JP6299811B2 - 発光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発光装置に関する。
近年、様々な電子部品が提案され、また実用化されており、これらに求められる性能も高くなっている。特に、電子部品には、厳しい使用環境下でも長時間性能を維持することが求められている。このような要求は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)をはじめとする半導体発光素子を利用した発光装置についても例外ではない。すなわち、一般照明分野や車載照明分野において、発光装置に要求される性能は日増しに高まっており、更なる高出力(高輝度)化や高信頼性が要求されている。さらに、これらの高い性能を維持しつつ、低価格で供給することも要求されている。
特に液晶テレビに使用されるバックライトや一般照明器具等では、デザイン性が重要視され、薄型化の要望が特に高く、それをいかに安く製造するかが重要になっている。
例えば特許文献1や特許文献2には、反射板と部分的に反射率を制御したハーフミラーを組み合わせて、直下方式のバックライトを薄型化する方式が開示されている。
特開2012−174371号公報 特開2012−212509号公報
しかしながら、特許文献1や2に記載される、部分的に反射率を制御したハーフミラーは、特殊な専用部材になり、近年大型化してきた液晶テレビにサイズを合わせると非常に高価な部品となってしまう。また特許文献2ではハーフミラーの構成材料としてアルミ材を使用しているが、アルミ自体に吸収があるため、反射を繰り返すと吸収損失が多くなり、発光効率低下を引き起こす。加えて部分的に反射率を変更しているため、その境目で輝度ムラが発生する。
本発明に係る実施形態は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、より安価に、輝度ムラを抑制した発光装置を提供する。
本実施形態に係る発光装置は、表面に光反射面を有する基体と、前記基体の前記光反射面側に載置される複数の光源と、前記光源を挟んで前記基体と対向するように配置され、入射する光の一部を反射し、一部を透過するハーフミラーと、を備え、前記光源の発光波長に対する前記ハーフミラーの反射率は、垂直入射よりも斜め入射の方が低い。
本発明に係る実施形態によれば、より安価に、輝度ムラを抑制した発光装置を提供することができる。
第1実施形態の発光装置100の一例を示す断面図である。 実施形態の光源107の配光特性図である。 実施形態のハーフミラーの波長帯域と発光素子の発光波長の関係を示す図である。 実施形態のハーフミラーの透過率の角度依存特性を示す図である。 第2実施形態の発光装置200の一例を示す断面図である。 実施例2の発光装置の輝度分布特性を示す図である。 比較例の発光装置の輝度分布特性を示す図である。 第3実施形態の発光装置300の一例を示す断面図である。 第4実施形態の発光装置400の一例を示す断面図である。 光拡散部材の一例を示す上面図である。
以下、本発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光装置は、技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一つの実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。
さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の発光装置の一例を示す概略構造図である。
図1に示されるように、本実施形態における発光装置100は、基体101と、基体の表面に設けられた一対の導体配線102に、接合部材103を介して電気的に接続される光源107を有する。本実施形態では光源は発光素子105と発光素子105を被覆する封止部材106からなる。なお、図中の矢印は主な光線を示している。
光源107は、基体101上に複数個離間して配置され、少なくとも光源が配置された直下部を除く基体101上に光反射面として光拡散部材108を有している。この光拡散部材は、例えばシート状であり、基体表面の光反射率を上げて発光装置100の発光効率を向上させるものである。また、光の反射率を上げるためだけではなく、光を散乱させることで後述する光拡散板112側から観測したときの輝度ムラをより軽減させる効果がある。
また、発光装置100は、光源107を挟んで基体101に対向する光取り出し面側に、光源107から入射する光の一部を反射し、一部を透過するハーフミラー111を備える。ハーフミラー111は、光源107の発光波長に対して、入射角に対する反射率角度依存性を有していることが好ましい。そして、ハーフミラー111上方に光拡散板112が配置される。
ハーフミラー111は、光源107から放射された光のうち、光軸方向に出た光に対しては、光反射率が高く、光源107の光軸から放射角度が広がっていくに従い、光反射率が低下しハーフミラーを透過する光量が増加することが好ましい。つまり、ハーフミラー111の反射率は、垂直入射よりも斜め入射の方が低くなるように設定されていることが好ましい。これにより、光拡散板112側から観察すると、輝度ムラが改善された均質な輝度分布を容易に得ることができる。
さらに、光源107のそれぞれは、バットウイング型の配光特性を有していることが好ましい。これにより光源107の真上方向に出射される光量を抑制して、各々の光源の配光を広げることで、より輝度ムラを改善することができる。
本明細書において、バットウイング型の配光特性とは、広義には、光軸Lを0°として、0°よりも配光角の絶対値が大きい角度において発光強度が強い発光強度分布で定義される。特に、狭義では、45°〜90°付近において、発光強度が最も強くなる発光強度分布で定義される。つまり、バットウイング型の配光特性では、中心部が外周部よりも暗い。
以下、本実施の形態に係る発光装置100の好ましい形態について説明する。
(ハーフミラー111)
ハーフミラー111は光源107の光取り出し面側に配置される。
ハーフミラー111は、透光性の基材に屈折率の異なる絶縁膜を積層した誘電体多層膜構造であることが好ましい。絶縁膜の具体的な材料としては、金属酸化膜、金属窒化膜、金属フッ化膜や有機材料など、光源107や後述する波長変換部材113から放射される波長に対して光吸収が少ない材料であることが好ましい。
誘電体多層膜を用いることで、光吸収の少ない反射膜を得ることができる。加えて、膜の設計により反射率を任意に調整することができ、角度によって反射率を制御することも可能となる。特に、垂直入射よりも斜め入射の方が、反射率が低くなるように設定することで、光取り出し面に垂直方向(光軸)の反射率を上げ、光軸に対して角度が大きくなるところで反射率を下げることができる。すなわち光軸に対して角度が大きくなるところで透過率を上げることで、後述する光拡散板112側から観測したときに、面上の輝度ムラをより小さくすることが可能となる。
特に図3に示すように、垂直入射時におけるハーフミラー111の反射波長帯域は、光源107の発光ピーク波長よりも長波長側の反射帯域を、短波長側の反射帯域よりも広くすることが有用である。これは、光軸から角度を振っていくとハーフミラーの反射波長帯域が短波長側にシフトするためであり、発光波長に対して長波長側の反射波長帯域を広くすることで、より広角側まで反射率を維持することが可能になる。
なお、垂直入射時におけるハーフミラー111の反射率は、光源107の発光波長帯域に対して30〜75%であることが好ましい。反射率が30%よりも低いと後述する光反射面側へ光を反射する効果が薄れ、75%より高いと輝度低下が著しくなるためである。
本実施形態によれば、輝度ムラを抑制しながら、ハーフミラー111と基体101との間隔を狭くすることが可能であり、たとえば、ハーフミラー111と基体101との間隔を複数の光源107における光源間の間隔の0.3倍以下とすることができる。
(光拡散部材108)
光拡散部材108の材料としては、光源107や後述する波長変換部材113から放射される発光光に対して光吸収の少ない材料の母材中に、母材と同じく光吸収が少なく、母材と屈折率の異なる材料を含有させて形成させることが好ましい。なお、屈折率の異なる材料としては気体も含まれる。前述のとおり、光拡散部材108は光反射面を形成するために用いられる部材であり、表面での反射は拡散反射(乱反射)となる。
ハーフミラー111によって反射され、基体101側に戻ってきた光は、反射面である光拡散部材108の表面で反射され、再度ハーフミラー111に入射される。これらを繰り返すことにより、輝度ムラが抑制される。
(光源107)
光源107としては、発光ダイオード(LED)を用いることが好ましい。光源107に電力を投入するために、接合部材103を用いて導体配線102と光源107とが電気的に接続される。図1では光源107を構成する発光素子105の電極が、接合部材103を介して基体101の表面の導体配線102にフリップチップ実装されており、電極の形成された面と対向する面、すなわち透光性基板の主面を光取り出し面としている。発光素子105は、正と負に絶縁分離された2つの導体配線102に跨るように配置されており、導電性の接合部材103によって電気的に接続され、機械的に固定されている。この発光素子105の実装方法は、半田ペーストを用いた実装方法の他、例えばバンプを用いた実装方法とすることができる。
なお、光源107としては、発光素子の側面側にリフレクタを備えたパッケージに発光素子が載置されたものを用いても良いし、樹脂で覆われていないベアチップ(発光素子105)であってもよい。また、発光素子からの光を広配光化させる一次レンズもしくは二次レンズを備えていてもよい。
特に、光源をバットウイング型の配光特性を有するものとする場合、より薄型にするために、上面に反射層114を有する発光素子105を用いることが好ましい。たとえば、図1に示すように、発光素子105の光取り出し面側(発光素子105の上面)には光反射層114が形成されている。光反射層は、金属膜であってもよく、誘電体多層膜であってもよい。これにより、発光素子105の上方向への光は光反射層114で反射され、発光素子105の直上の光量が抑制され、バットウイング型の配光特性とすることができる。なお、発光素子105を封止部材で被覆し、封止部材の上面を反射層で被覆することでバットウイング型の配光特性を有する光源としてもよい。
また、図1に示すように、発光素子105は、透光性の封止部材106により被覆されていてもよい。封止部材106は、発光素子105を外部環境から保護するとともに、発光素子から出力される光を光学的に制御するため、発光素子105を被覆するように基体上に配置される。封止部材106は略ドーム状に形成されており、光反射層114付きの発光素子105と、発光素子105の周囲の導体配線102の表面や、接合部材103を含む発光素子105と導体配線102の接合部を被覆する。つまり、光反射層114の上面および側面は封止部材106と接しており、光反射層114で覆われていない発光素子105の側面も封止部材106と接している。なお、この接合部は封止部材106とは別にアンダーフィルを用いて被覆されていてもよい。この場合は、アンダーフィルの上面および発光素子を被覆するように封止部材106が形成される。本実施形態においては、図1で示すように発光素子105は封止部材106で直接被覆されている。
図1では1つの発光素子105が1つの光源107を構成する例について示したが、1つの光源が複数の発光素子105を用いて構成されていてもよい。
複数の光源107は、互いに独立して駆動可能であり、光源ごとの調光制御(例えば、ローカルディミングやHDR)が可能であることが好ましい。
(発光素子105)
光源として用いられる発光素子105は、公知のものを利用することができる。本形態においては、発光素子105として発光ダイオードを用いるのが好ましい。
発光素子105は、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、ZnSeや窒化物系半導体(InAlGa1−x−yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPを用いたものを用いることができる。また、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどを用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。
半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。同一面側に正負の電極を有するものであってもよいし、異なる面に正負の電極を有するものであってもよい。
本実施形態の発光素子105は、透光性の基板と、その基板の上に積層された半導体層を有する。この半導体層には、順にn型半導体層、活性層、p型半導体層が形成されており、n型半導体層にn型電極が形成されており、p型半導体層にp型電極が形成されている。
なお、後述するように、波長変換部材を備えた発光装置とする場合には、その波長変換部材113を効率良く励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体(InAlGa1−x−yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に挙げられる。
(封止部材106)
封止部材106の材料としては、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂あるいはそれらを混合させた樹脂や、ガラスなどの透光性材料を用いることができる。これらのうち、耐光性および成形のしやすさを考慮して、シリコーン樹脂を選択することが好ましい。
なお封止部材106には、光拡散材に加え、発光素子105からの光を吸収して発光素子からの出力光とは異なる波長の光を発する蛍光体等の波長変換部材や、発光素子の発光色に対応させて、着色剤を含有させることもできる。
封止部材106は、発光素子105を被覆するように圧縮成型や射出成型によって形成することができる。その他、封止部材106の材料の粘度を最適化して、発光素子105の上に滴下もしくは描画して、材料自体の表面張力によって、形状を制御することも可能である。後者の形成方法による場合には、金型を必要とすることなく、より簡便な方法で封止部材を形成することができる。また、このような形成方法による封止部材の材料の粘度を調整する手段として、その材料本来の粘度の他、上述したような光拡散材、波長変換部材、着色剤を利用して所望の粘度に調整することもできる。
(基体101)
基体101は、光源107を載置するための部材である。基体101はその表面に、光源107(発光素子105)に電力を供給するための導体配線102を有している。
基体101の材料としては、例えば、セラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂が挙げられる。なかでも、低コストと、成型容易性の点から、基体の材料としてこれらの樹脂を選択することが好ましい。基体の厚さは適宜選択することができ、ロール・ツー・ロール方式で製造可能なフレキシブル基板、あるいはリジット基板のいずれであってもよい。リジット基板は湾曲可能な薄型リジット基板であってもよい。あるいは、耐熱性及び耐光性に優れた発光装置とするためには、セラミックスを基体101の材料として選択することが好ましい。
セラミックスとしては、例えば、アルミナ、ムライト、フォルステライト、ガラスセラミックス、窒化物系(例えば、AlN)、炭化物系(例えば、SiC)、LTCC等が挙げられる。
また、基体101を構成する材料に樹脂を用いる場合は、ガラス繊維や、SiO、TiO、Al等の無機フィラーを樹脂に混合し、機械的強度の向上、熱膨張率の低減、光反射率の向上等を図ることもできる。また、基体101としては、一対の導体配線102を絶縁分離できるものであればよく、金属部材に絶縁層を形成している、いわゆる金属基板を用いてもよい。
(導体配線102)
導体配線102は、光源107(発光素子105)の電極と電気的に接続され、外部からの電流(電力)を供給するための部材である。すなわち、外部から通電させるための電極またはその一部としての役割を担うものである。通常、正と負の少なくとも2つに離間して形成される。
導体配線102は、光源107の載置面となる基体の、少なくとも上面に形成される。導体配線102の材料は、基体101として用いられる材料や製造方法等によって適宜選択することができる。例えば、基体101の材料としてセラミックスを用いる場合は、導体配線102の材料は、セラミックスシートの焼成温度にも耐え得る高融点を有する材料が好ましく、例えば、タングステン、モリブデンのような高融点の金属を用いるのが好ましい。さらに、その上に鍍金やスパッタリング、蒸着などにより、ニッケル、金、銀など他の金属材料にて被覆してもよい。
また、基体101の材料としてガラスエポキシ樹脂を用いる場合は、導体配線102の材料は、加工し易い材料が好ましい。導体配線102は、基体の一面又は両面に、蒸着、スパッタ、めっき等の方法によって形成することができる。プレスにより金属箔を貼りつけてもよい。また、配線部は、印刷法又はフォトリソグラフィー等を用いてマスキングし、エッチング工程によって、所定の形状にパターニングすることができる。
(接合部材103)
接合部材103は、光源107を基体101または導体配線102に固定するための部材である。絶縁性の樹脂や導電性の部材が挙げられ、図1に示すようなフリップチップ実装の場合は導電性の部材が用いられる。具体的にはAu含有合金、Ag含有合金、Pd含有合金、In含有合金、Pb−Pd含有合金、Au−Ga含有合金、Au−Sn含有合金、Sn含有合金、Sn−Cu含有合金、Sn−Cu−Ag含有合金、Au−Ge含有合金、Au−Si含有合金、Al含有合金、Cu−In含有合金、金属とフラックスの混合物等を挙げることができる。
接合部材103としては、液状、ペースト状、固体状(シート状、ブロック状、粉末状、ワイヤ状)のものを用いることができ、組成や基体の形状等に応じて、適宜選択することができる。また、これらの接合部材103は、単一部材で形成してもよく、あるいは、数種のものを組み合わせて用いてもよい。なお、導体配線102との電気的接続を同時にとらない場合は、固定とは別にワイヤを用いて発光素子105の電極と導体配線102とを電気的に接続してもよい。
(絶縁部材104)
導体配線102は、発光素子105等の光源107や他材料と電気的に接続する部分以外は絶縁部材104で被覆されている事が好ましい。すなわち、図1に示されるように、基体101上には、導体配線102を絶縁被覆するためのレジストが配置されていても良く、絶縁部材104はレジストとして機能させることができる。
絶縁部材104を配置させる場合には、導体配線102の絶縁を行う目的だけでなく、白色系のフィラーを含有させることにより、光の漏れや吸収を防いで、発光装置100の光取り出し効率を上げることもできる。
絶縁部材104の材料は、発光素子からの光の吸収が少ない材料であり、絶縁性であれば特に限定されない。例えば、エポキシ、シリコーン、変性シリコーン、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、アクリル、ポリカーボネイト、ポリイミド等を用いることができる。
(光拡散板112)
光拡散板112は、複数の光源107から放射された光を、より拡散させながら透過し、輝度ムラを削減させる効果がある。
光拡散板112を形成する材料は、たとえば、ポリカーボネイト樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂等、可視光に対して光吸収の少ない材料であればよい。光を拡散させる方法としては、光拡散板中に屈折率の異なる材料を含有させる方法や、表面の形状を加工して光を散乱させてもよい。
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の発光装置200の一例を示す断面図である。
本実施形態では、第1実施形態における光反射面としての光拡散部材108を、ミラー110に変更したものであり、それ以外は第1実施形態と同様である。
(ミラー110)
ミラー110は光源107から放射される光をそのまま反射する場合と、ハーフミラー111により反射され、基体101側に戻ってきた光を反射する場合がある。ミラー110を配置することで、光拡散部材108を用いた場合に比べて、鏡面反射となる光線が増え、光源107から出た光を光源107から、より遠くに強い発光強度のまま広げることが可能となる。結果として基体101とハーフミラー111の距離をより狭くすることが可能になる。
ミラー110の材料としては金属膜を使用することも可能であるが、誘電体多層膜を使用することが好ましい。理由としては吸収損失が少ないことと、光源107や、導体配線102の近くに導電性の金属膜を配置すると、電気的ショートが発生する可能性があるためである。光反射面の表面に形成された前記誘電体多層膜の厚みは、0.3mm以下であることが好ましい。0.3mmよりも厚いと、その断面に光源からの光が遮られてしまい、光が広角側に届かなくなるからである。
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態の発光装置300の一例を示す断面図である。発光装置300は、第2実施形態の発光装置200において、光拡散板112の光取り出し面側に、波長変換部材113を配置した構造であり、それ以外は第2実施形態と同様である。
この様な構成とすることで、光源107は青色光とし、バックライトとして必要な緑色や赤色は波長変換部材113で発生させることが可能になる。
(波長変換部材113)
波長変換部材113を用いる利点としては、光源107の近傍では使用するのが困難な、熱や光強度に耐性の劣る光変換物質も使用することができるようになり、バックライトとしての性能を向上させることが可能となる。波長変換部材は、たとえばシート状の部材が好適に用いることができる。
波長変換部材113の材料としては、光源107(発光素子105)や波長変換物質が放射する光に対して吸収が少ない材料を母材として、波長変換物質をコーティング等することで成型する事ができる。必要に応じて防湿コートやラミネートを行ってもよい。
また、波長変換部材113の光源107側の主面に、光源107の発光波長に対しては透過し、波長変換物質の発光波長に対しては反射するダイクロイック層115を形成しておいてもよい。たとえば、光源107の発光波長よりも、波長変換部材113で変換された波長域の光反射率が高いダイクロイック層115を形成する。こうすることで、波長変換物質が発光した光が、光源107側の部材で吸収されることを防ぐことができる。
(波長変換物質)
波長変換物質は、発光素子から出射される光の波長を異なる波長に変換するものである。波長変換物質は波長変換部材113に含有される。また、第1実施形態で説明した封止部材106に含有させることもできる。波長変換物質は、波長変換部材113または封止部材106中において、光源107または発光素子105側に偏って設けられていてもよいし、分散して配置されていてもよい。
波長変換物質は、発光素子からの発光で励起可能なものが使用されることは言うまでもない。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:YAG);セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:LAG);ユウロピウムおよび/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO−Al−SiO);ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)SiO);βサイアロン蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体;KSF系蛍光体(KSiF:Mn);硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体などが挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、様々な色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。
発光装置が発するスペクトルが、可視光全域の65%以上の波長帯域スペクトルを有することで、色再現性や演色性を向上させることができるため好ましく、これを考慮して発光素子の発光波長と波長変換物質の発光波長を選択することが好ましい。
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態の発光装置400の一例を示す断面図である。発光装置400は、第1実施形態の発光装置100において、光拡散部材108の形状が異なっている以外は第1実施形態と同様であり、同様の効果を得ることができる。図9は本実施形態に用いる光拡散部材108Aの上面図である。
本実施形態では、図8及び図9に示すように光拡散部材108Aが、光源107が配置される開口120を有する平面部122と、平面部122を囲む壁部124とを有する凹部を複数備えている。凹部の側面となる壁部124は、上方に広がるように傾斜されていることが好ましい。
本実施形態の発光装置によれば、それぞれの光源107が壁部124に取り囲まれていることから、隣接する光源から発せられた光が壁部を隔てて隣接する領域内に入射することを抑制することができる。また、所定の領域のみで輝度を上げたい場合も、隣接する領域への光の入射を抑制しつつ、所定の領域のみの輝度を上げることができる。
平面部122の形状は、例えば図9に示すような正方形とすることができる。平面部122は正方形に限られず、長方形や六角形などの多角形であってもよい。壁部124によって区分される領域の区分数は、光源107の数に応じて任意に設定することができる。
光拡散部材108Aの成形方法としては、金型を用いた成形や光造形による成形方法が挙げられる。金型を用いた成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等の成形方法を適用することができる。例えば、PET等で形成された反射シートを用いて真空成形することで、平面部122と壁部124が一体的に形成された光拡散部材108Aを得ることができる。反射シートの厚みは、例えば100〜300μmである。
光拡散部材108Aの壁部124の最上部は、ハーフミラー111と接していてもよく、接していなくてもよい。
[実施例1]
本実施例は、図1に示すように、基体101としてガラスエポキシ基材を用い、導体配線として35μmのCu材を用いる。絶縁部材104にはエポキシ系の白色ソルダーレジストを用いる。
光源107は、発光素子105と発光素子105を被覆する封止部材からなり、発光素子105は平面視が1辺600μmの正方形で、厚みが150μmの窒化物系青色LEDを用い、バットウイング型の配光特性を実現するため、発光素子105の基体101と反対側の光取り出し面に反射層114を製膜し、直上に放射される光量を少なくしている。
発光素子105と導体配線102とを、接合部材103として半田を用いて接続し、その上から封止部材106としてシリコーン樹脂を成型する。
このとき、発光素子105は12.5mmピッチで5行5列の計25個配置されている。
また、絶縁部材104上には光拡散部材108として188μm厚の白色PETを形成している。基体101と対向する光源107の光取り出し面側には、基体101表面から2.5mmの距離に反射率60%のハーフミラー111を設置し、その上に光拡散板112を設置する。
実施例1にかかる光源107の配光特性を図2に示す。図2からわかるように、光軸L方向の輝度が低く、広角側で輝度が高くなるバットウイング型の配光特性となっている。また、このとき、光源107の載置面と水平な方向に対して仰角20°未満に放射される光量は全体の30%以上となっている。
次に、ハーフミラーはSiO層(80nm)とZrO層(59nm)の繰り返しで8層構成となっている。
このときの分光反射率と発光素子105の発光スペクトルの関係を図3に示す。
また、このときの発光スペクトル波長に対するハーフミラー111の反射率および透過率の角度依存特性を図4に示す。
これにより、光源107から光軸方向に放射される光の約60%は反射され、広角側に広がるにつれて反射される光量が減り、より多くの光が光拡散板112に届くことになる。
[実施例2]
実施例2では実施例1に対して光拡散部材108をミラー110に交換し、ハーフミラー111として東レ製ピカサス100GH10を使用した以外は実施例1と同様である。また、ミラーとしては3M製ESRを使用した。このシートは反射率98%を有している。このシートは透過率の角度依存特性を有していない。
この組み合わせで光拡散板112側から輝度ムラを観測した結果を図6Aに示す。左図が輝度ムラ観察写真であり、A−A線で輝度分布を測定してグラフ化したものが右図である。
比較として、ミラー110とハーフミラー111を取り除いた時の輝度ムラを図6Bに示す。図6Aと同様に、左図が輝度ムラ観察写真であり、B−B線で輝度分布を測定してグラフ化したものが右図である。これよりミラー110とハーフミラー111を用いない場合に比べて、輝度の均一性が改善していることがわかる。
本発明の発光装置は、液晶ディスプレイのバックライト光源、各種照明器具などに利用することができる。
100、200、300 発光装置
101 基体
102 導体配線
103 接合部材
104 絶縁部材
105 発光素子
106 封止部材
107 光源
108、108A 光拡散部材
110 ミラー
111 ハーフミラー
112 光拡散板
113 波長変換部材
114 反射層
115 ダイクロイック層
120 開口
122 平面部
124 壁部

Claims (16)

  1. 表面に光反射面を有する基体と、
    前記基体の前記光反射面側に載置される複数の光源と、
    前記光源を挟んで前記基体と対向するように配置され、入射する光の一部を反射し、一部を透過するハーフミラーと、を備え、
    前記ハーフミラーは誘電体多層膜からなり、
    前記光源の発光波長に対する前記ハーフミラーの反射率は、垂直入射よりも斜め入射の方が低く、さらに前記光源の光軸から放射角度が広がっていくに従って低くなる、発光装置。
  2. 前記光源のそれぞれが上面に反射層を有する、請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記光源のそれぞれがバットウイング型の配光特性を有する、請求項1または2に記載の発光装置。
  4. 前記垂直入射時における前記ハーフミラーの反射波長帯域は、前記光源の発光ピーク波長よりも長波長側の反射帯域が短波長側の反射帯域よりも広くなっている、請求項1〜3いずれか1項に記載の発光装置。
  5. 前記垂直入射時における前記ハーフミラーの反射率は、前記光源の発光波長帯域に対して30〜75%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置。
  6. 前記光反射面の表面が誘電体多層膜で形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置。
  7. 前記光反射面の表面に形成された前記誘電体多層膜の厚みは、0.3mm以下である、請求項6に記載の発光装置。
  8. 前記ハーフミラーと前記基体との間隔が前記複数の光源における光源間の間隔の0.3倍以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光装置。
  9. 前記光源の載置面と水平な方向に対して仰角20゜未満の光量が全体の光量の30%以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光装置。
  10. 前記発光装置の光取り出し面側に、前記光源からの光を吸収して前記光源からの出力光とは異なる波長の光を発する波長変換部材が形成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光装置。
  11. 前記波長変換部材と前記ハーフミラーの間に、前記光源の発光波長よりも前記波長変換部材で変換された波長域の光反射率が高いダイクロイック層が配置されている、請求項10に記載の発光装置。
  12. 前記発光装置が発するスペクトルは、可視光全域の65%以上の波長帯域スペクトルを有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光装置。
  13. 前記光源は、発光素子と、前記発光素子からの光を広配光化させるレンズを有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光装置。
  14. 前記光源は、発光素子と、前記発光素子を被覆する封止部材と、前記封止部材の上方に形成された反射層を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光装置。
  15. 表面に光反射面を有する基体と、
    前記基体の前記光反射面側に載置される複数の光源と、
    前記複数の光源のそれぞれを取り囲む壁部と、
    前記光源を挟んで前記基体と対向するように配置され、入射する光の一部を反射し、一部を透過するハーフミラーと、を備え
    前記ハーフミラーは誘電体多層膜からなり、
    前記光源の発光波長に対する前記ハーフミラーの反射率は、垂直入射よりも斜め入射の方が低く、さらに前記光源の光軸から放射角度が広がっていくに従って低くなる、発光装置。
  16. 前記光源のそれぞれが上面に反射層を有する、請求項15に記載の発光装置。
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