JP6293766B2 - 2−置換4−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピラン及び2−置換4−メチルテトラヒドロピランの一体的調製のための方法 - Google Patents

2−置換4−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピラン及び2−置換4−メチルテトラヒドロピランの一体的調製のための方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6293766B2
JP6293766B2 JP2015536173A JP2015536173A JP6293766B2 JP 6293766 B2 JP6293766 B2 JP 6293766B2 JP 2015536173 A JP2015536173 A JP 2015536173A JP 2015536173 A JP2015536173 A JP 2015536173A JP 6293766 B2 JP6293766 B2 JP 6293766B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
methyltetrahydropyran
substituted
product
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015536173A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015532305A (ja
Inventor
シュトルク,ティモン
レデール,オスカー
エーベル,クラウス
ペルツァー,ラルフ
クラウゼ,ヴォルフガング
ベック,カール
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
BASF SE
Original Assignee
BASF SE
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by BASF SE filed Critical BASF SE
Publication of JP2015532305A publication Critical patent/JP2015532305A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6293766B2 publication Critical patent/JP6293766B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D309/00Heterocyclic compounds containing six-membered rings having one oxygen atom as the only ring hetero atom, not condensed with other rings
    • C07D309/02Heterocyclic compounds containing six-membered rings having one oxygen atom as the only ring hetero atom, not condensed with other rings having no double bonds between ring members or between ring members and non-ring members
    • C07D309/04Heterocyclic compounds containing six-membered rings having one oxygen atom as the only ring hetero atom, not condensed with other rings having no double bonds between ring members or between ring members and non-ring members with only hydrogen atoms, hydrocarbon or substituted hydrocarbon radicals, directly attached to ring carbon atoms
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D309/00Heterocyclic compounds containing six-membered rings having one oxygen atom as the only ring hetero atom, not condensed with other rings
    • C07D309/02Heterocyclic compounds containing six-membered rings having one oxygen atom as the only ring hetero atom, not condensed with other rings having no double bonds between ring members or between ring members and non-ring members
    • C07D309/08Heterocyclic compounds containing six-membered rings having one oxygen atom as the only ring hetero atom, not condensed with other rings having no double bonds between ring members or between ring members and non-ring members with hetero atoms or with carbon atoms having three bonds to hetero atoms with at the most one bond to halogen, e.g. ester or nitrile radicals, directly attached to ring carbon atoms
    • C07D309/10Oxygen atoms

Description

本発明は、2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン及び2-置換4-メチルテトラヒドロピランの一体的調製のための方法に関する。
2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランは、香料(aroma chemical)として使用するための有益な化合物である。したがって、例えば、2-(2-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランのシス型/トランス型ジアステレオマー混合物
Figure 0006293766
は、心地良いスズラン調の香りを特徴としており、例えば、フレグランス組成物を製造するための香料としての使用に特段に適している。
EP 1493737 A1は、対応するアルデヒドをイソプレノールと反応させることにより、エチレン性不飽和4-メチル-及び4-メチレンピラン並びに対応する4-ヒドロキシピランの混合物を調製するための方法を開示しており、この反応は、アルデヒドとイソプレノールとのモル比が1より大きい、すなわちアルデヒドが過剰に使用されている反応系中で開始される。さらに、上記文献は、前記混合物を続いて脱水すると、所望のエチレン性不飽和ピランが生じることを開示している。第1の反応ステップ用に与えられる適切な触媒は、塩酸又は硫酸等の鉱酸であるが、好ましくはメタンスルホン酸又はp-トルエンスルホン酸である。
EP 1516879 A1は、脱水条件下で対応するアルデヒドをイソプレノールと反応させることにより、エチレン性不飽和4-メチル-及び4-メチレンピランを調製するための方法を開示しており、ここでは、反応器中の水の量は最大0.25重量%であり、一方、使用された出発化合物のうち少ない方の変換は50%未満である。この目的に適していて与えられる触媒は、同様に塩酸又は硫酸等の鉱酸であるが、好ましくはメタンスルホン酸又はp-トルエンスルホン酸である。
WO 2010/133473は、式(I)
Figure 0006293766
(式中、基R1は、1個から12個までの炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル又はアルケニル基、場合により合計で3個から12個までの炭素原子を有するアルキル置換シクロアルキル基、並びに場合により合計で6個から12個までの炭素原子を有するアルキル-及び/又はアルコキシ置換アリール基である)
の2-置換4-ヒドロキシ-4-メチル-テトラヒドロピランを調製するための方法を記述しており、ここでは、イソプレノール(3-メチルブタ-3-エン-1-オール)を式R1-CHOのアルデヒドと反応させ、反応は、水の存在下且つ強酸性カチオン交換体の存在下で実施される。
WO 2011/154330は、WO 2010/133473と同等の方法を記述しており、ここでは、隔壁塔(dividing-wall column)、又は2つの熱連結型の蒸留塔(thermally coupled distillation columns)での蒸留による後処理が、得られた反応混合物に実施される。
WO 2010/133473及びWO 2011/154330で記述されているように、酸が触媒となるイソプレノール(3-メチルブタ-3-エン-1-オール)と式R1-CHOのアルデヒドとの反応において、2-置換4-ヒドロキシ-4-メチル-テトラヒドロピランに加えて、脱水された式(A)、(B)及び/又は(C)の副生成物
Figure 0006293766
も含み、さらなる副生成物として、アセタール(D)及び1,3-ジオキサン(E)
Figure 0006293766
もまた含む、複雑な反応混合物が生成される。
これらの副生成物は、これまで、さらなる有益な物質をもたらすために利用することができなかったが、系から取り出されるか、又は過剰に使用された出発化合物と一緒にイソプレノールとアルデヒドとの反応に再び戻される。後者は、反応混合物中のこれらの成分のレベルが高まる可能性があるため、問題がないわけではない。
WO 2011/147919は、イソプレノールをプレナールと反応させ、続いて水素化することにより、2-置換4-ヒドロキシ-4-メチル-テトラヒドロピラノール、特に2-イソブチル-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランを調製するための方法を記述している。
さらなる有益な香料は、ジヒドロローズオキシドとも呼ばれる、2-(2-メチルプロピル)-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピランである。
ジヒドロローズオキシドは、初めにブルガリアンローズ油から単離され、その後、Julia及びJacquet(Julia, M.、Jacquet, B.、Bulletin de la Societe Chimique de France 1963、8〜9、1983)が合成により調製した。ブタ-2-エン-1-アールから出発して、エチルビニルエーテルとDiels-Alder反応させ、続いて水素化することにより、環式アセタールが得られた。エタノールを開裂させた後、得られた二重結合を臭化水素酸化し、イソプロピルマグネシウムブロミドによってグリニャール反応を終結させると、cis-ジヒドロローズオキシド及びtrans-ジヒドロローズオキシドの混合物を初めて合成により調製することができた。
J. H. P. Tyman及びB. J. Willisは、Tetrahedron Letters No. 51、4507〜4508、1970において、酸を触媒として3-アルケン-1-オールをアルデヒドと反応させ、特に3-メチル-2-ブテン-1-アールを2-メチル-1-ブテン-4-オールと反応させ、続いて脱水を行うことを記述している。このようにして得られた環外メチレン基を有する中間体を、SnCl2/H2PtCl6の存在下において均一系触媒反応により水素化すると、ラセミ化合物状のcis-2-(2-メチルプロパ-1-エン-イル)-4-メチルテトラヒドロピランが生じた。
EP 1493737 A1 EP 1516879 A1 WO 2010/133473 WO 2011/154330 WO 2011/147919
Julia, M.、Jacquet, B.、Bulletin de la Societe Chimique de France 1963、8〜9、1983 J. H. P. Tyman及びB. J. Willis、Tetrahedron Letters No. 51、4507〜4508、1970
本発明の目的は、2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランを調製するための改良された方法であって、これまで利用不能だった副生成物を最大限に有効利用できるようにもする、上記方法を提供することである。
驚くべきことに、ここで、酸を触媒としてイソプレノール(3-メチルブタ-3-エン-1-オール)を適切なアルデヒドと反応させることによる、2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランの調製中に生成される副生成物含有側流(=廃液流)が、2-置換4-メチルテトラヒドロピランの調製、特にジヒドロローズオキシドの調製に適していることが見出された。ここで、側流の主成分は、3つの異性体ジヒドロピラノール(A)、(B)及び(C)を一方とすれば、ジオキサン(E)が他方となるが、妥当な消費量でもって蒸留により分離することができない点が特に問題となる。しかしながら、驚くべきことに、側流全体を水素化することにより、異性体ジヒドロピラノール(A)、(B)及び(C)を2-置換4-メチルテトラヒドロピランに変換することができ、その後、2-置換4-メチルテトラヒドロピランを、利用不能なジオキサン(E)から蒸留によって取り出すことができることが見出された。したがって、2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン及び2-置換4-メチルテトラヒドロピランの同時調製のための一体的方法が提供される。したがって、前述の側流の大部分は、香料、特にフレグランスとしての使用のためにも提供され得る。
本発明は最初に、一般式(I)の2-置換4-ヒドロキシ-4-メチル-テトラヒドロピラン及び一般式(II)の2-置換4-メチルテトラヒドロピラン
Figure 0006293766
(式中、
R1は、直鎖若しくは分岐C1〜C12アルキル、直鎖若しくは分岐C2〜C12アルケニル、合計で3個から20個までの炭素原子を有する非置換若しくはC1〜C12アルキル-及び/若しくはC1〜C12アルコキシ置換シクロアルキル、又は合計で6個から20個までの炭素原子を有する非置換若しくはC1〜C12アルキル-及び/若しくはC1〜C12アルコキシ置換アリールである)
を調製するための方法であって、
a) 式(III)
Figure 0006293766
の3-メチルブタ-3-エン-1-オールを式(IV)
R1-CHO(IV)
(式中、式(IV)中のR1は、上記で与えられた意味を有する)
のアルデヒドと酸性触媒の存在下で反応させて、一般式(I)の少なくとも1種の2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン、化合物(V.1)、(V.2)又は(V.3)の少なくとも1種及び少なくとも1種のジオキサン化合物(VI)
Figure 0006293766
(ここで、式(VI)中のR1は、上記で与えられた意味を有する)
を含む反応混合物を生成し、
b) ステップa)の反応生成物を分離に供して、一般式(I)の2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランに富む留分、並びに化合物(V.1)、(V.2)又は(V.3)の少なくとも1種及び少なくとも1種のジオキサン化合物(VI)を含む留分を生成し、
c) 化合物(V.1)、(V.2)又は(V.3)の少なくとも1種及び少なくとも1種のジオキサン化合物(VI)を含む留分を水素化に供し、
d) 2-置換4-メチルテトラヒドロピラン(II)に富む留分、及び少なくとも1種のジオキサン化合物(VI)に富む留分を、ステップc)において得られた水素化生成物から単離する、
方法を提供する。
本発明による方法は、下記の利点を有する:
- 酸が触媒となる2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランの調製中における前述の側流(廃液流)の大部分を、有益な生成物として使用することができる。
- 本発明によって想定される水素化により、2-置換4-メチルテトラヒドロピラン、特にジヒドロローズオキシドの入手が可能になり、この水素化には、側流から出発して、反応段階がただ1つしか必要とならない。
- 2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランを調製するための反応混合物中に存在する利用不能なジオキサンを、水素化後に有益な生成物から効果的に分離することができる。
- 2-置換4-メチルテトラヒドロピラン、特にジヒドロローズオキシドを調製するために、例えばグリニャール試薬又は水素化アルミニウムリチウム等のヒドリド錯体といった、さらなる高価且つ/又は潜在的に有害ないかなる試薬も使用する必要がない。
より厳密な記載が以下にない限り、
「2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン」、
「2-置換4-メチルテトラヒドロピラン」、
「2-(2-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン」、
「2-(2-メチルプロピル)-4-メチルテトラヒドロピラン」(=「ジヒドロローズオキシド」)
という用語は、本発明との関連において、任意の組成のシス型/トランス型混合物及びまた、純粋な配座異性体もまた指す。上記で指定された用語はまた、純粋な形態のすべてのエナンチオマーも指すし、これらの化合物のエナンチオマーのラセミ混合物及び光学活性混合物も指す。
化合物(I)又は(II)のシス型及びトランス型ジアステレオマーが以下で論述される場合、いずれの場合にも、エナンチオマー形態のうちの1つのみを示す。2-(2-メチルプロピル)-4-メチルテトラヒドロピラン(II)(ジヒドロローズオキシド)の異性体を、単に説明を目的として、以下に再提示する。
Figure 0006293766
本発明との関連において、直鎖又は分岐アルキルという表現は、好ましくはC1〜C6アルキルを表し、特に好ましくはC1〜C4アルキルを表す。アルキルは、特に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル(2-メチルプロピル)、sec-ブチル(1-メチルプロピル)、tert-ブチル(1,1-ジメチルエチル)、n-ペンチル又はn-ヘキシルである。特に、アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル又はイソブチルである。
本発明との関連において、直鎖又は分岐アルコキシという表現は、好ましくは、C1〜C6アルコキシを表し、特に好ましくはC1〜C4アルコキシを表す。アルコキシは、特に、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、tert-ブチルオキシ、n-ペンチルオキシ又はn-ヘキシルオキシである。特に、アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ又はイソブチルオキシである。
本発明との関連において、直鎖又は分岐アルケニルという表現は、好ましくはC2〜C6アルケニルを表し、特に好ましくはC2〜C4アルケニルを表す。単結合に加えて、アルケニル基は、1個以上の、好ましくは1個から3個までの、特に好ましくは1個又は2個の、非常に特に好ましくは1個のエチレン性二重結合も有する。アルケニルは、特に、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチルエテニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル又は2-メチル-2-プロペニルである。
本発明との関連において、シクロアルキルは、好ましくは3個から10個までの、特に好ましくは5個から8個までの炭素原子を有する脂環式基を指す。シクロアルキル基の例は、特に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルである。特に、シクロアルキルは、シクロヘキシルである。
置換シクロアルキル基は、環の大きさに応じて、1個以上の(例えば1個、2個、3個、4個又は5個の)置換基を有し得る。これらの置換基は、好ましくは、相互に独立に、C1〜C6アルキル及びC1〜C6アルコキシから選択される。置換があった場合、シクロアルキル基は、好ましくは、1個以上の、例えば1個、2個、3個、4個又は5個のC1〜C6アルキル基を有する。置換シクロアルキル基の例は、特に、2-及び3-メチルシクロペンチル、2-及び3-エチルシクロペンチル、2-、3-及び4-メチルシクロヘキシル、2-、3-及び4-エチルシクロヘキシル、2-、3-及び4-プロピルシクロヘキシル、2-、3-及び4-イソプロピルシクロヘキシル、2-、3-及び4-ブチルシクロヘキシル及び2-、3-及び4-イソブチルシクロヘキシルである。
本発明との関連において、「アリール」という表現は、通例6個から18個までの、好ましくは6個から14個までの、特に好ましくは6個から10個までの炭素原子を有する、単核又は多核芳香族炭化水素基を含む。アリールの例は、特に、フェニル、ナフチル、インデニル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ナフタセニル、クリセニル、ピレニル等であり、特にフェニル又はナフチルである。
置換アリールは、環系の数及び大きさに応じて、1個以上の(例えば1個、2個、3個、4個又は5個の)置換基を有し得る。これらの置換基は、好ましくは、相互に独立に、C1〜C6アルキル及びC1〜C6アルコキシから選択される。置換アリール基の例は、2-、3-及び4-メチルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-及び2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2-、3-及び4-エチルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-及び2,6-ジエチルフェニル、2,4,6-トリエチルフェニル、2-、3-及び4-プロピルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-及び2,6-ジプロピルフェニル、2,4,6-トリプロピルフェニル、2-、3-及び4-イソプロピルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-及び2,6-ジイソプロピルフェニル、2,4,6-トリイソプロピルフェニル、2-、3-及び4-ブチルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-及び2,6-ジブチルフェニル、2,4,6-トリブチルフェニル、2-、3-及び4-イソブチルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-及び2,6-ジイソブチルフェニル、2,4,6-トリイソブチルフェニル、2-、3-及び4-sec-ブチルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-及び2,6-ジ-sec-ブチルフェニル、2,4,6-トリ-sec-ブチルフェニル、2-、3-及び4-tert-ブチルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-及び2,6-ジ-tert-ブチルフェニル及び2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニルである。
ステップa)
本発明による方法のステップa)のための出発原料の1つは、式(III)
Figure 0006293766
の3-メチルブタ-3-エン-1-オール(イソプレノール)である。
イソプレノールは、公知の方法によりイソブテン及びホルムアルデヒドから任意の規模で容易に入手することができるし、市販もされている。本発明に従って使用すべきイソプレノールの純度、グレード又は調製手順に特段の要件はない。イソプレノールは、本発明による方法のステップa)では、標準的な商業用のグレード及び純度において使用することができる。90重量%以上の純度を有するイソプレノール、特に好ましくは95〜100重量%の純度を有するイソプレノール、非常に特に好ましくは97〜99.9重量%又はさらにより好ましくは98〜99.8重量%の純度を有するイソプレノールを使用することが好ましい。
本発明による方法のステップa)のためのさらなる出発原料は、式(IV) R1-CHO(式(IV)中のR1は、上記で与えられた意味を有する)のアルデヒドである。
好ましくは、式(I)、(II)、(IV)、(V.1)、(V.2)、(V.3)及び(VI)の化合物中のR1は、直鎖若しくは分岐C1〜C12アルキル、又は直鎖若しくは分岐C2〜C12アルケニルである。特に好ましくは、R1は、直鎖若しくは分岐C1〜C6アルキル、又は直鎖若しくは分岐C2〜C6アルケニルである。さらに好ましい実施形態において、R1はフェニルである。
したがって、本発明による基R1の好ましい意味は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル又はn-ヘプチルであり、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチルであり、非常に特に好ましくはイソブチル(2-メチルプロピル)である。
使用されるのが好ましい式(IV)のアルデヒドは、アセトアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、ベンズアルデヒド、シトラール、シトロネラールである。使用されるのが非常に特に好ましい本発明による式(IV)のアルデヒドは、イソバレルアルデヒド及びベンズアルデヒドであり、特にイソバレルアルデヒドである。
したがって、好ましい実施形態との関連において、本発明は、式(Ia)の2-(2-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン及び式(IIa)の2-(2-メチルプロピル)-4-メチルテトラヒドロピラン(ジヒドロローズオキシド)
Figure 0006293766
を調製及び単離するための方法に関する。
好ましくは、ステップa)において、3-メチルブタ-3-エノール(III)及びアルデヒド(IV)は、約1:2から2:1までの、特に好ましくは0.7:1から2:1までの、特に1:1から2:1までのモル比において使用される。特定の実施形態において、ステップa)では、3-メチルブタ-3-エン-オール(III)及びアルデヒド(IV)は、1:1から1.5:1までのモル比において使用される。
本発明によれば、ステップa)の反応は、酸性触媒の存在下で行われる。原則的に、任意の酸性触媒、すなわちブレーンステッド酸性度又はルイス酸性度を有する任意の物質を、ステップa)の反応のために使用することができる。適切な触媒の例は、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸等のプロトン性酸、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛、五フッ化リン、三フッ化ヒ素、四塩化スズ、四塩化チタン及び五フッ化アンチモン等の酸性分子状元素の化合物、ゼオライト、ケイ酸塩、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、粘土及び酸性イオン交換体等の酸化物状の酸性固形物である。
好ましくは、ステップa)において使用される酸性触媒は、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸及び強酸性カチオン交換体から選択される。
第1の変形例において、ステップa)の反応は、ブレーンステッド酸の存在下で行われ、ブレーンステッド酸は、好ましくは、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸から選択される。この第1の変形例では、ステップa)において、溶媒を用いることが好ましく、溶媒は、好ましくは、炭化水素及び炭化水素混合物から選択される。適切な溶媒は、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテル、シクロヘキサン、デカリン、トルエン、キシレン及びこれらの混合物である。この第1の変形例において、反応混合物の含水量は、反応混合物の合計重量に基づいて、最大0.25重量%であり、特に好ましくは最大2重量%である。ステップa)の反応中、例えば、可能な副反応として式(I)のプロセス生成物が脱水される結果、水が形成され得る。こうした水の形成にも関わらず含水量を低く保つためには、形成された水を使用された溶媒と一緒に留去してもよいし、水の少なくとも一部を慣用的な方法により溶媒から分離してもよく、その後は、溶媒を反応ステップa)に戻してもよい。好ましくは、この第1の変形例における触媒は、アルデヒド(IV)に基づいて、0.05mol%から5mol%までの、特に好ましくは0.1mol%から4mol%までの量において使用される。好ましくは、ステップa)の反応は、この第1の変形例によって、20℃から120℃までの、特に好ましくは40℃から110℃までの範囲の温度で行われる。
第2の変形例において、ステップa)の反応は、強酸性カチオン交換体の存在下で行われる。強酸性カチオン交換体という用語は、ここで、強酸性基を有するH+形態のカチオン交換体を意味するものだと理解される。強酸性基は通例、スルホン酸基である。酸性基は一般に、ポリマーマトリックスに結合しており、ポリマーマトリックスは、例えば、ゲル状及び/又はマクロ多孔性であってよい。したがって、本発明による方法の好ましい実施形態は、スルホン酸基を有する強酸性カチオン交換体が使用される実施形態である。適切な強酸性カチオン交換体は、WO 2010/133473及びWO 2011/154330で記述されており、ここで、これらの全部分に言及しておく。
ステップa)における使用に適しているのは、H+形態のスルホン酸基と、スルホン酸基(-SO3H)によって官能化されたイオン交換基とが付いた担体マトリックスとして、スチレンとジビニルベンゼンとのコポリマーを含み、ポリスチレンを主体とする、強酸性イオン交換体(例えば、Amberlyst、Amberlite、Dowex、Lewatit、Purolite、Serdolit等)である。これらのイオン交換体は、ポリマー骨格の構造が異なっており、ゲル状樹脂とマクロ多孔性樹脂とで区別される。特定の実施形態において、ステップa)では、過フッ化ポリマー性イオン交換樹脂が使用される。この種の樹脂は、例えば、Nafion (登録商標)という名称でDuPontから販売されている。言及され得るこのような過フッ化ポリマー性イオン交換樹脂の一例は、Nafion(登録商標) NR-50である。
ステップa)の反応に適した市販の強酸型カチオン交換体は、例えば、Lewatit(登録商標)(Lanxess)、Purolite(登録商標)(The Purolite Company)、Dowex(登録商標)(Dow Chemical Company)、Amberlite(登録商標)(Rohm and Haas Company)、Amberlyst(商標)(Rohm and Haas Company)という商標で知られている。好ましい強酸性カチオン交換体は、Lewatit(登録商標) K 1221、Lewatit(登録商標) K 1461、Lewatit(登録商標) K 2431、Lewatit(登録商標) K 2620、Lewatit(登録商標) K 2621、Lewatit(登録商標) K 2629、Lewatit(登録商標) K 2649、Amberlite(登録商標) FPC 22、Amberlite(登録商標) FPC 23、Amberlite(登録商標) IR 120、Amberlyst(商標) 131、Amberlyst(商標) 15、Amberlyst(商標) 31、Amberlyst(商標) 35、Amberlyst(商標) 36、Amberlyst(商標) 39、Amberlyst (商標) 46、Amberlyst(商標) 70、Purolite(登録商標) SGC650、Purolite(登録商標) C100H、Purolite(登録商標) C150H、Dowex(登録商標) 50X8、Serdolit(登録商標) red及びNation(登録商標) NR-50である。
強酸性イオン交換樹脂は一般に、塩酸及び/又は硫酸によって再生される。
特定の実施形態では、ステップa)において、3-メチルブタ-3-エノール(III)及びアルデヒド(IV)を、強酸性カチオン交換体の存在下且つ水の存在下で反応させる。原則的に、ステップa)の反応混合物は、可能な二次反応として式(I)のプロセス生成物が脱水されることにより遊離され得る、少量の水をすでに含んでいることがある。特定の一実施形態によれば、反応混合物には、イソプレノール(III)及び式(IV)のアルデヒドに加えて、さらに水も加えられ、反応から出るあらゆる水も同様に加えられる。
通例、イソプレノール(III)と式(IV)のアルデヒドとの反応は、少なくとも約10mol%の添加水の存在下で実施され、水の量は、使用された出発原料イソプレノール(III)若しくはアルデヒド(IV)のうちいずれの場合にも少ない方の量を基準とし、又はこれら2つの出発原料(III)及び(IV)の等モル反応の場合にはこれら2つのうちの一方の定量的な量を基準とする。
上述した値を超えても、水の量は、自由に選択することができ、仮に制限されるとしても、処理又はコストの観点によってのみ制限され、大過剰で、例えば、10倍〜100倍又はさらにはそれ以上の過剰で、もっぱら都合よく使用し得る。好ましくは、イソプレノール(III)及び式(IV)のアルデヒド、好ましくはイソバレルアルデヒドの混合物は、加えられることになる水の量を、添加水がイソプレノール及びアルデヒドの混合物に溶解したままになるように、すなわち二相系が存在しないようにして、調製される。
通例、本発明による方法のこの実施形態との関連において、出発原料イソプレノール(III)及び式(IV)のアルデヒドは、少なくとも25mol%の、好ましくは少なくとも50mol%の、さらにより好ましくは少なくとも75mol%の、さらにより好ましくは少なくとも90mol%の添加水の存在下で反応させ、ここで、水の量は、いずれの場合にも過剰で使用される出発原料イソプレノール(III)若しくはアルデヒド(IV)の量、又はこれら2つの出発原料(III)及び(IV)の等モル反応の場合にはこれら2つのうち一方の定量的な量を基準とする。
好ましくは、本発明による方法のこの実施形態との関連において、出発原料イソプレノール(III)及び式(IV)のアルデヒドは、最大約1000mol%の水の存在下で反応させ、水の量は、使用された出発原料イソプレノール(III)若しくはアルデヒド(IV)のうちいずれの場合にも少ない方の量を基準とし、又はこれら2つの出発原料(III)及び(IV)の等モル反応の場合にはこれら2つのうちの一方の定量的な量を基準とする。
好ましい実施形態との関連において、本発明によって実施しようとする反応は、この反応が少なくとも等モル量の添加水の存在下で実施されるように実施され、水の量は、使用された出発原料イソプレノール(III)若しくはアルデヒド(IV)のうちいずれの場合にも少ない方の量を基準とし、又は、これら2つの出発原料(III)及び(IV)の等モル反応の場合にはこれら2つのうちの一方の定量的な量を基準とする。この結果、本発明によるイソプレノールと選択された式(IV)のアルデヒドとの反応は、好ましくは、90〜250mol%の、特に好ましくは90〜230mol%の、さらにより好ましくは90〜200mol%の、最も好ましくは90〜180mol%の水の存在下で実施され、水の量は、使用された出発原料イソプレノール(III)若しくはアルデヒド(IV)のうちいずれの場合にも少ない方の量を基準とし、又はこれら2つの出発原料(III)及び(IV)の等モル反応の場合にはこれら2つのうちの一方の定量的な量を基準とする。
イソプレノール(III)とアルデヒド(IV)との反応のために、ステップa)において、指定された出発原料及び場合により添加水は、酸性カチオン交換体と接触させてもよい。好ましくは、イソプレノール(III)、アルデヒド(IV)及び場合により添加水は、ステップa)では混合物の形態において使用される。指定された出発原料、すなわちイソプレノール(III)及びアルデヒド(IV)、及び上記の量で使用しようとする水は、相互に接触させてもよいし、又は任意の所望の順序で混合してもよい。
ステップa)の強酸性カチオン交換体の量は決定的なものではなく、経済的な観点及び処理の観点を考慮に入れながら、幅広い限度の中で自由に選択することができる。したがって、反応は、触媒量の強酸性カチオン交換体の存在下又は大過剰の強酸性カチオン交換体の存在下のいずれかで実施することができる。通例、強酸性カチオン交換体は、いずれの場合にも、使用されたイソプレノール(III)及び式(IV)のアルデヒドの合計に基づいて、約5重量%から最大約40重量%までの量において、好ましくは約20重量%から約40重量%までの量において、特に好ましくは約20重量%から約30重量%までの量において使用される。ここで、こうしたデータは、既製カチオン交換体を基準としており、既製カチオン交換体は一般に、水によって予備処理されており、したがって、最大約70重量%、好ましくは約30重量%から約65重量%までの、特に好ましくは約40重量%から約65重量%までの量の水を含み得る。したがって、特に断続的な手順の場合、本発明による方法を実施するときにさらに水を加えることは、余計なこととなり得る。指定された強酸性カチオン交換体は、ステップa)において、個別に使用することもできるし、又は混合物の形態において使用することもできる。
強酸性カチオン交換体の存在下におけるステップa)の反応は、所望ならば、反応条件下で不活性な溶媒の存在下でさらに実施することもできる。適切な溶媒は、例えば、tert-ブチルメチルエーテル、シクロヘキサン、デカリン、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテル、トルエン又はキシレンである。指定された各溶媒は、単独で使用することもできるし、又は相互に混ざり合った形態において使用することもできる。好ましくは、ステップa)の反応は、強酸性カチオン交換体の存在下において、有機溶媒の添加なしで実施される。
好ましくは、ステップa)におけるイソプレノール(III)と選択されたアルデヒド(IV)との反応は、水の存在下且つ強酸性カチオン交換体の存在下において、0℃から70℃までの範囲の温度、特に好ましくは10℃から60℃までの範囲の温度、特に20℃から50℃までの範囲の温度で実施される。これは、反応混合物の温度である。
ステップa)の反応は、断続的に又は継続的に実施することができる。これに関連して、例えば断続的な場合では、反応は、イソプレノール(III)、アルデヒド(IV)、場合により水及び場合により有機溶媒の混合物が適切な反応容器に導入され、酸性触媒が添加されることになるように、始めることができる。反応が完了したら、次いで触媒を、得られた反応混合物から適切な分離法により分離することができる。ステップa)において、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸から好ましくは選択されるブレーンステッド酸が触媒として使用される場合、触媒は、例えば水による後処理後に蒸留によって分離することもできるし、又は蒸留によって直接分離することもできる。ステップa)において強酸性カチオン交換体が触媒として使用される場合、触媒は、例えばろ過又は遠心分離により分離することができる。
好ましい実施形態との関連において、ステップa)におけるイソプレノール(III)とアルデヒド(IV)との反応は、継続的に実施される。この場合、例えば、反応させようとする出発原料イソプレノール及び式(III)のアルデヒドの混合物は、水を用いて調製することができ、この混合物は、強酸性カチオン交換体と継続的に接触させることができる。このようにするために、選択されたカチオン交換体は例えば、適切な流通式反応器、例えば、注入口及び排出口を有する撹拌反応器、又は管状反応器に導入することができ、出発原料及び水は、こうした反応器中に継続的に放出され得、反応混合物は、継続的に放出され得る。これに関連して、出発原料及び水は、所望に応じて、流通式反応器中に個々の成分として導入してもよいし、又は上述した任意の混合物の形態において導入してもよい。
本発明による方法のステップa)において得られた反応混合物は、式(I)
Figure 0006293766
の2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランに加えて、化合物(V.1)、(V.2)又は(V.3)の少なくとも1種及び少なくとも1種のジオキサン化合物(VI)
Figure 0006293766
(式(I)、(V.1)、(V.2)、(V.3)及び(VI)中のR1は、上記で与えられた意味を有する)
を含む。好ましくは、R1はイソブチルである。原則として、反応混合物は、化合物(V.1)、(V.2)及び(V.3)の混合物を含む。
本発明による方法のステップa)において得られた反応混合物は、少なくとも1種のさらなる副生成物、例えばアセタール(VII)
Figure 0006293766
(式中、R1は、上記で与えられた意味を有する)
を受け入れ得る。好ましくは、R1はイソブチルである。
本発明による方法のステップa)において得られた反応混合物は、未反応の3-メチルブタ-3-エン-1-オール(III)、未反応のアルデヒド(IV)、水、有機溶媒等のさらなる成分を含み得る。
好ましくは、ステップa)において得られた反応混合物は、反応混合物の合計重量に基づいて、50重量%から90重量%までの、特に好ましくは60重量%から最大約80重量%までの量において、式(I)の2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランを含む。
好ましくは、ステップa)において得られた反応混合物は、反応混合物の合計重量に基づいて、5重量%から20重量%までの、特に好ましくは5重量%から最大約15重量%までの合計量において、式(V.1)、(V.2)及び(V.3)の化合物を含む。
好ましくは、ステップa)において得られた反応混合物は、反応混合物の合計重量に基づいて、5重量%から20重量%までの、特に好ましくは5重量%から最大約15重量%までの合計量において、式(VI)のジオキサン化合物を含む。
典型的な組成のとき、ステップa)において得られた反応混合物は、いずれの場合にも、反応混合物の合計重量に基づいて、下記の化合物を含む:
イソバレルアルデヒド:0〜5重量%、
イソプレノール:0〜10重量%、
ジヒドロピラン異性体(V.a〜c):5〜15重量%、
1,3-ジオキサン(VI):5〜15重量%、
アセタール(VII):0〜5重量%、
trans-(I):15〜22重量%、
cis-(I):45〜65重量%、
水:2〜10重量%。
好ましくは、ステップa)において得られた反応混合物は、式cis-(I)のシス型ジアステレオマー及び式trans-(I)のトランス型ジアステレオマー
Figure 0006293766
の混合物の形態における式(I)の2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランを含み、ここで、シス型ジアステレオマーcis-(I)とトランス型ジアステレオマーtrans-(I)とのジアステレオマー比は、好ましくは65:35から95:5までであり、特に好ましくは70:30から85:15までであり、R1は、上記で与えられた意味を有する。
好ましくは、ステップa)において得られた反応混合物は、2-イソブチル-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランを、式cis-(I.a)のシス型ジアステレオマー及び式trans-(I.a)のトランス型ジアステレオマー
Figure 0006293766
の混合物の形態で含み、ここで、シス型ジアステレオマーcis-(I.a)とトランス型ジアステレオマーtrans-(I.a)とのジアステレオマー比は、好ましくは65:35から95:5までであり、特に好ましくは70:30から85:15までである。
それらに特異的な香気性を理由として、この種の混合物は、香料としての使用、例えば、フレグランス組成物を製造するためのスズラン調の香りを有する成分としての使用に特段に適している。
ステップb)
ステップb)の分離のために使用されるステップa)の反応生成物は、合計重量に基づいて、典型的には45〜65重量%のシス型ジアステレオマーcis-(I)、15〜22重量%のトランス型ジアステレオマーtrans-(I)、化合物(I)より低い沸点を有する10〜30重量%の化合物、化合物(I)より高い沸点を有する1〜3重量%の化合物を含む。ステップa)の反応生成物は、好ましくは、立体異性体化合物(I)の沸点に近い沸点を有する化合物を本質的に含有しない。本発明との関連において、立体異性体化合物(I)の沸点に近い沸点を有する化合物を本質的に含有しないとは、ステップa)の反応生成物が、立体異性体化合物(I)の沸点に近い沸点を有する最大1重量%の、特に好ましくは最大0.5重量%の、特に最大0.1重量%の化合物を含むことを意味する。
好ましくは、ステップb)の分離のために使用されるステップa)の反応生成物は、45〜65重量%の式cis-(I.a)の2-イソブチル-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランのシス型ジアステレオマー、15〜20重量%の式trans-(I.a)のトランス型ジアステレオマー、化合物(I)より低い沸点を有する10〜25重量%の化合物、化合物(I)より高い沸点を有する1〜3重量%の化合物を含む。
好ましくは、本発明による方法のステップb)において、ステップa)の反応混合物は、蒸留分離に供される。蒸留分離に適した装置は、バブルキャップ、シーブプレート、シーブトレイ、充填物、充填本体(packing body)、バルブ、側部排出口(side offtake)等を装備し得るトレイ塔等の蒸留塔、薄膜蒸発器、流下膜式蒸発器、強制循環型蒸発器、Sambay蒸発器等の蒸発器、及びこれらの組合せを備える。
蒸留塔は、分離効率の良い内部構造物を有し得、こうした内部構造物は、好ましくは、トレイ、規則充填物、例えば、Sulzer Mellapak(登録商標)、Sulzer BX、Montz B1若しくはMontz A3若しくはKuhni Rombopak等のシート状金属製若しくは織物製充填物、又は、例えばディクソンリング(Dixon ring)、ラシヒリング、高流量リング(high-flow ring)又はラシヒスーパーリング等、不規則的な層状になっている充填本体から選択される。100m2/m3から750m2/m3までの、特に250m2/m3から500m2/m3までの比表面積を有する規則充填物、好ましくはシート状金属製又は織物製充填物は、特に有用だと判明した。これらの充填物は、小さな圧力損失と結び付いた高い分離効率を可能にする。
好ましくは、ステップb)の分離のために、
- 原料送入部より上に配置された精留区画、及び原料送入部より下に配置されたストリッピング区画を有する原料送入塔、
- 精留区画の上端と連通している上部混和処理塔、及びストリッピング区画の下端と連通している下部混和処理塔、並びに
- 上部混和処理塔及び下部混和処理塔と連通している取り出し塔
を備える装置が使用される。
好ましくは、ステップb)の分離は、
i) ステップa)の反応生成物を、原料送入部より上に配置された精留区画及び原料送入部より下に配置されたストリッピング区画を有する原料送入塔に導入すること、
ii) 精留区画の上端と連通しており凝縮器がその上端に付いている上部混和処理塔、及びストリッピング区画の下端と連通しており加熱装置がその下端に付いている下部混和処理塔を設けること、
iii) 上部混和処理塔及び下部混和処理塔と連通しており且つ少なくとも1つの側部取り出し口(side take-off)を有する取り出し塔を設けること、
iv) 取り出し塔の頂部又は上部区域から、2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン(I)より低い沸点を有する化合物を抜き出し、少なくとも1つの側部取り出し分として、2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン(I)の少なくとも一部を抜き出し、下部混和処理塔の底部又は下部区域から、側部取り出し分として抜き出されていない2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン(I)、及び2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン(I)より高い沸点を有する化合物を抜き出すこと
により行われる。
好ましい実施形態において、取り出し塔の頂部又は上部区域から抜き出された取り出し分は、
- ステップa)の反応生成物中に存在する化合物(V.1)、(V.2)及び(V.3)の少なくとも一部又はすべて、
- ステップa)の反応生成物中に存在するジオキサン化合物(VI)の少なくとも一部又はすべて、
- 存在するならば、未反応の式(III)の3-メチルブタ-3-エン-1-オール、
- 存在するならば、未反応のアルデヒド(IV)、
- 少量の又は全くない4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン(I)、
- 水
を含む。
特に好ましい実施形態において、式(III)の3-メチルブタ-3-エン-1-オール及びイソバレルアルデヒド(IV)が、ステップa)の反応のために使用される。その後では、取り出し塔の頂部又は上部区域から抜き出された取り出し分は、
- ステップa)の反応生成物中に存在する化合物(V.1)、(V.2)及び(V.3)(式中、R1はイソブチルである)の少なくとも一部又はすべて、
- ステップa)の反応生成物中に存在するジオキサン化合物(VI)(式中、R1はイソブチルである)の少なくとも一部又はすべて、
- 存在するならば、未反応の式(III)の3-メチルブタ-3-エン-1-オール、
- 存在するならば、未反応のイソバレルアルデヒド(IV)、
- 少量の又は全くない式(Ia)の2-(2-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン、
- 水
を含む。
このようにして得られた頂部生成物は、水の大部分を分離するために相分離に供することができる。このような相分離を除けば、このようにして得られた頂部生成物は一般に、さらなる後処理なしで、ステップc)の水素化のために使用することができる。所望ならば、頂部生成物は、化合物(V.1)、(V.2)、(V.3)及び(VI)とは異なる成分の少なくとも一部を分離するために、さらなる後処理に供してもよい。この目的のために、頂部生成物は、例えば、さらなる蒸留分離に供してもよい。
好ましい実施形態において、1つの側流が取り出し塔から抜き出され、又は2つの側流が取り出し塔から抜き出される。特定の実施形態において、ただ1つの側流が、取り出し塔から抜き出される。
ステップb)において、2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン(I)を含む2つ以上の取り出し分、例えば、相異なる2つの側部取り出し分又は1つの側部取り出し分と1つの底部取り出し分とが取り出される場合、これらは一般に、立体異性体の組成に関して異なっている。この結果、ステップa)の反応生成物と比較してシス型ジアステレオマーに富む留分、及びトランス型ジアステレオマーに富む留分の単離が可能になっている。使用された蒸留装置の分離効率が十分な場合、ジアステレオマーの少なくとも1つは、所望ならば、純粋な形態において得ることができる。
原料送入塔、取り出し塔、上部混和処理塔及び下部混和処理塔は、別個の構造的要素であってもよいし、又は幾つかの留分を混和させる蒸留塔の区画若しくは小室として構成されていてもよい。「連通している塔どうし」という表現は、上昇していく蒸気の交換と、これらの塔間に放出される凝縮物の交換との両方があることを意味する。
本発明による方法の好ましい一実施形態において、ステップb)の蒸留分離は、隔壁塔又は2つの熱連結型の少なくとも従来の蒸留塔の相互接続を備える蒸留塔の配置で行われる。
隔壁塔は、少なくとも1つの原料送入部及び少なくとも3つの取出し部を有する特殊な蒸留塔であり、この隔壁塔には、いわゆる精留区域が、蒸発器と凝縮器との間に位置しており、この精留区域中では、凝縮器中で形成された凝縮物の一部が、蒸発装置から上昇していく蒸気に対して向流方向に戻る流れとして液体状形態において下流側に移動していき、また、この隔壁塔は、原料送入部より下及び/又は上にあるこの塔の一部区域中に、長手方向に機能を果たして液体流及び/又は蒸気流の幅方向混合を予防することになる少なくとも1つの分割器具(隔壁)を備え、したがって、この隔壁塔により、物質混合物の蒸留分離が可能になる。隔壁塔の基本原理は、かなり昔から知られており、例えば、US 2,471,134、EP-A-0 122 367又はG. Kaibel、Chem. Eng. Technol.第10巻、1987、92〜98ページにおいて記述されている。
隔壁塔の全体的基本構造は、隔壁の片側にある少なくとも1つの側部原料送入部、及びそれらのうち少なくとも1つが隔壁の反対側にある少なくとも3つの取出し部を備える。この種の構造内では、液体流及び/又は蒸気流の幅方向混合が隔壁の区域中で予防されるため、純粋な形態の副生成物を得ることができる。これは一般に、多成分混合物の分離用に全体として必要とされる蒸留塔の数を削減する。さらに、隔壁塔を使用した場合、2つの従来の蒸留塔の単純直列配置と比較して、資本コストもエネルギーも節減することができる(M. Knott、Process Engineering、第2巻、1993、2月、33〜34ページを参照されたい)。
本発明との関連において、従来の蒸留塔とは、隔壁を備えないすべての蒸留塔を指すのに使用される用語である。熱連結型の従来の蒸留塔どうしにおいては、双方で物質の流れとエネルギーの流れが交換される。この結果、従来の蒸留塔の単純な直列配置と比較して、顕著なエネルギー節減が可能である。隔壁塔の代替物としては、2つの熱連結型の蒸留塔の配置が好ましい。様々な配置についての概略は、例えば、G. Kaibelら、Chem.-Ing.-Tech.、第61巻、1989、16〜25ページ及びG. Kaibelら、Gas Separation & Purification、第4巻、1990、6月、109〜114ページにおいて与えられている。
第1の好ましい実施形態において、熱連結型の先行塔、すなわち、取り出し塔、上部混和処理塔及び下部混和処理塔を含む蒸留塔が、単一区画型蒸留塔として設計され、原料送入塔が、蒸留塔に対する先行塔として設計され、使用される。第2の好ましい実施形態において、熱連結型の後続塔を伴う蒸留塔が使用され、すなわち、単一区画型蒸留塔として設計されている原料送入塔、上部混和処理塔及び下部混和処理塔と、蒸留塔に対する後続塔として設計されている取り出し塔とが、使用される。補助塔と接続されている蒸留塔が公知であり、例えば、Chem. Eng. Res. Des., Part A: Trans IChemE、1992年3月、118〜132ページ、「The design and optimisation of fully thermally coupled distillation columns」において記述されている。
ステップa)の反応生成物を原料送入塔に導入する前に、2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン(I)より低い沸点を有する化合物の少なくとも一部を、ステップa)の反応生成物から取り出すことが好ましいと判明した。したがって、特定の一実施形態において、上流側の従来の蒸留塔及び下流側の隔壁塔、又は2つの熱連結型の従来の蒸留塔の下流相互接続を備える蒸留塔の配置が、ステップa)の反応生成物の蒸留分離のために使用される。
好ましくは、ステップb)の蒸留分離のために、
b1) 最初にステップa)の反応混合物が、従来の蒸留塔で分離に供され、ここで、化合物(V.1)、(V.2)及び(V.3)並びにジオキサン化合物(VI)に富み且つ一般式(I)の化合物を本質的に含まない第1の頂部生成物が得られ、化合物(V.1)、(V.2)及び(V.3)並びにジオキサン化合物(VI)が減耗しており且つ一般式(I)の化合物の大部分を含む第1の底部生成物が得られ、
b2) ステップb1)の第1の底部生成物が、隔壁塔で、又は2つの熱連結型の従来の蒸留塔の相互接続で分離に供され、ここで、第1の頂部生成物中に存在しない化合物(V.1)、(V.2)、(V.3)及び(VI)を含み場合により少量の一般式(I)の化合物もまた含む第2の頂部生成物が得られ、一般式(I)の化合物から本質的になる側流が得られ、頂部生成物中に存在せず且つ側流中に存在しない一般式(I)の化合物を含む第2の底部生成物が得られる。
好ましくは、上記の実施形態では、式(I)、(V.1)、(V.2)、(V.3)及び(VI)の化合物において、R1は、同様にイソブチルである。
第1の頂部生成物が一般式(I)の化合物を本質的に含まないとの表現は、第1の頂部生成物中の一般式(I)の化合物の割合が、第1の頂部生成物の合計重量に基づいて、最大5重量%であり、特に好ましくは最大2重量%であり、特に最大1重量%であり、特に最大0.1重量%であることを意味する。特定の実施形態において、第1の頂部生成物は、一般式(I)の化合物を全く含まない。
第2の頂部生成物は、第2の頂部生成物の合計重量に基づいて、例えば0.1〜25重量%の、特に好ましくは0.2〜20重量%の、特に0.3〜15重量%の、特に0.5〜10重量%の一般式(I)の化合物を含み得る。
特定の実施形態において、側流は、一般式(I)の化合物のみからなる。
特定の実施形態において、第2の底部生成物は、一般式(I)の化合物のみからなる。代替的には、第2の底部生成物は、一般式(I)の化合物より高い沸点を有する化合物を含み得る。
好ましくは、この実施形態によれば、第1の頂部生成物(特に、水が減耗した第1の頂部生成物の有機相)、及び/又は第2の頂部生成物は、ステップc)の水素化のために使用される。ここで、第2の頂部生成物が一般式(I)の化合物を少量しか含んでいないままならば、これらの化合物は一般に、ステップc)の水素化を無変化で通過し、所望ならば、次いで分離して良好に利用することができるため、第2の頂部生成物は重要ではない。
原則として、この実施形態においては、副生成物と第2の底部生成物とは、式(I)の化合物の立体異性体の割合に関して異なっている。
ステップc)
対応する2-置換4-メチルテトラヒドロピラン(II)を生じさせるための化合物(V.1)、(V.2)及び(V.3)の水素化自体は、従来技術による水素化触媒を用いて、従来の方法により実施することができる。
水素化は、気相中又は液相中のいずれかで触媒作用により行われ得る。好ましくは、本発明による方法のステップc)の水素化は、不均一系水素化触媒及び水素含有ガスの存在下において、液相中で実施される。
適切な水素化触媒は、原則的に、不飽和有機化合物の水素化に適したすべての均一系触媒及び不均一系触媒である。こうした水素化触媒は、例えば、金属、金属酸化物、金属化合物又はこれらの混合物を含む。適切な水素化触媒は、好ましくは、元素周期表のI族の亜族及びVI〜VIII族の亜族であるのが好ましい、少なくとも1種の遷移金属を含む。こうした水素化触媒は、好ましくは、Cu、Cr、Mo、Mn、Re、W、Fe、Rh、Co、Ni、Pd、Pt、Ru、Zn又はこれらの混合物を含む。
触媒が活性成分のみからなっていてもよいし、又は活性成分が支持体に塗布されてもよい。適切な支持体材料は、例えば、Al2O3、SiO2、ZrO2、TiO2、活性炭、ZnO、BaO及びMgO又はこれらの混合物である。
触媒活性を増大させるために、Fe、Co及び好ましくはNiを使用することができ、さらに、ラネー触媒の形態において使用することもできるし、又は非常に大きな表面積を有する金属製スポンジとして使用することもできる。
好ましくは、パラジウム炭素又は白金担持炭素は、本発明による方法のステップc)における水素化のために使用される。さらに、ラネーニッケル又はラネーコバルトは、有利に使用することができる。
他の適切な触媒は、例えば、80〜100重量%のニッケル及び/又はコバルト並びに、銅及び/又はクロム等の最大20重量%の活性化用金属を含む。このような触媒は、特に有利には、担持触媒として使用される。このような担持触媒の触媒活性金属の含量は一般に、触媒活性金属及び支持体の合計に基づいて、5〜80重量%までである。
触媒は、ステップc)の水素化のために成形品として使用することができる。例は、触媒押出物、例えば、ストランド、うね付きのストランド及び他の押出物形態、コーティング触媒、タブレット、リング、ビーズ、グリット等を含む。
好ましくは、ステップc)の水素化は、20℃から200℃までの、好ましくは40℃から150℃までの、特に50℃から120℃までの温度において実施される。
反応が気相中で実施される場合、1barから100barまでの、好ましくは1.1barから50barまでの圧力が有用だと判明している。
反応が液相中で実施される場合、圧力は、好ましくは、2barから500barまでの、特に好ましくは3barから300barまでの、特に4barから250barまでの、特に5barから200barまでの範囲である。
ステップc)の水素化は、1つの反応器中で又は複数の直列に接続された反応器中で実施することができる。水素化は、断続的に又は継続的に行われ得る。断続的な水素化のために、例えば加圧容器を使用してもよい。適切な加圧容器は、例えば、反応器の内容物を加熱及び撹拌するための装置を装備したオートクレーブである。好ましくは、水素化は、好ましくは、液相型又はトリクル型(trickle mode)であるのが好ましい固定層により液相中で行われ、又は懸濁触媒反応の形態において行われる。
水素化は、溶媒を添加しても添加しなくても行われ得る。適切な溶媒は、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、n-ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等のアルコール、エーテル、炭化水素である。好ましくは、ステップc)の水素化は、溶媒の添加なしで行われる。
ステップc)の水素化のために、化合物(V.1)、(V.2)又は(V.3)の少なくとも1種及び少なくとも1種のジオキサン化合物(VI)を含む留分を、水素含有ガス及び水素化触媒と接触させてもよい。適切な水素含有ガスは、水素及び水素と少なくとも1種の不活性ガスとの混合物から選択される。適切な不活性ガスは、例えば、窒素又はアルゴンである。ステップc)の水素化のためには、無希釈形態の水素を、通例約99.9体積%の純度において使用することが好ましい。
ステップc)の水素化の結果として、出発混合物中に存在する化合物(V.1)、(V.2)及び(V.3)は、2-置換4-メチルテトラヒドロピラン(II)に変換される。好ましくは、水素化のために使用される出発混合物は、式(V.1)、(V.2)及び(V.3)の化合物(式中、基R1は、イソブチルである)を含む。次いで、ステップc)の水素化の結果として、出発混合物中に存在する化合物(V.1)、(V.2)及び(V.3)は、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロピラン(II) (ジヒドロローズオキシド)に変換される。
好ましくは、ステップc)において、2-置換4-メチルテトラヒドロピラン(II)のシス型ジアステレオマーとトランス型ジアステレオマーとのジアステレオマー比が60:40から95:5までの、好ましくは65:35から90:10までの範囲である水素化生成物が得られる。特に好ましくは、ステップc)において、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロピラン(II)のシス型ジアステレオマーとトランス型ジアステレオマーとのジアステレオマー比が60:40から95:5までの、好ましくは65:35から90:10までの範囲である水素化生成物が得られる。
それらに特有の香気性を理由として、この種の混合物は、香料としての使用、例えば、フレグランス組成物を製造するためのバラの香りに似た特質を有する成分としての使用に特段に適している。
ステップd)
ステップc)において得られた水素化生成物からは原則的に、当業者に知られた慣用的な純化法により、2-置換4-メチルテトラヒドロピラン(II)に富む留分、及び少なくとも1種のジオキサン化合物(VI)に富む留分を単離することができる。
好ましくは、ステップc)において得られた水素化生成物は、蒸留分離に供される。蒸留分離に適した装置は、バブルキャップ、多孔プレート、多孔トレイ、充填物、充填本体、バルブ、側部取り出し口等を装備し得るトレイ塔等の蒸留塔、薄膜蒸発器、流下膜式蒸発器、強制循環型蒸発器、Sambay蒸発器等の蒸発器、及びこれらの組合せを備える。
好ましくは、ステップc)において得られた水素化生成物は、ステップd)において、分離効率の良い内部構造物を備えた少なくとも1つの蒸留塔で、蒸留分離に供される。
好ましくは、ステップd)において、2-置換4-メチルテトラヒドロピラン(II)に富む留分が、ステップc)において得られた水素化生成物から単離され、ここで、シス型ジアステレオマーとトランス型ジアステレオマーとのジアステレオマー比は、60:40から100:0までの、好ましくは65:35から90:10までの範囲である。
特に好ましくは、ステップd)において、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロピラン(II)に富む留分が、ステップc)において得られた水素化生成物から単離され、ここで、シス型ジアステレオマーとトランス型ジアステレオマーとのジアステレオマー比は、60:40から100:0までの、好ましくは65:35から90:10までの範囲である。
好ましくは、ステップd)において、2-置換4-メチルテトラヒドロピラン(II)に富む留分が、ステップc)において得られた水素化生成物から単離され、この留分が、最大2重量%の、特に好ましくは最大1重量%の、非常に特に好ましくは最大0.1重量%のある含量の一般式(VI)のジオキサン化合物
Figure 0006293766
(式中、R1は、上記で与えられた意味を有し、特にイソブチルである)
を有する。
本発明による組成物及び本発明による方法により入手可能な組成物は、特に有利なことに、フレグランスとして適しており、又はフレグランスの提供用に適している。
本発明による組成物は、所望に応じて、この応用分野において慣用的な少なくとも1種の溶媒を用いて、フレグランスとしての使用のために希釈することができる。例としては、エタノール、ジプロピレングリコール若しくはそのエーテル、フタレート、プロピレングリコール、又はジオールのカルボネートといった適切な溶媒を挙げることができ、好ましくはエタノールを挙げることができる。水もまた、本発明によるフレグランス組成物を希釈するための溶媒としても適しており、適切な乳化剤と一緒に有利に使用することができる。
成分どうしの構造的及び化学的類似性を理由として、本発明による方法により得られたフレグランスは、高い安定性及び持続性を有する。本発明による方法により入手可能な式(Ia)の2-(2-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランの異性体混合物は、心地良いスズランの臭気を特徴とする。本発明による方法により入手可能な式(IIa)の2-(2-メチルプロピル)-4-メチル-テトラヒドロピランの異性体混合物(ジヒドロローズオキシド)は、心地良いバラに似た特質を特徴とする。
本発明による方法により得られたフレグランスは、以下でより詳細に記述されているように、化粧用組成物への組み入れにも実用品並びに消費者向け用品及び/又は組成物への組み入れにも適しており、フレグランスを前記用品に組み入れることもできるし、又はフレグランスを前記用品に塗り付けることもできる。本発明全体との関連において、感覚を刺激するのに有効な量とは、所期の適用時に使用者又は消費者に香りの印象をもたらすのに十分な量を特に意味するものだと理解すべきである。
適切な化粧用組成物は、すべての慣用的な化粧用組成物である。こうした化粧用組成物は、好ましくは、香水、オードトワレ、デオドラント、石けん、シャワージェル、ジェル型入浴剤、クリーム、ローション、日焼け止め、ヘアシャンプー、コンディショナー、整髪用ジェル、液体又はフォームの形態の整髪用組成物及びその他の毛髪の汚れ落とし用又は手入れ用の組成物等、毛髪の汚れ落とし用及び手入れ用の組成物、スティック型化粧品、例えば口紅、リップケアスティック(lip care stick)、スティック型コンシーラー(コンシーラー)、ほお紅、ペンシル型アイシャドー、ペンシル型リップライナー、ペンシル型アイライナー、アイブロウペンシル、修正ペン、スティック型日焼け止め、スティック型抗座瘡剤及び同等の製品、さらにはマニキュア液及びその他のネイルケア用製品等、装飾目的で人体に適用するための組成物である。
本発明による方法により得られたフレグランスは、例えばオードトワレ、シャワージェル、ジェル型入浴剤及び体臭用デオドラントとしての香水における使用に特に適している。
上記フレグランスはまた、これらのフレグランスを組み入れ且つ/又は塗り付けた消費者向け用品又は実用品に芳香を付け、これにより、これらの消費者向け用品又は実用品にフレッシュ感のあるグリーン調の心地良いアクセントを付与するためにも適している。消費者向け用品又は実用品の例は、室内空気用デオドラント(エアケア)、織物の浄化用組成物又は手入れ用組成物(特に、洗剤、繊維柔軟剤)、例えばアイロンがけ用助剤、精錬剤、洗浄剤等の織物処理用組成物、表面、例えば家具、床、キッチン周り機器、窓ガラス及び窓、さらにはモニターを処理するための手入れ用組成物、漂白剤、トイレブロック(toilet block)、水垢除去剤、肥料、構造用材料、離型剤、消毒剤、自動車及び乗物の手入れ用製品等である。
以下の例は本発明の説明に資するものであるが、いかなる点においても本発明を限定することはない。
ガスクロマトグラフィー分析を、下記の方法に従って実施した:
カラム:DB WAX 30 m×0.32 mm;
FD 0.25μm;
インジェクター温度: 200℃、検出器温度280℃;
温度プログラム:開始温度: 50℃、3℃/minで170℃に達し、20℃/minで230℃に達し、7min等温になる;
保持時間:イソバレルアルデヒドtR= 3.7min
cis-ジヒドロローズオキシドtR= 8.4min
trans-ジヒドロローズオキシドtR= 9.6min
4,4-ジメチル-2-イソブチル-1,3-ジオキサンtR = 11.9min
得られた粗生成物(重量%)の濃度は、内部標準物質を用いたGC分析により確認した。
[実施例1]
(異性体ジヒドロピランV.1a〜V.1cの水素化)
Figure 0006293766
異性体ジヒドロピランV.1a〜V.1cの混合物(100g、0.65mol)を、室温でオートクレーブ(最大充填レベル180ml)に導入し、パラジウム炭素(5.8% Pd、50%含水)によって処理した。オートクレーブを密閉した後、窒素(20bar)によって3回フラッシングし、水素を100barの圧力になるまで注入し、撹拌装置のスイッチを入れ(700rpm)、オートクレーブを120℃に加熱した。120℃において、200barの水素を注入し、撹拌をさらに15時間この圧力で実施した。室温に冷却して減圧した後、生成物を吸引フィルター(Por4 =空隙の呼び幅10〜16μm)によってろ過した。これにより、次の組成を有する粗生成物(92g)が生じた:cis-ジヒドロローズオキシド:73.4 GC面積%(tR = 8.7min);trans-ジヒドロローズオキシド:24.1 GC面積%(tR = 9.9min)。続いて、長さ40cmの充填塔(金属製ラシヒリング)及び31 mbarの圧力でもって蒸留により後処理した後、99.7 GC面積%の純度及びcis-ジヒドロローズオキシド:trans-ジヒドロローズオキシドの異性体比= 3/1を有する生成物が、73〜74℃の転移温度において得られた。
[実施例2]
WO 2011/154330の実施例1において記述されているように、イソバレルアルデヒド(112.5g、1.31mol)、イソプレノール(125g、1.45mol)及び12.5gの水の混合物を、50gの強酸性カチオン交換体Amberlyst(登録商標) 131の存在下で反応させた。得られた反応混合物は、従来の蒸留塔及び隔壁塔からなる配置で、蒸留分離に供した。
イソバレルアルデヒド(0.4%)、イソプレノール(0.8%)、異性体ジヒドロピランV.1a〜V.1c(43.2%)、4,4-ジメチル-2-イソブチル-1,3-ジオキサン(42.0%)、ピラノール由来のイソプレニルエーテル(1.9%)並びに異性体ピラノールcis-(I.a)及びtrans-(I.a)(7.5%)からできている混合物(合計= 150g、隔壁塔の代表的な頂部留出物)を、オートクレーブ(最大充填量180ml)に導入し、パラジウム炭素(5.8% Pd、50%含水)によって処理した。オートクレーブを密閉した後、窒素(20bar)によって3回フラッシングし、水素を150barの圧力になるまで注入し、撹拌装置のスイッチを入れ(700rpm)、オートクレーブを120℃に加熱した。120℃において、200barの水素を注入し、撹拌をさらに15時間この圧力で実施した。室温に冷却して0barに減圧した後、生成物を吸引フィルター(Por4 =空隙の呼び幅10〜16μm)によってろ過した。これにより、次の組成を有する粗生成物(140g)が生じた:イソバレルアルデヒド:0.4 GC面積%(tR= 3.7min);cis-ジヒドロローズオキシド:37.6 GC面積%(tR = 8.4min);trans-ジヒドロローズオキシド:10.3 GC面積%(tR = 9.6min);ジオキサン:36.9 GC面積%(tR = 11.9min);IMTP:3.1 GC面積%(tR = 27.0min);ピラノール:7.1 GC面積%(tR = 28.2min)。続いて、長さ85cmの充填塔(金属製ラシヒリング)及び20 mbarの圧力でもって蒸留により純化した後、次の組成を有する頂部生成物が、48℃の転移温度において得られた:cis-ジヒドロローズオキシド1: 91.0 GC面積%(tR = 8.4min);trans-ジヒドロローズオキシド2: 7.1面積%(tR = 9.6min);ジオキサン:0.6 GC面積%(tR = 11.9min);2-メチル-2,4-ブタンジオール0.5 GC面積%(tR= 26.8min)。
[実施例3]
WO 2011/154330の実施例1において記述されているように、イソバレルアルデヒド(112.5g、1.31mol)、イソプレノール(125g、1.45mol)及び12.5gの水の混合物を、50gの強酸性カチオン交換体Amberlyst(登録商標)131の存在下で反応させた。得られた反応混合物は、従来の蒸留塔及び隔壁塔からなる配置で、蒸留分離に供した。
イソバレルアルデヒド(12.1%)、イソプレノール(10.7%)、異性体ジヒドロピランV.1a〜V.1c (50.3%)、4,4-ジメチル-2-イソブチル-1,3-ジオキサン(20.8%)並びに異性体ピラノールcis-(I.a)及びtrans-(I.a) (6%)からできている、上記のカラムの頂部留出物の混合物(混合物の合計量:100g)を、オートクレーブ(最大充填量180ml)に導入し、ラネーニッケル触媒(含水、1g)によって処理した。オートクレーブを密閉した後、窒素(20bar)によって3回フラッシングし、撹拌装置のスイッチを入れ(700rpm)、水素を5barの圧力になるまで注入し、オートクレーブを150℃に加熱した。150℃において、10barの水素を注入し、撹拌をさらに20時間この圧力で実施した。室温に冷却して0barに減圧した後、生成物を吸引フィルター(空隙の呼び幅10〜16μm)によってろ過した。これにより、次の組成を有する粗生成物が生じた:イソバレルアルデヒド:0.6 GC重量%(tR = 3.7min);cis-ジヒドロローズオキシド:22.1 GC重量%(tR = 8.0min);イソアミルアルコール:22.5 GC面積%(tR = 8.8min);trans-ジヒドロローズオキシド:21.6 GC重量%(tR = 9.2min);ジヒドロピランV.1a〜V.1c:0.3 GC重量%(tR= 9.4min、11.1min、11.8min);ジオキサン:19.8 GC重量%(tR = 11.5min);ピラノールcis-(I.a)及びtrans-(I.a):5.9 GC重量%(tR = 27.3min、28.7min)。
粗生成物の蒸留による後処理は、実施例1又は2の場合と同様に実施することができる。
[実施例4]
WO 2011/154330の実施例1において記述されているように、イソバレルアルデヒド(112.5g、1.31mol)、イソプレノール(125g、1.45mol)及び12.5gの水の混合物を、50gの強酸性カチオン交換体Amberlyst(登録商標) 131の存在下で反応させた。得られた反応混合物は、従来の蒸留塔及び隔壁塔からなる配置で、蒸留分離に供した。
イソバレルアルデヒド(4.5%)、イソプレノール(11.3%)、異性体ジヒドロピランV.1a〜V.1c(35.3%)、4,4-ジメチル-2-イソブチル-1,3-ジオキサン(39.8%)並びに異性体ピラノールcis-(I.a)及びtrans-(I.a)(2.5%)からできている、上記のカラムの頂部留出物の混合物(混合物の合計量:50g)を、オートクレーブ(最大充填量180ml)に導入し、パラジウム炭素(5% Pd担持C、50%含水、2g)及びメタノール(100ml)によって処理した。オートクレーブを密閉した後、窒素(20bar)によって3回フラッシングし、撹拌装置のスイッチを入れ(700rpm)、水素を5barの圧力になるまで注入し、オートクレーブを85℃に加熱した。85℃において、10barの水素を注入し、撹拌をさらに15時間この圧力で実施した。室温に冷却して0barに減圧した後、生成物を吸引フィルター(空隙の呼び幅10〜16μm)によってろ過した。これにより、次の組成を有する粗生成物が生じた:メタノール:42.0 GC面積%(tR = 3.4min);1,1-ジメトキシ-3-メチルブタン:10.4 GC面積%(4.6min);イソバレルアルデヒド:0.5 GC重量%(tR = 3.7min);cis-ジヒドロローズオキシド:9.8 GC重量%(tR = 8.0min);イソアミルアルコール:2.1 GC面積%(tR = 8.7min);trans-ジヒドロローズオキシド:2.7 GC重量%(tR = 9.1min);ジオキサン:8.0 GC重量%(tR = 11.4min);ピラノールcis-(I.a)及びtrans-(I.a):1.0 GC重量%(tR = 27.3 min、28.9min)。
粗生成物の蒸留による後処理は、実施例1又は2の場合と同様に実施することができる。

Claims (20)

  1. 一般式(I)の2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン及び一般式(II)の2-置換4-メチルテトラヒドロピラン
    Figure 0006293766
    (式中、
    R1は、直鎖若しくは分岐C1〜C12アルキル、合計で3個から20個までの炭素原子を有する非置換又はC1〜C12アルキル-及び/若しくはC1〜C12アルコキシ置換シクロアルキル、あるいは合計で6個から20個までの炭素原子を有する非置換又はC1〜C12アルキル-及び/若しくはC1〜C12アルコキシ置換アリールである)
    を調製するための方法であって、
    a) 式(III)
    Figure 0006293766
    の3-メチルブタ-3-エン-1-オールを式(IV)
    R1-CHO(IV)
    (式(IV)中のR1は、上記で与えられた意味を有する)
    のアルデヒドと酸性触媒の存在下で反応させて、少なくとも1種の一般式(I)の2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン、化合物(V.1)、(V.2)又は(V.3)の少なくとも1種及び少なくとも1種のジオキサン化合物(VI)
    Figure 0006293766
    (式(VI)中のR1は、上記で与えられた意味を有する)
    を含む反応混合物を生成し、
    b) ステップa)の反応生成物を分離に供して、一般式(I)の2-置換4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピランに富む留分、並びに化合物(V.1)、(V.2)又は(V.3)の少なくとも1種及び少なくとも1種のジオキサン化合物(VI)を含む留分を生成し、
    c) 化合物(V.1)、(V.2)又は(V.3)の少なくとも1種及び少なくとも1種のジオキサン化合物(VI)を含む留分を水素化に供し、
    d) 2-置換4-メチルテトラヒドロピラン(II)に富む留分、及び少なくとも1種のジオキサン化合物(VI)に富む留分を、ステップc)において得られた水素化生成物から単離する、
    上記方法。
  2. 基R1が、イソブチル又はフェニルである、請求項1に記載の方法。
  3. ステップa)の反応が、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸及び強酸性カチオン交換体から選択される酸性触媒の存在下で行われる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. ステップa)の反応が、強酸性カチオン交換体の存在下で実施される、請求項3に記載の方法。
  5. ステップa)の反応が、強酸性カチオン交換体の存在下且つ添加水の存在下で実施される、請求項4に記載の方法。
  6. ステップb)において、ステップa)の反応生成物が、蒸留分離に供される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. ステップb)の分離のために、
    - 原料送入部より上に配置された精留区画、及び原料送入部より下に配置されたストリッピング区画を有する原料送入塔、
    - 精留区画の上端と連通している上部混和処理塔、及びストリッピング区画の下端と連通している下部混和処理塔、並びに
    - 上部混和処理塔及び下部混和処理塔と連通している取り出し塔
    を備える装置が使用される、請求項6に記載の方法。
  8. 蒸留分離が、隔壁塔又は熱連結型の少なくとも2つの従来の蒸留塔の相互接続を備える蒸留塔の配置で行われる、請求項6又は7に記載の方法。
  9. ステップa)の反応生成物の蒸留分離のために、上流側の従来の蒸留塔及び下流側の隔壁塔、又は2つの熱連結型の従来の蒸留塔の下流相互接続を備える蒸留塔の配置が使用される、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. ステップb)の蒸留分離のために、
    b1) 最初にステップa)の反応混合物が、従来の蒸留塔で分離に供され、ここで、化合物(V.1)、(V.2)及び(V.3)並びにジオキサン化合物(VI)に富み且つ一般式(I)の化合物を本質的に含まない第1の頂部生成物が得られ、化合物(V.1)、(V.2)及び(V.3)並びにジオキサン化合物(VI)が減耗しており且つ一般式(I)の化合物の大部分を含む第1の底部生成物が得られ、
    b2) ステップb1)の第1の底部生成物が、隔壁塔で、又は2つの熱連結型の従来の蒸留塔の相互接続で分離に供され、ここで、第1の頂部生成物中に存在しない化合物(V.1)、(V.2)、(V.3)及び(VI)を含み場合により少量の一般式(I)の化合物もまた含む第2の頂部生成物が得られ、一般式(I)の化合物から本質的になる側流が得られ、頂部生成物中に存在せず且つ側流中に存在しない一般式(I)の化合物を含む第2の底部生成物が得られる、
    請求項9に記載の方法。
  11. 式(I)、(V.1)、(V.2)、(V.3)及び(VI)の化合物において、R1がイソブチルである、請求項10に記載の方法。
  12. 第1の頂部生成物、及び/又は第2の頂部生成物が、ステップc)の水素化のために使用される、請求項10又は11に記載の方法。
  13. 第1の頂部生成物が、ステップc)の水素化のために使用される場合、最初に、水の大部分を取り出すための相分離に供される、請求項12に記載の方法。
  14. 副生成物と第2の底部生成物とが、式(I)の化合物の立体異性体の割合に関して異なっている、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. ステップc)の水素化が、金属、金属酸化物、金属化合物又はこれらの混合物から選択される少なくとも1種の金属成分を含む均一系触媒及び不均一系触媒から選択される、水素化触媒の存在下で行われる、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 少なくとも1種の金属成分が、パラジウム炭素、白金担持炭素、ラネーニッケル又はラネーコバルトから選択される、請求項15に記載の方法。
  17. ステップd)において、ステップc)において得られた水素化生成物が、蒸留分離に供される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. ステップd)において、2-置換4-メチルテトラヒドロピラン(II)に富む留分が、ステップc)において得られた水素化生成物から単離され、シス型ジアステレオマーとトランス型ジアステレオマーとのジアステレオマー比が、60:40から100:0までの範囲である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. ステップd)において、2-置換4-メチルテトラヒドロピラン(II)に富む留分が、ステップc)において得られた水素化生成物から単離され、前記留分が、最大2重量%の一般式(VI)
    Figure 0006293766
    (式中、R1は、上記で与えられた意味を有する)
    のジオキサン化合物の含量を有する、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. ステップd)において、2-イソプロピル-4-メチルテトラヒドロピラン(II)に富む留分が単離される、請求項18又は19に記載の方法。
JP2015536173A 2012-10-15 2013-10-14 2−置換4−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピラン及び2−置換4−メチルテトラヒドロピランの一体的調製のための方法 Active JP6293766B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP12188518 2012-10-15
EP12188518.0 2012-10-15
PCT/EP2013/071409 WO2014060345A1 (de) 2012-10-15 2013-10-14 Verfahren zur integrierten herstellung von 2-substituierten 4-hydroxy-4-methyl-tetrahydropyranen und von 2-substituierten 4-methyl-tetrahydropyranen

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015532305A JP2015532305A (ja) 2015-11-09
JP6293766B2 true JP6293766B2 (ja) 2018-03-14

Family

ID=47049037

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015536173A Active JP6293766B2 (ja) 2012-10-15 2013-10-14 2−置換4−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピラン及び2−置換4−メチルテトラヒドロピランの一体的調製のための方法

Country Status (6)

Country Link
EP (1) EP2906545B1 (ja)
JP (1) JP6293766B2 (ja)
CN (1) CN104718197B (ja)
ES (1) ES2607840T3 (ja)
MX (1) MX363614B (ja)
WO (1) WO2014060345A1 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014177484A1 (de) 2013-04-29 2014-11-06 Basf Se Verfahren zur herstellung von 2-substituierten 4-hydroxy-4-methyl-tetrahydropyranen mit rückführung
US9688650B2 (en) 2013-04-29 2017-06-27 Basf Se Method for producing 2-substituted 4-hydroxy-4-methyl-tetrahydropyrans in a reactor cascade
EP2865676A1 (de) * 2014-04-14 2015-04-29 Basf Se Herstellung von 2-substituierten 4-Methyl-tetrahydropyranen aus 2-Alkyl-4,4-dimethyl-1,3-dioxan-haltigen Ausgangsstoffen
JP6549611B2 (ja) 2014-04-14 2019-07-24 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 匂いの品質が安定した2−置換4−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランの製造
CN106170483B (zh) 2014-04-14 2019-08-02 巴斯夫欧洲公司 由包含2-烷基-4,4-二甲基-1,3-二噁烷的原料制备2-取代4-羟基-4-甲基-四氢吡喃
CN107108547B (zh) * 2014-10-18 2020-07-28 S.H.科尔卡有限公司 手性纯度较高的2,4-二取代四氢吡喃-4-醇及其衍生物的合成方法
EP3483151A1 (de) 2015-03-05 2019-05-15 Basf Se Tetrahydropyranylester als riechstoffe
JP7115988B2 (ja) 2016-05-31 2022-08-09 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア テトラヒドロピラニル低級アルキルエステル、及びケテン化合物を使用したその製造
CN112955440A (zh) 2018-10-29 2021-06-11 巴斯夫欧洲公司 由2-取代4-羟基-4-甲基四氢吡喃作为原料制备2-取代4-甲基四氢吡喃
CN109608426B (zh) * 2018-12-04 2020-11-24 万华化学集团股份有限公司 一种以生产柠檬醛的废液为原料合成铃兰吡喃的方法
WO2020144307A1 (de) 2019-01-11 2020-07-16 Basf Se Herstellung von 5-aryl-pentanolen
CN114315777B (zh) * 2022-01-17 2023-07-14 万华化学集团股份有限公司 一种铃兰吡喃生产过程中含有脱水副产物和二噁烷副产物废料的资源化利用方法

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2471134A (en) 1946-07-17 1949-05-24 Standard Oil Dev Co Fractionation apparatus
DE3302525A1 (de) 1983-01-26 1984-07-26 Basf Ag, 6700 Ludwigshafen Destillationskolonne zur destillativen zerlegung eines aus mehreren fraktionen bestehenden zulaufproduktes
US20050004210A1 (en) 2003-07-04 2005-01-06 Kao Corporation Process for producing a pyran compound
US7064221B2 (en) 2003-09-17 2006-06-20 Kao Corporation Process for producing pyran
EP1927593A1 (en) * 2006-12-01 2008-06-04 V. Mane Fils Pyran derivates, process of preparation and use thereof in perfumery and flavouring
MX2009005782A (es) * 2006-12-01 2009-10-14 Mane Fils V Derivados de pirano, procedimiento de preparacion y uso de los mismos en perfumeria y saborizantes.
JP5669826B2 (ja) * 2009-05-19 2015-02-18 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 2−置換テトラヒドロピラノールの製造法
WO2011147919A1 (de) * 2010-05-27 2011-12-01 Basf Se Verfahren zur herstellung von in 2-stellung substituierten tetrahydropyranolen
US8791276B2 (en) * 2010-06-10 2014-07-29 Basf Se Process for the preparation and isolation of 2-substituted tetrahydropyranols
EP2580202B1 (de) * 2010-06-10 2014-07-30 Basf Se Verfahren zur herstellung und isolierung von 2-substituierten tetrahydropyranolen

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015532305A (ja) 2015-11-09
MX363614B (es) 2019-03-28
EP2906545A1 (de) 2015-08-19
CN104718197B (zh) 2017-09-12
CN104718197A (zh) 2015-06-17
ES2607840T3 (es) 2017-04-04
EP2906545B1 (de) 2016-09-21
MX2015004770A (es) 2015-08-14
WO2014060345A1 (de) 2014-04-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6293766B2 (ja) 2−置換4−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピラン及び2−置換4−メチルテトラヒドロピランの一体的調製のための方法
US9139549B2 (en) Process for the integrated preparation of 2-substituted 4-hydroxy-4-methyltetrahydropyrans and of 2-substituted 4-Methyltetrahydropyrans
JP6498696B2 (ja) 2−アルキル−4,4−ジメチル−1,3−ジオキサンを含有する出発物質からの2−置換4−メチル−テトラヒドロピランの製造
US10233169B2 (en) Production of 2-substituted 4-hydroxy-4-methyl-tetrahydropyrans from starting materials containing 2-alkyl-4,4-dimethyl-1,3-dioxanes
JP6549611B2 (ja) 匂いの品質が安定した2−置換4−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランの製造
US2836628A (en) Unsaturated branched-chain alcohols and methods of preparing same
JP6695890B2 (ja) テトラヒドロピラニルエステルを製造するための方法
JP2017503789A (ja) 新規の芳香化学物質
JP6076896B2 (ja) 4−シクロヘキシル−2−メチル−2−ブタノールの調製方法
JP2022512845A (ja) 出発材料としての2-置換4-ヒドロキシ-4-メチル-テトラヒドロピランからの2-置換4-メチル-テトラヒドロピランの調製
CN110240538B (zh) 一种制备高碳支链仲醇的方法
CN109608426B (zh) 一种以生产柠檬醛的废液为原料合成铃兰吡喃的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161011

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170720

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170725

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180214

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6293766

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250