JP6300833B2 - シミュレーション方法およびその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、アナログ素子を含む検証対象回路を模擬した解析モデルを用いて、アナログ素子の電気的故障時の影響解析を行うシミュレーション方法、およびその装置に関する。
近年、組込みシステムの制御対象となる自動車、飛行機及び医療機器等といったプラントの高機能化と多機能化が進んでいる。
特に、自動車分野では、電気的要素、電子的要素及びソフトウェア的要素から構成される車載安全関連システムを対象とした機能安全規格ISO26262に見られるように、自動車の安全確保が要求されている。ISO26262では、ハードウェアレベル、ソフトウェアレベル、システムレベルにおいて、安全性要求の高い要素に関して、故障注入テストが推奨されている。故障注入テストを利用した安全性評価手法の一つとして、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)が、車載電子制御ユニット(ECU:Electrical Control Unit)の検証に用いられる。FMEAは検証対象システムの構成要素毎に故障モードを定義し、その故障モードがシステム全体に与える影響を解析する手法である。
近年、車載ECUモデルを利用するシミュレーションベースのFMEA手法が提案されている。シミュレーションベースFMEAは試作品作成の必要性がないため、試作コスト削減及び試作期間短縮が期待されている。しかしながら、電子制御ユニットのFMEAは機能安全要求を満たすために、抵抗、キャパシタ及びトランジスタ等の電子部品の短絡、開放及びドリフト故障を対象としており、テストケースが膨大なものとなる。電気的故障を対象としたシミュレーションベースFMEAでは、テストケース毎に検証対象ECUモデル上に故障を模擬した故障電子制御ユニットモデルを構築する必要があり、膨大な記憶領域を必要とした。加えて、これらの作業は、検証者の手作業により実施されることが主である。そのため、試作期間の短縮による著しいFMEA実施期間の短縮は容易に実現できるものではない。従って、故障電子制御ユニットモデルの試作期間を短縮することが強く望まれる。
米国特許出願公開第2006/0041417号明細書
電子部品の開放及び短絡故障を対象としたFMEA手法が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載のFMEAでは、新規に直列又は並列の可変抵抗器を接続することで、シミュレーションを実施する故障電子制御ユニットモデルを構築する。故障毎に、電子制御ユニットモデルの回路トポロジーを変更して、新たに故障時電子制御ユニットモデルを構築しなければならない。
上記課題を解決するために本発明では、
検証する電子制御ユニットモデルと故障注入機構を含む解析モデルと、
前記アナログ素子である電子部品に注入する故障情報を有するテストケースと、を記憶し、
前記テストケースから故障注入命令を生成し、
前記故障注入命令に基づいて、前記故障情報を前記故障注入機構に伝達し、
前記故障注入機構から前記電子制御ユニットモデルを構成する電子部品モデルに、前記故障情報を注入し、
前記解析モデルのシミュレーションを実行することで、
前記検証する電子制御ユニットモデルに対する電気的故障のシミュレーションを行うことを特徴とする。
本発明によれば、故障毎に故障時電子制御ユニットモデルを構築する必要が無く、モデル構築期間の短縮が図れ、検証期間の短縮が期待できる。さらに、故障ごとにモデル構築を必要としないため、シミュレーション実行環境の記憶領域を削減することができる。
本発明の実施形態における、電子制御ユニットに搭載される電子部品の電気的故障時の影響解析を行うシミュレーションシステムの構成図である。 本発明の実施形態における、電子制御ユニットに搭載される電子部品の電気的故障時の影響解析を行うシミュレーションシステム概略機能構成図である。 本発明の実施形態における、ユーザが解析項目を入力するためのユーザインターフェースの一例を示す図である。 本発明の実施形態におけるテストケース生成のフローを示す図である。 本発明の実施形態におけるテストケースの一例を示す図である。 本発明の実施形態のシミュレーションコントローラの一例を示す構成図である。 本発明の実施形態における検証電子制御ユニットモデルの構成図の一例の図である。 ハードウェア記述言語のひとつであるVHDL−AMS言語を用いた際の、周辺回路モデルの記述例の図である。 本発明の実施形態における解析モデル部144の一例の図である。 ハードウェア記述言語のひとつであるVHDL−AMS言語を用いた際の、電子部品モデルの記述例を示す図である。 本発明の実施形態における故障注入機構の一例を示す図である。 本発明の実施形態において、電子部品モデルとしてICモデルを利用する際の解析モデル部の一例を示す図である。 本発明の実施形態における入力端子モジュール、出力端子モジュールの一例を示す図である。 電子制御ユニットの電気的故障時の影響解析を行うシミュレーションシステムのフローを示す図である。
以下、実施例を図面を用いて説明する。
図1は本発明の1実施形態において、電子制御ユニットの電気的故障時の影響解析を行うシミュレーションシステム1の構成図である。図示するように、計算機2は、入力部10、出力部20、通信部11、演算部50の各処理部を備える。さらに、シミュレーションシステム1は、ネットワーク51、外部シミュレーションシステム30と外部計算機40を備えてもよい。
入力部10はキーボードやマウスなどの入力装置、CDやDVDなどの記憶媒体より情報を読み取る読み取り装置などで構成される。
出力部20は、ディスプレイなどの出力装置、CDやDVDの記憶媒体に書き込む書込み装置などで構成される。
記憶部60は、ハードディスク装置などの外部記憶装置により構成される。
演算部50は、中央処理装置(CPU)、メモリーなどで構成されて、記憶部に記憶されている所定のプログラムをメモリーにロードして中央処理装置(CPU)で実行することで各機能を実現する。
通信部11は、インターネットなどの通信ネットワークを介して他のコンピュータと通信する通信装置により構成される。
演算部50は、所定のプログラム実行により、解析項目解釈部100、テストケース生成部110、シミュレーションコントローラ130、電子制御ユニットシミュレーション部140、シミュレーション実行部150、シミュレーション実行インターフェース142、故障注入インターフェース143及びミュレーション結果比較部160の各機能部を備える。
記憶部60は、テストケース記憶部120、解析モデル部144、検証電子制御ユニットモデル部146、シミュレーション結果記憶部147及び評価情報記憶部150を備える。
図2は、本実施例の電子制御ユニットのシミュレーションシステム1の概略機能図を示している。シミュレーションシステム1は、ユーザが解析項目を入力する入力部10、解析項目解釈部100、解析項目から受け取った情報に基づきテストケースを作成するテストケース生成部110、前記テストケースを記憶するテストケース記憶部120、前記テストケース記憶部120からテストケースを受け取り、シミュレーション実行コード及び故障注入コードを生成し、電子制御ユニットシミュレーション部に出力するシミュレーションコントローラ130、前記コードにより電子制御ユニットのシミュレーションを行い、その結果を記憶する電子制御ユニットシミュレーション部140におけるシミュレータ実行部150、正常時のシミュレーション結果と故障時のシミュレーション結果とを比較するシミュレーション結果比較部160と比較結果又はシミュレーション結果を出力する出力部20、前記電子制御ユニットシミュレーション部140とバス接続1Aされる車載機器171、センシング機器172、その他の電子制御ユニット173から構成される。
図3は、本発明の実施形態のシミュレーションシステム1における、ユーザが解析項目を入力するためのユーザインターフェース11の例を示す図である。図3の例では、ユーザインターフェース11は、故障注入を行う電子部品を設定する電子部品設定部12、前記電子部品設定部12にて設定した電子部品に注入する故障を設定する故障モード設定部13、前記電子部品設定部12にて設定した電子部品において、前記故障モード設定部13で設定した故障を注入するピンを設定するピン設定部14、パラメータの変動を要求する故障において、そのパラメータを外部から設定するための、故障時パラメータ設定部15、電子制御ユニットのシミュレーション終了時刻を設定するシミュレーション時間設定部16、前記故障モード設定部13で設定した故障モードを注入する条件を設定する故障注入条件設定部17、設定したデータをシミュレーションに取り込むための取り込み部18からなる。前記電子部品設定部12は、解析モデル部144構築時に設定された個別電子部品名で指定した名称を用い、電子部品リストから故障注入を行う個別電子部品名を選択するが、ユーザが直接個別電子部品名を入力して指定してもよい。
図3では、解析モデル部144にて、Resistor1という名称で接続情報が記述されている電子部品を選択している。この例では、下線で選択箇所を示す。ピン設定部14では、前記選択した電子部品のピン一覧が表示される。例えば、故障モード設定部13でOpenCircuitを選択した場合、一覧の中から1つピンを選択する。次に、故障モード設定部13で、ShortCircuitを選択した場合、一覧の中から短絡する2つのピンを選択する。最後に、DriftFaultを選択した場合、Pinは設定しない。故障時パラメータ設定部15には、故障モード設定部13で選択した故障モードにより、前記電子部品設定部12で設定した電子部品の特性パラメータを変動する必要があるときに、時系列データとして設定する。時系列データの入力方法としては、ユーザが前記設定部15に直接時系列データを入力することも可能であり、時系列データをマトリックス形式で記述したファイル名を入力すること可能である。故障注入条件設定部17では、図3に示すように故障注入時間を設定することも可能である。故障注入条件が時間以外の場合は、解析モデル部144内の変数を利用して故障注入条件を設定することも可能である。
ユーザインターフェース11に入力された解析項目は解析項目解釈部100にて解釈された後、テストケース生成部110にてテストケース記憶部120に記憶されるテストケースフォーマットに適用される。
図4は、解析項目解釈部とテストケース生成部におけるテストケース生成までのフローを示す図である。入力された解析項目がステップF20及びF21を介して、解析項目解釈部100に入力される。解析項目解釈部100では、ステップF31にて、入力された故障モードを事前に指定された記号へと変換する。ここで、指定された記号への変換は、故障情報を入力する故障注入インターフェース143が受信可能な記号を用いてテストケースを作成するためである。ステップF32にて、故障時パラメータ設定部に入力されたデータが値かファイル名かを判定し、ファイル名であれば、ファイルからパラメータ値を抽出する。ただし、故障注入インターフェース143及び故障注入機構145で、ファイル名からパラメータ値を抽出可能な場合は、ステップF32にて、パラメータ値を抽出する必要はない。
ステップF33にて、電子部品名、故障モード、ピン名1、ピン名2、シミュレーション時間、故障注入時間、故障注入条件、故障時パラメータ値に分割し、それぞれをテストケース生成部に伝達する。ステップF41にて、テストケース生成部は受け取った電子部品名、故障モード、ピン名1、ピン名2、シミュレーション時間、故障注入時間、故障注入条件、故障時パラメータ値をテストケースフォーマットに記述する。ステップ51にて、生成されたテストケースフォーマットを記憶部120に記憶する。
図5は、テストケース生成フローF2で生成され、記憶部120に記憶されるテストケース111の一例を示す図である。テストフォーマット121は、行番号111、電子部品112、故障モード113、Pin1 114、Pin2 115、終了時間116、注入時間117、注入条件118、パラメータ値119から構成される。電子部品117は、故障注入を行いたい電子部品を指定するセルであり、電子部品設定部12で設定した個別電子部品名が記述される。故障モード113は、解析項目解釈部にて特定の置き換えがなされた故障モード情報が記述されるセルである。Pin1 114、Pin2 115は、故障注入を行う電子部品のピン名を指定するセルであり、解析項目解釈部より受け取ったピン名1、ピン名2が記述されるセルである。終了時間116は、シミュレーションの終了時間を指定するセルであり、シミュレーション時間設定部16で設定されるシミュレーション時間を終了時間とみなして入力される。注入時間117は、故障注入時間を指定するセルであり、解析項目解釈部から受け取った故障注入時間が入力される。注入条件118は、解析項目解釈部から受け取った故障注入条件が入力される。パラメータ119は、解析項目解釈部から受け取った故障注入電子部品のパラメータが入力される。
注入条件118は、図5に示すように、解析モデル部144上の変数を用いて条件式の形で指定される。パラメータ119は、故障注入インターフェース142及び故障注入機構144の実装次第で、行番号1に記載のように、時系列データ[時間指定ベクトル][パラメータ指定ベクトル]という入力だけでなく、行番号3に記載のように時系列データが記述されたファイル名を入力することも可能である。例を示すと、抵抗素子について、ある時間に、どの程度の抵抗値であるかを指定できる。時間指定ベクトルを(10、20)とし、パラメータ指定ベクトルを、(1、10)とすると、10秒時点の1オームを、20秒時点に10オームの抵抗素子に設定するように指定をすることができる。
ここで、時系列データは、抵抗モデルであれば、抵抗値の時系列データ、キャパシタモデルであれば、静電容量の時系列データ、電源モデルであれば、供給電圧の時系列データとなる。時系列データは、各電子部品モデルのプログラム内で使用される特性パラメータである。このほかにも、抵抗モデル、FETモデルのサイズ(チャネル長、幅)情報も時系列データの一例となる。時系列データは、故障注入を行う素子の変数を、時系列のデータに書き換えて、利用する。
図6は、本発明の実施形態のシミュレーションコントローラ130の例を示す構成図である。シミュレーションコントローラ130は、テストケース抽出部131、シミュレーション実行プログラム生成部132、故障注入プログム生成部133から構成される。テストケース抽出部131では、テストケース記憶部120から、電子部品112、故障モード113、Pin1 114、Pin2 115、終了時間116、注入時間117、注入条件118、パラメータ値119を抽出し、それぞれプログラム生成部132及び133に送る。シミュレーション実行プログラム生成部132では、終了時間116と注入時間117を受け取り、電子制御ユニットシミュレーションシステム140のシミュレーション終了時間の設定及び、シミュレーションの実行を行うためのプログラムを生成する。ここで生成するプログラムは、電子制御ユニットシミュレータ依存のAPI(Application Programming Interface)を用いて行うこともできる。
故障注入命令生成部133では、電子部品112、故障モード113、Pin1 114、Pin2 115、注入時間117、注入条件118、パラメータ値119を受け取り、故障注入インターフェース143の実装にあわせた命令を作成する。ここで作成される命令は、電子部品112からパラメータ値119の故障情報を、電子制御ユニットシミュレータ依存のAPI(Application Programming Interface)に基づき作成することもできる。また、作成する命令フォーマットは、前記故障情報をマトリックス形式、ベクトル形式とすることも、前記故障情報を時系列データ、電子部品の内部構造データとしてファイルに格納し、そのファイル情報とすることも可能である。故障注入命令は、パラメータ値119などの故障情報の中で、どの故障情報を、故障注入機構に設定するかを指示するコマンドである。
シミュレーション実行プログラム生成部132では、故障の注入時間117も入力されるため、電子制御ユニットシミュレーション140を注入時間117で一時停止し、故障注入命令生成部133にて作成される命令を故障注入インターフェース143に伝達し、解析モデル部144に故障を注入した後に、再度シミュレーションを実行するプログラムを作成することも可能である。
図2に示すように、電子制御ユニットシミュレーション部140は、電子制御ユニットシミュレータ141、シミュレーション記憶部147から構成される。電子制御ユニットシミュレータ部は、シミュレーション実行インターフェース142、故障注入インターフェース143、解析モデル部144から構成される。
シミュレーション実行インターフェースでは、シミュレーション実行プログラム生成部132で作成されたシミュレーション実行プログラムを受けとり、シミュレーションの実行を行う。また、シミュレーションの一時停止や再実行のプログラムもシミュレーション実行インターフェースに伝えられ、シミュレーション実行が制御される。
故障注入インターフェース143は、故障注入命令生成部133から、故障注入命令を受け取り、解析モデル部144にその情報を伝達する。
解析モデル部144は、故障注入機構145と検証電子制御ユニットモデル146から構成される。故障注入機構145は、故障注入インターフェースから前記故障注入命令及びその情報を受け取り、解析モデル部144に故障を注入する。
図7(a)に検証電子制御ユニットモデルの構成図の一例を示す。
検証電子制御ユニットモデルは、周辺回路モデル1461、マイクロコントローラモデル1464から構成される。検証電子制御ユニットモデル145は、電気的故障時の影響解析の対象となる電子制御ユニットを本発明に適用するために、構築する電子制御ユニットのモデルである。従って、検証電子制御ユニットモデル145は、それ単体のシミュレーション実行では、検証対象となる電子制御ユニットと同じ動作を行うことを特長とする。
図7(a)において、マイクロコントローラモデル1464は、検証対象となる電子制御ユニットに搭載されるマイクロコントローラのモデルであり、周辺回路モデル1462は、前記電子制御ユニットに搭載される前記マイクロコントローラを除いた、周辺回路をモデル化したものである。
マイクロコントローラモデル1464は、前記電子制御ユニットの実機で、実際に動作する制御ソフトウェアのオブジェクトコードを動かすことができるハードウェアモデルであっても、前記制御ソフトウェアの制御アルゴリズムをビヘイビアレベルでモデル化した制御アルゴリズムのモデルであっても良い。
周辺回路モデル1461は、電子部品をトランジスタレベル又はビヘイビアレベルで記述することが可能なハードウェア記述言語を用いて記述される。図7(b)に、ハードウェア記述言語のひとつであるVHDL−AMS言語を用いた際の、周辺回路モデルの記述例を示す。周辺回路モデル1461では、周辺回路モデルのインターフェース等の定義部14610と周辺回路モデルの内部構造の定義部14611で構成される。周辺回路モデルのインターフェース等の定義部14610は、故障注入機構145と接続するインターフェースの役割を有し、周辺回路モデル名、pin名及びpin属性を記述する。周辺回路モデルの内部構造の定義14611は、個別電子部品名を定義することができ、例えば、抵抗を3つ接続したい場合は、Resistor1、Resistor2、Resistor3として、個別電子部品名を与える。ここでは、VHDL−AMS言語を用いて説明しますが、Verilog−AMS、MAST言語等を用いて記述することもできる。
図8(a)に、本発明の実施形態における解析モデル部144の例を示す。
解析モデル部144は、前記周辺回路モデル1461とマイクロコントローラモデル1464、故障注入機構145から構成される。
周辺回路モデル1461は、電子部品モデル1〜N 1462、1463で構成される、電子部品モデル1462は、電子部品をトランジスタレベル又はビヘイビアレベルで記述することが可能なハードウェア記述言語を用いて記述される。図8(b)に、ハードウェア記述言語のひとつであるVHDL−AMS言語を用いた際の、電子部品モデルの記述例を示す。図8(b)に示すように、電子部品モデル1462は、電子部品モデルのインターフェース等の定義14620、電子部品モデルの内部構造の定義14621から構成される。電子部品モデルの内部構造の定義14621は、電子部品モデル名、pin名、pin属性を指定する。電子部品モデルの内部構造の定義14621は、電子部品のアーキテクチャー名、電子部品の内部構造を指定する。電子部品モデルのインターフェース等の定義部14620は、故障注入機構145と周辺回路モデルを介して接続するインターフェースの役割を有し、電子部品モデル名、pin名及びpin属性を記述する。
図9に、本発明の実施形態における故障注入機構145の一例を示す、図9では、故障注入機構143を解析モデル144内部に実装するために、ハードウェア記述言語のひとつであるVHDL−AMSを用いる。故障注入機構は、検証電子制御ユニットモデル146と接続するための故障注入機構のインターフェースなどの定義14510と故障注入機構の内部構造の定義14511から構成される。故障注入機構の内部構造の定義14511は、解析モデル144に故障を注入するための故障情報を含んでいる。この故障データベースは、前記電子部品1〜Nの前記インターフェース等定義部14620で定義される、電子部品モデルのパラメータ情報から構成される。故障情報1、2としては、たとえば、抵抗素子の故障時のおける抵抗値である。
それ以外にも、故障注入インターフェース143より受け取った前記故障注入命令及び故障情報に基づいて内部構造定義部14511で定義されるアーキテクチャー名を切り替えることで解析モデル144に故障注入を行うための故障アーキテクチャーデータベースとすることも可能である。
または、前記電子部品1〜Nのパラメータ情報を含んだファイルをインポートするための、ファイルインポート命令群として記述することもできる。
故障注入機構145と周辺回路モデル1461はバス1Eで接続されており、故障注入機構145内の故障情報はこのバスを介して周辺回路モデルに伝達される。故障情報1、2の情報を、図7(b)の周辺回路モデルの内部構造にある「電子部品モデル名(アーキテクチャー名)」に注入し、注入された周辺回路モデル内の電子部品モデルの内部構造(図8(b))における「電子部品の内部構造:」として故障情報を注入することで、対応する電子部品が故障状態になるように模擬することができる。
図10に、本発明の実施形態において、電子部品モデルとしてICモデル1465を利用する際の解析モデル部144の一例を示す。
ICモデル1465は、入出力端子モジュール1466、機能モジュール1467、出力端子モジュール1468から構成される。
機能モジュール1467はICの機能部分をビヘイビアレベルからトランジスタレベルまでのいずれかの抽象度のモデリングレベルで記述したモジュールである。シミュレーション速度が重要視される場合は、抽象度の高いビヘイビアレベルで記述し、ICモデルの精度が要求される場合は、トランジスタレベルで記述する。
図11に入力端子モジュール、出力端子モジュールの一例を示す。
ICモデルは基本的にCMOSから構成されており、そのCMOSはCMOSモデル14403とする。ここで、CMOS14403はpチャネルMOSFET14401とnチャネルMOSFET14402で構成される。
入力端子モジュール1446は、CMOSモデル4631〜463N、並列抵抗成分モデル4601〜460N、4621〜462N、直列抵抗モデル4611〜461Nから構成される。
並列抵抗成分モデル4601〜460Nは隣接端子間のショート故障を模擬するために接続される抵抗モデルである。非故障時の電子制御ユニットシミュレーションでは、並列抵抗モデル4601〜460Nは高抵抗値(1メガオーム以上)を設定する。隣接端子間ショート故障時は、故障注入箇所の並列抵抗モデル4601〜460Nを低抵抗値(1マイクロオーム以下)に設定する。
直列抵抗モデル4611〜461Nは、入出力端子モデルにおいて2つの役割を担う。一つ目は、非故障時の電子制御ユニットシミュレーションでは、配線抵抗(0.07オーム程度)の役割を果たす。2つ目として、ICのピンのオープン故障時は高抵抗値に設定することで、ICのオープン故障時の電子制御ユニットシミュレーションが可能となる。
並列抵抗モデル4621〜462Nは、入出力端子モジュールにおいて、2つの故障をシミュレーションする際に利用する。1つ目は、並列抵抗モデル4621〜462Nの抵抗値を低抵抗(1マイクロオーム以下)とすることで、接地故障時の電子制御ユニットのシミュレーションが可能となる。2つ目は、ICのピンのオープン故障は、完全オープン状態と不完全オープン状態が存在するが、並列抵抗モデル4621〜462Nの抵抗値を低抵抗(1マイクロオーム以下)とすることで、完全オープン状態のシミュレーションが可能となる。直列抵抗モデル4611などを、高抵抗値に、並列抵抗モデル4621等を低抵抗値にすることで完全オープンの模擬する。完全オープン状態では、後段に電圧値を伝えることもないため、その直前で接地させ電圧降下を誘導している。
また、配線抵抗の機能を有する直列抵抗モデル4611〜461Nだけでなく、ICの寄生抵抗及び寄生容量成分を用いて、ICの入出力端子モジュールを構築することで、故障時のシミュレーションを寄生成分のパラメータ変更によってシミュレーションすることも可能である。
また、ICの寄生成分だけでなく、キャパシタのリーク成分(寄生抵抗)を時系列データとして与えることで、オープン故障を模擬することができる。
出力端子モジュール1468はCMOSモデル4831〜483N、直列抵抗モデル4861〜486N、並列抵抗モデル4801〜480N、4821〜482Nから構成される。
並列抵抗モデル4801〜480Nは、ICピンの隣接端子間ショート故障を模擬するために接続される抵抗モデルである。非故障時の電子制御ユニットシミュレーションでは、並列抵抗モデル4801〜480Nは、高抵抗値(1メガオーム以上)を設定する。隣接端子間ショート故障のシミュレーション時は、故障注入箇所の並列抵抗モデル4801〜480Nを低抵抗値(1マイクロオーム以下)に設定する。
直列抵抗モデル4861〜486Nは、出力端子モジュールにおいて2つの役割を果たす。1つ目は、非故障時の電子制御ユニットシミュレーションでは、配線抵抗(0.07オーム程度)の役割を果たす。2つ目として、ICのピンのオープン故障時は高抵抗値に設定することで、ICのオープン故障時の電子制御ユニットシミュレーションが可能となる。
並列抵抗モデル4821〜482Nは、入出力端子モジュールにおいて、2つの故障をシミュレーションする際に利用する。1つ目は、並列抵抗モデル4821〜482Nの抵抗値を低抵抗(1マイクロオーム以下)とすることで、接地故障時の電子制御ユニットのシミュレーションが可能となる。2つ目は、ICのピンのオープン故障は、完全オープン状態と不完全オープン状態が存在するが、並列抵抗モデル4821〜482Nの抵抗値を低抵抗(1マイクロオーム以下)とすることで、完全オープン状態のシミュレーションが可能となる。
図10において、故障注入機構145は、入力端子モジュールと出力端子モジュールと接続されている。故障注入機構145は、故障シミュレーション時に、入力端子モジュール、出力端子モジュール内の並列抵抗モデル、直列抵抗モデルに抵抗値の時系列データを出力する。従って、故障注入機構145から受け取った時系列データを入力端子モジュールと出力端子モジュールの抵抗値に適用することで、ICの隣接端子ショート故障とオープン故障のシミュレーションを実行できる。故障注入機構143内の故障データベース内のデータ次第で、入力端子モジュールと出力端子モジュールのアーキテクチャーを変更することも可能である。
図2において、シミュレーション結果記憶部147は、電子制御ユニットシミュレーションの結果を記憶する。
以上より、図12は、電子制御ユニットの電気的故障時の影響解析を行うシミュレーションシステムのフローF1を示す図である。
ステップF10にて、検証対象となる電子制御ユニットのモデルを構築する。
ステップF20にて、ユーザインターフェース11を利用して、解析項目を入力する。
ステップF30にて、解析項目解釈部にてF20で入力された解析項目を解釈して、テストケー生成部に解釈結果を出力する。F40にて、前記解釈部より伝達された解析項目に基づいて、テストケース121内の各セル111〜119に解析項目を入力し、解析項目を指定する。ステップF50にて、作成されたテストケースをテストケース記憶部に記憶する。ステップF60にて、ステップF50にて記憶されたテストケースから電子部品112、故障モード113、Pin1 114、Pin2 115、終了時間116、注入時間117、注入条件118、パラメータ値119を抽出し、故障注入命令および故障情報を作成する。
ステップF61にて、故障注入命令および故障情報が電子制御ユニットシミュレータ141内の故障注入インターフェースに入力される。ステップF62にて、ステップF61にて伝達された故障情報を、故障注入命令に基づいて解析モデル部144内の故障注入機構に伝達する。ステップF70にて、テストケースから終了時間、注入時間を受けとり、電子制御ユニットシミュレーションを実行するためのシミュレーション実行プログラムを作成する。ステップF60、F61、F62とステップF70は並列に実行されても良い。ステップF80にて、シミュレーション実行部(たとえばシミュレーション実行プログラム)により解析モデル部144に対して、電子制御ユニットモデルのシミュレーションを実行する。
ステップF80で実行されたシミュレーション結果をシミュレーション結果記憶部に保存する。ステップF110にて、ステップ90で記憶されたシミュレーション結果を出力する。
本発明の実施例では、故障注入命令は、故障を注入する電子部品名と故障モードと注入時間に基づいて生成され、前記電子制御ユニットモデルは、正常時と故障時の内部構造を有する電子部品モデルの接続により構築する。故障注入機構は、故障注入命令に基づいて、電子制御ユニットモデル内部の電子部品モデルの内部構造の切り替え情報を、電子部品モデルに注入することで、電子制御ユニットの故障時のシミュレーションを行うことができる。
本発明は、電子制御ユニットに搭載される電子部品の電気的故障に影響解析を行うシミュレーションに適用することができ、特に、テストケースが膨大なFMEAを行う際に、有効なものである。
120・・・テストケース記憶部、130・・・シミュレーションコントローラ、140・・・解析モデル部、141・・・電子制御ユニットシミュレータ、145・・・故障注入機構、1461・・・周辺回路モデル、1462・・・電子部品モデル。

Claims (12)

  1. コンピュータが、アナログ素子を含む解析モデルを用いて、該アナログ素子の電気的故障の解析を行うシミュレーション方法において、
    コンピュータが、
    検証する電子制御ユニットモデルと故障注入機構を含む解析モデルと、前記アナログ素子である電子部品に注入する故障情報を有するテストケースと、を記憶し、
    故障を注入する前記アナログ素子と故障モードと注入時間に基づいて前記テストケースから故障注入命令を生成し、
    前記故障注入命令に基づいて、前記故障情報を前記故障注入機構に伝達し、
    前記故障注入機構から前記電子制御ユニットモデルを構成する電子部品モデルに、前記故障情報を注入し、
    前記故障注入機構から前記電子制御ユニットモデル内部の電子部品モデルのパラメータである時系列データを、前記電子部品モデルに注入し、
    前記解析モデルのシミュレーションを実行することで、
    前記検証する電子制御ユニットモデルに対する電気的故障のシミュレーションを行うことを特徴とするシミュレーション方法。
  2. 前記テストケースの故障情報前記コンピュータのユーザインターフェースに備えられる設定部から入力される構成であることを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
  3. 前記故障注入機構は、前記検証する電子制御ユニットモデルと接続するためのインターフェースの定義情報と、前記電子部品モデルの故障情報を備えた内部構造の定義情報と、
    を備えていることを特徴とする請求項記載のシミュレーション方法。
  4. 前記テストケースは、故障注入をする前記アナログ素子、故障モード、注入時間、および前記時系列データを保持することを特徴とする請求項記載のシミュレーション方法。
  5. 前記検証する電子制御ユニットモデルは、周辺回路モデルを備えており、該周辺回路モデルは、前記故障注入機構と接続するインターフェースの定義と該周辺回路モデルの内部構造の定義を有し、該周辺回路モデルに含まれるアナログ素子としての電子部品を示す電子部品モデルは、該周辺回路モデルと接続するインターフェース定義と内部構造の定義を有し、
    前記故障注入機構から前記周辺回路モデルを介して前記電子部品モデルに故障情報を注入することを特徴とする請求項記載のシミュレーション方法。
  6. 前記電子部品モデルは、故障注入用の直列抵抗モデル及び並列抵抗モデルを含むモジュールとして構成し、前記時系列データを前記直列抵抗モデル又は並列抵抗モデルに適用することで、シミュレーションを行うことを特徴とする請求項記載のシミュレーション方法。
  7. アナログ素子を含む解析モデルを用いて、該アナログ素子の電気的故障の解析を行うシミュレーション装置において、
    検証する電子制御ユニットモデルと故障注入機構を含む解析モデルと、
    前記アナログ素子である電子部品に注入する故障情報を有するテストケースと、を保持した記憶部と、
    故障を注入する前記アナログ素子と故障モードと注入時間に基づいて前記テストケースから故障注入命令を生成する故障注入命令生成部と、前記故障注入命令に基づいて、前記故障情報を、前記故障注入機構に伝達する故障注入インターフェースとを有し、
    前記故障注入機構が、
    前記電子制御ユニットモデルを構成する電子部品モデルに、前記故障情報を注入し、前記電子制御ユニットモデル内部の電子部品モデルのパラメータである時系列データを、前記電子部品モデルに注入し、
    シミュレーション実行部が、
    前記解析モデルのシミュレーションを実行することで、
    前記検証する電子制御ユニットモデルに対する電気的故障のシミュレーションを行うことを特徴とするシミュレーション装置。
  8. 前記テストケースの故障情報を、ユーザインターフェースに備える複数の設定部から入力する構成であることを特徴とする請求項に記載のシミュレーション装置。
  9. 前記故障注入機構は、前記検証する電子制御ユニットモデルと接続するためのインターフェースの定義情報と、前記電子部品モデルの故障情報を備えた内部構造の定義情報と、
    を備えていることを特徴とする請求項記載のシミュレーション装置。
  10. 前記テストケースは、故障注入をする前記アナログ素子、故障モード、注入時間、および前記時系列データを保持することを特徴とする請求項記載のシミュレーション装置。
  11. 前記検証する電子制御ユニットモデルは、周辺回路モデルを備えており、該周辺回路モデルは、前記故障注入機構と接続するインターフェースの定義と該周辺回路モデルの内部構造の定義を有し、該周辺回路モデルに含まれるアナログ素子としての電子部品モデルは、該周辺回路モデルと接続するインターフェース定義と内部構造の定義を有し、
    前記故障注入機構から前記周辺回路モデルを介して前記電子部品モデルに故障情報を注入することを特徴とする請求項記載のシミュレーション装置。
  12. 前記電子部品モデルは、故障注入用の直列抵抗モデル及び並列抵抗モデルを含むモジュールとして構成し、前記時系列データを前記直列抵抗モデル又は並列抵抗モデルに適用することで、シミュレーションを行うことを特徴とする請求項11記載のシミュレーション装置。
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