JP6300204B2 - 高分子化合物、有機半導体材料、光電変換素子及びトランジスタ - Google Patents

高分子化合物、有機半導体材料、光電変換素子及びトランジスタ Download PDF

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Description

本発明は、高分子化合物と、この高分子化合物を含有する有機半導体材料、光電変換素子、及びトランジスタに関する。
特許文献1及び2には、光電変換素子やトランジスタに用いられる有機半導体材料として利用可能な高分子化合物が開示されている。
国際公開第2013/015298号パンフレット 国際公開第2013/073581号パンフレット
本発明者らは、光電変換素子やトランジスタに用いられる高分子化合物について鋭意研究を重ねた結果、従来の高分子化合物には、光電変換素子やトランジスタの性能向上を図る上で改善の余地があることを見いだした。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、光電変換素子やトランジスタの性能を向上させる技術を提供することにある。
本発明のある態様は、高分子化合物である。当該高分子化合物は、下記式(1)で表される構造を有する。
Figure 0006300204
[式(1)中、R及びRは独立に、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基のいずれかである。nは1より大きい。Aは下記式(2)〜(4)で表される構造のいずれかである。複数のR、R及びAは、それぞれ同一でも異なってもよい。]
Figure 0006300204
[式(2)中、mは1以上である。R及びRは独立に、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基のいずれかである。Xは、O、S、Seのいずれかである。mが1より大きい場合、複数のR、R及びXは、それぞれ同一でも異なってもよい。]
Figure 0006300204
[式(3)中、R及びRは独立に、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基のいずれかである。X及びXは独立に、O、S、Seのいずれかである。]
Figure 0006300204
[式(4)中、R及びRは独立に、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基のいずれかである。X及びXは独立に、O、S、Seのいずれかである。]
本発明の他の態様は、有機半導体材料である。当該有機半導体材料は、上記態様の高分子化合物を含有する。
本発明のさらに他の態様は、光電変換素子である。当該光電変換素子は、上記態様の高分子化合物を含有する光電変換層を有する。
本発明のさらに他の態様は、トランジスタである。当該トランジスタは、上記態様の高分子化合物を含有する半導体層を有する。
本発明によれば、光電変換素子やトランジスタの性能を向上させる技術を提供することができる。
光電変換素子の概略構造の一例を示す断面図である。 図2(A)〜図2(C)は、図1に示す光電変換素子の製造方法を示す工程断面図である。 図3(A)及び図3(B)は、図1に示す光電変換素子の製造方法を示す工程断面図である。 トランジスタの概略構造の一例を示す断面図である。 実施例で作製した光電変換素子の概略構造を示す断面図である。 実施例1の光電変換素子における電流密度−電圧特性を示すグラフである。 実施例で作製したボトムゲート・トップコンタクト型トランジスタ素子の概略構造を示す断面図である。 図8(A)は、実施例で作製したボトムゲート・トップコンタクト型トランジスタ素子の伝達特性を示すグラフである。図8(B)は、実施例で作製したボトムゲート・トップコンタクト型トランジスタ素子の出力特性を示すグラフである。 実施例で作製したトップゲート・ボトムコンタクト型トランジスタ素子の概略構造を示す断面図である。 図10(A)は、実施例で作製したトップゲート・ボトムコンタクト型トランジスタ素子の伝達特性を示すグラフである。図10(B)は、実施例で作製したトップゲート・ボトムコンタクト型トランジスタ素子の出力特性を示すグラフである。 図11(A)は、実施例で作製したトップゲート・ボトムコンタクト型トランジスタ素子の伝達特性を示すグラフである。図11(B)は、実施例で作製したトップゲート・ボトムコンタクト型トランジスタ素子の出力特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
(高分子化合物)
本実施の形態に係る高分子化合物は、下記式(1)で表される構造を有する重合体である。
Figure 0006300204
[式(1)中、R及びRは独立に、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基のいずれかである。nは1より大きい。またnは1より大きい整数であってもよい。Aは下記式(2)〜(4)で表される構造のいずれかである。複数のR、R及びAは、それぞれ同一でも異なってもよい。]
Figure 0006300204
[式(2)中、mは1以上である。またmは1以上の整数であってもよい。R及びRは独立に、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基のいずれかである。Xは、O原子、S原子、Se原子のいずれかである。mが1より大きい場合、複数のR、R及びXは、それぞれ同一でも異なってもよい。]
Figure 0006300204
[式(3)中、R及びRは独立に、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基のいずれかである。X及びXは独立に、O原子、S原子、Se原子のいずれかである。]
Figure 0006300204
[式(4)中、R及びRは独立に、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基のいずれかである。X及びXは独立に、O原子、S原子、Se原子のいずれかである。]
本実施の形態に係る高分子化合物は、第1部分とこれに結合する第2部分とで構成される構成される構造を、繰り返し単位として有する。第1部分は、2つのベンゾオキサジアゾールが縮合したヘテロ芳香環であるナフトビスオキサジアゾール(NOz)に、NOzを挟んで2つのチオフェン環が結合した構造を有する。第2部分は、第1部分の一方のチオフェン環に結合した、単環あるいは縮合多環のヘテロ環からなる。すなわち、第2部分は、式(1)における「A」に対応し、前記「単環あるいは縮合多環のヘテロ環」は式(2)〜(4)で表される構造に対応する。
第1部分における一方(式(1)における左側)のチオフェン環に結合するRと、他方(式(1)における右側)のチオフェン環に結合するRとは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基からなる群から選択される。
直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、シクロアルキル基等が挙げられる。具体例は後述する。芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜14の単環式又は多環式の芳香族炭化水素が挙げられる。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、ベンジル基等である。直鎖状、分岐鎖状又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、シクロアルキル基等の脂肪族炭化水素基の一部にヘテロ原子を含むものが挙げられる。このヘテロ原子は、炭素原子及び水素原子以外の原子であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。芳香族複素環基としては、環構成原子としてヘテロ原子を1つ以上含む、単環式又は多環式の芳香族炭化水素基が挙げられる。このヘテロ原子は、炭素原子以外の原子であり、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。芳香族複素環基の具体例としては、例えばピリジル基、チエニル基、フリル基、ピリダジニル基等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(具体的には、フッ素、塩素、臭素等)、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルカルボニル基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。また、上記脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、芳香族複素環基は、エーテル結合(−O−)、カルボニル基(−C(=O)−)等を有していてもよい。
特に、キャリア移動度や光電変換効率を向上させる観点から、R及びRは、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、置換基を有しない直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、置換基を有しない分岐鎖状アルキル基であることがさらに好ましい。
及びRが分岐鎖状アルキル基である場合、この分岐鎖状アルキル基の炭素数は、好ましくは3〜36であり、より好ましくは5〜30であり、さらに好ましくは8〜27である。当該範囲において、分岐鎖状アルキル基の炭素数の下限を上げる(8に近づける)ことで、溶媒に対する高分子化合物の溶解性をより確保しやすくすることができ、スピンコート法による均一な薄膜を形成しやすくすることができる。また、分岐鎖状アルキル基の炭素数の上限を下げる(27に近づける)ことで、高分子化合物の塗布性の低下を抑制しやすくすることができ、均一且つ厚い膜(例えば200〜300nm)を形成しやくすることができ、これにより結晶性をより高めることができ、良好なキャリア移動度を実現することができる。分岐鎖状アルキル基の具体例としては、(2−エチル)へキシル基、(2−へキシル)デシル基、2−(デシル)テトラデシル基などを挙げることができる。
また、R及びRが直鎖状アルキル基である場合、この直鎖状アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜36であり、より好ましくは4〜24であり、さらに好ましくは6〜20である。直鎖状アルキル基の炭素数が当該範囲であることが好ましい理由は、分岐鎖状アルキル基の場合と同様である。直鎖状アルキル基の具体例としては、へキシル基、オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基などを挙げることができる。R及びRがシクロアルキル基である場合、炭素数は好ましくは3〜8である。シクロアルキル基の炭素数が当該範囲であることが好ましい理由は、分岐鎖状アルキル基の場合と同様である。シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルなどが挙げられる。
第2部分を構成する上記式(2)、(3)及び(4)で表されるヘテロ環に結合するR、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基からなる群から選択される。各基の具体例や炭素数の範囲は、上記式(1)のR及びRと同様である。また、これらの脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、芳香族複素環基が有していてもよい置換基の具体例もR及びRと同様である。
高分子化合物の数平均分子量は、ポリスチレン換算で10000以上200000以下であることが好ましい。高分子化合物の数平均分子量を10000以上とすることで、高分子化合物の塗布性の低下を抑制して、均一な膜を形成しやすくすることができる。また、高分子化合物同士の配光性を高めて、高分子化合物が有する高キャリア移動度をより確実に発現させることができる。また、高分子化合物の数平均分子量を200000以下とすることで、溶媒に対する高分子化合物の溶解性をより確実に確保でき、均一な膜を形成しやすくすることができる。数平均分子量は、ポリスチレン標準試料を適用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定することができる。また、数平均分子量は、例えば東ソー社製HLC−8121GPC/HTを用いて測定することができる。
本実施の形態に係る高分子化合物は、光電変換素子の光電変換層やトランジスタの半導体層を形成するための有機半導体材料として用いることができる。高分子化合物は、ナフトビスオキサジアゾール骨格を備えており、この骨格は電子欠損性(アクセプター性)を有する縮合環である。したがって、高分子化合物は、ドナー・アクセプター型の骨格を有する半導体であり、良好な電子移動度及びホール移動度を示す。このため、高分子化合物は、n型有機半導体材料(電子輸送性半導体)、両極性有機半導体材料(アンビポーラー性半導体)、及びp型有機半導体材料(ホール輸送性半導体)として用いることができる。
また、ナフトビスオキサジアゾール骨格にチオフェン環が結合していること、チオフェン環が分岐鎖状アルキル基等の置換基(R、R)を有すること、当該置換基がチオフェン環におけるナフトビスオキサジアゾール骨格から離れた側に結合していること、及び、単環あるいは縮合多環のヘテロ環からなる第2部分を有することなどから、高分子化合物の立体障害が緩和される。このため、高分子化合物の平面性が保たれやすい。したがって、この高分子化合物を有機半導体材料として用いて半導体層を形成した際の結晶性が高くなり、良好なキャリヤ移動度を示すことができる。よって、上述した高分子化合物を光電変換素子の光電変換層やトランジスタの半導体層の形成に用いることで、光電変換素子やトランジスタの性能を向上させることができる。
(光電変換素子)
図1は、実施の形態に係る光電変換素子の概略構造を示す断面図である。本実施の形態の光電変換素子10は、上述した高分子化合物を含有する光電変換層を備える有機薄膜太陽電池である。
光電変換素子10は、基材20、第1の電極30、正孔輸送層40、光電変換層50、電子輸送層60及び第2の電極70を備える。第1の電極30は、光電変換層50の一方の主表面側に設けられる。第2の電極70は、光電変換層50の他方の主表面側、すなわち第1の電極30が設けられる側とは反対の主表面側に設けられる。よって、光電変換素子10は、第1の電極30及び第2の電極70のいずれか一方の電極の上に光電変換層50が積層され、光電変換層50の上に他方の電極が積層された構造を有する。前記「の上に積層」は、光電変換層50と電極との間に正孔輸送層40あるいは電子輸送層60等が介在した状態で積層される場合だけでなく、光電変換層50及び電極が互いの表面上に直に積層される場合を含む。
本実施の形態では、第1の電極30は正極、すなわち正孔取出電極であり、光電変換層50と電気的に接続される。第1の電極30は、光電変換層50の受光面側に位置しており、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO、FTO(Fluorine doped Tin Oxide)、ZnO、AZO(Aluminum doped Zinc Oxide)、IZO(Indium doped Zinc Oxide)等の導電性金属酸化物や、金、銀、銅、アルミニウムなどの金属で形成される、薄膜やメッシュ、ストライプなどの形状を有する透明導電膜で構成される。
第1の電極30は、光電変換素子10の受光性能を阻害しないよう、光透過性を有する基材20の上に形成される。例えば、基材20には、無色あるいは有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、無色あるいは有色の透明性を有する樹脂が用いられてもよい。かかる樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。
正孔輸送層40は、第1の電極30と光電変換層50との間の領域に設けられる。正孔輸送層40は、光電変換層50から第1の電極30に正孔を移動させやすくする機能を担う。また、正孔輸送層40には、光電変換層50から第1の電極30に電子を移動させにくくする機能を持たせることもできる。正孔輸送層40は、例えばPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン、poly(ethylenedioxy)thiophene)/PSS(ポリスチレンスルフォネート、poly(styrenesulfonate))、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフラン、ポリピリジン、ポリカルバゾール等の導電性高分子、MoO、WO等の無機化合物、フタロシアニン、ポルフィリン等の有機半導体分子、及びこれらの誘導体や遷移金属錯体、トリフェニルアミン化合物やヒドラジン化合物等の電荷移動剤、TTF(テトラリアフルバレン)のような電荷移動錯体等の、正孔移動度が高い材料で形成される。正孔輸送層40の膜厚は特に限定されないが、1〜100nmが好ましく、5〜50nmがより好ましい。
光電変換層50はバルクヘテロ接合層であり、電子供与性を有するp型有機半導体52と、電子受容性を有しp型有機半導体52とバルクヘテロ接合を形成するn型有機半導体54とがナノレベルで混合されてなる。本実施の形態では、一例としてp型有機半導体52が上記式(1)で表される高分子化合物を含有する。
n型有機半導体54としては、フラーレン、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、化学修飾を施したカーボンナノチューブなどの炭素材料や、縮合環芳香族化合物、5〜7員のヘテロ環化合物、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等が挙げられる。n型有機半導体54は、好ましくはフラーレン、あるいはフラーレン誘導体である。
フラーレンとしては、C60、C70、C74、C76、C78、C80、C82、C84、C90、C96、C240、C540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ等を挙げることができる。フラーレン誘導体としては、上述したフラーレンに置換基が付加された化合物を挙げることができ、例えば、[60]PCBM(フェニルC61酪酸メチルエステル:PC61BM)、ビス[60]PCBM、ICMA(モノインデンニルC60)、ICBA(ビスインデンニルC60)、[70]PCBM(フェニルC71酪酸メチルエステル:PC71BM)等を挙げることができる。
縮合環芳香族化合物としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体等を挙げることができる。5〜7員のヘテロ環化合物は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有するヘテロ環化合物であって、例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等が例示される。
光電変換層50の膜厚は、特に限定されないが、5〜1000nm、好ましくは30〜500nm、より好ましくは50〜400nm、さらに好ましくは80〜300nmである。なお、上記式(1)で表される高分子化合物がn型有機半導体54に含有される場合、p型有機半導体52としては、ポリ−3−(へキシル)チオフェン(P3HT)などの従来公知のものを用いることができる。
電子輸送層60は、第2の電極70と光電変換層50との間の領域に設けられる。電子輸送層60は、光電変換層50から第2の電極70に電子を移動させやすくする機能を担う。また、電子輸送層60には、光電変換層50から第2の電極70に正孔を移動させにくくする機能を持たせることもできる。電子輸送層60は、電子移動度が高い材料で形成される。電子輸送層60に用いられる材料としては、本実施の形態の目的に合致していれば特に制限されないが、例えば、フェナントロリン、バソキュプロイン、ペリレン等の有機半導体分子及びこれらの誘導体や、遷移金属錯体などの有機物、LiF、CsF,CsO、CsCO、TiOx(xは0〜2の任意の数字)、ZnOなどの無機化合物、Ca、Baなどの金属を挙げることができる。電子輸送層60の膜厚は、特に限定されないが、例えば、0.01〜100nmが好ましく、0.1〜80nmがより好ましく、0.5〜50nmがさらに好ましい。
第2の電極70は負極、すなわち電子取出電極であり、光電変換層50の受光面とは反対側において光電変換層50と電気的に接続される。第2の電極70の材料は導電性を有していれば特に限定されないが、Au、Pt、Ag、Cu、Al、Mg、Li、Kなどの金属、あるいはカーボン電極などを用いることができる。第2の電極70は、真空蒸着法、電子ビーム真空蒸着法、スパッタリング法、溶媒に分散した金属微粒子を塗布し、溶媒を揮発除去する等の公知の方法で成膜することができる。
なお、以下に説明する実施例で作製した光電変換素子(図5参照)のように、正孔輸送層40及び電子輸送層60の位置は入れ替えられてもよい。すなわち、光電変換素子10は、光電変換層50と第1の電極30との間に電子輸送層60が設けられ、光電変換層50と第2の電極70との間に正孔輸送層40が設けられた、いわゆる逆層構造であってもよい。この場合、第1の電極30は負極、第2の電極70は正極となる。光電変換効率の観点からは、逆構造がより好ましい。また、正孔輸送層40、電子輸送層60のいずれか一方または両方が省略されてもよい。
光電変換素子10には紫外線をブロックする手段を組み込むことができる。紫外線をブロックする手段としては、素子を紫外線からブロックできれば特に限定されないが、紫外線吸収層や、紫外線反射層、紫外線を別の波長に変換する波長変換層などが挙げられる。紫外線をブロックする手段を設ける位置は、素子を紫外線からブロックできれば特に限定されない。紫外線をブロックする手段は、例えば、光照射側の基板表面に上述したような紫外線ブロック機能を有する層を設けることや、紫外線ブロック機能を有するフィルムを貼り付けること、光照射側基板として紫外線ブロック機能付のものを使用すること、光照射側基板と透明導電膜との間に紫外線ブロック機能を有する層を設けること、サブストレート構造(金属電極側から積層した構造)の素子の場合には封止材に紫外線ブロック機能を付与したものを使用すること等により実現することができる。ブロックする紫外線の波長領域としては、特に限定されないが、好ましくは330nm以下、より好ましくは350nm以下、さらに好ましくは370nm以下、さらに好ましくは390nm以下、さらに好ましくは400nm以下の波長領域である。紫外線ブロック手段における紫外線の透過率は、好ましくは10%以下、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。
(光電変換素子の製造方法)
図2(A)〜図2(C)、図3(A)及び図3(B)は、実施の形態に係る光電変換素子の製造方法を示す工程断面図である。以下、実施の形態に係る光電変換素子の製造方法を図2(A)〜図3(B)を参照して説明する。
まず、図2(A)に示すように、ガラス基板などの基材20の一方の面に、ITOの成膜等により第1の電極30を形成する。次に、図2(B)に示すように、第1の電極30の表面を被覆するように正孔輸送層40を積層する。正孔輸送層40の形成方法は特に限定されないが、例えばスピンコート法により正孔輸送層40を成膜する方法が挙げられる。
次に、図2(C)に示すように、正孔輸送層40の表面に光電変換層50を形成する。具体的には、まず、上記式(1)で表される高分子化合物で構成されるp型有機半導体52と、n型有機半導体54とを、クロロベンゼンなどの溶媒に溶解させた混合溶液を用意する。そして、正孔輸送層40の表面に、混合溶液をスピンコート法などによって成膜する。その後、成膜された混合溶液を乾燥させる。この結果、溶液中の溶媒が除去される。これにより、正孔輸送層40の上に光電変換層50が形成される。上記式(1)で表される高分子化合物の合成方法は、以下の実施例で説明する。
次に、図3(A)に示すように、光電変換層50の表面に、LiFの蒸着等により電子輸送層60を成膜する。さらに、図3(B)に示すように、電子輸送層60の表面に、Agの蒸着等により第2の電極70を形成する。これにより、電子輸送層60の上に第2の電極70が積層される。以上の工程により、光電変換素子10を形成することができる。
(トランジスタ)
図4は、実施の形態に係るトランジスタの概略構造を示す断面図である。本実施の形態のトランジスタ100は、上述した高分子化合物を含有する半導体層を備える有機薄膜トランジスタである。ここでは、ボトムゲート・トップコンタクト型のトランジスタを例に、本実施の形態のトランジスタについて説明する。
トランジスタ100は、基板120、ゲート電極130、ゲート絶縁膜140、半導体層150、ソース電極160及びドレイン電極170を備える。基板120は、公知の材料からなるものを用いることができる。例えば、基板120には、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリイミドフィルム、これらのポリマーを極薄ガラスに貼り合わせたもの、セラミック、シリコン、石英、ガラス等を用いることができる。
ゲート電極130は、基板120の一方の表面側に設けられる。ゲート電極130は、例えばCr、Al、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、In、NiあるいはNdなどの金属材料やこれらの合金材料、あるいはカーボン材料、導電性高分子等の公知の導電性材料で構成することができる。ゲート電極130の厚さは特に限定されないが、10〜50nmが好ましい。なお、以下に説明する実施例で作製したトランジスタ(図7参照)のように、基板120とゲート電極130とは、例えば高濃度にドーピングされたシリコン基板等で一体的に構成されてもよい。
ゲート絶縁膜140は、基板120及びゲート電極130の上に積層される。ゲート絶縁膜140によってゲート電極130は被覆される。ゲート絶縁膜140を構成する材料としては、必要な絶縁効果が得られれば特に制限されないが、例えば、SiO、Si、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びCYTOP(登録商標)等のフッ素ポリマー系絶縁材料、ポリエステル絶縁材料、ポリカーボネート絶縁材料、アクリルポリマー系絶縁材料、エポキシ樹脂系絶縁材料、ポリイミド絶縁材料、ポリビニルフェノール樹脂系絶縁材料、ポリパラキシリレン樹脂系絶縁材料などが挙げられる。ゲート絶縁膜140の基板120と反対側の表面には、表面処理が施されてもよい。例えば、シリコン酸化膜(SiO膜)の表面に、パーフルオロデシルトリクロロシラン(FDTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、あるいはオクタデシルトリクロロシラン(ODTS)などが塗布されてもよい。ゲート絶縁膜140の厚さは特に限定されないが、例えば10〜400nmが好ましく、20〜200nmがより好ましい。
半導体層150は、ゲート絶縁膜140の上に積層される。半導体層150は、有機半導体材料として上記式(1)で表される高分子化合物を含有する。半導体層150は、高分子化合物のみからなる層であっても、高分子化合物とポリマーバインダー等の公知の添加剤等とを含有する層であってもよい。半導体層150の厚さは特に限定されないが、例えば10〜400nmが好ましく、10〜200nmがより好ましい。
ソース電極160及びドレイン電極170は、半導体層150のゲート絶縁膜140とは反対側の表面上に、互いに離間して配置される。ソース電極160及びドレイン電極170を構成する材料としては、ゲート電極130と同じものを挙げることができる。
トランジスタ100は、従来公知の方法で製造することができる。例えば、基板120の一方の表面における一部に、Alの蒸着等によってゲート電極130が設けられる。次いで、基板120のゲート電極130が設けられた側の表面に、ゲート絶縁膜140が積層される。続いて、ゲート絶縁膜140の表面にスピンコート法などにより半導体材料が塗布され、半導体層150が形成される。その後、半導体層150の表面上に、Auの蒸着等によりソース電極160とドレイン電極170とが設けられる。以上の工程により、トランジスタ100を形成することができる。
トランジスタ100の構造は、上述したボトムゲート・トップコンタクト型に限定されず、以下に説明する実施例で作製したトランジスタ(図9参照)のように、トップゲート・ボトムコンタクト型であってもよく、またその他の公知の型であってもよい。
以上説明したように、本実施の形態に係る高分子化合物は、上記式(1)で表される、ナフトビスオキサジアゾールの両端にチオフェン環が結合してなる第1部分と、当該第1部分に結合したヘテロ環からなる第2部分とで構成される構造を有する。これにより、高分子化合物は、従来の高分子化合物に比べて高い結晶性を有し、良好なキャリア移動度を示すことができる。このため、本実施の形態に係る高分子化合物を、光電変換層を形成する有機半導体材料として用いることで、光電変換素子の性能を向上させることができる。また、この高分子化合物を半導体層を形成する有機半導体材料として用いることで、トランジスタの性能を向上させることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
<高分子化合物の合成>
まず、高分子化合物P1〜P6における第1部分となる化合物5a,5bを合成した。下記反応スキームは、化合物5a,5bの合成経路を示している。
Figure 0006300204
(化合物1の合成)
まず、2,6−ジアミノ−1,5−ジニトロナフタレン(上記反応スキームにおける化合物1)を用意した。化合物1は、例えばK. Imai et al., Macromolecules, 6(2), 158-162 (1973)を参考にして合成することができる。
(化合物2の合成)
次に、300mlの三口フラスコに、化合物1(5.0g、20.1mmol)、テトラブチルアンモニウムブロマイド(0.65g、2.02mmol)、85%水酸化カリウム(5.3g、80.3mmol)、水(13.5g)、塩化メチレン(100ml)を投入した。そして、三口フラスコ内に、室温で10%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(96.0g、129.0mmol)を滴下した。得られた溶液を室温で30分間撹拌した後、還流するまで昇温し、その後2時間撹拌した。
反応液を濃縮し、エタノール水溶液でスラリー化した。得られたスラリーを冷却した後に固体をろ取し、乾燥した。得られた固体は3.59gであった。得られた固体の一部(3.22g)とエタノール(80ml)を混合した。混合物を0〜5℃に冷却し、さらにヒドロキシルアミン塩酸塩(3.67g、52.8mmol)と水とを混合した。その後、85%水酸化カリウム(7.41g、112.3mmol)を水(16ml)に溶解して、これを混合物に添加した。そして、混合物を還流するまで昇温し、その後3時間撹拌した。続いて、混合物に水を添加し0〜5℃まで冷却して、反応物をろ取した。得られた反応物の粗体をクロロホルムに溶解し、活性炭処理を施した後、濃縮して50%エタノール水でスラリー化した。スラリーを0〜5℃に冷却後、固体をろ取し乾燥することで、化合物2(2.04g、9.63mmol、収率53%)を得た。得られた化合物2の物性データは、次の通りである。
EI-MS (70 eV) m/z 212 (M+). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.52 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 8.09 (d, 2H, J = 9.2 Hz). 13C NMR (400 MHz, CDCl3): δ 148.9, 147.5, 128.6, 122.9, 117.4.
(化合物3の合成)
100mlの三口フラスコに、化合物2(2.25g、10.61mmol)と濃硫酸(HSO:112.5g)を投入し、撹拌して化合物2を溶解させた。N−ブロモスクシンイミド(NBS:5.66g、31.82mmol)を分割して三口フラスコに投入し、室温で16時間反応させて反応液を得た。別のフラスコに冷水を投入して0〜5℃に冷却し、そこに反応液を滴下した。1時間の撹拌後、析出した固体をろ取し、洗浄した後に乾燥させた。得られた粗体をクロロホルム/イソプロピルアルコールで再結晶化することで、化合物3(2.92g、7.90mmol、収率75%)を得た。得られた化合物3の物性データは次の通りである。
EI-MS (70 eV) m/z 370 (M+). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.68 (s, 2H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3): δ 149.5, 146.7, 130.6, 122.6, 1110.9.
(化合物4aの合成)
200mlの三口フラスコに、4−(2−デシルテトラデシル)−2−トリメチルスタニルチオフェン(4.02g、6.89mmol)を投入し、3回窒素置換を行った。その後、三口フラスコに化合物3(1.02g、2.76mmol)とトルエン(136ml)を投入し、アルゴンガスで40分間バブリングした。三口フラスコを遮光した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh:127mg、0.11mol)を投入し、還流するまで昇温して、16時間反応させた。反応液を冷却した後、これにフッ化カリウム水溶液を加え、トルエンで2回抽出した。水で2回洗浄後、抽出物に硫酸マグネシウムを加え、乾燥させた。その後、抽出物の濾過、濃縮を行い、n−ヘキサン:塩化メチレン=3:1の混合溶媒を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより抽出物を精製した。そして、精製物を酢酸エチルで再結晶化することで、化合物4a(2.68g、2.56mmol、収率93%)を得た。得られた化合物4aの物性データは次の通りである。
ESI-MS m/z 1050 [M++H]. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.57 (s, 2H, NaphthaleneH), 8.08 (s, 2H, ThiopheneH), 7.12 (s, 2H, ThiopheneH), 2.65 (d, 4H, J = 6.9 Hz), 1.77-1.65 (m, 2H), 1.37-1.18 (m, 40H), 0.86 (t, 6H, J = 6.7 Hz). 13C NMR (400 MHz, CDCl3): δ 148.0, 147.7, 144.1, 136.6, 132.1, 124.3, 124.0, 121.8, 121.5, 38.9, 35.1, 33.3, 31.9, 30.0, 29.7, 29.4, 26.6, 22.7, 14.1.
(化合物4bの合成)
200mlの三口フラスコに、4−(2−ヘキシルデシル)−2−トリメチルスタニルチオフェン(1.56g、3.31mmol)を投入し、3回窒素置換を行った。その後、三口フラスコに化合物3(0.489g、1.32mmol)とトルエン(80ml)を投入し、アルゴンガスで40分間バブリングした。三口フラスコを遮光した後、Pd(PPh(61mg、0.053mol)を投入し、還流するまで昇温して、16時間反応させた。反応液を冷却した後、これにフッ化カリウム水溶液を加え、トルエンで2回抽出した。水で2回洗浄後、抽出物に硫酸マグネシウムを加え、乾燥させた。その後、抽出物の濾過、濃縮を行い、n−ヘキサン:塩化メチレン=2:1の混合溶媒を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。そして、精製物を酢酸エチルで再結晶化することで化合物4b(0.852g、1.03mmol、収率78%)を得た。
(化合物5aの合成)
300mlの三口フラスコに、化合物4a(2.68g、2.56mmol)、テトラヒドロフラン(THF:210ml)を投入し、0〜5℃に冷却した。そこに、NBS(1.08g、6.09mol)を加え、室温に戻して18時間攪拌した。その後、反応物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、トルエンで2回抽出した。抽出物を食塩水、水の順で洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。その後、抽出物の濾過、濃縮を行い、n−ヘキサン:塩化メチレン=2:1の混合溶媒を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより抽出物を精製した。そして、精製物を酢酸エチルで2回再結晶化することで、化合物5a(2.72g、2.25mmol、収率88%)を得た。得られた化合物5aの物性データは次の通りである。
ESI-MS m/z 1208 [M++H]. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.44 (s, 2H, NaphthaleneH), 7.92 (s, 2H, ThiopheneH), 2.60 (d, 4H, 7.1Hz), 1.83-1.72 (m, 2H), 1.44-1.16 (m, 40H), 0.86 (dt, 6H, J = 6.8 Hz, 2.0 Hz). 13C NMR (400 MHz, CDCl3): δ 147.8, 147.3, 143.6, 136.2, 131.6, 123.2, 121.5, 121.5, 114.2, 38.6, 34.3, 33.4, 31.9, 30.0, 29.7, 29.4, 26.6, 22.7, 14.1.
(化合物5bの合成)
200mlの三口フラスコに、化合物4b(0.825g、1.00mmol)、THF(85ml)を投入し、0〜5℃に冷却した。そこに、NBS(0.419g、2.35mol)を加え、室温に戻して10時間攪拌した。その後、反応物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、トルエンで2回抽出した。抽出物を食塩水、水の順で洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。その後、抽出物の濾過、濃縮を行い、n−ヘキサン:塩化メチレン=2:1の混合溶媒を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより抽出物を精製した。そして、精製物を酢酸エチルで2回再結晶化することで、化合物5b(0.83g、0.842mmol、収率84%)を得た。
(高分子化合物P1の合成)
化合物5a(120.7mg、0.10mmol)、5,5’−ビス(トリメチルスタニル)−2,2’−ビチオフェン(49.2mg、0.10mmol)、Pd(PPh(2.3mg、0.002mol)、及びトルエン(4ml)を反応用バイアルに入れ、窒素封入して密栓した。そして、マイクロウェーブ反応装置(Initiator2.5、バイオタージ社製)を用いて、140℃で24分間反応させた。その後、反応液を室温まで冷却して5%塩酸/メタノール溶液に注ぎ込み、5時間撹拌した。沈殿した固体をろ取し、ソックスレー抽出器を用いて、メタノール、n−ヘキサン、クロロホルムで洗浄した後、クロロベンゼンで抽出した。得られた溶液を一部濃縮してメタノールに注ぎ込み、固体をろ取することで、高分子化合物P1(114mg、収率94%)を暗紫色固体として得た。高分子化合物P1の数平均分子量は、57,200であった。高分子化合物P1を合成する反応式(5)を以下に示す。
Figure 0006300204
(高分子化合物P2の合成)
化合物5a(60.4mg、0.050mmol)、3,6−ビス(トリメチルスタニル)チエノ[3,2−b]チオフェン(23.3mg、0.050mmol)、Pd(PPh(1.2mg、0.001mol)、トルエン(2ml)を反応用バイアルに入れ、窒素封入して密栓した。マイクロウェーブ反応装置(高分子化合物P1の合成で使用したもの、以下で説明する高分子化合物P2〜P6についても同様)を用いて、140℃で48分間反応させた。その後、反応液を室温まで冷却して5%塩酸/メタノール溶液に注ぎ込み、5時間撹拌した。沈殿した固体をろ取し、ソックスレー抽出器を用いて、メタノール、n−ヘキサン、クロロホルムで洗浄した後、クロロベンゼンで抽出した。得られた溶液を一部濃縮してメタノールに注ぎ込み、固体をろ取することで、高分子化合物P2(48mg、収率81%)を暗紫色固体として得た。高分子化合物P2の数平均分子量は、46,400であった。高分子化合物P2を合成する反応式(6)を以下に示す。
Figure 0006300204
(高分子化合物P3の合成)
化合物5b(49.2mg、0.050mmol)、5,10−ジデシル−2,7−ビス(トリメチルスタニル)ナフト[1,2−b:5,6−b’]ジチオフェン(42.4mg、0.050mmol)、Pd(PPh(1.2mg、0.001mol)、トルエン(2ml)を反応用バイアルに入れ、窒素封入して密栓した。マイクロウェーブ反応装置を用いて、180℃で48分間反応させた。その後、反応液を室温まで冷却して5%塩酸/メタノール溶液に注ぎ込み、5時間撹拌した。沈殿した固体をろ取し、ソックスレー抽出器を用いて、メタノール、n−ヘキサン、ジクロロエタンで洗浄した後、クロロホルムで抽出した。得られた溶液を一部濃縮し、メタノールに注ぎ込み、固体をろ取することで、高分子化合物P3(62mg、収率92%)を暗紫色固体として得た。高分子化合物P3の数平均分子量は、45,500であった。高分子化合物P3を合成する反応式(7)を以下に示す。
Figure 0006300204
(高分子化合物P4の合成)
化合物5b(49.2mg、0.050mmol)、5,10−ドジデシル−2,7−ビス(トリメチルスタニル)ナフト[1,2−b:5,6−b’]ジチオフェン(45.2mg、0.050mmol)、Pd(PPh(1.2mg、0.001mol)、トルエン(2ml)を反応用バイアルに入れ、窒素封入して密栓した。マイクロウェーブ反応装置を用いて、180℃で48分間反応させた。その後、反応液を室温まで冷却して5%塩酸/メタノール溶液に注ぎ込み、5時間撹拌した。沈殿した固体をろ取し、ソックスレー抽出器を用いて、メタノール、n−ヘキサン、ジクロロエタンで洗浄した後、クロロホルムで抽出した。得られた溶液を一部濃縮し、メタノールに注ぎ込み、固体をろ取することで、高分子化合物P4(69mg、収率99%)を暗紫色固体として得た。高分子化合物P4の数平均分子量は、35,100であった。高分子化合物P4を合成する反応式(8)を以下に示す。
Figure 0006300204
(高分子化合物P5の合成)
化合物5b(49.2mg、0.050mmol)、5,10−ドジデシル−2,7−ビス(トリメチルスタニル)ナフト[1,2−b:5,6−b’]ジフラン(43.5mg,0.050mmol)、Pd(PPh(1.2mg、0.001mol)、トルエン(2ml)を反応用バイアルに入れ、窒素封入して密栓した。マイクロウェーブ反応装置を用いて、180℃で48分間反応させた。その後、反応液を室温まで冷却して5%塩酸/メタノール溶液に注ぎ込み、5時間撹拌した。沈殿した固体をろ取し、ソックスレー抽出器を用いて、メタノール、n−ヘキサン、ジクロロエタンで洗浄した後、クロロホルムで抽出した。得られた溶液を一部濃縮し、メタノールに注ぎ込み、固体をろ取することで、高分子化合物P5(68mg、収率99%)を暗紫色固体として得た。高分子化合物P5の数平均分子量は28,000であった。高分子化合物P5を合成する反応式(9)を以下に示す。
Figure 0006300204
(高分子化合物P6の合成)
化合物5b(49.2mg、0.050mmol)、5,10−ドジデシル−2,7−ビス(トリメチルスタニル)ナフト[1,2−b:5,6−b’]ジセレノフェン(49.9mg、0.050mmol)、Pd(PPh(1.2mg、0.001mol)、トルエン(2ml)を反応用バイアルに入れ、窒素封入して密栓した。マイクロウェーブ反応装置を用いて、180℃で48分間反応させた。その後、反応液を室温まで冷却して5%塩酸/メタノール溶液に注ぎ込み、5時間撹拌した。沈殿した固体をろ取し、ソックスレー抽出器を用いて、メタノール、n−ヘキサン、ジクロロエタンで洗浄した後、クロロホルムで抽出した。得られた溶液を一部濃縮し、メタノールに注ぎ込み、固体をろ取することで、高分子化合物P6(65mg、収率87%)を暗紫色固体として得た。高分子化合物P6の数平均分子量は、46,900であった。高分子化合物P6を合成する反応式(10)を以下に示す。
Figure 0006300204
<光電変換素子の性能評価>
(実施例1)
合成した高分子化合物P1を用いて、実施例1の光電変換素子(有機薄膜太陽電池素子)を作製した。図5は、作製した光電変換素子の概略構造を示す断面図である。具体的には、まず、負極としてのITO膜がパターンニングされたガラス基板を用意した。このガラス基板を十分に洗浄した後、ガラス基板にUVオゾン処理を施した。次に、3000rpmで30秒間のスピンコーティングにより、ITO膜が設けられた側のガラス基板の表面に、0.5Mの酢酸亜鉛(II)二水和物とエタノールアミンとを2−メトキシエタノールに溶解した溶液を塗布した。そして、200℃で30分間ガラス基板を加熱することで、電子輸送層あるいは電子取出層としてのZnO膜を形成した。
ZnO膜が成膜されたガラス基板をグローブボックス内に持ち込み、高分子化合物P1及びフラーレン誘導体であるPC61BMを含むクロロベンゼン溶液を用いて、スピンコートによりZnO膜の表面に光電変換層(光活性層)を形成した。用いた溶液における高分子化合物P1とPC61BMの質量比(高分子化合物P1/PC61BM)は、1/3とした。また、光電変換層の厚さは230nmとした。その後、光電変換層の表面に、正孔輸送層あるいは正孔取出層としてのMoO膜を成膜した。MoO膜の厚さは7.5nmとした。続いて、MoO膜の表面にAgを抵抗加熱型真空蒸着法により成膜し、正極としてのAg膜を形成した。Ag膜の厚さは100nmとした。以上の工程により、実施例1の光電変換素子が得られた。光電変換素子の大きさは、4mm角とした。
ソーラシミュレーター(XES−40S1、三永電機製作所製、AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて、実施例1の光電変換素子に一定の光を照射した。そして、これにより発生する電流と電圧を測定した。測定結果を図6に示す。図6は、実施例1の光電変換素子における電流密度(Current density)−電圧(Voltage)特性を示すグラフである。図6から、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、開放電圧Voc(V)、形状因子FFを得た。また、下式に従って光電変換効率ηを算出した。得られた結果を表1に示す。
式:η=(Jsc×Voc×FF)/100
(実施例2)
PC61BMの代わりにPC71BMを用い、高分子化合物P1/PC71BM=1/2とし、光電変換層の厚さを280nmとした以外は実施例1と同様にして、実施例2の光電変換素子を作製した。得られた光電変換素子について、実施例1と同様にして電流密度−電圧特性を測定し、Jsc、Voc、FF及びηを得た。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
高分子化合物P1の代わりに高分子化合物P2を用い、高分子化合物P1/PC61BM)=1/2とし、光電変換層の厚さを200nmとした以外は実施例1と同様にして、実施例3の光電変換素子を作製した。得られた光電変換素子について、実施例1と同様にして電流密度−電圧特性を測定し、Jsc、Voc、FF及びηを得た。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
高分子化合物P1の代わりに高分子化合物P3を用い、高分子化合物P1/PC61BM)=1/2とし、光電変換層の厚さを200nmとした以外は実施例1と同様にして、実施例4の光電変換素子を作製した。得られた光電変換素子について、実施例1と同様にして電流密度−電圧特性を測定し、Jsc、Voc、FF及びηを得た。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
高分子化合物P1の代わりに高分子化合物P4を用い、高分子化合物P1/PC61BM)=1/2とし、光電変換層の厚さを200nmとした以外は実施例1と同様にして、実施例5の光電変換素子を作製した。得られた光電変換素子について、実施例1と同様にして電流密度−電圧特性を測定し、Jsc、Voc、FF及びηを得た。得られた結果を表1に示す。
(実施例6)
高分子化合物P1の代わりに高分子化合物P5を用い、高分子化合物P1/PC61BM)=1/2とし、光電変換層の厚さを200nmとした以外は実施例1と同様にして、実施例6の光電変換素子を作製した。得られた光電変換素子について、実施例1と同様にして電流密度−電圧特性を測定し、Jsc、Voc、FF及びηを得た。得られた結果を表1に示す。
(実施例7)
高分子化合物P1の代わりに高分子化合物P6を用い、高分子化合物P1/PC61BM)=1/2とし、光電変換層の厚さを200nmとした以外は実施例1と同様にして、実施例7の光電変換素子を作製した。得られた光電変換素子について、実施例1と同様にして電流密度−電圧特性を測定し、Jsc、Voc、FF及びηを得た。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
高分子化合物P1の代わりに、下記式(11)で表される構造を有する高分子化合物Qを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の光電変換素子を作製した。高分子化合物Qは、国際公開第2013/073581号パンフレットに開示された合成法を用いて合成した。得られた光電変換素子について、実施例1と同様にして電流密度−電圧特性を測定し、Jsc、Voc、FF及びηを得た。得られた結果を表1に示す。
Figure 0006300204
Figure 0006300204
表1に示すように、高分子化合物P1〜P6を用いた実施例1〜7の光電変換素子は、高分子化合物Qを用いた比較例1に比べて、良好な光電変換効率を示すことが確認された。また、実施例1〜7の光電変換素子の開放電圧は、比較例1の光電変換素子の開放電圧に比べて高い値であることが確認された。
<トランジスタの性能評価>
(ボトムゲート・トップコンタクト型トランジスタ素子の評価)
合成した高分子化合物P1を用いて、ボトムゲート・トップコンタクト型トランジスタ素子(以下では適宜、このトランジスタ素子をトランジスタ素子P1Bと称する)を作製した。図7は、作製したボトムゲート・トップコンタクト型トランジスタ素子の概略構造を示す断面図である。具体的には、まず、シリコン酸化膜を有する高濃度にドーピングされたn−型シリコン基板を用意した。n−型シリコン基板はゲート電極として機能する。シリコン酸化膜はゲート絶縁膜として機能する。シリコン酸化膜の厚さは200nmとした。このn−型シリコン基板を十分に洗浄した後、シリコン酸化膜の表面をFDTSでシラン処理した。
また、高分子化合物P1をクロロベンゼン/オルトジクロロベンゼン混合溶媒に加熱溶解して、高分子化合物P1の濃度が3g/Lの溶液を調製した。そして、この溶液をメンブランフィルターでろ過した。その後、シラン処理を施したシリコン酸化膜の表面に、ろ過した溶液をスピンコート法を用いて塗布した。得られたポリマー薄膜の厚さは約50nmであった。このポリマー薄膜を窒素雰囲気下にて200℃で30分間加熱して、有機半導体層を形成した。続いて、有機半導体層の表面にAuを真空蒸着し、ソース電極及びドレイン電極を形成した。以上の工程により、トランジスタ素子P1Bが得られた。トランジスタ素子P1Bのチャネル長は50μm、チャネル幅は1.5mmとした。
印加するゲート電圧Vgを20〜−60Vに変化させ、また印加するソース・ドレイン間電圧Vdを0〜−60Vに変化させて、トランジスタ素子P1Bのトランジスタ特性を測定した。ソース・ドレイン間電圧Vdを一定とし、ゲート電圧Vgを変化させたときのソース・ドレイン間電流Idの変化を測定した結果を図8(A)に示す。また、ゲート電圧Vgを一定とし、ソース・ドレイン間電圧Vdを変化させたときのソース・ドレイン間電流Idの変化を測定した結果を図8(B)に示す。図8(A)は、作製したボトムゲート・トップコンタクト型トランジスタ素子の伝達特性を示すグラフである。図8(B)は、作製したボトムゲート・トップコンタクト型トランジスタ素子の出力特性を示すグラフである。図8(A)及び図8(B)から、トランジスタ素子P1Bにおけるホール移動度及び電流のオン・オフ比を測定したところ、ホール移動度は0.98cm/Vs、電流のオン・オフ比は10であった。
(トップゲート・ボトムコンタクト型トランジスタ素子の評価)
合成した高分子化合物P1を用いて、トップゲート・ボトムコンタクト型トランジスタ素子(以下では適宜、このトランジスタ素子をトランジスタ素子P1Tと称する)を作製した。図9は、作製したトップゲート・ボトムコンタクト型トランジスタ素子の概略構造を示す断面図である。具体的には、まず、ソース電極及びドレイン電極としての50nm厚のAuがパターニングされたガラス基板を用意し、これを十分に洗浄した。
また、高分子化合物P1をクロロベンゼン/オルトジクロロベンゼン混合溶媒に加熱溶解して、高分子化合物P1の濃度が3g/Lの溶液を調製した。そして、この溶液をメンブランフィルターでろ過した。その後、Auがパターニングされた側のガラス基板の表面に、ろ過した溶液をスピンコート法を用いて塗布した。得られたポリマー薄膜の厚さは約50nmであった。このポリマー薄膜を窒素雰囲気下にて200℃で30分間加熱して、有機半導体層を形成した。続いて、有機半導体層の表面にフッ素ポリマー系絶縁材料であるCYTOP(登録商標)(旭硝子株式会社製)を塗布して、800nm厚のゲート絶縁膜を形成した。また、ゲート絶縁膜の表面にAlを真空蒸着し、ゲート電極を形成した。以上の工程により、トランジスタ素子P1Tが得られた。トランジスタ素子P1Tのチャネル長は150μm、チャネル幅は3mmとした。
印加するゲート電圧Vgを40〜−80Vに変化させ、また印加するソース・ドレイン間電圧Vdを0〜−80Vに変化させて、トランジスタ素子P1Tのトランジスタ特性を測定した。ソース・ドレイン間電圧Vdを一定とし、ゲート電圧Vgを変化させたときのソース・ドレイン間電流Idの変化を測定した結果を図10(A)に示す。また、ゲート電圧Vgを一定とし、ソース・ドレイン間電圧Vdを変化させたときのソース・ドレイン間電流Idの変化を測定した結果を図10(B)に示す。図10(A)は、作製したトップゲート・ボトムコンタクト型トランジスタ素子の伝達特性を示すグラフである。図10(B)は、作製したトップゲート・ボトムコンタクト型トランジスタ素子の出力特性を示すグラフである。図10(A)及び図10(B)から、トランジスタ素子P1Tにおけるホール移動度及び電流のオン・オフ比を測定したところ、ホール移動度は0.57cm/Vs、電流のオン・オフ比は10であった。
また、印加するゲート電圧Vgを−20〜100Vに変化させ、ソース・ドレイン間電圧Vdを0〜80Vに変化させて、トランジスタ素子P1Tのトランジスタ特性を測定した。ソース・ドレイン間電圧Vdを一定とし、ゲート電圧Vgを変化させたときのソース・ドレイン間電流Idの変化を測定した結果を図11(A)に示す。また、ゲート電圧Vgを一定とし、ソース・ドレイン間電圧Vdを変化させたときのソース・ドレイン間電流Idの変化を測定した結果を図11(B)に示す。図11(A)は、作製したトップゲート・ボトムコンタクト型トランジスタ素子の伝達特性を示すグラフである。図11(B)は、作製したトップゲート・ボトムコンタクト型トランジスタ素子の出力特性を示すグラフである。図11(A)及び図11(B)から、トランジスタ素子P1Tにおける電子移動度及び電流のオン・オフ比を測定したところ、電子移動度は0.38cm/Vs、電流のオン・オフ比は10であった。
以上の結果から、高分子化合物P1を用いたトランジスタ素子では、良好なキャリア移動度を示すことが確認された。したがって、上記式(1)で表される構造を有する高分子化合物を用いることで、有機薄膜太陽電池や有機薄膜トランジスタの性能を向上させられることが確認された。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
10 光電変換素子、 20 基材、 30 第1の電極、 40 正孔輸送層、 50 光電変換層、 60 電子輸送層、 70 第2の電極、 100 トランジスタ、 120 基板、 130 ゲート電極、 140 ゲート絶縁膜、 150 半導体層、 160 ソース電極、 170 ドレイン電極。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表される構造を有する高分子化合物。
    Figure 0006300204
    [式(1)中、R及びRは独立に、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基のいずれかである。nは1より大きい。Aは下記式(2)で表される構造である。複数のR、R及びAは、それぞれ同一でも異なってもよい。]
    Figure 0006300204
    [式(2)中、mは1以上である。R及びR は、水素原子である。Xは、O、S、Seのいずれかである。mが1より大きい場合、複数のX は、それぞれ同一でも異なってもよい。
  2. 請求項1に記載の高分子化合物を含有する有機半導体材料。
  3. 請求項1に記載の高分子化合物を含有する光電変換層を有する光電変換素子。
  4. 請求項1に記載の高分子化合物を含有する半導体層を有するトランジスタ。
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