JP6298715B2 - アンテナ装置およびそれを用いた速度センサ - Google Patents

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Description

本発明は、ミリ波帯電磁波を用いたドップラー効果での反射応答計測による速度センサに関するものである。
速度センサは、被測定物の動作状況を把握するために、自動車や列車などの移動体の速度計測装置として利用されている。一般にタイヤなどの回転を利用した移動体では、回転軸の角度を計測することにより相対的に速度を計測する。
路面とタイヤ等の接触部では媒体の表面状態による摩擦抵抗が働いており、通常では空回りすることなく路面との相対速度を計測可能である。しかし、摩擦係数(ミュー(μ))の小さい低ミュー路では、摩擦抵抗に対し回転体の軸トルクが勝り、タイヤなどの回転体が滑りやすい状態となり、路面との相対速度を正確に測定できない。低ミュー路以外にも雨や雪などの天候条件により、路面と回転体の接触部に摩擦係数を低下させる媒体が挟まれることで、低ミュー路と同様の事象が発生する。また、自動車ではカーブ走行時遠心力により車体が傾きタイヤ回転方向と車両進行方向が異なる場合、回転軸による速度計測では不正確性の生じる走行条件が多々存在する。車体が浮上して走行するリニアモータカーでは接触式の速度センサは計測不能である。
非接触型の速度センサは、直接路面との相対速度をドップラー効果や空間フィルタ式の検知原理を利用したセンサである。光やレーザを用いた計測器は光学系を用いた構成のため高価であり、取付け精度も必要である。ダート、砂利、雪面など起伏に富んだ路面状態や、光学装置の車体振動による応力耐性への対応は光学系の速度センサでは難しい問題である。
図16は速度センサを用いたドップラー式速度検知方式の模式図である。21は速度センサ、22は自動車車体、23は車輪、24は路面である。自動車車体22に速度センサ21を設けると、路面24に対し入射角度θで放射される。車体22が速度vで移動時、速度センサ21から放射されるミリ波信号周波数がfoのとき、路面24で反射される信号は(数1)
Figure 0006298715
となる。検出されるドップラー周波数は(数2)
Figure 0006298715
となり、相対速度は(数3)
Figure 0006298715
として算出される。
半値幅φのアンテナから放射される放射ビームは、路面への放射範囲が(θ±φ)と面状に拡散するため、ドップラー周波数は(数4)
Figure 0006298715
に示すように展開される。
従って、観測される相対速度は(数5)
Figure 0006298715
となり、照射角分散により速度軸方向で拡散するため、信号強度が低下し至近距離しか計測することができない。
この改善策として、パッチアンテナに誘電体レンズを設け、放射電波の指向性を狭角化し、スポット的に集光することで照射角分散による感度低下抑制が検討されている。本技術分野の背景技術として、特許文献1や特許文献2に開示されたものがある。1次放射器であるパッチアンテナ若しくは導波管開口部に、開口面積の大きい誘電体レンズを用いて、狭角のビームを放射しアンテナ利得改善を図ると記載されている(特許文献1の要約を参照)。
特許文献1,2記載の誘電体アンテナは、1次放射器の開口面の垂直軸に対し、誘電体レンズ光軸を合わせることでもっとも簡便に利得最大化を図っている。しかしながら、アンテナの利得最大化には実効開口面積内において、放射方向に対し誘電体アンテナ通過直後の電波位相面が垂直であり、かつ電力分布がアンテナ開口面積内で一様である平行電波を形成することが重要である。
レンズ凸面により電波伝搬分布を球面波から平面波に変換することは可能であるが、誘電体レンズに入射する電波形状により放射電波平行性が損なわれるため、誘電体レンズ入射電波の詳細な設計技術が必要である。
特開2006−184144号公報 特開2000−278030号公報
非接触センサにより速度計測を行う際、放射ビーム幅による進行方向成分の速度分布分散を抑制するため、放射ビーム狭角化を実現可能なレンズアンテナのレンズ構成を提案すること。
一般に、電波用アンテナの半値幅を狭角化するには、アンテナ有効面積を大きく取り、放射電波位相を揃える必要がある。
レンズアンテナの放射ビーム狭角化を実現するには、開口面において放射方向に対し、電波位相が等電力かつ同位相で伝播する平面波を生成することが重要である。
焦点を有する凸面レンズでは、レンズサイズが電波の波長より十分大きい場合、焦点位置から放射された球面波を平面波に変換可能である。放射器がパッチアンテナ1素子の場合、放射される電波は半球面状に前記凸面レンズの開口面積以上の範囲に放射されるため、レンズに到達しない放射電力はサイドローブとして不要電力となる。従って、凸面レンズとパッチアンテナ素子間に波形成型用として配置する1次レンズは、パッチアンテナから放射される電力を凸面レンズの開口面積範囲に集光し、凸面レンズ光軸方向を最大放射利得となる球面波を生成する必要がある。
1次レンズを電波の波長サイズまで小型化すれば、レンズ形状により照射方向に電力集中した電波が回折効果により球面状に拡散するため、集光と球面波面を効率よく生成可能である。
特に半楕円曲面の1次レンズを用いれば、1次レンズから放射される緩やかな電力勾配をもった球面状の電波を凸面レンズ開口部全体に導くことが可能となる。また、1次レンズの形状から形成される近接球面波の円弧状態を3次元計測や電磁界解析し球面波円弧中心点や電波広がりを計算することで凸面レンズの配置設計条件が確立され、凸面レンズのレンズ径と曲面(焦点計算)を得ることも可能となり、アンテナ利得最大化狭角化を実現するレンズアンテナを容易に設計可能となる。
さらに、半楕円曲面の1次レンズ光軸を実装基板面に傾けて設置するよう底辺を斜めに切断した1次レンズを用いれば、1次レンズ材による導波路的な働きにより、アンテナの最大利得方位を1次レンズ光軸方向への傾けることが可能となる。
この特徴は、アンテナ装置の放射ビーム角度を前記傾斜型1次レンズのみで一意的に決定可能である。従って、様々な放射方位の速度センサを生産する場合においてもパッチアンテナは共通でよく、センサ回路基板の生産性は向上すると期待される。
よって、電波の波長サイズの1次レンズを用いて回折効果を最大限利用し、球面波と電力勾配が両立するレンズアンテナの構成を特徴とする。
誘電率1を超える誘電体材料を用いた1次レンズにおいて、その形状を電波の波長サイズまで縮小すると回折効果により球面波状の電波を発する。凸面の半楕円曲面を有する1次レンズには、スネルの法則に従った光線方向への集光により球面の放射電波を平行電波に屈折集光する効果を有する。1次レンズの外形サイズを電波の波長サイズまで縮小すると屈折より回折効果が支配的となり、平面波でなく球面波が生成される。さらに、1次レンズ曲面により電波強度の偏りを制御すれば、集光効果と球面状の放射電場分布を両立した、凸面レンズ光軸方向への入射電波を生成可能となる。
1次レンズにて凸面レンズのアンテナ実効面積範囲に集光された球面波を、凸面レンズにより電波位相が等電力かつ同位相で伝播する平面波へ変換すれば、レンズアンテナからアンテナ実効開口面積に応じた狭角の放射ビームが生成することが可能となる。このレンズアンテナを用いた速度センサを自動車車両へ搭載すれば、ドップラー信号の速度軸方向への拡散範囲が低減され、信号強度劣化量が抑制されるため、信号対雑音比が改善し、高精度かつ遠距離の被対象物の速度計測が可能となる。
本発明の第1の実施例の第1例のアンテナ装置の斜視図である。 1次レンズ付パッチアンテナの放射位相伝播特性。 パッチアンテナの遠方界放射特性。 1次レンズ付パッチアンテナの遠方界放射特性。 第1の実施例のアンテナ装置による放射位相伝播特性。 本発明の第2の実施例の第1例のアンテナ装置の斜視図である。 第2の実施例のアンテナ装置による放射位相伝播特性。 スネルの法則に基づく砲弾型1次レンズでの電波集光。 砲弾型1次レンズ付パッチアンテナの放射位相特性。 砲弾型1次レンズ付パッチアンテナにおけるレンズ高さとアンテナ半値幅依存特性。 傾斜型1次レンズ傾斜角によるパッチアンテナのアンテナ放射特性。 本発明の第2の実施例の第2例のアンテナ装置の斜視図である。 本発明の第3の実施例の第1例のアンテナ装置の側面図である。誘電体レンズアンテナを用いた速度センサの回路構成図。 本発明の第3の実施例の第2例のアンテナ装置の側面図である。 本発明の第4の実施例の第1例の速度センサの斜視図である。 アンテナ装置を用いた速度センサの回路構成図。 速度センサのドップラー式速度検知の模式図 本発明の第4の実施例の第2例の速度センサの斜視図である。 ハウジングケースに収納した第4の実施例の第2例の速度センサの斜視図。 第4の実施例の第2例の速度センサを収納した第2のハウジングケース例の斜視図。 第4の実施例の第2例の速度センサを収納した第3のハウジングケース例の斜視図。 複数のアンテナ装置を用いた速度センサの回路構成図。 本発明の第4の実施例の第3例の速度センサの斜視図である。
図1は本発明の第1の実施例のアンテナ装置の斜視図である。1は1次レンズであり、2は1個のパッチアンテナ、3はマイクロストリップ線路、4は実装基板、5はGND電極、6は凸面2次レンズである。前記実装基板4はセラミック等の無機基板やガラスエポキシ樹脂等の有機基板の単層基板や、それらを金属薄膜と交互に積層した多層基板を用いる。
パッチアンテナ2とマイクロストリップ線路3は実装基板4の表面に形成され、前記パッチアンテナとマイクロストリップ線路3の対向電極としてGND電極4は下面に形成される。GND電極は導電性を有しているので、パッチアンテナから放射される電波を誘電体レンズ側に反射する役目を果たす。
マイクロストリップ線路3に給電されたミリ波信号は、パッチアンテナ2に伝播し放射される。パッチアンテナから放射されたミリ波電波は1次レンズ1を通過し、凸面レンズ側の空間に放出される。1次レンズ1は、誘電率が1を超える誘電体材料からなり、外形サイズを電波の波長サイズ程度に小型化するとレンズ形状による屈折より回折効果が支配的となり、電波伝播が球面波状に放射される。従って、1次レンズの形状に、直方体、立方体、正多角柱、円柱、正多角錐、円錐、半球、半楕円球、楕円球の一部など様々な形状を用いた場合においても、1次レンズを電波の波長サイズ程度に小型化すれば回折効果により球面波状の電波伝播を得られる。
図2に1次レンズ1を搭載したパッチアンテナ2の電波放射特性を示す。1次レンズ1光軸(図2の例ではZ軸)と直角面で接する外形サイズLの最大値は電波の2波長以下(数6)
Figure 0006298715
とした。33は放射電波の位相を示す。31はパッチアンテナ中心から基板法線方向を示すZ軸である。1次レンズより生成された放射位相面33の一部を円弧BACで表すと、線路BAと線路ACの直角2等分線はそれぞれZ軸31のO点で交差する。このO点は放射位相球面の中心点となる。
多角柱、円柱、多角錐、円錐状、半楕円球状など軸対称に形成された1次レンズをパッチアンテナの中心に配置すると、放射位相面33のO点はZ軸31上にあり、1次レンズ付パッチアンテナの放射ビーム方向はZ軸31に揃えることが可能となる。1次レンズとパッチアンテナの中心を一致させない場合、アンテナ最大利得角度がZ軸31方向からずれ、O点もZ軸31からシフトする。
図3はパッチアンテナ1の直線偏波の遠方界放射特性(far field radiation pattern)例を示す。このパッチアンテナは電界面(E面)磁界面(H面)それぞれの角度方向の半値幅が±60度前後の広角アンテナである。利得中心の角度は実装基板4の法線方向であるZ軸31(0度)であるが、±60度の範囲でほぼフラットな放射Gainである。
パッチアンテナ2の直上に誘電率が1を超える1次レンズ1を実装すると、図2に示すようにパッチアンテナ接触面からZ軸上方向に1次レンズ内部を電波が強く誘導される。図4は図2に示した1次レンズ搭載のパッチアンテナ2の遠方界放射特性を示す。図4に示すように1次レンズ1を通過した電波はZ軸方向に集光されて半値幅±30度の放射ビームとなる。パッチアンテナ2は円偏波のパッチアンテナでも利用可能である。
図5に1次レンズ1と凸面レンズ6を搭載したパッチアンテナ2の電波放射位相特性を示す。33は放射位相面である。図2に示す球面の放射位相面を生成する電波の波長サイズの1次レンズと、凸曲面によって球面波から並行電波を生成する凸面レンズ6により、凸面レンズ6の実効開口面積に応じた狭角ビームが生成される。特に、1次レンズにより生成された放射ビーム方向と凸面レンズ6の光軸を揃え、かつ球面位相面33の球面中心O点に凸面レンズ6の焦点を揃えると、凸面レンズにより放射位相面の平面性がより効率よく生成され、狭角の放射ビームが実現される。よって、電波の波長サイズの1次レンズを用いたレンズアンテナによるアンテナ装置は、狭角の放射ビームを得ることで路面24との照射角偏差を抑えることが可能となる。
図6は本発明の第2の実施例のアンテナ装置の斜視図である。25は傾斜型1次レンズであり、2はパッチアンテナ、3はマイクロストリップ線路、4は実装基板、5はGND電極である。傾斜型1次レンズ25は、1次レンズの光軸32を傾斜させるため、アンテナと接する側の端を斜めに切断したレンズ形状である。特に図6で示す1次レンズ25は、レンズ光軸32を基点として、光軸32を中心軸とした円柱状の部分である25-1と、レンズ光軸32を基点として、楕円関数に基づく円弧を回転した砲弾状レンズ形状の25-2から構成されている。傾斜型1次レンズ25の傾斜角θ1は傾斜型1次レンズの光軸32と実装基板4の基板法線31の傾き角度である。
図7に傾斜型1次レンズ25と凸面レンズ6を搭載したパッチアンテナの電波放射位相特性を示す。32は1次レンズ25の光軸、および凸レンズ6の光軸である。33は放射位相面である。1次レンズ25は直方体の底辺を斜め切断した傾斜型1次レンズである。パッチアンテナから放射された電波は、1次レンズにより光軸32方向へ集光するよう電波が誘導され、球面状の放射位相面となる。凸面レンズ6の光軸と1次レンズ25の光軸32を一致させ、凸面レンズ6の焦点を傾斜型1次レンズ25により生成された球面位相面の球面中心O点に揃えると、放射位相面の平面性は図5に示したようにより効率よく生成される。従って、傾斜型1次レンズ25を用いれば、実装基板4の法線方向に対しアンテナ装置の放射利得の最大利得角度をθ1方向の斜め方向に放射することが可能となる。
傾斜型1次レンズは、パッチアンテナ中心から最も遠い点が1点となる多角錐や円錐形などはその頂点方向へ、多角柱や円柱、砲弾形状など、最も遠い点が複数ある場合はその複数点の中心点へ、放射ビーム方向が決定される。
図8は砲弾状曲面を有する1次レンズ1による電波集光の構成を示す図である。特定の高さで位相が揃うこと(光路長一定の条件:スネルの法則)を前提に、1次レンズ1の砲弾部頂点の位置をT、レンズ砲弾部表面座標を(X1,Z1)、レンズ材料の誘電率をnとした場合、レンズ曲面座標(X1,Z1)は次式、即ち、数7および数8で表すことができる。
Figure 0006298715
Figure 0006298715
(数8)は楕円関数の式、即ち、(数9)
Figure 0006298715
であり、Z方向の半径aは(数10)
Figure 0006298715
、X方向の半径bは(数11)
Figure 0006298715
となる半楕円形状のレンズ曲面となる。
図9は電波の波長サイズの砲弾状曲面を有する1次レンズ付パッチアンテナの放射電波位相面33を電磁界解析した結果であるが、レンズ頂点高さT、および楕円半径a,bを電波の波長サイズまで縮小すると、砲弾状曲面を有する1次レンズにおいても屈折より回折効果が著しいために球面状の放射伝播が生成されることが確認できる。数5に示される半楕円形状のレンズ曲面を有する1次レンズ高さTと、それを用いた1次レンズ1付パッチアンテナによる半値幅計算結果を図10に示す。横軸はレンズ半径(radius=L/2)を電波の波長とレンズ材料誘電率erにより正規化した値であり、縦軸はビーム強度が半分となる電力値となる角度(半値幅)を表す。正規化したレンズ半径の値1.5以上では半径と半値幅に線形的な関係が見出せ、砲弾状レンズ曲面による屈折での集光が確認できる。レンズ半径が1(電波の波長サイズ)では半値幅は±25度と、線形線より大きく外れ、屈折より回折効果が支配的となり、球面状の電波面が形成されていることが予想される。よって、狭角化が必要なレンズアンテナの1次レンズには球面波の電波位相面が必要であるため、回折効果がより支配的となる正規化指数1以下の1次レンズが効果的である。
図11は傾斜型1次レンズ25の傾斜角による1次レンズ1付パッチアンテナの放射特性である。横軸は基板法線方向Z軸31からの方位角度であり、縦軸は方位角度におけるアンテナ利得を示す。傾斜型1次レンズの傾斜角0度の場合、方位角度0度がアンテナ利得最大の角度であり、レンズ25の傾斜角に比例してアンテナ最大利得角度は移動することがわかる。これは、パッチアンテナから放射された電波が1次レンズ内を誘導され、1次レンズ光軸方向に放射されるためである。特に、光軸32に対し軸対称な砲弾状レンズ曲面を用いた1次レンズは、電力分布においてもアンテナ最大利得角度を中心に軸対称的な有する放射特性が生成される。
さらに、砲弾状1次レンズ25はレンズ高さと楕円形状Z軸方向半径aの経路差により、球面波円弧の中心であるO点と光軸32を中心とした電波強度分布範囲を調整可能である。レンズアンテナの放射ビームは、砲弾型1次レンズ25形状と凸面レンズ6との相対位置の2つの設計値を設定することで、任意に放射方位と半値幅を制御可能となる。
図12は本発明の第2の実施例の第2例のアンテナ装置の斜視図である。前記図7に示した砲弾状の1次レンズ1において、砲弾状レンズ形状の25-2は光軸32(Z軸)を基点として楕円関数に基づく円弧を回転することで形成される曲面である。よってXYZ軸の楕円半径はそれぞれ(b,b,a)となる。図12に示す傾斜型1次レンズは左右最小軸32に対し半径bと異なる楕円関数(x,y)とし、XYZ軸の楕円半径はそれぞれ(x,y,a)となる楕円球面とする。生成される放射ビームがX軸Y軸それぞれの方向に対し異なる半値幅を有することを特徴とする。
図13は本発明の第3の実施例の第1例のアンテナ装置の側面図である。
7は凸面レンズであるが、1次レンズ1や実装基板4を保護するカバーを兼ねており、8は誘電体レンズアンテナを囲うハウジングケースである。誘電体レンズカバー6とハウジングケース8により1次レンズ1やパッチアンテナ2を内部に封止することが可能である。誘電体レンズカバー6の材質として耐熱性環境耐性脆化耐性のある誘電体を用いると、アンテナ装置を自動車や列車車両周囲に設置してもパッチアンテナ2や実装基板4が外気にさらされることなく、アンテナ装置の耐久性信頼性を確保することが可能となる。
図14は本発明の第3の実施例の第2例のアンテナ装置の側面図である。1次レンズの光軸32(1次レンズの光軸)は凸面レンズの光軸と直線状に揃わないことを特長とする。凸面レンズ6の光軸方向、パッチアンテナ2との相対位置、および1次レンズ1の楕円曲面25-2の楕円半径(x,y,a)を任意に設定することにより、アンテナ装置から放射されるビーム形状を狭角化しつつ楕円形に生成することが特徴である。
図15は本発明の第4の実施例の第1例の速度センサの斜視図である。
1は1次レンズであり、2はパッチアンテナ、4は実装基板、11はミリ波帯RF回路、12はADC(Analog/Digital Converter)あるいはDAC(Digital/Analog Converter)、13はDSP(Digital Signal Processing Unit)、14はPower Unitである。1次レンズ1の光軸の延長線上には凸面レンズを設けることで、速度センサ向けの放射ビームをさらに狭角化することも可能である。
図16は図15に示す速度センサの回路構成図である。RF回路部11で生成されたミリ波信号は、1次レンズ1とパッチアンテナ2および凸面レンズ6からなるTx/Rx antenna15から放射され、ターゲットとなる被測定物に到達反射され、再度Tx/Rx antenna15により受信される。
受信されたミリ波信号には相対速度差によるドップラー信号が含まれており、ミリ波RF回路11で送信波と比較することによりドップラー信号を抽出する。
抽出されたドップラー信号はADC12でデジタル信号に変換され、DSP13によりフーリエ変換することでドップラー周波数を検出する。
図17は速度センサを用いたドップラー式速度検知方式の模式図である。21は速度センサ、22は自動車車体、23は車輪、24は路面である。速度センサ21は図12に示す1次レンズ1(または傾斜型1次レンズ25)とパッチアンテナ2、および凸面レンズ6により斜め方向に放射可能な速度センサである。
自動車車体22の水平垂直面に速度センサ21を設けると、路面24に対し入射角度θで放射される。車体22が速度vで移動時、速度センサ21から放射されるミリ波信号周波数がfoのとき、路面24で反射される信号は(数12)
Figure 0006298715
となる。ミリ波RF回路11、DSP13 で検出されるドップラー周波数は(数13)
Figure 0006298715
となり、相対速度は(数14)
Figure 0006298715
として算出される。
図18は本発明の第4の実施例の第2例の速度センサの斜視図である。1は1次レンズであり、2はパッチアンテナ、4は実装基板、11はミリ波帯RF回路、12はADC(Analog/Digital Converter)あるいはDAC(Digital/Analog Converter)、13はDSP(Digital Uignal Processing Unit)、14はPower Unitである。
パッチアンテナ2は2つのパッチアンテナからなり、各々直線偏波のアンテナである。この2つのパッチアンテナ間で干渉を受けないよう所望の交差角で配置する。直線偏波アンテナは各々の偏波面が直交時最も干渉度は抑えられると考える。1次レンズ1もパッチアンテナ各々に設置し、それぞれ仰角θ1、θ2の方向に放射するよう誘電体レンズの傾斜が設ける。
実装基板上にパッチアンテナと1次レンズの組合せをさらに追加して設けることができれば、上記仰角θ1、θ2以外の第3の仰角θ3を持つ速度センサを実現することができる。
図19はハウジングケースで囲った速度センサの斜視図である。7は誘電体レンズカバーであり、8はハウジングケースである。各々のビーム照射仰角方向は1次レンズ1と誘電体レンズカバー7により、各々のビーム水平角度は実装基板4に配置された交差角で設定する。従って、図17に示す速度センサ21は、傾斜用架台を用いずとも車体22の垂直水平面に直接搭載することが可能である。従って、速度センサ21に用いる1次レンズは傾斜角45度まで実現できれば、車体22の垂直水平面に対し、あらゆる方位角度へ放射が可能となる。
誘電体レンズカバー7の凸面レンズ部は1次レンズ1の光軸延長線上に配置可能であるため、レンズカバーの各々のレンズ部はお互いに離して配置可能である。また、速度センサに組み込まれる各々のレンズ部間隔を近接して配置すれば、パッチアンテナ間の間隔をさらに詰めて配置可能であるため、実装基板上のアンテナ占有面積を削減でき、より小型の実装基板を用いることが可能である。
図20、図21はハウジングケースで囲った速度センサの第2例、第3例の斜視図である。凸面レンズ6の相対位置や光軸方向、1次レンズ1の高さや楕円半径(x,y,a)を機能的に選択することによって、速度センサに所望される放射ビーム形状によりを生成する。
図22は図20及び図21に示す速度センサの回路構成図である。誘電体レンズ1とパッチアンテナからなるTx/Rx antenna15が2組で構成され、それぞれのアンテナから得られる反射信号をミリ波RF回路11及びDSP13により抽出する。2組のTx/Rx antenna15からは異なるベクトル角の速度成分が算出できるため、ベクトル演算を行うことで、進行方向と直交方向の2種類の速度を観測可能である。
図23は本発明の第4の実施例の第3例の速度センサの斜視図である。前記図19の速度センサ21において、片側の1次レンズ1を電気的に外来電波から遮断した構造である。26はシールドケースであり、金属ケースや電波吸収体などケース内部へ到来する電磁波を抑圧する働きを有する。シールドケースにより覆われた1次レンズ1には外来電波が遮断されるため、パッチアンテナ以降のRF回路部に発生する電気的信号によるリファレンス信号を生成する。図21に示した速度センサの回路構成を用いれば、差分信号が生成可能であるため、ノイズ信号をキャンセルした高感度の速度センサを実現する。
なお、図面の説明は以下の通りである。
1 1次レンズ
2 パッチアンテナ
3 マイクロストリップ線路
4 実装基板
5 GND電極
6 凸面レンズ
7 凸面レンズ兼保護カバー、誘電体レンズカバー
8 ハウジングケース
11 ミリ波帯RF回路
12 ADC,DAC
13 DSP
14 電源、Power Unit
15 Tx/Rx Antenna
16 入出力、Input/Output、I/O
21 速度センサ
22 自動車車体
23 車輪
24 路面
25 傾斜型1次レンズ
26 シールドケース
31 実装基板表面の法線(Z軸)
32 光軸
33 放射位相面

Claims (11)

  1. 実装基板上に、金属導体パターンにてアンテナと伝送線路が設けられ、前記アンテナ表面に誘電体からなる1次レンズを搭載し、1次レンズの光軸方向に凸面レンズを配置したアンテナ装置において、
    前記1次レンズは光軸と直角となる断面の幅Lが、アンテナ装置に利用する電波の波長λの2/√er倍以下である(ここで、erは前記誘電体の誘電率の値である。)ことを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記アンテナは、実装基板上に設けられたパッチアンテナであることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  3. 前記1次レンズは、少なくとも1つの平面を有する直方体、立方体、正多角柱、円柱、正多角錐、円錐、半球、半楕円球、楕円球面の輪切り形状から形成されており、1次レンズを形成する平面の1つにアンテナ表面と接するよう搭載し、1次レンズの光軸と直角となる断面の幅Lが、アンテナ装置に利用する電波の波長λの2/√er倍以下である(ここで、erは前記誘電体の誘電率の値である。)ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  4. 前記1次レンズは、前記実装基板に固定する多角柱あるいは円柱形状の第一の部分と、
    半球面あるいは半楕円球面からなる凸面を有する第二の部分を有し、
    アンテナと接する平面が前記第一の部分の底面であることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  5. 請求項4記載の1次レンズにおいて、前記実装基板に固定する多角柱あるいは円柱形状の第一の部分と、半球面あるいは半楕円球面からなる凸面を有する第二の部分を有し、
    アンテナと接する前記第一の部分の底面平面がその略柱部分を斜めに切断された形状であることを特徴とするアンテナ装置。
  6. 請求項1のアンテナ装置は、前記1次レンズの光軸と前記凸面レンズの光軸と一致させ、前記1次レンズによって生成される電界位相の球面波の放射中心位置に、凸面レンズの焦点が一致することを特徴とするアンテナ装置。
  7. 請求項5記載のアンテナ装置は、レンズアンテナの放射ビームの放射方向や利得、ビーム断面形状を、前記1次レンズを構成する楕円曲面と1次レンズ底面の傾斜角、凸面レンズの配置位置および方向を調整することにより、成型することを特徴とするアンテナ装置。
  8. 前記凸面レンズは、ハウジングケースと密着させ、該パッチアンテナおよび1次レンズを保護するカバーとして機能することを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  9. 実装基板上にRF回路、ADC/DAC、DSP、電源回路のいずれかの電気回路が設けられ、前記RF回路で生成された電気信号を、1次レンズおよび凸面レンズを介してパッチアンテナによって送受信し、前記電気回路にて、送受信信号の差分から検知したドップラー周波数より速度成分を算出するセンサとして機能することを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  10. ドップラー周波数より算出して相対速度を計測する速度センサにおいて、前記1次レンズ付パッチアンテナを複数配置し前記凸面レンズを1個以上用い、アンテナ放射方向の仰角は前記凸面レンズ光軸方向とし、複数のアンテナ放射方向の相対水平角を実装基板上のパッチアンテナの直線偏波面の相互交差角とする、放射方向の異なるアンテナビームを有することを特徴とする請求項9記載のアンテナ装置。
  11. 前記速度センサは、1次レンズ付パッチアンテナを実装基板上に複数搭載するが、そのうち1つの1次レンズ付パッチアンテナをシールドケースで覆い、シールドケースで覆われたパッチアンテナに接続されたRF回路が発する電気信号をドップラー信号の基準信号として用いることを特徴とする請求項10記載のアンテナ装置。
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