JP6302048B2 - 次世代システムを用いるhla遺伝子アンプリコンのディープシーケンシングにより混合物を定量解析することによる固形臓器移植片拒絶の非侵襲的早期検出 - Google Patents

次世代システムを用いるhla遺伝子アンプリコンのディープシーケンシングにより混合物を定量解析することによる固形臓器移植片拒絶の非侵襲的早期検出 Download PDF

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    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/118Prognosis of disease development

Description

固形臓器の移植片拒絶または移植片傷害の早期検出は重要なアンメット・クリニカル・ニーズである。生検ベースの方法は感度が低く、重篤な合併症のリスクが高い。したがって、特に魅力的なのは、移植した臓器の生検を必要としない非侵襲的検査である。現在は、血清クレアチニンの検出が移植片拒絶または傷害の非侵襲的検査である。しかし、この検査はきわめて特異的というわけではない。さらに、このマーカーの検出可能な上昇は移植片拒絶の経過に際してかなり後期に起き、その時点では臓器を救済するには遅すぎることが多い。
移植片拒絶を検出するための核酸ベースの非侵襲的方法を開発する試みが幾つかあった。幾つかの方法は移植片拒絶のシグナル、たとえば特定の拒絶関連遺伝子の発現に依存していた。たとえばHartono et al., (2011) Non-invasive Diagnosis of Acute Rejection
of Renal Allografts. Curr Opin Organ Transplant 15:35を参照。レシピエントの血液中のドナー特異的核酸を調べる試みもあった。それらは最初は、雌性レシピエントにおいて検出される雄性ドナー提供臓器のY染色体遺伝子に限られていた。Morelra et al., (2009) Cell-free DNA as non-invasive acute rejection marker in renal transplantation. Clin. Chem. 55:11; Snyder et al., (2011) Universal noninvasive detection of solid organ transplant rejection. PNAS 108:6229。レシピエントの血漿中のドナー特
異的HLA配列を検出する初期の試みもあった。Gadi et al., (2006) Soluble donor DNA concentrations in recipient’s serum correlate with pancreas-kidney rejection.
Clin. Chem. 52:3。しかし、これらの試みは失敗であるとして広く酷評された:各グル
ープの患者内で信号に著しい変動があったので、検査の予測価値が乏しかった(Baxter-Lowe, L., and Busch, M., (2006) Tracking Microchimeric DNA in Plasma to Diagnose and Manage Organ Transplant Rejection Clin Chem 52:4に概説されている)。現在のところ、移植片拒絶の早期検出のための信頼できる非侵襲的検査法はない。
Hartono et al., (2011) Non-invasive Diagnosis of Acute Rejection of Renal Allografts. Curr Opin Organ Transplant 15:35 Morelra et al., (2009) Cell-free DNA as non-invasive acute rejection marker in renal transplantation. Clin. Chem. 55:11 Snyder et al., (2011) Universal noninvasive detection of solid organ transplant rejection. PNAS 108:6229 Gadi et al., (2006) Soluble donor DNA concentrations in recipient’s serum correlate with pancreas-kidney rejection. Clin. Chem. 52:3 Baxter-Lowe, L., and Busch, M., (2006) Tracking Microchimeric DNA in Plasma to Diagnose and Manage Organ Transplant Rejection Clin Chem 52:4
一態様において、本発明は、レシピエントの血液試料におけるドナー核酸の割合を決定することにより固形臓器の移植片拒絶または傷害を判定する方法であり、この方法は下記を含む:レシピエントから血液試料を得る;少なくとも1つの遺伝子座における少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子の存在について試料を検査する;そしてドナーHLA対立遺伝子が検出されれば、移植片拒絶または傷害と診断する。この態様の変法において、この方法はさらに、ドナーHLA対立遺伝子の割合を決定し、その割合が前決定した閾値
を超えれば移植片拒絶または傷害と診断することを含む。この態様のさらなる変法において、決定工程は、試料中に検出された同一遺伝子座におけるすべてのHLA対立遺伝子の量の和に対する少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子の量の比を計算することを含む。この態様のさらにさらなる変法において、ドナーおよびレシピエントHLA対立遺伝子は、互いに連鎖不平衡(linkage disequilibrium)状態にある少なくとも2つの遺伝子座において検出される。この態様のさらにさらなる変法において、ドナーおよびレシピエントHLA対立遺伝子は、互いに連鎖不平衡状態にはない少なくとも2つの遺伝子座において検出される。この態様のさらにさらなる変法において、少なくとも1つの遺伝子座は、HLA−A、HLA−B、HLA−C、DRB1、DRB3、DRB4、DRB5、DQA1、DQB1、DPA1、およびDPB1から選択される。この態様のさらなる変法において、少なくとも1つのドナーおよびレシピエントHLA対立遺伝子は、DQA1,エキソン2;DQB1,エキソン2および3;DPA1,エキソン2;DPB1,エキソン2;DRB1,エキソン2;DRB3,エキソン2;DRB4,エキソン2;ならびにDRB5,エキソン2、またはそれらのHLA遺伝子に由来するイントロン配列、もしくはそれらの遺伝子に由来するエキソン配列とイントロン配列の組合わせから選択される配列を含む。この態様のさらなる変法において、HLA対立遺伝子について検査する工程は配列決定、特にクローン配列決定を含む。この態様のさらなる変法において、検査は表1に開示するオリゴヌクレオチドを用いる増幅または検出を含む。この態様のさらなる変法において、前記方法はさらに配列決定の前にターゲット濃縮(target enrichment)工程を含む
。ターゲット濃縮工程は、少なくとも1ラウンドのゲノムDNA増幅またはターゲット捕獲を含むことができる。クローン配列決定は、フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて実施されるクローン増幅工程を含むことができ、各プライマーはアダプター配列およびHLAハイブリダイゼーション配列を含む。この態様のさらなる変法において、HLA対立遺伝子についての検査は下記の工程を含む:フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて増幅させて、HLAアンプリコンを得る工程;クローン配列決定を実施して、HLAアンプリコンの配列を決定する工程;上記で決定した配列のうち、同一遺伝子座における少なくとも1つのレシピエントHLA対立遺伝子および少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子を同定する工程;上記で同定したレシピエントHLA配列とドナーHLA配列の数を比較し、それにより試料中のドナー核酸の割合を決定する工程。上記方法における少なくとも1つのプライマーは表1から選択できる。この態様のさらなる変法において、同定工程は下記のコンピューター処理工程を含む:HLA遺伝子座における配列をHLA配列データベースと比較する工程;既知のHLA対立遺伝子に対応する複数のビン(bin)内に配列を選別する工程;1または2つの多数(majority)配列をレ
シピエント対立遺伝子として同定する工程;1または2つの最も代表的な少数(minority)配列をドナー対立遺伝子として同定する工程。この態様のさらにさらなる変法において、同一遺伝子座におけるドナーHLA対立遺伝子およびレシピエントHLA対立遺伝子を2、3またはより多数の遺伝子座で検出する。それらの3以上の遺伝子座は、遺伝子DPB1、DQB1およびDRB1に由来する配列を含むことができる。この態様のさらなる変法において、2、3またはより多数の遺伝子座におけるドナーおよびレシピエントHLA対立遺伝子を、同一反応溶液(reaction volume)でマルチプレックスPCRによって同時
に増幅する。この態様のさらなる変法において、HLA対立遺伝子を、下記を含む方法により定量的に検出する:試料を、それぞれ0〜約5コピーのターゲットHLA対立遺伝子を含む複数の反応溶液に分割する;それぞれの反応溶液をターゲットHLA対立遺伝子の存在についてアッセイする;同一遺伝子座において、ドナーHLA対立遺伝子を含有する反応溶液の数を、レシピエントHLA対立遺伝子を含有する反応溶液の数と比較し、それにより試料中のドナー核酸の割合を決定する。この態様の変法において、アッセイ操作は、その少なくとも1つが表1から選択されるオリゴヌクレオチドを用いるPCR増幅を含む。この態様のさらなる変法において、この方法はさらに、独立して、少なくとも1つのHLA遺伝子座におけるドナーおよびレシピエントについての遺伝子型情報を得ることを含む。
他の態様において、本発明は、レシピエントの血液中のドナーDNAの濃度が閾値レベルを超えているかどうかを決定することにより、移植片レシピエントが移植片拒絶を伴なっているかあるいはそれを発症する可能性があるかを判定する方法であり、ドナーDNAの濃度は下記を含む方法により決定される:レシピエントから血液試料溶液を得る;その試料溶液中の少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子を定量的に検出する;ドナーDNAの濃度を測定する;そしてそれを閾値と比較し、その際、閾値に達しているかまたはそれを超えていればレシピエントは移植片拒絶を伴なっているかあるいはそれを発症する可能性がある。この態様の変法において、少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子は、HLA−A、HLA−B、HLA−C、DRB1、DRB3、DRB4、DRB5、DQA1、DQB1、DPA1、およびDPB1対立遺伝子から選択される。この態様のさらなる変法において、少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子は、DQA1,エキソン2;DQB1,エキソン2および3;DPA1,エキソン2;DPB1,エキソン2;DRB1,エキソン2;DRB3,エキソン2;DRB4,エキソン2;ならびにDRB5,エキソン2、またはそれらの遺伝子に由来するエキソン配列とイントロン配列の組合わせから選択される。この態様のさらにさらなる変法において、同一遺伝子座におけるドナーHLA対立遺伝子およびレシピエントHLA対立遺伝子を2、3またはより多数の遺伝子座で検出する。それらの3以上の遺伝子座は、遺伝子DPB1、DQB1およびDRB1に由来する配列を含むことができる。
他の態様において、本発明は、レシピエントの血液中のドナーHLA対立遺伝子の割合を定期的に決定することにより、移植片レシピエントを移植片拒絶の発症についてモニタリングし、ドナーDNAの割合の増大が検出されればその患者は移植片拒絶を伴なっているかあるいはそれを発症する可能性があると診断する方法である。
さらに他の態様において、本発明は、SCID小児の血液中の母性細胞を定量的に検出する方法であって、下記を含む方法である:小児から血液試料を得る;少なくとも1つの遺伝子座における少なくとも1つの非遺伝性の母性HLA対立遺伝子(non-transmitted maternal HLA allele)の存在について試料を検査する;検査工程で検出した母性対立遺伝
子を定量し、それにより母性細胞を定量的に検出する。
定義
用語“対立遺伝子”は、遺伝子の配列バリアントを表わす。遺伝子の1以上の相異が対立遺伝子を構成する可能性がある。HLA対立遺伝子については、一般に遺伝子の複数の相異が対立遺伝子を構成する(すなわち、大部分の対立遺伝子は互いに1より多い塩基が異なる)。本明細書中で用いるレシピエントの対立遺伝子は、レシピエントに存在する2つの対立遺伝子のうちの1つ(またはホモ接合個体に存在する単一の対立遺伝子)である。情報価値のあるドナー対立遺伝子は、ドナーに存在するがレシピエントには存在しない対立遺伝子である。
“クローン解析(clonal analysis)”という文脈中の用語“クローン”は、すべて単一
分子から誘導された分子の凝集体または集団を個別に解析することを表わす。たとえば、“クローン配列決定(clonal sequencing)”は、同一分子から誘導された各アンプリコン
を個別に配列決定することを表わす。
用語“ディープシーケンシング(deep sequencing)”は、ターゲット配列を単一検査に
おいて多数回読み取る配列決定方法を表わす。単一のディープシーケンシング工程は同一ターゲット配列について行なわれる多数の配列決定反応からなり、それぞれが独立した配列読出しを生じる。
“デジタル解析(digital analysis)”または“デジタル希釈(digital dilution)”という文脈中の用語“デジタル”は、試料中に存在する複数の個々の分子それぞれの解析を表わす。デジタル希釈は試料を複数の反応溶液に分布させることを表わし、その際、平均して1個以下の分子が各反応溶液中に存在する。ある例では、デジタル希釈により、デジタル読出し、たとえば個々の分子それぞれからイエス/ノーの結果を求めることができ、そしてクローン配列の数を計数することにより分子集団から得られたデジタル結果を表にまとめることができる。多数の個別反応溶液の場合、反応溶液当たり1個より多い分子を含むデジタル希釈は実際に定量の最大の正確度(accuracy)および精度(precision)をもたら
すことができる。
用語“ドナーHLA”配列および“ドナーのHLA配列”は、臓器ドナーに存在するHLA配列を表わすために互換性をもって用いられる。本発明の状況においては、臓器ドナーに存在するが臓器レシピエントには存在しないドナー配列を使用する。
用語“レシピエントHLA”配列および“レシピエントのHLA配列”は、臓器レシピエントに存在するHLA配列を表わすために互換性をもって用いられる。本発明の状況においては、臓器レシピエントに存在するが臓器ドナーには存在しないレシピエント配列を使用する。
用語“多型”は、ある集団にゲノム配列またはコードされるアミノ酸配列の2以上のバリアントがみられる状態を表わす。“一塩基多型”(SNP)は、配列のバリエーションがゲノム配列中の1つの多型ヌクレオチド位置からなる多型である。
用語“遺伝子型”は、ある個体またはその個体に由来する試料に含まれる1以上の遺伝子の1以上の対立遺伝子の組合わせを表わす。
用語“ハプロタイプ”は、ある個体の同一染色体上に存在する1以上の遺伝子の1以上の対立遺伝子の組合わせを表わす。
用語“HLA遺伝子の遺伝子型を決定する”は、ある対象におけるHLA対立遺伝子の選択された組合わせを決定することを表わす。たとえば、本発明において、“HLA−A遺伝子の遺伝子型を決定する”は、HLA−A遺伝子の1以上のエキソン、たとえばエキソン2、3および4中に存在する少なくとも1つの多型残基(対立遺伝子決定基)を同定することを表わす。同様にして、遺伝子HLA−B、HLA−C、DRB1、DRB3、DRB4、DRB5、DPB1、DPA1、DQA1およびDQB1の遺伝子型を決定できる。
用語“デジタルドロップレットPCR(digital droplet PCR)”または“ddPCR”
は、試料のデジタル希釈から得られる複数の反応溶液(ドロップレット“droplet”)で実
施されるPCRを表わす。
用語“ターゲット領域”は、核酸配列の解析すべき領域を表わす。
用語“核酸”は、天然および非天然の両方のヌクレオチド(たとえば、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド)のポリマーを表わす。この用語は、ポリマーの長さ(たとえば、モノマー数)により限定されることはない。核酸は一本鎖または二本鎖であってもよく、一般に5’−3’ ホスホジエエステル結合を含むであろう;ただし、ある場合にはヌクレオチドアナログは他の結合をもつ可能性がある。核酸は天然塩基(アデニン、グアニン、シトシン、ウラシルおよびチミジン)および非天然塩基を含むことができる。用語“非天然核酸”または“非天然ヌクレオチド”は、修飾された窒素塩基、糖またはホスフェート基を含むかあるいは非天然部分をその構造に取り込んだヌクレオチドを表
わす。非天然ヌクレオチドの例には、ジデオキシヌクレオチド、ビオチニル化、アミノ化、脱アミノ、アルキル化、ベンジル化および蛍光体標識ヌクレオチドが含まれる。
用語“プライマー”は、一般に適宜な緩衝液、核酸前駆体の存在および1以上の任意選択的補因子ならびに適切な温度を含めた適切な条件下で、核酸ポリメラーゼによるDNA合成の開始点として作用する短い核酸(オリゴヌクレオチド)を表わす。プライマーは一般に、ターゲット配列に対して少なくとも実質的に相補的である少なくとも1つのターゲットハイブリダイゼーション領域を含む。この領域は一般に約15〜約40ヌクレオチドの長さのものである。
プライマーの“アダプター領域”または“アダプター”という用語は、一般にプライマーのターゲットハイブリダイゼーション領域の5’側に位置する領域を表わす。一般にアダプターは後続の解析工程で機能を果たす。たとえば、アダプターは、増幅、たとえばエマルジョンPCRに用いる微粒子または他の固体表面にコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。アダプターは後続工程に用いるプライマー、たとえば配列決定用プライマーの結合部位としても作用できる。アダプター領域は一般に15から30までのヌクレオチド長さである。
用語“個別識別子タグ(individual identifier tag)”、“識別タグ(identification tag)”、“多重識別タグ(multiplex identification tag)”または“MID”は、本明細
書中で互換性をもって用いられ、特定の試料に由来するDNAのマーカーとして作用するプライマー領域を表わす。
用語“増幅条件”は、核酸増幅反応(たとえば、PCR増幅)においてプライマーのハイブリダイゼーションおよび鋳型依存性伸長を可能にする条件を表わす。用語“アンプリコン”は、ターゲット核酸配列の全部または一部を含み、いずれか適切な増幅方法によるインビトロ増幅の生成物として形成された核酸分子を表わす。多様なPCR条件が、PCR Strategies (M. A. Innis, D. H. Gelfand, and J. J. Sninsky eds., 1995, Academic Press, San Diego, CA) at Chapter 14; PCR Protocols : A Guide to Methods and Applications (M. A. Innis, D. H. Gelfand, J. J. Sninsky, and T. J. White eds., Academic Press, NY, 1990)に記載されている。
用語“熱安定核酸ポリメラーゼ”または“熱安定ポリメラーゼ”は、たとえば大腸菌(E. coli)由来のポリメラーゼと比較して高い温度で比較的安定であるポリメラーゼ酵素を
表わす。熱安定ポリメラーゼは、ポリメラーゼ連鎖反応(“PCR”)に典型的な温度循環条件下で用いるのに適している。代表的な熱安定ポリメラーゼには下記に由来するものが含まれる:テルムス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、テルムス・カルドフィルス(Thermus caldophilus)、テルムス属種Z05(たとえば、U.S. Patent No. 5,674,738を参照)およびテルムス属種Z05変異株のポリメラーゼ、テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)、テルムス・フラブス(Thermus flavus)、テルムス・フィリホルミス(Thermus filiformis)、テルムス属種sps17、デイノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus radiodurans)、ホットスプリング科(Hot Spring family) B/クローン7、
バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・カルド
テナックス(Bacillus caldotenax)、テルモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)、テルモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)、テルモシフォ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)。
用語“試料”は、個体に由来する核酸を含有するかあるいは含有すると推定されるいずれかの組成物を表わす。本発明の状況において、その中のドナーDNAを検出する試料はレシピエントの血液およびそれに由来する画分、たとえば血漿である。本明細書に開示す
る解析は血液から単離した血漿試料について実施されると理解される;すなわち、用語“患者の血液中に検出された”と“患者の血漿中に検出された”は互換性をもって用いられ、その血液が患者から得られ、それに由来する血漿を解析に用いることを意味する。たとえばドナーおよびレシピエントの遺伝子型を決定するための本発明の特定の観点について、他のいずれかのタイプの体液を使用でき、それには限定ではなく皮膚、血漿、血清、全血および血液成分、唾液、尿、涙液、精液、膣液、ならびに他の体液および組織(パラフィン包埋された組織を含む)が含まれる。試料は、個体から得られた細胞のインビトロ培養の構成要素および成分を含有する可能性もある。
核酸配列決定に関連して、用語“有効な読み(valid read)”は、特定のゲノム配列への割当てに成功した(エラーの補正ありまたは補正なしで)配列の読みを表わす。HLA対立遺伝子に関して、有効な読みは、その試料中に存在すると予想されるHLA対立遺伝子の1つへの割当てに成功した(エラーの補正ありまたは補正なしで)配列の読みである。その試料中に存在すると予想されるいずれの対立遺伝子にも割り当てられなかった読みは無効な読みである。
本発明は、移植片拒絶または傷害の非侵襲的早期検出を実施するための、核酸のクローン解析、たとえばクローン配列決定法(次世代シーケンシング(Next Generation Sequencing)(NGS)または大量並列シーケンシング(Massively Parallel Sequencing)(MP
S))またはデジタルドロップレットPCR(digital droplet PCR)(ddPCR)、あるいは入手できるようになるであろう他の手法であってデジタル読出しまたはクローン解析を含む手法の使用である。移植された固形臓器の拒絶またはそれに対する傷害が起きた場合、ドナー組織からのDNAをレシピエントの血漿中に見出すことができると報告されている。本発明は、移植片レシピエントの血漿におけるドナー特異的DNA配列の量および比率を正確に定量することを含む。移植片拒絶のためドナーDNAのレベルが上昇した場合ですら、総血漿DNAのうち小割合(数パーセント以下)が移植片に由来するにすぎないと予想されるので、信頼性のある検査法は血漿DNAのデジタル解析を必要とする。ドナーDNAは情報価値のある遺伝子マーカー、すなわちドナーとレシピエントの間で多型性であるマーカーの存在により同定される。たとえば、本発明は、多型遺伝子系、たとえばHLAをターゲティングすることにより実施できる。
本発明は、固形臓器移植片拒絶の発症または進行を検出またはモニタリングする方法であって、移植片レシピエントの血液または血漿をドナー由来のHLA核酸配列について検査し、ドナー由来の配列が見出されれば移植片拒絶と診断することを含む。本発明は、場合により、レシピエントの血液または血漿中のドナーHLA核酸配列の量および割合を定量し、その割合が移植に成功したレシピエントに由来する試料の解析により決定した閾値より高ければ移植片拒絶と診断することを含む。本発明はさらに、移植片レシピエントの血液または血漿をドナー由来のHLA核酸配列について反復検査することにより移植片拒絶の発症または進行について患者をモニタリングし、ドナー由来配列の量または割合が増大していれば移植片拒絶と診断することを含む。
本発明は、ヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen)(HLA)遺伝子座のユニーク
な特性を利用することにより固形臓器の移植片拒絶または傷害を早期検出する方法を提供する。HLA遺伝子座の遺伝子(HLA遺伝子)はヒトゲノムにおいて最も多型性のものである。HLA遺伝子座は、染色体6の短腕上の約3500万塩基対の範囲に及ぶ。主領域はクラスIおよびクラスII領域である。クラスI遺伝子はHLA−A、HLA−BおよびHLA−Cであり、主要クラスII遺伝子はHLA−DP、HLA−DQおよびHLA−DRである。タンパク質レベルで発現する多型性はHLA抗原のアミノ酸配列に反映され、したがって移植のための組織型判定にとって大きな関心がある。これらの多型は主に、クラスII遺伝子についてはエキソン2に、クラスI遺伝子についてはエキソン2お
よび3に局在する。可能であれば一般に特定のHLA遺伝子座(HLA−A、HLA−BおよびDR)は移植の前にドナーとレシピエントの間でマッチさせるので、本発明の状況では有用ではない可能性がある。他のHLA遺伝子座、たとえばDP遺伝子座は一般にマッチングに含まれず、したがって特定のドナー−レシピエント対について情報価値をもつ可能性がある。本発明は、情報価値がある少なくとも1つの遺伝子座を大部分のドナー−レシピエント対に見出すことができるように、複数のHLA遺伝子座の利用を可能にする。
検出すべきターゲットドナー配列としてのHLA遺伝子座の選択は、既存の文献に記載されたターゲットよりはるかに優れている。たとえば、Y染色体配列を検出する方法は同性ドナーおよびすべての雄性レシピエントを除外する。これと対照的に、HLA遺伝子は常染色体(染色体6)にあるので、すべての組合わせの性において検出できる。さらに、HLAベースの方法は個別の一ヌクレオチド相異(SNP)をターゲティングする方法より優れている。大部分の増幅および配列決定技術はエラープローン(エラー誘発型)であるので、検知された一ヌクレオチド変異は時にはアーチファクトであって真のSNPではないことがある。これと対照的に、HLA対立遺伝子は互いに多数のヌクレオチドが相異する。したがって、HLA遺伝子座内の対立遺伝子の検出を含む方法は、非HLA遺伝子座をターゲティングする方法と比較してエラーを生じにくい。現在入手できるHLA遺伝子型判定方法、たとえばクローン配列決定を用いるものは、エキソン内の多重連鎖多型(multiple linked polymorphism)のフェーズを設定でき、各HLA対立遺伝子の明瞭な配列決定が可能になる。この特徴がドナーDNAをレシピエントDNAから区別する正確度をさらに付加し、ドナーDNAの量が正確に定量される。
本発明は、移植片レシピエントの血液または血漿中に存在する無細胞DNA中の移植片ドナーHLA配列を検出および定量することにより、移植片拒絶または移植片傷害を診断する方法である。ある態様において、この方法はさらに、レシピエントの血液または血漿中のドナーDNAの量または濃度をモニタリングし、増大が検出されればその移植片レシピエントは移植片拒絶を伴なっているかあるいはそれを発症する可能性があると同定することを含む。ある態様において、本発明はさらに予備工程、すなわち1以上のHLA遺伝子座におけるドナーおよびレシピエントのHLA遺伝子型の決定を含む。本発明のある態様、たとえばクローン配列決定において、この工程は任意選択的である;クローン配列決定方法は、ドナーとレシピエントの間でマッチングさせなかった多型HLA遺伝子座について多数のHLA配列(レシピエントのもの)および存在すれば少数のHLA配列(ドナーのもの)を解明するからである。
情報価値があるHLA遺伝子座を確実に見出すために、ある態様において、本方法は、1より多いHLA遺伝子座、すなわち多型HLA遺伝子座の組合わせを検査および検出することを含む。多型HLA遺伝子または遺伝子座もしくは遺伝子座の組合わせをいずれも本発明の方法について使用できる。ある態様において、HLA遺伝子または遺伝子組合わせはHLA−A、HLA−B、HLA−C、DRB1、DRB3、DRB4、DRB5、DQA1、DQB1、DPA1、およびDPB1から選択される。ある態様において、HLA遺伝子の特定のエキソンまたはエキソンの一部(またはその組合わせ)をターゲティングする:たとえば、DQA1:エキソン2;DQB1:エキソン2および3;DPA1:エキソン2;DPB1:エキソン2;DRB1:エキソン2、DRB3:エキソン2;DRB4:エキソン2;ならびにDRB5:エキソン2。他の態様において、多型HLA遺伝子配列は、イントロン配列、またはエキソン配列とイントロン配列の組合わせを含む。
本発明は、移植片レシピエントの血漿中に存在するDNA中の多型HLA遺伝子座の検出を含む。ヒト血漿中に存在するDNAの多くはアポトーシスを受けている細胞に由来し
、180塩基対より短いかまたはそれに等しいと報告されている。このサイズは1つのヌクレオソームを囲むDNAフラグメントに相当する;たとえばWO2013060762を参照:それには、ヒト血漿から単離されたDNAのサイズが85〜230塩基対の範囲であり、平均142塩基対であると報告されている。先行技術における知識および初期実験に基づいて、本発明者らは、移植片を拒絶している臓器移植片レシピエントの血漿中に存在するドナーDNAも小さい可能性があると仮定した。本発明に用いる短いサイズの鋳型DNAは特別な問題を提起する。短いアンプリコンが得られるにすぎないので、検出できる多型の数が限られる。しかし、本発明者らは、適切なプライマー、たとえば表1に挙げるものを設計することにより、この問題を克服した。
ある態様において、複数のHLA遺伝子または遺伝子座を、遺伝子パネルの形の同一反応において解析する。1態様において、このパネルは、緊密に連鎖してはおらずかつ連鎖不平衡状態にはないHLA遺伝子配列を含む。この方法は、ドナーおよびレシピエントの厳密なHLA遺伝子型が決定されていない場合に特に有利である:幾つかの連鎖していない遺伝子座の採用は、少なくともある遺伝子座は情報価値があることを確実にする(すなわち、レシピエントに存在しない対立遺伝子がドナーに存在する状態での、ドナーとレシピエントの間の多型)。たとえば、この態様の変法において、遺伝子DPB1、DQB1およびDRB1由来の配列を同時に解析する。他の態様において、このパネルは、強い連鎖不平衡状態にある、緊密に連鎖した遺伝子配列から形成される。この方法は、実験エラー、たとえばレシピエントの配列にレシピエントの対立遺伝子とは異なる既知のHLA対立遺伝子に対応する配列を作り出す配列決定エラーを確実に認識して、“信号”ではなく“ノイズ”として廃棄する。たとえば、DQA1遺伝子座からの配列の読みがレシピエントの対立遺伝子と1塩基異なれば、これらは原則として未知のドナー対立遺伝子を反映しているか、あるいはこれと対照的にレシピエントの対立遺伝子における配列決定エラーを反映している可能性がある。これらの非−レシピエントDQA1配列が実際にドナーDNA由来であれば、既知の連鎖不平衡パターンに基づいて、そのドナーは特定のDQB1またはDRB1対立遺伝子をもつと予想するであろう。非−レシピエントDQA1配列が実際には配列決定エラーであれば、レシピエントのDQB1またはDRB1配列における独立した配列決定エラーが予想のDQB1またはDRB1対立遺伝子を作り出す可能性はきわめて低い。これにより、ドナーおよびレシピエントの遺伝子型が未知であればドナー対立遺伝子を区別でき、エラーにより既知のHLA対立遺伝子に対応する配列が生じたのであればドナー対立遺伝子をレシピエントの対立遺伝子における配列決定エラーから区別できる。本発明の1態様は、互いに連鎖不平衡状態にある2以上の対立遺伝子および残りのものと連鎖不平衡状態にない少なくとも1つの対立遺伝子を含むHLA対立遺伝子の組合わせを検出することを含む。たとえば、この態様の変法において、遺伝子DPB1、DQB1およびDRB1由来の配列が同時に解析される。
複数の遺伝子座の同時解析は、並行反応において、または個別の反応を1つの多重反応、たとえば数種類の増幅プライマーが同一反応溶液中に存在するゲノムPCRに組み合わせることにより、実施できる。ある態様において、本発明の方法は、試料中のレシピエントおよびドナーHLA対立遺伝子の定量検出を可能にする配列決定工程を含む。
この態様において、本方法はクローン解析によって可能となる精度を利用する;レシピエントの血漿または血液中の総DNAのうちわずかな割合(数パーセント)がドナーに由来するにすぎないと予想されるからである。適切な1方法はクローン配列決定による“ディープシーケンシング”であり、これは大量並列シーケンシング(MPS)または次世代シーケンシング(NGS)としても知られている。次世代シーケンシング方法は数百の単一DNA分子を並行してクローン増幅させる。各クローン集団を次いで個別に配列決定する。時にはNGS(MPS)方法はクローン配列決定と呼ばれる。技術の進歩によって、はるかに長い、最大250以上のヌクレオチド、より最近では最大700ヌクレオチドの
配列読取りが可能になった。しかし、健康な個体の血漿中の無細胞DNAは短いフラグメントで存在し、大部分は150塩基対を超えない長さである(参照:WO2013060762)。そのような短いターゲット配列については、既存の配列決定技術の粗雑な性能が確認される。
ある態様において、本発明方法のディープシーケンシング工程は任意選択的なターゲット濃縮工程を含む。ある態様において、ターゲット濃縮工程は増幅工程を含む。他の態様において、他のターゲット濃縮方法、たとえばライブラリーベースまたはプローブベースのターゲット濃縮方法を用いる;たとえば、U.S. Patent No. 7,867,703または8,383,338に記載。少なくとも1ラウンドの増幅、たとえば第1ラウンドは、当技術分野で既知のいずれかの方法により実施できる。ある態様において、1ラウンドより多い、たとえば2ラウンドの増幅を実施する。この態様の変法において、後続ラウンドの増幅、たとえばPCRによる増幅は同一プライマーを用いて実施される。この態様の他の変法において、プライマーはHLA配列内へ3’方向にさらに伸びることによって(ネスティッドプライマー(nested primer))、あるいは5’末端に追加配列、たとえば非HLA配列をもつことに
よって異なる。
ある態様において、濃縮したターゲットを当技術分野で既知のいずれか適切な方法によりクローン増幅する。ある態様において、クローン増幅は、U.S. App. Ser. No. 12/245,666に詳細に記載されたエマルジョンPCRを含む。簡単に述べると、エマルジョンPC
Rに際して、前ラウンドの増幅からのアンプリコンを、そのアンプリコンにハイブリダイズする(たとえば、前ラウンドの増幅に用いたプライマーのアダプター領域にハイブリダイズすることにより)ことができるオリゴヌクレオチドにコンジュゲートした固相(たとえば、ビーズ)と接触させる。その結果、ビーズはビーズ上に存在するアダプター領域にハイブリダイズした状態でアニールしたアンプリコンを保有する。ビーズを次いで水溶液に懸濁し、油を添加してエマルジョンを調製する。各ビーズはクローンラウンドの増幅を実施するために必要なすべての試薬を収容した、油封入されたマイクロドロップレット中に懸濁した状態になる。各マイクロドロップレットは増幅反応のための反応チャンバーを内封している。この態様の変法において、2タイプのビーズを用いる:1タイプはアンプリコンの二本鎖のうちのひとつにハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドにコンジュゲートしている;第2タイプはアンプリコンの他方の鎖にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドにコンジュゲートしている。他の態様において、クローン増幅は二次元表面ベースの(たとえば、スライドベースの)増幅を含む;たとえば、U.S.
Pat. No. 7,835,871、8,244,479、8,315,817および8,412,467に記載。一般に、入手可能なあるいは入手可能になるであろうクローン増幅方法はいずれも本発明の範囲に含まれる。
ある態様において、レシピエントの血漿試料におけるドナーDNAの存在および量を決定するために用いるクローン法はデジタルドロップレットPCRである。デジタルドロップレットPCR(ddPCR)は、きわめて低い濃度ですら試料中のターゲット核酸の絶対測定を可能にする。ddPCR法は、デジタル希釈またはドロップレット作製、PCR増幅、検出、および(任意選択的に)解析の工程を含む。ドロップレット作製工程は、それぞれが核酸増幅の実施に必要な試薬を収容した複数の個別反応溶液(ドロップレット)の作製を含む。PCR増幅工程は、ドロップレット(または、ドロップレットを沈着させた、より大きな反応溶液)に、核酸ターゲットを増幅してアンプリコンを作製するのに適したサーモサイクリング条件を施すことを含む。検出工程は、アンプリコンを含むかまたは含まないドロップレット(または、ドロップレットを沈着させた、より大きな反応溶液)の同定を含む。解析工程は、たとえば試料中のターゲット核酸の濃度、絶対量または相対量(他のターゲットに対比したもの)が得られる定量を含む。
ddPCR工程は手動で(すなわち、一般的なデバイスを用いて)、あるいは専門化さ
れたデバイス、たとえばBio−Rad Labs.(カリフォルニア州ハーキュリーズ)もしくはRainDance Tech.(マサチュセッツ州ビレリカ)から入手できるddPCRデバイス、または入手できるかもしくは入手できるようになるであろう同様なデバイスを用いて実施できる。ある態様において、全ddPCR工程を専門化されたデバイスで実施する。他の態様において、1以上の工程、たとえばデジタル希釈、サーモサイクリング、検出および解析を、たとえば手動または自動のジェネリックなピペッティングデバイス、サーモサイクラー、電気泳動デバイスなどから選択されるジェネリックなデバイスを用いて実施する。
ddPCR生成物の検出は、核酸を検出するためのいずれかのジェネリックまたは配列特異的な手段により実施できる。検出は反応溶液内で、または電気泳動もしくはクロマトグラフィーなどの追加工程の後に行なうことができる。検出は増幅中に(リアルタイムPCR)または増幅終了後に(エンドポイントPCR)行なうことができる。検出可能な標識をPCR試薬、たとえばプライマーまたはプローブにコンジュゲートさせることができる。用いる標識は、分光分析、光化学、生化学、免疫化学、化学その他の手法により検出できる。具体的には、有用な標識には下記のものが含まれる:放射性同位体、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(ELISAに一般に用いられるもの)、ハプテン、およびそれについて抗血清またはモノクローナル抗体が得られるタンパク質。標識されたPCR試薬の代わりとして、PCR後に、別個の標識試薬、たとえば配列特異的標識プローブを用いて検出を実施できる。あるいは、非特異的的な核酸検出方法、たとえば電気泳動に続く染色を使用できる。
配列決定法とは異なり、本明細書に開示するddPCRベースの方法は、ドナーとレシピエントの間でHLA遺伝子座が情報価値をもつ(すなわち、多型性である)知識を利用する。ある態様において、本方法はドナーおよびレシピエントを遺伝子型判定して情報価値のあるHLA遺伝子座を同定する第1工程を含む。そのような情報を入手できれば、単一セットのPCR試薬を用いて、情報価値があると同定されたHLA遺伝子座をレシピエントの血漿試料においてターゲティングすることができる。あるいは、ドナーの情報なしに、HLA−A、HLA−B、HLA−C、DRB1、DRB3、DRB4、DRB5、DQA1、DQB1、DPA1、およびDPB1から選択される1以上の遺伝子座を用いて、ドナーとレシピエントの間で少なくとも1つの遺伝子座が多型であってドナーDNAが検出されることを期待して、レシピエントの試料をddPCR解析することができる。
本発明の方法におけるクローン解析は、HLA遺伝子HLA−A、HLA−B、HLA−C、DRB1、DRB3、DRB4、DRB5、DQA1、DQB1、DPA1、およびDPB1の配列の一部をターゲティングする(すなわち、特異的にハイブリダイズして増幅することができる)プライマーの使用を含む。ある態様において、プライマーはHLA遺伝子の特定のエキソンまたはイントロンをターゲティングする:たとえば、DQA1:エキソン2;DQB1:エキソン2および3;DPA1:エキソン2;DPB1:エキソン2;DRB1:エキソン2、DRB3:エキソン2;DRB4:エキソン2;ならびにDRB5:エキソン2。他の態様において、一対のプライマーがエキソン配列とイントロン配列の組合わせをターゲティングする。ある態様において、表1に挙げる1以上のプライマーを用いる。表1に示すように、あるプライマーは遺伝子特異的であり、すなわち1種類のHLA遺伝子のみから配列を増幅することができる。他のプライマーは一般的なものであり、すなわち1種類より多いHLA遺伝子から配列を増幅させることができる。
一般に、HLAプライマーはHLAエキソン全体の配列を増幅および検出することを目標とする。ペプチド結合溝をコードするHLAエキソンの平均サイズは、約270塩基対である。したがって、一般的なHLA遺伝子型判定アッセイは約250塩基対のアンプリコンを伴なう(Bentley, G., et al., (2009) High resolution, high throughput HLA ge
notyping by next-generation sequencing, Tissue Antigens, 74:393)。これと対照的に(血液または血漿中にみられるDNAはフラグメント化しているという性質のため)、本発明におけるプライマーは150塩基対より長くないフラグメントの配列を増幅および検出することを目標とする。本発明に用いるプライマーは、短い無細胞DNAを増幅する能力と、HLA遺伝子の情報価値のある(すなわち、最も多型性である)領域をターゲティングする能力を独特に兼ね備えている。ある態様において、本発明は、表1に挙げるHLAハイブリダイゼーション領域をもつ少なくとも1つのプライマーを含むプライマーを用いて実施される。
Figure 0006302048
S=CまたはG。プライマー試料は、指示した位置にCまたはGを含む等量のオリゴヌクレオチドの混合物を含有する
クローン配列決定のある態様において、アンプリコンを塩基挿入法(base-incorporation method)、たとえばパイロシーケンシング法(pyrosequencing method) (U.S. Pat. No. 6,274,320、6,258,568および6,210,891);水素イオン検出法(ISFET)(たとえば、U.S. Pat. No. 8,262,900)、または色素−ターミネーター検出法(U.S. Pat. No. 7,835,87
1、8,244,479、8,315,817および8,412,467)により配列決定する。
本発明の方法により作製したHLA配列決定データは、個々のDNA分子のHLA配列を含む。本発明の方法に用いた一般的なNGS機器(たとえば、GSファミリー,454
Life Sciences,コネチカット州ブランフォード;ION PROTON(登録商標)およびPGM(商標),Life Technologies,ニューヨーク州グランドアイランド;HISEQ(登録商標)およびMISEQ(登録商標),Illumina,カリフォルニア州サンディエゴ)は、試料中に存在する各配列、たとえば試料中に存在する同一遺伝子座における各HLA対立遺伝子配列を定量および検出できるデータ解析モジュールを含む。ドナーおよびレシピエントの対立遺伝子配列に対応する読みの数を次いで計数して、試料中のドナー対立遺伝子の存在および量を決定し、それにより移植片拒絶または傷害を検出する。
コンピューター処理工程は一般に、ソフトウェアプログラムの機能を実行できるコンピューターにより実施される。本発明は、クローン配列決定により作製された個々の核酸配列の読みを解析するために入手できるかまたは入手できるようになるであろういずれか適切なソフトウェアを用いて実施できる。ソフトウェアは、HLA配列の解析およびHLA遺伝子型の割当てに独特に適した特定の特徴をもつことができる。たとえば、ソフトウェアは試料から得られた配列の読みを既知のHLA対立遺伝子のデータベースと比較することができる。そのようなデータベースの一例は、European Molecular Biology Laboratory(EMBL)が管理しているIMGT/HLA配列データベースである;参照:Robinson et al. (2003) IMGT/HLA and IMGT/MHC: sequence databases for the study of the major histocompatibility complex, Nucleic Acids Research, 31:311。HLA配列の読
みを解析するための一般的なソフトウェアは、試料中に存在する読みのうち多数グループを同定する。一般的なヒト試料には、検査した各HLA配列につき4以下のグループの配列読み、すなわち同一遺伝子座の2つのHLA対立遺伝子それぞれについてフォワード読みおよびリバース読みが存在する(試料がホモ接合個体に由来するものであれば、2つの配列のみが存在するであろう)。本発明の状況において、ソフトウェア(プレプログラミングされたもの、またはユーザーインターフェースを通してユーザーが入力したもの)は、第3およびおそらく第4の対立遺伝子、すなわち試料中に存在する同一遺伝子座のドナーHLA対立遺伝子を同定する追加機能を行なう。ソフトウェア(プレプログラミングされたもの、またはユーザーインターフェースを通してユーザーが入力したもの)は、低濃度(一般に1%〜5%)で存在する少数のドナー対立遺伝子を、たとえばPCR誤取込み、配列決定エラー、関連の偽遺伝子、試料中の微量の混在DNAなどによるアーチファクトからユーザーが区別できるものでなければならない;これらは一般にドナー対立遺伝子より低い濃度、たとえば≪0.5%で存在する。
ある態様において、ソフトウェアは配列の読みをHLA配列データベースと比較し、2つ(または、ホモ接合レシピエントの場合は1つ)の最も多量に存在する配列を特定のHLA遺伝子座におけるレシピエントの対立遺伝子として同定する。本発明の範囲を限定するためではなく例示にすぎないが、Conexio HLA遺伝子型判定ソフトウェア(Conexio Genomics、Ltd.、オーストラリア、パース)は、アラインさせた連結配列(consolidated sequence)の読みを特定のアンプリコン(たとえば、DQ
B1 エキソン2)についての基準配列と比較し、観測された配列の読みをIMGT/HLA配列データベースと比較する。そのアンプリコンに対応するすべての読みがDQB1
エキソン2“ビン(bin)”に選別され、そのソフトウェアはいずれの1つの試料につい
ても2つの対立遺伝子配列のみ(2つのフォワード読みおよび2つのリバース読み)があると仮定する。これらの配列を“マスターレイヤー(Master Layer)”に選別し、遺伝子型割当てに用いる。人工物または混在物に対応する他のすべての配列の読み(一般に真の対立遺伝子よりはるかに少量存在する)を、“フェイルドレイヤー(Failed Layer)”に選別
し、遺伝子型割当てには用いない。
本発明方法は、試料中に存在する1より多い遺伝子型、すなわち2より多い対立遺伝子を検出する必要がある。ある態様において、ソフトウェア(プレプログラミングされたもの、またはユーザーインターフェースを通してユーザーが入力したもの)は、多数成分および少数成分を同定して、あるアンプリコン、たとえばDQB1遺伝子座に対応する異なる対立遺伝子グループを表わす複数の“ビン”内へ選別する。たとえば、DQB1 エキソン2について1つの“ビン”だけがあるのではなく、本方法はDQB1遺伝子座における複数の対立遺伝子について複数の“ビン”(たとえば、DQB101:01、02:01、03:01、など)を作成することを含む。ある態様において、2より多い、たとえば3、4、5、6つのビンを作成する。HLAタイプの少数成分に対応する配列は、適宜なビンに選別される。ノイズ(すなわち、PCRおよび配列決定のエラー、偽遺伝子など)は、やはり一般に各ビンについてフェイルドレイヤーに選別される。この工程は、対立遺伝子の多数成分(レシピエントの対立遺伝子)の迅速同定、および少数成分(ドナーの対立遺伝子)に対応する読みの同定を可能にする。特に、この方法はドナーおよびレシピエントの遺伝子型が未知である場合ですらドナー対立遺伝子の同定に適切である。ある態様において、ドナーおよびレシピエントの遺伝子型は既知である。そのような態様においては、特定のドナーおよびレシピエントの対立遺伝子を同定および計数し、それらとは異なるすべての読みを“フェイルド(failed)”読みとして廃棄するように、ソフトウェアを改変することができる。
クローン配列決定のある態様において、本方法は、たとえばPCR誤取込み、配列決定エラー、関連の偽遺伝子、試料中の微少な混在DNAなどによるアーチファクトから生じるエラーを最小限に抑える工程を含む。PCRまたは配列決定のエラーが対立遺伝子を他の既知のHLA対立遺伝子に“変換する”可能性がある。この事象は稀である、すなわちドナー対立遺伝子の頻度よりはるかに低い頻度であると予想されるが、ある態様において、本発明の方法はそのようなエラーを最小限に抑える工程を含む。たとえば本方法は、強い連鎖不平衡状態にある遺伝子、たとえばDQA1およびDQB1について、2つのアンプリコンの解析を含むことができる。エラーが多数の対立遺伝子をDQB1について既知の非レシピエント対立遺伝子に対応する配列に変換したとすれば、ランダムエラーが同様にレシピエントのDQA1対立遺伝子を人工的なDQB1対立遺伝子と連鎖不平衡状態にあるDQA1対立遺伝子に変換するという可能性はきわめて低い。
1態様において、本発明は、レシピエントの血液または血漿試料においてドナーHLA核酸を検出し、かつ場合により定量することにより、移植片拒絶または傷害を検出する方法である。本発明はさらに、レシピエントの血液または血漿試料においてドナーHLA核酸を定量または定量検出することにより、移植片拒絶をモニタリングし(すなわち、変化を検出し)、ドナー核酸の増加が検出されれば移植片拒絶の発症または進行と診断することを含む。本方法は、場合により、少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子を定量検出し、同一遺伝子座における少なくとも1つのレシピエントHLA対立遺伝子を定量検出し;ドナーおよびレシピエント対立遺伝子の量を用いて試料中のドナーDNAの割合を決定し、あるいはドナーDNAの割合が特定の閾値に達したかまたはそれを超えたかを判定し、それにより移植片拒絶を検出することを含む。閾値は、移植片拒絶を伴なう、および伴なわない、統計的に有意数の移植片レシピエントを探索し、移植片レシピエントの血液または血漿における移植成功と相関するドナー核酸の割合について最大値を決定することによって実験的に決定できる。ある態様において、少なくとも1つのHLA対立遺伝子はHLA−A、HLA−B、HLA−C、DRB1、DRB3、DRB4、DRB5、DQA1、DQB1、DPA1、およびDPB1対立遺伝子から選択され、特に、ある態様において、対立遺伝子はDQA1:エキソン2;DQB1:エキソン2および3;DPA1:エキソン2;DPB1:エキソン2;DRB1:エキソン2、DRB3:エキソン2;D
RB4:エキソン2;ならびにDRB5:エキソン2、またはこれらの遺伝子に由来するイントロン配列、もしくはエキソン配列とイントロン配列の組合わせから選択される配列を含む。ある態様において、定量検出はクローン配列決定を含む。ある態様において、本方法は配列決定の前にターゲット濃縮工程を含む。この態様の変法において、濃縮はDNA増幅により実施される。この態様の他の変法において、濃縮はターゲット捕獲により実施される。ddPCRを用いる場合、決定工程は、同一遺伝子座におけるレシピエントのHLA対立遺伝子(単数または複数)の濃度に対するドナーHLA対立遺伝子(単数または複数)の濃度の比を計算することを含む。
本発明を単一の技術または機器に限定するのではなく例示にすぎないが、本方法の態様は下記を含めたGSファミリーの配列決定機器を用いて後記のように実施できる:GS FLX(登録商標)、GS FLX+(登録商標)、GS FLX TITANIUM(登録商標)またはGS Junior(登録商標)(454 Life Sciences,コネチカット州ブランフォード)。ドロップレットデジタルPCRは、後記の実施例に記載するようにQuanta Life機器(Bio−Rad Labs.,カリフォルニア州ハーキュリーズ)を用いて実施できる。核酸のデジタル解析またはクローン解析のために入手できるかまたは入手できるようになるであろう他の機器およびシステムも、本発明において考慮される。
1態様において、ターゲット濃縮工程および配列決定工程は下記を含む:(a)第1増幅反応において、多型部位を含む1以上のHLA−A、HLA−B、HLA−C、DRB1、DRB3、DRB4、DRB5、DQA1、DQB1、DPA1、およびDPB1遺伝子のエキソンまたはイントロンを、5’から3’プライム方向に挙げる下記を含む増幅プライマーを用いて増幅する:アプタマー配列、およびHLAハイブリダイゼーション配列;(b)第2増幅反応において、エマルジョンPCRを実施する;(c)工程(b)で得られた各アンプリコンの配列を、パイロシーケンシング法を用いて決定する;(d)工程(c)で決定したHLAアンプリコンの配列を既知のHLA配列と比較することにより、HLA対立遺伝子をレシピエントまたはドナーに割り当てて、どのHLA対立遺伝子がレシピエントの血液または血漿中に存在するかを判定する;(e)1以上のHLA対立遺伝子について、工程(c)で得られた対立遺伝子それぞれに対応するドナーおよびレシピエントの配列決定の読みの数を定量する;そして(f)工程(e)で得られた量を用いて、レシピエントの読みに対する、または読みの総数からバックグラウンドを差し引いたものに対する、または読みの総数に対する、ドナーの読みの比を計算することにより、レシピエントの血液または血漿中に存在するドナーDNAの割合を決定する。
この態様の変法において、本方法は工程(a)の後に多数の個体に由来するアンプリコンをプールし、そして配列決定工程(b)〜(c)を多数の個体に由来するアンプリコンのプールについて実施することを含む。この変法において、増幅プライマーはさらに個体識別タグを含み、これは多重識別(multiplex identification)(MID)タグとしても知られる。
他の態様において、工程(b)〜(e)またはそれらと均等な工程は、入手できるいずれかのディープシーケンシングの手法および機器(すなわち、デジタル配列読出しが可能な手法および機器)を用いて実施される。限定ではなく、機器の例には、GSファミリーの機器(454 Life Sciences,コネチカット州ブランフォード);ION PROTON(登録商標)ならびにPGM(商標)(Life Technologies,ニューヨーク州グランドアイランド);HISEQ(登録商標)およびMISEQ(登録商標)(Illumina,カリフォルニア州サンディエゴ)、またはそれを改良および改変したものが含まれる。
ある態様において、移植片拒絶の発症または進行の検出は、ドナー核酸の割合を定量することを含む。割合の決定は、少なくとも1つのドナー対立遺伝子に対応する読みを、その試料から得られた同一遺伝子座におけるすべての読みの和と、または同一遺伝子座における少なくとも1つのレシピエントの対立遺伝子に対応する読みと、比較することを含む。理解しやすくするために、本明細書中で用いる用語“読み”は、レシピエントまたはドナーのHLA対立遺伝子が検出された配列決定の読みと他のいずれかのクローン法による読み(たとえば、デジタルドロップレットPCRにおけるドロップレット)の両方を包含する。ある態様において、比較工程は、その試料から得られた同一遺伝子座におけるすべての読みの和に対する、単一のドナー対立遺伝子に対応する読みの比の2×を計算することを含む。他の態様において、比較工程は、その試料から得られた同一遺伝子座における単一のレシピエント対立遺伝子に対応する読みに対する、単一のドナー対立遺伝子に対応する読みの比を計算することである。1もしくは2つのドナー対立遺伝子、および1もしくは2つのレシピエント対立遺伝子、またはすべての対立遺伝子を用いる同様な比が、遺伝学技術分野の専門家に容易に認識されるであろう。たとえば、1態様において、(同一遺伝子座に4つの異なる対立遺伝子をもつヘテロ接合性のドナーおよびレシピエントを想定して)、レシピエント対立遺伝子の1つについての読みの数がRであり、ドナー対立遺伝子の1つについての読みの数がDであれば、ドナー割合(donor fraction)(DF)は式1に従って決定できる:
DF=D/(R+D) 式1
他の態様において、それぞれの対立遺伝子についての読みをフォワードとリバースの配列決定読みに分割することができる。その場合、ドナー割合(DF)をリバース割合とフォワード割合の平均として式2に従って決定することができる:
DF=D/(R+D) DF=D/(R+D
DF=(DF+DF)/2 式2
同一遺伝子座における1または2つのドナー対立遺伝子D(またはD1、D2)および1または2つのレシピエント対立遺伝子R(またはR1、R2)(または、ホモ接合性個体の場合は単一の対立遺伝子)を用いる同様な任意数の式を遺伝学の専門家は考案することができ、それらは本発明の範囲内である。
さらに他の態様において、幾つかのHLA遺伝子座を解析することができる。それぞれの遺伝子座からの読みを用いて、式1もしくは式2または類似の式に従ってドナーDNAの割合を計算することができ、それぞれの遺伝子座について得られたドナー割合を平均してドナー割合の推定値を求めることができる。
他の態様において、本発明は、HLAクラスIおよびクラスII遺伝子座のハイスループット遺伝子型判定を用いて、重症複合型免疫不全(Severe Combined Immunodeficiency)(SCID)小児の血液中の母性細胞の比率を推定する方法である。この態様の変法において、本方法は、大量並列シーケンシング(たとえば、下記を含むGSファミリーの配列決定機器を使用;GS FLX(登録商標)、GS FLX+(登録商標)、GS FLX TITANIUM(登録商標)またはGS Junior(登録商標)(454 Life Sciences,コネチカット州ブランフォード))、ならびにHLAクラスIおよびクラスII遺伝子座の高分解ハイスループット遺伝子型判定に適したソフトウェア(たとえば、Conexio)の使用を含む。この態様のさらなる変法において、非遺伝性の母性対立遺伝子に対応するHLA−C対立遺伝子配列の読みを計数することにより、SCID小児の血液を解析して母性細胞の割合を推定する。
実施例1:次世代シーケンシングによるレシピエント血漿中のドナーDNAの検出
試料採集およびDNA精製
腎移植片のヒトレシピエントから試料を採集した。DNAを下記に従って調製した。全
血を血漿調製チューブ(PPT)に採集し、2時間以内に処理した。血漿の分離を、BD
Vacutainer(登録商標)PPT(商標)血漿調製チューブまたはBD Vacutainer(登録商標)CPT(商標)細胞調製チューブ(Becton Dickinson,Inc.,ニュージャージー州フランクリンレイクス)のいずれかについての製品添付文書に従ってクエン酸ナトリウムを用いて実施し、次いで凍結保存した。
8000gで5分間の遠心により融解した後、血漿からDNAを調製した。次いで上清を分離し、16000gでさらに5分間遠心した。2mLの血漿からのDNA抽出を、Roche High Pure Viral Nucleic Acid Large Volume Kit(Roche Applied Science,Inc.,インディアナ州インディアナポリス)を用いて実施した。DNAを約34μlの水で溶離し、Quibit HS DNAキット(Molecular Probes,Inc.,オレゴン州ユージーン)により定量した。
454 GS FLX(登録商標)による血漿からの無細胞DNAのディープシーケンシング
個別の25μl反応において、1〜10ngのDNA鋳型ならびに各10pmoleのフォワードおよびリバースプライマー(表1)、10mMのTris−HCl,pH8.3、50mMのKCl、1.5mMのMgCl、各150μMのdA、dC、dGおよびdUTP、グリセロール10% w/v、ならびにAmpliTaq Gold(登録商標)DNAポリメラーゼを用いてPCR増幅を実施した。サーマルサイクリング条件は下記のとおりであった:95℃−10分;31サイクルの95℃−15秒,60℃−45秒,72℃−15秒;72℃−5分;ABI GeneAmp(登録商標)PCR System 9700(Applied Biosystems,Inc.,カリフォルニア州フォスターシティー)。
GS FLX(登録商標)機器に用いたプライマーは5’−3’方向に下記の配置をもっていた:アダプター−キータグ−MID−HLAハイブリダイゼーション配列。アダプター、キータグおよびMID配列は、製造業者の推奨に従って設計された。
アンプリコンのクリーンアップ、定量、希釈およびプーリングを下記に従って実施した。短い非特異的的生成物およびプライマー二量体人工生成物を、AMPURE(登録商標)システム(Agencourt Bioscience Corp.,マサチュセッツ州ビバリー)により、454 Life Sciences GS GType HLA
MRおよびHRキット(Roche Applied Science,インディアナ州インディアナポリス)に記載されたクリーンアップのためのプロトコルに従って、アンプリコンから除去した。精製アンプリコンのアリコートを、96ウェルE−GEL(登録商標)(Life Technologies,カリフォルニア州カールズバッド)における電気泳動によってさらに評価した。プライマー二量体がみられた場合、AMPure工程を反復し、生成物をE−GEL(登録商標)により再評価した。精製アンプリコンを次いでQUANT−IT(商標) PICOGREEN(登録商標)アッセイ(Life
Technologies,カリフォルニア州カールズバッド)により、マイクロプレート分光蛍光光度計で定量した。8つの標準品は0ng/μlから50ng/μlまでの範囲のDNA濃度であった。PICOGREEN(登録商標)により検出できなかったアンプリコンはいずれも0.1ng/μlの濃度に割り当て(希釈計算の実施を可能にするために)、その後の工程を続けた。アンプリコンを1×10分子/μlに希釈した。454 PicoTiter Plate(PTP)の単一領域における配列決定のために予定したすべてのアンプリコンがプールされるようにアンプリコンのプールを作製した;各アンプリコンがほぼ目的とする読取り深さ(一般に、アンプリコン当たり40,000の読み)を与えるようにプールを作製した。
エマルジョンPCR、ビーズ回収およびパイロシーケンシングを下記に従って実施した。エマルジョンPCR(emPCR)、DNA含有ビーズの濃縮、およびパイロシーケンシングは、GS FLX(登録商標)機器(454 Life Sciences,コネチカット州ブランフォード)で、GS FLX TITANIUM(登録商標)Series manuals:emPCR Method Manual − LibA MV(2010年1月);Sequencing Method Manual(2010年5月)についての4領域PTPに基づいて、ただし下記の点を別として実施された:1)emPCRに際して、アンプリコンプールをビーズ当たり0.4〜0.5コピーで用いた、2)emPCRプライマーを指定の0.5倍の濃度で用いた、3)REMeモジュール(Roche Applied Science,インディアナ州インディアナポリス)の使用によってMultiProbe HTリキッドハンドラー(Perkin Elmer,マサチュセッツ州ウォルサム)で、ビーズ濃縮を自動化した、および4)配列決定のために、推奨された濃縮DNAビーズ装填量の60%をPTPプレートに分配した。
454 AVA(登録商標)ソフトウェアのコンセンサス機能を用いて配列を連結した。Microsoft Windows(登録商標)ベースのコンピューターにインストールしたASSIGN ATF(登録商標)454ソフトウェア(v 34)(Conexio Genomics,Ltd.,オーストラリア、パース)を配列の解析に用いた。このソフトウェアは対立遺伝子をそれぞれの配列の読みに割り当て、各対立遺伝子に対応する配列の読みの数を計算した。結果を表2に示す。
MiSeq(登録商標)機器を用いる血漿からの無細胞DNAのディープシーケンシング
MI−SEQ(登録商標)機器に用いたプライマーは5’−3’方向に下記の配置をもっていた:MiSeqタグ−454 MID配列−HLAハイブリダイゼーション配列(表1)。MiSeq(登録商標)機器(Illumina,Inc.,カリフォルニア州サンディエゴ)配列決定用のアンプリコン調製は、PCR増幅の前に任意選択的に予備増幅操作を含む。任意選択的な予備増幅は下記に従って行なわれた:25μlの反応物は、1〜10ngのDNA鋳型および各10pmoleのフォワードおよびリバースプライマー、10mMのTris−HCl,pH8.3、50mMのKCl、1.5mMのMgCl、各150μMのdA、dC、dGおよびdUTP、グリセロール10% w/v、ならびにAmpliTaq Gold(登録商標)DNAポリメラーゼを含有していた。サーマルサイクリング条件は下記のとおりであった:95℃−10分;31サイクルの95℃−15秒,60℃−45秒,72℃−15秒”;72℃−5分;ABI GeneAmp(登録商標)PCR System 9700。得られた予備増幅試料それぞれから4μlアリコートをDNA鋳型としてPCR増幅反応に導入した。条件はこのセクションの始めに記載したものと同じであった。
アンプリコンのクリーンアップおよび定量を製造業者の推奨に従って実施した。各アンプリコンを10mM Tris−HCl,pH8.3、0.1% Tween 20緩衝液で0.3ng/μlの濃度に標準化した後、5’−3’方向にMiSeqアダプター、MiSeqインデックスおよびMiSeqタグを含むプライマーを用いて、限定PCRサイクル工程(95℃−30秒;10サイクルの95℃−15秒,63℃−30秒,72℃−45秒;72℃−5分)を行なって、Miseqインデックスおよび捕獲配列を加えた。2回目のアンプリコンクリーンアップ、定量および標準化(0.3ng/μl)を実施した後、MiSeq(登録商標)機器にプーリングおよび装填した。得られた配列ファイルにおいて、自社開発したバイオインフォーマティクスツールを用いて読みの両端を配列から“トリミング”した。Conexio GenomicsからのASSIGN ATF(登録商標)454ソフトウェア(v 34)を配列解析に用いた。
Figure 0006302048
総配列読みは、同一遺伝子座におけるすべてのドナーおよびレシピエント対立遺伝子の和である
2つの対立遺伝子のうち1つだけが検出されるので、ドナー%は実測値の2倍である
第2のドナー対立遺伝子はレシピエント対立遺伝子の1つと同一であるのでアッセイできなかった
第2のドナー対立遺伝子はサンプリング変動性のため検出できなかった
Figure 0006302048
総配列読みは、同一遺伝子座におけるすべてのドナーおよびレシピエント対立遺伝子の和である
2つの対立遺伝子のうち1つだけが検出されるので、ドナー%は実測値の2倍である
第2のドナー対立遺伝子はサンプリング変動性のため検出できなかった
Figure 0006302048
総配列読みは、同一遺伝子座におけるすべてのドナーおよびレシピエント対立遺伝子の和である
第2のドナー対立遺伝子はレシピエント対立遺伝子の1つと同一であるのでアッセイできなかった
それぞれの場合、DPB1遺伝子座はドナー−レシピエント対について情報価値があった。これらの結果は、急性または慢性の移植片拒絶を生じているレシピエントの血漿においてドナーHLA配列を検出できることを証明する。移植に成功したレシピエントの血漿にはドナーDNAを検出できない。
実施例2:臨床試料を模倣した細胞系ブレンドにおける“ドナー”DNAのドロップレットデジタルPCRによる検出
臨床試料に近似する試料は2種類の細胞系から単離した核酸のブレンドであり、それはレシピエントDNAと少量(1%)のドナーDNAの混合物を再現していた。“レシピエント”細胞系はEDBUであり、“ドナー”細胞系はOLGAであった。混合物は1%のOLGA/99%のEDBUを含有していた。これらの細胞系は後記の2種類のプローブにより区別できる異なるDPB1遺伝子型をもつ。実験条件下で各プローブはターゲット細胞系の両方の対立遺伝子に特異的にハイブリダイズし、他方の細胞系の対立遺伝子にはハイブリダイズしない。
ddPCRセットアップを、QX100(商標)ドロップレット作製装置(BioRad Labs.,カリフォルニア州ハーキュリーズ)についての製造業者の指示に従って行なった。SEQ ID NO:6および8(表1)を用いてDPB1(検査試料中の情報価値のあるHLA遺伝子座)を増幅した。各試料を二重試験反応で操作した。9uLの試料をBioRad Droplet PCR Supermix、250nMの各プローブ、および900nMの各プライマー、および4単位のウラシル−N−グリコシレラーゼ(UNG)と混和した;最終20μLのPCR体積。最終反応混合物をドロップレット作製装置チップの単一ウェル内へ、並行ウェル内の70uLのドロップレット作製用の油と一緒に移した。ドロップレット作製が完了すると、油に懸濁している生成ドロップレット40uLを96ウェルプレートへ移した。次いでドロップレットを下記のサーマルサイクリングプロフィールで循環させた:50℃で5分(UNG工程)、続いて95℃で10分の熱活性化工程、そして40サイクルの94℃(30秒)〜57℃(1分)、そして98℃に10分間保持。各ドロップレットについてのエンドポイント蛍光を、BioRad
QX100(商標)ドロップレットリーダーを用いてFAMおよびVICの両チャンネルで読み取った。VICプローブは両方の“ドナー”対立遺伝子を検出し、一方、FAMプローブは両方の“レシピエント”対立遺伝子を検出する。
VIC陽性信号を総信号(VIC陽性+FAM陽性)で割ることにより、ドナーDNAのパーセントを決定した。レシピエントの試料におけるいずれかのドナー対立遺伝子の検出は、レシピエントの血流中の循環型ドナーDNAの指標となる。表5のデータは、このddPCRアッセイがレシピエントDNAのバックグラウンドにおいてドナー対立遺伝子を検出できること、および移植片レシピエントからの臨床血漿試料中のドナーDNAの割合を決定できることを示す。観察された“ドナー”配列の割合は1.04%であり、予測した1%という割合に近接していた。
Figure 0006302048
実施例3:母性HLA対立遺伝子の検出によるSCID小児の血液中の母性細胞の検出
454アンプリコン配列決定、ならびにHLAクラスIおよびクラスII遺伝子座の高分解ハイスループット遺伝子型判定のためのConexioソフトウェアを用いる方法をによりSCID小児の血液を解析し、非遺伝性の母性対立遺伝子に対応するHLA−C対立遺伝子配列の読みの計数により母性細胞の比率を推定した。ここに本発明者らは、血漿中のHLA対立遺伝子混合物を定量できるシステムの開発を報告する。
血漿または考案した細胞系混合物に由来するDNAを、HLA DPB1またはDQB1 エキソン2の短い領域(約150bp;血漿中の小さなDNAフラグメントを増幅)をターゲティングするプライマーを用いて増幅した。アンプリコンをエマルジョンPCRによってさらに増幅し、454 GS FLXまたはGS Juniorで配列決定した。改良型Conexio Assign ATF 454ソフトウェアを用いて配列を調べた。このソフトウェアにより、DPB1またはDQB1対立遺伝子それぞれの迅速デジタル解析が可能であった。Illumina MiSeqを用いて同様に混合物を解析した。
改良型Conexioソフトウェアを用いて、混合物中の少数のHLA対立遺伝子を容易に同定し、バックグラウント“ノイズ”、すなわちPCRにより生成する配列または配列決定エラーから分離できた。2種類のヘテロ接合細胞系の混合物において、0.5%の少数の HLA対立遺伝子を1ng(約140の2倍体ゲノム)のDNA入力で検出できた。急性または慢性の拒絶を生じている腎移植片レシピエントからの3/3の血漿試料において、ドナーHLA対立遺伝子がドナー対立遺伝子+レシピエント対立遺伝子全体のうち平均0.6%で検出された。
本発明を特定の例について詳細に記載したが、本発明の範囲内で多様な改変をなしうることは当業者に明らかであろう。したがって、本発明の範囲は本明細書に記載した例によって限定されるべきではなく、提示する特許請求の範囲によって限定される。
なお、以下に出願時の特許請求の範囲の記載を示す。
[請求項1]
レシピエントの血液試料におけるドナー核酸の割合を決定することにより固形臓器の移植片拒絶または傷害を判定する方法であって、下記を含む方法:
(a)レシピエントから血液試料を得る;
(b)少なくとも1つの遺伝子座における少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子の存在について試料を検査する;
(c)ドナーHLA対立遺伝子が検出されれば、移植片拒絶または傷害と診断する。
[請求項2]
さらに、ドナーHLA対立遺伝子の割合を決定し、その割合が前決定した閾値を超えれば移植片拒絶または傷害と診断することを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
決定工程が、試料中に検出された同一遺伝子座におけるすべてのHLA対立遺伝子の量の和に対する少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子の量の比を計算することを含む、請求項2に記載の方法。
[請求項4]
少なくとも1つのドナーおよびレシピエントHLA対立遺伝子が、DQA1,エキソン2;DQB1,エキソン2および3;DPA1,エキソン2;DPB1,エキソン2;DRB1,エキソン2;DRB3,エキソン2;DRB4,エキソン2;ならびにDRB5,エキソン2、またはそれらのHLA遺伝子に由来するイントロン配列、もしくはそれらの遺伝子に由来するエキソン配列とイントロン配列の組合わせから選択される配列を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
[請求項5]
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、HLA対立遺伝子についての検査が配列決定を含み、さらに配列決定の前にターゲット濃縮工程を含む、前記方法。
[請求項6]
配列決定がフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて実施されるクローン増幅工程を含み、各プライマーがアダプター配列およびHLAハイブリダイゼーション配列を含む、請求項5に記載の方法。
[請求項7]
HLA対立遺伝子についての検査が下記の工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法:
(a)フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて増幅させて、HLAアンプリコンを得る工程;
(b)クローン配列決定を実施して、工程(a)で得たHLAアンプリコンの配列を決定する工程;
(c)工程(b)で決定した配列のうち、同一遺伝子座における少なくとも1つのレシピエントHLA対立遺伝子および少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子を同定する工程;
(d)工程(c)で同定したレシピエントHLA配列とドナーHLA配列の数を比較し、それにより試料中のドナー核酸の割合を決定する工程。
[請求項8]
工程(a)または(b)における少なくとも1つのプライマーが表1から選択される、請求項7に記載の方法。
[請求項9]
工程(c)における同定が下記のコンピューター処理工程を含む、請求項7または8に記載の方法:
(a)HLA遺伝子座における配列をHLA配列データベースと比較する工程;
(b)既知のHLA対立遺伝子に対応する複数のビン内に配列を選別する工程;
(c)1または2つの多数配列をレシピエント対立遺伝子として同定する工程;
(d)1または2つの最も代表的な少数配列をドナー対立遺伝子として同定する工程。
[請求項10]
工程(a)において、同一遺伝子座におけるドナーHLA対立遺伝子およびレシピエントHLA対立遺伝子を2、3またはより多数の遺伝子座で検出する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
[請求項11]
2、3またはより多数の遺伝子座におけるドナーおよびレシピエントHLA対立遺伝子を、同一反応液でマルチプレックスPCRによって同時に増幅する、請求項10に記載の方法。
[請求項12]
HLA対立遺伝子を、下記を含む方法により定量的に検出する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法:
(a)試料を、それぞれ0〜約5コピーのターゲットHLA対立遺伝子を含む複数の反応溶液に分割する;
(b)それぞれの反応溶液をターゲットHLA対立遺伝子の存在についてアッセイする;
(c)同一遺伝子座において、ドナーHLA対立遺伝子を含有する反応溶液の数を、レシピエントHLA対立遺伝子を含有する反応溶液の数と比較し、それにより試料中のドナー核酸の割合を決定する。
[請求項13]
さらに、独立して、少なくとも1つのHLA遺伝子座におけるドナーおよびレシピエントについての遺伝子型情報を得ることを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
[請求項14]
レシピエントの血液中のドナーDNAの濃度が閾値レベルを超えているかどうかを決定することにより、移植片レシピエントが移植片拒絶を伴なっているかあるいはそれを発症する可能性があるかを判定する方法であって、ドナーDNAの濃度が下記を含む方法により決定される方法:
(a)レシピエントから血液試料溶液を得る;
(b)その試料溶液中の少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子を定量的に検出する;
(c)ドナーDNAの濃度を測定する;
(d)ドナーDNAの濃度を閾値と比較し、その際、閾値に達しているかまたはそれを超えていればレシピエントは移植片拒絶を伴なっているかあるいはそれを発症する可能性がある。
[請求項15]
少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子が、DQA1,エキソン2;DQB1,エキソン2および3;DPA1,エキソン2;DPB1,エキソン2;DRB1,エキソン2;DRB3,エキソン2;DRB4,エキソン2;ならびにDRB5,エキソン2、またはそれらの遺伝子に由来するエキソン配列とイントロン配列の組合わせから選択される、請求項14に記載の方法。
[請求項16]
工程(a)において、同一遺伝子座におけるドナーHLA対立遺伝子およびレシピエントHLA対立遺伝子を2、3またはより多数の遺伝子座で検出する、請求項14または15に記載の方法。
[請求項17]
レシピエントの血液中のドナーHLA対立遺伝子の割合を定期的に決定することにより、移植片レシピエントを移植片拒絶の発症についてモニタリングし、ドナーDNAの割合の増大が検出されればその患者は移植片拒絶を伴なっているかあるいはそれを発症する可能性があると診断する方法。
[請求項18]
SCID小児の血液中の母性細胞を定量的に検出する方法であって、下記を含む方法:
(a)小児から血液試料を得る;
(b)少なくとも1つの遺伝子座における少なくとも1つの非遺伝性の母性HLA対立遺伝子の存在について試料を検査する;
(c)工程(b)で検出した母性対立遺伝子を定量し、それにより母性細胞を定量的に検出する。

Claims (14)

  1. レシピエントの血液試料におけるドナー核酸の割合を決定することにより固形臓器の移植片拒絶または固形臓器の傷害を判定する方法であって、下記:
    (a)レシピエントの血液試料において、少なくとも1つの遺伝子座における少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子の存在を検査すること;および、
    (b)ドナーHLA対立遺伝子が検出されれば、移植片拒絶または傷害と判定されること、
    を含み、
    ここで、レシピエントの血液試料における、少なくとも1つのドナーおよびレシピエントHLA対立遺伝子が、DPB1,エキソン2の配列を含むものである、
    前記方法。
  2. さらに、ドナーHLA対立遺伝子の割合を決定し、その割合が前決定した閾値を超えれば移植片拒絶または傷害と判定されることを含み、
    ここで、前記閾値が、移植に成功したレシピエントに由来する試料の解析により決定されるものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記決定工程が、試料中に検出された同一遺伝子座におけるすべてのHLA対立遺伝子の量の和に対する少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子の量の比を計算することを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、HLA対立遺伝子についての検査が配列決定を含み、さらに配列決定の前にターゲット濃縮工程を含む、前記方法。
  5. 前記配列決定がフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて実施されるクローン増幅工程を含み、各プライマーがアダプター配列およびHLAハイブリダイゼーション配列を含む、請求項4に記載の方法。
  6. HLA対立遺伝子についての検査が下記の工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法:
    (1)フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて増幅させて、HLAアンプリコンを得る工程;
    (2)クローン配列決定を実施して、工程(1)で得たHLAアンプリコンの配列を決定する工程;
    (3)前記工程(2)で決定した配列のうち、同一遺伝子座における少なくとも1つのレシピエントHLA対立遺伝子および少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子を同定する工程;および、
    (4)前記工程(3)で同定したレシピエントHLA配列とドナーHLA配列の数を比較し、それにより試料中のドナー核酸の割合を決定する工程。
  7. 前記工程(1)における少なくとも1つのプライマーが、SEQ IDs:1〜10および12から選択されるものである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記工程(3)における同定が下記のコンピューター処理工程を含む、請求項6または7に記載の方法:
    (i)HLA遺伝子座における配列をHLA配列データベースと比較する工程;
    (ii)既知のHLA対立遺伝子に対応する複数のビン内に配列を選別する工程;
    (iii)1または2つの多数配列をレシピエント対立遺伝子として同定する工程;および、
    (iv)1または2つの少数配列をドナー対立遺伝子として同定する工程。
  9. 前記工程(1)において、同一遺伝子座におけるドナーHLA対立遺伝子およびレシピエントHLA対立遺伝子を2、3またはより多数の遺伝子座で検出する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 2、3またはより多数の遺伝子座におけるドナーおよびレシピエントHLA対立遺伝子を、同一反応液でマルチプレックスPCRによって同時に増幅する、請求項9に記載の方法。
  11. HLA対立遺伝子を、下記を含む方法により定量的に検出する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法:
    (I)試料を、それぞれ0〜5コピーのターゲットHLA対立遺伝子を含む複数の反応溶液に分割すること;
    (II)それぞれの反応溶液をターゲットHLA対立遺伝子の存在についてアッセイすること;および、
    (III)同一遺伝子座において、ドナーHLA対立遺伝子を含有する反応溶液の数を、レシピエントHLA対立遺伝子を含有する反応溶液の数と比較し、それにより試料中のドナー核酸の割合を決定すること。
  12. さらに、独立して、少なくとも1つのHLA遺伝子座におけるドナーおよびレシピエントについての遺伝子型情報を得ることを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. レシピエントの血液中のドナーDNAの濃度が閾値レベルを超えているかどうかを決定することにより、移植片レシピエントが移植片拒絶を伴なっているかあるいはそれを発症する可能性があるかを判定する方法であって、ドナーDNAの濃度が下記:
    (a)レシピエントの血液試料溶液中の少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子を定量的に検出すること;
    (b)ドナーDNAの濃度を測定すること;および、
    (c)ドナーDNAの濃度を閾値と比較すること、ここで閾値に達しているかまたはそれを超えていればレシピエントは移植片拒絶を伴なっているかあるいはそれを発症する可能性がある、
    を含む方法により決定され、
    ここで、少なくとも1つのドナーHLA対立遺伝子が、DPB1,エキソン2の配列を含むものである、
    前記方法。
  14. 前記工程(a)において、同一遺伝子座におけるドナーHLA対立遺伝子およびレシピエントHLA対立遺伝子を2、3またはより多数の遺伝子座で検出する、請求項13に記載の方法。
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