JP6300455B2 - 軽合金溶湯の品質を推定する方法および装置 - Google Patents

軽合金溶湯の品質を推定する方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム合金などの軽合金溶湯の品質を推定する方法および装置に関するものである。
アルミニウム合金鋳物に使用される溶湯の品質を評価する方法として、K−モールド法が知られている。この方法によると、現場で比較的少量の溶湯サンプルを採取して、K−モールドに鋳込み、鋳物試料片の破面を測定者が観察し、酸化物、皮膜などの非金属介在物の個数を計測することで、迅速に品質を検査することができる。
特許文献1には、熟練者による測定値と高い相関性を確保して介在物数を自動計測する方法として、アルミニウム合金からなる鋳物試料片の矩形の破面をCCDカメラなどの撮像手段で撮像して、前記撮像手段により撮像された画像をカラー濃淡処理し、所定の閾値によって2値化して、所定サイズの画素クラスターの数を計測する非金属介在物の測定方法であって、前記撮像前に前記破面の端部エッジを検出し、前記破面の両端部に該破面の1/4〜2/3の面積の測定領域を自動的に設定する非金属介在物数の測定方法が開示されている。
特開2008−224220号公報
K−モールド法またはそれに代わる鋳物試料採取用鋳型を用いた測定方法により、アルミニウム溶湯中の介在物の量を、典型的にはK値として特定することができ、K値が所定ランク(たとえばAランク)の清浄な溶湯を用いることにより安定した品質のダイカスト製品あるいは鋳造製品が製造できることが知られている。
しかしながら、K−モールド法またはそれに代わる鋳物試料採取用鋳型を用いた測定方法は、溶湯の一部を採取して鋳造された試料の断面を測定する。このため、溶湯の状態を、リアルタイムに、またはそれに近い状態で、連続して、またはそれに近い状態で、さらに、溶湯の全量またはそれに近い量を検査することは難しい。
本発明の態様の1つは、以下のステップを含む方法である。
1.軽合金の溶湯と界面を介して接するガス領域の特定のガスの量を、イオン移動度センサーを含むガスセンサーにより測定すること。
2.ガスセンサーの測定結果に基づき溶湯の品質を推定すること。
本願の発明者らは、軽合金の溶湯と界面を介して接するガス領域をガスセンサーの1つであるイオン移動度センサーにより測定したところ、溶湯処理経過によるK値の変化と高い相関を示すピークが表れることを見出した。イオン移動度センサーのピークは特定のガスの量を示すものである。したがって、ガスセンサーの測定結果によりK値とほぼ同程度の精度で溶湯の品質を推定または判断できる。さらに、ガス領域をイオン移動度センサーなどのリアルタイム測定が可能なガスセンサーにより測定することは、リアルタイムに、またはそれに近い状態で、連続して、またはそれに近い状態で、さらに、溶湯の全量またはそれに近い量に対して行うことができる。推定することは、予め得られたガスセンサーの測定結果と溶湯の品質との相関関係に基づき溶湯の品質を推定することを含むことが望ましい。
このため、軽合金の溶湯の状態を、リアルタイムに、またはそれに近い状態で、連続して、またはそれに近い状態で、さらに、溶湯の全量またはそれに近い量で、推定または判断できる。典型的な軽合金はアルミニウムを主として含む合金である。軽合金は、アルミニウムに加えて、マグネシウムおよび/またはチタンを主として含む合金であってもよい。これらの軽合金の溶湯においても、K値により評価される主な要因である介在物が品質に影響を与えることは共通する。また、測定される特定のガスの典型的なものは有機系ガスまたは水素ガスである。
上記の測定すること(第1の工程)は、溶湯処理中の溶湯と界面を介して接するガス領域を測定の対象とすること、鋳型または金型に搬送中または注入中の溶湯と界面を介して接するガス領域を測定の対象とすること、および、鋳型または金型に注入後の溶湯と界面を介して接するガス領域を測定の対象とすることの少なくともいずれかを含むことが望ましい。溶湯処理から鋳造またはダイカストに至る過程のほぼすべてにおいて、溶湯の状態を、リアルタイムに、またはそれに近い状態で、連続して、またはそれに近い状態で、さらに、溶湯の全量またはそれに近い量で、推定または判断できる。このため、さらに、安定した品質のダイカスト製品あるいは鋳造製品を製造できる。
したがって、本方法は、さらに以下のステップを含むことが有効である。
3.品質が推定された溶湯を用いて鋳型または金型により製品を成形すること。
また、測定すること(第1の工程)は、ガス領域からサンプリングしたサンプリングガスを直にまたはキャリアガスにより濃度調整した状態でイオン移動度センサーを含むガスセンサーに供給することを含む。K値との相関の高い測定値、たとえば、イオン移動度センサーであればピークをより観察しやすい状態を実現できる。
推定すること(第2の工程)は、ガスセンサーにより得られたガス領域のガス質パターン(ガス質を示す前記イオン移動度センサーから出力されたスペクトル)を評価することを含むことが望ましい。特定のピークのみならず、ガス質パターン(スペクトル)を参照することにより、K値との相関の高いピークを、より安定して評価できる。典型的には、溶湯の表面は空気に接しており、推定すること(第2の工程)では、ガスセンサーにより得られたガス領域の空気質パターン(空気質を示す前記イオン移動度センサーから出力されたスペクトル)を評価することが望ましい。典型的には、ガス質パターンまたは空気質パターンにおいて、清浄化処理の処理時間に連動してピーク高さが減少するピークの面積比と溶湯品質との相関関係を予め求めておき、その相関関係に基づき溶湯品質を推定することができる。
典型的なイオン移動度センサーは、交流型の差動電圧および直流型の補償電圧を変化させてガス質パターンを取得するイオン移動度センサーである。推定すること(第2の工程)は、予め定められた少なくとも1つの差動電圧におけるガス質パターンを評価することが有効である。K値との相関の高いピークを短時間に繰り返し測定できる可能性が高く、よりリアルタイムに近い状態で溶湯の品質を推定できる。
本発明の異なる態様の1つは、イオン移動度センサーを含むガスセンサーと、軽合金の溶湯と界面を介して接するガス領域のサンプルをガスセンサーに供給するサンプリングユニットと、ガスセンサーによる特定のガスの量の測定結果に基づき溶湯の品質に関連するコンテンツを出力するユニットとを有する装置である。コンテンツは、予め得られた前記ガスセンサーの測定結果と溶湯の品質との相関関係に基づき推定された溶湯の品質を含むことが望ましい。コンテンツは音声であっても、画像であっても、データストリームなどであってもよく、ピークの所定の値を示すものであってもよく、ピークの形状を示すものであってもよく、ガスセンサーにより得られたガス領域のガス質パターンや空気質パターンを含むものであってもよく、溶湯の品質の評価結果であってよい。
サンプリングユニットは、ガス領域のサンプルを直にガスセンサーに供給するものであってもよく、サンプルをキャリアガスにより濃度調整した状態でガスセンサーに供給するユニットを含んでいてもよい。ガスセンサーの一例はイオン移動度センサーである。
この装置は、溶湯処理ユニット、溶湯処理装置から鋳型または金型に搬送または注入するユニット、および鋳型または金型の少なくともいずれかをさらに有していてもよい。さらに、この装置のサンプリングユニットは、溶湯処理ユニットのガス領域、搬送または注入するユニットのガス領域、および鋳型または金型のガス領域の少なくともいずれかに接続されたガス抽出ユニットからサンプルを採取するライン、たとえばバルブステーションを含むことが望ましい。この装置により、溶湯処理ユニット、溶湯処理装置から鋳型または金型に搬送または注入するユニット、および鋳型または金型のいずれかに存在する溶湯の品質を監視したり、溶湯処理ユニットから鋳型または金型に至る溶湯の品質を連続して、リアルタイムに監視できる。このため、鋳型または金型により、高品質の製品を成形して提供できる。
アルミニウム合金製の製品を製造するシステムを示すブロック図。 サンプルガスをFAIMSで測定した出力例を示す図。 測定されたピークを抽出して示す図。 ピークとK値との相関を示す図。 製品を製造する過程を示すフローチャート。
図1に、アルミニウム合金の溶湯を用意し、アルミニウム合金製の製品を製造するシステムの概要を示している。この鋳造システム(鋳造装置)1は、溶湯清浄化ユニット10と、ダイカストマシン20と、溶湯の品質を管理する品質管理ユニット50とを含む。ダイカストマシン20は、溶湯5を蓄える保持炉21と、金型22を用いて製品23を成形する鋳造ユニット25とを含む。溶湯清浄化ユニット10は脱ガス処理装置とも呼ばれ、溶湯5の中に挿入される回転シャフト11を含み、回転シャフト11の先端から不活性ガス、典型的にはアルゴン13を放出することにより溶湯5を清浄化する。典型的な溶湯清浄化ユニット10は特開2004−292941に記載されている。本明細書において溶湯清浄化とは、溶湯の中にアルゴンガス等の不活性ガスを吹き込むことにより、溶湯中の水素等を不活性ガスに拡散させ、除去することを含む処理を示す。
鋳造システム1は、さらに、品質管理ユニット50により分析するガス(サンプル、サンプリングガス)9を抽出するガス抽出ユニット30を含む。ガス抽出ユニット30は、溶湯清浄化ユニット10、溶湯清浄化ユニット10から保持炉21に溶湯5を供給する供給ライン18、保持炉21、および金型22の注入口の各々に設けられている。ガス抽出ユニット30は、設置された各々のユニットの溶湯5との間に界面6を介してガス領域(ヘッドスペース)7を形成する。ガス抽出ユニット30の一例はチャンバーまたはバッファであり、内部に溶湯5を循環させて湯面(界面)6を形成することができる。ガス抽出ユニット30はポーラスな部材、たとえば、ポーラスなセラミックチューブを含んでいてもよい。セラミックチューブの中を溶湯5が通過することにより、ポーラスな壁面が界面6となり、チューブの外側にガス領域7を形成できる。ガス抽出ユニット30はユニット内部に配置してもよく、たとえば、溶湯清浄化ユニット10の溶湯5の内部に泡だまりを作り、その泡だまりをガス領域7としてガス9を採取するようにしてもよい。
ガス抽出ユニット30から採取されたガス9を分析する品質管理ユニット(溶湯品質推定装置)50は、ガスセンサー60と、採取されたガス9をガスセンサー60に供給するサンプリングユニット70と、制御ユニット80とを含む。ガスセンサー60の一例はイオン移動度センサーである。典型的なイオン移動度センサーは、フィールド非対称性イオン移動度分光計(FAIMS、Field Asymmetric waveform Ion Mobility Spectrometry、フィールド非対称質量分析計、またはDIMS、Differential Ion Mobility Spectrometry)装置である。ガスセンサー60は、光イオン化センサー、ナノチューブ薄膜ガスセンサー、半導体ガスセンサーなどであってもよい。以下では、ガスセンサーとしてFAIMSを用いた例を説明する。
FAIMS技術では、測定対象となる化学物質をイオン化し、イオン移動度が化学物質毎にユニークである性質を利用する。測定においては、電界を形成する機能を含むイオン移動度センサー(FAIMS)60にサンプル(サンプリングガス)9を供給し、または、サンプルガス9とキャリア・ガス(バッファガス)とを供給し、電界を制御する差動電圧(DF、DispersionField、Vd電圧、交流電圧、電界電圧Vrf)と補償電圧(CV、CompensationVoltage、Vc電圧、補償電圧、直流電圧)を変化させて、高電界と低電界とを非対称に交互に切り替える。FAIMSにおいては、目標外の化学物質は飛行途中で、電界を生成させる電極(プレート)に衝突して+イオン或いは−イオンを失い検出されない。検出目標のイオン化された化学物質は、差動電圧DFと補償電圧CVの条件が適切に制御されれば、検出器まで到達するのでイオン電流として検出される。
FAIMS60は、目標化学物質(測定対象、オブジェクト)をイオン化するイオン化ユニット61と、イオン化された測定対象に電場の影響を与えながら移動させるドリフトチャンバ62と、ドリフトチャンバ62を通過したイオン化された測定対象(測定対象の電荷)を検出する検出器63とを含む。ドリフトチャンバ62においては、ソフトウェア制御される差動電圧DFおよび補償電圧CVにより特定の周期でプラス・マイナスが変動する電界が形成される。その電界のフィルタリング効果により、検出目標の化学物質がフィルタリングされ、短期間、たとえば、msecレベルで検出器63に衝突し、電流として測定される。
FAIMS60の一例はオウルストーン(Owlstone)社製のセンサーであり、イオン化ユニット61には、Ni63(555MBqのβ線源、0.1μSv/hr)が使用されている。イオン化ユニット61は、UV(紫外線)を用いたもの、コロナ放電を用いたものなどであってもよい。
制御ユニット80は、センサー60を制御するドライバ81を含む。センサー60には、ドライバ81から測定条件が送られる。測定条件には、差動電圧DFと補償電圧CVとが含まれる。ドライバ81は、センサー60からサンプリングガス9に関するデータ(測定データ、IMSデータ)85を取得する。IMSデータ85の一例は、特定の差動電圧DFにおける補償電圧CVの変動に対応して変化する電流(検出装置63により検出される電流)Iにより表わされるスペクトル(ガス質パターン)である。IMSデータ85は、上記のスペクトルの特徴点をサンプリング(抽出)したデータであってもよく、複数の差動電圧DFのスペクトルを含む多次元スペクトルであってもよい。ドライバ81は、さらに、センサー60の測定環境の情報85eを取得する。環境情報85eには温度、湿度、圧力、流量などが含まれる。センサー60は、これらの環境情報を取得するための環境センサー(温度センサー、湿度センサーなど)69を含む。
サンプリングガス9をFAIMS60に供給するサンプリングユニット70は、サンプリングガス9の採取先を切り替えるバルブステーション71と、吸引用のポンプ72と、サンプリングガス9の吸引量を制御する排気ライン73と、サンプリングガス9と混合することによりFAIMS60に対し、測定に適した濃度および流量のガスを供給する混合器74と、キャリアガス79の供給ライン75とを含む。ポンプ72の上流および混合器74のキャリアガス側の上流には異物を取り除くパーティクルフィルタ76が設置されている。
典型的なキャリアガス79は空気であり、供給ライン75のガスソース75aは、エアードライア、レギュレータ、スクラバなどのガス浄化機能を含む。キャリアガス79は、窒素、アルゴンなどの不活性ガスであってもよい。キャリアガス79は、分析対象となるターゲット組成に対してピーク分離などに有効な成分を含むドーパントであってもよい。
排気ライン73は、分岐用のティーコネクタ73aと、バッファ73bと、流量制御用のマスフローコントローラ(MFC)77とを含む。FAIMS60に供給されるサンプリングガス9の濃度は、排気ライン73のMFC77と、キャリアガスライン75のMFC77とにより、それぞれのガスの通過量を制御することにより決定される。
制御ユニット80は、FAIMS60の制御を行うドライバ81と、サンプリングユニット70を通過するガス量を制御するフロー制御ユニット82と、溶湯5の品質に関するコンテンツを出力する評価ユニット84とを含む。フロー制御ユニット82は、典型的にはMFC77およびポンプ72を制御してFAIMS60に供給されるサンプリングガス9の濃度および流量を調整する。評価ユニット84は、バルブステーション71を制御してサンプリングガス(サンプル)9の採取先を制御する機能86と、ドライバ81を介してIMSデータ85を取得する機能87と、IMSデータ85を解析して溶湯5の品質に関するコンテンツ91を生成および出力する機能88とを含む。
評価ユニット84を含む制御ユニット80は、CPUなどの演算処理ユニットおよびメモリを含むハードウェア資源と、プログラムなどのソフトウェア資源とを用いて構成される。制御ユニット80は、チップあるいはボードとして品質管理ユニット50に組み込まれていてもよく、パーソナルコンピュータにより実現されてもよく、インターネットあるいはイントラネットなどを介して品質管理ユニット50に接続されたサーバーなどの資源を用いて実現されてもよい。
コンテンツ91の一例はサンプルガス9のスペクトル(ガス質パターン)を含むIMSデータ85と評価結果とを含むものである。評価ユニット84は、溶湯5の品質の判断に関するデータが格納されたライブラリ95と、コンテンツ91をサンプル先およびサンプリング時刻などの関連データを付して格納する履歴データベース90とを含む。履歴データベース90を参照することにより、製造された製品23に使われた溶湯5の各段階における品質を確認することができる。ライブラリ95は、予め得られたガスセンサーの測定結果(IMSデータ85)と溶湯の品質との相関関係を示すデータが含まれていてもよく、コンテンツ91は、予め得られたガスセンサーの測定結果と溶湯の品質との相関関係に基づき推定された溶湯の品質を含んでいてもよい。
図2に、溶湯清浄化ユニット10において清浄化処理中の溶湯5を採取し、溶湯5の表面に接する空気層(ガス領域)から採取したサンプリングガス9を、サンプリングユニット70を介してFAIMS60に導いて得られたIMSデータ(ガス質パターン、空気質パターン)85を示している。溶湯5は、Al−Si−Cu系の合金であるADC12の溶湯であり、溶湯清浄化ユニット10では不活性気体13としてアルゴンガスを用いた。また、キャリアガス79としては乾燥空気を用いた。
図2(a)は清浄化処理(以降では処理)前の溶湯5に関するIMSデータ85aである。溶湯5に接する空気層をFAIMS60で測定したところ、キャリアガスである空気のIMSデータに見られるピーク(RIP、第1のピーク)P1に加え、空気のIMSデータでは見られないピーク(第2のピーク)P2が含まれていることが分かった。そのため、第2のピークP2が比較的明瞭に観察される差動電圧DFに固定(DF=60)し、補償電圧CVを変えて、処理時間毎の溶湯5に関するIMSデータ(空気質パターン)85b〜85dを取得した。
図2(b)は処理時間が1分の溶湯5に関するIMSデータ85bであり、図2(c)は処理時間が5分の溶湯5に関するIMSデータ85cであり、図2(d)は処理時間が10分の溶湯5に関するIMSデータ85dである。それぞれのIMSデータ85a〜85dには、空気質パターンに見られるピーク高さがほぼ一定の第1のピーク(RIP)P1に加え、処理時間に連動してピーク高さが減少する第2のピークP2が含まれていることが分かる。第2のピークP2は、溶湯清浄化中に測定されたガスなので有機系ガスまたは水素ガスであると想定される。イオン移動度センサーでは、間接イオン化を採用したり、直接イオン化においてはイオン化エネルギーを十分に高くしたり、クラスター化することにより水素および有機系ガスが測定される。
図3に、図2に示したIMSデータ85a〜85dのピークP2のイオン電流が0.3以上の形状を拡大して示している。また、図4に、図3に示した各IMSデータ85a〜85dのピークP2の面積比(実線)101を、処理時間に対し、処理前のIMSデータ85aのピークP2の面積を100として示している。また、図4には、処理時間に対するK−モールド試験により得られる平均的なK値の変化(一点鎖線)102を示している。K値は、K−モールド試験に用いられるKモールドの破面で観察される全介在物数と観察試片数に対する割合を示し、ランクB(K値が0.1〜0.5)が鋳造可能、ランクA(K値が0.1以下)が鋳造に最も適した範囲と言われている。
図4に示したピークP2の面積比101の変化と、K値102の変化との間には相関が見られる。たとえば、処理時間が1〜2分の間に、ピークP2の面積比101と、K値102とはともに急激に減少している。処理時間が2分以降においては、ピークP2の面積比101とK値102とはほぼ緩やかに減少している。特に、処理時間が2分以降においては、K値102はほぼ一定で、ランクBからランクAに緩やかに低下しているが変動幅は小さいのに対し、ピークP2の面積比101の変化は大きい。したがって、ピークP2の値(変化)は、K値102よりも、溶湯5における介在物の存在に対して、いっそう敏感であり、溶湯5に含まれる介在物の量を、より精度よく評価できる可能性がある。すなわち、溶湯清浄化処理によって、水素ガスが抜けるので、ガス領域の水素量を測定することにより、溶湯品質を推定できる可能性がある。
品質管理ユニット50のライブラリ95にはFAIMS60により溶湯5を評価するために要する情報が格納される。ライブラリ95に格納される情報としては、溶湯5の材料(合金)の組成に対応して表れるピークP2を測定するために適した差動電圧DF、ピークP2の位置(補償電圧CVの値)、K値のランクAまたはBなどに対応して溶湯5の品質を評価するためのピークP2の特性(高さ、面積、半値幅など)、キャリアガス79の特徴的なピークP1との相対的な関係(位置、高さ)などを挙げることができる。
評価ユニット84は、ライブラリ95に格納された情報を参照し、FAIMS60から得られるIMSデータ85からピークP2を分離し、その特徴から溶湯5の品質を評価してもよい。評価ユニット84は、IMSデータ85に含まれる他のピーク、たとえば、キャリアガス79が空気であればRIPのピークP1とのピークP2との相対的な評価により溶湯5の品質を評価してもよい。さらに、評価ユニット84は、スペクトルデータであるIMSデータ85に、予定されているピーク、たとえばピークP1、ピークP2の他にピークが見られるか否かを合わせて、溶湯5の異常の有無を評価してもよい。また、評価ユニット84は、定期的に差動電圧DFを変化させて、所定の差動電圧DF以外の電圧で検出されるピークの有無から、溶湯5の状態や、鋳造システム1に含まれる各ユニットの運転状況、たとえば、何らかの異常の有無を評価してもよい。
図5に、鋳造システム1において、製品を成形する過程を、溶湯5の品質の評価を中心に示している。ステップ121において、品質管理ユニット50は、バルブステーション71を切り替えて、鋳造システム1の溶湯5から得られるサンプル(サンプリングガス)9の中から測定するガス9を選択する。ステップ122において、品質管理ユニット50は、選択されたガス9をFAIMS60に供給して測定し、ステップ123において、測定されたIMSデータ85に基づき溶湯5の品質を評価(推定)する。ステップ124において、品質管理ユニット50は、取得されたIMSデータ85および評価結果を含むコンテンツ91を履歴データベース90に格納する。ステップ125において、鋳造システム1において処理され、ダイカストマシン20に供給される溶湯5の品質が鋳造に適した品質であると判断されると、ステップ126において製品が成形(製造)される。製品に使用された溶湯5の、鋳造システム1の各段階における品質が履歴データベース90に保持される。
図5に示した製品を成形する過程(鋳造方法)は、ステップ122およびステップ123を含む溶湯品質推定方法を含む。ステップ123は、予め得られたガスセンサーの測定結果(IMSデータ)と溶湯の品質との相関関係に基づき溶湯の品質を推定することを含んでいてもよい。
このように鋳造システム1においては、溶湯5と界面6を挟んで平衡状態にあるガス領域7のガス9をFAIMS60により測定し、溶湯5の品質を評価する。したがって、鋳造システム1に存在する溶湯5の状態を、リアルタイムに、またはそれに近い状態で、連続して、またはそれに近い状態で、さらに、溶湯5の全量またはそれに近い量を検査することができる。品質管理ユニット50における溶湯5の評価は、K−モールド試験を並列に行うことにより随時確認することが可能である。
なお、上記では、鋳造システム1の予め決められた場所に複数のガス抽出ユニット30を設置し、品質管理ユニット50がガス抽出ユニット30から得られるサンプル9を選択して評価しているが、各ガス抽出ユニット30と品質管理ユニット50とを一体的に設けることも可能である。また、ガスサンプリング用の吸引口を含む携帯可能な品質管理ユニット50により、鋳造システム1に含まれる溶湯5と平衡状態にあるガスを任意の位置で測定し、溶湯5の品質を評価してもよい。
また、上記では、金型を用いて製品を製造するダイカストマシンを含む鋳造システム1を例に説明しているが、鋳型を用いた製造システムであっても同様に溶湯の管理は可能である。さらに、管理または評価の対象となる溶湯は、上述したアルミニウム合金に限らず溶湯中のガス、介在物などが製品の品質・特性に影響を与える可能性があり、溶湯の清浄化処理が行われる他の軽金属合金の溶湯であってもよい。
1 アルミニウム合金製の製品を製造するシステム
50 品質管理ユニット

Claims (15)

  1. 軽合金の溶湯と界面を介して接するガス領域の特定のガスの量を、イオン移動度センサーを含むガスセンサーにより測定することと、
    前記ガスセンサーの測定結果に基づき、前記溶湯の品質を推定することとを含む、方法。
  2. 請求項1において、
    前記特定のガスは、有機系ガスまたは水素ガスを含む、方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記測定することは、溶湯処理中の前記溶湯と界面を介して接するガス領域を測定の対象とすること、
    鋳型または金型に搬送中または注入中の前記溶湯と界面を介して接するガス領域を測定の対象とすること、および
    鋳型または金型に注入後の前記溶湯と界面を介して接するガス領域を測定の対象とすることの少なくともいずれかを含む、方法。
  4. 請求項1ないしのいずれかにおいて、
    前記測定することは、前記ガス領域からサンプリングしたサンプリングガスを直にまたはキャリアガスにより濃度調整した状態で前記ガスセンサーに供給することを含む、方法。
  5. 請求項1ないしのいずれかにおいて、
    前記推定することは、予め得られた前記ガスセンサーの測定結果と溶湯の品質との相関関係に基づき溶湯の品質を推定することを含む、方法。
  6. 請求項1ないしのいずれかにおいて、
    前記推定することは、前記ガスセンサーにより得られた前記ガス領域のガス質を示す前記イオン移動度センサーから出力されたスペクトルを評価することを含む、方法。
  7. 請求項において、
    前記測定することは、前記溶湯の表面が空気に接することを含み、
    前記推定することは、前記ガスセンサーにより得られた前記ガス領域の空気質を示す前記イオン移動度センサーから出力されたスペクトルを評価することを含む、方法。
  8. 請求項6または7において、
    前記イオン移動度センサーは、交流型の差動電圧および直流型の補償電圧を変化させて前記ガス質パターンを取得するイオン移動度センサーであり
    前記推定することは、予め定められた少なくとも1つの差動電圧における前記ガス質を示す前記イオン移動度センサーから出力されたスペクトルを評価することを含む、方法。
  9. 請求項1ないしのいずれかにおいて、
    品質が推定された前記溶湯を用いて鋳型または金型により製品を成形することを含む、方法。
  10. イオン移動度センサーを含むガスセンサーと、
    軽合金の溶湯と界面を介して接するガス領域のガスサンプルを前記ガスセンサーに供給するサンプリングユニットと、
    前記ガスセンサーによる特定のガスの量の測定結果に基づき前記溶湯の品質に関連するコンテンツを出力するユニットとを有する装置。
  11. 請求項10において、
    前記サンプリングユニットは、前記ガス領域のサンプルをキャリアガスにより濃度調整した状態で前記ガスセンサーに供給するユニットを含む、装置。
  12. 請求項10または11において、
    前記コンテンツは、予め得られた前記ガスセンサーの測定結果と溶湯の品質との相関関係に基づき推定された溶湯の品質を含む、装置。
  13. 請求項10または11において、
    前記コンテンツは、前記ガスセンサーにより得られた前記ガス領域のガス質を示す前記イオン移動度センサーから出力されたスペクトルを含む、装置。
  14. 請求項13において、
    前記コンテンツは、前記ガスセンサーにより得られた前記ガス領域の空気質を示す前記イオン移動度センサーから出力されたスペクトルを含む、装置。
  15. 請求項10ないし14のいずれかにおいて、
    溶湯処理ユニット、前記溶湯処理装置から鋳型または金型に搬送または注入するユニット、および前記鋳型または前記金型の少なくともいずれかをさらに有し、
    前記サンプリングユニットは、前記溶湯処理ユニットのガス領域、前記搬送または注入するユニットのガス領域、および前記鋳型または前記金型のガス領域の少なくともいずれかに接続されたガス抽出ユニットからサンプルを採取するラインを含む、装置。
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