JP6300615B2 - 光音響画像撮影装置及び光音響画像撮影方法 - Google Patents

光音響画像撮影装置及び光音響画像撮影方法 Download PDF

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Description

本発明は光音響画像撮影装置及び光音響画像撮影方法に関し、詳しくは生体深部を可視化するための光音響画像撮影装置及び光音響画像撮影方法に関する。
近年、生体組織の断層像撮影の必要性が高まっている。しかし、従来のMRI、CTでは、解像度が不十分であり(分解能:〜1mm)、また光学顕微鏡では深部の観察が困難であった。そこで、高解像度に深部観察をする生体断層像の撮影技術として、光音響断層撮影(PAT:PhotoacousticTomography)法と呼ばれる手法が開発され、その有用性が明らかになりつつある。これは、測定対象に光パルスを照射することによって試料内の吸収物質を励起し、吸収物質の熱弾性膨張により生じる光音響波を検出することで測定対象内の吸収情報を取得して画像化するものである。このように、光音響断層撮影法は、被測定体に光を照射することにより、生体内減衰の少ない音響波を発生させ、その音響波の検出により被測定体内部の情報を取得するものであるため、より深い部分からの信号検出が可能である。
光軸方法(深さ方向)の分解能を音波の性質ではなく、多光子励起という光の性質を利用することで向上させ、吸収物質内部の情報を正確に捉える方法として、多光子励起による光音響画像撮影装置が開発されている(特許文献1,2)。一般的に多光子励起の確率は1光子励起のものに比べて低いため、多光子光音響イメージング実用化のためには、多光子励起による光音響波を選択的に検出することが重要である。しかしながら、多光子光音響波検出の感度は十分でないのが現状である。
WO2007/088709 特開2011−045514
本発明は、多光子光音響波検出の感度をさらに向上させて生体深部で鮮明な画像が得られる光音響画像撮影装置及び光音響画像撮影方法を提供する。
本発明者は超短光パルスによる光音響波発生において、パルス幅に依存して1 光子と多光子の寄与が変化することを新たに見出し(図2)、異なるパルス幅を持つ超短光パルスにより得られた信号の差分の演算処理により、多光子光音響画像を高感度に検出できる(図4)ことを見出した。
本発明は、以下の光音響画像撮影装置及び光音響画像撮影方法を提供するものである。
項1. 光音響効果を利用して被測定体内部を可視化する光音響画像撮影装置において、
a)被測定体に対してパルスレーザを集光照射することで多光子励起を誘起する異なるパルス幅を持つパルスレーザ照射手段と、
b)パルス幅の異なる複数の励起光パルスにより被測定体から発生した複数の光音響波を差分処理し被測定体内部を画像化する画像化段と
c)前記画像化手段により得られた画像を表示する表示手段と、
を備えた光音響画像撮影装置。
項2. 前記画像化手段が、異なるパルス幅を持つ光パルス励起で得られた光音響波の時間波形を差分処理した後に画像化する手段、又は、異なるパルス幅を持つ光パルス励起で得られた光音響波を画像化処理した後に差分処理する手段である、項1に記載の光音響画像撮影装置。
項3. 複数の異なるパルス幅を持つ励起光パルスのパルスエネルギーが異なる場合、前記画像化手段は、パルスエネルギーの違いによる光音響の強度補正処理をさらに含む、項1又は2に記載の光音響画像撮影装置。
項4. 光音響効果を利用して被測定体内部を可視化する光音響画像撮影方法において、
工程1:パルス幅の異なる複数の励起光パルスを被測定体に照射して、該レーザの焦点位置において多光子吸収による複数の光音響波を発生させる工程、
工程2:パルス幅の異なる複数の励起光パルスにより被測定体から発生した複数の光音響波を差分処理し被測定体内部を画像化する工程、および
工程3:工程2で得られた画像を表示装置で表示する工程
を含む、光音響画像撮影方法。
項5. 前記画像化工程が、異なるパルス幅を持つ光パルス励起で得られた光音響波の時間波形を差分処理した後に画像化する工程、又は、異なるパルス幅を持つ光パルス励起で得られた光音響波を画像化処理した後に差分処理する工程である、項4に記載の光音響画像撮影方法。
項6. 複数の異なるパルス幅を持つ励起光パルスのパルスエネルギーが異なる場合、前記画像化工程は、パルスエネルギーの違いによる光音響の強度補正工程をさらに含む、項4又は5に記載の光音響画像撮影方法。
本発明の装置及び方法によれば、多光子励起による光音響波をより選択的に検出することができ、得られる像の空間分解能及び信号対雑音(S/N)比が向上した(図4)。図4(c)に示されるように、周波数フィルタリングを用いた特許文献2の光音響断層撮影装置による画像(図4(d))に比べ、S/N比が改善されている。深さ方向に対する信号強度の変化(図4(e))に示されるように、バックグラウンドノイズが従来法に比べて減少している。
本発明に係る光音響画像撮影装置の一実施例を示す模式図。 1光子励起光音響波(a)と2光子励起光音響波(b)のパルス幅がシグナル時間波形と強度に与える影響を示すグラフ。 パルス幅を変えて得られた光音響波の差分を利用することで、鮮明な2光子励起光音響像が得られることを示す概略図。パルス幅が狭い場合に得られる光音響波(a)とパルス幅が広い場合に得られる光音響波(b)とその差分処理により得られる2光子励起による光音響波(c)。 パルス幅を変えて得られた光音響像(a,b)及び得られた画像に対する差分処理により得られた光音響像(c)、特許文献2で得られた比較例の光音響像(d)、深さ方向に対する信号強度の変化(e)を示す。
本発明の光音響画像撮影装置は、パルス幅の異なるパルスレーザを励起光として、被測定体に集光照射することにより多光子励起を誘起するものであり、複数の励起光パルスによって被測定体から発生した光音響波の演算処理により被測定物の鮮明な画像を得るものである。複数の励起光パルスにより発生した光音響波を演算処理することで、1光子励起音響波などのノイズは非常に低減され、S/N比が向上する。
光音響波に基づく画像化は、異なるパルス幅を持つ光パルス励起で得られた光音響波の時間波形の差を演算処理すること、又は、異なるパルス幅を持つ光パルス励起で得られた光音響波を演算処理した後に差分処理することにより行うことができる。演算処理は時間積分、パルスエネルギーの違いによる光音響信号の強度補正、ピーク抽出及び周波数成分抽出を含むものである。
異なるパルス幅を持つ光パルスの励起は交互に励起を行うことも可能である。その異なパルス幅を持つ光パルスを照射する間隔は、光イメージングよりも長くする必要がある。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参考にして説明する。図1は、本発明の一実施形態の光音響画像撮影装置の概略構成を示す図である。本発明の光音響画像撮影装置は、パルス幅を変化させることが可能なパルス発生装置としてのパルスレーザ照射手段と、レーザをサンプルに照射するための光励起装置、フォーカス音響トランスデューサ、信号増幅器、周波数フィルター、高速デジタイザなどの光音響波検出装置、パーソナルコンピュータ(PC)などの光音響波波形演算処理、画像演算処理装置 を含み、このPCには表示装置としてのディスプレイが備えられている。
パルスレーザ照射手段としては、種々の光源と光励起装置を用いることができる。パルスレーザの波長は測定対象の物質により異なり、紫外光から赤外光までの波長領域から選択できるが、測定対象が生体或いは生体由来のサンプルの場合には、波長 700nm〜2500nmである近赤外光パルスが好ましく使用される。 近赤外領域の光は生体内による散乱減衰が起こりにくいため、励起光の深達距離を大きくすることができ、深部領域の高解像度観察を可能とする。例えば、ヘモグロビンを2光子励起可能、かつ、水とメラニンの1光子吸収が比較的少ない波長を選択すれば、血管を無染色に可視化することができる。また、メラニンを2光子励起可能、かつ、水とヘモグロビンの1光子吸収が比較的少ない波長を選択すれば、メラノーマを無染色に可視化することができる。また、2光子励起可能な造影剤を使用すれば、造影剤の入った測定対象の臓器に対して、可視化することが可能である。また、例えば、対象が液晶のような有機材料やガラスのような無機材料で可視領域内のある波長域では透明ではあるが散乱が大きく内部構造の観察困難な物質に対しては、可視領域の波長400nm〜700nmの使用も有効である。
近赤外パルス光源としては、例えば、チタンサファイアレーザ、クロムフォルステライトレーザ、エルビウムドープファイバーレーザ、YAGレーザ等の近赤外の光パルスを生成可能なもの、及び、それらを用いて光パラメトリック増幅、光パラメトリック発振させて波長変換したレーザや光パルスを使用することができる。本発明ではパルス幅の異なる複数の励起光パルスを用いるので、パルス光源 はパルス幅可変装置を使用するか、あるいは、複数のレーザを使用する。
光励起装置は、パルス光を集光して被測定体に照射するための対物レンズと、近赤外パルス光源から出射されたパルス光の強度を調節する可変減光フィルター、対物レンズの性能を最大限に生かすためにビーム径を調整するコリメーターなどを備え、XYZ方向に集光点を走査するためのスキャンニングミラー、スッテピングモーターステージ、ピエゾステージ、焦点可変レンズなどを備えていてもよい。
図1の光音響画像撮影装置には、サンプルを載置するためのXYZステージが設けられており、XYZステージを上下前後左右に移動させることにより、レーザの焦点位置をXYZ軸上で動かすことができる。
本発明の光音響画像撮影装置には、パルスレーザの焦点位置を1次元的又は2次元的又は3次元的に走査するレーザ走査手段を設け、各焦点位置から発生した光音響波の演算処理(時間積分、ピーク抽出、周波数成分抽出、差分処理など)を基に、被測定体内部の1次元的又は2次元的又は3次元的な物質分布情報を取得して画像化するものとすることが望ましい。レーザ走査手段は、1つの手段でX軸、Y軸、Z軸方向に移動できるものであってもよく、2つ以上のレーザ走査手段を組み合わせて、例えばX軸及びY軸方向に移動可能なレーザ走査手段とZ軸方向に移動可能なレーザ走査手段を組み合わせてもよい。レーザ走査手段としては、例えばサンプルステージの位置を移動させる手段 、対物レンズへのレーザ入射角度、対物レンズの位置、角度、焦点距離を動かしてレーザ焦点位置を移動させる手段などが挙げられるが、これらに限定されない。
パルスレーザは、多光子励起を行うことができるものであれば特に限定されない。一般的に、被測定体の吸収波長の倍の波長を発振するレーザを使用し、ピークパワーの高いパルス光を被測定体に集光入射することにより多光子励起を誘起することができる。このようなパルスレーザとしては、ピコ秒パルスレーザ、あるいはフェムト秒パルスレーザを好適に用いることができる。また、ナノ秒パルスレーザであっても高いピークパワーを有するものを用いることで多光子励起を誘起することが可能である。
本発明では、エネルギーをある値に保ったまま、パルス幅可変可能な1つのレーザ、あるいは、パルスエネルギーの同じパルス幅を変えた2つ以上のパルスレーザを使用し、パルス幅の異なる複数の光パルスを照射する。 2つのパルス幅の組み合わせとしては、離れている方が望ましいが、例えば、パルスエネルギーを33nJの場合、250fsと1.7psの組み合わせ、パルス幅の比としては6.8でも十分に実施することが可能である。パルスエネルギーを大きくすることにより、実施可能なパルス幅の比は小さくすることができる。すなわち、2つのパルス幅を変えて測定した光音響波に差が表れる範囲であれば、実施することが可能である。さらに、パルスエネルギーが違い、かつ、パルス幅が異なる複数の光パルスを使用した場合にも、パルスエネルギーの違いにより光音響波の信号を補正することによって、実施可能になる。例えば、1/2のエネルギーを使った場合は信号を2倍にすることによって補正できる。また、高エネルギーを持つ光パルスを利用することにより、ナノ秒のパルス幅を持つ光パルスに対しても多光子励起光音響波の発生は確認しており、フェムト秒からナノ秒までの光パルスに対して有効である。
本発明の1つの実施形態において、複数の異なるパルス幅を持つ光パルスを照射して得られた光音響波時間波形の「差分」を算出する。「差分」は、例えば短いパルス幅のパルスレーザで得られた光音響波時間波形から長いパルス幅のパルスレーザで得られた光音響波時間波形を差し引くことで得られる。この「差分」の時間波形を求めることにより、1光子光音響波シグナル(ノイズ)は除かれることになり、鮮明な画像が得られる。本発明の他の実施形態では、複数の異なるパルス幅を持つ光パルスを照射して得られた光音響波の時間波形から得られた複数の画像の差分処理を行うことにより、1光子光音響波のシグナルの取り除かれた鮮明な画像が得られる。複数の異なるパルス幅を持つ光パルスのパルスエネルギーとしては同じであることが望ましいが、異なっている場合は、強度の違いに基づき信号の補正を行う。
本明細書において、演算処理は、パルスエネルギーの違いによる光音響信号の強度補正を含むことができるが、複数の異なるパルス幅を持つ光パルスのパルスエネルギーが同じ場合には、このような強度補正は不要である。
本明細書において、パルス幅可変パルスレーザ照射手段としては、市販品を使用することができ、例えばパルス幅可変超短パルスレーザ光源(IFRIT, Cyber Laser Inc., 繰り返し周波数 1KHz, パルス幅 200 fs〜7ps, 中心波長 約780 nm)などのパルス幅を変えることができるレーザ光源を使用することができる。あるいは、レーザ光源に任意の群速度分散を与え、パルス幅を変化させることができる回折格子対、プリズム対、群速度分散制御媒質のようなパルス幅可変装置を組み合わせて使用することも可能である。
フォーカス音響トランスデューサは、様々な周波数帯域をもつトランスデューサの組み合わせでもよい。様々なトランスデューサからの電気信号は光音響検出装置で増幅、周波数フィルタリングされ、デジタル信号に変換される。
光音響波波形演算処理、画像演算処理手段は、光音響波検出手段により得られたデジタル信号の時間積分情報、ピーク情報、周波数情報と、該音響波の発生位置情報、すなわちレーザ走査手段から送出されるパルス光のX軸、Y軸、Z軸方向の焦点位置情報を受信してデジタル化し、これらの情報に基づいて所定の演算を行うことにより被測定体内部の1次元又は2次元又は3次元画像データを生成する。画像演算処理手段では、生成された3次元画像データを基に被測定体の任意の断面を表した2次元画像(断層像)が生成され、表示装置(ディスプレイ)上に表示することも可能である。
以上のような、本発明の光音響画像撮影装置によれば、近赤外光、可視光パルスによる多光子励起により焦点領域から音響波を発生させ、パルス幅の異なるレーザによるシグナルの差分を算出することで1光子励起によるシグナルなどの影響を除外でき、優れた空間分解能で深部領域の観察を行うことが可能となる。
本発明の装置及び方法によれば、コントラストが非常に向上するので、生体、特に毛細血管や小動静脈のイメージング、メラノーマの深達度診断、組織や臓器の深部構造の測定等に好適に用いることができる。
被対象物としては、パルスレーザにより多光子励起されるものであればどのようなものでも良いが、特にヘモグロビン、メラニンが望ましい 。例えば、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンを被対象物とすることにより、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの2光子吸収のピークの違いを利用して脳内血中酸素濃度分布を測定し、脳の働きをみるような機能イメージングが可能となる。具体的には、酸化ヘモグロビンの1光子吸収ピーク波長の2倍の波長を持つレーザをXYZ方向にスキャンし、発生する光音響波の位置依存性を測定すると、酸化ヘモグロビンの多い血液から信号が強く発生するので、酸素濃度の高い血液を含む血管のみが可視化される。同様に、還元ヘモグロビンの1光子吸収の2倍の波長を持つレーザを用いて測定を行うと、酸素濃度の低い血液を多く含む血管のみが可視化できる。このように波長を変化させて測定を行うことにより血管内酸素濃度情報を含めた血管の画像化ができ、例えば、脳内の活性化部位の観察が可能となる。上記パルス光源としては、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンを2光子励起可能な近赤外領域(700nm〜2500nm)で波長可変なレーザを用いることが望ましい。また、生体内のメラニンの深さ方向の分布情報が正確に取得可能であるため、メラノーマの深達度の診断が可能である。あるいは、2光子励起可能な造影剤を使用することにより、様々な臓器を描出することが可能である。上記パルスレーザとしては、多光子励起を行うことができるものであればどのようなものでもよいが、一般的には、ナノ秒パルスレーザ、ピコ秒パルスレーザ、あるいはフェムト秒パルスレーザが用いられる。
本発明の光音響画像撮影装置は、焦点位置のみから発生する2光子励起による光音響波を効率よく検出することができるので、血管、メラノーマのように非常に吸収の強い物質の断面を正確に捉えることができる。例えば、血管収縮運動や小血管の走行や酸素飽和度は様々な病気と関係している。従って、生体深部における小血管の可視化は非常に重要である。また、メラノーマの断面構造が捉えられることにより、メラノーマの深達度を評価でき、メラノーマ切除時のマージンの決定やその後の治療方針の指針となる。
本発明の光音響画像撮影装置は、上記のような顕微鏡を利用した構成に限定されるものではなく、例えば、レーザの照射手段と光音響波の検出手段を被測定体の表面に直接当接させることでレーザの照射及び光音響波の受信を行うものとしてもよい。
本発明の光音響画像撮影装置は、生体の観察に適しているがそれに限定されるものではなく、例えば、半導体素子の製品検査など種々の試料の非破壊検査に応用可能である。この場合には、近赤外光である必要はなく、検出対象となる物質の多光子吸収に応じた適切な波長を使用することが望ましい。
本発明に関し、以下の試験を行った。
試験例1
図1に示された本発明の光音響画像撮影装置を使用した。光源はパルス幅可変超短パルスレーザ光源(IFRIT, Cyber Laser Inc., 繰り返し周波数 1KHz, パルス幅 200 fs〜7ps, 中心波長 約780 nm)を使用した。コリメーターレンズとして凹レンズ(f=-50 mm)と凸レンズ(f=100 mm)を使用し、対物レンズのバックアパーチャーの70%以上にビームを広げて照射した。対物レンズは10 倍の対物レンズ(10X UPlanFLN, Olympus Corp.,開口数 0.3)を使用した。試料は1cm 角のシリコーンで作ったセルに入れた。光の入射窓はカバーガラスで作られている。1 光子吸収色素溶液としてはIR780/エタノール、2光子吸収色素溶液としてはローダミンB/エタノールを使用した。検出に用いた超音波トランスデューサとしては中心周波数10MHz、焦点距離15mm のもの(10K6.4I, JapanProbe, Inc.)を用いた。光の焦点と超音波検出の焦点をシリコーンセルの中心で一致させた。信号増幅部としては増幅率40dB、周波数バンド<20MHz のもの(9913, NF Corp.)を用いた。信号は高速デジタイザ(U1082A-AVG, Agilent Technologies, Inc.)を用いて演算処理手段としてのコンピュータに取り込まれる。光音響波の強度としては、光音響波の時間波形の絶対値を時間積分したものを使用した。パルス幅依存性はエネルギーを一定(1 光子光音響:11 nJ, 2 光子光音響:38 nJ)にして測定した。その結果として、1 光子励起光音響波はパルス幅を変化させても変化しないが、2 光子励起光音響波はパルス幅を短くすると信号が大きくなることが明らかとなった。このことにより、パルス幅を変えて得られた信号の差分を取れば、2 光子励起光音響波を抽出できることが明らかになった。
光音響波の差分を取る場合、2つの光音響波を得るためのレーザのパルス幅の差が大きいほど信号の差が大きくなるが、レーザのエネルギーを大きくすればパルス幅の差が小さくても大きな信号の差分が得られる。パルスレーザはフェムト秒パルスレーザ或いはピコ秒パルスレーザが最も好ましく使用できるが、ナノ秒パルスレーザを使用しても十分な信号の差分を得ることが可能である。
試験例2
図1に示された本発明の光音響画像撮影装置を使用し、試験例1とほぼ同じ条件を使用した。ただし、サンプルは300 マイクロメートル直径のシリコーン中空の中にローダミンB/エタノールとIR780/エタノールの混合溶液を入れ、測定はビームがシリコーン中空の中心を通るようにして行った。パルスのエネルギーは33 nJ で、パルス幅としては250 fs(狭い場合)と1.7ps(広い場合)のものを使用した。パルス幅の狭い場合(250 fs)は、2 光子光音響波と1 光子光音響波が混じった状態で発生する(図3(a))が、パルス幅が広い場合(1.7ps)は1 光子光音響波の寄与が支配的になり、1 光子励起による光音響波のみが観察される(図3(b))。図2からもわかるように、1 光子励起による光音響波はパルス幅によらず一定であるのでパルス幅の狭い場合の信号からパルス幅の広い場合の信号を引くと、2 光子励起による光音響波のみを検出することが可能である(図3(c))。
試験例3:異なるパルス幅を有するパルスレーザを用いて得られた画像の差分処理による画像化
図1に示された本発明の光音響画像撮影装置を使用し、試験例1とほぼ同じ条件を使用した。特許文献2に記載された従来法の周波数フィルタリングは3−15 MHz のものを用いた。画像を取得するために試料をXYZ ステージに固定し、横と深さ方向に移動させて画像を取得した。図4(e)は深さ方向に対する強度変化(40μm 幅)に関して従来法(周波数フィルタリング)と本発明(パルス幅の違う光パルスによる光音響像の差分処理)とによるものを比較している。従来法では、深さ方向にスメアを引いているが(図4(d))、本発明ではスメアを引いておらず、2 光子光音響波を効率よく検出し、断面像が正確に捉えられていることがわかる(図4(c))。また、図4(e)に示されるように、バックグラウンドのレベルが下がっており、信号対雑音比の向上がわかる。パルス幅の小さい図4(a)及びパルス幅の大きい図4(b)と比較して、差分を用いた図4(c)の画像が非常に優れていることが明らかになった。

Claims (6)

  1. 光音響効果を利用して被測定体内部を可視化する光音響画像撮影装置において、
    a)被測定体に対してパルスレーザを集光照射することで多光子励起を誘起する異なるパルス幅を持つパルスレーザ照射手段と、
    b)パルス幅の異なる複数の励起光パルスにより被測定体から発生した複数の光音響波を差分処理し被測定体内部を画像化する画像化段と
    c)前記画像化手段により得られた画像を表示する表示手段と、
    を備えた光音響画像撮影装置。
  2. 前記画像化手段が、異なるパルス幅を持つ光パルス励起で得られた光音響波の時間波形を差分処理した後に画像化する手段、又は、異なるパルス幅を持つ光パルス励起で得られた光音響波を画像化処理した後に差分処理する手段である、請求項1に記載の光音響画像撮影装置。
  3. 複数の異なるパルス幅を持つ励起光パルスのパルスエネルギーが異なる場合、前記画像化手段は、パルスエネルギーの違いによる光音響の強度補正処理をさらに含む、請求項1又は2に記載の光音響画像撮影装置。
  4. 光音響効果を利用して被測定体内部を可視化する光音響画像撮影方法において、
    工程1:パルス幅の異なる複数の励起光パルスを被測定体に照射して、該レーザの焦点位置において多光子吸収による複数の光音響波を発生させる工程、
    工程2:パルス幅の異なる複数の励起光パルスにより被測定体から発生した複数の光音響波を差分処理し被測定体内部を画像化する工程、および
    工程3:工程2で得られた画像を表示装置で表示する工程
    を含む、光音響画像撮影方法。
  5. 前記画像化工程が、異なるパルス幅を持つ光パルス励起で得られた光音響波の時間波形を差分処理した後に画像化する工程、又は、異なるパルス幅を持つ光パルス励起で得られた光音響波を画像化処理した後に差分処理する工程である、請求項4に記載の光音響画像撮影方法。
  6. 複数の異なるパルス幅を持つ励起光パルスのパルスエネルギーが異なる場合、前記画像化工程は、パルスエネルギーの違いによる光音響の強度補正工程をさらに含む、請求項4又は5に記載の光音響画像撮影方法。
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