な温度条件に曝されるため、トップランドの温度をデポジットを焼失させるのに必要な温度まで上昇させる機会を作りやすい。これに対して、一般的に、燃料噴射弁はシリンダの上部に固定されている。そのため、燃料噴射弁に堆積したデポジットを焼失させるためには、この特定箇所における温度を高めなくてはならず、デポジット焼失のために必要とされる温度条件がより厳しい。
また、例えば圧縮比が低いディーゼルエンジンにおいては、特許文献1に記載されるように熱発生率重心位置を基準クランク角度よりも進角させても、上死点における燃焼室の容積が比較的大きいため、燃料噴射弁に堆積したデポジットを焼失させるのに十分な温度まで筒内温度を上昇させることができない。更に、特許文献1に記載された技術では、過給圧を上昇させることによって燃焼速度を上昇させ、それによって熱発生率重心位置を進角させているが、この方法では、燃料噴射弁に堆積したデポジットを焼失させるのに十分ではない。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、ディーゼルエンジンの筒内温度を効果的に上昇させて、燃焼室内に堆積したデポジットを確実に焼失させることができるディーゼルエンジンの制御方法及び制御システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、燃料を燃焼室内に直接噴射するよう燃焼室上部に取り付けられた燃料噴射弁と、燃焼室に供給する空気を過給すると共に同一エンジン回転数において過給圧を変更可能に構成された過給機とを備えるディーゼルエンジンの制御方法であって、車両走行時の要求トルクに基づいて燃料噴射弁の燃料噴射量を制御する工程と、燃料噴射弁にデポジットが堆積しているか否かを判定する工程と、デポジットが堆積していると判定され、且つ、車両の整備時であって車両の変速機のギヤ段がニュートラルである非走行時において、燃料噴射弁に堆積したデポジットを焼失させるデポジット焼失制御を実行するための所定操作が行われた場合に、圧縮上死点での筒内温度を上昇させるべく、燃料噴射弁の燃料噴射開始時期を、圧縮上死点よりも進角側において車両の走行時の同一エンジン回転数及び同一要求トルクにおける燃料噴射開始時期よりも進角させると同時に、燃料噴射量を増大させつつ、実際のエンジン回転数が燃焼室での燃料拡散に必要な時間を確保可能な所定のエンジン回転数を維持するように、過給機による過給圧を増大させる工程と、を有する、ことを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、デポジットが堆積している場合に、燃料噴射弁の燃料噴射開始時期を進角させると同時に過給機による過給圧を増大させる制御を行う。これにより、過給圧増大により筒内圧が上昇して燃焼室内の着火環境が向上するため、燃料の着火性の悪化及び不完全な燃焼を抑制しつつ、適切に燃料噴射開始時期を進角できるようになる。また、過給圧増大に起因するエンジンの抵抗増大(特にピストンの抵抗増大)により、所定のエンジン回転数を維持するのに必要な燃料噴射量を増加させることができる。以上より、本発明によれば、燃料噴射開始時期の進角及び過給機の増大により、エンジンの筒内最高温度を効果的に高めることができ、燃焼室内(特に燃料噴射弁)に堆積したデポジットを確実に焼失させることができる。
また、上記のようなデポジットを焼失させるための制御を実際の車両走行時に行うと、違和感(特に騒音)などを生じさせてしまう場合があるが、本発明によれば、当該制御を車両の整備時且つ非走行時に行うので、そのような違和感などの発生を適切に抑制することができる。
本発明において、好ましくは、更に、実際のエンジン回転数を維持するために用いる所定のエンジン回転数が低いほど、過給機による過給圧の増大率を大きくする工程を有する。
このように構成された本発明によれば、エンジン回転数が低いほど、過給機による過給圧の増大率を大きくするので、比較的低いエンジン回転数であっても、燃料噴射量を適切に増加させることができる。
本発明において、好ましくは、燃料噴射弁は、本体と、本体に形成された噴孔と、本体の外面において噴孔に対応する位置に設けられ、噴孔よりも大きな直径を備える凹部と、を有する。
また、本発明において、好ましくは、ディーゼルエンジンの排気通路には排気ガス中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタが設けられており、パティキュレートフィルタの上流側と下流側との排気圧の差に基づき、燃料噴射弁にデポジットが堆積しているか否かを判定する。
また、本発明において、好ましくは、パティキュレートフィルタの上流側と下流側との排気圧の差に基づき、パティキュレートフィルタに捕集された粒子状物質を除去するための再生処理を行い、この再生処理の実行頻度に基づき、燃料噴射弁にデポジットが堆積しているか否かを判定する。
他の観点では、上記の目的を達成するために、本発明は、燃料を燃焼室内に直接噴射するよう燃焼室上部に取り付けられた燃料噴射弁と、燃焼室に供給する空気を過給すると共に同一エンジン回転数において過給圧を変更可能に構成された過給機と、燃料噴射弁及び過給機を制御する制御装置と、を備えるディーゼルエンジンの制御システムであって、制御装置は、車両走行時の要求トルクに基づいて燃料噴射弁の燃料噴射量を制御し、燃料噴射弁にデポジットが堆積しているか否かを判定し、デポジットが堆積していると判定し、且つ、車両の整備時であって車両の変速機のギヤ段がニュートラルである非走行時において、燃料噴射弁に堆積したデポジットを焼失させるデポジット焼失制御を実行するための所定操作が行われた場合に、圧縮上死点での筒内温度を上昇させるべく、燃料噴射弁の燃料噴射開始時期を、圧縮上死点よりも進角側において車両の走行時の同一エンジン回転数及び同一要求トルクにおける燃料噴射開始時期よりも進角させると同時に、燃料噴射量を増大させつつ、実際のエンジン回転数が燃焼室での燃料拡散に必要な時間を確保可能な所定のエンジン回転数を維持するように、過給機による過給圧を増大させるよう構成されている、ことを特徴とする。
このように構成された本発明によっても、燃料噴射開始時期の進角及び過給機の増大により、エンジンの筒内最高温度を効果的に高めて、燃焼室内(特に燃料噴射弁)に堆積したデポジットを確実に焼失させることができる。
本発明において、好ましくは、制御装置は、実際のエンジン回転数を維持するために用いる所定のエンジン回転数が低いほど、過給機による過給圧の増大率を大きくするよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、比較的低いエンジン回転数であっても、燃料噴射量を適切に増加させることができる。
本発明に係るディーゼルエンジンの制御方法及び制御システムによれば、筒内温度を効果的に上昇させて、燃焼室内に堆積したデポジットを確実に焼失させることができる。
本発明の実施形態によるエンジンシステムの概略構成図である。 本発明の実施形態によるターボ過給機のタービン室を拡大した縦断面図である。 本発明の実施形態による制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の本実施形態による燃料噴射弁の拡大断面図である。 過給圧と、ピストン抵抗及び燃料噴射量との関係についての説明図である。 エンジントルクと、過給圧、燃料噴射時期の着火可能限界進角量、及び燃料噴射量との関係についての説明図である。 本発明の実施形態においてデポジット焼失制御時に過給圧制御を行った場合のタイムチャートである。 本発明の実施形態によるメイン制御を示すフローチャートである。 本発明の実施形態によるデポジット堆積判定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態によるデポジット焼失制御を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるディーゼルエンジンの制御方法及び制御システムについて説明する。
<システム構成>
最初に、図1乃至図3を参照して、本発明の実施形態によるディーゼルエンジンの制御方法及び制御システムが適用された全体システムについて説明する。具体的には、図1は、本発明の実施形態によるエンジンシステムの概略構成図であり、図2は、本発明の実施形態によるターボ過給機のタービン室を拡大した縦断面図であり、図3は、本発明の実施形態による制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
図1に示すように、エンジンシステム200は、主に、ディーゼルエンジンとしてのエンジンEと、エンジンEに吸気を供給する吸気系INと、エンジンEに燃料を供給するための燃料供給系FSと、エンジンEの排気ガスを排出する排気系EXと、エンジンシステム200に関する各種の状態を検出するセンサ101〜122と、を有する。
まず、吸気系INは、吸気が通過する吸気通路1を有しており、この吸気通路1上には、上流側から順に、外部から導入された空気を浄化するエアクリーナ3と、通過する吸気を圧縮して吸気圧を上昇させる、ターボ過給機5のコンプレッサ5aと、通過する吸気流量を調整する吸気シャッター弁7と、通水された冷却水を用いて吸気を冷却する水冷式のインタークーラ8と、インタークーラ8に通水する冷却水の流量を制御するウォータポンプ9と、インタークーラ8とウォータポンプ9とを接続し、これらの間で冷却水を循環させる通路である冷却水通路10と、エンジンEに供給する吸気を一時的に蓄えるサージタンク12と、が設けられている。
また、吸気系INにおいては、エアクリーナ3の直下流側の吸気通路1上には、吸入空気量を検出するエアフローセンサ101と吸気温度を検出する吸気温度センサ102とが設けられ、ターボ過給機5のコンプレッサ5aには、このコンプレッサ5aの回転数(ターボ回転数)を検出するターボ回転数センサ103が設けられ、吸気シャッター弁7には、この吸気シャッター弁7の開度を検出する吸気シャッター弁位置センサ105が設けられ、インタークーラ8の直下流側の吸気通路1上には、吸気温度を検出する吸気温度センサ106と吸気圧を検出する吸気圧センサ107とが設けられ、サージタンク12には、吸気マニホールド温度センサ108が設けられている。これらの吸気系INに設けられた各種センサ101〜103、105〜108は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S101〜S103、S105〜S108を制御装置60(図3参照)に出力する。
次に、エンジンEは、吸気通路1(詳しくは吸気マニホールド)から供給された吸気を燃焼室17内に導入する吸気バルブ15と、燃焼室17内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁20と、冷間始動時などでの着火性を確保するための補助熱源としてのグロープラグ21と、燃焼室17内での混合気の燃焼により往復運動するピストン23と、ピストン23の往復運動により回転されるクランクシャフト25と、燃焼室17内での混合気の燃焼により発生した排気ガスを排気通路41へ排出する排気バルブ27と、を有する。更に、エンジンEには、このエンジンEの出力を利用して発電するオルタネータ26が設けられている。オルタネータ26が発電した電力は図示しないバッテリに供給され、この電力が車両内の種々の補機(例えばリアデフ141やヘッドライト142など)に供給されて、種々の補機が駆動される。
なお、燃料噴射弁20は、噴射面に複数の噴孔を備え、つまりマルチホール型に構成され、これらの噴孔から複数の方向に向かって燃料を噴射する。また、グロープラグ21は、燃焼室17内に設けられた発熱部が、燃料噴射弁20の複数の噴孔からの複数の噴霧の間に位置するように配置されている。つまり、燃料の噴霧に直接接触しない位置にグロープラグの発熱部が配置されている。こうすることで、グロープラグ21の発熱部に燃料が直接かかることによる不具合(グロープラグ21の故障など)を防止している。基本的には、グロープラグ21に通電すると発熱部が熱を発生し、この熱を熱源として筒内で燃焼が開始する。そして、この燃焼により筒内圧が上昇することで、筒内全体での着火性が確保されることとなる。
また、エンジンEには、エンジンEなどを冷却する冷却水の温度(水温)を検出する冷却水温度センサ109と、クランクシャフト25のクランク角度を検出するクランク角センサ110と、油圧及び/又は油温を検出する油圧/油温センサ111と、オイルレベルを検出する光学式オイルレベルセンサ112と、が設けられている。これらの、エンジンEに設けられた各種センサ109〜112は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S109〜S112を制御装置60に出力する。
次に、燃料供給系FSは、燃料を貯蔵する燃料タンク30と、燃料タンク30から燃料噴射弁20に燃料を供給するための燃料供給通路38とを有する。燃料供給通路38には、上流側から順に、低圧燃料ポンプ31と、高圧燃料ポンプ33と、コモンレール35とが設けられている。また、低圧燃料ポンプ31には燃料ウォーマー32が設けられ、高圧燃料ポンプ33には燃圧レギュレータ34が設けられ、コモンレール35にはコモンレール減圧弁36が設けられている。
また、燃料供給系FSにおいては、高圧燃料ポンプ33には、燃料温度を検出する燃料温度センサ114が設けられ、コモンレール35には、燃圧を検出する燃圧センサ115が設けられている。これらの、燃料供給系FSに設けられた各種センサ114、115は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S114、S115を制御装置60に出力する。
次に、排気系EXは、排気ガスが通過する排気通路41を有しており、この排気通路41上には、上流側から順に、通過する排気ガスによって回転され、この回転によって上記したようにコンプレッサ5aを駆動する、ターボ過給機5のタービン5bと、排気ガスの浄化機能を有するディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)45及びディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel particulate filter)46と、通過する排気流量を調整する排気シャッター弁49と、が設けられている。DOC45は、排出ガス中の酸素を用いて炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)などを酸化して水と二酸化炭素に変化させる触媒であり、DPF46は、排気ガス中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集するフィルタである。
また、排気系EXにおいては、ターボ過給機5のタービン5bの上流側の排気通路41上には、排気圧を検出する排気圧センサ116と排気温度を検出する排気温度センサ117とが設けられ、DOC45の直上流側及びDOC45とDPF46との間には、それぞれ、排気温度を検出する排気温度センサ118、119が設けられ、DPF46付近の排気通路41上には、このDPF46の上流側と下流側との排気圧の差(以下では「DPF差圧」と呼ぶ。)を検出するDPF差圧センサ120が設けられ、DPF46の直下流側の排気通路41上には、酸素濃度を検出するリニアO2センサ121と排気温度を検出する排気温度センサ122とが設けられている。これらの、排気系EXに設けられた各種センサ116〜122は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S116〜S122を制御装置60に出力する。
ターボ過給機5は、排気エネルギーが低い低速回転時でも効率良く過給を行えるように小型に構成されている。また、ターボ過給機5は、タービン5bの全周を囲むように複数の可動式のフラップ5cが設けられ、これらのフラップ5cによりタービン5bへの排気の流通断面積(ノズル断面積)を変化させるようにした可変ジオメトリーターボチャージャー(VGT:Variable Geometry Turbocharger)として構成されている。例えば、フラップ5cは、ダイヤフラムに作用する負圧の大きさが電磁弁により調節され、アクチュエータによって回動される。また、そのようなアクチュエータの位置により、フラップ5cの開度(フラップ開度であり、以下では適宜「VGT開度」と呼ぶ。)を検出するVGT開度センサ104が設けられている。このVGT開度センサ104は、検出したVGT開度に対応する検出信号S104を制御装置60に出力する。
ここで、図2を参照して、本発明の実施形態によるターボ過給機5のフラップ5cについて具体的に説明する。図2に示すように、タービンケーシング153内に形成されたタービン室153aには、そのほぼ中央部に配置されたタービン5bの周囲を取り囲むように複数の可動式のフラップ5c、5c、…が配設され、各フラップ5cはタービン室153aの一方の側壁を貫通する支軸131aにより回動可能に支持されている。各フラップ5cは、それぞれ支軸5dの回りに図2の時計回りに回動して、相互に近接するように傾斜すると、各フラップ5cの相互間に形成されるノズル155、155、…の開度(ノズル断面積)が小さく絞られて、排気流量の少ないときでも高い過給効率を得ることができる。一方、各フラップ5cを上記と反対側に回動させて、相互に離反するように傾斜させれば、ノズル断面積が大きくなるので、排気流量の多いときでも通気抵抗を低減して、過給効率を高めることができる。
また、リング部材157は、リンク機構158を介してアクチュエータのロッド163に駆動連結されており、該アクチュエータの作動によりリング部材157を介して各フラップ5cが回動される。すなわち、リンク機構158は、一端部をリング部材157に回動可能に連結された連結ピン158aと、該連結ピン158aの他端部に一端部を回動可能に連結された連結板部材158bと、該連結板部材158bの他端部に連結されると共に、タービンケーシング153の外壁を貫通する柱状部材158cと、該柱状部材158cのタービンケーシング153外へ突出する突出端部に一端部を連結された連結板部材158dとからなり、該連結板部材158dの他端部が連結ピン(図示せず)によりアクチュエータのロッド163に回動可能に連結されている。
図1に戻ると、エンジンシステム200は、更に、高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48を有する。高圧EGR装置43は、ターボ過給機5のタービン5bの上流側の排気通路41とターボ過給機5のコンプレッサ5bの下流側(詳しくはインタークーラ8の下流側)の吸気通路1とを接続する高圧EGR通路43aと、高圧EGR通路43aを通過させる排気ガスの流量を調整する高圧EGRバルブ43bと、を有する。低圧EGR装置48は、ターボ過給機5のタービン5bの下流側(詳しくはDPF46の下流側で且つ排気シャッター弁49の上流側)の排気通路41とターボ過給機5のコンプレッサ5bの上流側の吸気通路1とを接続する低圧EGR通路48aと、低圧EGR通路48aを通過する排気ガスを冷却する低圧EGRクーラ48bと、低圧EGR通路48aを通過させる排気ガスの流量を調整する低圧EGRバルブ48cと、低圧EGRフィルタ48dと、を有する。
次に、図3を参照すると、制御装置60は、図1に示した各種センサ101〜122の検出信号S101〜S122に加えて、外気温を検出する外気温センサ98、大気圧を検出する大気圧センサ99、及びアクセルペダル95の開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ100のそれぞれが出力した検出信号S98〜S100が入力される。また、制御装置60には、リアデフ141(正式には「リアデフォッガー」であるが、本明細書では略称として一般的に使用される「リアデフ」の文言を用いる。)のオン/オフを切り替えるためのリアデフスイッチ94、ヘッドライト142のオン/オフを切り替えるためのヘッドライトスイッチ95、エアコンのオン/オフを切り替えるためのエアコンスイッチ96、及びエアコンの風量を切り替えるための風量切替スイッチ97のそれぞれが出力した信号S94〜S97が入力される。
制御装置60は、少なくともPCM(Power-train Control Module)を含んで構成されており、上述した信号S94〜S122に基づいて、車両内の種々の構成要素を制御する。具体的には、制御装置60は、ターボ過給機5のタービン5bにおけるフラップ5cの開度(VGT開度)を制御すべく、このフラップ5cを駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号S130を出力する。また、制御装置60は、吸気シャッター弁7の開度を制御すべく、吸気シャッター弁7を駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号S131を出力する。また、制御装置60は、グロープラグ21に印加する電圧及び/又は電流を制御すべく、グロープラグ21に対して制御信号S132を出力する。また、制御装置60は、エンジンEの燃料噴射量や燃料噴射時期などを制御すべく、燃料噴射弁20に制御信号S133を出力する。本実施形態では、制御装置60は、メイン噴射(主噴射)の前に2回のプレ噴射を少なくとも行うように燃料噴射弁20を制御する。プレ噴射は、NOx低減や燃焼音改善を図るべく、エンジンEの燃焼室17内に事前に火種を作り出すための燃料噴射である。メイン噴射は、出力すべきエンジントルクを発生させるための燃料噴射であり、エンジントルクを積極的にコントロールするための燃料噴射である。
また、制御装置60は、オルタネータ26、燃料ウォーマー32、燃圧レギュレータ34及びコモンレール減圧弁36を制御すべく、これらのそれぞれに対して制御信号S134、S135、S136、S137を出力する。また、制御装置60は、高圧EGRバルブ43bの開度を制御すべく、高圧EGRバルブ43bを駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号S138を出力する。また、制御装置60は、低圧EGRバルブ48cの開度を制御すべく、低圧EGRバルブ48cを駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号S139を出力する。また、制御装置60は、排気シャッター弁49の開度を制御すべく、排気シャッター弁49を駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号S140を出力する。
また、制御装置60は、車両内の補機としてのリアデフ141及びヘッドライト142を制御すべく、これらのそれぞれに対して制御信号S141、S142を供給する。また、制御装置60は、エアコンのコンデンサを通過する冷媒を冷却するためのエアコンコンデンサファン154の動作を制御すべく、エアコンコンデンサファン154に制御信号S154を出力する。また、制御装置60は、エアコンの冷媒を圧縮するコンプレッサに設けられたエアコンコンプレッサクラッチ159の接続/切断を切り替えるべく、エアコンコンプレッサクラッチ159に制御信号S159を出力する。
なお、制御装置60は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
<デポジットの堆積について>
本実施形態では、制御装置60は、燃焼室17内(特に燃料噴射弁20)にデポジットが堆積した場合に、燃焼室17の温度を上昇させて堆積したデポジットを焼失させるデポジット焼失制御を行う。以下では、燃料噴射弁20に堆積したデポジットを焼失させることを目的としたデポジット焼失制御について説明する。
図4は、本実施形態に係る燃料噴射弁20の拡大断面図である。この図4に示すように、燃料噴射弁20は、略筒状の本体20aと、本体20aの内部で軸線方向に移動可能なニードル弁20bと、本体20aの先端側に円周上に等間隔に形成された複数の噴孔20cとを備える。本体20aの外面には、噴孔20cに対応する位置に、噴孔20cよりも直径の大きい略円柱形の凹部20dが形成されている。
燃料噴射弁20は、その先端側がエンジンEの燃焼室17に突出するように配置されており、これにより噴孔20cは、燃焼室17に開口している。
このような構造の燃料噴射弁20は、ニードル弁20bが軸線方向に移動することにより、本体20aとニードル弁20bとの間に隙間が形成され、この隙間を通った燃料が噴孔20cから燃焼室17内に噴射される。
ここで、噴孔20cの周りには凹部20dが形成されており、噴射された燃料のうちの少量が凹部20d内に付着する。こうして付着した燃料は、燃焼室17内の空気と混ざりにくくなって良好に燃焼せず、デポジットとして凹部20d内に残留する。
高負荷で運転が行われると、燃焼室17内の温度が高くなり、発生したデポジットのほとんどは焼失する。しかしながら、低負荷での運転では、燃焼室17内の温度があまり高くならない。このため、低負荷での運転が繰り返されると、デポジットが焼失せず凹部20dに堆積する傾向にある。特に、燃料噴射弁20の凹部20dは、燃料噴射弁20の本体20aの外面から凹んでいるため燃焼ガスから遠く、且つ凹部20dの表面積が比較的大きいので、凹部20d内の空間が比較的低温になりやすい。また、噴孔20cから燃料を噴射する際に噴孔20cが燃料の気化熱で冷却されるため、これによっても、凹部20d内の空間は低温になりやすい。このため、凹部20d内のデポジットは、焼失されずに堆積されやすくなる。
このように燃料噴射弁20の凹部20d内にデポジットが堆積すると、噴孔20cからの良好な燃料噴射が妨げられ、燃焼室17内での均質な燃焼が行われず、燃費の悪化等の問題が発生する。
本実施形態では、燃料噴射弁20の凹部20dに堆積したデポジットに着目し、この部位に堆積したデポジットを焼失させることを目的とし、凹部20d内にデポジットが堆積したと判断したときに、制御装置60がデポジットを焼失させるためのデポジット焼失制御を行うようにする。
なお、凹部20d内に堆積したデポジットを焼失させるためには、燃料噴射弁20の表面温度で例えば250℃以上の温度を必要とする。上述のように、燃料噴射弁20の凹部20dは、燃焼室17の中でも温度が上昇しにくい箇所であるから、燃料噴射弁20の表面温度をそのような温度以上にするためには、筒内最高温度(換言すると燃焼ガスの最高温度であり、圧縮上死点での筒内温度に相当する)を通常より格段に高い温度、例えば1500K(または1227℃)以上にする必要がある。したがって、本実施形態では、デポジット焼失制御のための要求筒内温度を1500K(または1227℃)以上とする。
<燃料噴射時期の進角制御>
燃料噴射弁20の凹部20dのデポジットを焼失させるために、本実施形態では、制御装置60は、通常運転時(デポジット焼失制御を行わない時である。以下同様とする。)よりも燃料噴射時期(燃料噴射開始時期)を進角させることにより、燃焼重心位置を進角させて、筒内最高温度を高め、デポジットの焼失に必要な燃料噴射弁20の表面温度を所定値以上に上昇させる。具体的には、制御装置60は、車両が、通常運転時にエンジンEのある回転数及び要求トルクで走行している際の、燃料噴射弁20の燃料噴射時期におけるエンジンサイクルのクランク角度を第1クランク角度としたとき、デポジット焼失制御中は、通常運転の場合のある回転数及び要求トルクと同じ回転数及び要求トルクにおいて、第1クランク角度よりも進角させた第2クランク角度(少なくとも圧縮上死点前のクランク角度である)で燃料噴射を開始する。
本実施形態では、三段階で燃料噴射を行うこととし(プレ噴射を2回で、その後にメイン噴射)、上記の第2クランク角度で開始する燃料噴射は、燃焼開始に主に寄与するメイン噴射を指す。したがって、第2クランク角度は、メイン噴射が開始される、圧縮上死点よりも所定の進角量ΔT(クランクシャフト25の回転角度で規定される)だけ進角させた位置におけるクランク角度として設定される。
(1)最小必要進角量の設定
第2クランク角度の圧縮上死点に対する進角量ΔTの最小値ΔTmin、すなわち最小必要進角量は、以下のように設定される。
基本的には、メイン噴射の燃料噴射時期が圧縮上死点(TDC)よりも早くなるほど、燃焼ガスの最高温度は高くなる。進角量ΔTは、燃焼ガスの最高温度が要求筒内温度(本実施形態では1500K(または1227℃))以上となる燃焼開始時期を実現できる燃料噴射時期に設定される。
また、燃焼ガスの最高温度は、エンジンEの幾何学的圧縮比に応じて変化し、エンジンEの幾何学的圧縮比が低くなると、燃焼ガスの最高温度は低くなる。ここで、本実施形態では、幾何学的圧縮比が14程度の低圧縮比のディーゼルエンジンを採用している。このため、圧縮行程において燃料を噴射し燃焼を開始しても、高圧縮比のエンジンと比較して、圧縮上死点までのガスの圧縮度合いが小さくなるため、圧縮上死点においての筒内温度が上昇しにくい。そこで、要求筒内温度を達成するためには、幾何学的圧縮比が比較的高い場合に比べて、進角量ΔTを大きくし、燃料噴射時期をより早く設定する必要がある。このように燃料噴射時期を比較的大きく進角させることで、燃焼後の圧縮による温度上昇期間が長くなり、筒内の燃焼ガスの最高温度が高まる。したがって、この観点からは、進角量ΔTは、幾何学的圧縮比が低いほど、大きく設定されることになる。
上述のように、進角量ΔTは、エンジンEの幾何学的圧縮比に応じて変化するが、本件発明者は、上述の観点において、幾何学的圧縮比と進角量ΔTとの関係が、以下の式で表されることを見出した。
ΔT≧a1×CR+b1
ここで、ΔTは圧縮上死点からの進角量であり、CRは、エンジンEの幾何学的圧縮比である。また、a1,b1は、定数であり、a1<0である。
上記の関数の中で、a1,b1は、エンジンEの運転条件に応じて決定される定数である。本実施形態では、デポジット焼失制御時の運転条件は、エンジンEの回転数が1750rpm、過給圧が130kPa、エンジン水温が82℃、燃料の噴射圧力が70MPa、吸気温度が25℃、負荷(平均有効圧力)が300kPaとなるように設定されている。この条件下では、a1,b1は、それぞれa1=−3.56、b1=88.7である。なお、このa1,b1の具体的な数値は、後述するEGRガス量の低減や過給圧の上昇やグロープラグ21への通電等によるエンジン抵抗の増大等の制御を行った場合のエンジンEの条件下で計算された数値である。
本実施形態では、このような関数を用いて、幾何学的圧縮比に応じて進角量ΔTの範囲を求め、進角量ΔTの最小値ΔTminを決定する。
(2)最大必要進角量の設定
第2クランク角度の圧縮上死点に対する進角量ΔTの最大値ΔTmax、すなわち最大必要進角量は、以下のように設定される。
基本的には、メイン噴射の燃料噴射時期が圧縮上死点(TDC)よりも早くなるほど、噴射された燃料の温度は低くなる。進角量ΔTは、噴射された燃料の温度が所定の着火可能温度に達するような燃料噴射時期に設定される。
また、噴射される燃料の温度は、エンジンEの幾何学的圧縮比に応じて変化し、エンジンEの幾何学的圧縮比が低くなると、噴射される燃料の温度は低くなる。ここで、本実施形態では、幾何学的圧縮比が14程度の低圧縮比のディーゼルエンジンを採用している。このため、進角量ΔTを大きくしすぎると、燃料を噴射した際に、燃料が着火温度に到達せず所望のタイミングで燃焼が開始されないか、あるいは燃焼が不完全になり、筒内最高温度が不十分になるおそれがある。そこで、本実施形態では、幾何学的圧縮比が比較的高い場合に比べて、進角量ΔTを小さくし燃料噴射時期における燃料の温度をより高く設定する必要がある。
したがって、この観点からは、進角量ΔTは、幾何学的圧縮比が低いほど、小さく設定されることになる。
上述のように、進角量ΔTは、エンジンEの幾何学的圧縮比に応じて変化するが、本件発明者は、上述の観点において、幾何学的圧縮比と進角量ΔTとの関係が、以下の式で表されることを見出した。
ΔT≦a2×CR+b2
ここで、ΔTは圧縮上死点からの進角量であり、CRは、エンジンEの幾何学的圧縮比である。また、a2,b2は、定数であり、a2>0である。
上記の関数の中で、a2,b2は、エンジンEの運転条件に応じて決定される定数である。本実施形態では、上述のように、デポジット焼失制御時の運転条件は、エンジンEの回転数が1750rpm、過給圧が130kPa、エンジン水温が82℃、燃料の噴射圧力が70MPa、吸気温度が25℃、負荷(平均有効圧力)が300kPaとなるように設定されている。この条件において、a2,b2は、それぞれa2=4.2、b2=−47である。なお、このa2,b2の具体的な数値は、後述するEGR量の低減や過給圧の上昇やグロープラグ21への通電等によるエンジン抵抗の増大等の制御を行った場合のエンジンEの条件下で計算された数値である。
本実施形態では、このような関数を用いて、幾何学的圧縮比に応じて進角量ΔTの範囲を求め、進角量ΔTの最大値ΔTmaxを決定する。
以上のような設定手法により、進角量ΔTの最小値ΔTminおよび最大値ΔTmaxを決定し、進角量ΔTを、ΔTmin≦ΔT≦ΔTmaxの範囲内で決定する。
本実施形態では、ΔTは、40°に設定されており、したがって、第2クランク角度は、圧縮上死点前40°である。本実施形態では、制御装置60は、燃料噴射弁20による2回のプレ噴射を圧縮上死点前56°及び圧縮上死点前48°で行い、メイン噴射を圧縮上死点前40°の第2クランク角度で行い、これにより燃焼は、圧縮上死点前25°の位置で開始されるようになる。
<デポジット焼失制御時のEGRガス量の制御>
本実施形態では、制御装置60は、上記のように燃料噴射時期を進角させるときに、EGRガス量を通常運転時よりも低減する制御を行って、筒内酸素濃度を高めて、筒内最高温度を効果的に上昇させるようにする。特に、本実施形態では、制御装置60は、デポジット焼失制御中、高圧EGR装置43の高圧EGRバルブ43b及び低圧EGR装置48の低圧EGRバルブ48cの両方を全閉に制御して、吸気系INへのEGRガスの導入を遮断するようにする。
上記のようにEGRガス量を低減すると、吸気圧力が相対的に高くなり、ピストン23が下がる吸気行程において抵抗が高まってポンプ損失が大きくなる。そのため、所望のエンジン回転数を維持するために必要な燃料噴射量が増加することとなる(ディーゼルエンジンではガソリンエンジンのようにスロットルバルブで吸気量を調整しないので、所望のエンジン回転数を維持するために燃料噴射量を調整している)。その結果、比較的多量の燃料が燃焼されることで、筒内ガス温度が上昇して、燃料噴射弁20に堆積したデポジットを効果的に焼失できるようになる。
<デポジット焼失制御時のグロープラグの制御>
本実施形態では、制御装置60は、デポジット焼失制御時に、グロープラグ21の通電量(通電電流又は通電電圧を意味する。以下同様とする。)を、通常運転時に比べて高めるように構成されている。具体的には、制御装置60は、通常運転時のある回転数及び要求トルクにおけるグロープラグ21への通電量を第1通電量としたとき、デポジット焼失制御時には、グロープラグ21への通電量を第1通電量よりも高い第2通電量に制御する。
前述のように、第2クランク角度の圧縮上死点に対する進角量ΔTを大きくし過ぎると、燃料を噴射した際に、燃料が着火温度に到達せず所望のタイミングで燃焼が開始されないか、あるいは燃焼が不完全になり、筒内最高温度が不十分になるおそれがある。そのため、筒内温度が所望の時期に燃料の着火温度に到達するように、グロープラグ21の通電量を高めて、着火環境を改善するのがよい。
そこで、本実施形態では、グロープラグ21への通電量を増大させて筒内の温度を高め、燃料の燃焼開始時期を早めることによって燃焼室17内のより高い筒内最高温度を実現するようにする。具体的には、本実施形態では、通常運転時には、グロープラグ21はエンジンEの運転開始の暖機時等に通電するのみであるから、デポジット焼失制御中のエンジンEの回転数及び要求トルクと同じ回転数及び要求トルクにおいては、グロープラグ21は通常運転時に通電していない。したがって、基本的には、通常運転時に適用するグロープラグ21の第1通電量は0である。これに対して、デポジット焼失制御中は、グロープラグ21が目標温度(例えば1200℃)となるように第2通電量が制御される。
なお、グロープラグ21はオルタネータ26で発電した電力を使用するので、上記のようにデポジット焼失制御時にグロープラグ21の通電量を高めると、オルタネータ26での要求発電量が高くなり、エンジンEに付与される抵抗(負荷)が増大する。そのため、所望のエンジン回転数を維持するために必要な燃料噴射量が増加することとなる。その結果、比較的多量の燃料が燃焼されることで、筒内ガス温度が上昇して、燃料噴射弁20に堆積したデポジットを効果的に焼失できるようになる。
<デポジット焼失制御時の過給圧の制御>
本実施形態では、制御装置60は、デポジット焼失制御時において、ターボ過給機5による過給圧を通常運転時よりも上昇させる制御を行う。こうすることで、筒内圧を上昇させて燃焼室17内の着火環境を向上させるようにし、上記のような燃料噴射時期の進角に起因する燃料の着火性の悪化及び不完全な燃焼を抑制するようにする。また、このように過給圧を上昇させると、エンジンEに付与される抵抗、特にピストン23に付与される抵抗(以下では適宜「ピストン抵抗」と呼ぶ。)が増加するため、所望のエンジン回転数を維持するために必要な燃料噴射量が増加することとなる。その結果、比較的多量の燃料が燃焼されることで、筒内ガス温度が上昇して、燃料噴射弁20に堆積したデポジットを効果的に焼失できるようになる。
なお、制御装置60は、デポジット焼失制御時には、アイドル回転数よりも高いエンジン回転数であって、ある程度の過給圧が確保されるエンジン回転数を、目標値(目標エンジン回転数)として設定する。より詳しくは、制御装置60は、燃料噴射及び燃料拡散に必要な時間を確保すべく、比較的遅いピストンスピードを適切に維持できるような低回転数を目標エンジン回転数として設定して、デポジット焼失制御を実行する。例えば、制御装置60は、目標回転数を1750rpmに設定する。
図5及び図6を参照して、本実施形態による過給圧制御について具体的に説明する。図5(a)及び(b)は、それぞれ、過給圧と、ピストン抵抗及び燃料噴射量との関係についての説明図である。図6(a)乃至(c)は、それぞれ、エンジントルク(エンジン発生トルク)と、ターボ過給機5による過給圧、燃料噴射時期の着火可能限界進角量、及び燃料噴射量との関係についての説明図である。なお、図6(a)乃至(c)では、実線はデポジット焼失制御時のグラフを示し、破線は通常運転時(つまりデポジット焼失制御を行わないとき)のグラフを示している。
図5(a)に示すように、過給圧が高くなるほど、燃焼室17内に押し込まれる空気量が増えるため、ピストン23が上昇するときに付与される抵抗(ピストン抵抗)が大きくなる。また、このような過給圧とピストン抵抗との関係に起因して、図5(b)に示すように、過給圧が高くなるほど、必要な燃料噴射量、具体的には目標エンジン回転数を維持するのに必要な燃料噴射量が増加する。
更に、図6(a)に示すように、本実施形態では、デポジット焼失制御時には通常運転時よりも過給圧を高くする。これにより、過給圧の上昇により筒内圧が上昇して、燃焼室17内の着火環境が向上するため、図6(b)に示すように、燃料噴射時期の着火可能限界進角量が通常運転時よりも大きくなる。加えて、図6(c)に示すように、上記したように過給圧の上昇によりピストン抵抗が増加するため、目標エンジン回転数を維持するのに必要な燃料噴射量が増加することとなる。
次に、図7を参照して、本発明の実施形態において、デポジット焼失制御時に過給圧制御を行った場合のタイムチャートについて説明する。図7は、上から順に、エンジン回転数、アクセル開度、ギヤ段、燃料噴射弁20に堆積したデポジット量(特に噴孔20cの凹部20dに堆積したデポジット量)、燃料噴射時期、ターボ過給機5による過給圧、燃料噴射量、燃料噴射弁20の表面温度、燃焼ガスの最高温度を示している。また、図7中の燃料噴射量、燃料噴射弁20の表面温度、及び燃焼ガスの最高温度については、デポジット焼失制御時に過給圧制御を行った場合のグラフ(実線で示す)と、デポジット焼失制御時に過給圧制御を行わなかった場合のグラフ(破線で示す)とを重ねて示している。
図7に示すように、制御装置60は、時刻t1から時刻t2までの間(例えば120秒間)、燃料噴射弁20に堆積したデポジットを焼失させるためのデポジット焼失制御を行う。本実施形態では、制御装置60は、安全性を確保する観点から、アクセル開度が0(つまりアクセルオフ)であり、且つ変速機のギヤ段がニュートラルに設定されている状態で、デポジット焼失制御を行う。より詳しくは、制御装置60は、車両の整備時且つ非走行時にデポジット焼失制御を行う。
時刻t1でデポジット焼失制御が開始されると、制御装置60は、燃料噴射弁20の燃料噴射時期を進角させると同時に過給圧を増大させる制御を行う(この場合、過給圧の増大に起因する燃焼室17内の着火環境向上により、燃料噴射時期を適切に進角できるようになる)。このような過給圧の増大により、ピストン抵抗が増加して実エンジン回転数が低下する傾向にあるが、制御装置60は、実エンジン回転数を目標エンジン回転数に適切に維持させるべく、燃料噴射弁20の燃料噴射量を増加させる(この場合、過給圧制御を行わない場合よりも燃料噴射量が大きくなる)。
このようにして、デポジット焼失制御時に過給圧制御を行った場合には、デポジット焼失制御時に過給圧制御を行わなかった場合と比較して、燃焼ガスの最高温度が大きく上昇すると共に、燃料噴射弁20の表面温度がかなり大きく上昇する。その結果、燃料噴射弁20の噴孔20cの凹部20dに堆積したデポジットが効果的に焼失することとなる。この後、時刻t2において、制御装置60は、デポジット焼失制御を終了すべく、燃料噴射時期を進角させる制御及び過給圧を増大させる制御を終了する、つまりデポジット焼失制御開始前の燃料噴射時期及び過給圧に戻す。
なお、上述したように、燃料噴射及び燃料拡散に必要な時間を適切に確保する観点から、比較的低めのエンジン回転数を目標回転数に設定してデポジット焼失制御を行うのが望ましい。しかしながら、そのような比較的低い目標回転数では、当該回転数を維持するための燃料噴射量が比較的小さくなる。したがって、デポジット焼失制御において目標回転数として適用するエンジン回転数が低いほど、ターボ過給機5による過給圧の増大率(同じ条件下において、デポジット焼失制御を実行しない場合に適用する過給圧に対する、デポジット焼失制御を実行する場合に適用する過給圧の比率に相当する)を大きくするのがよい。これにより、比較的低い目標回転数であっても、燃料噴射量を適切に増加させることができる。
また、上記では、幾何学的圧縮比が低いほど、燃料噴射時期の進角量を大きくすることが望ましいと述べたが、これと同様の理由から、幾何学的圧縮比が低いほど、ターボ過給機5による過給圧の増大率を大きくするのがよい。これにより、低い幾何学的圧縮比に応じて燃料噴射時期を大きく進角させたことに起因する、着火性の悪化及び不完全な燃焼の発生を適切に抑制することができる。
<デポジット焼失制御時のエンジン抵抗の制御>
本実施形態では、制御装置60は、上記のような過給圧の上昇による燃料噴射量の増加に加えて、車両内の補機を駆動するためにエンジンEに付与される抵抗(以下では「補機駆動抵抗」と呼ぶ。)を増加させる制御を行って、目標回転数を維持するのに必要な燃料噴射量を更に増加させるようにする。この補機は、例えばヘッドライト142やリアデフ141やエアコンである(上記のようにグロープラグ21に通電したときにもエンジンEに付与される抵抗(負荷)が増加するので、グロープラグ21もここで言う補機に含めてよい)。
また、制御装置60は、エアコンコンデンサファン154の出力を通常運転時よりも弱める制御を行って、エアコンのコンプレッサ上流側の冷媒圧力(冷媒温度)を高めるようにする。こうすることで、エンジンEの出力軸に連結されたエアコンのコンプレッサの仕事量を増加させて、エンジンEに付与される抵抗を増加させることで、目標回転数を維持するのに必要な燃料噴射量を更に増加させるようにする。なお、「エアコンコンデンサファン154の出力」は、典型的には、コンデンサファン154による風量及び風圧によって定義される。
<燃料噴射弁のデポジットの堆積判定>
燃料噴射弁20の噴孔20cの凹部20dにデポジットが堆積すると、燃料噴射弁20から噴射された燃料が燃焼室17内に適切に拡散されにくくなる。そのため、燃焼室17内において均質な燃焼が行われずに、PM(煤)が発生しやすくなり、PMがDPF46に捕集されていく速度が速くなる。その結果、DPF46に捕集されたPMを燃焼除去するための処理(DPF再生)が高頻度で実行される傾向にある。したがって、本実施形態では、制御装置60は、DPF再生の実行頻度に基づいて、燃料噴射弁20にデポジットが堆積しているか否かを判定する。特に、本実施形態では、制御装置60は、DPF再生が前回実行されてからDPF再生が今回実行されるまでに車両が走行した距離(DPF再生が実行されるインターバルに相当する)を求め、この走行距離と所定の判定距離とを比較することで、燃料噴射弁20にデポジットが堆積している可能性について判定する。1つの例では、制御装置60は、DPF再生が実行されるインターバルに相当する走行距離が判定距離未満である場合に、燃料噴射弁20にデポジットが堆積していると判定する。なお、本実施形態によるデポジットの堆積判定方法の詳細は後述する。
<制御フロー>
次に、本発明の実施形態による制御(処理)の具体的な流れについて説明する。
最初に、図8を参照して、本発明の実施形態において主として行われる制御(メイン制御)について説明する。図8は、本発明の実施形態によるメイン制御を示すフローチャートである。このフローでは、主に、要求噴射量などに応じた目標酸素濃度及び目標吸気温度を実現するための制御に加えて、燃料噴射弁20にデポジットが堆積しているか否かを判定するためのデポジット判定処理が行われる。また、当該フローは、典型的には車両のイグニッションがオンにされた後に、制御装置60によって所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS11では、制御装置60は、上述した各種センサ94〜122が出力した信号S94〜S122のうちの少なくとも一以上を取得する。
次いで、ステップS12では、制御装置60は、アクセル開度センサ100によって検出されたアクセル開度に基づいて、エンジンEから出力させるべき目標トルクを設定する。そして、ステップS13では、制御装置60は、ステップS12で設定した目標トルクと、エンジン回転数とに基づいて、燃料噴射弁20から噴射させるべき要求噴射量を設定する。
次いで、ステップS14では、制御装置60は、ステップS13で設定した要求噴射量と、エンジン回転数とに基づいて、燃料の噴射パターンと、燃圧と、目標酸素濃度と、目標吸気温度と、EGR制御モード(高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48の両方又は一方を作動させるモード、或いは高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48のいずれも作動させないモード)とを設定する。
次いで、ステップS15では、制御装置60は、ステップS14で設定した目標酸素濃度及び目標吸気温度を実現する状態量を設定する。例えば、この状態量には、高圧EGR装置43によって吸気系INに還流させる排気ガス量(高圧EGRガス量)や、低圧EGR装置48によって吸気系INに還流させる排気ガス量(低圧EGRガス量)や、ターボ過給機5による過給圧などが含まれる。
次いで、ステップS16では、制御装置60は、ステップS15で設定した状態量に基づいて、エンジンシステム200の各構成要素のそれぞれを駆動する各アクチュエータを制御する。この場合、制御装置60は、状態量に応じた制限値や制限範囲を設定し、状態値が制限値や制限範囲による制限を遵守するような各アクチュエータの制御量を設定して制御を実行する。
また、制御装置60は、上記したステップS11〜S16の処理と並行して、ステップS17において、燃料噴射弁20にデポジットが堆積しているか否かを判定するためのデポジット判定処理を実行する。
次に、図9を参照して、本発明の実施形態によるデポジット判定処理について具体的に説明する。図9は、本発明の実施形態によるデポジット判定処理を示すフローチャートである。このフローは、制御装置60によって、上記した図8のステップS17において実行される。
まず、ステップS21では、制御装置60は、DPF差圧センサ120によって検出されたDPF差圧(DPF46の上流側と下流側との排気圧の差)を取得する。
ステップS22の判定の結果、DPF差圧が所定圧未満である場合(ステップS22:No)、処理は終了する。この場合には、DPF46に捕集されたPMの量が所定量以上になっていないので、制御装置60は、DPF再生を行うべき状況ではないと判断する。これに対して、DPF差圧が所定圧以上である場合(ステップS22:Yes)、ステップS23に進み、制御装置60は、DPF再生を行うべき状況であると判断して、DPF再生実行フラグをオンに設定してDPF再生の実行要求を発する。この場合、制御装置60は、DPF46に捕集されたPMを燃焼除去可能な温度にまでDPF46を昇温させるための制御を実行する。
次いで、ステップS24では、制御装置60は、DPF再生実行フラグが今回オンになったときの走行距離、換言するとDPF再生が今回実行されたときの走行距離を取得する。この走行距離は、所定のメモリなどに記憶されている。そして、ステップS25では、制御装置60は、ステップS24で取得された、DPF再生実行フラグが今回オンになったときの走行距離と、DPF再生実行フラグが前回オンになったときの走行距離との差を算出する。つまり、制御装置60は、DPF再生が前回実行されてからDPF再生が今回実行されるまでに車両が走行した距離を算出する。以下では当該距離を適宜「算出走行距離」と呼ぶ。
次いで、ステップS26では、制御装置60は、ステップS25で得られた算出走行距離が50km未満であるか否かを判定する。この判定の結果、算出走行距離が50km未満である場合(ステップS26:Yes)、ステップS27に進み、制御装置60は、所定のカウンタ(50km用カウンタ)を1だけインクリメントする。そして、ステップS28に進み、制御装置60は、この50km用カウンタが3以上であるか否かを判定する。この判定の結果、50km用カウンタが3以上である場合(ステップS28:Yes)、ステップS35に進む。この場合には、DPF再生が比較的高頻度で実行されたため、制御装置60は、燃料噴射弁20にデポジットが堆積していると判定して、このデポジットを焼失させるためのデポジット焼失フラグをオンに設定する(ステップS35)。そして、ステップS36に進み、制御装置60は、燃料噴射弁20にデポジットが堆積していることを示す警告灯を点灯させる。
他方で、ステップS25で得られた算出走行距離が50km以上である場合(ステップS26:No)、ステップS29に進み、制御装置60は、算出走行距離が70km未満であるか否かを判定する。この判定の結果、算出走行距離が70km未満である場合(ステップS29:Yes)、ステップS30に進み、制御装置60は、所定のカウンタ(70km用カウンタ)を1だけインクリメントする。そして、ステップS31に進み、制御装置60は、この70km用カウンタが20以上であるか否かを判定する。この判定の結果、70km用カウンタが20以上である場合(ステップS31:Yes)、ステップS35に進む。この場合にも、DPF再生が比較的高頻度で実行されたため、制御装置60は、燃料噴射弁20にデポジットが堆積していると判定して、デポジット焼失フラグをオンに設定する(ステップS35)。そして、ステップS36に進み、制御装置60は、燃料噴射弁20にデポジットが堆積していることを示す警告灯を点灯させる。
他方で、ステップS25で得られた算出走行距離が70km以上である場合(ステップS29:No)、ステップS32に進み、制御装置60は、算出走行距離が100km未満であるか否かを判定する。この判定の結果、算出走行距離が100km未満である場合(ステップS32:Yes)、ステップS33に進み、制御装置60は、所定のカウンタ(100km用カウンタ)を1だけインクリメントする。そして、ステップS34に進み、制御装置60は、この100km用カウンタが50以上であるか否かを判定する。この判定の結果、100km用カウンタが50以上である場合(ステップS34:Yes)、ステップS35に進む。この場合にも、DPF再生が比較的高頻度で実行されたため、制御装置60は、燃料噴射弁20にデポジットが堆積していると判定して、デポジット焼失フラグをオンに設定する(ステップS35)。そして、ステップS36に進み、制御装置60は、燃料噴射弁20にデポジットが堆積していることを示す警告灯を点灯させる。
これに対して、ステップS25で得られた算出走行距離が100km以上である場合(ステップS32:No)、処理は終了する。この場合には、DPF再生の実行インターバルが長いので、制御装置60は、燃料噴射弁20にデポジットが堆積していないと判定する。
また、50km用カウンタが3未満である場合(ステップS28:No)、70km用カウンタが20未満である場合(ステップS31:No)、及び100km用カウンタが50未満である場合(ステップS34:No)のうちのいずれかの場合、処理は終了する。この場合にも、制御装置60は、燃料噴射弁20にデポジットが堆積していないと判定する。ステップS28、ステップS31及びステップS34に進んだ状況では、DPF再生の実行インターバルが比較的短いため、燃料噴射弁20にデポジットが堆積している可能性があるが、燃料噴射弁20におけるデポジットの堆積以外の他の要因(例えばアクセルペダル95の踏み込みと踏み戻しとを頻繁に切り替える運転やエンジンEを高負荷域で長時間動作させる運転など)により、DPF再生の実行要求が発せられた可能性も考えられる。そのため、制御装置60は、上記した場合には、デポジット焼失フラグをオンに設定しないこととする。こうすることで、燃料噴射弁20におけるデポジットの堆積についての誤判定を防止するようにする。
このように、本実施形態では、DPF再生が前回実行されてからDPF再生が今回実行されるまでの走行距離を、複数の判定距離(50km、70km及び100km)を用いて判定し、これら複数の判定距離に対応する複数のカウンタ(50km用カウンタ、70km用カウンタ及び100km用カウンタ)を規定して、DPF再生が実行された回数を別々にカウントする。そして、これら複数のカウンタに応じた複数の判定値を用いて、具体的にはカウンタに対応する判定距離が短くなるほど値が小さくなるような判定値(50km用カウンタに対しては3、70km用カウンタに対しては20、100km用カウンタに対しては50)を用いて、燃料噴射弁20にデポジットが堆積しているか否かを判定する。こうすることで、燃料噴射弁20におけるデポジットの堆積を精度良く判定するようにしている。
なお、50km用カウンタ、70km用カウンタ及び100km用カウンタは、それぞれ、後述するデポジット焼失制御の実行後にリセットされる、つまり0に設定される。
次に、図10を参照して、本発明の実施形態によるデポジット焼失制御について具体的に説明する。図10は、本発明の実施形態によるデポジット焼失制御を示すフローチャートである。このフローは、車両がディーラーに入庫されて整備が行われるときに(車両は非走行状態にあるものとする)、制御装置60によって実行される。なお、当該フローを開始するのに先立って、制御装置60は、車両における各種情報を事前に取得しておくようにする。
まず、ステップS41では、制御装置60は、整備士などによってデポジット焼失制御を開始するための所定操作が行われたか否かを判定する。この判定の結果、所定操作が行われた場合(ステップS41:Yes)、処理はステップS42に進み、所定操作が行われていない場合(ステップS41:No)、処理は終了する。
次いで、ステップS42では、制御装置60は、デポジット焼失フラグがオンであるか否かを判定する。このデポジット焼失フラグは、図9のデポジット判定処理で設定される。ステップS42の判定の結果、デポジット焼失フラグがオンである場合(ステップS42:Yes)、処理はステップS43に進み、デポジット焼失フラグがオンでない場合(ステップS42:No)、処理は終了する。
次いで、ステップS43では、制御装置60は、変速機のギヤ段がニュートラルに設定されているか否かを判定する。この判定の結果、ギヤ段がニュートラルに設定されている場合(ステップS43:Yes)、処理はステップS44に進み、ギヤ段がニュートラルに設定されていない場合(ステップS43:No)、処理は終了する。本実施形態では、安全性を確保する観点から、エンジンEの出力が車輪に伝達されないような状態においてデポジット焼失制御を行うようにしている。
次いで、ステップS44では、制御装置60は、アクセル開度センサ100の出力に基づき、アクセルペダル95が踏まれていないか否かを判定する、つまりアクセルオフであるか否かを判定する。この判定の結果、アクセルオフである場合(ステップS44:Yes)、処理はステップS45に進み、アクセルオフでない場合(ステップS44:No)、処理は終了する。本実施形態では、安全性を確保する観点から、アクセルオフの状態においてデポジット焼失制御を行うようにしている。
次いで、ステップS45では、制御装置60は、冷却水温度センサ109及び油圧/油温センサ111の出力に基づき、水温(冷却水の温度)及び油温が所定温度(例えば80〜90℃)以上であるか否かを判定する。この判定の結果、水温及び油温が所定温度以上である場合(ステップS45:Yes)、処理はステップS46に進み、水温及び油温が所定温度未満である場合(ステップS45:No)、処理は終了する。本実施形態では、燃料噴射弁20のデポジットを効率的に焼失できるような温度にまでエンジンEが昇温している状態において、デポジット焼失制御を行うようにしている。
次いで、ステップS46では、制御装置60は、ヘッドライトスイッチ95がオンであるか否かを判定する。この判定の結果、ヘッドライトスイッチ95がオンである場合(ステップS46:Yes)、処理はステップS47に進み、ヘッドライトスイッチ95がオフである場合(ステップS46:No)、処理は終了する。本実施形態では、補機としてのヘッドライト142の点灯による電力消費によってエンジンEに付与される補機駆動抵抗が高くなっている状態(具体的にはヘッドライト142の電力消費によりオルタネータ26の発電量が多くなり、オルタネータ26を発電させるためのエンジンEの負荷が高くなる)において、デポジット焼失制御を行うようにしている。なお、ヘッドライト142による補機駆動抵抗を効果的に高める観点から、ヘッドライト142をハイビームに設定するのがよい(一般的にハイビームに設定するとヘッドライト142の消費電力が大きくなる傾向にある)。
次いで、ステップS47では、制御装置60は、エアコンスイッチ96がオンであるか否かを判定する。この判定の結果、エアコンスイッチ96がオンである場合(ステップS47:Yes)、処理はステップS48に進み、エアコンスイッチ96がオフである場合(ステップS47:No)、処理は終了する。本実施形態では、エアコンを動作させるためにエンジンEに付与される負荷が高くなっている状態(具体的にはエアコンのコンプレッサはエンジンEにより動作されるため、エアコンの動作時にエンジンEの負荷が高くなる)において、デポジット焼失制御を行うようにしている。
次いで、ステップS48では、制御装置60は、エアコンスイッチ96がオンになっているので、エアコンのコンプレッサに設けられたエアコンコンプレッサクラッチ159を接続する。こうすることで、エンジンEの出力がエアコンのコンプレッサに伝達されるようにする。そして、処理はステップS49に進む。
次いで、ステップS49では、制御装置60は、リアデフスイッチ94がオンであるか否かを判定する。この判定の結果、リアデフスイッチ94がオンである場合(ステップS49:Yes)、処理はステップS50に進み、リアデフスイッチ94がオフである場合(ステップS49:No)、処理は終了する。本実施形態では、補機としてのリアデフ141への通電による電力消費によってエンジンEに付与される補機駆動抵抗が高くなっている状態(具体的にはリアデフ141の電力消費によりオルタネータ26の発電量が多くなり、オルタネータ26を発電させるためのエンジンEの負荷が高くなる)において、デポジット焼失制御を行うようにしている。
次いで、ステップS50では、制御装置60は、エアコンの風量切替スイッチ97の出力に基づき、エアコンの風量(つまりブロアファンの出力)が最大であるか否かを判定する。この判定の結果、エアコンの風量が最大である場合(ステップS50:Yes)、処理はステップS51に進み、エアコンの風量が最大でない場合(ステップS50:No)、処理は終了する。本実施形態では、補機駆動抵抗を高めるべく、エアコンの風量が最大になっている状態(具体的にはエアコンのブロアファンの電力消費によりオルタネータ26の発電量が多くなり、オルタネータ26を発電させるためのエンジンEの負荷が高くなる)において、デポジット焼失制御を行うようにしている。
制御装置60は、上記したステップS41〜S47、S49、S50の全ての条件が成立すると、ステップS51以降において、燃料噴射弁20に堆積したデポジットを焼失させるための制御を行う。まず、ステップS51では、制御装置60は、目標回転数を1750rpmに設定する。制御装置60は、このような比較的低い回転数を目標回転数として設定することで、比較的遅いピストンスピードを維持させて燃料噴射及び拡散に必要な時間を確保するようにする。制御装置60は、このような目標回転数を適用して図8に示したメイン制御を実行することで、実エンジン回転数が目標回転数に維持されるようにする。
次いで、ステップS52では、制御装置60は、グロープラグ21に通電する制御を行う、つまりグロープラグ21に電流/電圧を印可する制御を行う。こうすることで、燃料噴射時期の進角に起因する燃料の着火性の悪化や不完全な燃焼を抑制するようにする。加えて、グロープラグ21の消費電力によってエンジンEに付与される抵抗を増加させることで(詳しくはグロープラグ21の通電によりオルタネータ26の発電量が増加してエンジンEの負荷が増加する)、目標回転数を維持するのに必要な燃料噴射量を増加させて、筒内ガス温度を上昇させるようにする。
具体的には、ステップS52では、制御装置60は、グロープラグ21の信頼性が適切に確保される範囲におけるほぼ上限温度を目標温度として設定し(例えば1200℃)、グロープラグ21がこの目標温度になるように通電制御を行う。この場合、制御装置60は、水温や吸気温や吸気量やエンジン回転数や燃料噴射量などに基づき、グロープラグ21の温度を所定のモデルにより推定し、推定した温度と目標温度とを比較しながら、グロープラグ21が目標温度に維持されるように通電制御を行う。こうすることで、グロープラグ21の温度が目標温度を比較的大きく超えることによるグロープラグ21の故障を抑制するようにする。
次いで、ステップS53では、制御装置60は、エアコンコンデンサファン154の出力を通常運転時よりも弱める制御を行って、エアコンのコンプレッサ上流側の冷媒圧力(冷媒温度)を高めるようにする。例えば、制御装置60は、エアコンコンデンサファン154を駆動するためのデューティを小さくする制御を行う。こうすることで、エンジンEに連結されたエアコンのコンプレッサの仕事量(冷媒を圧縮するための仕事量)を増加させて、エンジンEに付与される抵抗を増加させることで、目標回転数を維持するのに必要な燃料噴射量を増加させるようにする。
具体的には、ステップS53では、制御装置60は、コンプレッサ上流側の冷媒圧力が高圧側の所定範囲内に入るように、外気温に基づきエアコンコンデンサファン154の出力を制御する。この場合、制御装置60は、基本的には、エアコンコンデンサファン154の出力を低くするが、外気温が高いほど、エアコンコンデンサファン154の出力を高くする(つまり、外気温が高いほど、エアコンコンデンサファン154の出力を低くする度合いを小さくする)。こうすることで、夏場などにおいて、冷媒温度が高くなり過ぎて、エアコンのコンプレッサが停止されることを抑制する。
また、制御装置60は、上記したようなエアコンコンデンサファン154の制御を、エアコンを暖房に設定した状態で行う。こうするのは、真冬にエアコンを冷房に設定した状態で当該制御を行うと、エアコンのエバポレータが冷え過ぎてエバポレータ通過後の空気が凍結して、エアコンの動作が停止する場合があるからである。
次いで、ステップS54では、制御装置60は、吸気系INへのEGRガスの還流を停止させるべく、高圧EGR装置43の高圧EGRバルブ43b及び低圧EGR装置48の低圧EGRバルブ48cの両方を全閉に制御する。こうすることで、エンジンEに供給するガスの酸素濃度を高めて、筒内最高温度を効果的に上昇させるようにする(換言すると熱発生率を高めるようにする)。また、EGRガス量の低減に起因するエンジンEのポンプ損失増大により、目標回転数を維持するのに必要な燃料噴射量を増加させるようにする。
次いで、ステップS55では、制御装置60は、ターボ過給機5による過給圧を上昇させるべく、ターボ過給機5のVGT開度(フラップ5cの開度)を閉側に制御する。こうすることで、筒内圧を上昇させて燃焼室17内の着火環境を向上させるようにし、燃料噴射時期の進角に起因する燃料の着火性の悪化や不完全な燃焼を抑制するようにする。加えて、過給圧の上昇に起因するピストン23の抵抗増大により、目標回転数を維持するのに必要な燃料噴射量を増加させるようにする。
次いで、ステップS56では、制御装置60は、燃焼室17において燃焼ガスを圧縮させる期間を長くして圧縮上死点での筒内温度(筒内最高温度)を上昇させるべく、燃料噴射弁20の燃料噴射時期を進角させる。この場合、制御装置60は、燃料の着火性が確保され且つ不完全な燃焼が発生しない範囲内において、燃料噴射時期を進角させる(つまり燃料噴射時期を進角させる度合いに制限を設ける)。具体的には、制御装置60は、エンジンEの幾何学的圧縮比に応じて燃料噴射時期を進角させる。より詳しくは、上述した進角量の範囲を示す2つの式に基づき、対象となるエンジンEの幾何学的圧縮比に応じた燃料噴射時期を事前に決定しておき、制御装置60は、そのように決定された燃料噴射時期を適用するようにする。
次いで、ステップS57では、制御装置60は、デポジット焼失制御の開始から所定時間(例えば120秒)が経過したか否かを判定する。この判定の結果、所定時間が経過した場合(ステップS57:Yes)、ステップS58に進み、制御装置60は、デポジット焼失制御を終了し、デポジット焼失フラグがオフに設定する。他方で、所定時間が経過していない場合(ステップS57:No)、ステップS57に戻る。この場合には、制御装置60は、所定時間が経過するまでステップS57の判定を繰り返す。
なお、上記したデポジット焼失制御では、リアデフスイッチ94、エアコンスイッチ96、ヘッドライトスイッチ95及び風量切替スイッチ97が整備士などにより手動で操作されることを、当該制御の実行条件としていた(ステップS46、S47、S49、S50参照)。他の例では、このような整備士などによる手動の操作を実行条件とせずに、デポジット焼失制御の実行時に、リアデフ141、エアコン、ヘッドライト142及びエアコンの風量を自動で制御してもよい。つまり、デポジット焼失制御の実行時に、リアデフ141、エアコン及びヘッドライト142を自動でオンに設定する制御を行うと共に、エアコンの風量を自動で最大にする制御を行うようにしてもよい。
<作用効果>
次に、本発明の実施形態によるディーゼルエンジンの制御方法及び制御システムの作用効果について説明する。
本実施形態では、制御装置60は、デポジット焼失制御時に、燃料噴射弁20の燃料噴射時期を進角させると同時にターボ過給機20による過給圧を増大させる制御を行う。これにより、過給圧増大により筒内圧が上昇して燃焼室17内の着火環境が向上するため、燃料の着火性の悪化及び不完全な燃焼を抑制しつつ、適切に燃料噴射時期を進角できるようになる。また、過給圧増大に起因するピストン23の抵抗増大により、目標回転数を維持するのに必要な燃料噴射量を増加させることができる。以上より、本実施形態によれば、筒内最高温度を効果的に高めて、燃料噴射弁20に堆積したデポジット(特に噴孔20cの凹部20dに堆積したデポジット)を適切に焼失させることができる。
また、本実施形態によれば、このようなデポジット焼失制御を車両の整備時且つ非走行時に行うので、実際の車両走行時に当該制御を行うことで違和感(騒音など)を与えてしまうことを抑制できる。
また、本実施形態では、制御装置60は、エンジン回転数が低いほど、ターボ過給機5による過給圧の増大率を大きくするので、比較的低い目標回転数であっても、燃料噴射量を適切に増加させることができる。
また、本実施形態では、制御装置60は、エンジンEの幾何学的圧縮比が低いほど、ターボ過給機5による過給圧の増大率を大きくするので、燃料の着火性の悪化及び不完全な燃焼を抑制しつつ、適切に燃料噴射時期を進角できるようになる。そのため、幾何学的圧縮比に応じて燃料噴射時期を比較的大きく進角させることが可能となる。
<変形例>
上記した実施形態では、本発明を、可変ジオメトリーターボチャージャー(VGT)としてのターボ過給機5に適用した例を示したが、本発明は、VGT以外にも、過給圧を変更可能な種々の過給機に適用可能である。例えば、本発明は、可変ノズルターボ過給機や、可変ノズルベーン式ターボ過給機や、可変翼ターボ過給機にも適用可能である。また、本発明は、スーパーチャージャや電動過給機にも適用可能である。
1 吸気通路
5 ターボ過給機
20 燃料噴射弁
21 グロープラグ
41 排気通路
43 高圧EGR装置
45 DOC
46 DPF
48 低圧EGR装置
60 制御装置
200 エンジンシステム
E エンジン

Claims (7)

  1. 燃料を燃焼室内に直接噴射するよう燃焼室上部に取り付けられた燃料噴射弁と、燃焼室に供給する空気を過給すると共に同一エンジン回転数において過給圧を変更可能に構成された過給機とを備えるディーゼルエンジンの制御方法であって、
    車両走行時の要求トルクに基づいて前記燃料噴射弁の燃料噴射量を制御する工程と、
    前記燃料噴射弁にデポジットが堆積しているか否かを判定する工程と、
    前記デポジットが堆積していると判定され、且つ、前記車両の整備時であって前記車両の変速機のギヤ段がニュートラルである非走行時において、前記燃料噴射弁に堆積したデポジットを焼失させるデポジット焼失制御を実行するための所定操作が行われた場合に、圧縮上死点での筒内温度を上昇させるべく、前記燃料噴射弁の燃料噴射開始時期を、圧縮上死点よりも進角側において前記車両の走行時の同一エンジン回転数及び同一要求トルクにおける燃料噴射開始時期よりも進角させると同時に、燃料噴射量を増大させつつ、実際のエンジン回転数が燃焼室での燃料拡散に必要な時間を確保可能な所定のエンジン回転数を維持するように、前記過給機による過給圧を増大させる工程と、
    を有する、ことを特徴とするディーゼルエンジンの制御方法。
  2. 更に、前記実際のエンジン回転数を維持するために用いる前記所定のエンジン回転数が低いほど、前記過給機による過給圧の増大率を大きくする工程を有する、請求項1に記載のディーゼルエンジンの制御方法。
  3. 前記燃料噴射弁は、本体と、前記本体に形成された噴孔と、前記本体の外面において前記噴孔に対応する位置に設けられ、前記噴孔よりも大きな直径を備える凹部と、を有する、請求項1に記載のディーゼルエンジンの制御方法。
  4. 前記ディーゼルエンジンの排気通路には排気ガス中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタが設けられており、
    前記パティキュレートフィルタの上流側と下流側との排気圧の差に基づき、前記燃料噴射弁にデポジットが堆積しているか否かを判定する、請求項1に記載のディーゼルエンジンの制御方法。
  5. 前記パティキュレートフィルタの上流側と下流側との排気圧の差に基づき、前記パティキュレートフィルタに捕集された粒子状物質を除去するための再生処理を行い、この再生処理の実行頻度に基づき、前記燃料噴射弁にデポジットが堆積しているか否かを判定する、請求項4に記載のディーゼルエンジンの制御方法。
  6. 燃料を燃焼室内に直接噴射するよう燃焼室上部に取り付けられた燃料噴射弁と、燃焼室に供給する空気を過給すると共に同一エンジン回転数において過給圧を変更可能に構成された過給機と、前記燃料噴射弁及び前記過給機を制御する制御装置と、を備えるディーゼルエンジンの制御システムであって、
    前記制御装置は、
    車両走行時の要求トルクに基づいて前記燃料噴射弁の燃料噴射量を制御し、
    前記燃料噴射弁にデポジットが堆積しているか否かを判定し、
    前記デポジットが堆積していると判定し、且つ、前記車両の整備時であって前記車両の変速機のギヤ段がニュートラルである非走行時において、前記燃料噴射弁に堆積したデポジットを焼失させるデポジット焼失制御を実行するための所定操作が行われた場合に、圧縮上死点での筒内温度を上昇させるべく、前記燃料噴射弁の燃料噴射開始時期を、圧縮上死点よりも進角側において前記車両の走行時の同一エンジン回転数及び同一要求トルクにおける燃料噴射開始時期よりも進角させると同時に、燃料噴射量を増大させつつ、実際のエンジン回転数が燃焼室での燃料拡散に必要な時間を確保可能な所定のエンジン回転数を維持するように、前記過給機による過給圧を増大させるよう構成されている、
    ことを特徴とするディーゼルエンジンの制御システム。
  7. 前記制御装置は、前記実際のエンジン回転数を維持するために用いる前記所定のエンジン回転数が低いほど、前記過給機による過給圧の増大率を大きくするよう構成されている、請求項に記載のディーゼルエンジンの制御システム。
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