JP6304350B1 - 地盤改良工法の選定方法及び地盤改良方法 - Google Patents
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- Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)
Abstract
【課題】地盤改良における工期の遅延化を防ぐと共に、費用を削減することが可能な地盤改良工法の選定方法を提供する。【解決手段】地盤改良工法の選定方法は、標準貫入試験方法により地盤を調査する調査工程S30と、標準貫入試験方法において地盤に貫入された標準貫入試験用サンプラーにより採取された土壌試料と予め設定された量の固化材とを混合することにより、混合試料を得る混合工程S60と、混合試料を筒体内に充填する充填工程S70と、混合試料の充填時から予め設定された固化時間の経過後、固化した土壌試料を筒体内から圧縮試験用の供試体として取り出す取出工程S80と、供試体に対して一方から圧力を加えることにより、供試体の圧縮強さを測定する測定工程S90と、測定工程S90の結果に基づいて、柱状改良工法の採用の可否を判断する判断工程S100と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、地盤改良工法の選定方法及び当該選定方法により選定された地盤改良工法を用いた地盤改良方法に関する。
従来、宅地などにおける地盤改良工法の一つとして、柱状改良工法が知られている。この工法は、セメント系固化材と水を混合したスラリーを地中において現地の土と混合攪拌することにより当該土を固化させ、建物を支える改良柱体を地中に造成するという方法である。
しかし、現地の土には、腐植土(有機質土)のように固化材と混合しても十分に固化せず、固化不良を起こし易い性状のものが含まれる場合がある。このような固化不良は、建物の不同沈下の原因となり得るため、柱状改良工法の施工前に地盤の硬軟、締まり具合及び土層の構成を予め確認し、柱状改良工法を採用可能であるか否かを判断する必要がある。下記特許文献1には、柱状改良工法に適した土質であるか否かについて事前に判断する標準貫入試験を行うための装置について記載されている。
標準貫入試験では、ボーリング孔内に配置された標準貫入試験用サンプラーを地盤に貫入させてN値を測定することにより土の硬軟などが調査される共に、当該標準貫入試験用サンプラーにより土壌試料が同時に採取され、その一部が土質を判断する者の所へ運ばれる。そして、この者が土壌試料を目視観察することにより色等を含む外観を確認し、また手触り、臭い及び重さ等も確認することにより、柱状改良工法に適した土質であるか否かについて判断する。そして、固化不良を起こす可能性があると判断した場合には、土の固化具合を予め詳しく確認するため、土と固化材を実際に混合してその強度を測定する所定の室内配合試験が行われる。
しかし、室内配合試験には、標準貫入試験用サンプラーにより採取されて土質を判断する者の所に運ばれた土壌試料よりも多くの試料が要求されるため、標準貫入試験の後に土壌試料のサンプリングを別途行う必要がある。これにより、地盤改良の工期が遅れると共に、再度の土壌試料のサンプリングに伴う費用が発生するという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、地盤改良における工期の遅延化を防ぐと共に、それに要する費用を削減することが可能な地盤改良工法の選定方法及び当該選定方法により選定された地盤改良工法を用いた地盤改良方法を提供することである。
本発明の一局面に係る地盤改良工法の選定方法は、標準貫入試験方法により地盤を調査する調査工程と、前記標準貫入試験方法において地盤に貫入された標準貫入試験用サンプラーにより採取された土壌試料と予め設定された量の固化材とを混合することにより、混合試料を得る混合工程と、前記混合試料を筒体内に充填する充填工程と、前記混合試料の充填時から予め設定された固化時間の経過後、前記混合試料を前記筒体内から圧縮試験用の供試体として取り出す取出工程と、前記供試体に対して一方から圧力を加えることにより、前記供試体の圧縮強さを測定する測定工程と、前記測定工程の結果に基づいて、柱状改良工法の採用の可否を判断する判断工程と、を備える。また上記地盤改良工法の選定方法では、JIS A 1216の一軸圧縮試験方法に規定された供試体の1/8以下の体積を有し且つこれと相似形である円柱形状の前記供試体を作製する。
通常、地盤調査において標準貫入試験用サンプラーにより採取されて現地から運ばれる土壌試料の量は、その運搬、保管等の便宜上の理由から少なく、従来行われていた室内配合試験に要求される量に足りない。このため、従来では、室内配合試験のための土壌試料のサンプリングを別途行う必要があった。本発明者らは、標準貫入試験用サンプラーにより採取された少量の土壌試料を用いて室内配合試験を行ったところ、通常の量の土壌試料を用いた場合と強い相関性がある試験結果が得られることを見出し、本発明に想到した。
本発明の地盤改良工法の選定方法では、標準貫入試験方法において標準貫入試験用サンプラーにより採取された土壌試料と固化材とを混合することにより混合試料を作製し、この混合試料を筒体内に充填して所定の固化時間が経過した後取り出すことにより圧縮試験用の供試体を作製する。そして、この供試体の圧縮強さを測定し、その結果に基づいて柱状改良工法の採用が可能であるか否かを判断する。このため、圧縮試験用の供試体を作製するための土壌試料のサンプリングを標準貫入試験と別に行う必要がなく、柱状改良工法に着工する前に地盤の性質が柱状改良工法に適したものであるか否かを事前に判断することができる。従って、本発明によれば、地盤改良における工期の遅延化を防ぐと共に、再度の土壌試料のサンプリングに要する費用を削減することができる。
また本発明者らが鋭意検討を行った結果、JIS A 1216に規定された供試体の1/8以下の体積を有し且つこれと相似形である供試体を用いることにより、JIS A 1216に規定された通常の大きさの供試体を用いた場合と類似した傾向の試験結果が得られることが明らかとなった。このため、通常の大きさの供試体を用いた場合とほぼ同じ信頼性をもって土壌試料の固化状態を確認することができる。
また本発明者らが鋭意検討を行った結果、JIS A 1216に規定された供試体の1/8以下の体積を有し且つこれと相似形である供試体を用いることにより、JIS A 1216に規定された通常の大きさの供試体を用いた場合と類似した傾向の試験結果が得られることが明らかとなった。このため、通常の大きさの供試体を用いた場合とほぼ同じ信頼性をもって土壌試料の固化状態を確認することができる。
ここで、「標準貫入試験方法」とは、JIS A 1219に準拠した方法であり、標準貫入試験用サンプラーを調査対象の地盤に貫入することにより、当該地盤の硬軟及び締まり具合を判定すると共に、土層構成を把握するための試料の採取を行う方法である。また「固化材」とは、地盤改良において土壌の固化に用いられるものであり、例えばセメント系固化材を用いることができる。セメント系固化材としては、一般軟弱土用、特殊土用(六価クロム溶出抑制)、高有機質土用、発塵抑制型などがある。
上記地盤改良工法の選定方法は、前記土壌試料を目視観察することにより、前記土壌試料が固化し易い土質か否かを判定する判定工程をさらに備えていてもよい。前記判定工程において前記土壌試料が固化し難いと判定した場合にのみ、前記混合工程、前記充填工程、前記取出工程、前記測定工程及び前記判断工程が行われてもよい。
これにより、土壌試料の目視観察によって固化し易い土質であるか否かを容易に判定することができる。そして、土壌試料が固化し難いと判定した場合にのみ、混合工程以降の工程によって固化材の配合試験を行うため、余分な試験を行う必要がなくなる。
上記地盤改良工法の選定方法において、前記判定工程は、前記調査工程と異なる場所で行われてもよい。当該選定方法は、前記調査工程後であって前記判定工程前に、前記標準貫入試験用サンプラーにより採取された前記土壌試料を、前記判定工程が行われる場所へ搬送する搬送工程をさらに備えていてもよい。
土壌試料の目視観察に基づく土質の判断は、土質判断に関する知識及び経験を有する一定の技能者により行われることが好ましいため、現場で採取された土壌試料をその技能者がいる場所へ搬送する搬送工程が必要となる。
上記地盤改良工法の選定方法では、少なくとも3つの前記供試体を作製してもよい。これにより、3つ以上の供試体のそれぞれについて圧縮試験を行い、得られた圧縮強さの測定値を平均化することができるため、より信頼性の高い測定結果を得ることができる。
上記地盤改良工法の選定方法において、前記判断工程では、前記測定工程で得られた前記供試体の圧縮強さが予め定められた基準値の範囲を満たす場合に柱状改良工法を地盤改良工法として選び、前記測定工程で得られた前記供試体の圧縮強さが前記基準値の範囲を満たさない場合に柱状改良工法以外の工法を地盤改良工法として選んでもよい。
これにより、圧縮強さの測定値に基づいて土が十分に固化するか否かを判断した上で柱状改良工法を選ぶことができる。このため、建築後において土の固化不良に起因する不同沈下などの問題を避けることができる。
本発明の他局面に係る地盤改良方法は、上記地盤改良工法の選定方法を用いて選定された工法により地盤を改良する方法である。このため、地盤改良工法の選定の段階で要する時間及び費用を少なくすることができるため、工期の遅延化及び費用増加を抑制することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、地盤改良における工期の遅延化を防ぐと共に費用を削減することが可能な地盤改良工法の選定方法及び当該選定方法により選定された地盤改良工法を用いた地盤改良方法を提供することができる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る地盤改良工法の選定方法及び地盤改良方法について詳細に説明する。図1は、地盤改良方法の全体の流れを示すフローチャートである。本実施形態に係る地盤改良方法では、まず、工程S10〜S120の地盤改良工法の選定方法を用いて柱状改良工法を地盤改良工法として採用可能であるか否かを判断し、その判断に基づいて実際に地盤改良の工事(S130)が行われる。
まず、第1の地盤調査工程S10が行われる。この工程S10では、スウェーデン式サウンディング(SWS)試験方法により、宅地などの建築予定の敷地における地盤の土質が調査される。この方法は、JIS A 1221に準拠したものであり、具体的な手順は以下の通りである。
図2に示すように、試験装置としては、スクリューポイント11と、当該スクリューポイント11が先端に取り付けられたロッド10と、スクリューポイント11に対して所定の荷重を付与する重り12と、ロッド10を軸周りに回転させるハンドル13と、を備えたものが用いられる。まず、スクリューポイント11の先端を調査地点の地表面上に立てる。そして、重り12を段階的に載荷すると共にロッド10が地中に沈むことを確認し、その時の貫入量を測定する。そしてロッド10の貫入が止まった後、作業者がハンドル13を回してロッド10を軸周りに回転させ、ロッド10を規定の深さまで貫入させるのに必要な半回転数を測定する。この貫入量や半回転数などのデータに基づいて、調査地点における地盤の硬軟を調査する。またロッド10の貫入時の音により、土質(例えば、砂質土、粘性土、礫質土など)も推定される。また図2に示す手動式のSWS試験機を用いる場合に限られず、主流である自動式(機械式)のSWS試験機が用いられてもよい。なお、自動式及び手動式のいずれにおいてもSWS試験の原理及び方法は共通である。
次に、基礎地盤検討工程S20が行われる。この工程S20では、工程S10で行われたSWS試験の結果に基づいて、現地における地盤の改良が必要であるか否かについて検討する。本実施形態では、地盤の硬さが不十分であるため地盤改良が必要であると判断し、その改良工法として柱状改良工法を暫定的に選ぶ。この柱状改良工法は、セメント系固化材と水を混合したスラリー(セメントミルク)を地中において土と混合攪拌することにより当該土を固化させ、建物を支えるための改良柱体を地中に造成する方法である。
次に、第2の地盤調査工程S30が行われる。この工程S30では、JIS A 1219に準拠した標準貫入試験方法により、地盤の硬軟及び締まり具合が調査されると共に、現地から土壌試料がサンプリングされる(ボーリング調査)。具体的な手順は以下の通りである。
図3に示すように、まず、掘削装置により調査地点の地盤にボーリング孔25を形成する。次に、ボーリングロッド22の先端に標準貫入試験用サンプラー21を取り付け、この標準貫入試験用サンプラー21をボーリング孔25の底に降ろす。そして、ハンマー23を落下させることによりノッキングヘッド24を打撃し、標準貫入試験用サンプラー21を地盤に貫入させる。この時、標準貫入試験用サンプラー21を300mm貫入させるのに要する打撃回数をN値として測定し、このN値に基づいて地盤の硬軟が判定される。
また標準貫入試験用サンプラー21を地盤に貫入させることにより、当該サンプラー内に土が入り込むため、同時に土壌試料が採取される。標準貫入試験方法では、100mmの深さ毎にN値の測定が行われ、300mm貫入した時の合計値が記録される。そして、300mmのN値の測定が終了した時点で、標準貫入試験用サンプラー21により300mmの深さに相当する土壌試料が採取されている。この土壌試料の一部が、測定対象の深さ毎に樹脂製の容器に詰めて保管される。
次に、搬送工程S40が行われる。この工程S40では、第2の地盤調査工程S30において標準貫入試験用サンプラー21により採取された土壌試料を、後述する判定工程S50が行われる場所(土質を目視判断する技能者がいる場所)へ搬送する。
次に、判定工程S50が行われる。この工程S50は、第2の地盤調査工程S30が行われる現場とは異なる場所で行われる。この工程S50では、搬送工程S40において搬送された土壌試料を、土質判断に関する知識及び経験を有する一定の技能者が目視観察等することにより、当該土壌試料が固化し易い土質か否かを判定する。具体的には、土壌試料の中に腐植土が含まれるか否かを確認し、腐植土の有無に基づいて柱状改良工法を行うにあたって土質に問題がないか否かを判定する。そして、当該土壌試料が固化し易いと判定した場合には(S50:YES)、柱状改良工法の採用を決定する(S110)。
腐植土は、柱状改良工法においてセメントミルクと混合しても固化し難い性質を有する。このため、現地の地盤に少量でも腐植土が含まれる場合には、固化不良に起因して地盤を十分に強化することができない可能性があり、建物の不同沈下を招く可能性がある。よって、工程S50において腐植土の存在が確認された場合には、当該土壌試料が固化し難いと判定する(S50:NO)。この場合、柱状改良工法の採用をそのまま決定せず、土と固化材とを混合して土の固化具合を確認する室内配合試験をさらに行う必要がある。これは、目視確認等だけでは、土が固化材により十分に固化するか否かを判断するのが困難であるためである。
しかし、工程S30のボーリング調査における標準貫入試験用サンプラー21による採取後に搬送される土壌試料は少量であるため、室内配合試験を行うには量が不十分であると従来は考えられてきた。このため、標準貫入試験を行った後、室内配合試験に必要なサンプル量を確保するために土壌試料のサンプリングを別途行う必要があり、これによって地盤改良の工期が遅れると共に、再度のサンプリング作業による費用の増加が問題となる。
これに対して、本実施形態では、標準貫入試験用サンプラー21による採取後に搬送される少量の土壌試料を用いた場合でも、通常の量(標準貫入試験用サンプラー21による採取量よりも多い量)の土壌試料を用いた場合と類似した傾向の室内配合試験の結果が得られるという知見に基づき、以下に説明する通り、標準貫入試験用サンプラー21により採取された土壌試料を用いて土の固化具合を確認する室内配合試験が行われる。この室内配合試験は、土壌試料が採取される場所から離れた別の場所で行われる。
室内配合試験においては、まず、混合工程S60が行われる。この工程S60では、工程S30において標準貫入試験用サンプラー21により採取された土壌試料と予め設定された量の固化材とを混合する。具体的には、図4に示すように、標準貫入試験用サンプラー21により採取された土壌試料を樹脂製の容器から取り出して混合容器31に投入すると共に、予め設定された量の固化材を混合容器31に投入する。固化材としては、柱状改良工法で用いられるものと同様に、セメント系固化材が用いられる。そして、ミキサーによって混合容器31内において土壌試料と固化材とを練ることにより、混合試料34が得られる。
次に、充填工程S70が行われる。この工程S70では、まず、中空部41を有する円筒形状の筒体40が準備される(図5)。筒体40は、例えば塩化ビニル製のパイプを所定の長さに切断することにより準備される。図5に示すように、この中空部41は、筒体40の軸方向全体に亘って円柱状に形成されている。筒体40の内径D1は例えば25mmであり、高さH1は例えば50mmである。
そして、図6に示すように、筒体40の中空部41の全体に混合試料34が均一に充填される。また図示は省略するが、本実施形態では3本の筒体40が準備され、各筒体40に対して同様に混合試料34の充填が行われる。
次に、取出工程S80が行われる。この工程S80では、筒体40内への混合試料34の充填時から予め定められた固化時間の経過後、固化した土壌試料が筒体40内から後述する圧縮試験用の供試体50として取り出される。本実施形態における固化時間は、7日間である。具体的には、図7に示すように、中空部41と略同径の円柱形状を有する押出部材61が準備され、図中上向きの矢印で示すように、押出部材61によって混合試料34の一方の底面34Aを軸方向に押す。これにより、固化した土壌試料が筒体40内から押し出され、円柱形状の供試体50として取り出される(図8)。また3本の筒体40のそれぞれから固化した土壌試料を押し出すことにより、3つの供試体50が得られる。これらの供試体50は、後述する工程S90において、JIS A 1216の一軸圧縮試験に供される。
図8では、本実施形態で作製された供試体50が実線で示されると共に、JIS A 1216の一軸圧縮試験方法に規定された通常の大きさの供試体51が破線で示されている。この供試体51は、外径D2が50mmであり、高さH2が100mmである。本実施形態で作製される供試体50は、筒体40の中空部41と同じ大きさの円柱形状であるため、外径D1が25mmであり、高さH1が50mmである。つまり、本実施形態で作製される供試体50は、JIS A 1216で規定された通常の供試体51に比べて、外径及び高さがそれぞれ同じ比率(1/2)で小さくなっている。換言すると、供試体50は、JIS A 1216で規定された通常の供試体51よりも小さく(体積が1/8であり)、且つ当該通常の供試体51と相似形である円柱形状を有する。このように、本実施形態では、通常よりも大幅にスケールダウンされた供試体50が作製される。
次に、測定工程S90が行われる。この工程S90では、JIS A 1216に準拠した一軸圧縮試験方法を用いて、前工程で作製した供試体50の一軸圧縮強さを測定する。具体的には以下のような手順で行われる。
図9に示すように、円柱の底面が下側加圧面82Aの中央に接触するように供試体50を下側加圧板82上に配置し、上側加圧面81Aが円柱の上面に接触するように上側加圧板81を供試体50の上に配置する。そして、上側加圧板81を下側加圧板82に向かって下降させることにより、供試体50に対して上面側から圧力を加えて圧縮する。この時の圧縮量と圧縮力を連続的に測定し、これに基づいて図10に例示するような応力−ひずみ曲線を得る。
図10のグラフにおいて、横軸は供試体50において生じるひずみを示し、縦軸は供試体50に対して加わる圧縮応力を示している。この応力−ひずみ曲線から圧縮応力の最大値(点P1)が得られ、これが一軸圧縮強さ(kN/m2)に相当する。一軸圧縮強さに比例して供試体50が変形し難くなるため、この試験によって土壌試料の固化具合を確認することができる。またこの一軸圧縮強さの測定値に所定の係数を掛けて補正することもできる。この係数としては、本実施形態で作製した供試体50の測定値に対するJIS A 1216に規定された通常の供試体51の測定値の比率を用いることができる。
次に、判断工程S100が行われる。この工程S100では、測定工程S90の結果に基づいて、柱状改良工法の採用の可否を判断する。具体的には、測定工程S90で得られた供試体50の一軸圧縮強さが予め定められた基準値の範囲を満たす場合には(S100:YES)、現地の土が固化材により十分に固化するものと判断し、地盤改良工法として柱状改良工法の採用を決定する(S110)。一方、測定工程S90で得られた供試体50の一軸圧縮強さが予め定められた基準値の範囲を満たさない場合には(S100:NO)、土が固化不良を起こすものと判断する。このため、柱状改良工法以外の工法を地盤改良工法として選ぶ(S120)。具体的には、鋼管杭工法や既製コンクリート杭を用いた工法などを柱状改良工法の代わりに選ぶ。以上のステップS10〜S120により地盤の改良工法を決定することができ、本実施形態に係る地盤改良工法の選定方法が終了する。
次に、施工工程S130が行われる。この工程S130では、判断工程S100において決定された地盤改良工法を用いて実際の施工が開始される。柱状改良工法に決定した場合には、図11(左)に示すように、スクリュー1を貫入させて地盤を掘削しつつ、当該スクリュー1の先端からセメントミルクを注入する。そして、設計深さまで掘り下げた後(図11(中央))、スクリュー1を回転させて土とセメントミルクを攪拌しつつスクリュー1を引き上げる。これにより、図11(右)に示すように、所定の設計長さ及び支持力を有するセメントからなる改良柱体2が地中に造成され、これによって地盤の強度をより高めることができる。一方、柱状改良工法以外の工法(例えば鋼管杭工法)に決定した場合には、図12に示すように、重機を用いて鋼管杭3を回転させつつ地盤に貫入し、複数本の鋼管杭3を継ぎ足しつつ所定の設計深さまで打ち込むことにより地盤を強化する。
次に、本実施形態に係る地盤改良工法の選定方法及び地盤改良方法の特徴、並びにこれらの作用効果について説明する。
本実施形態に係る地盤改良工法の選定方法は、標準貫入試験方法により地盤を調査する第2の地盤調査工程S30(調査工程)と、標準貫入試験方法において地盤に貫入された標準貫入試験用サンプラー21により採取された土壌試料と予め設定された量の固化材とを混合することにより、混合試料34を得る混合工程S60と、混合試料34を筒体40内に充填する充填工程S70と、混合試料34の充填時から予め設定された固化時間の経過後、固化した土壌試料を筒体40内から圧縮試験用の供試体50として取り出す取出工程S80と、供試体50に対して一方から圧力を加えることにより、供試体50の一軸圧縮強さを測定する測定工程S90と、測定工程S90の結果に基づいて、柱状改良工法の採用の可否を判断する判断工程S100と、を備える。また本実施形態に係る地盤改良方法では、上記地盤改良工法の選定方法を用いて選定された工法により地盤を改良する。
上記地盤改良工法の選定方法では、標準貫入試験用サンプラー21により採取された土壌試料と固化材とを混合して混合試料34を作製し、この混合試料34を筒体40内に充填して所定の固化時間が経過した後取り出すことにより、圧縮試験用の供試体50を作製する。そして、この供試体50の一軸圧縮強さを測定し、その結果に基づいて柱状改良工法の採用が可能であるか否かを判断する。このため、圧縮試験用の供試体50を作製するための土壌試料のサンプリングを、標準貫入試験と別に行う必要がない。従って、地盤改良における工期の遅延化を防ぐと共に、再度の土壌試料のサンプリングに要する費用を削減することができる。
上記地盤改良工法の選定方法は、土壌試料を目視観察することにより、土壌試料が固化し易い土質か否かを判定する判定工程S50を備える。そして、判定工程S50において土壌試料が固化し難いと判定した場合にのみ、混合工程S60、充填工程S70、取出工程S80、測定工程S90及び判断工程S100が行われる。
これにより、土壌試料の目視観察によって固化し易い土質であるか否かを容易に判定することができる。そして、土壌試料が固化し難いと判定した場合にのみ、混合工程S60以降の工程によって固化材の配合試験を行うため、余分な試験を行う必要がなくなる。
上記地盤改良工法の選定方法において、判定工程S50は、第2の地盤調査工程S30と異なる場所で行われる。当該選定方法は、第2の地盤調査工程S30後であって判定工程S50前に、標準貫入試験用サンプラー21により採取された土壌試料を、判定工程S50が行われる場所へ搬送する搬送工程S40を備える。
土壌試料の目視観察に基づく土質の判断は、土質判断に関する知識及び経験を有する一定の技能者により行われることが好ましいため、現場で採取された土壌試料をその技能者がいる場所へ搬送する搬送工程S40が必要となる。
上記地盤改良工法の選定方法では、JIS A 1216の一軸圧縮試験方法に規定された供試体51よりも小さく、且つこれと相似形である円柱形状の供試体50を作製する。この供試体50は、JIS A 1216の一軸圧縮試験方法に規定された供試体51の1/8の体積を有する。ボーリング調査において標準貫入試験用サンプラー21により採取される少量の土壌試料を用いてJIS A 1216の規格よりも小さい供試体50を作製した場合でも、同規格に従った通常の大きさの供試体51を用いて圧縮試験を行った場合とほぼ同じ信頼性をもって土壌試料の固化具合を確認することができる。
上記地盤改良工法の選定方法では、3つの供試体50を作製する。これにより、3つの供試体50のそれぞれについて一軸圧縮試験を行い、得られた圧縮強さの測定値を平均化することができるため、より信頼性の高い測定結果を得ることができる。
上記地盤改良工法の選定方法において、判断工程S100では、測定工程S90で得られた供試体50の一軸圧縮強さが予め定められた基準値の範囲を満たす場合に柱状改良工法を地盤改良工法として選び、測定工程S90で得られた供試体50の圧縮強さが基準値の範囲を満たさない場合に柱状改良工法以外の工法を地盤改良工法として選ぶ。これにより、圧縮強さの測定値に基づいて土が十分に固化するか否かを判断した上で柱状改良工法を選ぶことができる。このため、建築後において土の固化不良に起因する不同沈下などの問題を避けることができる。
なお、上記実施形態では、3つの供試体50を作製する場合を説明したが、4つ以上の供試体50を作製してもよい。これにより、サンプル数が増えるため、より信頼性の高い測定データを得ることができる。また供試体50は、上記実施形態で説明したJIS A 1216の規格の1/8よりもさらに小さいサイズであってもよい。
まず、JIS A 1219に準拠した標準貫入試験を行い、標準貫入試験用サンプラー21により土壌試料をサンプリングした(300mmのN値測定の間にサンプリング)。この土壌試料の一部を深さ毎に分けて樹脂製の容器に詰め、別の場所へ搬送した。そして、土壌試料を容器から取り出して混合容器31内に投入すると共にセメント系固化材及び水を混合容器31内に投入し、ミキサーによって練ることにより混合試料34を作製した。土壌試料としては、砂質土、粘性土及び腐植土の3種類を用いた。
次に、内径D1が25mm、高さH1が50mmの円筒状の筒体40(図5)を準備し、これに各混合試料34を充填した。この時、砂質土、粘性土及び腐植土のそれぞれについて3本ずつ筒体40を用いた。
充填から7日間経過した後、固化した土壌試料(供試体50)を筒体40から取り出した。そして、JIS A 1216に準拠した一軸圧縮試験を行うことにより各供試体50の一軸圧縮強さ(kN/m2)を測定した。
また、内径D2が50mm、高さH2が100mmの円筒形状の筒体を用いて、上記同様に砂質土、粘性土及び腐植土の3種類の供試体を作製した。そして、上記同様に、JIS A 1216に準拠した一軸圧縮試験を行った。これらの試験結果を図13の棒グラフに示す。
図13に示すように、砂質土、粘性土及び腐植土のいずれの場合においても、内径25mmの供試体を用いて試験を行った場合と、内径50mmの供試体を用いて試験を行った場合と、を比べた時に、一軸圧縮強さの測定値の差が僅かであり、強い相関性が見られることが分かった。この結果より、JIS A 1216に規定された通常の供試体よりも小さい供試体を用いて試験を行った場合でも、固化材による土の固化具合について信頼性の高い評価が可能であることが分かった。
また図13のデータに基づいて、内径25mmの場合の測定値に対する内径50mmの場合の測定値の比率を、砂質土、粘性土及び腐植土のそれぞれについて算出することができる。この比率を補正係数として、内径25mmの場合の測定値に対して掛けることにより、内径50mmに換算したデータを得ることができる。なお、この補正係数は、全ての土質においてほぼ共通である。
今回開示された実施形態及び実施例は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
21 標準貫入試験用サンプラー
34 混合試料
40 筒体
50,51 供試体
34 混合試料
40 筒体
50,51 供試体
Claims (6)
- 標準貫入試験方法により地盤を調査する調査工程と、
前記標準貫入試験方法において地盤に貫入された標準貫入試験用サンプラーにより採取された土壌試料と予め設定された量の固化材とを混合することにより、混合試料を得る混合工程と、
前記混合試料を筒体内に充填する充填工程と、
前記混合試料の充填時から予め設定された固化時間の経過後、前記混合試料を前記筒体内から圧縮試験用の供試体として取り出す取出工程と、
前記供試体に対して一方から圧力を加えることにより、前記供試体の圧縮強さを測定する測定工程と、
前記測定工程の結果に基づいて、柱状改良工法の採用の可否を判断する判断工程と、を備え、
JIS A 1216の一軸圧縮試験方法に規定された供試体の1/8以下の体積を有し且つこれと相似形である円柱形状の前記供試体を作製することを特徴とする、地盤改良工法の選定方法。 - 前記土壌試料を目視観察することにより、前記土壌試料が固化し易い土質か否かを判定する判定工程をさらに備え、
前記判定工程において前記土壌試料が固化し難いと判定した場合にのみ、前記混合工程、前記充填工程、前記取出工程、前記測定工程及び前記判断工程を行うことを特徴とする、請求項1に記載の地盤改良工法の選定方法。 - 前記判定工程は、前記調査工程と異なる場所で行われ、
前記調査工程後であって前記判定工程前に、前記標準貫入試験用サンプラーにより採取された前記土壌試料を、前記判定工程が行われる場所へ搬送する搬送工程をさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載の地盤改良工法の選定方法。 - 少なくとも3つの前記供試体を作製することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の地盤改良工法の選定方法。
- 前記判断工程では、
前記測定工程で得られた前記供試体の圧縮強さが予め定められた基準値の範囲を満たす場合に柱状改良工法を地盤改良工法として選び、
前記測定工程で得られた前記供試体の圧縮強さが前記基準値の範囲を満たさない場合に柱状改良工法以外の工法を地盤改良工法として選ぶことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の地盤改良工法の選定方法。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載の地盤改良工法の選定方法を用いて選定された工法により地盤を改良することを特徴とする、地盤改良方法。
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