JP6304539B2 - コンクリート被膜剤およびコンクリート構造 - Google Patents
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Description
このような中性化や塩害化によって、一旦、コンクリートの劣化が進行した場合には、断面修復が必要となり、補修材を劣化したコンクリート内部に注入したり、含浸させる補修方法が行われている(例えば、特許文献1参照)。
しかも、コンクリートの修復が不十分な場合には、さらに再劣化が起きる可能性があり、その点で改善の余地があった。
そのため、本発明では、コンクリート被膜剤で露出表面を被覆することで、コンクリート表面から気中の二酸化炭素がコンクリート内部に侵入するのを抑制することができ、コンクリートの中性化を遅らせることが可能となり、コンクリートの中性化によって内部の鉄筋が腐食するのを抑えることができる。また、塩化物イオンがコンクリート内部に侵入して内部の鉄筋が腐食する塩害を抑制することができる。
さらに、本発明では、コンクリート表層部の透気係数が小さくなるため、初期乾燥の防止効果を向上させることができ、優れた保湿養生を行うことができる。しかも、早期に脱型することが可能となり、例えばトンネルの覆工コンクリートのように脱型を早めて施工効率を向上させることができる。
コンクリート被膜剤2が塗布されるコンクリート3は、既設のコンクリートでもよいし、作製時又は作製直後のコンクリート、すなわち型枠を脱型した直後の養生中のコンクリートを対象としてもよい。なお、養生時にコンクリート被膜剤2を塗布することで、コンクリートの初期乾燥を防止する効果も得られる。
「(イ)次式(特許文献2に示す段落12の化学式5)で表されるジオール成分(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を表し、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜7である。)、
(ロ)脂肪族ジオール、および(ハ)三価以上の多価アルコールよりなる群から選ばれる一種以上のアルコール成分と、
(ニ)二価のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、および
(ホ)三価以上の多価カルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルよりなる群から選ばれる一種以上の酸成分とを共縮重合して得られる酸価が3〜70KOHmg/gのポリエステル樹脂を、
ケトン系溶剤に溶解させ、中和剤を加えて該ポリエステル樹脂のカルボキシル基をイオン化し、次いで水を加えた後、ケトン系溶剤を留去して水系に転相したものである自己分散型水系ポリエステル樹脂組成物」
を用いることができる。
本実施の形態では、図1に示すように、コンクリート3の露出表面3aに水分散系ポリエステルを主成分とする材料からなるコンクリート被膜剤2を塗布することでその露出表面3aに膜が形成され、コンクリート表層部3Aの透気係数を従来の被膜剤や被膜シートに比べて同等或いは小さくすることができ、コンクリート3の保護効果を高めることができ、耐久性能の向上を図ることができる。
さらに、本実施の形態では、コンクリート表層部3Aの透気係数が小さくなるため、初期乾燥の防止効果を向上させることができ、優れた保湿養生を行うことができる。しかも、早期に脱型することが可能となり、例えばトンネルの覆工コンクリートのように脱型を早めて施工効率を向上させることができる。
図2に示すように、本試験例は、所定硬化期間の経過後に脱型したコンクリートに対して、上述した実施の形態による水分散系ポリエステルを主成分としたコンクリート被膜剤2(図1参照)を使用した実施例と、気泡緩衝材(被膜材)を使用した比較例1と、従来の異なる被膜剤を使用した比較例2〜6と、無養生の比較例とにおける表層部(図1の3Aに相当)の透気係数(×10−16m2)を測定し、実施例が有効であることの確認を行った。
表面透気試験では、図2に示すように、コンクリートの養生後の緻密性を評価するものであり、表面透気試験は、トレント法(「Strong effect of curing condition on air permeability of surface concrete,Concrete Plant International」pp72-76,Phan H.D.Quoc,T.Kishi,April 2009)により行った。
次に、図3に示すように、試験例2では、上述したコンクリート被膜剤2のコンクリート3に対する保護効果を確認した。
具体的には、前述の試験例1に示す本実施の形態のコンクリート被膜剤2を使用した実施例(図3で塗布有り)と、無養生の比較例(図3で塗布無し)との場合で、コンクリート表面から中性化が進行している中性化深さ(mm)と、コンクリート表面から塩化物イオンが浸透している塩化物イオン浸透深さ(mm)とを、5年の暴露試験後に測定した。
例えば、本発明のコンクリート被膜剤2を使用するコンクリートとして、内部に鉄筋3bを配置したコンクリート3を採用しているが、コンクリートの構成、すなわち鉄筋の数量、配置に限定されず、また鉄筋に限らず鉄骨等の鋼材が埋設されたコンクリートを適用対象とすることも可能である。
また、コンクリートの配合、脱型までの時間、コンクリート被膜剤2を塗布するタイミングや塗布量等は施工条件に応じて適宜、変更することができる。
2 コンクリート被膜剤
3 コンクリート
3A 表層部
3a 露出表面
3b 鉄筋
Claims (2)
- コンクリートの中性化及び塩害化を防止するためのコンクリート被膜剤であって、
水分散系ポリエステルを主成分とする材料であり、前記コンクリートの露出表面に0.15〜0.25mmの範囲の塗布厚で塗布されることを特徴とするコンクリート被膜剤。 - コンクリートの中性化及び塩害化が防止されるコンクリート構造であって、
前記コンクリートの露出表面に、水分散系ポリエステルを主成分とする材料からなるコンクリート被膜剤が0.15〜0.25mmの範囲の塗布厚で塗布されていることを特徴とするコンクリート構造。
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